説明

真空スプレードライヤ

【課題】溶質における成分の変性、分解や劣化等を避けると共に、製作コストやランニングコストを低減できることができるスプレードライヤを提供する。
【解決手段】真空チャンバ1と、被乾燥液を霧化させて噴霧液滴Fを生成するアトマイザ2と、真空チャンバ1に取付けられた加熱手段3と、を備え、真空雰囲気下で噴霧液滴Fを乾燥処理する真空スプレードライヤであって、前記アトマイザ2は、被乾燥液を霧化する超音波霧化装置と、外部より導入するエアから微粒子を分離する集塵装置と、を備えると共に、このアトマイザ2は前記真空チャンバ1外に設けられ、霧化された噴霧液滴Fは、供給管5を介して真空チャンバ1内に吸引される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレードライヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より溶液やスラリー液から乾燥物を製造する装置として、高温・加圧の条件下で、乾燥物を製造するスプレードライヤ(噴霧乾燥機)がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−155203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来例のスプレードライヤは150〜250℃の高温雰囲気内で乾燥を行なうため、溶液中に溶解した溶質自体が温度上昇し、例えば、医薬品や食品等における熱に弱い成分(熱分解性成分あるいは熱劣化成分)が変性、分解や劣化等してしまう。
また、熱分解性成分あるいは熱劣化成分の変性、分解や劣化等を避けるため、−180〜−10℃の低温で乾燥させる(凍結乾燥)装置があるが、この装置では、十分に乾燥した乾燥物が得られ難い等の収量と安定性の問題があり、またこの凍結乾燥法では、予備凍結に要する凍結処理設備の設置コストがかかること、及び乾燥時間が長いためランニングコストが膨大であるという問題もある。
さらに、約35℃以下で約50〜400hPaの高真空下にて乾燥させる真空凍結乾燥法では、凍結に要する液体窒素やそれに代わる冷媒を多く使用するため、ランニングコストがかかるという問題点がある。
そこで、本発明の主たる課題は、溶質における成分の変性、分解や劣化等を避けると共に、製作コストやランニングコストを低減できることができるスプレードライヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、真空チャンバと、被乾燥液を霧化させて噴霧液滴を生成するアトマイザと、真空チャンバに取付けられた加熱手段と、を備え、真空雰囲気下で噴霧液滴を乾燥処理する真空スプレードライヤであって、前記アトマイザは、被乾燥液を霧化する超音波霧化装置と、外部より導入するエアから微粒子を分離する集塵装置と、を備えると共に、このアトマイザは前記真空チャンバ外に設けられ、霧化された噴霧液滴は、供給管を介して真空チャンバ内に吸引される構成とされた、ことを特徴とする真空スプレードライヤである。
【0005】
(作用効果)
本発明に係る真空スプレードライヤでは、加熱手段により真空雰囲気下でチャンバ内を加熱させて噴霧液滴を乾燥させるものであるため、真空凍結乾燥に比べて、乾燥に要するエネルギー量を抑えることができる。
アトマイザは、被乾燥液を霧化する超音波霧化装置と、外部より導入するエアから微粒子を分離する集塵装置と、を備えると共に、このアトマイザは真空チャンバ外に設けられ、霧化された噴霧液滴は、供給管を介して真空チャンバ内に吸引される構成とすることにより、真空チャンバ内に噴霧液滴以外の余計な飛沫等の侵入を防止することができる。そのため、噴霧された液滴の凝集防止が適切になされると共に、粒度分布を均一化でき、大粒径の発生を防止することができる。また、乾燥物の乾燥を十分に行うことができ、後工程での不具合や乾燥物の回収率低下を防止することができる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、前記集塵装置は、フィルタ集塵部と、このフィルタ集塵部を通過したエアを液体中に導入し、さらなる微粒子の分離を図る洗浄集塵部と、を備えた構成とされた、請求項1記載の真空スプレードライヤである。
【0007】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記集塵装置は、少なくともHEPAフィルタ又はULPAフィルタを備えた構成とされた、請求項1又は2記載の真空スプレードライヤである。
【0008】
(作用効果)
集塵装置がフィルタ集塵部と、このフィルタ集塵部を通過したエアを液体中に導入し、さらなる微粒子の分離を図る洗浄集塵部と、を備えた構成であることにより、導入するエア中の異物やアレルゲンの除去をすることができ、コンタミネーションを防止することができる。
また、集塵装置を少なくともHEPAフィルタ又はULPAフィルタを備えた構成とすることもできる。
【0009】
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、前記真空チャンバの下部にロータリーフィーダが設けられ、該ロータリーフィーダから乾燥物が排出される構成とされた、請求項1乃至3のいずれか1項記載の真空スプレードライヤである。
【0010】
(作用効果)
真空チャンバの下部にロータリーフィーダが設けられ、該ロータリーフィーダから乾燥物が排出される構成とすることにより、スライドゲート等に比べて乾燥物の排出の際に真空度の変動を抑制しながら乾燥物を連続的に排出できるので、効率よく乾燥物を生成することができ、また、乾燥物を次の工程に効率よく搬送することができる。
【0011】
<請求項5記載の発明>
請求項5記載の発明は、真空ポンプに連結された真空排気管が、前記真空チャンバの上部に設けられた、請求項1乃至4のいずれか1項記載の真空スプレードライヤである。
【0012】
(作用効果)
真空ポンプに連結された真空排気管を前記真空チャンバの上部に設けることにより、真空チャンバ内の下方に落下して堆積する乾燥物を吸込んでしまう虞をなくしている。なお、乾燥物の吸込み防止効果を高めるために、真空排気管の入口にラビリンス構造のスリットや焼結金属のフィルタ等を取付けてもよい。
【0013】
<請求項6記載の発明>
請求項6記載の発明は、前記真空チャンバの内周に、乾燥物の付着を防止するためのライニングが取付けられた、請求項1乃至5のいずれか1項記載の真空スプレードライヤである。
【0014】
(作用効果)
真空チャンバの内周に、乾燥物の付着を防止するためのライニングを取付けることにより、乾燥物を真空チャンバ内の内周面に付着させることなく乾燥物を下方に落下させ、乾燥物の回収効率を向上させることができる。また、製造する乾燥物の切替などの際の真空チャンバ内の清掃等が容易となり、一層のコンタミネーションの防止を図ることができる。
【0015】
<請求項7記載の発明>
請求項7記載の発明は、前記真空チャンバ内は、運転時には、−2.7×10-3〜−5.4×10-3(MPa abs)、20〜80℃に保たれる構成とされた、請求項1乃至6のいずれか1項記載の真空スプレードライヤである。
【0016】
(作用効果)
従来例のスプレードライヤは150〜250℃の高温雰囲気内で乾燥を行なうため、溶液中に溶解した溶質自体が温度上昇し、例えば、医薬品や食品等における熱に弱い成分が変性、分解や劣化等が生じてしまうが、チャンバ内の温度が20〜80℃であるため、変性、分解や劣化等が生ずることなく、医薬品等でも生理活性が失われることはない。
また、チャンバ内の圧力は−2.7×10-3〜−5.4×10-3(MPa abs)であることにより、低温下での乾燥を迅速かつ効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、溶質における成分の変性、分解や劣化等を避けると共に、製作コストやランニングコストを低減できることができる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図3に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、図1は本発明に係る真空スプレードライヤの概要図であり、図2はアトマイザの一実施例であり、図3はアトマイザの他の実施例である。
本発明に係る真空スプレードライヤは、真空チャンバ1と、被乾燥液を霧化させて噴霧液滴を生成するアトマイザ2と、真空チャンバ1の側面(外周面)に取付けられた加熱手段3と、真空チャンバ1の下部に取付けられたロータリーフィーダ4と、を備えている。
【0019】
真空チャンバ1は、略円筒状であり、後述するように、上端部にはアトマイザ2によって霧化された噴霧液滴Fを供給する噴霧液滴供給管5が取付けられ、また、下端部には下方に落下した乾燥物を排出するロータリーフィーダ4が取付けられている。噴霧液滴供給管5には、供給バルブ5Aが取付けられている。そして、上端部には真空排気管6が取付けられ、排気バルブ6Aを介して、真空ポンプ6Bに連結されており、この真空ポンプ6Bを作動させることによってチャンバ内部を真空状態に保つことができるようになっている。また、真空排気管6が真空チャンバ1の上端部に取付けられていることにより、真空チャンバ1内の下部に堆積した乾燥物を吸込んでしまう虞をなくしている。なお、真空排気管6の設置位置は、真空チャンバ1の上端部に限られず、乾燥物を吸込んでしまう位置でなければよく、例えば、真空チャンバ1の上部でもよい。また、乾燥物の吸込み防止効果を高めるために、真空排気管6の入口にラビリンス構造のスリット(図示せず)や焼結金属のフィルタ(図示せず)等を取付けてもよい。
【0020】
アトマイザ2により微粒化された噴霧液滴Fは、乾燥することによって粉粒末状の乾燥物となるが、この乾燥物は真空チャンバ1内の内周面に付着してしまい、下方に落下しない虞がある。これを防ぐために、真空チャンバ1の内周に乾燥物の付着を防止するためのライニング(図示せず)を取付けることが好ましい。ライニングを取付けることにより、乾燥物を真空チャンバ内の内周面に付着させることなく乾燥物を下方に落下させ、乾燥物の回収効率を向上させることができる。ライニングの材質としては、帯電の防止を図るカーボン繊維等が考えられる。また、このライニングの取付けに代えて、図示はしないが、マイナスイオン発生器によって発生させたマイナスイオンを含むエアを、真空チャンバ1の上部から下方に向って内周に沿うように送風することによって帯電防止を図り、乾燥物の付着を防止してもよい。
【0021】
真空チャンバ1内は、運転時には、従来の高真空の真空凍結乾燥に比べて、大気圧に近い中真空である−2.7×10-3〜−5.4×10-3(MPa abs)であり、そして温度は、従来の高温(180〜250℃程度)のスプレードライヤよりも低い20〜80℃に保たれるようになっている。すなわち、従来例のスプレードライヤは150〜250℃の高温雰囲気内で乾燥を行なうため、溶液中に溶解した溶質自体が温度上昇し、例えば、医薬品や食品等における熱に弱い成分(熱分解性成分あるいは熱劣化成分)が変性、分解や劣化等が生じてしまうが、チャンバ内の温度が20〜80℃であるため、変性、分解や劣化等が生ずることなく、医薬品等でも生理活性が失われることはない。また、凍結乾燥に比べて、乾燥時間が短く(凍結乾燥:16〜22時間、本発明:10秒程度)、凍結乾燥では凍結物の昇華に膨大なエネルギーを要するが、本発明に係る真空スプレードライヤでの乾燥法によれば大きなエネルギーを必要としない(同一物質から1kg乾燥物を回収するのに、例えば、凍結乾燥では2.5×109Jのエネルギーを必要とするものでも、本発明では3.6×108J程度のエネルギーで済む)。さらに、本発明によれば、凍結乾燥に必要な前処理の凍結が不要であり、さらに凍結装置の設置が不要である。
【0022】
なお、圧力と温度を管理するため、真空チャンバ1の上端部にはチャンバ内部の温度を計測する温度計7が取付けられ、また側面にはチャンバ内部の圧力を計測する圧力計8,8が取付けられており、ケーブル7A,8Aに接続された表示モニター(図示せず)に温度、圧力が表示されるようになっている。なお、温度計7及び圧力計8の設置箇所や設置個数については任意に変更できる。
【0023】
図2には、アトマイザの一実施例が示されている。図2に示されたアトマイザは、被乾燥液を霧化する超音波霧化装置2Aと、この超音波霧化装置2Aによって霧化された噴霧液滴を真空チャンバ1内に搬送するためのエアから異物である微粒子を分離する集塵装置2Bと、を備えており、霧化された噴霧液滴は噴霧液滴供給管5を介して真空チャンバ1内に搬送される。
超音波霧化装置2Aは、被乾燥液を収容するタンク21と、このタンク21の下部に取付けられ、タンク21内の被乾燥液に超音波を照射する超音波振動子22と、この超音波振動子22に発振出力を供給する発振器23と、を備えている。発振器23には、制御装置(図示せず)が取付けられており、電源スイッチ(図示せず)で電力が遮断されると発振器23の出力が停止され、また電源スイッチが入れられると制御装置から発振器23を駆動する出力が与えられるようになっている。そして、発振器23の出力で超音波振動子22が駆動され、被乾燥液に超音波を照射され、被乾燥液が霧化されるようになっている。この超音波霧化装置2Aとして、例えば、本多電子社製の超音波霧化ユニット(HM−2412)を使用することができる。なお、この超音波霧化装置に代えて、流量が被乾燥液の搬送速度によって制御可能な超音波スプレーノズルを使った装置(例えば、Sono−Tek社製8700−48)も使用することができる。
【0024】
タンク21の上部には被処理液供給管27が取付けられており、この被処理液供給管27からタンク21内に被乾燥液が供給されるようになっている。また、タンク21の上部には、噴霧液滴供給管5が取付けられており、この噴霧液滴供給管5からタンク21内に噴霧液滴Fが供給されるようになっている。
【0025】
被乾燥液を収容するタンク21には、洗浄を容易にする機構(例えば、洗浄ボールや洗浄リングなど)や液の排出を容易にする機構(例えば、バルブやポンプなど)を設けることができる。
【0026】
また、被乾燥液を収容するタンク21には、図示はしないが、無人運転を可能にする機構(例えば、液面高さ計からの信号で被処理液供給管27から被処理液を供給するポンプを制御して液面高さを一定に保つ機構など)を設けることができる。
【0027】
集塵装置2Bは、外気から導入するエアから異物である微粒子を分離するフィルタ集塵部24と、このフィルタ集塵部24を通過したエアを液体中に導入し、さらなる微粒子の分離を図る洗浄集塵部25と、を備えている。
【0028】
フィルタ集塵部24は、公知のバグフィルタやエアフィルタを使用することができる。バグフィルタの材質としては、木綿や紙など天然繊維、ナイロンやテトロンなどの化学繊維、ガラス繊維、黒鉛繊維等を用いることができ、エアフィルタの材質としてはガラス繊維、セルロース、ナイロン繊維等を用いることができる。洗浄集塵部25は、洗浄タンク内に捕集媒体として液体が収容され、フィルタ集塵部24を通過したエアからさらなる微粒子(例えば、ミスト)の分離を図っている。さらに洗浄集塵部25には微粒子と捕集媒体の接触効率を高くするための散気機構(例えば、多孔性金属フィルタや多孔性セラミックなど)を備えてもよい。
【0029】
この洗浄タンクの底部と上部にエア供給管26,26が連結されており、洗浄タンクの底部からフィルタ集塵部24を通過したエアが搬送され、その上部から洗浄タンク内の液体によって洗浄されたエアが排出されるようになっており、このエアは超音波霧化装置2Aのタンク21内に供給されるようになっている。なお、洗浄タンク内に収容される液体は、蒸留水等の水を使用することができるが、突沸してエア供給管26を介して超音波霧化装置2Aのタンク21内に流入してしまう可能性を考慮し、被乾燥液と同一の液体を使用することが好ましい。集塵装置2Bが、フィルタ集塵部24と洗浄集塵部25とで、二重に微粒子を捕集することにより、導入するエア中の異物やアレルゲンの除去をより確実なものとしている。また、洗浄集塵部25を設けることにより、フィルタ集塵部24でもトラブル発生の際の、コンタミネーションの防止というリスクヘッジ機能も持たせている。
【0030】
このアトマイザ2は、真空チャンバ1内が大気圧に比べて負圧になっていることを利用し、大気から集塵装置2Bを介してエアを導入し、霧化された被乾燥液の噴霧液滴Fをこのエアによって噴霧液滴供給管5を介して真空チャンバ1内に供給するものである。本発明では、真空チャンバ1内に超音波霧化装置2Aを設けて被乾燥液をチャンバ内で霧化させる構成ではなく、チャンバ外で被乾燥液を霧化させ、噴霧液滴供給管5を介して真空チャンバ1内に噴霧液滴Fを供給する構成とすることにより、チャンバ内に噴霧液滴F以外の余計な飛沫等が入ることを防止している。そのため、噴霧された液滴の凝集防止が適切になされると共に、粒度分布を均一化でき、大粒径の発生を防止することができる。また、乾燥物の乾燥を十分に行うことができ、後工程での不具合や乾燥物の回収率低下を防止することができる。
【0031】
また、チャンバ内の噴霧液滴供給管5の出口と前述した真空排気管6の入口とが近接して、噴霧液滴Fが真空排気管内に吸込まれてしまう場合には、両者の間に邪魔板(図示せず)を設けて噴霧液滴Fが吸い込まれないように調整すればよい。
【0032】
本発明における集塵装置2Bはフィルタ集塵部24と、洗浄集塵部25とを備えている構成に限定されるものではなく、導入するエアの性状に応じてフィルタ集塵部24または洗浄集塵部25のみを備えているものでもよい。他の一実施例として、図3に示されたアトマイザは、集塵装置2Bがフィルタ集塵部28だけであり、例えばクリーンルーム内等からエアを導入する場合に、適用するとよい。このフィルタ集塵部28は、JISB9908やB9927記載の性能能試験方法にのっとり、1.5μmの粒子を試験粉塵としてフィルタを1回通過させたときの集塵率99.9995%以上を示すフィルタであればよく、HEPAフィルタやULPAフィルタが好適である。その他の構成については、上記構成と同じなので説明を省略する。なお、図2に示されたアトマイザにおけるフィルタ集塵部24としてHEPAフィルタやULPAフィルタ等を使用してもよい。
【0033】
図1に示すように、略円筒状の真空チャンバ1の外周面には、加熱手段3と、この加熱手段3と被覆する保温材9と、が取付けられている。加熱手段3としては、限られたスペースで高効率かつ経時変化が少なく長期間安定して使用できるラバーヒータ(シリコンラバーヒータ)を用いている。図1に示す実施例では、真空チャンバ1の上下の2箇所に巻いてあるが、これに限らず、外周略全面に巻いてよい。また、加熱手段3としては、ラバーヒータに限られず、加熱コイルあるいはチューブ内で温水を循環させる温水配管によるものでもよい。保温材9は、真空チャンバ1の外周面の略全面を覆うようにしてり、材質としては、グラスウール等を使用することができる。
【0034】
真空チャンバ1の下部には、図1に示すように、ロータリーフィーダ4が設けられており、このロータリーフィーダ4によってチャンバ内を真空状態に保ちつつ、外部に乾燥物を排出することができるようになっている。ロータリーフィーダ4を用いることにより、スライドゲート等に比べて乾燥物の排出の際に真空度の変動を抑制しながら乾燥物を連続的に排出でき、また、乾燥物を次の工程に効率よく搬送することができる。そして、ロータリーフィーダ4から排出された乾燥物は、ベルトコンベア等の搬送手段によって、次なる工程に搬送されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る真空スプレードライヤの概要図である。
【図2】アトマイザの一実施例である。
【図3】アトマイザの他の実施例である。
【符号の説明】
【0036】
1…真空チャンバ、2…アトマイザ、2A…超音波霧化装置、2B…集塵装置、3…加熱手段、4…ロータリーフィーダ、5…噴霧液滴供給管、5A…供給バルブ、6…真空排気管、6A…排気バルブ、6B…真空ポンプ、7…温度計、7A…ケーブル、8…圧力計、8A…ケーブル、9…保温材、21…タンク、22…超音波振動子、23…発振器、24…フィルタ集塵部、25…洗浄集塵部、26…エア供給管、27…被処理液供給管、28…フィルタ集塵部、F…噴霧液滴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、被乾燥液を霧化させて噴霧液滴を生成するアトマイザと、真空チャンバに取付けられた加熱手段と、を備え、真空雰囲気下で噴霧液滴を乾燥処理する真空スプレードライヤであって、
前記アトマイザは、被乾燥液を霧化する超音波霧化装置と、外部より導入するエアから微粒子を分離する集塵装置と、を備えると共に、このアトマイザは前記真空チャンバ外に設けられ、
霧化された噴霧液滴は、供給管を介して真空チャンバ内に吸引される構成とされた、
ことを特徴とする真空スプレードライヤ。
【請求項2】
前記集塵装置は、フィルタ集塵部と、このフィルタ集塵部を通過したエアを液体中に導入し、さらなる微粒子の分離を図る洗浄集塵部と、を備えた構成とされた、請求項1記載の真空スプレードライヤ。
【請求項3】
前記集塵装置は、少なくともHEPAフィルタ又はULPAフィルタを備えた構成とされた、請求項1又は2記載の真空スプレードライヤ。
【請求項4】
前記真空チャンバの下部にロータリーフィーダが設けられ、該ロータリーフィーダから乾燥物が排出される構成とされた、請求項1乃至3のいずれか1項記載の真空スプレードライヤ。
【請求項5】
真空ポンプに連結された真空排気管が、前記真空チャンバの上部に設けられた、請求項1乃至4のいずれか1項記載の真空スプレードライヤ。
【請求項6】
前記真空チャンバの内周に、乾燥物の付着を防止するためのライニングが取付けられた、請求項1乃至5のいずれか1項記載の真空スプレードライヤ。
【請求項7】
前記真空チャンバ内は、運転時には、−2.7×10-3〜−5.4×10-3(MPa abs)、20〜80℃に保たれる構成とされた、請求項1乃至6のいずれか1項記載の真空スプレードライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−297243(P2006−297243A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120611(P2005−120611)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】