穴の内部寸法を計測するための装置
【課題】油田における坑井ボアの内部寸法を計測するための装置において、過酷な環境(高温または高圧)でも、使用に耐えられるものを提供する。
【解決手段】坑井ボアWBの内部寸法を計測するための検層システムLSは、坑井ボアWBの内部に配置されるようになされた検層工具1を備える。検層工具1はセントラライザー5を含み、全体として、検層工具1および下ノーズ5’に連結された複数の機械式アーム6、7等を含む。機械式アーム6、7等は、坑井ボア壁WBWと接触し、検層工具1が正しく位置決めされるように、半径方向に展開するとともに、坑井ボアWBの内部寸法を計測するために使用される光学式センサのカリパーアームを形成する。また、検層工具1は、光ファイバライン2に連結されており、適合した地表ユニット(例えば、車輛3および対応するシステム4)によって坑井ボアWBの内部へ展開される。
【解決手段】坑井ボアWBの内部寸法を計測するための検層システムLSは、坑井ボアWBの内部に配置されるようになされた検層工具1を備える。検層工具1はセントラライザー5を含み、全体として、検層工具1および下ノーズ5’に連結された複数の機械式アーム6、7等を含む。機械式アーム6、7等は、坑井ボア壁WBWと接触し、検層工具1が正しく位置決めされるように、半径方向に展開するとともに、坑井ボアWBの内部寸法を計測するために使用される光学式センサのカリパーアームを形成する。また、検層工具1は、光ファイバライン2に連結されており、適合した地表ユニット(例えば、車輛3および対応するシステム4)によって坑井ボアWBの内部へ展開される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプの内部寸法を計測するための装置に関する。油田産業における本発明の計測装置の特定の用途は、炭化水素坑井ボア(well-bore) の内部寸法の計測に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素坑井を掘削し、安全にした後、一般的には、鑿井検層作業が行われる。鑿井検層作業は、炭化水素坑井の地質学的地層の様々なパラメータ(例えば、様々な深さでの抵抗や多孔度等)、および穴(抗井ボア、well-bore)内での様々なパラメータ(例えば、様々な深さでの温度、圧力、流体の種類、流体の流量、等)を計測するのに役立つ。このような計測は、検層工具によって行われる。一般的には、検層工具は、少なくとも一つのセンサ(例えば抵抗ゾンデ、機械式ゾンデ、γ線中性子ゾンデ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、等)を備え、少なくとも一つのパラメータを計測する。一以上のパラメータを感知する同じまたは異なる複数のセンサを備えていてもよい。
【0003】
以下の理由により、全体に沿った坑井ボアの寸法が重要なパラメータである。
第1に、炭化水素坑井を掘削した後、坑井ボアは、掘穿泥水で満たされた開放状態のボア穴である。一般的には、坑井ボアは、セメンティング作業によって囲まれている。セメンティング作業を正しく計画するため、掘削エンジニアは、坑井ボアの状態および掘穿泥水がボア穴の安定性を維持している程度の両方の定性的表示として、坑井ボアの寸法を計測することを必要とする。
第2に、ボア穴を囲んだ(ケーシングとしても既知である)とき、またはチューブを入れた(チュービングとしても既知である)とき、様々なパラメータについてのデータを集めるため、検層工具をボア穴内容物で上下させる。検層工具がボア穴内に引っ掛からないようにするため、検層作業は十分な直径のボア穴を必要とする。かくして、検層エンジニアは、ボア穴の壁の変形、褶曲、または腐蝕の可能性の定性的表示として坑井ボアを計測する必要がある。
第3に、坑井の他の特性値を決定するため、坑井ボアの寸法の計測を他の計測と組み合わせて使用することもできる。例えば、坑井ボアの寸法および流体速度の計測(例えばスピナーによる)により坑井ボア内を流れる流体の流量を計算することができる。
【0004】
現在の検層工具において、チュービングまたはケーシングの直径の計測は、電気機械的装置または超音波装置に基づいて行われる。これらの装置は、カリパーとしても既知である。電気機械的カリパーは、機械式アームの半径方向の開きを並進移動に変換し、これを少なくとも一つの線形可変差動変成器(LVDT)によって検出し、一つまたは二つの方向での寸法計測を完了する。チュービングまたはケーシングを多数の箇所で計測するために複数のカリパーを使用してもよい(多アームカリパーまたは多フィンガカリパーとしても既知である)。
超音波カリパーは、高周波音響信号を使用してケーシングまたはチュービングの内径を計測する。トランスジューサー(伝送モード)が高周波パルスを放出し、パルスがケーシングまたはチュービングの壁で反射されてトランスジューサー(受信モード)に戻る。このエコーの飛行時間および流体の音響速度から直径が決定される。トランスジューサーを回転させ、ボア穴の大きさの断面および全体に亘るボア穴壁の画像を発生させるようにしてもよい。
適当な獲得システムに連結された両方の種類のカリパーは、ボア穴の深さに沿ったボア穴の計測された直径を表すカリパーログを提供する。
電気機械的カリパーおよび超音波カリパーは、過酷な環境(ダウンホールで一般的な高温または高圧)で使用した場合に信頼性に問題がある電子式システムを必要とする。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一つの目的は、過酷な条件において、従来技術のカリパーよりも信頼性が高い、穴(坑井ボア、well-bore)の内部寸法を計測するための装置を提案することである。
本発明によれば、計測装置は、穴の内部寸法と相関した応答をもたらす光学式センサを備える光学式カリパーである。光学式センサは、光ファイバに連結されている。
【0006】
本発明の第1実施形態によれば、光学式センサは、穴の壁と接触するカリパーアームに連結されたブラッグ格子を備えている。
第1実施形態の第1の態様によれば、寸法の計測は、カリパーアームの移動にともなった伸長/圧縮で作動するブラッグ格子を含む。更に詳細には、装置は、
−前記穴の内壁と接触する少なくとも一つのアームを備え、
−前記光学式センサは、前記光ファイバの一部分に形成されたブラッグ格子を備え、前記アームは、前記アームの動作によって前記光ファイバの前記部分を伸長/圧縮するよう、第1連結点において前記光ファイバの前記部分に連結されており、
−前記光学式センサの応答は、前記ブラッグ格子を備える光ファイバの前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記部分の屈折率変調の変化(refractive index modulation modification)の計測値である。
任意であるが、装置は、前記アームの半径方向変位を変換するための追加のアームをさらに備えている。前記追加のアームは、前記第1連結点に連結されている。
第1実施形態の第2の態様によれば、寸法の計測は、ブラッグ格子を支持するアームの撓みにともなった伸長/圧縮で作動するブラッグ格子を含む。更に詳細には、装置は、
−前記光ファイバに連結され、前記穴の内壁(WBW)と接触する可撓性アームをさらに備え、
−前記光学式センサは、前記光ファイバの一部分に形成されたブラッグ格子を備え、前記ブラッグ格子は前記可撓性アーム内/上に配置され、前記光ファイバの前記部分は、少なくとも第1連結点および第2連結点において前記可撓性アームに連結され、前記連結点が前記部分を間に挟み、これにより、前記可撓性アームの撓みによって前記光ファイバの前記部分が伸長/圧縮させられ、
−前記光学式センサの応答は、前記ブラッグ格子を備える前記光ファイバの前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記部分の屈折率変調の変化(refractive index modulation modification)の計測値である。
【0007】
本発明の第2実施形態によれば、光学式カリパーは、吸収性流体を収容したハウジングを含む。穴の壁と接触するカリパーアームが吸収性流体に貫入している。寸法の計測は、光の強さの変調に基づいて吸収を計測することにより行われる。更に詳細には、装置は、−光吸収性流体(312’)を充填された密封ハウジング(312)であって、光ファイバ(311A)に連結された密封ハウジング(312)を備える光学式センサを備え、
−前記穴の内壁と接触するアーム(306、310)が前記密封ハウジングに連結され、アーム(306、310)は、光ファイバ末端(311A’)に対面するミラー(313A)を、前記光吸収性流体と接触する前記アームの末端に備え、
−前記光学式センサの応答は、前記光ファイバ末端から前記光吸収性流体を通って移動し、前記ミラーによって反射されて前記光ファイバ末端に戻る反射された光ビームの強さである。
【0008】
本発明の第3実施形態によれば、光学式カリパーは、ビームを穴の壁に向かって放出し、反射された光ビームの位置を検出する光学的エレメントを備える。寸法の計測は、反射された光ビームの光検出器の表面上での位置の計測に基づいて行われる。更に詳細には、装置は、
−ウィンドウ(402)と、前記光ファイバ(411)に連結された反射エレメント(403)と、を備え、これにより、前記ウィンドウ(402)を通過して前記穴の前記内壁に特定の角度(α)で光ビームを放出するようになっており、
−前記光学式センサは、前記穴の前記内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器(404)を備え、
−前記光学式センサの応答は、前記空間感知光検出器上での前記反射された光ビームの位置(L)である。
【0009】
本発明による光学式カリパーの様々な実施形態により、解像度を高くすることができ、投影面積を小さくすることができ、信頼性を向上でき、そして、従来の電子装置では全く作動しない過酷な環境(例えば高温)で使用することができる。
【0010】
光学式カリパーは、多アームでの用途で又は回転カリパーでの用途で使用された場合、穴の直径を全周に亘って、全体をカバーするように走査することができる。かくして、光学式カリパーは、穴の内部寸法およびその一体性(例えば、電位損、腐蝕現象、または穴の壁の孔)についての情報を提供する。
【0011】
本発明の光学式カリパーは、位置の絶対的計測値を提供し、幾つかの適用で、すなわち単カリパー形体または多カリパー形体で使用することができる。
さらに、伝送波長が適切に選択された場合、例えば標準的な近赤外線伝送間隔では、光学式カリパーを遠隔感知(遠隔センシング)に使用することができる。かくして、信号を発生し、獲得し、演算処理を行う全ての電子装置は地表に設けられ、一方で、受動的な光学的エレメントだけがダウンホール内にある。
【0012】
さらに、本発明は、穴の内部寸法を計測するためのシステムに関する。このシステムは、穴の内部寸法を計測するための任意の実施形態による複数の装置を含み、これらの装置の各々は、少なくとも一つの光ファイバに連結されており、多重通信を行う。
最後に、本発明は、さらに、穴の少なくとも一つのパラメータを計測するための検層工具に関する。検層工具は、穴の内部寸法を計測するための任意の実施形態による少なくとも一つの装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による検層システムを示す概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の第1実施形態によるカリパー工具を備えた工具を示す図である。
【図2B】図2Bは、本発明の第1実施形態の原理を概略的に示す図である。
【図2C】図2Cは、本発明の第1実施形態の原理を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態の別の態様による工具を示す図である。
【図4】図4は、カリパーの開きと図3の態様による工具で計測した歪みとの間の相関を示す計測例のグラフである。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態による光学式センサを示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態による光学式センサを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が、同様のエレメントに同じ参照番号を付した添付図面に、非限定的な例として示されている。
【0015】
図1は、坑井ボアWBで検層作業を行うようになされた検層システムLSを概略的に示す。
坑井ボア(穴、well-bore)は、ボア穴(bore-hole)、ケーシング、またはチュービングであってもよい。坑井ボアには、変形DF、腐蝕CR、および穿孔PF等が加わる場合がある。これらは、坑井ボア壁WBWに悪影響を及ぼし、これにともなって坑井ボアの内部寸法に悪影響を及ぼす。坑井ボアには、全体として、坑井へッドWHおよびパッキン箱SBが設けられている。パッキン箱は、検層システムを坑井ボア内に展開するためのシールを提供する。検層システムLS全体に部分的に大気圧が加わっている一方で、坑井ボアは全体として加圧される。
検層システムLSは、検層工具1を含む。有利には、検層工具はセントラライザー(centralizer)5を含み、このセントラライザーは、全体として、工具1および下ノーズ5’に連結された複数の機械式アーム6、7、・・・等を含む。機械式アームは、坑井ボアの壁と接触し、これにより、工具が坑井ボア内で(例えば坑井ボアの中央軸線に沿って)確実に正しく位置決めされるように、半径方向に展開することができる。さらに、機械式アームは、坑井ボアの内部寸法(例えば直径)を計測するために使用されるカリパーアームを形成する。
検層工具は、光ファイバライン2に連結されている。光ファイバライン2は、適合した地表ユニット(adapted surface unit、例えば、車輛3および対応する展開システム4)によって坑井ボアの内部へ展開される。検層工具1によって集められた、地質学的炭化水素地層GFに関するデータ、または、坑井ボアWBに関するデータは、地表に、例えば適当なデータ収集−分析コンピュータおよびソフトウェアを備えた車輛3に実時間(リアルタイムで)で伝送される。
光ファイバライン2は、坑井ボアの潜在的に過酷な環境(腐食性流体、高温、高圧、等)に対し、ケーブル内で保護されていてもよい。
【0016】
図2A、図2B、図2Cおよび図3は、本発明の第1実施形態による光学式カリパーに関する。
【0017】
本発明の第1実施形態は、光学式センサを含んでおり、光学式センサ内において、入射光はカリパーアームの位置の関数として変調される。カリパーアームの機械的な移動(動作)により、光学式センサの光学的応答の変化が生じる。
有利には、光学式センサは、光ファイバを備える。光ファイバの一部は、ブラッグ格子を備える。
光学式センサは、カリパーアームに連結された場合に、トランスジューサーを構成する。
ブラッグ格子を備える光ファイバ部分は、ブラッグ格子の前後の少なくとも二つの連結点によって工具(例えば工具本体、カリパーアーム)に連結されており、その結果、カリパーアームの何らかの変位により、二つの連結点間の距離の変化が生じる。二つの連結点間の距離は、カリパーアームの位置と相関し、かくしてボア穴の寸法と相関する。カリパーアームに連結されたブラッグ格子を備える光ファイバ部分を使用し、光の波長をボア穴内でのカリパーの位置の関数として変調する。光ファイバは、入射光および変調された出力光の両方の情報を伝送する。
光学式センサは、地表ユニットから完全に光学的におよび遠隔から「応答」することができる。別の態様では、光ファイバは、さらに、トランスジューサーを工具内部の電子回路に接続することができる。電子回路は、光信号の検出を行い、結果的に得られた電気信号を演算処理し、これを通常の遠隔測定システムによって地表ユニットに送出する。
図2A、図2B、および図2Cに示す第1の態様によれば、ブラッグ格子を備える光ファイバの二つの連結点間における伸長/圧縮は、追加のアームによって得られる。
図3に示す第2の態様によれば、ブラッグ格子を備える光ファイバの二つの連結点間における伸長/圧縮は、可撓性アームによって得られる。
【0018】
図2Aは、本発明の第1実施形態による光学式カリパーを示す。工具101は、セントラライザー105を含む。セントラライザー105は、枢動連結部によって工具101および下ノーズ105’に連結された四つの機械式アーム106、107、108、109を含む。各機械式アームは、坑井ボア壁WBWと接触するように、半径方向に展開することができる。例えば、機械式アーム106の第1部分106Aは、枢動連結部106Bを介して第2部分106Cに連結されている。枢動連結部106Bは、坑井ボア壁と接触する。セントラライザーにより、工具を坑井ボアの中央軸線ZZ’に沿って位置決めすることができる。第1部分106Aは、枢動連結部を介して追加のアーム110に連結されている。この追加のアームは、光ファイバ111に連結されている。光ファイバにはブラッグ格子112が設けられている。光ファイバは、第1連結点CP1によって追加のアーム110に連結されており、第2連結点CP2によって工具101の一部分に連結されている。追加のアーム110は、機械式アーム106の半径方向変位を並進移動に変換し、これにより光ファイバ111を第1連結点CP1と第2連結点CP2との間で延伸する。
有利には、光ファイバ111は、任意の可能な取り付け技術によって、例えばガラスフリットはんだ付け技術(glass frit soldering)または接着技術によって取り付けられていてもよい。例えば、上述の例では、光ファイバは、連結点CP2によって工具101に連結されている。しかしながら、機械式アームに移動が加わったときに、ブラッグ格子を備える光ファイバ部分を延伸することができるのであれば、さらに多くの点を連結することによって、或いは、光ファイバとアームとをファイバ全体に沿って連結することによっても同じ結果を得ることができるということは、当業者にとって明らかであろう。
さらに、上文中に説明した例では、連結点は、ブラッグ格子の二つの末端と対応する。しかしながら、連結点CP1および連結点CP2がブラッグ格子112のいずれかの側に設けられているのであれば、連結点がブラッグ格子の末端から離れていても同じ結果を得ることができるということは、当業者にとって明らかであろう。
【0019】
図2Bおよび図2Cに機能的に示す光学式カリパーは、以下のように作動する。
明瞭化を図るため、図2Bおよび図2Cにはアーム106は1つしか示してない。
ブラッグ格子112は、光ファイバ111内に直接的に形成されている(書き込まれている、inscribed)。ブラッグ格子112は、光ファイバ111の屈折率の変調(a modulation of the refractive index)である。光ファイバは、適当な発光−検出装置(図示せず)に連結されている。この装置は、適当な波長領域(wavelength interval)の光ビームを放出し、反射光の中央波長を検出する。反射光の中央波長は、ブラッグ格子のピッチで決まる。歪みの影響により、変調度が変化し、これにより中央波長がシフトする。
工具を坑井ボアに入れたとき、坑井ボア壁と接触するアーム106の半径方向変位が、追加のアーム110の並進に変換される。機械式アームの端部は、ブラッグ格子を保持する光ファイバに取り付けられており、ブラッグ格子は、カリパーの開きの関数として伸びる。図2Bは、通常状態の、すなわち、最適の内部寸法の坑井ボア壁WBWと対応する第1伸びel1を示す。図2Cは、局所的変形DF、すなわち内部寸法が減少した坑井ボア壁WBWと対応する第2伸びel2を示す。この場合、中央波長のシフトを検出することによって並進変位を検出する。
計測の精度を保証するため、様々なアーム機構の変位を制御しなければならない。確かに、全長が10cmのファイバに関し、可能な並進移動は約1mmよりも小さい(ファイバの代表的な最大伸びは1%よりも低い)。かくして、追加のアーム110の全撓みを1mmよりも小さくするため、機構を制御しなければならない。
ブラッグ格子の伸びをカリパーアームの開きと関連させるため、較正を行ってもよい。
【0020】
図3は、本発明の第1実施形態の別の態様による光学式カリパーを示す。
工具201は、セントラライザー205を備えている。セントラライザー205は、四つの機械式アーム(図には三つだけが見える)206、207、208を含む。これらのアームは、工具201および下ノーズ205’に枢動連結部によって連結されている。各機械式アームは、坑井ボア壁WBWと接触するように半径方向に展開することができる。例えば、機械式アーム206は、第1部分206A、第2部分206B、および第3部分206Cを含む。第2部分206Bは可撓性部分であり、例えば、適当な連結手段(例えばねじ等)によって第1部分206Aおよび第3部分206Cに連結されたばねブレード(spring blade)である。第2部分206Bは坑井ボア壁と接触する。セントラライザーにより、工具を坑井ボアの中央軸線ZZ’に沿って位置決めすることができる。
機械式アーム206は、光ファイバ211(破線で示す)に連結されている。この光ファイバには、ブラッグ格子212(ブラッグ格子のゾーンは、破線の円で囲ってある)が設けられている。光ファイバ211は、アーム206に直接取り付けることができる。別の態様では、光ファイバは、アームの適当な溝、キャビティ、または穴(図示せず)に装着され得る。
好ましくは、ブラッグ格子は、カリパーアーム206のばねブレード206Bに(例えば、接着技術によって)直接取り付けられる。ブラッグ格子は、ばねブレードの撓みによる作用を直接受ける。撓みは、カリパーアームの開きと関連している。
ブラッグ格子212は、光ファイバ211に直接的に形成されている(書き込まれている、inscribed)。ブラッグ格子は、光ファイバ211の屈折率の変調(a modulation of the refractive index)である。光ファイバは、適当な発光−検出装置(図示せず)に連結されている。この装置は、適当な波長領域(wavelength interval)の光ビームを放出し、反射光の中央波長を検出する。反射光の中央波長は、ブラッグ格子のピッチで決まる。ばねブレードの撓みによる歪みの影響により、変調度が変化し、これにより中央波長がシフトする。
ブラッグ格子は、さらに、アームに取り付けられる前にパッケージされていてもよい。
ブラッグ格子の光学的応答をカリパーアームの開きと関連させるため、較正を行ってもよい。
【0021】
図4は、光学式カリパーの計測値OCM(各計測値を点で示す)と、上文中に説明した光学式カリパーで坑井ボア壁に沿って計測した坑井ボアの直径WBD(線で示す)と、の間の相関を示す計測例である。
【0022】
上文中に説明した両形態において、ブラッグ格子指数(Bragg grating index)は、温度で決まるということに着目されるべきである。したがって、温度が変化する環境内で寸法計測を行う場合、温度変化を補償するようにしてもよい。温度計測を行う上でどのようなセンサを使用してもよい。詳細には、温度を計測し、光学式カリパーの変形を補償するためにブラッグ格子温度センサを使用することができる。
【0023】
上文中に説明した光学式カリパー構成は、両方とも、マルチアーム工具またはマルチフィンガカリパー工具の少なくとも一つのアームに配置することができる。有利には、多重通信技術を使用し、地表ユニットに連結された一つ以上の光ファイバで全ての計測を行う(歪み計測、坑井の温度を決定するための温度計測、および光学式カリパーの較正)。これは、工具内の様々な光ファイバに光学式カリパーを分配する一連のカップラーまたはマルチプレクサー(multiplexers)を使用することによって実施してもよい。
【0024】
別の構成では、光ファイバ毎に多くのセンサを設ける。全てのセンサは、工具内における少なくとも一つの光ファイバ上に分配されている。
【0025】
以上説明した第1実施形態では、下ノーズとアームとの間の連結、または、アームと工具との間の連結は枢動連結部である。しかしながら、例えば、ヒンジ、自動整合ベアリング、さねはぎ継ぎ、スライド、等のこの他の任意の種類の連結部を使用してもよい。さらに、剛性アームまたは可撓性アームは単なる例であって、これに代えて、同じ機能を持つ任意の他の機械的エレメント(例えば、リーフばね(leaf spring))を使用してもよい。
【0026】
図5は、本発明の第2実施形態による光学式センサを概略的に示す。
本発明の第2実施形態は、吸収性流体内を移動する光ビームの吸収が、カリパーアームの位置で決まる光学式センサを含む。
【0027】
図2に関して説明したのと同様の方法で、坑井ボア(図示せず)の内壁と接触するカリパーアーム306の半径方向変位を追加のアーム310の並進変位に変換する。
光学式センサは、光吸収性流体312’で満たされた密封ハウジング312を備える。
このハウジングは、光ファイバ311Aに連結されている。密封ハウジング312は、検層工具内に位置決めされる。追加のアーム310が密封ハウジング312に連結されており、アームの末端が密封ハウジングに貫入している。追加のアームは、光吸収性流体312’と接触した末端にミラー313Aを備えており、このミラーは、光ファイバ末端311A’に対面する。ミラーは、光ファイバからの入射光ビームを反射するように、追加のアームの端部に付着してあるか或いは取り付けられている。
光学式センサの応答は、光ファイバの末端から吸収性流体を通って移動し、ミラーによって反射されて光ファイバの末端に戻る光ビームの反射強さである。
【0028】
有利には、基準光ファイバ31Bが、さらに、密封ハウジング312に連結されており、基準ビームとして光ビームを提供する。基準ビームは、光ファイバ末端311B’に対面するハウジングの反対側に取り付けられた第2ミラー313Bによって反射される。
基準ビームは、強さの絶対計測値に悪影響を及ぼす全ての効果(反射率の変化、温度および圧力に伴う流体の吸収率の変化、使用による流体の性質の変化、ケーブルまたはコネクタの減衰の変化、等)を補償する。
【0029】
2つの光ファイバをオプティカル・カプラー(図示せず)で互いに結合することができる。計測ビームおよび基準ビームを、例えばWDM技術(波長分割多重通信、wavelength division multiplexing)を使用して2つの異なる波長に基づいてコード化(coded)してもよい。しかしながら、これは、例えばTDM技術(時間領域多重通信、time domain multiplexing)等の他の多重通信技術を用いて行ってもよいということは当業者には理解されよう。
【0030】
強さに基づくカリパーの開きの計測は以下のように行われる。
計測ビームには、吸収性流体により、線形に変化可能な減衰が加わる。減衰は、ハウジング内での計測ビームの経路長(path length)で決まり、この経路長は、ハウジング内の追加のアームミラーの位置(この位置がカリパーの開きと直接関連している)で決まる。
流体媒体は、入射光の波長領域での吸収率が、大きなダイナミックレンジ(例えば、追加のアームの最小撓みおよび最大撓みを含む)の光信号を発生するように、選択される。
流体による吸収は、ベール・ランバートの法則(the Beer Lambert law)に従う。ここで、A=ε×l×cである。ここで、Aは吸収度であり、εはモル吸光係数であり、lは流体を通る光ビームの経路長であり、cは吸収種の濃度である。
別の態様では、ベール・ランバートの法則に従わない他の光吸収性流体を使用してもよい。
基準ビームを使用し、可変の損失を較正する。
基準ビームおよび計測ビームは、両方とも、吸収性流体を通過して夫々のミラーまで移動し、ミラーで反射されてそれらの夫々の光ファイバに戻る。
ハウジング内での光ビームの移動長は、カリパーアームが並進するときに変化する。吸収は、追加のアームの変位に従って線形をなして変化する。有利には、カリパーアームの最小の撓みに対し、計測ビームの吸収は、基準ビームの吸収と等しくなっている。最大撓みについては、計測ビームの吸収は、基準ビームの吸収程重大ではない(光ビームが吸収流体の減少した厚さを移動する)。アームの並進と、計測された吸収との間の関係は線形である。
【0031】
さらに、第2実施形態により、複数の光学式カリパーの多重通信を可能にすることができる。詳細には、様々なカリパーアームを様々な波長に基づいてコード化(code)することができる。有利には、全ての光学式カリパー計測に対して単一の基準ビームを使用することができる。
【0032】
以上説明した第1および第2の実施形態は、機械式アームの位置の絶対的な計測値をもたらし、油田の用途用のカリパーで使用するのに良好に適合している。
光学式カリパー計測装置の投影面積すなわちフットプリントが小さいため、光学式カリパーは、コンパクトな工具をもたらす。
さらに、光学式カリパーは電子装置を備えておらず(ボア穴内の部品について)、遠隔から光ファイバを介して応答することができる。したがって、光学式カリパーは、特に過酷な環境で、従来技術のカリパーよりも信頼性が高い。
【0033】
図6は、本発明の第3実施形態による光学式センサを概略的に示す。
本発明による光学式カリパーの第3実施形態は、光ビームを坑井ボア壁に向かって放出する光学式センサを含む。この光学式センサは、反射された光ビームの位置を空間感知光検出器(space sensitive photo-detector)上で計測する。
【0034】
光学式カリパーはウィンドウ402を備えている。このウィンドウ402は工具401の壁に設けられている。ウィンドウは、坑井ボア壁WBWの内壁と実質的に平行である。
光学式カリパーは、さらに、平行化エレメント412を介して光ファイバ411に連結された反射エレメント403を備えている。光学式カリパーは平行化した光ビームを坑井ボアの内壁の方向に特定の角度α(角度αは、光ビームと坑井ボア壁の垂線との間の角度である)でウィンドウを通過して放出する。光ビームは、坑井ボア壁によってウィンドウ402に向かって反射される。光学式カリパーは、工具401内のウィンドウの後側に位置決めされた光学式センサ404を備えている。この光学式センサ404は、坑井ボアの内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器を備えている。
反射されたビームの光検出器上での位置は、L=Dtan(α)によって与えられる。
特定の角度αの所与の値について、光検出器上でのビームスポットの位置Lが、光検出器と坑井ボア壁との間の距離Dの計測値を与える。距離Dにより、坑井ボアの内部寸法を、工具内での光検出器の既知の位置に基づいて決定することができる。
【0035】
一例として 、α=30°でL=12mmである場合には、坑井ボアの直径2Dは43mmであり、Lが51mmである場合には、坑井ボアの直径は178mmである。距離Dが1mm変化すると、ビームがΔL=288μm変位する。この例では、光検出器は、各々の大きさが200μmよりも小さい検出器を200個備えており、これらの検出器は光ダイオードのアレイまたはCCD(電荷結合素子)に重ねられ、これにより、43mm乃至178mmの坑井ボア直径を計測することができる。装置の特徴は、拡張された直径範囲に適合させることできるということは、当業者には明らかであろう。
【0036】
光ビームが流体によって減衰しないようにするため、第3実施形態による光学式カリパーは、好ましくは、透明な流体が入った坑井ボア(例えば、ガス井)に使用される。
【0037】
炭化水素坑井に適用された光学式カリパーに関する本発明の特定の用途が説明されてきた。しかしながら、本発明は、任意のパイプ(水パイプ、下水パイプ、等)の内径の計測にも適用することができる。
【0038】
添付図面および以上の説明は、本発明を限定するものではない。
特許請求の範囲の参照番号は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。「備える」という用語は、特許請求の範囲に列挙した以外の構成要素の存在を除外しない。限定されていない場合には、要素が複数存在することを除外するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプの内部寸法を計測するための装置に関する。油田産業における本発明の計測装置の特定の用途は、炭化水素坑井ボア(well-bore) の内部寸法の計測に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素坑井を掘削し、安全にした後、一般的には、鑿井検層作業が行われる。鑿井検層作業は、炭化水素坑井の地質学的地層の様々なパラメータ(例えば、様々な深さでの抵抗や多孔度等)、および穴(抗井ボア、well-bore)内での様々なパラメータ(例えば、様々な深さでの温度、圧力、流体の種類、流体の流量、等)を計測するのに役立つ。このような計測は、検層工具によって行われる。一般的には、検層工具は、少なくとも一つのセンサ(例えば抵抗ゾンデ、機械式ゾンデ、γ線中性子ゾンデ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、等)を備え、少なくとも一つのパラメータを計測する。一以上のパラメータを感知する同じまたは異なる複数のセンサを備えていてもよい。
【0003】
以下の理由により、全体に沿った坑井ボアの寸法が重要なパラメータである。
第1に、炭化水素坑井を掘削した後、坑井ボアは、掘穿泥水で満たされた開放状態のボア穴である。一般的には、坑井ボアは、セメンティング作業によって囲まれている。セメンティング作業を正しく計画するため、掘削エンジニアは、坑井ボアの状態および掘穿泥水がボア穴の安定性を維持している程度の両方の定性的表示として、坑井ボアの寸法を計測することを必要とする。
第2に、ボア穴を囲んだ(ケーシングとしても既知である)とき、またはチューブを入れた(チュービングとしても既知である)とき、様々なパラメータについてのデータを集めるため、検層工具をボア穴内容物で上下させる。検層工具がボア穴内に引っ掛からないようにするため、検層作業は十分な直径のボア穴を必要とする。かくして、検層エンジニアは、ボア穴の壁の変形、褶曲、または腐蝕の可能性の定性的表示として坑井ボアを計測する必要がある。
第3に、坑井の他の特性値を決定するため、坑井ボアの寸法の計測を他の計測と組み合わせて使用することもできる。例えば、坑井ボアの寸法および流体速度の計測(例えばスピナーによる)により坑井ボア内を流れる流体の流量を計算することができる。
【0004】
現在の検層工具において、チュービングまたはケーシングの直径の計測は、電気機械的装置または超音波装置に基づいて行われる。これらの装置は、カリパーとしても既知である。電気機械的カリパーは、機械式アームの半径方向の開きを並進移動に変換し、これを少なくとも一つの線形可変差動変成器(LVDT)によって検出し、一つまたは二つの方向での寸法計測を完了する。チュービングまたはケーシングを多数の箇所で計測するために複数のカリパーを使用してもよい(多アームカリパーまたは多フィンガカリパーとしても既知である)。
超音波カリパーは、高周波音響信号を使用してケーシングまたはチュービングの内径を計測する。トランスジューサー(伝送モード)が高周波パルスを放出し、パルスがケーシングまたはチュービングの壁で反射されてトランスジューサー(受信モード)に戻る。このエコーの飛行時間および流体の音響速度から直径が決定される。トランスジューサーを回転させ、ボア穴の大きさの断面および全体に亘るボア穴壁の画像を発生させるようにしてもよい。
適当な獲得システムに連結された両方の種類のカリパーは、ボア穴の深さに沿ったボア穴の計測された直径を表すカリパーログを提供する。
電気機械的カリパーおよび超音波カリパーは、過酷な環境(ダウンホールで一般的な高温または高圧)で使用した場合に信頼性に問題がある電子式システムを必要とする。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一つの目的は、過酷な条件において、従来技術のカリパーよりも信頼性が高い、穴(坑井ボア、well-bore)の内部寸法を計測するための装置を提案することである。
本発明によれば、計測装置は、穴の内部寸法と相関した応答をもたらす光学式センサを備える光学式カリパーである。光学式センサは、光ファイバに連結されている。
【0006】
本発明の第1実施形態によれば、光学式センサは、穴の壁と接触するカリパーアームに連結されたブラッグ格子を備えている。
第1実施形態の第1の態様によれば、寸法の計測は、カリパーアームの移動にともなった伸長/圧縮で作動するブラッグ格子を含む。更に詳細には、装置は、
−前記穴の内壁と接触する少なくとも一つのアームを備え、
−前記光学式センサは、前記光ファイバの一部分に形成されたブラッグ格子を備え、前記アームは、前記アームの動作によって前記光ファイバの前記部分を伸長/圧縮するよう、第1連結点において前記光ファイバの前記部分に連結されており、
−前記光学式センサの応答は、前記ブラッグ格子を備える光ファイバの前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記部分の屈折率変調の変化(refractive index modulation modification)の計測値である。
任意であるが、装置は、前記アームの半径方向変位を変換するための追加のアームをさらに備えている。前記追加のアームは、前記第1連結点に連結されている。
第1実施形態の第2の態様によれば、寸法の計測は、ブラッグ格子を支持するアームの撓みにともなった伸長/圧縮で作動するブラッグ格子を含む。更に詳細には、装置は、
−前記光ファイバに連結され、前記穴の内壁(WBW)と接触する可撓性アームをさらに備え、
−前記光学式センサは、前記光ファイバの一部分に形成されたブラッグ格子を備え、前記ブラッグ格子は前記可撓性アーム内/上に配置され、前記光ファイバの前記部分は、少なくとも第1連結点および第2連結点において前記可撓性アームに連結され、前記連結点が前記部分を間に挟み、これにより、前記可撓性アームの撓みによって前記光ファイバの前記部分が伸長/圧縮させられ、
−前記光学式センサの応答は、前記ブラッグ格子を備える前記光ファイバの前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記部分の屈折率変調の変化(refractive index modulation modification)の計測値である。
【0007】
本発明の第2実施形態によれば、光学式カリパーは、吸収性流体を収容したハウジングを含む。穴の壁と接触するカリパーアームが吸収性流体に貫入している。寸法の計測は、光の強さの変調に基づいて吸収を計測することにより行われる。更に詳細には、装置は、−光吸収性流体(312’)を充填された密封ハウジング(312)であって、光ファイバ(311A)に連結された密封ハウジング(312)を備える光学式センサを備え、
−前記穴の内壁と接触するアーム(306、310)が前記密封ハウジングに連結され、アーム(306、310)は、光ファイバ末端(311A’)に対面するミラー(313A)を、前記光吸収性流体と接触する前記アームの末端に備え、
−前記光学式センサの応答は、前記光ファイバ末端から前記光吸収性流体を通って移動し、前記ミラーによって反射されて前記光ファイバ末端に戻る反射された光ビームの強さである。
【0008】
本発明の第3実施形態によれば、光学式カリパーは、ビームを穴の壁に向かって放出し、反射された光ビームの位置を検出する光学的エレメントを備える。寸法の計測は、反射された光ビームの光検出器の表面上での位置の計測に基づいて行われる。更に詳細には、装置は、
−ウィンドウ(402)と、前記光ファイバ(411)に連結された反射エレメント(403)と、を備え、これにより、前記ウィンドウ(402)を通過して前記穴の前記内壁に特定の角度(α)で光ビームを放出するようになっており、
−前記光学式センサは、前記穴の前記内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器(404)を備え、
−前記光学式センサの応答は、前記空間感知光検出器上での前記反射された光ビームの位置(L)である。
【0009】
本発明による光学式カリパーの様々な実施形態により、解像度を高くすることができ、投影面積を小さくすることができ、信頼性を向上でき、そして、従来の電子装置では全く作動しない過酷な環境(例えば高温)で使用することができる。
【0010】
光学式カリパーは、多アームでの用途で又は回転カリパーでの用途で使用された場合、穴の直径を全周に亘って、全体をカバーするように走査することができる。かくして、光学式カリパーは、穴の内部寸法およびその一体性(例えば、電位損、腐蝕現象、または穴の壁の孔)についての情報を提供する。
【0011】
本発明の光学式カリパーは、位置の絶対的計測値を提供し、幾つかの適用で、すなわち単カリパー形体または多カリパー形体で使用することができる。
さらに、伝送波長が適切に選択された場合、例えば標準的な近赤外線伝送間隔では、光学式カリパーを遠隔感知(遠隔センシング)に使用することができる。かくして、信号を発生し、獲得し、演算処理を行う全ての電子装置は地表に設けられ、一方で、受動的な光学的エレメントだけがダウンホール内にある。
【0012】
さらに、本発明は、穴の内部寸法を計測するためのシステムに関する。このシステムは、穴の内部寸法を計測するための任意の実施形態による複数の装置を含み、これらの装置の各々は、少なくとも一つの光ファイバに連結されており、多重通信を行う。
最後に、本発明は、さらに、穴の少なくとも一つのパラメータを計測するための検層工具に関する。検層工具は、穴の内部寸法を計測するための任意の実施形態による少なくとも一つの装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による検層システムを示す概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の第1実施形態によるカリパー工具を備えた工具を示す図である。
【図2B】図2Bは、本発明の第1実施形態の原理を概略的に示す図である。
【図2C】図2Cは、本発明の第1実施形態の原理を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態の別の態様による工具を示す図である。
【図4】図4は、カリパーの開きと図3の態様による工具で計測した歪みとの間の相関を示す計測例のグラフである。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態による光学式センサを示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態による光学式センサを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が、同様のエレメントに同じ参照番号を付した添付図面に、非限定的な例として示されている。
【0015】
図1は、坑井ボアWBで検層作業を行うようになされた検層システムLSを概略的に示す。
坑井ボア(穴、well-bore)は、ボア穴(bore-hole)、ケーシング、またはチュービングであってもよい。坑井ボアには、変形DF、腐蝕CR、および穿孔PF等が加わる場合がある。これらは、坑井ボア壁WBWに悪影響を及ぼし、これにともなって坑井ボアの内部寸法に悪影響を及ぼす。坑井ボアには、全体として、坑井へッドWHおよびパッキン箱SBが設けられている。パッキン箱は、検層システムを坑井ボア内に展開するためのシールを提供する。検層システムLS全体に部分的に大気圧が加わっている一方で、坑井ボアは全体として加圧される。
検層システムLSは、検層工具1を含む。有利には、検層工具はセントラライザー(centralizer)5を含み、このセントラライザーは、全体として、工具1および下ノーズ5’に連結された複数の機械式アーム6、7、・・・等を含む。機械式アームは、坑井ボアの壁と接触し、これにより、工具が坑井ボア内で(例えば坑井ボアの中央軸線に沿って)確実に正しく位置決めされるように、半径方向に展開することができる。さらに、機械式アームは、坑井ボアの内部寸法(例えば直径)を計測するために使用されるカリパーアームを形成する。
検層工具は、光ファイバライン2に連結されている。光ファイバライン2は、適合した地表ユニット(adapted surface unit、例えば、車輛3および対応する展開システム4)によって坑井ボアの内部へ展開される。検層工具1によって集められた、地質学的炭化水素地層GFに関するデータ、または、坑井ボアWBに関するデータは、地表に、例えば適当なデータ収集−分析コンピュータおよびソフトウェアを備えた車輛3に実時間(リアルタイムで)で伝送される。
光ファイバライン2は、坑井ボアの潜在的に過酷な環境(腐食性流体、高温、高圧、等)に対し、ケーブル内で保護されていてもよい。
【0016】
図2A、図2B、図2Cおよび図3は、本発明の第1実施形態による光学式カリパーに関する。
【0017】
本発明の第1実施形態は、光学式センサを含んでおり、光学式センサ内において、入射光はカリパーアームの位置の関数として変調される。カリパーアームの機械的な移動(動作)により、光学式センサの光学的応答の変化が生じる。
有利には、光学式センサは、光ファイバを備える。光ファイバの一部は、ブラッグ格子を備える。
光学式センサは、カリパーアームに連結された場合に、トランスジューサーを構成する。
ブラッグ格子を備える光ファイバ部分は、ブラッグ格子の前後の少なくとも二つの連結点によって工具(例えば工具本体、カリパーアーム)に連結されており、その結果、カリパーアームの何らかの変位により、二つの連結点間の距離の変化が生じる。二つの連結点間の距離は、カリパーアームの位置と相関し、かくしてボア穴の寸法と相関する。カリパーアームに連結されたブラッグ格子を備える光ファイバ部分を使用し、光の波長をボア穴内でのカリパーの位置の関数として変調する。光ファイバは、入射光および変調された出力光の両方の情報を伝送する。
光学式センサは、地表ユニットから完全に光学的におよび遠隔から「応答」することができる。別の態様では、光ファイバは、さらに、トランスジューサーを工具内部の電子回路に接続することができる。電子回路は、光信号の検出を行い、結果的に得られた電気信号を演算処理し、これを通常の遠隔測定システムによって地表ユニットに送出する。
図2A、図2B、および図2Cに示す第1の態様によれば、ブラッグ格子を備える光ファイバの二つの連結点間における伸長/圧縮は、追加のアームによって得られる。
図3に示す第2の態様によれば、ブラッグ格子を備える光ファイバの二つの連結点間における伸長/圧縮は、可撓性アームによって得られる。
【0018】
図2Aは、本発明の第1実施形態による光学式カリパーを示す。工具101は、セントラライザー105を含む。セントラライザー105は、枢動連結部によって工具101および下ノーズ105’に連結された四つの機械式アーム106、107、108、109を含む。各機械式アームは、坑井ボア壁WBWと接触するように、半径方向に展開することができる。例えば、機械式アーム106の第1部分106Aは、枢動連結部106Bを介して第2部分106Cに連結されている。枢動連結部106Bは、坑井ボア壁と接触する。セントラライザーにより、工具を坑井ボアの中央軸線ZZ’に沿って位置決めすることができる。第1部分106Aは、枢動連結部を介して追加のアーム110に連結されている。この追加のアームは、光ファイバ111に連結されている。光ファイバにはブラッグ格子112が設けられている。光ファイバは、第1連結点CP1によって追加のアーム110に連結されており、第2連結点CP2によって工具101の一部分に連結されている。追加のアーム110は、機械式アーム106の半径方向変位を並進移動に変換し、これにより光ファイバ111を第1連結点CP1と第2連結点CP2との間で延伸する。
有利には、光ファイバ111は、任意の可能な取り付け技術によって、例えばガラスフリットはんだ付け技術(glass frit soldering)または接着技術によって取り付けられていてもよい。例えば、上述の例では、光ファイバは、連結点CP2によって工具101に連結されている。しかしながら、機械式アームに移動が加わったときに、ブラッグ格子を備える光ファイバ部分を延伸することができるのであれば、さらに多くの点を連結することによって、或いは、光ファイバとアームとをファイバ全体に沿って連結することによっても同じ結果を得ることができるということは、当業者にとって明らかであろう。
さらに、上文中に説明した例では、連結点は、ブラッグ格子の二つの末端と対応する。しかしながら、連結点CP1および連結点CP2がブラッグ格子112のいずれかの側に設けられているのであれば、連結点がブラッグ格子の末端から離れていても同じ結果を得ることができるということは、当業者にとって明らかであろう。
【0019】
図2Bおよび図2Cに機能的に示す光学式カリパーは、以下のように作動する。
明瞭化を図るため、図2Bおよび図2Cにはアーム106は1つしか示してない。
ブラッグ格子112は、光ファイバ111内に直接的に形成されている(書き込まれている、inscribed)。ブラッグ格子112は、光ファイバ111の屈折率の変調(a modulation of the refractive index)である。光ファイバは、適当な発光−検出装置(図示せず)に連結されている。この装置は、適当な波長領域(wavelength interval)の光ビームを放出し、反射光の中央波長を検出する。反射光の中央波長は、ブラッグ格子のピッチで決まる。歪みの影響により、変調度が変化し、これにより中央波長がシフトする。
工具を坑井ボアに入れたとき、坑井ボア壁と接触するアーム106の半径方向変位が、追加のアーム110の並進に変換される。機械式アームの端部は、ブラッグ格子を保持する光ファイバに取り付けられており、ブラッグ格子は、カリパーの開きの関数として伸びる。図2Bは、通常状態の、すなわち、最適の内部寸法の坑井ボア壁WBWと対応する第1伸びel1を示す。図2Cは、局所的変形DF、すなわち内部寸法が減少した坑井ボア壁WBWと対応する第2伸びel2を示す。この場合、中央波長のシフトを検出することによって並進変位を検出する。
計測の精度を保証するため、様々なアーム機構の変位を制御しなければならない。確かに、全長が10cmのファイバに関し、可能な並進移動は約1mmよりも小さい(ファイバの代表的な最大伸びは1%よりも低い)。かくして、追加のアーム110の全撓みを1mmよりも小さくするため、機構を制御しなければならない。
ブラッグ格子の伸びをカリパーアームの開きと関連させるため、較正を行ってもよい。
【0020】
図3は、本発明の第1実施形態の別の態様による光学式カリパーを示す。
工具201は、セントラライザー205を備えている。セントラライザー205は、四つの機械式アーム(図には三つだけが見える)206、207、208を含む。これらのアームは、工具201および下ノーズ205’に枢動連結部によって連結されている。各機械式アームは、坑井ボア壁WBWと接触するように半径方向に展開することができる。例えば、機械式アーム206は、第1部分206A、第2部分206B、および第3部分206Cを含む。第2部分206Bは可撓性部分であり、例えば、適当な連結手段(例えばねじ等)によって第1部分206Aおよび第3部分206Cに連結されたばねブレード(spring blade)である。第2部分206Bは坑井ボア壁と接触する。セントラライザーにより、工具を坑井ボアの中央軸線ZZ’に沿って位置決めすることができる。
機械式アーム206は、光ファイバ211(破線で示す)に連結されている。この光ファイバには、ブラッグ格子212(ブラッグ格子のゾーンは、破線の円で囲ってある)が設けられている。光ファイバ211は、アーム206に直接取り付けることができる。別の態様では、光ファイバは、アームの適当な溝、キャビティ、または穴(図示せず)に装着され得る。
好ましくは、ブラッグ格子は、カリパーアーム206のばねブレード206Bに(例えば、接着技術によって)直接取り付けられる。ブラッグ格子は、ばねブレードの撓みによる作用を直接受ける。撓みは、カリパーアームの開きと関連している。
ブラッグ格子212は、光ファイバ211に直接的に形成されている(書き込まれている、inscribed)。ブラッグ格子は、光ファイバ211の屈折率の変調(a modulation of the refractive index)である。光ファイバは、適当な発光−検出装置(図示せず)に連結されている。この装置は、適当な波長領域(wavelength interval)の光ビームを放出し、反射光の中央波長を検出する。反射光の中央波長は、ブラッグ格子のピッチで決まる。ばねブレードの撓みによる歪みの影響により、変調度が変化し、これにより中央波長がシフトする。
ブラッグ格子は、さらに、アームに取り付けられる前にパッケージされていてもよい。
ブラッグ格子の光学的応答をカリパーアームの開きと関連させるため、較正を行ってもよい。
【0021】
図4は、光学式カリパーの計測値OCM(各計測値を点で示す)と、上文中に説明した光学式カリパーで坑井ボア壁に沿って計測した坑井ボアの直径WBD(線で示す)と、の間の相関を示す計測例である。
【0022】
上文中に説明した両形態において、ブラッグ格子指数(Bragg grating index)は、温度で決まるということに着目されるべきである。したがって、温度が変化する環境内で寸法計測を行う場合、温度変化を補償するようにしてもよい。温度計測を行う上でどのようなセンサを使用してもよい。詳細には、温度を計測し、光学式カリパーの変形を補償するためにブラッグ格子温度センサを使用することができる。
【0023】
上文中に説明した光学式カリパー構成は、両方とも、マルチアーム工具またはマルチフィンガカリパー工具の少なくとも一つのアームに配置することができる。有利には、多重通信技術を使用し、地表ユニットに連結された一つ以上の光ファイバで全ての計測を行う(歪み計測、坑井の温度を決定するための温度計測、および光学式カリパーの較正)。これは、工具内の様々な光ファイバに光学式カリパーを分配する一連のカップラーまたはマルチプレクサー(multiplexers)を使用することによって実施してもよい。
【0024】
別の構成では、光ファイバ毎に多くのセンサを設ける。全てのセンサは、工具内における少なくとも一つの光ファイバ上に分配されている。
【0025】
以上説明した第1実施形態では、下ノーズとアームとの間の連結、または、アームと工具との間の連結は枢動連結部である。しかしながら、例えば、ヒンジ、自動整合ベアリング、さねはぎ継ぎ、スライド、等のこの他の任意の種類の連結部を使用してもよい。さらに、剛性アームまたは可撓性アームは単なる例であって、これに代えて、同じ機能を持つ任意の他の機械的エレメント(例えば、リーフばね(leaf spring))を使用してもよい。
【0026】
図5は、本発明の第2実施形態による光学式センサを概略的に示す。
本発明の第2実施形態は、吸収性流体内を移動する光ビームの吸収が、カリパーアームの位置で決まる光学式センサを含む。
【0027】
図2に関して説明したのと同様の方法で、坑井ボア(図示せず)の内壁と接触するカリパーアーム306の半径方向変位を追加のアーム310の並進変位に変換する。
光学式センサは、光吸収性流体312’で満たされた密封ハウジング312を備える。
このハウジングは、光ファイバ311Aに連結されている。密封ハウジング312は、検層工具内に位置決めされる。追加のアーム310が密封ハウジング312に連結されており、アームの末端が密封ハウジングに貫入している。追加のアームは、光吸収性流体312’と接触した末端にミラー313Aを備えており、このミラーは、光ファイバ末端311A’に対面する。ミラーは、光ファイバからの入射光ビームを反射するように、追加のアームの端部に付着してあるか或いは取り付けられている。
光学式センサの応答は、光ファイバの末端から吸収性流体を通って移動し、ミラーによって反射されて光ファイバの末端に戻る光ビームの反射強さである。
【0028】
有利には、基準光ファイバ31Bが、さらに、密封ハウジング312に連結されており、基準ビームとして光ビームを提供する。基準ビームは、光ファイバ末端311B’に対面するハウジングの反対側に取り付けられた第2ミラー313Bによって反射される。
基準ビームは、強さの絶対計測値に悪影響を及ぼす全ての効果(反射率の変化、温度および圧力に伴う流体の吸収率の変化、使用による流体の性質の変化、ケーブルまたはコネクタの減衰の変化、等)を補償する。
【0029】
2つの光ファイバをオプティカル・カプラー(図示せず)で互いに結合することができる。計測ビームおよび基準ビームを、例えばWDM技術(波長分割多重通信、wavelength division multiplexing)を使用して2つの異なる波長に基づいてコード化(coded)してもよい。しかしながら、これは、例えばTDM技術(時間領域多重通信、time domain multiplexing)等の他の多重通信技術を用いて行ってもよいということは当業者には理解されよう。
【0030】
強さに基づくカリパーの開きの計測は以下のように行われる。
計測ビームには、吸収性流体により、線形に変化可能な減衰が加わる。減衰は、ハウジング内での計測ビームの経路長(path length)で決まり、この経路長は、ハウジング内の追加のアームミラーの位置(この位置がカリパーの開きと直接関連している)で決まる。
流体媒体は、入射光の波長領域での吸収率が、大きなダイナミックレンジ(例えば、追加のアームの最小撓みおよび最大撓みを含む)の光信号を発生するように、選択される。
流体による吸収は、ベール・ランバートの法則(the Beer Lambert law)に従う。ここで、A=ε×l×cである。ここで、Aは吸収度であり、εはモル吸光係数であり、lは流体を通る光ビームの経路長であり、cは吸収種の濃度である。
別の態様では、ベール・ランバートの法則に従わない他の光吸収性流体を使用してもよい。
基準ビームを使用し、可変の損失を較正する。
基準ビームおよび計測ビームは、両方とも、吸収性流体を通過して夫々のミラーまで移動し、ミラーで反射されてそれらの夫々の光ファイバに戻る。
ハウジング内での光ビームの移動長は、カリパーアームが並進するときに変化する。吸収は、追加のアームの変位に従って線形をなして変化する。有利には、カリパーアームの最小の撓みに対し、計測ビームの吸収は、基準ビームの吸収と等しくなっている。最大撓みについては、計測ビームの吸収は、基準ビームの吸収程重大ではない(光ビームが吸収流体の減少した厚さを移動する)。アームの並進と、計測された吸収との間の関係は線形である。
【0031】
さらに、第2実施形態により、複数の光学式カリパーの多重通信を可能にすることができる。詳細には、様々なカリパーアームを様々な波長に基づいてコード化(code)することができる。有利には、全ての光学式カリパー計測に対して単一の基準ビームを使用することができる。
【0032】
以上説明した第1および第2の実施形態は、機械式アームの位置の絶対的な計測値をもたらし、油田の用途用のカリパーで使用するのに良好に適合している。
光学式カリパー計測装置の投影面積すなわちフットプリントが小さいため、光学式カリパーは、コンパクトな工具をもたらす。
さらに、光学式カリパーは電子装置を備えておらず(ボア穴内の部品について)、遠隔から光ファイバを介して応答することができる。したがって、光学式カリパーは、特に過酷な環境で、従来技術のカリパーよりも信頼性が高い。
【0033】
図6は、本発明の第3実施形態による光学式センサを概略的に示す。
本発明による光学式カリパーの第3実施形態は、光ビームを坑井ボア壁に向かって放出する光学式センサを含む。この光学式センサは、反射された光ビームの位置を空間感知光検出器(space sensitive photo-detector)上で計測する。
【0034】
光学式カリパーはウィンドウ402を備えている。このウィンドウ402は工具401の壁に設けられている。ウィンドウは、坑井ボア壁WBWの内壁と実質的に平行である。
光学式カリパーは、さらに、平行化エレメント412を介して光ファイバ411に連結された反射エレメント403を備えている。光学式カリパーは平行化した光ビームを坑井ボアの内壁の方向に特定の角度α(角度αは、光ビームと坑井ボア壁の垂線との間の角度である)でウィンドウを通過して放出する。光ビームは、坑井ボア壁によってウィンドウ402に向かって反射される。光学式カリパーは、工具401内のウィンドウの後側に位置決めされた光学式センサ404を備えている。この光学式センサ404は、坑井ボアの内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器を備えている。
反射されたビームの光検出器上での位置は、L=Dtan(α)によって与えられる。
特定の角度αの所与の値について、光検出器上でのビームスポットの位置Lが、光検出器と坑井ボア壁との間の距離Dの計測値を与える。距離Dにより、坑井ボアの内部寸法を、工具内での光検出器の既知の位置に基づいて決定することができる。
【0035】
一例として 、α=30°でL=12mmである場合には、坑井ボアの直径2Dは43mmであり、Lが51mmである場合には、坑井ボアの直径は178mmである。距離Dが1mm変化すると、ビームがΔL=288μm変位する。この例では、光検出器は、各々の大きさが200μmよりも小さい検出器を200個備えており、これらの検出器は光ダイオードのアレイまたはCCD(電荷結合素子)に重ねられ、これにより、43mm乃至178mmの坑井ボア直径を計測することができる。装置の特徴は、拡張された直径範囲に適合させることできるということは、当業者には明らかであろう。
【0036】
光ビームが流体によって減衰しないようにするため、第3実施形態による光学式カリパーは、好ましくは、透明な流体が入った坑井ボア(例えば、ガス井)に使用される。
【0037】
炭化水素坑井に適用された光学式カリパーに関する本発明の特定の用途が説明されてきた。しかしながら、本発明は、任意のパイプ(水パイプ、下水パイプ、等)の内径の計測にも適用することができる。
【0038】
添付図面および以上の説明は、本発明を限定するものではない。
特許請求の範囲の参照番号は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。「備える」という用語は、特許請求の範囲に列挙した以外の構成要素の存在を除外しない。限定されていない場合には、要素が複数存在することを除外するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴の内部寸法を計測するための装置であって、
前記穴の内部に配置されるようになされた工具(101、201、401)を備え、
前記工具は、前記穴の前記内部寸法と相関する応答をもたらす光学式センサ(112;212;312、312’;402、404、412)を備える光学式カリパーを備え、 前記光学式センサは、光ファイバ(111;211;311A、311B;411)に連結されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記光学式センサは、前記穴の壁(WBW)と接触するカリパーアーム(106、110;206B)に連結されたブラッグ格子(112;212)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項3】
前記穴の内壁(WBW)と接触する少なくとも一つのアーム(106)を備え、
前記光学式センサは、前記光ファイバ(111)の一部分に形成されたブラッグ格子(112)を備え、前記アームは、前記アームの動作によって前記光ファイバの前記部分を伸長/圧縮するよう、第1連結点(CP1)において前記光ファイバの前記部分に連結されており、
前記光学式センサの応答は、前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記ブラッグ格子(112)を備える光ファイバの前記部分の屈折率変調の変化の計測値である
ことを特徴とする請求項2に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項4】
前記アーム(106)の半径方向変位を変換するための追加のアーム(110)をさらに備え、
前記追加のアームは、前記第1連結点(CP1)に連結されている
ことを特徴とする請求項3に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項5】
前記光ファイバ(211)に連結され、前記穴の内壁(WBW)と接触する可撓性アーム(206B)をさらに備え、
前記光学式センサは、前記光ファイバ(211)の一部分に形成されたブラッグ格子(112)を備え、前記ブラッグ格子は前記可撓性アーム(206B)内/上に配置され、前記光ファイバの前記部分は、少なくとも第1連結点(CP1)および第2連結点(CP2)において前記可撓性アームに連結され、前記連結点が前記部分を間に挟み、これにより、前記可撓性アームの撓みによって前記光ファイバの前記部分が伸長/圧縮させられ、 前記光学式センサの応答は、前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記ブラッグ格子(112)を備える前記光ファイバの前記部分の屈折率変調の変化の計測値である
ことを特徴とする請求項2に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項6】
前記光学式センサは、光吸収性流体(312’)を充填された密封ハウジング(312)であって、光ファイバ(311A)に連結された密封ハウジング(312)を備え、
前記穴の内壁と接触するアーム(306、310)が前記密封ハウジングに連結され、アーム(306、310)は、光ファイバ末端(311A’)に対面するミラー(313A)を、前記光吸収性流体と接触する前記アームの末端に備え、
前記光学式センサの応答は、前記光ファイバ末端から前記光吸収性流体を通って移動し、前記ミラーによって反射されて前記光ファイバ末端に戻る反射された光ビームの強さである
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項7】
前記密封ハウジング(312)は、さらに、基準光ファイバ(311B)に連結され、 前記密封ハウジング(312)は、基準光ファイバ末端(311B’)に対面する第2ミラー(311A’)を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項8】
ウィンドウ(402)と、前記光ファイバ(411)に連結された反射エレメント(403)と、を備え、これにより、前記ウィンドウ(402)を通過して前記穴の前記内壁に特定の角度(α)で光ビームを放出するようになっており、
前記光学式センサは、前記穴の前記内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器(404)を備え、
前記光学式センサの応答は、前記空間感知光検出器上での前記反射された光ビームの位置(L)である
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項9】
前記ウィンドウ(402)は前記穴の内壁(WBW)と実質的に平行である
ことを特徴とする請求項8に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項10】
穴の内部寸法を計測するためのシステムであって、
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の穴の内部寸法を計測するための装置を複数備え、
各装置は、少なくとも一つの光ファイバに連結され、多重通信を行う
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
穴の少なくとも一つのパラメータを計測するための検層工具であって、
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の穴の内部寸法を計測するための装置を少なくとも一つ備える
ことを特徴とする検層工具。
【請求項1】
穴の内部寸法を計測するための装置であって、
前記穴の内部に配置されるようになされた工具(101、201、401)を備え、
前記工具は、前記穴の前記内部寸法と相関する応答をもたらす光学式センサ(112;212;312、312’;402、404、412)を備える光学式カリパーを備え、 前記光学式センサは、光ファイバ(111;211;311A、311B;411)に連結されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記光学式センサは、前記穴の壁(WBW)と接触するカリパーアーム(106、110;206B)に連結されたブラッグ格子(112;212)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項3】
前記穴の内壁(WBW)と接触する少なくとも一つのアーム(106)を備え、
前記光学式センサは、前記光ファイバ(111)の一部分に形成されたブラッグ格子(112)を備え、前記アームは、前記アームの動作によって前記光ファイバの前記部分を伸長/圧縮するよう、第1連結点(CP1)において前記光ファイバの前記部分に連結されており、
前記光学式センサの応答は、前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記ブラッグ格子(112)を備える光ファイバの前記部分の屈折率変調の変化の計測値である
ことを特徴とする請求項2に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項4】
前記アーム(106)の半径方向変位を変換するための追加のアーム(110)をさらに備え、
前記追加のアームは、前記第1連結点(CP1)に連結されている
ことを特徴とする請求項3に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項5】
前記光ファイバ(211)に連結され、前記穴の内壁(WBW)と接触する可撓性アーム(206B)をさらに備え、
前記光学式センサは、前記光ファイバ(211)の一部分に形成されたブラッグ格子(112)を備え、前記ブラッグ格子は前記可撓性アーム(206B)内/上に配置され、前記光ファイバの前記部分は、少なくとも第1連結点(CP1)および第2連結点(CP2)において前記可撓性アームに連結され、前記連結点が前記部分を間に挟み、これにより、前記可撓性アームの撓みによって前記光ファイバの前記部分が伸長/圧縮させられ、 前記光学式センサの応答は、前記部分の伸長/圧縮にともなった、前記ブラッグ格子(112)を備える前記光ファイバの前記部分の屈折率変調の変化の計測値である
ことを特徴とする請求項2に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項6】
前記光学式センサは、光吸収性流体(312’)を充填された密封ハウジング(312)であって、光ファイバ(311A)に連結された密封ハウジング(312)を備え、
前記穴の内壁と接触するアーム(306、310)が前記密封ハウジングに連結され、アーム(306、310)は、光ファイバ末端(311A’)に対面するミラー(313A)を、前記光吸収性流体と接触する前記アームの末端に備え、
前記光学式センサの応答は、前記光ファイバ末端から前記光吸収性流体を通って移動し、前記ミラーによって反射されて前記光ファイバ末端に戻る反射された光ビームの強さである
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項7】
前記密封ハウジング(312)は、さらに、基準光ファイバ(311B)に連結され、 前記密封ハウジング(312)は、基準光ファイバ末端(311B’)に対面する第2ミラー(311A’)を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項8】
ウィンドウ(402)と、前記光ファイバ(411)に連結された反射エレメント(403)と、を備え、これにより、前記ウィンドウ(402)を通過して前記穴の前記内壁に特定の角度(α)で光ビームを放出するようになっており、
前記光学式センサは、前記穴の前記内壁から反射された光ビームを受け取る空間感知光検出器(404)を備え、
前記光学式センサの応答は、前記空間感知光検出器上での前記反射された光ビームの位置(L)である
ことを特徴とする請求項1に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項9】
前記ウィンドウ(402)は前記穴の内壁(WBW)と実質的に平行である
ことを特徴とする請求項8に記載の穴の内部寸法を計測するための装置。
【請求項10】
穴の内部寸法を計測するためのシステムであって、
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の穴の内部寸法を計測するための装置を複数備え、
各装置は、少なくとも一つの光ファイバに連結され、多重通信を行う
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
穴の少なくとも一つのパラメータを計測するための検層工具であって、
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の穴の内部寸法を計測するための装置を少なくとも一つ備える
ことを特徴とする検層工具。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−252382(P2011−252382A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−170268(P2011−170268)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2007−532829(P2007−532829)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(597124903)シュランベルジェ、ホールディング、リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】SCHLUMBERGER HOLDINGS LIMITED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170268(P2011−170268)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2007−532829(P2007−532829)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(597124903)シュランベルジェ、ホールディング、リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】SCHLUMBERGER HOLDINGS LIMITED
【Fターム(参考)】
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