説明

移動通信システム、通信端末及び安否確認システム

【課題】災害発生後に通話を行っていない通信端末を所有する被災者についても安否確認を行う。
【解決手段】災害情報を受信した第1の通信端末50Aでは、自機の動作が動作記録部52により記録され、第1の通信端末50Aの動作に関する情報として安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20に送信される。第1の通信端末50Aから送信される動作に関する情報は安否情報として安否情報保持部22において保持され、第2の通信端末50Bから第1の通信端末50Aへの通信要求を受信した場合には、この安否情報に基づいて通知安否情報作成部25において作成された通知安否情報が第2の通信端末50Bに送信される。したがって、第1の通信端末50Aの所有者が災害発生後に一度も通話を行っていない場合でも、第2の通信端末50Bに対して通知安否情報が送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、及び当該移動通信システムを構成する通信端末、安否確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の大規模災害が発生した際には、その災害が発生した地域にいる被災者の安否を気遣う家族や知人等の第三者が、被災者の所有する通信端末に電話連絡をすることが多い。しかしながら、被災状況や通信端末の電池消費の状況等によっては、被災者との通話ができない場合が多く、適切に安否確認することはできない状況が多々発生する。また、電話連絡による安否確認の需要が災害の発生した特定の地域に集中するため、輻輳が発生する可能性もある。このため、より効率的に被災者の安否確認を行う方法が検討されている。
【0003】
これに対して、特許文献1では、被災地域にある通信端末の災害発生後の通信履歴を記録しておき、その通信端末に対して発信を行おうとしている他の通信端末に対して、当該通信端末の通信履歴を通知することによる安否確認方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の安否確認方法では、災害発生後に一度も通信を行っていない通信端末については、その履歴が残らないため、例えば通話を行うことができないような状況下にある被災者の安否を確認することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、災害発生後に通話を行っていない通信端末を所有する被災者についても安否確認を行うことができる移動通信システム、通信端末及び安否確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る移動通信システムは、移動体通信網に接続して通信を行う通信端末と、災害時に第1の通信端末の安否情報を、当該第1通信端末との通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムと、を含んで構成される移動通信システムであって、第1の通信端末は、災害に関する災害情報を受信する災害情報受信手段と、自機の動作を記録する動作記録手段と、災害情報受信手段により災害情報が受信されたことに基づいて、動作記録手段により記録された自機の動作に関する情報を、移動体通信網を介して安否確認システムに送信する端末動作送信手段と、を備え、安否確認システムは、第1の通信端末から送信される当該第1の通信端末の動作に関する情報を受信する端末動作受信手段と、端末動作受信手段により受信された第1の通信端末の動作に関する情報を、当該第1の通信端末の安否情報として保持する安否情報保持手段と、第2の通信端末から送信される第1の通信端末との通信要求を受信する通信要求受信手段と、通信要求受信手段により受信された通信要求に基づいて、安否情報保持手段で保持する安否情報を参照し、第1の通信端末の安否情報に基づいて、第2の通信端末に通知するための通知安否情報を作成する通知安否情報作成手段と、通知安否情報作成手段により作成された通知安否情報を、第2の通信端末通信端末に通知する安否情報通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る第1の通信端末は、移動体通信網に接続して通信を行う通信端末と、災害時に第1の通信端末の安否情報を、当該第1の通信端末への通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムと、を含んで構成される移動通信システムにおける第1の通信端末であって、災害に関する災害情報を受信する災害情報受信手段と、自機の動作を記録する動作記録手段と、災害情報受信手段により災害情報が受信されたことに基づいて、動作記録手段により記録された自機の動作に関する情報を、移動体通信網を介して安否確認システムに送信する端末動作送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る安否確認システムは、災害時に第1の通信端末から移動体通信網に接続することにより送信される安否情報を、当該第1の通信端末への通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムであって、第1の通信端末から送信される当該第1の通信端末の動作に関する情報を受信する端末動作受信手段と、端末動作受信手段により受信された第1の通信端末の動作に関する情報を、当該第1の通信端末の安否情報として保持する安否情報保持手段と、第2の通信端末のいずれかから送信される第1の通信端末との通信要求を受信する通信要求受信手段と、通信要求受信手段により受信された通信要求に基づいて、安否情報保持手段で保持する安否情報を参照し、第1の通信端末の安否情報に基づいて、第2の通信端末に通知するための通知安否情報を作成する通知安否情報作成手段と、通知安否情報作成手段により作成された通知安否情報を、第2の通信端末通信端末に通知する安否情報通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の移動通信システムにおいて、災害情報を受信した第1の通信端末では、災害情報が受信されたことに基づいて、動作記録手段において記録された第1の通信端末の動作に関する情報が、安否確認システムに送信される。安否確認システムでは、第1の通信端末から送信される情報が安否情報として保持され、第2の通信端末から第1の通信端末への通信要求が送信された場合には、安否確認システムで保持されている安否情報に基づいて通知安否情報が作成されて、通信要求を送信した第2の通信端末に対して送信される。この結果、第1の通信端末の動作に関する情報を元に作成された通知安否情報が、通信要求を送信した第2の通信端末に対して送信されるため、第1の通信端末の所有者が災害発生後に一度も通話を行っていない場合であっても、通信要求を行った第2の通信端末に対して通知安否情報を送信することができる。
【0011】
また、上記移動通信システムに含まれる第1の通信端末において、動作記録手段は、自機が移動した場合に、その移動を自機の動作として記録する態様としてもよい。
【0012】
上記のように自機の移動を動作として記録し、第1の通信端末の動作に関する情報として安否確認システムに送信する機能を備えることにより、第1の通信端末の所有者が第1の通信端末に対して操作を行わなくても、第1の通信端末の安否情報が安否確認システムに保持されるため、災害時において第1の通信端末の動作に関する情報を安否情報としてより広く収集することができ、第1の通信端末に対する通信要求があった際にも通知安否情報を適切に提供することができる。
【0013】
また、上記移動通信システムに含まれる第1の通信端末において、動作記録手段は、災害情報受信手段が災害情報を受信したのを契機に自機の動作を記録する態様とすることができる。
【0014】
この場合、動作記録手段は、災害情報の受信を契機に自機の動作の記録を開始することから、効率よく第1の通信端末の動作に関する情報を記録することができる。
【0015】
また、安否確認システムは、通信要求受信手段において受信された第2の通信端末から送信される第1の通信端末との通信要求に基づいて、第1の通信端末への接続を行う端末接続手段をさらに備え、安否情報通知手段は、端末接続手段において第1の通信端末への接続ができない場合に第2の端末に通知安否情報を通知する態様とすることができる。
【0016】
この場合、端末接続手段において第1の通信端末への接続が確立できる場合には、第1の通信端末と第2の通信端末との間で通信を行うことができ、接続が確立できない場合には通知安否情報が第2の通信端末に通知される。したがって、第2の通信端末から送信される通信要求に対して、移動体通信網の状況や通信端末及びその所有者の状況等に応じて、より適切に通知安否情報を第2の通信端末に通知することができる。
【0017】
さらに、第1の通信端末は、伝言メッセージを安否確認システムに送信する伝言メッセージ送信手段をさらに備え、安否確認システムは、第1の通信端末から送信された伝言メッセージを受信し、他の通信端末からの伝言メッセージ配信要求により当該他の端末に対して伝言メッセージを送信する伝言メッセージ配信手段をさらに備え、安否情報保持手段は、端末動作受信手段により受信された第1の通信端末の動作に関する情報と、伝言メッセージ配信手段により受信された伝言メッセージと、を、当該第1の通信端末の安否情報として保持する態様としてもよい。
【0018】
移動通信システムを上記の態様とすることにより、第1の通信端末から能動的に送信された伝言メッセージが安否情報として保持される。したがって、第2通信端末に対して送信される通知安否情報として、第1の通信端末の所有者からの伝言メッセージを含むことができるため、より正確な通知安否情報を第2の通信端末に送信することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信端末の動作の情報が安否情報として用いられることから、災害発生後に通話を行っていない通信端末を所有する被災者についても安否確認を行うことができる移動通信システム、通信端末及び安否確認システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成と、それらの接続関係を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における通信端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態におけるネットワーク制御装置、災害伝言板システム、及び、交換機のハードウェア構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理のうち、安否確認システムにおいて通信端末の安否情報が保持されるまでの処理を説明するシーケンス図である。
【図5】通信端末における伝言メッセージ登録画面の一例を示す図である。
【図6】災害伝言板システムにおける伝言メッセージと識別番号の対応を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理のうち、通信端末50Bから通信端末50Aに対する通信要求が送信された場合の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【図8】安否情報保持部において保持されている安否情報を示す図である。
【図9】通知安否情報識別番号と、音声ガイダンスとして通知する通知安否情報の対応を示す図である。
【図10】伝言メッセージ登録の有無及び動作情報の有無に基づいた通知安否情報識別番号の選択方法を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理のうち、通信端末50Bから通信端末50Aに対する通信要求が送信された場合の処理の他の例を説明するシーケンス図である。
【図12】第2実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理を説明するシーケンス図(前半)である。
【図13】第2実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理を説明するシーケンス図(後半)である。
【図14】第3実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理を説明するシーケンス図である。
【図15】第4実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理を説明するシーケンス図である。
【図16】第4実施形態に係る移動通信システムによる安否確認処理の変形例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面とともに本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る移動通信システム100の構成と、それらの接続関係を示す図である。移動通信システム100は、移動体通信網Nに含まれる安否確認システム10及び交換機40(40A,40B)と、移動体通信網Nに接続して移動体通信を行う複数の通信端末50A,50Bと、を含んで構成される。安否確認システム10は、ネットワーク制御装置(Service Control Point:SCP)20と、災害伝言板システム30とを含んで構成される。なお、移動体通信網Nは、交換機40とネットワーク制御装置20とを含んで構成される。また、本実施形態では、通信端末50A,50Bが3G(3rd Generation:第3世代)方式を利用して移動体通信網Nに対して接続して移動体通信を行う場合について説明する。
【0023】
安否確認システム10は、複数の通信端末50A,50Bと交換機40A,40Bを介して接続され、通信端末50Aとの通信要求を送信した通信端末50Bに対して、通信端末50Aの安否情報を送信するシステムである。ここで通信端末50Bから送信される通信要求とは、通信端末50Aとの間で音声通信を行うために呼接続の確立を移動体通信網Nに対して要求するものであり、通信端末50Bの所有者が通信端末50Bを操作することにより送信される。なお、通信要求により確立される接続は音声通信のためのものでなくてもよく、例えばデータ通信のためのものであってもよい。一方、安否確認システム10から通信端末50Bに対して送信される通信端末50Aの安否情報とは、災害時に、被災者及びこの被災者が所有する通信端末50Aがどのような状態にあるかを示す情報である。すなわち、安否確認システム10は、被災者の安否を心配して通信要求を送信した通信端末50Bの所有者に対して、通信端末50Aに代わってその安否状況を通知するシステムである。
【0024】
安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20は、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通信を確立する際のルーティング(通信経路の作成)を行う装置である。また、安否確認システム10に含まれる災害伝言板システム30は、災害時に通信端末50Aから送信されるテキスト文形式の伝言メッセージを保持しておき、通信端末50Aの安否を気遣う他の通信端末50(例えば通信端末50B)から伝言メッセージ配信要求があった際には当該伝言メッセージを配信する機能を有する装置である。上記の機能は、例えば通信網を介した掲示板システムにより実現される。また、ここで通信端末50Aから送信される伝言メッセージは、通信端末50Aの所有者が不特定多数の相手に自身の安否を伝えたい場合や、他の通信端末50と通信ができない場合等に用いられる。災害伝言板システム30における具体的な処理等は後述する。また、ネットワーク制御装置20は、3G方式におけるHLR(home location register)としての機能を有し、通信端末50(50A,50B)の所有者の契約情報等について格納される。
【0025】
交換機40A,40Bは通信端末50A,50B間の無線通信を確立するとともに、通信端末50A,50Bと安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20及び災害伝言板システム30との間の無線通信を確立する装置である。なお、図1では安否確認システム10がネットワーク制御装置20及び災害伝言板システム30を含んで構成されていることとしているが、一つの装置の中にこれらの装置が有する機能が含まれる構成であってもよい。交換機40A,40Bは、3G方式において、MSC(Mobile Switching Center)/VLR(Visitor Location Register)として実現される。
【0026】
また、図1では、安否確認システム10(ネットワーク制御装置20及び災害伝言板システム30)に対して2つの交換機40A,40Bが接続され、さらに交換機40Aに対して通信端末50Aが、交換機40Bに対して通信端末50Bがそれぞれ接続されているが、通常は安否確認システム10には複数の交換機40が接続され、さらにそれぞれの交換機40に対して複数の通信端末50が接続されている。なお、図1では交換機40及び通信端末50が複数個ある例として、交換機40A,40B及び通信端末50A,50Bを図示している。本実施形態においては、通信端末50Aが災害時に被災者が所有する第1の通信端末に相当し、通信端末50Bが第1の通信端末との通信要求を送信する第2の通信端末に相当する。ここでは、通信端末50A,50bを便宜上それぞれ第1の通信端末、第2の通信端末としているが、いずれの通信端末50も第1又は第2の通信端末となりうる。
【0027】
上記の移動通信システム10において、安否確認システム10を構成するネットワーク制御装置20と災害伝言板システム30との間、ネットワーク制御装置20と交換機40との間、交換機40Aと交換機40Bとの間は、それぞれ有線のネットワークを介して接続されている。また、交換機40Aと通信端末50Aとの間、交換機40Bと通信端末50Bとの間は、それぞれ無線通信により情報の交換が行われる。
【0028】
続いて、移動通信システム100に含まれる各装置の詳細について説明する。なお、以降の説明においては、「安否情報」とは、通信端末50Aから安否確認システム10に対して送信されることにより安否確認システム10において保持される、通信端末50Aの状況を示す情報のことをいう。また、安否確認システム10から通信端末50Bに対して送信される通信端末50Aの状況を示す情報を「通知安否情報」という。通知安否情報は、通信端末50Aから安否確認システム10に送信される複数の安否情報に基づいて、通信端末50Aの安否状況をより正確に示す情報として作成される。
【0029】
まず、通信端末50Aについて説明する。通信端末50Aは、ユーザ(通信端末50Aの所有者)により用いられて、移動体通信網Nに接続して無線通信を行うための装置であり、具体的には、例えば携帯電話等の通信機能を有する装置として実現される。図1に示すように、通信端末50Aは、災害情報受信部51と、動作記録部52と、動作情報送信部53と、伝言メッセージ送信部54と、を含んで構成される。
【0030】
災害情報受信部51は、災害発生時にこの災害に関する情報を受信する災害情報受信手段として機能する。災害情報とは、例えば、地震や台風等の災害が発生した場合に、災害による被害が及ぶ地域に在圏する通信端末に対して、配信サーバ等から配信される情報であり、例えば、「4月1日10時25分に東京湾沖を震源とする震度6の地震が発生した」旨を示す緊急地震速報等の情報が該当する。災害情報受信部51において災害情報を受信した場合、当該災害情報を通信端末50Aの所有者に通知すると共に、災害情報を受信した旨を動作記録部52に通知する。
【0031】
動作記録部52は、災害情報受信部51が災害情報を受信したのを契機として自機の動作を記録する動作記録手段として機能する。具体的には、動作記録部52は、例えば加速度センサー、GPS機能、ボタン押下げ等の端末操作の記録手段等により構成され、災害情報受信部51より災害情報を受信した旨を通知された時点から一定時間(例えば、5分間)起動することにより、自機の移動のほか、所有者による通信端末50Aの操作(ボタン押下等)等を通信端末50Aの動作に関する情報(動作情報)として記録する。通信端末50Aの動作情報は、例えば、加速度センサーにより取得される情報の場合には、移動の検出(加速度の検出)の有無と、移動が検出された場合にはその時刻が対応付けられて記録される。また、端末操作の記録手段により取得される情報の場合には、押下されたボタン、押下された時刻等がそれぞれ対応付けられて記録される。動作記録部52において記録された動作情報は、動作情報送信部53に送られる。
【0032】
動作情報送信部53は、動作記録部52において記録された通信端末50Aの動作情報を、移動体通信網Nを介して安否確認システム10に送信する端末動作送信手段として機能する。具体的には、動作情報送信部53から安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20に対して送られる。
【0033】
伝言メッセージ送信部54は、災害伝言板システム30に通信端末50Aの所有者の被災状況等をテキスト文の伝言メッセージとして登録するために、当該伝言メッセージを災害伝言板システム30に送信する伝言メッセージ送信手段として機能する。この伝言メッセージの作成及び災害伝言板システム30への送信指示は、通信端末50Aの所有者の通信端末50Aに対する操作によって行われる。
【0034】
通信端末50は、図2に示すように、CPU501、RAM502、ROM503、操作部504、無線通信部505、ディスプレイ506、アンテナ507により構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した通信端末50Aの機能が発揮される。
【0035】
次に、安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20について説明する。ネットワーク制御装置20は、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通信を確立する際のルーティングを行う装置である。また、ネットワーク制御装置20は、通信端末50Aから送信される安否情報を保持し、通信端末50Bから通信端末50Aとの通信要求が送信された場合に、通信端末50Aの通知安否情報を通信端末50Bに対して通知する機能を備える。
【0036】
図1に示すように、ネットワーク制御装置20は、端末動作受信部21と、安否情報保持部22と、通信要求受信部23と、端末接続部24と、通知安否情報作成部25と、安否情報通知部26と、を含んで構成される。
【0037】
端末動作受信部21は、交換機40Aを介して通信端末50Aから送信される通信端末50Aの動作に関する情報を受信する端末動作受信手段として機能する。端末動作受信部21において受信された通信端末50Aの動作情報は、安否情報保持部22に送られる。
【0038】
安否情報保持部22は、端末動作受信部21から送られる通信端末50Aの動作情報と、災害伝言板システム30から送信される通信端末50Aの伝言メッセージ登録の有無と、を通信端末50Aに関する安否情報として保持する安否情報保持手段として機能する。安否情報保持部22では、安否情報が通信端末毎に保持され、後述の通知安否情報作成部25が通知安否情報を作成する際に用いられる。
【0039】
通信要求受信部23は、交換機40Bを介して通信端末50Bから送信される通信端末50Aとの通信要求を受信する通信要求受信手段として機能する。通信要求受信部23が受信した通信要求は、端末接続部24及び通知安否情報作成部25に送られる。
【0040】
端末接続部24は、通信要求受信部23において受信された通信端末50Bによる通信端末50Aとの通信要求に基づいて、通信端末50Bと通信端末50Aとの間の接続を行う端末接続手段として機能する。具体的には、ネットワーク制御装置20に接続する交換機40Aに対して、通信端末50Aの通信状況等を確認させ、その応答を元にルーティング(通信経路の形成)を行い、通信端末50Bが接続する交換機40Bにルーティング情報を通知すると共に、ルーティングが正常である旨を安否情報通知部26に通知する。また、交換機40Aの応答結果により、通信端末50Aとの接続を成立することができないことが確認された場合にも、その結果を安否情報通知部26に通知する。
【0041】
通知安否情報作成部25は、通信要求受信部23において受信された通信端末50Bによる通信端末50Aとの通信要求に基づいて、通信端末50Bに通知するための通信端末50Aの安否情報(通知安否情報)を作成する通知安否情報作成手段として機能する。通知安否情報作成部25は、安否情報保持部22で保持されている通信端末50Aの安否情報を参照して、通信端末50Bに対して優先的に通知すべき情報を選択し、通知安否情報を作成する。通知安否情報の作成の具体的な処理については後述する。通知安否情報作成部25において作成された通知安否情報は、安否情報通知部26に送られる。
【0042】
安否情報通知部26は、通知安否情報作成部25において作成された通知安否情報を通信端末50Bに送信する安否情報通知手段として機能する。具体的には、端末接続部24から通知される通信端末50Aとの接続可否結果が接続不可である場合には、通信端末50Bに対して通信端末50Aの通知安否情報を通知するよう、交換機40Bに指示を行う。
【0043】
次に、安否確認システム10に含まれる災害伝言板システム30について説明する。災害伝言板システム30は、災害発生時に、被災者(例えば通信端末50Aの所有者)が通信端末50Aの情報(例えば電話番号)と共に自身の被災状況等を伝言メッセージとして登録しておくことにより、災害伝言板システム30にアクセスした他の通信端末(例えば通信端末50B)に対して伝言メッセージを配信することにより安否状況を提供するという機能を有する。災害伝言板システム30は、伝言メッセージ登録部31と伝言メッセージ通知部32とを含んで構成される。
【0044】
伝言メッセージ登録部31は、交換機40Aを介して通信端末50Aから送信された伝言メッセージを受信して保持すると共に、他の通信端末50からの伝言メッセージの配信要求に応じて、通信端末50Aの伝言メッセージを送信する伝言メッセージ配信手段として機能する。さらに、伝言メッセージ登録部31は、通信端末50Aから送信された伝言メッセージに関する情報(本実施形態では、伝言メッセージの内容に対応した識別番号)を、ネットワーク制御装置20に送信する。その具体的な処理については、後述する。
【0045】
伝言メッセージ通知部32は、交換機40Bを介して通信端末50Bからネットワーク制御装置20に通信端末50Aとの通信要求があった場合に、伝言メッセージ登録部31で保持している通信端末50Aの登録した伝言メッセージを音声変換して通知安否情報として交換機40Bを介して通信端末50Bに通知する安否情報通知手段としての機能を備える。伝言メッセージの音声変換は、一般的なテキスト文の音声変換に用いられる周知の技術によって行うことができる。
【0046】
交換機40(交換機40A,40B)は、ネットワーク制御装置20の指示にしたがって、交換機40に接続する複数の通信端末50と通信を行って、他の通信端末50との接続やサーバ等とのデータ受渡しを行う機能を備える。また、ネットワーク制御装置20の指示にしたがって、他の交換機40(例えば交換機40Aと交換機40Bとの間)との間で通信を行うことにより、異なる交換機40に接続する通信端末50の間の通信を行う機能を有する。
【0047】
上述のネットワーク制御装置20、災害伝言板システム30、及び、交換機40は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、上述した各装置20,30,40の各機能が発揮される。
【0048】
続いて、本実施形態に係る移動通信システム100による安否情報の保持及び通知を、図4、図7、及び図11のシーケンス図を用いて詳細に説明する。
【0049】
最初に、図4のシーケンス図を用いて、移動通信システム100を構成する安否確認システム10(ネットワーク制御装置20及び災害伝言板システム30)に対して、通信端末50Aが交換機40Aを介して情報(動作情報及び伝言メッセージ)を送信することによって、安否確認システム10において安否情報が保持されるまでの処理について説明する。
【0050】
まず、災害地域において在圏している通信端末50Aは、災害発生時に配信サーバより送信される災害情報を災害情報受信部51により受信する(S100)。災害情報受信部51は、受信した災害情報をディスプレイ506に表示する等により、通信端末50Aの所有者に通知すると共に、動作記録部52に対して災害情報を受信した旨を通知する。
【0051】
次に、通信端末50Aにおいて、災害情報の受信が通知されると、動作記録部52によって自機の動作の記録が開始され(S101)、一定時間(例えば、5分間)経過した後終了される(S102)。動作記録部52が、災害情報受信部51より災害情報を受信した旨を通知された時点から一定時間起動することにより、例えば、自機の移動のほか、所有者による通信端末50Aの操作(ボタン押下げ等)等が記録される。動作記録部52において自機の動作が動作情報として記録された場合には、動作記録部52から動作情報送信部53に当該動作情報が渡される。ここで、例えば加速度センサー等の自機の移動を動作情報として検出する手段を備えている場合には、所有者による通信端末50Aの操作が全く無い場合であっても、所有者の移動に伴う通信端末50Aの移動についても動作情報として記録することができるため、通信端末50Aについてより細かい動作情報を取得することができる。なお、自機の移動を検出する他の手段として、例えばGPSを用いた位置情報等を用いることもできる。
【0052】
通信端末50Aにおいて記録された動作情報は、動作情報送信部53から交換機40Aを介してネットワーク制御装置20に対して送信される(S103a,S103b)。ここで、動作情報をネットワーク制御装置20に送信する方法としては、例えば一定時間動作情報を記録した後に、自動的にネットワーク制御装置20に送信する方法がある。また、動作情報をネットワーク制御装置20に送信する他の方法として、通信端末50Aの位置登録要求信号に当該動作情報を添付して送信する方法がある。この場合は、通常行われる位置登録に係る情報の送受信を用いて動作情報の送信が行われることから、通信端末50Aの動作情報の送信に伴う新たな通信が発生しないという効果がある。
【0053】
ネットワーク制御装置20に送信された通信端末50Aの動作情報は、端末動作受信部21において受信され、安否情報保持部22に送られる。安否情報保持部22では、動作情報の送信元である通信端末50Aを特定する情報(例えば、電話番号)と当該動作情報とを関連付けて、通信端末50Aの安否情報として保持する(S104)。以上の処理によって、通信端末50Aの動作情報を安否情報として保持する処理が終了する。
【0054】
なお、通信端末50Aにおいて一定時間の間に自機の操作や移動がなく、動作情報が記録されなかった場合には、端末動作情報の送信(S103)及びその保持(S104)は行われない態様としてもよいし、動作記録部52は一定時間稼動したものの、動作情報が記録されなかったという情報をネットワーク制御装置20に送信する態様としてもよい。
【0055】
次に、通信端末50Aから、災害伝言板システム30への伝言メッセージ登録がさらに行われる場合について説明する。災害伝言板システム30への伝言メッセージ登録は、通信端末50Aの所有者が通信端末50Aを操作することにより行われ、通信端末50Aの所有者の安否を気遣う他の通信端末50の所有者に対する伝言メッセージを登録するものである。
【0056】
まず、通信端末50Aの所有者は、通信端末50Aを用いて災害伝言板への登録メッセージを作成する(S110)。伝言メッセージの作成は、伝言メッセージ送信部54において、例えば図5に示すような画面を操作することによって行われる。図5に示す伝言メッセージの登録画面では、例えば、「状態」の下に示されるように、「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」の4つの定型文から選択して登録をできるほか、「コメント」のように自由文を登録することもできる。このようにして、伝言メッセージ送信部54において作成された伝言メッセージは、伝言メッセージ送信部54から災害伝言板システム30に対して交換機40Aを介して送信される(S111a,S111b)。
【0057】
災害伝言板システム30では、伝言メッセージ登録部31において受信された伝言メッセージは、伝言メッセージ登録部31において通信端末50Aの電話番号と対応付けて保持される(S112)。また、通信端末50Aの電話番号を指定することによって、通信端末50Aの伝言メッセージに関する問い合わせを受信した際には、問い合わせを行った通信端末50に対して通信端末50Aの伝言メッセージを配信する(S113)ことにより、災害用伝言板としての機能を発揮する。また、ネットワーク制御装置20に対して、通信端末50Aにより伝言メッセージの登録情報を送信する(S114)。ここで、伝言メッセージ登録部31では、図6に示すような伝言メッセージの内容のそれぞれに対応した識別番号表をあらかじめ保持し、通信端末50Aの電話番号と、通信端末50Aの登録した伝言メッセージに対応した識別番号をネットワーク制御装置20に送信する。例えば、通信端末50Aが「無事です。」という伝言メッセージを登録した場合には、識別番号「01」がネットワーク制御装置20に通知される。また、通信端末50Aが自由文を伝言メッセージ登録部31に登録した場合には、識別番号「99」がネットワーク制御装置20に通知される。このように災害伝言板システム30からネットワーク制御装置20に対して、通信端末50Aの電話番号と、伝言メッセージの種類を示す識別番号が送られるので、ネットワーク制御装置20ではこれらを受信し、安否情報保持部22において保持する(S115)
【0058】
以上により、安否確認システム10における通信端末50Aの安否情報の保持に係る処理が終了する。なお、通信端末50Aにおいて、所有者が災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの登録操作を行わなかった場合には、上記の処理(S110〜S115)は行われない。
【0059】
次に、図7のシーケンス図を用いて、通信端末50Bから通信端末50Aとの通信要求が送信された場合の処理の一例を説明する。なお、図7のシーケンス図の処理を行う前提として、通信端末50Aからはあらかじめ動作情報がネットワーク制御装置20に対して送信され安否情報として保持されている(S100〜S104)と共に、災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの登録がなされている(S110〜S115)とする。また、通信端末50Aは、伝言メッセージとして、自由文を登録しているとする。
【0060】
通信端末50Aは、ネットワークの輻輳、電池切れ、あるいは所有者が電話に出られない等により、応答できない状態になっている(S200)。
【0061】
一方、通信端末50Bは、通信端末50Aとの通信要求を送信する(S201)。通信端末50Bから送信された通信端末50Aとの通信要求は交換機40Bを介して(S202a)、ネットワーク制御装置20に対して送信される(S202b)。ネットワーク制御装置20では、通信要求受信部23において通信端末50Aとの通信要求を受信する(S203)と、端末接続部24に通知し通信端末50Bと通信端末50Aとの間のルーティング(通信経路の確立)を指示する。端末接続部24は、当該指示に従い、通信端末50Aが接続する交換機40Aに対してルーティング情報の払出しを要求する(S204)。
【0062】
交換機40Aは、ネットワーク制御装置20からのルーティング払出し要求にしたがって、通信端末50Aの移動体通信網Nへの接続状況の確認(ページング)を行う(S205)。しかしながら、通信端末50Aは応答不可状態(S200)であり、交換機40Aによるページングは規制されるか又は無応答となり、ページングを行うことができない。このため、交換機40Aは、接続不可であることをネットワーク制御装置20に報告する(S206)。この報告を受信した端末接続部24は、接続不可であることを安否情報通知部26に伝える。
【0063】
一方、通信要求受信部23では、通信端末50Aとの通信要求を受信した旨が通知安否情報作成部25に通知され、通信端末50Aに関する通知安否情報の作成が指示される。通知安否情報作成部25では、当該指示にしたがって、安否情報保持部22で保持している通信端末50Aの安否情報に基づいて、通信端末50Bに通知するための通信端末50Aに関する通知安否情報の作成が行われる(S207)。
【0064】
ここで、通知安否情報作成部25において通信端末50Aに関する通知安否情報を作成する際の具体的な処理について、図8〜図10を用いて説明する。通知安否情報作成部25では、安否情報保持部22を参照し、通信端末50Aに関する安否情報を取得する。安否情報保持部22では、図8に示すように、通信端末50の電話番号に対応して、災害伝言板システム30から送信される伝言メッセージ登録情報と、通信端末50から送信される自機の動作情報とが関連付けて保持されている。伝言メッセージ登録情報としては、登録の有無(「あり」又は「なし」)と、登録が「あり」の場合には災害伝言板システム30から通知される伝言メッセージの識別番号が併せて保持される。また、動作情報としては、通信端末50から動作情報の送信の有無(「あり」又は「なし」)とが記載されている。また、図8における通知安否情報の識別番号とは、伝言メッセージ登録の有無及び動作情報の有無に基づいて最優先で通知すべき通知安否情報を示す識別番号である。なお、図8では、電話番号毎に通知安否情報の識別番号が全て付与されているが、通知安否情報作成部25において後述の処理を行うことにより、付与される。この通知安否情報は、図9に示すように、音声ガイダンスとして通知すべき通知安否情報に対応付けて付与される。図9に示す通知安否情報の意識別番号と音声ガイダンスとを対応付けた表は、ネットワーク制御装置20及び交換機40(40A,40B)において保持され、通知安否情報を通信端末50に通知する際に用いられる。
【0065】
図10に、伝言メッセージ登録の有無及び動作情報の有無に基づいた通知安否情報識別番号の選択方法を示す。まず、安否情報保持部22において通信端末50の伝言メッセージが登録されているかどうか判定する(S221)。
【0066】
伝言メッセージが登録されている場合は、当該登録情報(伝言メッセージ)が自由文であるか、すなわち災害伝言板システム30から識別番号「99」が指定されているか、により区別する(S222)。識別番号が「99」以外である場合、すなわち「0X」(本実施形態において、Xは1〜4のいずれか)である場合には、通知安否情報識別番号「0X」を用いることを決定する(S224)。通知安否情報識別番号「0X」とは、図9に示すように、災害伝言板システム30において用いられる定型文(図6)と同じであり、災害伝言板システム30に対して通信端末50が登録した定型文と同じ内容が通知安否情報として用いられることを示す。また、識別番号「99」である場合には、通知安否情報識別番号「99」を用いることを決定する(S225)。通知安否情報識別番号「99」の場合、通信端末50が災害伝言板システム30に対して自由文を登録したことはネットワーク制御装置20において把握しているが、具体的な内容についてはネットワーク制御装置20では把握していないことから、図9に示すように災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの通知を指示するという処理が行われる。
【0067】
安否情報保持部22において通信端末50の伝言メッセージが登録されていない場合には、次に安否情報保持部22において通信端末50からの動作情報を保持されているかについて判定を行う(S223)。通信端末50の動作情報が保持されている場合には、通知安否情報識別番号「20」を用いることを決定する(S226)。この場合には、図9に示すように、通信端末50の移動があった旨を通知するような通知安否情報を作成する。また、通信端末50の動作情報が保持されていない場合には、通知安否情報識別番号「30」を用いることを決定する(S227)。この場合には、図9に示すように、通信端末50からの安否情報が無いことを示すか、又は話中音を通知安否情報として用いることができる。
【0068】
本実施形態に係る通信端末50Aの場合、伝言メッセージとして自由文を登録していることを前提としていることから、図10にしたがって判定した結果、通知安否情報識別番号「99」を用いる(S225)ことが決定される。したがって、図9にしたがって、災害伝言板システム30に伝言メッセージ通知を指示する処理が行われることも併せて示される。
【0069】
上記の方法により作成(決定)された(S207)通信端末50Aの通知安否情報は、あらかじめ確認された接続状況(S204〜S206)と共に、ネットワーク制御装置20から交換機40Bに対して通知される(S208)。交換機40Bでは、通信端末50Bと通信端末50Aとの接続が不可であることを確認すると、通信端末50Bに通知する通知安否情報を確認する。交換機40Bにおいても、上述のように図9に示す通知安否情報識別番号と通知安否情報として通信端末50Bに通知する音声ガイダンスとを対応付けた表を保持しておき、ネットワーク制御装置20から通知される通知安否情報識別番号に基づいて、通知安否情報を音声ガイダンスとして通信端末50Bに通知する。図7の処理においては、ネットワーク制御装置20から通知される通知安否情報として、通知安否情報識別番号「99」が示されていることから、交換機40Bから災害伝言板システム30に対して、通信端末50Aの伝言メッセージの送信指示を送信する(S209)。
【0070】
災害伝言板システム30では、伝言メッセージ通知部32が通信端末50Aの伝言メッセージの送信指示を受信すると、伝言メッセージ登録部31で保持されている伝言メッセージの中から通信端末50Aの登録した伝言メッセージを取得し、これを音声化する(S210)。このように伝言メッセージ通知部32において音声化された伝言メッセージは、交換機40Bを介して通信端末50Bに対して送信される(S211a,S211b)。これにより、通信端末50Bにおいて、通信端末50Aの通知安否情報として音声化された伝言メッセージを受信する(S212)ことができ、通信端末50Bの所有者はこの音声化された伝言メッセージを聞くことによって通信端末50Aの安否状況を知ることができる。これにより、通信端末50Aの安否確認に関する処理が終了する。
【0071】
(第1実施形態の変形例)
次に、図11のシーケンス図を用いて、通信端末50Bから通信端末50Aに対する通信要求が送信された場合の処理の他の例について説明する。なお、図11のシーケンス図の処理を行う前提として、通信端末50Aからは、あらかじめ動作情報がネットワーク制御装置20に対して送信され、安否情報として保持されている(S100〜S104)。しかしながら、災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの登録(S110〜S115)はなされていないとする。また、図7のシーケンス図では通信端末50Aは当初から応答不可(S200)となっている場合について説明したが、図11のシーケンス図では通信端末50Aは当初応答可能(S230)であり、通信端末50Bとの通信のための接続の途中で応答不可(S240)となった場合について説明する。
【0072】
通信端末50Bは、通信端末50Aとの通信要求を送信する(S231)。通信端末50Bから送信された通信端末50Aとの通信要求は交換機40Bを介して(S232a)、ネットワーク制御装置20に送信される(S232b)。ネットワーク制御装置20では、通信要求受信部23において通信端末50Aとの通信要求を受信する(S233)と、端末接続部24に通知し通信端末50Bと通信端末50Aとの間のルーティング(通信経路の確立)を指示する。端末接続部24は、当該指示に従い、通信端末50Aが接続する交換機40Aに対してルーティング情報の払出しを要求する(S234)。
【0073】
交換機40Aは、ネットワーク制御装置20からのルーティング払出し要求にしたがって、通信端末50Aの移動体通信網Nへの接続状況の確認を行う(S235)。この結果、通信端末50Aは応答可能状態(S230)であることから、交換機40Aでは正常にルーティング情報払出しが行われ、その結果がネットワーク制御装置20に報告される(S236)。この報告を受信した端末接続部24は、接続状況としてルーティング情報を安否情報通知部26に伝える。
【0074】
一方、通信要求受信部23は、通信端末50Aとの通信要求を受信した旨を通知安否情報作成部25に通知し、通信端末50Bに送信するための通信端末50Aの通知安否情報の作成を指示する。通知安否情報作成部25では、当該指示にしたがって、通知安否情報の作成を行う(S237)。ここで、通信端末50Aからは、動作情報がネットワーク制御装置20に送信されているものの、上述のように災害伝言板システム30への伝言メッセージの登録が行われていないことから、図10にしたがって判定した結果、通知安否情報識別番号「20」を用いる(S226)ことが決定される。
【0075】
ネットワーク制御装置20は、上記のように確認を行った通信端末50Aとの接続状況(ルーティング情報)と、通知安否情報として通知する音声ガイダンスに対応付けられた通知安否情報識別番号を、安否情報通知部26から交換機40Bに対して通知する(S238)。
【0076】
交換機40Bでは、ネットワーク制御装置20から接続状況として送信されたルーティング情報を元に、交換機40Aに対して、通信端末50Aとの接続要求を送信する(S239)。しかしながら、通信端末50Aは交換機40Aの一回目の接続状況の確認(S235)の後、何らかの理由で応答不可となってしまい(S240)、交換機40Aからの二回目の接続状況の確認(S241)に対して応答できない。したがって、交換機40Aは、通信端末50Aとの接続が確立できなかった旨を交換機40Bに通知する(S242)。
【0077】
交換機40Bでは、交換機40Aからの接続不可の報告を受けて、通信端末50Bに対して、図9の通知安否情報識別番号「20」に対応する「被災後、ご自身で移動ができる状態です」という通知安否情報を、音声ガイダンスとして通信端末50Bに送信する(S243)。音声ガイダンスによる通知安否情報の送信は、あらかじめ保持されたテキスト文を周知の技術により音声化して送信することにより行うことができるほか、あらかじめ通知安否情報識別番号に対応付けて通知安否情報を音声データとして保存しておき、当該音声データを送信するという態様とすることもできる。通信端末50Bは上記の方法等により交換機40Bより送信された通知安否情報の音声ガイダンスを受信する(S244)。通信端末50Bの所有者はこの音声ガイダンスを聞くことによって通信端末50A及びその所有者の安否状況を知ることができる。これにより、通信端末50Aの安否確認に関する処理が終了する。
【0078】
(第1実施形態の移動通信システム100による効果)
以上のように、本実施形態の移動通信システム100によれば、災害情報を受信した第1の通信端末(通信端末50A)においては、災害情報の受信を契機として、通信端末50Aの動作を記録して、動作情報として安否確認システム10に含まれるネットワーク制御装置20に送信することにより、通信端末50Aの動作情報が安否情報として保持される。さらに、通信端末50Aから、同じく安否確認システム10に含まれる災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの登録がなされた場合には、当該情報についても、通信端末50Aの安否情報として保持される。そして、第2の通信端末(通信端末50B)から通信端末50Aへの通信要求があった場合であって、通信端末50Aとの間の接続が確立できなかった場合には、これらの安否情報に基づいて最適な通知安否情報が作成されて、通信端末50Bが送信される。したがって、通信端末50Aの所有者が災害発生後に通信端末50Aを用いて通話等を行っていなくても、ネットワーク制御装置20で保持される安否情報を元に、通信端末50Bに対して通信端末50Aの安否情報を通知することができる。また、本実施形態によれば、通信端末50Bの所有者は、通信端末50Aの所有者の安否を確認するための特別なシステムに接続することなしに、通信端末50Aとの通信要求を行うだけで通信端末50Aの所有者の安否を確認することができる。
【0079】
また、動作記録部52として、上述の加速度センサー等のように自機の移動を動作情報として記録する手段を備えている場合には、通信端末50Aの所有者が通信端末50Aに対して操作を行わなくても、所有者と共に通信端末50Aが移動した場合にはその移動に関する情報が、通信端末50Aの動作情報としてネットワーク制御装置20に送信されるため、安否情報をより広く収集することができる。
【0080】
また、本実施形態のように安否確認システム10に災害伝言板システム30が含まれる構成である場合には、通信端末50Aの所有者が災害伝言板システム30に対して伝言メッセージを登録した場合には、通信端末50Aの所有者が能動的に登録した伝言メッセージを優先して通知安否情報に設定する等の処理を行うことから、より通知安否情報として適切な安否情報を、通信端末50Aへの通信要求を行った通信端末50Bに提供することができる。したがって、安否情報を広く収集できると同時に、より精度の高い安否情報を問い合わせの行った通信端末50Bに通知することができる。
【0081】
さらに、従来は、通信端末50Aの所有者の安否を気遣う通信端末50Bの所有者は、通信端末50Bを用いて災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの配信要求を行う操作を行わないと、通信端末50Aが登録した伝言メッセージを取得できないという問題があった。これに対して、本実施形態では、通信端末50Aとの通信要求を通信端末50Bから送信するだけで、災害伝言板システム30に通信端末50Aが登録した伝言メッセージが用いられ、必要に応じて通信端末50Bに対してこの伝言メッセージが通知されることから、従来の災害伝言板システムと比較して、通信端末50Aの登録した伝言メッセージが、他の通信端末50に対してより幅広く提供される。なお、伝言メッセージは、テキストデータである必要はなく、音声データであってもよい。その場合、伝言メッセージは音声変換等がされることなく、登録された伝言メッセージがそのまま通知安否情報として用いられる。
【0082】
さらに、本実施形態においては、ネットワーク制御装置20の端末接続部24において通信端末50Aとの接続可否を判定して、通信端末50Aと接続できなかった場合に限って通信端末50Aの通知安否情報を通信端末50Bに対して送信する態様をとる。これにより、回線状況等に応じて、通信端末50Aとの接続が成立する場合には、通信端末50Bは通信端末50Aと直接通信を行うことができる。したがって、通信端末50Bの所有者は、通信端末50Aの所有者と直接通信を行うことによってより正確な安否状況の確認を行うことができる。なお、必ずしも上記の構成とする必要はなく、通信端末50Bからの通信要求があった場合に一律に通知安否情報を送信することとしてもよい。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、3G方式において移動体通信向けのIN(Intelligent Network)サービスを提供するCAMEL(Customized Applications for Mobile Enhanced Logic)が用いられる場合について説明する。このCAMELは、INを移動体通信に適用し、VHE(Virtual Home Environment)を実現するためにETSI(European Telecommunications Standards Institute)において開発された技術であり、コアネットワークに対して適用される。
【0084】
本実施形態のように、3G方式の通信様式において、CAMELが使用される場合、交換機40(40A,40B)を構成するgsmSSF(GSM Service Switching Function)が配下の通信端末50に対してCAMELに係る処理を行う機能(種々のサービスを提供する機能)を有する。また、SCPとして機能するネットワーク制御装置20は、CAMELに係る制御を行うgsmSCF(GSM Service Control Function)としての機能を備える。ここでいうgsmSCFとしての機能とは、通信端末50Aとの通信要求が通信端末50Bから交換機40Bに対して送信された際に、予め交換機40Bに対してCAMELサービスに係る処理を指示する機能である。具体的には、gsmSCFは、ネットワーク制御装置20において通信要求を受信した際、交換機40Bに対して着信系サービスの開始を指示し、通信端末50Aとの通信が確立できなかった場合に特別な処理(本実施形態では、通知安否情報の送信に係る処理)が発生することを通知する。そして、通信端末50Aとの通信が確立できなかった場合には、当該結果を交換機40Bに対して通知することにより、交換機40Bにより通知安否情報(伝言メッセージ)を通信端末50Bに対して送信する処理が行われる。なお、「着信系サービス」とは、例えば、着信時に異なる通信端末に対して着信転送を行う処理や通信端末50Aとの間で通信接続が成立しなかった場合の応答処理等のことをいう。
【0085】
上記の処理を図12及び図13に示すシーケンス図を用いて説明する。まず、なお、図12及び図13のシーケンス図の処理を行う前提として、第1実施形態と同様に、通信端末50Aからはあらかじめ動作情報がネットワーク制御装置20に対して送信され安否情報として保持されている(S100〜S104)と共に、災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの登録がなされている(S110〜S115)とする。また、通信端末50Aは、伝言メッセージとして自由文を登録し、災害伝言板システム30からネットワーク制御装置20に対して、自由文の伝言メッセージを示す識別番号「99」が通知されているとする。
【0086】
まず図12を用いて安否確認システム10による処理を含む移動通信システム100による処理の前半について説明する。通信端末50Aは、ネットワークの輻輳、電池切れ、あるいは所有者が電話に出られない等により、応答できない状態になっている(S300)。一方、通信端末50Bは、通信端末50Aとの通信要求を送信する(S301)。通信端末50Bから送信された通信端末50Aとの通信要求は交換機40Bに送信され(S302)、交換機40Bからネットワーク制御装置20に対して、着信情報読出要求が送信される(S303)。ここで本実施形態のようにCAMELを使用している場合に、交換機40Bからネットワーク制御装置20に対して送信される着信情報読出要求とは、ネットワーク制御装置20に含まれるHLRに対して、CAMEL制御を起動するべきか否かを問い合わせるものである。
【0087】
通信要求受信部23は、交換機40Bに対して着信情報読出要求を受信した旨の応答を行う(S304)。このとき、通信要求受信部23は交換機40Bに対して、CAMELに関連してgsmSCFへ問合せるよう指示を行う。次に、交換機40Bは、この指示に対応して通信端末50Bに係る処理を行う際に用いるサービス開始指示をネットワーク制御装置20に対して要求する(S305)。なおここでいう「サービス開始指示要求」とは、通信端末50Bに対してCAMELに基づいて行うサービスに関して具体的な処理の指示を求めるものである。
【0088】
ネットワーク制御装置20の通信要求受信部23において上記のサービス開始指示要求が受信されると、安否情報保持部22を参照することにより、通信端末50Aに対する通信要求を送信した通信端末50Bに対するサービス開始要否確認を行い、以降の処理を継続するかを確認する。具体的には、ネットワーク制御装置20の安否情報保持部22に通信端末50Aの伝言メッセージが格納されている場合には、通信端末50Aは被災地域にいると判断され、以降のサービスを継続して行う必要があると判断される。このように、サービスの提供要否を通信要求受信部23において判断する(S306)。ここで、通信端末50Aの通知安否情報が安否情報保持部22に格納されている場合には、通信要求受信部22により通信端末50Bに対する着信系サービスの提供が必要であると判断され、以降の処理が行われる。なお、通信端末50Aの通知安否情報が安否情報保持部22に格納されていない場合には、通信端末50Aが被災地域にいないと判断され、通信端末50Bに対する着信系サービスの提供に係る処理は中止される。
【0089】
通信要求受信部23は、通信端末50Aの通知安否情報が安否情報保持部22に格納されている場合には、上述のサービス開始指示要求に対する応答を交換機40Bに対して送信する(S307)。さらに、このステップでは、「通信端末50Aとの接続が不成立である場合の情報の受信」をイベントとするように、交換機40Bに対して指示がなされる。ここでいう「イベント」とは、上記の着信系サービスを開始する契機となる情報のことをいう。交換機40Bは、ネットワーク制御装置20からの指示に基づき上記イベントを登録する(記録する)(S308)ことにより、着信系サービスに係る準備の処理を終了し、通信端末50Aとの通信要求をネットワーク制御装置20に含まれるHLRに対して送信する(S309)。
【0090】
ネットワーク制御装置20の通信要求受信部23は、交換機40Bからの通信要求を受信すると、端末接続部24に通知し通信端末50Bと通信端末50Aとの間のルーティング(通信経路の確立)を指示する。端末接続部24は、当該指示に従い、通信端末50Aが接続する交換機40Aに対してルーティング情報の払出しを要求する(S310)。交換機40Aは、ネットワーク制御装置20からのルーティング払出し要求にしたがって、通信端末50Aの移動体通信網Nへの接続状況の確認を行う(S311)。しかしながら、通信端末50Aは応答不可状態(S300)であるため、交換機40Aは、接続不可であることをネットワーク制御装置20に報告する(S312)。この報告を受信した端末接続部24は、通信端末50Aに対する接続が不可であることを安否情報通知部26に伝える。
【0091】
引き続き、図13を用いて、本発明に係る処理の後半部について説明する。端末接続部24は、通信端末50Aに対する接続が不可であることを交換機40Bに対して報告する(S313)。ここで、交換機40Bでは、ネットワーク制御装置20から送信された情報(通信端末50Aに対する接続が不可であることを示す情報)が上述の登録された「イベント」に合致する場合、「イベント」が発生したことを検出する(S314)。そして、イベントが検出されたことは、交換機40Bからネットワーク制御装置20に対して通知される(S315)。併せて、交換機40Bからネットワーク制御装置20に対して以降の処理に係る問い合わせがなされる。
【0092】
ネットワーク制御装置20では、交換機40Bからのイベント検出通知を受信すると、通知安否情報作成部25において通信端末50Aに関する通知安否情報が作成される(S316)。ここで、通知安否情報作成部25において通信端末50Aに関する通知安否情報を作成する際の具体的な処理は、図8〜図10に示される処理と同様である。すなわち第1実施形態において安否情報保持部22で保持している通信端末50Aの安否情報に基づいて通知安否情報が作成される(S207)際の処理と同様である。そして、通知安否情報作成部25により作成された通知安否情報とともに上記の着信系サービスの開始が交換機ネットワーク制御装置20から交換機40Bに対して指示される(S317)。
【0093】
交換機40Bでは、着信系サービスの開始指示を受信すると、サービス開始指示と共に送信される通知安否情報を参照して、災害伝言板システム30に対して、通信端末50Aの伝言メッセージの送信指示を送信する(S318)。そして、災害伝言板システム30において、通信端末50Aの登録した伝言メッセージが取得された後、音声化される(S319)。そして、音声化された伝言メッセージが、交換機40Bを介して通信端末50Bに対して送信される(S320a,S320b)。これにより、通信端末50Bにおいて、通信端末50Aの通知安否情報として音声化された伝言メッセージを受信する(S321)ことができ、通信端末50Bの所有者はこの音声化された伝言メッセージを聞くことによって通信端末50Aの安否状況を知ることができる。これにより、通信端末50Aの安否確認に関する処理が終了する。なお、上記の交換機40Bによる伝言メッセージの送信指示の送信から、通信端末50Bにおける音声化された伝言メッセージの受信までの処理(S318〜S321)は、第1実施形態における処理(S209〜S212)と同様に行われる。
【0094】
ここで、第1実施形態の変形例(図11に示すシーケンス図)と同様に、通信端末50Aは当初応答可能であり、通信端末50Bとの通信のための接続の途中で応答不可となった場合について説明する。この場合、交換機40Aに対してルーティング情報払出し要求を送信する(S310)処理までは、本実施形態と同様である。ただし、この時点では通信端末50Aと応答可能であるために、ルーティング情報が払い出されるため、その結果がネットワーク制御装置20から交換機40Bに通知される。そして、この通知に基づいて交換機40Bから交換機40Aに対して接続要求を送信することにより通信端末50Aとの接続に係る処理が行われる。これらの処理は第1実施形態の変形例と同様である。そして、何らかの理由により、接続途中で応答不可となった(例えばタイムアウトとなった)場合には、その結果に基づいて交換機40Aから送信される接続不可の通知を交換機40Bにおいて受信される。交換機40Bでは、この通知を参照し、登録された「イベント」が発生したことを検出(S314)する。以降、本実施形態のシーケンス図(図13)と同様の処理が行われる。すなわち、「イベント検出」(S314)に基づいて、交換機40Bにおいて着信系サービス(通知安否情報の通知に係る処理)が開始され、音声化された伝言メッセージが通信端末50Bに対して通知される。
【0095】
上記の第2実施形態のように、コアネットワークにおいてCAMELを使用した場合であっても、第1実施形態と同様に、通信端末50Aの所有者が災害発生後に通信端末50Aを用いて通話等を行っていなくても、ネットワーク制御装置20で保持される安否情報を元に、通信端末50Bに対して通信端末50Aの安否情報を通知することができる。また、コアネットワークにおいてCAMELを使用している場合には、本実施形態の態様とすることで、コアネットワークにおける安否情報通知に係る処理の実装が容易となる。
【0096】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、移動体通信網NがIMS(IP Multimedia Subsystem)を含んで構成される態様について説明する。第3実施形態に係る移動通信システムでは、第1実施形態に係る移動通信システム100と各機能部の構成は同じであるが、各機能部の機能を実現する装置が異なる。以下、移動通信システム100に含まれる各装置について、第1実施形態に係る移動通信システム100と異なる点について説明する。
【0097】
まず、本実施形態におけるネットワーク制御装置20は、IMSにおけるHSS(Home Subscriber Server)としての機能を有し、移動通信端末の加入者プロファイルを管理する。
【0098】
そして、通信端末50(50A,50B)が安否確認システム10に接続する際に接続する交換機40(40A,40B)は、CSCF(Cell/Session Control Function)/AS(Application Server)により実現される。このCSCF/ASのうち、CSCFは、標準のIMSにおいて、SIP(Session Initiation Protocol)メッセージの処理を行う論理ノードであり、ユーザの登録やセッション設定の制御を行う機能を有する。また、ASは、サービスを実装し実効するサービス制御装置としての機能を有する。そして、ネットワーク制御装置20の指示にしたがって、他の交換機40(例えば交換機40Aと交換機40Bとの間)との間で通信を行うことにより、異なる交換機40に接続する通信端末50の間の通信を行う機能を有する。なお、IMSでは、交換機40(40A,40B)は、自機の配下の通信端末50に係る情報の管理は行うものの、他の交換機40の配下に接続する通信端末50の通信に係る情報については管理を行わない点が第1実施形態に係る3G方式と異なる点である。
【0099】
また、本実施形態における交換機40(40A,40B)の機能を行うCSCF(Cell/Session Control Function)/AS(Application Server)に対して、IMSにおける音声ガイダンス送出する論理ノードであるMRF(IMS Multimedia Resource Function)が接続されている。上記のように、交換機40としての機能を行うノードが複数に分散している場合もあるが、以下の実施形態では、これらのノードを全て含めて「交換機40」として説明する。
【0100】
上記の構成を有する移動通信システムによる安否情報に係る処理について説明する。なお、安否情報に係る処理のうち、安否情報の保持に係る処理については、第1実施形態の移動通信システム100による安否情報の保持に係る処理(図4参照)と同様に行われる。すなわち、通信端末50Aにおいて、災害情報の受信を契機として端末の動作が記録され、この情報が交換機40Aを介してネットワーク制御装置20に対して送信されることにより、端末動作情報が保持される。また、通信端末50Aから交換機40Aを介して災害伝言板システム30に対して伝言メッセージが送信されることにより、災害伝言板システム30において伝言メッセージが保持されると共に、災害伝言板システム30における伝言メッセージの登録情報がネットワーク制御装置20に対して通知され、ネットワーク制御装置20において保持される。
【0101】
図14は、安否情報の通知に係る処理を説明するシーケンス図である。図14を用いて本実施形態に係る移動通信システム100による安否情報に係る処理について説明する。
【0102】
通信端末50Aは、ネットワークの輻輳、電池切れ、あるいは所有者が電話に出られない等により、応答できない状態になっている(S400)。一方、通信端末50Bは、通信端末50Aとの通信要求を送信する(S401)。通信端末50Bから送信された通信端末50Aとの通信要求は交換機40Bに対して送信される(S402)。交換機40Bでは、この通信要求に基づいて、ネットワーク制御装置20に対して通信端末50Aに係る情報の読出要求が行われる(S403)。本実施形態のようなIMSを用いた通信では、第1実施形態における3G方式による通信と異なり、ネットワーク制御装置20によるルーティング情報の払出しに係る処理は行われない。ここで、交換機40Bによりネットワーク制御装置20に対して送信される読出要求とは、通信端末50Aに係る在圏情報及び契約情報と、通信端末50Aに関してネットワーク制御装置20において格納される通知安否情報の送信を要求するものである。ネットワーク制御装置20では、通信要求受信部23において通信端末50Aに係る情報の読出要求を受信する(S404)。
【0103】
次に、本実施形態におけるネットワーク制御装置20では、この通信端末50Aに係る情報の読出要求に基づいて、通知安否情報作成部25において通知安否情報が作成される(S405)。ここで、通知安否情報作成部25において通信端末50Aに関する通知安否情報を作成する際の具体的な処理は、図8〜図10に示される処理と同様である。すなわち第1実施形態において安否情報保持部22で保持している通信端末50Aの安否情報に基づいて通知安否情報が作成される(S207)際の処理と同様である。そして、通知安否情報作成部25において作成された通知安否情報は、安否情報通知部26から交換機40Bに対して情報読出要求に対する応答として送信される(S406)。この際に、通信端末50Aの所有者の契約情報や在圏するエリア等の通信端末50Aとの接続に用いられる情報も併せてネットワーク制御装置20から交換機40Bに対して送信される。
【0104】
交換機40Bは、ネットワーク制御装置20から送信され、通知安否情報及び通信端末50Aとの接続に用いられる情報が含まれた情報読出要求応答を受信すると、これらの情報に基づいて、通信端末50Aが接続する交換機40Aに対して接続要求を送信する(S407)。交換機40Aは、交換機40Bからの接続要求にしたがって、通信端末50Aの移動体通信網Nへの接続状況の確認を行う(S408)。しかしながら、通信端末50Aは応答不可状態(S400)であるため、交換機40Aは、接続不可であることを交換機40Bに対して報告する(S409)。
【0105】
ここで、交換機40Bでは、伝言メッセージの送信依頼を災害伝言板システム30に対して送信する(S410)。そして、災害伝言板システム30において、通信端末50Aの登録した伝言メッセージが取得された後、音声化される(S411)。そして、音声化された伝言メッセージが、交換機40Bを介して通信端末50Bに対して送信される(S412a,S412b)。これにより、通信端末50Bにおいて、通信端末50Aの通知安否情報として音声化された伝言メッセージを受信する(S413)ことができ、通信端末50Bの所有者はこの音声化された伝言メッセージを聞くことによって通信端末50Aの安否状況を知ることができる。これにより、通信端末50Aの安否確認に関する処理が終了する。なお、上記の交換機40Bによる伝言メッセージの送信指示の送信から、通信端末50Bにおける音声化された伝言メッセージの受信までの処理(S410〜S413)は、第1実施形態における処理(S209〜S212)と同様に行われる。
【0106】
上記の第3実施形態のように、通信方式が3GがIMSと変更された場合であっても、第1実施形態と同様に、通信端末50Aの所有者が災害発生後に通信端末50Aを用いて通話等を行っていなくても、ネットワーク制御装置20で保持される安否情報を元に、通信端末50Bに対して通信端末50Aの安否情報を通知することができる。
【0107】
なお、上記の説明では、通知安否情報の作成(S405)を、交換機40Bからの情報読出要求の受信(S404)後に行う場合について説明している。しかしながら、上記の段階では通知安否情報の作成を行わずに、交換機40Bが接続不可通知を受けた(S409)の後に、交換機40Bからネットワーク制御装置20に対して通知安否情報の提供要求を送信し、これに基づいてネットワーク制御装置20において通知安否情報を作成して交換機40Bに対して送信する態様としてもよい。
【0108】
また、上記実施形態の変形例として、交換機40Bが行っている処理の一部を交換機40Aが行う態様とすることもできる。その一例を以下に説明する。例えば、上記実施形態では、交換機40Aが接続状況の確認(S408)を行った結果、通信端末50Aとの接続を成立することができない場合には、その結果が接続不可通知として交換機40Aから交換機40Bに対して通知される(S409)。そして、この通知を契機として、交換機40Bから災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの送信を依頼する(S410)。この変形例として、交換機40Aにおいて通信端末50Aとの接続が不可であることが確認された(S408)ことを契機として、交換機40Aから災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの送信を依頼することができる。この場合、交換機40Aでの通信端末50Aの接続状況の確認結果に基づいて、交換機40Aからネットワーク制御装置20に対して通知安否情報の提供要求が送信される。そして、予めネットワーク制御装置20において保持され、交換機40Aからの提供要求に基づいてネットワーク制御装置20から交換機40Aに対して送信される通信端末50Aに係る通知安否情報を用いて、交換機40Aから災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの送信依頼が送信される。この態様とする場合、交換機40Aと災害伝言板システム30との間で伝言メッセージの送信に係る処理が行われたことは交換機40Aから交換機40Bに対して接続不可通知(S409)と併せて通知される。このように、上記実施形態において交換機40Bが行っている処理の一部を交換機40Aが行う態様とすることもできる。
【0109】
また、上記変形例に関連して、ネットワーク制御装置20において保持される被災地域の通信端末50(例えば通信端末50A)に係る通知安否情報を、予め通信端末50Aが接続する交換機(例えば交換機40A)に対して送信し、交換機40Aに格納する態様とすることができる。この場合には、交換機40Aにおいて通信端末50Aとの接続が不可であることが確認された(S408)ことを契機として、ネットワーク制御装置20から送信され、交換機40Aに格納される通信端末50Aに係る通知安否情報を用いて、災害伝言板システム30に対して伝言メッセージの送信依頼を行う態様としてもよい。
【0110】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態と比較して、第2実施形態と同様にCAMEL(Customized Applications for Mobile Enhanced Logic)が用いられる点が異なる。すなわち、第4実施形態では、通信方式は第3実施形態と同様にIMSであり、且つ、CAMELが用いられる場合についての処理の方法について説明する。
【0111】
上記のように、通信方式がIMSであることから、本実施形態に係る移動通信システム100におけるネットワーク制御装置20は、第3実施形態と同様に、IMSにおけるHSSとしての機能を有する。さらに、ネットワーク制御装置20は、第2実施形態と同様に、CAMELに係る制御を行うgsmSCF(GSM Service Control Function)としての機能を備える。
【0112】
また、通信端末50(50A,50B)がIMSを用いて安否確認システム10に接続する際に接続する交換機40(40A,40B)は、CSCF(Cell/Session Control Function)/AS(Application Server)の機能を有する。また、本実施形態における交換機40(40A,40B)は、第3実施形態と同様に、物理的に別ノードであるMRF(IMS Multimedia Resource Function)を含んで構成される。さらに、交換機40(40A,40B)は、IM−SSF(IMSService Switching Function)を含んで構成される。このIM−SSFは、従来第2実施形態のようにINの枠組みで提供してきたサービスをIMSでも提供するためのASとしての機能を有する。具体的には、IM−SSFは、3Gで好適に用いられたCAMELをIMSに置いて利用するための装置である。この装置がネットワーク制御装置20に含まれるgsmSCFとの間で通信を行うことにより、CAMELを用いた通信が実現される。以下、その処理について説明する。
【0113】
図15は、安否情報の通知に係る処理を説明するシーケンス図である。図15を用いて本実施形態に係る移動通信システム100による安否情報に係る処理について説明する。なお、本実施形態では、通信端末50Aは、伝言メッセージとして自由文を登録し、災害伝言板システム30からネットワーク制御装置20に対して、定型文の伝言メッセージを示す識別番号「04」が通知されているとする。そして、交換機40(40A,40B)は、第1実施形態において説明したように、定型文の通知安否情報の音声ガイダンスを保持している場合について説明する。
【0114】
まず、前提条件として、通信端末50Aは、ネットワークの輻輳、電池切れ、あるいは所有者が電話に出られない等により、応答できない状態になっている(S500)。また、CAMELを使用して、予め交換機40Aにおいて「通信端末50Aが応答不可である」状態が、交換機40Aにおける着信系サービスを開始する契機となる「イベント」として登録される(S501)。
【0115】
上記の状況において、通信端末50Bは、通信端末50Aとの通信要求を送信する(S502)。この通信要求は交換機40Bに対して送信され(S503)、交換機40Bでは通信要求に基づいて、ネットワーク制御装置20に対して通信端末50Aに係る情報の読出要求が行われる(S504)。本実施形態では、この情報の読出要求に基づいて、ネットワーク制御装置20(HSS)において、通信端末50Aの接続先の交換機40Aを特定する情報等を含む情報読出応答を交換機40Bに対して送信する(S505)。交換機40Bは、ネットワーク制御装置20から送信された情報読出応答を受信すると、情報読出応答に含まれる通信端末50Aの接続先等の情報に基づいて、通信端末50Aが接続する交換機40Aに対して接続要求を送信する(S506)。交換機40Aは、交換機40Bからの接続要求にしたがって、通信端末50Aの移動体通信網Nへの接続状況の確認を行う(S507)。しかしながら、通信端末50Aは応答不可状態(S500)であることが確認される。
【0116】
ここで、交換機40Aは、「通信端末50Aが応答不可である」状態を、交換機40Aにおける着信系サービスを開始する契機となる「イベント」として登録していた(S501)ことから、輻輳又は切断等により通信端末50Aが応答不可状態であることを「イベント」として検出する(S508)。そして、イベントが検出された旨を、CAMELを制御するgsmSCFが含まれるネットワーク制御装置20へ通知することにより(S509)、イベント検出により交換機40Aにおいて開始する処理の確認を行う。イベント検出通知を受信したネットワーク制御装置20の通知安否情報作成部25では、通知安否情報が作成される(S510)。ここで、通知安否情報作成部25において通信端末50Aに関する通知安否情報を作成する際の具体的な処理は、図8〜図10に示される処理と同様である。すなわち第1実施形態において安否情報保持部22で保持している通信端末50Aの安否情報に基づいて通知安否情報が作成される(S207)際の処理と同様である。なお、本実施形態では、通信端末50Aにより定型文が登録されているため、当該定型文の識別番号「04」が通知安否情報として選択される。そして、通知安否情報作成部25において作成された通知安否情報は、安否情報通知部26から交換機40Aに対してサービス(着信系サービス)の開始指示と共に送信される(S511)。
【0117】
交換機40Aは、ネットワーク制御装置20から送信されるサービス開始指示及び通知安否情報に基づいて、伝言メッセージの送信に係る処理を行う。本実施形態では、交換機40Aは、定型文を示す識別番号「04」の伝言メッセージを通信端末50Bに対して送信する旨の指示がネットワーク制御装置20から送信されるため、通信端末50Bが接続する交換機40Bに対して、当該識別番号に対応する伝言メッセージの送信依頼を送信する(S512)。そして、交換機40Bに含まれるMRFにより、識別番号に対応する伝言メッセージ(通知安否情報)が通信端末50Bに対して出力される(S513)。これにより、通信端末50Bにおいて、通信端末50Aの通知安否情報として音声化された伝言メッセージを受信する(S514)ことができ、通信端末50Bの所有者はこの音声化された伝言メッセージを聞くことによって通信端末50Aの安否状況を知ることができる。これにより、通信端末50Aの安否確認に関する処理が終了する。
【0118】
なお、上記の処理では、定型文の通知安否情報を通信端末50Bに対して通知する場合について説明したが、通知安否情報として自由文が指定されている場合には、交換機40Aがサービス開始指示を受信する(S511)までは図15に示すシーケンス図と同様である。その後、図16のシーケンス図に示すように、交換機40Aは、交換機40Bを介して通信端末50Bに送信するための伝言メッセージの送信依頼を災害伝言板システム30に対して送信する(S522)。そして、災害伝言板システム30において伝言メッセージを音声化した(S523)後、交換機40Bを介して通信端末50Bに対して送信する(S524a,S524b)ことにより、通信端末50Bにおいて当該伝言メッセージを受信することができる(S525)。
【0119】
上記の第4実施形態のように、通信方式が3GがIMSと変更され、且つ、CAMELを使用した場合であっても、第1〜第3実施形態と同様に、通信端末50Aの所有者が災害発生後に通信端末50Aを用いて通話等を行っていなくても、ネットワーク制御装置20で保持される安否情報を元に、通信端末50Bに対して通信端末50Aの安否情報を通知することができる。また、コアネットワークにおいてCAMELを使用している場合には、本実施形態の態様とすることで、コアネットワークにおける安否情報通知に係る処理の実装が容易となる。
【0120】
なお、上記実施形態についても、第3実施形態と同様に、交換機40Aにおいて行われる処理を交換機40Bが行う態様に変更することができる。例えば、上記実施形態では、交換機40Aにおいて「通信端末50Aが応答不可である」状態が、交換機40Aにおける着信系サービスを開始する契機となる「イベント」として登録され(S501)、このイベントが検出された(S508)ことを契機として、通信端末50Bに対する通知安否情報の通知に係る処理(S509〜)が行われる。しかし、これに対応させて、交換機40Bにおいて「通信端末50Aが応答不可である通知を受信する」ことを「イベント」として登録しておき、交換機40Aからの接続不可に係る通知を契機として、通信端末50Bに対する通知安否情報の通知に係る処理を行う態様としてもよい。
【0121】
以上、本発明の好適な実施形態について述べてきたが、本実施形態に係る移動通信システム100は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を取ることが可能である。
【0122】
例えば、安否確認システム10はネットワーク制御装置20及び災害伝言板システム30を含んで構成される構成としたが、交換機40(40A,40B)が安否確認システム10の機能の一部を有する構成としてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、通信端末50Aに関する通知安否情報として、安否情報保持部22において保持される通信端末50Aの安否情報から最優先で通知すべき通知安否情報を作成し、図9に示すような音声ガイダンスに変換して通信端末50Bに通知する処理を行っているが、音声ガイダンスとして、通信端末50Aから送信された安否情報(例えば、通信端末50Aの移動に関する情報)をそのまま通知安否情報として送信する態様することもできる。また、音声ガイダンスに換えてテキストデータ等を通信端末50Bに送信する態様としてもよい。なお、上記実施形態では、図9に示す通知安否情報と通知安否情報識別番号とを対応付けた表を、ネットワーク制御装置20及び交換機40の双方で保持する構成について説明しているが、ネットワーク制御装置20では当該対応表を保持せず通知安否情報に対応付けられた通知安否情報識別番号のみを付与する処理を行い、交換機40側で通知安否情報識別番号から対応付けられた通知安否情報を音声ガイダンスとして通信端末50Bに通知する態様とすることもできる。
【0124】
また、上記実施形態では、通信端末50Aにおいて災害情報の受信を契機として自機の動作を一定時間記録する場合について説明したが、通信端末50Aにおいて自機の動作を動作情報として常時記録しておき、災害情報を受信した場合に、常時記録している動作情報の一部(例えば災害情報受信後の一定時間に関する記録)をネットワーク制御装置20に送信する態様としてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では災害伝言板システム30を備える構成について説明したが、災害伝言板システム30を備えない構成であってもよい。この場合、ネットワーク制御装置20において通信端末50Aの動作に関する情報を通信端末50Aの安否情報として保持し、通信端末50Aとの通信要求を送信する通信端末50Bに通知する。したがって、通信端末50Aが災害後に通話を行っていない場合でも、通信端末50Aの安否情報を通信端末50Bに伝えることができるという上記実施形態と変わらない効果を有する。
【符号の説明】
【0126】
10…安否確認システム、20…ネットワーク制御装置、21…端末動作受信部、22…安否情報保持部、23…通信要求受信部、24…端末接続部、25…通知安否情報作成部、26…安否情報通知部、30…災害伝言板システム、31…伝言メッセージ登録部、32…伝言メッセージ通知部、40…交換機、50…通信端末、51…災害情報受信部、52…動作記録部、53…動作情報送信部、54…伝言メッセージ送信部、100…移動通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信網に接続して通信を行う通信端末と、災害時に第1の通信端末の安否情報を、当該第1の通信端末との通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムと、を含んで構成される移動通信システムであって、
前記第1の通信端末は、
前記災害に関する災害情報を受信する災害情報受信手段と、
自機の動作を記録する動作記録手段と、
前記災害情報受信手段により前記災害情報が受信されたことに基づいて、前記動作記録手段により記録された自機の動作に関する情報を、移動体通信網を介して前記安否確認システムに送信する端末動作送信手段と、
を備え、
前記安否確認システムは、
前記第1の通信端末から送信される当該第1の通信端末の動作に関する情報を受信する端末動作受信手段と、
前記端末動作受信手段により受信された前記第1の通信端末の動作に関する情報を、当該第1の通信端末の安否情報として保持する安否情報保持手段と、
前記第2の通信端末から送信される前記第1の通信端末との通信要求を受信する通信要求受信手段と、
前記通信要求受信手段により受信された前記通信要求に基づいて、前記安否情報保持手段で保持する前記安否情報を参照し、前記第1の通信端末の安否情報に基づいて、前記第2の通信端末に通知するための通知安否情報を作成する通知安否情報作成手段と、
前記通知安否情報作成手段により作成された前記通知安否情報を、前記第2の通信端末通信端末に通知する安否情報通知手段と、
を備えることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記動作記録手段は、自機が移動した場合に、その移動を自機の動作として記録することを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記動作記録手段は、前記災害情報受信手段が前記災害情報を受信したのを契機に自機の動作を記録することを特徴とする請求項1又は2記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記安否確認システムは、
前記通信要求受信手段において受信された前記第2の通信端末から送信される前記第1の通信端末との通信要求に基づいて、前記第1の通信端末への接続を行う端末接続手段をさらに備え、
前記安否情報通知手段は、前記端末接続手段において前記第1の通信端末への接続ができない場合に前記第2の端末に前記通知安否情報を通知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記第1の通信端末は、
伝言メッセージを前記安否確認システムに送信する伝言メッセージ送信手段をさらに備え、
前記安否確認システムは、
前記第1の通信端末から送信された前記伝言メッセージを受信し、他の通信端末からの伝言メッセージ配信要求により当該他の端末に対して前記伝言メッセージを送信する伝言メッセージ配信手段をさらに備え、
前記安否情報保持手段は、前記伝言メッセージ配信手段により受信された前記伝言メッセージを、当該第1の通信端末の安否情報としてさらに保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動通信システム。
【請求項6】
移動体通信網に接続して通信を行う通信端末と、災害時に第1の通信端末の安否情報を、当該第1の通信端末との通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムと、を含んで構成される移動通信システムにおける第1の通信端末であって、
前記災害に関する災害情報を受信する災害情報受信手段と、
自機の動作を記録する動作記録手段と、
前記災害情報受信手段により前記災害情報が受信されたことに基づいて、前記動作記録手段により記録された自機の動作に関する情報を、移動体通信網を介して前記安否確認システムに送信する端末動作送信手段と、
を備えることを特徴とする第1の通信端末。
【請求項7】
災害時に移動体通信網に接続して通信を行う通信端末のうち第1の通信端末の安否情報を、当該第1の通信端末との通信要求を送信した第2の通信端末に対して、移動体通信網を介して通知する安否確認システムであって、
前記第1の通信端末から送信される当該第1の通信端末の動作に関する情報を受信する端末動作受信手段と、
前記端末動作受信手段により受信された前記第1の通信端末の動作に関する情報を、当該第1の通信端末の安否情報として保持する安否情報保持手段と、
前記第2の通信端末のいずれかから送信される前記第1の通信端末との通信要求を受信する通信要求受信手段と、
前記通信要求受信手段により受信された前記通信要求に基づいて、前記安否情報保持手段で保持する前記安否情報を参照し、前記第1の通信端末の安否情報に基づいて、前記第2の通信端末に通知するための通知安否情報を作成する通知安否情報作成手段と、
前記通知安否情報作成手段により作成された前記通知安否情報を、前記第2の通信端末通信端末に通知する安否情報通知手段と、
を備えることを特徴とする安否確認システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−303199(P2009−303199A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50785(P2009−50785)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】