説明

窒化アルミニウムバルク結晶を制御可能にドーピングする方法

ドープされた及びドープされていない化学量論的な高純度の多結晶AlNセラミックスの製造が、例えばAlペレットを窒素ガスと反応させることによって行われる。このような多結晶AlNセラミックスは、高純度のAlN単結晶の製造で使用することができ、このAlN単結晶は、その導電性を増大させるためにアニールすることがでる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2006年3月30日出願の米国仮出願第60/787399号の利益及び優先権を主張するものであり、その開示内容全体は参照によりここに援用される。
【0002】
政府援助
本発明は、米国標準技術局(NIST)によって付された番号70NANB4H3051の下、米国政府の援助を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に関する所定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
半導体材料は、広い範囲にわたる制御可能な光学的及び電気的特性、例えば導電性を示す。このような制御は、ドーパント、つまり半導体材料の結晶格子内に導入され、電子(負電荷)又は正孔(正電荷)の源として働く不純物の使用によって可能となる。制御可能なドーピング(制御されたドーピング)によって、広範な半導体デバイス、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザ及びトランジスタの製造を可能にする。
【0004】
窒化物ベースの半導体、例えば窒化ガリウム(GaN)及び窒化アルミニウム(AlN)は、技術的に極めて重要であり、それは1つには、広いバンドギャップを有するためである。前記材料の制御可能で且つ再現性のあるドーピングによって、短い波長、つまり、青色、紫色及びさらには紫外波長でで光を発する発光デバイス、例えばLED及びレーザの製造が可能となる。さらに、n型及びp型窒化物は、高出力及び/又は高温での応用に適したトランジスタの製造において利用することができる。n型半導体では、電子の濃度は、正孔の濃度よりも極めて高く、よって、電子が多数キャリアであり、導電性を支配する。これに対し、p型半導体においては、正孔が導電性を支配する。
【0005】
AlNは、室温で6.1電子ボルト(eV)という比較的大きなバンドギャップを有し、よって、AlNのためのドーパントであって、バンドギャップにおいて、控えめな不純物(つまりドーパント)濃度のままで高い導電性を容易に実現させるような十分に浅いエネルギー準位を有しているものはほとんどない。よって、技術的に有用な導電性レベルを達成するためには、不純物濃度を比較的高くする必要がある場合が多い。残念なことに、AlNにおいて高い不純物濃度レベルを達成することは困難となり得る。AlNは通常、極めて高温で成長し、そのため、不都合な不純物及び他の点欠陥の導入を回避しながら高レベルの所望のドーパントを制御して組み込むことは困難である。このことによって、バンドギャップにおける深い準位が導入されてしまい、この深い準位はは、ドーパントの所望の効果を弱めるものである。(つまり、不都合な欠陥によって、ドーパント不純物によって導入された電子又は正孔を吸収してしまう深い準位が導入される。)特に、通常の成長条件下では、酸素が、AlNバンドギャップにおける深い準位を導入するようであり、導電性の結晶を製造したい場合には、これを注意深く制御する必要がある。よって、n型導電性を有するAlN薄膜が実施されてはいるものの、大きな導電性結晶を製作することにおいて成功は得難いことが分かっている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明によれば、ドナー又はアクセプタ準位は、完全で且つ化学量論的なAlN又はAlGa1−xN(式中、0≦x≦1であり、ここではしばしばAlGaNを指す)格子内で、アルミニウム(Al)又は窒素(N)よりも多い又は少ない電子を有する置換型不純物を導入することによって形成される。電荷補償欠陥、例えばAlカチオンサイトにおける空孔(VAlと表す)若しくはNアニオンサイトにおける空孔(Vと表す)、又はドーピング不純物によって形成される自由電荷を捕捉する深い準位を有する不純物を回避し、しかしより一般的に言えば、その密度を低くするか又は活性を低くすることが望ましい。Al又はNとほぼ同じ直径を有する原子を使用し、局所的な歪みを回避するために、ドーパントは、好ましくは、周期表の上部分から選択される。Alサイトに対する選択肢は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、炭素(C)及びケイ素(Si)を含み、一方、C、Si及び酸素(O)が、Nサイトに対しての可能な選択肢である。Alより2つ電子が少ないドーパント、例えばリチウム(Li)も、Alサイトに導入可能であれば、p型AlN及びAlGaNを形成するために使用することができる。
【0007】
残念なことに、上述のように、ドーパントによってドナー又はアクセプタ準位を形成することは、一般に、AlNのような材料においては難しい。AlNにおける大抵のドーパントによるエネルギー準位レベルは、エネルギーバンドギャップにおいて比較的深い傾向があり、そのため、高濃度のドーパントを使用しない場合に妥当な導電性レベルを達成することが難しい。さらに、ワイドバンドギャップのAlN結晶は、電荷補償空孔欠陥、例えばVAl又はVを形成する傾向を有している。
【0008】
したがって、第1の側面では、本発明は、多結晶AlNを形成する方法を特徴とする。様々な態様で、Al含有ペレットを坩堝内に供給し、このペレットを所定の反応温度及び反応圧力で窒素ガスと反応させ、ほぼ化学量論的な多結晶AlNセラミックスを形成する。このペレットは、本質的にAlからなっていてよく、反応温度は、約1900℃〜約2200℃の範囲内にあってよい。ペレットは、Siであってよいドーパント種の、約12重量%より低くてよい第1の濃度を有する。一態様では、多結晶AlNセラミックスは、ドーパント種の第2の濃度を有する。この第2の濃度は、約12重量%より低くてよい。反応温度は、約1600℃〜約2200℃の範囲内にあってよく、反応圧力は、約1バール〜約60バールの範囲内にあってよい。
【0009】
本発明の態様は、以下の特徴の1つ以上を有していてよい。多結晶AlNセラミックスの酸素濃度は、約400百万分率(ppm)より小さいか又は100ppmより小さくてよい。実質的に全てのペレットが反応して、多結晶AlNセラミックスを形成することができる。少なくとも1つの追加的なAl含有ペレットを坩堝内に供給して、上記反応温度及び上記反応圧力で窒素ガスと反応させることができ、これにより、多結晶AlNセラミックスの体積が増加する。
【0010】
一態様では、多結晶AlNセラミックスを、結晶成長エンクロージャ内に、結晶成長エンクロージャの第1の端部で供給し、形成温度で昇華させ、結晶成長エンクロージャの第2の端部でAlN単結晶を形成する。形成温度は、約2000℃〜約2750℃の範囲内であってよい。AlN単結晶の酸素濃度は、約400ppmより小さく、約100ppmより小さく、又は約4.5×1019/cmより小さくてよい。AlN単結晶の熱伝導性は、約250ワット・パー・メートル・ケルビン(W/mK)より大きくてよい。多結晶AlNセラミックスは、AlN単結晶内に第1の濃度で存在していてよいドーパント種を含んでいてよい。ドーパント種はSiであってよく、第1の濃度は約1016/cmより大きくてよい。AlN単結晶は、室温で約10−4Ω−1cm−1より大きい導電性を有していてよい。坩堝の少なくとも一部は、AlN単結晶の形成中、多結晶AlNセラミックスに隣接し且つそれと接触していてよい。
【0011】
第2の側面では、本発明は、ドープされたAlNウェハを形成する方法を特徴としている。様々な態様で、AlN及びドーパント種を含む単結晶ウェハを供給し、ウェハをアニールして前記ドーパント種を電気的に活性化する。このドーパント種はSiを含んでいてよい。アニールにより、単結晶ウェハ中において、アルミニウム空孔の濃度(密度)を減少させることができるか、又は窒素空孔の濃度(密度)を増大させることができる。一態様では、アニールのステップは、所定のアニール温度及びアニール窒素圧力で行われ、このアニール窒素圧力は、前記アニール温度でアルミニウムからAlNを形成するのに必要な窒素圧力の約2倍より小さくてよい。アニール窒素圧力は、前記アニール温度でアルミニウムからAlNを形成するのに必要な窒素圧力の約2倍より小さい、つまり約0.1ミリバール(mbar)〜約5バールの範囲内であってよい。アニール温度は、約1900℃より高くてよい。アニール後、単結晶ウェハは、室温で約10−4Ω−1cm−1より大きい、又は約10−2Ω−1cm−1より大きい導電性を有していてよい。
【0012】
第3の側面では、本発明は、AlNウェハを形成する方法を特徴としている。様々な態様で、ドープされていないAlNを含み且つ第1の導電性を有する単結晶ウェハを提供し、この単結晶ウェハを周囲雰囲気中で(in an ambient)所定のアニール温度及びアニール圧力でアニールし、アニール後、単結晶ウェハは第1の導電性より大きな第2の導電性を有する。アニール温度は、約1700℃〜約2200℃の範囲内にあってよく、アニール圧力は、約2バール〜約30バールの範囲内にあってよい。周囲雰囲気は、窒素及び少なくとも1つの不活性ガスから本質的になっていてよく、不活性ガスはアルゴンであってよい。周囲雰囲気中の窒素の圧力は、第1の温度でアルミニウムからAlNを形成するのに必要な窒素圧力より大きくてよい。第2の導電性は、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きくてよい。
【0013】
さらに別の側面では、本発明は、約100マイクロメートル(μm)より大きな厚み、約1cmより大きな断面積、及び室温で約10−4Ω−1cm−1より大きな導電性を有するAlN単結晶を特徴としている。AlN単結晶は、置換型ドーパント種を含んでいてよく、n型導電性を示していてよい。この置換型ドーパント種は、IV族元素を含んでいてよく、Siであってよい。AlN単結晶は、AlN及び窒素空孔から本質的になっていてよい。厚みは、約200μmより大きくてよく、約2ミリメートル(mm)より大きくてもよい。導電性は、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きくてよく、AlN単結晶の熱伝導性は、約250W/mKより大きくてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面では、同様の参照番号は、異なる図面を通じて一般化して同じ部分を示す。また、図面は、必ずしも縮尺通りとはなっておらず、拡大されており、発明の原理を例示する上で概括的に示されている。以下の説明では、本発明の様々な態様を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本発明の態様の実施のための代表的な環境を図1に示す。AlN結晶は、米国特許出願第11/503,660号明細書に記載されている昇華−再凝縮法(sublimation-recondensation method)によって形成することができ、この特許文献は参照によりここに援用される。結晶成長エンクロージャ100は、蒸気混合物110、AlN結晶120及び多結晶源130を含んでおり、炉140によって取り囲まれている。一態様では、結晶成長エンクロージャ100はタングステンを含む。別の態様では、その開示内容全体が参照によりここに援用されている米国特許出願第10/822,336号明細書に記載されているように、結晶成長エンクロージャ100は、タングステン−レニウム合金、レニウム、炭素、炭化タンタル、窒化タンタル、炭窒化タンタル、窒化ハフニウム、タングステン及びタンタルの混合物、又はそれらの組合せを含む。
【0016】
蒸気混合物110は、結晶成長エンクロージャ100の一方の端部で多結晶源130を加熱することによって生じ、より温度の低いもう一方の端部でAlN結晶120に融合する。多結晶源130は、セラミックス材料であってよく、AlNを含むか又はそれから本質的になっていてよく、少なくとも1つの侵入型又は置換型ドーパントをさらに含んでいてよい。AlN結晶120は単結晶であってよく、侵入型又は置換型ドーパントの有限の濃度を含んでいてよい。さらなる処理で、AlN結晶120をドープしてそれに所望の電気的特性を付与するようにドーパントを電気的に活性化することができる。ここに記載の全ての態様で、AlN結晶120は、ガリウム(Ga)も含むことができ、これによりAlGa1−xN結晶が得られる。例えば、Gaは多結晶源130に添加することができ、その場合、結晶はAlGa1−xNとして融合する。このような場合、結晶は約50%より大きなAl濃度を有していてよい。AlN結晶120は、約0.1mmより大きな厚み及び約1cmより大きな直径を有していてよい。直径は、約2cmより大きくてもよい。AlN結晶120は単結晶であってよい。
【0017】
AlN結晶120の製造及びそれに続く製造のプロセスの詳細に戻る前に、AlN結晶120のための(及びつまりは多結晶源130のための)ドーパント種の選択、並びに所望の特性を有する様々な種類の多結晶源130を製造するための技術(例えばドーパント及び純度濃度)について、確実な議論を記述する。
【0018】
ドーパントの選択
本発明によれば、ドープされたAlN結晶120を形成する第1のステップは、どの不純物又は不純物対が、小さな活性化エネルギーを有するドナー又はアクセプタ中心(donor or acceptor centers)を生成することができるかを特定することである。Alサイトに対しては、適切な単一元素ドナーはIV族元素、例えばSi、Ge及び/又は遷移元素、例えばTi、V等であってよく、Nサイトに対しては、VI族元素、例えばO及び/又はSをドナーとして使用することができる。侵入型サイトであれば、より軽い元素、例えばH又はLiが適切なドナーとなり得る。ドナー及びアクセプタの両方が同じ副格子に組み込まれている、分子不純物による共ドープの場合には、その開示内容全体が参照によりここに援用される米国特許出願第11/633,667号明細書に記載されているように、前記不純物、例えばBeSiN、ZnSiN、MgSiN、LiSi及びAlOCが考えられる。これらの全ての手法では、望ましくは、バルク結晶成長プロセス中に、結晶内への不純物の制御された導入が必要である。2つの別の考え得るドーパントの製造スキームは、核変換ドーピング(nuclear-transmutation doping)及びドーパントの結晶表面からの内部拡散(indiffusion of the dopant from the crystal surface)である。しかし、これらの2つの手法は、約2mmを超える厚みを有するバルク結晶ではより困難となることがあり、それというのは、実施するためには拡散時間が過度に長くなり、必要とされる注入エネルギーも過度に大きくなり得るからである。よって、本発明は、好ましくは、バルク結晶成長中に導入されるドーパントを利用する。
【0019】
次のステップは、適切なドーパント、つまり2330℃までの温度(この温度でタングステン坩堝は共晶反応に曝される)での又は別の坩堝が使用される場合にはそれより高い温度での昇華−再凝縮成長プロセスに耐え得るものを選択することである。(その開示内容全体が参照によりここに援用される米国特許出願第6,719,843号明細書は、AlNバルク単結晶の成長のための他の可能な坩堝材料について記載している。)AlN及びAlGa1−xNの薄いエピタキシャル膜中では、Siが浅いドナーとなることが見出された。SiドープされたGaNでは、室温で1×1020/cmまでのn型キャリア濃度が達成された。Siが約1×1018/cmを超えるまで低下することが観察されており、つまり、ドーパントが高密度であるために、導電性は、温度とは無関係になっていることが観察された。SiドープされたAlNでは、得られる最大室温キャリア濃度が約2×1020/cmであることが分かった。以下の議論は、AlN中のSi溶解度及びその電気的活性を制限する因子、並びに結晶成長のための意義を記述する。
【0020】
Al及びSiの共有半径は極めて類似している。AlNでは、Al−Nの平均結合距離は1.89Åである。よって、Si原子は、前記窒化物においてはAl原子より約10%小さい。擬二元系であるAlN−Siでは、1つの三元化合物SiAlが知られている。これは、酸素の存在下でのみ不純物として存在し得る。室温又はより高い温度でAlN中のSi(又はSi中のAlN)の固溶度限界はいくらか不確実である(以下に説明する)が、AlNのドーピングに対し有利な濃度が実現可能であり、且つAlNのバルク結晶成長のために必要な温度で安定であることを示す十分な証拠がある。
【0021】
SiでドープされたAlNが、良好な青色発光、フォトルミネセンス及びカソードルミネセンスを呈示することが示された。そして、この結果は、SiでドープされたAlN中のSi/Al原子比として定義されるrの上限のいくつかの研究を促した。典型的な溶解度の挙動と同様に、温度が上昇するとAlN中のSiの溶解度が増大することが予測される。
【0022】
制御された不純物濃度を有するAlNセラミックスの形成
注意深く制御された(潜在的な深い準位の不純物、例えば酸素を排除することを含む)不純物濃度を有するAlNを含む多結晶源130を利用することによって、制御可能な電気的及び光学的性質を有するAlNの成長が可能となる。一般に、酸素は、知られた汚染物質であり、市場で購入可能な最も純度の高いAlN材料は、0.3重量%(3,000重量ppm)を超えるレベルで酸素不純物を有する。汚染されたAlN上で、アルミニウムの酸化物の蒸気圧は、Al又はNの蒸気圧より極めて高いので、市販の粉体は、清浄なN雰囲気中で2,000℃程度にまで加熱することによって純化することができる。残念なことに、汚染された粉体は、加熱サイクル中に焼結し、焼結体内に残留酸素が捕捉される際に密になる傾向がある。別の手法は、AlNが炉中のより温度の低い場所で再凝縮するように、N雰囲気中で温度勾配下で、汚染されたAlNを昇華する(つまり、Al及びN分子を一致蒸発させる(congruently evaporate))ことである。アルミニウム酸窒化物は、さらにより低い温度で凝縮するので、より高純度のAlNセラミックスが、アルミニウム酸窒化物から物理的に分離される。このプロセスは、より高純度のAlNを得る上で有用であるが、時間がかかり、また、正当な蒸発速度を得るには炉を2200℃を超える温度で運転する必要があるので、高温炉を犠牲にしなくてはならない。さらに、この方法によって、400ppm未満の酸素不純物濃度を有するAlNを得ることは難しく、それは、おそらくはAlN結晶中の酸素の溶解度に起因している。
【0023】
ここで、酸素濃度は、好ましくは、St. Joseph, MichiganのLECO Corporationから入手可能なTCH600 Oxygen Determinator、中性子放射分析(Neutron Activation Analysis)技術又はダイナミック二次イオン質量分析(SIMS)によって測定される。市場で入手可能なLECO測定は、酸素の影響を受けやすいAlNの標準の非不活性雰囲気での試料(の表面汚染)の取り扱いで、少なくとも200重量ppmの検出限界まで信頼性がある。さらに、中性子放射は、多結晶セラミックス材料について、少なくとも100ppmまでの検出限界が可能であることが見出された。単結晶試料については、正確な酸素測定値はダイナミックSIMSによって行うが、アイソトープ注入技術を使用して調整でき、これにより、測定値の有効性が確実になる。これらの全ての測定技術は、困難であることが知られており誤って低い測定値をもたらし得るグロー放電質量分析(GDMS)と比べて好ましい。
【0024】
制御可能な不純物を有するAlNを製作するさらに効果的な手法は、高純度窒素中で、高純度Al金属又は所望の不純物のみでドープされたAl金属を反応させることである。その開示内容全体が参照によりここに援用されるSlack and McNeIIy, J. Crystal Growth 34, 263(1976)では、窒素中で直接的にAlを燃焼させる試みにおける問題を記載している。より詳細には、大気圧でAlが反応し、これにより、未反応のAl金属の周りに保護皮層が形成して反応が停止してしまう。反応を持続させるために極めて高い窒素圧を使用することが実証されている(その開示内容全体が参照によりここに援用されるM. Bockowski, A. Witek, S. Krukowski, M. Wroblewski, S. Porowski, R. M. Ayral-Marin, and J. C. Tedenac, Journal of Material Synthesis and Processing, 5, 449 (1997))。しかし、反応後のAlNは粉体を形成し、空気に曝すと急速に汚染されてしまう。制限された表面積を有する密なAlN材料を形成することがさらにより望ましく、これにより、AlN製品を、汚染させることなくより容易に取り扱うことができる。
【0025】
その開示内容全体が参照によりここに援用されるSlack及びMcNelly(J. Crystal Growth 42, 560 (1977))による前述のペレット投下作業では、Alペレットを、RF加熱炉中で約1850℃にまで加熱される熱分解窒化ホウ素(pBN)の坩堝中に投下する。個々のAlのペレットは、迅速に反応し、比較的高純度のAlNを形成する。Slack及びMcNellyは、約1重量%過剰のAl及び約400ppmの残余酸素汚染を有するAlNを得た。AlNが形成された後には、pBN坩堝を機械的に取りし、得られたAlNを、窒素雰囲気中で温度勾配中で昇華させる必要がある。Slack及びMcNellyは、最後のステップ(AlN多結晶材料の昇華及び再凝縮)を使用し、過剰のAlを0.1%未満に低減した。この昇華及び再凝縮ステップは、70グラムのAlN製品に対して、12〜24時間かかることが報告されている。それによれば、ペレット投下法によって、得られたAlN多結晶材料を昇華及び再凝縮する余分なステップなしにAlN結晶成長のために直ちに使用することができる、制御可能なドーパント濃度(ドーパントを含まず、それによりAlNが高純度を有するものを含む)を有するAlN多結晶材料が製造される。さらに、得られたAlN多結晶材料の酸素汚染はより少ない。本発明の態様は、好ましくは、1)AlN多結晶材料と反応しない、2)後続の多結晶材料からのAlN単結晶の昇華−再凝縮成長の際に、AlN多結晶材料上に残っていてよい坩堝材料を利用する。
【0026】
ケイ素で高ドープされたAlNは、窒素雰囲気中で約1850℃で1バール以上の圧力でAl−Si合金を燃焼させることによって製造することができる。1875℃で、SiのN解離圧は約1バールであり、よって、1バールにおける燃焼温度の好ましい上限を設定することができ、それはSiの形成は高いSi濃度で起こるからである。このようにして、いくつかの又は全てのSiが、AlN格子に捕捉される。
【0027】
Al−Si相図に、金属Al中でのSiの最高平衡固溶度が、577℃で1.59原子%であることが示されている。この液体合金を急冷すると、はるかにより多くのSiが、Al金属中の固溶体中に捕捉され得る。実際、高純度のSiでドープされたAlは、3.5%までのSi濃度で購入することができるが、Al中のより高い濃度のSiは、Al及びSiの溶融混合物の急冷によって得られると考えられる。
【0028】
制御されたドーパント濃度を有する多結晶AlN材料を形成することについて、以下に2つの例を挙げる。
【0029】
ドープされた高密度AlN多結晶材料の製造
図2A及び2Bを参照すると、高濃度の少なくとも1つの置換型ドーパントを組み込む多結晶源の形成において炉200を利用している。炉200は、Alを含む又は本質的にAlからなるペレットを坩堝220内に投下するペレット装填機構210を含む。一態様では、ペレットは、1つ以上のドーパント種でドープされていてよい。一態様では、ペレット中のドーパント濃度は、12重量%未満である。坩堝220は、底部プラグ230及び巻き付け箔(foil wrap、巻き付けシート)240を含む。底部プラグ230は、例えば約0.625インチの直径及び約0.5インチの高さを有するほぼ円筒形をしていてよい。底部プラグ230は、タングステン(W)若しくは他のAlNに対して不活性な高融点材料を含むか又はそれから本質的になっていてよい。巻き付け箔240は、底部プラグ230の周りに巻き付けられ、これにより、上部で開放され底部では底部プラグ230によってシールされた円筒が形成される。巻き付け箔240は、W、若しくは他のAlNに対して不活性な高融点材料を含むか又はそれから本質的になっていてよく、約0.001インチの厚みを有していてよい。一態様では、巻き付け箔240は、底部プラグ230の周りに複数回巻き付けられていてよく、例えば、三層の巻き付け箔240が、底部プラグ230の周りにW箔が3回巻き付けられることによって形成される。巻き付け箔240は、少なくとも1つのワイヤ250によって所定の場所に保持され、ワイヤ250は、タングステン−レニウム合金(例えば、25%レニウム)を含む又はそれから本質的になっており、約0.01インチの厚みを有していてよい。
【0030】
坩堝220は、サセプタ260内に且つ坩堝スタンド270の上に配置されている。サセプタ260も坩堝スタンド270も、Wを含むか又は本質的にそれからなっていてよい。坩堝漏斗部280は、坩堝220の上部開口の上に設けられており、モリブデン(Mo)を含むか又は本質的にこれからなっている。坩堝漏斗部(crucible funnel)280は、ペレット装填機構210から坩堝220内へとペレットを方向付けする形状を有している。
【0031】
炉200は、絶縁材292で取り囲まれている1つ以上の加熱要素290によって抵抗加熱される。加熱要素290は、約2300℃までの温度に加熱することができ、炉200は、約60バールまでの圧力で運転することができる。例示的な態様では、炉は、約10バールまでの圧力で運転される。一般に、圧力を上昇させた場合、ドーパント種又はその化合物の蒸発を制限することによって、高濃度のドーパントを多結晶源130(後述する)内に組み込むことが可能となる。例えば、Siをドーパントとして使用する場合、高い炉の圧力は、Siの形態でSiが蒸発することを実質的に防止することができる。底部入口294から炉200内へのガス流は、上部出口296を通って排気される。ガスは、窒素又は窒素及び3%水素の混合物(つまりフォーミングガス)を含むか又は本質的それからなっており、ガスフィルタ(図示せず)によってフィルタリングされ、酸素、水蒸気及び炭化水素のような汚染物質のレベルは10十億分率(ppb)未満まで低減される。上部漏斗部298は、ペレット装填機構210を坩堝漏斗部280に接続している。
【0032】
ドープされた多結晶源130を形成するために、ペレットは、望ましくは、ペレット装填機構210内への装填のための準備の際に清浄にされる。ペレットは、好ましくは、自動式の処理を容易にするために(後述する)、全て同様のサイズ及び形状を有する。まず、ペレットを、異常な形状を有するペレット又は小さな屑を除去するために篩分けする。次に、ペレットを約20分間、蒸留水中で超音波によって洗浄する。続いて、ペレットを、室温で約2分間、フッ化水素酸(HF)及び硝酸(HNO)の混合物中に浸漬する。最後に、ペレットを蒸留水中で濯ぎ、また、メタノール中で数回濯ぎ、さらに、ペレット装填機構210内に充填する前には不活性雰囲気中で保存することができる。ドープされた又はドープされていないAlペレットを洗浄することによって、一貫性のある結果が得られ、ドープされた及びドープされていない多結晶源130の両方の製造のための反応に均一な表面酸化(又はその還元層)をもたらすので重要である。
【0033】
坩堝220は、炉200内に装填され、ペレットは、ペレット装填機構210内に装填される。ペレットが坩堝220内に投下されない洗浄サイクルは、多結晶源130が形成される実際の反応サイクルの前に行われる。炉200は、数回(例えば3回)、交互に、フォーミングガスの流れに曝され、排気される。加熱要素290は約2200℃に加熱され、これにより、坩堝220は約1950℃に加熱される。フォーミングガスは、高速で、例えば1分当たり約0.25リットル(lpm)で炉200を通って流れ、これにより、残余水分が除去され、含まれていた任意のW含有成分(空気又は汚染の他の源への曝露のために酸化されていてもよい)が低減される。その後、加熱要素290を、室温にまで冷却する。
【0034】
次いで反応サイクルが実施され、多結晶源130が形成される。炉200は、数回(例えば3回)、交互に、窒素流に曝され、排気される。反応サイクルは、約1600℃〜約2200℃の範囲内の温度で、約1バール〜約60バールの範囲内の圧力で行われてよい。一態様では、反応サイクルは、約10バール未満の圧力で行われる。例示的な態様では、約1.5バールの窒素圧力及び約0.25lpmの窒素流下で、加熱要素290は、約1800℃(約1650℃の坩堝220の温度に相当)にまで加熱され、約3時間、その温度に保持される。ガス流を、1分当たり約5標準立方センチメートル(seem)にまで減少させ、ペレットを、ペレット装填機構210から、上部漏斗部298及び坩堝漏斗部280を介して坩堝220内へと投下する。ペレットは、それぞれ約72ミリグラムの重さを有していてよく、1分当たり約1個の速度で投下することができる。ペレットは、底部プラグ230(又は既にその上に形成された多結晶源130の一部)上に到達し、溶融され、窒素ガスと反応して多結晶源130を形成する。ペレット内に存在するドーパントは、ペレット中のドーパント濃度及び反応速度によって少なくとも一部が決定される濃度で、多結晶源130内に組み込まれる。多結晶源130中の極めて高い、例えば約12重量%までのドーパント濃度は、ペレット中のドーパントの極めて高い濃度を使用すること及び反応炉200内の窒素圧力を増大させることによってドーパントの蒸発を抑制することによって達成することができる。ペレット装填機構210から投下され得られた各ペレットは反応して、多結晶源130のサイズ及び体積を増大させる。一態様では、その後、各ペレットが全て反応して、多結晶源130が形成される。
【0035】
反応サイクル後、炉200(及び多結晶源130)を、約1時間にわたり正の窒素圧で約室温に冷却する。このようにして形成された多結晶源130は、約80グラムまでの重量を有していてよく、低濃度の不純物、例えば酸素、ホウ素及び遷移金属、例えば鉄を含んでいてよい。一態様では、多結晶源130の酸素濃度(及び/又は他の不純物の濃度)は、約400重量ppm未満であり、約100ppm未満であってもよい。多結晶源130は、ほぼ化学両論的なAlN(又はドープされたAlN)を含む又は本質的にそれからなっており、つまり、約1%を超えない過剰のAlを含む。ドープされている多結晶源130は、ドーパント種、例えばIV族元素(例えばSi又はC)、II族元素(例えばBe又はMg)又はVI族元素(例えばO)を約12%(重量%)まで含む。形成後、多結晶源130は、後続の単結晶AlNの昇華−再凝縮成長のために直ぐに使用することができ、そのための準備の際には不活性雰囲気内で保存されていてよい。
【0036】
高純度且つ高密度AlN多結晶材料の製造
図3A〜3Eを参照すると、反応器300が、高純度のドープされていないAlNから本質的になる多結晶源130の形成において利用されている。反応器300は、好ましくは、二重壁のステンレス鋼から製造され、水冷されている反応容器310を備えている。反応容器310は、1平方インチ当たり約45ポンド(psi)の最大内部ガス圧が可能であることが望ましく、例えばターボポンプ311(機械式ポンプ312によってバックアップされている)によって約10−7Torrに排気することができる。供給機構320は、反応容器310の上部に接続されており、反応容器310と同じガス及び圧力で排気及び加圧することができる。供給機構320は、隔離バルブ322によって反応容器310から隔離することができる。供給機構320から放出されたペレット(高い(例えば、ファイブナインの)純度のドープされていないAlから本質的になっていてよく、ほぼ円筒形状を有していてよい)は、上方漏斗部332及び下方漏斗部334によって坩堝330へと方向付けられている。
【0037】
坩堝330は、底部プラグ336及び巻き付け箔337を含む。底部プラグ336は、例えば約2インチの直径及び約0.5インチの高さを有するほぼ円筒形状であってよい。底部プラグ336は、W若しくはAlNに対して不活性な他の高融点材料を含む又はそれから本質的になっていてよい。巻き付け箔337は、底部プラグ336の周りに巻き付けられ、上部で開放され且つ底部で底部プラグ336によってシールされている円筒を形成する。巻き付け箔337は、W若しくはAlNに対して不活性な他の高融点の材料を含む又はそれから本質的になっていてよく、約0.001インチの厚みを有していてよい。一態様では、巻き付け箔337は、底部プラグ336の周りに複数回巻き付けられていてよく、例えば、底部プラグ337の周りに3回W箔が巻き付けられることによって、三層の巻き付け箔337が形成される。巻き付け箔337は、ワイヤ338によって所定の位置に保持されている。ワイヤ338は、タングステン−レニウム合金(例えば25%レニウム)を含む又はそれから本質的になり、約0.01インチの厚みを有している。
【0038】
坩堝330は、反応ゾーン340内に且つ坩堝スタンド342の上部に配置されている。反応ゾーン340及び坩堝スタンド342はいずれも、Wを含むか又はそれから本質的になっていてよい。下方漏斗部334は、坩堝330の開口上に設けられ、Wを含む又はそれから本質的になっていてよい。下方漏斗部334は、ペレットが、供給機構320及び上部漏斗部332から、坩堝330内へと方向付けされるような形状を有している。
【0039】
反応器300は、絶縁材360の周りに巻き付けられている誘導加熱コイルを備えている。絶縁材360は、石英のホルダ内に保持されている、Zircar Ceramics, Inc. of Florida, New Yorkから入手可能なバブルアルミナ(bubble almina)を含むか又はこれから本質的になっていてよい。誘導加熱コイル350は、Mesta Electronics, Inc.of N. Huntingdon, Pennsylvaniaから入手可能な10kHz、20キロワットの誘導加熱システムであってよく、約2300℃までの温度に加熱することができる。光高温計ポート362によって、誘導加熱コイル350によって確定される反応ゾーン内の温度の高温測定による測定が可能になる。368でそれぞれ示されている一連のガスタンクからのガスは、底部入口370及び/又は上部入口372から反応器300内へと流れる。ガスは、窒素又はフォーミングガスを含む又はそれから本質的になっていてよく、ガスフィルタ374によってフィルタリングされ、このフィルタは、例えば酸素、水蒸気及び炭化水素の汚染のレベルを10ppb未満にまで低減する。垂直方向駆動部380を使用して、坩堝330が、誘導加熱コイル350によって形成された高温ゾーンの出入りがなされるよう動かされる。従来の制御ステーション390は、反応器300と連結する全ての構成要素のための電気的な制御部及び電源を含む。
【0040】
ドープされていない多結晶源130を形成するために、ペレットは、供給機構320内に充填されるための準備において洗浄される。まず、ペレットは篩分けされて(水を使用又は使用しないで)、異常な形状のペレット又は小さな屑が取り除かれる。次に、ペレットを、約20分間、超音波によってメタノール中で洗浄し、約7分間、塩化水素酸(HCl)中でエッチングし、数回(例えば3回)蒸留水で濯ぐ。さらにメタノール中で約20分間超音波洗浄を行った後、ペレットをHF及びHNOの混合物中に室温で約2分間、浸漬する。最後に、ペレットを蒸留水で、さらに数回メタノール中で濯ぎ、ペレットはその後直ぐ、供給機構320中に装填する前に、不活性雰囲気又は窒素雰囲気中に保存することができる。
【0041】
坩堝330は、反応器300内に装填され、ペレットは供給機構320内に装填される。反応チャンバ310及び供給機構320を、例えば約5×10−5Torr未満の圧力に排気し、約6psiの圧力までフォーミングガスを最充填する。窒素(N)ガス又はフォーミングガスは、底部入口370及び上部入口372から反応チャンバ310内へ約0.25lpmの速度で流入する。ガスの流れは、反応チャンバ310中で、ペレットをAlNに変換する(後述する)のに十分な量の窒素を供給する。誘導加熱コイル350は、坩堝330を約1900〜2200℃に加熱するが、より高い温度を利用することもできる。好ましい態様では、誘導加熱コイル350は、坩堝330を約2000〜2050℃まで加熱する。この範囲の温度は、ペレットが完全に反応して化学量論的なAlN(未反応のAlを約1%で含む)となり、多結晶源130内に捕捉されていて光学的な吸収を生させ得る、より高い蒸気圧の不純物を追い出すのに十分であることが見出された。坩堝330での温度は、光高温計ポート362による高温測定によって測定することができる。坩堝330が所望の温度に達すると、反応器300内での温度及びガス流の条件は、約3時間の前湿潤(pre-soak)サイクルのために一定に維持される。前湿潤は、Alペレットの導入前に坩堝330及び反応器300の他の部分の汚染物質、例えば酸化物を洗浄する。
【0042】
次に、反応サイクルが実施され、ドープされていない多結晶源130が形成される。ペレットは、供給機構320から上部漏斗部332及び下部漏斗部334を介して坩堝330内へと投下される。ペレットは、それぞれ約0.23グラムの重量を有し、90秒毎に約1個の速度で投下されてよい。供給機構320は、実際のペレットの投下を計数し、装填エラーがあった場合には、追加のペレットを投下させるように供給機構320を循環させることができる光学カウンタを組み込んでいてよい。ペレットは、底部プラグ336(又はその上の既に製作された多結晶源130の一部)に到達し、溶融し、窒素ガスと反応して、ドープされていない多結晶源130を形成する。供給機構320から投下された後続の各ペレットは反応して、多結晶源130のサイズ及び体積を増大させる。一態様では、各ペレットの実質的に全てが反応して多結晶源130を形成する。所望の数のペレットが反応して多結晶源130を形成した後、反応ガス流量及び温度は、反応が確実に終了する約1時間、維持される。
【0043】
反応サイクル後、坩堝330(及び多結晶源130)を、約1時間にわたり正の窒素圧力でほぼ室温に冷却する。このようにして形成された結晶源130は、約155グラムまでの重量を有していてよく、高純度のドープされていないAlNから本質的になる。一態様では、多結晶源130の酸素濃度(及び/又は他の不純物の濃度、例えばホウ素又は遷移金属)は、約400重量ppm未満であり、約100ppm未満であってもよい。多結晶源130は、ほぼ化学量論的なAlN、つまり約1%未満の過剰のAlを含むAlNを含むか又は本質的にそれからなっていてよい。この多結晶源130は、形成後直ぐ、後続の単結晶AlNの昇華−再凝縮成長のために使用可能であり、そのための準備中、不活性雰囲気中で保存することができる。
【0044】
単結晶AlNの形成
ドープされた又はドープされていない多結晶源130が、図2A及び2B並びに3A〜3Eを参照して説明した技術のうちの1つによって製造されたら、それを、図1を参照して上述したように、単結晶AlNの昇華−再凝縮成長で使用することができる。多結晶源130は、不純物の濃度が低いほぼ化学量論的なAlNであるので、さらなる準備プロセスなしにAlN結晶120の製造のために使用することができる。多結晶源130は、底部プラグ230(又は底部プラグ336)から隔離されるが、巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)は、多結晶源130の近傍に、これと接触して留まる。巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)は、多結晶源130と接触したまま、結晶成長エンクロージャ100内に配置されていてよい。巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)は、W又は他のAlNに対して不活性の材料から形成されているので、製造時に、AlN結晶120と反応したりこれを汚染したりすることはない。一態様では、巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)で取り囲まれている多結晶源130は、より小さな片に砕かれていてよく、そのうちの1つ以上を使用して別々にAlN結晶120を形成する。この態様では、巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)の片は、多結晶源130の片と接触したままであってよい。別の態様では、巻き付け箔240(又は巻き付け箔337)は、結晶成長エンクロージャ100と同じ材料、例えばWからなっている。
【0045】
図4を参照すると、AlN結晶120の形成後、ウェハ400は、例えばダイヤモンドリングソー(diamond annular saw)又はワイヤソー(wire saw)を使用することによってAlN結晶120から分離することができる。一態様では、ウェハ400の結晶配向は、(0001)面(つまりc面)の約2°以内とすることができる。このようなc面ウェハは、Al極性表面(polarity surface)又はN極性表面を有していてよく、その後、その開示内容全体が参照によりここに援用される、米国特許第7,037,838号明細書又は米国特許出願第11/448,595号明細書に記載されているように準備される。他の態様では、ウェハ400は、m面又はa面配向の約2°以内に配向していて(よって、非極性配向を有する)よいか、又はAlN結晶120が異なる方向に切られる場合には半極性配向を有していてよい。これらのウェハ表面も、米国特許第7,037,838号明細書に記載されているように準備することができる。ウェハ400は、約2cmより大きな直径を有するほぼ円形の断面積を有していてよい。別態様では、ウェハ400の表面積は、約1cmより大きくてよく、若しくは約3cmより大きくてもよく、四辺形又は他の多角形状の形状を有していてよい。ウェハ400の厚みは約100μmより大きくてよく、約200μmより大きくてよく、さらには約2mmより大きくてよい。ウェハ400は、好ましくは、ここに記載されているようなAlN結晶120の特性を有している。
【0046】
ドーパント種を含むドープされた多結晶源130は、AlN結晶120を形成するために使用され、AlN結晶120及びウェハ400は、いずれも、約1016/cmより大きい濃度でドーパント種を組み込んでいてよい。特定のドーパント種によって、AlN結晶120及び/又はウェハ400は、n型又はp型導電性を示す。一態様では、AlN結晶120及び/又はウェハ400の酸素濃度(及び/又は他の不純物、例えばホウ素又は遷移金属、例えば鉄の濃度)は、約400重量百万分率(ppm)未満であってよく、約100ppm未満であってもよい。酸素濃度は、ダイナミックSIMSによる測定で、約4.5×1019/cm未満であってもよく、又はさらには1×1019/cm未満であっってもよい。室温でのAlN結晶120及び/又はウェハ400の導電性は、約10Ω−1cm−1、又はさらには約10−2Ω−1cm−1であってよい。AlN結晶120及び/又はウェハ400の熱伝導性は、約250ワット・パー・メートル・ケルビン(W/mK)より大きくてよく、この値は、好ましくは、米国材料試験協会(ASTM)のStandard E1461-01(レーザフラッシュ法による、固体の熱拡散のための現行業界標準試験法)によって測定され、これは販売業者、例えばExton, PennsylvaniaのNETZSCH Inc.によって提供される。最後に、低不純物濃度及びAl及びN空孔濃度の制御によって、約210ナノメートル(nm)〜約480nmの範囲の波長で、AlN結晶120及び/又はウェハ400の100/cm未満の光吸収係数を得ることができる。より詳細には、AlN結晶120及びウェハ400の低酸素含有量によって、280nmの波長で100/cm未満の光吸収係数が可能となり、なお、この波長での吸収は酸素汚染に起因するものである(例えば、その開示内容全体は参照によりここに援用されるG.A.Slack, L.J.Schowalter, D.Morelli, J.A.Freitas Jr., J. Crystal Growth 246, 287 (2002)を参照)。
【0047】
AlN及びS1の蒸気圧
温度の関数としてのSi、Al及びNの相対蒸気圧は、SiドープされたAlN結晶の成長に強く影響する。これらの蒸気圧は、JANAF表から計算することができ(M.W.Chase. Jr., Journal of Physical and Chemical Reference Data, Monograph No.9, NIST-JANAF Thermochemical Tables, Fourth edition (1998))、その開示内容全体は、参照によりここに援用される。AlNは、極微量のAl及びAlN蒸気分子を含むAl原子及びN分子として一致蒸発する。源内にSiがあった場合、AlNを成長させるために典型的に使用される2300℃の温度で、Si固体上での窒素圧は53バールである。したがって、固体Siの分解圧力は、固体AlNより実質的に高い。しかし、少量のSi又はSiがAlN中に溶解すると、Si蒸気圧は大きく低減する。結晶組成がAlN1−xSiである場合、ガス相中のSiの全圧は、おおよそP(Si)=x×P(Al)となる。これは、平衡ガス相中のSi対Al比が、固体中でも同じという事実に基づく。
【0048】
1バールのN中、2300℃でのAlN上のAl蒸気の分圧は、0.09バールである。xが0.10である場合、P(Si)=0.009バールとなる。これは、前記温度でのSi上でのSi分圧についても同じであり、これは0.008バールである。結晶成長中、AlN上でのN圧は、典型的には、0.5〜10バールに維持され、1.2バールが好ましい。この窒素圧が固体Siを形成するために必要な53バールのN圧よりはるかに小さい。よって、前記条件ではSiは形成されない。Si原子は、ほとんどがSi原子として成長するAl結晶へと輸送される(80%を超える)が、いくつかの輸送物は、SiN、SiN、Si及びSiガス相分子として予測することができる。ドープされていないAlNは、化学量論に極めて近似して成長する。窒素空孔(V)濃度は、成長温度及び窒素圧力に依存する。2300℃での成長では、窒化アルミニウムは、Al1−y(Vとして成長し、ここで、yは1バールのNで〜10−4であってよい。
【0049】
ケイ素ドープAlN結晶
ケイ素でドープされたAlN結晶Al−Si合金を窒素と反応させることによってケイ素でドープされたAlNセラミックスを製作した後、この材料を使用して、蒸発−再凝縮技術又は固体−ガス−固体技術(solid-gas-solid technique)によって結晶を成長させることができる。AlNの成長のためには、タングステン坩堝が典型的に利用される。ここで説明する通り、窒素圧が0.5〜10バールであり、温度が2000℃〜2300℃であれば、Si−ドープされたAlN結晶を成長させるために、同じ坩堝を使用することができる。Si−W系は、2つの中間化合物、WSi(融点(m.p.)2160℃)及びWSi(m.p.2320℃)を有する。ガス相中のSiの分圧は、好ましくは、成長温度での前記相の構築を防止するのに十分に低く維持される。0.1(10%)までのSi/Al比では、実質的に、Siのタングステンとの反応は起こらないが、タングステン坩堝によるSiの吸収がいくらか起こる。
【0050】
よって、より高いドーピングレベルを達成し且つ/又はSiドープされたAlNセラミックスから結晶を成長させる際に捕捉されるSiの分率を増加させるためには、別の材料から構成されている坩堝を使用するのが望ましい。例えば、その開示内容全体が参照によりここに援用されるG. A. Slack, J. Whitlock, K. Morgan and L. J. Schowalter, Mat. Res. Soc. Proc. 798, Yl0. 74. 1(2004)を参照。一態様では、TaC坩堝(その開示内容全体が参照によりここに援用される米国特許出願第10/822,336号明細書に記載されているように準備される)が使用されるが、それは、TaCが、約1800℃〜約2300℃の温度範囲で、約1バール〜60バールの窒素圧で、AlNともSiともAl及びSi蒸気とも反応しないからである。
【0051】
処理された及び処理されていない結晶
高濃度のSiで、AlプラスAl空孔がAlAlとしてAlN格子に進入するAlN−Al系と同様に、AlN−SiAlの混合結晶が得られ、各Si分子が、1つのAl原子空孔を導入することが予測される。残念なことに、Al空孔の導入によって、Siドナーレベルを補償するアクセプタレベルがもたらされる。よって、AlN結晶中でのSiAlの形成が抑制されることが望ましい。
【0052】
その開示内容全体が参照によりここに援用されるR. Zeisel et al., Phys. Rev. B61, Rl6283(2000)による、ダイアモンド基板上に成長させ且つ前記範囲でSiドーピングされた薄いエピタキシャル層では、導電のための見掛けの活性化エネルギーは、Si濃度が増大するにつれより小さな導電性を示す材料で、約100〜600meVに変化することが示される。Zeiselらは、AlN中のSi不純物が高い活性化エネルギーを有するDX中心(DX-center)を形成することを示唆している。しかし、全開示内容が参照によりここに組み込まれるC. G. Vande Walle, Phys. Rev. B57 R2033 (1998)及びC. G. Vande Walleら, MRS Internet J. Nitride Semicond. Res. 4Sl, G10.4 (1999)は、AlN中のSiはそのような中心を形成せず、典型的には、Al格子サイト上で中心に配置されて留まっていることを示している。Zeiselらによって観察されたSiの電気的活性の低下は、Si含有量が増大するとともにAl空孔の濃度が増大することによって生じ得る。これは、Si原子がSiAlとしてAlN格子に進入し、これにより、電荷中性が維持されるという簡単な考えと一致する。ここで、VAlは、アルミニウム原子空孔を表す。この後者のモデルによれば、AlN格子内に窒素空孔を生成することによってSiを活性化させることができる。窒素空孔は、アルミニウム空孔と組み合わせることによって、SiをSiNへ変換させ、ボイドが形成される傾向を有している。前記の変換が終了した時に、ほぼ全てのSi原子が電気的に活性となっているのが望ましい。
【0053】
理想的には、ドープされたAlN結晶は、上述のように、窒素空孔を生じさせる条件下で成長する。しかし、成長後、結晶上で蒸気混合物110中の窒素分圧を低減させることによって、且つ一方で、結晶成長エンクロージャ100を1800℃を超える温度でほぼ等温環境に維持することによって、AlN結晶120をアニールすることも可能である。結晶成長エンクロージャ100はWからなっていてよいが、坩堝材料の選択肢、例えばTaCは好ましく、その壁部を通ってのドーパント(例えばSi)の損失が低減する。
【0054】
1.3×1021cm−3より大きなSi濃度を有するAlN結晶を成長させるのであれば、開示内容全体が参照によりここに援用されるHermannら, Appl. Phys. Letters 86 192108(2005)によれば、結晶の電気的性質は低下し、またその抵抗は室温で2〜3Ω−1cm−1となり得る。VAlの形成を上述のように抑制できれば、さらに低い抵抗が可能となる。
【0055】
アニール処理
アニール処理は、AlN結晶120から切り出されたウェハ400における、窒素空孔含有量、アルミニウム空孔含有量及び/又はドーパントの電気的活性化を制御する手段として利用することがでる。Siでドープされた例示的なAlN結晶120は、0.5〜10バールの窒素圧で成長し、より低いN圧では、成長速度が著しく低下するか又は成長が完全に抑制される。しかし、成長後、いくらかの窒素がAlN結晶120又はウェハ400から抽出され得る、つまり、窒素空孔が材料中に注入され得る。ウェハ400は、約1900℃を超える温度でアニールすることができ、これにより、ウェハ中のドーパント種が電気的に活性化される。アニールは、ウェハ400中のAl空孔の濃度を低下させ且つ/又はN空孔の濃度を増大させることができる。
【0056】
圧は、結晶の周りで約1900℃以上で減少し、窒素が拡散放出される。一態様では、温度Tで最大数のN空孔を形成するために適したN圧は、同じ温度TでAlからAlNを形成するために必要な圧力より大きい。例えば、2000℃のアニール温度では、アニール時に使用される適切なN圧は、約2ミリバール(mbar)〜約0.5バールの範囲から選択することができる。N圧は、温度TでAlからAlNを形成するのに必要なN圧の約2倍未満であってよい。一態様では、アニール時に使用されるN圧力は、約0.1mbar〜約5バールの範囲から選択される。より高い温度では、一般により高い圧力が好ましい。別の態様では、不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)が、アニール時に導入され、これにより、後述するように、Alの蒸発が抑制される。AlN結晶中で溶解物(固溶体)中で「Si」が還元してSiNとなることは、AlからAl1−εへと分解する前に起こる(式中、εは、ドープされていないAlNで予想される窒素損失である)。Al空孔及び窒素空孔は組み合わせることができ、格子ボイド又は表面ピットによって置き換えられ、化学組成は、
Al1−xSi
となる。本質的に、Siは、SiNとして存在し、よって、電気的にはドナーとして活性である。Siが、Siとして存在している場合には、電気的には非活性である。アニール後、ウェハ400中の実質的に全てのドーパント種(例えばSi)は、電気的に活性化することができる。アニールされたウェハ400導電性は、室温で、約10−4Ω−1cm−1より大きく、又はさらに約10−2Ω−1cm−1より大きくてよい。
【0057】
窒素空孔のみを使用したn型ALNの製作
アニールは、ドープされていないAlN中で、電子ドナーが過剰Al原子となるに十分な窒素空孔を生じさせることができる。この場合、ドープされていないウェハ400を低いNガス圧中で1700℃〜2200℃の温度でアニールすることができる。このアニールの際、AlNにおけるいくらかの窒素が、表面に拡散し、逃げ、Alが残される。これは、好ましくは、約2バール〜約30バールの範囲内の全圧でアルゴン−窒素雰囲気を流して行われる。アルゴンは、Alが蒸発するのを防ぐ。窒素圧は、AlNが金属アルミニウムに再度変換されてしまうことを防ぐに十分なものである。つまり、Nの圧力は、アニール温度でAlからAlNが形成されるN圧より大きい。アニールされたドープされていないウェハ400(外部電子供与ドーパントを有していないAlNから本質的になる)は、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きい導電性を有していてよい。このような導電性は、AlN格子中の過剰のAl原子によって(同等に窒素空孔によって)供給され得る。
【0058】
ここに記載した技術が、AlN及びAlGaNを含むドープされていない及びドープされた結晶の製造のための基礎を提供することが理解されるであろう。ここで使用された用語及び表現は、説明のためであって制限のために使用されているものではなく、このような用語及び表現を使用するに際し、例示され説明された特徴及びその一部と同等のものを除外する意図はない。そうではなく、本発明の範囲内で様々な変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】単結晶AlNの成長のための結晶成長エンクロージャを概略的に示す図である。
【図2A】本発明の一態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される炉の概略図である。
【図2B】本発明の一態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される炉の概略図である。
【図3A】本発明の別の態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される反応器の概略図である。
【図3B】本発明の別の態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される反応器の概略図である。
【図3C】本発明の別の態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される反応器の概略図である。
【図3D】本発明の別の態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される反応器の概略図である。
【図3E】本発明の別の態様で説明されている多結晶源材料の形成のために利用される反応器の概略図である。
【図4】単結晶AlNのブールから分離されたAlNウェハを概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶AlNを形成する方法であって、
坩堝内にAlを含むペレットを供給し、
前記ペレットを、反応温度及び反応圧力で、窒素ガスと反応させ、多結晶AlNセラミックスを形成するステップを含み、
多結晶AlNセラミックスがほぼ化学量論的である、方法。
【請求項2】
前記ペレットが本質的にAlからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応温度が、約1900℃〜約2200℃の範囲内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペレットが、ドーパント種の第1の濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドーパント種がSiを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の濃度が約12重量%未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記多結晶AlNセラミックスが前記ドーパント種の第2の濃度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の濃度が約12重量%未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応温度が約1600℃〜約2200℃の範囲内にあり、前記反応圧力が約1バール〜約60バールの範囲内にある、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶AlNセラミックスの酸素濃度が約400ppm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多結晶AlNセラミックスの前記酸素濃度が約100ppm未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ペレットの実質的に全てが反応する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記坩堝内に、Alを含む少なくとも1つの追加のペレットを供給し、
前記少なくとも1つの追加のペレットを、前記反応温度及び前記反応圧力で窒素ガスと反応させ、これにより、前記多結晶AlNセラミックスの体積を増大させる、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記多結晶AlNセラミックスを
結晶成長エンクロージャ内に当該結晶成長エンクロージャの第1の端部で供給し、
前記多結晶AlNセラミックスを形成温度で昇華させ、
AlN単結晶を、前記結晶成長エンクロージャの第2の端部で形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記形成温度が、約2000℃〜約2750℃の範囲内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記AlN単結晶の酸素濃度が約400ppm未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記AlN単結晶の前記酸素濃度が約100ppm未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記AlN単結晶の酸素濃度が約4.5×1019/cm未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記AlN単結晶の熱伝導性が約250W/mKより大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記多結晶AlNセラミックスがドーパント種を含み、前記AlN単結晶が、前記ドーパント種を第1の濃度で含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ドーパント種がSiを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の濃度が約1016/cmより大きい、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記AlN単結晶が、室温で約10−4Ω−1cm−1の導電性を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
坩堝の少なくとも一部が、多結晶AlNセラミックスの近傍に且つそれと接触して設けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
ドープされたAlNウェハを形成する方法であって、
AlN及びドーパント種を含む単結晶ウェハを供給し、
前記単結晶ウェハをアニールして、前記ドーパント種を電気的に活性化させるステップを含む、方法。
【請求項26】
前記ドーパント種がSiを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アニールのステップによって、前記単結晶ウェハ中のアルミニウム空孔濃度が低減する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記アニールのステップによって、前記単結晶ウェハ中の窒素空孔の濃度が増大する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記アニールのステップを、アニール温度及びアニール窒素圧で行い、前記アニール窒素圧が、前記第1の温度でAlからAlNを形成するのに必要な窒素圧よりほぼ大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記アニール窒素圧が、前記第1の温度でAlからAlNを形成するのに必要な窒素圧の約2倍未満である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アニール窒素圧が、約0.1mbar〜約5バールの範囲内にある請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アニール温度が約1900℃より大きい、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
アニール後、前記単結晶ウェハが、室温で約10−4Ω−1cm−1より大きい導電性を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
アニール後、前記単結晶ウェハが、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きい導電性を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
AlNウェハを形成する方法であって、
ドープされていないAlNを含み且つ第1の導電性を有する単結晶ウェハを提供し、
前記単結晶ウェハを周囲雰囲気中でアニール温度及びアニール圧力でアニールするステップを含み、
アニール後、前記単結晶ウェハが、前記第1の導電性より大きな第2の導電性を有する、方法。
【請求項36】
前記アニール温度が約1700℃〜約2200℃の範囲内である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アニール圧力が、約2バール〜約30バールの範囲内にある、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記周囲雰囲気が、本質的に窒素及び少なくとも1つの不活性ガスからなる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの不活性ガスがアルゴンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記周囲雰囲気中の前記窒素の圧力が、前記アニール温度でAlからAlNを形成するのに必要な窒素圧より大きい、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の導電性が、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きい、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
約100μmより大きい厚み、約1cmより大きい断面積、及び室温で約10−4Ω−1cm−1より大きい導電性を有する、AlN単結晶。
【請求項43】
置換型ドーパント種をさらに含み、n型導電性を示す、請求項42に記載のAlN単結晶。
【請求項44】
前記置換型ドーパント種がIV族元素を含む、請求項43に記載のAlN単結晶。
【請求項45】
前記置換型ドーパント種がSiを含む、請求項44に記載のAlN単結晶。
【請求項46】
本質的にAlN及び窒素空孔からなる、請求項42に記載のAlN単結晶。
【請求項47】
前記厚みが約200μmより大きい、請求項42に記載のAlN単結晶。
【請求項48】
前記厚みが約2mmより大きい、請求項47に記載のAlN単結晶。
【請求項49】
前記導電性が、室温で約10−2Ω−1cm−1より大きい、請求項42に記載の単結晶。
【請求項50】
熱伝導性が約250W/mKより大きい、請求項42に記載のAlN単結晶。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−532313(P2009−532313A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503043(P2009−503043)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/007980
【国際公開番号】WO2007/123735
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508159031)クリスタル・イズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】