説明

白線検出装置

【課題】演算量を低減させることができ、かつ、誤検出を防止することができる白線検出装置を提供する。
【解決手段】カメラ1による撮像画像を俯瞰処理部2が俯瞰画像に変換し、俯瞰画像は区分線により複数の区画に区分されて表示部3に表示される。そして、複数の区画のうち一部の区画を選択する操作が選択操作部13に入力されると、切出し部14が、画像処理部4において画像処理が行われた後の画像全体から、選択された区画に対応した画像部分を切り出す。さらに、白線認識部9が、この画像部分について白線認識を行ない、テンプレート作成部10が認識された白線に基づいてテンプレートを作成し、テンプレートマッチング部11が画像全体についてテンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出を行ない、検出白線出力部7により検出され白線が表示部3に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白線検出装置に関し、詳細には、例えば駐車区画に引かれている白線を検出する白線検出装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置の普及により映像モニターを備えた車両が増加している。加えて、駐車支援をはじめとする映像による安全運転支援システムが開発されている。
【0003】
このようなものとしては、車両に複数のカメラを搭載し、それぞれの映像に対して真上から見たと仮定される映像(俯瞰映像)に変換してこれらを合成することにより車両周辺の視野を補うシステムがある。
【0004】
また、初心運転者が最も苦手とする車両操作が、駐車エリアへの車両誘導であり、これを補助するために、車両周辺の視野を補うシステムにより路面上の白線を検出する方法が多く研究されている。
【0005】
例えば、車両に搭載されたカメラにより撮像された映像に対して各画素毎に白色であるか否かを判定し、白色でない画素から白色画素に変わる点および白色画素から白色でない画素に変わる点を検出する。
【0006】
そして、これらの点の中心点を検出して記憶することを画面全体に対して行ない、このようにして得られる白線の中心点に基づき、白線のベクトルを求める手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−29314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した特許文献1に提案されている技術によれば、白色画素であるか否かの判定を撮像された画像全体の各画素に対して行うため、演算処理量が多く、高速化処理や低コスト化の障害となる虞がある。
【0009】
さらに、各画素が白色画素であるか否かの判定に基づいて白線の検出を行うため、汚れ等のノイズを白線と誤検出したり、それとは反対に白線がかすれた部分については検出もれを起こすおそれがある。
【0010】
また、このようなノイズによる誤検出を防ぎ、画像中の直線の検出を正確に行う手法として「ハフ変換処理」が多く用いられている。
【0011】
このハフ変換処理は、画像中の点(x,y)を通る直線の式(r(θ)=xcosθ+ysinθ(rは原点から直線に向けて引いた法線の長さ))を複数の点(x,y)について適用し、r−θ空間上の点(r,θ)に対してカウントアップを行い、ピークを検出することにより直線を求めるものである。
【0012】
このため、直線が連続していない場合でも、安定して直線の検出ができ、ノイズに対しても有効であるが、一方、このハフ変換処理は三角関数を含む演算であるため、演算処理量をさらに増加させることになる。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、演算量を低減させることができ、かつ、誤検出を防止することができる白線検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る白線検出装置は、撮像画像を俯瞰画像に変換し、この俯瞰画像を複数の区画に区分して表示部に表示する。そして、複数の区画のうち一部の区画を選択する操作が選択操作部に入力されると、選択された区画に対応した画像部分が切り出され、この画像部分について白線の認識を行う。
【0015】
さらに、この認識された白線に基づいて、パターンマッチングにより画像全体について白線の検出を行い、検出された白線を表示部に出力する。
【0016】
すなわち、本発明に係る白線検出装置は、車両に搭載され、前記車両の周辺を撮像するカメラと、撮像された画像に対して俯瞰処理を行う俯瞰処理部と、前記俯瞰処理された画像を複数の区画に区分して表示する表示部と、前記俯瞰処理された画像に対して画像処理を行う画像処理部と、前記複数の区画のうち一部の区画を選択する操作が入力される選択入力部と、前記選択入力部に入力された操作により選択された区画に対応した前記画像処理が行われた画像部分の切出しを行う切出し部と、前記画像部分について白線の認識を行い、認識された前記白線とのパターンマッチングにより前記画像処理された画像全体から白線を検出する白線検出部と、検出された前記画像全体における白線を前記表示部に表示させる検出白線出力部と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
ここで、複数の区画のうち一部の区画を選択する、とは、画像全体の中から白線の一部を含む区画を乗員の判断により選択することを意味する。
【0018】
また、選択された区画に対応した画像部分について行う白線の認識とは、例えば、上述のハフ変換処理を用いることにより行われる。
【0019】
このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、選択された区画に対応した画像部分に対してのみハフ変換処理等による白線の認識を行ない、画像全体に対する白線の検出はパターンマッチングにより行う。
【0020】
このため、画像全体に対してハフ変換処理等を行う場合と比較して演算量を大幅に低減させることができる。
【0021】
さらに、白線認識の対象となる一部の区画を選択することができるように構成されているため、誤検出の要因となるノイズ等が多く含まれている区画を白線認識の対象から外すことにより、誤検出を防止することができる。
【0022】
そして、本発明に係る白線検出装置において、前記白線検出部は、前記画象部分における白線を認識する白線認識部と、認識された前記白線に基づいて前記白線を含む第1テンプレートを作成するテンプレート作成部と、前記画像処理が行われた画像全体について前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出を行うテンプレートマッチング部と、を備えている構成とすることが好ましい。
【0023】
このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、画像全体に対して行う白線の検出は、テンプレートに基づくマッチングにより行うため、白線検出に必要な演算量をより低減させることができ、かつ、誤検出を防止することができる。
【0024】
また、本発明に係る白線検出装置において、前記テンプレート作成部は、前記第1テンプレートと前記第1テンプレートに表された白線に対して直交する傾きをもつ白線を含む第2テンプレートとを作成し、前記テンプレートマッチング部は、前記画像処理が行われた画像全体に対して、前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出および前記第2テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出を行うような構成とすることが好ましい。
【0025】
このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、選択された区画に含まれる白線に対して平行な白線だけでなく、直交する白線をも画像全体から検出することができる。
【0026】
特に、撮像された画像は俯瞰処理されるため、互いに直交する白線が引かれている路面を撮像した場合には、白線検出の対象となる画像全体においても白線が直交していることになる。
【0027】
このため、駐車エリアのように互いに直交する白線が存在する場合に、選択された区画に含まれる白線が互いに直交する白線のうちいずれか一方であっても、直交する白線の双方の検出が可能になる。
【0028】
さらに、本発明に係る白線検出装置において、前記白線検出部は、前記テンプレートに表された白線が有する傾きをわずかに変更し、前記傾きの変更前のテンプレートを前記傾きの変更後のテンプレートに更新する更新部を備え、前記更新部は、前記テンプレートマッチング部による白線の検出において、前記画像処理が行われた画像全体から前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線が検出されない場合には、前記第1テンプレートに表された白線の傾きの変更および更新を行ない、前記テンプレートマッチング部は、変更および更新が行われた後の第1テンプレートに基づき、再び白線の検出を行うような構成とすることが好ましい。
【0029】
また、本発明に係る白線検出装置において、前記更新部は、前記テンプレートマッチング部による白線の検出において、前記画像処理が行われた画像全体から前記第2テンプレートに表された白線に対して平行な白線が検出されない場合には、前記第2テンプレートに表された白線の傾きの変更および更新を行ない、前記テンプレートマッチング部は、変更および更新が行われた後の第2テンプレートに基づき、再び白線の検出を行うような構成とすることが好ましい。
【0030】
ここで、前記テンプレートとは、第1テンプレートのみがテンプレート作成部により作成される場合には第1テンプレートのことを意味し、第1テンプレートおよび第2テンプレートが作成される場合には第1テンプレートおよび第2テンプレートのことを意味する。
【0031】
このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、画面全体の中に存在する白線の傾きとテンプレート作成部により作成されたテンプレートに表された白線の傾きとがわずかに異なる場合であっても対応することができるため、白線の太さによる影響等を防ぐことができる。
【0032】
また、本発明に係る白線検出装置において、前記画像処理部は、画像の解像度を低下させる解像度低下部と、画像に対して2値化処理および細線化処理を行う前処理部と、を有している構成とすることが好ましい。
【0033】
このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、解像度の低下、2値化処理および細線化処理が行われた後の画像に対してハフ変換処理等による白線認識を行う。
【0034】
このため、白線がより認識しやすくなり誤検出を防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る白線認識装置によれば、演算量を低減させることができ、かつ、誤認識を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例の白線検出装置100の構成を示すブロック構成図である。
【図2】白線検出装置100の白線検出の処理手順の流れを説明するフローチャートである。
【図3】図1のカメラ1により撮像された撮像画像50を例示した図である。
【図4】図3の撮像画像50に対して歪み補正処理を行った画像51を示した図である。
【図5】図4の画像51に対して俯瞰処理を行った俯瞰画像52を示した図である。
【図6】図5の俯瞰画像52に対して解像度を低下させる処理を行った画像53を示す図である。
【図7】図6の画像53に対して2値化処理を行った画像54を示す図である。
【図8】図7の画像54に対して細線化処理を行った画像55を示す図である。
【図9】図5の俯瞰画像52が複数の区画に区分された状態を示す図である。
【図10】図8の画像55から区画K1を切り出した図である。
【図11】図10の白線の一部R1から得られた直線R1’を説明する図である。
【図12】第1テンプレート20を例示した図である。
【図13】第2テンプレート21を例示した図である。
【図14】図12の第1テンプレート20に基づき、画像全体から白線が検出された状態を示す図である。
【図15】図13の第2テンプレート21に基づき、画像全体から白線が検出された状態を示す図である。
【図16】検出された白線が表示部3に表示された画像56を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の最良の実施例としての白線認識装置100について説明する。
【0038】
図1は、本実施例の白線検出装置100の構成を示すブロック構成図である。
【0039】
図1に示すように、白線検出装置100には、車両に搭載されたカメラ1、カメラ1により撮像された画像に対して歪み補正処理や俯瞰処理を行う俯瞰処理部2、俯瞰処理された画像を複数の区画に区分して表示する表示部3、および、表示部3に表示された複数の区画のうち一部の区画を選択する操作が入力される選択入力部13が設けられている。
【0040】
また、俯瞰処理された画像に対してさらに種々の画像処理を行う画像処理部4が設けられ、この画像処理部4は、解像度低下の処理を行う解像度低下部5と、2値化処理および細線化処理を行う前処理部6を有している。
【0041】
そして、白線検出装置100は、画像処理部4による画像処理が行われた後の画像であって、選択入力部13に入力された操作により選択された区画に対応した画像部分を切り出す切出し部14を備えている。
【0042】
さらに、切出し部14により切り出された画像部分について白線の認識を行う白線認識部9と、白線認識部9により認識された白線に基づきテンプレートを作成するテンプレート作成部10と、画像処理部4により画像処理が行われた画像全体に対してテンプレートとのマッチングにより白線の検出を行うテンプレートマッチング部11とを有している。
【0043】
さらに、テンプレート作成部10により作成されたテンプレートに表された白線が有する傾きをわずかに変更し、変更前のテンプレートから変更後のテンプレートに更新を行う更新部12が設けられている。
【0044】
これらの、白線認識部9、テンプレート作成部10、テンプレートマッチング部11、および更新部12を合わせて白線検出部8という。
【0045】
また、白線検出装置100は、白線検出部8により検出された白線を表示部3に表示させる検出白線出力部7を有している。
【0046】
次に、白線検出装置100による白線検出を行う処理手順について説明する。
【0047】
図2は、本実施例の白線検出装置100の白線検出の処理手順の流れを説明するフローチャートである。
【0048】
また、図3は、図1のカメラ1により撮像された撮像画像50を例示した図であり、図4は、図3の撮像画像50に対して歪み補正処理を行った画像51を示した図であり、図5は、図4の画像51に対して俯瞰処理を行った俯瞰画像52を示した図である。
【0049】
まず、車両周辺の路面上の様子がカメラ1により撮像され、この撮像画像50が俯瞰処理部2に出力されて歪み補正処理が行われる(ステップS1)。
【0050】
このカメラ1は、車両周囲確認のために広い撮影範囲を確保する必要があり、広角レンズ等が用いられているため、図3に示すように、撮像画像50には歪みが含まれていることが多い。このため、俯瞰処理部2では、撮像画像50に対して歪み補正処理を行い、図4に示すように、歪みが補正された画像51を取得する。
【0051】
さらに、図4の画像51は、カメラ1が取り付けられた位置から斜め下方に見下ろした画像であるため、車両と注目物(例えば、白線)との距離を正確に把握できないことがある。このため、俯瞰処理部2では、撮影範囲を真上から見下ろしたような映像に視点変換する俯瞰処理を行い、図5に示すような俯瞰画像52を取得する(ステップS2)。
【0052】
図6は、図5の俯瞰画像52に対して解像度を低下させる処理を行った画像53を示す図であり、図7は、図6の画像53に対して2値化処理を行った画像54を示す図であり、図8は、図7の画像54に対して細線化処理を行った画像55を示す図である。
【0053】
図5に示す俯瞰画像52は、画像処理部4に設けられている解像度低下部5に出力され、解像度低下処理が行われる(ステップS3)。例えば、図5に示す俯瞰画像52が横720画素、縦480画素である場合、この俯瞰画像52を横180画素、縦120画素へ解像度低下処理を行ない、図6に示すような画像53を取得する。
【0054】
さらに、図6に示す画像53は前処理部6に出力され、2値化処理が行われて図7に示すような画像54を取得し、そして、細線化処理が行われて図8に示すような画像55を取得する(ステップS4)。
【0055】
また、図9は、図5の俯瞰画像52を複数の区画に区分した図である。図9に示すように、ステップS2において取得した俯瞰画像52は、区分線により複数の区画に区分されて表示部3に表示される(ステップS5)。
【0056】
そして、これらの複数の区画のうち白線の一部が含まれている区画を乗員に選択させるため、選択操作の入力待ちとなる(ステップS6)。この複数の区画には、白線の一部が含まれている区画や汚れ等のノイズが含まれている区画等があるが、このとき行われる区画の選択は、白線の一部が含まれており、さらに、ノイズ等が少ない区画を乗員の判断により行うことが好ましく、例えば、図9に示すような区画K1が選択される(以下、区画K1を選択したものとして説明する)。
【0057】
なお、この選択入力部13への入力方法としては、例えば、表示部3の表面がタッチパネルであり、表示部3に表示される区画を直接指で押したり、白線をなぞる等の種々の方法を用いることが可能である。
【0058】
図10は、図8の画像55から、図9の区画K1を切り出した図であり、図11は、図10の白線の一部R1から得られた直線R1’を説明する図である。
【0059】
ステップS6において区画K1の選択の操作の入力が行われると、入力情報と画像処理部4において画像処理が行われた後の画像55の情報とが切出し部14に出力されて、図10に示すように、選択された区画K1が切り出される(ステップS7)。
【0060】
このようにして切り出された画像は、白線認識部9に出力され、この区画K1について白線認識手法であるハフ変換処理により白線の認識が行われる(ステップS8)。
【0061】
このハフ変換処理では、白線認識の対象となる画像に含まれている直線の式を求めることができるため、区画K1に含まれる白線の一部R1が認識されて、白線の一部R1についての直線の式が得られる。
【0062】
この式で表される直線を図示すると、図11に示すように、白線の一部R1と比べてかすれ等がなく白線の一部R1を延長させた直線に相当する直線R1’のようになる。
【0063】
図12は、図11の直線R1’に基づいて作成された第1テンプレート20を例示した図であり、図13は、第2テンプレート21を例示した図である。
【0064】
そして、図14は、図12の第1テンプレート20に基づき、画像全体から白線が検出された状態を示す図であり、図15は、図13の第2テンプレート21に基づき、画像全体から白線が検出された状態を示す図であり、図16は、検出された白線が表示部3に表示された画像56を示す図である。
【0065】
図12に示すように、ステップS8において得られた直線R1’に基づき、この直線R1’に平行な白線R2を含む第1テンプレート20がテンプレート作成部10により作成される(ステップS9)。
【0066】
また、テンプレート作成部10では、図13に示すように、第1テンプレート20に表された白線R2に対して直交する傾きをもつ白線R3を含む第2テンプレート21が作成される(ステップS10)。
【0067】
さらに、これら第1テンプレート20および第2テンプレート21がテンプレートマッチング部11へ出力される(ステップS11)。
【0068】
そして、テンプレートマッチング部11では、画像処理部4において画像処理が行われた後の画像55に対して第1テンプレート20とのテンプレートマッチングが行われる。このテンプレートマッチングは、画像55に対して第1テンプレート20を当てはめて、第1テンプレート20に表された白線R2に平行な白線を探索していく。その結果、図14に示すように、第1テンプレート20に表された白線R2に平行な白線が、画像全体から検出される(ステップS12)。
【0069】
ここで、図14に示すように白線が検出された場合にはステップS15に移行するが、一方、白線R2に平行な白線が画像全体(画像55)に存在しないことにより白線の検出が行われない場合にはステップS14に移行する(ステップS13)。
【0070】
このように白線の検出が行われない場合、傾きがわずかに異なるために検出されなかった白線を洩れなく検出するために、白線検出部8に設けられた更新部12において白線R2の角度がわずかに変更され、この変更が行われた後のテンプレートを新たな第1テンプレート20とする更新が行われる(ステップS14)。
【0071】
そして、テンプレートマッチング部11では、この新たな第1テンプレート20に基づき、再び画像全体に対する白線の検出を行ない(ステップS12)、白線の検出が行われるまでこのサイクルを繰り返す。
【0072】
また、第2テンプレート21についても上記と同様に、テンプレートマッチング部11が第2テンプレート21に基づき画像全体に対する白線の検出を行なう(ステップS15)。
【0073】
そして、図15に示すように白線が検出された場合にはステップS18に移行するが、一方、白線R3に平行する白線の検出が行われない場合にはステップS17に移行する(ステップS16)。
【0074】
ステップ17に移行した場合には、更新部12において白線R3の角度がわずかに変更され、この変更が行われた後のテンプレートを新たな第2テンプレート21とする更新が行なわれる(ステップS17)。さらに、再びステップS15において白線の検出が行われ、白線の検出が行われるまで、このサイクルを繰り返す。
【0075】
このようにして検出された図14、図15に示すような白線は、検出白線出力部7により出力され(ステップS18)、図16に示すように、図14に示す白線と図15に示す白線とが組み合わされた画像56が表示部3に表示される。
【0076】
なお、白線検出処理を再度行う場合には、矢印Aのように戻り、再びステップS1〜S18を繰り返す。一方、白線検出処理を継続しない場合には終了する(ステップS19)。
【0077】
このように構成された本実施例に係る白線検出装置によれば、選択された区画K1に対してのみハフ変換処理による白線の認識を行なうため、演算量を大幅に低減させることができる。
【0078】
さらに、区画K1は選択により決定されるため、誤検出の要因となるノイズ等が多く含まれている区画を白線認識の対象から外すことにより、誤検出を防止することができる。
【0079】
また、画像全体に対して行う白線の検出は、第1テンプレート20および第2テンプレート21に基づくテンプレートマッチングにより行うため、白線検出に必要な演算量をより低減させることができ、かつ、誤検出を防止することができる。
【0080】
そして、このように構成された本実施例に係る白線検出装置によれば、白線の一部R1が含まれる区画K1を選択するだけで、この白線の一部R1に対して平行な白線および白線の一部R1に対して直交する白線を画像全体から検出できるため、駐車エリアのように互いに直交する白線が存在する場合には特に有効である。
【0081】
また、このように構成された本実施例に係る白線検出装置によれば、画面全体の中に存在する白線の傾きとテンプレート作成部10により作成された第1テンプレートおよび第2テンプレートに表された白線R2、R3の傾きとがわずかに異なる場合であっても対応することができるため、白線の太さによる影響等を防ぐことができる。
【0082】
さらに、このように構成された本発明に係る白線検出装置によれば、解像度の低下、2値化処理および細線化処理が行われた後の画像に対してハフ変換処理等による白線認識を行うため、白線がより認識しやすくなり誤検出を防止することができ、また、細線化により白線の太さによる影響等をより防ぐことができる。
【0083】
なお、本実施例に係る白線検出装置100は、画像処理部4により解像度低下処理、2値化処理、細線化処理が行われる。そして、区画K1について白線の認識(ステップS8)は、これらの画像処理が行われた後の画像に対して行われ、さらに、画像全体についての白線の検出(ステップS13、S16)も、これらの画像処理が行われた後の画像(画像55)に対して行われる。
【0084】
しかし、本発明に係る白線検出装置は、このような形態に限定されるものではなく、例えば、区画の選択が行われた後に、この選択された区画に対してのみこれらの画像処理を行うような構成を採用することもできる。
【0085】
このような構成によれば、画像処理を行う領域が限定されるため、演算量をさらに低減させることができる。なお、このような構成においては、画像全体についての白線の検出は、これらの画像処理がされていない俯瞰画像に対して行われることになる。
【0086】
また、本実施例に係る白線検出装置100は、画像全体に対して第1テンプレート20および第2テンプレート21を当てはめて探索することにより、画像全体に含まれる白線を検出している。
【0087】
しかし、本発明に係る白線検出装置は、このような形態に限定されるものではない。例えば、駐車場等の特定の状況下では、白線が引かれているエリアをある程度推定することができる。このため、このような場合には、推定されるエリアについてのみ探索を行うことができるような構成を採用することもできる。
【0088】
このように、白線の探索エリアを限定することにより、演算量をさらに低減させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 カメラ
2 俯瞰処理部
3 表示部
4 画像処理部
5 解像度低下部
6 前処理部
7 検出白線出力部
8 白線検出部
9 白線認識部
10 テンプレート作成部
11 テンプレートマッチング部
12 更新部
13 選択入力部
14 切出し部
100 白線検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の周辺を撮像するカメラと、
撮像された画像に対して俯瞰処理を行う俯瞰処理部と、
前記俯瞰処理された画像を複数の区画に区分して表示する表示部と、
前記俯瞰処理された画像に対して画像処理を行う画像処理部と、
前記複数の区画のうち一部の区画を選択する操作が入力される選択入力部と、
前記選択入力部に入力された操作により選択された区画に対応した前記画像処理が行われた画像部分の切出しを行う切出し部と、
前記画像部分について白線の認識を行い、認識された前記白線とのパターンマッチングにより前記画像処理された画像全体から白線を検出する白線検出部と、
検出された前記画像全体における白線を前記表示部に表示させる検出白線出力部と、
を備えていることを特徴とする白線検出装置。
【請求項2】
前記白線検出部は、前記画象部分における白線を認識する白線認識部と、認識された前記白線に基づいて前記白線を含む第1テンプレートを作成するテンプレート作成部と、前記画像処理が行われた画像全体について前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出を行うテンプレートマッチング部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の白線検出装置。
【請求項3】
前記テンプレート作成部は、前記第1テンプレートと前記第1テンプレートに表された白線に対して直交する傾きをもつ白線を含む第2テンプレートとを作成し、
前記テンプレートマッチング部は、前記画像処理が行われた画像全体に対して、前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出および前記第2テンプレートに表された白線に対して平行な白線の検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の白線検出装置。
【請求項4】
前記白線検出部は、前記テンプレートに表された白線が有する傾きをわずかに変更し、前記傾きの変更前のテンプレートを前記傾きの変更後のテンプレートに更新する更新部を備え、
前記更新部は、前記テンプレートマッチング部による白線の検出において、前記画像処理が行われた画像全体から前記第1テンプレートに表された白線に対して平行な白線が検出されない場合には、前記第1テンプレートに表された白線の傾きの変更および更新を行ない、
前記テンプレートマッチング部は、変更および更新が行われた後の第1テンプレートに基づき、再び白線の検出を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の白線検出装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記テンプレートマッチング部による白線の検出において、前記画像処理が行われた画像全体から前記第2テンプレートに表された白線に対して平行な白線が検出されない場合には、前記第2テンプレートに表された白線の傾きの変更および更新を行ない、
前記テンプレートマッチング部は、変更および更新が行われた後の第2テンプレートに基づき、再び白線の検出を行うことを特徴とする請求項4に記載の白線検出装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、画像の解像度を低下させる解像度低下部と、画像に対して2値化処理および細線化処理を行う前処理部と、を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の白線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−165299(P2010−165299A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9032(P2009−9032)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】