説明

窒化物半導体発光素子、発光素子、素子積層体、並びにそれらを用いた発光装置

【課題】 発光面全体に渡って均一な発光が得られる窒化物半導体発光素子を提供す
る。
【解決手段】 基板上に、n型層、活性層及びp型層が積層されてなる積層体を備え
、その積層体はn側の電極をライン状に形成するためにn型層表面が露出された互いに平
行なn電極形成領域を有し、そのn電極形成領域にそれぞれnライン電極が形成され、p
型層のほぼ全面に透光性電極が形成されており、nライン電極は、互いに分離されて等間
隔に配置されかつ各nライン電極の一端にはそれぞれnパッド電極が形成され、透光性電
極上には、nライン電極と交互に配置されかつ隣接するnライン電極から等距離になるよ
うにライン状の電流拡散導体が形成され、その電流拡散導体の一端にそれぞれpパッド電
極が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大面積の窒化物半導体発光素子、発光素子、素子積層体、並びにそれ
らを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、短い波長の光を発光することができる窒化物半導体発光素子が幅広く使用される
ようになって来ている。この窒化物半導体発光素子は、絶縁基板であるサファイア基板の
上にn型及びp型の窒化物半導体層が積層され、p型の窒化物半導体層の一部を除去して
n型窒化物半導体層を露出させた上にn電極を形成し、残りのp型の窒化物半導体層のほ
ぼ全面にp電極が形成されることにより構成されている。このように、基板の同一面側に
、n及びp電極が形成された窒化物半導体発光素子において、半導体側から光を出射させ
るように構成するためには、p型窒化物半導体層のほぼ全面に透明なpオーミック電極を
形成し、その上にパッド電極とそのパッド電極から延長された延長電極が形成され、その
延長電極により比較的抵抗が大きいpオーミック電極全体に電流を拡散させるようにして
いる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−163940
【特許文献2】特開2001−345480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電極構造では、大面積の窒化物半導体発光素子を構成した場合に
、発光面全体に渡って均一な発光を確保することが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は発光面全体に渡って均一な発光が得られる窒化物半導体発光素子を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る窒化物半導体発光素子は、基板上に、n型
層、活性層及びp型層が積層されてなる積層体を備え、その積層体はn側の電極をライン
状に形成するために上記n型層表面が露出された互いに平行なn電極形成領域を有し、そ
のn電極形成領域にそれぞれnライン電極が形成され、上記p型層のほぼ全面に透光性電
極が形成された窒化物半導体発光素子において、上記nライン電極は、互いに分離されて
等間隔に配置されかつ各nライン電極の一端にはそれぞれnパッド電極が形成され、上記
透光性電極上には、上記nライン電極と交互に配置されかつ隣接するnライン電極から等
距離になるようにライン状の電流拡散導体が形成され、その電流拡散導体の一端にそれぞ
れpパッド電極が形成されたことを特徴とする。
【0007】
以上のように構成された本発明に係る窒化物半導体発光素子において、上記nライン電
極と上記電流拡散導体とは等間隔に形成され、かつ上記nライン電極と上記電流拡散導体
の一端にそれぞれ個別にパッド電極が形成されているので、発光領域全体にほぼ均一に電
流を注入することができ、発光面全体に亙って均一な発光が得られる。
ここで、本発明において、透光性電極は、後述の実施の形態で示すような金属を薄く形
成してそれ自身が光を通す電極に限られるものではなく、例えば、網目状に形成してその
開口部から光を出射できるようにした形態の透光性電極であってもよい。
また、nライン電極については後述の実施の形態においては、nオーミック電極とnパ
ッド電極とを別に構成した例について示しているが、本発明では、nオーミック電極とn
パッド電極とを一体で構成してもよい。
【0008】
本発明に係る窒化物半導体発光素子において、上記n電極形成領域のうちの1つは矩形
の発光素子の1つの辺である第1の辺に沿って形成し、他のn電極形成領域は上記p型層
と活性層をライン状に除去して形成したスリットにより構成することができる。
このようにすると、活性層全体を発光領域として機能させることができ、効率的な発光
が可能となる。
【0009】
また、上記n電極形成領域のうちの1つを第1の辺に沿って形成した本発明に係る窒化
物半導体発光素子においては、上記nライン電極と上記電流拡散導体とは同じ数で構成さ
れ、上記電流拡散導体のうち1つは上記第1の辺に対向する第2の辺に沿って形成されて
いることが好ましい。
このようにすると、活性層全体を発光領域として機能させることができ、効率的な発光
が可能となる。
【0010】
また、本発明に係る窒化物半導体発光素子においては、上記nパッド電極は、上記第1
の辺に直交する第3の辺に沿って設けられ、上記pパッド電極は上記第3の辺に対向する
第4の辺に沿って設けられていることが好ましく、これにより、より効果的に活性層全体
を発光させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子においては、上記nライン電極の他端と上
記pパッド電極との間の距離、及び上記電流拡散導体の他端と上記nパッド電極との間の
距離とがそれぞれ、上記nライン電極と上記電流拡散導体の間隔に実質的に等しくなるよ
うに設定されていることが好ましい。
このようにすると、上記nライン電極の他端と上記pパッド電極との間及び上記電流拡
散導体の他端と上記nパッド電極との間においても他の部分とほぼ等しい輝度が得られる

【0012】
さらに、本発明に係る発光素子100は、発光層12を挟んで第1導電型層11、第2
導電型層13が設けられた素子積層構造101に、同一面側を電極形成面として、に第1
導電型層、第2導電型層にそれぞれ第1電極1、第2電極2が設けられ、該電極形成面内
において、第1導電型層11が露出されて電極1が設けられた電極形成領域23と、発光
層を挟んで第1導電型層、第2導電型層が設けられ領域であって、該第2導電型層26が
露出されて電極が形成された発光構造部21と、を有し、前記第1導電型層には複数の第
1電極が設けられ、該第1電極は、パッド部形成領域32内で互いに分離された第1電極
のパッド部1bと、各パッド部1bから、該パッド部形成領域32から分離され前記発光
構造部21を含む発光領域31にまで延伸して形成される延伸電極部1bとを有すること
を特徴とする。
【0013】
このように、電極形成面内において、第1電極形成部22と、第2電極2が設けられて
発光する発光構造部21とが設けられ、第1電極1が、パッド部形成領域32内に互いに
分離されたパッド部1bのみが形成されて、その領域から延伸電極1aがそれぞれ形成さ
れる領域として、発光構造部21を有する発光領域31内に延伸して形成される延伸電極
部1aが設けられる構造とすることで、均一発光を阻害するパッド部1b間の延伸電極が
排除されて、発光構造部21の面積を増やせ、さらに第1電極1間、特に延伸電極部1a
間の発光構造部21の発光が均一なものとなる。
【0014】
また、本発明に係る発光素子100は、前記パッド部形成領域(32)において、各パ
ッド部1b間に、前記発光構造部23(31)が設けられていると、従来第1電極形成部
であった領域を発光領域、発光構造部とでき、発光構造部23(37)を増加させ、且つ
、その領域においても均一な発光が実現される。
【0015】
さらに、本発明に係る発光素子100は、前記延伸電極部1a間の発光構造部36(2
1)、若しくは延伸電極部1aに分離されて併設された発光構造部36が、延伸電極部1
aの発光領域内端部近傍の発光構造部37,38に連続して形成されていることを特徴と
することにより、延伸電極部1a(22)で分離された両側の発光領域36とその端部近
傍で、で分離された領域36を連結させる発光構造部の領域38も含めて、延伸電極1a
の周囲の発光構造部21として、均一な発光が実現される。従って、延伸電極1aの形成
部22により発光構造部21を分離させずに、一部領域(延伸電極形成領域33)で分離
させ、他の領域38で連結させること、すなわち、両方の領域(連結発光領域38と電極
形成領域33)を、発光構造部21に有することが好ましい。さらに好ましくは、発光領
域31が、延伸電極部1aに併設される全ての発光領域36が、パッド部1b,3b間の
発光領域37,38で連結されて、1つの発光構造部21に連続して設けられることが好
ましい。本発明では、第1電極パッド部形成領域32と、第3電極パッド部34とが少な
くとも面内で分離されていることが好ましく、第1電極延伸電極部1aが、パッド部形成
領域32から互いに同じ形成領域33に設けられることが好ましく、第1,3電極の延伸
電極形成領域33,35が重なることが好ましい。
【0016】
また、前記各第1電極は互いに分離されて、前記延伸電極部1aがライン状であって、
その一方端部に前記バッド部1bが設けられていると、パッド部形成領域32と延伸電極
形成領域33若しくは発光領域31とを、素子積層構造101の電極形成面内、チップ面
内において、好適に配置され、発光領域31(21)を大きくでき、また、前述、後述の
ように、パッド形成部32をチップ(101)端部に配置して、延伸電極形成領域33、
発光領域31をその端部の形成領域32以外に設けて、発光領域31を大きくでき好まし
い。そのとき、後述するように、延伸電極1a、それに併設された発光領域36を、パッ
ド部形成領域32に対しほぼ垂直に形成することが好ましい。
【0017】
さらに、前記発光領域31内の発光構造部21に設けられた第2電極2が、該第2電極
上に設けられた第3電極3を有し、前記第1電極1の延伸電極部1a間に該第3電極3が
設けられて、各第3電極3は互いに分離されて複数形成されていることで、上記第1電極
1と同様に、第3電極3のパッド部3b間、若しくはそれを広げるための延伸部を排除し
て、それにより発光構造部21を覆う第3電極3の面積を減らし、第1電極1の延伸部1
aを延長させて、さらに発光均一、高出力発光が広い範囲の発光構造部21で得られる。
【0018】
また、本発明に関係する別の発光素子は、発光層12を挟んで第1導電型層11、第2
導電型層13が設けられた素子構造101に、同一面側を電極形成面として、に第1導電
型層11、第2導電型層13にそれぞれ第1電極1、第2電極2が設けられ、該電極形成
面内において、第1導電型層11が露出されて電極1が設けられた電極形成領域22と、
発光層を挟んで第1導電型層、第2導電型層が設けられ領域であって、該第2導電型層が
露出されて電極が形成された発光構造部と、を有し、
前記第1導電型層には複数の第1電極が設けられ、該第1電極は、直線状のパッド部形
成領域に互いに分離された第1電極のパッド部と、各パッド部から、該パッド部形成領域
から分離された前記発光構造部を含む発光領域にまで直線状に延伸して形成される延伸電
極部とを有し、該直線状延伸電極部が互いにほぼ併行であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に関係する別の発光素子では、前記第1電極の延伸電極部間に、該延伸電
極部にほぼ平行に延伸して設けられ、前記第2電極上に設けられた第3電極を有すること
を特徴とするものであってもよい。
さらに、本発明に関係する別の発光素子では、前記第3電極が、パッド部と該パッド部
を端部として、前記第1電極のパッド部形成領域に延伸して、前記第1電極の延伸電極部
にほぼ平行な第3電極の延伸電極部が設けられていることを特徴とするものであってもよ
い。
【0020】
本発明に係る素子積層体は、前記発光素子100を、積層基体104に実装した素子積
層体103において、前記発光素子の該電極形成面側を、積層基体との接合面側として、
該発光素子の第1,2電極1,2に対応して設けられた積層基体側電極112にそれぞれ
接合されて電気的に接続されると共に、 前記互いに分離された複数の第1電極パッド部
1aが、前記積層基体104側の1つの電極114に接合されて電気的に接続されている
ことを特徴とし、これにより、発光素子100側で分離されて形成された第1電極1を、
積層基体104実装により、互いに電気的に接続させ、発光素子側では発光に適した電極
構造として、それを補う電極構造を積層基体104側に設けることで、好適な素子積層体
103とできる。
【0021】
前記素子積層体103において、前記発光素子の第2電極2、若しくは第2電極2上の
第3電極3が、互いに分離されて、該分離された第2導電型層13の複数の電極2,3が
、積層基体104側の1つの電極114に接合されて、互いに電気的に接続されているこ
とを特徴とする。上記第1電極1と同様に、発光素子100側で最適な電極構造とし、そ
れを補って、互いに分離された電極2,3を接続するように基体104側電極114を配
置でき、発光素子100の機能を最大限に発揮できる。また、図11(b)、図17(a
),(e)に示すように、第3電極3が、分離されて配列された複数の電極である場合に
、基体104側の電極114で電気的に接続させて、実質的に延伸電極3aと同様な機能
を付与できる。
【0022】
本発明に係る発光素子は、前記発光素子100を用いた発光装置200であって、発光
装置200には、発光素子から光の一部を、それとは異なる波長の光に変換する光変換部
材106を有することを特徴とする。これにより、発光素子100の光を変換した発光装
置とでき、発光素子の発光と変換光との混色光などにより、白色系、電球色などの発光装
置とできる。
【0023】
また、本発明に係る発光素子では、前記光変換部材106が、Alを含み、かつY、L
u、Sc、La、Gd、Tb、Eu及びSmから選択された少なくとも一つの元素と、G
a及びInから選択された一つの元素とを含むアルミニウム・ガーネット系蛍光体であっ
て、さらに希土類元素から選択された少なくとも一つの元素を含有するアルミニウム・ガ
ーネット系蛍光体を有することを特徴とする発光装置であることにより、発光素子100
を高出力で高発熱での使用においても、温度特性に優れ、耐久性にも優れた発光装置とで
きる。
【0024】
また、本発明に係る発光素子は、前記光変換部材106が、(Re1-xx3(Al1-y
Gay512(0<x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y,Gd,La,Lu,Tb,
Smからなる群より選択される少なくとも一種の元素であり、RはCe又はCeとPrで
ある)であらわされる蛍光体を有することを特徴とする発光装置200であると、上記と
同様に、高出力の発光素子において、温度特性、耐久性に優れた素子とでき、特に、発光
層がInGaNである場合に、温度特性において、黒体放射に沿った変化となり、白色系
発光において有利となる。
【0025】
また、本発明に係る発光素子は、前記光変換部材106が、Nを含み、かつBe、Mg
、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge
、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元
素から選択された少なくとも一つの元素で付活された窒化物系蛍光体を有する発光装置2
00であると、上記蛍光体と同様に、高出力の発光素子において、優れた温度特性、耐久
性に優れた発光素子とでき、特に、酸化窒化珪素化合物であると、特に優れた蛍光体とで
きる。また、上記アルミニウム・ガーネット系蛍光体と組み合わせることで、両者の温度
特性が相互に作用して、混合色の温度変化が小さい発光装置とできる。
【0026】
また、本発明に係る発光素子は、前記窒化物系蛍光体が、一般式LSi(2/3
X+4/3Y):Eu若しくはLSi(2/3X+4/3Y−2/3Z):E
u(Lは、Sr若しくはCa、又は、Sr及びCa、のいずれか。)で表されること発光
装置であると、特に上記効果において好ましい。
【発明の効果】
【0027】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る窒化物半導体発光素子は、上記nライン電
極と上記電流拡散導体とは等間隔に形成され、かつ上記nライン電極と上記電流拡散導体
の一端にそれぞれ個別にパッド電極が形成されているので、発光領域全体にほぼ均一に電
流を注入することができ、発光面全体に亙って均一な発光が得られる。
従って、本発明によれば、発光面全体に渡って均一な発光が得られる窒化物半導体発光
素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態の窒化物半導体発光素子について
説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1の窒化物半導体発光素子の平面図であり、本発明の
特有の電極構造を示している。また、図2は図1のX−X’線についての断面図である。
本発明に係る実施の形態1の窒化物半導体発光素子は、サファイア基板10上にそれぞ
れ窒化物半導体からなるn型層11、活性層12及びp型層13がその順に積層されてな
り、n側電極は、互いに分離された複数のnライン電極1により構成され、p側電極は透
光性のpオーミック電極2とそのpオーミック電極2の上に形成された複数の電流拡散導
体3により構成されている。
【0029】
詳細に説明すると、本実施の形態1の窒化物半導体発光素子では、n型層11、活性層
12及びp型層13からなる積層体において、p型層13及び活性層12の一部がライン
状に除去されることにより複数のスリットSnが形成されて、n型層がライン状に露出さ
れ、そのスリットSnにより露出されたn型層上にそれぞれnライン電極1が形成される
。また、スリットに平行な1つの辺(発光素子の1つの辺:以下第1の辺という。)に沿
って、所定の幅にn型層が露出され、そこにも1つのnライン電極1が形成される。
以下、第1の辺に沿って、所定の幅にn型層が露出されたnライン電極が形成されるn
型層表面を第1領域といい、この第1領域に形成されたnライン電極を第1nライン電極
という。また、本明細書において、第1の辺に対向する辺は、第2の辺という。
【0030】
ここで、本実施の形態1において、第1領域と複数のスリットSnは互いに平行でかつ
第1領域とスリットSnとの間隔及び隣接するスリットSn間の間隔は互いに等しくなる
ように形成される。
また、実施の形態1において、各nライン電極1はライン状オーミック電極1aとその
ライン状オーミック電極1aの一端に設けられたnパッド電極1bとによって構成される
。実施の形態1において、各ライン状オーミック電極の一端に設けられたnパッド電極1
bは、第1の辺に直角の1つの辺(第3の辺)に沿って形成される。
また、実施の形態1において、ライン状オーミック電極1aは、その一端部がnパッド
電極1bを形成するために広く形成され、その上にnパッド電極1bが形成される。
【0031】
本実施の形態1において、p側電極は、p型層のほぼ全面に形成された透光性を有する
pオーミック電極2と、そのpオーミック電極2の上に形成された複数の電流拡散導体3
とによって構成される。この電流拡散導体3はライン状オーミック電極1aと平行に形成
された複数の拡散ライン電極3aとその拡散ライン電極3aの一端に設けられたpパッド
電極3bとによって構成される。実施の形態1において、拡散ライン電極3aと隣接する
nライン電極1との間隔は、互いに等しくなるように形成され、複数の拡散ライン電極3
aのうちの1つは第2の辺に沿って形成され、他の拡散ライン電極3aはnライン電極1
の間に形成される。すなわち、実施の形態1では、対向する2つの辺のうちの一方の辺(
第1の辺)に沿ってnライン電極を形成した場合、その一方の辺に対向する他方の辺に沿
って電流拡散導体3を形成するように構成している。また、各拡散ライン電極3aの一端
に設けられたpパッド電極3bはいずれも、nパッド電極が形成されている第3の辺に対
向する第4の辺に沿って形成される。
【0032】
上述した電極構成を有する実施の形態1の窒化物半導体発光素子は、以下のような理由
により、発光領域全体に電流が注入されるようにして発光効率を向上させるとともに、比
較的大面積(例えば、1000μm×1000μm)の窒化物半導体発光素子においても
、発光面全体に亙って均一な発光が可能になるようにしている。
【0033】
第1に、本実施の形態1では、各nライン電極1の一端にそれぞれnパッド電極1bを
形成し、各拡散ライン電極3aの一端にそれぞれpパッド電極3bを形成するようにして
いる。これにより、発光領域全体に電流がほぼ均一に注入されるようにできる。
すなわち、後述の比較例で示すように、異なるnライン電極間において、一端に形成さ
れたnパッド電極からライン状オーミック電極の他端までの距離に明らかな差があると、
発光領域に注入される電流に不均一が生じる。また、p側の電極についても同様に、異な
る拡散電極間において、一端に形成されたpパッド電極と拡散ライン電極の他端までの距
離に明らかな差があると、発光領域に注入される電流に不均一が生じる。
【0034】
しかしながら、本実施の形態1では、異なるnライン電極1間において、nパッド電極
1bからライン状オーミック電極1aの他端までの距離を実質的に等しくでき、異なる拡
散電極3間において、pパッド電極3bと拡散ライン電極3aの他端までの距離を実質的
に等しくでき、発光領域全体に電流が均一に注入されるようにできる。
ここで、上述の距離が実質的に等しいとは、完全に一致していることを意味しているの
ではなく、距離の違いにより電流の不均一が生じない程度のものは実質的に等しい範囲に
含まれるものとする。
【0035】
第2に、本実施の形態1では、隣接するnライン電極1とp側の拡散電極3の間隔が等
しくなるようにして、発光領域全体に電流が均一に注入されるようにしている。
【0036】
以上の主要な2つの特徴により、本実施の形態1では、発光面全体に亙って均一な発光
が可能になるようにしているが、図1及び図2に示す電極構成では、さらに以下のような
工夫がなされ、より均一に発光するように構成している。
すなわち、本実施の形態1において、ライン状オーミック電極1a及び拡散ライン電極
3aは、途中に、角部及び曲線部が形成されないように直線的に形成して、角部及び曲線
部における電界の集中や電界の不均一を防止し、それに伴う電流の不均一を防止している

【0037】
本実施の形態1では、また、拡散ライン電極3aの他端(pパッド電極が形成された一
端の反対側に位置する端)と、nパッド電極1b(nパッド電極1bが形成されたnライ
ン電極1の一端部)との距離を、拡散ライン電極3aとnライン電極1の間隔にほぼ等し
く設定している。
さらに、nライン電極1の他端(nパッド電極が形成された一端の反対側に位置する端
)と、pパッド電極3b(pパッド電極3bが形成された拡散ライン電極3aの一端部)
との距離を、拡散ライン電極3aとnライン電極1の間隔にほぼ等しく設定している。
これにより、どの部分においても電流拡散導体3とnライン電極との間の距離を実質的
に等しくできるので、発光領域全体にほぼ均一に電流を注入でき、均一な発光が可能とな
る。
【0038】
以下、図3に示した比較例と対比しながら本発明に係る電極構造により得られる効果に
関して説明する。
図3に示す比較例の窒化物半導体発光素子では、実施の形態1と同様、n型層、活性層
及びp型層からなる積層体において、p型層及び活性層の一部がライン状に除去されるこ
とにより複数(4本)のスリットが形成されて、そのスリットにより露出されたn型層上
にそれぞれライン状オーミック電極が形成されているが、以下の点で実施の形態1とは異
なる。
【0039】
すなわち、比較例の窒化物半導体発光素子において、n側のオーミック電極は積層体に
設けられたスリット内に形成された4本のライン状オーミック電極5a1,5a2,5a
3,5a4とそのライン状オーミック電極を接続し、かつ1つの辺(第3の辺)に沿って
形成された接続用オーミック電極5cからなる。
また、比較例の窒化物半導体発光素子において、nパッド電極5bは、各ライン状オー
ミック電極に対してそれぞれ設けるのではなく、ライン状オーミック電極5a1,5a4
(4つのライン状オーミック電極のうち最も外側に位置する2つの電極)の根元に設けら
れ、ライン状オーミック電極5a2,5a3(4つのライン状オーミック電極のうち内側
に位置する2つの電極)には、接続用オーミック電極5cを介して電流が供給される。こ
のように比較例では、ライン状オーミック電極5a1〜5a4、接続用オーミック電極5
c及びnパッド電極5bによってnライン電極5が構成される。
【0040】
本比較例においても、p側電極は、p型層のほぼ全面に形成された透光性を有するpオ
ーミック電極2と、そのpオーミック電極2の上に形成された複数の電流拡散導体6とに
よって構成されるが、電流拡散導体6の構成が実施の形態1とは異なる。
すなわち、比較例の電流拡散導体6は、複数の拡散ライン電極6a1〜6a5が第4の
辺に沿って形成された接続電極6cによって接続され、拡散ライン電極6a2,6a4の
根元にpパッド電極6bが設けられることにより構成される。
【0041】
以上のように、比較例の窒化物半導体発光素子は、以下の点で実施の形態1の窒化物半
導体発光素子とは異なる。
第1の相違点
複数のライン状オーミック電極5a1〜5a4を互いに接続用オーミック電極5cによ
り接続し、各ライン状オーミック電極にそれぞれ対応させて個別にnパッド電極を設ける
ようにはしていない。
これにより、ライン状オーミック電極5a2,5a3には接続用オーミック電極5cを
介して電流が供給される。
第2の相違点
複数の拡散ライン電極6a1〜6a5を互いに接続電極6cによって接続し、各拡散ラ
イン電極にそれぞれ対応させて個別にpパッド電極6bを設けるようにはしていない。
これにより、複数の拡散ライン電極6a1,6a3,6a5には接続電極6cを介して
電流が供給される。
【0042】
<実施の形態1と比較例との発光強度に関する比較>
図4は実施の形態1の窒化物半導体発光素子のX−X’線上における発光強度を示し、
図5は比較例の窒化物半導体発光素子のX−X’線上における発光強度を示している。
図4に示すように、実施の形態1の窒化物半導体発光素子では、ライン状オーミック電
極1aと拡散ライン電極3の間は、いずれの間も相対強度がほぼ0.9程度であり、位置
による変化は少ない。
【0043】
これに対して、比較例の窒化物半導体発光素子については図5に示すように、拡散ライ
ン電極6a3とライン状オーミック電極5a2,5a3の間に位置する発光領域では相対
強度が低くなっている。
また、比較例の窒化物半導体発光素子において、拡散ライン電極6a1とライン状オー
ミック電極5a1の間に位置する発光領域、及び拡散ライン電極6a5とライン状オーミ
ック電極5a4の間に位置する発光領域でも相対強度が低くなっている。
このように、実施の形態1の窒化物半導体発光素子では発光領域全体に亙って均一に発
光されているのに対して、比較例の窒化物半導体発光素子では不均一な発光となっている
ことがわかる。
【0044】
図6は、発光面全体における、発光強度分布を示すグラフであり、相対強度に対する面
積占有率で示している。図6から明かなように、実施の形態1の窒化物半導体発光素子で
は、特定の相対強度(約0.85)において面積占有率のピークを有し、そのピークの高
さは約10%である。
これに対して、比較例の窒化物半導体発光素子では、実施の形態1ほど顕著なピークを
有しておらず、最も占有率の高いところで約6パーセントである。
また、実施の形態1の窒化物半導体発光素子では、特定の相対強度が0.6以下の部分
における占有率が比較例に比べて低くなっている。
以上のように、実施の形態1の窒化物半導体発光素子は比較例の発光素子より発光強度
の発光面内における均一性が高いことが、図6に示した発光強度分布にも示されている。
【0045】
以下、本実施の形態1において、n型層11、活性層12及びp型層13の具体的な層
の構成例を示す。
尚、以下に示す層の構成は、図4〜図6の測定に用いた実施の形態1及び比較例の層の
構成を示すものである。
本例では、まず、基板10上にアンドープAlGaNをバッファ層として100Åの厚
さに成長させる。
そして、アンドープAlGaNからなるバッファ層の上に、n型層11を構成する、ア
ンドープGaN層(15000Å)、SiドープGaN(41000Å)、アンドープG
aN層(3000Å)、SiドープGaN(300Å)、アンドープGaN層(500Å
)、アンドープGaN(40Å)/InGaN(20Å)10ペアからなる層を順に成長
させる。
次に、n型層11の上に、活性層12を構成する、アンドープGaN層(250Å)及
びアンドープInGaN(30Å)/GaN(265Å)6ペアからなる層を成長させる

続いて、活性層12の上に、p型層13を構成する、Mgドープ(ドープ量:5×10
19cm−3)AlGaN(40Å)/InGaN(25Å)5ペアからなる層、アンド
ープAlGaN層(2800Å)、Mgドープ(ドープ量:1×1020cm−3)Ga
N(1200Å)を成長させる。
【0046】
実施の形態2.
図7は、本発明に係る実施の形態2の窒化物半導体発光素子の平面図であり、実施の形
態1とはnライン電極1と電流拡散導体3の本数が異なる他は実施の形態1と同様に構成
される。また、図8は実施の形態2の窒化物半導体発光素子の矢印の方向の発光強度を示
している。
【0047】
詳細に説明すると、本実施の形態2の窒化物半導体発光素子では、n型層11、活性層
12及びp型層13からなる積層体において、n型層がライン状に露出させるスリットS
nが1本形成され、そこに1つのnライン電極1が形成される。また、スリットに平行な
1つの辺(発光素子の1つの辺:以下第1の辺という。)に沿って、所定の幅にn型層が
露出され(第1領域)、そこにも1つのnライン電極(第1nライン電極)1が形成され
る。
【0048】
本実施の形態2において、p側電極は、p型層のほぼ全面に形成された透光性を有する
pオーミック電極2上に形成された2本の電流拡散導体3が形成される。この電流拡散導
体3のうちの一本は2つのnライン電極1の間に形成され、他の一本は、第2の辺(第1
の辺に対向する辺)に沿って形成される。
また、実施の形態2において、電極間の間隔及びn及びpパッド電極の配置関係は実施
の形態1と同様である。
すなわち、実施の形態2において、電流拡散電極3と隣接するnライン電極1との間隔
は、互いに等しくなるように形成される。
また、拡散ライン電極3aの他端とnパッド電極1bとの距離を、拡散ライン電極3a
とnライン電極1の間隔にほぼ等しく設定し、nライン電極1の他端とpパッド電極3b
との距離を、拡散ライン電極3aとnライン電極1の間隔にほぼ等しく設定している。
以上のように構成された実施の形態2の窒化物半導体発光素子では、実施の形態1と同
様、どの部分においても電流拡散導体3とnライン電極との間の距離を実質的に等しくで
きるので、発光領域全体にほぼ均一に電流を注入でき、均一な発光が可能となる(図8)

尚、図4及び図5の発光強度の測定に用いた実施の形態1及び比較例の窒化物半導体発
光素子では、n型層11を6μmの厚さに形成したが、図8の発光強度の測定に用いた実
施の形態2の窒化物半導体発光素子では、n型層11を15μmの厚さに形成した。
【0049】
実施の形態3〜7
以下、本発明の他の実施形態と、その実施形態の各構成について説明するが、本発明は
上記実施形態1,2も含めて各実施形態及びその構成について組み合わせて適用すること
もできる。また、図9〜18を用いて説明するが、各図面の符号は共通しており、また一
部誇張して描画されているものもある。
【0050】
(発光素子構造体100)
本発明の発光素子は、素子構造体100として、図9〜18に示すように、素子構造体
は、基板10上に、第1導電型層11、発光層(活性層)12、第2導電型層13が順に
積層された積層構造101を有するものであり、このとき、電極形成面内において、発光
構造部21は、図に示すように積層方向に第1,2導電型層が発光層を挟む構造の他、第
1,2導電型層が横方向に接合されていてもよく、またこれらを組み合わせたものでもよ
い。また、発光素子構造として、MIS構造、p−n接合構造、ホモ接合構造、ヘテロ接
合構造(ダブルヘテロ構造)、PIN構造などを用いることができ、またユニポーラ素子
にも適用できるが、好ましくは、第1,2導電型層が互いに異なる導電型層となるp−n
接合構造などのn型、p型層で活性層を挟む構造を用いることが好ましい。
【0051】
素子構造体100を構成する積層構造の半導体材料は、InAlGaP系材料、InP
系材料、AlGaAs系材料、これらの混晶材料でもよく、GaN系窒化物半導体材料で
もよい。GaN系窒化物半導体材料として具体的には、GaN、AlN、もしくはInN
、又はこれらの混晶であるIII−V族窒化物半導体(InαAlβGa1−α−βN、
0≦α、0≦β、α+β≦1)で表され、またこれに加えて、III族元素として一部若
しくは全部にBを用いたり、V族元素としてNの一部をP、As、Sbで置換したりした
混晶でもよい。以下、窒化物半導体を用いて説明するが、他の材料系にも適用される。
発光層としては、InGaN系材料を用いることができ、ワイドバンドギャップの発光
層により、緑色、青色の可視光域から紫色、それより短波長の紫外域に発光するものが得
られる。
【0052】
各実施形態では、第1,2導電型層11,12を、n型層、p型層としているが、この
逆でも良い。また、半導体積層構造101の成長方法として具体的にはMOVPE(有機
金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)
、MOCVD(有機金属化学気相成長法)があり、好ましくはMOCVD,MBEである

【0053】
本発明の半導体積層構造101の成長方法に用いる基板、特にエピタキシャル成長用の
基板10としては、窒化物半導体と異なる材料の異種基板として、例えば、C面、R面、
及びA面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(MgA124)のような絶縁性
基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化
物半導体と格子整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長させることが可能で従来から
知られており、窒化物半導体と異なる基板材料を用いることができ、好ましくはサファイ
ア、スピネルであり、また異種基板以外として、GaN、AlNなどの窒化物半導体基板
なども用いることができる。他の半導体材料においては従来知られた同じ材料系の基板、
若しくはSiなどの異種基板を用いることができる。
【0054】
(半導体積層構造101)
発光素子100を形成する半導体積層構造101としては、例えば図16,18に示す
ように、上記基板10上に下地層14などを介して成長され、このとき、下地層14を素
子構造101として動作部に含めても良いが、通常素子構造の成長用のみ形成されて素子
として機能しない非動作部として設けられる。下地層は、特に異種基板を用いた場合、結
晶核形成、核成長層として、低温成長バッファ層を用い、好適な条件はAlGa1−x
N(0≦x≦1)を低温(200〜900℃)で成長させるものであり、続いて高温で層
成長させて、膜厚50Å〜0.1μm程度(単結晶、高温成長層)で形成する。また、E
LO(Epitaxial Lateral Overgrowth)として知られるように、基板上、若しくは下地層上
に、島状部(凸部、マスク開口部)などの成長部を他の領域に比べて優先的、若しくは選
択的に成長させて、各選択成長部が横方向に成長して接合、会合することで層を形成する
ような成長層を下地層14若しくは、素子積層構造101に用いることもでき、これによ
り結晶性、特に結晶欠陥を低減させた素子構造とできる。
【0055】
窒化物半導体に用いるドーパントとして、n型不純物としては、Si、Ge、Sn、S
、O、Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いることができ、好ましくはSi
、Ge、Snを、さらに最も好ましくはSiを用いる。また、p型不純物としては、特に
限定されないが、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げられ、好ましくはMg
が用いられる。これら、アクセプター、ドナーの各ドーパントを添加することにより、各
導電型の窒化物半導体層を形成し、後述する各導電型層を構成する。また、窒化物半導体
は不純物をドープしない無添加層であってもn型層として用いることができ、さらにAl
GaAsなどの他の材料系にはそれに適したドーパント用いる。本発明における第1導電
型層、第2導電型層には、部分的にアンドープの層、半絶縁性の層が積層されていても良
く、電流阻止層のよう逆導電型の埋込層に、各導電型層内に部分的に寄生な素子部分を形
成していても良い。
【0056】
(第1導電型層11)
上記実施形態の素子構造で示すように、第1導電型層11として、各導電型のドーパン
トを含有させ、電極形成面内及び活性層へのキャリアの供給、拡散を実現するような層構
造を形成すると良く、特に電極形成部22から発光構造部21にキャリアを面内に拡散し
て供給する層(コンタクト層)には、他の領域より高濃度にドープされることが好ましい
。また、このような電荷供給・面内拡散層(コンタクト層及びその近傍層)の他に、上記
実施形態で示すように、積層方向において発光層へ電荷を移動・供給させる介在層、若し
くは第2導電型のキャリアを発光層に閉じこめるクラッド層などを、コンタクト層とは別
に設けることが好ましい。このような発光層12と面内拡散層(領域)のコンタクト層と
の間に設ける層として、窒化物半導体素子の場合には、面内拡散層(領域)より低濃度ド
ーパント量若しくはアンドープの低不純物濃度層(アンドープ層)、及び/又は多層膜層
を設けることが好ましい。これは、低不純物層でもって、高不純物層(面内拡散層)によ
る結晶性悪化を回復させてその上に成長させるクラッド層、発光層の結晶性を良好にし、
駆動時にあっては高濃度層に隣接して低濃度層が設けられることで面内拡散を促進させ、
また、耐圧性も向上させることができる。多層膜層は、少なくとも2種の層を交互に積層
させたような周期構造で形成すること、具体的には、Inを含む窒化物半導体層とそれと
は異なる組成の層の周期構造、好ましくはInGa1−xN/InGa1−yN(0
≦x<y<1)で構成することで、発光層、特にInを含む窒化物半導体層、好ましくは
それを井戸層として複数用いた場合において、その結晶性を向上させることができる。こ
のような多層膜としては、組成が異なる層による周期構造の他、組成傾斜構造、また、こ
れらの構造において不純物濃度を変調させた構造、膜厚を変動させた構造なども採用でき
、好ましくは、20nm以下の膜厚の層を積層した構造、さらに好ましくは10nm以下
の膜厚の層を積層した構造で形成することが、上記結晶性に有利となる。
【0057】
(発光層(活性層)12)
本発明の素子構造101としては、第1,2導電型層との間に、発光層を設けて、発光
層で発光させる素子構造とすることが好ましく、特に窒化物半導体においてはInを含む
窒化物半導体を発光層に用いたものが、紫外域から可視光(赤色光)の領域において好適
な発光効率が得られ好ましく、特にInGaN層を用いること、特にInの混晶比を変化
させて所望の発光波長を得ることが好ましい。このほかの窒化物半導体材料として、Ga
N,AlGaNなどのInGaNよりも高バンドギャップの材料を用いて、紫外域におい
て使用する発光素子としても良い。
【0058】
さらに好ましい発光層としては、量子井戸構造の活性層を用いることであり、井戸層が
1つの単一量子井戸構造、さらに好ましくは、複数の井戸層が障壁層を介して積層した構
造の多重量子井戸構造を採用することが好ましい。井戸層については上記発光層と同様に
、好ましくはInGaN層を用いることであり、障壁層として、井戸層よりバンドギャッ
プエネルギーが大きくなるような層として、例えばInGaN、GaN、AlGaNを設
けることが好ましい。このとき、井戸層、障壁層の膜厚としては、30nm以下、好まし
くは20nm以下、さらに井戸層において好ましくは10nm以下とすることで、量子効
率に優れた発光層が得られる。また、井戸層、障壁層に、各導電型層のドーパントがドー
プされていても良く、障壁層は、井戸層間に一層以上設けても良い。
【0059】
(第2導電型層13)
第2導電型層13としては、キャリアを発光層に閉じこめるクラッド層、電極が形成さ
れるコンタクト層を、設けることが好ましく、この時両層を別々に設けてコンタクト層を
クラッド層よりも発光層より遠くに設け、高濃度にドーパントをドープすることが好まし
い。窒化物半導体においては、クラッド層として好ましくはAlを含む窒化物半導体、さ
らに好ましくはAlGaN層を用いることが好ましく、さらに発光層に近接して、好まし
くは接して形成されることで発光層の効率を高めることができ好ましい。さらに、コンタ
クト層とクラッド層との間にそれらの層より低不純物濃度の層を介在させることで、耐圧
性に優れた素子とでき、またコンタクト層を高濃度にドープしても結晶性を改善できるた
め好ましい。コンタクト層は、図10,12,16,18に示すように、電極形成面内で
発光部として設けられるため、その面内でキャリアを拡散させる層としても機能しうるが
、本発明では、電極2を設けて、該電極内及び電極3により面内での電流拡散として機能
させることで、窒化物半導体における低い移動度のp型キャリアの拡散を補助し、また、
コンタクト層の膜厚を他の層(クラッド層、介在低濃度層)よりも小さくして、且つ他の
層よりも高濃度に不純物ドープすることで、高キャリア濃度の層を形成して、電極から良
好な電荷注入を実現でき好ましい。
【0060】
(発光素子面内構造)
本発明において、発光素子構造101の電極形成面内の構造としては、図10,12,
16に示すように、発光層12とそれを挟む第1,2導電型層11,13が形成された発
光構造部と、第1導電型層側電極形成部22とを、面内で一部が重なる構造よりも分離し
て設けることが好ましく、このとき電極形成部22は、図1、7のスリットSnとして機
能する。
【0061】
電極形成部22としては、電極形成可能なように、第1導電型層11の露出部23に設
けられ、該露出部は、図2,10(b)、12に示すように、第1導電型層11、発光層
12、第2導電型層13を順に積層した積層構造101において、第2導電型層13、発
光層12の面内の一部、若しくはそれに加えて第1導電型層11の深さ方向の一部を除去
して、露出させた露出部23を電極形成部22とする他、図16(b)に示すように、分
離溝23aを形成して、その溝23aを介して発光構造部21に離間させて、露出部23
から第2導電型層露出部26に跨って電極1を形成して、電極形成部22を面内に設ける
構造とすることもでき、また図16(a)に示すように、形成した第1導電型層11aの
面内一部を、除去若しくはマスクして、面内一部に発光構造部21として、発光層12、
第2導電型層13、若しくはそれに加えて第1導電型層の一部11cの積層成長させた構
造を面内の一部(発光構造部)に形成する構造とすることもできる。このとき、電極1の
ボンディング位置である電極形成部22、スリットSnは、積層方向において、電極3と
同等とすることも、それよりも高い位置とすることもできる。また、このとき、電極形成
部22は、発光構造部21とは面内で分離されて形成されるので、電極形成部22の領域
は非発光領域となり、発光構造部21と電極形成部22とに面内で重なって、下部に設け
られた第1導電型層の一部領域11bなどにより、電極1から発光構造部21にキャリア
が面内拡散され供給される。
【0062】
(面内電極構造)
本発明において、電極構造の基本的な構成は、電極形成面内において、第1導電型層1
1の露出部23に電極1として、電極パッド部1bと、そこから延伸した電極延伸部1a
と、を有し、電極1は、露出部23の一部領域に電極形成領域22に設けられ、主に電極
延伸部1aにより発光構造部21が一部分離されて、第2導電型層12には、電極2がそ
の露出部26に設けられ、発光構造部21内に形成される。
【0063】
ここで、図19は、従来技術と本発明の発光素子とを対比して説明する平面模式図であ
り、図19(a)の従来技術では、第1電極5が、第1導電型層の電極形成部22に設け
られ、パッド部5bと、発光領域31、及び発光構造部21を一部分離して延伸する延伸
電極部5aと、各延伸電極部5aを発光領域31面内で間隔を広げるための電極部5cが
互いに連結されて形成されており、他方、第2導電型層の電極2とその上に設けられる電
極6は、パッド部6bと、そこから発光領域31内に延伸する電極延伸部6aと、各延伸
電極部6a間の間隔を広げる電極部6cが互いに連結されて形成されている。各電極5,
6の各電極部はほぼ等間隔となるように配置され、発光領域31(発光構造部21)内で
互いに対向してほぼ並行で交互に配置される延伸電極部5a、6aは、発光領域31を囲
むように延伸する電極部5c、6cを介してパッド部5b、6bに接続されている。従来
の構造として他の例は、図19(b)に示すように、各パッド部5b、6bを、実線の丸
及び四角として示されるように、図19(a)における電極部5aと5cとの間、6aと
6cとの間の角部、に設けて、各パッド部5b、6b間に電極部5c、6cが配置された
構造となる。本発明の発光素子では、図19(c)に示すように、第1電極1のパッド部
1b間の電極が点線で示されるように除去され、パッド部1bから発光領域31(発光構
造部21)内に延伸する延伸電極部1aで構成される。従って、第1導電型層11の露出
部22に第1電極1のパッド部形成領域32にそれぞれ分離されたパッド部1bを有し、
そのパッド部から、パッド部形成領域32に分離された発光領域31内にまで延伸する延
伸電極部1aをそれぞれ備えている。また、第2導電型層13には、電極2と、その上の
電極3、各パッド部3b間の電極部を除去して、各パッド部3bから発光領域31に延伸
する延伸電極部3aが設けられ、さらに各延伸電極部1b、3bは、互いに対向してほぼ
平行に配置され、好ましくは等間隔に配置されている。
【0064】
図19(d)では、さらに好ましい形態を示すものであり、第1電極1のパッド部形成
領域32から分離された発光領域31には、延伸電極形成領域33が設けられて、パッド
部1bから延伸して電極部1aが形成される領域であり、第3電極の延伸電極形成領域3
5に少なくとも一部が重なって形成される。また、第3電極のパッド部形成領域34が、
延伸電極形成領域33,35を第1電極パッド部形成領域32とで挟むように設けられて
いる。このように各パッド部形成領域が発光領域31、延伸電極形成領域33,35、延
伸電極部1a,3aを挟むように、好ましくはそれぞれが素子構造部の側面に沿って形成
されることで、素子構造全体に広げて、発光領域31を配置でき、また電極延伸部間の発
光領域36を広くとることができ、発光出力を向上できる。また延伸電極部1a,3a間
の発光領域36は、図に示すように、パッド部3b間の発光領域38に連結してそれぞれ
の領域36が連続して形成されることで、延伸電極部1a端部からの電流拡散で好適に発
光させることができ好ましい。さらに、図19(e)では、図19(d)において点線部
に示すように、各延伸電極部1a,3aをさらに延伸させることで、発光面積を大きくし
、出力が向上できる。具体的には、発光構造部21を第1電極パッド部形成領域32内に
まで設けて、パッド部1b間に設けることであり、第1電極1の延伸部1aと電極形成領
域23を延伸させて、第3電極パッド部3b形成領域34まで延伸させて、パッド部3b
間に延伸させて設けることである。
【0065】
上記実施形態において、n電極1、p電極2はそれぞれ第1電極1、第2電極2に該当
し、n型層11、p型層13はそれぞれ第1導電型層11、第2導電型層12に該当して
、適用される。
(第1電極1)
本発明の発光素子において、基本的な構成は、第1電極1のパッド部1bが離間されて
複数形成されるパッド部形成領域32から、発光領域31内に延伸させた延伸電極部1a
がそれぞれ設けられた構造となる。第1電極1のパッド部1bの形成領域32は、図19
、9などに示すように直線状に形成されて、直線状に配列されたパッド部1bとすること
が好ましいが、このほか形成領域32として、一部屈曲、湾曲したり、連続直線のように
多段的に折れ曲がる形状であったり、素子構造101面内で広げるように延伸させたよう
な形状でも良い。また、複数のパッド部形成領域32が設けられても良いが、好ましくは
1つの発光領域31に対して1つとすること、更に好ましくは発光領域31(発光構造部
21)、形成領域32をそれぞれ1つとすることで、発光領域31とパッド部形成領域3
2とを面内で配置しやすく、また、発光領域32内で延伸電極部1aにより好適な均一発
光が実現され好ましい。
【0066】
また、第1電極1は、第1導電型層11の露出部23の少なくとも一部に電極形成領域
22として形成され、発光構造部21と分離されて設けられ、オーミック接触用として第
2導電型層11内に電流注入する。第1導電型層11の露出部23は、図9、10に示す
ように、発光領域31(構造部21)を囲むように素子構造部101の端部に設けられて
いても良く、基板10を素子端部で露出させて、図10(b)、(c)に示すように、第
1導電型層11の側面24を傾斜させて、光反射部として機能させることができ、この場
合、発光構造部21の側面よりも、側面24における電極形成面、基板面の法線方向に対
する角度を、大きくすることで、第1導電型層11内を横方向に伝搬する光を効率的に取
り出すことができ好ましい。また、露出部23は、素子動作部27内において、発光構造
部21に対して、第1電極1から露出させて設けることで、光取り出し溝として機能させ
ることもでき、またそのような電極1から露出された領域において凸部、例えば、電流注
入されない非発光構造部として凸部を設けると、反射機能、光取り出し端部に寄与する。
【0067】
第1電極1の延伸部1aは、上述したように発光構造部21、発光領域31内に、パッ
ド部形成領域32から延伸して形成され、発光構造部21に電流拡散、注入する機能を有
する。延伸電極1aは、パッド部1bとの関係において、パッド部1b間の長さよりも長
く延伸させて形成することで、延伸電極部1a形成領域33を大きくでき、尚かつ発光領
域31の発光を均一なものとして、形成できるため、好ましい。上記第1導電型層11内
の面内拡散層、第2導電型層12内及び第2(3)電極の面内拡散、具体的にはシート抵
抗を適宜調整することで、第1電極、第2,3電極間隔を調整して、所望の拡散状態の発
光素子とできる。
【0068】
図9、19に観るように、発光構造部21外部の延伸電極部1aは、内部の延伸電極部
1aより長く形成することが好ましく、これにより、外部を囲む第1電極1の延伸電極部
1aにおいて、電流を広げることができる。
第1電極1は、パッド部1b、延伸電極部1aとも同じ電極構造としても良く、別々に
、例えば、オーミック接触用の電極として電極1の形状で形成して、パッド部1bにのみ
パッド電極を形成する構造として、形成しても良い。また、図9,10におけるパッド部
1b、3bは、図示していないが、基板上の素子構造表面を覆う絶縁膜の開口部を示すも
のであり、上記実施形態に示すように、パッド部1b、延伸部1aを同一構造として形成
している。
【0069】
また、パッド部1bは、延伸電極部1aの端部に形成されると、上記形成領域32、2
2と発光領域31との配置を好適なものとでき好ましい。さらに好ましくはパッド部1b
から一方向に延伸して形成されることで、発光領域32において、好適な電流拡散、発光
が実現され好ましい。
【0070】
(第2,3電極)
第2電極は、上述したように、発光構造部21内の第2導電型層13の露出部26のほ
ぼ全面に形成されることで、発光構造部21において面内に電流拡散させる拡散層として
機能させることができる。第2導電型層13内に電流拡散層を設ける場合には、面内に拡
散させる第2電極2が不要となり、第2,3電極を1つの電極とすることができる。窒化
物半導体においてはp型層における面内拡散が不十分となる場合が多いため、外部と接続
させる第3電極3と、第3電極3を面内に拡散するようにそれよりも広い電極形成面を有
する第2電極2を設けることが良い。
【0071】
第2電極2は、上述したように透光性電極として設けることが好ましく、図11〜14
に示すように、基板10側を光り取り出し面とする場合には、透光性電極の上に反射膜を
設けたり、透光性電極層の上に反射性電極層を設けた電極構造としたり、反射性電極とす
ることができる。光取り出し面を基板10側、第2導電型層13とする場合のいずれでも
、好ましくは第2電極2を透光性電極とすること、若しくは透光性電極層を有することが
好ましい。
【0072】
電極材料としては、ニッケル(Ni)、白金(Pt)パラジウム(Pd)、ロジウム(
Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti
)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、
タンタル(Ta)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(M
o)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ランタン(La)、銅(Cu)、銀(Ag
)、イットリウム(Y)よりなる群から選択された少なくとも一種を含む金属、合金、積
層構造、さらには、それらの化合物、例えば、導電性の酸化物、窒化物などがあり、導電
性の金属酸化物(酸化物半導体)も、錫をドーピングした厚さ50Å〜10μmの酸化イ
ンジウム(Indium Tin Oxide;ITO)、ZnO、In、または
SnOが挙げられ、透光性に有利なことから好適に用いられる。金属層の場合には、透
光性が確保される薄膜で形成することができる。電極の形状としては、特に限定されない
が、透光性の層を面状に形成した電極層であっても良く、図9に示すように、矩形状の開
口部2bを有する格子状、ストライプ状など開口部を有する電極形状としても良い。
【0073】
第3電極3は、上述したように、第1電極と同様に、パッド部3b、延伸電極部3aと
して形成することができ、その時、第1電極1、特に延伸電極部1aとの間、若しくはそ
れを挟むように形成し、好ましくは両電極1,3がほぼ平行に、さらに好ましくは等間隔
で形成されることで、好適な発光領域37が形成されて発光領域32、発光構造部21に
おいて均一な発光が得られる。
【0074】
さらにまた、図11(b)、図17(a)に示すように、パッド部3bを複数設ける形
態でも良く、好ましくは、延伸電極部3aとして機能するように、配列方向3xでもって
配列されることが好ましい。このとき、図に示すような1列状に配置されるほか、ジグザ
グ状、2列など、第1電極1の延伸電極部1a間で、延伸電極部3aに近似されるような
配列であれば良い。分離された第3電極3として形成される場合には、素子100側で、
さらにそれらを電気的に接続する配線を備えても良いが、好適には、図11(b)とその
断面図12(d)に示すように、積層基体104側の電極114で互いに電極を接続する
ことで、構造を簡略化でき、発光素子100の機能を高めることができ好ましい。
【0075】
ここで、図17は第2,3電極の実施形態を説明するものであり、上述したとおり、パ
ッド部3bを列状3xに配列して延伸電極部3aとしてもよく(図17a)、電極開口部
2aと、電極形成部2bとで電極2を形成しても良く(図17b)、図17(d)に示す
ように、電極2を一部開口2bさせて、開口部2bと電極2上に跨って第3電極3を形成
することもでき、酸化物などの化合物電極の場合には、第3電極の接着性を向上させるこ
とができる。また、このような開口部2bを充填する第3電極3の形態としては、図17
(e)に示すように、第2導電型層13に凹部15を設けて開口させて、電極開口部2b
と共に、第3電極3を開口部2bと電極2上に跨って形成することもできる。
【0076】
また、第2電極2は、発光構造部21に設けられるため、光取り出し、反射が有効とな
るように、透光性、反射性を好適に機能するには、透光性の大きい電極とするか、透過性
(開口部2b)の電極とすることがいずれの光取り出し方向においても有用であり、この
とき、図17(a)に示すように電極形成部26の光取り出し面を凹凸部15とする方法
、図17(c)、(e)に示すように、電極2開口部2bに対応して、第2導電型層13
にも凹部15aを設けて、凸部上面15c(電極材料界面)と凹部底面15a(保護膜、
絶縁膜材料界面)とで、異なる材料間の界面が形成されて、好適な光取り出し、反射に寄
与し、また、側面15bの傾斜角を大きくすることにより、側面での反射が強まり、光取
り出し効率が向上する。このような凹凸部15は、素子構造101の端面、側面のいずれ
に形成しても良く、例えば図10に示すように基板10に凹凸加工15を施して、素子構
造101を積層させることで、基板10と素子構造の半導体との間で凹凸界面を形成させ
ることもできる。このような凹凸面15を形成することが、本発明の発光素子において、
光取り出しが向上し、出力が向上し、好ましい。
【0077】
ここで、第1電極1と第3電極、若しくは、第1電極と、第2電極及び第3電極とを同
一構造、材料の電極として、同時に形成することもできる。具体的には、露出部23側か
ら順に、Ti/Au、Ti/Alなどのように、第1導電型層とのオーミック用と密着用
としてのTi層(第1層)とパッド用のパッド層(第2層)として金、Al、白金族の構
成、また、オーミック用の第1層(例えば、W、Mo、Tiが第1導電型層とのオーミッ
ク接触に好ましい)と、パッド用の第2層との間にバリア層として、高融点金属層(W、
Mo、白金族)を設ける構造、例えばW/Pt/Au、Ti/Rh(第2層a)/Pt(
第2層b)/Au、が用いられる。特に、反射性、バリア性に優れるRhを第2層に用い
ると、光取り出し効率が向上して好ましい。また、第2導電型層13のオーミック用の第
2電極2としては、露出部26側から順に、Ni/Au、Co/Auの他、ITOなどの
導電性酸化物、白金族元素の金属、Rh/Ir、Pt/Pdなどが好適に用いられる。
【0078】
実施形態3.
本発明における実施形態3としては、図9に示すように、電極形成面の平面図(a)と
、その点線囲み部分を一部拡大して、電極2の構造を説明する平面図(b)である。実施
形態3では、実施形態2において、電極2を開口部2bと形成部2aとで構成された透光
性電極とし、また、図9(b)に示すように、開口部2bは、発光構造部21全体に均一
に形成されるものではなく、第3電極3の形成領域は形成部2a2を設けて、露出部26
を被覆している構造として、オーミック性、密着性を高めた構造としている。また、実施
形態2と異なり、延伸電極部1a、3aが、発光構造部21、領域31内部より外部の方
を長く形成して、外部は、その領域31(21)側面の一辺とほぼ同一な長さで辺に沿っ
て形成されて、第1電極1の延伸部1aが、パッド部3b形成領域34に、第3電極3延
伸部3aがパッド部1b形成領域32、にそれぞれ重なるように形成され、他方内部延伸
部1a、3aは、それぞれ各パッド部形成領域32、34間の延伸電極形成領域33、3
5内に端部を有して形成されている。
【0079】
実施形態4.
実施形態4では、図10に示すように、実施形態2とは、電極1、3の構造及び発光構
造部21の形状が実施形態3と同様であり、電極2が実施形態2と同様であり、さらに実
施形態2,3と異なり、基板10と素子構造部101の第1導電型層11との界面に凹凸
加工部15が設けられ、さらに発光構造部21外部の第2導電型層11に、側面24が傾
斜面として設けられて基板10が露出された露出部25がさらにその外部に設けられた構
造となっている。これにより、凹凸部15により基板界面で光が乱反射されて取り出し効
率が向上し、さらに傾斜側面24により、第1導電型層11内を主に横方向に伝搬する光
を反射させて、基板側からの光取り出しに寄与して、出力が向上する。
【0080】
実施形態5.
実施形態5では、図11の発光素子100の電極形成面で積層基体104に接合した素
子積層体103を基板10側からの平面図と、図11における各断面図を示す図12,1
3に示すように、発光素子100を素子積層体として、素子側で分離された第1電極1(
パッド部1b)を、基体104側電極112で互いに接続し、分離された第3電極3(パ
ッド部3b)も同様に基体104側で互いに電気的に接続されて、実装、接合されている
。基体104側電極112は、発光素子100側電極1,3(2)に対応して、互いに絶
縁膜111などで絶縁分離されて設けられ、外部接続用の電極113が設けられている。
基体104に素子部115を設けても良く、ここでは、図13(a)(図11のX−X’
断面図)の等価回路(b)に示すように、電流保護素子(素子構造部115)として、p
型層(第1導電型層)115a、n型層(第2導電型層)115bを設けている。ここで
は、素子部115を基体104に1つだけ設けているが、2つ以上設けて外部(素子10
0、実装基体201)の電極、基体104側配線などで接続される形態などでも良く、ま
た、保護素子は、基体104上、発光装置200内(載置部222)に実装して、発光素
子にワイヤー接続、配線接続されても良い。
発光素子100側電極1,3(2)と、基体104の電極112とは接合層114を介
して接合しているが、素子100側電極の一部と、若しくは基体104側電極112の一
部と、を接合層の一部としても良く、パッド部1b、3bに代えて接合層を形成しても良
い。
【0081】
また、基体104は、素子構造115を有しない通常のサブマウントでも良い。基体1
04と外部とは、接続用の電極113でワイヤー接続されても良く、基体104の素子構
造部の電極、若しくは内部、外部を導通する電極層を、実装面側に形成して、電極113
、接合層114として設けても良い。
【0082】
(支持基板17)
本発明の発光素子構造100において、素子積層構造101の形成時に用いた成長用基
板1を除去すること形態としても良く、具体的には、図16(b)、図18(b)に示す
ように、基板1、若しくは基板1と積層構造101との間に設けられた介在層14の一部
若しくは全部、又はそれらに加えて、第1導電型層11の一部を除去領域16として、除
去することも可能であり、すなわち、素子正規層構造部101以外で不要な領域を除去す
ることが可能である。具体的には、図16(b)に示すように、サブマウントなどの素子
積層基体への接着・実装、図18(b)に示すように、支持基板17に貼り合わせた状態
で、研磨・研削除去、基板1上の一部積層部を、化学的な方法(エッチャント)による潮
解、融解、レーザ照射(レーザアブレーション)による分解で、除去部17と素子積層構
造部101とを分離させる方法、機械的な研磨・外力を加えて面内、素子構造内において
基板1と素子積層構造部101との間での応力、歪による層破壊などによる剥離などの方
法、及びそれらの方法の組合せにより除去することができる。
【0083】
好ましくは、支持基板17に、接合層18などを介して貼り合わせることによる転写で
もって、基板1などの除去部17として除去することが好ましい。このとき、支持基板1
7の材料としては、その目的により種々の材料を用いることができ、素子の放熱性を高め
るためには、放熱用の基板として、AlN、BN、SiC、GaAs、Si、C(ダイヤ
モンド)が好適に用いられる。その他の材料としては、Si、SiC、GaAs、GaP
、InP、ZnSe、ZnS、ZnO等の半導体から成る半導体基板、又は、金属単体基
板、又は相互に非固溶あるいは固溶限界の小さい2種以上の金属の複合体から成る金属基
板を用いることができ、金属材料として具体的にはAg,Cu,Au,Pt等の高導電性
金属から選択された1種以上の金属と、W,Mo,Cr,Ni等の高硬度の金属から選択
された1種以上の金属と、から成るものを用いることができる。さらに、金属基板として
は、Cu−WあるいはCu−Moの複合体を用いることが好ましい。基板による発光素子
の光の吸収・損失、素子構造101との接着性(素子構造101と基板17若しくは実装
部材料203との間の熱膨張係数差など)を考慮して、支持基板17の材料、及び接着方
法が選択され、基板17側から光を取り出す場合には、透光性材料を選択し、また銀ペー
ストなどの透光性の接着層18若しくは接着層を介さない接着方法により、光損失が少な
くなるような構造とし、また、除去部16側を光り取り出し方向とする場合には、接着層
18若しくは基板17、又は積層構造101の一部に、Al、Agなどの反射膜を設ける
などして、外部取り出し効率を高めると良い。また、図18(b)に示すように、半導体
層積層順序が転写により逆転する場合に本発明は、図中矢印にて示すように第1,2導電
型層11,13を逆転させて本発明における素子構造とすることはいうまでもない。
【0084】
(接合層18、接合層114、接着部材204)
支持基板17と素子構造101との接着、素子構造101(100)と積層基体103と
の接着、発光素子100、支持基板17、積層基体103と発光装置200の実装基体2
01(収納部202)との接着、接合において、接合層18、(114)、接着部材20
4を用いることができる。その材料、構造としては、Agペースト、カーボンペースト、
ITOペーストのような混合、複合組成物(有機物)、半田材料の他、発光素子100か
らの放熱性を考慮して、耐熱性に優れた材料、構造として、Au、Sn、Pd、In等の
金属若しくはその積層体並びに合金などが、本発明の大面積、大電流駆動で高発熱性の素
子に効果的である。第1及び第2の共晶形成層の組合せは、Au−Sn、Sn−Pd、又
はIn−Pdが好ましい。さらに好ましくは、第1の共晶形成層にSnを、そして第2の
共晶形成層にAuを用いる組合せである。そのほかに、金属バンプ、Au−Au接合など
の金属接合なども用いることができる。
【0085】
またこのような接合層は、下地側(基板1、素子構造101表面、支持基板17、実装
基体201、積層基体101)に、密着性の良い層のメタライジング層などを介したり、
上記発光素子の光反射のために反射層などを介したりして、共晶膜、共晶多層膜、合金膜
などの接着膜(接合層)を形成したり、その表面側に酸化防止の表面保護膜を設けても良
く、また、接着側の実装側にもメタライジング層(密着性の層)、表面保護層、接着膜(
接合層)を形成して、両者が接着・接合されても良い。
【0086】
具体例としては、図15に示すように、発光素子100の基板(サファイア)10と実
装部202の底面に接合層204としては、基板側から順に、Al(0.2μm、反射層
)/W(0.2μm)/Pt(0.2μm)と、その上にAu(0.3μm)/Sn(0
.2μm)を7対と再表面のAu(10nm)層を形成して、実装部202側にもAu層
を形成して、加熱して圧着して接着層204により発光素子100を接着する。図18に
おいて、素子構造101を支持基板17に貼り合わせる接合層18の具体例として、第2
導電型層(p型層)のp側電極の上に、Ni−Pt−Au−Sn−Auの多層膜を、膜厚
0.2μm−0.3μm−0.3μm−3.0μm−0.1μm 膜厚が200μmで、
Cu30%とW70%の複合体から成る金属基板17を用い、その金属基板の表面に、T
iから成る密着層、Ptから成るバリア層、そしてAuから成る第2の共晶形成層を、こ
の順で、膜厚0.2μm−0.3μm−1.2μmに形成して、加熱して圧着する。
【0087】
(素子積層体103)
本発明において、上記発光素子を発光装置200に実装する場合に、図11〜14に示
すように、ヒートシンク、サブマウントなどの積層基体104に、発光素子100を実装
して、素子の実装積層体として、素子積層体103を形成しても良い。このとき、発光素
子100を積層実装する基体104の材料としては、上記支持基板と同様であり、その目
的、例えば、放熱性、光取り出し構造、を考慮して選択される。また、このような素子積
層体103は、発光素子100との接合面に対向する面側を実装側として、発光装置20
0の実装部202に接合される。
【0088】
本発明の積層基体104には、発光素子100の電極形成面側に対向して接合する場合
には、発光素子100側の電極1〜3に対応して、基体104側に電極構造112a,b
が設けられ、発光素子100の電極形成面と対向する面側(基板10)に対向して基体1
04に接合する場合には、基体104側電極は不要であり、接合用の接着層などが設けら
れるが、発光素子100とワイヤー接続用の電極を設けても良い。基体104側電極11
2は、図に示すように、発光素子10との接合面側にのみ設けられていても良く、接合面
に対向する実装面側にまで回り込む実装側電極、実装面側に設けられた基体素子104の
電極114、基体104に貫通孔、ビアホールを設けて発光素子100の接合面側から実
装面側に連通、連結若しくは電気的に接合させた実装面側電極が設けられても良い。
【0089】
また、図では1つの発光素子101を1つの積層基体104に実装しているが、発光素
子101を複数集積して1つの積層基体104に、基体104側配線電極により並列、直
列、両者混合で接続させ、実装した積層体103としても良く、1つの発光素子101に
対し複数の積層基体104を、例えば異なる機能の素子を基体としても良く、またこれら
の組合せでも良く、さらに、発光素子101、積層基体(素子)103を縦方向に、いず
れかを複数積層した素子積層体103を形成しても良い。
【0090】
発光素子100は、図14に示すように、被覆膜105で覆われていても良く、その組
成物としては、SiO2、Al23、MSiO3(なお、Mとしては、Zn、Ca、Mg、
Ba、Sr、Zr、Y、Sn、Pb、などが挙げられる。)などの透光性無機部材であり
、蛍光体(光変換部材106)を含有させたものも好適に用いられる。これらの透光性無
機部材により蛍光体同士が結着され、さらに蛍光体は層状にLED100や支持体104
上に堆積され結着される。このほかに被覆層としては、素子構造100を被覆する絶縁保
護膜の他、反射膜(Al、Agなど)を設けても良く、DBRなどを形成しても良い。
【0091】
(光変換部材106,層231)
光変換部材106、若しくは発光装置200内の光変換層231は、発光素子100の
光を一部吸収して、異なる波長の光を発光するものであり、蛍光体を含有したものを用い
ることができる。このような光変換部材106、光変換層231は、上記のように発光素
子100一部若しくは全体、又はそれに加えて積層基体104の一部に被覆して、被覆膜
105として形成されてもよい。蛍光体のバインダーとしては、少なくともSi、Al、
Ga、Ti、Ge、P、B、Zr、Y、Sn、Pb、あるいはアルカリ土類金属の群から
選択される1種以上の元素を含む酸化物及び水酸化物は、少なくともSi、Al、Ga、
Ti、Ge、P、B、Zr、Y、Sn、Pb、あるいはアルカリ土類金属の群から選択さ
れる1種以上の元素を含む有機金属化合物(好ましくはさらに酸素を含む)により生成さ
れる。ここで、有機金属化合物には、アルキル基,アリール基を含む化合物等が含まれる
。このような有機金属化合物として、例えば金属アルコキシド、金属ジケトナート、金属
ジケトナート錯体、カルボン酸金属塩等が挙げられる。
【0092】
また、図15に示すように、発光装置200の封止部材230の一部として設けられて
も良く、図に示すように発光素子100に離間して、封止部材230a上、若しくは23
0bとの間に設けられた層231として形成されても良く、封止部材230内に分散して
光変換部材を含有して、封止部材230を光変換層231としても良く、装置基体220
、実装基体201、凹部収納部202内に沈降層として設けられても良い。
【0093】
本発明の光変換部材に用いられる蛍光体は、発光素子から放出された可視光や紫外光を
他の発光波長に変換するためのものであり、素子構造101の半導体発光層から発光され
た光で励起されて発光する蛍光体などで、蛍光体として紫外光、可視光により励起されて
所定の色の光を発生する蛍光体も用いることができる。
【0094】
具体的な蛍光体としては、銅で付活された硫化カドミ亜鉛やセリウムで付活されたイッ
トリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」と呼ぶ。)が
挙げられる。特に、高輝度且つ長時間の使用時においては(Re1-xSmx3(Al1-y
y512:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y,Gd,Laからなる群
より選択される少なくとも一種の元素である。)などが好ましい。この蛍光体は、ガーネ
ット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起スペクトルのピークが470nm付近など
にさせることができる。また、発光ピークも530nm付近にあり720nmまで裾を引
くブロードな発光スペクトルを持たせることができる。本発明において、蛍光体は、2種
類以上の蛍光体を混合させてもよい。即ち、Al、Ga、Y、La及びGdやSmの含有
量が異なる2種類以上の(Re1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce蛍光体を混合さ
せてRGBの波長成分を増やすことができる。半導体発光素子の発光波長には、バラツキ
が生ずるものがあるため2種類以上の蛍光体を混合調整させて所望の白色系の混色光など
を得ることができる。具体的には、発光素子の発光波長に合わせて色度点の異なる蛍光体
の量を調整し含有させることでその蛍光体間と発光素子で結ばれる色度図上の任意の点を
発光させることができる。蛍光体は、発光装置の表面上において一層からなる被覆層10
5、光変換部層221、部材106中に二種類以上存在してもよいし、二層からなるコー
ティング層中にそれぞれ一種類あるいは二種類以上存在してもよい。このようにすると、
異なる蛍光体からの光の混色による白色光が得られる。この場合、各蛍光物質から発光さ
れる光をより良く混色しかつ色ムラを減少させるために、各蛍光体の平均粒径及び形状は
類似していることが好ましい。YAG系蛍光体に代表されるアルミニウム・ガーネット系
蛍光体と、赤色系の光を発光可能な蛍光体、特に窒化物系蛍光体とを組み合わせたものを
使用することもできる。これらのYAG系蛍光体および窒化物系蛍光体は、混合して被覆
層中に含有させてもよいし、複数の層から構成される被覆層中に別々に含有させてもよい
。以下、それぞれの蛍光体について詳細に説明していく。
【0095】
本実施の形態に用いられるアルミニウム・ガーネット系蛍光体とは、Alを含み、かつ
Y、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu及びSmから選択された少なくとも一つの元素
と、Ga及びInから選択された一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なく
とも一つの元素で付活された蛍光体であり、LEDチップ101から発光された可視光や
紫外線で励起されて発光する蛍光体である。例えば、上述したYAG系蛍光体の他、Tb
2.95Ce0.05Al12、Y2.90Ce0.05Tb0.05Al12
、Y2.94Ce0.05Pr0.01Al12、Y2.90Ce0.05Pr0.
05Al12等が挙げられる。これらのうち、特に本実施の形態において、Yを含み
、かつCeあるいはPrで付活され組成の異なる2種類以上のイットリウム・アルミニウ
ム酸化物系蛍光体が利用される。
【0096】
発光層に窒化物系化合物半導体を用いた発光素子から発光した青色系の光と、青色光を
吸収させるためボディーカラーが黄色である蛍光体から発光する緑色系及び赤色系の光と
、或いは、黄色系の光であってより緑色系及びより赤色系の光を混色表示させると所望の
白色系発光色表示を行うことができる。発光装置はこの混色を起こさせるために蛍光体の
粉体やバルクをエポキシ樹脂、アクリル樹脂或いはシリコーン樹脂などの各種樹脂や酸化
珪素、酸化アルミニウムなどの透光性無機物中に含有させることもできる。このように蛍
光体が含有されたものは、LEDチップからの光が透過する程度に薄く形成させたドット
状のものや層状ものなど用途に応じて種々用いることができる。蛍光体と透光性無機物と
の比率や塗布、充填量を種々調整すること及び発光素子の発光波長を選択することにより
白色を含め電球色など任意の色調を提供させることができる。
【0097】
また、2種類以上の蛍光体をそれぞれ発光素子からの入射光に対して順に配置させるこ
とによって効率よく発光可能な発光装置とすることができる。即ち、反射部材を有する発
光素子上には、長波長側に吸収波長があり長波長に発光可能な蛍光体が含有された色変換
部材と、それよりも長波長側に吸収波長がありより長波長に発光可能な色変換部材とを積
層などさせることで反射光を有効利用することができる。また、発光ピーク波長λpも5
10nm付近にあり700nm付近まで裾を引くブロードな発光スペクトルを持つ。一方
、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体である赤色系が発光
可能なYAG系蛍光体でも、ガーネット構造であり熱、光及び水分に強く、励起吸収スペ
クトルのピーク波長が420nmから470nm付近にさせることができる。また、発光
ピーク波長λpが600nm付近にあり750nm付近まで裾を引くブロードな発光スペ
クトルを持つ。
【0098】
ガーネット構造を持ったYAG系蛍光体の組成の内、Alの一部をGaで置換すること
で発光スペクトルが短波長側にシフトし、また組成のYの一部をGd及び/又はLaで置
換することで、発光スペクトルが長波長側へシフトする。このように組成を変化すること
で発光色を連続的に調節することが可能である。したがって、長波長側の強度がGdの組
成比で連続的に変えられるなど窒化物半導体の青色系発光を利用して白色系発光に変換す
るための理想条件を備えている。
【0099】
(窒化物系蛍光体)
本発明で使用される蛍光体は、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZ
nから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びH
fから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも
一つの元素で付活された窒化物系蛍光体も用いることができる。また、本実施の形態に用
いられる窒化物系蛍光体としては、LEDチップ101から発光された可視光、紫外線、
及びYAG系蛍光体からの発光を吸収することによって励起され発光する蛍光体をいう。
【0100】
例えば、Ca−Ge−N:Eu,Z系、Sr−Ge−N:Eu,Z系、Sr−Ca−G
e−N:Eu,Z系、Ca−Ge−O−N:Eu,Z系、Sr−Ge−O−N:Eu,Z
系、Sr−Ca−Ge−O−N:Eu,Z系、Ba−Si−N:Eu,Z系、Sr−Ba
−Si−N:Eu,Z系、Ba−Si−O−N:Eu,Z系、Sr−Ba−Si−O−N
:Eu,Z系、Ca−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Si−C−N:Eu,Z系、S
r−Ca−Si−C−N:Eu,Z系、Ca−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−S
i−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Si−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Si
−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Sr−Si−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Si−N:
Eu,Z系、Mg−Si−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Sr−Si−O−N:Eu
,Z系、Sr−Mg−Si−O−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−C−N:Eu,Z
系、Sr−Zn−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−C−N:Eu,
Z系、Ca−Zn−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−C−O−N:E
u,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−N:
Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−Si−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Mg−Si
−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−
Si−O−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Zn−Si−O−N:Eu,Z系、Ca−Zn
−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、S
r−Ca−Zn−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−Sn−C−O−
N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−Sn−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn
−Si−Sn−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−Sn−N:Eu,Z系、M
g−Ca−Zn−Sr−Si−Sn−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Mg−Si−Sn−
N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−Sn−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−S
r−Si−Sn−O−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Zn−Si−Sn−O−N:Eu,
Z系など種々の組合せの蛍光体を製造することができる。
【0101】
希土類元素であるZは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er
、Luのうち少なくとも1種以上が含有されていることが好ましいが、Sc、Sm、Tm
、Ybが含有されていてもよい。これらの希土類元素は、単体の他、酸化物、イミド、ア
ミド等の状態で原料中に混合する。希土類元素は、主に安定な3価の電子配置を有するが
、Yb、Sm等は2価、Ce、Pr、Tb等は4価の電子配置を有する。酸化物の希土類
元素を用いた場合、酸素の関与が蛍光体の発光特性に影響を及ぼす。つまり酸素を含有す
ることにより発光輝度の低下を生じる場合もある。その反面、残光を短くするなどの利点
もある。但し、Mnを用いた場合は、MnとOとのフラックス効果により粒径を大きくし
、発光輝度の向上を図ることができる。
【0102】
本発明に係る蛍光体は、Mnが添加されたSr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−
N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−
N:Eu、Sr−Si−O−N:Eu系シリコンナイトライドである。この蛍光体の基本
構成元素は、一般式LSi(2/3X+4/3Y):Eu若しくはLSi
(2/3X+4/3Y−2/3Z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか
。)で表される。一般式中、X及びYは、X=2、Y=5又は、X=1、Y=7であるこ
とが好ましいが、任意のものも使用できる。
【0103】
具体的には、基本構成元素は、Mnが添加された(SrCa1−XSi
Eu、SrSi:Eu、CaSi:Eu、SrCa1−XSi
:Eu、SrSi10:Eu、CaSi10:Euで表される蛍光体を使用す
ることが好ましいが、この蛍光体の組成中には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、A
l、Cu、Mn、Cr及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が含有されて
いてもよい。但し、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0104】
Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれかである。SrとCaは、所望により配合比を
変えることができる。
蛍光体の組成にSiを用いることにより安価で結晶性の良好な蛍光体を提供することがで
きる。発光中心に希土類元素であるユウロピウムEuを用いる。ユウロピウムは、主に2
価と3価のエネルギー準位を持つ。
【0105】
具体的な組成としては、SrSi:Eu,Pr、BaSi:Eu,P
r、MgSi:Eu,Pr、ZnSi:Eu,Pr、SrSi10
:Eu,Pr、BaSi10:Eu,Ce、MgSi10:Eu,Ce、ZnS
10:Eu,Ce、SrGe:Eu,Ce、BaGe:Eu,P
r、MgGe:Eu,Pr、ZnGe:Eu,Pr、SrGe10
:Eu,Ce、BaGe10:Eu,Pr、MgGe10:Eu,Pr、ZnG
10:Eu,Ce、Sr1.8Ca0.2Si:Eu,Pr、Ba1.8
0.2Si:Eu,Ce、Mg1.8Ca0.2Si:Eu,Pr、Zn
1.8Ca0.2Si:Eu,Ce、Sr0.8Ca0.2Si10:Eu,
La、Ba0.8Ca0.2Si10:Eu,La、Mg0.8Ca0.2Si
10:Eu,Nd、Zn0.8Ca0.2Si10:Eu,Nd、Sr0.8Ca
.2Ge10:Eu,Tb、Ba0.8Ca0.2Ge10:Eu,Tb、Mg
0.8Ca0.2Ge10:Eu,Pr、Zn0.8Ca0.2Ge10:Eu
,Pr、Sr0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Pr、Ba0.8Ca0.2
GeN10:Eu,Pr、Mg0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Y、Zn
0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Y、SrSi:Pr、BaSi
:Pr、SrSi:Tb、BaGe10:Ceなどが製造できるがこれ
に限定されない。
【0106】
窒化物系蛍光体は、LEDチップ100によって発光された青色光の一部を吸収して黄
から赤色領域の光を発光する。窒化物系蛍光体をYAG系蛍光体と共に上記の構成を有す
る発光装置200に使用して、LEDチップ100により発光された青色光と、窒化物系
蛍光体による黄色から赤色光とが混色により暖色系の白色系の混色光を発光する発光装置
を提供する。窒化物系蛍光体の他に加える蛍光体には、セリウムで付活されたイットリウ
ム・アルミニウム酸化物蛍光物質が含有されていることが好ましい。前記イットリウム・
アルミニウム酸化物蛍光物質を含有することにより、所望の色度に調節することができる
からである。セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質は、LE
Dチップ101により発光された青色光の一部を吸収して黄色領域の光を発光する。
【0107】
ここで、LEDチップ100により発光された青色光と、イットリウム・アルミニウム
酸化物蛍光物質の黄色光とが混色により青白い白色に発光する。従って、このイットリウ
ム・アルミニウム酸化物蛍光物質と赤色発光する蛍光体とを、透光性を有するコーティン
グ部材105中に一緒に混合し、LEDチップ100により発光された青色光とを組み合
わせることにより白色系の混色光を発光する発光装置を提供することができる。特に好ま
しいのは、色度が色度図における黒体放射の軌跡上に位置する白色の発光装置である。但
し、所望の色温度の発光装置を提供するため、イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物
質の蛍光体量と、赤色発光の蛍光体量を適宜変更することもできる。この白色系の混色光
を発光する発光装置は、特殊演色評価数R9の改善を図っている。従来の青色発光素子と
セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質との組合せのみの白色
系発光装置は、色温度Tcp=4600K付近において特殊演色評価数R9がほぼ0に近
く、赤み成分が不足していた。そのため特殊演色評価数R9を高めることが解決課題とな
っていたが、本発明において赤色発光の蛍光体をイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光
物質と共に用いることにより、色温度Tcp=4600K付近において特殊演色評価数R
9を40付近まで高めることができる。
【0108】
(発光装置200)
図14は、本発明において、発光素子100及びその積層体103を実装基体201に
実装した発光装置200であり、本発明の実施形態6に係る。発光装置200は、装置基
体220により、リード部210が固定され、リード部の一方をマウント・リード210
として、実装基体201として機能し、その収納部(凹部)202内に発光素子100(
積層体104)が接合層114(接着層204)を介して実装され、凹部側面を反射部2
03とし、且つ、基体201は、放熱部205として機能させて外部放熱器に接続しても
良い。また、装置基体2020には、光取り出し部223に開口して、テラス部222が
基体201外部に設けられ、保護素子などの他の素子を実装しても良く、凹部202、基
体220開口部には、透光性の封止部材230で封止され、また凹部202外部にも反射
部203が設けられている。また、リード電極210は、基体220内部の内部リード2
11と、それを基体220外部に延在させた外部リード212により、外部と接続される
。発光素子100(積層体103)は、各リード210に、ワイヤー250接続、電気的
接合204により電気的に接続される。
【0109】
実施形態7として、図15に示すように、リード210と絶縁分離された実装基体21
0に発光素子100を接着部材204により実装した発光装置200であり、発光素子1
00の収納基体201には反射部203を備え、放熱部205として外部放熱体に接続し
ても良く、発光素子100は各内部リード211にワイヤー250接続され、リード21
0は外部に延在して外部に電気的に接続される。このように、実装基体201とリード2
10とを分離することで、熱設計に優れた発光装置とできる。また、発光装置には、光透
過性の封止部材230で凹部202、基体220の反射部221、テラス部222を封止
して、形成され、該封止部材230に光学的に光学レンズ部を接続して、若しくは光学レ
ンズの形状に封止部材230を成形して、所望の光学系(レンズ)を設けることで、所望
の指向性の発光を得ることができる。
【0110】
パッケージ220の凹部内表面221、222は、エンボス加工させて接着面積を増や
したり、プラズマ処理してモールド部材230との密着性を向上させたりすることもでき
る。また、パッケージ220の凹部は、図に示すようにその側面が開口方向に向かって広
くなる形状(テーパー形状)を有していることが好ましい。このようにすると、発光素子
から出光した光は凹部の側面221に反射してパッケージ正面に向かうため、光取り出し
効率が向上するなどの効果がある。パッケージ220は、外部電極212と一体的に形成
させてもよく、パッケージ220が複数に分かれ、はめ込みなどにより組み合わせて構成
させてもよい。このようなパッケージ220は、インサート成形などにより比較的簡単に
形成することができる。
【0111】
パッケージ材料としてポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)
、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂
、PBT樹脂等の樹脂やセラミック、金属などを用いることができる。紫外線を含む光を
発光するLEDチップを用いた発光装置を高出力で使用する場合、樹脂が紫外線によって
劣化し、樹脂の黄変などによる発光効率低下や、機械的強度の低下による発光装置の寿命
の低下などが生じることが考えられる。そこで、パッケージ材料として金属を使用するこ
とは、紫外線を含む光を発光するLEDチップを高出力で使用した場合でも樹脂のように
パッケージが劣化することがないためより好ましい。
【0112】
また、パッケージ220を暗色系に着色させる着色剤としては種々の染料や顔料が好適
に用いられる。具体的には、Cr23、MnO2、Fe23やカーボンブラックなどが好
適に挙げられる。
LEDチップ100とパッケージ220との接着は熱硬化性樹脂などによって行うこと
もできる。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やイミド樹脂などが挙げられる。外
部電極212としては、銅やリン青銅板表面に銀、パラジュウム或いは金などの金属メッ
キや半田メッキなどを施したものが好適に用いられる。ガラスエポキシ樹脂やセラミック
などの装置基体220上などに設けられた外部電極212としては、銅箔やタングステン
層を形成させることができる。
【0113】
導電性ワイヤー250の直径は、好ましくは、φ10μm以上、φ70μm以下である
。このような導電性ワイヤー250として具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の
金属及びそれらの合金を用いた導電性ワイヤーが挙げられる。このような導電性ワイヤー
250は、各LEDチップ100の電極と、インナー・リード及びマウント・リードなど
と、をワイヤーボンディング機器によって容易に接続させることができる。
【0114】
モールド部材230は、発光装置の使用用途に応じてLEDチップ100、導電性ワイ
ヤー250、蛍光体が含有されたコーティング層221、105などを外部から保護する
ため、あるいは光取り出し効率を向上させるために設けることができる。モールド部材2
30は、各種樹脂や硝子(ガラス)などを用いて形成させることができる。モールド部材
230の具体的材料としては、主としてエポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、フ
ッ素樹脂などの耐候性に優れた透明樹脂や硝子などが好適に用いられる。また、モールド
部材に拡散剤を含有させることによってLEDチップ100からの指向性を緩和させ視野
角を増やすこともできる。このような、モールド部材230は、コーティング層の結着剤
、バインダーと同じ材料を用いても良いし異なる材料としても良い。
【0115】
なお、金属パッケージを使用して、窒素ガスなどと共にLEDチップ100を気密封止
する場合は、モールド部材230は本発明に必須の構成部材ではない。また、紫外線を発
光するLEDチップを使用して発光装置を形成する場合であっても、フッ素樹脂等のよう
に紫外線に強い樹脂をモールド部材として使用することができる。
【0116】
また、他の発光装置200として、金属製の基体220に実装部201(凹部202)
を設けて発光素子100(積層体103)を実装して、基体220に絶縁分離したリード
210を設けて、窓部を備えたキャップとなる基体(金属製)で気密封止したもの、CO
Bのように、金属製などの基板上の凹部収納部202に直接発光素子100を実装したも
のなどがある。
【0117】
発光素子100(積層体103)の実装形態として、1つの収納部202(実装基体2
01)に複数の素子100(103)を集積実装したもの、発光素子100(103)を
実装した基体201を複数設けて(基体201に複数の収納部202設けて)1つの装置
基体220で成形したもの、などを挙げることができ、所望の特性に応じて設計すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る実施の形態1の窒化物半導体素子の平面図である。
【図2】図1のX−X’線についての断面図である。
【図3】比較例の窒化物半導体素子の平面図である。
【図4】実施の形態1の窒化物半導体発光素子のX−X’線上における発光強度を示すグラフである。
【図5】比較例の窒化物半導体発光素子のX−X’線上における発光強度を示すグラフである。
【図6】実施の形態1及び比較例の窒化物半導体発光素子の発光面における発光強度分布を示すグラフである。
【図7】本発明に係る実施の形態2の窒化物半導体素子の平面図である。
【図8】実施の形態2の窒化物半導体発光素子のX−X’線上における発光強度を示すグラフである。
【図9】本発明に係る実施の形態3の発光素子の電極形成面における電極平面構造と、その電極2の部分拡大図(b)を示す平面図である。
【図10】本発明に係る実施の形態4の発光素子の電極形成面における電極平面構造を示す平面図と、そのA−A線断面図(b)と、その部分拡大断面図(c)である。
【図11】本発明の実施の形態5の発光素子を、積層基体に実装した積層体を示す平面図である。
【図12】図11のC−C’線断面図(a)、B−B’線断面図(b)、A−A’線断面図(c)、D−D’線断面図(d)である。
【図13】図11のX−X’線断面図である。
【図14】本発明の実施の形態6の発光装置を説明する模式断面図である。
【図15】本発明の実施の形態7の発光装置を説明する模式断面図である。
【図16】本発明に係る発光素子(a)及び素子積層体(b)を説明する模式断面図である。
【図17】本発明に係る電極2,3の実施形態を説明する模式的斜視図である。
【図18】本発明に係る素子積層構造の実施形態を説明する模式断面図である。
【図19】従来技術の素子構造(a)と、本発明に係る素子構造(c)を比較して説明する電極形成面における模式平面図。
【符号の説明】
【0119】
1 第1導電型層側第1電極(nライン電極)、
1a 第1電極延伸電極部(ライン状オーミック電極、オーミック用電極)、1b
第1電極電極パッド部(nパッド電極)、
2 第2導電型層側電極(pオーミック電極)、
3 電流拡散導体、3a 拡散ライン電極、
3b 電極台座部(pパッド電極)、3c 第2導電型層接触電極部、
3x 電極配列方向、Sn スリット、10 (サファイア)基板、
11 第1導電型層(n型層)、12 発光層(活性層)、
13 第2導電型層(p型層)、
15 凹凸加工部(凹部底面15a,凹部側面15b,凸部上面15c)、
16 除去部、17 支持基板、18 接合層、19 支持基板側電極、21
発光構造部、22 第1導電型層側電極形成部、
23 第1導電型層側電極露出部(分離溝23a)、
24 第1導電型層側側面、25 基板露出部、
26 第2導電型層露出部、27 素子動作部、31 面内発光領域、
32 第1電極パッド部形成領域、33 第1電極延伸電極形成領域、
34 第3電極パッド部形成領域、35 第3電極延伸電極形成領域、
36 発光領域(延伸電極[間、併設部]、
37 発光領域(パッド部[第1電極]形成領域)、
38 発光領域(電極間連結部、第3電極パッド部間)、
100 発光素子構造体(素子チップ)、101 素子積層構造、
103 素子積層体、104 積層基体(保護素子・サブマウント)、
105 被覆膜、106 光変換部材、111 絶縁膜、
112 電極(発光素子接合用)、113 電極(外部接続用)、
114 接合層、115 素子構造部(第1導電型部115a、第2導電型部115
b)、200 発光装置、201 実装基体(収納基体)、
202 収納部(凹部)、203 反射部、204 接着部材、
205 放熱部、210 リード電極、211 内部リード、
212 外部リード、220 装置基体、221 反射部、
222 実装外部テラス部(素子載置部)、223 光取出し部、
230 封止部材、221 光変換部材(層)(部材106)、
240 光学レンズ部、250 接続ワイヤー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を挟んで第1導電型層、第2導電型層が設けられた素子積層構造に、同一面側を電
極形成面として、に第1導電型層、第2導電型層にそれぞれ第1電極、第2電極が設けら
れ、
該電極形成面内において、
第1導電型層が露出されて電極が設けられた電極形成領域と、発光層を挟んで第1導電型
層、第2導電型層が設けられ領域であって、該第2導電型層が露出されて電極が形成され
た発光構造部と、を有し、
前記第1導電型層には複数の第1電極が設けられ、該第1電極は、パッド部形成領域に
互いに分離された第1電極のパッド部と、各パッド部から、該パッド部形成領域から分離
され前記発光構造部を含む発光領域にまで延伸して形成される延伸電極部とを有すること
を特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記パッド部形成領域において、各パッド部間に、前記発光構造部が設けられていること
を特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記延伸電極部間の発光構造部、若しくは延伸電極部に分離されて併設された発光構造部
が、発光領域内の延伸電極部の端部近傍の発光構造部に連続して形成されていることを特
徴とする請求項1又は2記載の発光素子。
【請求項4】
前記各第1電極は互いに分離されて、前記延伸電極部がライン状であって、その一方端部
に前記バッド部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の発光素子。
【請求項5】
前記発光領域内の発光構造部に設けられた第2電極が、該第2電極上に設けられた第3電
極を有し、前記第1電極の延伸電極部間に該第3電極が設けられて、各第3電極は互いに
分離されて複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発光素子。
【請求項6】
請求項1記載の発光素子を、積層基体に実装した素子積層体において、前記発光素子が該
電極形成面側を、積層基体との接合面側として、該発光素子の第1,2電極に対応して設
けられた積層基体側電極にそれぞれ接合されて電気的に接続されると共に、
前記互いに分離された複数の第1電極パッド部が、前記積層基体側の1つの電極に接合
されて電気的に接続されていることを特徴とする素子積層体。
【請求項7】
前記素子積層体において、前記発光素子の第2電極、若しくは第2電極上の第3電極が、
互いに分離されて、該分離された第2導電型層の複数の電極が、積層基体側の1つの電極
に接合されて、互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項6記載の素子積層
体。
【請求項8】
請求項1記載の発光素子を用いた発光装置であって、発光装置には、発光素子から光の一
部を、それとは異なる波長の光に変換する光変換部材を有することを特徴とする発光装置

【請求項9】
前記光変換部材が、Alを含み、かつY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu及びSm
から選択された少なくとも一つの元素と、Ga及びInから選択された一つの元素とを含
むアルミニウム・ガーネット系蛍光体であって、さらに希土類元素から選択された少なく
とも一つの元素を含有するアルミニウム・ガーネット系蛍光体を有することを特徴とする
請求項8記載の発光装置。
【請求項10】
前記光変換部材が、(Re1-xx3(Al1-yGay512(0<x<1、0≦y≦1、
但し、Reは、Y,Gd,La,Lu,Tb,Smからなる群より選択される少なくとも
一種の元素であり、RはCe又はCeとPrである)であらわされる蛍光体を有すること
を特徴とする請求項8記載の発光装置。
【請求項11】
前記光変換部材が、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択さ
れた少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択さ
れた少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で
付活された窒化物系蛍光体を有する請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
前記窒化物系蛍光体が、一般式LSi(2/3X+4/3Y):Eu若しくはL
Si(2/3X+4/3Y−2/3Z):Eu(Lは、Sr若しくはCa、又は
、Sr及びCa、のいずれか。)で表されることを特徴とする請求項11に記載の発光装
置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2007−300134(P2007−300134A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179135(P2007−179135)
【出願日】平成19年7月7日(2007.7.7)
【分割の表示】特願2005−201917(P2005−201917)の分割
【原出願日】平成15年5月27日(2003.5.27)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】