説明

眼圧降下剤としてのアブノーマル・カンナビジオール化合物

本発明は、式I:


[式中、Y、Q、Z、R、R1およびR2は明細書中に定義する通りである]
で示される化合物を緑内障または高眼圧の処置に充分な量で個体の眼に適用することを含んで成る緑内障または高眼圧の処置方法を提供する。本発明はさらに、前記化合物を含有する医薬組成物、例えば眼用組成物をも包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の眼圧を降下し、従って緑内障の処置に有用なアブノーマル・カンナビジオール化合物(Abnormal Cannabidiols)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
眼圧降下剤は、多様な高眼圧症状、例えば術後およびレーザートラベクレクトミー後の高眼圧や、緑内障の処置において、並びに術前の補助薬として有用である。
【0003】
緑内障は、眼圧の上昇により特徴付けられる眼疾患である。緑内障は、その病因により、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人の原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角緑内障であるか、または急性もしくは慢性の閉塞隅角緑内障であり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼内腫瘍または拡大した白内障のような既存の眼疾患から生じる。
【0004】
原発性緑内障の原因は、未だ解明されていない。その眼圧上昇は、房水流出遮断による。慢性開放隅角緑内障においては、前房およびその解剖学的構造は正常に見えるが、房水の排出は妨げられる。急性または慢性の閉塞隅角緑内障においては、前房が浅く、透過角が狭く、虹彩がシュレンム管の入口の小柱網を閉塞し得る。瞳孔の拡張により、虹彩根部が隅角に対して前方に押され、および瞳孔ブロックを起こして、病状を急進し得る。前房隅角の狭い眼は、種々の重篤度の急性閉塞隅角緑内障に患る素因を有する。
【0005】
続発性緑内障は、後房から前房、次いでシュレンム管への房水の流れのいかなる妨害によっても起こる。前房の炎症性疾患は、膨隆虹彩における完全な虹彩後癒着を起こすことにより房水排出を妨げ得、排液路を滲出物で閉塞し得る。他の通常の原因は、眼内腫瘍、拡大した白内障、網膜中心静脈閉塞、眼の外傷、手術操作および眼内出血である。
【0006】
すべての種類を考慮すると、緑内障は、40歳を超えるすべての人の約2%に起こり、視力が急速に損われるまで何年間も無症候性であり得る。手術が指示されない場合、局所用α-アドレナリン受容体拮抗剤が、従来、緑内障処置薬物として選択されている。
【0007】
ある種のアブノーマル・カンナビジオール化合物が、Howlettら, “International Union of Pharmacology. XXVII. Classification of Cannabinoid Receptors”, Pharmacological Reviews 54: 161-202, 2002に開示されている。
【0008】
Chenらの米国特許出願公開第2005/0282902号、第2005/0282912号および第2005/0282913号(2005年12月22日公開)を引用し、本発明の一部とする(June Chenは、これら特許出願公開および本願の発明者の一人である。)
【発明の開示】
【0009】
<発明の概要>
本発明者らは、アブノーマル・カンナビジオール化合物が効果的な眼圧降下剤であることを見出した。本発明者らはさらに、アブノーマル・カンナビジオール化合物並びにその同族体および誘導体が、緑内障の処置に特に有用であり、かつ、驚くべきことに、眼表面充血を起こさないか、または、眼圧降下に有用な他の化合物(例えばPGFおよびその低級アルキルエステル)と比較して顕著に軽度にしか眼表面充血を起こさないことを見出した。
【0010】
本発明は、有効量の式Iの化合物を投与することを含んで成る高眼圧の処置方法に関する:
【化1】

【0011】
[式中、
Yは、ケトおよびヒドロキシルから成る群から選択され;
Y1は、ヒドロキシル、ケト、ハロゲンおよびC1-C5アルキルから成る群から選択され;
Zは、NまたはCであり;
Qは、フェニル、ハロゲン置換フェニル、5または6員複素環式基(ここで、ヘテロ原子は窒素、酸素または硫黄である)、
【化2】

(ここで、Wは、直接結合またはC(R11)(R12)である)から成る群から選択され;
点線は、二重結合の存在または不存在を表し;
波線は、直接結合を表し;
QおよびYは、縮合環を形成してもよく、その場合、Yは-C(O)-NR3-であり、Qは-C(Q')-であり、ここで、Q'はR3であるか、または該Cはスピロ原子で、Q'は該Cと一緒になって、3〜6個の炭素原子を有する炭素環または複素環を表し、ここで、ヘテロ原子はN、OまたはSであり;
【0012】
Rは、H、ハロゲンおよびC1-5アルキルから成る群から選択され;
R1は、Hおよびハロゲンから成る群から選択され;
R2は、H、C1-5アルキル、ハロゲン、XC1-5アルキル、C1-5アルキルOR13、C1-5アルキルN(R13)2、N(R13)2、XC1-5アルキルN(R13)2およびXC1-5アルキルOR13から成る群から選択され;
Xは、OまたはS(O)nであり;
nは、0または1〜2の整数であり;
R3は、H、ヒドロキシル、オキソ、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R4は、H、C1-5アルケニル、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、独立に、H、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびOR13から成る群から選択され;
R13は、H、C1-5アルキルおよびC3-8環式アルキルから成る群から選択されるか、または2個のR13基が、Nと一緒になって、ピペリジンまたはモルホリン環のような環を形成し;但し、R8およびR12が一緒になって環を形成してもよく、R3およびR5が一緒になってOを表してもよく、Qがメンタジエンである場合、R1およびR2はHであり、Yはヒドロキシルであり、RはHまたはアルキルでないものとする]。
【0013】
好ましくは、式Iの化合物は、下記の式I’で示される化合物である:
【化3】

【0014】
[式中、
Yは、ケトおよびヒドロキシルから成る群から選択され;
Zは、NまたはCであり;
Qは、
【化4】

(ここで、Wは、直接結合またはC(R11)(R12)である)から成る群から選択され;
点線は、二重結合の存在または不存在を表し;
【0015】
Rは、H、ハロゲン、例えばブロモまたはクロロ、およびC1-5アルキルから成る群から選択され;
R1は、H、ハロゲン、例えばブロモまたはクロロから成る群から選択され;
R2は、独立に、H、C1-5アルキル、ハロゲン、XC1-5アルキル、C1-5アルキルOR13、C1-5アルキルN(R13)2、N(R13)2、XC1-5アルキルN(R13)2およびXC1-5アルキルOR13から成る群から選択され;
Xは、OまたはS(O)nであり;
nは、0または1〜2の整数であり;
R3は、H、ヒドロキシル、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R4は、H、C1-5アルケニル、例えばイソプロペニル、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、独立に、H、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびOR13から成る群から選択され;
R13は、H、C1-5アルキルおよびC3-8環式アルキルから成る群から選択されるか、または2個のR13基が、Nと一緒になって、ピペリジンまたはモルホリン環のような環を形成し;但し、前記アルキル基のいずれかが、ヘテロ原子含有基で置換されてもよく、該ヘテロ原子は R8およびR12が一緒になって環を形成してもよく、R3およびR5が一緒になってOを表してもよく、Qがメンタジエンである場合、R1およびR2はHであり、Yはヒドロキシルであり、RはHまたはアルキルでないものとする]。
【0016】
他の態様において、本発明は、非毒性の医薬的に許容される液体賦形剤と混合された、処置有効量の式(I)または(I’)の化合物を含んで成る医薬組成物に関する。そのような医薬組成物は、高眼圧および/または緑内障の処置に有用な眼科用液剤であってよい。最後に、本発明は、高眼圧および/または緑内障の処置に有用な特定の新規化合物を提供する。
【0017】
<発明の詳細な説明>
本発明は、アブノーマル・カンナビジオール化合物の眼圧降下剤としての使用に関する。このような処置剤は、前記の式IまたはI’で示される化合物によって代表される。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、化合物は、下記の式IIで示されるアブノーマル・カンナビジオールおよびその類似体から成る群から選択される:
【化5】

【0019】
[式中、Qは、
【化6】

から成る群から選択される]。
【0020】
Qで示される特に好ましい基は、メンタジエンまたは
【化7】

である。
【0021】
この種の化合物において、好ましくは、Rは、水素、メチル、ブロモおよびクロロから成る群から選択され、R1は、水素、メチルおよびクロロから成る群から選択される。
【0022】
この種の化合物は、環式アルケンまたは環式アルコールと、好適に置換されたベンゼン-1,3-ジオールとの縮合によって生成しうる。反応は、シュウ酸二水化物またはp-トルエンスルホン酸のような酸によって触媒される。反応は、溶媒または溶媒混合物、例えば、トルエン、ジエチルエーテルまたはジクロロメタン中で行われる。2つの異性体の混合物が得られ、所望の生成物をクロマトグラフィーによって分離する。反応式を以下に示す。
【0023】
【化8】

【0024】
出発物質の合成は周知である。
反応機構は、OHの脱離によるカルボカチオンの形成の結果であるか、または、やはり脱離によりカルボカチオンを与えることができるアセテートのような官能基を有する出発物質を使用することができる。
【化9】

【0025】
本発明の他の実施形態において、化合物は、下記の式IIIで示されるテトラヒドロピリジンである:
【化10】

【0026】
このようなテトラヒドロピリジン化合物は、下記の反応式に従って合成でき、ここで、Meはメチルであり、Buはブチルであり、iPrはイソプロピルである。
【化11】

【0027】
本発明の他の実施形態において、化合物は、式IVで示されるピペリジンジオンである:
【化12】

【0028】
これらの化合物は、下記の反応式に従って合成でき、ここで、Etはエチルであり、THFはテトラヒドロフランであり、DMFはジメチルホルムアミドである:
【化13】

[式中、Lは、離脱基、例えば、臭素、沃素またはトシルである]。
【0029】
YおよびY1がケトである式I’の化合物は、ピペリジン-2,4-ジオンとして公知であり、H. Nishino et al., Teterahedron 2005, 11107-11124に記載のように合成しうる。対応するシクロヘキサン-1,3-ジオンは、EP 291114およびEP 310186に記載のように合成しうる。YがケトでありY1がヒドロキシルである式I’の化合物は、4-ヒドロキシピリジン-2-オンとして公知であり、Castillo et al., Bull. Soc. Chim. Fr. 1982, 257-261に記載のように合成しうる。
【0030】
Y=Y1=ヒドロキシルである化合物は、E.D. Berymann et al., JACS, 1953, 3226に記載の方法によって、対応するシクロヘキサン-1,3-ジオンの脱水素によって合成しうる。両方のZがNであり、Yがオキソであり、Y1がヒドロキシルである式I’の化合物は、WO 2005/007632およびJ. Het. Chem. 1989, 169-176に記載のように合成しうる。
【0031】
前記および以下の式のいずれにおいても、直線は結合を表す。結合の間に原子の記号がない場合、適切な炭素含有基が意味される。
【0032】
医薬組成物は、少なくとも1種の本発明化合物の処置有効量を活性成分として、眼科学的に許容し得る通常の薬剤賦形剤と組み合わせることによって、および眼への局所適用に適当な単位用量形態を形成することによって調製し得る。処置有効量は通例、液体製剤中約0.0001〜5% (w/v)、好ましくは約0.001〜1.0%(w/v)である。
【0033】
眼科的な適用のためには、主な賦形剤として生理食塩液を用いて溶液を調製することが好ましい。そのような眼用溶液のpHは、適当な緩衝系によって4.5〜8.0に保つことが好ましい。中性pHが好ましいが、本質的ではない。このような製剤は、薬学的に許容し得る通常の保存剤、安定剤および界面活性剤をも含有し得る。
【0034】
本発明の医薬組成物中に使用し得る好ましい保存剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀を包含するが、これらに限定されるものではない。好ましい界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、本発明の眼用製剤中に種々の好ましい賦形剤を使用し得る。このような賦形剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0035】
必要に応じて、または好都合に、浸透圧調整剤を添加し得る。浸透圧調整剤は、塩、とりわけ塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリンを包含するが、これらに限定されるものではなく、眼科学的に許容し得る他の適当な浸透圧調整剤も使用し得る。
【0036】
眼科学的に許容し得る製剤が得られるのであれば、pH調整のためにどのような緩衝剤および手段を用いてもよい。緩衝剤は、酢酸、クエン酸、リン酸およびホウ酸の緩衝剤を包含する。製剤のpHを調整するために、必要に応じて酸または塩基を使用し得る。
【0037】
同様に、本発明において使用するための眼科学的に許容し得る抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンを包含するが、それらに限定されるものではない。
本発明の眼用製剤が含有し得る他の佐剤成分はキレート化剤である。好ましいキレート化剤はエデト酸二ナトリウムであるが、その代わりに、またはそれと組み合わせて他のキレート化剤も使用し得る。
【0038】
上記成分は通例、次のような量で使用する:
【表1】

【0039】
本発明の活性化合物の実際の用量は、化合物によって、および処置する症状によって異なる。当業者はその知識の範囲内で、適当な用量を選択することができる。
本発明の眼用製剤は、眼への適用を容易にするよう、計量適用に適した形態(例えばドロッパー付き容器)に充填することが好都合である。滴下適用に適した容器は通例、不活性で無毒性の適当なプラスチック材料製であり、溶液を約0.5〜15ml収容する。容器1個が、1単位用量またはそれ以上を含有し得る。
【0040】
約10単位用量まで、好ましくは約5単位用量までを含有する再密閉不可能な容器内に入った、特に保存剤不含有の溶液をしばしば調製する。単位用量は通例、1〜約8滴、好ましくは1〜約3滴である。1滴の体積は通例、約20〜35μlである。
【0041】
本発明の方法、すなわち緑内障または上昇した眼圧の処置において使用するために本明細書中に開示する化合物は、緑内障または上昇した眼圧の処置に有用な他の薬物と組み合わせて使用してもよい。
【0042】
緑内障または上昇した眼圧の処置のために、下記群の薬物との併用療法が意図される:
β遮断剤(またはβ-アドレナリンアンタゴニスト):カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール・ヘミ水和物、マレイン酸チモロール、β1選択的アンタゴニスト、例えばベタキソロールなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグを包含する;
【0043】
アドレナリンアゴニスト:下記のものを包含する:
非選択的アドレナリンアゴニスト:例えばホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、およびジピベフリンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;および
α2選択的アドレナリンアゴニスト:例えばアプラクロニジン、ブリモニジンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
【0044】
炭酸脱水酵素阻害剤:アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミドなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグを包含する;
【0045】
コリンアゴニスト:下記のものを包含する:
直接作用型コリンアゴニスト:例えばカルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルピン、ピロカルピンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
コリンエステラーゼ阻害剤:例えばデメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
【0046】
グルタメートアンタゴニスト:例えばメマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デキストロメトルファン、CGS-19755、ジヒドロピリジン類、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン類、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン類、ジフェニルピペラジン類、HOE 166および関連薬物、フルスピリレン、エリプロディル、イフェンプロジル、CP-101,606、チバロシン、2309BT、および840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジンピン、ニモジピン、バルニジピン、リドフラジン、乳酸フェニラミン、アミロリドなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
【0047】
プロスタミド:例えばビマトプロスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;並びに
プロスタグランジン:トラボプロスト、UFO-21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14-ジヒドロ-クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロストなどを包含する。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0048】
眼圧
圧平眼圧測定法によって、意識のある動物の眼圧を測定した。マスク方式で、一方の眼には試験化合物を、他方の眼には賦形剤を局所投与した。正常眼圧ビーグル犬(雌雄)に、5日間にわたり1日1回投与を行った。一方の眼をレーザーで高眼圧としたカニクイザル(雌)には、4日間にわたり1日1回投与を行った。統計学的比較のために、対応のあるスチューデントのt検定を用いた。p値が0.05未満である場合に、統計学的に有意な差があると見なした。
結果を図に示す。
図は、0.1%の活性化合物を投与したサルにおけるベースラインIOPからの変化を経時的に示す。
【実施例2】
【0049】
アブノーマル・カンナビジオール活性の測定
アブノーマル・カンナビジオール受容体活性を、Wagner JAら, Hypertention 33[part II], 429(1999); Jarai Zら, PNAS 96, 14136(1999)(引用によりその全体を本明細書の一部とする)に記載された方法に従って測定しうる。
【0050】
アブノーマル・カンナビジオール化合物の合成についての実験の詳細
【化14】

【実施例3】
【0051】
5-メチル-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール
(4R)-1-メチル-4-イソプレニルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(300mg、2mmol)を、トルエン(20mL)に溶解し、ジエチルエーテル(5mL)中の5-メチルレゾルシノール(248mg、2mmol)を添加した。シュウ酸二水化物(252mg、2mmol)を添加し、反応混合物を撹拌しながら80°で5時間加熱した。反応混合物を冷まし、ジエチルエーテル(30mL)で希釈した。エーテル溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧蒸発して、粗生成物を褐色油状物(800mg)として得た。生成物をシリカカラム(酢酸エチル:イソヘキサン 1:9→酢酸エチル:イソヘキサン 2:8で溶離)で精製した。生成物を黄色ゴム状物(106mg)として分離した。
【実施例4】
【0052】
4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール
標記化合物を、5-メチルレゾルシノールの代わりにレゾルシノールを使用する以外は、実施例3に記載の方法によって生成する。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 6.2 (M, 2H), 6.1 (S, 1H), 5.55 (M, 1H), 4.7 (M, 1H), 4.55 (S, 1H), 4.5 (M, 1H), 3.55 (M, 1H), 2.5 (M, 1H), 2.2 (M, 2H), 2.15 (S, 3H), 1.85 (M, 2H), 1.8 (S, 3H), 1.6 (S, 3H)
【0053】
以下の化合物も同様の方法で生成した。
【実施例5】
【0054】
5-クロロ-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール
1H NMR (300MHz, CDCl3) 6.4 (M, 1H), 6.3 (M, 1H), 6.25 (S, 1H), 5.6 (M, 1H), 4.7 (brS, 1H), 4.65 (M, 1H), 4.4 (M, 1H), 4.0 (M, 1H), 2.5 (M, 1H), 2.25 (M, 1H), 2.15 (M, 1H), 1.85 (M, 2H), 1.8 (S, 3H), 1.6 (S, 3H)
【実施例6】
【0055】
4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)-5-メトキシベンゼン-1,3-ジオール
1H NMR (300MHz, CDCl3) 6.15 (brS, 1H), 6.0 (M, 2H), 5.6 (M, 1H), 4.65 (brS, 1H), 4.5 (M, 1H), 4.35 (M, 1H), 3.95 (M, 1H), 3.7 (S, 3H), 2.4 (M, 1H), 2.25 (1H, M), 2.1 (M, 1H), 1.8 (M, 2H), 1.8 (S, 3H), 1.65 (S, 3H)
【実施例7】
【0056】
2-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)-5-メトキシベンゼン-1,3-ジオール
1H NMR (300MHz, CDCl3) 6.0 (brS, 2H), 5.55 (M, 1H), 4.7 (M, 1H), 4.6 (M, 1H), 3.8 (M, 1H), 3.75 (S, 3H), 2.4 (M, 1H), 2.2 (M, 1H), 2.1 (M, 1H), 1.8 (S, 3H), 1.8 (M, 2H)
【実施例8】
【0057】
6-クロロ-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオールの合成
4-クロロレゾルシノール(350mg、2.4mmol)を、トルエン(30mL)およびジエチルエーテル(20mL)に溶解し、p-トルエンスルホン酸(91mg、0.48mmol)を添加した。トルエン(10mL)中の(4R)-1-メチル-4-イソプレニルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(500mg、3mmol)を添加し、反応混合物を室温で6時間撹拌した。ジエチルエーテル(30mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸発して、黄色ゴム状物(800mg)を得た。シリカカラム(酢酸エチル:イソヘキサン 9:1→酢酸エチル:イソヘキサン 8:2で溶離)を使用して精製した。生成物を黄色ゴム状物(95mg)として分離した。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 6.9 (S, 1H), 6.5 (S, 1H), 5.5 (S, 1H), 5.45 (M, 1H), 5.35 (S, 1H), 4.7 (M, 1H), 4.6 (M, 1H), 3.35 (M, 1H), 2.2 (M, 3H), 1.8 (M, 3H), 1.75 (M, 2H), 1.6 (S, 3H)
【実施例9】
【0058】
4-シクロヘキシルベンゼン-1,3-ジオールの合成
この化合物は、JACS, 1953, 2341に記載のように生成した。
レゾルシノール(2.2g、0.02mol)を、シクロヘキサノール(1g、0.01mol)および塩化亜鉛(II)(0.48g、0.0035mol)と混合し、反応混合物を撹拌しながら150°に加熱した。2時間加熱した後、反応混合物を冷まし、次に、酢酸エチルに溶解した。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて、褐色油状物(3.0g)を得た。過剰のレゾルシノールを、クーゲルロール(Kugelrohr)オーブンにおいて減圧下に加熱する(200°、2mmHg)ことによって蒸発させた。シリカカラム(酢酸エチル:イソヘキサン 2:8で溶離)を使用して精製して、生成物を黄色油状物(0.5g)として得た。イソヘキサンと共にトリチュレートして、生成物を白色固形物(0.2g)として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 7.0 (D, 1H J = 8Hz), 6.4 (M, 1H), 6.3 (M, 1H), 4.7 (S, 1H), 4.55 (S, 1H), 2.7 (M, 1H), 1.8 (M, 5H), 1.4 (M, 5H)
【実施例10】
【0059】
4R-イソプレニル-1-メチルシクロヘキサ-2-エノールの合成
4R-イソプレニル-1-メチルシクロヘキサ-2-エノールの合成は、WO2004096740に記載のように行った。
【化15】

【実施例11】
【0060】
4-イソプレニル-1-メチル-2-モルホリン-4-イル-シクロヘキサノール
(+)-リモネンオキシド(13.2g、0.087mol)をエタノール(40mL)に溶解し、塩化リチウム(5.9g、0.14mol)を、撹拌しながら添加した。モルホリン(11.4g、0.13mol)を添加し、反応混合物を60°で48時間加熱した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をジクロロメタンに取った。水で洗浄した。2M塩酸に抽出し、ジクロロメタンで洗浄した。2M水酸化ナトリウムの添加によってpH10に塩基性化した。ジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸発して、生成物を黄色油状物(10.3g)として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 4.95 (M, 1H), 4.85 (M, 1H), 3.7 (M, 4H), 2.75 (M, 2H), 2.5 (M, 4H), 2.1 (M, 1H), 1.95 (M, 1H), 1.75 (S, 3H), 1.6 (M, 4H), 1.2 (S, 3H)
【実施例12】
【0061】
4-イソプレニル-1-メチル-2-(4-オキシ-モルホリン-4-イル)-シクロヘキサノール
4-イソプレニル-1-メチル-2-モルホリン-4-イル-シクロヘキサノール(17.7g、0.074mol)をエタノール(100mL)に溶解し、35%過酸化水素(37mL、0.325mol)を添加した。撹拌しながら50°で6時間加熱した。過剰の過酸化物を分解するために、炭素上5%パラジウム(100mg)を添加した。室温で3時間撹拌した(過酸化物試験紙が陰性結果を示した)。ハイフロ(HiFlo)のパッドで濾過して、炭素上パラジウムを除去し、溶媒を減圧蒸発して、生成物を黄色油状物(22.2g)として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 5.5 (M, 1H), 4.85 (M, 1H), 4.5 (M, 2H), 3.7 (M, 4H), 3.4 (M, 3H), 2.95 (M, 1H), 2.65 (M, 1H), 2.25 (M, 1H), 2.0 (M, 1H), 1.85 (M, 1H), 1.75 (M, 1H), 1.75 (S, 3H), 1.55 (M, 1H), 1.55 (S, 3H)
【実施例13】
【0062】
4R-イソプレニル-1-メチルシクロヘキサ-2-エノール
4-イソプレニル-1-メチル-2-モルホリン-4-イル-シクロヘキサノール(4.6g、0.018mol)をトルエン(80mL)に溶解し、シリカ(1.1g)を添加した。反応混合物を、撹拌しながら加熱還流した。反応において生じた水をディーン・スターク装置によって除去した。一晩還流した後、シリカを濾過によって除去し、濾液を減圧蒸発して、褐色油状物(4.0g)を得た。ジクロロメタンに溶解し、2M塩酸で洗浄した。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧蒸発によって除去して、生成物を褐色油状物(1.3g)として得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3) 5.7 (M, 2H), 4.8 (M, 2H), 2.7 (M, 1H), 1.8 (M, 2H), 1.75 (S, 3H), 1.65 (M, 2H), 1.3 (S, 3H)
【0063】
テトラヒドロピリジンの合成についての実験の詳細
【化16】

【実施例14】
【0064】
2-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2-ジヒドロピリジンの生成
-78℃に冷却したジエチルエーテル(10mL)中の2,4-ジメトキシブロモベンゼン(1)(0.5g、2.3mmol)の撹拌溶液に、窒素下に、n-ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中の2.5M溶液、1.0mL、2.5mmol)を滴下した。混合物を-78℃で2時間撹拌し、次に、1,4-ジメチルピリジニウムヨージド(2)(0.54g、2.5mmol)を固体として添加した。得られた混合物を室温に温め、室温で18時間撹拌した。混合物を水(20mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2x15mL)で抽出した。合した有機抽出物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2-ジヒドロピリジン(4)(0.5g、93%)を褐色油状物として得た。
1H NMR CDCl3 ??1.7 (s, 3H), 2.7 (s, 3H), 3.8(s, 6H), 4.45 (dd, 1H, J= 2,7) 4.85 (m, 1H), 5.4 (d, 1H, J= 4), 6.05 (d, 1H, J= 7), 6.45 (d, 1H, J= 3), 6.55 (m, 1H), 7.5 (d, 1H, J= 9).
【0065】
2,4-ジメトキシブロモベンゼン(1)および1-イソプロピル-4-メチルピリジニウムヨージド(3)を出発物質として、同様の方法によって、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-1-イソプロピル-4-メチル-1,2-ジヒドロピリジン(5)を生成した。
1H NMR CDCl3 ? (d, 6H J = 7), 1.7 (s, 3H), 3.15 (m, 1H), 3.7 (s, 6H), 4.5 (d, 1H J = 8), 4.8 (m, lH), 5.5(5, 1H J = 5), 6.3 (d, 1H J = 7), 6.45 (d, 1H J = 2), 6.55 (m, 1H), 7.55 (d, 1H J = 8).
【実施例15】
【0066】
6-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(6)の生成
メタノール(5mL)中の2-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2-ジヒドロピリジン(4)(0.48g、2.06mmol)の撹拌溶液に、室温で、水素化ホウ素ナトリウム(98mg、2.51mmol)を添加すると、ガス発生がすぐに始まり、得られた混合物を3時間撹拌した。次に、溶媒を蒸発させ、残渣を水(5mL)に懸濁し、酢酸エチル(2x10mL)で抽出した。次に、有機抽出物を、2M塩酸(2x15mL)で抽出した。水性相を2M水酸化ナトリウムで塩基性化し、酢酸エチル(2x20mL)で抽出し、有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、6-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(6)(350mg、73%)を黄色油状物として得た。
1H NMR CDCl3 δ?1.55 (s, 3H), 1.9 (m, 1H), 2.2 (s, 3H), 2.5(m, 2H), 2.95 (m, 1H), 3.8 (s, 6H), 4.1 (m, 1H), 5.2 (m, 1H), 6.5 (m, 2H), 7.3 (d, 1H J = 4).
【0067】
2-(2,4-ジメトキシフェニル)-1-イソプロピル-4-メチル-1,2-ジヒドロピリジン(5)を出発物質として、同様の方法によって、6-(2,4-ジメトキシフェニル)-1-イソプロピル-4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(7)を生成した。
1H NMR CDCl3 δ 0.95 (d, 3H J = 6), 1.05 (d, 3H J = 6), 1.7 (s, 3H), 1.9 (m, 1H), 2.5 (m, 1H), 2.85 (m, 1H), 3.0 (m, 1H), 3.8 (s, 6H), 4.6 (s, 1H), 5.2 (s, 1 H), 6.45 (d, 1H J= 3), 6.5 (dd, 1H J = 3,8), 7.4 (d, 1H J = 8).
【実施例16】
【0068】
4-(1,4-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-ベンゼン-1,3-ジオール(8)の生成
窒素下に0℃で冷却したジクロロメタン(20mL)中の6-(2,4-ジメトキシフェニル)-1,4-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(6)(300mg、1.27mmol)の撹拌溶液に、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中の1.0M溶液、3.1mL、3.18mmol)を添加し、得られた暗色溶液を、室温に温め、1時間撹拌した。溶液を、氷に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで塩基性化した。相を分離し、水性相をジクロロメタン(20mL)で抽出し、合した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、ゴム状物(200mg)を得た。その物質を10gシリカカートリッジ(メタノール/ジクロロメタン/アンモニア(7:92:1)で溶離)で精製して、4-(1,4-ジメチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-ベンゼン-1,3-ジオール(8)(93mg、35%)をゴム状物として得た。
1H NMR D6-アセトン ??1.67 (s, 3H), 1.97 (m, lH), 2.3 (s, 3H), 2.42 (m, 1H), 2.74 (m, 1H), 3.08 (m, 1H), 3.74 (s, 1H), 5.15 (s, 1H), 6.2 (d, 1H J = 2), 6.27 (dd, 1H J =2,8), 6.82 (d, 1H J = 8), 9.4 (bs, 2H).
【0069】
6-(2,4-ジメトキシフェニル)-1-イソプロピル-4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(7)を出発物質として、同様の方法によって、4-(1-イソプロピル-4-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-ベンゼン-1,3-ジオール(9)を生成した。
NMR D6-アセトン δ 0.81 (d, 3H J = 7), 0.98 (d, 3H J = 7), 1.52 (s, 3H), 1.84 (m, 1H), 2.15(m, 1H), 2.29(m, 1H), 2.94 (m, 2H), 4.09 (s, 1H), 4.97 (s, 1H), 6.05 (d, 1H J= 3), 6.11(dd, J= 3,8), 6.68 (d, J= 8), 9.6 (bs, 2H).
【実施例17】
【0070】
1-イソプロピル-4-メチルピリジニウムヨージド(3)の生成
アセトニトリル(50mL)中の4-ピコリン(2.5g、26.8mmol)の撹拌溶液に、ヨウ化イソプロピル(9.1g、53.6mmol)を滴下し、得られた混合物を90℃で24時間加熱した。冷却した後、溶媒を蒸発させて、赤色固形物を得、これを酢酸エチルと共にトリチュレートして、1-イソプロピル-4-メチルピリジニウムヨージド(6.01g、85%)をクリーム色固形物として得た。
1H NMR D6-DMSO δ?1.6 (d, 6H, J = 7), 2.6 (s, 3H), 4.95 (m, 1H), 8.0 (d, 2H J = 6), 9.05 (d, 2H J = 6).
【0071】
1-アリール-ピペリジン-2,4-ジオンの生成
【化17】

【実施例18】
【0072】
エチル 3-(3-クロロフェニルアミノ)プロピオネートの生成
3-クロロアニリン(3.8g、0.03mol)をエタノール(5mL)に溶解し、エタノール(5mL)中のアクリル酸エチル(3.3g、0.033mol)を添加した。濃塩酸(1mL)を添加し、反応混合物を48時間にわたって加熱還流した。蒸発させて量を減らし、残渣をジクロロメタンおよび水に溶解させた。アンモニア水でpH9に塩基性化し、分離した。ジクロロメタンを減圧蒸発によって除去して、粗生成物を黄色油状物(5.4g)として得た。シリカカラム(イソヘキサン:酢酸エチル 9:1で溶離)を使用して精製して、所望の生成物(3.5g、51%)を無色油状物として得た。
1H NMR CDCl3 δ 1.30 (t, 3H, J = 6.5Hz), 2.65 (t, 2H, J = 6Hz), 3.45 (q, 2H J = 6Hz), 4.20 (q, 2H, J = 6.5Hz), 6.50 (m, 1H), 6.60 (m, 1H), 6.70 (m, 1H), 7.10 (m, 1H)
【実施例19】
【0073】
N-(3-クロロフェニル)-N-(2-エトキシカルボニル-エチル)-マロンアミド酸エチルエステルの生成
エチル 3-(3-クロロフェニルアミノ)プロピオネート(3.5g、0.0154mol)をジクロロメタン(40mL)に溶解し、攪拌し冷却しながら、反応温度を20°未満に維持するように、ジクロロメタン(10mL)中のエチルマロニルクロリド(2.55g、0.017mol)を滴下した。ジクロロメタン(10mL)中のトリエチルアミン(1.72g、0.017mol)を滴下した。反応温度を、氷浴冷却によって20°未満に維持した。反応混合物を室温に温め、室温で一晩撹拌した。2M塩酸、水および炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、所望の生成物をオレンジ色油状物として得た(4.5g、86%)。
1H NMR CDCl3 δ 1.25 (m, 6H), 2.65 (t, 2H, J = 7Hz), 3.20 (s, 2H), 4.10 (m, 4H), 7.15 (m, 1H), 7.30 (m, 1H), 7.40 (m, 2H)
【実施例20】
【0074】
エチル 1-(3-クロロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオンカルボキシレートの生成
ナトリウム(0.7g、0.029mol)をエタノール(90mL)に溶解し、エタノール(30mL)中のN-(3-クロロフェニル)-N-(2-エトキシカルボニル-エチル)-マロンアミド酸エチルエステル(4.5g、0.0132mol)を添加した。反応混合物を一晩にわたって加熱還流した。エタノールを蒸発によって除去し、残渣を水に溶解させた。ジエチルエーテルで洗浄し、濃硫酸でpH2に酸性化した。ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン抽出物を合した。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、蒸発させて、生成物をオレンジ色油状物として得た(2.8g、72%)。
1H NMR CDCl3 δ 1.40 (t, 3H, J = 5Hz), 2.85 (t, 2H, J = 6Hz), 3.85 (t, 2H J = 6Hz), 4.40 (q, 2H, J = 5Hz), 7.20 (m, 2H), 7.30 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)
【実施例21】
【0075】
1-(3-クロロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオンの生成
エチル 1-(3-クロロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオンカルボキシレート(2.8g、0.0095mol)をアセトニトリル(100mL)/水(10mL)に溶解し、2時間還流した。蒸発させて量を減らし、ジクロロメタンに溶解させた。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、蒸発させて、生成物をオレンジ色油状物(2.2g)として得た。シリカカラム(ジクロロメタン:酢酸エチル 9:1で溶離)を使用して精製して、所望の生成物を淡黄色ゴム状物として得た(1.2g、59%)。
1H NMR CDCl3 δ 2.80 (t, 2H, J = 6Hz), 3.55 (s, 2H), 4.05 (t, 2H, J = 6Hz), 7.20 (m, 1H), 7.30 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.40 (m, 1H)
【0076】
以下の化合物も同様の方法で生成した:
1-フェニルピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.80 (t, 2H, J = 6Hz), 3.6 (s, 2H), 4.05 (t, 2H, J = 6Hz), 7.30 (m, 3H), 7.45 (m, 2H)
1-(3-メチルフェニル)ピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.40 (s, 3H), 2.80(t, 2H, J = 6.5Hz), 3.6 (s, 2H), 4.05 (t, 2H, J = 6.5Hz), 7.30 (m, 3H), 7.45 (m, 2H)
1-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.80 (t, 2H, J = 6Hz), 3.55 (s, 2H), 4.0 (t, 2H, J = 6Hz), 7.1 (m, 2H), 7.25 (m, 2H)
【0077】
1-(3,5-ジフルオロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.80 (t, 2H, J = 6Hz), 3.58 (s, 2H), 4.04 (t, 2H, J = 6Hz), 6.68-6.83 (m, 1H), 6.84-6.99 (m, 2H).
1-(3,5-ジクロロフェニル)ピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.80 (t, 2H, J = 6Hz), 3.58 (s, 2H), 4.02 (t, 2H, J = 6Hz), 7.20-7.36 (m, 3H).
1-(4-メチルピリダ-2-イル)ピペリジン-2,4-ジオン
1H NMR (CDCl3, ppm) δ 2.41 (s, 3H), 2.75 (t, 2H, J = 6Hz), 3.62 (s, 2H), 4.44 (t, 2H, J = 6Hz), 6.94-7.02 (m, 1H), 7.72-7.79 (m, 1H), 8.25-8.36 (m, 1H).
【0078】
シクロヘキサン-1,3-ジオンの生成
【化18】

【実施例22】
【0079】
4-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1,3-ジオンの生成
ナトリウム(0.3g、0.013mol)をエタノール(50mL)に溶解し、エタノール(10mL)中の4-フルオロフェニルアセトン(2.0g、0.013mol)を添加した。アクリル酸エチル(1.3g、0.013mol)を添加し、反応混合物を一晩にわたって加熱還流した。反応混合物を冷まし、減圧蒸発して、褐色ゴム状物を得た。水に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄した。水性相を濃塩酸でpH2に酸性化し、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を合わし、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を蒸発させて、オレンジ色油状物(1.7g)を得た。これを、シリカカラム(ジクロロメタン:酢酸エチル 8:2、次に、ジクロロメタン:酢酸エチル 2:1で溶離)を使用して精製して、無色ゴム状物(0.428g)を得た。これをジエチルエーテル/イソヘキサンと共にトリチュレートして、4-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1,3-ジオン(0.28g)を白色固形物として得た。
1H NMR (CD3OD, ppm) δ 2.1 (m, 1H), 2.3 (m, 1H), 2.4 (m, 2H), 3.7 (m, 1H), 4.9 (s, 2H), 7.1 (m, 2H), 7.2 (m, 2H).
【0080】
下記の化合物も同様の方法で生成した:
4-フェニルシクロヘキサン-1,3-ジオン
1H NMR (CD3OD, ppm) δ 2.15 (m, 1H), 2.3 (m, 3H), 3.7 (m, 1H), 4.9 (s, 2H), 7.2 (m, 3H), 7.3 (m, 2H).
【0081】
ピリダジン-3-オンの生成
【化19】

【実施例23】
【0082】
3-オキソ-2-(フェニルヒドラゾノ)ペンタン二酸ジメチルエステル
濃塩酸(10mL)および水(20mL)中のアニリン(1.86g、20mmol)の混合物に、5℃未満の温度で、水(15mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.38g、20mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を15分間撹拌し、次に、それを、エタノール(12mL)および水(40mL)中のジメチルアセトンジカルボキシレート(3.48g、20mmol)および酢酸ナトリウム(12g、0.146mol)の溶液に注ぐと、すぐに沈殿が生じた。懸濁液を1時間撹拌し、次に、酢酸エチル(3x125mL)で抽出した。合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、3-オキソ-2-(フェニルヒドラゾノ)ペンタン二酸ジメチルエステルを、ヒドラゾンについてのEおよびZ異性体の混合物から成る赤色油状物(5.58g、定量的)として得た。
1H NMR CDCl3 δ □□□ (singlets, 8H), 7.1-7.5 (m, 5H), 12.8 (s, 1H).
【実施例24】
【0083】
メチル 4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボキシレート
3-オキソ-(2-フェニルヒドラゾノ)ペンタン二酸ジメチルエステル(12.5mmol)を、ジクロロベンゼンに溶解し、24時間にわたって加熱還流し、次に、室温に冷ました。溶媒を蒸発させ、残渣をエーテルと共にトリチュレートして、メチル 4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボキシレートをベージュ色固形物として得た(2.4g、78%)。
1H NMR CDCl3 δ 4.0 (s, 3H), 6.4 (s, 1H), 7.4-7.6 (m, 5H), 10.3 (s, 1H).
【実施例25】
【0084】
4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボン酸
メチル 4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボキシレート(0.8g、3.24mmol)を、水酸化ナトリウム溶液(2.0M、20mL)に懸濁し、1時間にわたって加熱還流した。混合物を室温に冷まし、2M塩酸で酸性化し、酢酸エチル(3x15mL)で抽出した。合した有機抽出物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボン酸を黄色固形物として得た(0.6g、80%)。
1H NMR CDCl3 δ 6.3 (s, 1H), 7.35-7.7 (m, 5H).
【実施例26】
【0085】
5-ヒドロキシ-2-フェニル-2H-ピリダジン-3-オン
4-ヒドロキシ-6-オキソ-1-フェニル-1,6-ジヒドロピリダジン-3-カルボン酸(400mg、1.72mmol)を、マイクロ波により270℃で3分間加熱した。得られた黒色混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム(15mL)で抽出した。炭酸水素ナトリウム溶液を、濃塩酸で酸性化し、酢酸エチル(3x15mL)で抽出した。合した有機抽出物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、粗固形物(300mg)を得た。これを、10g SPEカートリッジ(ジクロロメタン/酢酸エチル(80:20→60:40)で溶離)で精製して、5-ヒドロキシ-2-フェニル-2H-ピリダジン-3-オン(60mg)をベージュ色固形物として得た。
1H NMR D6 DMSO δ 6.05 (d, 1H, J = 2.7 Hz), 7.4-7.6 (m, 5H), 7.85 (d, 1H, J = 2.7 Hz), 11.6 (s, 1H).
【0086】
以下の化合物も、本発明の方法において活性である:
2-(4-クロロフェニル)-5-ヒドロキシ-2H-ピリダジン-3-オン
5-ヒドロキシ-2-(3-トリフルオロメチルフェニル)-2H-ピリダジン-3-オン
【0087】
下記の合成は、J. Het. Chem. 1989, 26, 169-176に記載されている。
【化20】

【実施例27】
【0088】
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
4-ブロモ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン(0.6g、1.98mmol)を、エタノール(50mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム(4mL)を添加した。炭素上10%パラジウム(0.15g)を添加し、フラスコを、撹拌しながら、水素(バルーン)雰囲気に置いた。反応混合物を一晩にわたって室温で撹拌した。ハイフロ(Hyflo)を使用して触媒を濾過によって除去し、蒸発乾固した。2M塩酸を添加し、酢酸エチルに抽出した。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、濾液を蒸発させて、白色固形物を得た。ジエチルエーテルと共にトリチュレートして、生成物を白色固形物として得た(0.32g、72%)。
1H NMR DMSOd6 δ 12.2 (br s, 1H), 7.9 (d, 1H, J = 3Hz), 7.3 (m, 5H), 6.1 (d, 1H, J = 3Hz)
【0089】
下記の化合物も同様の方法で生成した:
2-(2,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 11.8 (br s, 1H), 7.85 (d, 1H, J = 2.5Hz), 7.4 (m, 4H), 6.1 (d, 1H, J = 2.5Hz)
【実施例28】
【0090】
4-ブロモ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
4,5-ジブロモ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)ピリダジン-3-オン(1.5g、0.0041mol)を、エタノール(50mL)に懸濁し、水(8mL)中の水酸化カリウム(0.8g、0.0123mol)を添加した。4時間にわたって撹拌しながら還流した。蒸発させて量を減らし、水で希釈した。濃塩酸でpH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、濾液を蒸発させて、オレンジ色固形物を得た。ジエチルエーテルと共にトリチュレートして、デシケーターで乾燥して、生成物をクリーム色固形物として得た(0.7g、56%)。
1H NMR DMSOd6 δ 12.5 (br s, 1H), 7.9 (s, 1H), 7.35 (m, 3H); 19F NMR δ 110
【0091】
以下の化合物も同様の方法で生成した:
4-ブロモ-2-(2,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 7.9 (s, 1H), 7.5 (m, 3H); 19F NMR δ 117, 126
4-ブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 7.9 (s, 1H), 7.8 (d, 1H, J = 2.5Hz), 7.7 (d, 1H, J = 8.5Hz), 7.6 (d, d, 1H, J = 2.5, 8.5Hz)
【実施例29】
【0092】
4,5-ジブロモ-2-(3,5-ジフルオロフェニル)ピリダジン-3-オン
ムコブロム酸(2.8g、0.011mol)をエタノール(75mL)に溶解し、3,5-ジフルオロフェニルヒドラジンヒドロクロリド(1.8g、0.01mol)を添加した。30分後、トリエチルアミン(1.4mL、0.01mol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。蒸発させて量を減らし、残渣を氷酢酸(80mL)に懸濁させた。一晩にわたって撹拌しながら還流して、褐色溶液を得た。蒸発乾固し、メタノールと共にトリチュレートして、所望の生成物を淡褐色固形物として得た(3.4g、93%)。
1H NMR DMSOd6 δ 8.3 (s, 1H), 7.4 (m, 3H); 19F NMR δ 109
【0093】
以下の化合物も同様の方法で生成した:
4,5-ジブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)ピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 7.9 (s, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.4 (m, 2H)
4,5-ジブロモ-2-(3,5-ジクロロフェニル)ピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 8.35 (s, 1H), 7.8 (m, 1H), 7.7(m,2H)
4,5-ジブロモ-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 8.35 (s, 1H), 7.5 (m, 3H)
【化21】

【実施例30】
【0094】
2-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
2-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン(0.25g、0.92mmol)を、エタノール(40mL)に懸濁し、水(5mL)中の水酸化カリウム(0.12g、1.8mmol)を添加した。一晩にわたって撹拌しながら還流して、黄色溶液を得た。蒸発乾固し、2M塩酸を添加した。酢酸エチル(x2)で抽出し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、蒸発させて、黄色固形物を得た。ジクロロメタンと共にトリチュレートして、淡黄色固形物を得た(0.1g、42%)。
1H NMR DMSOd6 δ 7.75 (d, 1H, J = 3Hz), 7.6 (m, 2H), 7.5 (m, 1H), 6.25 (d, 1H, J = 3Hz)
【0095】
下記の化合物も同様の方法で生成した:
2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 10.9 (br s, 1H), 7.7 (d, 1H, J = 3Hz), 7.4 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.3 (m, 1H), 6.2 (d, 1H, J = 3Hz)
【実施例31】
【0096】
2-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン
4-ブロモ-2-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン(2.5g、0.0071mol)を、THF(250mL)に溶解し、窒素下に-50°に冷却した。1.6M n-ブチルリチウム(6.7mL、0.011mol)を撹拌しながら滴下した。1時間にわたって-20°に温めた。1当量の1.6M n-ブチルリチウム(4.4mL、0.0071mol)を滴下した。-20°で30分間撹拌した。塩化アンモニウム溶液に注ぎ、15分間撹拌した。EtOAc(x2)で抽出し、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、褐色固形物(3.0g)を得た。MPLC(シリカ、ジクロロメタン:EtOAc 9:1で溶離)によって精製して、黄色固形物を得た(0.25g、13%)。純粋でない生成物を、次の反応に直接使用した。
1H NMR DMSOd6 δ 7.7 (d, 1H, J = 3Hz), 7.6 (d, 2H, J = 2Hz), 7.5 (d, 1H, J = 2Hz), 6.2 (d, 1H, J = 3Hz)
【0097】
下記の化合物も同様の方法で生成した:
2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 7.95 (d, 1H, J = 3Hz), 7.75 (d, 1H, J = 2.5Hz), 7.7 (d, 1H, J = 8Hz), 7.6 (d, d, 1H, J = 2.5, 8Hz), 6.45 (d, 1H, J = 3Hz)
【実施例32】
【0098】
4-ブロモ-2-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン
ナトリウム(0.28g、0.012mol)をメタノール(100mL)に溶解し、メタノール(60mL)中の4,5-ジブロモ-2-(3,5-ジクロロフェニル)ピリダジン-3-オン(4.0g、0.01mol)の懸濁液を添加した。一晩にわたって還流した。蒸発乾固し、水を添加した。固形物を濾過によって取り、デシケーターで乾燥させた。エーテルと共にトリチュレートし、デシケーターで乾燥させた(3.1g、89%)。
1H NMR DMSOd6 δ 8.35 (s, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.7 (m, 2H), 4.15 (s, 3H)
【0099】
下記の化合物も同様の方法で生成した:
4-ブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メトキシピリダジン-3-オン
1H NMR DMSOd6 δ 8.35 (s, 1H), 7.8 (d, 1H, J = 2.5Hz), 7.7 (d, 1H, J = 8.5Hz), 7.65 (d of d, 1H, J = 2.5, 8Hz), 4.15 (s, 3H)
【0100】
【化22】

【実施例33】
【0101】
4-クロロ-2-フェニル-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン
4,5-ジクロロ-2-フェニルピリダジン-3-オン(2.4g、0.01mol)をエタノール(50mL)に懸濁し、水(20mL)中の水酸化カリウム(2.0g、0.03mol)を添加した。4時間にわたって還流した。蒸発乾固し、水を添加した。濃塩酸でpH2に酸性化した。濾過によって生成物を淡黄褐色固形物として取り、デシケーターで乾燥させた(2.1g)。0.5gを取り、メタノールに溶解し、濾過し、蒸発させた。エーテルと共にトリチュレートして、生成物をクリーム色固形物として得た(0.4g、76%)。
1H NMR DMSOd6 δ 7.9, (s, 1H), 7.5 (m, 4H), 7.4 (m, 1H)
【実施例34】
【0102】
4,5-ジクロロ-2-フェニルピリダジン-3-オン
ムコクロル酸(9.3g、0.055mol)をエタノール(60mL)に溶解し、フェニルヒドラジン(5.4g、0.05mol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。蒸発させて量を減らし、残渣を氷酢酸(60mL)に懸濁させた。3時間にわたって撹拌しながら還流させた。蒸発乾固し、メタノールと共にトリチュレートして、所望の生成物を淡褐色固形物として得た(11.0g、91%)。
1H NMR DMSOd6 δ 7.95 (s, 1H), 7.5 (m, 4H), 7.4 (m, 1H)
【0103】
以下の化合物も、本発明の方法により緑内障または高眼圧の処置に有効であることが見出された。
【0104】
【化23】

【0105】
シクロヘキサン−1,3−ジオン
【化24】

【0106】
ピリダジン−3−オン
【化25】

【0107】
【化26】



【0108】
【化27】

【0109】
異なる医薬組成物を調製し、使用して、実質的に同様の結果が得られうることは、当業者に明らかである。すなわち、他のアブノーマル・カンナビジオール化合物も、動物の眼圧降下に有効であり得、本発明の範囲に包含される。また、米国特許出願公開第2005/0282912号のアブノーマル・カンナビジオール化合物と同様に、本発明の新規化合物を、哺乳動物眼に神経保護を提供する方法に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】眼圧に対するアブノーマル・カンナビジオールの効果を示す。
【図2】眼圧に対する実施例4の化合物の効果を示す。
【図3】眼圧に対する実施例3の化合物の効果を示す。
【図4】眼圧に対する実施例6の化合物の効果を示す。
【図5】眼圧に対する実施例5の化合物の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iで示される化合物を高眼圧または緑内障の処置に充分な量で個体の眼に適用することを含んで成る緑内障または高眼圧の処置方法:
【化1】

[式中、
Yは、ケトおよびヒドロキシルから成る群から選択され;
Y1は、ヒドロキシル、ケト、ハロゲンおよびC1-C5アルキルから成る群から選択され;
Zは、NまたはCであり;
Qは、フェニル、ハロゲン置換フェニル、5または6員複素環式基(ここで、ヘテロ原子は窒素、酸素または硫黄である)、
【化2】

(ここで、Wは、直接結合またはC(R11)(R12)である)から成る群から選択され;
点線は、二重結合の存在または不存在を表し;
波線は、直接結合を表し;
QおよびYは、縮合環を形成してもよく、その場合、Yは-C(O)-NR3-であり、Qは-C(Q')-であり、ここで、Q'はR3であるか、または該Cはスピロ原子で、Q'は該Cと一緒になって、3〜6個の炭素原子を有する炭素環または複素環を表し、ここで、ヘテロ原子はN、OまたはSであり;
Rは、H、ハロゲンおよびC1-5アルキルから成る群から選択され;
R1は、Hおよびハロゲンから成る群から選択され;
R2は、H、C1-5アルキル、ハロゲン、XC1-5アルキル、C1-5アルキルOR13、C1-5アルキルN(R13)2、N(R13)2、XC1-5アルキルN(R13)2およびXC1-5アルキルOR13から成る群から選択され;
Xは、OまたはS(O)nであり;
nは、0または1〜2の整数であり;
R3は、H、ヒドロキシル、オキソ、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R4は、H、C1-5アルケニル、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、独立に、H、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびOR13から成る群から選択され;
R13は、H、C1-5アルキルおよびC3-8環式アルキルから成る群から選択されるか、または2個のR13基が、Nと一緒になって、ピペリジンまたはモルホリン環のような環を形成し;但し、R8およびR12が一緒になって環を形成してもよく、R3およびR5が一緒になってOを表してもよく、Qがメンタジエンである場合、R1およびR2はHであり、Yはヒドロキシルであり、RはHまたはアルキルでないものとする]。
【請求項2】
化合物が下記の式I’で示される請求項1に記載の方法:
【化3】

[式中、
Qは、
【化4】

である]。
【請求項3】
化合物が下記の式IIで示される化合物である請求項2に記載の方法:
【化5】

[式中、Qは、
【化6】

から成る群から選択される]。
【請求項4】
Rが、水素、メチル、ブロモおよびエチルから成る群から選択され、R2が、水素、メチルおよびクロロから成る群から選択される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Qが
【化7】

である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
化合物が下記の式IIIで示される化合物である請求項2に記載の方法:
【化8】

【請求項7】
化合物が下記の式IVで示される化合物である請求項2に記載の方法:
【化9】

【請求項8】
Rが、水素、メチル、ブロモおよびクロロから成る群から選択され、R1が、水素、メチルおよびクロロから成る群から選択され、R2が水素であり、R3がメチルであり、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が水素であり、R4がイソプロペニルである請求項3に記載の方法。
【請求項9】
化合物が、5-クロロ-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン、4-ブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン、および5-ヒドロキシ-2-フェニル-2H-ピリダジン-3-オンから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
化合物が、5-クロロ-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン、4-ブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン、5-ヒドロキシ-2-フェニル-2H-ピリダジン-3-オン、N-シクロヘキシル-(2-オキソ)-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリジン、および1-シクロヘキシル-2,4-ジヒドロキシ-5-クロロベンゼンから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物を処置有効量で含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を処置有効量で含有する眼用液剤である請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
眼科学的に許容し得る保存剤、緩衝系、抗酸化剤およびキレート化剤から成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有する請求項12に記載の眼用液剤。
【請求項14】
化合物が下記の式IIで示される請求項13に記載の眼用液剤:
【化10】

【請求項15】
内容物を計量形態でディスペンスするのに適当な容器;および
その中の請求項12に記載の眼用液剤
を含んで成る医薬生成物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物である第1の薬物、並びにβ遮断剤、アドレナリンアゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、コリンアゴニスト、コリンエステラーゼ阻害剤、グルタメートアンタゴニスト、プロスタミドおよびプロスタグランジンから成る群から選択される第2の薬物を含む薬物組み合わせを、高眼圧の処置に充分な量で眼に適用することを含んで成る緑内障または眼圧を処置する方法。
【請求項17】
第2の薬物が、カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール・ヘミ水和物、マレイン酸チモロール、およびベタキソロール、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるβ遮断剤である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の薬物が、ホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、ジピベフリン、アプラクロニジン、およびブリモニジン、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるアドレナリンアゴニストである請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第2の薬物が、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、およびドルゾラミド、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択される炭酸脱水酵素阻害剤である請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第2の薬物が、カルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルピン、ピロカルピン、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるコリンアゴニストである請求項16に記載の方法。
【請求項21】
第2の薬物が、デメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるコリンエステラーゼ阻害剤である請求項16に記載の方法。
【請求項22】
第2の薬物が、メマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デキストロメトルファン、CGS-19755、ジヒドロピリジン類、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン類、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン類、ジフェニルピペラジン類、HOE 166および関連薬物、フルスピリレン、エリプロディル、イフェンプロジル、CP-101,606、チバロシン、2309BT、および840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジンピン、ニモジピン、バルニジピン、ベラパミル、リドフラジン、乳酸フェニラミン、アミロリド、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるグルタメートアンタゴニストである請求項16に記載の方法。
【請求項23】
第2の薬物が、ビマトプロスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグである請求項16に記載の方法。
【請求項24】
第2の薬物が、トラボプロスト、UFO-21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14-ジヒドロ-クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグから成る群から選択されるプロスタグランジンである請求項16に記載の方法。
【請求項25】
下記の式I’で示される化合物から成る緑内障または高眼圧の処置に有用な新規化合物:
【化11】

[式中、
Yは、ケトおよびヒドロキシルから成る群から選択され;
Zは、NまたはCであり;
Qは、
【化12】

(ここで、Wは、直接結合またはC(R11)(R12)である)から成る群から選択され;
点線は、二重結合の存在または不存在を表し;
波線は、直接結合を表し;
Rは、H、ハロゲン、例えばブロモまたはクロロ、およびC1-5アルキルから成る群から選択され;
R1は、H、ハロゲン、例えばブロモまたはクロロから成る群から選択され;
R2は、独立に、H、C1-5アルキル、ハロゲン、XC1-5アルキル、C1-5アルキルOR13、C1-5アルキルN(R13)2、N(R13)2、XC1-5アルキルN(R13)2およびXC1-5アルキルOR13から成る群から選択され;
Xは、OまたはS(O)nであり;
nは、0または1〜2の整数であり;
R3は、H、ヒドロキシル、オキソ、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R4は、H、C1-5アルケニル、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびC1-5アルキルN(R13)2から成る群から選択され;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、独立に、H、C1-5アルキル、C1-5アルキルOR13およびOR13から成る群から選択され;
R13は、H、C1-5アルキルおよびC3-8環式アルキルから成る群から選択されるか、または2個のR13基が、Nと一緒になって、ピペリジンまたはモルホリン環のような環を形成し;但し、R8およびR12が一緒になって環を形成してもよく、R3およびR5が一緒になってOを表してもよく、Qがメンタジエンである場合、R1およびR2はHであり、Yはヒドロキシルであり、RはHまたはアルキルでないものとする]。
【請求項26】
化合物が下記の式IIで示される化合物である請求項25に記載の化合物:
【化13】

[式中、Qは、
【化14】

から成る群から選択される]。
【請求項27】
Rが、水素、メチル、ブロモおよびエチルから成る群から選択され、R2が、水素、メチルおよびクロロから成る群から選択される請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Qが
【化15】

である請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
化合物が下記の式IIIで示される化合物である請求項26に記載の化合物:
【化16】

【請求項30】
化合物が下記の式IVで示される化合物である請求項26に記載の化合物:
【化17】

【請求項31】
Rが、水素、メチル、ブロモおよびクロロから成る群から選択され、R1が、水素、メチルおよびクロロから成る群から選択され、R2が水素であり、R3がメチルであり、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が水素であり、R4がイソプロペニルである請求項26に記載の化合物。
【請求項32】
化合物が、5-クロロ-4-(6-イソプレニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エニル)ベンゼン-1,3-ジオール、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オン、4-ブロモ-2-(2,5-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシピリダジン-3-オンから成る群から選択される請求項26に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−536623(P2009−536623A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507924(P2009−507924)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/067267
【国際公開番号】WO2007/127711
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】