説明

積層型電子部品及び積層型電子部品の周波数特性の調整方法

【課題】通過周波数帯域の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性を変えることを目的とする。
【解決手段】複数の絶縁基板(M1〜M8)が積層されてなる積層型電子部品10であって、外部電極106と、第1の導体パターン121が形成されている第1の絶縁基板M2と、前記外部電極106に接続され、前記第1の導体パターン121と一部が重なり、前記第1の導体パターン121と重ならない部分に切り欠き部を有する第2の導体パターン111が形成されている第2の絶縁基板M1と、前記第1の導体パターン121に接続されるインダクタ導体121tとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関し、特にバンドパスフィルタ、ダイプレクサ、マルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタ導体とキャパシタを用いて形成される共振回路を有するバンドパスフィルタが知られている(特許文献1)。バンドパスフィルタの通過帯域周波数と減衰周波数帯域はインダクタ導体の値とキャパシタの値によって決まる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−124769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のバンドパスフィルタでは、通過周波数帯域の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性を変えることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、通過周波数帯域の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性を変えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を備える。
【0007】
本発明の第1の態様は、複数の絶縁基板が積層されてなる積層型電子部品であって、外部電極と、第1の導体パターンが形成されている第1の絶縁基板と、前記外部電極に接続され、前記第1の導体パターンと一部が重なり、前記第1の導体パターンと重ならない部分に切り欠き部を有する第2の導体パターンが形成されている第2の絶縁基板と、前記第1の導体パターンに接続されるインダクタ導体とを備える。この態様によれば、積層型電子部品は、切り欠き部を有することにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性のみを変えることが容易にできる。
【0008】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記インダクタ導体として、一端が前記第1の導体パターンに接続されている第1のインダクタ導体と、一端が前記第1のインダクタ導体の他端に接続され、他端が前記外部電極に接続されている第2のインダクタ導体とを備えていてもよい。この態様によれば、切り欠き部を備えることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性のみを変えることが容易にできる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記第1のインダクタ導体及び前記第2のインダクタ導体の少なくとも一方を分布定数素子として利用してもよい。この態様では、インダクタ導体を分布定数素子として利用する場合であっても、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性のみを変えることが容易にできる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品は、前記第1の導体パターン、前記第2の導体パターン、前記第1のインダクタ導体、及び前記第2のインダクタ導体を有するバンドパスフィルタ回路を備えていてもよい。この態様によれば、バンドパスフィルタ回路の通過帯域周波数に影響を与えることなく減衰周波数帯域のみを変えることが容易にできる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品は、所定の通過周波数帯域をそれぞれ有する複数のフィルタ回路を備えるマルチプレクサであって、前記複数のフィルタ回路のうち少なくとも1つは、前記バンドパスフィルタ回路であってもよい。この態様によれば、マルチプレクサの通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性のみを変えることが容易にできる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記切り欠き部がカギ型をしていてもよい。この態様によれば、レイアウト的にまっすぐな切り欠き部を設けることが困難な時にでも、所望の減衰周波数帯域が得られるように切り欠き部を設けることができる。
【0013】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記切り欠き部は、前記第2の導体パターンに囲まれていてもよい。この態様によれば、切り欠き部を第2の導体パターンに囲まれるように配置することにより、通過帯域周波数に影響を与えることなく減衰周波数帯域のみを変えることができる。
【0014】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記第2の導体パターンに前記切り欠き部が複数備えられていてもよい。この態様によれば、切り欠き部を分割して複数備えていても、通過帯域周波数に影響を与えることなく減衰周波数帯域のみを変えることができる。
【0015】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、さらに、前記第1の絶縁基板上に前記第2の導体パターンと重なる第3の導体パターンを有し、前記第2の導体パターン上の、前記第1の導体パターンと重なる部分、及び前記第3の導体パターンと重なる部分、の間に前記切り欠き部が設けられていてもよい。この態様によれば、切り欠き部を2つの導体パターンの間に設けることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰周波数帯域の特性のみを変えることができる。
【0016】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記切り欠き部は、前記外部電極に接続される導体パターン以外の導体パターンのいずれとも重ならない位置に設けられていてもよい。この態様によれば、切り欠き部と、他の素子を形成する導体パターンとが重ならないため、切り欠き部と他の素子の間の相互作用を抑制できる。
【0017】
本発明の第1の態様に係る積層型電子部品において、前記外部電極と前記第2の導体パターンとの接続部の幅は、前記外部電極の幅と異なっていてもよい。この態様によれば、切り欠き部を設けることに加えて、さらに、外部電極と第2のパターンとの接続部の幅を異ならせることにより、通過帯域周波数に影響を与えることなく減衰帯域周波数を変えることができる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る発明は、複数の絶縁基板を積層してなる積層型電子部品の周波数特性の調整方法であって、前記積層型電子部品は外部電極と、第1の導体パターンが形成されている第1の絶縁基板と、前記外部電極に接続され、前記第1の導体パターンと一部が重なる第2の導体パターンが形成されている第2の絶縁基板と、前記第1の導体パターンに接続されるインダクタ導体とを備え、前記第2の導体パターン上であって、前記第1の導体パターンと重ならない部分に切り欠き部を設け、前記切り欠き部の位置、大きさ、形状を調整することにより、積層型電子部品の周波数特性を調整する。この態様によれば、通過帯域周波数に影響を与えることなく減衰周波数帯域のみを容易に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1.第1の実施例
図1及び図2を用いて、第1の実施例に係るバンドパスフィルタの外観について説明する。図1は、第1の実施例に係るバンドパスフィルタの上面を上にした外観を模式的に示す説明図である。図2は、第1の実施例に係るバンドパスフィルタの下面を上にした外観を模式的に示す説明図である。
【0020】
バンドパスフィルタ10は、複数の絶縁基板M1から絶縁基板M8を積層してなる電子部品である。バンドパスフィルタ10の側面には側面電極102から側面電極106が形成されている。側面電極102は入力端子(IN)、側面電極104は出力端子(OUT)、側面電極106はグランド端子(GND)として機能する。なお、本実施例では、側面電極106は4本設けられている。
【0021】
各絶縁基板の構成:
図3は、第1の実施例に係るバンドパスフィルタ10を構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図である。ここで、最上層の絶縁基板M8は、いわゆる蓋であり、内部に導体パターンが存在しない。したがって、絶縁基板M8については図3への記載を省略する。まず、各絶縁基板の導体パターンについて説明し、次に、各絶縁基板間の導体パターンを繋ぐスルーホール配線について説明する。
【0022】
絶縁基板M1には、外周部を除いたほぼ全面に導体パターン111が形成されている。導体パターン111には、切り欠き部112が設けられている。導体パターン111は、側面電極106と接続されている。
【0023】
絶縁基板M2には、導体パターン121と導体パターン122とが形成されている。導体パターン121と導体パターン122は略長方形にスルーホール配線を接続するための凸部が付加された形状をしている。導体パターン121と導体パターン122は、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M1の導体パターン111と重なる。
【0024】
絶縁基板M3には、導体パターン131から導体パターン134の4つの導体パターンが形成されている。導体パターン131は、略長方形の導体パターンと、略長方形の導体パターンを側面電極102に接続する細い導体パターンとからなる。導体パターン132は、略長方形の導体パターンと、略長方形の導体パターンを側面電極104に接続する細い導体パターンとからなる。絶縁基板を積層したときに、導体パターン133は、絶縁基板M2の導体パターン121の凸部と重なり、導体パターン133は、絶縁基板M2の導体パターン122の凸部と重なる。
【0025】
絶縁基板M4には、導体パターン141及び導体パターン142が形成されている。導体パターン141は、略長方形の導体パターンであり、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M3の導体パターン131の略長方形の導体パターン及び導体パターン133と重なる。導体パターン142は、略長方形の導体パターンであり、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M3の導体パターン132の略長方形の導体パターン及び導体パターン134と重なる。
【0026】
絶縁基板M5には、導体パターン151から導体パターン153の3つの導体パターンが形成されている。導体パターン151は、略長方形の導体パターンであり、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M4の導体パターン141の一部及び導体パターン142の一部と重なる。導体パターン152は、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M3の導体パターン133と重なる。導体パターン153は、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M3の導体パターン134と重なる。
【0027】
絶縁基板M6には、導体パターン161及び導体パターン162が形成されている。導体パターン161は細長い棒状をしており、絶縁基板を積層したときに導体パターン161の一端は絶縁基板M5の導体パターン152と重なる。導体パターン162は細長い棒状をしており、絶縁基板を積層したときに導体パターン162の一端は絶縁基板M5の導体パターン153と重なる。
【0028】
絶縁基板M7には、外周部を除いたほぼ全面に導体パターン171が形成されている。導体パターン171は、側面電極106と接続されている。
【0029】
バンドパスフィルタ10は、4本のスルーホール配線を有する。スルーホール配線とは、上層の絶縁基板上の導体パターンと下層の絶縁基板上の導体パターンとを繋ぐ配線である。スルーホール配線は、上層の絶縁基板上の導体パターンの下の部分に上層の絶縁基板を貫通する孔(スルーホールあるいはビアホールという。)が形成され、孔が導体で充填されることにより形成される。本実施例では、スルーホール配線には、***tというように最後の文字が「t」となるように符号を付けている。
【0030】
スルーホール配線121tは、導体パターン121(絶縁基板M2)、導体パターン133(絶縁基板M3)、導体パターン141(絶縁基板M4)、導体パターン152(絶縁基板M5)、及び導体パターン161(絶縁基板M6)を繋いでいる。スルーホール配線122tは、導体パターン122(絶縁基板M2)、導体パターン134(絶縁基板M3)、導体パターン142(絶縁基板M4)、導体パターン153(絶縁基板M5)、及び導体パターン162(絶縁基板M6)を繋いでいる。
【0031】
スルーホール配線161tは、導体パターン161(絶縁基板M6)と導体パターン171(絶縁基板M7)とを繋いでいる。スルーホール配線162tは、導体パターン162(絶縁基板M6)と導体パターン171(絶縁基板M7)とを繋いでいる。
【0032】
等価回路:
図4は、第1の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路である。
【0033】
バンドパスフィルタ10の入力端子INにはキャパシタC11が接続されている。キャパシタC11の入力端子INと反対側には、インダクタL11の一端及びインダクタL12の一端が接続されている。インダクタL11の他端はグランドに接地され、インダクタL12の他端はキャパシタC12を介して、グランドに接地されている。
【0034】
バンドパスフィルタ10の出力端子OUTにはキャパシタC21が接続されている。キャパシタC21の出力端子OUTと反対側には、インダクタL21の一端及びインダクタL22の一端が接続されている。インダクタL21の他端はグランドに接地され、インダクタL22の他端はキャパシタC22を介して、グランドに接地されている。
【0035】
キャパシタC11の入力端子INと反対側と、キャパシタC21の出力端子OUTと反対側と、の間には、キャパシタC31a及びキャパシタC31bが直列に接続されている。
【0036】
等価回路と図3に示す導体パターンとの関係:
図5は、等価回路の素子と、素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。なお、図5においては、導体パターン、スルーホール配線の文字を省略し、符号のみ記載している。
【0037】
キャパシタC11は導体パターン131(絶縁基板M3)と導体パターン141(絶縁基板M4)の重なりにより構成されている。同様に、キャパシタC12は導体パターン121(絶縁基板M2)と導体パターン111(絶縁基板M1)の重なりにより、キャパシタC31aは導体パターン141(絶縁基板M4)と導体パターン151(絶縁基板M5)の重なりにより、キャパシタC31bは導体パターン142(絶縁基板M4)と導体パターン151(絶縁基板M5)の重なりにより、キャパシタC21は導体パターン132(絶縁基板M3)と導体パターン142(絶縁基板M4)の重なりにより、キャパシタC22は導体パターン122(絶縁基板M2)と導体パターン111(絶縁基板M1)の重なりにより構成されている。
【0038】
インダクタL11は、スルーホール配線121tのうち絶縁基板M4の表面から絶縁基板M6表面の間の部分にあるスルーホール配線、導体パターン161、及びスルーホール配線161tの直列結合により構成されている。同様に、インダクタL12はスルーホール配線121tのうち絶縁基板M2の表面から絶縁基板M4の表面の間の部分にあるスルーホール配線を用いて構成されている。インダクタL21は、スルーホール配線122tのうち絶縁基板M4の表面から絶縁基板M6の表面の間の部分にあるスルーホール配線、導体パターン162、及びスルーホール配線162tの直列結合により構成されている。インダクタL22はスルーホール配線122tのうち絶縁基板M2の表面から絶縁基板M4の表面の間の部分にあるスルーホール配線を用いて構成されている。
【0039】
第1の実施例では、インダクタL11、L12、L21、及びL22は分布定数素子である。分布定数素子とは、集中定数素子に対するものであり、例えば、素子の物理的大きさが信号の波長に比較して小さくなく、素子の特性を考慮する際に素子の物理的大きさを考慮して取り扱わなければならないものをいう。すなわち、分布定数素子では、素子の物理的大きさと信号の波長との関係が素子の特性に大きな影響を与える。なお、同じ素子であっても、低周波(信号の波長が長い)の場合には、集中定数素子として扱えるが、高周波(信号の波長が短い)の場合では、集中定数素子としては扱えず、分布定数素子として扱わなければならない場合は、あり得る。
【0040】
図6及び図7を用いて、第1の実施例に係るバンドパスフィルタ10の切り欠き部の構造と特性について説明する。図6は、切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。図7は、第1の実施例に係るバンドパスフィルタ10の透過特性(SパラメータのS21)を示すグラフである。
【0041】
図6では、切り欠き部112の構造をわかりやすくするため、導体パターン111、導体パターン121、及び導体パターン122のみを描き、他の導体パターンについては、記載を省略している。ここで長さLは、切り欠き部112の凹の深さを示している。切り欠き部112の凹の深さと透過特性との関係をみると、減衰帯域周波数(約10〜15GHz)において、減衰極の発生周波数は、切り欠き部112がある場合の方が、切り欠き部112が無い場合に比べて低周波数側に移動している。また、切り欠き部112の凹の深さが深い方が減衰極の発生周波数はより低周波数側に移動している。一方、通過帯域周波数(約5〜6GHz)では、切り欠き部112の有無、凹の深さによる透過特性の違いは生じていない。
【0042】
図8及び図9を用いて、比較例について説明する。図8は比較例に係るバンドパスフィルタの構成を模式的に示す説明図である。図9は比較例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【0043】
比較例と第1の実施例構造は、導体パターン111の切り欠き部112の有無と導体パターン121、122の大きさとを除いて同じであるため、比較例の構造については説明を省略する。比較例では、長さLは、図8における導体パターン121の左辺の長さ及び導体パターン122の右辺の長さを示す。比較例では、導体パターン121、122の大きさを変えることにより、図4に示す等価回路のC12、C22のキャパシタのキャパシタンスを変えている。比較例では長さLを大きくするほど(C12、C22のキャパシタのキャパシタンスを大きくするほど)、減衰帯域周波数における、減衰極の発生周波数は、低周波数側に移動している。しかし、通過帯域周波数では、長さLを大きくするほど、通過帯域周波数が高周波側に移動している。すなわち、C12、C22のキャパシタのキャパシタンスを変えることでは、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数のみを変えることはできない。
【0044】
以上のように、第1の実施例によれば、導体パターン121と導体パターン111とが重なり、導体パターン121にはインダクタL12が接続され、導体パターン111には切り欠き部112が設けられている。その結果、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を変えることができる。
【0045】
インダクタL12の導体パターン121と接続される端と反対側の端には導体パターン141が接続され、導体パターン141にはインダクタL11が接続され、インダクタL11の他端は導体パターン171に接続されている。第1の実施例によれば、インダクタが、一端が導体パターン121に接続されているインダクタL12と、一端がインダクタL12の他端に接続され、他端が側面電極106に接続される導体パターン171に接続されているインダクタL11とからなる場合であっても、導体パターン111に切り欠き部112を設けることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を変えることができる。
【0046】
また、インダクタL11、L12、L21,及びL22として分布常数素子を用いている場合には、インダクタを変えることは困難であり、上述したようにキャパシタを変えたのでは、通過帯域周波数に影響を与えてしまう。しかし、第1の実施例によれば、インダクタとして分布常数素子を用いている場合であっても、導体パターン111に切り欠き部112を設けることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を変えることができる。
【0047】
変形例1:
図10及び図11を用いて、第1の実施例の変形例1について説明する。図10は変形例1に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図11は、変形例1に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例1は、切り欠き部112の凹の幅Wを変化させたものである。
【0048】
切り欠き部112の凹の幅Wを広くすることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなる。一方、通過帯域周波数では、切り欠き部112の凹の幅Wによる違いは生じていない。すなわち、変形例1に示すように、切り欠き部112を設け。その凹の幅を変えてもよい。例えば、レイアウト的に切り欠き部112の凹の深さを深くすることができない場合に有効である。
【0049】
変形例2:
図12及び図13を用いて、第1の実施例の変形例2について説明する。図12は変形例2に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図13は、変形例2に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例2は、切り欠き部112の形状をカギ型にしたものである。
【0050】
切り欠き部112の凹の深さLを一定にした場合には、カギ型にした方が、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなる。また、切り欠き部の面積が同じ場合には、カギ型にした方が減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は高い。例えば、切り欠き部112を設けた後、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数をもう少し低くしたい場合には、切り欠き部112の形状をカギ型にするとよい。また、レイアウト的に切り欠き部112の凹の深さを深くすることができない場合に有効である。なお、切り欠き部112の形状をカギ型にしても、通過帯域周波数における透過特性に違いは生じていない。
【0051】
変形例3:
図14及び図15を用いて、第1の実施例の変形例3について説明する。図14は変形例3に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図15は、変形例3に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例3は、切り欠き部112を、導体パターン111の内部に設けたものである。
【0052】
切り欠き部112の長さLを長くすることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなる。第1の実施例と比較すると、切り欠き部112の大きさを同じにした場合には、変形例3の方が第1の実施例よりも減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は高い。減衰極の発生周波数を変動させたいが、大きく変動させたくない場合に有効である。なお、通過帯域周波数では、切り欠き部112の凹の長さLによる違いは生じていない。
【0053】
変形例4:
図16及び図17を用いて、第1の実施例の変形例4について説明する。図16は変形例4に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図17は、変形例4に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例4は、切り欠き部112を、複数設けたものである。
【0054】
切り欠き部112の長さLを長くすることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなる。第1の実施例と比較すると、切り欠き部112の面積を同じにした場合には、変形例4の方が第1の実施例よりも減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は高い。しかし、変形例4では、切り欠き部112を対称形に設けることができ、例えば入力側回路と出力側回路とをレイアウトを含めて対称形にすることができるというメリットがある。なお、通過帯域周波数では、切り欠き部112の凹の長さLによる違いは生じていない。
【0055】
変形例5:
図18及び図19を用いて、第1の実施例の変形例5について説明する。図18は変形例5に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図19は、変形例5に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例5は、導体パターン111の導体パターン121と重なる部分と、導体パターン111の導体パターン122と重なる部分と、の間に切り欠き部112を設けたものである。
【0056】
切り欠き部112の長さLを長くすることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は、第1の実施例とは異なり、高周波数側に移動する。第1の実施例及び上記変形例はいずれも、切り欠きの凹の深さを深くする方、すなわち切り欠き部の大きさを大きくする方が、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなったが、変形例5では逆に高くなる。変形例5は減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を高周波数側に移動させたい場合に有効である。通過帯域周波数では、切り欠き部112の凹の深さLによる違いは生じていない。
【0057】
変形例6:
図20及び図21を用いて、第1の実施例の変形例6について説明する。図20は変形例6に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図21は、変形例6に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例6は、絶縁基板を積層した時に切り欠き部112が絶縁基板M3の導体パターン131と重なるように、切り欠き部112を設けたものである。
【0058】
切り欠き部112を設けることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数は低くなる。しかし、第1の実施例と比較して、切り欠き部112の凹の深さLがより深い方が、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数がより低くなっておらず、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数と凹の深さLとは必ずしも比例はしない。一方、切り欠き部112を、絶縁基板M3の導体パターン131と重なるように設けても、通過帯域周波数では透過特性の変化は発生していない。したがって、切り欠き部112を、他の導体パターンと重なるように設けることはかまわないが、他の導体パターンと重ならないように設ける方がより好ましい。
【0059】
変形例7:
図22及び図23を用いて、第1の実施例の変形例7について説明する。図22は変形例7に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。図23は、変形例7に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。変形例7は、導体パターン111に切り欠き部112を設けるとともに、導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を狭くしたものである。
【0060】
導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を狭くすることにより、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を低くできる。切り欠き部112を設けるだけでは、減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数がまだ高い場合には、変形例7のように導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を狭くすることにより低くすることができる。なお、通過帯域周波数では透過特性の変化は発生していない。
【0061】
変形例7では、切り欠き部112を設けたが、切り欠き部112を設けずに、導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を狭くしてもよい。逆に導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を太くしてもよい。減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を高くすることができる。また、変形例5において、導体パターン111と側面電極106との接続部111aの接続幅を太くしてもよい。減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数をより高くすることができる。
【0062】
2.第2の実施例
図24を用いて、第2の実施例に係るバンドパスフィルタの各絶縁基板の構成について説明する。図24は、第2の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図である。第2の実施例に係るバンドパスフィルタは第1の実施例に係るバンドパスフィルタとほぼ同じなので、異なる点について説明する。第2の実施例については、第1の実施例と同じ機能のものについては第1の実施例の符号に100を足した符号を付している。
【0063】
第2の実施例では、側面電極202から側面電極208が設けられているが、グランド端子となる側面電極206は3本である(以下、側面電極206を区別する場合には側面電極206a、側面電極206b、側面電極206cという)。第1の実施例と比較して少なくなった1本は、側面電極208としてNC端子となっている。NC端子のNCは、非接続(Non−Connection)を意味し、NC端子は、バンドパスフィルタ内部の導体パターンとは接続されていない。第1の実施例では、側面電極106は、側面電極102の両側及び、側面電極104の両側に配置されている。一方、第2の実施例では、2本の側面電極206(側面電極206a、206b)は、側面電極202の両側に配置されているが、残りの1本の側面電極206(206c)は側面電極204と側面電極208の間に配置されている。
【0064】
絶縁基板M1には、外周部を除いたほぼ全面に導体パターン211が形成されている。導体パターン211には、切り欠き部212が設けられている。切り欠き部212は、導体パターン211のほぼ中央部、側面電極206cの反対側から、側面電極206cに向かって凹むように形成されている。
【0065】
絶縁基板M2から絶縁基板M7には、第1の実施例と同様に、導体パターンが設けられている。第2の実施例は、第1の実施例と比較して、導体パターンの形状が異なる点、及び導体パターンが図面上、切り欠き部212よりも左側に配置され切り欠き部212よりも右側には配置されていない点の2点が異なる。絶縁基板M7の導体パターン271は、側面電極206a、206cと接続され、側面電極206bとは接続されていない。
【0066】
第2の実施例においては、等価回路、及び等価回路の素子と素子を形成する導体パターン・配線との関係は、第1の実施例と同じであるので説明を省略する。
【0067】
図25及び図26を用いて、第2の実施例に係るバンドパスフィルタの切り欠き部の構造と特性について説明する。図25は、切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。図26は、第2の実施例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【0068】
第2の実施例では、切り欠き部212を設けないと、減衰帯域周波数において、減衰極が発生していないが、切り欠き部212を設けることにより、減衰極が発生する。また、切り欠き部212の大きさを大きくするほど減衰極の発生周波数は低くなる。切り欠き部212を設けても、通過帯域周波数では透過特性の変化は生じない。
【0069】
以上、第2の実施例によれば、導体パターン221と導体パターン211とが重なり、導体パターン221にはインダクタL12が接続され、導体パターン211には切り欠き部212が設けられている。その結果、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰極を発生させ、さらに、切り欠き部212の大きさを大きくすることにより減衰極の発生周波数を低周波側に移動させることができる。
【0070】
3.第3の実施例
図27及び図28を用いて第3の実施例について説明する。図27は、第3の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その1)である。図28は、第3の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その2)である。第3の実施例については、第2の実施例と同じ機能のものについては第2の実施例の符号に100を足した符号を付している。
【0071】
絶縁基板M1からM6までの構成については第2の実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0072】
絶縁基板M7には、導体パターン371から導体パターン374が形成されている。導体パターン371は、細長い導体パターンであり、その一方の端は、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M2の導体パターン321と重なる。導体パターン372は、細長い導体パターンであり、その一方の端は、絶縁基板を積層したときに絶縁基板M2の導体パターン322と重なる。絶縁基板を積層したときに、導体パターン373は、絶縁基板M6の導体パターン361の他端(絶縁基板M5の導体パターン352と重ならない端)と重なり、導体パターン374は、絶縁基板M6の導体パターン362の他端(絶縁基板M5の導体パターン353と重ならない端)と重なる。
【0073】
絶縁基板M8には、導体パターン381から導体パターン384が形成されている。導体パターン381は、細長い導体パターンであり、一端が側面電極302に接続され、絶縁基板を積層しときに他端は絶縁基板M7の導体パターン371の他端と重なる。導体パターン382は、細長い導体パターンであり、一端が側面電極304に接続され、絶縁基板を積層したときに他端は絶縁基板M7の導体パターン372の他端と重なる。絶縁基板を積層したときに、導体パターン383は、絶縁基板M7の導体パターン373と重なり、導体パターン384は、絶縁基板M7の導体パターン374と重なる。
【0074】
絶縁基板M9には導体パターン391が形成されている。導体パターン391は第2の実施例の絶縁基板M7の導体パターン371と同じ構成である。
【0075】
第3の実施例に係るバンドパスフィルタは、6本のスルーホール配線を有する。
【0076】
スルーホール配線321tは、導体パターン321(絶縁基板M2)、導体パターン333(絶縁基板M3)、導体パターン341(絶縁基板M4)、導体パターン352(絶縁基板M5)、導体パターン361(絶縁基板M6)、及び導体パターン371(絶縁基板M)7を繋いでいる。スルーホール配線322tは、導体パターン322(絶縁基板M2)、導体パターン334(絶縁基板M3)、導体パターン342(絶縁基板M4)、導体パターン353(絶縁基板M5)、導体パターン362(絶縁基板M6)、及び導体パターン372(絶縁基板M7)を繋いでいる。
【0077】
スルーホール配線361tは、導体パターン361(絶縁基板M6)、導体パターン373(絶縁基板M7)、導体パターン383(絶縁基板M8)及び導体パターン391(絶縁基板M9)を繋いでいる。スルーホール配線362tは、導体パターン362(絶縁基板M6)、導体パターン374(絶縁基板M7)、導体パターン384(絶縁基板M8)、及び導体パターン391(絶縁基板M9)を繋いでいる。
【0078】
スルーホール配線371tは、導体パターン371(絶縁基板M7)と導体パターン381(絶縁基板M8)とを繋いでいる。スルーホール配線372tは、導体パターン372(絶縁基板M7)と導体パターン382(絶縁基板M8)とを繋いでいる。
【0079】
図29を用いて、第3の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路について説明する。図29は、第3の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路である。
【0080】
バンドパスフィルタの入力端子INには、キャパシタC11と、インダクタL13及びインダクタL14とを直列に接続したものとが並列に接続されている。インダクタL13とインダクタL14との接続部にはインダクタL11の一端が接続され、インダクタL11の他端はグランドに接地されている。キャパシタC11の入力端子INと反対側には、インダクタL12の一端が接続されている。インダクタL12の他端はキャパシタC12を介して、グランドに接地されている。
【0081】
バンドパスフィルタの出力端子OUTには、キャパシタC21と、インダクタL23及びインダクタL24とを直列に接続したものとが並列に接続されている。インダクタL23とインダクタL24の接続部にはインダクタL21の一端が接続され、インダクタL21の他端はグランドに接地されている。キャパシタC21の出力端子OUTと反対側には、インダクタL22の一端が接続されている。インダクタL22の他端はキャパシタC22を介して、グランドに接地されている。
【0082】
キャパシタC11の入力端子INと反対側と、キャパシタC21の出力端子OUTと反対側と、の間には、キャパシタC31a及びキャパシタC31bが直列に接続されている。
【0083】
第3の実施例のバンドパスフィルタの等価回路を第1、第2の実施例のバンドパスフィルタの等価回路を比較すると、第1、第2の実施例のバンドパスフィルタでは、入力端子IN及び出力端子OUTにはキャパシタC11及びC21が接続されるだけであったが、第3の実施例のバンドパスフィルタでは、キャパシタC11及びC21と並列にインダクタL13及びL23が付加されている点が異なる。
【0084】
図30を用いて、等価回路と導体パターンとの関係を説明する。図30は、等価回路の素子と、素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。ここで、キャパシタの構成については第1の実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0085】
インダクタL11は、スルーホール配線361tと導体パターン361の直列結合により構成されている。インダクタL12はスルーホール配線321tのうち絶縁基板M2の表面から絶縁基板M4の表面の間の部分のスルーホール配線の直列結合により構成されている。インダクタL13は、導体パターン381、スルーホール配線371t、導体パターン371、スルーホール配線321tのうち絶縁基板M6の表面から絶縁基板M7の表面の間の部分のスルーホール配線の直列結合により構成されている。インダクタL14は、スルーホール配線321tのうち絶縁基板M4の表面から絶縁基板M6の表面の間の部分にあるスルーホール配線を用いて構成されている。
【0086】
インダクタL21は、スルーホール配線362tと導体パターン362の直列結合により構成されている。インダクタL22はスルーホール配線322tのうち絶縁基板M2の表面から絶縁基板M4の表面の間の部分のスルーホール配線の直列結合により構成されている。インダクタL23は、導体パターン382、スルーホール配線372t、導体パターン372、スルーホール配線322tのうち絶縁基板M6の表面から絶縁基板M7の表面の間の部分のスルーホール配線の直列結合により構成されている。インダクタL24は、スルーホール配線322tのうち絶縁基板M4の表面から絶縁基板M6の表面の間の部分にあるスルーホール配線を用いて構成されている。
【0087】
図31及び図32を用いて、第3の実施例に係るバンドパスフィルタの切り欠き部の構造と特性について説明する。図31は、切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。図32は、第3の実施例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【0088】
切り欠き部312の凹の深さと透過特性との関係をみると、切り欠き部312の凹の深さがより深い方が減衰帯域周波数において、減衰極の発生周波数は低周波数側に移動している。一方、通過帯域周波数では、切り欠き部312の凹の深さによる違いは生じていない。
【0089】
第3の実施例によれば、キャパシタC11及びC21と並列にインダクタL13及びL23が設けられていても、切り欠き部312を設けることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を変えることができる。すなわち、入力部、出力部の構成にかかわらず、導体パターン311に切り欠き部を設けることにより、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数における減衰極の発生周波数を変えることができる。
【0090】
第2、第3の実施例では、積層型電子部品の左半分しか導体パターンを設けていない。これは、これは、積層型電子部品の右半分には、導体パターンを配置しないという訳ではなく、積層型電子部品の右半分に他のフィルタ回路を構成し、ダイプレクサ、マルチプレクサを形成してもよい。これについては、第4の実施例で説明する。なお、ダイプレクサ(diplexer)のダイ(di)は「2」を意味する接頭語であり、マルチプレクサ(multiplexer)のマルチ(multi)は「多数の」を意味する接頭語であり、マルチプレクサという場合には、ダイプレクサも含む。
【0091】
4.第4の実施例
図33から図37を用いて第4の実施例に係るダイプレクサについて説明する。図33は、第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その1)である。図34は、第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その2)である。図35は、第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その3)である。図36は、第4の実施例に係るダイプレクサの等価回路図である。図37は、等価回路の素子と、素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。
【0092】
第4の実施例に係るダイプレクサは、2つのバンドパスフィルタ、すなわち、ハイバンドフィルタ40aとローバンドフィルタ40bを有する。第4の実施例では、第3の実施例と側面電極402から側面電極408の機能が異なり、側面電極402はANT端子、側面電極404はHB端子、側面電極408はLB端子となっている。ハイバンドフィルタ40aについては、第3の実施例で説明したバンドパスフィルタとほぼ同じである。したがって、第4の実施例については、第3の実施例と同じ機能のものについては第3の実施例の符号に100を足した符号を付している。
【0093】
図33から図35に示す分解斜視図において、ハイバンドフィルタ40aは、各絶縁基板の左半分に形成される導体パターンにより構成され、ローバンドフィルタ40bは、各絶縁基板の右半分に形成される導体パターンにより構成される。以下、ダイプレクサの構成について、ハイバンドフィルタ40aとローバンドフィルタ40bに分けて説明する。
【0094】
ハイバンドフィルタ40aの構成:
ハイバンドフィルタ40aについて、絶縁基板M2から絶縁基板M8までの構成は、第3の実施例と同じである。したがって、絶縁基板M2から絶縁基板M8までの構成についての説明は省略し、絶縁基板M1及び絶縁基板M9から絶縁基板M12までについて説明する。
【0095】
絶縁基板M1の構成は、第3の実施例の構成とほぼ同じである。第3の実施例と同様にほぼ全面に導体パターン411が形成されている。ただし、切り欠き部412は、図面右側(ローバンドフィルタ40b側)に折れたカギ型である点が異なる。絶縁基板M9には、導体パターン491と導体パターン492が形成されている。導体パターン491は、絶縁基板M8の導体パターン483と重なっており、導体パターン492は、絶縁基板M8の導体パターン484と重なっている。絶縁基板M10、M11は、絶縁基板M9と同じ構成であり、それぞれ導体パターン501、502と導体パターン511,512が形成されている。導体パターン501、511は絶縁基板M8の導体パターン483と重なっており、導体パターン502、512は絶縁基板M8の導体パターン484と重なっている。絶縁基板M12には、導体パターン521が形成されている。なお、絶縁基板M12の構成は、第3の実施例の絶縁基板M9と同じ構成である。
【0096】
第4の実施例に係るダイプレクサはハイバンドフィルタ40aに、6本のスルーホール配線を有する。
【0097】
スルーホール配線421t、422t、471t、472tの構成は、第3の実施例に係るバンドパスフィルタのスルーホール配線321t、322t、371t、372tの構成と同じなので説明を省略する。
【0098】
スルーホール配線461tは、導体パターン461(絶縁基板M6)、導体パターン473(絶縁基板M7)、導体パターン483(絶縁基板M8)、導体パターン491(絶縁基板M9)、導体パターン501(絶縁基板M10)、導体パターン511(絶縁基板M11)、及び導体パターン521(絶縁基板M12)を繋いでいる。スルーホール配線462tは、導体パターン462(絶縁基板M6)、導体パターン474(絶縁基板M7)、導体パターン484(絶縁基板M8)、導体パターン492(絶縁基板M9)、導体パターン502(絶縁基板M10)、導体パターン512(絶縁基板M11)、及び導体パターン521(絶縁基板M12)を繋いでいる。
【0099】
第4の実施例に係るダイプレクサのハイバンドフィルタ40aの等価回路は第3の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路と同じなので説明を省略する。
【0100】
第4の実施例に係るダイプレクサのハイバンドフィルタ40aについて、等価回路の素子と、素子を形成する導体パターン・配線との関係を説明する。キャパシタの構成及びインダクタL12,13、14、22,23,24の構成については第3の実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0101】
インダクタL11は、スルーホール配線461tと導体パターン461の直列結合により構成される点において、第3の実施例と同じである。ただし、第3の実施例ではスルーホール配線361tが絶縁基板M6の表面から絶縁基板のM9の表面までを繋ぐ配線であるのに対し、第4の実施例では、スルーホール配線461tは絶縁基板M6の表面から絶縁基板M12の表面までを繋ぐ配線である点が異なる。インダクタL21についても同様である。
【0102】
ローバンドフィルタ40bの構成:
ローバンドフィルタ40bについては、各絶縁基板に形成される導体パターンについては個々に説明せず、図36に示す等価回路の各素子が図33から図35に示す分解斜視図のどの導体パターン、どのスルーホール配線を用いて形成されているかを説明する。
【0103】
キャパシタC41は導体パターン423(絶縁基板M2)と導体パターン411(絶縁基板M1)の重なりにより、キャパシタC42は導体パターン532(532a(絶縁基板M13))と導体パターン522(絶縁基板M12)の重なりにより、キャパシタC43は導体パターン532(532b(絶縁基板M13))と導体パターン523(絶縁基板M12)の重なりにより、キャパシタC44は導体パターン531(絶縁基板M13)と導体パターン523(絶縁基板M12)の重なりにより、キャパシタC45は導体パターン424(絶縁基板M2)と導体パターン411(絶縁基板M1)の重なりにより構成されている。
【0104】
インダクタL41は、導体パターン513(絶縁基板M11)、スルーホール配線503t(絶縁基板M11〜絶縁基板M10)、導体パターン503(絶縁基板M10)、スルーホール配線493t(絶縁基板M10〜絶縁基板M9)、導体パターン493(絶縁基板M9)、スルーホール配線485t(絶縁基板M9〜絶縁基板M8)、導体パターン485(絶縁基板M8)、スルーホール配線474t(絶縁基板M8〜絶縁基板M7)、導体パターン474(絶縁基板M7)、スルーホール配線463t1(絶縁基板M7〜絶縁基板M6)、及び導体パターン463(絶縁基板M6)の直列接続により構成されている。図33から図35において上記導体パターン、スルーホール配線のつながりを追いかけると、インダクタL41は、絶縁基板M11上の導体パターン513から始まり、反時計回りにいわゆる螺旋を描きながら下層の絶縁基板につながるコイルである。なお、図33から図35では模式的に描いているため、スルーホール配線の長さは長いように見えるが、スルーホール配線の長さは絶縁基板の厚と同じであり、短い。本実施例では、スルーホール配線の長さよりも、各絶縁基板に形成される導体パターンの長さの方がかなり長いため、インダクタへの寄与は導体パターンが支配的である。よって、図37(b)では、導体パターンのみを記載している。
【0105】
インダクタL42は、導体パターン494(絶縁基板M9)、スルーホール配線486t(絶縁基板M9〜絶縁基板M8)、導体パターン486(絶縁基板M8)、スルーホール配線475t(絶縁基板M8〜絶縁基板M7)、導体パターン475(絶縁基板M7)、スルーホール配線463t2(絶縁基板M7〜絶縁基板M6)、導体パターン463(絶縁基板M6)により構成されている。インダクタL42は、絶縁基板M9上の導体パターン494から始まり、時計回りにいわゆる螺旋を描きながら下層につながるコイルである。
【0106】
インダクタL43は、導体パターン515(絶縁基板M11)、スルーホール配線505t(絶縁基板M11〜絶縁基板M10)、導体パターン505(絶縁基板M10)、スルーホール配線495t(絶縁基板M10〜絶縁基板M9)、導体パターン495(絶縁基板M9)、スルーホール配線487t(絶縁基板M9〜絶縁基板M8)、導体パターン487(絶縁基板M8)、スルーホール配線476t(絶縁基板M8〜絶縁基板M7)、導体パターン476(絶縁基板M7)、スルーホール配線464t(絶縁基板M7〜絶縁基板M6)、導体パターン464(絶縁基板M6)により構成されている。インダクタL43は、絶縁基板M11上の導体パターン515から始まり、反時計回りにいわゆる螺旋を描きながら下層につながるコイルである。
【0107】
インダクタL44は、導体パターン516(絶縁基板M11)、スルーホール配線506t(絶縁基板M11〜絶縁基板M10)、導体パターン506(絶縁基板M10)、スルーホール配線496t(絶縁基板M10〜絶縁基板M9)、導体パターン496(絶縁基板M9)、スルーホール配線488t(絶縁基板M9〜絶縁基板M8)、導体パターン488(絶縁基板M8)、スルーホール配線477t(絶縁基板M8〜絶縁基板M7)、導体パターン477(絶縁基板M7)、スルーホール配線465t(絶縁基板M7〜絶縁基板M6)、導体パターン465(絶縁基板M6)により構成されている。インダクタL44は絶縁基板M11上の導体パターン516から始まり、反時計回りにいわゆる螺旋を描きながら下層につながるコイルである。
【0108】
図38及び図39を用いて、第4の実施例に係るダイプレクサの切り欠き部の構造と特性について説明する。図38は、切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。図39は、第4の実施例に係るダイプレクサのハイバンドフィルタ40aの透過特性を示すグラフである。
【0109】
切り欠き部412の凹の大きさと透過特性との関係をみると、切り欠き部412が大きい方が減衰帯域周波数において、減衰極の発生周波数は低周波数側に移動している。一方、通過帯域周波数では、違いは生じていない。
【0110】
第4の実施例によれば、切り欠き部412を設けることにより、バンドパスフィルタだけでなく、ダイプレクサであっても、通過帯域周波数の特性に影響を与えることなく減衰帯域周波数の特性を変えることができる。
【0111】
第1の実施例から第4の実施例では、切り欠き部の形状は、矩形あるいはカギ型であったが、形状は、これらには限定されず、他の形状、例えば、三角形、多角形、半円形、円形、楕円形等であってもよい。
なお、上記説明では、本発明の実施態様として積層型電子部品を例にとり説明したが、実施態様として、積層型電子部品の周波数特性の調整方法としての態様であってもよいのは、当然である。
【0112】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施例に係るバンドパスフィルタの上面を上にした外観を模式的に示す説明図である。
【図2】第1の実施例に係るバンドパスフィルタの下面を上にした外観を模式的に示す説明図である。
【図3】第1の実施例に係るバンドパスフィルタ10を構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図である。
【図4】第1の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路である。
【図5】等価回路の素子と素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。
【図6】切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。
【図7】第1の実施例に係るバンドパスフィルタ10の透過特性(SパラメータのS21)を示すグラフである。
【図8】比較例に係るバンドパスフィルタの構成を模式的に示す説明図である。
【図9】比較例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図10】変形例1に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図11】変形例1に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図12】変形例2に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図13】変形例2に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図14】変形例3に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図15】変形例3に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図16】変形例4に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図17】変形例4に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図18】変形例5に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図19】変形例5に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図20】変形例6に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図21】変形例6に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図22】変形例7に係るバンドパスフィルタの構成を示す説明図である。
【図23】変形例7に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図24】第2の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図である。
【図25】切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。
【図26】第2の実施例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図27】第3の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その1)である。
【図28】第3の実施例に係るバンドパスフィルタを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その2)である。
【図29】第3の実施例に係るバンドパスフィルタの等価回路である。
【図30】等価回路の素子と素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。
【図31】切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。
【図32】第3の実施例に係るバンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。
【図33】第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その1)である。
【図34】第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その2)である。
【図35】第4の実施例に係るダイプレクサを構成する絶縁基板を展開して示す分解斜視図(その3)である。
【図36】第4の実施例に係るダイプレクサの等価回路図である。
【図37】等価回路の素子と素子を形成する導体パターン・配線との関係を示す説明図である。
【図38】切り欠き部の構成を模式的に示す説明図である。
【図39】第4の実施例に係るダイプレクサのハイバンドフィルタ側の透過特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0114】
10…バンドパスフィルタ
40a…ハイバンドフィルタ
40b…ローバンドフィルタ
102…側面電極
104…側面電極
106…側面電極
111…導体パターン
111a…接続部
112…切り欠き部
121…導体パターン
121t…スルーホール配線
122…導体パターン
122t…スルーホール配線
131…導体パターン
132…導体パターン
133…導体パターン
134…導体パターン
141…導体パターン
142…導体パターン
151…導体パターン
152…導体パターン
153…導体パターン
161…導体パターン
161t…スルーホール配線
162…導体パターン
162t…スルーホール配線
171…導体パターン
202…側面電極
204…側面電極
206…側面電極
206a…側面電極
206b…側面電極
206c…側面電極
208…側面電極
211…導体パターン
212…切り欠き部
221…導体パターン
271…導体パターン
302…側面電極
304…側面電極
311…導体パターン
312…切り欠き部
321…導体パターン
321t…スルーホール配線
322…導体パターン
322t…スルーホール配線
333…導体パターン
334…導体パターン
341…導体パターン
342…導体パターン
352…導体パターン
353…導体パターン
361…導体パターン
361t…スルーホール配線
362…導体パターン
362t…スルーホール配線
371…導体パターン
371…導体パターン
371t…スルーホール配線
372…導体パターン
372t…スルーホール配線
373…導体パターン
374…導体パターン
381…導体パターン
381…導体パターン
382…導体パターン
383…導体パターン
384…導体パターン
391…導体パターン
402…側面電極
404…側面電極
408…側面電極
411…導体パターン
412…切り欠き部
421t…スルーホール配線
422t…スルーホール配線
423…導体パターン
424…導体パターン
461…導体パターン
461t…スルーホール配線
462t…スルーホール配線
463…導体パターン
463t1…スルーホール配線
463t2…スルーホール配線
464…導体パターン
464t…スルーホール配線
465…導体パターン
465t…スルーホール配線
466…導体パターン
473…導体パターン
474…導体パターン
474t…スルーホール配線
475…導体パターン
475t…スルーホール配線
476…導体パターン
476t…スルーホール配線
477…導体パターン
477t…スルーホール配線
483…導体パターン
484…導体パターン
485…導体パターン
485t…スルーホール配線
486…導体パターン
486t…スルーホール配線
487…導体パターン
487t…スルーホール配線
488…導体パターン
488t…スルーホール配線
491…導体パターン
492…導体パターン
493…導体パターン
493t…スルーホール配線
494…導体パターン
494t…スルーホール配線
495…導体パターン
495t…スルーホール配線
496…導体パターン
496t…スルーホール配線
501…導体パターン
502…導体パターン
503…導体パターン
503t…スルーホール配線
505…導体パターン
505t…スルーホール配線
506…導体パターン
506t…スルーホール配線
511…導体パターン
512…導体パターン
513…導体パターン
515…導体パターン
516…導体パターン
521…導体パターン
522…導体パターン
523…導体パターン
531…導体パターン
532…導体パターン
532a…導体パターン
532b…導体パターン
M1…絶縁基板
M2…絶縁基板
M3…絶縁基板
M4…絶縁基板
M5…絶縁基板
M6…絶縁基板
M7…絶縁基板
M8…絶縁基板
M9…絶縁基板
M10…絶縁基板
M11…絶縁基板
M12…絶縁基板
M13…絶縁基板
IN…入力端子
OUT…出力端子
C11…キャパシタ
C12…キャパシタ
C21…キャパシタ
C22…キャパシタ
C31a…キャパシタ
C31b…キャパシタ
C41…キャパシタ
C42…キャパシタ
C43…キャパシタ
C44…キャパシタ
C45…キャパシタ
L11…インダクタ
L12…インダクタ
L13…インダクタ
L14…インダクタ
L21…インダクタ
L22…インダクタ
L23…インダクタ
L24…インダクタ
L41…インダクタ
L42…インダクタ
L43…インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁基板が積層されてなる積層型電子部品であって、
外部電極と、
第1の導体パターンが形成されている第1の絶縁基板と、
前記外部電極に接続され、前記第1の導体パターンと一部が重なり、前記第1の導体パターンと重ならない部分に切り欠き部を有する第2の導体パターンが形成されている第2の絶縁基板と、
前記第1の導体パターンに接続されるインダクタ導体と、
を備える、積層型電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型電子部品において、前記インダクタ導体として、
一端が前記第1の導体パターンに接続されている第1のインダクタ導体と、
一端が前記第1のインダクタ導体の他端に接続され、他端が前記外部電極に接続されている第2のインダクタ導体と、
を備える、積層型電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載の積層型電子部品において、
前記第1のインダクタ導体及び前記第2のインダクタ導体の少なくとも一方を分布定数素子として利用する、積層型電子部品。
【請求項4】
前記積層型電子部品は、請求項2または請求項3に記載の第1の導体パターン、第2の導体パターン、第1のインダクタ導体、及び第2のインダクタ導体を有するバンドパスフィルタ回路を備える、
積層型電子部品。
【請求項5】
請求項4に記載の積層型電子部品において、
前記積層型電子部品は所定の通過周波数帯域をそれぞれ有する複数のフィルタ回路を備えるマルチプレクサであって、
前記複数のフィルタ回路のうち少なくとも1つは、前記バンドパスフィルタ回路である、積層型電子部品。
【請求項6】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の積層型電子部品において、
前記切り欠き部がカギ型をしている、積層型電子部品。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の積層型電子部品において、
前記切り欠き部は、前記第2の導体パターンに囲まれている、積層型電子部品。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の積層型電子部品において、
前記第2の導体パターンに前記切り欠き部が複数備えられている、積層型電子部品。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の積層型電子部品において、さらに、
前記第1の絶縁基板上に前記第2の導体パターンと重なる第3の導体パターンを有し、
前記第2の導体パターン上の、前記第1の導体パターンと重なる部分、及び前記第3の導体パターンと重なる部分、の間に前記切り欠き部が設けられている、積層型電子部品。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の積層型電子部品において、
前記切り欠き部は、前記外部電極に接続される導体パターン以外の導体パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている、積層型電子部品。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の積層型電子部品において、
前記外部電極と前記第2の導体パターンとの接続部の幅は、前記外部電極の幅と異なっている、積層型電子部品。
【請求項12】
複数の絶縁基板を積層してなる積層型電子部品の周波数特性の調整方法であって、
前記積層型電子部品は
外部電極と、
第1の導体パターンが形成されている第1の絶縁基板と、
前記外部電極に接続され、前記第1の導体パターンと一部が重なる第2の導体パターンが形成されている第2の絶縁基板と、
前記第1の導体パターンに接続されるインダクタ導体と、
を備え、
前記第2の導体パターン上であって、前記第1の導体パターンと重ならない部分に切り欠き部を設け、前記切り欠き部の位置、大きさ、形状を調整することにより、積層型電子部品の周波数特性を調整する積層型電子部品の周波数特性の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2009−55344(P2009−55344A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220091(P2007−220091)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】