説明

皮膚用殺菌洗浄剤組成物及び殺菌方法

【課題】特定の脂肪酸塩を特定量配合することにより、短時間で黄色ブドウ球菌殺菌能を持つ皮膚用殺菌洗浄剤組成物、及び表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)
1COOX (1)
[式中、R1は炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Xは[HX1]+であり、X1はNH3、R2−NH2、又はR2O−NH2(但し、R2は直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)を示す。]
で表される脂肪酸塩0.5質量%以上を、黄色ブドウ球菌への殺菌有効成分として含有する皮膚用殺菌洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)を殺菌する皮膚用殺菌洗浄剤組成物及び菌選択殺菌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
黄色ぶどう球菌は病原性を持っており、手に付いた菌が食品に付着し増殖し、これを食べることによる食中毒を引き起こす原因菌となる。また、この黄色ぶどう球菌は、乾燥肌や肌荒れ状態にある人、さらには、アトピー性皮膚炎患者の皮膚に多く存在することが知られており、黄色ブドウ球菌の産生する毒素が、さらなる皮膚状態の悪化を引き起こすことが知られている。このような点から、手についた黄色ブドウ球菌を、有効的な手段で殺菌、除去する皮膚用殺菌洗浄剤組成物が望まれているが、短時間で、手の汚れの洗浄、及び効果的に黄色ブドウ球菌を殺菌する手段というのは知られていない。
【0003】
脂肪酸塩(石鹸)は、さまざまな用途に応じ、一般的に洗浄目的として使用知られているが、特定の脂肪酸塩が短期間で、黄色ブドウ球菌に関する殺菌効果を示すことについては知られていない(特許文献1:特開2001−49298号公報、特許文献2:特開平8−259997号公報参照)。中には、脂肪酸やその塩に黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を謳ったものがあるが、手を洗うという短時間での殺菌という観点でみると依然不十分である(特許文献3:特開2004−27031号公報、特許文献4:特開2001−172176号公報参照)。さらに、特許文献4においては、脂肪酸塩でなく脂肪酸として効果を持たせていることから、製剤化の際に析出等が起こりやすく、安定性を確保することが困難であり、また、それ自身が洗浄基材となりえない。
【0004】
一方、黄色ブドウ球菌の殺菌に対しては、従来から数多くの抗菌性物質等の薬剤が用いられてきた(特許文献5:特表平10−504591号公報、特許文献6:特表平10−504592号公報、特許文献7:特開平10−330792号公報)。しかしながら、これらの薬剤は、肌トラブル(かぶれや痛み)や耐性菌発現、皮膚常在菌の殺菌等の問題を生じる可能性があった。
【0005】
手の洗浄は、一般的な洗浄時間から、30秒〜1分程度での殺菌が望ましい。しかしながら、そのような短時間で、黄色ブドウ球菌に殺菌力を示し、且つ、自身が洗浄剤として機能するものはこれまで知られておらず、このようなものが望まれていた。
【0006】
加えて、ヒトの皮膚表面には数多くの微生物が存在し、細菌叢を形成している。それらは、皮膚にトラブルがない場合、ほぼ一定した菌種から構成され、ほとんど変動がない(臨床病理、特105、p59、1997)。皮膚常在菌は、グラム陽性菌でブドウ球菌の一種である表皮ブドウ球菌(スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis))や、嫌気性菌であるアクネ菌(プロピオニバクテリウム アクネス(Propionibacterium acnes))がほとんどを占め、病原菌等の侵入に対するバリアーの形成や皮膚表面における過酸化物の消去等、皮膚の健常性の維持に重要と言われている(皮膚と美容、vol.24、No.4、p16、1994)。
【0007】
その一方で、上記病原性の黄色ブドウ球菌も皮膚表面に存在する。この黄色ブドウ球菌を効果的に殺菌し、かつ、皮膚バリア機能を持つ表皮ブドウ球菌を維持することは、皮膚表面状態を健常に保つために重要であると考えられている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−49298号公報
【特許文献2】特開平8−259997号公報
【特許文献3】特開2004−27031号公報
【特許文献4】特開2001−172176号公報
【特許文献5】特表平10−504591号公報
【特許文献6】特表平10−504592号公報
【特許文献7】特開平10−330792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、特定の脂肪酸塩を特定量配合することにより、短時間で黄色ブドウ球菌殺菌能を持つ皮膚用殺菌洗浄剤組成物、及び表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定炭素数の特定の脂肪酸塩を特定量配合することにより、短時間で有害なグラム陽性菌である黄色ブドウ球菌の殺菌効果に優れること、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌するものの、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に影響が少ないことを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0011】
従って、本発明は、
[1].下記一般式(1)
1COOX (1)
[式中、R1は炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Xは[HX1]+であり、X1はNH3、R2−NH2、又はR2O−NH2(但し、R2は直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)を示す。]
で表される脂肪酸塩0.5質量%以上を、黄色ブドウ球菌への殺菌有効成分として含有する皮膚用殺菌洗浄剤組成物、
[2].[1]の皮膚用殺菌洗浄剤組成物を使用する、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、短時間で有害なグラム陽性菌である黄色ブドウ球菌の殺菌効果に優れる皮膚用殺菌洗浄剤組成物、及び表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の脂肪酸塩は、下記一般式(1)
1COOX (1)
[式中、R1は炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Xは[HX1]+であり、X1はNH3、R2−NH2、又はR2O−NH2(但し、R2は直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)を示す。]
で表される脂肪酸塩であり、洗浄剤に配合し得るものであれば、その種類は特に制限されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いることが好ましい。この脂肪酸塩は、黄色ブドウ球菌への殺菌有効成分として配合される。さらに、この脂肪酸塩は、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌効果を有し、菌選択殺菌有効成分として配合してもよい。菌選択殺菌効果は、黄色ブドウ球菌には殺菌能を持つのに対し、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌への影響が少ないことをいう。
【0014】
1は炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、R1COOXとして洗浄剤に配合し得るものであれば、その種類は特に限定されない。原料となる炭素数16以下の脂肪酸としては、総炭素数4〜16の脂肪酸及びヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。具体的に、カプロン酸、ペラルゴン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソトリデシル酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、2−エチルブタン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、テトラメチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、また、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。殺菌効果の点から、炭素数10〜16(一般式(1)中、R1として9〜15)の脂肪酸が好ましい。この中でも、総炭素数12〜14(一般式(1)中、R1として11〜13)の脂肪酸がより好ましい。具体的に、ラウリン酸、ミリスチン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、イソウンデカン酸、イソトリデシル酸、ヒドロキシドデカン、ヒドロキシテトラデカン酸)等が挙げられる。これらは光学活性体でもラセミ体でもよく、1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。
【0015】
一般式(1)中のX(塩基部)は[HX1]+であり、X1はNH3、R2−NH2、又はR2O−NH2(但し、R2は直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)を示す。この場合、[HX1]+はそれぞれ、[NH4]+、[R2−NH3]+、又は([R2O−NH3]+)である。具体的に、X1はNH3、アルキルアミン、アルキレンアミン、水素原子の一部が水酸基で置換されたNH2−R2OHで表されるアルカノールアミン等のR2−NH2(第一アミン)、R2O−NH2(O−アルキルヒドロキシルアミン)等が挙げられる。
【0016】
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、1−アミノ−2−メチルブタン、2−アミノ−2−メチルブタン、3−アミノ−2−メチルブタン、4−アミノ−2−メチルブタン、ヘキシルアミン、5−アミノ−2−メチルペンタン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられる。
【0017】
アルキレンアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミンが挙げられる。
【0018】
アルカノールアミンとしては、エタノールアミン(2−アミノエタノール)、n−プロパノールアミン(3−アミノ−1−プロパノール)、イソプロパノールアミン(1−アミノ−2−プロパノール)、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、3−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、1−アミノ−2,3−ブタンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1−アミノ−4−ペンタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−4−メチル−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、3−アミノ−4−ヘプタノール、1−アミノ−2−オクタノール、5−アミノ−4−オクタノール、trans−4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、cis−2−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、trans−2−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、1,2−ジアミノ−3−プロパノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
【0019】
アルキルヒドロキシルアミンとしては、メチルヒドロキシルアミン、エチルヒドロキシルアミン、n−プロピルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン、n−ブチルヒドロキシルアミン、sec−ブチルヒドロキシルアミン、イソブチルヒドロキシルアミン、t−ブチルヒドロキシルアミン、ペンチルヒドロキシルアミン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、1−アミノ−2−メチルブタン、2−アミノ−2−メチルブタン、3−アミノ−2−メチルブタン、4−アミノ−2−メチルブタン、ヘキシルヒドロキシルアミン、5−アミノ−2−メチルペンタン、ヘプチルヒドロキシルアミン、オクチルヒドロキシルアミン、ノニルヒドロキシルアミン、デシルヒドロキシルアミン、ウンデシルヒドロキシルアミン、ドデシルヒドロキシルアミン、トリデシルヒドロキシルアミン、テトラデシルヒドロキシルアミン、ペンタデシルヒドロキシルアミン、ヘキサデシルヒドロキシルアミン、ヘプタデシルヒドロキシルアミン、オクタデシルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
【0020】
1は殺菌効果の点から、NH3やアルカノールアミンが好ましい。さらには、においの点から、アルカノールアミンがより好ましい。アルカノールアミンの中でも、溶解性の点から、モノ低級アルカノールアミン(炭素数4以下)がより好ましい。
【0021】
一般式(1)で表される脂肪酸塩としては、炭素数16以下の脂肪酸のアンモニウム塩、炭素数16以下の脂肪酸のモノエタノールアミン塩、炭素数16以下の脂肪酸のモノn-プロパノールアミン塩、炭素数16以下の脂肪酸のモノイソプロパノールアミン塩、炭素数16以下の脂肪酸の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩、炭素数16以下の脂肪酸の2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、炭素数16以下の脂肪酸の2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール塩が好ましい。そのなかでも、炭素数16以下の脂肪酸のアンモニウム塩、炭素数16以下の脂肪酸のモノエタノールアミン塩が好ましく、においの点から、炭素数16以下の脂肪酸のモノエタノールアミン塩が好ましい。
【0022】
炭素数16以下の脂肪酸のモノエタノールアミン塩としては、カプロン酸モノエタノールアミン塩、ペラルゴン酸モノエタノールアミン塩、オクタン酸モノエタノールアミン塩、ペラルゴン酸モノエタノールアミン塩、デカン酸モノエタノールアミン塩、ウンデカン酸モノエタノールアミン塩、ラウリン酸モノエタノールアミン塩、トリデシル酸モノエタノールアミン塩、ミリスチン酸モノエタノールアミン塩、ペンタデカン酸モノエタノールアミン塩、パルミチン酸モノエタノールアミン塩、カプロレイン酸モノエタノールアミン塩、ウンデシレン酸モノエタノールアミン塩、ラウロレイン酸モノエタノールアミン塩、ミリストレイン酸モノエタノールアミン塩、パルミトレイン酸モノエタノールアミン塩、2−エチルブタン酸モノエタノールアミン塩、イソペンタン酸モノエタノールアミン塩、2−エチルペンタン酸モノエタノールアミン塩、2−エチルヘキサン酸モノエタノールアミン塩、イソノナン酸モノエタノールアミン塩、テトラメチルノナン酸モノエタノールアミン塩、2−ヘキシルデカン酸モノエタノールアミン塩、3,5,5−トリメチルヘキサン酸モノエタノールアミン塩、また、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸のモノエタノールアミン塩等が挙げられる。本発明の脂肪酸モノエタノールアミン塩としては、炭素数12〜14の脂肪酸のモノエタノールアミン塩が好ましく、ラウリン酸モノエタノールアミン塩、ミリスチン酸モノエタノールアミン塩、ラウロレイン酸モノエタノールアミン塩、ミリストレイン酸モノエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0023】
なお、脂肪酸塩は、そのものを用いてもよいし、脂肪酸と塩基とをそれぞれ別々に配合して、中和して用いてもよい。
【0024】
黄色ブドウ菌に対する殺菌効果の点からは、下記一般式(2)
R´COOX (2)
[式中、R´は炭素数3〜21の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Xは一般式(1)と同じである。]
で表される肪酸塩に対する総炭素数10〜16、好ましくは12〜14(R1は11〜13)である一般式(1)で表される脂肪酸塩の割合が、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。なお、上限は特に限定されないが、100質量%である。また、総脂肪酸モノエタノールアミン塩に対する総炭素数10〜16、好ましくは12〜14の脂肪酸のモノエタノールアミン塩の割合が、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。なお、上限は特に限定されないが、100質量%である。
【0025】
本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、組成物中に一般式(1)で表される脂肪酸塩0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上を含むものである。一般式(1)で表される脂肪酸塩が0.5質量%に満たないと殺菌効果が十分ではない。なお、上限は特に限定されないが、90質量%が好ましく、より好ましくは100質量%である。なお、本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、液体でも固体でもよく、液体の場合、一般式(1)で表される脂肪酸塩の配合量は、皮膚用殺菌洗浄剤組成物中0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜15質量%が好ましい。
【0026】
本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、上記必須成分、精製水等の水の他に、必要に応じて、皮膚用殺菌洗浄剤組成物に一般的に配合される任意成分を配合することができる。具体的には、各種界面活性剤、下記任意成分を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
界面活性剤としては、アニオン性、両性、ノニオン性及びカチオン性の界面活性剤が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。具体的には、アニオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、カルボン酸系、サルフェート系、スルホネート系、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0028】
カルボン酸系界面活性剤としては、一般式(1)で表される脂肪酸塩以外の炭素数17以上の飽和及び不飽和脂肪酸の他、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチルプロパノール塩、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール塩、リジン塩、アルギニン塩等の脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。より具体的には、例えば、ラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン等が挙げられる。脂肪酸塩は、そのものを配合してもよいし、皮膚用殺菌洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリとをそれぞれ別々に配合して、中和して用いてもよい。
【0029】
サルフェート系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩等が挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホネート系界面活性剤としては、スルホコハク酸系、タウレート系、イセチオネート系、α−スルホン酸系等が挙げられ、具体的には、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。リン酸エステル界面活性剤としては、アルキルリン酸塩系等が挙げられ、具体的には、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウム等が挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、カルボキシベタイン系、スルホベタイン系、イミダゾリウムベタイン系等が挙げられる。カルボキシベタイン系界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられ、スルホベタイン系界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、また、イミダゾリウムベタイン系界面活性剤としては、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。この中でも、特に、脱塩処理したものが好ましく用いられる。
【0031】
ノニオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、ポリオキシアルキレン付加型、モノあるいはジエタノールアミド型、糖系、アミンオキシド系、グリセリン系が挙げられる。ポリオキシアルキレン付加型としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。モノあるいはジエタノールアミド型としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド等が挙げられる。糖系としては、糖エーテル系であるアルキルサッカライド系、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系が挙げられる。アミンオキシド系としては、アシル第3級アミンオキサイドであるラウリルジメチルアミンオキサイド等、アシル第3級ホスフォンオキサイドであるラウリルジメチルホスフォンオキサイド等が挙げられる。
【0032】
カチオン性界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するモノ又はジアルキル付加型第4級アンモニウム塩、そのアルキル基にアルキレンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。これらのうち、特に炭素数12〜16の直鎖モノアルキル第4級アンモニウム塩、炭素数20〜28の分岐アルキル基を有する第4級アンモニウム塩等が好ましい。
【0033】
界面活性剤の配合量は、皮膚用殺菌洗浄剤組成物中2質量%以上であることが好ましい。2質量%未満では、洗浄時の泡立ちが悪い場合がある。上限は特に限定されない。
【0034】
その他の任意成分として、例えば油分、シリコーン類、アルコール類、多価アルコール類、ラノリン誘導体、無機塩類、有機塩類、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、トリクロロカルバニリド等の殺菌剤、防腐剤、クエン酸、水酸化カリウム等のpH調整剤、高分子化合物、粘度調整剤、BHTやα−トコフェロール等の酸化防止剤、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤、乳濁剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、保湿剤、トニック剤、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、可溶化剤、動植物抽出物又はその誘導体、ハイドロトロープ、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体等が挙げられる。なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で通常量配合することができる。
【0035】
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0036】
香料用溶剤としては、エタノール、ベンジルベンゾエート、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これら香料用溶剤は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、0.1〜10質量%配合される。
【0037】
香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
【0038】
本件の殺菌性能に関して、R1COOXがpH低下により、R1COOH(脂肪酸)へとなり析出し、殺菌性能を低下させる可能性があるため、皮膚用殺菌洗浄剤組成物の25℃のpHは8以上、より好ましくは10以上であることが好ましい。pHの上限は、皮膚刺激性の点からpH12以下が好ましい。
【0039】
本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物の剤型は、特に限定されるものではなく、例えば、ゲル状、液体状、固体状、粉末状等、任意の剤型とすることができる。皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、皮膚用洗浄剤組成物の常法に準じて調製することができる。本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物を調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の撹拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた撹拌装置が望ましく、特に好ましくは、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等が好ましい。
【0040】
本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、短時間で有害なグラム陽性菌である黄色ブドウ球菌の殺菌効果に優れること、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌するものの、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に影響が少ないことから、この皮膚用殺菌洗浄剤組成物を使用する、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法に利用することができる。
【0041】
本発明の皮膚用殺菌洗浄剤組成物は、保存安定性にも優れるため、液状組成とした場合でも、良好な保存安定性を示すことができる。また、短時間での殺菌・抗菌効果があるため、身体洗浄用、特に手洗い用殺菌洗浄剤として好適である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、実施例記載の成分量は、全て純分換算である。
【0043】
[実施例1〜20、比較例1〜22]
表1〜6に示す配合組成で常法に準じて皮膚用殺菌洗浄剤組成物を調製し、実施例1〜20及び比較例1〜22の皮膚用殺菌洗浄剤組成物を得た。得られた皮膚用殺菌洗浄剤組成物について、下記方法で殺菌力試験を行った。結果を表1〜6に併記する。
【0044】
(1)菌液の調製
下記菌を初発菌数が10の8乗個/mLとなるように菌液を調製した。
(有害なグラム陽性菌)黄色ブドウ球菌:スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) ATCC6538
(皮膚常在菌)表皮ブドウ球菌:スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis) ATCC12228
(2)試験液
実施例等で得られた皮膚用殺菌洗浄剤組成物
殺菌力試験法
25℃にて、試験液9mLに菌液1mLを添加して十分撹拌し、黄色ブドウ球菌は1分後、表皮ブドウ球菌は5分後に0.5mL採取し、4.5mLのSCDLP培地(Soybean−Casein Digest Broth with Lectin & Polysorbate 80:和光純薬工業(株)製)に加え、10倍希釈液とした。同様の方法を繰り返して各希釈液を得た。各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、SCDLP寒天培地(Soybean−Casein Digest Ager with Lectin & Polysorbate 80:和光純薬工業(株)製)15mLを加えて均一化し、2日間培養して(寒天平板希釈法)、コロニーをカウントして生存菌数を測定した。初発菌数と生存菌数から、下記式に基づいて殺菌率(%)を算出し、下記評価基準で殺菌効果を評価した。
【0045】
【数1】

【0046】
<評価基準>
◎:殺菌率90%以上
○:殺菌率70%以上
△:殺菌率50%以上
×:殺菌率50%未満
黄色ブドウ球菌は殺菌効果が高いほどよく、逆に、皮膚保護の役割を持つ表皮ブドウ球菌は殺菌能が低いほどよい。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
表1〜6に示すように、実施例の組成物は、黄色ブドウ球菌の殺菌効果に優れ、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に影響が少なかった。以下に示す実施例21〜31についても、同様に評価を行った結果、黄色ブドウ球菌の殺菌効果に優れ、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌に影響が少なかった。
【0054】
下記実施例の皮膚用殺菌洗浄剤組成物を各製剤の常法に基づいて調製した。
[実施例21]
液体ボディソープ
組成(%)
ラウリン酸イソプロパノールアミン 5.0
ミリスチン酸イソプロパノールアミン 8.0
パルミチン酸モノエタノールアミン 3.0
ステアリン酸モノエタノールアミン 1.0
N−ラウロイルーN−メチル−β−アラニンカリウム 3.0
リンゴ酸モノラウラミドカリウム塩 2.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン *1 3.0
POE(8)ステアリルエーテル *2 2.0
ベントナイト *3 0.2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース *4 0.2
アクリル酸アルキル共重合体エマルション *5 0.5
プロピレングリコール 8.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
ソルビトール 3.0
スクワラン 2.0
シリコーンエマルジョン *6 2.0
スチレン重合体エマルジョン *7 0.5
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.2
メリッサエキス *8 1.0
ダービリアエキス *9 1.0
シラカバエキス *10 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム *11 0.1
香料A 1.0
青色403号 適量
黄色4号 適量
精製水 残部
合計 100.0
【0055】
[実施例22]
液体ハンドソープ
組成(%)
ラウリン酸モノエタノールアミン 6.0
ミリスチン酸2−アミノ−2−メチル−1−プロパンジオール 6.0
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 3.0
ラウリルジメチルアミンオキサイド 1.0
アクリル酸アルキル重合体エマルション *12 5.0
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.2
トリクロサン *13 0.1
イソプロピルメチルフェノール *14 0.1
香料B 1.0
精製水 残部
合計 100.0
【0056】
[実施例23]
デオドラント及び殺菌用液体洗浄剤組成物
組成(%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム *15 20.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド *16 2.0
ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド *17 2.0
ラウリン酸モノエタノールアミン 2.0
塩化ナトリウム 0.5
カチオン化セルロース *18 0.2
ヘキシレングリコール 7.0
エタノール 1.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.1
安息香酸ナトリウム 1.0
油溶性甘草エキス *19 2.0
トリクロサン *13 0.2
ピロクトン オラミン *20 0.1
l−メントール 0.2
αオレフィンオリゴマー 1.0
シリコーンエマルジョン *21 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
エチレングリコールジステアレート 1.0
スチレン重合体エマルジョン *7 1.0
香料C 1.0
青色403号 適量
精製水 残部
合計 100.0
【0057】
[実施例24]
頭皮用洗浄剤組成物
組成(%)
モノ−N−ラウリルリンゴ酸アミドトリエタノールアミン 10.0
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム *15 10.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン *1 3.0
ラウリン酸アンモニウム 2.0
ベントナイト *28 0.5
カチオン化セルロース *18 0.5
ラウリルジメチルアミンオキサイド 2.0
ヘキシレングリコール 7.0
エタノール 1.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.1
油溶性甘草エキス *19 2.0
トリクロサン *13 0.2
ピロクトン オラミン *20 0.1
l−メントール 0.3
シリコーンエマルジョン *21 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
エチレングリコールジステアレート 1.0
香料B 1.0
青色403号 適量
精製水 残部
合計 100.0
【0058】
[実施例25]
クレンジングジェル組成物
組成(%)
ミリスチン酸イソプロパノールアミン 6.0
N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム 2.0
ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド *23 3.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン *24 1.0
POE(10)ベヘニルエーテル *25 3.0
ジメチルポリシロキサン *26 1.0
イソノナン酸イソノニル *27 2.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース *4 0.5
アクリル酸アルキル共重合体エマルション *12 0.2
プロピレングリコール 5.0
イソプロピルメチルフェノール *14 0.2
エラグ酸 0.1
ベントナイト *28 0.3
ポリエチレン末(平均粒径100μm) 0.2
香料B 0.2
精製水 残部
合計 100.0
【0059】
[実施例26]
フォーマー容器充填用液体洗浄剤組成物
組成(%)
リンゴ酸モノラウラミドカリウム塩 3.0
ミリスチン酸モノエタノールアミン 2.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン *29 2.0
塩化ナトリウム 0.2
プロピレングリコール 20.0
ローズマリーエキス *30 1.0
POE(5)硬化ヒマシ油 *31 1.0
ホホバ油 *32 0.5
メチルパラベン 0.3
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料A 1.0
精製水 残部
合計 100.0
包装容器:フォーマー容器(吉野工業社製):特開平7−315463号公報の第2実
施例として記載されたフォーマー容器
【0060】
[実施例27]
固形石鹸組成物
組成(%)
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム *33 10.0
パーム/ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミン 65.0
(パーム/ヤシ油脂肪酸=65/35)
パルミチン酸 6.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン *1 2.0
POE(10)グリセリルトリイソステアレート *34 2.0
ベントナイト *35 0.5
ヒマワリ油 *36 1.0
高重合ポリエチレングリコール *22 0.2
ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
塩化ナトリウム 0.5
イソプロピルメチルフェノール 0.1
二酸化チタン 0.2
香料C 1.0
精製水 残部
合計 100.0
包装容器:ピロー包装(最内層LDPE、最外層PP)
【0061】
[実施例28]
半透明石鹸組成物
組成(%)
パーム油脂肪酸モノエタノールアミン 32.0
パーム核油脂肪酸2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール 14.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン *29 2.0
白糖 10.0
グリセリン 10.0
プロピレングリコール 2.0
エタノール 5.0
POE(5)オクチルドデシルエーテル *37 5.0
スクワラン 1.0
エデト酸二ナトリウム 0.2
塩化ナトリウム 0.2
香料A 1.0
精製水 残部
合計 100.0
包装容器:ピロー包装(最内層LDPE、中間層アルミニウム層、最外層PP)
【0062】
[実施例29]
シート状洗浄剤
組成(%)
POE(7)ヤシ油脂肪酸グリセリン *38 6.0
ラウリン酸イソプロパノールアミン 1.0
ラウリン酸2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール 1.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン *29 1.0
ホホバ油 *32 1.0
スクワラン 1.0
ジメチルポリシロキサン *26 1.0
イソノナン酸イソノニル *27 2.0
ピロクトン オラミン *20 0.3
イソプロピルメチルフェノール *14 0.2
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
ソルビット 2.5
プロピレングリコール 20.0
カミツレエキス *39 1.0
エタノール 8.0
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料A 1.0
精製水 残部
合計 100.0
包装容器:本組成物を特開20001−314342号公報の実施例1〜13に記載されたシートにシート質量の3倍量を含浸させる。これをさらにピロー包装(最内層LDPE、中間層アルミニウム層、最外層PP)に収容する。
【0063】
[実施例30]
油性汚れ手指洗浄剤
組成(%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム *15 7.0
C14α−オレフィンスルホン酸ナトリウム 10.0
ラウリン酸モノエタノールアミン 1.0
ラルリルジメチルアミンオキサイド 4.5
ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 5.0
POE(15)ラウリルエーテル *40 6.0
ポリエチレングリコール1000 *41 2.0
クエン酸ナトリウム 0.35
ソルビトール 5.0
安息香酸ナトリウム 1.0
パラトルエンスルホン酸 3.5
香料A 0.2
精製水 残部
合計 100.0
【0064】
[実施例31]
油性汚れ手指洗浄剤
組成(%)
POEドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム 15.0
ラウリン酸モノエタノールアミン 1.0
ドデシルジメチルアミンオキサイド 7.0
ラウリルポリグリコシド 7.0
ドデシルジメチルヒドロキシスルホベタイン 3.0
クエン酸ナトリウム 1.0
ポリプロピレングリコールMW1000 2.0
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 2.0
エタノール 5.0
精製水 残部
合計 100.0
【0065】
上記例で使用した各種成分は以下の通りである。
*1 オバゾリンLB−SF(東邦化学工業(株)製)
*2 エマレックス 603(日本エマルジョン(株)製)
*3 クニピアF(クニミネ工業(株)製)
*4 メトロースHPMC60SH−4000(信越化学工業(株)製)
*5 レオアールMS−100(ライオン化学(株)製)
*6 BY22−055(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
*7 サイビノールPE−3(サイデン化学(株)製)
*8 メリッサ抽出液BG−50(香栄興業(株)製)
*9 海藻エキス末(アルプス薬品工業(株)製)
*10 シラカバ抽出液(丸善製薬(株)製)
*11 グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬(株)製)
*12 レオアールMS−200(ライオン化学(株)製)
*13 トリクロサン(チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)
*14 イソプロピルメチルフェノール(大阪化成(株)製)
*15 サンノールLMT−1430(ライオン化学(株)製)
*16 ホームリードCD(ライオン化学(株)製)
*17 アミゼット2C(川研ファインケミカル(株)製)
*18 レオガードGP(ライオン化学(株)製)
*19 油溶性甘草エキスP−T40N(丸善製薬(株)製)
*20 オクトピロックス(クラリアント・ジャパン(株)製)
*21 BY22−020(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
*22 ポリオックスWSR−N750(ユニオン・カーバイト社製)
*23 アミゼット2L(川研ファインケミカル(株)製)
*24 オバゾリンLB(東邦化学工業(株)製)
*25 エマレックス BHA−10(日本エマルジョン(株)製)
*26 SH200−30cs(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
*27 サラコス99(コグニス・ジャパン(株)製)
*28 ラポナイトXLG(日本シリカ(株)製)
*29 エナジコールL−30B(ライオン化学(株)製)
*30 ローズマリー水(丸善製薬(株)製)
*31 エマレックスHC−5(日本エマルジョン(株)製)
*32 精製ホホバ油(香栄興業(株)製)
*33 ELFANAT−84(ライオン化学(株)製)
*34 エマレックスGWIS−10(日本エマルジョン(株)製)
*35 クニピアG(クニミネ工業(株)製)
*36 ヒマワリ油(日光ケミカル(株)製)
*37 エマレックスOD−5(日本エマルジョン(株)製)
*38 セチオールHE(ヘンケル社製)
*39 カミツレキッド(一丸ファルコス(株)製)
*40 エマレックス 715(日本エマルジョン(株)製)
*41 PRG#1000(ライオン化学(株)製)
【0066】
ラウリン酸モノエタノールアミン、ミリスチン酸モノエタノールアミン、パルミチン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸モノエタノールアミン、オレイン酸モノエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミン、ラウリン酸モノエタノールアミン、ラウリン酸トリエタノールアミン、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸イソプロパノールアミン、
ミリスチン酸イソプロパノールアミン、ミリスチン酸2−アミノ−2−メチル−1−プロパンジオール、ラウリン酸アンモニウム、ミリスチン酸イソプロパノールアミン、パーム核油脂肪酸2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ラウリン酸2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールは、ラウリン酸:NAA−122(日本油脂(株)製)、ミリスチン酸:NAA−142(日本油脂(株)製)、パルミチン酸:NAA−171(日本油脂(株)製)、ステアリン酸:NAA−174(日本油脂(株)製)、オレイン酸:NAA−34(日本油脂(株)製)、ヤシ油脂肪酸:ヤシ脂肪酸(新日本理化(株)製)と、モノエタノールアミン(三井化学(株)製)、ジエタノールアミン(三井化学(株)製)、トリエタノールアミン(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、水酸化カリウム(旭硝子(株)製、液体苛性カリ)、アンモニア(アンモニウムイオン)(純正化学(株)製)、イソプロパノールアミン(純正化学(株)製)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(純正化学(株)製)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(純正化学(株)製)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(純正化学(株)製)とを、適宜組み合わせて中和させて調製した。
【0067】
香料A
下記組成の香料を用いた。
組成(%)
レモン油 5.0
スイートオレンジ油 10.0
ゼラニウム油 3.0
ラベンダー油 6.0
サンダルウッド油 1.0
リリアール 5.0
ノピルアセテート 1.0
リナロール 2.0
ベンジルベンゾエート 2.0
ベンジルサリシレート 3.0
β−イオノン 2.0
メチルイオノン 3.0
ヘリオナール 2.0
ヘディオン 8.0
イソEスーパー 3.0
cis−3−ヘキセノール 0.3
リガントラール 0.3
トリプラール 0.4
シクラメンアルデヒド 1.5
ヘキシルシンナミックアルデヒド 6.0
ベルトフィックス 3.0
ガラクソリド 5.0
トナリッド 6.0
ペンタリッド 1.0
バクダノール 0.5
カシュメラン 2.0
ムスクT 1.0
フルーツベース 3.0 ローズベース 3.0
ジャスミンベース 1.0
ミューゲベース 3.0
アンバーベース 1.0
ノナナール 10%ジプロピレングリコール溶液 2.0
デカナール 10%ジプロピレングリコール溶液 1.0
メチルノニルアルデヒド 10%ジプロピレングリコール溶液 2.0
ジプロピレングリコール 1.0
合計 100.0
【0068】
香料B
下記組成の香料を用いた。
組成(%)
ウンデカナール 0.1
アリルアミルグリコレート 0.5
アンブロキサン 1%ジプロピレングリコール溶液 0.5
ベルガモット油 10.0
cis−3−ヘキセノール 0.2
シトロネロール 10.0
ジヒドロミルセノール 3.0
ユーカリ油 0.5
ガラクソリド 50%ジプロピレングリコール溶液 5.0
ゲラニルニトリル 1.0
グレープフルーツ油 10.0
メチルジヒドロジャスモネート 5.0
ヘリオナール 2.0
イオノン 1.0
レモン油 14.9
リリアール 2.0
ライム油 2.0
リラール 2.0
オレンジ油 8.0
o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート 5.0
ローズアブソリュート 0.2
フェニルエチルアセテート 1.0
サンタリノール 1.0
ターピネオール 1.0
トナリッド 7.0
バニリン 10%ジプロピレングリコール溶液 1.0
ペンタリッド 2.0
エチレンブラシレート 2.0
オキサヘキサデセン−2−オン 1.0
14−メチルヘキサデセノリド 1.0
合計 100.0
【0069】
香料C
下記組成の香料を用いた。
組成(%)
デカナール 0.1
バクダノール 1.0
ベンゾインレジノイド 0.5
ベンジルアセテート 1.0
フェニルエチルアルコール 4.5
ベルガモット油 5.0
シトロネロール 3.0
ゲラニルアセテート 2.0
ジヒドロミルセノール 1.0
オイゲノール 0.5
リナロール 5.0
ガラクソリド 50%ジプロピレングリコール溶液 6.0
ゲラニオール 3.0
ゼラニウム油 0.5
ヘリオトロピン 1.0
α−ヘキシルシンナミックアルデヒド 3.0
イオノン 3.0
イソEスーパー 7.0
ジャスミンアブソリュート 0.3
リリアール 7.9
リラール 4.5
メチルジヒドロジャスモネート 4.0
メチルイオノン 8.0
アブソリュートオークモス 0.1
p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート 2.0
フェニルエチルアセテート 3.0
ローズアブソリュート 0.1
スチラリールアセテート 0.5
ターピネオール 2.0
テトラハイドロムゴール 6.0
トナリッド 5.0
γ−ウンデカラクトン 0.3
アセチルセドレン 3.0
イランイラン油 0.2
ペンタリッド 3.0
エチレンブラシレート 1.0
14−メチルヘキサデカノリド 1.0
オキサヘキサデセン−2−オン 1.0
合計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
1COOX (1)
[式中、R1は炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Xは[HX1]+であり、X1はNH3、R2−NH2、又はR2O−NH2(但し、R2は直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)を示す。]
で表される脂肪酸塩0.5質量%以上を、黄色ブドウ球菌への殺菌有効成分として含有する皮膚用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項2】
請求項1の皮膚用殺菌洗浄剤組成物を使用する、表皮ブドウ球菌よりも黄色ブドウ球菌を選択的に殺菌する菌選択殺菌方法。


【公開番号】特開2006−206582(P2006−206582A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367960(P2005−367960)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】