説明

研削盤

【課題】シンプルな構成で経年劣化の早期進行を抑え、安価な手段で、精度よく砥石寸法を検出する。
【解決手段】砥石8を回転させるホイールヘッド23を備える。第1,2移動装置は、ワーク及び砥石8を互いに接近させる第1方向と、該第1方向と交差する第2方向とに相対的に移動させる。ドレッサー4は砥石8外面をドレスする。第1,2移動装置により砥石8を第2方向に移動させ、砥石8外面が接触することにより砥石8の位置を検出するブロック片5を備える。制御装置7は、記憶する砥石8の基準位置と、砥石8外面のブロック片5への接触により検出した砥石8の検出位置とを比較して実際の砥石径を算出し、第1,2移動装置を制御してワークW及び砥石8の相対位置を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレス用のドレッサーを備えた研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的な研削盤は、主に砥石の研削能力の回復を目的として、砥石の外面をダイヤモンドが取り付けられたドレッサーで周期的にドレスするようにしている。
【0003】
ところで、研削盤では、ドレッサーで砥石の外面をドレスすると砥石寸法が変化し、そのまま順次ワークを研削すると、各ワークの形状にばらつきが生じてしまうので、予め制御装置にドレス後の予測砥石寸法がプログラミングされていて、そのデータに基づいてドレス後の砥石の位置を制御して、研削後の各ワークの形状に差が生じないようにしている。
【0004】
しかし、砥石の外面をドレッサーで複数回ドレスするとダイヤモンドも次第に摩耗していき、それに伴ってドレス時の砥石の外面のドレス量が次第に減ってしまう。したがって、制御装置で予測した砥石寸法よりもドレス後の実際の砥石寸法が大きくなってしまい、そのまま砥石でワークを研削すると、当該ワークを予測以上に削り過ぎてしまうことになる。
【0005】
これを回避するために、特許文献1の研削盤には、ドレッサーに取り付けられたダイヤモンドの摩耗量を調べるためのマイクロゲージが設けられていて、該マイクロゲージは、制御装置によって制御されるシリンダの伸縮動作によりダイヤモンドに向かって移動可能となっている。また、上記研削盤は、サーボモータ、ピニオン、入力歯車及び作動ネジからなるドレッサー移動手段を備えていて、制御装置がサーボモータを回転させることにより、ピニオン、入力歯車を介して作動ネジが回転し、該作動ネジの回転によりドレッサーが砥石側に向かって移動するようになっている。そして、上記制御装置がシリンダを制御してマイクロゲージを移動させることにより、当該マイクロゲージを上記ダイヤモンドに接触させてダイヤモンドの磨耗量を測定し、その測定値分だけ移動手段を制御してダイヤモンドを砥石側に接近させてドレス後の砥石寸法がばらつかないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−108027号公報(段落0027〜0031欄、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、一般的に、研削盤では、作業環境上、切粉屑等の所謂コンタミネーションが多量に発生するので、特許文献1のように、マイクロゲージをダイヤモンドに向かって移動させるシリンダや、ダイヤモンドを砥石に向かって移動させる移動手段といった複雑な機構を設けると、上記シリンダや移動手段の駆動部分にコンタミネーションが付着して駆動部の負荷を高めてしまい、ひいては、経年劣化による故障時期が早まる可能性がある。
【0008】
また、ダイヤモンドは摩耗するとはいえ非常に固いものであるので、当該ダイヤモンドの磨耗量を調べるために、マイクロゲージを幾度も接触させると、マイクロゲージ自体の劣化が早くなり、正確な磨耗量が測定できなくなり、ひいては、ドレス後に砥石寸法にばらつきが生じる可能性もある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シンプルな構成で経年劣化の早期進行を抑え、安価な手段で、しかも精度よく砥石寸法が検出できる研削盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、砥石の外面を接触させるか、又は、通過させる基準位置検出手段を設け、該基準位置検出手段に砥石の外面が接触、又は、通過したときの砥石の位置と基準位置とに基づき、砥石寸法を算出するようにしたことを特徴とする。
【0011】
具体的には、ワークを研削する砥石と、該砥石を回転させる回転駆動手段と、上記ワーク及び砥石を互いに接近させる第1方向と該第1方向と交差する第2方向とに相対的に移動させる移動手段と、上記ワーク近傍に設けられ、上記砥石外面をドレスするドレッサーと、上記回転駆動手段及び移動手段に接続され、上記回転駆動手段の回転駆動及び移動手段の移動位置をそれぞれ制御する制御装置とを備えた研削盤を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、第1の発明では、上記移動手段により上記砥石を第1方向及び第2方向の少なくとも一方に移動させ、当該砥石外面が接触するか、又は、通過することにより上記砥石の位置を検出する基準位置検出手段を備え、上記制御装置は、上記基準位置検出手段に対する砥石の基準位置を記憶していて、上記砥石外面の基準位置検出手段への接触、又は、通過により検出した砥石の検出位置が入力されると、上記基準位置と上記検出位置とを比較して実際の砥石寸法を算出し、上記ワーク及び上記砥石の相対位置を補正するように上記移動手段を制御することを特徴とする。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、上記基準位置検出手段は、超硬合金製ブロック片からなり、上記砥石外面が上記ブロック片の側面に接触することにより上記砥石の位置を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
第3の発明では、第1の発明において、上記基準位置検出手段は、光電センサからなり、上記砥石外面が上記光電センサから投光される信号光を通過する過程で遮ることにより上記砥石の位置を検出するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、既存の設備に基準位置検出手段を設けるだけでよく、安価で、しかも、特許文献1の如きシリンダ等の複雑な機構にコンタミネーションが付着して駆動部の負荷を高めてしまうということがなく、経年劣化の早期進行を抑えることができる。また、砥石寸法を検出するのに、特許文献1の如き非常に硬いダイヤモンドにマイクロゲージを接触させなくて済むので、マイクロゲージの劣化による測定のばらつきを懸念する必要がなく、精度よく砥石寸法を検出することができる。
【0016】
第2の発明によれば、砥石をブロック片に接触させるだけで簡単に砥石寸法を検出することができる。
【0017】
第3の発明によれば、砥石寸法を非接触で簡単に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る研削盤の平面図である。
【図2】ドレッサーで砥石の外面をドレスしている状態を示す図1のA部相当図である。
【図3】図2の状態からブロック片に砥石の外面を接触させている状態を示す図である。
【図4】図3のB部拡大図である。
【図5】(a)は本発明の実施形態2の図3対応図であり、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図6】本発明の実施形態3の図3対応図である。
【図7】本発明の実施形態3の図4対応図である。
【図8】本発明の実施形態4の図2対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本実施形態1に係る研削盤1の概略平面図である。該研削盤1は、略矩形板状のベッド10を備えていて、該ベッド10の長手方向(本発明の第1方向Z)の一端側には、ワークWを研削する円柱状砥石8が取り付けられる砥石台2が、上記ベッド10の長手方向の他端側には、上記ワークWを支持する主軸台3が配設されている。
【0020】
上記砥石台2は、上記ベッド10の長手方向に沿って延びる略長方形状をなす砥石台本体21と、回転軸心がベッド10の長手方向に沿うように上記砥石8が上記ベッド10の長手方向他端に回転可能に取り付けられた回転駆動手段としてのホイールヘッド23と、該ホイールヘッド23が上記砥石台2上をベッド10長手方向に移動可能となるように構成された第1移動装置22とを備えている。
【0021】
該第1移動装置22は、上記ホイールヘッド23を載置する砥石テーブル22aと、上記砥石台本体21の長手方向一端に取り付けられた第1サーボモータ22bと、該第1サーボモータ22bに連結された第1作動ネジ22cとを備え、砥石テーブル22aは第1作動ネジ22cにボールネジ機構(図示せず)により移動可能に連結されていて、上記第1サーボモータ22bが回転駆動することにより、上記第1作動ネジ22cが回転して、上記砥石テーブル22aを上記ベッド10長手方向の所定の位置に移動させることが可能となっている。
【0022】
上記主軸台3は、上記ベッド10の幅方向(本発明の第2方向X)に沿って延びる略長方形状をなす主軸台本体31と、上記ベッド10の長手方向一端側に上記ワークWを保持するチャック部32aを有するワーク保持装置32と、該ワーク保持装置32が上記主軸台本体31上をベッド10幅方向に移動可能となるように構成された第2移動装置33とを備えていて、上記ワーク保持装置32には、図示しないモータが内蔵され、上記チャック部32aで保持したワークWを回転させることができるようになっている。
【0023】
上記第2移動装置33は、上記ワーク保持装置32を載置する主軸テーブル33aと、上記主軸台本体31のベッド10幅方向一端に取り付けられた第2サーボモータ33bと、該第2サーボモータ33bに連結された第2作動ネジ33cとを備え、主軸テーブル33aは第2作動ネジ33cにボールネジ機構(図示せず)により移動可能に連結されていて、上記第2サーボモータ33bが回転駆動することにより、上記第2作動ネジ33cが回転して、上記主軸テーブル33aを上記ベッド10幅方向の所定の位置に移動させることが可能となっている。
【0024】
そして、上記第1移動装置22と第2移動装置33とにより、上記ワークW及び砥石8を第1方向Zに互いに相対的に接近させたり、或いは、第2方向Xに互いに相対的に移動させる本発明の移動手段が構成されている。
【0025】
上記主軸テーブル33aのベッド10幅方向一端には、ベッド10長手方向一端側に向かって延びる延出部材34が固定されていて、該延出部材34の延出端寄りで、且つ、上記ワークW近傍には、図2及び図3に示すように、砥石8の外面(外周面)をドレスするドレッサー4と、超硬合金からなる基準位置検出手段としてのブロック片5とがベッド10幅方向他端側に向かって並設されている。
【0026】
上記ドレッサー4は、略碗型状をなす砥石ドレス部41と、該砥石ドレス部41を回転可能に軸支するドレッサー本体42とを備え、該ドレッサー本体42には、図示しないが上記砥石ドレス部41を回転させるサーボモータが内蔵されている。そして、上記砥石ドレス部41の開口側端縁には、図示しない複数のダイヤモンド片が固定されていて、上記砥石ドレス部41を回転させ、且つ、上記砥石ドレス部41の開口側端縁を上記砥石8外面(外周面)に接触させることにより、上記砥石8外面(外周面)をドレスするようになっている。
【0027】
上記ブロック片5は、上記第2移動装置33により上記砥石8を第2方向Xに移動させ、当該砥石8外面(外周面)が上記ブロック片5の側面に接触することにより上記砥石8の位置を検出するように構成されている。
【0028】
上記ホイールヘッド23、第1移動装置22、第2移動装置33及びドレッサー4には、図1に示すように、上記ホイールヘッド23の回転駆動、上記第1移動装置22、第2移動装置33の移動位置及びドレッサー4の回転駆動をそれぞれ制御する制御装置7が接続されている。
【0029】
上記制御装置7は、図4に示すように、上記ドレッサー4によるドレス後の予測砥石径がRの際の上記ブロック片5に対する砥石8の基準位置(軸心位置)S1を記憶していて、上記砥石8外面(外周面)のブロック片5側面への接触により検出した砥石8の検出位置(軸心位置)S2が入力されると、上記基準位置S1と上記検出位置S2とを比較して、その差dから実際の砥石8の径R’を算出し、上記ワークW及び上記砥石8の相対位置を補正するように上記第1移動装置22及び第2移動装置33を制御するようになっている。
【0030】
次に、ドレッサー4によるドレス後の砥石8の位置を補正する方法について説明する。
【0031】
まず、制御装置7は、上記砥石8が回転するように上記ホイールヘッド23を制御するとともに、上記砥石8により上記ワークWが研削されるように、上記第1移動装置22及び上記第2移動装置33を制御して、上記ワークW及び上記砥石8を互いに接近させた後、接触させる。
【0032】
そして、上記砥石8でワークWを研削した後、図2に示すように、制御装置7は、上記ドレッサー4を制御して上記砥石ドレス部41を回転させるとともに所定の周期で上記砥石8を上記ドレッサー4に接触させ、当該砥石8外面(外周面)をドレスする。
【0033】
しかる後、上記制御装置7は、図3に示すように、第1移動装置22を制御してベッド10長手方向一端側に向かって移動させた後、上記第2移動装置33を制御して上記ブロック片5を上記砥石8に向かって移動させ、該ブロック片5の側面を上記砥石8外面(外周面)に接触させる。
【0034】
すると、上記制御装置7は、上記砥石8外面(外周面)のブロック片5の側面への接触により検出した砥石8の検出位置(軸心位置)S2が入力されると、図4に示すように、上記砥石8の基準位置(軸心位置)S1と上記検出位置S2とを比較して実際の砥石径R’を算出する。
【0035】
そして、上記制御装置7は、算出した砥石径R’に基づいて、上記ワークW及び砥石8の相対位置を補正するように上記第1移動装置22及び第2移動装置33を制御する。
【0036】
尚、上記制御装置7に入力される検出位置S2の値は、使用者により手動で入力されてもよいし、検出された値が自動で入力されるようになっていてもよい。
【0037】
以上より、本発明の実施形態1によれば、既存の設備に超硬合金からなるブロック片5を設けるだけでよく、安価で、しかも、特許文献1の如きシリンダ等の複雑な機構にコンタミネーションが付着して駆動部の負荷を高めてしまうということがなく、経年劣化の早期進行を抑えることができる。また、砥石8の砥石径を検出するのに、特許文献1の如き非常に硬いダイヤモンドにマイクロゲージを接触させなくて済むので、マイクロゲージの劣化による測定のばらつきを懸念する必要がなく、精度よく砥石8の砥石径R’を検出することができる。さらに、砥石8をブロック片5に接触させるだけで簡単に砥石8の砥石径R’を検出することができる。
《発明の実施形態2》
図5は、本発明の実施形態2の図3対応図である。この実施形態2では、基準位置検出手段が実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
【0038】
上記延出部材34の延出端寄りで、且つ、上記ワークW近傍には、砥石8外面(外周面)をドレスするドレッサー4と、基準位置検出手段としての光電センサ6とがベッド10幅方向他端側に向かって並設されている。
【0039】
上記光電センサ6は、図5(b)に示すように、信号光Beを下方に投光する投光部6aと上記信号光Beを受光する受光部6bとが上下に並設されていて、上記第2移動装置33により上記砥石8を第2方向Xに移動させ、当該砥石8外面(外周面)が上記信号光Beを通過する過程で遮ることにより上記砥石8の位置を検出するように構成されている。そして、上記光電センサ6は、上記制御装置7に接続されていて、該制御装置7は、上記光電センサ6で検出した砥石8の位置が入力されるようになっている。
【0040】
尚、実施形態2に係るドレッサー4によるドレス後の砥石8の位置を補正する方法は、実施形態1と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0041】
以上より、本発明の実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、砥石8の砥石径R’を非接触で簡単に検出することができる。
《発明の実施形態3》
図6及び図7は、本発明の実施形態3の図3及び図4対応図である。この実施形態3では、ワークWを砥石8外面(先端面)で研削する点と、ドレッサー4の取付位置とが実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
【0042】
上記ドレッサー4は、上記延出部材34の延出端からベッド10長手方向一端側に向かって延出するように取り付けられている。
【0043】
制御装置7は、図7に示すように、上記ドレッサー4によるドレス後の予測砥石長さがLの際の上記砥石8の基準位置(砥石8のホイールヘッド23への取付位置)S1を記憶していて、上記砥石8外面(先端面)のブロック片5側面への接触により検出した砥石8の検出位置(砥石8のホイールヘッド23への取付位置)S2が入力されると、上記基準位置S1と上記検出位置S2とを比較して、その差dから実際の砥石8の長さL’を算出し、上記ワークW及び上記砥石8の相対位置を補正するように上記第1移動装置22及び第2移動装置33を制御するようになっている。
【0044】
次に、ドレッサー4によるドレス後の砥石8の位置を補正する方法について、実施形態1と異なる部分を詳細に説明する。
【0045】
上記砥石8でワークWを研削した後、制御装置7は、上記ドレッサー4を制御して上記砥石ドレス部41を回転させるとともに所定の周期で上記砥石8を上記ドレッサー4に接触させ、当該砥石8外面(先端面)をドレスする。
【0046】
しかる後、上記制御装置7は、第1移動装置22及び第2移動装置33を制御して上記砥石8を上記ブロック片5に向かって移動させ、該ブロック片5側面に上記砥石8外面(先端面)を接触させる。
【0047】
すると、上記制御装置7は、上記砥石8の外面のブロック片5の側面への接触により検出した砥石8の検出位置S2が入力されると、図7に示すように、予め記憶しておいた上記砥石8の基準位置S1と上記検出位置S2とを比較して実際の砥石の長さL’を算出する。
【0048】
そして、上記制御装置7は、算出した砥石の長さL’に基づいて、上記ワークW及び砥石8の相対位置を補正するように上記第1移動装置22及び第2移動装置33を制御する。
【0049】
以上より、本発明の実施形態3によれば、ワークWを砥石8先端面で研削する場合においても、実施形態1と同様の効果が得ることができる。
《発明の実施形態4》
図8は、本発明の実施形態4の図2対応図である。この実施形態4では、ドレッサー4がロータリドレッサーではなく、単石ダイヤモンド43がドレッサー本体42の先端に固定されたドレッサー4を使用している点と、該ドレッサー4が延出部材34に2つ取り付けられている点とが実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
【0050】
ドレッサー4の一つは、上記延出部材34の延出端寄りの位置からベッド10幅方向他端側に向かって突設されていて、上記砥石8を回転駆動させながら当該砥石8外面(外周面)を上記単石ダイヤモンド43に接触させることにより、上記砥石8外面(外周面)がドレスされるようになっている。
【0051】
また、上記ドレッサー4のもう一つは、延出部材34の延出端からベッド10長手方向一端側に向かって延出するように取り付けられていて、上記砥石8を回転駆動させながら当該砥石8外面(先端面)を上記単石ダイヤモンド43に接触させることにより、上記砥石8外面(先端面)がドレスされるようになっている。
【0052】
以上より、本発明の実施形態4によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、実施形態1の如き砥石ドレス部41を回転させない構造なので、安価であり、しかも、1つの研削盤1で砥石8の外周面及び先端面の両方をドレスすることができる。
【0053】
尚、本発明の実施形態1〜3では、砥石8が第1移動装置22によりベッド10の長手方向に移動するように構成される一方、ワークWが第2移動装置33によりベッド10の幅方向に移動するように構成されているが、ワークWが固定されていて、第1移動装置22のみにより砥石8をベッド10長手方向及び幅方向に移動できるような構成にしてもよいし、砥石8が固定されていて、第2移動装置33のみによりワークWをベッド10長手方向及び幅方向に移動できるような構成にしてもよい。
【0054】
また、実施形態1,3では、基準位置検出手段に超鋼合金からなるブロック片を用いたが、リミットスイッチ等の接触センサを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ドレス用のドレッサーを備えた研削盤に適している。
【符号の説明】
【0056】
1 研削盤
4 ドレッサー
5 ブロック片(基準位置検出手段)
6 光電センサ(基準位置検出手段)
7 制御装置
8 砥石
23 ホイールヘッド(回転駆動手段)
22 第1移動装置(移動手段)
32 第2移動装置(移動手段)
S1 基準位置
S2 検出位置
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを研削する砥石と、
該砥石を回転させる回転駆動手段と、
上記ワーク及び砥石を互いに接近させる第1方向と該第1方向と交差する第2方向とに相対的に移動させる移動手段と、
上記ワーク近傍に設けられ、上記砥石外面をドレスするドレッサーと、
上記回転駆動手段及び移動手段に接続され、上記回転駆動手段の回転駆動及び移動手段の移動位置をそれぞれ制御する制御装置とを備えた研削盤であって、
上記移動手段により上記砥石を第1方向及び第2方向の少なくとも一方に移動させ、当該砥石外面が接触するか、又は、通過することにより上記砥石の位置を検出する基準位置検出手段を備え、
上記制御装置は、上記基準位置検出手段に対する砥石の基準位置を記憶していて、上記砥石外面の基準位置検出手段への接触、又は、通過により検出した砥石の検出位置が入力されると、上記基準位置と上記検出位置とを比較して実際の砥石寸法を算出し、上記ワーク及び上記砥石の相対位置を補正するように上記移動手段を制御することを特徴とする研削盤。
【請求項2】
請求項1に記載の研削盤であって、
上記基準位置検出手段は、超硬合金製ブロック片からなり、上記砥石外面が上記ブロック片の側面に接触することにより上記砥石の位置を検出するように構成されていることを特徴とする研削盤。
【請求項3】
請求項1に記載の研削盤であって、
上記基準位置検出手段は、光電センサからなり、上記砥石外面が上記光電センサから投光される信号光を通過する過程で遮ることにより上記砥石の位置を検出するように構成されていることを特徴とする研削盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121090(P2012−121090A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272883(P2010−272883)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】