省燃費運転支援システム
【課題】運転者による燃費改善意欲を損なうことなく、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待できる省燃費運転支援システムを提供すること。
【解決手段】エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフにおいて、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定め、実際に検出されたエンジン回転数及び車速により特定される運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する。これにより、運転者に、そのレベルをより高めようという意欲を喚起させることができ、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【解決手段】エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフにおいて、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定め、実際に検出されたエンジン回転数及び車速により特定される運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する。これにより、運転者に、そのレベルをより高めようという意欲を喚起させることができ、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者が省燃費運転を行いうるように支援する省燃費運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、排気ガスの排出を抑えた状態、または、エネルギーの消費を抑えた状態のうちの少なくともいずれか一方の状態での運転であるエコ運転がどの程度行われたかを判定する車載装置が開示されている。
【0003】
この車載装置では、アクセル開度が適切であったか、適切なギヤを使用したか、エアコンをどの程度使用したか、アクセルオフにより燃料噴射量が0の状態でどの程度走行したか、所定速度未満の適切な速度で走行したか、最適なルートで目的地に向かっているか等の複数の異なる観点で、エコ運転がどの程度行われたかをそれぞれ判定する。そして、それぞれの判定結果に基づき、エコ運転が行われた度合いについての総合的な判定結果であるエコ運転レベルを特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の車載装置では、例えば、アクセル開度が適切であったか否かは、単にアクセル開度が所定値以下であるか否かにより判断しており、所定値以下である場合、適正アクセル開度とみなしている。また、適切なギヤが使用されたか否かについては、自動変速機のパワーモードやスポーツモードがOFF状態であれば、使用されたギヤは適切であると判定している。
【0006】
ここで、燃費の良い運転を行おうとした場合、エンジン回転数をできるだけ抑えることが効果的である。そのためには、ある速度で車両が走行しているとき、低速側のギヤよりもできるかぎり高速側のギヤを使用することが望まれる。このような観点からすると、上述した特許文献1のように、アクセル開度が適切であるか否かの判定や自動変速機のモード判定を個別に行なっているだけでは、車両の運転者が省燃費運転を行っているか否かを精度良く判定することは困難である。
【0007】
そのため、本出願人は、運転者が省燃費運転を行っているか否かを精度良く判定することができ、燃料消費量が過剰であるみなされる場合には、その旨を報知する省燃費運転支援システムを、既に出願している(特願2010−125151)。
【0008】
この先願の省燃費運転支援システムでは、車両の走行時に、実際に検出されたエンジン回転数及び走行速度に基づいて、例えば上位5%程度のエンジン回転数を過剰であると判定するように閾値を決定する。そして、車両が走行した際、実際のエンジン回転数が閾値を越えると、その旨を報知して運転者に注意を促す。
【0009】
しかし、閾値を超えていない場合であっても、閾値に近いエンジン回転数であれば、必ずしも燃料消費量が抑制された運転状態であるとは言えない。そのため、燃料消費量の一層の抑制を図るために、閾値をさらに下げることも考えられる。ただし、この場合、頻繁に報知が行なわれることになるので、運転者が報知を煩わしく感じたり、運転者による燃費改善意欲が損なわれたりするとの問題が生じる虞がある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、報知により運転者による燃費改善意欲を損なうことなく、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待できる省燃費運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の省燃費運転支援システムは、
車両のエンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
回転数検出手段によって検出されたエンジン回転数と速度検出手段によって検出された走行速度とを関連付けつつ、繰り返し記録する記録手段と、
エンジン回転数と走行速度とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域が定められ、記録手段に関連付けて記録されたエンジン回転数と走行速度とによって特定される運転状態が、少なくとも3つの領域のそれぞれに属する割合を算出する割合算出手段と、
割合算出手段によって算出された割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上述したように、請求項1に記載の省燃費運転支援システムでは、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定めている。従って、単に、エンジン回転数が閾値を超えたか否かを判定する場合に比較して、エンジン回転数と走行速度により特定される運転状態を、省燃費運転という観点において、よりきめ細かく分類することができる。そして、運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する。このように、省燃費運転のレベルを示す情報を報知することにより、運転者に、そのレベルをより高めようという意欲を喚起させることができる。従って、請求項1に記載の省燃費運転支援システムによれば、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【0013】
請求項2に記載したように、複数の領域は、それぞれ、車両の走行速度域が所定速度以下の低速域においては、走行速度によらず一定のエンジン回転数により境界が定められ、所定速度よりも高い高速域においては、走行速度の増加とともに増加するエンジン回転数により境界が定められることが好ましい。低速域では、より高速側のギヤに切り換えることが可能であり、それによりエンジン回転数を低減することができるためである。一方、高速域において、最も高速側のギヤに切り換えられたときに、車両の速度を増加させる必要がある場合(例えば、車両が高速道路を走行中である場合)には、エンジン回転数を高めざるを得ない状況が生じるためである。
【0014】
請求項3に記載したように、車両が実際に走行したときに、記録手段に記録されたエンジン回転数及び走行速度に基づき、複数の領域を定めるために、それら複数の領域を分ける境界を決定する境界決定手段を備えることが好ましい。このように、車両が走行した際に、実際に記録されたエンジン回転数及び走行速度から複数の領域を分ける境界を決定することにより、事前に、車両のエンジン特性などを考慮しつつ境界を決定しておく必要がなく、また、車両の状態に即して適切な境界を決定することができる。
【0015】
請求項4に記載したように、車両が走行する道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、記録手段は、エンジン回転数及び走行速度に加え、勾配検出手段によって検出された道路勾配も関連付けて記録し、境界決定手段は、勾配検出手段によって検出された道路勾配も考慮し、複数の領域を分ける境界として、平坦路用の境界と、上り坂用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、割合算出手段は、勾配検出手段によって検出された道路勾配に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けるようにしても良い。
【0016】
例えば、平坦路と上り坂とでは、車両の走行抵抗が異なるため、同様に車両を走行させようとしても、それぞれの状況で必要となるエンジン回転数は相違することになる。従って、車両が走行する道路の勾配を考慮して2種類の境界を決定し、それら2種類の境界を道路勾配に応じて使い分けることにより、道路勾配に対応した領域を設定することができる。
【0017】
請求項5に記載したように、車両における荷物の積載状態を検出する積載状態検出手段を備え、記録手段は、エンジン回転数及び走行速度に加え、積載状態検出手段による検出結果も関連付けて記録し、境界決定手段は、積載状態検出手段による検出結果も考慮して、複数の領域を分ける境界として、積載時用の境界と、非積載時用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、割合算出手段は、積載状態検出手段によって検出された積載状態に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けるようにしても良い。
【0018】
例えば、車両がトラックやトレーラーなど、非常に重い荷物を運ぶ車両である場合、荷物を積載している積載状態と、荷物を積載していない空車状態とでは、車両の走行抵抗が大きく変化する。そのため、道路勾配の場合と同様に、荷物の積載状態の検出結果も考慮して2種類の境界を決定し、それらを使い分けることで、荷物の積載状態に対応した領域を設定することができる。
【0019】
請求項6に記載したように、車両が制動状態にあるか、駆動状態にあるかを判別する判別手段を備え、記録手段には、判別手段による判別結果も記録され、割合算出手段は、判別手段によって車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することが好ましい。車両の制動時には、通常、燃料の噴射はカットされているとともに、そのエンジン回転数は、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。従って、制動時のエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転にどの程度該当する運転状態かを判定するためのデータとしては不適当であるためである。
【0020】
請求項7に記載したように、境界決定手段は、複数の領域を分ける境界を決定する際、判別手段によって車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることが好ましい。上述した領域は、エンジン回転数及び走行速度により特定される運転状態を、省燃費という観点で分類するためのものである。しかし、上述したように、車両制動時には、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数及び走行速度を、上述した領域の境界を決定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなるためである。
【0021】
請求項8に記載したように、報知手段は、割合算出手段によって算出された各領域に属する割合に対して、当該各領域に対応して定められている所定の係数を乗じた上で加算することにより点数化した情報を、省燃費運転のレベルを示す情報として報知しても良い。このように点数化した情報を報知することにより、運転者にとって分かり易い報知を行なうことができる。
【0022】
請求項9に記載したように、車両が、高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判別する合流状態判別手段を備え、記録手段には、合流状態判別手段による判別結果も記録され、割合算出手段は、合流状態判別手段により車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外する、もしくは、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させることが好ましい。
【0023】
車両が高速道路本線に合流しようとしているときには、運転者は、その車両の速度を短い走行距離で、本線を走行している車両の速度に合わせる必要がある。そのため、通常時よりも車両を急激に加速させる必要が生じ、車両の状態としては、低速側のギヤでエンジンを高回転にせざるを得ない。このような特殊な状況で検出されたエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転のレベルを評価するためのデータとしては不適切である。そのため、上記のように、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することが好ましい。あるいは、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、エンジン回転数が高くならざるを得ないことを考慮し、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させても良い。
【0024】
請求項10に記載したように、境界決定手段は、複数の領域を分ける境界を決定する際、合流状態判別手段によって車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることが好ましい。上述したように、車両が高速道路本線に合流しようとしているときは、エンジン回転数を高くせざるを得ない特殊な走行状況にあるため、そのときに検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域の境界を決定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなるためである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】車載機10の構成を示した構成図である。
【図3】車載機10において実行される、省燃費運転のレベルを示す評価点の算出処理を含む処理を示したフローチャートである。
【図4】車両がエンジンを始動して停止するまでの一運行期間において、エンジン回転数と車速とによって特定される車両の運転状態をプロットしたグラフである。
【図5】エンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、低速域における各領域に属する割合、及び高速域における各領域に属する割合をそれぞれ求めた一例を示す図である。
【図6】各運転状態の領域に対応して予め設定され、評価点の算出時に用いられる係数e1を説明するための説明図である。
【図7】第2実施形態による省燃費運転支援システムの車載機10の構成を示す構成図である。
【図8】駆動/制動判定部24による判定状態の推移の一例を示すタイムチャートである。
【図9】第2実施形態の省燃費運転支援システムにおける車載機10にて、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態による省燃費運転支援システムの車載機10の構成を示す構成図である。
【図11】診断停止条件について説明するための説明図である。
【図12】第3実施形態の省燃費運転支援システムにおける車載機10にて、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による省燃費運転支援システムについて、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。図1に示すように、省燃費運転支援システムは、車両に搭載される車載機10と、その車載機10において記録された記録データに基づいて、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態の分布状態を表示したり、燃費が良い、悪いという観点で区分けされる各運転状態の領域を定める境界を設定したりするパーソナルコンピュータ20とにより構成される。
【0028】
ただし、本実施形態では、パーソナルコンピュータ20において、各運転状態の領域を分ける境界を設定する例について説明するが、各運転状態の領域を分ける境界は、エンジン特性や車両重量などを考慮して予め設定され、車載機10に記憶されていても良いし、車載機10において設定、調整することも可能である。このような場合、省燃費運転支援システムは、車載機10のみから構成されることになる。
【0029】
図2を参照して、車載機10の構成について説明する。車載機10は、主に、車載機本体11、スピーカ14、表示装置15からなる。この内、車載機本体11は、エンジン回転数センサ(図示せず)によって検出されたエンジン回転数、及び車速センサ(図示せず)によって検出された車速を定期的に(例えば、1秒などの所定時間毎)に入力し、これらのデータに基づいて、燃費が良い、悪いという観点で、車両の運転状態を診断する運転状態診断部12を有している。
【0030】
運転状態診断部12は、定期的に入力されるエンジン回転数及び車速を関連付けて記録するメモリ12aを有している。そして、運転状態診断部12は、例えばエンジンを始動してから停止するまでの一運行期間や、その一運行期間を複数に分割した期間に含まれる記録データに基づいて、省燃費運転のレベルを示す評価点を算出する。この評価点の算出方法については、後に詳細に説明する。また、評価点としては、車両の走行速度が相対的に低い低速域での評価点と、相対的に高い高速域での評価点とがそれぞれ算出される。算出された評価点は、車載機本体11のアドバイス生成部13及び診断結果記録部16に出力される。なお、運転状態診断部12は、エンジン回転数及び車速を記録するメモリとして、診断結果記録部16を利用することも可能である。
【0031】
アドバイス生成部13は、運転状態診断部12により算出された評価点に基づいて、その評価点に応じたアドバイスを生成する。例えば、評価点が相対的に高い場合には、燃費の良い運転ができていることを褒めるアドバイスを生成したり、低速域での評価点が低い場合には、「早めのシフトアップを行いましょう」などのアドバイスを生成したり、高速域での評価点が低い場合には、「高速走行では、できるだけトップギヤを使用しましょう」などのアドバイスを生成したりする。
【0032】
アドバイス生成部13によって生成されたアドバイスは、評価点とともに、スピーカ14及び表示装置15に出力される。これにより、音声及び画面表示により、評価点及びアドバイスが運転者に報知される。なお、評価点及びアドバイスの報知のためには、スピーカ14及び表示装置15の少なくとも一方が設けられていれば良い。
【0033】
上述したスピーカ14及び表示装置15による報知は、車両が走行しているときに行っても良いし、車両の運転終了後などの事後に行なっても良い。また、車両の走行中に報知を行うとともに、事後においても報知を行うものであっても良い。車両の走行中に報知を行なう際には、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態が、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域へと、それらの領域間の境界線(後述する境界線A,E)を超えたときに、エンジン回転数が過剰である旨を報知するアドバイスを行なっても良い。
【0034】
また、車両の走行中に報知を行なう場合には、所定時間(例えば、10分間)分の記録データ、あるいは車両が所定距離(例えば、1km)走行する間の記録データを読み出して、評価点の算出及びアドバイスの生成を行ない、運転者に報知すれば良い。これにより、運転者の運転操作が燃費の悪い運転状態を生じるものである場合に、即座に、その旨を示す評価点や、改善点を指摘するアドバイスを報知することができる。
【0035】
評価点及びアドバイスは、所定時間経過するごとに、あるいは所定距離走行するごとに更新しても良いが、所定時間経過、あるいは所定距離走行するよりも早いタイミングで、所定時間分、あるいは所定走行距離分の記録データを読み出して、より短い間隔で報知内容を更新するようにしても良い。これにより、報知の応答性を高めることができる。さらに、読み出した記録データを、その記録された時期によって複数のグループに分類し、最新のデータのグループほど重みを高くし、古いデータのグループは重みを低くしつつ、各運転状態の領域に属する割合を算出するようにしても良い。このようにすれば、運転者の運転操作が変化し、その結果、車両の運転状態も変化したときに、その変化に応じた評価点を応答性良く算出することができる。
【0036】
診断結果記録部16はメモリカード17を備え、診断結果記録部16は、算出された評価点をメモリカード17に記録する他、車両の走行中に運転状態診断部12のメモリ12aに記録したエンジン回転数及び車速も記録する。このように、評価点や、エンジン回転数及び車速が記録されたメモリカード17は、車載機10からの取り外し、及びパーソナルコンピュータ20への接続が可能なものである。
【0037】
パーソナルコンピュータ20は、例えば事務所や自宅内に設置されたものであって、車載機10の診断結果記録部16によりメモリカード17に記録されたデータを取得して、表示する。例えば、パーソナルコンピュータ20において、エンジン回転数と車速との分布図を表示することにより、低速域及び高速域で、エンジン回転数が、いずれの運転状態の領域に分布しているかを確認することができる。なお、上述したようなメモリカード17を用いて、データを共有する以外に、例えば、パーソナルコンピュータ20と車載機10とは、無線通信により、相互にデータの授受を行うことが可能なものであっても良い。
【0038】
次に、運転状態診断部12にて実行される、省燃費運転のレベルを示す評価点の算出処理を含む処理について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0039】
まず、評価点の算出の前提となる、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態を、燃費が良い、悪いという観点で分類するための領域の設定について、図4を用いて説明する。この領域の設定は、パーソナルコンピュータ20によって行なわれる。
【0040】
図4は、車両がエンジンを始動して停止するまでの一運行期間において、エンジン回転数と車速とによって特定される車両の運転状態をプロットしたグラフを示している。この図4のグラフでは、縦軸がエンジン回転数を示し、横軸が車速を示している。
【0041】
図4においては、図の左下から、放射状に数本の太い線が延びているように見える。これらの線は、トランスミッションの各ギヤでの走行を表しており、一番右側の線がトップギヤ(例えば、7段ギヤのトランスミッションを有する車両であれば、7速ギヤ)による走行によるものである。
【0042】
ここで、燃費の良い運転を行うためには、エンジン回転数をできるだけ抑えることが効果的である。従って、燃費の良い運転を行った場合、図4のようなグラフにおいて、車両の運転状態をプロットした場合、低速域では全体的に低いエンジン回転数の領域に分布し、高速域では高段側のギヤに沿って分布することになる。
【0043】
本実施形態による省燃費運転支援システムでは、低速域ではエンジン回転数を抑え、高速域では高段側のギヤを使用した場合に、より高い評価点が算出されるようになっている。そのため、まず、図4に示すような、エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定める。ただし、図4に示す例では、「燃費の良い運転状態の領域」、「やや燃費の良い運転状態の領域」、「やや燃費の悪い運転状態の領域」、「燃費の悪い運転状態の領域」、及び「非常に燃費の悪い運転状態の領域」の5つの領域を定めている。
【0044】
これらの領域の境界は、例えばパーソナルコンピュータ20により、以下のようにして設定することができる。まず、実際に車両が走行したときに計測されたエンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、図4に示すグラフにプロットする。そして、このグラフにおいて、所定割合(例えば5%)のエンジン回転数を区分けするように、境界線Aを定める。この場合、対象とするエンジン回転数は、低速側のギヤによる走行によるもののみを対象としても良いし、すべてのギヤでのデータを対象としても良い。また、この境界線Aは、運行管理者などが、パーソナルコンピュータ20上で調整できるものであっても良い。このようにして定めた境界線Aは、「やや燃費の良い運転状態の領域」と「やや燃費の悪い運転状態の領域」とを分ける境界線となる。換言すれば、境界線Aは、「やや燃費の良い運転状態の領域」の上限となり、かつ「やや燃費の悪い運転状態の領域」の下限となる。このような境界線Aを、低速域における100%の運転状態を示すものとする。
【0045】
次に、高速域における100%の運転状態を示す境界線Eを設定する。この高速域の境界線Eは、図3に示すように、エンジン回転数と車速とからなる2次元座標グラフにおいて、車両のトランスミッションが高段側のギヤ位置となっているときに、エンジン回転数の上昇を許容すべく、車速の上昇とともに増大するように、高段側のギヤによるエンジン回転数と速度の比(エンジン回転数/速度)に応じた傾きに設定される。
【0046】
より具体的には、図3に示す例では、境界線Eは、最も高いギヤではなく、2番目に高いギヤによるエンジン回転数と速度の比に応じた傾きに設定され、かつ、2番目に高いギヤで速度の増加に伴いエンジン回転数が上昇したときに、境界線Eを横切らないように、境界線Eの傾斜開始速度(高速低速判定速度)が設定されている。しかしながら、例えば3つの領域に分ける場合など、境界線Eに関しては、最も高いギヤによりエンジン回転数が上昇するときに、当該境界線Eを横切らないように、傾き及び傾斜開始速度を設定しても良い。
【0047】
次に、低速域において、燃費の良い運転状態の領域の上限を示す境界線Bを設定する。この境界線Bは、境界線Aに対して、100%よりも小さい所定割合(50〜80%)の値に設定される。どの程度の割合にするかは、例えば運行管理者が指示するようにしても良い。図3に示す例では、境界線Bは、境界線Aの80%の値に設定されている。そして、高速域において、燃費の良い運転状態の領域の上限を示す境界線Fについて、最も高いギヤによりエンジン回転数が増加したときに、当該境界線Fを横切らないように、その傾き及び傾斜開始速度を設定する。なお、図3においては、境界線Bと境界線Fとが、高速低速判定速度において接しているが、互いに接しない場合も起こりえる。
【0048】
さらに、低速域において、やや燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線C、及び燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線Dを、境界線Aに対して、100%よりも大きい所定割合(図3では、120%と150%)の値に設定する。そして、高速域において、やや燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線G、及び燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線Hを、境界線Eに対して、100%よりも大きい所定割合(図3では、120%と150%)の値に設定する。ただし、境界線Gに関しては、3番目に高いギヤによりエンジン回転数が上昇したときに、当該境界線Gを横切らないように傾きや傾斜開始角度を設定しても良い。
【0049】
上述したように、本実施形態では、低速域においては、車速によらず一定のエンジン回転数となるように境界線が定められ、高速域においては、車速の増加とともに増加するエンジン回転数により境界線が定められている。これは、低速域では、より高速側のギヤに切り換えることが可能であり、それによりエンジン回転数を低減することができるためである。一方、高速域において、高速側のギヤに切り換えられたときに、車両の速度を増加させる必要がある場合(例えば、車両が高速道路を走行中である場合)には、エンジン回転数を高めざるを得ない状況が生じるためである。
【0050】
このようにして設定された境界線A〜Hに関するデータ(境界線データ)は、メモリカード17や通信によりパーソナルコンピュータ20から車載機10に与えられる。そして、この境界線データは、運転状態診断部12において、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態を、各境界線によって区画される領域に分類する際に利用される。このように、車両が走行した際に、実際に記録されたエンジン回転数及び車速から複数の領域を分ける境界線を決定することにより、事前に、車両のエンジン特性などを考慮しつつ境界線を決定しておく必要がなく、また、車両の状態に即して適切な境界線を決定することができる。
【0051】
ただし、上述した各境界線の設定方法は1例であって、他の手法により、境界線を設定することも可能である。例えば、上述したように、予めエンジン特性などを考慮して、図3に示すような特性を決定し、車載機本体11の内部に記憶させていても良い。
【0052】
次に、図3のフローチャートを参照しつつ、車載機10において実行される処理について説明する。
【0053】
まず、運転状態診断部12は、上述したように、定期的に、車両のエンジン回転数と車速とを関連付けてメモリ12aに記録している。図3のフローチャートのステップS110では、このように定期的に記録されている車両のエンジン回転数と車速に関して、一運行期間、あるいは所定時間や所定走行距離によって規定される期間における記録データを読み出す。
【0054】
続くステップS120では、読み出した記録データに基づいて、エンジン回転数と車速とにより特定される車両状態が、図4を用いて説明した境界線データによって区分けされるいずれの領域に属するかを判定しつつ、各領域に属する割合を算出する。この割合の算出においては、図5に示されるように、低速域と高速域とに分けて、それぞれの領域に属する割合が算出される。なお、図5に示す例では、各領域に含まれる運転状態で車両が走行した時間(滞在時間)から割合を求めているが、単に各領域に含まれるデータ数から割合を求めても良い。
【0055】
続くステップS130では、ステップS120にて算出した割合に基づいて、評価点の算出を行う。このとき、低速域に対する評価点と、高速域に対する評価点とが別個に算出される。具体的には、低速域の評価点は下記の数式1、高速域の評価点は下記の数式2によって算出される。
【数1】
【数2】
【0056】
上記数式1,2において、eiは係数であり、図6に示すように、各運転状態の領域に対応して予め設定されたものである。図6に示す例では、燃費の良い運転状態の領域に対する係数が「1」に設定されている。このため、燃費の良い運転状態の領域に属する割合が100%であれば、評価点は100点となる。それに対して、やや燃費の良い運転状態の領域に対しては「0.5」、やや燃費の悪い運転状態の領域に対しては「0」が設定されているため、これらの領域に属する割合が増えるほど、評価点は低くなる。
【0057】
さらに、図6に示す例では、燃費の悪い運転状態や、非常に燃費の悪い運転状態の領域に対応する係数として、マイナスの値を設定している。すなわち、燃費が悪化するような運転は減点の対象としているのである。この場合、評価点としてマイナスの点数が算出されることもありえるが、マイナスの点数は一律に「0点」にするなど下限を決めても良い。
【0058】
なお、係数の設定について、図6に示すのはあくまで一例であって、その他の係数のセットを用いるようにしても良い。
【0059】
このようにして、評価点が算出されると、ステップS140の処理において、アドバイスを生成し、評価点とともに、スピーカ14や表示装置15により報知する。また、評価点は、診断結果記録部16にも出力され記録される。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態の省燃費運転支援システムによれば、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定めている。従って、単に、エンジン回転数が閾値を超えたか否かを判定する場合に比較して、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態を、省燃費運転という観点において、よりきめ細かく分類することができる。そして、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す評価点を報知している。このため、そのレベルをより高めようという運転者の意欲を喚起することができ、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による省燃費運転支援システムについて、説明する。図7は、本実施形態による省燃費運転支援システムの車載機の構成を示す構成図である。
【0062】
本実施形態における省燃費運転支援システムは、エンジン回転数と車速とにより特定される車両状態が、エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフ上の各領域に属する割合から評価点を算出するという点では、第1実施形態の省燃費運転支援システムと共通である。
【0063】
ここで、車両が走行する道路の勾配が変化したときや、車両がトラックやトレーラーなどの荷物運搬用車両であって、荷物を搭載している積載状態と荷物を搭載していない空車状態とでは、大きく走行抵抗が変化する。このような場合に、燃費の良否に応じた領域として、同じ境界線によって区分けされた領域を用いると、適切な評価点を算出することが困難になる。
【0064】
さらに、車両が制動状態にあるときには、通常、燃料の噴射はカットされているとともに、エンジン回転数は、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものとはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数と車速とによる車両状態を、評価点を算出するためのデータとして用いた場合も、適切な評価点を算出することが困難になる。
【0065】
そこで、本実施形態による省燃費運転支援システムでは、上述したような理由で生じる評価点を算出する際の誤差要因を低減することができるようにしたものである。以下、主として、本実施形態の省燃費運転支援システムに特有の構成について説明する。
【0066】
まず、車載機本体11は、図7に示すように、加速度センサ21を備えている。この加速度センサ21は、車両の前後方向に作用する加速度を検出するものである。この加速度センサ21によって検出された前後方向加速度と、車速センサによって検出された車速とが勾配演算部22に入力される。
【0067】
勾配演算部22は、入力された車速に基づいて、車両の走行加速度を演算する。そして、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度と、演算によって求めた車両走行加速度とに基づき、前後方向加速度と車両走行加速度との差分から車両が走行する道路の勾配角度を算出する。車両が平坦な道路を走行しているときには、車速から算出された車両走行加速度と、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度とは一致する。しかし、車両が上り坂や下り坂を走行しているときには、重力の影響から、車速から算出された車両走行加速度と、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度とは一致しなくなる。これら2つの加速度の差分は、重力の影響、すなわち、車両が走行中の道路の勾配角度に依存する。そのため、前述の差分に基づいて、車両が走行中の道路の勾配角度を算出することができる。
【0068】
なお、勾配角度は、前述したセンサ以外のセンサを用いて検出することも可能である。例えば、車両のピッチ方向にジャイロセンサを設置し、ピッチ方向の角速度を検出することで、道路勾配を算出するようにしても良い。
【0069】
積載/空車スイッチ23は、車両に荷物を搭載していない空車状態を示すスイッチポジションと、車両に荷物を搭載している積載状態を示すスイッチポジションとを有するものである。車両の運転者などのユーザが、この積載/空車スイッチ23を操作することで、車両が積載状態と空車状態のいずれであるかを示す積載/空車情報を、運転状態診断部12に入力することができる。
【0070】
なお、車両が積載状態であるか、空車状態であるかを検出するために、上述した積載/空車スイッチ23以外に、例えば車両の荷室の重量を検出する重量センサを設け、その重量センサによる検出結果から積載/空車情報を得るようにしても良い。
【0071】
駆動/制動判定部24は、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度に基づいて、車両が駆動状態であるのか、制動状態であるのかを判定するものである。すなわち、車両の進行方向をプラス方向として、プラスの加速度を検出している場合には、駆動状態であり、マイナスの加速度を検出している場合には、制動状態であると判定する。
【0072】
図8は、駆動/制動判定部24による判定状態の推移を示すタイムチャートである。図8に示すように、制動により車速が低下して、前後方向加速度が、マイナス側の制動判定閾値を横切ると、制動状態であると判定される。この制動状態との判定は、前後方向加速度が、プラス側の駆動判定閾値を超えるまで維持される。また、駆動/制動判定部24は、車両の速度が、停車判定速度以下になると、車両は停車状態であると判定する。
【0073】
なお、より高精度に駆動/制動状態を判定するために、先願(特願2010−125151)に記載したように、道路勾配角度(θ)に応じて、重力により車両の前後方向に作用する加速度(gsinθ)を考慮して、駆動/制動状態を判別するようにしても良い。
【0074】
エンジン回転数及び車速と、勾配演算部22によって演算された勾配角度と、積載/空車スイッチ23からの積載/空車情報と、駆動/制動判定部24によって判定された駆動/制動状態は、運転状態診断部12に入力され、定期的に、メモリ12aに記録される。このとき、それぞれの情報が相互に関連付けてメモリ12aに記録される。従って、例えば、エンジン回転数及び車速が、積載状態と空車状態のいずれにおいて得られたものか、勾配角度が何度であるときに得られたものか、あるいは、制動状態と駆動状態のいずれにおいて得られたものかを識別することが可能となる。
【0075】
次に、上記のように記録された記録データに基づいて、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態を、燃費が良い、悪いという観点で分類するための領域の設定について説明する。
【0076】
パーソナルコンピュータ20は、メモリカード17に記録された記録データを読み出し、その読み出した記録データにおいて、まず、駆動/制動状態に関するデータに基づき、制動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速を、上述した情報の関連付けに基づいて特定する。そして、特定したエンジン回転数及び車速を、その後の処理対象にするエンジン回転数及び車速から除外する。この結果、処理対象となるエンジン回転数及び車速として、車両が駆動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速のデータが残る。
【0077】
ここで、上述した領域は、エンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、省燃費という観点で分類するためのものである。しかし、車両制動時には、上述したように、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数及び走行速度を、上述した領域の境界を設定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなる。
【0078】
次に、処理対象として残されたエンジン回転数及び車速を、積載/空車情報および勾配角度を用いて分類する。なお、勾配角度として、予め平坦路と判定すべき角度範囲が定められており、その角度範囲に属する場合平坦路と判別され、その角度範囲を超える場合には、上り坂あるいは下り坂と判別される。
【0079】
そして、本実施形態では、空車状態かつ平坦路の場合(ケース1)、空車状態かつ上り坂の場合(ケース2)、積載状態かつ平坦路の場合(ケース3)、及び積載状態かつ上り坂の場合(ケース4)の4つのケースに、エンジン回転数及び車速を分類する。すなわち、本実施形態では、下り坂と判別された場合のエンジン回転数及び車速は、境界線を設定するためのエンジン回転数及び車速から除外される。
【0080】
そして、各ケースごとに分類されたエンジン回転数及び車速から、各ケース用の境界線A〜Hを決定する。具体的には、車両が空車状態において平坦路を走行しているとみなせるときのエンジン回転数及び車速に基づいて空車平坦路用の境界線A〜Hを決定し、車両が空車状態において上り坂を走行しているとみなせるときのエンジン回転数に基づいて空車上り坂用の境界線A〜Hを決定する。さらに、車両が積載状態において平坦路を走行しているとみなせるときのエンジン回転数に基づいて積載平坦路用の境界線A〜Hを決定し、車両が積載状態において上り坂を走行しているとみなせるときのエンジン回転数及び車速に基づいて積載上り坂用の境界線A〜Hを決定する。
【0081】
このようにして各ケース毎に決定された境界線A〜Hを使い分けることにより、各ケースに該当するそれぞれの状況において、車両が実際に走行したときに検出したエンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、各領域に適切に分類することができるようになる。なお、各ケースの境界線の設定自体は、上述した第1実施形態と同様に実施される。
【0082】
次に、第2実施形態による省燃費運転支援システムにおける車載機10において、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0083】
まず、ステップS210では、定期的にメモリ12aに記録されている車両のエンジン回転数、車速などの記録データから、一運行期間、あるいは所定時間や所定走行距離によって規定される期間における記録データを読み出す。
【0084】
続くステップS220では、読み出した記録データにおいて、駆動/制動状態に関するデータに基づき、制動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速を特定する。そして、特定したエンジン回転数及び車速を、評価点を算出するためのデータとしてのエンジン回転数及び車速から除外する。この結果、評価点を算出するためのデータとして、車両が駆動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速のデータが残る。上述したように、車両制動時には、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。従って、制動時のエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転にどの程度該当する運転状態かを判定するためのデータとしては不適当なためである。
【0085】
次に、ステップS230では、処理対象として残されたエンジン回転数及び車速を、積載/空車情報および勾配角度を用いて、上述したケース1〜4に分類する。そして、ステップS240では、分類した各ケースに対応する境界線A〜Hを用いて、各領域に属する割合を算出する。
【0086】
このように、各ケース毎に異なる境界線A〜Hを用いて、燃費の良否に対応した運転状態の領域を設定することにより、道路勾配や荷物の積載状態によって車両の走行抵抗が変化した場合であっても、走行抵抗の変化に応じて適切な領域を設定することができる。
【0087】
続くステップS250では、ステップS240にて算出した割合に基づいて、低速域に対する評価点と、高速域に対する評価点とをそれぞれ算出する。なお、本実施形態では、各ケース毎に異なる境界線を用いて領域の区分けを行なうが、評価点の算出に際しては、各ケースの評価点を別個に算出するのではなく、全体をまとめて単一の評価点を算出する。ただし、各ケース毎の評価点を個別に算出するようにしても良い。
【0088】
そして、ステップS260では、算出された評価点に基づいてアドバイスを生成し、評価点とともに、スピーカ14や表示装置15により報知する。また、評価点は、診断結果記録部16にも出力され記録される。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による省燃費運転支援システムについて、説明する。図10は、本実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。なお、上述した各実施形態における省燃費運転支援システムと同様の構成については、同じ参照番号を付与することにより、説明を省略する。
【0090】
車両が、高速道路の入り口、ジャンクションにおいて高速道路同士を連結するランプ、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)などから高速道路本線に合流するときには、運転者は、合流のために設けられた連結路を走行する間に、自車の速度を本線を走行している車両の速度に合わせる必要がある。そのため、通常時よりも車両を急激に加速させる必要が生じ、車両の状態としては、低速側のギヤでエンジンを高回転にせざるを得ない。このような特殊な状況で検出されたエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転のレベルを評価するためのデータとしては不適切である。
【0091】
そのため、本実施形態における省燃費運転支援システムは、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、省燃費運転の評価点を算出するためのデータから除外するようにしたものである。
【0092】
以下、本実施形態による省燃費運転支援システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。図10に示すように、本実施形態における省燃費運転支援システムの車載機10は、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判定するために、車両に搭載されたナビゲーション装置30と接続されている。そして、車載機10は、ナビゲーション装置30から、車両の現在位置と、車両が走行している道路の種別や属性などの情報を取得する。
【0093】
なお、車載機10に車両の現在位置を検出するための検出器(GPS受信機など)、及び道路地図データを記憶した記憶媒体を設け、それらから車両の現在位置及び車両が走行している道路に関する情報を取得するように構成しても良い。
【0094】
車載機10は、取得した車両の現在位置及び車両が走行している道路に関する情報に基づいて、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるかを判定する。具体的には、図11に示す4つのケースに該当するか否かを判定する。第1のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ道路属性が高速道路本線への連結路である場合である。第2のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ車両の現在位置が連結路から高速道路本線に進入後X(m)以内である場合である。第3のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ道路属性がSA内道路又はPA内道路の場合である。なお、SA内道路やPA内道路には、SAやPAから高速道路本線に合流するための連結路が含まれる。また、第4のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ車両の現在位置がSA内道路又はPA内道路から高速道路本線に進入後X(m)以内である場合である。
【0095】
ここで、上記第2のケース及び第4のケースは、車両は既に高速道路本線を走行しているが、連結路からの合流時には、本線に合流後、しばらくは、エンジン回転数が高い状態が継続することを考慮したものである。
【0096】
本実施形態による省燃費運転支援システムでは、図11に示す4つのケースのいずれかに該当したとき、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別する。そして、このような判別がなされたときに検出されたエンジン回転数及び車両走行速度を、評価停止条件に該当するものとみなして、省燃費運転のレベルを評価するためのデータから除外する。すなわち、図12のフローチャートのステップS320に示すように、所定期間の記録データから、評価停止条件に該当するエンジン回転数及び車両速度を除外する。これにより、エンジン回転数を高めざるを得ない状況でのエンジン回転数及び車両速度に基づいて、省燃費運転のレベルが評価されることがなく、その評価を適正に行うことが可能になる。なお、図12のフローチャートのその他のステップにおける処理は、図3のフローチャートにおける各ステップの処理と同様である。
【0097】
また、上述した例では、図11に示す4つのケースに該当する場合、省燃費運転の評価点を算出するためのデータから除外したが、上述した第2実施形態における上り坂走行時や積載状態の場合と同様に、各領域の境界線の設定を変更するようにしても良い。その際、境界線は、実際に高速道路本線に合流するための連結路を走行したときのデータに基づいて設定しても良いし、既に設定されている平坦路用の境界線を、複数の領域が高エンジン回転数側に遷移するようにそれぞれ所定値だけ移動させるようにしても良い。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0099】
例えば、上述した第2実施形態では、トラックやトレーラーなどの荷物運搬用車両を例に挙げて説明したが、本発明による省燃費運転支援システムは、通常の乗用車などにも適用可能なものである。この場合、乗車人数や荷物の積載量に応じて、境界線を使い分けても良いが、その影響が荷物運搬用車両などに比較して軽微である場合には、空車/積載状態に応じた境界線の使い分けは行わず、道路の勾配角度のみで境界線を使い分けるようにしても良い。
【0100】
また、上述した実施形態では、勾配角度が所定角度以上であれば、上り坂とみなし、その上り坂におけるエンジン回転数及び車速から上り坂用の境界線を決定する例について説明した。しかしながら、勾配角度が変化すれば、走行抵抗も変化するので、上り坂を示す勾配角度を複数に分割し、それぞれ分割した範囲毎に異なる境界線を設定するようにしても良い。
【0101】
さらに、上述した第3実施形態における省燃費運転支援システムを、第2実施形態にて説明した省燃費運転支援システムと組み合わせて実施しても良い。
【符号の説明】
【0102】
10…車載機
11…車載機本体
12…運転状態診断部
13…アドバイス生成部
14…スピーカ
15…表示装置
16…診断結果記録部
17…メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者が省燃費運転を行いうるように支援する省燃費運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、排気ガスの排出を抑えた状態、または、エネルギーの消費を抑えた状態のうちの少なくともいずれか一方の状態での運転であるエコ運転がどの程度行われたかを判定する車載装置が開示されている。
【0003】
この車載装置では、アクセル開度が適切であったか、適切なギヤを使用したか、エアコンをどの程度使用したか、アクセルオフにより燃料噴射量が0の状態でどの程度走行したか、所定速度未満の適切な速度で走行したか、最適なルートで目的地に向かっているか等の複数の異なる観点で、エコ運転がどの程度行われたかをそれぞれ判定する。そして、それぞれの判定結果に基づき、エコ運転が行われた度合いについての総合的な判定結果であるエコ運転レベルを特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の車載装置では、例えば、アクセル開度が適切であったか否かは、単にアクセル開度が所定値以下であるか否かにより判断しており、所定値以下である場合、適正アクセル開度とみなしている。また、適切なギヤが使用されたか否かについては、自動変速機のパワーモードやスポーツモードがOFF状態であれば、使用されたギヤは適切であると判定している。
【0006】
ここで、燃費の良い運転を行おうとした場合、エンジン回転数をできるだけ抑えることが効果的である。そのためには、ある速度で車両が走行しているとき、低速側のギヤよりもできるかぎり高速側のギヤを使用することが望まれる。このような観点からすると、上述した特許文献1のように、アクセル開度が適切であるか否かの判定や自動変速機のモード判定を個別に行なっているだけでは、車両の運転者が省燃費運転を行っているか否かを精度良く判定することは困難である。
【0007】
そのため、本出願人は、運転者が省燃費運転を行っているか否かを精度良く判定することができ、燃料消費量が過剰であるみなされる場合には、その旨を報知する省燃費運転支援システムを、既に出願している(特願2010−125151)。
【0008】
この先願の省燃費運転支援システムでは、車両の走行時に、実際に検出されたエンジン回転数及び走行速度に基づいて、例えば上位5%程度のエンジン回転数を過剰であると判定するように閾値を決定する。そして、車両が走行した際、実際のエンジン回転数が閾値を越えると、その旨を報知して運転者に注意を促す。
【0009】
しかし、閾値を超えていない場合であっても、閾値に近いエンジン回転数であれば、必ずしも燃料消費量が抑制された運転状態であるとは言えない。そのため、燃料消費量の一層の抑制を図るために、閾値をさらに下げることも考えられる。ただし、この場合、頻繁に報知が行なわれることになるので、運転者が報知を煩わしく感じたり、運転者による燃費改善意欲が損なわれたりするとの問題が生じる虞がある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、報知により運転者による燃費改善意欲を損なうことなく、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待できる省燃費運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の省燃費運転支援システムは、
車両のエンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
回転数検出手段によって検出されたエンジン回転数と速度検出手段によって検出された走行速度とを関連付けつつ、繰り返し記録する記録手段と、
エンジン回転数と走行速度とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域が定められ、記録手段に関連付けて記録されたエンジン回転数と走行速度とによって特定される運転状態が、少なくとも3つの領域のそれぞれに属する割合を算出する割合算出手段と、
割合算出手段によって算出された割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上述したように、請求項1に記載の省燃費運転支援システムでは、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定めている。従って、単に、エンジン回転数が閾値を超えたか否かを判定する場合に比較して、エンジン回転数と走行速度により特定される運転状態を、省燃費運転という観点において、よりきめ細かく分類することができる。そして、運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する。このように、省燃費運転のレベルを示す情報を報知することにより、運転者に、そのレベルをより高めようという意欲を喚起させることができる。従って、請求項1に記載の省燃費運転支援システムによれば、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【0013】
請求項2に記載したように、複数の領域は、それぞれ、車両の走行速度域が所定速度以下の低速域においては、走行速度によらず一定のエンジン回転数により境界が定められ、所定速度よりも高い高速域においては、走行速度の増加とともに増加するエンジン回転数により境界が定められることが好ましい。低速域では、より高速側のギヤに切り換えることが可能であり、それによりエンジン回転数を低減することができるためである。一方、高速域において、最も高速側のギヤに切り換えられたときに、車両の速度を増加させる必要がある場合(例えば、車両が高速道路を走行中である場合)には、エンジン回転数を高めざるを得ない状況が生じるためである。
【0014】
請求項3に記載したように、車両が実際に走行したときに、記録手段に記録されたエンジン回転数及び走行速度に基づき、複数の領域を定めるために、それら複数の領域を分ける境界を決定する境界決定手段を備えることが好ましい。このように、車両が走行した際に、実際に記録されたエンジン回転数及び走行速度から複数の領域を分ける境界を決定することにより、事前に、車両のエンジン特性などを考慮しつつ境界を決定しておく必要がなく、また、車両の状態に即して適切な境界を決定することができる。
【0015】
請求項4に記載したように、車両が走行する道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、記録手段は、エンジン回転数及び走行速度に加え、勾配検出手段によって検出された道路勾配も関連付けて記録し、境界決定手段は、勾配検出手段によって検出された道路勾配も考慮し、複数の領域を分ける境界として、平坦路用の境界と、上り坂用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、割合算出手段は、勾配検出手段によって検出された道路勾配に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けるようにしても良い。
【0016】
例えば、平坦路と上り坂とでは、車両の走行抵抗が異なるため、同様に車両を走行させようとしても、それぞれの状況で必要となるエンジン回転数は相違することになる。従って、車両が走行する道路の勾配を考慮して2種類の境界を決定し、それら2種類の境界を道路勾配に応じて使い分けることにより、道路勾配に対応した領域を設定することができる。
【0017】
請求項5に記載したように、車両における荷物の積載状態を検出する積載状態検出手段を備え、記録手段は、エンジン回転数及び走行速度に加え、積載状態検出手段による検出結果も関連付けて記録し、境界決定手段は、積載状態検出手段による検出結果も考慮して、複数の領域を分ける境界として、積載時用の境界と、非積載時用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、割合算出手段は、積載状態検出手段によって検出された積載状態に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けるようにしても良い。
【0018】
例えば、車両がトラックやトレーラーなど、非常に重い荷物を運ぶ車両である場合、荷物を積載している積載状態と、荷物を積載していない空車状態とでは、車両の走行抵抗が大きく変化する。そのため、道路勾配の場合と同様に、荷物の積載状態の検出結果も考慮して2種類の境界を決定し、それらを使い分けることで、荷物の積載状態に対応した領域を設定することができる。
【0019】
請求項6に記載したように、車両が制動状態にあるか、駆動状態にあるかを判別する判別手段を備え、記録手段には、判別手段による判別結果も記録され、割合算出手段は、判別手段によって車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することが好ましい。車両の制動時には、通常、燃料の噴射はカットされているとともに、そのエンジン回転数は、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。従って、制動時のエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転にどの程度該当する運転状態かを判定するためのデータとしては不適当であるためである。
【0020】
請求項7に記載したように、境界決定手段は、複数の領域を分ける境界を決定する際、判別手段によって車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることが好ましい。上述した領域は、エンジン回転数及び走行速度により特定される運転状態を、省燃費という観点で分類するためのものである。しかし、上述したように、車両制動時には、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数及び走行速度を、上述した領域の境界を決定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなるためである。
【0021】
請求項8に記載したように、報知手段は、割合算出手段によって算出された各領域に属する割合に対して、当該各領域に対応して定められている所定の係数を乗じた上で加算することにより点数化した情報を、省燃費運転のレベルを示す情報として報知しても良い。このように点数化した情報を報知することにより、運転者にとって分かり易い報知を行なうことができる。
【0022】
請求項9に記載したように、車両が、高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判別する合流状態判別手段を備え、記録手段には、合流状態判別手段による判別結果も記録され、割合算出手段は、合流状態判別手段により車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外する、もしくは、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させることが好ましい。
【0023】
車両が高速道路本線に合流しようとしているときには、運転者は、その車両の速度を短い走行距離で、本線を走行している車両の速度に合わせる必要がある。そのため、通常時よりも車両を急激に加速させる必要が生じ、車両の状態としては、低速側のギヤでエンジンを高回転にせざるを得ない。このような特殊な状況で検出されたエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転のレベルを評価するためのデータとしては不適切である。そのため、上記のように、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することが好ましい。あるいは、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、エンジン回転数が高くならざるを得ないことを考慮し、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させても良い。
【0024】
請求項10に記載したように、境界決定手段は、複数の領域を分ける境界を決定する際、合流状態判別手段によって車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることが好ましい。上述したように、車両が高速道路本線に合流しようとしているときは、エンジン回転数を高くせざるを得ない特殊な走行状況にあるため、そのときに検出されたエンジン回転数及び走行速度を、複数の領域の境界を決定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなるためである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】車載機10の構成を示した構成図である。
【図3】車載機10において実行される、省燃費運転のレベルを示す評価点の算出処理を含む処理を示したフローチャートである。
【図4】車両がエンジンを始動して停止するまでの一運行期間において、エンジン回転数と車速とによって特定される車両の運転状態をプロットしたグラフである。
【図5】エンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、低速域における各領域に属する割合、及び高速域における各領域に属する割合をそれぞれ求めた一例を示す図である。
【図6】各運転状態の領域に対応して予め設定され、評価点の算出時に用いられる係数e1を説明するための説明図である。
【図7】第2実施形態による省燃費運転支援システムの車載機10の構成を示す構成図である。
【図8】駆動/制動判定部24による判定状態の推移の一例を示すタイムチャートである。
【図9】第2実施形態の省燃費運転支援システムにおける車載機10にて、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態による省燃費運転支援システムの車載機10の構成を示す構成図である。
【図11】診断停止条件について説明するための説明図である。
【図12】第3実施形態の省燃費運転支援システムにおける車載機10にて、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による省燃費運転支援システムについて、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。図1に示すように、省燃費運転支援システムは、車両に搭載される車載機10と、その車載機10において記録された記録データに基づいて、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態の分布状態を表示したり、燃費が良い、悪いという観点で区分けされる各運転状態の領域を定める境界を設定したりするパーソナルコンピュータ20とにより構成される。
【0028】
ただし、本実施形態では、パーソナルコンピュータ20において、各運転状態の領域を分ける境界を設定する例について説明するが、各運転状態の領域を分ける境界は、エンジン特性や車両重量などを考慮して予め設定され、車載機10に記憶されていても良いし、車載機10において設定、調整することも可能である。このような場合、省燃費運転支援システムは、車載機10のみから構成されることになる。
【0029】
図2を参照して、車載機10の構成について説明する。車載機10は、主に、車載機本体11、スピーカ14、表示装置15からなる。この内、車載機本体11は、エンジン回転数センサ(図示せず)によって検出されたエンジン回転数、及び車速センサ(図示せず)によって検出された車速を定期的に(例えば、1秒などの所定時間毎)に入力し、これらのデータに基づいて、燃費が良い、悪いという観点で、車両の運転状態を診断する運転状態診断部12を有している。
【0030】
運転状態診断部12は、定期的に入力されるエンジン回転数及び車速を関連付けて記録するメモリ12aを有している。そして、運転状態診断部12は、例えばエンジンを始動してから停止するまでの一運行期間や、その一運行期間を複数に分割した期間に含まれる記録データに基づいて、省燃費運転のレベルを示す評価点を算出する。この評価点の算出方法については、後に詳細に説明する。また、評価点としては、車両の走行速度が相対的に低い低速域での評価点と、相対的に高い高速域での評価点とがそれぞれ算出される。算出された評価点は、車載機本体11のアドバイス生成部13及び診断結果記録部16に出力される。なお、運転状態診断部12は、エンジン回転数及び車速を記録するメモリとして、診断結果記録部16を利用することも可能である。
【0031】
アドバイス生成部13は、運転状態診断部12により算出された評価点に基づいて、その評価点に応じたアドバイスを生成する。例えば、評価点が相対的に高い場合には、燃費の良い運転ができていることを褒めるアドバイスを生成したり、低速域での評価点が低い場合には、「早めのシフトアップを行いましょう」などのアドバイスを生成したり、高速域での評価点が低い場合には、「高速走行では、できるだけトップギヤを使用しましょう」などのアドバイスを生成したりする。
【0032】
アドバイス生成部13によって生成されたアドバイスは、評価点とともに、スピーカ14及び表示装置15に出力される。これにより、音声及び画面表示により、評価点及びアドバイスが運転者に報知される。なお、評価点及びアドバイスの報知のためには、スピーカ14及び表示装置15の少なくとも一方が設けられていれば良い。
【0033】
上述したスピーカ14及び表示装置15による報知は、車両が走行しているときに行っても良いし、車両の運転終了後などの事後に行なっても良い。また、車両の走行中に報知を行うとともに、事後においても報知を行うものであっても良い。車両の走行中に報知を行なう際には、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態が、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域へと、それらの領域間の境界線(後述する境界線A,E)を超えたときに、エンジン回転数が過剰である旨を報知するアドバイスを行なっても良い。
【0034】
また、車両の走行中に報知を行なう場合には、所定時間(例えば、10分間)分の記録データ、あるいは車両が所定距離(例えば、1km)走行する間の記録データを読み出して、評価点の算出及びアドバイスの生成を行ない、運転者に報知すれば良い。これにより、運転者の運転操作が燃費の悪い運転状態を生じるものである場合に、即座に、その旨を示す評価点や、改善点を指摘するアドバイスを報知することができる。
【0035】
評価点及びアドバイスは、所定時間経過するごとに、あるいは所定距離走行するごとに更新しても良いが、所定時間経過、あるいは所定距離走行するよりも早いタイミングで、所定時間分、あるいは所定走行距離分の記録データを読み出して、より短い間隔で報知内容を更新するようにしても良い。これにより、報知の応答性を高めることができる。さらに、読み出した記録データを、その記録された時期によって複数のグループに分類し、最新のデータのグループほど重みを高くし、古いデータのグループは重みを低くしつつ、各運転状態の領域に属する割合を算出するようにしても良い。このようにすれば、運転者の運転操作が変化し、その結果、車両の運転状態も変化したときに、その変化に応じた評価点を応答性良く算出することができる。
【0036】
診断結果記録部16はメモリカード17を備え、診断結果記録部16は、算出された評価点をメモリカード17に記録する他、車両の走行中に運転状態診断部12のメモリ12aに記録したエンジン回転数及び車速も記録する。このように、評価点や、エンジン回転数及び車速が記録されたメモリカード17は、車載機10からの取り外し、及びパーソナルコンピュータ20への接続が可能なものである。
【0037】
パーソナルコンピュータ20は、例えば事務所や自宅内に設置されたものであって、車載機10の診断結果記録部16によりメモリカード17に記録されたデータを取得して、表示する。例えば、パーソナルコンピュータ20において、エンジン回転数と車速との分布図を表示することにより、低速域及び高速域で、エンジン回転数が、いずれの運転状態の領域に分布しているかを確認することができる。なお、上述したようなメモリカード17を用いて、データを共有する以外に、例えば、パーソナルコンピュータ20と車載機10とは、無線通信により、相互にデータの授受を行うことが可能なものであっても良い。
【0038】
次に、運転状態診断部12にて実行される、省燃費運転のレベルを示す評価点の算出処理を含む処理について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0039】
まず、評価点の算出の前提となる、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態を、燃費が良い、悪いという観点で分類するための領域の設定について、図4を用いて説明する。この領域の設定は、パーソナルコンピュータ20によって行なわれる。
【0040】
図4は、車両がエンジンを始動して停止するまでの一運行期間において、エンジン回転数と車速とによって特定される車両の運転状態をプロットしたグラフを示している。この図4のグラフでは、縦軸がエンジン回転数を示し、横軸が車速を示している。
【0041】
図4においては、図の左下から、放射状に数本の太い線が延びているように見える。これらの線は、トランスミッションの各ギヤでの走行を表しており、一番右側の線がトップギヤ(例えば、7段ギヤのトランスミッションを有する車両であれば、7速ギヤ)による走行によるものである。
【0042】
ここで、燃費の良い運転を行うためには、エンジン回転数をできるだけ抑えることが効果的である。従って、燃費の良い運転を行った場合、図4のようなグラフにおいて、車両の運転状態をプロットした場合、低速域では全体的に低いエンジン回転数の領域に分布し、高速域では高段側のギヤに沿って分布することになる。
【0043】
本実施形態による省燃費運転支援システムでは、低速域ではエンジン回転数を抑え、高速域では高段側のギヤを使用した場合に、より高い評価点が算出されるようになっている。そのため、まず、図4に示すような、エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定める。ただし、図4に示す例では、「燃費の良い運転状態の領域」、「やや燃費の良い運転状態の領域」、「やや燃費の悪い運転状態の領域」、「燃費の悪い運転状態の領域」、及び「非常に燃費の悪い運転状態の領域」の5つの領域を定めている。
【0044】
これらの領域の境界は、例えばパーソナルコンピュータ20により、以下のようにして設定することができる。まず、実際に車両が走行したときに計測されたエンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、図4に示すグラフにプロットする。そして、このグラフにおいて、所定割合(例えば5%)のエンジン回転数を区分けするように、境界線Aを定める。この場合、対象とするエンジン回転数は、低速側のギヤによる走行によるもののみを対象としても良いし、すべてのギヤでのデータを対象としても良い。また、この境界線Aは、運行管理者などが、パーソナルコンピュータ20上で調整できるものであっても良い。このようにして定めた境界線Aは、「やや燃費の良い運転状態の領域」と「やや燃費の悪い運転状態の領域」とを分ける境界線となる。換言すれば、境界線Aは、「やや燃費の良い運転状態の領域」の上限となり、かつ「やや燃費の悪い運転状態の領域」の下限となる。このような境界線Aを、低速域における100%の運転状態を示すものとする。
【0045】
次に、高速域における100%の運転状態を示す境界線Eを設定する。この高速域の境界線Eは、図3に示すように、エンジン回転数と車速とからなる2次元座標グラフにおいて、車両のトランスミッションが高段側のギヤ位置となっているときに、エンジン回転数の上昇を許容すべく、車速の上昇とともに増大するように、高段側のギヤによるエンジン回転数と速度の比(エンジン回転数/速度)に応じた傾きに設定される。
【0046】
より具体的には、図3に示す例では、境界線Eは、最も高いギヤではなく、2番目に高いギヤによるエンジン回転数と速度の比に応じた傾きに設定され、かつ、2番目に高いギヤで速度の増加に伴いエンジン回転数が上昇したときに、境界線Eを横切らないように、境界線Eの傾斜開始速度(高速低速判定速度)が設定されている。しかしながら、例えば3つの領域に分ける場合など、境界線Eに関しては、最も高いギヤによりエンジン回転数が上昇するときに、当該境界線Eを横切らないように、傾き及び傾斜開始速度を設定しても良い。
【0047】
次に、低速域において、燃費の良い運転状態の領域の上限を示す境界線Bを設定する。この境界線Bは、境界線Aに対して、100%よりも小さい所定割合(50〜80%)の値に設定される。どの程度の割合にするかは、例えば運行管理者が指示するようにしても良い。図3に示す例では、境界線Bは、境界線Aの80%の値に設定されている。そして、高速域において、燃費の良い運転状態の領域の上限を示す境界線Fについて、最も高いギヤによりエンジン回転数が増加したときに、当該境界線Fを横切らないように、その傾き及び傾斜開始速度を設定する。なお、図3においては、境界線Bと境界線Fとが、高速低速判定速度において接しているが、互いに接しない場合も起こりえる。
【0048】
さらに、低速域において、やや燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線C、及び燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線Dを、境界線Aに対して、100%よりも大きい所定割合(図3では、120%と150%)の値に設定する。そして、高速域において、やや燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線G、及び燃費の悪い運転状態の領域の上限を示す境界線Hを、境界線Eに対して、100%よりも大きい所定割合(図3では、120%と150%)の値に設定する。ただし、境界線Gに関しては、3番目に高いギヤによりエンジン回転数が上昇したときに、当該境界線Gを横切らないように傾きや傾斜開始角度を設定しても良い。
【0049】
上述したように、本実施形態では、低速域においては、車速によらず一定のエンジン回転数となるように境界線が定められ、高速域においては、車速の増加とともに増加するエンジン回転数により境界線が定められている。これは、低速域では、より高速側のギヤに切り換えることが可能であり、それによりエンジン回転数を低減することができるためである。一方、高速域において、高速側のギヤに切り換えられたときに、車両の速度を増加させる必要がある場合(例えば、車両が高速道路を走行中である場合)には、エンジン回転数を高めざるを得ない状況が生じるためである。
【0050】
このようにして設定された境界線A〜Hに関するデータ(境界線データ)は、メモリカード17や通信によりパーソナルコンピュータ20から車載機10に与えられる。そして、この境界線データは、運転状態診断部12において、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態を、各境界線によって区画される領域に分類する際に利用される。このように、車両が走行した際に、実際に記録されたエンジン回転数及び車速から複数の領域を分ける境界線を決定することにより、事前に、車両のエンジン特性などを考慮しつつ境界線を決定しておく必要がなく、また、車両の状態に即して適切な境界線を決定することができる。
【0051】
ただし、上述した各境界線の設定方法は1例であって、他の手法により、境界線を設定することも可能である。例えば、上述したように、予めエンジン特性などを考慮して、図3に示すような特性を決定し、車載機本体11の内部に記憶させていても良い。
【0052】
次に、図3のフローチャートを参照しつつ、車載機10において実行される処理について説明する。
【0053】
まず、運転状態診断部12は、上述したように、定期的に、車両のエンジン回転数と車速とを関連付けてメモリ12aに記録している。図3のフローチャートのステップS110では、このように定期的に記録されている車両のエンジン回転数と車速に関して、一運行期間、あるいは所定時間や所定走行距離によって規定される期間における記録データを読み出す。
【0054】
続くステップS120では、読み出した記録データに基づいて、エンジン回転数と車速とにより特定される車両状態が、図4を用いて説明した境界線データによって区分けされるいずれの領域に属するかを判定しつつ、各領域に属する割合を算出する。この割合の算出においては、図5に示されるように、低速域と高速域とに分けて、それぞれの領域に属する割合が算出される。なお、図5に示す例では、各領域に含まれる運転状態で車両が走行した時間(滞在時間)から割合を求めているが、単に各領域に含まれるデータ数から割合を求めても良い。
【0055】
続くステップS130では、ステップS120にて算出した割合に基づいて、評価点の算出を行う。このとき、低速域に対する評価点と、高速域に対する評価点とが別個に算出される。具体的には、低速域の評価点は下記の数式1、高速域の評価点は下記の数式2によって算出される。
【数1】
【数2】
【0056】
上記数式1,2において、eiは係数であり、図6に示すように、各運転状態の領域に対応して予め設定されたものである。図6に示す例では、燃費の良い運転状態の領域に対する係数が「1」に設定されている。このため、燃費の良い運転状態の領域に属する割合が100%であれば、評価点は100点となる。それに対して、やや燃費の良い運転状態の領域に対しては「0.5」、やや燃費の悪い運転状態の領域に対しては「0」が設定されているため、これらの領域に属する割合が増えるほど、評価点は低くなる。
【0057】
さらに、図6に示す例では、燃費の悪い運転状態や、非常に燃費の悪い運転状態の領域に対応する係数として、マイナスの値を設定している。すなわち、燃費が悪化するような運転は減点の対象としているのである。この場合、評価点としてマイナスの点数が算出されることもありえるが、マイナスの点数は一律に「0点」にするなど下限を決めても良い。
【0058】
なお、係数の設定について、図6に示すのはあくまで一例であって、その他の係数のセットを用いるようにしても良い。
【0059】
このようにして、評価点が算出されると、ステップS140の処理において、アドバイスを生成し、評価点とともに、スピーカ14や表示装置15により報知する。また、評価点は、診断結果記録部16にも出力され記録される。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態の省燃費運転支援システムによれば、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域を定めている。従って、単に、エンジン回転数が閾値を超えたか否かを判定する場合に比較して、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態を、省燃費運転という観点において、よりきめ細かく分類することができる。そして、エンジン回転数と車速とにより特定される運転状態が、それぞれの領域に属する割合を求め、この求めた割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す評価点を報知している。このため、そのレベルをより高めようという運転者の意欲を喚起することができ、より一層の燃料消費量の抑制効果を期待することができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による省燃費運転支援システムについて、説明する。図7は、本実施形態による省燃費運転支援システムの車載機の構成を示す構成図である。
【0062】
本実施形態における省燃費運転支援システムは、エンジン回転数と車速とにより特定される車両状態が、エンジン回転数と車速とを2軸とするグラフ上の各領域に属する割合から評価点を算出するという点では、第1実施形態の省燃費運転支援システムと共通である。
【0063】
ここで、車両が走行する道路の勾配が変化したときや、車両がトラックやトレーラーなどの荷物運搬用車両であって、荷物を搭載している積載状態と荷物を搭載していない空車状態とでは、大きく走行抵抗が変化する。このような場合に、燃費の良否に応じた領域として、同じ境界線によって区分けされた領域を用いると、適切な評価点を算出することが困難になる。
【0064】
さらに、車両が制動状態にあるときには、通常、燃料の噴射はカットされているとともに、エンジン回転数は、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものとはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数と車速とによる車両状態を、評価点を算出するためのデータとして用いた場合も、適切な評価点を算出することが困難になる。
【0065】
そこで、本実施形態による省燃費運転支援システムでは、上述したような理由で生じる評価点を算出する際の誤差要因を低減することができるようにしたものである。以下、主として、本実施形態の省燃費運転支援システムに特有の構成について説明する。
【0066】
まず、車載機本体11は、図7に示すように、加速度センサ21を備えている。この加速度センサ21は、車両の前後方向に作用する加速度を検出するものである。この加速度センサ21によって検出された前後方向加速度と、車速センサによって検出された車速とが勾配演算部22に入力される。
【0067】
勾配演算部22は、入力された車速に基づいて、車両の走行加速度を演算する。そして、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度と、演算によって求めた車両走行加速度とに基づき、前後方向加速度と車両走行加速度との差分から車両が走行する道路の勾配角度を算出する。車両が平坦な道路を走行しているときには、車速から算出された車両走行加速度と、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度とは一致する。しかし、車両が上り坂や下り坂を走行しているときには、重力の影響から、車速から算出された車両走行加速度と、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度とは一致しなくなる。これら2つの加速度の差分は、重力の影響、すなわち、車両が走行中の道路の勾配角度に依存する。そのため、前述の差分に基づいて、車両が走行中の道路の勾配角度を算出することができる。
【0068】
なお、勾配角度は、前述したセンサ以外のセンサを用いて検出することも可能である。例えば、車両のピッチ方向にジャイロセンサを設置し、ピッチ方向の角速度を検出することで、道路勾配を算出するようにしても良い。
【0069】
積載/空車スイッチ23は、車両に荷物を搭載していない空車状態を示すスイッチポジションと、車両に荷物を搭載している積載状態を示すスイッチポジションとを有するものである。車両の運転者などのユーザが、この積載/空車スイッチ23を操作することで、車両が積載状態と空車状態のいずれであるかを示す積載/空車情報を、運転状態診断部12に入力することができる。
【0070】
なお、車両が積載状態であるか、空車状態であるかを検出するために、上述した積載/空車スイッチ23以外に、例えば車両の荷室の重量を検出する重量センサを設け、その重量センサによる検出結果から積載/空車情報を得るようにしても良い。
【0071】
駆動/制動判定部24は、加速度センサ21によって検出された前後方向加速度に基づいて、車両が駆動状態であるのか、制動状態であるのかを判定するものである。すなわち、車両の進行方向をプラス方向として、プラスの加速度を検出している場合には、駆動状態であり、マイナスの加速度を検出している場合には、制動状態であると判定する。
【0072】
図8は、駆動/制動判定部24による判定状態の推移を示すタイムチャートである。図8に示すように、制動により車速が低下して、前後方向加速度が、マイナス側の制動判定閾値を横切ると、制動状態であると判定される。この制動状態との判定は、前後方向加速度が、プラス側の駆動判定閾値を超えるまで維持される。また、駆動/制動判定部24は、車両の速度が、停車判定速度以下になると、車両は停車状態であると判定する。
【0073】
なお、より高精度に駆動/制動状態を判定するために、先願(特願2010−125151)に記載したように、道路勾配角度(θ)に応じて、重力により車両の前後方向に作用する加速度(gsinθ)を考慮して、駆動/制動状態を判別するようにしても良い。
【0074】
エンジン回転数及び車速と、勾配演算部22によって演算された勾配角度と、積載/空車スイッチ23からの積載/空車情報と、駆動/制動判定部24によって判定された駆動/制動状態は、運転状態診断部12に入力され、定期的に、メモリ12aに記録される。このとき、それぞれの情報が相互に関連付けてメモリ12aに記録される。従って、例えば、エンジン回転数及び車速が、積載状態と空車状態のいずれにおいて得られたものか、勾配角度が何度であるときに得られたものか、あるいは、制動状態と駆動状態のいずれにおいて得られたものかを識別することが可能となる。
【0075】
次に、上記のように記録された記録データに基づいて、エンジン回転数及び車速によって特定される運転状態を、燃費が良い、悪いという観点で分類するための領域の設定について説明する。
【0076】
パーソナルコンピュータ20は、メモリカード17に記録された記録データを読み出し、その読み出した記録データにおいて、まず、駆動/制動状態に関するデータに基づき、制動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速を、上述した情報の関連付けに基づいて特定する。そして、特定したエンジン回転数及び車速を、その後の処理対象にするエンジン回転数及び車速から除外する。この結果、処理対象となるエンジン回転数及び車速として、車両が駆動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速のデータが残る。
【0077】
ここで、上述した領域は、エンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、省燃費という観点で分類するためのものである。しかし、車両制動時には、上述したように、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。そのため、車両制動時のエンジン回転数及び走行速度を、上述した領域の境界を設定するためのデータとして用いると、却って適正な領域を定めることができなくなる。
【0078】
次に、処理対象として残されたエンジン回転数及び車速を、積載/空車情報および勾配角度を用いて分類する。なお、勾配角度として、予め平坦路と判定すべき角度範囲が定められており、その角度範囲に属する場合平坦路と判別され、その角度範囲を超える場合には、上り坂あるいは下り坂と判別される。
【0079】
そして、本実施形態では、空車状態かつ平坦路の場合(ケース1)、空車状態かつ上り坂の場合(ケース2)、積載状態かつ平坦路の場合(ケース3)、及び積載状態かつ上り坂の場合(ケース4)の4つのケースに、エンジン回転数及び車速を分類する。すなわち、本実施形態では、下り坂と判別された場合のエンジン回転数及び車速は、境界線を設定するためのエンジン回転数及び車速から除外される。
【0080】
そして、各ケースごとに分類されたエンジン回転数及び車速から、各ケース用の境界線A〜Hを決定する。具体的には、車両が空車状態において平坦路を走行しているとみなせるときのエンジン回転数及び車速に基づいて空車平坦路用の境界線A〜Hを決定し、車両が空車状態において上り坂を走行しているとみなせるときのエンジン回転数に基づいて空車上り坂用の境界線A〜Hを決定する。さらに、車両が積載状態において平坦路を走行しているとみなせるときのエンジン回転数に基づいて積載平坦路用の境界線A〜Hを決定し、車両が積載状態において上り坂を走行しているとみなせるときのエンジン回転数及び車速に基づいて積載上り坂用の境界線A〜Hを決定する。
【0081】
このようにして各ケース毎に決定された境界線A〜Hを使い分けることにより、各ケースに該当するそれぞれの状況において、車両が実際に走行したときに検出したエンジン回転数及び車速により特定される運転状態を、各領域に適切に分類することができるようになる。なお、各ケースの境界線の設定自体は、上述した第1実施形態と同様に実施される。
【0082】
次に、第2実施形態による省燃費運転支援システムにおける車載機10において、省燃費運転のレベルを示す評価点等を報知するために実行される処理を、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0083】
まず、ステップS210では、定期的にメモリ12aに記録されている車両のエンジン回転数、車速などの記録データから、一運行期間、あるいは所定時間や所定走行距離によって規定される期間における記録データを読み出す。
【0084】
続くステップS220では、読み出した記録データにおいて、駆動/制動状態に関するデータに基づき、制動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速を特定する。そして、特定したエンジン回転数及び車速を、評価点を算出するためのデータとしてのエンジン回転数及び車速から除外する。この結果、評価点を算出するためのデータとして、車両が駆動状態と判定されているときに得られたエンジン回転数及び車速のデータが残る。上述したように、車両制動時には、エンジン回転数が、必ずしも運転者のアクセルペダル操作に対応したものにはならない。従って、制動時のエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転にどの程度該当する運転状態かを判定するためのデータとしては不適当なためである。
【0085】
次に、ステップS230では、処理対象として残されたエンジン回転数及び車速を、積載/空車情報および勾配角度を用いて、上述したケース1〜4に分類する。そして、ステップS240では、分類した各ケースに対応する境界線A〜Hを用いて、各領域に属する割合を算出する。
【0086】
このように、各ケース毎に異なる境界線A〜Hを用いて、燃費の良否に対応した運転状態の領域を設定することにより、道路勾配や荷物の積載状態によって車両の走行抵抗が変化した場合であっても、走行抵抗の変化に応じて適切な領域を設定することができる。
【0087】
続くステップS250では、ステップS240にて算出した割合に基づいて、低速域に対する評価点と、高速域に対する評価点とをそれぞれ算出する。なお、本実施形態では、各ケース毎に異なる境界線を用いて領域の区分けを行なうが、評価点の算出に際しては、各ケースの評価点を別個に算出するのではなく、全体をまとめて単一の評価点を算出する。ただし、各ケース毎の評価点を個別に算出するようにしても良い。
【0088】
そして、ステップS260では、算出された評価点に基づいてアドバイスを生成し、評価点とともに、スピーカ14や表示装置15により報知する。また、評価点は、診断結果記録部16にも出力され記録される。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による省燃費運転支援システムについて、説明する。図10は、本実施形態による省燃費運転支援システムの全体構成を示す構成図である。なお、上述した各実施形態における省燃費運転支援システムと同様の構成については、同じ参照番号を付与することにより、説明を省略する。
【0090】
車両が、高速道路の入り口、ジャンクションにおいて高速道路同士を連結するランプ、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)などから高速道路本線に合流するときには、運転者は、合流のために設けられた連結路を走行する間に、自車の速度を本線を走行している車両の速度に合わせる必要がある。そのため、通常時よりも車両を急激に加速させる必要が生じ、車両の状態としては、低速側のギヤでエンジンを高回転にせざるを得ない。このような特殊な状況で検出されたエンジン回転数及び走行速度は、省燃費運転のレベルを評価するためのデータとしては不適切である。
【0091】
そのため、本実施形態における省燃費運転支援システムは、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、省燃費運転の評価点を算出するためのデータから除外するようにしたものである。
【0092】
以下、本実施形態による省燃費運転支援システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。図10に示すように、本実施形態における省燃費運転支援システムの車載機10は、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判定するために、車両に搭載されたナビゲーション装置30と接続されている。そして、車載機10は、ナビゲーション装置30から、車両の現在位置と、車両が走行している道路の種別や属性などの情報を取得する。
【0093】
なお、車載機10に車両の現在位置を検出するための検出器(GPS受信機など)、及び道路地図データを記憶した記憶媒体を設け、それらから車両の現在位置及び車両が走行している道路に関する情報を取得するように構成しても良い。
【0094】
車載機10は、取得した車両の現在位置及び車両が走行している道路に関する情報に基づいて、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるかを判定する。具体的には、図11に示す4つのケースに該当するか否かを判定する。第1のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ道路属性が高速道路本線への連結路である場合である。第2のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ車両の現在位置が連結路から高速道路本線に進入後X(m)以内である場合である。第3のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ道路属性がSA内道路又はPA内道路の場合である。なお、SA内道路やPA内道路には、SAやPAから高速道路本線に合流するための連結路が含まれる。また、第4のケースは、車両が走行している道路の種別が高速道路であり、かつ車両の現在位置がSA内道路又はPA内道路から高速道路本線に進入後X(m)以内である場合である。
【0095】
ここで、上記第2のケース及び第4のケースは、車両は既に高速道路本線を走行しているが、連結路からの合流時には、本線に合流後、しばらくは、エンジン回転数が高い状態が継続することを考慮したものである。
【0096】
本実施形態による省燃費運転支援システムでは、図11に示す4つのケースのいずれかに該当したとき、車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別する。そして、このような判別がなされたときに検出されたエンジン回転数及び車両走行速度を、評価停止条件に該当するものとみなして、省燃費運転のレベルを評価するためのデータから除外する。すなわち、図12のフローチャートのステップS320に示すように、所定期間の記録データから、評価停止条件に該当するエンジン回転数及び車両速度を除外する。これにより、エンジン回転数を高めざるを得ない状況でのエンジン回転数及び車両速度に基づいて、省燃費運転のレベルが評価されることがなく、その評価を適正に行うことが可能になる。なお、図12のフローチャートのその他のステップにおける処理は、図3のフローチャートにおける各ステップの処理と同様である。
【0097】
また、上述した例では、図11に示す4つのケースに該当する場合、省燃費運転の評価点を算出するためのデータから除外したが、上述した第2実施形態における上り坂走行時や積載状態の場合と同様に、各領域の境界線の設定を変更するようにしても良い。その際、境界線は、実際に高速道路本線に合流するための連結路を走行したときのデータに基づいて設定しても良いし、既に設定されている平坦路用の境界線を、複数の領域が高エンジン回転数側に遷移するようにそれぞれ所定値だけ移動させるようにしても良い。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0099】
例えば、上述した第2実施形態では、トラックやトレーラーなどの荷物運搬用車両を例に挙げて説明したが、本発明による省燃費運転支援システムは、通常の乗用車などにも適用可能なものである。この場合、乗車人数や荷物の積載量に応じて、境界線を使い分けても良いが、その影響が荷物運搬用車両などに比較して軽微である場合には、空車/積載状態に応じた境界線の使い分けは行わず、道路の勾配角度のみで境界線を使い分けるようにしても良い。
【0100】
また、上述した実施形態では、勾配角度が所定角度以上であれば、上り坂とみなし、その上り坂におけるエンジン回転数及び車速から上り坂用の境界線を決定する例について説明した。しかしながら、勾配角度が変化すれば、走行抵抗も変化するので、上り坂を示す勾配角度を複数に分割し、それぞれ分割した範囲毎に異なる境界線を設定するようにしても良い。
【0101】
さらに、上述した第3実施形態における省燃費運転支援システムを、第2実施形態にて説明した省燃費運転支援システムと組み合わせて実施しても良い。
【符号の説明】
【0102】
10…車載機
11…車載機本体
12…運転状態診断部
13…アドバイス生成部
14…スピーカ
15…表示装置
16…診断結果記録部
17…メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
前記車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
前記回転数検出手段によって検出されたエンジン回転数と前記速度検出手段によって検出された走行速度とを関連付けつつ、繰り返し記録する記録手段と、
エンジン回転数と走行速度とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域が定められ、前記記録手段に関連付けて記録されたエンジン回転数と走行速度とにより特定される運転状態が、少なくとも3つの領域のそれぞれに属する割合を算出する割合算出手段と、
前記割合算出手段によって算出された割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする省燃費運転支援システム。
【請求項2】
前記複数の領域は、それぞれ、前記車両の走行速度域が所定速度以下の低速域においては、走行速度によらず一定のエンジン回転数により境界が定められ、前記所定速度よりも高い高速域においては、走行速度とともに増加するエンジン回転数により境界が定められることを特徴とする請求項1に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項3】
前記車両が実際に走行したときに、前記記録手段に記録されたエンジン回転数及び走行速度に基づいて、前記複数の領域を定めるために、それら複数の領域を分ける境界を決定する境界決定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項4】
前記車両が走行する道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、
前記記録手段は、前記エンジン回転数及び走行速度に加え、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配も関連付けて記録し、
前記境界決定手段は、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配も考慮し、前記複数の領域を分ける境界として、平坦路用の境界と、上り坂用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、
前記割合算出手段は、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けることを特徴とする請求項3に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項5】
前記車両における荷物の積載状態を検出する積載状態検出手段を備え、
前記記録手段は、前記エンジン回転数及び走行速度に加え、前記積載状態検出手段による検出結果も関連付けて記録し、
前記境界決定手段は、前記積載状態検出手段による検出結果も考慮して、前記複数の領域を分ける境界として、積載時用の境界と、非積載時用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、
前記割合算出手段は、前記積載状態検出手段によって検出された積載状態に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けることを特徴とする請求項3又は4に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項6】
前記車両が制動状態にあるか、駆動状態にあるかを判別する判別手段を備え、
前記記録手段には、前記判別手段による判別結果も記録され、
前記割合算出手段は、前記判別手段によって前記車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、前記複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項7】
前記境界決定手段は、前記境界を決定する際、前記判別手段によって前記車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることを特徴とする請求項6に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項8】
前記報知手段は、前記割合算出手段によって算出された各領域に属する割合に対して、当該各領域に対応して定められている所定の係数を乗じた上で加算することにより点数化した情報を、前記省燃費運転のレベルを示す情報として報知することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項9】
前記車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判別する合流状態判別手段を備え、
前記記録手段には、前記合流状態判別手段による判別結果も記録され、
前記割合算出手段は、前記合流状態判別手段により車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、前記複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外する、もしくは、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項10】
前記境界決定手段は、前記複数の領域を分ける境界を決定する際、前記合流状態判別手段によって車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることを特徴とする請求項9に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項1】
車両のエンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
前記車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
前記回転数検出手段によって検出されたエンジン回転数と前記速度検出手段によって検出された走行速度とを関連付けつつ、繰り返し記録する記録手段と、
エンジン回転数と走行速度とを2軸とするグラフ上において、燃費の良い運転状態の領域から燃費の悪い運転状態の領域にかけて互いに隣接する少なくとも3つの領域が定められ、前記記録手段に関連付けて記録されたエンジン回転数と走行速度とにより特定される運転状態が、少なくとも3つの領域のそれぞれに属する割合を算出する割合算出手段と、
前記割合算出手段によって算出された割合に基づいて、省燃費運転のレベルを示す情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする省燃費運転支援システム。
【請求項2】
前記複数の領域は、それぞれ、前記車両の走行速度域が所定速度以下の低速域においては、走行速度によらず一定のエンジン回転数により境界が定められ、前記所定速度よりも高い高速域においては、走行速度とともに増加するエンジン回転数により境界が定められることを特徴とする請求項1に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項3】
前記車両が実際に走行したときに、前記記録手段に記録されたエンジン回転数及び走行速度に基づいて、前記複数の領域を定めるために、それら複数の領域を分ける境界を決定する境界決定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項4】
前記車両が走行する道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、
前記記録手段は、前記エンジン回転数及び走行速度に加え、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配も関連付けて記録し、
前記境界決定手段は、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配も考慮し、前記複数の領域を分ける境界として、平坦路用の境界と、上り坂用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、
前記割合算出手段は、前記勾配検出手段によって検出された道路勾配に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けることを特徴とする請求項3に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項5】
前記車両における荷物の積載状態を検出する積載状態検出手段を備え、
前記記録手段は、前記エンジン回転数及び走行速度に加え、前記積載状態検出手段による検出結果も関連付けて記録し、
前記境界決定手段は、前記積載状態検出手段による検出結果も考慮して、前記複数の領域を分ける境界として、積載時用の境界と、非積載時用の境界との少なくとも2種類の境界を決定し、
前記割合算出手段は、前記積載状態検出手段によって検出された積載状態に基づき、割合算出に用いる境界を使い分けることを特徴とする請求項3又は4に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項6】
前記車両が制動状態にあるか、駆動状態にあるかを判別する判別手段を備え、
前記記録手段には、前記判別手段による判別結果も記録され、
前記割合算出手段は、前記判別手段によって前記車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を、前記複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項7】
前記境界決定手段は、前記境界を決定する際、前記判別手段によって前記車両が制動状態にあると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることを特徴とする請求項6に記載の省燃費運転支援システム。
【請求項8】
前記報知手段は、前記割合算出手段によって算出された各領域に属する割合に対して、当該各領域に対応して定められている所定の係数を乗じた上で加算することにより点数化した情報を、前記省燃費運転のレベルを示す情報として報知することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項9】
前記車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であるか否かを判別する合流状態判別手段を備え、
前記記録手段には、前記合流状態判別手段による判別結果も記録され、
前記割合算出手段は、前記合流状態判別手段により車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間、検出されたエンジン回転数及び走行速度を、前記複数の領域のそれぞれに属する割合を算出するためのデータから除外する、もしくは、複数の領域を高いエンジン回転数側に遷移させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の省燃費運転支援システム。
【請求項10】
前記境界決定手段は、前記複数の領域を分ける境界を決定する際、前記合流状態判別手段によって車両が高速道路本線に合流しようとしている状態であると判別されている間に検出されたエンジン回転数及び走行速度を除外したエンジン回転数及び走行速度を用いることを特徴とする請求項9に記載の省燃費運転支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−197069(P2012−197069A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183020(P2011−183020)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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