説明

白色インクを含む複数色のインクを用いた印刷

【課題】カラー画像および白色画像の印刷を行う際に白色画像の色を目標色に容易に近似させる。
【解決手段】印刷装置は、カラー画像を形成するためインクを噴射する第1のノズル群と調色白画像を形成するため白色と白色以外の少なくとも1色のインクを噴射する第2のノズル群とを有するヘッドと、ヘッドを制御して印刷媒体上にカラー画像と調色白画像を形成する制御部と、調色白画像の色の目標として複数の特定白色インクの1つの指定を取得する指定情報取得部と、白画像の階調値を示す白画像データを取得する画像データ取得部と、複数の特定白色インクについて予め設定された、白画像の階調値とインク色毎の階調値との対応関係を示す情報を記憶する記憶部と、を備える。制御部は、指定された特定白色インクの対応関係情報に基づき白画像データをインク色毎の階調値データに変換し、インク色毎の階調値データを用いて調色白画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色インクを含む複数色のインクを用いて印刷を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シアン、マゼンタ、イエローといったカラーインクの他に、白色(ホワイト)インクを用いて印刷を行う印刷装置が知られている(例えば特許文献1参照)。白色インクを含む複数色のインクを用いて印刷を行う印刷装置は、例えば、印刷媒体の地色に影響されずにカラー画像を再現するために、白色インクを用いて印刷媒体の下地処理や地色に応じた補色処理を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−282205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、同じ「白色インク」と呼ばれるインクであっても、例えばグラビア印刷やフレキソ印刷といった印刷機で用いられる白インク(白インキ)の色と、インクジェットプリンターといったプリンターで用いられる白インクの色とは、互いに相違する場合がある。また、印刷機で用いられる白インクであっても、製造者や印刷機の機種毎に色が相違する場合がある。従って、例えば、グラビア印刷機に用いられる特定の白色インクによって形成された白色画像をインクジェットプリンターで再現することは容易ではなかった。
【0005】
なお、このような問題は、インクジェットプリンターを用いる場合に限らず、白色インクを含む複数色のインクを用いてカラー画像および白色画像の印刷を行う場合に共通の問題であった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、白色を含む複数色のインクを用いてカラー画像および白色画像の印刷を行う際に、白色画像の色を目標色に容易に近似させることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]白色を含む複数色のインクを用いて印刷を行う印刷装置であって、
カラー画像を印刷媒体上に形成するためにインクを噴射する第1のノズル群と、調整された白色である調色白の画像を前記印刷媒体上に形成するために白色と白色以外の少なくとも1色とのインクを噴射する第2のノズル群と、を有するヘッドと、
前記ヘッドを制御して、前記印刷媒体上に前記カラー画像と前記調色白の画像とを形成する制御部と、
前記調色白の画像の色の目標として複数の特定白色インクの内の1つを指定する指定情報を取得する指定情報取得部と、
白画像の階調値を示す白画像データを取得する画像データ取得部と、
前記複数の特定白色インクのそれぞれについて予め設定された、前記白画像の階調値と前記印刷装置に用いられるインク色毎の階調値との対応関係を示す対応関係情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記指定情報により指定された前記特定白色インクについての前記対応関係情報に基づき前記白画像データを前記インク色毎の階調値を表すデータに変換し、前記インク色毎の階調値を表すデータを用いて前記調色白の画像を形成する、印刷装置。
【0009】
この印刷装置では、白画像の階調値と印刷装置に用いられるインク色毎の階調値との対応関係を示す対応関係情報が予め設定されて記憶されており、調色白の画像の色の目標として指定された1つの特定白色インクについての対応関係情報に基づき、白画像の階調値を示す白画像データがインク色毎の階調値を表すデータに変換され、インク色毎の階調値を表すデータを用いて調色白の画像が形成されるため、白色画像の色を目標色に容易に近似させることができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の印刷装置であって、
前記対応関係情報は、少なくとも1つの前記特定白色インクに関し、前記白画像の階調値の全範囲が前記白色インクの最大階調値を含まない一部の範囲に対応付けられるように、設定されている、印刷装置。
【0011】
この印刷装置では、特定白色インクの種類に応じて、白色インクの階調値を柔軟に設定することにより、白色画像の色を目標色により近似させることができる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の印刷装置であって、
前記複数の特定白色インクは、前記印刷装置に用いられないインクである、印刷装置。
【0013】
この印刷装置では、白色画像の色を、目標色としての印刷装置に用いられない特定白色インクの色に容易に近似させることができる。
【0014】
[適用例4]適用例3に記載の印刷装置であって、
前記指定情報取得部は、前記指定情報として、前記特定白色インクの製造者と、前記特定白色インクが用いられる印刷機の製造者と、の少なくとも一方を特定する情報を取得する、印刷装置。
【0015】
この印刷装置では、目標色としての特定白色インクを容易に指定することができる。
【0016】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記指定情報は、前記カラー画像と前記調色白の画像との印刷順を示す印刷順指定を含み、
前記対応関係情報は、前記特定白色インクと前記印刷順との組み合わせ毎に設定された前記対応関係を示す、印刷装置。
【0017】
この印刷装置では、特定白色インクの種類と印刷順との組み合わせに応じて、白色インクの階調値を柔軟に設定することにより、白色画像の色を目標色により近似させることができる。
【0018】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、印刷中の少なくとも一部の期間において、前記第1のノズル群を用いた前記カラー画像の形成と、前記第2のノズル群を用いた前記調色白の画像の形成と、が並行して行われるように、前記ヘッドを制御する、印刷装置。
【0019】
この印刷装置では、白色を含む複数色のインクを用いてカラー画像および白色画像の印刷を並行して行う際に白色画像の色を目標色に容易に近似させることができる。
【0020】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記複数色のインクは、少なくとも1つの色相について淡色インクと濃色インクとの組み合わせを含み、
前記第2のノズル群は、前記濃色インクを噴射しない、印刷装置。
【0021】
この印刷装置では、白色画像の色を目標色に近似させつつ、調色白の画像における画質の低下(粒状感の増加)を抑制することができる。
【0022】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、印刷方法および装置、印刷制御方法および装置、印刷システム、これらの方法、装置またはシステムの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】PC200の構成を概略的に示す説明図である。
【図3】プリンター100の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】PC200の構成を機能的に示すブロック図である。
【図5】プリンター100の構成を機能的に示すブロック図である。
【図6】本実施例の印刷システム10における印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】印刷画像PIカラー画像データCdataおよび白画像データWIdataの一例を示す説明図である。
【図8】カラー画像と調色白画像との印刷順を示す説明図である。
【図9】プリンタードライバー300を実行するCPU210による処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】シミュレーションインク選択のためのウィンドウW1の一例を示す説明図である。
【図11】白画像用のインク色データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】インク情報テーブルIITの内容の一例を示す説明図である。
【図13】インク色データの生成およびハーフトーン処理の概要を概念的に示す説明図である。
【図14】カラー画像用のインク色分版処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】カラー画像用ルックアップテーブルLUTcの一例を部分的に示す説明図である。
【図16】ハーフトーン処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】コマンド作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】コマンド作成処理により作成されるコマンドの一例を示す説明図である。
【図19】インクコード表ICTの内容の一例を示す説明図である。
【図20】プリンター100による処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】ラスターバッファーおよびヘッドバッファーの詳細構成を示す説明図である。
【図22】プリンター100のプリントヘッド144の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
A−1.印刷システムの構成:
A−2.印刷処理:
B.変形例:
【0025】
A.実施例:
A−1.印刷システムの構成:
図1は、本発明の実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図である。本実施例の印刷システム10は、プリンター100と、パーソナルコンピューター(PC)200と、を備えている。プリンター100は、インクを噴射して印刷媒体(例えば印刷用紙や透明フィルム)上にインクドットを形成することにより画像を印刷するインクジェット式カラープリンターである。PC200は、プリンター100に印刷用データを供給すると共に、プリンター100による印刷動作を制御する印刷制御装置として機能する。プリンター100とPC200とは、有線または無線によって情報通信可能に接続されている。具体的には、本実施例では、プリンター100とPC200とは、USBケーブルによって互いに接続されている。
【0026】
本実施例のプリンター100は、シアン(C)と、マゼンタ(M)と、イエロー(Y)と、ブラック(K)と、ライトシアン(Lc)と、ライトマゼンタ(Lm)と、ホワイト(W)と、の合計7色のインクを用いて印刷を行うプリンターである。本実施例の印刷システム10は、印刷媒体としての透明フィルム上に、カラー画像と調色白画像とを並行して形成する印刷処理を実現する。カラー画像と調色白画像とが形成された透明フィルムは、例えば、グラビア印刷機で印刷される商品包装用フィルムのカラープルーフや商品見本(モックアップ)として使用される。
【0027】
なお、本明細書では、白(ホワイト)インクに他色のインクを混ぜて白色を調整することを「白調色」と呼ぶ。また、白調色により生成された白色(調整された白色)を「調色白」と呼び、調色白により構成される画像を「調色白画像」と呼ぶ。
【0028】
図2は、PC200の構成を概略的に示す説明図である。PC200は、CPU210と、ROM220と、RAM230と、USBインターフェース(USB I/F)240と、ネットワークインターフェース(N/W I/F)250と、ディスプレイインターフェース(ディスプレイ I/F)260と、シリアルインターフェース(シリアル I/F)270と、ハードディスクドライブ(HDD)280と、CDドライブ290と、を含んでいる。PC200の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0029】
PC200のUSBインターフェース240には、プリンター100との接続のためのUSBケーブルが接続されている。ディスプレイインターフェース260には、表示装置としてのモニターMONが接続されている。シリアルインターフェース270には、入力装置としてのキーボードKBおよびマウスMOUが接続されている。なお、図2に示したPC200の構成はあくまで一例であり、PC200の構成要素の一部を省略したり、PC200にさらなる構成要素を付加したりする変形が可能である。
【0030】
図3は、プリンター100の構成を概略的に示す説明図である。プリンター100は、CPU110と、ROM120と、RAM130と、ヘッドコントローラー140と、プリントヘッド144と、キャリッジコントローラー(CRコントローラー)150と、キャリッジモーター(CRモーター)152と、印刷媒体送りコントローラー(PFコントローラー)160と、印刷媒体送りモーター(PFモーター)162と、USBインターフェース(USB I/F)170と、ネットワークインターフェース(N/W I/F)180と、を含んでいる。プリンター100の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0031】
プリンター100のCPU110は、ROM120に格納されているコンピュータープログラムを実行することにより、プリンター100全体の動作を制御する制御部として機能する。プリンター100のプリントヘッド144は、図示しないキャリッジに搭載されている。キャリッジコントローラー150は、キャリッジモーター152を制御して、キャリッジを所定の方向に往復移動させる。これにより、プリントヘッド144が印刷媒体の所定の方向(主走査方向)に沿って往復移動する主走査が実現される。また、印刷媒体送りコントローラー160は、印刷媒体送りモーター162を制御して、印刷媒体を主走査方向と直交する方向(副走査方向)に搬送する副走査を行う。プリントヘッド144は、インクを噴射するノズル群(図22参照)を有しており、ヘッドコントローラー140は、主走査および副走査に連動してプリントヘッド144によるノズル群からのインク噴射を制御する。これにより、印刷媒体上への画像の形成(画像の印刷)が実現される。
【0032】
図4は、PC200の構成を機能的に示すブロック図である。PC200のハードディスクドライブ280(図2)には、CPU210により実行されるコンピュータープログラムとして、アプリケーションプログラムAPと、プリンタードライバー300と、が格納されている。アプリケーションプログラムAPは、印刷媒体としての透明フィルム上への印刷の対象となる画像(以下、「印刷画像PI」とも呼ぶ)の設定、生成、編集等を行うためのプログラムである。CPU210は、アプリケーションプログラムAPを実行することにより、印刷画像PIの設定、生成、編集を実現する。
【0033】
また、アプリケーションプログラムAPを実行するCPU210は、ユーザーによる印刷実行指示に応じて、カラー画像データCdataと白画像データWIdataと印刷順指定情報SSとをプリンタードライバー300に対して出力する。これら各データの内容は、「A−2.印刷処理」において詳述する。
【0034】
プリンタードライバー300(図4)は、プリンター100(図1)を制御して印刷画像PIの印刷を行うためのプログラムである。CPU210(図2)は、プリンタードライバー300を実行することにより、プリンター100による印刷画像PIの印刷制御を実現する。
【0035】
図4に示すように、プリンタードライバー300は、カラー画像用インク色分版処理モジュール310と、ハーフトーン処理モジュール320と、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330と、コマンド作成モジュール370と、を含んでいる。シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330は、UI制御モジュール332を含んでいる。また、PC200のHDD280(図2)には、インク情報テーブルIITと、カラー画像用ルックアップテーブル(LUT)LUTcと、ハーフトーン(HT)リソースHTと、インクコード表ICTと、が格納されており、プリンタードライバー300および各モジュールは、これらの情報を参照して処理を実行する。各モジュールの機能や各情報の内容は、「A−2.印刷処理」において詳述する。
【0036】
図5は、プリンター100の構成を機能的に示すブロック図である。プリンター100のROM120(図3)には、CPU110により実行されるコンピュータープログラムとして、コマンド処理モジュール112が格納されている。後述するように、CPU110は、コマンド処理モジュール112を実行することにより、PC200から受信したコマンドの処理を実現する。また、プリンター100のRAM130(図3)は、ラスターバッファー132を有している。ラスターバッファー132は、カラー画像用ラスターバッファー132cと、調色白画像用ラスターバッファー132wと、の2つの領域を含んでいる。また、プリンター100のヘッドコントローラー140(図3)は、ヘッドバッファー142を有している。ヘッドバッファー142は、上流用ヘッドバッファー142uと、下流用ヘッドバッファー142lと、を含んでいる。これらのプログラムやバッファーの機能および詳細構成は、「A−2.印刷処理」において詳述する。
【0037】
A−2.印刷処理:
図6は、本実施例の印刷システム10における印刷処理の流れを示すフローチャートである。本実施例の印刷処理は、印刷媒体としての透明フィルム上に、カラー画像と調色白画像とを並行して形成し、カラー画像と調色白画像とが形成された印刷物を作成する処理である。
【0038】
なお、本実施例の印刷処理は、例えば、グラビア印刷機やフレキソ印刷機で印刷される商品包装用フィルムのカラープルーフや商品見本の作成のために実行されるものである。グラビア印刷機やフレキソ印刷機で使用される白色インク(白色インキ)は、プリンター100で使用される白色インクとは異なる。そのため、本実施例の印刷処理では、形成される白画像の色が目標色としての印刷機で用いられる特定の白色インクの色と近似するように、白画像の調色が実行される。以下では、調色された白画像の色の目標としての白色インクを「シミュレーションインク」とも呼ぶものとする。
【0039】
ステップS110(図6)では、アプリケーションプログラムAP(図4)を実行するCPU210(図2)が、ユーザーによる印刷実行指示を受領する。CPU210は、印刷実行指示の受領に応じて、カラー画像データCdataと白画像データWIdataと印刷順指定情報SSとをプリンタードライバー300に対して出力する(図4)。カラー画像データCdataは、印刷画像PIにおけるカラー画像を特定するデータであり、白画像データWIdataは、印刷画像PIにおける白画像を特定するデータであり、印刷順指定情報SSは、カラー画像と調色白画像とが重なる部分におけるカラー画像と調色白画像との印刷順(後述)を特定するデータである。
【0040】
図7は、印刷画像PI、カラー画像データCdataおよび白画像データWIdataの一例を示す説明図である。図7(a)は、印刷画像PIの一例を示している。印刷画像PIは、カラー画像Ic(図中の「ABC」の画像)を含んでいる。また、印刷画像PIは、白領域Awと非白領域Anとにより構成されている。白領域Awは調色白画像を形成する領域であり、非白領域Anは調色白画像を形成しない領域である。この例ではカラー画像Icとして文字の例を記載しているが、カラー画像Icは写真やイラストなどの画像であってもよい。
【0041】
図7(b)は、カラー画像データCdataを概念的に示している。本実施例では、カラー画像データCdataは、印刷画像PIのカラー画像Icのみに注目した場合における印刷画像PIの各画素の色(階調値)をそれぞれ8ビットのC値、M値、Y値、K値で特定するデータである。カラー画像データCdataは、印刷画像PIのカラー画像Icに対応する画素については、当該カラー画像Icの色を特定するデータとなり、残りの画素については、カラー画像を形成しないことを示すデータ(例えばC,M,Y,K=0)となる。
【0042】
図7(c)は、白画像データWIdataを概念的に示している。本実施例では、白画像データWIdataは、印刷画像PIからカラー画像Icを除外した場合における印刷画像PIの各画素の色(階調値)を8ビットのW値で特定するデータである。白画像データWIdataは、印刷画像PIの白領域Awに対応する画素については、調色白画像の階調値を示すデータとなり、残りの画素(非白領域Anに対応する画素)については、調色白画像を形成しないことを示すデータ(例えばW=0)となる。
【0043】
図8は、カラー画像と調色白画像との印刷順を示す説明図である。図8(a)は、印刷媒体PMとしての透明フィルム上に調色白画像Iwを形成し、調色白画像Iwの上にカラー画像Icを形成する印刷順を示している。本明細書では、この印刷順を、「白−カラー印刷」または「W−C印刷」と呼ぶ。図8(a)に示したW−C印刷では、観察者は、印刷媒体PMの画像が形成される側(すなわち表側、図の上方)から印刷物を観察することとなる(図中の矢印参照)。そのため、「白−カラー印刷」を「表印刷」とも呼ぶ。
【0044】
図8(b)は、印刷媒体PMとしての透明フィルム上にカラー画像Icを形成し、カラー画像Icの上に調色白画像Iwを形成する印刷順を示している。本明細書では、この印刷順を、「カラー−白印刷」または「C−W印刷」と呼ぶ。図8(b)に示したC−W印刷では、観察者は、印刷媒体PMの画像が形成されない側(すなわち裏側、図の下方)から印刷物を観察することとなる(図中の矢印参照)。そのため、「カラー−白印刷」を「裏印刷」とも呼ぶ。
【0045】
ユーザーは、印刷物の使用態様に応じて、W−C印刷を行うかC−W印刷を行うかを選択する。アプリケーションプログラムAPを実行するCPU210は、ユーザーにより選択された印刷順を特定する印刷順指定情報SSを生成し、プリンタードライバー300に対して出力する(図4)。
【0046】
印刷処理(図6)のステップS120では、プリンタードライバー300(図4)を実行するCPU210による処理が実行される。図9は、プリンタードライバー300を実行するCPU210による処理の流れを示すフローチャートである。ステップS210では、CPU210が、アプリケーションプログラムAPから出力されたカラー画像データCdataと、白画像データWIdataと、印刷順指定情報SSと、を受信する(図4参照)。
【0047】
ステップS212(図9)では、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330(図4)が、シミュレーションインク選択処理を実行する。シミュレーションインク選択処理は、上述した調色白画像Iwの色の目標としてのシミュレーションインクを選択する処理である。
【0048】
シミュレーションインク選択処理では、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330のUI制御モジュール332(図4)が、シミュレーションインク選択のためのウィンドウW1をモニターMONに表示させる。図10は、シミュレーションインク選択のためのウィンドウW1の一例を示す説明図である。図10に示すように、ウィンドウW1には、シミュレーションインクの選択肢(例えば「A社の白インク」)を表示するシミュレーションインク選択欄が含まれており、ユーザーは、選択肢の中から1つのインクを選択する。これにより、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330は、シミュレーションインクを指定する指定情報を受領する。なお、シミュレーションインクは、グラビア印刷機等により用いられるインクであり、プリンター100によっては用いられないインクである。本実施例では、シミュレーションインクを、シミュレーションインクの製造者名か、シミュレーションインクが用いられる印刷機の製造者名により特定するものとしている。シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330は、本発明における指定情報取得部に相当し、シミュレーションインクの選択肢は、本発明における特定白色インクに相当する。
【0049】
なお、図10に示すウィンドウW1には、印刷順(W−C印刷またはC−W印刷)選択欄も含まれている。本実施例では、上述したように、アプリケーションプログラムAPからプリンタードライバー300に対して、印刷順を指定する印刷順指定情報SSが送信される(図4参照)。ウィンドウW1の印刷順選択欄は、印刷順指定情報SSにより指定された印刷順が選択された状態で表示される。また、ユーザーは、ウィンドウW1の印刷順選択欄において、印刷順の再選択を行うこともできる。
【0050】
プリンタードライバー300による処理(図9)におけるステップS220では、プリンタードライバー300が、白画像用のインク色データ生成処理を実行する。白画像用のインク色データ生成処理は、調色白画像Iwを形成するための各インク色の階調値(濃度値)を表すデータ(以下、「インク色データ」とも呼ぶ)を生成する処理である。図11は、白画像用のインク色データ生成処理の流れを示すフローチャートである。ステップS310では、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330が、インク情報テーブルIIT(図4)を参照して、シミュレーションインク選択処理(図9のステップS212)において指定されたシミュレーションインクの入出力特性を示す情報を取り出す。
【0051】
図12は、インク情報テーブルIITの内容の一例を示す説明図である。図12に示すように、インク情報テーブルIITは、シミュレーションインクの種類(例えば「A社白インク」や「B社白インク」)と印刷順(C−W印刷またはW−C印刷)との組み合わせのそれぞれについて、上記入出力特性を示す情報として、調色白画像Iwの色をシミュレーションインクの色と近似させるための各インク色の階調値を示すテーブルを含んでいる。具体的には、インク情報テーブルIITは、シミュレーションインクの種類と印刷順との組み合わせのそれぞれについての白画像データWIdataの各階調値と各インク色の階調値との対応関係を示すテーブルと、複数のテーブルのそれぞれの位置を示すポインタを示すテーブルと、を含んでいる。シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330は、ポインタを参照して、指定されたシミュレーションインクの種類と印刷順との組み合わせについてのテーブルを、上記入出力特性を示す情報として取り出す。なお、図12において、各シミュレーションインクのテーブルの横には、シミュレーションインクの色をCIE−LABのL*a*b*空間の内のa*b*平面上に表した図を示している。図12に示すように、例えば、「A社白インク」の色は、イエロー(Y)とライトマゼンタ(Lm)によって作られた赤みを帯びた白色であり、「B社白インク」の色は、ライトシアン(Lc)とライトマゼンタ(Lm)によって作られた青みを帯びた白色である。
【0052】
なお、図12に示すように、本実施例では、白調色(白インクに他色のインクを混ぜて白色を調整すること)に、白色を除く6色のインクの内、イエロー(Y)と、ライトシアン(Lc)と、ライトマゼンタ(Lm)と、の3色のインクが用いられ、シアン(C)とマゼンタ(M)のインクは使用されない。すなわち、白調色には、同一の色相についての淡色インクと濃色インクとの2種類のインクの内、濃色インクは使用されない。そのため、本実施例の印刷処理では、調色白画像の色を所望の色としつつ、調色白画像における画質の低下(粒状感の増加)を抑制することができる。白調色には、さらにブラック(K)のインクが用いられるとしてもよい。このようにすれば、調色白画像の明度の調整が可能となり、調色白画像の色の選択可能な範囲を拡張することができる。
【0053】
また、図12に示すように、インク情報テーブルIITでは、入力値としての白画像の階調値が0以上255以下の範囲の値であるのに対して、出力値としての各インク色の階調値は0以上4080以下の範囲の値となっている。例えば、「A社白インク」の「W−C印刷」用のテーブルでは、白画像の最高階調値(255)に対応する白(W)インクの階調値は、最高値(4080)となっている。また、このテーブルでは、白調色にライトマゼンタ(Lm)およびイエロー(Y)のインクが用いられており、白画像の最高階調値(255)に対応するライトマゼンタおよびイエローのインク階調値は、最高値(4080)より大幅に小さくなっている。図13は、インク色データの生成およびハーフトーン処理の概要を概念的に示す説明図である。図13には、あるインク色についての白画像の階調値とインク階調値(インク色データ)との対応関係のグラフ(入出力カーブ)の例を示している。図12および図13に示すように、調色白画像Iwの形成の際には、白インク以外のインクについては低階調値範囲のみが用いられることとなる。本実施例では、インク色の階調値の範囲(0〜4080)を白画像の階調値の範囲(0〜255)よりも広い範囲としているため、白画像の中間階調においても比較的精度の良い入出力カーブを設定することができ、所望の色により近い調色白画像Iwの形成を実現することができる。
【0054】
また、図12に示すように、白画像の各階調値と各インク色階調値との対応関係は、シミュレーションインクと印刷順との組み合わせ毎に、互いに独立して設定されている。例えば、「A社白インク」の「W−C印刷」用のテーブルと「B社白インク」の「W−C印刷」用のテーブルでは、白(W)インクの階調値の分布が互いに異なっている。また、「B社白インク」の「W−C印刷」用のテーブルでは、白画像の最高階調値(255)に対応する白(W)インクの階調値は、最高値(4080)より小さい値となっている。すなわち、このテーブルでは、白画像の階調値の全範囲が、白(W)インクの最大階調値を含まない一部の範囲に対応付けられている。このように、シミュレーションインクの種類および印刷順に応じて、各インク色の階調値を柔軟に設定することにより、所望の色により近い調色白画像Iwの形成を実現することができる。
【0055】
シミュレーションインクの入出力特性を示す情報の取り出し(図11のステップS310)の後、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330は、白画像データにおける1画素のデータを取り出す(ステップS320)。ステップS330では、シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330が、インク情報テーブルIITに示されるシミュレーションインクの入出力特性(図12)に基づき、取り出された1画素のデータ(階調値)を各インク色の階調値を表すインク色データに変換する。図11のステップS320からS330までの処理は、白画像データのすべての画素についての処理が終了するまで繰り返し実行される(ステップS350参照)。全画素についての処理が終了すると(ステップS350:Yes)、白画像用インク色データ生成処理は終了する。
【0056】
プリンタードライバー300による処理(図9)におけるステップS230では、プリンタードライバー300が、カラー画像用のインク色分版処理を実行する。図14は、カラー画像用のインク色分版処理の流れを示すフローチャートである。ステップS410では、カラー画像用インク色分版処理モジュール310(図4)が、カラー画像データにおける1画素のデータを取り出す。ステップS420では、カラー画像用インク色分版処理モジュール310が、取り出した1画素のデータ(CMYK値)をインク色別階調値(インク色データ)に変換するインク色分版処理を行う。上述したように、本実施例のプリンター100は、シアン(C)と、マゼンタ(M)と、イエロー(Y)と、ブラック(K)と、ライトシアン(Lc)と、ライトマゼンタ(Lm)と、ホワイト(W)と、の合計7色のインクを用いて印刷を行う。従って、インク色分版処理では、CMYK値が7つのインク色のそれぞれの階調値に変換される。インク色分版処理は、カラー画像用ルックアップテーブルLUTc(図4)を参照して実行される。
【0057】
図15は、カラー画像用ルックアップテーブルLUTcの一例を部分的に示す説明図である。図15に示すように、カラー画像用ルックアップテーブルLUTcには、予め設定されたCMYK値とインク色のそれぞれの階調値との対応関係が規定されている。なお、カラー画像用ルックアップテーブルLUTcにおいて、CMYKの各階調値は、0以上100以下の範囲の値として規定されており、インク色の階調値は、0以上4080以下の範囲の値として規定されている。カラー画像用インク色分版処理モジュール310は、カラー画像用ルックアップテーブルLUTcを参照して、CMYK値をインク色別階調値に変換する。なお、図15に示すように、本実施例では、カラー画像の形成に、白色を除く6色のインクが用いられ、白色インクは使用されない。
【0058】
図14のステップS410およびS420の処理は、カラー画像データのすべての画素についての処理が終了するまで繰り返し実行される(ステップS430参照)。全画素についての処理が終了すると(ステップS430:Yes)、カラー画像用のインク色分版処理は終了する。
【0059】
プリンタードライバー300による処理(図9)におけるステップS240では、プリンタードライバー300が、ハーフトーン処理を実行する。図16は、ハーフトーン処理の流れを示すフローチャートである。ハーフトーン処理は、ハーフトーン処理モジュール320により、白画像用とカラー画像用とのそれぞれについて実行される。まず、画像データにおける1画素のデータが取り出され(ステップS510)、インク色毎にディザパターンを参照して2値化処理が行われる(ステップS520)。2値化処理は、予め設定されたハーフトーンリソースHT(図4)を参照して実行される。2値化処理は、全インク色についての処理が終了するまで繰り返し実行される(ステップS530参照)。また、ステップS510からS530までの処理は、すべての画素についての処理が終了するまで繰り返し実行される(ステップS540参照)。
【0060】
図16に示したハーフトーン処理により、カラー画像Icおよび調色白画像Iwのそれぞれについて、画像を形成する際の各画素の各インク色のドットのON/OFFを規定するドットデータが生成される。
【0061】
プリンタードライバー300による処理(図9)におけるステップS250では、プリンタードライバー300のコマンド作成モジュール370(図4)が、コマンド作成処理を行う。図17は、コマンド作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
コマンド作成処理(図17)のステップS610では、コマンド作成モジュール370(図4)が、アプリケーションプログラムAPから出力された印刷順指定情報SSに基づき、印刷順指定コマンドを作成する。図18は、コマンド作成処理により作成されるコマンドの一例を示す説明図である。図18(a)には、印刷順指定コマンドの例を示している。図18(a)に示すように、印刷順指定コマンドは、コマンド先頭を表す識別子と、印刷順指定コマンドであることを示す識別子と、コマンド長(2バイト)と、印刷順指定と、を含んでいる。印刷順指定においては、例えば、値「0」がC−W印刷(先にカラー画像Icを形成し、カラー画像Icの上に調色白画像Iwを形成する印刷順)を表し、値「1」がW−C印刷(先に調色白画像Iwを形成し、調色白画像Iwの上にカラー画像Icを形成する印刷順)を表す。コマンド作成モジュール370は、印刷順指定情報SSを参照して印刷順を特定し、特定された印刷順を指定する印刷順指定コマンドを作成する。
【0063】
ステップS620(図17)では、コマンド作成モジュール370(図4)が、ハーフトーン処理モジュール320から受領したカラー画像用ドットデータと調色白画像用ドットデータとに基づき、垂直位置指定コマンドを作成する。垂直位置指定コマンドは、垂直方向(Y方向)に沿った画像の開始位置を指定するコマンドである。垂直位置指定コマンドは、全インクに共通のコマンドとして作成される。
【0064】
次に、コマンド作成モジュール370(図4)は、ステップS630(図17)からS670までの処理を通じて、カラー画像に対応するラスターコマンドを作成する。ステップS630では、コマンド作成モジュール370が、カラー画像用ドットデータに基づき、選択された1つのインク色についての水平位置指定コマンドを作成する。水平位置指定コマンドは、カラー画像形成の際の1つのインク色についての水平方向(X方向)に沿った画像の開始位置を指定するコマンドである。コマンド作成モジュール370は、1つのインク色についてのカラー画像用ドットデータを参照し、適当な画像開始位置を設定し、水平位置指定コマンドを作成する。
【0065】
ステップS640(図17)では、コマンド作成モジュール370(図4)が、カラー画像用ドットデータから、選択された1つのインク色について1ラスター分のドットデータを取り出す。ステップS650では、コマンド作成モジュール370が、インクコード表ICTを参照して、インクコードを検索する。図19は、インクコード表ICTの内容の一例を示す説明図である。図19に示すように、本実施例では、インク色のそれぞれに、固有のインク略称およびインクコードが割り当てられている。さらに、本実施例では、1つのインク色に対して、カラー画像用と調色白画像用との2種類の互いに異なるインク略称およびインクコードが割り当てられている。すなわち、インク略称およびインクコードは、複数のインク色のそれぞれと、カラー画像および調色白画像のそれぞれと、の組み合わせに対して一意に対応している。例えば、シアンについては、カラー画像用としてインク略称「C」とインクコード「01H」とが割り当てられ、調色白画像用としてインク略称「WC」とインクコード「81H」とが割り当てられている。同様に、白については、カラー画像用としてインク略称「IW」とインクコード「40H」とが割り当てられ、調色白画像用としてインク略称「W」とインクコード「C0H」とが割り当てられている。本ステップ(S650)では、コマンド作成モジュール370は、インクコード表ICTのカラー画像用のインクコードを検索する。
【0066】
ステップS660(図17)では、コマンド作成モジュール370(図4)が、取り出された1ラスター分のドットデータと検索されたインクコードとに基づき、ラスターコマンドを作成する。図18(b)には、ラスターコマンドの例を示している。図18(b)に示すように、ラスターコマンドは、コマンド先頭を表す識別子と、ラスターコマンドであることを示す識別子と、インクコードと、データ圧縮の有無を示す識別子と、1画素あたりのビット数と、X方向長さ(2バイト)と、Y方向長さ(2バイト)と、ラスターデータ(ドットデータ)と、を含んでいる。
【0067】
コマンド作成処理(図17)のステップS630からS660までの処理は、カラー画像の形成に用いられるインク色すべてについて終了するまで、繰り返し実行される。すなわち、まだ処理の対象となっていないインク色がある場合には(ステップS670:No)、処理対象となっていない1つのインク色が選択され、選択されたインク色についてステップS630からS660までの処理が実行される。全インクについての処理が終了すると(ステップS670:Yes)、1ラスターについて、カラー画像の形成に用いられるインク色のそれぞれに対応するラスターコマンドの作成が完了する。
【0068】
次に、コマンド作成モジュール370(図4)は、ステップS680(図17)からS720までの処理を通じて、調色白画像に対応するラスターコマンドを作成する。ステップS680では、コマンド作成モジュール370が、調色白画像用ドットデータに基づき、選択された1つのインク色についての水平位置指定コマンドを作成する。水平位置指定コマンドは、調色白画像形成の際の1つのインク色についての水平方向(X方向)に沿った画像の開始位置を指定するコマンドである。コマンド作成モジュール370は、1つのインク色についての調色白画像用ドットデータを参照し、適当な画像開始位置を設定し、水平位置指定コマンドを作成する。
【0069】
ステップS690(図17)では、コマンド作成モジュール370(図4)が、調色白画像用ドットデータから、選択された1つのインク色について1ラスター分のドットデータを取り出す。ステップS700では、コマンド作成モジュール370が、インクコード表ICTを参照して、インクコードを検索する。コマンド作成モジュール370は、インクコード表ICT(図19)の調色白画像用のインクコードを検索する。
【0070】
ステップS710(図17)では、コマンド作成モジュール370(図4)が、取り出された1ラスター分のドットデータと検索されたインクコードとに基づき、ラスターコマンド(図18(b)参照)を作成する。コマンド作成処理のステップS680からS710までの処理は、調色白画像の形成に用いられるインク色すべてについて終了するまで、繰り返し実行される。すなわち、まだ処理の対象となっていないインク色がある場合には(ステップS720:No)、処理対象となっていない1つのインク色が選択され、選択されたインク色についてステップS680からS710までの処理が実行される。全インクについての処理が終了すると(ステップS720:Yes)、1ラスターについて、調色白画像の形成に用いられるインク色のそれぞれに対応するラスターコマンドの作成が完了する。
【0071】
コマンド作成処理(図17)のステップS620からS720までの処理は、印刷画像PIの全ラスターについて完了するまで、繰り返し実行される。すなわち、まだ処理の対象となっていないラスターがある場合には(ステップS730:No)、処理対象となっていないラスター(前回の処理対象ラスターの1つ下のラスター)が選択され、選択されたラスターについてステップS620からS720までの処理が実行される。全ラスターについての処理が終了すると(ステップS730:Yes)、全ラスターについて、カラー画像および調色白画像の形成に用いられるインク色のそれぞれに対応するコマンドの作成が完了する。
【0072】
プリンタードライバー300による処理(図9)におけるステップS260では、プリンタードライバー300が、ステップS250で作成された印刷順指定コマンドと垂直位置指定コマンドと水平位置指定コマンドとラスターコマンドとを、プリンター100へ送信する。以上で、プリンタードライバー300による処理が完了する。
【0073】
印刷処理(図6)のステップS130では、プリンター100による処理が実行される。図20は、プリンター100による処理の流れを示すフローチャートである。ステップS810では、プリンター100のコマンド処理モジュール112(図5)を実行するCPU110(図3)が、PC200のプリンタードライバー300から送信されたコマンドを受信する。CPU110は、受信したコマンドの種類を判別し(ステップS820)、コマンドの種類に応じた処理を実行する。CPU110は、受信したコマンドが印刷順指定コマンドである場合には、印刷順指定コマンドにより指定された印刷順を示す情報をRAM130に保存し(ステップS830)、受信したコマンドが水平位置指定コマンドである場合には、水平方向の印刷開始位置Xを更新する(ステップS840)。
【0074】
また、コマンド処理モジュール112(図5)を実行するCPU110(図3)は、受信したコマンドがラスターコマンドである場合には、ラスターコマンドに含まれるラスターデータ(ドットデータ)をインクコード別のラスターバッファー132(図5)へ格納する(ステップS850)。図21は、ラスターバッファーおよびヘッドバッファーの詳細構成を示す説明図である。図21の上段にはカラー画像用のラスターバッファー132cを示しており、中段には調色白画像用のラスターバッファー132wを示している。図21に示すように、ラスターバッファー132は、インクコード(図19参照)別に領域が割り当てられている。すなわち、カラー画像用のラスターバッファー132cは、カラー画像用のインクコードのそれぞれに対応する領域の集合として構成されており、調色白画像用のラスターバッファー132wも、調色白画像用のインクコードのそれぞれに対応する領域の集合として構成されている。ラスターバッファー132の各領域のX方向のサイズは画像サイズに対応しており、Y方向のサイズはプリントヘッド144の高さの2分の1以上のサイズとなっている。ラスターバッファー132には、どこまでラスターデータを受信したかを示すY方向のラスターバッファーポインターを有している。
【0075】
図21の下段にはヘッドバッファー142(図5)を示している。図21に示すように、ヘッドバッファー142は、7つのインク色別に領域が割り当てられている。すなわち、ヘッドバッファー142は、シアン用(C,WC用)の領域と、マゼンタ用(M,WM用)の領域と、イエロー用(Y,WY用)の領域と、ブラック用(K,WK用)の領域と、ライトシアン用(Lc,WLc用)の領域と、ライトマゼンタ用(Lm,WLm用)の領域と、ホワイト用(IW,W用)の領域と、の集合として構成されている。ヘッドバッファー142の各領域のX方向のサイズは、キャリッジの走査距離に対応しており、Y方向のサイズはプリントヘッド144のノズル列146を構成するノズル数に対応している。また、ヘッドバッファー142のインク色別の領域のそれぞれは、上流用142uと下流用142lとに2分されている。
【0076】
図22は、プリンター100のプリントヘッド144の構成を示す説明図である。図22(a)および(b)に示すように、プリントヘッド144は、7つのインク色のそれぞれに対応するノズル列146が設けられている。ノズル列146は、Y方向(印刷媒体送り方向)に沿って伸びるように形成されている。また、図22(c)に示すように、各ノズル列146は、印刷媒体送り方向に沿って並ぶ32個のノズル群により構成されている。ノズル列146を構成するノズル群の内、印刷媒体送り方向に沿って上流側半分に位置するノズル群(1番目のノズル(ノズル1)から16番目のノズル(ノズル16)まで)を上流ノズル群と呼び、印刷媒体送り方向に沿って下流側半分に位置するノズル群(17番目のノズル(ノズル17)から32番目のノズル(ノズル32)まで)を下流ノズル群と呼ぶ。
【0077】
図22(a)に示すように、W−C印刷の際には、プリントヘッド144の各ノズル列146の上流ノズル群を用いて調色白画像の形成が行われ、下流ノズル群を用いてカラー画像の形成が行われる。また、図22(b)に示すように、C−W印刷の際には、プリントヘッド144の各ノズル列146の上流ノズル群を用いてカラー画像の形成が行われ、下流ノズル群を用いて調色白画像の形成が行われる。
【0078】
図21に示すように、上流用ヘッドバッファー142uは、プリントヘッド144の印刷媒体送り方向に沿って上流側の部分(上流ノズル群)に対応するヘッドバッファー142であり、下流用ヘッドバッファー142lは、プリントヘッド144の印刷媒体送り方向に沿って下流側の部分(下流ノズル群)に対応するヘッドバッファー142である。
【0079】
図20のステップS850において、CPU110(図3)は、受信したラスターコマンドに含まれるインクコードを参照し、当該インクコードに対応するラスターバッファー132のラスターバッファーポインターにより指定される位置にラスターデータを格納する。そのため、CPU110は、ラスターコマンドがカラー画像用と調色白画像用とのいずれであるかを意識することなく、ラスターデータを適切なラスターバッファー132に振り分けることができる。
【0080】
コマンド処理モジュール112(図5)を実行するCPU110(図3)は、受信したコマンドが垂直位置指定コマンドである場合には、垂直方向の印刷開始位置Yを更新する(ステップS860)。次に、CPU110は、プリントヘッド144(図5)の高さの2分の1に対応するラスターバッファー132がフルであるか(すなわちラスターデータが格納されているか)否かを判定する(ステップS870)。未だフルではないと判定された場合には(ステップS870:No)、CPU110は、ラスターバッファー132のラスターバッファーポインターを更新する(ステップS880)。
【0081】
以上説明した処理が繰り返され、プリントヘッド144の高さの2分の1に対応するラスターバッファー132にラスターデータが格納されると、プリントヘッド144の高さの2分の1に対応するラスターバッファー132がフルであると判定される(ステップS870:Yes)。このとき、CPU110(図3)は、RAM130に保存された印刷順を示す情報に基づき、印刷順がC−W印刷とW−C印刷とのいずれであるかを判定する(ステップS880)。印刷順がC−W印刷であると判定された場合には(ステップS880:Yes)、CPU110は、カラー画像用ラスターバッファー132cから上流用ヘッドバッファー142u(図5)へラスターデータを転送すると共に、調色白画像用ラスターバッファー132wから下流用ヘッドバッファー142l(図5)へラスターデータを転送する(ステップS890)。図21には、印刷順がC−W印刷である場合に、カラー画像用ラスターバッファー132cから上流用ヘッドバッファー142uへとラスターデータが転送され、調色白画像用ラスターバッファー132wから下流用ヘッドバッファー142lへとラスターデータが転送される様子を示している。これにより、プリントヘッド144の各ノズル列146の上流ノズル群を用いてカラー画像の形成が行われ、下流ノズル群を用いて調色白画像の形成が行われるC−W印刷(図22(b))の準備が整うこととなる。なお、上流ノズル群と下流ノズル群とでは物理的な用紙上の印刷位置が異なるため、ラスターバッファー132からラスターデータを転送する場合は、上流ノズル群と下流ノズル群との印刷位置の差を考慮してラスターバッファー上の転送開始データ位置を決定する。
【0082】
一方、印刷順がW−C印刷であると判定された場合には(ステップS880:No)、CPU110は、カラー画像用ラスターバッファー132cから下流用ヘッドバッファー142l(図5)へラスターデータを転送すると共に、調色白画像用ラスターバッファー132wから上流用ヘッドバッファー142uへラスターデータを転送する(ステップS900)。これにより、プリントヘッド144の各ノズル列146の上流ノズル群を用いて調色白画像の形成が行われ、下流ノズル群を用いてカラー画像の形成が行われるW−C印刷(図22(a))の準備が整うこととなる。
【0083】
次に、CPU110(図3)は、印刷媒体送りコントローラー160および印刷媒体送りモーター162を制御して、印刷媒体PMをヘッド位置Yまで搬送する(副走査する)(ステップS910)と共に、CRコントローラー150およびCRモーター152を制御してプリントヘッド144を印刷開始位置Xまで移動し(ステップS920)、さらに、主走査を行ってプリントヘッド144の高さ分の印刷を実行する(ステップS930)。このとき、W−C印刷(図22(a)参照)では、プリントヘッド144のノズル列146の上流ノズル群(図22(c)参照)による調色白画像の形成と下流ノズル群によるカラー画像の形成とが並行して実行される。また、C−W印刷(図22(b)参照)では、プリントヘッド144のノズル列146の上流ノズル群によるカラー画像の形成と下流ノズル群による調色白画像の形成とが並行して実行される。
【0084】
次に、CPU110(図3)は、ラスターバッファー132のラスターバッファーポインターをクリアすると共に(ステップS940)、印刷画像PI全体の印刷処理が完了したか否かを判定し(ステップS950)、印刷処理が完了したと判定されるまでステップS810からS940までの処理を繰り返し実行する。印刷処理が完了したと判定されると、印刷処理(図6)は終了する。
【0085】
以上説明したように、本実施例の印刷システム10では、白色を含む複数色のインクを用いて印刷媒体PM上にカラー画像と調色白画像とを形成する印刷処理を実行することができる。ここで、本実施例の印刷システム10では、調色白画像の色の目標としての白色インクであるシミュレーションインクの種類毎に、調色白画像Iwの色をシミュレーションインクの色と近似させるための白画像の階調値と各インク色の階調値との対応関係を示す情報を含むインク情報テーブルIITが予め設定されて記憶される。また、シミュレーションインク選択処理(図9のステップS212)によりシミュレーションインクが指定されると、指定されたシミュレーションインクに対応するインク情報テーブルIITの内容に基づき、調色白画像Iwの形成の際の各インク色の階調値(濃度値)が決定されるため、調色白画像Iwの色を容易にシミュレーションインクの色に近似させることができる。すなわち、本実施例の印刷システム10では、調色白画像Iw用の専用のLUTを設けたり、アプリケーションプログラムAPが白調色用のデータを保持・変更したりすることなく、シミュレーションインクに合わせた印刷シミュレーションを実行することができる。そのため、シミュレーションの目標色に対応する印刷機や印刷インクが変更になった場合にも、変更後の目標色についての印刷シミュレーションを容易に実行することができる。
【0086】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0087】
B1.変形例1:
上記実施例における印刷システム10の構成はあくまで一例であり、印刷システム10の構成は種々に変形可能である。例えば、上記実施例では、プリンター100は、シアンとマゼンタとイエローとブラックとライトシアンとライトマゼンタと白色との7色のインクを用いて印刷を行うプリンターであるとしているが、プリンター100は白色を含む複数色のインクを用いて印刷を行うプリンターであればよい。例えば、プリンター100は、シアンとマゼンタとイエローとブラックと白色との5色のインクを用いて印刷を行うプリンターであってもよい。
【0088】
また、上記実施例では、カラー画像の形成には、白色を除く6色のインクが用いられ、白色インクは使用されないとしているが、カラー画像の形成に用いられるインク色は、プリンター100の使用可能なインク色に応じて任意に設定可能である。例えば、カラー画像の形成に、白色インクが用いられるものとしてもよい。
【0089】
また、上記実施例では、調色白画像の形成には、白色とイエローとブラックとライトシアンとライトマゼンタとの5色のインクが用いられ、シアンとマゼンタの2色のインクは使用されないとしているが、調色白画像の形成に用いられるインク色は、白色と白色以外の少なくとも1色が含まれればよく、プリンター100の使用可能なインク色に応じて任意に設定可能である。例えば、調色白画像の形成に、白色とイエローとライトシアンとライトマゼンタとの4色のインクのみが用いられるとしてもよいし、白色とイエローとブラックとライトシアンとライトマゼンタとシアンとマゼンタとの7色のインクが用いられるとしてもよい。
【0090】
また、上記実施例では、プリンター100は、プリントヘッド144を搭載するキャリッジを往復移動(主走査)させながら印刷を行うプリンターであるとしているが、本発明は、キャリッジの往復移動を伴わないラインプリンターによる印刷処理にも適用可能である。
【0091】
また、上記実施例では、プリンタードライバー300がPC200に含まれ、プリンター100は、PC200のプリンタードライバー300からコマンドを受信して印刷を実行するものとしているが(図4参照)、プリンター100がプリンタードライバー300と同じ機能を含み、プリンター100がPC200のアプリケーションプログラムAPからカラー画像データCdata、白画像データWIdata、印刷順指定情報SSを受信して印刷を実行するものとしてもよい。あるいは、プリンター100がさらにアプリケーションプログラムAPと同じ機能も含み、プリンター100においてカラー画像データCdata、白画像データWIdata、印刷順指定情報SSの生成や、印刷処理が実行されるものとしてもよい。
【0092】
また、上記実施例におけるインク情報テーブルIITやカラー画像用ルックアップテーブルLUTcの内容はあくまで一例であり、これらの内容は例えばプリンター100の使用インクの組成に応じて予め実験的に設定することができる。また、これらの内容は、アプリケーションプログラムAPから出力されるデータの内容(使用色空間)や、プリンター100の使用インク色に応じて種々に変形可能である。同様に、これらのテーブルを用いた色変換処理やインク色分版処理の内容も種々に変形可能である。
【0093】
また、上記実施例では、ハーフトーン処理モジュール320(図4)により、ディザパターンを参照したハーフトーン処理が行われるとしているが、誤差拡散法といった他の方法によるハーフトーン処理が行われるとしてもよい。また、プリンター100が、各インク色について複数サイズのドットを形成可能である場合には、ハーフトーン処理によって、ドットのON/OFFを決定する2値化ではなく、ドットのON/OFFおよびドットサイズを決定する多値化が行われるとしてもよい。
【0094】
また、上記実施例における印刷順指定コマンドやラスターコマンドの構成(図18)、インクコード表ICTの内容(図19)は、あくまで一例であり、種々変形可能である。なお、上記実施例では、インクコードが、複数のインク色のそれぞれと、カラー画像および調色白画像のそれぞれと、の組み合わせに対して一意に対応しているが、インクコードは必ずしもこのように設定される必要はない。ただし、インクコードがこのように設定されていれば、プリンター100のCPU110はラスターコマンドがカラー画像用か調色白画像用かを意識することなくラスターコマンドに含まれるインクコードに従ってコマンドの処理を行うことができる。
【0095】
また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0096】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【0097】
また、上記実施例では、印刷媒体PMとしての透明フィルム上に、カラー画像と調色白画像とを並行して形成し、カラー画像と調色白画像とが形成された印刷物を作成する印刷処理について説明したが、印刷処理に用いられる印刷媒体PMは、透明フィルムに限られず、半透明フィルムや紙、布といった任意の媒体を選択可能である。なお、印刷媒体PMとして透明フィルムを用いると、C−W印刷(図8(b))においてもカラー画像Icをそのままの見えとなるように形成することができる。
【0098】
また、上記実施例におけるプリンター100は、カラー画像(白色インクを使用して形成するカラー画像を含む)のみを形成する印刷処理を実行可能であり、この場合には、プリントヘッド144のノズル列146(図22参照)を上流と下流とに分けることなく、ノズル列146の全体を使用して印刷が行われる。すなわち、プリンター100は、カラー画像と調色白画像とを形成する印刷処理を行う場合にのみ、ノズル列146をカラー画像を形成するためのノズル群と調色白画像を形成するためのノズル群とに区分して、印刷を行うものとすればよい。
【0099】
また、上記実施例では、プリンタードライバー300がシミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330を含むとしているが(図4)、アプリケーションプログラムAPがシミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール330を含むとしてもよい。この場合には、シミュレーションインク選択処理(図9のステップS212)や白画像用のインク色データ生成処理(図9のステップS220)が、プリンタードライバー300ではなく、アプリケーションプログラムAPによって実行される。
【0100】
また、上記実施例では、ラスターデータ(ドットデータ)をプリントヘッド144へのデータ転送方式に変換する処理がプリンター100のコマンド処理モジュール112により実行されるとしているが、当該処理がプリンタードライバー300によって実行されるとしてもよい。
【0101】
また、上記実施例では、インク情報テーブルIITが、シミュレーションインクの種類と印刷順との組み合わせ毎に設定されているとしているが、インク情報テーブルIITは、印刷順とは関係なく、シミュレーションインクの種類毎に設定されるとしてもよい。
【0102】
また、上記実施例では、シミュレーションインクの指定を製造者名を用いて行っているが、当該製造者名は、シミュレーションインク自体の製造者であってもよいし、シミュレーションインクを用いる印刷機の製造者名であってもよい。また、ある製造者が複数の白色インクを製造している場合のように、1つの製造者名が複数の白色インクに対応する可能性のある場合には、シミュレーションインクを製造者名と白色インクの種類名とを用いて指定するとしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…印刷システム
100…プリンター
110…CPU
112…コマンド処理モジュール
120…ROM
130…RAM
132…ラスターバッファー
140…ヘッドコントローラー
142…ヘッドバッファー
144…プリントヘッド
146…ノズル列
150…キャリッジコントローラー
152…キャリッジモーター
160…印刷媒体送りコントローラー
162…印刷媒体送りモーター
170…USBインターフェース
180…ネットワークインターフェース
200…PC
210…CPU
220…ROM
230…RAM
240…USBインターフェース
250…ネットワークインターフェース
260…ディスプレイインターフェース
270…シリアルインターフェース
280…ハードディスクドライブ
290…CDドライブ
300…プリンタードライバー
310…カラー画像用インク色分版処理モジュール
320…ハーフトーン処理モジュール
330…シミュレーションインク選択・インク色データ生成モジュール
332…UI制御モジュール
370…コマンド作成モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色を含む複数色のインクを用いて印刷を行う印刷装置であって、
カラー画像を印刷媒体上に形成するためにインクを噴射する第1のノズル群と、調整された白色である調色白の画像を前記印刷媒体上に形成するために白色と白色以外の少なくとも1色とのインクを噴射する第2のノズル群と、を有するヘッドと、
前記ヘッドを制御して、前記印刷媒体上に前記カラー画像と前記調色白の画像とを形成する制御部と、
前記調色白の画像の色の目標として複数の特定白色インクの内の1つを指定する指定情報を取得する指定情報取得部と、
白画像の階調値を示す白画像データを取得する画像データ取得部と、
前記複数の特定白色インクのそれぞれについて予め設定された、前記白画像の階調値と前記印刷装置に用いられるインク色毎の階調値との対応関係を示す対応関係情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記指定情報により指定された前記特定白色インクについての前記対応関係情報に基づき前記白画像データを前記インク色毎の階調値を表すデータに変換し、前記インク色毎の階調値を表すデータを用いて前記調色白の画像を形成する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記対応関係情報は、少なくとも1つの前記特定白色インクに関し、前記白画像の階調値の全範囲が前記白色インクの最大階調値を含まない一部の範囲に対応付けられるように、設定されている、印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記複数の特定白色インクは、前記印刷装置に用いられないインクである、印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記指定情報取得部は、前記指定情報として、前記特定白色インクの製造者と、前記特定白色インクが用いられる印刷機の製造者と、の少なくとも一方を特定する情報を取得する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記指定情報は、前記カラー画像と前記調色白の画像との印刷順を示す印刷順指定を含み、
前記対応関係情報は、前記特定白色インクと前記印刷順との組み合わせ毎に設定された前記対応関係を示す、印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、印刷中の少なくとも一部の期間において、前記第1のノズル群を用いた前記カラー画像の形成と、前記第2のノズル群を用いた前記調色白の画像の形成と、が並行して行われるように、前記ヘッドを制御する、印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記複数色のインクは、少なくとも1つの色相について淡色インクと濃色インクとの組み合わせを含み、
前記第2のノズル群は、前記濃色インクを噴射しない、印刷装置。
【請求項8】
カラー画像を印刷媒体上に形成するためにインクを噴射する第1のノズル群と、調整された白色である調色白の画像を前記印刷媒体上に形成するために白色と白色以外の少なくとも1色とのインクを噴射する第2のノズル群と、を有するヘッドを制御して、白色を含む複数色のインクを用いて印刷を行う印刷方法であって、
(a)前記ヘッドを制御して、前記印刷媒体上に前記カラー画像と前記調色白の画像とを形成する工程と、
(b)前記調色白の画像の色の目標として複数の特定白色インクの内の1つを指定する指定情報を取得する工程と、
(c)白画像の階調値を示す白画像データを取得する工程と、
(d)前記複数の特定白色インクのそれぞれについて予め設定された、前記白画像の階調値と前記印刷に用いられるインク色毎の階調値との対応関係を示す対応関係情報を取得する工程と、を備え、
前記工程(a)は、前記指定情報により指定された前記特定白色インクについての前記対応関係情報に基づき前記白画像データを前記インク色毎の階調値を表すデータに変換し、前記インク色毎の階調値を表すデータを用いて前記調色白の画像を形成する工程である、印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−55395(P2011−55395A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204382(P2009−204382)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】