説明

磁気抵抗装置およびその製造方法

【課題】高い巨大磁気抵抗(GMR)値と中程度に低い抵抗面積積(RA)とを有する磁気抵抗装置を提供する。
【解決手段】この装置は、第1の磁性層と、第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層との間に位置する電流狭窄(CCP)スペーサ層とを含む。スペーサ層は、第1の磁性層と第2の磁性層との間に延在する銅電流狭窄を酸化マグネシウムの母材中に含む。スペーサ層は、銅と酸化マグネシウムとの混合物によって形成され、この混合物は、銅電流狭窄を酸化マグネシウム母材内に形成するために熱処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
巨大磁気抵抗(Giant magnetoresistive:GMR)装置およびトンネル磁気抵抗(tunneling magnetoresistive:TMR)装置は、高密度データ記憶用途のために開発された。GMR装置およびTMR装置は、両方とも、非磁性スペーサ層を2つの強磁性層間に含んだ多数の層のリーダ積層を特徴としている。典型的に、強磁性層の一方は、固定磁化を有するリファレンスまたはピンド層として働き、フリー層と称される他方の強磁性層は、外部磁場に反応して回転する磁化を有する。GMR装置において、非磁性スペーサ層は、導電性である。TMR装置において、スペーサ層は、トンネル障壁をフリー層とリファレンス層との間に形成する非常に薄い電気絶縁層である。
【背景技術】
【0002】
酸化マグネシウム(MgO)を用いたTMRリーダ積層は、500Gb/in2までの面積密度を備えた市販のハードドライブにおいて用いられている。面積密度がさらに増加するとき、リーダの大きさ(リーダの幅とリーダストライプの高さとの両方)は必ず減少する。このため、同じリーダ抵抗を維持するためには、MgO TMR積層について抵抗と面積の積(RA積)を減少させざるをえない。しかしながら、MgO積層についてのRAが減少すると、著しくTMR値が減少されるのみならず、TMR積層中のフリー層とリファレンス層との間の結合領域が大きく増加もされる(フリー層H1値)。たとえば、H1値は、RAが約0.6Ωμm2のとき約300Oeまで、RAが約0.4Ωμm2のとき約500Oeまで上昇する。そのような高いフリー層H1値は、磁気ヘッド用途において容認できるものではない。なぜならば、そのような値は、非対称平均を偏移させ、および/またはフリー層を浮上面(air bearing surface:ABS)に平行に位置合わせするために極めて厚い永久磁石(PM)を必要とすることがあるためである。大幅により厚いPMは、シールド間の間隔を犠牲にし、面積密度を低下させる。
【0003】
中程度に低いRA(0.1〜0.4Ωμm2)を備えた高いGMRリーダ積層を実現するために、過去数年、ハードドライブ産業において用いるための電流狭窄(current-confined-path:CCP)−面直電流(current-perpendicular-to-plane:CPP)GMRリーダに関して研究努力がなされてきた。CCP−CPP−GMR装置の例は、フクザワ(Fukuzawa)他のUS2006/0050444、フクザワ他のUS2006/0098353、チルドレス(Childress)他のUS2007/0047154、ケアリー(Carey)他のUS2007/0097558、チャン(Zhang)他のUS2007/0188936、フジ(Fuji)他のUS2008/0008909、ユアサ(Yuasa)他のUS2008/0026253、およびノバック(Nowak)他の米国特許第7,093,347号に記載されている。
【0004】
CCP−CPPリーダは、何らかの酸化物粒子を純粋なCPP積層のスペーサ(Cuなど)の中にドープして、純粋なCPP積層中のRAを非常に低いRA(0.1Ωμm2未満)から中程度に低いRA(0.1〜0.4Ωμm2)まで増加させることによって作製されてもよい。ドープされた酸化物部分の機能は、電流路を狭窄してRAを増加させることのみである。それは、GMRを増加させることまたはGMR値を悪化させることさえにもほとんど寄与しない。さらに、従来のCCPリーダ設計において、導電性チャネルまたは酸化物粒子の大きさをナノメートルの範囲内に制御することおよび大きさのばらつきを制御することは非常に難しい。この問題は、ウェハ内でのセンサ間RAおよびGMRの非常に大きなばらつきに繋がることがあり、磁気読み書きヘッドの大量生産における著しい歩留まり低下をもたらすことがある。スペーサ層の内側にあり非常に小さく(ナノメートルまたはオングストロームまでもの範囲内)均一な導電性チャネルまたは酸化物粒子を作製することは、非常に困難な技術的課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
高い巨大磁気抵抗(GMR)値と中程度に低い抵抗と面積との積(RA)とを有する磁気抵抗装置は、第1の磁性層と、第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層との間に位置する電流狭窄(CCP)スペーサ層とを含む。スペーサ層は、第1の磁性層と第2の磁性層との間に延在する銅電流狭窄を酸化マグネシウムの母材中に含む。
【0006】
スペーサ層は、銅と酸化マグネシウムとの混合層として形成されてもよい。混合層は、酸化マグネシウム母材内に銅電流狭窄を形成するために熱処理される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】酸化マグネシウム母材中にある銅導電性チャネルを備えたスペーサ層を有する磁気抵抗CCP−CPP積層を示す図である。
【図2】図1のCCP−CPP積層の形成方法を説明するフローチャートである。
【図3】Cu/Mg混合層の堆積および部分酸化を含む図1のCCP−CPP積層の形成方法を説明するフローチャートである。
【図3A】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3B】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3C】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3D】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3E】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3F】図3の方法のステップを説明する図である。
【図3G】図3の方法のステップを説明する図である。
【図4】Cu/MgO混合層の堆積を含む図1のCCP−CPP積層の形成方法を説明するフローチャートである。
【図5】さまざまな厚みおよびRA積を有するCCP−CPPリーダ積層についてのGMR結果を示すグラフである。
【図6】直径0.15μmのセンサの大きさに関してGMRおよびRAの分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
図1は、磁気抵抗積層10のレイヤー図であり、この積層は、面直電流(CPP)電流狭窄(CCP)巨大磁気抵抗(GMR)装置である。磁気抵抗積層10は、シード層12と、反強磁性(antiferromagnetic:AFM)ピニング層14と、強磁性ピンド層16と、結合層18と、リファレンス層20と、電流狭窄型(CCP)スペーサ層22と、第1の強磁性フリー層24と、第2の強磁性フリー層26と、キャップ層28とを含む。
【0009】
シード層12は、単一の層であってもよく、または多数の層であってもよい。たとえば、シード層12は、NiFeCrからなる第1の層と、NiFeからなる第2の層とを含んでもよい。
【0010】
シード層12の上にあるピニング層14は、反強磁性材料である。ピニング層14を形成してもよい反強磁性材料の例には、CrMnCu、CrMnPd、CrMnPt、IrMn、NiMn、NiMnCr、PdMn、PdPtMn、PtMnおよびPtRuMnが含まれる。
【0011】
ピンド層16と、結合層18と、リファレンス層20とは、合成反磁性体を形成する。ピンド層16およびリファレンス層20は、CoFe、CoFeBなどの強磁性材料およびCo2MnXなどのホイスラ合金であり、式中Xは、Ge、Si、Al、Ga、およびSnからなる群からのものである。結合層18は、たとえば、ピンド層16とリファレンス層20との間の反強磁性結合をもたらす厚みを有するルテニウム層である。結果として、リファレンス層20の磁化方向は固定され、フリー層24および26の磁化方向に対する基準を提供する。
【0012】
スペーサ層22は、銅と酸化マグネシウムとの両方から構成されている。銅導電性チャネル30は、MgO母材32全体に分布している。
【0013】
MgO母材32は、スペーサ層22を貫通する、フリー層24とリファレンス層20との間の電流路を狭窄するために用いられており、これは抵抗を増加させ、したがってRA積を増加させる。加えて、MgO母材32は、TMR障壁として働き、これは積層10の合計GMR値に大きく寄与する。
【0014】
スペーサ層22内の銅領域30は、積層10中のスペーサとして用いられてCPPスピンバルブ効果を確実にするだけではなく、RA値を低下させるのに役立つ導電性チャネルとしても働く。よって、CCP層22は、TMR効果とスピンバルブ効果との両方の組合せを提供する。RA値は、スペーサ層22中のMgO領域と銅領域との比率を調節することおよびスペーサ層22の厚みを調節することによって制御することができる。
【0015】
CCPスペーサ層22は、約1%〜約60%の銅を含んでもよい。より好ましくは、スペーサ層22内の銅の率は、約5%から約30%である。スペーサ層22の厚みは、0.5Åから約15Åまでにわたる。好ましくは、スペーサ層22の厚みは、約4Åから約8Åの範囲である。
【0016】
第1のフリー層24は、CoFeまたはCoFeBなどの正の磁気歪みを有する強磁性材料であってもよい。第2のフリー層26は、第1のフリー層24の上にあり、負の磁気歪みを有するNiFeなどの強磁性材料から作られていてもよく、そのため層24および26によって形成される複合フリー層は、高いGMR値を正味負の磁気歪みで生じる。フリー層24および26の磁化方向は、結合されており、リファレンス層20の磁化方向に対して自由に回転することができる。他の実施例において、単一のフリー層のみが用いられる。
【0017】
キャップ層28は、単一の層構造であってもよく、または多数の層を含んでもよい。キャップ層28は、典型的に、酸化物または高温アニーリング中の酸化が可能な金属もしくは合金を含んでもよい。
【0018】
図2は、図1の磁気抵抗積層10などのCCP−CPP装置の形成方法を説明するフローチャートである。方法40は、第1の磁性層(たとえばリファレンス層20)を形成するステップと(ステップ42)、第1の磁性層の上に銅と酸化マグネシウムとの混合層を形成するステップと(ステップ44)、混合層の上に第2の磁性層(たとえばフリー層24)を堆積するステップと(ステップ46)、Cu電流狭窄領域(30)をMgO母材(32)中に含むCCP層(たとえばCCP層22)を形成するために混合層を熱処理(またはアニーリング)するステップ(ステップ48)とを含む。
【0019】
図3および図3Aから図3Gには、CCPスペーサ層22の形成中にマグネシウムを銅とともに堆積すること(部分酸化ステップが続く)を伴うリーダ積層10の製造方法が説明されている。図3は、方法50を説明するフローチャートであり、この方法は、ステップ52、54、56、58、60、62、および64を含む。図3Aから図3Gには、それぞれステップ52から64が説明されている。この方法で、小さくて均一に分布された、酸化マグネシウム母材内の銅チャネルを達成することが可能である。その結果、高いGMR、中程度に低いRA、高いQ値(これはRAに対するGMRの比率として定義される)、および低いフリー層結合領域H1が得られる。
【0020】
ステップ52(図3A)において、シード層12、ピニング層14、ピンド層16、結合層18、およびリファレンス層20は、すべて堆積されている。ステップ54(図3B)において、マグネシウム層70は、リファレンス層20の最上面に堆積される。マグネシウム層70は、スペーサ層22における酸化マグネシウムの形成のためのシード層として働く。マグネシウム層70の厚みは、約0.5Åから約5Åの範囲であり、より好ましくは約2.5Åである。こういった厚みで、マグネシウム層70は、多くのピンホールを含む。
【0021】
ステップ56(図3C)において、銅とマグネシウムとの混合層72が形成されている。混合層72は、別個のマグネシウムターゲットおよび銅ターゲットからのRFスパッタリングまたは単一の銅−マグネシウムターゲットからのRFスパッタリングを用いて形成してもよい。
【0022】
ステップ58において、部分酸化ステップを行なって、銅とマグネシウムとの混合層72を銅と酸化マグネシウムとの混合層72′に変換する。図3Dには、部分酸化が起きた後の混合層72′が示されている。部分酸化プロセスには、プラズマ酸化、ラジカルシャワー酸化、または自然酸化が含まれ得る。酸化は、層72′内のマグネシウムを主とするものである。
【0023】
ステップ60(図3E)において、マグネシウム層74が混合層72′の上に堆積されている。マグネシウム層74の厚みは、約0.5Åから約5Åの範囲であり、好ましくは約2.5Åの範囲である。
【0024】
ステップ62において、第1および第2のフリー層24および26を堆積する。図3Fには、第1のフリー層24を堆積した後の積層10が示されている。プロセスは、図3Gに示されるように、続いて第2のフリー層26およびキャップ層28の堆積を行う。
【0025】
ステップ64において、リーダ積層全体(フリー層およびキャップ層を含めて)の堆積後にアニーリングプロセス(すなわち熱処理)を行なって、マグネシウム層70および74ならびに混合層72′をスペーサ層22に変換し、このスペーサ層中で、銅導電性チャネル30は、MgO母材32全体に分布している。図1には、アニーリングを行なってCCPスペーサ層22の形成を完了した後の積層10の構造が示されている。
【0026】
アニーリングステップ64中、マグネシウム層70および74ならびに混合層72′内で変化が起こる。マグネシウムは、非常に活性があり、容易に酸化する。マグネシウム層70および74内のピンホールにより、銅チャネル30が貫通して、リファレンス層20および第1のフリー層24の両方と接触することが可能になる。リファレンス層20と第1のフリー層24とを接続する銅チャネル30は、スペーサ層22のMgO母材32を貫通する電流狭窄を形成する。
【0027】
図3および図3Aから図3Gに説明されるプロセスは、リファレンス層20およびフリー層24がCoFeBで形成されるとき、もう1つ利点がある。堆積された状態のCoFeBの構造は、典型的にアモルファスである。酸化マグネシウム母材32がスペーサ層22内に形成されるアニーリングプロセスは、CoFeBリファレンス層20および第1のフリー層24との界面で結晶構造を変化させる効果も有する。まず酸化マグネシウムが結晶化し、その一方で各CoFeB層は依然としてアモルファスである。次に、酸化マグネシウムの結晶構造は、アニーリングプロセス中に隣接する各層の中へ成長し、そのため良好な格子整合が得られる。結果として、リファレンス層20、酸化マグネシウム母材32、およびフリー層24は、すべて同じ結晶構造(体心立方すなわちBCC)を有する。一方銅は、面心立方(FCC)構造を有する。
【0028】
他の実施例において、マグネシウム層70および74を用いなくてもよく、または2つのうち一方のみを用いてもよい。しかしながら、プロセスにおいて薄いマグネシウム層70および74を追加することにより、全体GMR効果が強化される傾向があることがわかっている。
【0029】
図4には、代替的な方法50′が説明されている。この方法は、銅およびマグネシウムを堆積するステップ(ステップ56)および次に銅/酸化マグネシウム混合層を形成するために部分的に酸化させるステップ(ステップ58)によるのではなく、銅および酸化マグネシウムを堆積するステップ(ステップ56′)によって混合層を形成する点を除いて、図3の方法50とおおむね類似する。方法50′(図4)において、混合層は、たとえば、別個の酸化マグネシウムターゲットおよび銅ターゲットからのRFスパッタリングまたは単一の銅−酸化マグネシウムターゲットからのRFスパッタリングによって形成されてもよい。
【0030】
図5には、CCPリーダ積層についての0.22〜0.5Ωμm2の範囲のさまざまなRAでのGMR結果が示されている。CCPスペーサ層の厚みは、約4Åから約8Åにわたり、RA積は、厚みの増加に伴って増加した。約21%、28.5%、37.5%、および41%の高いGMR値が、それぞれRAが約0.22、0.3、0.4、および0.5Ωμm2であるときに得られた。低RA方式でのそのように高いGMRは、フリー層とリファレンス層との間にあるCCP−CPPスペーサ層によるものである。
【0031】
表1には、CCP−CPPリーダ積層についてのいくつかの典型的なGMR、RA、Q、およびフリー層H1値がまとめられている。表1に示されるデータおよび図3中のデータは、同じ一連の装置からのものである。RAに対するGMRの比率として定義されるQ値は、高く、およそ80〜100である。非常に高いフリー層H1(RAが0.3〜0.5Ωμm2の範囲であるとき約300〜500Oe)を有する純粋なMgO TMR積層についての典型的に低いRAとは異なり、CCP−CPP積層についてのフリー層H1は、小さく、100Oe未満である。それは、MgOとCuとのCCPスペーサ層が非常に連続的であり、フリー層とリファレンス層との間の磁気相互作用を効果的に切離すことができることを意味する。
【0032】
【表1】

【0033】
図6には、直径0.15μmの円形CCP−CPPリーダ積層についてのGMRおよびRA分布が示されている。平均GMRは、平均RAが約0.2Ωμm2のとき約16%である。GMR値およびRA値の分布は狭く、これは、Cu導電性チャネルの大きさが非常に小さく均一であることを暗示する。
【0034】
表2Aから表2Cには、CCP−CPPリーダと従来のMgO TMRリーダとについてのGMR値分布およびRA値分布の比較が示されている。両リーダ積層間のGMRおよびRAの分布の公正な比較のために、両リーダ積層に対してRA値は類似している。LR39(表2A)、IL39(表2B)、およびHL39(表2C)は、それぞれ直径が0.15μm、0.2μm、および0.35μmの3つの異なるセンサの大きさを表わす(リーダの形状は円形であった)。CCP−CPPリーダからの標準偏差(stdev)は、GMR値およびRA値の両方について従来のMgO TMR積層からの標準偏差よりも小さかった。両積層は、同様のRA値を有する。stdev/平均も、提案されるCCP−CPP積層はGMR値およびRA値の両方の分布が狭いという同様の傾向を示す。分布が狭いのは、同じチャンバ内でMgO(またはMg)とCuとを堆積することによる独自のスペーサ層プロセスによるものである。Cu導電性チャネルの大きさを、リーダセンサの大きさよりも小さいナノメートル単位で制御することができる。分布が狭いことにより、読み書きヘッドの大量生産のために極めて重要な生産歩留まりを著しく改善することができる。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
この発明は、好ましい実施例を参照して説明されたが、当業者は、他の実施例も可能であることを認識するであろう。たとえば、CCP−CPP積層は、CCP−CPPスペーサ層を固定リファレンス層とフリー層との間に有する磁気抵抗装置に関連して説明されたが、この発明は、CCP−CPPスペーサ層が2つの強磁性フリー層間に位置する3層構造などの他の構造にも適用可能である。
【0039】
この発明は、例示的な実施例を参照して説明されたものの、当業者は、この発明の範囲から逸脱することなくさまざまな変更を行ってもよく等価物はその要素で置き換えられてもよいことを理解するであろう。加えて、この発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの変更を行なって、特定の状況または材料をこの発明の教示に適合させてもよい。したがって、この発明は、開示された特定の実施例に限定されず、この発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施例を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0040】
10 磁気抵抗積層、12 シード層、14 ピニング層、16 ピンド層、18 結合層、20 リファレンス層、22 CCPスペーサ層、24 第1のフリー層、26 第2のフリー層、28 キャップ層、30 銅導電性チャネル、32 MgO母材、70 マグネシウム層、72 混合層、74 マグネシウム層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗装置の製造方法であって、
第1の磁性層を形成するステップと、
前記第1の磁性層の上にCuとMgOとの混合層を形成するステップと、
前記混合層の上に第2の磁性層を堆積するステップと、
Cu電流狭窄をMgO母材中に含むCCP層を形成するために前記混合層を熱処理するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記混合層を形成するステップの前に前記第1の磁性層の上にMgシード層を堆積するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
堆積された前記Mgシード層の厚みは、約0.5Åから約5Åである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の磁性層を堆積するステップの前に前記混合層の上にMgシード層を堆積させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
堆積された前記Mgシード層の厚みは、約0.5Å〜約5Åである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記混合層を形成するステップは、
CuとMgとの混合物を堆積するステップと、
CuとMgOとの混合物を形成するためにMgを酸化させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CuとMgとの混合物は、別個のターゲットからまたはCu−Mg混合単一ターゲットからスパッタリング堆積される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化させるステップは、プラズマ酸化、ラジカルシャワー酸化、および自然酸化のうち少なくとも1つによる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記混合層を形成するステップは、CuとMgOとの混合物を堆積するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物は、別個のCuターゲットおよびMgOターゲットからまたは混合Cu−MgO単一ターゲットからスパッタリング堆積される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の磁性層を形成するステップは、FeCoB、CoFe、およびCo2MnXのうち1つ以上を堆積させるステップを含み、式中Xは、Ge、Si、Al、Ga、およびSnからなる群からのものであり、前記第2の磁性層を堆積するステップは、FeCoB、CoFe、およびNiFeのうち1つ以上を堆積するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
形成された前記混合層は、約1原子パーセントから約60原子パーセントのCuを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
形成された前記混合層は、約5原子パーセントから約30原子パーセントのCuを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
形成された前記混合層の厚みは、約0.5Åから約15Åである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
形成された前記混合層の厚みは、約4Åから約8Åである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
磁気抵抗装置であって、
CoFeB、CoFe、およびCo2MnXのうち1つ以上を含む第1の磁性層を備え、式中XはGe、Si、Al、Ga、およびSnからなる群からのものであり、
CoFeB、CoFe、およびNiFeのうち1つ以上を含む第2の磁性層と、
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に位置するスペーサ層とをさらに備え、前記スペーサ層は、前記第1および第2の磁性層間に延在するCu電流狭窄をMgOの母材中に含む、磁気抵抗装置。
【請求項17】
前記スペーサ層は、約1原子パーセントから約60原子パーセントのCuを含む、請求項16に記載の磁気抵抗装置。
【請求項18】
前記スペーサ層は、約5原子パーセントから約30原子パーセントのCuを含む、請求項16に記載の磁気抵抗装置。
【請求項19】
前記スペーサ層の厚みは、約0.5Åから約15Åである、請求項16に記載の磁気抵抗装置。
【請求項20】
前記スペーサ層の厚みは、約4Åから約8Åである、請求項19に記載の磁気抵抗装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−9748(P2011−9748A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−143664(P2010−143664)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】