説明

移動通信システム及び基地局制御装置

【課題】MIMO/OFDMセルラシステムにおいてセル端のスループットを向上する。
【解決手段】基地局BS#1のセルと基地局BS#2のセルの境界付近に位置する移動局MS#1に基地局BS#1が割り当てている周波数帯域と同じ周波数帯域が割り当てられている基地局BS#2に所属する移動局MS#2があるとき、基地局BS#1と基地局BS#2はそれぞれの基地局からの送信ランクの合計が移動局MS#1の受信アンテナ数以下となるように協調スケジューリングする。移動局MS#1及びMS#2は線形干渉キャンセルを用いて希望信号を取り出す。また、送信ランクが協調制御される移動局BS#1とBS#2が互いのセル端に位置する移動局となるように、周波数リソースの割当を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMO/OFDM方式を用いた移動通信システム及び基地局制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送信機、受信機にそれぞれ複数のアンテナを持つMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)システムが注目されている。MIMOシステムにおける送信方法、すなわちマルチアンテナ送信方法にはいくつかの方法があり、単一のストリームを時空間符号化やビームフォーミングを行って送信することにより得られるダイバーシティ効果によってSN比を改善し、伝送の信頼性の向上を主眼とする送信ダイバーシティと、複数のストリームを空間多重で送信することにより、伝送レートを向上させることを主眼とするMIMO空間多重伝送(MIMO−SDM: MIMO-Space Division Multiplexing)に大別される。
MIMO−SDMは、送受ともに複数アンテナを適用し、複数サブストリームの同時送信によりピークスループットを向上させることができるが、一般に、総送信アンテナ数>受信アンテナ数のときに特性が劣化する。また、所要受信SINRが増大するため、受信SINRが低いセル端での特性がよくないという性質がある。
【0003】
3GPP-LTE,IEEE 802.16e Mobile WiMAX等、近年、様々な移動無線通信システムが開発された。これらのシステムではOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)やMIMO等の無線伝送技術が採用されている。特に、OFDMとMIMOの組合せはMIMO/OFDMと呼ばれ、移動無線通信システムの周波数利用効率向上に大きく貢献している。しかしながら、移動通信におけるトラフィック量は未だ急速に増大しており、更なる無線アクセス高度化が求められている。更なる周波数利用効率の向上を目指し、3GPP LTE-Advanced, IEEE 802.16m (WiMAX 2)の検討が進められている。
【0004】
単一周波数繰返しを用いるMIMO/OFDMセルラ方式では、セル間干渉(ICI:Inter-Cell Interference)が発生する。高トラフィック環境では、セル端移動局は大きなICIを受け、セル端スループットは大きく低下する。
セル端スループットとシステムスループットを同時に向上させる有力な手法として、セル間干渉キャンセル法が検討されている。
図7に示すように、基地局#1のセルと基地局#2のセルからなるセルラシステムを考える。第3世代、OFDM系のシステムでは、周波数が重なることがないようにユーザを割り当てていく。しかし、ユーザが多くなるとお互いのセル間で周波数が重なってしまい、干渉を及ぼしてしまうという状況が発生する。例えば、図示するように、基地局#1にはユーザBとユーザCが図示するリソースブロックを割り当てられて通信中であり、基地局#2にはユーザa、ユーザb及びユーザcがそれぞれ図示するリソースブロックを割り当てられて通信中であるとする。このような状況において、基地局#2のセル(隣接セル)との境界付近に位置している新規ユーザAには、ユーザbに割り当てられている周波数しか割り当てることができない。この状態では、ユーザAは基地局#1からの希望信号の受信電力と基地局#2からの干渉信号の受信電力がほぼ等しくなり、全くスループットが出せないという状況となる。すなわち、新規ユーザAに周波数を割り当てることが困難である。
このような状態で、新規ユーザAの受信機がセル間干渉を除去する機能を有しており、ユーザbからの干渉信号を取り除くことができたとすると、セル端のユーザAにおける受信品質を向上させることができ、新規ユーザAにこの周波数を割り当てることが可能となる。この技術がセル間干渉キャンセラと呼ばれる。
【0005】
そこで本発明者らは、MIMO/OFDMセルラ方式を対象として、希望信号と干渉信号の結合推定に基づく非線形ICIキャンセル処理を用いた下りリンク伝送法を提案している(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−100116号公報
【特許文献2】特開2010−206457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した本発明者らにより提案された方法によれば、セル端スループットとシステムスループットを同時に向上させることができる。
しかしながら、この結合推定に基づくICIキャンセル方式は、移動局受信機において、変調方式、プリコーディング方式のような送信方式に関する情報を希望信号のみならず干渉信号に対しても取得することを必要とするため、移動局の処理を複雑にするという問題があった。また、干渉局送信における空間多重(同時送信サブストリーム)数が移動局側のアレーアンテナの自由度を超える中で高精度なセル間干渉除去を実現するために、ML(最尤:Maximum Likelihood)検出やMAP(最大事後確率: Maximum A posteriori Probability)検出等といった実装上の困難を伴う非線形信号処理が必要であった。このような非線形信号処理を、携帯型の移動局装置に実装することは、消費電力等の観点から好ましくない。
【0008】
そこで本発明は、基地局間協調制御に基づく送信ランク(空間多重の同時送信サブストリーム数)制御と移動局側の線形干渉キャンセリングを組み合わせることによりセル端ユーザの伝送特性を改善することができる移動通信システム及び基地局制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の移動通信システムは、複数のアンテナを有する複数の基地局と複数のアンテナを有する移動局がOFDMにより通信を行う移動通信システムであって、下りリンクの伝送において複数の基地局で共通の周波数帯域を使用する際、互いに干渉となる全ての基地局の送信タイミングが、移動局における各基地局からの信号のマルチパスを含めた受信タイミングのずれがOFDMのガードインターバル内に収まるように制御されており、前記複数の基地局に接続された基地局制御装置を有し、前記基地局は、移動局側で既知の同期信号、移動局側で既知のパイロット信号、及び、少なくとも移動局との通信に必要な制御情報を、ユーザデータを伝送するデータチャネルに多重して送信し、前記移動局は、自セル基地局からの前記同期信号に基づいて最適受信タイミングを推定し、前記パイロット信号を受信して自セル基地局と自局との間のチャネル応答を推定する手段と、前記チャネル応答の推定結果に基づいて、前記制御情報から空間多重数及び変調方式の情報を含む送信方式の情報を取得する手段と、前記複数のアンテナの受信信号を用い、希望信号対干渉信号電力比が改善するようデータチャネルを復調する手段とを有し、前記基地局制御装置は、前記移動局が自セル基地局のセル端に位置する場合に、周辺セルにおいて前記セル端に位置する移動局と同じ周波数帯域が割り当てられている移動局に対する周辺セル基地局の送信ランクと、前記セル端に位置する移動局に対する前記自セル基地局の送信ランクの合計が、前記移動局の受信アンテナ数以下となるように、前記自セル基地局と前記周辺セル基地局を制御するものとされている。
また、前記移動局におけるデータチャネルの復調アルゴリズムとして、Zero Forcing法又は最小二乗誤差法が用いられるものである。
さらに、送信ランクが制御される移動局が互いのセル端ユーザになるように前記自セル基地局及び前記周辺セル基地局における周波数リソースの割当をスケジューリングするものである。
さらにまた、前記移動局は、自局がセル端に位置しているときに、自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を自セル基地局に報告する手段を有し、前記基地局は、自セルのセル端に位置する移動局から報告された前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を、前記基地局制御装置に通知する手段を有し、前記基地局制御装置は、前記セル端に位置する移動局から報告された前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報に基づいて、前記自セルの基地局と前記周辺セルの基地局に対し、前記自セル基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てている送信ランクと、前記周辺セルの基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てられている周波数帯域と同一周波数帯域を割り当てている移動局に割り当てている送信ランクの合計が、前記セル端に位置する移動局の受信アンテナ数以下となるように制御するものである。
【0010】
さらにまた、本発明の基地局制御装置は、複数のアンテナを有する複数の基地局と複数のアンテナを有する移動局がOFDMにより通信を行う移動通信システムにおける前記複数の基地局に接続された基地局制御装置であって、前記移動局から自局がセル端に位置しているときに報告される自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を当該基地局から受け取る手段と、前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報に基づいて、前記自セルの基地局と前記周辺セルの基地局に対し、前記自セル基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てている送信ランクと、前記周辺セルの基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てられている周波数帯域と同一周波数帯域を割り当てている移動局に割り当てている送信ランクの合計が、前記セル端に位置する移動局の受信アンテナ数以下となるように制御する手段を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基地局間で送信ランクの協調制御を行うスケジューリングを行っているため、セル端ユーザのスループット特性を改善することができる。
また、実効的な干渉波数が低減されるため、移動局側において、最小二乗誤差(MMSE: Minimum Mean Square Error) 法等の簡易な線形受信信号処理でも大きなセル間干渉除去効果を得ることができる。
さらに、互いのセル境界に位置するユーザに対し、同じ周波数ブロックを割当てる周波数スケジューリングを導入することにより、セル全体の周波数利用効率の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の基本概念を説明するためのシステムモデルを示す図である。
【図2】本発明の移動通信システムにおける基地局側装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の移動通信システムにおける移動局側の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の移動通信システムの特性評価を行うためのシミュレーション諸元を示す図である。
【図5】本発明の移動通信システムのシミュレーション結果であるブロック誤り率特性を示す図である。
【図6】本発明の移動通信システムのシミュレーション結果であるスループット特性を示す図である。
【図7】セル間干渉キャンセラについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すシステムモデルを用いて、本発明の移動通信システムの基本概念について説明する。
本発明は、LTE/LTEーAdvanced等のMIMO/OFDMセルラシステムを対象としている。また、本発明におけるMIMO伝送では、MIMOシステムにおける伝送特性を改善するため、同時送信サブストリーム数を無線伝搬チャネルの状態に応じて制御するランクアダプテーションが適用される。ここで、MIMO空間多重において、MIMO送受信アンテナ数のうち、小さい値が空間多重数の最大値であり、この最大値で送信することをフルランク送信と呼ぶ。ランクアダプテーションでは、空間多重数を1(ランク1送信、送信ダイバーシティに相当)からフルランク送信までMIMOチャネル行列の状態に応じて適応的に切替えることで、スループットの最大化を図る。MIMOにおける最適な送信ランク数は、受信側でチャネル推定結果に関連する情報を、送信側へフィードバックすることによって決定される。例えば、3GPP (3rd Generation Partnership Project) においてRelease 8 として標準化されたLTEの下りリンクでは、受信SINR情報に対応する測定値をChannel Quality Indicator (CQI)、移動局側が最適と考える送信ランク数をRank Indicator (RI) として、それらの値をフィードバックし、基地局側がフィードバックされたCQIとRIの情報に基づき送信ランクを決定する。LTEではフィードバックされるRIの値と送信ランクの値を必ずしも一致させる必要がなく、最終的な送信ランクは基地局のスケジューラで決定することが可能となっている。
本発明では、あるセル端移動局(セルの端部に位置する移動局)は、隣接セルから最も大きな干渉を受けており、移動局側において最大の受信電力を持つ干渉信号以外の干渉信号の和は、ガウス雑音と等価とみなす。従って、ここでは図1に示すように自セル(Serving-Cell)と自セルと隣接する干渉セル(Interfering-Cell)の2セルが存在する2セルモデルで検討する。
移動局MS#1に着目すると、基地局BS#1と基地局BS#2はそれぞれ、希望基地局(desired BS)と干渉基地局(interfering BS)とみなすことができる。一方、移動局MS#2に着目すると、基地局BS#1と基地局BS#2はそれぞれ、干渉基地局(interfering BS)と希望基地局(desired BS)とみなすことができる。
【0014】
移動局受信機は、セル端における信号検出精度を高めるため、希望信号と干渉信号を空間的に分離するセル間干渉キャンセル機能を有する。さらに、希望基地局と干渉基地局は、マルチパス遅延を含めた受信フレームタイミングオフセットがOFDMのGI(ガードインターバル)を超えないようにGPS等のシステムを用いて互いに同期している。セル端移動局において、下りリンクのチャネル情報が希望基地局だけでなく、干渉基地局に対しても得られるようにチャネル推定のためのパイロットシンボルは希望基地局及び干渉基地局間で互いに直交するように挿入されるものとする。
【0015】
本発明のMIMO/OFDMセルラシステムのセル間干渉除去方法は、(ア)基地局側でのマルチセル協調スケジューリングと(イ)移動局側でのセル間干渉除去信号検出とを組み合わせたものであり、マルチセル協調スケジューリングで、各基地局が、移動局で簡易な線形干渉キャンセラを適用できるように、それぞれのセル端移動局に対し、低ランク送信を指示して実効的な干渉波数を低減し、移動局側では、線形処理に基づく干渉キャンセル処理によりセル間干渉を抑圧するというものである。
【0016】
(ア)基地局におけるマルチセル協調スケジューリング
本発明では、希望基地局(desired BS)は、最も強いセル間干渉信号を送信している干渉基地局(interfering BS)と協調する。希望基地局と干渉基地局は、セル端移動局でのセル間干渉除去効果を最大化するため、(a)周波数領域ユーザスケジューリング、及び、(b)送信ランクを協調制御する。
【0017】
(a)協調した周波数領域ユーザスケジューリング
本発明は、次で説明する複数基地局で協調した低ランク送信スケジューリングを必要とする。しかし、低ランク送信スケジューリングはフルランク送信に比べて低い送信ランクを強制的に選択するため、周波数利用効率の劣化が時折発生する。本発明では、この問題を解決するため、複数基地局で協調してサブキャリア割当を行う周波数領域ユーザスケジューリングを用いる。
図1に示すように、協調した基地局、すなわち、希望基地局(desired BS)及び干渉基地局(interfering BS)は、これらの基地局間のセル端に位置する移動局に対し、同一の周波数のリソースを割当てるようにスケジューリングする。一般に低受信SINRのユーザは、フルランクより低いランク送信が適している。このマルチセル協調周波数領域ユーザスケジューリングは低ランク送信を強制することによる周波数利用効率の劣化を低減させることができる。
【0018】
(b)協調した低ランク送信スケジューリング
セル端移動局は、低受信SINR環境のためフルランクのMIMO送信に向いていないことが多い。本発明では、協調した基地局がフルランクより低いランクの送信法を選択する。基地局側では、より低いランクでの送信を選択することにより、実効的な干渉信号の数を削減することができる。
【0019】
(イ)移動局におけるセル間干渉除去信号検出
上述のように、フルランクでのMIMO送信を避けることにより、セル端移動局における実効的な干渉信号数を減らす。これにより、移動局側のアレーアンテナの自由度が残るので、線形信号処理を用いた大きなセル間干渉(ICI)の除去が可能となる。ここでは、線形セル間干渉キャンセルアルゴリズムとして、最小二乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)法又はZF(Zero Forcing)法を用いるものとする。
【0020】
このような本発明を実現するための具体的な手段は次の通りである。
(1)各基地局は、MIMO伝送に対応するため、複数のアンテナを有し、移動無線環境において、移動局と適応変調・符号化により通信を行うため、移動局側で既知の同期信号、移動局側で既知のパイロット信号、制御信号を、ユーザデータを伝送するデータチャネルに多重して送信する。
(2)OFDM変調された干渉波信号を高精度に除去するため、各基地局からの信号のマルチパス遅延を含めた受信タイミングずれがOFDMのGI内に収まるように自セルと干渉源となる基地局間で送信タイミングの同期をとる。
(3)移動局は、MIMO伝送に対応するため、複数のアンテナを有し、自セル基地局(Serving-Cell)の同期信号に基づき、最適受信タイミングを推定し、既知のパイロット信号(参照信号、Reference Signal)を受信して、自セル基地局からのチャネル応答を推定する。
(4)移動局は、上記、チャネル応答の推定結果に基づき、基地局送信信号に挿入された制御信号から空間多重数および変調方式の情報を含む送信方式の情報を取得する。
(5)自セル基地局と周辺セル基地局は、自セル基地局と通信するセル端移動局に対する下りリンクの干渉を制御するため、同一周波数のサブキャリアを用いる移動局に対し、MIMO伝送における送信ランクの合計が移動局側の受信アンテナ数以下になるよう協調制御する。
(6)前記セル端移動局は、複数アンテナの受信信号を用い、希望信号対干渉信号電力比が改善するようデータチャネルを復調する。
(7)前記セル端移動局のデータチャネルの復調アルゴリズムとして、ZF法またはMMSE(最小二乗誤差)法を適用する。
(8)さらに、セル全体の周波数利用効率を上げるため、送信ランクを協調制御するユーザが互いのセル端ユーザになるように周波数リソースの割当をスケジューリングする。
【0021】
次に、本発明の移動通信システムにおける基地局側装置の構成及び移動局の構成について説明する。なお、ここでは、2つの基地局が存在する場合について示しているが、3以上の基地局が存在する場合も同様に構成することができる。
図2は、本発明の移動通信システムにおける基地局側の構成の一例を示すブロック図である。なお、本発明の移動通信システムは、基本的に、1つの基地局に複数の移動局が通信できるシステムを想定しているが、図2には、1つの移動局との通信に必要な要素のみを示している。また、本発明は下りリンク伝送(基地局→移動局)に関する発明であるため、上りリンク伝送(移動局→基地局)に関連するブロックは省略している。
【0022】
図2において、10は第1の基地局、30は第2の基地局、50は基地局制御装置である。第1の基地局10及び第2の基地局30は、ネットワークを介して相互に接続されているとともに、基地局制御装置50に接続されている。第1の基地局10と第2の基地局30は同一の構成とされている。ここでは、各基地局10、30は、それぞれ、複数Nt0本の送受信アンテナを備えているものとするが、各基地局に設けられる送受信アンテナの数は、同数である必要はなく、任意の数とすることができる。また、図中、第1の基地局10及び第2の基地局30において、破線で示されたブロックは、複数ランク送信の場合に使用されるブロックである。
【0023】
第1の基地局10において、送信されるユーザデータはバッファ11を介してランクアダプテーション部12に入力される。ランクアダプテーション部12は、バッファ11からのユーザデータを、スケジューラ17により指示されるランクに対応する数のサブストリームに分割し、サブストリーム対応に設けられたチャネルエンコーダ13に入力し、誤り訂正符号化を行う。チャネルエンコーダ13で誤り訂正符号化されたデータはインターリーバ14においてインターリーブされた後、I/Qマッピング部15で複素シンボルに変換され、プリコーダ16でプリコーディング行列を乗積されて、送信アンテナ対応に設けられたマルチプレクサ18−1〜18−Nt0に入力される。マルチプレクサ18−1〜18−Nt0において、それぞれパイロット信号及び制御信号が多重され、直並列変換器(S/P)19−1〜19−Nt0で並列信号に変換された後、逆高速フーリエ変換(IFFT)部20−1〜20−Nt0で逆フーリエ変換され、並直列変換器(P/S)21−1〜21−Nt0で直列信号に変換される。各並直列変換器21−1〜21−Nt0の出力信号は、CP(Cyclic Prefix)付加部22−1〜22−Nt0でガードインターバルに相当するサイクリックプレフィックスが付加された後、図示しない混合器で搬送周波数に周波数変換され、図示しない電力増幅器で電力増幅されてアンテナ23−1〜23−Nt0から送信される。
【0024】
MIMO/OFDMベースのシステムの多くは、ランクアダプテーションが適用される。例えば、LTEで標準化されている2×2 open-loop MIMOでは、単一ランク送信と2ランク送信の2つのモードにそれぞれ対応する、SFBC(space-frequency block coding)を用いる送信ダイバーシティとSDM(space division multiplexing)という2つのモードを適応的に切替える。送信ダイバーシティは、通常セル端のように低SINR環境において空間多重に比べて優れたスループット特性を有する。
この場合、前記ランクアダプテーション部12は、前記スケジューラ17により単一ランク送信が指示されたときは、ユーザデータに対してSFBC符号化を行い、2ランク送信が指示されたときはユーザデータを2サブストリームに分割して、誤り訂正符号化を行うためチャネルエンコーダ13と破線で示したチャネルエンコーダに入力する。
【0025】
第2の基地局30も、バッファ31、ランクアダプテーション部32、チャネルエンコーダ33、インターリーバ34、I/Qマッピング部35、プリコーダ36、スケジューラ37、マルチプレクサ38−1〜38−Nt0、直並列変換器(S/P)39−1〜39−Nt0、逆高速フーリエ変換(IFFT)部40−1〜40−Nt0、並直列変換器(P/S)41−1〜41−Nt0、CP付加部42−1〜42−Nt0、及び、アンテナ42−1〜42−Nt0を備えており、前記第1の基地局10と同様に構成されている。
【0026】
基地局制御装置50は、複数の基地局間の同期と協調スケジューリングを制御するものであり、セル端移動局が存在する場合に、そのセル端移動局が所属する基地局と干渉源となる周辺セルの基地局のスケジューラに対し、送信ランクの合計が移動局の受信アンテナ数以下となるようにランク数を指示する情報を送信する。すなわち、基地局制御装置50は、セル端移動局に割り当てられている周波数帯域と同じ周波数帯域が周辺セルにおいて割り当てられている移動局がある場合に、前記セル端移動局に対するランク数と周辺セルにおいて同じ周波数帯域が割り当てられている移動局に対するランク数の合計が移動局の受信アンテナ数以下となるように基地局に設けられたスケジューラを制御する。例えば、移動局のアンテナ数が2であったとすると、セル端移動局の基地局及び周辺セル基地局に対し、単一ランク送信を指示する。
なお、基地局制御装置50は、前記複数の基地局が接続されたネットワーク上に配置されていてもよいし、あるいは、いずれかの基地局の内部に配置されていてもよい。
【0027】
LTEでは各移動局は、在圏する基地局に対して測定報告(Measurement Report)を送信することができる。例えば、移動局で計測している自セルのRSRP(Reference Signal Received Power:無線品質)と隣接セルのRSRPの差が所定値以下になったときに、移動局が自セルのセルIDとRSRP及び隣接セルのセルIDとRSRPを含む測定報告を自セル基地局に送信するようにさせ、各基地局が受信した測定報告を基地局制御装置50に送信するようにすることにより、基地局制御装置50は、セル端移動局の存在とそのセル端移動局の所属する自セル基地局と干渉源となる周辺セル基地局の情報を取得することができる。基地局制御装置50は、このようにして得た情報に基づいて、自セル基地局と干渉源となる周辺セル基地局の送信ランクを協調制御する。
【0028】
さらに、セル全体の周波数利用効率を上げるために、送信ランクを協調制御するユーザが互いのセル端ユーザとなるように周波数リソースの割当を制御するように、各基地局のスケジューラ17,37等に指示するようにしてもよい。すなわち、上述の場合には、周辺セルにおいて前記セル端移動局と同じ周波数帯域が割り当てられている移動局は必ずしも周辺セルのセル端に位置している訳ではない。したがって、その移動局に対してはより高いランクの送信が可能であるにもかかわらず、低いランクの送信が行われることとなる。そこで、周辺セルにおいてもセル端移動局に、前記自セルのセル端移動局と同じ周波数帯域を割り当てるようにする。すなわち、前記図1における基地局BS#1のセル端の移動局MS#1と基地局BS#2のセル端の移動局MS#2に同じ周波数帯域を割り当てるようにする。こうすることにより、基地局に近い移動局に低いランクを割り当てることを防止でき、セル全体の周波数利用効率を向上させることができる。
【0029】
図3は、本発明の移動通信システムにおける移動局70の構成の一例を示すブロック図である。本発明は下りリンク伝送(基地局→移動局)に関する発明であるため、上りリンク伝送(移動局→基地局)に関連するブロックは省略している。
図示するように、移動局70は、複数Nr本の受信アンテナ71−1〜71−Nrを有している。各受信アンテナ71−1〜71−Nrで受信された信号は、ベースバンドにダウンコンバートされた後デジタル信号に変換されて、各アンテナに対応して設けられたサイクリックプレフィックス(CP)除去部73−1〜73−Nrに入力されるとともに、FFTタイミング検出部72にも入力される。
FFTタイミング検出部72は、自セル基地局からの受信信号に含まれる同期信号に基づき最適受信タイミングを推定する。このタイミングに基づいて受信信号の復調処理が行われる。
【0030】
CP除去部73−1〜73−Nrは、受信信号に付加されていたサイクリックプレフィックスを除去し、該サイクリックプレフィックスが除去された信号を対応する直並列変換器75−1〜75−Nrに出力するとともに、全受信信号に共通に設けられたチャネル推定及び制御信号復調部74に出力する。
チャネル推定及び制御信号復調部74は、受信したパイロット信号(参照信号)の状態に基づいて、自セル基地局の各送信アンテナから各受信アンテナへのダウンリンクのチャネル応答を推定するとともに、該チャネル応答の推定結果に基づいて、基地局送信信号に挿入された制御信号を復調して、空間多重数及び変調方式の情報を含む送信方式の情報を取得する。前記チャネル応答の推定結果及び取得された送信方式の情報は、後述するセル間干渉(ICI)除去信号検出部77−1〜77−NSC(NSCはサブキャリア数)に供給される。また、前記送信方式の情報は後述するチャネルデコーダ80−1〜80−iに供給される。
【0031】
前記直並列変換器75−1〜75−Nrは、それぞれ対応するCP除去部73−1〜73−Nrからの出力信号を並列信号に変換し、それぞれ対応して設けられた高速フーリエ変換(FFT)部76−1〜76−Nrに出力する。
FFT部76−1〜76−Nrでは、それぞれの入力信号をサブキャリアごとの信号に変換し、各サブキャリアに対応して設けられたセル間干渉除去信号検出部77−1〜77−NSCに供給する。
【0032】
セル間干渉除去信号検出部77−1〜77−NSCでは、前記チャネル推定及び制御信号復調部74で推定されたチャネル情報(チャネル行列)及び復調された制御信号に基づいて、各サブキャリアの受信信号から自セル基地局からの希望信号と周辺セル基地局からの干渉信号が分離され、分離されたこれらの信号から希望信号のみを取り出すことで、干渉信号除去と同時に希望信号が高精度に取り出される。なお、このセル間干渉除去信号検出部77−1〜77−NSCにおける処理の内容については後述するが、復調アルゴリズムとして、ZF法又はMMSE(Minimum Mean Square Error:最小二乗誤差)法などの簡易な線形受信信号処理法が用いられる。そして、送信されたランクに対応するサブストリームの信号が取り出される。なお、送信側でSFBC等のプリコーディングが行われている場合には、そのプリコーディング方式に対応した復号が行われる。
【0033】
この移動機がセル端に位置しており、単一ランク送信するようにスケジューリングされているときには、送信ダイバーシティ適用されるため、図3の破線部は使用されない。
送信ランクがiであるときは、セル間干渉除去信号検出部77−1〜77−NSCから出力されるそれぞれのサブキャリアのiサブストリームに分離された信号の信頼度情報(例えば、ビット単位対数尤度比)は、サブストリームに対応して設けられた並直列変換器(P/S)78−1〜78−iに供給されて直列信号に変換され、対応して設けられたデインターリーバ79−1〜79−iにおいてデインターリーブされて、対応して設けられたチャネルデコーダ80−1〜80−iに入力され、各チャネルデコーダ80−1〜80−iで復調されて並直列変換器81で各チャネルデコーダ80−1〜80−iの出力が直列信号に合成されて受信信号として出力される。
【0034】
次に、前記プリコーダ16、36における低ランク送信(ランク1送信)時のプリコーディング方式として、SFBCが適用されている場合を例にして、前記セル間干渉除去信号検出部77−1〜77−NSCにおいて実行されるMMSE基準の復号及び信号検出処理の具体的な信号処理アルゴリズムについて説明する。
前述のように、本発明では、受信信号における希望基地局(desired BS)と干渉基地局(interfering BS)間のタイミングオフセットは、OFDMのガードインターバル(GI)を超えないものとされている。希望基地局(desired BS)と干渉基地局(interfering BS)間の周波数オフセットが無視できるほど小さいものとすると、移動局での第kサブキャリアにおけるNr×1次元の受信信号ベクトルx(k)は、次式で表される。
【数1】


ただし、NSCはサブキャリア数を表す。H(s)(k)及びH(u)(k)は第kサブキャリアにおけるNr×Nt0次元の希望基地局〜移動局間及び干渉基地局〜移動局間のチャネル応答行列をそれぞれ表す。s(k)及びu(k)は、第kサブキャリアにおける希望基地局及び干渉基地局のNt0×1次元の送信信号ベクトルをそれぞれ表す。n(k)はNr×1次元の雑音ベクトルであり、各要素独立な複素ガウス分布に従う。
【0035】
希望基地局及び干渉基地局のサブキャリアあたりの送信電力をPs及びPuとすると、送信信号ベクトルs(k)及びu(k)は次式を満たす。
【数2】


ただし、E{・}及びIMは、短区間のアンサンブル平均及びM×M次元の単位行列をそれぞれ表す。上付き文字Hは共役転置を表す。Pnoiseをサブキャリアあたり受信アンテナあたりの雑音電力とすると、雑音ベクトルn(k)は次式を満たす。
【数3】

【0036】
希望基地局と干渉基地局からAlamouti符号に基づくSFBC符号化された信号が同時に送信されるとき、受信信号は等価的に次式で書き直される。
【数4】

【0037】
ただし、以下(5)−(8)の各式を満たす。
【数5】

【0038】
基本的なSFBC符号化されたシステムでは、互いに隣接したサブキャリア間のチャネル応答の差は無視できるほど小さいことを仮定している。すなわち、
【数6】


である。また、希望信号は、最大比合成(MRC)規範に基づき、等価受信信号ベクトルx(l)に等価MIMOチャネル行列の複素共役H〜(s)(l)Hを乗算することによって得られる。この仮定は、大きな周波数選択性を有する大きな遅延スプレッドがある環境では適用することができない。このような環境ではSFBCの直交性が維持されなくなるためシンボル間干渉(ISI:inter-symbol interference)が生ずる。セル間干渉(ICI)と同時にシンボル間干渉(ISI)を除去するため、本発明ではMMSE基準のSFBC復号及び信号検出を行う。
【0039】
MMSEに基づく、セル間干渉キャンセルつきSFBC復号は次式で表現される。
【数7】


ただし、WMMSE(l)は、MMSEに基づくセル間干渉キャンセラつきSFBC復号行列を表す。WMMSE(l)は次式のように計算できる。
【数8】


ただし、α=1/Psは正規化ファクタである。なお、Psは希望局の送信電力情報である。一般に基地局は送信電力の情報を報知しており、移動局は報知信号を復号することで基地局の送信電力情報を得ることができる。
【0040】
rep(i)をi番目送信シンボル候補とすると、最も確からしいSFBC符号化されたブロックの送信シンボルは、次式で推定することができる。
【数9】


ただし、zn(l)(n=1,2)は、z(l)のn番目の要素を表す。
【0041】
次に、コンピュータシミュレーションを用いて本発明におけるセル間干渉キャンセル法を評価した結果について説明する。
図4にシミュレーションパラメータの概要を示す。
ここでは、2セルモデル(すなわち、基地局数NB=2)を仮定した。各基地局の送信アンテナ数Nt0=2とし、移動局の受信アンテナ数Nr=2とした。パスモデルは3GPPのGSM 6-path Typical Urbanモデルを用い、各パスは準静的レイリーフェージングに従うものとし、各パス間及び各アンテナ間のフェージング相関は無相関であるとした。OFDMサブキャリア数Nsub=72、FFTポイント数NFFT=128、サブキャリア間隔f0=15kHz、有効OFDMシンボル長Ts=1/f0、ガードインターバル長Tg=Ts/4=16.67μs(1/4OFDMシンボル長)、フレーム長T=12(Ts+Tg)(12OFDMシンボル長)とした。誤り訂正符号として拘束長K=4のターボ符号を用い、チャネルインターリーバとしてサブブロックインターリーバを用いるものとした。QPSKについて符号化率R=1/3、1/2、2/3、3/4の4通り、16QAMについて符号化率R=1/2、7/12、/2/3、3/4の4通りの変調方式と符号化率の組み合わせについてシミュレーションを行った。プリコーディングスキームは、ランク数1の場合はAlamoutiのSFBC符号化、ランク数2のときには空間分割多重化(SDM)とした。チャネル推定及び制御信号の復調は理想的に行えるものとした。受信機側における希望信号と干渉信号の分離はSFBC復号を伴うMMSE検出により行われるものとし、希望信号と干渉信号は繰り返し回数=8のMax Log−MAPアルゴリズムにより復号されるものとした。
【0042】
図5は平均ブロック誤り率(BLER:BLock Error Rate)特性を示す図であり、横軸は1シンボルあたりの平均受信エネルギー対雑音電力密度比(受信Es/N0)、縦軸は平均ブロック誤り率である。ただし、変調方式QPSKの符号化率をパラメータとしている。なお、図5では平均CIR(Carrier-to-Interference-power-Ratio)を0dB、すなわち、希望波と干渉波の平均受信電力が同じとしている。この図において、実線は本発明を適用した場合(“Proposed”)、点線は協調制御を行わずセル間干渉キャンセラを適用しない場合(“w/o ICIC”)をそれぞれ示している。
この図から、協調制御を行わずセル間干渉キャンセラを適用しない場合には、セル間干渉のため、エラーフロアが表れているのを確認できる。一方、本発明を適用した場合には、セル間干渉の影響を除去しているので、受信アンテナ数(Nr=2)が希望基地局及び干渉基地局の送信アンテナ数の合計(2Nt0=4)より少ないのにもかかわらず、このようなフロアは観測されない。
図5より、本発明の場合には、低いCIR環境においてブロック誤り率特性を大きく改善できることがわかる。例えば、本発明において、符号化率が1/2の場合、ブロック誤り率における所要平均Es/N0は、セル間干渉キャンセラを適用しない場合に比べて平均CIRが0dBのとき、2dBの改善ができる。
【0043】
図6は、横軸を1シンボルあたりの平均受信エネルギー対雑音電力密度比(受信Es/N0)として、QPSKと16QAMにおける異なる符号化率について、本発明のセル間干渉キャンセル法を適用した場合のスループット特性と、セル間干渉キャンセル法を適用しない場合の特性を比較して示す図である。同図の実線と破線は、本発明を適用した場合及び適用しない場合をそれぞれ示している。ただし、平均CIRの値は1(CIR=0dB)に設定している。
セルラ方式では、最も強いセル間干渉を除いたトータル干渉信号電力対希望受信電力比は、セル端では0dB〜10dBの間にあると考えられる。図6より、本発明のセル間干渉キャンセル法は、セル間干渉キャンセラを適用しない場合に比べて、平均受信Es/N0=5dB、10dBにおける平均スループットを10%、64%それぞれ改善できることがわかる。これらの結果より、本発明のセル間干渉キャンセル法は、MIMO/OFDMセルラ方式におけるセル端下りリンクスループットを大きく改善できることが確認できる。
【符号の説明】
【0044】
10,30:基地局、11,31:バッファ、12,32:ランクアダプテーション部、13,33:チャネルエンコーダ、14,34:インターリーバ、15,35:I/Qマッピッング部、16,36:プリコーダ、17,37:スケジューラ、18−1〜18−Nt0,38−1〜38−Nt0:マルチプレクサ、19−1〜19−Nt0,39−1〜39−Nt0:直並列変換器、20−1〜20−Nt0,40−1〜40−Nt0:逆高速フーリエ変換部、21−1〜21−Nt0,41−1〜41−Nt0:並直列変換器、22−1〜22−Nt0,42−1〜42−Nt0:CP付加部、23−1〜23−Nt0,43−1〜43−Nt0:アンテナ、50:基地局制御装置、70:移動局、71−1〜71−Nr:アンテナ、72:FFTタイミング検出部、73−1〜73−Nr:CP除去部、74:チャネル推定及び制御信号復調部、75−1〜75−Nr:直並列変換器、76−1〜76−Nr:高速フーリエ変換部、77−1〜77−NSC:セル間干渉除去信号検出部、78−1〜78−i:並直列変換器、79−1〜79−i:デインターリーバ、80−1〜80−i:チャネルデコーダ、81:並直列変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを有する複数の基地局と複数のアンテナを有する移動局がOFDMにより通信を行う移動通信システムであって、
下りリンクの伝送において複数の基地局で共通の周波数帯域を使用する際、互いに干渉となる全ての基地局の送信タイミングが、移動局における各基地局からの信号のマルチパスを含めた受信タイミングのずれがOFDMのガードインターバル内に収まるように制御されており、
前記複数の基地局に接続された基地局制御装置を有し、
前記基地局は、
移動局側で既知の同期信号、移動局側で既知のパイロット信号、及び、少なくとも移動局との通信に必要な制御情報を、ユーザデータを伝送するデータチャネルに多重して送信し、
前記移動局は、
自セル基地局からの前記同期信号に基づいて最適受信タイミングを推定し、前記パイロット信号を受信して自セル基地局と自局との間のチャネル応答を推定する手段と、
前記チャネル応答の推定結果に基づいて、前記制御情報から空間多重数及び変調方式の情報を含む送信方式の情報を取得する手段と、
前記複数のアンテナの受信信号を用い、希望信号対干渉信号電力比が改善するようデータチャネルを復調する手段とを有し、
前記基地局制御装置は、
前記移動局が自セル基地局のセル端に位置する場合に、周辺セルにおいて前記セル端に位置する移動局と同じ周波数帯域が割り当てられている移動局に対する周辺セル基地局の送信ランクと、前記セル端に位置する移動局に対する前記自セル基地局の送信ランクの合計が、前記移動局の受信アンテナ数以下となるように、前記自セル基地局と前記周辺セル基地局を制御するものである
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記移動局におけるデータチャネルの復調アルゴリズムとして、Zero Forcing法又は最小二乗誤差法が用いられることを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項3】
送信ランクが制御される移動局が互いのセル端ユーザになるように前記自セル基地局及び前記周辺セル基地局における周波数リソースの割当をスケジューリングすることを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記移動局は、自局がセル端に位置しているときに、自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を自セル基地局に報告する手段を有し、
前記基地局は、自セルのセル端に位置する移動局から報告された前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を、前記基地局制御装置に通知する手段を有し、
前記基地局制御装置は、前記セル端に位置する移動局から報告された前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報に基づいて、前記自セルの基地局と前記周辺セルの基地局に対し、前記自セル基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てている送信ランクと、前記周辺セルの基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てられている周波数帯域と同一周波数帯域を割り当てている移動局に割り当てている送信ランクの合計が、前記セル端に位置する移動局の受信アンテナ数以下となるように制御することを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項5】
複数のアンテナを有する複数の基地局と複数のアンテナを有する移動局がOFDMにより通信を行う移動通信システムにおける前記複数の基地局に接続された基地局制御装置であって、
前記移動局から自局がセル端に位置しているときに報告される自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報を当該基地局から受け取る手段と、
前記自セルの識別番号と周辺セルの識別番号を含む情報に基づいて、前記自セルの基地局と前記周辺セルの基地局に対し、前記自セル基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てている送信ランクと、前記周辺セルの基地局が前記セル端に位置する移動局に割り当てられている周波数帯域と同一周波数帯域を割り当てている移動局に割り当てている送信ランクの合計が、前記セル端に位置する移動局の受信アンテナ数以下となるように制御する手段を有することを特徴とする基地局制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−156798(P2012−156798A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14172(P2011−14172)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】