説明

監視カメラ

【課題】赤外光照明により夜間でも有効な映像を得ることができると共に、可視光照明により侵入者への威嚇から便利灯等としても使用可能な監視カメラを提供する。
【解決手段】本体ケース内に赤外光LEDと撮像部及びセンサ部が配置され、赤外光LEDによる赤外光照明で監視エリア内の映像を撮像部により撮像可能な監視カメラであって、本体ケース内に可視光LEDが配置され、センサ部による検知信号もしくは外部入力信号により該可視光LEDが所定のモードで点灯または点滅することを特徴とする。前記赤外光LEDと可視光LEDは、本体ケース内に配置された同一のプリント基板上に所定の配列で実装され、また、前記モードは、連続点灯状態の通常モード、点滅状態の点滅モード、通常モードより照度が暗い状態の警戒モードの少なくとも2つに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯警備システム等に使用される監視カメラに係わり、特に、侵入者への威嚇用や便利灯等としても使用可能な監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラとしては、暗視型と可視光照明型が使用されている。暗視型の監視カメラは、本体ケース内にCCD撮像素子からなる撮像部と赤外光LED及びセンサ部等が配置され、本体ケースが天井や壁面等に設置されて赤外光LEDによる赤外光照明で監視エリア内の侵入者等の映像を撮像するようになっている。また、可視光照明型の監視カメラは、本系ケース内に配置したハロゲン灯による可視光照明で侵入者等の映像を撮像するようになっている。なお、この種の撮像装置に関する公報としては、例えば特許文献1及び特許文献2がある。
【特許文献1】特開2006−237733号公報
【特許文献1】特開平11−252424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、暗視型の監視カメラにおいて、本体ケース内に配置した赤外光LEDによる赤外光照明で侵入者等を暗視撮像できるものの、赤外光照明を侵入者への威嚇用として使用することはできず、威嚇用の照明装置やベル等の威嚇装置を別途設ける必要がある等、監視カメラシステムがコスト高になり易い。また、可視光照明型の監視カメラにおいては、ハロゲン灯による可視光照明でカラー撮像したり侵入者への威嚇が行われるものの、消費電力が多く監視カメラのメンテナンスコストが嵩むと共に、可視光が点灯していない場合の映像を得ることが困難で昼夜に係わらず連続した監視を行うことが難しい。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、赤外光照明により夜間でも有効な映像を得ることができると共に、可視光照明により侵入者への威嚇から便利灯等としても使用可能な監視カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケース内に赤外光LEDと撮像部及びセンサ部が配置され、赤外光LEDによる赤外光照明で監視エリア内の映像を撮像部により撮像可能な監視カメラであって、前記本体ケース内に可視光LEDが配置され、前記センサ部による検知信号もしくは外部入力信号により該可視光LEDが所定のモードで点灯または点滅することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記赤外光LEDと可視光LEDが、本体ケース内に配置された同一のプリント基板上に所定の配列で実装されていることを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記モードが、連続点灯状態の通常モード、点滅状態の点滅モード、前記通常モードより照度が暗い状態の警戒モードの少なくとも2つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、赤外光LEDと撮像部及びセンサ部が配置される本体ケース内に可視光LEDが配置され、この可視光LEDがセンサ部による検知信号や外部入力信号により所定のモードで点灯または点滅するため、赤外光LEDによる赤外光照明で夜間でも監視エリア内の映像を良好に得ることができて、昼夜に係わらずコスト安価な監視が行えると共に、可視光LEDによる可視光照明を侵入者への威嚇や便利灯等としても使用することができて、威嚇用の照明装置等を別途設ける必要がなくなり、コスト安価でかつ使い勝手に優れた監視カメラを得ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、赤外光LEDと可視光LEDが、本体ケース内に配置された同一のプリント基板上に所定の配列で実装されているため、可視光LEDと赤外光LEDを本体ケース内に効率的に配置できて、効果的な映像撮像や威嚇等を行うことができると共に、監視カメラ自体の小型化を図ることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、可視光LEDが、通常モード、点滅モード、警戒モードの少なくとも2つのモードで点灯するため、各モードへの設定により効果的な威嚇効果が行えたり便利灯等としてより効果的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わる監視カメラの一実施形態を示し、図1がそのカバー部材を取り外した状態の斜視図、図2がその要部の正面図、図3が制御系のブロック図、図4が赤外光LEDの点灯状態を示す説明図、図5が可視光LEDの点灯状態を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、監視カメラ1は、全体形状がドーム型に形成され、略有底円筒形状の本体部2aと、この本体部2aの開口部に装着されたカバー部2b等からなる本体ケース2を有している。本体ケース内2には、赤外光LED3と可視光LED4が実装された左右一対のプリント基板5a、5bが配置されている。プリント基板5a、5bは、該基板5a、5b上に実装された各LED3、4の光が、カバー部2bに設けられ図示しないカバー部材で覆われる開口から警戒エリア内に照射されるように配置されている。
【0012】
また、前記各LED3、4は、図2に示すように、各基板5a、5bにそれぞれ複数個(図では赤外光LED3が9個で可視光LED4が3個)実装されると共に、赤外光LED3が略2列状態で、可視光LED4が赤外光LED3に並列状態で1列実装されている。また、各LED3、4が実装される2枚の基板5a、5bは、その実装面が所定角度を有する如く配置されている。なお、各LED3、4の配列状態や個数、基板5a、5bの配置形態等は一例であって、監視カメラ1に必要とされる可視光の照度や警戒エリアの大きさ等に応じて適宜に設定することができる。
【0013】
図3は、前記監視カメラ1の制御系ブロック図を示しており、以下、これについて説明する。監視カメラ1は、マイコン等からなる制御部6と、この制御部6に電源を供給する外部電源端子8に接続された電源回路7と、制御部6の入力側に接続された同期分離回路9及び信号処理回路10と、制御部6の出力側に接続された重複回路11等を有している。また、同期分離回路9と重複回路11には、カラーCCD素子等からなる撮像部12が接続され、信号処理回路10には、CDS素子(焦電素子)等からなるセンサ部13が接続されている。
【0014】
そして、前記制御部6の出力側には、前記赤外光LED3と可視光LED4が接続されると共に信号出力端子14が接続され、また、前記重複回路11には映像出力端子15が接続されている。また、制御部6には、外部信号入力端子16を介してモード設定スイッチ等からなるモード設定部(図示せず)が接続されている。つまり、監視カメラ1は、本体ケース2内に、カラーカメラとして機能する撮像部12と、熱線センサとして機能するセンサ部13が一体的に組み込まれている。なお、前記各回路は、前記プリント基板5a、5b上に実装されるか、もしくは図示しない本体ケース2内に配置された他のプリント基板上に実装されている。
【0015】
次に、このように構成された監視カメラ1の動作の一例を図4及び図5に基づいて説明する。図4(a)に示すように、電源回路7を介して制御部6に電源が供給されると、図4(b)に示すように、電源がONとなり、照度センサが監視エリアが暗いと判断すると、制御部6から各赤外光LED3に点灯信号が出力されて該LED3が点灯する。この赤外光LED3の点灯で照射される赤外光照明により、警戒エリア内の画像が監視カメラ1の撮像部12で撮像され、その撮像データが同期分離回路9、制御部6、重複回路11等で適宜に処理されて、映像出力端子15から図示しない外部機器としての録画機器に出力されて録画されたり、あるいは監視センターに伝送されて記憶される。
【0016】
一方、図5(a)に示すように、外部入力端子16から外部入力信号が入力された場合は、制御部6を介して各可視光LED4が点灯し、このとき、可視光LED4の点灯は、例えば3つのモードで点灯するようになっている。すなわち、前記モード設定部で通常モードが設定されて外部信号入力端子16から信号が制御部6に入力された場合は、図5(b)に示すように、可視光LED4に電流値Iが連続的に供給されて、各可視光LED4が連続点灯する。この通常モードは、監視カメラ1を常夜灯等の便利灯として使用する際等に適用される。
【0017】
また、モード設定部で警戒モードが設定された場合は、図5(c)に示すように、前記電流値Iより低電流値(例えば電流値I/2)が可視光LED4に供給されて、各可視光LED4が通常モードより照度が落ちた状態で点灯または点滅する。この可視光LED4の点灯で、監視カメラ1から通常モードより暗い可視光が警戒エリア内に照射されて、警戒状態であることが侵入者等に報知される。
【0018】
また、図5(d)に示すように、モード設定部で点滅モードが設定されて外部信号入力端子16から信号が制御部6に入力された場合、またはセンサ部13で侵入者が検知されてONとなった場合は、制御部6から各可視光LED4に電流値Iがパルス状に供給されて各LED4が点滅する。このときの可視光LED4の点滅パターンは、そのオン・オフ時間T1を増減させることにより点滅状態を適宜に変更できるし、電流値Iを増減させて点滅時の可視光LED4の照度を変更することもできる。
【0019】
この点滅モードは、センサ部13により侵入者が検知された場合に実行されることから、可視光LED4の点滅で侵入者への威嚇効果が得られ、その際、点滅状態を所定に設定することで、より効果的な威嚇効果が得られることになる。つまり、前記監視カメラ1によれば、監視カメラ1内に設けた可視光LED4がモード設定部で設定されたモードに応じて、通常、警戒、点滅の3つのモードで点灯することになる。
【0020】
なお、以上の例では、可視光LED4の点灯が、通常モードと警戒モード及び点滅モードの3つのモードで点灯する例について説明したが、例えば、図6に示すような点滅モードを追加することもできる。すなわち、図6(a)に示すように、センサ部13で侵入者が検知された場合に、各基板5a、5b上の3個の可視光LED4(図では可視光LED1〜3)を、図6(b)に示すように連続して順番に点灯させたり、図6(c)に示すように所定の時間差T2を持って順番に点灯させて光を移動させる。このときも、各LED4に供給される電流値Iを図6(b)の二点鎖線で示すように変化させて、多彩な点滅状態を創出し、侵入者への威嚇効果をより一層高めることもできる。なお、この実施形態の場合、可視光LED4の個数によっては、可視光LED4をグループ分けして点灯させることも可能である。
【0021】
このように、上記実施形態の監視カメラ1にあっては、撮像部12とセンサ部13が内蔵された本体ケース2内に赤外光LED3と可視光LED4が配置され、この可視光LED4が監視エリア内の状況に応じて点灯するため、赤外光LED3による赤外光照明で夜間でも監視エリア内の映像を良好に得ることができて、昼夜に係わらずコスト安価な監視に行うことができる。
【0022】
また、可視光LED4が外部入力信号やセンサ部13で侵入者を検知した場合等に点灯するため、外部入力信号により可視光照明を常夜灯等の便利灯として使用することができると共に、侵入者を検知した場合の点灯により可視光照明を侵入者への威嚇用としても使用することができ、従来の暗視型の監視カメラのように威嚇用の照明装置や威嚇装置を別途設ける必要がなくなる。特に、可視光LED4が、通常モード、点滅モード、警戒モードの少なくとも2つのモードで点灯するため、各モードへの設定により効果的な威嚇効果が行えたり便利灯等としてより効果的に使用することができ、これらにより、コスト安価でかつ使い勝手に優れた監視カメラ1を得ることができる。
【0023】
また、威嚇用としても使用できる可視光照明が可視光LED4の点灯により行われるため、監視カメラ1自体の消費電力を少なくできると共にハロゲン灯等に比較してLED3、4自体の寿命を延ばすことができて、メンテナンスコストの低減化を図ることができる。さらに、赤外光LED3と可視光LED4が、本体ケース2内に配置されたプリント基板5a、5b上に所定の配列で実装されているため、可視光LED3と赤外光LED4を本体ケース2内に効率的に配置できて、所望方向に所定の光を照射できる等、効果的な映像の撮像や威嚇等を行うことができると共に、監視カメラ1自体の小型化を図ることができる。
【0024】
なお、上記実施形態においては、可視光LED4を赤外光LED3と同一基板5a、5b上に実装したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば可視光LED4を専用のプリント基板に実装して所定方向に可視光を照射するようにしても良い。また、上記実施形態においては、本体ケース2内に配置したセンサ部13の検知信号により、可視光LED4を点灯させて威嚇効果を得るようにしたが、例えば監視カメラ1とは別体で設けた熱線センサ等の各種センサと連動させて監視カメラ1内の可視光LED4を点灯させて威嚇効果を得るように構成することもできる。
【0025】
さらに、上記実施形態における、可視光LED4の点灯モード、あるいは制御系のブロック図等は一例であって、例えば警戒モード時に、点滅モードの一部を付加する等、各モードを適宜に組み合わせる等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、全体形状がドーム型の監視カメラに限らず、撮像部とセンサ部が一体化された各種監視カメラにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係わる監視カメラのカバー部材を取り外した状態の斜視図
【図2】同その要部の正面図
【図3】同制御系を示すブロック図
【図4】同赤外光LEDの点灯状態を示す説明図
【図5】同可視光LEDの点灯状態を示す説明図
【図6】同可視光LEDの他の点灯状態を示す説明図
【符号の説明】
【0028】
1・・・監視カメラ、2・・・本体ケース、3・・・赤外光LED、4・・・可視光LED、5a、5b・・・プリント基板、6・・・制御部、7・・・電源回路、8・・・外部電源端子、9・・・同期分離回路、10・・・信号処理回路、11・・・重複回路、12・・・撮像部、13・・・センサ部、14・・・信号出力端子、15・・・映像出力端子、16・・・外部信号入力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に赤外光LEDと撮像部及びセンサ部が配置され、赤外光LEDによる赤外光照明で監視エリア内の映像を撮像可能な監視カメラであって、
前記本体ケース内に可視光LEDが配置され、前記センサ部の検知信号もしくは外部入力信号により該可視光LEDが所定のモードで点灯または点滅することを特徴とする監視カメラ。
【請求項2】
前記赤外光LEDと可視光LEDが、本体ケース内に配置された同一のプリント基板上に所定の配列で実装されていることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記モードが、連続点灯状態の通常モード、点滅状態の点滅モード、前記通常モードより照度が暗い状態の警戒モードの少なくとも2つであることを特徴とする請求項1または2に記載の監視カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−17185(P2009−17185A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176140(P2007−176140)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】