説明

硬化性組成物、硬化性組成物の製造方法及び使用方法、並びに硬化性組成物を用いた物品

フルオロポリマーと、複数個のビニル基を有するシリコーンと、複数個のSi−H基を有するシリコーンと、ヒドロシリル化触媒を含む硬化性組成物。この硬化性組成物の反応生成物は、剥離ライナー及び接着剤物品のための剥離材料として使用される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
感圧粘着テープ及びその他の感圧接着剤コーティング物品の多くは、製造時又は製造後にその接着剤に剥離ライナーが貼り付けられる。剥離ライナーは、例えば、剥離材料が貼り付けられる単なるポリマー被膜や、コーティングされた紙又はフィルムであってよい。剥離ライナーは様々な目的で使用される。例えば、感圧接着剤層の汚染又は時期尚早な接着の防止、感圧接着剤コーティング物品に対する支持体の提供(例えば、感圧接着剤転写テープの場合)、剥離ライナーの貼り付け対象である物品の特定などが目的として挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
さらに、ロール形態や積み重ね体として供給される多数の感圧接着剤コーティング物品は、低付着性バックサイズ(つまり、感圧接着剤層とは反対側のキャリアフィルムの表面に貼り付けられる剥離材料)を組み込むことによって、上述の汚染や時期尚早な接着などの問題を克服している。
【0003】
剥離ライナーや低付着性バックサイズの選択は、通常、使用された特定の感圧接着剤によって異なる。既知の剥離材料としては、例えば、ポリオレフィン、シリコーン、フッ素重合体などが挙げられる。
【0004】
いずれにせよ、剥離材料は通常、製造、加工、発送及び保管の最中に感圧接着剤層に付着する一方で、使用時には感圧接着剤層から簡単かつスムーズにはがれるように選択される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明が提供する硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【0006】
【化1】

【0007】
式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【0008】
【化2】

【0009】
−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fはCn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【0011】
【化3】

【0012】
ここで、R’は、H、CH3、又はFである。
【0013】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシリコーンはフルオロシリコーンを含む。
【0014】
本発明の別の態様では、本発明に従う硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させる工程を含む組成物の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の更に別の態様では、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む組成物を提供する。
【0016】
本発明に従う硬化性組成物の反応生成物は、通常、剥離材料として有用であり、例えば感圧接着剤物品の製造過程などで使用される。硬化が十分であれば、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物は、通常、良好な耐溶媒性を有しており、場合によっては、他の既知の剥離材料より1桁以上低いレベルで使用することができる。
【0017】
それ故、本発明の別の形態では、本発明は支持材料及び剥離材料を含む剥離ライナーを提供し、剥離材料は、支持材料の少なくとも1つの主表面上に存在し、さらに、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む。
【0018】
一部の実施形態において、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物では、それら(つまり、硬化性組成物の反応生成物)を組み込んだ剥離材料が接着性のポリジオルガノシロキサンポリ尿素ブロックコポリマー感圧接着剤層から分離される際の衝撃が弱くなる。
【0019】
更に別の態様において、本発明が提供する接着剤物品は、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、
第1の主表面の少なくとも一部と接触する第1の感圧接着剤層、及び
第1の接着剤層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第1の剥離ライナーを含み、この第1の剥離ライナーは第1の支持材料及び第1の剥離材料を含み、第1の剥離材料は第1の支持材料の少なくとも1つの主表面に位置し、第1の剥離材料は本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む。
【0020】
1つの実施形態において、第2の感圧接着剤層は、第2の主表面の少なくとも一部と接触し、第2の剥離ライナーは、第2の接着剤層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着し、この第2の剥離ライナーは第2の支持材料及び第2の剥離材料を含み、第2の剥離材料は第2の支持材料の少なくとも1つの主表面に位置し、第2の剥離材料は本発明に従う第2の硬化性組成物の反応生成物を含む。
【0021】
更に別の態様において、本発明が提供する接着剤物品は、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、
第1の主表面の少なくとも一部と接触する感圧層、及び
第2の主表面に固着する低付着性バックサイズを含み、この低付着性バックサイズは、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む。
【0022】
更に別の態様において、本発明が提供する接着剤物品は、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、
第1の主表面の少なくとも一部に固着する第1の剥離材料層、
第2の主表面の少なくとも一部に固着する第2の剥離材料層、
第1の剥離材料層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第1の感圧接着剤層、
第2の剥離材料層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第2の感圧接着剤層、
第1の感圧層の少なくとも一部に固着する第1の基材、
第2の感圧層の少なくとも一部に固着する第2の基材を含み、
第1の剥離材料層及び第2の剥離材料層の少なくとも一方は、硬化性組成物の反応生成物を含み、この硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される第2の多官能性(メタ)アクリレート及び第2のモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【0023】
【化4】

【0024】
式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【0025】
【化5】

【0026】
−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H、又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fはCn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語
「フルオロシリコーン」とは、フッ素原子を少なくともいくつか含むシリコーンを指し、
「ヒドロカルビレン」とは、炭化水素から2個の水素原子を取り除くことにより形成される二価基であって、そこに含まれる遊離価が二重結合されないものを指し、
「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタアクリルを含み、
「多官能性(メタ)アクリレート」とは、1つ以上の(メタ)アクリレート基を有することを意味し、さらに
分子式において、「Me」はメチル、「Et」はエチルを指し、「Ph」は、一価又は二価のいずれの状態で使用されるかにより、フェニル又は1,4−フェニレンを指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に従う硬化性組成物は、以下に述べるフルオロポリマー、複数個のビニル基を有するシリコーン、複数個のSi−H基を有するシリコーン、及びヒドロシリル化触媒を含む。
【0029】
フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物を含む。
【0030】
【化6】

【0031】
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものである。例えば、nは1、2、3、4、又は5であってよい。
【0032】
Xは、
【0033】
【化7】

【0034】
−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル)であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fはCn2n+1であって、
nは先に定義したものであり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものである。
【0035】
Aは、例えばメチレン、エチレン、フェニレン、又は
【0036】
【化8】

【0037】
などのヒドロカルビレン基を表す。
【0038】
いくつかの実施形態において、ヒドロカルビレン基が18個未満、16個未満、12個未満、又は更には7個未満の炭素原子を有していてもよい。ヒドロカルビレン基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、さらに、1つ以上の環を含んでもよい。
【0039】
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
R’は、H、CH3、又はFである。
【0040】
いくつかの実施形態において、nは4、pは2、Aは
【0041】
【化9】

【0042】
であり、Xは
【0043】
【化10】

【0044】
である。
【0045】
そのような場合、フルオロアクリレートモノマーは次の式で表される。
【0046】
【化11】

【0047】
ここで、R’は先に定義したものである。R’がHの場合、このモノマーは一般にMeFBSE−MDI−HEAと呼ばれる(以下「C4MH」という)。
【0048】
フルオロアクリレートモノマーの作成方法は周知である。フルオロアクリレートモノマーは、例えば、まず、対応するフッ素性化学物質アルコールと溶媒中のジイソシアネートとを化合させ、次いで、例えば米国特許出願公開第2005/0143541A1号(カルドウエル(Caldwell)ら)に記載されたヒドロキシ終端アルキル(メタ)アクリレートを追加することにより作成してもよい。有用な溶媒としては、エステル類(例えば、エチルアセテート)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン)、エーテル類(例えば、メチル−t−ブチルエーテル)、及び芳香族溶媒(例えば、トルエン)が挙げられる。通常、それらの場合には、可能性のある反応生成物の数を削減するために対称イソシアネートを使用することが好ましい。
【0049】
有用な多官能性(メタ)アクリレート類は、少なくとも2個のラジカル重合性(メタ)アクリル基を有する。有用な多官能性(メタ)アクリレート類としては、(メタ)アクリレートモノマー類、(メタ)アクリレートオリゴマー類、(メタ)アクリル化されたポリマー類などが挙げられるが、これらは、例えば、米国ペンシルバニア州エクストン(Exton)のサートマー社(Sartomer Company)や、米国ジョージア州スマーナ(Smyrna)のUCBラドキュア社(UCB Radcure)などから市販されている。代表的な(メタ)アクリレートモノマー類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート類(例えば、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(6)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(8)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類(例えば、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコール(700)ジ(メタ)アクリレート)、ポリプロピレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化(12)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(3)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化(5)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
代表的な有用な(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、(メタ)アクリル化エポキシオリゴマー類(例えば、ビスフェノール−A系エポキシアクリレートオリゴマー類(例えば、UCBラドキュア社から「EBECRYL 3500」、「EBECRYL 3600」、「EBECRYL 3720」、及び「EBECRYL 3700」の商業表記で市販されているものなど)、脂肪酸ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー類(例えば、UCBラドキュア社製の商業表記「EBECRYL 8402」)、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー類、及び(メタ)アクリル化ポリエステル類(例えば、UCBラドキュア社製の商業表記「EBECRYL 870」)が挙げられる。更なる有用な多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、例えば、ポリエチレングリコール200ジアクリレート(例えば、サートマー社製の商業表記「SR259」)、ポリエチレングリコール400ジアクリレート(例えば、サートマー社製の商業表記「SR344」)、及びこれらの組み合わせなどの、ポリエーテルオリゴマー類が挙げられる。
【0051】
1つ以上の1官能性ラジカル重合性モノマー類は、フルオロポリマーを構成するために、MeFBSE−MDI−HEA及び少なくとも1個の多官能性(メタ)アクリレートを用いてコポリマー化されてもよい。代表的な1官能性ラジカル重合性モノマー類としては、1官能性(メタ)アクリレート類(例えば、2−アクリル酸−2−((ブチルアミノ)カルボニル)オキシエチルエステル、カプロラクトン(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシル化ノニル(メタ)アクリレート、アルコキシル化ラウリル(メタ)アクリレート、アルコキシル化フェノール(メタ)アクリレート、アルコキシル化環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシル化(10)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシル化ノニルフェエノール(メタ)アクリレート(例えば、エトキシル化(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート)、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(2)アリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタアクリレート)、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、又はジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリルアミド類(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなど)、N−ビニルラクタム類(例えば、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタムなど)、(メタ)アクリロニトリル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
フルオロポリマーの作成に使用される構成成分は、少なくとも1つの連鎖移動剤をさらに含んでもよい。連鎖移動剤を含む場合、通常は、構成成分の0.1〜5重量パーセントの範囲内の量の連鎖移動剤を使用するが、この範囲外の量の連鎖移動剤を使用してもよい。適した連鎖移動剤としては、通常、ヒドロキシル、アミノ、又はメルカプト基のうちの少なくとも1つが挙げられるが、例えば、ハロゲン化連鎖移動剤(例えば、四臭化炭素、ブロモトリクロロメタン、又はヘキサブロモエタン)や芳香族(例えばクメン)、これらの混合物などの、他の連鎖移動剤も使用してよい。連鎖移動剤は、そのようなヒドロキシル、アミノ、又はメルカプト基を2つ以上含んでもよい。代表的な有用な連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−エチルアミン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン又はメルカプト官能化ポリシロキサン(3−(トリメトキシシリル)プロピルメルカプタンなど)の中から選択されるものが挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは酸性基(例えば、−SO3H、−PO3H、−CO2H)を本質的に含まない。
【0054】
本発明に従う硬化性組成物は、複数個のビニル基を有するシリコーンを少なくとも1つ含む。複数個のビニル基を有する有用なシリコーンの実施例としては、式H2C=CHSiMe2O(SiMe2O)nSiMe2CH=CH2(CAS68083−19−2)を有するビニル末端ポリジメチルシロキサン、式H2C=CHSiMe2O(SiMe2O)n(SiPh2O)nSiMe2CH=CH2(CAS:68951−96−2)を有するビニル末端ジメチルシロキサン‐ジフェニルシロキサンコポリマー、式H2C=CHSiMePhO(SiMePhO)nSiMePhCH=CH2(CAS:225927−21−9)を有するビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル−フェニル−メチル末端ビニルフェニルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー(CAS:8027−82−1)、式H2C=CHSiMePhO(SiMe2O)n(SiMeCH2CH2CF3O)mSiMePhCH=CH2(CAS:68951−98−4)を有するビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン‐ジメチルシロキサンコポリマーコポリマー、式H2C=CHSiMe2O(SiMe2O)n(SiEt2O)nSiMe2CH=CH2を有するビニル末端ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサンコポリマー、式Me3SiO(SiMe2O)n(SiMe(CH=CH2)O)mSiMe3(CAS:67762−94−1)を有するトリメチルシロキシ末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、式H2C=CH(SiMe2O)n(SiMeCH=CH2O)mSiMe2CH=CH2(CAS:68063−18−1)を有するビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、式Me3SiO(SiMe(CH=CH2)O)nSiMe3を有するビニルメチルシロキサンホモポリマー(環状及び線状)、及び、式MeSi[O(SiMe2O)mSiMe2CH=CH23を有するビニルT構造ポリマーが挙げられる。これらはすべて市販されており、例えば、米国ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville)のゲレスト社(Gelest, Inc.)や、米国ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)などのベンダーから入手できる。複数個のビニル基を有するさらなる有用なシリコーンとしては、ビニル末端フルオロシリコーンが挙げられ、ダウ・コーニング社から商業表記「SYL−OFFQ2−7785」として市販されている。
【0055】
本発明に従う硬化性組成物は、複数個のSi−H基を有するシリコーン(当該技術分野において一般に「架橋剤」という)も少なくとも1つ含む。シリコーンを含有する有用なSi−H基としては、式HMe2SiO(SiMe2O)nSiMe2H(CAS70900−21−9)を有する水素化末端ポリジメチルシロキサン、式HMe2SiO(SiMe2O)n(SiMeHO)nSiMe2H(CAS69013−23−6)を有する水素化末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、式Me3SiO(SiMeHO)nSiMe3(CAS63148−57−2)を有するトリメチルシロキサン末端ポリエチルヒドロシロキサン、式Me3SiO(SiMe2O)n(SiMeHO)nSiMe3(CAS68037−59−2)を有するトリメチルシロキサン末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、式Et3SiO(SiEtHO)nSiEt3(CAS24979−95−1)を有するトリメチルシロキサン末端ポリエチルヒドロシロキサン、式HSiMe2O(SiPh(OSiMe2H)O)nSiMe2Hを有する水素化末端ポリ(フェニル−ジメチルヒドロシロキシシロキサン)が挙げられる。これらはすべて市販されており、例えば、ゲレスト社(Gelest)やダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から入手できる。
【0056】
いくつかの実施形態において、複数個のビニル基を有するシリコーン又は複数個のSi−H基を有するシリコーンの少なくとも1つは、少なくとも部分的にフッ素化されていてもよい(つまり、フルオロシリコーンであってよい)。複数個のビニル基を有するフッ素化シリコーンの調合及び架橋の詳細については、例えば、米国特許第4,980,440号(ケンドジオロスキー(Kendziorski)ら)、米国特許第4,980,443号(ケンドジオロスキー(Kendziorski)ら)、米国特許第5,356,719号(ハマダ(Hamada)ら)に見ることが出来る。市販されているこれらのタイプのフルオロシリコーンであって、ヒドロシリル化反応に関与しやすいものとしては、ゲレスト社製のビニル末端(35−45%トリフルオロプロピルメチルシロキサン)−ジメチルシロキサンコポリマーと、ダウ・コーニング社製の商業表記「SYL−OFFQ2−7560CROSSLINKER」を有する100%活性固体フルオロ官能性シリコーン架橋剤が挙げられる。
【0057】
複数個のビニル基を有するシリコーンと、複数個のSi−H基を有するシリコーンは、ヒドロシリル化により反応を示す。それ故、硬化を促進するため、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒(光触媒を含む)が本発明に従う硬化性組成物に含まれる。有用なヒドロシリル化触媒としては、熱触媒類(例えば、白金触媒類)が挙げられ、シリコーン結合水素基とシリコーン結合エチレン基との間のヒドロシリル化反応に触媒作用を及ぼす上で効果的である。熱的ヒドロシリル化触媒に関する更に詳細な説明は、例えば、米国特許第2,823,218号(スピア(Speier)ら)、米国特許第2,970,150号(ベーリー(Bailey))、米国特許第3,159,601号及び米国特許第3,159,662号(いずれもアシュビー(Ashby))、米国特許第3,220,972号(ラモレクス(Lamoreaux))、米国特許第3,516,946号(モディック(Modic))、米国特許第3,814,730号(カールステッド(Karstedt))、米国特許第4,029,629号(ジャーム(Jeram))、米国特許第4,533,575号及び米国特許第4,504,645号(メランコン(Melancon))、米国特許第5,741,552号(タカヤマ(Takayama))に見ることが出来る。
【0058】
光活性化されたヒドロシリル化触媒(つまり、光触媒)も使用してよい。ヒドロシリル化光触媒類及びそれらの使用方法(例えば、光硬化条件)については、例えば、米国 特許第4,510,094号及び特許第4,530,879号(ドラナック(Drahnak))、米国特許第5,145,886号(オクスマネット(Oxmanet)ら)に見ることが出来る。
【0059】
ヒドロシリル化触媒類と光触媒及び/又は硬化方法の組み合わせもまた使用してよい。
【0060】
触媒は、通常、ヒドロシリル化反応に触媒作用を及ぼすために効果的な量が存在する。更に一般的には、触媒は、ビニル基を有するシリコーンの100万分の1又はそれ以下の反応に足りる量で存在する。その一方、ビニル基を有するシリコーンの1000分の1〜1000分の10又はそれ以上の反応に足りる量の触媒も使用されてよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、フルオロポリマー対シリコーン構成成分の重量比は、1:2から2:1まで、5:1まで、さらには10:1までの範囲のいずれかであるが、他も包含し得、ここで挙げた範囲以外の重量比も使用してよい。
【0062】
通常、本発明に従う硬化性組成物は、型通りの混合工程で作成してよい。しかしながら、一般には、最後に触媒を加えることが好ましい。これは、耐用期間の限界まで硬化性組成物のるつぼを使用できるようにするためである。本発明に従う硬化性組成物は、一般に良好な剥離特性を有する組成物を作成するために、少なくとも一部が硬化されてもよいが、これは必須の要件ではない。そのような組成物は、その剥離特性により、例えば剥離ライナー及び接着剤物品の製造において有用なものとなる。
【0063】
代表的な剥離ライナーを図1に示す。ここで図1を参照すると、剥離ライナー100は主表面120を備えた支持材料110を有する。剥離材料130は、主表面120の少なくとも一部に固着する。剥離材料130は、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む。
【0064】
適した支持材料としては、例えば、プラスチックフィルム類(例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリエチレンフィルム)及び紙類(例えば、クラフト紙)が挙げられる。支持材料は、通常、0.002インチ(0.05mm)〜0.005インチ(0.12mm)の範囲の厚さを有するが、この範囲外の厚さも使用してよい。通常、支持材料は平滑であるが、用途に応じて非平滑な支持材料が有用な場合もある。
【0065】
剥離材料130は、例えば、バーコート法、スプレー法、ロールコート法、ナイフコート法、ディップコート法などのいずれの適した方法で、支持材料110に張り付けられてもよい。
【0066】
本発明に従う硬化性組成物は、例えば、接着剤物品の構成にも有用である。
【0067】
代表的な接着剤物品を図2に示す。ここで図2を参照すると、接着剤物品200は、対向する第1及び第2の主表面210、211を有する基材205を含む。第1の感圧接着剤層220は、第1の主表面210の少なくとも一部に接着固着される。第1の剥離ライナー230は、第1の感圧接着剤層220の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着される。第1の剥離ライナー230は、第1の支持材料240と、第1の剥離材料層245を含み、この第1の剥離材料層245は、接着剤層220と接触する。第1の剥離材料245は、本発明に従う第1の硬化性組成物の反応生成物を含む。任意の第2の感圧接着剤層221は、第2の主表面211の少なくとも一部と接触し、更に、任意の第2の剥離ライナー231は、第2の感圧接着剤層221の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着される。任意の第2の剥離ライナー231は、第2の支持材料241を含み、更に、第2の支持材料241の少なくとも1つの主表面上に第2の剥離材料層246を有する。第2の剥離材料246は、本発明に従う第2の硬化性組成物の反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の硬化性組成物は同一のものであるが、その他の実施形態では異なっている。
【0068】
適した基材としては、例えば、プラスチックフィルム類(例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリエチレンフィルム)、紙、及び金属フォイル類が挙げられるが、固体材料であればいかなるものを使用してもよい。
【0069】
第1及び第2の感圧接着剤は、例えば、ホットメルトPSA類、アクリルPSA類、ウレタンPSA類、シリコーンPSA類などの、あらゆる感圧接着剤(PSA)を含んでよい。いくつかの実施形態において、感圧接着剤は、例えば、米国特許第6,569,521号(シェリダン(Sheridan)ら)、米国特許第5,461,134号(リア(Leir)ら)、米国特許第5,512,650号(リア(Leir)ら)、米国特許第5,792,554号(リア(Leir)ら)、米国特許第6,407,195号(シャーマン(Sherman)ら)、米国特許6,730,397第号(メランコン(Melancon)ら)に記載されているように、粘着性のポリジオルガノシロキサンポリ尿素ブロックコポリマーを含んでよい。
【0070】
別の実施形態において、接着剤物品は、図3に示すようなロールを含んでもよい。ここで図3を参照すると、接着剤物品300は、対向する第1及び第2の主表面310、311を有する基材305を含む。感圧接着剤層320は、第1の主表面310の少なくとも一部に接着固着される。低付着性バックサイズ層330は、第2の主表面311の少なくとも一部に固着され、本発明に従う硬化性組成物の反応生成物を含む。図3に示すロール形態において、感圧接着剤層320は、剥離可能な状態でバックサイズ330に固着される。本発明に従う接着剤物品は、ロール形態以外の他の形態に製造されてもよい(例えば、接着シートの積み重ね体など)。
【0071】
別の実施形態において、接着剤物品は、図4に示すように剥離ライナーを両面に含んでもよい。ここで図4を参照すると、接着剤物品400は、対向する第1及び第2の主表面410、411を有する第1の基材405を含む。第1の剥離材料層420は、第1の主表面410の少なくとも一部に固着される。第2の剥離材料層421は、第2の主表面411の少なくとも一部に固着される。第1の接着部材430は、第1の感圧接着剤層445に固着される第2の基材440を含む。第1の感圧接着剤層445は、第1の剥離材料420に剥離可能な状態で固着される。第2の接着部材431は、第2の感圧接着剤層446に固着される第3の基材441を含む。第2の感圧接着剤層446は、第2の剥離材料421に剥離可能な状態で固着される。
【0072】
図3及び図4の基材、感圧接着剤、及び剥離材料には、一般に図1及び図2に関する説明と同様の説明があてはまる。
【0073】
第1及び第2の感圧接着剤層及び/又はそれらに付随する第1及び第2の剥離材料層は、それぞれ、同一又は異なるものであってよいが、通常は、異なるレベルの剥離力が印加されたときに各感圧接着剤がそれぞれに付随する剥離材料からはがれるように選択される。
【0074】
本発明の目的および利点を以下の非限定的な実施例により更に例示するが、これらの実施例の中で挙げた特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0075】
別に記載されない限り、実施例中及び本明細書の他所における全ての部、パーセント、比率などは重量基準であり、並びに実施例で使用された全ての試薬は、一般的な化学品供給元から、例えばミズーリ州セントルイス(Saint Louis)のシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)から入手又は入手可能であり、或いは、従来方法により合成することができる。
【0076】
試験方法
剥離試験
剥離試験のためのサンプルを作成した。サンプルの作成にあたっては、裏材/接着剤/ライナーの3層ラミネートを17.8cm×33cmの鋼パネルに取り付けた。この取り付けには、二重コーティングされた接着剤テープ(スリーエム社(3M Company)から商業表記「410B」として市販されている)を使用し、2.3kgのゴム製ローラーを使用してライナーの非剥離面を介して取り付けた。次いで、裏材/接着剤をライナーから、角度180°、速度2.3m/分(90インチ/分)で剥離させた。すべての試験は、一定温度(70℃)かつ一定湿度(50%RH)の設備内で実施された。衝撃性剥離の場合は、衝撃度のレベルを示すために、剥離値の最小値、最大値、平均値がすべて報告され、この報告には剥離の説明も含められた。再接着値を決定するために、剥離された接着ストリップを、清潔なガラスプレートの表面に、2.3kgのゴム製ローラーを使用して張り付けた。再接着値は、テープをガラス表面から180°の角度に2.3m/分(90インチ/分)の速度で引っ張るために必要とされる力の測定値であった。すべての実施例において、米国マサチューセッツ州アコード(Accord)のIMASS社から入手したIMassモデルSP2000剥離試験装置を使用した。測定値は、g/インチで取得したものをN/dmに変換した。
【0077】
磨耗試験
指でフィルムを15回ほど擦り、剥離コーティングの損失評価を行った。損失の判断は、目視観測(スリーエム社製の商業表記「SCOTCH MAGIC TAPE」を有する透明テープを使用した剥離力の変化)、又は、米国イリノイ州ベルウッド(Bellwood)のサンフォード社(Sanford Corp.)から商業表記「SHARPIE PERMANENT MARKER」で市販されている黒色マーカーの湿潤特性により行った。
【0078】
動的接触角測定
コーティング溶液(通常は重量で約5パーセント固形分)を作成した。ナイロン−6,6フィルム(米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール社(E. I. du Pont de Nemours & Co.)製)に以下のような事前処理を施した。
【0079】
フィルムを切断して85mm×13mmの長方形状のストリップを作成した。ストリップの表面に触れないように注意しながら、各ストリップをメチルアルコールに浸して汚れを除去し、ティッシュペーパー(米国ジョージア州ボズウェル(Boswell)のキンバリー・クラーク社(Kimberly Clark Corp.)から商業表記「キムワイプ(KIMWIPE)」で市販されている)で拭いた後、15分間放置して乾燥させた。次いで、小型バインダクリップでストリップの片方の端部を留め、用意したコーティング溶液にストリップを浸した後、ゆっくりとなめらかにストリップを溶液から引き上げた。コーティングされたフィルムストリップを傾け、流れ落ちる溶液がストリップの角に溜まるようにした。そして、角に溜まった溶液はティッシュペーパー(「キムワイプ(KIMWIPE)」)で取り除いた。コーティングされたフィルムストリップについては、保護された場所で最低10分間風乾させた後、150℃で2分間硬化させた。
【0080】
コーティングされたフィルムにおける接触角の増減を測定した。この測定には、CAHN動的接触角分析器(モデルDCA322)(制御用及びデータ処理用のコンピュータを装備したWilhelmy式バランス装置、米国ウィスコンシン州マディソン(Madison)のエー・ティー・アイ社(ATI)製)を使用した。プローブ液として、水とヘキサデカンを使用した。水及びヘキサデカンの両方の値を、この器具の標準プロトコルを用いて測定した。
【0081】
マーカー耐久性試験
マーカー耐久性試験には、油性黒色マーカー(米国イリノイ州ベルウッド(Bellwood)のサンフォード社(Sanford Corp.)製の商業表記「SHARPIE PERMANENT MARKER」をマーカー1、及び「KING SIZE PERMANENT MARKER」をマーカー2とする)を使用した。マーカー2のチップをカミソリの刃を用いて、広いマーキング幅が得られるような角度に切断した。試験試料の上に、定規を用い約0.15m/秒(6インチ/秒)の速度で、そのマーキングで直線を描いた。次いでそのマーキングした試料を、1が最も薄く、5が最も濃い1〜5の評価標準の横に置いた。この手順を3回繰り返し、三回の試験の平均を報告した。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
フッ素化ポリマー溶液の作成
コポリマー−1、C4MH/PEGDA/MS(90/10/2、CP−1):
ガラス瓶の中に、45.0gのC4MH(62.2mmol)、5.0gのPEGDA、0.50gのMS、151.5gのEtOAc及び1.25gの重合開始剤(2.47重量%)を入れた。この溶液を1分間窒素パージした後、瓶を密封して70℃の油浴に漬け、24時間撹拌した。出来上がった透明なポリマー溶液(固形分20%)を、5/95DMF/EtOAc溶媒混合物で3〜5重量%まで希釈した。溶液のクロマトグラフ分析は、転換が95.4%、Mn〜7270、Mw〜56500、及びMw/Mn=7.8であることを示した。
【0086】
コポリマー−2、C4MH/HDDA/MS(90/10/2、CP−2):
ガラス瓶の中に、EtOAcに溶解したC4MHの37.5重量%溶液24g(C4MH9.0g、12.45mmol)、HDDA1.03g、(4.56mmol)、MS0.2g、追加のEtOAc26.8g、及び重合開始剤0.15gを入れた。この溶液を2分間窒素パージした後、瓶を密封して70℃の油浴に漬け、24時間撹拌した。出来上がった透明なポリマー溶液を、5/95DMF/EtOAc溶媒混合物で3〜5重量%まで希釈した。
【0087】
コポリマー−3、C4HD/PEGDA/MS(90/10/2、CP−3):
ガラス瓶の中に、C4HD9.0g(11.95mmol)、PEGDA1.0g(1.43mmol)、MS0.2g、EtOAc40g、及び重合開始剤0.15gを入れた。この溶液を2分間窒素パージした後、瓶を密封して70℃の油浴に漬け、24時間撹拌した。出来上がった透明なポリマー溶液を、5/95DMF/EtOAc溶媒混合物で3〜5重量%まで希釈した。
【0088】
コポリマー−4、C4HDD/PEGDA/MS(90/10/2、CP−4):
ガラス瓶の中に、C4HDD9.0g(11.52mmol)、PEGDA1.0g(1.43mmol)、MS0.2g、EtOAc40g、及び重合開始剤0.15gを入れた。この溶液を2分間窒素パージした後、瓶を密封して70℃の油浴に漬け、24時間撹拌した。出来上がった透明なポリマー溶液を、5/95DMF/EtOAc溶媒混合物で固形分3〜5%まで希釈した。
【0089】
コポリマー−5、C4MH/PEGDA/AA(90/10/4、CP−5):
ガラス瓶の中に、C4MH9.0g(12.44mmol)、PEGDA1.0g(1.43mmol)、AA0.4g(0.56mmol)、EtOAc40g、及び重合開始剤0.149gを入れた。この溶液を2分間窒素パージした後、瓶を密封して70℃の油浴に漬け、24時間撹拌した。出来上がった透明なポリマー溶液を、5/95DMF/EtOAc溶媒混合物で固形分3〜5%まで希釈した。
【0090】
架橋混合用のシリコーン溶液
SC−1:ヘプタンに溶解した重量比25/0.8のシリコーン−1と架橋−1の5%溶液。
【0091】
SC−2:ヘプタンに溶解した重量比25/0.8のシリコーン−2と架橋−1の5%溶液。
【0092】
SC−3:白金触媒を使用し、シリコーン−2を0.5と架橋−1を0.5の割合で溶解した溶液。
【0093】
SC−4:ヘキサンに溶解した重量比5%の溶液として、シリコーン−1/架橋−3の混合物(100/2重量%)を作成した。
【0094】
SC−5:ヘキサンに溶解した5重量%の溶液として、シリコーン−3/架橋−1/白金触媒の混合物(100/3/0.2重量%)を作成した。
【0095】
混合が剥離特性に及ぼす影響
比較例C1
CP−1溶液(MEKで固形分0.2重量%まで希釈)でPETフィルム−1をコーティングして剥離フィルムを作成した。このコーティングには、メイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、コーティングされたフィルムは、次に150℃で2分間乾燥させた。この剥離フィルム上に接着剤1を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされた剥離フィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/剥離フィルムシステムをPETフィルム−3に張り付けた。これによりできた積層体を、次に、剥離試験にかけた。結果を表1に示す。
【0096】
(実施例1)
白金触媒を使用して、CP−1を5、SC−3を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分0.5%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。この剥離フィルム上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされた剥離フィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/剥離フィルムシステムをPETフィルム−3に張り付けた。これによりできた積層体を、次に、剥離試験にかけた。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例2)
CP−1を5、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分0.2重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。この剥離フィルム上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされた剥離フィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/剥離フィルムシステムをPETフィルム−3に張り付けた。これによりできた積層体を、次に、剥離試験にかけた。結果を(下記の)表1に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
エージング後にフッ素化コポリマーが性能に及ぼす影響
比較例C2
SC−2溶液(MEK中の固形分25重量%)でPETフィルム−1をコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングには、メイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、コーティングされたフィルムは、次に150℃で10分間乾燥させた。この剥離フィルム上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされた剥離フィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/剥離フィルムシステムをPETフィルム−3に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間、70℃で7日間、更に70℃で14日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。その結果を表2に記す。
【0100】
(実施例3)
実施例2で作成した剥離フィルムは、PETフィルム−1/接着剤1/剥離フィルムの積層体を作成するために、実施例2の方法に従って使用される。積層体の試料は、22℃で1日間、70℃で7日間、更に70℃で14日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。その結果を表2に記す。
【0101】
(実施例4)
CP−1を1、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分1.0重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。この剥離フィルム上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされた剥離フィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/剥離フィルムシステムをPETフィルム−3に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間、70℃で7日間、更に70℃で14日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。その結果を表2に記す。
【0102】
(実施例5)
CP−5を5、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分4.0重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。PETフィルム−3上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされたフィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/フィルムシステムを剥離フィルムに張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間、70℃で7日間、更に70℃で14日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表2(以下)に報告する。
【0103】
【表5】

【0104】
異なる接着剤とフッ素重合体の剥離性能
(実施例6)
実施例2に従って作成した剥離フィルムを、2.3kgのゴム製ローラーを使用して、テープ1に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3に報告する。
【0105】
(実施例7)
実施例2に従って作成した剥離フィルムを、2.3kgのゴム製ローラーを使用して、テープ1に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3に報告する。
【0106】
(実施例8)
CP−2を6、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分1.8重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。その後、この剥離フィルムをテープ1に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3に報告する。
【0107】
(実施例9)
CP−2を6、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分1.8重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。PETフィルム−3上に接着剤を塗布して接着剤1を湿式成形した。接着剤の塗布には、幅15cm(6インチ)、ウェットギャップ356マイクロメートル(14mil)のノッチバーコーターを使用した。この接着剤コーティングされたフィルムをファイバーボード枠に取り付け、70℃で10分間乾燥させた。その後、この接着剤/フィルムシステムを剥離フィルムに張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3に報告する。
【0108】
(実施例10)
CP−3を9、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分5重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。その後、この剥離フィルムをテープ1に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3に報告する。
【0109】
(実施例11)
CP−3を9、SC−1を1の割合でブレンドした混合溶液(MEK中の固形分5重量%)をPETフィルム−1にコーティングして剥離フィルムを作成した。コーティングにはメイヤー(Mayer)ロッド(No.6)を使用し、次いで、コーティングされたフィルムを150℃で10分間乾燥させた。その後、この剥離フィルムをテープ1に張り付けた。積層体の試料は、22℃で1日間のエージングを実施した。この積層体試料を、次に、剥離試験にかけた。結果を表3(以下)に報告する。
【0110】
【表6】

【0111】
摩擦試験に基づく耐久性の研究
比較例C3
比較例C1に基づいて剥離フィルムを作成した。上述のように摩擦試験を実施した際、剥離材料が大量に剥がれたことが検出された。
【0112】
(実施例12)
実施例2に基づいて剥離フィルムを作成した。上述のように摩擦試験を実施した際、指による摩擦では剥離材料がまったく剥がれなかったことが検出された。
【0113】
混合が忌避剤及びマーカー耐久性試験に及ぼす影響
実施例13〜33及び比較例C4〜C6
実施例13〜33では、溶液1〜7を使用した。表4に示された量に従って溶液の混合物を作成した。この混合物でPETフィルム−2をコーティングした。コーティングにはメイヤーロッド(No.6)を使用した。次いで、コーティングを室温で2分間乾燥させた後、150℃のオーブンで2分間硬化させた。コーティングされたフィルムについて、冷めてから、接触角データの測定を行った。測定は上述の試験方法を使用して実施し、この測定結果を表4(以下)に示す。
【0114】
【表7−1】

【0115】
【表7−2】

【0116】
実施例34〜41及び比較例C7〜C8
実施例34〜41について、表5に示された溶液混合物でPETフィルム−2をコーティングした。コーティングには、メイヤーロッド(No.6)を使用した。室温で2分間乾燥させた後、コーティングされたフィルムは150℃のオーブンで5分間硬化させた。コーティングされたフィルムについて、室温まで冷めてから、マーカー試験データの収集を行った。収集は上述の試験方法を使用して実施し、この収集結果を表5(以下)に示す。
【0117】
【表8】

【0118】
本発明の種々の修正および変更を本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者によって行ってもよい。本発明は本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の1つの実施形態による代表的な剥離材料の側面図。
【図2】本発明の1つの実施形態による代表的な接着剤物品の側面図。
【図3】本発明の1つの実施形態によるロール形態の代表的な接着剤物品の斜視図。
【図4】本発明の1つの実施形態による代表的な接着剤物品の側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化1】

式中、nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化2】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項2】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化3】

式中、R’は、H、CH3、又はFである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの前記シリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
フルオロポリマー対シリコーンの重量比は、1:2〜5:1の範囲であるが、他も包含し得る、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
組成物の製造方法であって、硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させる工程を含み、前記硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化4】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化5】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項8】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化6】

式中、R’は、H、CH3、又はFである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記シリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
硬化性組成物の反応生成物を含む組成物であって、前記硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化7】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化8】

−OCq2q-、又は-Cq2q-であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項12】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化9】

式中、
R’は、H、CH3、又はFである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
フルオロポリマー対シリコーンの重量比は、1:2〜5:1の範囲であるが、他も包含し得る、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
支持材料と剥離材料を含む剥離ライナーであって、前記剥離材料は前記支持材料の少なくとも1つの主表面に存在し、前記剥離材料は硬化性組成物の反応生成物を含み、前記硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化10】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化11】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項17】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項18】
前記フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化12】

式中、
R’は、H、CH3、又はFである、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項19】
少なくとも1つの前記シリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項20】
前記支持材料は、少なくとも1つの紙又は熱可塑性ポリマーフィルムを含む、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項21】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項22】
フルオロポリマー対シリコーンの重量比は、1:2〜5:1の範囲であるが、他も包含し得る、請求項16に記載の剥離ライナー。
【請求項23】
接着剤物品であって、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、前記第1の主表面の少なくとも一部と接触する第1の感圧接着剤層、及び
前記第1の接着剤層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第1の剥離ライナーを含み、前記第1の剥離ライナーは第1の支持材料及び第1の剥離材料を含み、前記第1の剥離材料は前記第1の支持材料の少なくとも1つの主表面に位置し、前記第1の剥離材料は第1の硬化性組成物の反応生成物を含み、前記第1の硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物である第1のフルオロポリマー、
【化13】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化14】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、又
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有する第1のシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有する第1のシリコーン、及び
(d)第1のヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項24】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項25】
前記第1のフルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化15】

式中、R’は、H、CH3、又はFである、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項26】
少なくとも1つの前記第1のシリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項27】
前記第1の支持材料は、少なくとも1つの紙又は熱可塑性ポリマーフィルムを含む、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項28】
前記第1の感圧接着剤はシリコーンを含む、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項29】
前記第1の感圧接着剤は、接着性のポリジオルガノシロキサンポリ尿素ブロックコポリマーを含む、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項30】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項31】
フルオロポリマー対シリコーンの重量比は、1:2〜5:1の範囲のいずれかであるが、他も包含し得る、請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項32】
更に、
前記第2の主表面の少なくとも一部と接触する第2の感圧接着剤層、及び
前記第2の接着剤層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第2の剥離ライナーを含み、前記第2の剥離ライナーは第2の支持材料及び第2の剥離材料を含み、前記第2の剥離材料は前記第2の支持材料の少なくとも1つの主表面に位置し、前記第2の剥離材料は第2の硬化性組成物の反応生成物を含み、前記第2の硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される第2の多官能性(メタ)アクリレート及び第2のモノマーを含む構成成分の反応生成物である第2のフルオロポリマー、
【化16】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化17】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有する第2のシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有する第2のシリコーン、及び
(d)第2のヒドロシリル化触媒、を含む、
請求項23に記載の接着剤物品。
【請求項33】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項32に記載の接着剤物品。
【請求項34】
前記第2のフルオロポリマーは、以下の式で表される第2の多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化18】

式中、
R’は、H、CH3、又はFである、請求項32に記載の接着剤物品。
【請求項35】
少なくとも1つの前記第2のシリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項32に記載の接着剤物品。
【請求項36】
前記第1及び第2の剥離ライナーは同一ではない、請求項32に記載の接着剤物品。
【請求項37】
接着剤物品であって、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、
前記第1の主表面の少なくとも一部と接触する感圧層、及び
前記第2の主表面に固着する低付着性バックサイズを含み、前記低付着性バックサイズは硬化性組成物の反応生成物を含み、前記硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される第2の多官能性(メタ)アクリレート及び第2のモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化19】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化20】

−OCq2q−、又は−Cq2q−であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3、又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項38】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項39】
前記フルオロポリマーは、以下の式で表される多官能性(メタ)アクリレート及びフルオロアクリレートモノマーを含む構成成分の反応生成物であり、
【化21】

式中、
R’は、H、CH3、又はFである、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項40】
少なくとも1つの前記シリコーンはフルオロシリコーンを含む、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項41】
前記感圧接着剤層の少なくとも一部は前記低付着性バックサイズと接触する、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項42】
前記多官能性(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項43】
フルオロポリマー対シリコーンの重量比は、1:2〜2:1の範囲であるが、他も包含し得る、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項44】
前記第1の感圧接着剤はシリコーンを含む、請求項37に記載の接着剤物品。
【請求項45】
前記第1の感圧接着剤は、接着性のポリジオルガノシロキサンポリ尿素ブロックコポリマーを含む、請求項38に記載の接着剤物品。
【請求項46】
接着剤物品であって、
対向する第1及び第2の主表面を有する基材、
前記第1の主表面の少なくとも一部に固着する第1の剥離材料層、
前記第2の主表面の少なくとも一部に固着する第2の剥離材料層、
前記第1の剥離材料層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第1の感圧接着剤層、
前記第2の剥離材料層の少なくとも一部に剥離可能な状態で固着する第2の感圧接着剤層、
前記第1の感圧層の少なくとも一部に固着する第1の基材、
前記第2の感圧層の少なくとも一部に固着する第2の基材、を含み、
前記第1の剥離材料層及び前記第2の剥離材料層の少なくとも1つは、硬化性組成物の反応生成物を含み、前記硬化性組成物は、
(a)以下の式で表される第2の多官能性(メタ)アクリレート及び第2のモノマーを含む構成成分の反応生成物であるフルオロポリマー、
【化22】

式中、
nは、1〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
Xは、
【化23】

−OCq2q-、又は-Cq2q-であり、
式中、
Rは、H又は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、2〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
fは、Cn2n+1であり、
yは、0〜6の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、
qは、1〜8の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、さらに
Aは、ヒドロカルビレン基であり、
pは、2〜30の範囲の整数であるが、他を包含し得るものであり、及び
R’は、H、CH3又はFである、
(b)複数個のビニル基を有するシリコーン、
(c)複数個のSi−H基を有するシリコーン、及び
(d)ヒドロシリル化触媒、を含む。
【請求項47】
前記構成成分は更に連鎖移動剤を含む、請求項46に記載の接着剤物品。
【請求項48】
前記第1及び第2の感圧接着剤層及び/又はそれらに付随する前記第1及び第2の剥離材料層は、それぞれ、異なるレベルの剥離力が印加されたときに各感圧層がそれぞれに付随する剥離材料からはがれるように選択される、請求項46に記載の接着剤物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−507126(P2009−507126A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530074(P2008−530074)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/032799
【国際公開番号】WO2007/030319
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】