説明

端子用金具装着装置

【課題】大きさの異なる複数種類のコイルの端末に対しても各々に対応する端子用金具を容易に装着できる端子用金具装着装置を提供する。
【解決手段】各上側ガイド部材41,42の上方には、対峙線S1に向けて付勢するコイルスプリング46,47がそれぞれ設けられている。同様に、各下側ガイド部材43,44の下方には、対峙線S1に向けて付勢するコイルスプリング48,49がそれぞれ設けられている。そのため、コイル11Aの端末が金具保持部材17に保持された中性点用金具13に向けて挿入される場合に、後側ガイド部材であるガイド部材42,44は、該コイル11Aに押動されて前記対峙線S1を挟んで互いに離間する方向に移動する。そして、前記中性点用金具13内にコイル11Aの端末が挿入される。その後、移動部材23を構成する移動ブロック30が下方に移動することにより、押圧部31が前記中性点用金具13を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転電機に巻装されるコイルの端末に端子用金具を装着する端子用金具装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動機(モータ)や発電機等の回転電機においては、その固定子(又は、回転子)の回転電機用コアに複数相(例えば三相)のコイルが巻装されている。前記各相のコイルは、複数本のワイヤが各相毎に束ねられてなり、それら各相のコイルの端末に対して各々対応する端子用金具が各相毎に装着されることにより、各相のコイルのパワーケーブル端子が形成されている。また、前記回転電機用コアに巻装された全相のコイル(すなわち、全相分のワイヤ)の端末が一つに大きく束ねられ、その端末の束に対応する端子用金具が装着されることにより、中性点端子が形成されている。そして、上記のようなパワーケーブル端子及び中性点端子を形成する際には、例えば特許文献1に記載されるような端子用金具装着装置(以下、「文献1装置」という。)が従来から使用されている。
【0003】
この文献1装置は、台形溝が凹設された受け型と、該受け型の上方で長尺板状の端子用素材を所定長さに切断する一対のカッタと、該両カッタと協働して前記切断された端子用素材を断面略逆U字状の集束端子(端子用金具)に曲げ成形すると共に該集束端子を前記受け型の台形溝内に向けて押圧する押し型とを備えている。そして、前記受け型の台形溝内にコイルの端末が挿入配置された状態において、断面略逆U字状に曲げ成形された集束端子がカッタと押し型とで周囲を拘束されながら、押し型の下降により前記台形溝内へ押し込まれることにより、その台形溝内において、コイルの端末に集束端子(端子用金具)が包み込み態様でかしめ固定されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−369435号公報(段落番号[0023],図1,図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各パワーケーブル端子は、複数本のワイヤが各相毎に束ねられることにより形成される一方、中性点端子は、回転電機用コアに巻装された全相分のワイヤが束ねられることにより形成されている。そのため、パワーケーブル端子と中性点端子とでは、各端子におけるコイルの端末の大きさ、及び該各コイルの端末に装着される端子用金具(上記文献1装置では集束端子)の大きさが異なることになる。ところが、上記文献1装置では、コイルの端末が挿入配置されると共に端子用金具(集束端子)が押し込まれることになる台形溝の溝幅、及び端子用金具(集束端子)を曲げ成形する押し型の幅(=カッタ間の間隔)が一種類の大きさの端子(すなわち、パワーケーブル端子又は中性点端子の何れか一方)にしか対応できない構成になっている。
【0005】
すなわち、その文献1装置における台形溝や押し型が、例えばパワーケーブル端子用の集束端子に対応した大きさに形成されている場合、その文献1装置は、中性点端子を形成する場合には台形溝の溝幅や押し型の幅が狭すぎて使用できないことになる。逆に、その文献1装置における台形溝や押し型が、中性点端子用の集束端子に対応した大きさに形成されている場合、その文献1装置は、パワーケーブル端子を形成する場合には台形溝の溝幅や押し型の幅が広すぎて使用できないことになる。従って、上記文献1装置によりパワーケーブル端子及び中性点端子を形成する場合には、それぞれの端子に適合した端子用金具の大きさに対応する台形溝及び押し型を備えた2種類の端子用金具装着装置を使い分けしなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大きさの異なる複数種類のコイルの端末に対しても各々に対応する端子用金具を容易に装着できる端子用金具装着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、筒状の端子用金具を保持するための金具保持部を備え、該金具保持部に保持された端子用金具内に複数本のワイヤを束ねてなるコイルの端末が前記端子用金具の軸線方向に沿って挿入されることにより、前記コイルの端末に前記端子用金具が装着される端子用金具装着装置において、前記金具保持部の近傍で前記コイルの端末の挿入方向手前側となる位置に、複数のガイド部材を、前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向への移動自在に、且つ前記金具保持部に保持された端子用金具内を通る対峙線を挟んで互いに接離する方向への移動自在に設け、該各ガイド部材を付勢手段により前記対峙線側に向けて付勢すると共に、該各ガイド部材における前記対峙線側となる部位には、前記コイルの端末の挿入方向手前側から奥側に向かうほど次第に前記対峙線側に近接する面形状のガイド面を形成したことを要旨としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端子用金具装着装置において、前記各ガイド部材は、前記対峙線から見て前記金具保持部とは反対側となる一方側に位置する一方側ガイド部材と、前記対峙線から見て前記金具保持部のある側となる他方側に位置する他方側ガイド部材とに分類され、前記一方側ガイド部材が前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向への移動自在に設けられた移動部材に対して前記付勢手段を介在させて支持されていることを要旨としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の端子用金具装着装置において、前記各ガイド部材は、前記対峙線を挟んで互いに接離する関係にあるガイド部材同士を一組とした場合、前記コイルの端末の挿入方向手前側から奥側へ複数組が並設されており、前記付勢手段は、各組のガイド部材毎に個別対応するように複数設けられていることを要旨としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の端子用金具装着装置において、前記各組のガイド部材のうち前記コイルの端末の挿入方向において最も手前側となる最前組のガイド部材以外のガイド部材は、該ガイド部材と前記コイルの端末の挿入方向で直前の組のガイド部材との間に介装された付勢手段により前記対峙線側に向けて付勢されていることを要旨としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の端子用金具装着装置において、前記移動部材には、該移動部材の前記一方側から前記他方側への移動に伴い前記金具保持部に保持された端子用金具を前記金具保持部側に向けて押圧可能な押圧部が設けられていることを要旨としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の端子用金具装着装置において、前記押圧部は、前記移動部材の移動に伴い前記一方側ガイド部材と前記他方側ガイド部材との対峙線が前記金具保持部に保持された端子用金具の軸線と一致した場合に該端子用金具に当接する構成とされていることを要旨としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の端子用金具装着装置において、前記金具保持部に保持された端子用金具を前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向における一方側から他方側への移動に基づき前記金具保持部側に向けて押圧可能な押圧部材が設けられたことを要旨としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大きさや形状の異なる複数種類のコイルの端末に対しても各々に対応する端子用金具を容易に装着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図14に基づき説明する。
図1に示すように、回転電機の一種であるモータ(図示略)のステータコア10には、複数相(本実施形態では三相)のコイル11が巻装されている。前記各相のコイル11は、各々の一方側の端部(端末)がステータコア10から外部(図1ではステータコア10の径方向外側)に延出されており、それらの各端末にケーブル用金具(パワーケーブル端子用の端子用金具)12が装着されることにより、パワーケーブル端子T1が形成されている。また、前記各相のコイル11の他方側は、それらが一つに大きく束ねられることにより、中性点端子用のコイル11Aとして形成され、該コイル11Aの端部(端末)がステータコア10から外部(図1では紙面手前側)に延出されている。そして、前記コイル11Aの端末に前記ケーブル用金具12よりも大径の中性点用金具(中性点端子用の端子用金具)13が装着されることにより、中性点端子T2が形成されている。なお、図1において、ケーブル用金具12は筒状をなすスリーブ部12aとリング状をなすリング部12bを備えているが、以降の説明では、説明理解の便宜上、ケーブル用金具12については、リング部12bが形成されていないものを図示し、筒状をなすスリーブ部12aの部分をケーブル用金具12として説明する。
【0016】
次に、前記パワーケーブル端子T1が形成される過程について図2(a)(b)(c)に従って以下説明する。
まず、図2(a)に示すように、一相分の複数本(本実施形態では18本)のワイヤ11aが束ねられてなるコイル11の端末が、小径円筒形状をなすケーブル用金具12(スリーブ部12a)内に該金具12の軸線S(図10参照)方向に沿って挿入されることにより、該コイル11の端末にケーブル用金具12が装着される。そして次に、図2(b)に示すように、コイル11を形成する各ワイヤ11aの端末がケーブル用金具12から抜けてしまうことを抑制するために、コイル11の端末が挿入された状態においてケーブル用金具12がかしめられる。その後、ケーブル用金具12がかしめられたコイル11の端末には、図2(c)に示すように、フュージング工程にてケーブル用金具12を介した加圧下でヒュ−ジングが施されることにより、扁平状のパワーケーブル端子T1が形成される。
【0017】
次に、前記中性点端子T2が形成される過程について図3(a)(b)(c)に従って以下説明する。
まず、図3(a)に示すように、全相分の複数本(本実施形態では54本)のワイヤ11aが束ねられてなるコイル11Aの端末が、大径円筒形状をなす中性点用金具13内に該金具13の軸線S(図14参照)方向に沿って挿入されることにより、該コイル11Aの端末に中性点用金具13が装着される。そして次に、図3(b)に示すように、前記パワーケーブル端子T1が形成される場合と同様に、前記コイル11Aの端末が挿入された状態において中性点用金具13がかしめられる。その後、中性点用金具13がかしめられたコイル11Aの端末には、図3(c)に示すように、フュージング工程にて中性点用金具13を介した加圧下でヒュ−ジングが施されることにより、扁平状の中性点端子T2が形成される。
【0018】
ところで、前記パワーケーブル端子T1は、各相(一相分)のコイル11(18本のワイヤ11a)の端末にケーブル用金具12を装着することにより形成される一方、前記中性点端子T2は、全相分のコイル11が束ねられたコイル11A(54本のワイヤ11a)の端末に中性点用金具13を装着することにより形成されている。すなわち、前記パワーケーブル端子T1と中性点端子T2とでは、各端子T1,T2におけるコイル11,11Aの端末の大きさ及び各コイル11,11Aの端末に装着される(端子用)金具12,13の大きさが異なっている。そのため、従来は、コイル11の端末にケーブル用金具12を装着する場合と、コイル11Aの端末に中性点用金具13を装着する場合とで、2種類の端子用金具装着装置を使い分けする必要があった。しかし、本実施形態では、以下に説明する一つの端子用金具装着装置14(図4等参照)を用いてパワーケーブル端子T1及び中性点端子T2の双方が形成される。
【0019】
次に、本実施形態の端子用金具装着装置14について、図4〜図14に従って以下説明する。なお、以下の説明において、「上下方向」をいう場合は図6における「上下方向」をいうものとし、「前後方向」をいう場合は図6における「左右方向」をいうものとする。また、「左右方向」をいう場合は図5における「左右方向」をいうものとする。
【0020】
図4〜図6に示すように、本実施形態の端子用金具装着装置14は、正面視及び側面視略矩形状をなす装置本体15を備えており、該装置本体15の前面側下部には台座部16が設けられている。この台座部16は、装置本体15において台座部16の直上となる部位が後面側へ抉られることにより形成されている。台座部16上には、前記ケーブル用金具12(及び中性点用金具13)を保持するための金具保持部材(金具保持部)17が止ネジ18(図6参照)により締付け固定されており、該金具保持部材17の上面には、ケーブル用金具12(及び中性点用金具13)が載置される載置用溝17a(図7参照)が凹み形成されている。
【0021】
また、前記装置本体15の前面側上部には、左右一対のガイド壁19が上下方向に沿って平行に延びるように形成されている。両ガイド壁19の前端面には、該両ガイド壁19の間を閉塞可能な縦長略矩形板状をなすガイドプレート20が複数(本実施形態では4つ)の止ネジ21により締付け固定されている。そして、このガイドプレート20の後面(裏面)20aと、前記両ガイド壁19の互いに対向する両内側面19aと、装置本体15の前面部15aのうち前記両ガイド壁19間に位置する部位とにより、装置本体15には上下方向に延びる摺動用孔22が囲み形成されている。
【0022】
前記摺動用孔22内には、該摺動用孔22に沿って上下方向に移動自在(摺動自在)な移動部材23が設けられている。この移動部材23は、前記両ガイド壁19の各内側面19a及びガイドプレート20の後面20aに摺接ガイドされながら上下方向に移動するようになっている。すなわち、移動部材23の後面と装置本体15における前記両ガイド壁19間に位置する前面部15aとの間には隙間15bが形成されている。
【0023】
前記ガイドプレート20の左右方向略中央には、上方から下方に向けて延びる長孔20bが形成されており、該長孔20b内の上下方向略中央には、ラッチ用ピン24が左右方向に架設されている。また、前記ガイドプレート20には、ラッチ用ピン24を支点として図6に実線の矢印で示す方向(A方向及びB方向)に回動可能なラッチ部材25が設けられている。
【0024】
このラッチ部材25においてラッチ用ピン24よりも下側となる端部(先端部)には係止部25aが形成されている。また、前記ラッチ部材25においてラッチ用ピン24よりも上側となる端部(基端部)と、ガイドプレート20の長孔20bの内面部位との間には、コイルバネ26が介装されている。そして、前記ラッチ部材25は、前記コイルバネ26の付勢力に基づき常には図6に実線の矢印で示すB方向に回動付勢され、前記係止部25aが移動部材23側に係合するようになっている。
【0025】
前記移動部材23は、図6に示すように、外周面に雄ねじを有するねじ棒27と、略四角柱形状をなすガイド軸28とを備えており、該ガイド軸28には、前記ねじ棒27の雄ねじに螺合可能な雌ねじを有するねじ孔28aが上下方向に貫通形成されている。また、ガイド軸28の前面側には、該ガイド軸28(移動部材23)が前記摺動用孔22に沿って最上方位置から最下方位置まで移動しても、前記ラッチ部材25の係止部25aが常に前記ねじ棒27に当接(係止)できるようにするためのラッチ用長孔28bが上下方向に沿うように形成されている。なお、前記ねじ棒27の上端には、略円柱形状をなす押込用ブロック29が固定されており、該押込用ブロック29の上面には、図示しない六角レンチを嵌入させるためのレンチ用穴29aが形成されている。
【0026】
一方、前記ねじ棒27の下端には、移動ブロック30が固定されており、該移動ブロック30には、前記金具保持部材17の載置用溝17a内に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を上方側(一方側)から下方側(他方側)に向けて押圧可能な押圧部31が形成されている。すなわち、この押圧部31は、前記ねじ棒27、ガイド軸28、押込用ブロック29、移動ブロック30等から構成される移動部材23が上方側から下方側へ移動した際に、前記金具保持部材17上に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を金具保持部材17側に向けて押圧するようになっている。また、前記移動ブロック30には、該移動ブロック30の左右両側面及び後面を覆うように断面略コ字状をなす収容ケース32が止ネジ33によって締付け固定されており、この収容ケース32により覆われていない移動ブロック30の下面の左右両側にはバネ用穴30aがそれぞれ形成されている。
【0027】
前記移動ブロック30の左右両側面と前記収容ケース32の左右内面との間には、上下方向に摺動可能な金具押止部材34が左右それぞれに配設されている。前記各金具押止部材34は、その上端の外向き係止部34aが収容ケース32の内面上部の段差部32aに上方から係止可能とされ、その下端の内向きフック部34bが前記各バネ用穴30a内に介在するコイルバネ35により下方へ向けて付勢支持されている。そして、前記押圧部31が前記金具保持部材17上に保持されているケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を押圧する場合には、前記各金具押止部材34が前記コイルバネ35の付勢力に基づきケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を金具保持部材17上において移動不能に押止するようになっている。
【0028】
また、前記移動ブロック30の後面(図6では右側の面)には支点ピン36が設けられている。そして、この支点ピン36から上方への延長線上で前記装置本体15の左右両ガイド壁19間となる前面部15aの位置(具体的には、ラッチ用ピン24の架設位置よりも上方位置であって且つ前記ガイドプレート20に形成された長孔20bの上端よりも下方位置)には支点ピン37が設けられている。これら両支点ピン36,37間には、引っ張りバネ38が掛装されており、この引っ張りバネ38の付勢力により前記移動ブロック30を含んでなる移動部材23が常には上方に付勢されるようになっている。すなわち、前記ラッチ部材25の係止部25aが移動部材23(詳しくはねじ棒27)に係合していない場合、移動部材23は前記摺動用孔22の摺動面(前記両ガイド壁19の両内側面19a及びガイドプレート20の後面20a)に沿って上方に移動するようになっている。
【0029】
前記移動ブロック30の前面側には、側断面略逆L字状をなす上側ケース39が設けられており、前記移動部材23(移動ブロック30)と共に上下方向に移動するようになっている。ちなみに、前記上側ケース39は、移動部材23が最上方位置(図9参照)まで移動した場合でも、前記ガイドプレート20には接触しないようになっている。また、前記装置本体15における台座部16の前面側には、側断面略L字状をなす下側ケース40が前記上側ケース39と上下方向において対応するように設けられている。
【0030】
そして、前記上側ケース39内及び下側ケース40内(すなわち、前記金具保持部材17の近傍で前記コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側となる位置)には、複数(本実施形態では4つ)のガイド部材41,42,43,44が設けられている。前記各ガイド部材41〜44は、上側ケース39内又は下側ケース40内において、上下方向への移動自在に、且つ前記金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内を通る対峙線S1(図7参照)を挟んで互いに接離する方向への移動自在に支持されている。
【0031】
ここで、前記各ガイド部材41〜44は、前記対峙線S1よりも上側に位置する上側ガイド部材(一方側ガイド部材)41,42と、前記対峙線S1よりも下側に位置する下側ガイド部材(他方側ガイド部材)43,44とに分類することができる。また、前記各ガイド部材41〜44は、前記対峙線S1を挟んで互いに接離する関係にあるガイド部材同士(ガイド部材41とガイド部材43、ガイド部材42とガイド部材44)を一組とした場合、前記コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側から奥側へ複数組(2組)が並設された構成になっている。本実施形態では、前記各ガイド部材41〜44のうち、前記上側ガイド部材41と下側ガイド部材43とが、前記コイル11,11Aの端末の挿入方向において最も手前側となる最前組のガイド部材となる。また、この最前組のガイド部材でもある前記上側ガイド部材41と下側ガイド部材43とが、前記上側ガイド部材42と下側ガイド部材44にとっては前記コイル11,11Aの端末の挿入方向で直前の組のガイド部材となる。
【0032】
また、前記各ガイド部材41〜44における前記対峙線S1側となる部位には、前記コイル11,11Aの端末を前記金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内に向けて挿入ガイド可能なガイド面41a,42a,43a,44aが形成されている。すなわち、両上側ガイド部材41、42の各下端部と両下側ガイド部材43,44の各上端部とには、前記コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側から奥側へ向かうほど次第に前記対峙線S1に近接する錐面形状のガイド面41a,42a,43a,44aが形成されている。
【0033】
そして、前記ガイド部材41とガイド部材43、及びガイド部材42とガイド部材44が各々互いに当接した場合には、図4に示すように、各ガイド面41a〜44aにより、コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側から奥側に向けて口径が次第に小径となるガイド孔45が形成されるようになっている。ちなみに、このガイド孔45は、上側ガイド部材42のガイド面42aと下側ガイド部材44のガイド面44aとで形成されるガイド孔45部分の奥側の口径がケーブル用金具12の内径に一致している。そして、上側ガイド部材41のガイド面41aと下側ガイド部材43のガイド面43aとで形成されるガイド孔45部分の奥側の口径が中性点用金具13の内径と一致するように構成されている。
【0034】
また、前記上側ガイド部材41の上端には、前記移動ブロック30の前面側に形成された段差部30bに上方から係合可能な係合片部41bが後側に向けて突出形成されており、該係合片部41bが前記段差部30bと係合することにより、上側ガイド部材41は前記移動ブロック30に対して下方への移動が規制されるようになっている。同様に、前記上側ガイド部材42の上端には、該上側ガイド部材42にとって直前の組のガイド部材となる前記上側ガイド部材41の後面側に形成された段差部41cに上方から係合可能な係合片部42bが前側に向けて突出形成されている。そして、係合片部42bが前記段差部41cと係合することにより、上側ガイド部材42は前記上側ガイド部材41(移動ブロック30)に対して下方への移動が規制されるようになっている。
【0035】
また、前記上側ケース39内には、前記上側ガイド部材41の係合片部41bと該係合片部41bの上方に位置する上側ケース39の内面部位との間に、上側ガイド部材41を下方に向けて付勢するコイルスプリング(付勢手段)46が介装されている。また、前記上側ガイド部材41の係合片部41bと上側ガイド部材42の係合片部42bとの間には、該上側ガイド部材42を下方に向けて付勢するコイルスプリング(付勢手段)47が介装されている。すなわち、前記最前組(及び直前組)のガイド部材である上側ガイド部材41と最前組以外のガイド部材である上側ガイド部材42とは、各上側ガイド部材41,42毎に個別対応するコイルスプリング46,47により各々下方へ向けて付勢されている。
【0036】
一方、前記下側ガイド部材43の下端には、前記台座部16の前面側に形成された段差部16aに下方から係合可能な係合片部43bが後側に向けて突出形成されており、該係合片部43bが前記段差部16aと係合することにより、下側ガイド部材43は前記台座部16に対して上方への移動が規制されるようになっている。同様に、前記下側ガイド部材44の下端には、該下側ガイド部材44にとって直前の組のガイド部材となる前記下側ガイド部材43の後面側に形成された段差部43cに下方から係合可能な係合片部44bが前側に向けて突出形成されている。そして、該係合片部44bが前記段差部43cと係合することにより、下側ガイド部材44は前記下側ガイド部材43(台座部16)に対して上方への移動が規制されるようになっている。
【0037】
また、前記下側ケース40内には、前記下側ガイド部材43の係合片部43bと該係合片部43bの下方に位置する下側ケース40の内面部位との間に、下側ガイド部材43を上方に向けて付勢するコイルスプリング(付勢手段)48が介装されている。また、前記下側ガイド部材43の係合片部43bと下側ガイド部材44の係合片部44bとの間には、該下側ガイド部材44を上方に向けて付勢するコイルスプリング(付勢手段)49が介装されている。すなわち、前記最前組(及び直前組)のガイド部材である下側ガイド部材43と最前組以外のガイド部材である下側ガイド部材44とは、各下側ガイド部材43,44毎に個別対応するコイルスプリング48,49により各々上方へ向けて付勢されている。
【0038】
ここで、前記移動ブロック30における押圧部31と、前記移動ブロック30の前面側において下方へ付勢支持された各上側ガイド部材41,42との相対的位置関係について説明する。
【0039】
まず、図7に示すように、前記金具保持部材17上にケーブル用金具12を保持した状態で、前記移動部材23(移動ブロック30)が下方へ移動し、両上側ガイド部材41,42の各下端部と両下側ガイド部材43,44の各上端部とが当接した場合、前記押圧部31とケーブル用金具12とは未だ当接しないようになっている。この場合、前記ガイド孔45の中心軸線でもある前記対峙線S1とケーブル用金具12の軸線Sとは上下方向において一致していない。そして、その状態から前記移動部材23(移動ブロック30)が各上側ガイド部材41,42で各下側ガイド部材43,44を下方へ押動しつつ更に下方へ移動した場合、図9に示すように、押圧部31とケーブル用金具12が当接するようになっている。そして、この場合には、移動部材23(移動ブロック30)の下方への移動に伴い各上側ガイド部材41,42が各下側ガイド部材43,44を下方へ押動しながら下方へ移動する結果、前記ガイド孔45の中心軸線でもある前記対峙線S1とケーブル用金具12の軸線Sとが上下方向において一致するようになっている。
【0040】
一方、図12に示すように、前記金具保持部材17に中性点用金具13を保持した状態で、前記移動部材23(移動ブロック30)が下方へ移動し、両上側ガイド部材41,42の各下端部と両下側ガイド部材43,44の各上端部とが当接した場合は、前記押圧部31と中性点用金具13とが当接するようになっている。そして、この場合には、前記ガイド孔45の中心軸線でもある前記対峙線S1と中性点用金具13の軸線Sとが上下方向において一致するようになっている。なお、この場合において、両上側ガイド部材41,42と両下側ガイド部材43,44とは、各下端部と各上端部とを互いに当接させただけの状態にあり、両上側ガイド部材41,42が両下側ガイド部材43,44を下方へ押動(押圧)していることはない。
【0041】
次に、本実施形態の端子用金具装着装置14において、コイル11,11Aの端末にケーブル用金具12及び中性点用金具13を装着する場合の作用について図8〜図13に従って説明する。まず、コイル11の端末にケーブル用金具12を装着する場合について説明した後、続けて、コイル11Aの端末に中性点用金具13を装着する場合について説明する。
【0042】
さて、コイル11の端末にケーブル用金具12を装着する場合には、まず、図8に示すように、ねじ棒27の上端に設けられた押込用ブロック29とガイド軸28の上端部との間に隙間が形成されるように、押込用ブロック29及びねじ棒27を図8に示すC矢印方向に向けて回動させることにより上方に移動させる。また、金具保持部材17の載置用溝17a内にケーブル用金具12を載置する。そして次に、移動部材23を摺動用孔22の内側面(両ガイド壁19の各内側面19a及びガイドプレート20の後面20a)に沿って下方に移動(摺動)させると、図9に示すように、最前組のガイド部材である上側ガイド部材41の下端部と下側ガイド部材43の上端部とが当接する。同様に、後側ガイド部材である上側ガイド部材42の下端部と下側ガイド部材44の上端部とが当接する。ただし、この場合において、前記各ガイド部材41〜44のガイド面41a〜44aによって形成されたガイド孔45の中心軸線でもある前記対峙線S1と前記ケーブル用金具12の軸線Sとは上下方向において一致していない。また、前記移動部材23の下端部に配設された移動ブロック30の押圧部31とケーブル用金具12とは当接していない。
【0043】
そして、その状態から、図10に示すように、前記押圧部31とケーブル用金具12とが当接する位置まで前記移動部材23(移動ブロック30)を下方に移動させると、前記各ガイド部材41〜44も下方に移動する。ここで、前記各ガイド部材41〜44は、それぞれ個別対応するコイルスプリング46〜49によって前記ガイド孔45の中心軸線でもある対峙線S1に向けて付勢されている。そのため、移動部材23(移動ブロック30)が下方に移動すると、上側ガイド部材41,42が下側ガイド部材43,44を下方に押動(押圧)するため、前記各下側ガイド部材43,44を付勢する各コイルスプリング48,49は収縮することになる。また、各上側ガイド部材41,42を付勢する各コイルスプリング46,47も、各下側ガイド部材43,44を上方に向けて付勢する各コイルスプリング48,49からの付勢力を受けることになるため、同様に収縮する。そして、前記移動ブロック30の押圧部31がケーブル用金具12に当接すると、前記ガイド孔45の中心軸線でもある対峙線S1とケーブル用金具12の軸線Sとが上下方向において一致する。
【0044】
すると次に、図11に示すように、前記コイル11の端末がガイド孔45内を前側(手前側)から後側(奥側)に向けて挿通され、ケーブル用金具12内にコイル11の端末が挿入される(図2(a)参照)。この際に、前記ケーブル用金具12の内径にほぼ等しいコイル11の直径と前記ガイド孔45の奥側の口径とは略同一径とされているため、後側ガイド部材である両ガイド部材42,44の対峙線S1側の端縁が該各ガイド部材42,44を付勢するコイルスプリング47,49の付勢力に基づき前記コイル11を挟持することになる。
【0045】
そして次に、前記押込用ブロック29に形成されたレンチ用穴29a内に六角レンチを嵌入し、押込用ブロック29(ロッド27)を六角レンチにより図8におけるD矢印方向に回動すると、ねじ棒27が下方へ螺進する。そのため、該ねじ棒27の下端に固定されている移動ブロック30が下方に向けて移動することにより、押圧部31が前記ケーブル用金具12を押圧する(すなわち、かしめる)。
【0046】
そして、ケーブル用金具12への押圧(かしめ)が終了すると、前記ラッチ部材25が図6におけるA矢印方向に向けて押圧されることにより、前記移動部材23(詳しくはねじ棒27)に係合していた係止部25aが該ねじ棒27から離間する。すると、前記移動部材23(移動ブロック30)は、引っ張りバネ38の付勢力に基づき、摺動用孔22の内側面(両ガイド壁19の各内側面19a及びガイドプレート20の後面20a)に沿って上方に移動する。その後、前記ケーブル用金具12をコイル11と共に金具保持部材17の載置用溝17a内から取り出すと、図2(b)に示すケーブル用金具12がかしめられた状態のコイル11の端末が得られる。そのため、フュージング工程が行われる前までに、前記コイル11を構成するワイヤ11aの端末が前記ケーブル用金具12から抜けることが抑制される。
【0047】
次に、コイル11Aの端末に中性点用金具13を装着する場合には、前記コイル11の端末にケーブル用金具12を装着する場合と同様に、押込用ブロック29及びねじ棒27をC矢印方向(図8参照)に向けて回動させることにより、押込用ブロック29とガイド軸28の上端部との間に隙間を形成する。また、金具保持部材17の載置用溝17a内に中性点用金具13を載置する。そして次に、移動部材23を摺動用孔22の内側面(両ガイド壁19の各内側面19a及びガイドプレート20の後面20a)に沿って下方に移動(摺動)させると、図12に示すように、最前組のガイド部材である上側ガイド部材41の下端部と下側ガイド部材43の上端部とが当接する。同様に、後側ガイド部材である上側ガイド部材42の下端部と下側ガイド部材44の上端部とが当接する。すると、この場合においては、前記押圧部31と中性点用金具13とが当接し、前記ガイド孔45の中心軸線でもある対峙線S1と中性点用金具13の軸線Sとが上下方向において一致する。
【0048】
そして次に、図13に示すように、前記コイル11Aの端末がガイド孔45内を前側(手前側)から後側(奥側)に向けて挿通され、中性点用金具13内にコイル11Aの端末が挿入される(図3(a)参照)。この際に、前記中性点用金具13の内径にほぼ等しいコイル11Aの直径と、上側ガイド部材41のガイド面41a及び下側ガイド部材43のガイド面43aで形成されるガイド孔45部分の奥側の口径とは略同一径とされている。そのため、図14に示すように、前側ガイド部材である両ガイド部材41,43の対峙線S1側の縁部が該各ガイド部材41,43を付勢するコイルスプリング46,48の付勢力に基づき前記コイル11Aを挟持することになる。
【0049】
また、コイル11Aの端部が後側ガイド部材である両ガイド部材42,44の各ガイド面42a,44aに沿って前記中性点用金具13内に挿入される際に、該各ガイド部材42,44は、前記対峙線S1を挟んで互いに離間する方向に移動する。すなわち、上側ガイド部材42は、コイル11Aの端部がガイド面42aに沿って後側(中性点用金具13内)に挿入される際に上方に押動される。同様に、下側ガイド部材44は、コイル11Aの端部がガイド面44aに沿って後側(中性点用金具13内)に挿入される際に下方に押動される。そして、コイル11Aの端部が金具保持部材17に保持された中性点用金具13内に挿入される際に、後側ガイド部材である両ガイド部材42,44の対峙線S1側の縁部が該各ガイド部材42,44を付勢するコイルスプリング47,49の付勢力に基づきコイル11Aを挟持することになる。
【0050】
そして次に、前記押込用ブロック29に形成されたレンチ用穴29a内に六角レンチを嵌入し、押込用ブロック29(ロッド27)を六角レンチによりD矢印方向(図8参照)に回動すると、ねじ棒27が下方へ螺進する。そのため、該ねじ棒27の下端に固定されている移動ブロック30が下方に向けて移動することにより、押圧部31が前記中性点用金具13を押圧する(すなわち、かしめる)。
【0051】
そして、中性点用金具13への押圧(かしめ)が終了すると、前記ラッチ部材25が図6におけるA矢印方向に向けて押圧されることにより、前記移動部材23(詳しくはねじ棒27)に係合していた係止部25aが該ねじ棒27から離間する。すると、前記移動部材23(移動ブロック30)は、引っ張りバネ38の付勢力に基づき、摺動用孔22の内側面(両ガイド壁19の各内側面19a及びガイドプレート20の後面20a)に沿って上方に移動する。その後、前記中性点用金具13をコイル11Aと共に金具保持部材17の載置用溝17a内から取り出すと、図3(b)に示す中性点用金具13がかしめられた状態のコイル11Aの端末が得られる。そのため、フュージング工程が行われる前までに、前記コイル11Aを構成するワイヤ11aの端末が前記中性点用金具13から抜けることが抑制される。
【0052】
従って、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内にコイル11,11Aの端末を挿入する際において、該端末がガイド部材41〜44のガイド面41a〜44aに当接(接触)した場合には、ガイド部材41〜44がコイル11,11Aの直径に応じて上下方向に移動する。すなわち、各ガイド部材41〜44は、対峙線S1から離れる方向へ移動しつつ、ガイド面41a〜44aに沿ってコイル11,11Aの端末を前記ケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内に挿入ガイドするようになっている。従って、大きさの異なる複数種類のコイル11,11Aの端末に対しても各々に対応するケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を容易に装着できる。
【0053】
(2)上側ガイド部材(一方側ガイド部材)41,42は、コイルスプリング(付勢手段)46などを介して移動部材23に支持されているため、該移動部材23と連動して上下動するようになっている。そのため、ケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を金具保持部材17に保持させる場合には、移動部材23を上方に移動させることにより、簡単に該金具保持部材17の載置用溝17aに載置することができる。また、コイル11,11Aの端末を金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内に挿入する際には、移動部材23を下方に移動させることにより、ガイド孔45の中心軸線でもある対峙線S1とケーブル用金具12(又は中性点用金具13)の軸線Sとを一致させることができる。しかも、各ガイド部材41〜44は、前記対峙線S1を挟んで上下方向にのみ移動可能な構成になっているため、各ガイド部材41〜44が様々な方向(例えば対峙線S1を挟んで放射方向)に移動する構成の場合に比して、構成を簡略化することができる。
【0054】
(3)各ガイド部材41〜44は、対峙線S1を挟んで互いに接離する関係にあるガイド部材41〜44同士を一組とした場合、前側ガイド部材となるガイド部材41,43と後側ガイド部材となるガイド部材42,44とが挿入方向に並設されている。そのため、コイル11Aの端末に中性点用金具13を装着させる場合には、後側ガイド部材である両ガイド部材42,44のガイド面42a,44aが形成するガイド孔45部分が押し広げられても、前側ガイド部材である両ガイド部材41,43の各ガイド面41a,43aが形成するガイド孔45部分が維持される。従って、コイル11Aの端末が中性点用金具13内に挿入される途中において、該コイル11Aの端末を形成する各ワイヤ11aがばらけるのを前側ガイド部材である両ガイド部材41,43を付勢するコイルスプリング46,48の付勢力に基づき抑制できる。
【0055】
また、後側ガイド部材である両ガイド部材42,44は、コイル11Aの直径に応じて、前記対峙線S1を挟んで互いに離間する方向に移動する。そして、前記ガイド部材42,44は、コイル11Aの端末が前記中性点用金具13内に挿入される際には該コイル11Aをコイルスプリング47,49の付勢力に基づき挟持する。従って、コイル11Aが金具保持部材17に保持されている中性点用金具13内に挿入される際における該コイル11Aの拡径(すなわち、各ワイヤ11aがばらけること)をより確実に抑制することができる。
【0056】
(4)コイル11Aの端末が金具保持部材17に保持された中性点用金具13内に挿入された場合、上側ガイド部材42を付勢するコイルスプリング47は、上側ガイド部材(後側ガイド部材)42を下方に付勢するだけではなく、上側ガイド部材(前側ガイド部材)41を上方に付勢することになる。同様に、下側ガイド部材44を付勢するコイルスプリング49は、下側ガイド部材(後側ガイド部材)44を上方に付勢するだけではなく、下側ガイド部材(前側ガイド部材)43を下方に付勢することになる。すなわち、前記コイルスプリング47,49による後側ガイド部材である各ガイド部材42,44への付勢力が分散されるため、該両ガイド部材42,44による前記コイル11Aの挟持力を緩和させることができる。換言すると、両ガイド部材42,44による前記コイル11Aへの剪断力を緩和できる。従って、後側ガイド部材であるガイド部材42,44によるコイル11Aへの剪断力を緩和したことにより、該コイル11Aの破損(例えば、各ワイヤ11aの断線等)を回避できる。
【0057】
(5)各ガイド部材41〜44は、移動部材23の下端部に設けられた押圧部31が金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を下方に押圧した場合、該押圧に伴い下方へケーブル用金具12(又は中性点用金具13)の軸線Sが移動する。従って、前記コイル11,11Aに曲げ応力が加わることを抑制することができる。
【0058】
(6)コイル11,11Aの端末は、各ガイド部材41〜44の対峙線S1と金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)の軸線Sとの位置合わせを行った状態で、ケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内に挿入される。そのため、コイル11,11Aの端末を前記ケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内へ確実に挿入できる。しかも、前記対峙線S1と前記ケーブル用金具12(又は中性点用金具13)の軸線Sとの位置合わせをした際には、移動部材23の押圧部31とケーブル用金具12(又は中性点用金具13)とが当接することになる。すなわち、かしめ準備(押圧準備)がされたことになる。そのため、一連の装置動作の中で効率良くケーブル用金具12(又は中性点用金具13)をかしめることができる。
【0059】
なお、前記実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・前記実施形態において、各ガイド部材41〜44の各ガイド面41a〜44aは、コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側から奥側に向かうほど次第に対峙線S1側に近接する面形状であれば、例えば、後側ガイド部材である両ガイド部材42,44の後端側が閉塞されていてもよい。すなわち、ガイド孔45の最奥部に円錐面の頂部が位置する面形状にガイド面41a〜44aを構成してもよい。
【0060】
・前記実施形態において、移動部材23は、押圧部31を備えない構成であってもよい。すなわち、図15に示すように、移動部材23とは別体構成の押圧部材31Aを設けて、該押圧部材31Aが、コイル11,11Aの挿入方向と直行する方向における一方側(例えば上方)から他方側(下方)に移動することにより、金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を押圧するようにしてもよい。さらには、このような押圧部材31Aをも設けない構成であってもよい。このように構成しても、端子用金具装着装置14では、該装置14内に挿入されたコイル11,11Aの端末にケーブル用金具12(又は中性点用金具13)を良好に装着させることはできる。
【0061】
・前記実施形態において、各ガイド部材41〜44は、金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内を通る対峙線S1を挟んで互いに接離する方向に移動するのであれば、例えば前記対峙線S1を挟んで互いに左右方向に移動するように構成してもよい。
【0062】
・前記実施形態において、上側ガイド部材41,42のうち後側ガイド部材となるガイド部材42を付勢するコイルスプリング47は、上側ケース39に支持固定されたものであってもよい。同様に、下側ガイド部材43,44のうち後側ガイド部材となるガイド部材44を付勢するコイルスプリング49は、下側ケース40に支持固定されたものであってもよい。
【0063】
・前記実施形態において、各ガイド部材は、対峙線S1を挟んで互いに接離する関係にあるガイド部材同士を一組とした場合、コイル11,11Aの端末の挿入方向手前側から奥側へ任意数の組(例えば3組以上)が並設されてもよい。または、1つの上側ガイド部材と該上側ガイド部材に対峙線S1を挟んで対峙する1つの下型ガイド部材とによる一組のみを備えた構成であってもよい。
【0064】
・前記実施形態において、各ガイド部材は、図15に示すように、左斜め上方に移動自在なガイド部材50,51と、右斜め上方に移動自在なガイド部材52,53と、左斜め下方に移動自在なガイド部材54,55と、右斜め下方に移動自在なガイド部材56,57であってもよい。このように構成しても、各ガイド部材50〜57は、金具保持部材17に保持されたケーブル用金具12(又は中性点用金具13)内を通る対峙線S1を挟んで互いに接離する方向に移動可能となる。また、この場合には、各ガイド部材50〜57の各ガイド面50a〜57aによって形成されたガイド孔45Aの対峙線S1に向けて該各ガイド部材50〜57を付勢するコイルスプリング58〜65が設けられることが望ましい。なお、図15においては、ガイド部材50,52,54,56が前側ガイド部材であり、ガイド部材51,53,55,57が後側ガイド部材である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態におけるモータのステータコアの平面図。
【図2】(a)は一相分のワイヤが束ねられたコイルの端末にケーブル用金具を装着した状態を示す斜視図、(b)はケーブル用金具がかしめられた状態を示す斜視図、(c)はコイルの端末がヒュ−ジングされた状態を示す斜視図。
【図3】(a)は全相分のワイヤが束ねられたコイルの端末に中性点用金具を装着した状態を示す斜視図、(b)は中性点用金具がかしめられた状態を示す斜視図、(c)はコイルの端末がヒュ−ジングされた状態を示す斜視図。
【図4】本実施形態における端子用金具装着装置の斜視図。
【図5】本実施形態における端子用金具装着装置の一部分を省略した一部破断正面図。
【図6】図5における6−6線矢視断面図。
【図7】図6の一部拡大断面図。
【図8】移動部材が最上方位置に位置し、ケーブル用金具が金具保持部材に保持された状態を示す側断面図。
【図9】金具保持部材に保持されたケーブル用金具と押圧部とが当接した状態を示す要部断面図。
【図10】金具保持部材に保持されたケーブル用金具内にコイルの端末が挿入された状態を示す要部断面図。
【図11】金具保持部材に保持されたケーブル用金具がかしめられた状態を示す要部断面図。
【図12】金具保持部材に保持された中性点用金具と押圧部とが当接した状態を示す要部断面図。
【図13】金具保持部材に保持された中性点用金具内に向けてコイルの端部が挿入される様子を示す要部断面図。
【図14】金具保持部材に保持された中性点用金具内にコイルの端部が挿入された状態を示す要部断面図。
【図15】別例のガイド部材を示す概略正面図。
【符号の説明】
【0066】
11…コイル(各相のコイル)、11A…コイル(全相分のワイヤが束ねられたコイル)、11a…ワイヤ、12…ケーブル用金具(パワーケーブル端子用の端子用金具)、13…中性点用金具(中性点端子用の端子用金具)、14…端子用金具装着装置、17…金具保持部材(金具保持部)、23…移動部材、30…移動ブロック、31…押圧部、31A…押圧部材、41…上側ガイド部材(最前組のガイド部材、直前の組のガイド部材、一方側ガイド部材)、42…上側ガイド部材(一方側ガイド部材)、43…下側ガイド部材(最前組のガイド部材、直前の組のガイド部材、他方側ガイド部材)、44…下側ガイド部材(他方側ガイド部材)、41a〜44a…ガイド面、46〜49…コイルスプリング(付勢手段)、50〜57…ガイド部材、50a〜57a…ガイド面、58〜65…コイルスプリング(付勢手段)、S…軸線(端子用金具の軸線)、S1…対峙線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の端子用金具を保持するための金具保持部を備え、該金具保持部に保持された端子用金具内に複数本のワイヤを束ねてなるコイルの端末が前記端子用金具の軸線方向に沿って挿入されることにより、前記コイルの端末に前記端子用金具が装着される端子用金具装着装置において、
前記金具保持部の近傍で前記コイルの端末の挿入方向手前側となる位置に、複数のガイド部材を、前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向への移動自在に、且つ前記金具保持部に保持された端子用金具内を通る対峙線を挟んで互いに接離する方向への移動自在に設け、該各ガイド部材を付勢手段により前記対峙線側に向けて付勢すると共に、該各ガイド部材における前記対峙線側となる部位には、前記コイルの端末の挿入方向手前側から奥側に向かうほど次第に前記対峙線側に近接する面形状のガイド面を形成した端子用金具装着装置。
【請求項2】
前記各ガイド部材は、前記対峙線から見て前記金具保持部とは反対側となる一方側に位置する一方側ガイド部材と、前記対峙線から見て前記金具保持部のある側となる他方側に位置する他方側ガイド部材とに分類され、前記一方側ガイド部材が前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向への移動自在に設けられた移動部材に対して前記付勢手段を介在させて支持されている請求項1に記載の端子用金具装着装置。
【請求項3】
前記各ガイド部材は、前記対峙線を挟んで互いに接離する関係にあるガイド部材同士を一組とした場合、前記コイルの端末の挿入方向手前側から奥側へ複数組が並設されており、前記付勢手段は、各組のガイド部材毎に個別対応するように複数設けられている請求項1又は請求項2に記載の端子用金具装着装置。
【請求項4】
前記各組のガイド部材のうち前記コイルの端末の挿入方向において最も手前側となる最前組のガイド部材以外のガイド部材は、該ガイド部材と前記コイルの端末の挿入方向で直前の組のガイド部材との間に介装された付勢手段により前記対峙線側に向けて付勢されている請求項3に記載の端子用金具装着装置。
【請求項5】
前記移動部材には、該移動部材の前記一方側から前記他方側への移動に伴い前記金具保持部に保持された端子用金具を前記金具保持部側に向けて押圧可能な押圧部が設けられている請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の端子用金具装着装置。
【請求項6】
前記押圧部は、前記移動部材の移動に伴い前記一方側ガイド部材と前記他方側ガイド部材との対峙線が前記金具保持部に保持された端子用金具の軸線と一致した場合に該端子用金具に当接する構成とされている請求項5に記載の端子用金具装着装置。
【請求項7】
前記金具保持部に保持された端子用金具を前記コイルの端末の挿入方向と直交する方向における一方側から他方側への移動に基づき前記金具保持部側に向けて押圧可能な押圧部材が設けられた請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の端子用金具装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−114390(P2006−114390A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301803(P2004−301803)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】