説明

直動アクチュエータ及びこれを備えたロボット

【課題】小型化、軽量化、不感帯領域の削減が可能な直動アクチュエータ、及びこれを備えたロボットを提供する。
【解決手段】直動アクチュエータ11は、中空電動モータ13の中空インナロータ14に固定的に連結されたナット部材15と、ナット部材15に保持されるボール16を介してナット部材15に螺合するネジ溝17aが外周面に形成され、中空インナロータ14に形成された貫通穴14aを挿通する直動出力軸17と、ナット部材15の軸線方向に離間して設けられ、ナット部材15を筐体18に支持する一対のアンギュラベアリング19a,19bと、アンギュラベアリング19a,19bの外輪間に介設されたアウタカラー28とを備える。ナット部材15は、アンギュラベアリング19a,19bの内輪間に介在するインナカラーとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動アクチュエータ、及び直動アクチュエータにより揺動駆動されるリンクを備えたロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
第1リンクと第2リンクとが関節部を介して連結され、第1リンクに対して第2リンクを揺動動作させる直動アクチュエータを備えたロボットが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、左右対称の脚部と胴体部とを備え、各脚部は胴体部に、股関節部を介して連結される大腿リンク(第1リンクに相当)と、該大腿リンクの下端に膝関節部(関節部に相当)を介して連結される下腿リンク(第2リンクに相当)と、各脚部における、大腿リンクと下腿リンクとを膝関節部から離間した部分で連結する直動アクチュエータとを備えた2足歩行ロボットが開示されている。
【0004】
この直動アクチュエータは、電動モータと、電動モータによりベルトを介して回転駆動されるナット部材と、ナット部材に保持されるボールを介して該ナット部材に螺合するネジ軸(直動出力軸に相当)とを備え、ナット部材が筒状のナットケース内に一対のアンギュラベアリングを介して軸支されている。そして、ナット部材は、ボールを保持するナット本体部と、ナット本体部より外径が小さい軸方向両端の軸部とを有し、両軸部を一対のアンギュラベアリングにより軸支するように構成されている。両アンギュラベアリングの内輪間には第1カラーが介設され、この第1カラーは、ナット本体部に外挿される円筒部と、円筒部の軸方向両端に設けられ、ナット本体部と各軸部との間の段差と各アンギュラベアリングの内輪との間に入り込んで内輪に当接する一対の環状板部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−103204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された直動アクチュエータは、ナット部材とナットケースとの間に第1カラーを設けるので、ナットケースが大型化する。そのため、直動アクチュエータの重量が重くなり、ロボットに搭載した場合、イナーシャが大きくなるという問題がある。
【0007】
さらに、電動モータの回転がベルトを介してナット部材に伝達されるので、加減速時に、ネジ軸やナット部材等のイナーシャにより、ベルトの伸びや滑りが不可避的に生じる。そのため、直動アクチュエータに不感帯領域が存在し、リンクの揺動動作にガタが生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、小型化、軽量化、不感帯領域の削減が可能な直動アクチュエータ、及びこれを備えたロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の直動アクチュエータは、中空電動モータの中空インナロータに固定的に連結されたナット部材と、該ナット部材に保持されるボールを介して当該ナット部材に螺合するネジ溝が外周面に形成され、前記中空インナロータに形成された貫通穴を挿通する直動出力軸と、前記ナット部材の軸線方向に離間して設けられ、該ナット部材を筐体に支持する一対のアンギュラベアリングと、前記アンギュラベアリングの外輪間に介設されたアウタカラーとを備えた直動アクチュエータであって、前記ナット部材は、前記アンギュラベアリングの内輪間に介在するインナカラーとして機能することを特徴とする。
【0010】
本発明の直動アクチュエータによれば、ナット部材がアンギュラベアリングの内輪間に介在するインナカラーとして機能するので、上記特許文献1に開示された直動アクチュエータのようにナット部材と筐体との間に第1カラーを設ける必要がない。そのため、直動アクチュエータを小型化、軽量化することが可能となる。
【0011】
さらに、中空電動モータの中空インナロータにナット部材が固定的に連結されているので、上記特許文献1に開示された直動アクチュエータとは異なり、不感帯領域が存在しない。そのため、加減速時に直動出力軸の軸線方向動作にガタが生じない。
【0012】
また、本発明の直動アクチュエータにおいて、前記中空インナロータに固定的に連結された中空エンコーダ軸の回転角度を検出する中空エンコーダを備えることが好ましい。
【0013】
この場合、中空エンコーダ軸が中空インナロータを介してナット部材と一体に回転するので、中空エンコーダによってナット部材の回転角度を精度良く検出することができる。そして、これに伴い、直動出力軸の軸線方向動作を精度良くフィードバック制御することができる。
【0014】
本発明のロボットは、第1リンクと第2リンクとが関節部を介して連結され、前記本発明の直動アクチュエータを備えたロボットであって、前記直動アクチュエータは、前記第1リンクに対して前記第2リンクを揺動駆動し、前記ナット部材の軸線に交差した軸線を有する軸受部が前記筐体に設けられ、該軸受部を介して前記直動アクチュエータは前記第1リンクに揺動自在に支持されることを特徴とする。
【0015】
本発明のロボットによれば、前述した利点を有する直動アクチュエータを用いてリンクを揺動駆動する。そのため、ロボットを小型化、軽量化することが可能となるとともに、加減速時にリンクの揺動動作にガタが生じない。
【0016】
また、本発明のロボットにおいて、前記軸受部は、前記アウタカラーにも設けられていることが好ましい。
【0017】
この場合、ナット部材の軸線に交差した軸線方向の軸受部の深さを変更することなく、筐体の外形を小型化することが可能となる。そのため、さらに、直動アクチュエータ、ひいてはロボットを小型化、軽量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図。
【図2】直動アクチュエータの断面図。
【図3】本発明の実施形態の変形に係る直動アクチュエータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係るロボット1について図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、ロボット1は、2足歩行ロボットであり、胴体部2と左右一対の脚部3を備えている。なお、図面では、一本の脚部3のみが示されている。
【0021】
各脚部3は、胴体部2の下端に股関節部5を介して連結される大腿リンク(第1リンク)6と、大腿リンク6の下端に膝関節部(関節部)7を介して連結される下腿リンク(第2リンク)8と、下腿リンク8の下端に足首関節部9を介して連結される足平部10とから構成されている。そして、各脚部3における、大腿リンク6と下腿リンク8とを、膝関節部7から離間した部分で連結する直動アクチュエータ11を備えている。なお、胴体部2と大腿リンク6、及び下腿リンク8と足平部10も、図略した直動アクチュエータによって、それぞれ連結されている。
【0022】
膝関節部7は、横方向のY軸回りの回転自由度を有する1軸ジョイントで構成されている。具体的には、詳細は図示しないが、下腿リンク8の上端部に設けられた支軸12が、Y軸に平行な軸線を有して大腿リンク6の下端部に装着されたベアリング等を介して揺動自在に支持されている。これにより、下腿リンク8は大腿リンク6に対しY軸を中心にして前後方向に揺動自在となっている。なお、以下、下腿リンク8が揺動動作するとは、下腿リンク8が大腿リンク6に対して相対的に揺動動作することを意味する。また、股関節部5と足首関節部9は、ともに2軸ジョイントで構成されている。
【0023】
直動アクチュエータ11は、図2も参照して、中空電動モータ13の中空インナロータ14に固定的に連結されたナット部材15と、このナット部材15に保持されるボール16を介してナット部材15に螺合するネジ溝17aが外周面に形成され、中空インナロータ14に形成された貫通穴14aを挿通する直動出力軸17と、ナット部材15の軸線方向に離間して設けられ、ナット部材15を筐体(ナットケース)18に支持する一対のアンギュラベアリング19a,19bとを備えている。直動アクチュエータ11は、さらに、中空インナロータ14に固定的に連結された中空エンコーダ軸20の回転角度等を検出する中空エンコーダ21も備えている。
【0024】
直動アクチュエータ11は、大腿リンク6の上部にY軸に平行な軸線を有して対向するように設けられた一対の支軸22によって、大腿リンク6に軸支されている。
【0025】
そして、直動アクチュエータ11の直動出力軸17の先端に連結されたロッド軸23の先端に設けられた支軸24が、Y軸に平行な軸線を有して下腿リンク8に設けられたベアリング等を介して揺動自在に支持されている。これにより、中空電動モータ13の回転に伴う直動出力軸17の軸方向移動により、支軸22,24間の距離が変動して、下腿リンク8の大腿リンク6に対する揺動動作が行われる。
【0026】
胴体部1には、制御ユニット25が内蔵されている。制御ユニット25は、マイクロコンピュータ等を含む電子回路により構成されたものであり、各脚部3の各関節部5,7,9の動作等を制御する。制御ユニット25は、中空エンコーダ21が検出した回転角度や回転方向等に基づいて、中空電動モータ13を通電制御する。
【0027】
以下、直動アクチュエータ11の詳細について図2を参照して説明する。
【0028】
直動出力軸17の軸心と直交する方向(図2における上下方向)での筐体18の両側端部に、一対の軸受部材26,26が固定されることにより、直動アクチュエータ11を大腿リンク6に揺動自在に支持する軸受部が構成されている。
【0029】
ここでは、これら軸受部材26,26は、ブッシュであり、軸心が対向するように筐体18に形成された貫通穴に装着されている。各軸受部材26には、それぞれ、大腿リンク6の離間する内壁から、膝関節部7(図1参照)の関節軸と平行な軸心を有するようにして突設された支軸22が嵌挿されている。これにより、直動アクチュエータ11の筐体18は、支軸22の軸心周りに揺動自在に、大腿リンク6に支持される。
【0030】
筐体18の内部には、ボールネジ機構の主要部が収容されている。直動出力軸17がボールネジ機構のネジ軸となっており、その外周面に螺旋状のネジ溝17aが形成されている。また、ボールネジ機構は、直動出力軸17に同軸心に外挿された筒状のナット部材15と、このナット部材15の内周面に保持されるとともにネジ溝17aに係合された複数のボール16とを備え、ナット部材15及びボール16が筐体18の内部に収容されている。ナット部材15の内周面には、ボール16と係合されたネジ溝15aが形成されている。
【0031】
これにより、ナット部材15を直動出力軸17に対してその軸心周りに回転させることによって、ボール16がネジ溝15a,17aに沿って転動しつつ、直動出力軸17が、ナット部材15に対して軸心方向に移動するようになっている。
【0032】
ナット部材15は、その軸心方向の中央部が、支持軸22,22の間に位置するようにして筐体18の内部に配置されている。そして、ナット部材15の軸心方向の一端部(股側端部)は、ドグ部を介して、中空電動モータ13の出力回転軸である中空インナロータ14が固定されている。中空インナロータ14は、ナット部材15と同軸心に、直動出力軸17との間にクリアランスを有して、直動出力軸17に外挿されている。
【0033】
そして、ナット部材15の他端部(中空インナロータ14と反対側の端部、膝側端部)の外周面と筐体18の内周面との間、並びに、中空インナロータ14のナット部材15寄りの外周面と筐体18の内周面との間には、それぞれ、ナット部材15と同軸心のベアリング19a,19bが介装されている。これにより、ナット部材15及中空インナロータ14がそれらの軸心周り(直動出力軸17の軸心周り)に一体に回転するように、ベアリング19a,19bを介して筐体18に支持されている。
【0034】
なお、本実施形態では、ナット部材15と中空インナロータ14とは別体構造であるが、ナット部材15と中空インナロータ14とを一体化してもよい。
【0035】
ここで、ナット部材15の回転時には、直動出力軸17がその軸心方向に動くことで、ナット部材15にその軸心方向の力(スラスト力)が作用する。このため、本実施形態では、ベアリング19a,19bはアンギュラベアリングにより構成されている。この場合、ベアリング19aの内輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング19b側の端面には、ナット部材15の外周面に形成された顎部15bが当接されている。さらに、ベアリング19aの外輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング19bと反対側の端面には、筐体18の膝側端部に装着された環状キャップ部材27が当接されている。
【0036】
また、ベアリング19bの内輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング19a側の端面には、ナット部材15の外周面に形成された顎部15cが当接されている。さらに、ベアリング19bの外輪の軸心方向の両端面のうちのベアリング19aと反対側の端面には、筐体18の股側端部の内周面に形成された顎部18aが当接されている。
【0037】
これにより、ナット部材15の回転時にナット部材15に作用するスラスト力を、ベアリング(アンギュラベアリング)19a,19bを介して筐体18で受けるようにしている。このように、ナット部材15は、ベアリング19a,19bの内輪間に介在するインナカラーとして機能する。
【0038】
なお、ベアリング19aの外輪とベアリング19bの外輪との間には、ナット部材15に外挿された筒状のアウタカラー28が介装されている。そして、ベアリング19aの外輪は、このアウタカラー28と環状キャップ部材27との間に挟まれ、ベアリング19bの外輪は、アウタカラー28と筐体18の顎部18aとの間に挟まれている。
【0039】
中空電動モータ13を内部に収容するモータハウジング29が、筐体18の股側端部に隣接するように、図示しないボルト等によって筐体18に固定されている。
【0040】
中空電動モータ13は、軸心に沿って貫通穴14aが形成され、モータコアを兼用する中空インナロータ14と、この中空インナロータ14の外周面に固定される多極着磁されたロータ磁石30と、これらロータ磁石30に対向してモータハウジング29の内部に固定されたステータコイル31などを備えている。
【0041】
中空電動モータ13の中空インナロータ14の回転時には、直動出力軸17がその軸心方向に動くことで、中空インナロータ14にその軸心方向の力(スラスト力)が作用する。そのため、一対のアンギュラベアリングを介して中空インナロータ14を支持することが好ましい。
【0042】
しかし、本実施形態では、ベアリング数を削減するとともに直動アクチュエータ14を短軸化するために、中空インナロータ14と一体に回転するナット部材15を支持するベアリング19bを、中空インナロータ14を支持する一対のアンギュラベアリングのうちの一方として兼用している。そして、他方のアンギュラベアリングであるベアリング32を、モータハウジング29の股側端部に隣接する副筐体33の内部に配置している。副筐体33は、図示しないボルト等によってモータハウジング29に固定されている。
【0043】
ベアリング32は、より詳細には、モータハウジング29の股側端部側の側面と副筐体33の膝側端部側の側面とに、外輪の軸心方向の両端面がそれぞれ当接され、中空インナロータ14と同軸心に介装されている。これにより、中空インナロータ14に作用するスラスト力を、ベアリング19b,32を介して筐体18、モータハウジング29及び副筐体33で受けるようにしている。
【0044】
さらに、中空エンコーダ21を内部に収容するエンコーダハウジング34が、副筐体33の股側端部に隣接するように、図示しないボルト等によって副筐体33に固定されている。中空エンコーダ21は、中空エンコーダ軸21の回転角度や回転方向等を検出する磁気式等の検出器である。中空エンコーダ21の中空エンコーダ軸20が図示しないピン等によって中空インナロータ14に固定されている。
【0045】
これにより、中空エンコーダ21の検出する中空エンコーダ軸20の回転角度や回転方向は、中空インナロータ14、ひいてはナット部材14の回転角度や回転方向と常に等しい。
【0046】
以上のように、直動アクチュエータ11のナット部材15は、ベアリング19a,19bの内輪間に介在するインナカラーとして機能している。そのため、上記特許文献1に開示された直動アクチュエータにように、ナット部材15と筐体18との間に第1カラーを設ける必要がないので、直動アクチュエータ11を小型化、軽量化することが可能となる。
【0047】
ところで、例えば、直動出力軸17に電動モータを並設し、この電動モータの回転駆動力を所謂プーリ・ベルト式回転伝達機構によってナット部材15を回転させることも可能である。しかし、この場合、電動モータの回転がベルトを介してナット部材15に伝達されるので、加減速時に、直動出力軸17やナット部材15等のイナーシャにより、ベルトの伸びや滑りが不可避的に生じる。そのため、直動アクチュエータの不感帯領域が存在し、下腿リンク8の揺動動作にガタが生じる。
【0048】
一方、本実施形態では、中空電動モータ13の中空インナロータ14は、ナット部材15に固定的に連結されている。これにより、中空電動モータ13がその中空インナロータ14から出力する回転駆動力が、該中空インナロータ14と一体に回転するナット部材15に伝達され、これに従い、直動出力軸17がその軸心方向に移動するように駆動する。このとき、中空インナロータ14とナット部材15との間に滑り等が生じ得ないので、直動アクチュエータ11は不感帯領域を有さず、下腿リンク8の揺動動作にガタが生じない。
【0049】
さらに、中空インナロータ14に固定的に連結された中空エンコーダ軸20の回転角度を中空エンコーダ21が検出する。中空エンコーダ軸20は中空インナロータ14を介してナット部材15と一体に回転するので、中空エンコーダ21によってナット部材15の回転角度を精度良く検出することができる。そして、これに伴い、下腿リンク8の揺動動作を精度良くフィードバック制御することが可能となる。
【0050】
また、直動出力軸17に電動モータを並設すると、電動モータの外形状が、直動出力軸17の軸心に対して一方向に突出するので、外形状に張り出し部分が生じ、大腿リンク6が大型化する。
【0051】
一方、本実施形態では、中空電動モータ13は、その内部中心に位置する中空インナロータ14が直動出力軸17と同軸心に配置されるので、直動アクチュエータ14に対する中空電動モータ13の外側形状の特定方向への突出が抑止され、大腿リンク6をスリム化することが可能となる。
【0052】
なお、以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、実施形態では、軸受部材26,26を筐体18に装着する場合について説明したが、これに限定されない。
【0053】
図3に示すように、アウタカラー28Aに軸受部材26A,26Aを装着するための穴を形成し、軸受部材26A,26Aを筐体18とアウタカラー28Aとに亘るように装着してもよい。これにより、軸受部材26A,26Aの深さを変更することなく、筐体18の外形を小型化することが可能となる。
【0054】
さらに、実施形態では、軸受部材26,26をブッシュとしたが、ベアリング等であってもよい。また、軸受部材26,26を装着するために、筐体18に貫通穴を形成したが、窪みやボスを形成してもよい。
【0055】
さらに、実施形態では、中空電動モータ13を、筐体18の股側端部に隣接するように配置したが、筐体18の膝側端部に隣接するように配置してもよい。
【0056】
さらに、実施形態では、ロボット1が2足歩行ロボットである場合について説明した。しかし、2つのリンクが関節部を介して連結され、一方のリンクに対して他方のリンクを揺動駆動するアクチュエータを備えたロボットであれば、ロボットの構成や形態については限定されない。本発明を、例えば、人型ロボットの腕部に本発明を適用してもよい。また、ロボットと呼称されるものに限定されず、例えば、特開2009−279194号公報等に記載の歩行補助装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…ロボット、 3…脚部、 6…大腿リンク(第1リンク)、 7…膝関節部(関節部)、 8…下腿リンク(第2リンク)、 11,11A…直動アクチュエータ、 13…中空電動モータ、 14…中空インナロータ、 15…ナット部材(インナカラー)、 16…ボール、 17…直動出力軸、 17a…ネジ溝、 18,18A…筐体、 19a,19b…ベアリング(アンギュラベアリング)、 20…中空エンコーダ軸、 21…中空エンコーダ、 22,22A…支軸、 26,26A…軸受部材(軸受部)、 28,28A…アウタカラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空電動モータの中空インナロータに固定的に連結されたナット部材と、該ナット部材に保持されるボールを介して当該ナット部材に螺合するネジ溝が外周面に形成され、前記中空インナロータに形成された貫通穴を挿通する直動出力軸と、前記ナット部材の軸線方向に離間して設けられ、該ナット部材を筐体に支持する一対のアンギュラベアリングと、前記アンギュラベアリングの外輪間に介設されたアウタカラーとを備えた直動アクチュエータであって、
前記ナット部材は、前記アンギュラベアリングの内輪間に介在するインナカラーとして機能することを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記中空インナロータに固定的に連結された中空エンコーダ軸の回転角度を検出する中空エンコーダを備えることを特徴とする請求項1に記載の直動アクチュエータ。
【請求項3】
第1リンクと第2リンクとが関節部を介して連結され、請求項1又は2に記載された直動アクチュエータを備えたロボットであって、
前記直動アクチュエータは、前記第1リンクに対して前記第2リンクを揺動駆動し、
前記ナット部材の軸線に交差した軸線を有する軸受部が前記筐体に設けられ、該軸受部を介して前記直動アクチュエータは前記第1リンクに揺動自在に支持されることを特徴とするロボット。
【請求項4】
前記軸受部は、前記アウタカラーにも設けられていることを特徴とする請求項3に記載のロボット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−185328(P2011−185328A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49307(P2010−49307)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】