監視装置、監視方法及びプログラム
【課題】多重化されたSIPサーバを含むSIP制御網全体の正常性を、効率的に短時間で確認する。
【解決手段】SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5における接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶するネットワークトポロジ情報記憶部と、試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、ネットワークトポロジ情報と通過経路情報とに基づいて、リンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスの候補として選択する試験パス選択部と、試験パスの候補の発信元試験端末と着信先試験端末とを選択し、試験パスを確定する試験端末選択部と、選択された試験端末に試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、を備える。
【解決手段】SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5における接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶するネットワークトポロジ情報記憶部と、試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、ネットワークトポロジ情報と通過経路情報とに基づいて、リンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスの候補として選択する試験パス選択部と、試験パスの候補の発信元試験端末と着信先試験端末とを選択し、試験パスを確定する試験端末選択部と、選択された試験端末に試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信キャリア網にとどまらず、企業や自治体の内線電話網においてもIP(Internet Protocol)電話の利用が増加している。IP電話サービスは、SIP(Session Initiation Protocol)を利用してユーザ間の発呼及び着呼を実現することが多く、呼の中継を担うSIPサーバの役割が重要である。IP電話サービスの可用性を高めるために、SIPサーバは冗長構成を取っていることが多く、そのような環境下において、SIPサーバにおけるSIPシグナリングの伝搬が正常に行われていることを確認することが非常に重要になってきている。
【0003】
冗長化されたIPネットワークにおいて、各経路が疎通可能であるかどうかを確認する方法としては、一般的にはネットワークに接続する端末間でping(Packet INternet Grouper)コマンドを利用し、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットを伝搬させることで確認することが出来る(例えば、非特許文献1参照)。これに加え、パケット中継装置(スイッチやルータ等)の流入・流出パケットをキャプチャすることで、中継装置がパケットを転送できているか、冗長化されたネットワークのどの経路を通過しているかを正確に把握することが出来る。
【0004】
SIP制御網を考えたとき、SIPサーバはIPネットワークにおけるルータ等の中継装置と同様と考えることが出来る。SIP制御網は、SIPサーバを含んで構成される呼制御のためのネットワークである。そこで、IPネットワークにおける確認方法と同様に、電話番号帯毎に発呼・着呼を行うことで、各SIPサーバにおいて着信番号帯毎にSIPシグナリングの伝搬が行われているか、冗長化されている転送先のSIPサーバ全てに呼が伝搬しているかを確認することが出来る。伝搬の確認方法としては、各SIPサーバに流入・流出する全SIPシグナリングをキャプチャし、確認するシステムを利用することで可能である(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
ところで、SIP制御網では、信頼性向上のためにSIPサーバが多重化されていることがある。図41は、SIP制御網内のSIPサーバが多重化されている場合の構成例を示す概略図である。ここで、発信元試験端末は発呼する端末であり、着信先試験端末は着呼する端末である。また、着信元試験端末の番号帯(以下、着信番号帯とする)は「0723」である。本図に示す例では、発信元試験端末に接続されるSIPサーバXにおいて、着信番号帯「072」の呼に対して3台のSIPサーバ(図示するSIPサーバ群A)が転送先として設定されている。つまり、SIPサーバ群Aは多重化されている。この場合、SIPサーバXは、選択ポリシーに従って3台のSIPサーバから転送先を選択して呼を転送する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ping‐ネットワークの疎通を確認する”、[online]、[平成22年10月27日検索]、インターネット〈URL:http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/netcom/ping/ping.html〉
【非特許文献2】“NetCall Monitor”、[online]、[平成22年10月27日検索]、インターネット〈URL:http://www.softfront.co.jp/products/applience/netcall/netcall_monitor.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、SIPサーバが多重化されている場合には、発呼する端末に接続されるSIPサーバXと着信番号帯と(以後、この組合せを「パス」と呼ぶ)が同一の呼であっても、経由するSIPサーバやリンクが毎回異なるため、SIP制御網全体の正常性の確認が困難となる。SIP制御網全体の正常性を確認するとは、SIP制御網を構成する全てのリンクにおいて試験呼が最低1回通過すること、及び、SIP制御網内の全てのSIPサーバにおいて、呼転送情報(番号帯毎に転送先が設定された情報)に存在する全ての番号帯に合致する試験呼がそれぞれ最低1回は転送されること、の2点を確認することである。
具体的に説明すると、SIPサーバが多重化されている部分では、全てのリンクの疎通や全てのSIPサーバにおける転送処理を確認するために、複数の試験呼を通す必要がある。しかし、SIPサーバの多重度は加入者の収容状況などによりエリア毎に異なるため、SIP制御網内でも場所によって確認が必要とされるリンクやSIPサーバの数が異なる。また場所によって、同じリンクやSIPサーバを共有しているパスの組合せも異なる。
このため、網の構成が複雑である場合や、網の規模が大きい場合には、無作為に試験パスを選択してしまうと、確認済みのリンクやSIPサーバを重複して経由するパスが選択される可能性が高くなり、SIP制御網全体の正常性を確認するために必要となる試験パス数が無駄に多くなってしまうが場合ある、という問題がある。
また、1つの試験端末を同時に複数の試験に用いることができない場合、試験パスが特定の試験端末に集中してしまい、利用されない試験端末が発生するなどして、結果として確認完了までに要する時間が長くなってしまうことも課題となる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多重化されたSIPサーバを含むSIP制御網全体の正常性を、効率的に短時間で確認することができる監視装置、監視方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部と、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する試験パス選択部と、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定する試験端末選択部と、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、を備えることを特徴とする監視装置である。
【0010】
この発明によれば、未確認数が最大である構成要素を持つパスを試験パスとして選択しているため、ネットワーク全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、試験パスが確定すると、当該確定した試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、前記確定した試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する未確認数補正部を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、試験パスが確定すると未確認数を補正する。つまり、数学的期待値に基づいて試験パスを選択しているため、ネットワークの正常性を確認するために必要となる試験呼数を少なく抑えることができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、前記試験パス選択部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなるまで、前記未確認数の大きい構成要素を持つパスから順次試験パスとして選択し、前記試験端末選択部は、既に選択した試験端末以外の試験端末を選択し、前記試験指示実行部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなると、確定した全ての試験パスの試験指示を送信することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、選択可能な試験端末がなくなるまで繰り返し試験パスを選択し、選択可能な試験端末がなくなると確定された全ての試験パスの試験指示を送信する。これにより、同時に複数の試験パスを試験することができるため、ネットワークの正常性を確認するために要する時間を短くすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、前記試験端末選択部は、選択可能な着信側の試験端末がない場合、他の試験パスの発信側として既に選択された試験端末を、前記試験パス選択部に選択された試験パスの着信側の試験端末とし、前記他の試験パスの発信側の試験端末を選択可能な試験端末から選択することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、着信側の試験端末に空きがない場合、発信側として選択した試験端末を着信側の試験端末に変更する。これにより、試験端末を有効利用し、試験呼数を削減することができる。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき、各試験端末の配置を決定する試験端末配置決定部を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき試験端末の配置を決定するため、より効率良く正常性を確認ことができるように試験端末を配置することができる。これにより、試験パスが特定の試験端末に集中することを防ぎ、試験端末を有効利用することができる。
【0019】
また、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置に用いられる監視方法であって、前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、を有することを特徴とする監視方法である。
【0020】
また、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置として用いられるコンピュータに、前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、未確認数が最大である構成要素を持つパスを試験パスとして選択しているため、ネットワーク全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。このため、多重化されたSIPサーバを含むSIP制御網全体の正常性を、効率的に短時間で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるSIP制御網監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるパスを説明するためのイメージ図である。
【図3】本実施形態によるリンクの未確認数を説明するためのイメージ図である。
【図4】本実施形態による転送処理の未確認数を説明するためのイメージ図である。
【図5】本実施形態によるSIP制御網監視装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
【図7】本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ例を示す概略図である。
【図8】本実施形態による試験パス候補リストのデータ構造を示す概略図である。
【図9】本実施形態による試験パス選択リストのデータ構成を示す概略図である。
【図10】本実施形態によるリンク未確認数リストのデータ構成を示す概略図である。
【図11】本実施形態による転送処理未確認数リストのデータ構造を示す概略図である。
【図12】本実施形態による確定試験パスリストのデータ構造を示す概略図である。
【図13】本実施形態によるSIP制御網全体正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態による試験端末配置導出処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態による正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態による未確認数算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図18】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図19】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図20】本実施形態による試験パス選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図22】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図23】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図24】本実施形態による試験端末選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図26】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図27】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図28】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図29】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図30】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図31】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図32】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図33】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図34】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図35】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図36】本実施形態による未確認数補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図37】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図38】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図39】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図40】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図41】SIP制御網内のSIPサーバが多重化されている場合の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるSIP制御網監視システムの全体構成を示すブロック図である。
同図に示すように、複数のSIPサーバ3から構成されるSIP制御網5全体の正常性を確認するSIP制御網監視システムは、ネットワークトポロジ情報記憶部を備えたSIP制御網監視装置1と、SIPサーバ3と、SIPログ収集装置2と、試験端末4とを含んで構成される。SIP制御網5全体の正常性を確認するとは、SIP制御網5を構成する全てのリンクにおいて試験呼が最低1回通過すること、及び、SIP制御網5内の全てのSIPサーバ3において、呼転送情報(番号帯毎に転送先が設定された情報)に存在する全ての番号帯に合致する試験呼がそれぞれ最低1回は転送されること、の2点を確認することである。
全ての試験端末4とSIP制御網監視装置1、全てのSIPサーバ3とSIPログ収集装置2、及びSIPログ収集装置2とSIP制御網監視装置1とは通信ネットワークにより接続されている。
【0024】
SIP制御網5は、SIPに基づく呼を発信する端末と呼を着信する端末とを接続する監視対象ネットワークであり、加入者を収容するSIPサーバ3と、中継用のSIPサーバ3とから構成される。加入者を収容するSIPサーバ3とは、加入者(ユーザ)の呼を発信又は着信する端末と接続するSIPサーバ3である。ここで、SIP制御網5において、試験端末4に近いSIPサーバ3から順に第1階層、第2階層、…、第N階層とグルーピングして階層化する。第1階層にあるSIPサーバ3が加入者を収容するためのSIPサーバ3であり、第1階層以外にあるSIPサーバ3が中継用のSIPサーバ3である。ここで、階層の数字が小さいほう、つまり、試験端末4に近い階層を下位層とし、階層の数字が多いほうを上位層とする。
中継用のSIPサーバ3は、信頼性を確保するために2台以上のSIPサーバ3により多重化されている。ここで、1つの番号帯の呼に対応して複数台のSIPサーバ3が転送先として設定されていることを、多重化されているという。以下、多重化されたSIPサーバ3群をサーバグループとする。
また、SIPサーバ3は、各階層において、ブロックB毎にグルーピングされており、ブロックB内でフルメッシュに接続されている。また、各階層間においては、下位層のブロックB内にある全てのSIPサーバ3と、上位層にて当該下位層のブロックBを収容する(と接続する)サーバグループに含まれるSIPサーバ3とはフルメッシュで接続されている。
なお、本図に示すSIP制御網5は一例であり、本例に限らず、SIPサーバ3が多重化されているSIP制御網であればよい。
【0025】
SIPサーバ3は、SIPに基づく呼を制御するサーバ装置である。SIPサーバ3は、呼を受信すると、予め記憶している呼転送情報において受信した呼の着信先番号に合致する転送先のSIPサーバ3に受信した呼を転送する。呼転送情報とは、番号帯毎に転送先が設定された情報である。このとき、SIPサーバ3は、転送先のSIPサーバ3が呼転送情報に複数設定されている場合には、その中からランダムで1つSIPサーバ3を選択し、選択したSIPサーバ3に受信した呼を転送する。
以下、説明の便宜を図るため、各SIPサーバ3を識別するためのサーバIDが「x」であるSIPサーバ3をSIPサーバ3xと記す。なお、各SIPサーバ3に共通する事項についてはサーバIDを省略し、単にSIPサーバ3又は各SIPサーバ3と記す。
【0026】
試験端末4は、SIP制御網5の正常性を確認するための試験呼を発信又は着信する端末であり、例えばIP電話機等の一般通信端末と同様に試験端末4間でアクティブな通信が可能な装置である。各試験端末4は、SIP制御網監視装置1と通信ネットワークにより接続しており、SIP制御網監視装置1からの試験指示により、任意の2台の試験端末4間で疎通試験を実施する。試験指示とは、試験呼の発信又は着信をする疎通試験の実施指示である。また、試験端末4は、実施した疎通試験の実行結果をSIP制御網監視装置1に送信する。
【0027】
SIPログ収集装置2は、各SIPサーバ3における呼の受信ログ及び送信ログを収集する装置である。SIPログ収集装置2は、SIP制御網5内のどのSIPサーバ3によって呼が転送されたか等を示す通過経路情報をSIP制御網監視装置1に送信する。
【0028】
SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5全体の正常性を確認するためのサーバ装置である。SIP制御網監視装置1は、疎通試験の試験パスを選択し、選択した試験パスに基づいて、各試験端末4に試験指示を送信する。また、SIP制御網監視装置1は、各試験端末4が実施した疎通試験の実行結果を受信する。
ここで、SIP制御網監視装置1は、ネットワークトポロジ情報記憶部が記憶するネットワークトポロジ情報と、SIPログ収集装置2から受信した試験呼の通過経路情報とに基づいて、SIP制御網5全体の正常性を短時間で確認するために最優先で実施しなければならない試験パスを選択する。
なお、SIP制御網監視装置1は、SIPログ収集装置2が存在せず、試験呼の通過経路情報が得られない場合であっても、SIP制御網5全体の正常性を短時間で確認するために優先的に実施すべき試験パスを選択することも可能である。
【0029】
ネットワークトポロジ情報とは、監視対象となるSIP制御網5及び試験端末4の接続関係を特定するためのトポロジ情報である。このネットワークトポロジ情報には、各SIPサーバ3における呼転送情報も含まれる。
【0030】
次に、以下で用いる語を次のように定義する。
呼転送情報とは、番号帯と転送先SIPサーバ3の情報(例えば、アドレスやサーバID)との組から構成される呼を転送するための情報である。ここで、転送先のSIPサーバ3が多重化されている場合には、1つの番号帯に対して複数の転送先SIPサーバ3が設定される。この呼転送情報は、各SIPサーバ3で夫々管理されている。SIPサーバ3は、受信した呼の着信先番号に合致する番号帯を呼転送情報から読み出し、読み出した番号帯に対応する転送先SIPサーバ3に受信した呼を転送する。
【0031】
図2は、本実施形態によるパスを説明するためのイメージ図である。
パスとは、加入者を収容するSIPサーバ3間の経路である。ここで、呼を発信する端末に接続する発信側のSIPサーバ3から着信先番号の番号帯を管理するSIPサーバ3までの経路を1本のパスの単位とする。
【0032】
例えば、図2(a)に示すSIP制御網5において、SIPサーバ3Aから番号帯「0721」を管理するSIPサーバ3CまでのパスACを抽出する場合、図2(b)に示すように、7台のSIPサーバ3と11本のリンクがこのパスACの構成要素として抽出される。リンクとは、SIPサーバ3間を接続する区間である。以下、サーバグループ間を接続するリンク群をリンクグループとする。
また、図に示すSIPサーバ3Dのように複数の番号帯(「0722」と「0723」)を管理している場合、そのSIPサーバ3を着側とするパスは、SIPサーバ3AからSIPサーバ3D(「0072」)までのパスとSIPサーバ3AからSIPサーバ3D(「0073」)までのパスとのように全て別のパスとして扱う。
【0033】
図3は、本実施形態によるリンクの未確認数を説明するためのイメージ図である。
リンクの未確認数とは、試験呼による疎通が確認できていないリンクの数である。本図において、実線で示すリンクは、試験呼による疎通が確認できているリンクである。一方、点線で示すリンクは、試験呼による疎通が確認できていないリンクである。図に示す例では、SIPサーバ3AとサーバグループXとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は2である。また、サーバグループXとサーバグループYとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は4である。また、サーバグループYとSIPサーバ3Cとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は0である。
【0034】
図4は、本実施形態による転送処理の未確認数を説明するためのイメージ図である。
転送処理の未確認数とは、パスの着信番号帯に対する転送処理が試験呼により確認できていないSIPサーバ3の数である。パスの着信番号帯とは、パスにおける着信先番号の番号帯である。
図に示す各表tは、各SIPサーバ3が保持するこのパスACにおける呼転送情報tである。呼転送情報tにおいて網掛けがある部分は、各SIPサーバ3において転送処理が確認された番号帯を示す。一方、呼転送情報tにおいて網掛けがない部分は、各SIPサーバ3において転送処理が確認されていない番号帯を示す。
図に示す例では、SIPサーバ3Aにおける番号帯「07」の転送処理は確認されている。つまり、SIPサーバ3Aが属するサーバグループの番号帯「07」における転送処理の未確認数は0である。また、SIPサーバ3X2における番号帯「072」の転送処理は確認されており、SIPサーバ3X1及びSIPサーバ3X3における番号帯「072」の転送処理は確認されていない。つまり、SIPサーバ3X1とSIPサーバ3X2とSIPサーバ3X3とが属するサーバグループXの番号帯「072」における転送処理の未確認数は2である。また、SIPサーバ3Y2における番号帯「0721」の転送処理は確認されており、SIPサーバ3Y1における番号帯「0721」の転送処理は確認されていない。つまり、SIPサーバ3Y1とSIPサーバ3Y2とが属するサーバグループYの番号帯「0721」における転送処理の未確認数は1である。
【0035】
図5は、本実施形態によるSIP制御網監視装置1の構成を示すブロック図である。
SIP制御網監視装置1は、試験結果受信部101と、未確認数算出部102と、試験パス選択部103と、試験端末選択部104と、未確認数補正部105と、通過経路情報受信部106と、ネットワークトポロジ情報記憶部107と、試験指示実行部108と、試験端末配置決定部109とを含んで構成される。
試験結果受信部101は、各試験端末4から疎通試験の実行結果を受信し、異常がないことを確認する。疎通試験の実行結果とは、パスの疎通を確認するための試験呼の発信結果及び着信結果である。試験結果受信部101は、パスの試験呼を着信する試験端末4が試験呼を着信すると、疎通試験の実行結果に異常がないと判定する。通過経路情報受信部106は、試験呼の通過経路情報をSIPログ収集装置2から受信し、受信した通過経路情報を未確認数算出部102に出力する。
【0036】
未確認数算出部102は、通過経路情報受信部106により受信された通過経路情報と、ネットワークトポロジ情報記憶部107に記憶されているネットワークトポロジ情報とに基づいて、SIP制御網5全体において、リンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する。そして、未確認数算出部102は、SIP制御網5におけるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数が0になると、それまでの疎通試験の実行結果に異常がなければSIP制御網全体が正常であると判定し、処理を終了する。
【0037】
試験パス選択部103は、未確認数算出部102が算出したリンクの未確認数及び転送処理の未確認数と、ネットワークトポロジ情報記憶部107に記憶されているネットワークトポロジ情報とに基づいて、最優先で実施しなければならない試験パスを1つ選択する。ここで試験パス選択部103が選択する試験パスは、試験を実施するパスの候補である。具体的には、試験パス選択部103は、未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する。また、試験パス選択部103は、試験端末選択部104により選択可能な試験端末4がなくなるまで順次繰り返し試験パスを選択する。そして、試験パス選択部103は、選択するパスが残っていない場合には、試験指示実行部108に処理を移す。
【0038】
試験端末選択部104は、試験パス選択部103により選択された試験パスについて、試験呼を発信する発信元試験端末4(発信側の試験端末4)と試験呼を着信する着信先試験端末4(着信側の試験端末4)とを選択し、試験パスとして確定させる。また、試験端末選択部104は、既に選択した(確定した試験パスで選択した)試験端末4以外の試験端末4を選択する。また、試験端末選択部104は、試験に利用できる試験端末4が存在しない場合には、当該試験パスを選択対象から除外した上で試験パス選択部103に処理を戻す。すなわち、試験パスは、試験パス選択部103により候補として選択された後、試験端末選択部104により当該試験パスの発信側と着信側にそれぞれ利用可能な試験端末4が選択された時点で、試験パスとして確定される。
【0039】
未確認数補正部105は、試験端末選択部104により確定された試験パスについて、この試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、この試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する。そして、未確認数補正部105は、試験パス選択部103に処理を戻す。試験指示実行部108は、試験端末選択部104において選択可能な試験端末4がなくなると、試験端末選択部104により確定された全ての試験パスの試験端末4に試験指示を送信する。試験端末配置決定部109は、各試験端末4が試験に利用された回数についての試験端末4間の比に基づき、試験端末4の最適配置を決定する。最適配置とは、SIP制御網5全体の正常性を確認するための試験回数が最小となる試験端末4の配置位置及び台数である。
【0040】
次に、ネットワークトポロジ情報記憶部107が記憶するネットワークトポロジ情報について説明する。図6は、本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
ネットワークトポロジ情報は、パスデータと、リンク構成データと、サーバ構成データと、リンクデータと、リンクグループデータと、呼転送情報データと、試験端末データと、サーバデータとを含んで構成される。ネットワークトポロジ情報は、本図に示す各データを保持する。
【0041】
パスデータは、パスIDと、発信元サーバIDと、着信先サーバIDと、着信先番号帯との各項目を有する。パスデータは、パスID毎に存在する。パスIDは、各パスを一意に識別するための任意の情報である。発信元サーバIDは、呼を発信する端末に接続される発信側のSIPサーバ3のサーバIDである。サーバIDは、各SIPサーバ3を一意に識別するための任意の情報である。着信先サーバIDは、呼の着信先番号帯を管理する着信側のSIPサーバ3のサーバIDである。
【0042】
サーバ構成データは、パスIDと、サーバグループIDとの各項目を有する。サーバ構成データは、パスIDとサーバグループIDとの組毎に存在する。サーバグループIDは、サーバグループを一意に識別するための任意の情報である。
サーバデータは、サーバIDとサーバグループIDとの各項目を有している。サーバデータは、サーバID毎に存在する。
呼転送情報は、サーバグループIDと、番号帯と、転送先サーバグループIDとの各項目を有している。呼転送情報は、サーバグループIDと番号帯との組毎に存在する。転送先サーバグループIDは、番号帯に合致する呼の転送先のサーバグループのサーバグループIDである。
【0043】
リンク構成データは、パスIDと、リンクグループIDとの各項目を有する。リンク構成データは、パスIDとリンクグループIDとの組毎に存在する。リンクグループIDは、リンクグループを一意に識別するための任意の情報である。
リンクデータは、リンクIDと、リンクグループIDと、発信側サーバIDと、着信側サーバIDとの各項目を有している。リンクデータは、リンクID毎に存在する。リンクIDは、リンクを一意に識別するための任意の情報である。発信側サーバIDは、リンクにおいて呼を発信するSIPサーバ3のサーバIDである。着信側サーバIDは、リンクにおいて呼を着信するSIPサーバ3のサーバIDである。
リンクグループデータは、リンクグループIDと、発信側サーバグループIDと、着信側サーバグループIDとの各項目を有している。リンクグループデータは、リンクグループID毎に存在する。発信側サーバグループIDは、リンクグループにおいて呼を発信するサーバグループのサーバグループIDである。着信側サーバグループIDは、リンクグループにおいて呼を着信するサーバグループのサーバグループIDである。
【0044】
試験端末データは、試験端末IDと、収容サーバIDと、番号帯との各項目を有する。試験端末データは、試験端末ID毎に存在する。試験端末IDは、試験端末を一意に識別するための任意の情報である。収容サーバIDは、試験端末4を収容するSIPサーバ3のサーバIDである。試験端末4を収容するSIPサーバ3とは、試験端末4と接続するSIPサーバ3である。番号帯は、試験端末4の番号帯である。
【0045】
図7は、本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ例を示す概略図である。
本図に示す例では、パスデータは、パスID「P1」における発信元サーバIDが「S11」であり、着信先サーバIDが「S41」であり、着信先番号帯が「0723」であることを示す。また、図に示すサーバ構成データは、パスID「P1」にサーバグループID「SG3」が含まれることを示す。また、このサーバ構成データに関連付けられた2つのサーバデータは、サーバグループID「SG3」にサーバID「S31」とサーバID「S32」が含まれることを示す。
【0046】
また、図に示すサーバ構成データに関連付けられた呼転送情報は、サーバグループID「SG3」において、着信番号帯が「0721」である呼の転送先サーバグループIDが「SG4」であることを示す。
【0047】
また、リンク構成データは、パスID「P1」にリンクグループID「LG1」が含まれることを示す。このリンク構成データに関連付けられたリンクグループデータは、リンクグループID「LG1」の発信側サーバグループIDが「SG1」であり、着信側サーバグループIDが「SG2」であることを示す。また、このリンクグループに関連付けられた3つのリンクデータは、リンクグループID「LG1」にリンクID「L1」とリンクID「L2」とリンクID「L3」とが含まれることを示す。また、リンクID「L1」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S21」である。また、リンクID「L2」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S22」である。また、リンクID「L3」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S23」である。
【0048】
また、図に示す試験端末データは、試験端末ID「T1」の収容サーバIDが「S41」であり、番号帯が「0723」であることを示す。また、この試験端末データに関連付けられたサーバデータは、サーバID「S41」がサーバグループID「SG4」に含まれることを示す。
【0049】
次に、SIP制御網監視装置1で用いる各データについて説明する。
図8は、本実施形態による試験パス候補リストのデータ構造を示す概略図である。
試験パス候補リストは、パスID毎にパス選択の対象/非対象の状態を管理するリストであり、パスIDと選択候補除外フラグとの組のリストである。選択候補除外フラグは、パス選択対象であるか又はパス選択非対象であるかを示すフラグである。選択候補除外フラグ「TRUE」は、パス選択非対象であることを示し、選択候補除外フラグ「FALSE」は、パス選択対象であることを示す。試験パス選択部103は、ネットワークトポロジ情報のパスデータに含まれるパスIDを全て抽出して初期状態の試験パス候補リストを生成する。また、このとき、試験パス設定部103は、各パスの選択候補除外フラグを全て「FALSE」に設定する。
【0050】
図9は、本実施形態による試験パス選択リストのデータ構成を示す概略図である。
試験パス選択リストは、各パスの構成要素を管理するリストである。構成要素とは、リンクグループ及びサーバグループである。試験パス選択リストは、パスIDとパス構成要素との組のリストである。パス構成要素は、パスを構成するサーバグループのサーバグループID及びリンクグループのリンクグループIDのリストである。試験パス選択部103は、ネットワークトポロジ情報のパスデータに含まれるパスIDを全て抽出して初期状態の試験パス選択リストを生成する。このとき、試験パス選択部103は、リンク構成データに含まれるリンクグループIDと、サーバ構成データに含まれるサーバグループIDとを、パスID毎に抽出して試験パス選択リストのパス構成要素に設定する。
【0051】
図10は、本実施形態によるリンク未確認数リストのデータ構成を示す概略図である。
リンク未確認数リストは、リンクグループ毎のリンクの未確認数を管理するリストである。リンク未確認リストは、リンクグループIDと多重化リンク数と未確認リンク数との組のリストである。多重化リンク数は、リンクグループに含まれるリンクの総数である。未確認リンク数は、リンクの未確認数である。未確認数算出部102は、ネットワークトポロジ情報のリンクグループデータに含まれるリンクグループID全てを抽出して初期状態のリンク未確認数リストを生成する。このとき、未確認数算出部102は、リンクグループ毎に多重化リンク数を算出し、算出した多重化リンク数をリンク未確認数リストの多重化リンク数と未確認リンク数とに設定する。
【0052】
図11は、本実施形態による転送処理未確認数リストのデータ構造を示す概略図である。
転送処理未確認数リストは、各サーバグループにおける番号帯に対する転送処理の未確認数を管理するリストである。転送処理未確認リストは、サーバグループIDと、番号帯と、多重化サーバ数と、未確認サーバ数との組のリストである。番号帯は、各サーバグループが呼転送情報において管理している番号帯である。多重化サーバ数は、各サーバグループ内に存在するSIPサーバ3の総数である。未確認サーバ数は、各サーバグループで管理している番号帯それぞれの転送処理の未確認数である。未確認数算出部102は、ネットワークトポロジ情報の呼転送情報に含まれるサーバグループIDと番号帯との組を全て抽出して初期状態の転送処理未確認数リストを生成する。このとき、未確認数算出部102は、サーバグループ毎に多重化サーバ数を算出し、算出した多重化サーバ数を転送処理未確認数リストの多重化サーバ数と未確認サーバ数とに設定する。
【0053】
図12は、本実施形態による確定試験パスリストのデータ構造を示す概略図である。
確定試験パスリストは、確定された試験パスのリストであり、パスIDと、発信元端末IDと、着信先端末IDとの組の試験リストである。発信元端末IDは、試験呼を発信する試験端末4の端末IDである。また、着信先端末IDは、試験呼を着信する試験端末4の端末IDである。
【0054】
次に、図13を参照して、SIP制御網監視装置1によるSIP制御網全体正常性確認処理について説明する。図13は、本実施形態によるSIP制御網全体正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、SIP制御網監視装置1は、試験端末4の最適配置を導出する試験端末配置導出処理を行う。試験端末配置導出処理の詳細については後述する。試験端末4は、導出された最適配置に配置される。
次に、ステップS2において、SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5全体の正常性を確認する正常性確認処理を行う。正常性確認処理の詳細については後述する。
【0055】
なお、本実施形態では、試験端末4の最適配置を導出し、導出した最適配置に基づいて試験端末4を配置した後に、正常性確認処理を行っているが、最適配置を導出せずに正常性確認処理を行ってもよい。この場合、SIP制御網監視装置1は、現在の試験端末4の配置位置におけるほぼ必要最低限の試験パスでSIP制御網5全体の正常性の確認が可能である。
【0056】
次に、図14を参照して、SIP制御網監視装置1による試験端末配置導出処理について説明する。図14は、本実施形態による試験端末配置導出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、SIP制御網監視装置1は、次のステップS102からS105までの処理を、SIP制御網5全体における、リンクの疎通及びSIPサーバ3での転送処理の確認が全て完了するまで実施する。つまり、SIP制御網監視装置1は、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が全て0になるまでステップS102からS105までの処理を繰り返す。
【0057】
ステップS102において、未確認数算出部102が、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数を算出する未確認数算出処理を行う。未確認数算出処理の詳細は後述する。
次に、ステップS103において、試験パス選択部103が、未確認数算出部102により算出された未確認数に基づいて、最優先で実施すべき試験パスを1つ選択する試験パス選択処理を行う。試験パス選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS104において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験に利用する試験端末4を選択する試験端末選択処理を行う。試験端末選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS105において、試験指示実行部108が、試験端末選択部104により選択された試験端末4に試験指示を送信することにより、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験を実施する。
【0058】
そして、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が0になると、ステップS106において、試験端末配置決定部109は、上述したS105における各試験端末4の利用回数を算出し、算出した利用回数についての試験端末4間の比に基づいて試験端末4の最適配置を導出する。具体的には、SIP制御網監視装置1は、まず、加入者を収容するSIPサーバ3毎に、収容する試験端末4の総利用回数を算出する。そして、SIP制御網監視装置1は、総利用回数が大きいSIPサーバ3ほど収容する試験端末4が多く、総利用回数が小さいSIPサーバ3ほど収容する試験端末4が少なくなるように、各試験端末4の最適配置を導出する。
【0059】
なお、この試験端末配置位置導出処理は、SIP制御網5を利用する必要はなく、シミュレーション等で実施してもよい。
【0060】
次に、図15を参照して、SIP制御網監視装置1による正常性確認処理について説明する。図15は、本実施形態による正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、SIP制御網監視装置1は、次のステップS202からS209までの処理を、SIP制御網5全体における、リンクの疎通及びSIPサーバ3での転送処理の確認が全て完了するまで実施する。つまり、SIP制御網監視装置1は、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が全て0になるまでステップS202からS209までの処理を繰り返す。
【0061】
次に、ステップS202において、未確認数算出部102が、未確認数算出処理を行う。未確認数算出処理の詳細は後述する。
次に、ステップS203において、試験パス選択部103が、未確認数算出部102により算出された未確認数に基づいて、試験パス選択処理を行う。試験パス選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS204において、試験パス選択部103は、試験パス選択処理において試験パスが選択できたか否かを判定する。試験パスが選択できた場合にはステップS205へ移行し、試験パスが選択できなかった場合にはステップS209へ移行する。
【0062】
試験パスが選択できた場合には、ステップS205において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験に利用する試験端末4を選択する試験端末選択処理を行う。試験端末選択処理の詳細は後述する。
そして、ステップS206において、試験端末選択部104は、試験端末選択処理において試験端末4が選択できたか否かを判定する。試験端末4が選択できた場合にはこの試験パスを確定しステップS207へ移行し、試験端末4が選択できなかった場合にはステップS208へ移行する。
【0063】
試験端末4が選択できた場合には、ステップS207において、未確認数補正部105が、試験端末選択部104により確定された試験パスにおけるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数を補正する未確認数補正処理を行い、ステップS203へ戻る。未確認数補正処理の詳細については後述する。
一方、試験端末4が選択できなかった場合には、ステップS208において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスを選択対象から除外し、ステップS203へ戻る。具体的には、試験端末選択部104は、試験パス候補リストにおけるこの試験パスの選択候補除外フラグを「FALSE」から「TRUE」に変更する。
【0064】
一方、ステップS203において試験パスが選択できなかった場合には、ステップS209において、試験指示実行部108が、確定された全ての試験パスの試験端末4に試験指示を送信し、試験を実施する。
【0065】
次に、図16から図19を参照して、未確認数算出部102による未確認数算出処理について説明する。図16は、本実施形態による未確認数算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS301において、未確認数算出部102は、次のステップS302からS304までの処理を、SIP制御網5における全てのパスについて実施する。
【0066】
まず、ステップS302において、未確認数算出部102は、パスが経由する(パスの構成要素である)リンク及びSIPサーバ3を全て抽出する。
次に、ステップS303において、未確認数算出部102は、試験呼の通過経路情報に基づいて、リンクグループ毎にリンクの未確認数を算出し、リンク未確認数リストを更新する。
最後に、ステップS304において、未確認数算出部102は、試験呼の通過経路情報に基づいて、サーバグループ毎にパスの番号帯に対する転送処理の未確認数を算出し、転送処理未確認数リストを更新する。
【0067】
以下、上述した未確認算出処理の具体例を説明する。
図17から図19は、本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。本例では、SIPサーバ3Aから番号帯「0721」を管理するSIPサーバ3cまでのパスACにおけるリンクの未確認数と転送処理の未確認数を算出する場合を説明する。
まず、未確認数算出部102は、パスACを経由するリンク及びSIPサーバ3を抽出する(ステップS302)。図17に示す例では、未確認数算出部102は、リンクグループID「LG1」に含まれる3本のリンクと、リンクグループID「LG2」に含まれる6本のリンクと、リンクグループID「LG3」に含まれる2本のリンクとを抽出する。また、未確認数算出部102は、SIPサーバ3Aと、SIPサーバ3X1と、SIPサーバ3X2と、SIPサーバ3X3と、SIPサーバ3Y1と、SIPサーバ3Y2と、SIPサーバ3cとを抽出する。
【0068】
次に、未確認数算出部102は、試験呼の経路情報に基づいて、リンクグループ毎に未確認リンク数を算出し、リンク未確認数リストを更新する(ステップS303)。図18に示すリンク未確認数リストでは、リンクグループID「LG1」の多重化リンク数は「3」であり、未確認リンク数は「2」である。また、リンクグループID「LG2」の多重化リンク数は「6」であり、未確認リンク数は「4」である。また、リンクグループID「LG3」の多重化リンク数は「2」であり、未確認リンク数は「0」である。
【0069】
次に、未確認数算出部102は、試験呼の経路情報に基づいて、サーバグループ毎にパスACの番号帯の転送処理に対する未確認サーバ数を算出し、転送処理未確認数リストを更新する(ステップS304)。図19に示す例では、SIPサーバ3Aの番号帯「07」とSIPサーバ3X2の番号帯「072」とSIPサーバ3Y2の番号帯「0721」とが転送処理の確認されている番号帯である。また、SIPサーバ3X1の番号帯「072」とSIPサーバ3X3の番号帯「072」とSIPサーバ3Y1の番号帯「0721」とが転送処理の確認されていない番号帯である。図19に示す転送処理未確認数リストでは、SIPサーバ3Aの属するサーバグループID「SG1」の番号帯「07」の転送処理に対する多重化サーバ数は「1」であり、未確認サーバ数は「0」である。また、SIPサーバ3X1とSIPサーバ3X2とSIPサーバ3X3とが属するサーバグループID「SG2」の番号帯「072」の転送処理に対する多重化サーバ数は「3」であり、未確認サーバ数は「2」である。また、SIPサーバ3Y1とSIPサーバ3Y2とが属するサーバグループID「SG3」の番号帯「0721」の転送処理に対する多重化サーバ数は「2」であり、未確認サーバ数は「1」である。
【0070】
次に、図20から図23を参照して、試験パス選択部103による試験パス選択処理について説明する。図20は、本実施形態による試験パス選択処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、試験パス選択部103は、選択対象から除外されたパスを除く、SIP制御網5内に存在する全てのパスを抽出する。具体的には、試験パス選択部103は、試験パス候補リストにおいて選択候補除外フラグが「FALSE」であるパスを全て抽出する。
次に、ステップS402において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスの本数が0本であるか1本以上であるかを判定する。抽出したパスの本数が1本以上である場合には、ステップS403へ移行する。一方、抽出したパスの本数が0本である場合には、「試験パスが選択されていない状態」として本処理を終了する。
【0071】
パスの本数が1本以上である場合には、ステップS403において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスに含まれるリンクの未確認数と転送処理の未確認数との最大値を求める。具体的には、試験パス選択部103は、試験パス選択リストから各パスの構成要素を抽出する。次に、試験パス選択部103は、リンク未確認数リストから抽出したリンクグループの未確認リンク数を抽出し、転送処理未確認数リストから抽出したサーバグループの未確認サーバ数を抽出する。そして、試験パス選択部103は、抽出した未確認リンク数及び未確認サーバ数を比較して最大値を求める。
次に、ステップS404において、試験パス選択部103は、求めた最大値が正の値であるか0であるかを判定する。最大値が正の値である場合には、ステップS405へ移行する。一方、最大値が0である場合には、「試験パスが選択されていない状態」として本処理を終了する。
【0072】
最大値が正の値である場合には、ステップS405において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスの中から、未確認数が最大値である構成要素を含むパスを全て抽出する。
次に、ステップS406において、試験パス選択部103は、ステップS405において抽出したパスの本数が1本であるか2本以上であるかを判定する。抽出したパスの本数が1本である場合はステップS410へ移行する。一方、抽出したパスの本数が2本以上である場合はステップS407へ移行する。
【0073】
抽出したパスの本数が2本以上である場合、ステップS407において、試験パス選択部103は、抽出されたパスの構成要素のうち未確認数が次に大きい構成要素を特定し、特定した構成要素を含むパスを抽出する。
そして、ステップS408において、試験パス選択部103は、抽出されたパスが0本であるか1本であるか2本以上であるかを判定する。抽出されたパスが0本である場合にはステップS409へ移行する。また、抽出されたパスが1本である場合にはステップS410へ移行する。また、抽出されたパスが2本以上である場合にはステップS407へ戻る。
【0074】
抽出されたパスの本数が0本である場合、ステップS409において、試験パス選択部103は、最後に抽出されていたパスの中から、ランダムに1本パスを選択する。つまり、試験パス選択部103は、ステップS407において0本のパスが抽出される前に抽出された複数のパスからランダムに1本パスを選択する。
最後に、ステップS410において、試験パス選択部103は、抽出されたパスを試験パスとして選択する。
【0075】
以下、上述した試験パス選択処理の具体例を説明する。
図21から図23は、本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
まず、試験パス選択部103は、試験パス候補リストにおいて選択候補除外フラグが「FALSE」であるパスIDを抽出する(ステップS401)。試験パス候補リストが図21に示すデータ例である場合には、試験パス選択部103は、パスID「P2,P3,P5」を抽出する。
【0076】
次に、試験パス選択部103は、選択したパスID「P2,P3,P5」それぞれに含まれるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数の中から最大値を求める(ステップS403)。試験パス選択リストが図21に示すデータ例である場合には、まず、試験パス選択部103は、選択したパスID「P2,P3,P5」それぞれに含まれるパス構成要素「LG1,LG2,LG3,LG10,LG11,LG20,LG21,SG1,SG2,SG10,SG20」を試験パス選択リストから抽出する。また、リンク未確認数リストが図23(a)に示すデータ例であり、転送処理未確認数リストが図23(b)に示すデータ例である場合、次に、試験パス選択部103は、抽出した各構成要素の未確認リンク数又は未確認サーバ数を比較し、サーバグループID「SG10」の未確認サーバ数「5」を最大値として求める。
【0077】
次に、試験パス選択部103は、抽出されたパスID「P2,P3,P5」から、未確認数が最大である構成要素「SG10」を含む2本のパスID「P3,P5」を抽出する(ステップS405)。
次に、試験パス選択部103は、抽出した2本のパスID「P3,P5」の構成要素の中で、2番目に(構成要素「SG10」の次に)大きな未確認数を持つ構成要素「LG10」を特定し、その構成要素「LG10」を含む2本のパスID「P3,P5」を抽出する(ステップS407)。
続いて、試験パス選択部103は、抽出した2本のパスID「P3,P5」の構成要素の中で、3番目に(構成要素「LG10」の次に)大きな未確認数を持つ構成要素「LG11,SG2」を特定し、その構成要素「LG11,SG2」を含むパスID「P3」を抽出する(ステップS407)。ここで抽出されたパスは1本であるため、このパスID「P3」を試験パスとして選択する(ステップS410)。
【0078】
なお、候補となる構成要素が複数ある場合には、それらの構成要素が含まれる個数をパス毎に算出し、算出した個数が最大であるパスを選択する。本例では候補となる構成要素が含まれるのが「P3」のみであったため、無条件で「P3」を選択したが、仮に「SG20」の未確認サーバ数も3であった場合には、「P3」に含まれる個数が2(「LG11,SG2」)であり、「P5」に含まれる個数が1(「SG20」)であるため、含まれる個数が最大である「P3」が選択される。また、仮にここでも2本以上のパスが抽出された場合には、更にそれらのパスに含まれる構成要素の未確認数の中で4番目、5番目、・・・の順に同様の処理を行い、試験パスの選択処理を行う。また、もし最後までパスが1本に絞られないまま、比較対象となる構成要素が無くなった場合には、最後に残っていたパスの中から1本のパスをランダムに「試験パス」として選択する。
【0079】
次に、図24から図35を参照して、試験端末選択部104による試験端末選択処理について説明する。図24は、本実施形態による試験端末選択処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、試験端末選択部104は、ネットワークトポロジ情報に基づいて、選択された試験パスにおいて、発信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4を発信側の選択候補として抽出し、着信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4のうち着信番号帯に合致する試験端末4を着信側の選択候補として抽出する。
【0080】
次に、ステップS502において、試験端末選択部104は、既に確定された試験パスで利用されている試験端末4を発信側の選択候補から除外する。具体的には、試験端末選択部104は、確定試験パスリストに存在する試験端末4を発信側の選択候補から除外する。
そして、ステップS503において、試験端末選択部104は、発信側の選択候補が残っているか否かを判定する。発信側の選択候補が残っている場合にはステップS504へ移行する。一方、発信側の選択候補が残っていない場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0081】
発信側の選択候補が残っている場合、ステップS504において、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで着信先試験端末4として利用されている試験端末4を着信側の選択候補から除外する。
そして、ステップS505において、試験端末選択部104は、着信側の選択候補が残っているか否かを判定する。着信側の選択候補が残っている場合にはステップS506へ移行する。一方、着信側の選択候補が残っていない場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0082】
着信側の選択候補が残っている場合、ステップS506において、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、着信側の選択候補の中から、既に選択された試験パスで発信元試験端末4として利用されている試験端末4を除外する。また、ここで除外した試験端末4の中からランダムに1つを選択し、選択した試験端末4を入れ替え候補端末とする。
そして、ステップS507において、試験端末選択部104は、着信側の選択候補が残っているか否かを判定する。着信側の選択候補が残っていない場合には、ステップS508へ移行する。一方、着信側の選択候補が残っている場合にはステップS512へ移行する。
【0083】
着信側の選択候補が残っていない場合、ステップS508において、試験端末選択部104は、選択された試験パスの着信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4の中から、既に確定された試験パスで利用されていない試験端末4を抽出する。
そして、ステップS509において、試験端末選択部104は、ステップS508において試験端末4が抽出できたか否かを判定する。試験端末4が抽出できた場合にはステップS510へ移行する。一方、試験端末4が抽出できなかった場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0084】
試験端末4が抽出できた場合、ステップS510において、試験端末選択部104は、抽出された試験端末4の中からランダムに1つ選択し、それを入れ替え候補端末に割り当てられた試験パスの発信元試験端末4とする。
そして、ステップS511において、試験端末選択部104は、入れ替え候補端末を、選択された試験パスの着信側の選択候補とする。
最後に、ステップS512において、試験端末選択部104は、発信側の選択候補及び着信側の選択候補それぞれからランダムに1台ずつ試験端末4を選択する。そして、試験端末選択部104は、選択した試験端末4をそれぞれ試験パスの発信元試験端末4と着信先試験端末4として確定試験パスリストに追加し、試験パスを確定させる。
【0085】
以下、上述した試験端末選択処理の具体例を説明する。
図25から図35は、本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
以下、図25に示すパスデータのパスが試験パス選択処理により選択された場合を例に説明する。まず、試験端末選択部104は、選択された試験パスにおいて、発信元サーバID「S1」に収容される試験端末ID「T11,T12,T13」を発信側の選択候補として抽出する(ステップS501)(図26(a)参照)。次に、試験端末選択部104は、選択された試験パスにおいて、着信先サーバID「S2」に収容される試験端末4であって着信先番号帯「0721」に合致する試験端末ID「T21,T22」を着信側の選択候補として抽出する(ステップS501)(図26(b)参照)。
【0086】
次に、試験端末選択部104は、図27に示す確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで利用されている試験端末ID「T11」を発信側の選択候補「T11,T12,T13」から除外する(ステップS502)。この結果、試験端末ID「T12,T13」が発信側の選択候補として残る(図28参照)。
【0087】
続いて、試験端末選択部104は、既に確定された試験パスで着信先試験端末4として利用されている試験端末ID「T21」を着信側の選択候補「T21,T22」から除外する(ステップS504)。この結果、試験端末ID「T22」が着信側の選択候補として残る(図29参照)。
【0088】
更に、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで発信元試験端末4として利用されている試験端末ID「T22」を着信側の選択候補「T22」から除外する(ステップS506)。このとき、試験端末選択部104は、ここで除外した試験端末ID「T22」からランダムに1台選択し、選択した試験端末ID「T22」を入れ替え候補端末とする。この結果、図30(a)に示すように発信側の選択候補は「該当なし」である。一方、図30(b)に示すように入れ替え候補端末には除外した試験端末ID「T22」が設定される。
【0089】
本例では、発信側の選択候補が残っていないため、試験端末選択部104は、着信先サーバID「S2」に収容される試験端末4であって、既に確定された試験パスで利用されていない試験端末ID「T23,T24」をネットワークトポロジ情報から抽出する(ステップS508)(図31参照)。
【0090】
そして、試験端末選択部104は、抽出した試験端末ID「T23,T24」からランダムに1つ試験端末ID「T23」を選択し、選択した試験端末ID「T23」を入れ替え候補端末「T22」が割り当てられた試験パス「P99」の発信元試験端末4とする(ステップS510)。具体的には、試験端末選択部104は、確定試験パスリストにおけるパスID「P99」の発信元端末ID「T22」(図32(a)参照)を、発信元端末ID「T23」とする(図32(b)参照)。
【0091】
次に、試験端末選択部104は、入れ替え候補端末「T22」を選択された試験パスP100の着信側の選択候補とする(ステップS511)。具体的には、試験端末選択部104は、図32(a)に示す入れ替え候補端末の試験端末データを着信側の試験端末データとする。つまり、試験端末選択部104は、図32(b)に示す着信側の試験端末データを生成する。
【0092】
最後に、試験端末選択部104は、発信側の選択候補「T12,T13」(図33(a)参照)からランダムに1つ試験端末ID「T12」を選択し、選択した試験端末ID「T12」を試験パス「P100」の発信元端末IDとする。また、試験端末選択部104は、発信側の選択候補「T22」(図33(b)参照)からランダムに1つ試験端末ID「T22」を選択し、選択した試験端末ID「T22」を試験パス「P100」の着信先端末IDとする。そして、試験端末選択部104は、試験パス「P100」と、発信元端末ID「T12」と、着信先端末ID「T22」との組を確定試験パスリストに追加する(図34参照)。
【0093】
一方、「試験端末が選択できていない状態」として試験端末選択処理を終了した場合には、試験端末選択部104は、この試験パス「P100」を選択対象から除外する(ステップS208)。具体的には、試験端末選択部104は、試験パス候補リストにおけるパスID「P100」に対応する選択候補除外フラグを「FALSE」から「TRUE」に更新する(図35参照)。
【0094】
次に、図36から図40を参照して、未確認数補正部105による未確認数補正処理について説明する。図36は、本実施形態による未確認数補正処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS601において、未確認数補正部105は、試験端末選択処理において確定された試験パスの構成要素を試験パス選択リストから抽出する。
次に、ステップS602において、未確認数補正部105は、抽出した構成要素全てに対して次のS603の処理を実施する。
ステップS603において、未確認数補正部105は、構成要素の多重化数L(多重化リンク数又は多重化サーバ数)と未確認数k(未確認リンク数又は未確認サーバ数)を抽出し、未確認数の補正処理を行う。具体的には、未確認数補正部105は、次の式(1)により補正後の未確認数k´を算出する。
【0095】
【数1】
【0096】
この未確認数補正処理を行うことにより、次に試験パスを選択する際に必要なパスが選択されないことや、無駄なパスが選択されることを抑制することができる。これは、試験パス選択部103は、未確認数の大きなパスを優先的選択しているためである。つまり、選択された試験パスで試験が実施されると、未確認数が減少していることが期待できる。この未確認数補正処理は、期待される未確認数の減少を計算処理によって算出しており、これによって必要以上に試験パスが選択されることを抑制している。
【0097】
以下、上述した未確認数補正処理の具体例を説明する。
図37から図40は、本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
まず、未確認数補正部105は、試験端末選択処理において確定されたパスID「P100」(図37参照)のパス構成要素「LG100,SG100,LG101,SG200,LG200」を試験パス選択リスト(図38参照)から抽出する(ステップS601)。
【0098】
次に、未確認数補正部105は、抽出された構成要素それぞれに対して、未確認数を補正する(ステップS603)。リンク未確認数リストが図39(a)であり、転送処理未確認数リストが図39(b)である場合を例に説明する。この場合、リンクグループID「LG101」の多重化数は「6」であり、未確認数は「4」である。未確認数補正部105は、上述した式(1)により、補正後の未確認数k´=3.33(4−4/6)を算出する。そして、未確認数補正部105は、リンク未確認リストにおけるリンクグループID「LG101」の未確認リンク数「4」(図40(a)参照)を未確認リンク数「3.33」に更新する(図40(b)参照)。未確認数補正部105は、パスID「P100」の他の構成要素「SG100,LG101,SG200,LG200」についても同様に未確認数を補正する。
【0099】
このように、本実施形態によれば、未確認数の大きい構成要素を持つ試験パスから順に選択し、未確認数を補正する。つまり、数学的期待値に基づいて試験パスを選択するため、SIP制御網5全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。すなわち、本実施形態によれば、多重化されたSIPサーバ3を通過する試験呼数が、SIPサーバ3間の要確認数についての比に準じるように試験パスを選択しているため、SIP制御網5全体の正常性を確認するために必要となる試験パス数を少なく抑えることができる。要確認数とは、SIPサーバ3が多重化された部分においてリンクの疎通もしくはSIPサーバ3での転送処理を全て確認済みとするために必要となる試験呼数の期待値である。例えば、あるリンクグループの多重化数がL本であり未確認数がk本である場合であって、L本の中からある試験呼が通過する1本を選択するポリシーがランダム選択である場合には、要確認数Eは次の式(2)により求められる。
【0100】
【数2】
【0101】
また、試験端末4間の利用回数についての比に基づいて試験端末4の最適配置を導出しているため、試験端末4をその配置にすることで、より短時間に効率良く正常性を確認することができる。
また、試験端末4は一般的なIP電話で実現可能であり、SIPサーバ3も正常性確認のための特別な改造を必要としない。そのため、低コストで正常性を確認することができる。また、SIP制御網5全体の正常性を確認するまでに要する試験呼数が少なく抑えられるので、一般のインサービス呼の接続に影響を与えることなく正常性の確認が可能である。
【0102】
また、図13に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、SIP制御網全体正常性確認処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0103】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0104】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…SIP制御網監視装置 2…SIPログ収集装置 3…SIPサーバ 4…試験端末 5…SIP制御網 101…試験結果受信部 102…未確認数算出部 103…試験パス選択部 104…試験端末選択部 105…未確認数補正部 106…経過経路情報受信部 107…ネットワークトポロジ情報記憶部 108…試験指示実行部 109…試験端末配置決定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信キャリア網にとどまらず、企業や自治体の内線電話網においてもIP(Internet Protocol)電話の利用が増加している。IP電話サービスは、SIP(Session Initiation Protocol)を利用してユーザ間の発呼及び着呼を実現することが多く、呼の中継を担うSIPサーバの役割が重要である。IP電話サービスの可用性を高めるために、SIPサーバは冗長構成を取っていることが多く、そのような環境下において、SIPサーバにおけるSIPシグナリングの伝搬が正常に行われていることを確認することが非常に重要になってきている。
【0003】
冗長化されたIPネットワークにおいて、各経路が疎通可能であるかどうかを確認する方法としては、一般的にはネットワークに接続する端末間でping(Packet INternet Grouper)コマンドを利用し、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットを伝搬させることで確認することが出来る(例えば、非特許文献1参照)。これに加え、パケット中継装置(スイッチやルータ等)の流入・流出パケットをキャプチャすることで、中継装置がパケットを転送できているか、冗長化されたネットワークのどの経路を通過しているかを正確に把握することが出来る。
【0004】
SIP制御網を考えたとき、SIPサーバはIPネットワークにおけるルータ等の中継装置と同様と考えることが出来る。SIP制御網は、SIPサーバを含んで構成される呼制御のためのネットワークである。そこで、IPネットワークにおける確認方法と同様に、電話番号帯毎に発呼・着呼を行うことで、各SIPサーバにおいて着信番号帯毎にSIPシグナリングの伝搬が行われているか、冗長化されている転送先のSIPサーバ全てに呼が伝搬しているかを確認することが出来る。伝搬の確認方法としては、各SIPサーバに流入・流出する全SIPシグナリングをキャプチャし、確認するシステムを利用することで可能である(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
ところで、SIP制御網では、信頼性向上のためにSIPサーバが多重化されていることがある。図41は、SIP制御網内のSIPサーバが多重化されている場合の構成例を示す概略図である。ここで、発信元試験端末は発呼する端末であり、着信先試験端末は着呼する端末である。また、着信元試験端末の番号帯(以下、着信番号帯とする)は「0723」である。本図に示す例では、発信元試験端末に接続されるSIPサーバXにおいて、着信番号帯「072」の呼に対して3台のSIPサーバ(図示するSIPサーバ群A)が転送先として設定されている。つまり、SIPサーバ群Aは多重化されている。この場合、SIPサーバXは、選択ポリシーに従って3台のSIPサーバから転送先を選択して呼を転送する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ping‐ネットワークの疎通を確認する”、[online]、[平成22年10月27日検索]、インターネット〈URL:http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/netcom/ping/ping.html〉
【非特許文献2】“NetCall Monitor”、[online]、[平成22年10月27日検索]、インターネット〈URL:http://www.softfront.co.jp/products/applience/netcall/netcall_monitor.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、SIPサーバが多重化されている場合には、発呼する端末に接続されるSIPサーバXと着信番号帯と(以後、この組合せを「パス」と呼ぶ)が同一の呼であっても、経由するSIPサーバやリンクが毎回異なるため、SIP制御網全体の正常性の確認が困難となる。SIP制御網全体の正常性を確認するとは、SIP制御網を構成する全てのリンクにおいて試験呼が最低1回通過すること、及び、SIP制御網内の全てのSIPサーバにおいて、呼転送情報(番号帯毎に転送先が設定された情報)に存在する全ての番号帯に合致する試験呼がそれぞれ最低1回は転送されること、の2点を確認することである。
具体的に説明すると、SIPサーバが多重化されている部分では、全てのリンクの疎通や全てのSIPサーバにおける転送処理を確認するために、複数の試験呼を通す必要がある。しかし、SIPサーバの多重度は加入者の収容状況などによりエリア毎に異なるため、SIP制御網内でも場所によって確認が必要とされるリンクやSIPサーバの数が異なる。また場所によって、同じリンクやSIPサーバを共有しているパスの組合せも異なる。
このため、網の構成が複雑である場合や、網の規模が大きい場合には、無作為に試験パスを選択してしまうと、確認済みのリンクやSIPサーバを重複して経由するパスが選択される可能性が高くなり、SIP制御網全体の正常性を確認するために必要となる試験パス数が無駄に多くなってしまうが場合ある、という問題がある。
また、1つの試験端末を同時に複数の試験に用いることができない場合、試験パスが特定の試験端末に集中してしまい、利用されない試験端末が発生するなどして、結果として確認完了までに要する時間が長くなってしまうことも課題となる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、多重化されたSIPサーバを含むSIP制御網全体の正常性を、効率的に短時間で確認することができる監視装置、監視方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部と、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する試験パス選択部と、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定する試験端末選択部と、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、を備えることを特徴とする監視装置である。
【0010】
この発明によれば、未確認数が最大である構成要素を持つパスを試験パスとして選択しているため、ネットワーク全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、試験パスが確定すると、当該確定した試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、前記確定した試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する未確認数補正部を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、試験パスが確定すると未確認数を補正する。つまり、数学的期待値に基づいて試験パスを選択しているため、ネットワークの正常性を確認するために必要となる試験呼数を少なく抑えることができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、前記試験パス選択部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなるまで、前記未確認数の大きい構成要素を持つパスから順次試験パスとして選択し、前記試験端末選択部は、既に選択した試験端末以外の試験端末を選択し、前記試験指示実行部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなると、確定した全ての試験パスの試験指示を送信することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、選択可能な試験端末がなくなるまで繰り返し試験パスを選択し、選択可能な試験端末がなくなると確定された全ての試験パスの試験指示を送信する。これにより、同時に複数の試験パスを試験することができるため、ネットワークの正常性を確認するために要する時間を短くすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、前記試験端末選択部は、選択可能な着信側の試験端末がない場合、他の試験パスの発信側として既に選択された試験端末を、前記試験パス選択部に選択された試験パスの着信側の試験端末とし、前記他の試験パスの発信側の試験端末を選択可能な試験端末から選択することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、着信側の試験端末に空きがない場合、発信側として選択した試験端末を着信側の試験端末に変更する。これにより、試験端末を有効利用し、試験呼数を削減することができる。
【0017】
また、本発明の一態様は、上記の監視装置において、各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき、各試験端末の配置を決定する試験端末配置決定部を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき試験端末の配置を決定するため、より効率良く正常性を確認ことができるように試験端末を配置することができる。これにより、試験パスが特定の試験端末に集中することを防ぎ、試験端末を有効利用することができる。
【0019】
また、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置に用いられる監視方法であって、前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、を有することを特徴とする監視方法である。
【0020】
また、本発明の一態様は、多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置として用いられるコンピュータに、前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、未確認数が最大である構成要素を持つパスを試験パスとして選択しているため、ネットワーク全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。このため、多重化されたSIPサーバを含むSIP制御網全体の正常性を、効率的に短時間で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるSIP制御網監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるパスを説明するためのイメージ図である。
【図3】本実施形態によるリンクの未確認数を説明するためのイメージ図である。
【図4】本実施形態による転送処理の未確認数を説明するためのイメージ図である。
【図5】本実施形態によるSIP制御網監視装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
【図7】本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ例を示す概略図である。
【図8】本実施形態による試験パス候補リストのデータ構造を示す概略図である。
【図9】本実施形態による試験パス選択リストのデータ構成を示す概略図である。
【図10】本実施形態によるリンク未確認数リストのデータ構成を示す概略図である。
【図11】本実施形態による転送処理未確認数リストのデータ構造を示す概略図である。
【図12】本実施形態による確定試験パスリストのデータ構造を示す概略図である。
【図13】本実施形態によるSIP制御網全体正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態による試験端末配置導出処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態による正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態による未確認数算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図18】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図19】本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図20】本実施形態による試験パス選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図22】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図23】本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図24】本実施形態による試験端末選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図26】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図27】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図28】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図29】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図30】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図31】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図32】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図33】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図34】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図35】本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図36】本実施形態による未確認数補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図37】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図38】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図39】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図40】本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
【図41】SIP制御網内のSIPサーバが多重化されている場合の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるSIP制御網監視システムの全体構成を示すブロック図である。
同図に示すように、複数のSIPサーバ3から構成されるSIP制御網5全体の正常性を確認するSIP制御網監視システムは、ネットワークトポロジ情報記憶部を備えたSIP制御網監視装置1と、SIPサーバ3と、SIPログ収集装置2と、試験端末4とを含んで構成される。SIP制御網5全体の正常性を確認するとは、SIP制御網5を構成する全てのリンクにおいて試験呼が最低1回通過すること、及び、SIP制御網5内の全てのSIPサーバ3において、呼転送情報(番号帯毎に転送先が設定された情報)に存在する全ての番号帯に合致する試験呼がそれぞれ最低1回は転送されること、の2点を確認することである。
全ての試験端末4とSIP制御網監視装置1、全てのSIPサーバ3とSIPログ収集装置2、及びSIPログ収集装置2とSIP制御網監視装置1とは通信ネットワークにより接続されている。
【0024】
SIP制御網5は、SIPに基づく呼を発信する端末と呼を着信する端末とを接続する監視対象ネットワークであり、加入者を収容するSIPサーバ3と、中継用のSIPサーバ3とから構成される。加入者を収容するSIPサーバ3とは、加入者(ユーザ)の呼を発信又は着信する端末と接続するSIPサーバ3である。ここで、SIP制御網5において、試験端末4に近いSIPサーバ3から順に第1階層、第2階層、…、第N階層とグルーピングして階層化する。第1階層にあるSIPサーバ3が加入者を収容するためのSIPサーバ3であり、第1階層以外にあるSIPサーバ3が中継用のSIPサーバ3である。ここで、階層の数字が小さいほう、つまり、試験端末4に近い階層を下位層とし、階層の数字が多いほうを上位層とする。
中継用のSIPサーバ3は、信頼性を確保するために2台以上のSIPサーバ3により多重化されている。ここで、1つの番号帯の呼に対応して複数台のSIPサーバ3が転送先として設定されていることを、多重化されているという。以下、多重化されたSIPサーバ3群をサーバグループとする。
また、SIPサーバ3は、各階層において、ブロックB毎にグルーピングされており、ブロックB内でフルメッシュに接続されている。また、各階層間においては、下位層のブロックB内にある全てのSIPサーバ3と、上位層にて当該下位層のブロックBを収容する(と接続する)サーバグループに含まれるSIPサーバ3とはフルメッシュで接続されている。
なお、本図に示すSIP制御網5は一例であり、本例に限らず、SIPサーバ3が多重化されているSIP制御網であればよい。
【0025】
SIPサーバ3は、SIPに基づく呼を制御するサーバ装置である。SIPサーバ3は、呼を受信すると、予め記憶している呼転送情報において受信した呼の着信先番号に合致する転送先のSIPサーバ3に受信した呼を転送する。呼転送情報とは、番号帯毎に転送先が設定された情報である。このとき、SIPサーバ3は、転送先のSIPサーバ3が呼転送情報に複数設定されている場合には、その中からランダムで1つSIPサーバ3を選択し、選択したSIPサーバ3に受信した呼を転送する。
以下、説明の便宜を図るため、各SIPサーバ3を識別するためのサーバIDが「x」であるSIPサーバ3をSIPサーバ3xと記す。なお、各SIPサーバ3に共通する事項についてはサーバIDを省略し、単にSIPサーバ3又は各SIPサーバ3と記す。
【0026】
試験端末4は、SIP制御網5の正常性を確認するための試験呼を発信又は着信する端末であり、例えばIP電話機等の一般通信端末と同様に試験端末4間でアクティブな通信が可能な装置である。各試験端末4は、SIP制御網監視装置1と通信ネットワークにより接続しており、SIP制御網監視装置1からの試験指示により、任意の2台の試験端末4間で疎通試験を実施する。試験指示とは、試験呼の発信又は着信をする疎通試験の実施指示である。また、試験端末4は、実施した疎通試験の実行結果をSIP制御網監視装置1に送信する。
【0027】
SIPログ収集装置2は、各SIPサーバ3における呼の受信ログ及び送信ログを収集する装置である。SIPログ収集装置2は、SIP制御網5内のどのSIPサーバ3によって呼が転送されたか等を示す通過経路情報をSIP制御網監視装置1に送信する。
【0028】
SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5全体の正常性を確認するためのサーバ装置である。SIP制御網監視装置1は、疎通試験の試験パスを選択し、選択した試験パスに基づいて、各試験端末4に試験指示を送信する。また、SIP制御網監視装置1は、各試験端末4が実施した疎通試験の実行結果を受信する。
ここで、SIP制御網監視装置1は、ネットワークトポロジ情報記憶部が記憶するネットワークトポロジ情報と、SIPログ収集装置2から受信した試験呼の通過経路情報とに基づいて、SIP制御網5全体の正常性を短時間で確認するために最優先で実施しなければならない試験パスを選択する。
なお、SIP制御網監視装置1は、SIPログ収集装置2が存在せず、試験呼の通過経路情報が得られない場合であっても、SIP制御網5全体の正常性を短時間で確認するために優先的に実施すべき試験パスを選択することも可能である。
【0029】
ネットワークトポロジ情報とは、監視対象となるSIP制御網5及び試験端末4の接続関係を特定するためのトポロジ情報である。このネットワークトポロジ情報には、各SIPサーバ3における呼転送情報も含まれる。
【0030】
次に、以下で用いる語を次のように定義する。
呼転送情報とは、番号帯と転送先SIPサーバ3の情報(例えば、アドレスやサーバID)との組から構成される呼を転送するための情報である。ここで、転送先のSIPサーバ3が多重化されている場合には、1つの番号帯に対して複数の転送先SIPサーバ3が設定される。この呼転送情報は、各SIPサーバ3で夫々管理されている。SIPサーバ3は、受信した呼の着信先番号に合致する番号帯を呼転送情報から読み出し、読み出した番号帯に対応する転送先SIPサーバ3に受信した呼を転送する。
【0031】
図2は、本実施形態によるパスを説明するためのイメージ図である。
パスとは、加入者を収容するSIPサーバ3間の経路である。ここで、呼を発信する端末に接続する発信側のSIPサーバ3から着信先番号の番号帯を管理するSIPサーバ3までの経路を1本のパスの単位とする。
【0032】
例えば、図2(a)に示すSIP制御網5において、SIPサーバ3Aから番号帯「0721」を管理するSIPサーバ3CまでのパスACを抽出する場合、図2(b)に示すように、7台のSIPサーバ3と11本のリンクがこのパスACの構成要素として抽出される。リンクとは、SIPサーバ3間を接続する区間である。以下、サーバグループ間を接続するリンク群をリンクグループとする。
また、図に示すSIPサーバ3Dのように複数の番号帯(「0722」と「0723」)を管理している場合、そのSIPサーバ3を着側とするパスは、SIPサーバ3AからSIPサーバ3D(「0072」)までのパスとSIPサーバ3AからSIPサーバ3D(「0073」)までのパスとのように全て別のパスとして扱う。
【0033】
図3は、本実施形態によるリンクの未確認数を説明するためのイメージ図である。
リンクの未確認数とは、試験呼による疎通が確認できていないリンクの数である。本図において、実線で示すリンクは、試験呼による疎通が確認できているリンクである。一方、点線で示すリンクは、試験呼による疎通が確認できていないリンクである。図に示す例では、SIPサーバ3AとサーバグループXとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は2である。また、サーバグループXとサーバグループYとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は4である。また、サーバグループYとSIPサーバ3Cとを接続するリンクグループにおけるリンクの未確認数は0である。
【0034】
図4は、本実施形態による転送処理の未確認数を説明するためのイメージ図である。
転送処理の未確認数とは、パスの着信番号帯に対する転送処理が試験呼により確認できていないSIPサーバ3の数である。パスの着信番号帯とは、パスにおける着信先番号の番号帯である。
図に示す各表tは、各SIPサーバ3が保持するこのパスACにおける呼転送情報tである。呼転送情報tにおいて網掛けがある部分は、各SIPサーバ3において転送処理が確認された番号帯を示す。一方、呼転送情報tにおいて網掛けがない部分は、各SIPサーバ3において転送処理が確認されていない番号帯を示す。
図に示す例では、SIPサーバ3Aにおける番号帯「07」の転送処理は確認されている。つまり、SIPサーバ3Aが属するサーバグループの番号帯「07」における転送処理の未確認数は0である。また、SIPサーバ3X2における番号帯「072」の転送処理は確認されており、SIPサーバ3X1及びSIPサーバ3X3における番号帯「072」の転送処理は確認されていない。つまり、SIPサーバ3X1とSIPサーバ3X2とSIPサーバ3X3とが属するサーバグループXの番号帯「072」における転送処理の未確認数は2である。また、SIPサーバ3Y2における番号帯「0721」の転送処理は確認されており、SIPサーバ3Y1における番号帯「0721」の転送処理は確認されていない。つまり、SIPサーバ3Y1とSIPサーバ3Y2とが属するサーバグループYの番号帯「0721」における転送処理の未確認数は1である。
【0035】
図5は、本実施形態によるSIP制御網監視装置1の構成を示すブロック図である。
SIP制御網監視装置1は、試験結果受信部101と、未確認数算出部102と、試験パス選択部103と、試験端末選択部104と、未確認数補正部105と、通過経路情報受信部106と、ネットワークトポロジ情報記憶部107と、試験指示実行部108と、試験端末配置決定部109とを含んで構成される。
試験結果受信部101は、各試験端末4から疎通試験の実行結果を受信し、異常がないことを確認する。疎通試験の実行結果とは、パスの疎通を確認するための試験呼の発信結果及び着信結果である。試験結果受信部101は、パスの試験呼を着信する試験端末4が試験呼を着信すると、疎通試験の実行結果に異常がないと判定する。通過経路情報受信部106は、試験呼の通過経路情報をSIPログ収集装置2から受信し、受信した通過経路情報を未確認数算出部102に出力する。
【0036】
未確認数算出部102は、通過経路情報受信部106により受信された通過経路情報と、ネットワークトポロジ情報記憶部107に記憶されているネットワークトポロジ情報とに基づいて、SIP制御網5全体において、リンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する。そして、未確認数算出部102は、SIP制御網5におけるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数が0になると、それまでの疎通試験の実行結果に異常がなければSIP制御網全体が正常であると判定し、処理を終了する。
【0037】
試験パス選択部103は、未確認数算出部102が算出したリンクの未確認数及び転送処理の未確認数と、ネットワークトポロジ情報記憶部107に記憶されているネットワークトポロジ情報とに基づいて、最優先で実施しなければならない試験パスを1つ選択する。ここで試験パス選択部103が選択する試験パスは、試験を実施するパスの候補である。具体的には、試験パス選択部103は、未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する。また、試験パス選択部103は、試験端末選択部104により選択可能な試験端末4がなくなるまで順次繰り返し試験パスを選択する。そして、試験パス選択部103は、選択するパスが残っていない場合には、試験指示実行部108に処理を移す。
【0038】
試験端末選択部104は、試験パス選択部103により選択された試験パスについて、試験呼を発信する発信元試験端末4(発信側の試験端末4)と試験呼を着信する着信先試験端末4(着信側の試験端末4)とを選択し、試験パスとして確定させる。また、試験端末選択部104は、既に選択した(確定した試験パスで選択した)試験端末4以外の試験端末4を選択する。また、試験端末選択部104は、試験に利用できる試験端末4が存在しない場合には、当該試験パスを選択対象から除外した上で試験パス選択部103に処理を戻す。すなわち、試験パスは、試験パス選択部103により候補として選択された後、試験端末選択部104により当該試験パスの発信側と着信側にそれぞれ利用可能な試験端末4が選択された時点で、試験パスとして確定される。
【0039】
未確認数補正部105は、試験端末選択部104により確定された試験パスについて、この試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、この試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する。そして、未確認数補正部105は、試験パス選択部103に処理を戻す。試験指示実行部108は、試験端末選択部104において選択可能な試験端末4がなくなると、試験端末選択部104により確定された全ての試験パスの試験端末4に試験指示を送信する。試験端末配置決定部109は、各試験端末4が試験に利用された回数についての試験端末4間の比に基づき、試験端末4の最適配置を決定する。最適配置とは、SIP制御網5全体の正常性を確認するための試験回数が最小となる試験端末4の配置位置及び台数である。
【0040】
次に、ネットワークトポロジ情報記憶部107が記憶するネットワークトポロジ情報について説明する。図6は、本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
ネットワークトポロジ情報は、パスデータと、リンク構成データと、サーバ構成データと、リンクデータと、リンクグループデータと、呼転送情報データと、試験端末データと、サーバデータとを含んで構成される。ネットワークトポロジ情報は、本図に示す各データを保持する。
【0041】
パスデータは、パスIDと、発信元サーバIDと、着信先サーバIDと、着信先番号帯との各項目を有する。パスデータは、パスID毎に存在する。パスIDは、各パスを一意に識別するための任意の情報である。発信元サーバIDは、呼を発信する端末に接続される発信側のSIPサーバ3のサーバIDである。サーバIDは、各SIPサーバ3を一意に識別するための任意の情報である。着信先サーバIDは、呼の着信先番号帯を管理する着信側のSIPサーバ3のサーバIDである。
【0042】
サーバ構成データは、パスIDと、サーバグループIDとの各項目を有する。サーバ構成データは、パスIDとサーバグループIDとの組毎に存在する。サーバグループIDは、サーバグループを一意に識別するための任意の情報である。
サーバデータは、サーバIDとサーバグループIDとの各項目を有している。サーバデータは、サーバID毎に存在する。
呼転送情報は、サーバグループIDと、番号帯と、転送先サーバグループIDとの各項目を有している。呼転送情報は、サーバグループIDと番号帯との組毎に存在する。転送先サーバグループIDは、番号帯に合致する呼の転送先のサーバグループのサーバグループIDである。
【0043】
リンク構成データは、パスIDと、リンクグループIDとの各項目を有する。リンク構成データは、パスIDとリンクグループIDとの組毎に存在する。リンクグループIDは、リンクグループを一意に識別するための任意の情報である。
リンクデータは、リンクIDと、リンクグループIDと、発信側サーバIDと、着信側サーバIDとの各項目を有している。リンクデータは、リンクID毎に存在する。リンクIDは、リンクを一意に識別するための任意の情報である。発信側サーバIDは、リンクにおいて呼を発信するSIPサーバ3のサーバIDである。着信側サーバIDは、リンクにおいて呼を着信するSIPサーバ3のサーバIDである。
リンクグループデータは、リンクグループIDと、発信側サーバグループIDと、着信側サーバグループIDとの各項目を有している。リンクグループデータは、リンクグループID毎に存在する。発信側サーバグループIDは、リンクグループにおいて呼を発信するサーバグループのサーバグループIDである。着信側サーバグループIDは、リンクグループにおいて呼を着信するサーバグループのサーバグループIDである。
【0044】
試験端末データは、試験端末IDと、収容サーバIDと、番号帯との各項目を有する。試験端末データは、試験端末ID毎に存在する。試験端末IDは、試験端末を一意に識別するための任意の情報である。収容サーバIDは、試験端末4を収容するSIPサーバ3のサーバIDである。試験端末4を収容するSIPサーバ3とは、試験端末4と接続するSIPサーバ3である。番号帯は、試験端末4の番号帯である。
【0045】
図7は、本実施形態によるネットワークトポロジ情報のデータ例を示す概略図である。
本図に示す例では、パスデータは、パスID「P1」における発信元サーバIDが「S11」であり、着信先サーバIDが「S41」であり、着信先番号帯が「0723」であることを示す。また、図に示すサーバ構成データは、パスID「P1」にサーバグループID「SG3」が含まれることを示す。また、このサーバ構成データに関連付けられた2つのサーバデータは、サーバグループID「SG3」にサーバID「S31」とサーバID「S32」が含まれることを示す。
【0046】
また、図に示すサーバ構成データに関連付けられた呼転送情報は、サーバグループID「SG3」において、着信番号帯が「0721」である呼の転送先サーバグループIDが「SG4」であることを示す。
【0047】
また、リンク構成データは、パスID「P1」にリンクグループID「LG1」が含まれることを示す。このリンク構成データに関連付けられたリンクグループデータは、リンクグループID「LG1」の発信側サーバグループIDが「SG1」であり、着信側サーバグループIDが「SG2」であることを示す。また、このリンクグループに関連付けられた3つのリンクデータは、リンクグループID「LG1」にリンクID「L1」とリンクID「L2」とリンクID「L3」とが含まれることを示す。また、リンクID「L1」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S21」である。また、リンクID「L2」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S22」である。また、リンクID「L3」における発信側サーバIDは「S11」であり、着信側サーバIDは「S23」である。
【0048】
また、図に示す試験端末データは、試験端末ID「T1」の収容サーバIDが「S41」であり、番号帯が「0723」であることを示す。また、この試験端末データに関連付けられたサーバデータは、サーバID「S41」がサーバグループID「SG4」に含まれることを示す。
【0049】
次に、SIP制御網監視装置1で用いる各データについて説明する。
図8は、本実施形態による試験パス候補リストのデータ構造を示す概略図である。
試験パス候補リストは、パスID毎にパス選択の対象/非対象の状態を管理するリストであり、パスIDと選択候補除外フラグとの組のリストである。選択候補除外フラグは、パス選択対象であるか又はパス選択非対象であるかを示すフラグである。選択候補除外フラグ「TRUE」は、パス選択非対象であることを示し、選択候補除外フラグ「FALSE」は、パス選択対象であることを示す。試験パス選択部103は、ネットワークトポロジ情報のパスデータに含まれるパスIDを全て抽出して初期状態の試験パス候補リストを生成する。また、このとき、試験パス設定部103は、各パスの選択候補除外フラグを全て「FALSE」に設定する。
【0050】
図9は、本実施形態による試験パス選択リストのデータ構成を示す概略図である。
試験パス選択リストは、各パスの構成要素を管理するリストである。構成要素とは、リンクグループ及びサーバグループである。試験パス選択リストは、パスIDとパス構成要素との組のリストである。パス構成要素は、パスを構成するサーバグループのサーバグループID及びリンクグループのリンクグループIDのリストである。試験パス選択部103は、ネットワークトポロジ情報のパスデータに含まれるパスIDを全て抽出して初期状態の試験パス選択リストを生成する。このとき、試験パス選択部103は、リンク構成データに含まれるリンクグループIDと、サーバ構成データに含まれるサーバグループIDとを、パスID毎に抽出して試験パス選択リストのパス構成要素に設定する。
【0051】
図10は、本実施形態によるリンク未確認数リストのデータ構成を示す概略図である。
リンク未確認数リストは、リンクグループ毎のリンクの未確認数を管理するリストである。リンク未確認リストは、リンクグループIDと多重化リンク数と未確認リンク数との組のリストである。多重化リンク数は、リンクグループに含まれるリンクの総数である。未確認リンク数は、リンクの未確認数である。未確認数算出部102は、ネットワークトポロジ情報のリンクグループデータに含まれるリンクグループID全てを抽出して初期状態のリンク未確認数リストを生成する。このとき、未確認数算出部102は、リンクグループ毎に多重化リンク数を算出し、算出した多重化リンク数をリンク未確認数リストの多重化リンク数と未確認リンク数とに設定する。
【0052】
図11は、本実施形態による転送処理未確認数リストのデータ構造を示す概略図である。
転送処理未確認数リストは、各サーバグループにおける番号帯に対する転送処理の未確認数を管理するリストである。転送処理未確認リストは、サーバグループIDと、番号帯と、多重化サーバ数と、未確認サーバ数との組のリストである。番号帯は、各サーバグループが呼転送情報において管理している番号帯である。多重化サーバ数は、各サーバグループ内に存在するSIPサーバ3の総数である。未確認サーバ数は、各サーバグループで管理している番号帯それぞれの転送処理の未確認数である。未確認数算出部102は、ネットワークトポロジ情報の呼転送情報に含まれるサーバグループIDと番号帯との組を全て抽出して初期状態の転送処理未確認数リストを生成する。このとき、未確認数算出部102は、サーバグループ毎に多重化サーバ数を算出し、算出した多重化サーバ数を転送処理未確認数リストの多重化サーバ数と未確認サーバ数とに設定する。
【0053】
図12は、本実施形態による確定試験パスリストのデータ構造を示す概略図である。
確定試験パスリストは、確定された試験パスのリストであり、パスIDと、発信元端末IDと、着信先端末IDとの組の試験リストである。発信元端末IDは、試験呼を発信する試験端末4の端末IDである。また、着信先端末IDは、試験呼を着信する試験端末4の端末IDである。
【0054】
次に、図13を参照して、SIP制御網監視装置1によるSIP制御網全体正常性確認処理について説明する。図13は、本実施形態によるSIP制御網全体正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、SIP制御網監視装置1は、試験端末4の最適配置を導出する試験端末配置導出処理を行う。試験端末配置導出処理の詳細については後述する。試験端末4は、導出された最適配置に配置される。
次に、ステップS2において、SIP制御網監視装置1は、SIP制御網5全体の正常性を確認する正常性確認処理を行う。正常性確認処理の詳細については後述する。
【0055】
なお、本実施形態では、試験端末4の最適配置を導出し、導出した最適配置に基づいて試験端末4を配置した後に、正常性確認処理を行っているが、最適配置を導出せずに正常性確認処理を行ってもよい。この場合、SIP制御網監視装置1は、現在の試験端末4の配置位置におけるほぼ必要最低限の試験パスでSIP制御網5全体の正常性の確認が可能である。
【0056】
次に、図14を参照して、SIP制御網監視装置1による試験端末配置導出処理について説明する。図14は、本実施形態による試験端末配置導出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、SIP制御網監視装置1は、次のステップS102からS105までの処理を、SIP制御網5全体における、リンクの疎通及びSIPサーバ3での転送処理の確認が全て完了するまで実施する。つまり、SIP制御網監視装置1は、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が全て0になるまでステップS102からS105までの処理を繰り返す。
【0057】
ステップS102において、未確認数算出部102が、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数を算出する未確認数算出処理を行う。未確認数算出処理の詳細は後述する。
次に、ステップS103において、試験パス選択部103が、未確認数算出部102により算出された未確認数に基づいて、最優先で実施すべき試験パスを1つ選択する試験パス選択処理を行う。試験パス選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS104において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験に利用する試験端末4を選択する試験端末選択処理を行う。試験端末選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS105において、試験指示実行部108が、試験端末選択部104により選択された試験端末4に試験指示を送信することにより、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験を実施する。
【0058】
そして、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が0になると、ステップS106において、試験端末配置決定部109は、上述したS105における各試験端末4の利用回数を算出し、算出した利用回数についての試験端末4間の比に基づいて試験端末4の最適配置を導出する。具体的には、SIP制御網監視装置1は、まず、加入者を収容するSIPサーバ3毎に、収容する試験端末4の総利用回数を算出する。そして、SIP制御網監視装置1は、総利用回数が大きいSIPサーバ3ほど収容する試験端末4が多く、総利用回数が小さいSIPサーバ3ほど収容する試験端末4が少なくなるように、各試験端末4の最適配置を導出する。
【0059】
なお、この試験端末配置位置導出処理は、SIP制御網5を利用する必要はなく、シミュレーション等で実施してもよい。
【0060】
次に、図15を参照して、SIP制御網監視装置1による正常性確認処理について説明する。図15は、本実施形態による正常性確認処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、SIP制御網監視装置1は、次のステップS202からS209までの処理を、SIP制御網5全体における、リンクの疎通及びSIPサーバ3での転送処理の確認が全て完了するまで実施する。つまり、SIP制御網監視装置1は、リンクの未確認数及び転送処理の未確認数が全て0になるまでステップS202からS209までの処理を繰り返す。
【0061】
次に、ステップS202において、未確認数算出部102が、未確認数算出処理を行う。未確認数算出処理の詳細は後述する。
次に、ステップS203において、試験パス選択部103が、未確認数算出部102により算出された未確認数に基づいて、試験パス選択処理を行う。試験パス選択処理の詳細は後述する。
次に、ステップS204において、試験パス選択部103は、試験パス選択処理において試験パスが選択できたか否かを判定する。試験パスが選択できた場合にはステップS205へ移行し、試験パスが選択できなかった場合にはステップS209へ移行する。
【0062】
試験パスが選択できた場合には、ステップS205において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスの試験に利用する試験端末4を選択する試験端末選択処理を行う。試験端末選択処理の詳細は後述する。
そして、ステップS206において、試験端末選択部104は、試験端末選択処理において試験端末4が選択できたか否かを判定する。試験端末4が選択できた場合にはこの試験パスを確定しステップS207へ移行し、試験端末4が選択できなかった場合にはステップS208へ移行する。
【0063】
試験端末4が選択できた場合には、ステップS207において、未確認数補正部105が、試験端末選択部104により確定された試験パスにおけるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数を補正する未確認数補正処理を行い、ステップS203へ戻る。未確認数補正処理の詳細については後述する。
一方、試験端末4が選択できなかった場合には、ステップS208において、試験端末選択部104が、試験パス選択部103により選択された試験パスを選択対象から除外し、ステップS203へ戻る。具体的には、試験端末選択部104は、試験パス候補リストにおけるこの試験パスの選択候補除外フラグを「FALSE」から「TRUE」に変更する。
【0064】
一方、ステップS203において試験パスが選択できなかった場合には、ステップS209において、試験指示実行部108が、確定された全ての試験パスの試験端末4に試験指示を送信し、試験を実施する。
【0065】
次に、図16から図19を参照して、未確認数算出部102による未確認数算出処理について説明する。図16は、本実施形態による未確認数算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS301において、未確認数算出部102は、次のステップS302からS304までの処理を、SIP制御網5における全てのパスについて実施する。
【0066】
まず、ステップS302において、未確認数算出部102は、パスが経由する(パスの構成要素である)リンク及びSIPサーバ3を全て抽出する。
次に、ステップS303において、未確認数算出部102は、試験呼の通過経路情報に基づいて、リンクグループ毎にリンクの未確認数を算出し、リンク未確認数リストを更新する。
最後に、ステップS304において、未確認数算出部102は、試験呼の通過経路情報に基づいて、サーバグループ毎にパスの番号帯に対する転送処理の未確認数を算出し、転送処理未確認数リストを更新する。
【0067】
以下、上述した未確認算出処理の具体例を説明する。
図17から図19は、本実施形態による未確認数算出処理の具体例を説明するためのイメージ図である。本例では、SIPサーバ3Aから番号帯「0721」を管理するSIPサーバ3cまでのパスACにおけるリンクの未確認数と転送処理の未確認数を算出する場合を説明する。
まず、未確認数算出部102は、パスACを経由するリンク及びSIPサーバ3を抽出する(ステップS302)。図17に示す例では、未確認数算出部102は、リンクグループID「LG1」に含まれる3本のリンクと、リンクグループID「LG2」に含まれる6本のリンクと、リンクグループID「LG3」に含まれる2本のリンクとを抽出する。また、未確認数算出部102は、SIPサーバ3Aと、SIPサーバ3X1と、SIPサーバ3X2と、SIPサーバ3X3と、SIPサーバ3Y1と、SIPサーバ3Y2と、SIPサーバ3cとを抽出する。
【0068】
次に、未確認数算出部102は、試験呼の経路情報に基づいて、リンクグループ毎に未確認リンク数を算出し、リンク未確認数リストを更新する(ステップS303)。図18に示すリンク未確認数リストでは、リンクグループID「LG1」の多重化リンク数は「3」であり、未確認リンク数は「2」である。また、リンクグループID「LG2」の多重化リンク数は「6」であり、未確認リンク数は「4」である。また、リンクグループID「LG3」の多重化リンク数は「2」であり、未確認リンク数は「0」である。
【0069】
次に、未確認数算出部102は、試験呼の経路情報に基づいて、サーバグループ毎にパスACの番号帯の転送処理に対する未確認サーバ数を算出し、転送処理未確認数リストを更新する(ステップS304)。図19に示す例では、SIPサーバ3Aの番号帯「07」とSIPサーバ3X2の番号帯「072」とSIPサーバ3Y2の番号帯「0721」とが転送処理の確認されている番号帯である。また、SIPサーバ3X1の番号帯「072」とSIPサーバ3X3の番号帯「072」とSIPサーバ3Y1の番号帯「0721」とが転送処理の確認されていない番号帯である。図19に示す転送処理未確認数リストでは、SIPサーバ3Aの属するサーバグループID「SG1」の番号帯「07」の転送処理に対する多重化サーバ数は「1」であり、未確認サーバ数は「0」である。また、SIPサーバ3X1とSIPサーバ3X2とSIPサーバ3X3とが属するサーバグループID「SG2」の番号帯「072」の転送処理に対する多重化サーバ数は「3」であり、未確認サーバ数は「2」である。また、SIPサーバ3Y1とSIPサーバ3Y2とが属するサーバグループID「SG3」の番号帯「0721」の転送処理に対する多重化サーバ数は「2」であり、未確認サーバ数は「1」である。
【0070】
次に、図20から図23を参照して、試験パス選択部103による試験パス選択処理について説明する。図20は、本実施形態による試験パス選択処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、試験パス選択部103は、選択対象から除外されたパスを除く、SIP制御網5内に存在する全てのパスを抽出する。具体的には、試験パス選択部103は、試験パス候補リストにおいて選択候補除外フラグが「FALSE」であるパスを全て抽出する。
次に、ステップS402において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスの本数が0本であるか1本以上であるかを判定する。抽出したパスの本数が1本以上である場合には、ステップS403へ移行する。一方、抽出したパスの本数が0本である場合には、「試験パスが選択されていない状態」として本処理を終了する。
【0071】
パスの本数が1本以上である場合には、ステップS403において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスに含まれるリンクの未確認数と転送処理の未確認数との最大値を求める。具体的には、試験パス選択部103は、試験パス選択リストから各パスの構成要素を抽出する。次に、試験パス選択部103は、リンク未確認数リストから抽出したリンクグループの未確認リンク数を抽出し、転送処理未確認数リストから抽出したサーバグループの未確認サーバ数を抽出する。そして、試験パス選択部103は、抽出した未確認リンク数及び未確認サーバ数を比較して最大値を求める。
次に、ステップS404において、試験パス選択部103は、求めた最大値が正の値であるか0であるかを判定する。最大値が正の値である場合には、ステップS405へ移行する。一方、最大値が0である場合には、「試験パスが選択されていない状態」として本処理を終了する。
【0072】
最大値が正の値である場合には、ステップS405において、試験パス選択部103は、ステップS401において抽出されたパスの中から、未確認数が最大値である構成要素を含むパスを全て抽出する。
次に、ステップS406において、試験パス選択部103は、ステップS405において抽出したパスの本数が1本であるか2本以上であるかを判定する。抽出したパスの本数が1本である場合はステップS410へ移行する。一方、抽出したパスの本数が2本以上である場合はステップS407へ移行する。
【0073】
抽出したパスの本数が2本以上である場合、ステップS407において、試験パス選択部103は、抽出されたパスの構成要素のうち未確認数が次に大きい構成要素を特定し、特定した構成要素を含むパスを抽出する。
そして、ステップS408において、試験パス選択部103は、抽出されたパスが0本であるか1本であるか2本以上であるかを判定する。抽出されたパスが0本である場合にはステップS409へ移行する。また、抽出されたパスが1本である場合にはステップS410へ移行する。また、抽出されたパスが2本以上である場合にはステップS407へ戻る。
【0074】
抽出されたパスの本数が0本である場合、ステップS409において、試験パス選択部103は、最後に抽出されていたパスの中から、ランダムに1本パスを選択する。つまり、試験パス選択部103は、ステップS407において0本のパスが抽出される前に抽出された複数のパスからランダムに1本パスを選択する。
最後に、ステップS410において、試験パス選択部103は、抽出されたパスを試験パスとして選択する。
【0075】
以下、上述した試験パス選択処理の具体例を説明する。
図21から図23は、本実施形態による試験パス選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
まず、試験パス選択部103は、試験パス候補リストにおいて選択候補除外フラグが「FALSE」であるパスIDを抽出する(ステップS401)。試験パス候補リストが図21に示すデータ例である場合には、試験パス選択部103は、パスID「P2,P3,P5」を抽出する。
【0076】
次に、試験パス選択部103は、選択したパスID「P2,P3,P5」それぞれに含まれるリンクの未確認数及び転送処理の未確認数の中から最大値を求める(ステップS403)。試験パス選択リストが図21に示すデータ例である場合には、まず、試験パス選択部103は、選択したパスID「P2,P3,P5」それぞれに含まれるパス構成要素「LG1,LG2,LG3,LG10,LG11,LG20,LG21,SG1,SG2,SG10,SG20」を試験パス選択リストから抽出する。また、リンク未確認数リストが図23(a)に示すデータ例であり、転送処理未確認数リストが図23(b)に示すデータ例である場合、次に、試験パス選択部103は、抽出した各構成要素の未確認リンク数又は未確認サーバ数を比較し、サーバグループID「SG10」の未確認サーバ数「5」を最大値として求める。
【0077】
次に、試験パス選択部103は、抽出されたパスID「P2,P3,P5」から、未確認数が最大である構成要素「SG10」を含む2本のパスID「P3,P5」を抽出する(ステップS405)。
次に、試験パス選択部103は、抽出した2本のパスID「P3,P5」の構成要素の中で、2番目に(構成要素「SG10」の次に)大きな未確認数を持つ構成要素「LG10」を特定し、その構成要素「LG10」を含む2本のパスID「P3,P5」を抽出する(ステップS407)。
続いて、試験パス選択部103は、抽出した2本のパスID「P3,P5」の構成要素の中で、3番目に(構成要素「LG10」の次に)大きな未確認数を持つ構成要素「LG11,SG2」を特定し、その構成要素「LG11,SG2」を含むパスID「P3」を抽出する(ステップS407)。ここで抽出されたパスは1本であるため、このパスID「P3」を試験パスとして選択する(ステップS410)。
【0078】
なお、候補となる構成要素が複数ある場合には、それらの構成要素が含まれる個数をパス毎に算出し、算出した個数が最大であるパスを選択する。本例では候補となる構成要素が含まれるのが「P3」のみであったため、無条件で「P3」を選択したが、仮に「SG20」の未確認サーバ数も3であった場合には、「P3」に含まれる個数が2(「LG11,SG2」)であり、「P5」に含まれる個数が1(「SG20」)であるため、含まれる個数が最大である「P3」が選択される。また、仮にここでも2本以上のパスが抽出された場合には、更にそれらのパスに含まれる構成要素の未確認数の中で4番目、5番目、・・・の順に同様の処理を行い、試験パスの選択処理を行う。また、もし最後までパスが1本に絞られないまま、比較対象となる構成要素が無くなった場合には、最後に残っていたパスの中から1本のパスをランダムに「試験パス」として選択する。
【0079】
次に、図24から図35を参照して、試験端末選択部104による試験端末選択処理について説明する。図24は、本実施形態による試験端末選択処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、試験端末選択部104は、ネットワークトポロジ情報に基づいて、選択された試験パスにおいて、発信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4を発信側の選択候補として抽出し、着信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4のうち着信番号帯に合致する試験端末4を着信側の選択候補として抽出する。
【0080】
次に、ステップS502において、試験端末選択部104は、既に確定された試験パスで利用されている試験端末4を発信側の選択候補から除外する。具体的には、試験端末選択部104は、確定試験パスリストに存在する試験端末4を発信側の選択候補から除外する。
そして、ステップS503において、試験端末選択部104は、発信側の選択候補が残っているか否かを判定する。発信側の選択候補が残っている場合にはステップS504へ移行する。一方、発信側の選択候補が残っていない場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0081】
発信側の選択候補が残っている場合、ステップS504において、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで着信先試験端末4として利用されている試験端末4を着信側の選択候補から除外する。
そして、ステップS505において、試験端末選択部104は、着信側の選択候補が残っているか否かを判定する。着信側の選択候補が残っている場合にはステップS506へ移行する。一方、着信側の選択候補が残っていない場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0082】
着信側の選択候補が残っている場合、ステップS506において、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、着信側の選択候補の中から、既に選択された試験パスで発信元試験端末4として利用されている試験端末4を除外する。また、ここで除外した試験端末4の中からランダムに1つを選択し、選択した試験端末4を入れ替え候補端末とする。
そして、ステップS507において、試験端末選択部104は、着信側の選択候補が残っているか否かを判定する。着信側の選択候補が残っていない場合には、ステップS508へ移行する。一方、着信側の選択候補が残っている場合にはステップS512へ移行する。
【0083】
着信側の選択候補が残っていない場合、ステップS508において、試験端末選択部104は、選択された試験パスの着信側のSIPサーバ3に収容される試験端末4の中から、既に確定された試験パスで利用されていない試験端末4を抽出する。
そして、ステップS509において、試験端末選択部104は、ステップS508において試験端末4が抽出できたか否かを判定する。試験端末4が抽出できた場合にはステップS510へ移行する。一方、試験端末4が抽出できなかった場合には、「試験端末が選択できていない状態」として本処理を終了する。
【0084】
試験端末4が抽出できた場合、ステップS510において、試験端末選択部104は、抽出された試験端末4の中からランダムに1つ選択し、それを入れ替え候補端末に割り当てられた試験パスの発信元試験端末4とする。
そして、ステップS511において、試験端末選択部104は、入れ替え候補端末を、選択された試験パスの着信側の選択候補とする。
最後に、ステップS512において、試験端末選択部104は、発信側の選択候補及び着信側の選択候補それぞれからランダムに1台ずつ試験端末4を選択する。そして、試験端末選択部104は、選択した試験端末4をそれぞれ試験パスの発信元試験端末4と着信先試験端末4として確定試験パスリストに追加し、試験パスを確定させる。
【0085】
以下、上述した試験端末選択処理の具体例を説明する。
図25から図35は、本実施形態による試験端末選択処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
以下、図25に示すパスデータのパスが試験パス選択処理により選択された場合を例に説明する。まず、試験端末選択部104は、選択された試験パスにおいて、発信元サーバID「S1」に収容される試験端末ID「T11,T12,T13」を発信側の選択候補として抽出する(ステップS501)(図26(a)参照)。次に、試験端末選択部104は、選択された試験パスにおいて、着信先サーバID「S2」に収容される試験端末4であって着信先番号帯「0721」に合致する試験端末ID「T21,T22」を着信側の選択候補として抽出する(ステップS501)(図26(b)参照)。
【0086】
次に、試験端末選択部104は、図27に示す確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで利用されている試験端末ID「T11」を発信側の選択候補「T11,T12,T13」から除外する(ステップS502)。この結果、試験端末ID「T12,T13」が発信側の選択候補として残る(図28参照)。
【0087】
続いて、試験端末選択部104は、既に確定された試験パスで着信先試験端末4として利用されている試験端末ID「T21」を着信側の選択候補「T21,T22」から除外する(ステップS504)。この結果、試験端末ID「T22」が着信側の選択候補として残る(図29参照)。
【0088】
更に、試験端末選択部104は、確定試験パスリストを参照し、既に確定された試験パスで発信元試験端末4として利用されている試験端末ID「T22」を着信側の選択候補「T22」から除外する(ステップS506)。このとき、試験端末選択部104は、ここで除外した試験端末ID「T22」からランダムに1台選択し、選択した試験端末ID「T22」を入れ替え候補端末とする。この結果、図30(a)に示すように発信側の選択候補は「該当なし」である。一方、図30(b)に示すように入れ替え候補端末には除外した試験端末ID「T22」が設定される。
【0089】
本例では、発信側の選択候補が残っていないため、試験端末選択部104は、着信先サーバID「S2」に収容される試験端末4であって、既に確定された試験パスで利用されていない試験端末ID「T23,T24」をネットワークトポロジ情報から抽出する(ステップS508)(図31参照)。
【0090】
そして、試験端末選択部104は、抽出した試験端末ID「T23,T24」からランダムに1つ試験端末ID「T23」を選択し、選択した試験端末ID「T23」を入れ替え候補端末「T22」が割り当てられた試験パス「P99」の発信元試験端末4とする(ステップS510)。具体的には、試験端末選択部104は、確定試験パスリストにおけるパスID「P99」の発信元端末ID「T22」(図32(a)参照)を、発信元端末ID「T23」とする(図32(b)参照)。
【0091】
次に、試験端末選択部104は、入れ替え候補端末「T22」を選択された試験パスP100の着信側の選択候補とする(ステップS511)。具体的には、試験端末選択部104は、図32(a)に示す入れ替え候補端末の試験端末データを着信側の試験端末データとする。つまり、試験端末選択部104は、図32(b)に示す着信側の試験端末データを生成する。
【0092】
最後に、試験端末選択部104は、発信側の選択候補「T12,T13」(図33(a)参照)からランダムに1つ試験端末ID「T12」を選択し、選択した試験端末ID「T12」を試験パス「P100」の発信元端末IDとする。また、試験端末選択部104は、発信側の選択候補「T22」(図33(b)参照)からランダムに1つ試験端末ID「T22」を選択し、選択した試験端末ID「T22」を試験パス「P100」の着信先端末IDとする。そして、試験端末選択部104は、試験パス「P100」と、発信元端末ID「T12」と、着信先端末ID「T22」との組を確定試験パスリストに追加する(図34参照)。
【0093】
一方、「試験端末が選択できていない状態」として試験端末選択処理を終了した場合には、試験端末選択部104は、この試験パス「P100」を選択対象から除外する(ステップS208)。具体的には、試験端末選択部104は、試験パス候補リストにおけるパスID「P100」に対応する選択候補除外フラグを「FALSE」から「TRUE」に更新する(図35参照)。
【0094】
次に、図36から図40を参照して、未確認数補正部105による未確認数補正処理について説明する。図36は、本実施形態による未確認数補正処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS601において、未確認数補正部105は、試験端末選択処理において確定された試験パスの構成要素を試験パス選択リストから抽出する。
次に、ステップS602において、未確認数補正部105は、抽出した構成要素全てに対して次のS603の処理を実施する。
ステップS603において、未確認数補正部105は、構成要素の多重化数L(多重化リンク数又は多重化サーバ数)と未確認数k(未確認リンク数又は未確認サーバ数)を抽出し、未確認数の補正処理を行う。具体的には、未確認数補正部105は、次の式(1)により補正後の未確認数k´を算出する。
【0095】
【数1】
【0096】
この未確認数補正処理を行うことにより、次に試験パスを選択する際に必要なパスが選択されないことや、無駄なパスが選択されることを抑制することができる。これは、試験パス選択部103は、未確認数の大きなパスを優先的選択しているためである。つまり、選択された試験パスで試験が実施されると、未確認数が減少していることが期待できる。この未確認数補正処理は、期待される未確認数の減少を計算処理によって算出しており、これによって必要以上に試験パスが選択されることを抑制している。
【0097】
以下、上述した未確認数補正処理の具体例を説明する。
図37から図40は、本実施形態による未確認数補正処理の具体例を説明するためのイメージ図である。
まず、未確認数補正部105は、試験端末選択処理において確定されたパスID「P100」(図37参照)のパス構成要素「LG100,SG100,LG101,SG200,LG200」を試験パス選択リスト(図38参照)から抽出する(ステップS601)。
【0098】
次に、未確認数補正部105は、抽出された構成要素それぞれに対して、未確認数を補正する(ステップS603)。リンク未確認数リストが図39(a)であり、転送処理未確認数リストが図39(b)である場合を例に説明する。この場合、リンクグループID「LG101」の多重化数は「6」であり、未確認数は「4」である。未確認数補正部105は、上述した式(1)により、補正後の未確認数k´=3.33(4−4/6)を算出する。そして、未確認数補正部105は、リンク未確認リストにおけるリンクグループID「LG101」の未確認リンク数「4」(図40(a)参照)を未確認リンク数「3.33」に更新する(図40(b)参照)。未確認数補正部105は、パスID「P100」の他の構成要素「SG100,LG101,SG200,LG200」についても同様に未確認数を補正する。
【0099】
このように、本実施形態によれば、未確認数の大きい構成要素を持つ試験パスから順に選択し、未確認数を補正する。つまり、数学的期待値に基づいて試験パスを選択するため、SIP制御網5全体の正常性の確認が完了するまでに要する試験呼数を少なく抑えることができる。すなわち、本実施形態によれば、多重化されたSIPサーバ3を通過する試験呼数が、SIPサーバ3間の要確認数についての比に準じるように試験パスを選択しているため、SIP制御網5全体の正常性を確認するために必要となる試験パス数を少なく抑えることができる。要確認数とは、SIPサーバ3が多重化された部分においてリンクの疎通もしくはSIPサーバ3での転送処理を全て確認済みとするために必要となる試験呼数の期待値である。例えば、あるリンクグループの多重化数がL本であり未確認数がk本である場合であって、L本の中からある試験呼が通過する1本を選択するポリシーがランダム選択である場合には、要確認数Eは次の式(2)により求められる。
【0100】
【数2】
【0101】
また、試験端末4間の利用回数についての比に基づいて試験端末4の最適配置を導出しているため、試験端末4をその配置にすることで、より短時間に効率良く正常性を確認することができる。
また、試験端末4は一般的なIP電話で実現可能であり、SIPサーバ3も正常性確認のための特別な改造を必要としない。そのため、低コストで正常性を確認することができる。また、SIP制御網5全体の正常性を確認するまでに要する試験呼数が少なく抑えられるので、一般のインサービス呼の接続に影響を与えることなく正常性の確認が可能である。
【0102】
また、図13に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、SIP制御網全体正常性確認処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0103】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0104】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…SIP制御網監視装置 2…SIPログ収集装置 3…SIPサーバ 4…試験端末 5…SIP制御網 101…試験結果受信部 102…未確認数算出部 103…試験パス選択部 104…試験端末選択部 105…未確認数補正部 106…経過経路情報受信部 107…ネットワークトポロジ情報記憶部 108…試験指示実行部 109…試験端末配置決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部と、
前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、
前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、
前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する試験パス選択部と、
前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定する試験端末選択部と、
前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
試験パスが確定すると、当該確定した試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、前記確定した試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する未確認数補正部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記試験パス選択部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなるまで、前記未確認数の大きい構成要素を持つパスから順次試験パスとして選択し、
前記試験端末選択部は、既に選択した試験端末以外の試験端末を選択し、
前記試験指示実行部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなると、確定した全ての試験パスの試験指示を送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記試験端末選択部は、選択可能な着信側の試験端末がない場合、他の試験パスの発信側として既に選択された試験端末を、前記試験パス選択部に選択された試験パスの着信側の試験端末とし、前記他の試験パスの発信側の試験端末を選択可能な試験端末から選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき、各試験端末の配置を決定する試験端末配置決定部
を備えることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置に用いられる監視方法であって、
前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、
前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、
前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、
前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、
前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【請求項7】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置として用いられるコンピュータに、
前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、
前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、
前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、
前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、
前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部と、
前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信する通過経路情報受信部と、
前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出する未確認数算出部と、
前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択する試験パス選択部と、
前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定する試験端末選択部と、
前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信する試験指示実行部と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
試験パスが確定すると、当該確定した試験パスを構成する各リンクグループのリンクの未確認数を各リンクグループのリンク数とリンクの未確認数とに基づいて補正し、前記確定した試験パスを構成する各サーバグループの転送処理の未確認数を各サーバグループのサーバ数と転送処理の未確認数とに基づいて補正する未確認数補正部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記試験パス選択部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなるまで、前記未確認数の大きい構成要素を持つパスから順次試験パスとして選択し、
前記試験端末選択部は、既に選択した試験端末以外の試験端末を選択し、
前記試験指示実行部は、前記試験端末選択部により選択可能な試験端末がなくなると、確定した全ての試験パスの試験指示を送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記試験端末選択部は、選択可能な着信側の試験端末がない場合、他の試験パスの発信側として既に選択された試験端末を、前記試験パス選択部に選択された試験パスの着信側の試験端末とし、前記他の試験パスの発信側の試験端末を選択可能な試験端末から選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
各試験端末が試験に利用された回数についての試験端末間の比に基づき、各試験端末の配置を決定する試験端末配置決定部
を備えることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置に用いられる監視方法であって、
前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、
前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、
前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、
前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、
前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【請求項7】
多重化されたサーバ群を示すサーバグループと前記サーバグループ間を接続するリンク群を示すリンクグループとを介して複数の端末が呼接続するネットワークにおける接続関係を特定するためのネットワークトポロジ情報を記憶する記憶部を備えた監視装置として用いられるコンピュータに、
前記監視装置の通過経路情報受信部が、前記ネットワークにおいて、呼を発信する端末に接続されるサーバから呼の着信番号帯を管理するサーバまでの経路であるパスの疎通を確認するための試験呼の通過経路情報を受信するステップと、
前記監視装置の未確認数算出部が、前記記憶部に記憶されるネットワークトポロジ情報と前記通過経路情報受信部に受信される通過経路情報とに基づいて、試験呼による疎通が確認されていないリンクの数であるリンクの未確認数をリンクグループ毎に算出し、着信番号帯に対する呼の転送処理が試験呼により確認されていないサーバの数である転送処理の未確認数をサーバグループ毎に算出するステップと、
前記監視装置の試験パス選択部が、前記未確認数算出部により算出された未確認数が最大であるリンクグループ又はサーバグループを構成要素とするパスを試験パスとして選択するステップと、
前記監視装置の試験端末選択部が、前記試験パス選択部に選択された試験パスに試験呼を発信する発信側の試験端末と試験呼を着信する着信側の試験端末とを選択し、前記試験パスを確定するステップと、
前記監視装置の試験指示実行部が、前記試験端末選択部に選択された試験端末に前記試験パスの試験指示を送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2012−129930(P2012−129930A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281818(P2010−281818)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
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