説明

端末装置、端末装置の制御プログラム

【課題】通話中においても、測位衛星からの衛星信号に基づく測位を継続的に行うことができる端末装置等を提供すること。
【解決手段】信号S1等を受信する信号受信手段32と、予め規定された増幅度において信号S1等を増幅する少なくとも1個の増幅手段34等と、を有する端末装置20であって、妨害信号CSの入力があるか否かを判断する妨害信号入力判断手段と、妨害信号入力判断手段の判断結果に基づいて、増幅手段34等の電源電圧を高くする電源電圧制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を受信する端末装置、端末装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
GPS受信機は、例えば、4個のGPS衛星からの衛星電波に乗せられた信号に基づいて、信号が各GPS衛星から発信された時刻とGPS受信機に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星とGPS受信機との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、現在時刻における各GPS衛星の位置を各GPS衛星の軌道情報(以後、エフェメリスと呼ぶ)によって算出し、各GPS衛星の軌道上の位置と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている(例えば、特許文献1)。
ところが、上述の衛星電波は、PN(Pseudo random noise code)符号によってPSK変調されているために、スペクトル幅が広がる。その結果、衛星電波の単位周波数あたりの電力は極めてわずかになる。
このため、例えば、GPS受信機と通信装置が一体となったGPS受信機付携帯電話機においては、衛星電波よりもはるかに電波強度の大きい送信電波がGPS受信機に受信されることによって、衛星電波のSNR(Signal to noise ratio)が劣化し、測位が不可能又は測位精度が低下する場合があった。
これに対して、GPS受信機付携帯電話機において、携帯電話機等の通信装置の作動状態に対応して、所定のタイミングでGPS装置の作動・停止を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−94436号公報(図6等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、警察機関や消防機関などの緊急通報先への通報等、通話中の通報者の位置情報の迅速な通知が重要な場合がある。
例えば、「総務省、情報通信審議会、情報通信技術分化会、緊急通報機能等高度化委員会」が平成16年5月に提出した「携帯電話からの緊急通報における発信者位置情報通知機能に係る技術的条件−緊急通報機能等高度化委員会 報告書(案)−」には、緊急通報時の初期段階に、所定の測位精度の位置情報を移動機が送出すべきことが記載されている。
ここで、GPS受信機付携帯電話機において、通話中にGPS装置を継続的に作動させずに、所定のタイミングでGPS装置の作動・停止を行うという制御をすると、通話者の位置を迅速に外部に通知することができない場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、通話中においても、測位衛星からの衛星信号に基づく測位を継続的に行うことができる端末装置及び端末装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、信号を受信する信号受信手段と、予め規定された増幅度において前記信号を増幅する少なくとも1個の増幅手段と、を有する端末装置であって、妨害信号の入力があるか否かを判断する妨害信号入力判断手段と、前記妨害信号入力判断手段の判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くする電源電圧制御手段と、を有することを特徴とする端末装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記端末装置は、前記妨害信号入力判断手段を有するから、前記妨害信号の入力があるか否かを判断することができる。そして、前記端末装置は、前記電源電圧制御手段を有するから、前記妨害信号入力判断手段の判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くすることができる。前記増幅手段の電源電圧を高くすることによって、許容妨害波電力が大きくなる。ここで許容妨害波電力とは、入力信号に対する出力信号の直線性(リニアリティー)を確保することができる電力を意味する。リニアリティーが確保されている状態においては、出力信号は歪むことがない。
前記端末装置は、前記電源電圧制御手段によって、前記妨害信号の入力がある場合には、前記増幅手段の電源電圧を高くして、許容妨害波電力を大きくすることができる。この結果として、前記妨害信号によって大きな電力が前記増幅手段に入力したとしても、前記増幅手段におけるリニアリティを確保することができ、前記増幅器からの出力信号が歪むことを防止することができる。
これにより、前記端末装置によれば、通話中においても、測位衛星からの衛星信号に基づく測位を継続的に行うことができる。
しかも、前記電源電圧制御手段は、前記妨害信号入力判断手段の判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くするから、前記妨害信号の入力があるときだけ、前記増幅手段の電源電圧を高くすることができる。このため、前記増幅手段の電源電圧を高くすることにともなう消費電力の増加を抑制することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記電源電圧制御手段は、最も前記信号受信手段に近い場所に配置される前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする端末装置である。
受信システムのトータルのNF(雑音指数)は、受信システムの入力端にある部品要素のNFが支配的な影響を有する。このため、受信機初段には、できるだけNFが小さくかつゲインの高い素子が使われている。
この点、第2の発明の構成によれば、前記電源電圧制御手段は、最も前記信号受信手段に近い場所に配置される前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっているから、NFが小さくかつゲインの高い素子を有効に活用することができる。
【0008】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、外部と通信する通信手段を有し、前記妨害信号入力判断手段は、前記通信手段の作動状態を判断することにより、前記妨害信号の入力があるか否かを判断する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0009】
第3の発明の構成によれば、前記妨害信号入力判断手段は、前記通信手段の作動状態を判断することにより、前記妨害信号の入力があるか否かを判断することができる。ここで、前記通信手段が作動中のときには、前記通信手段が送信信号を送信し、その送信信号が前記妨害信号として、前記信号受信手段に受信され、前記増幅手段に入力される場合がある。
この点、前記端末装置の前記妨害信号入力判断手段は、前記通信手段の作動状態を判断することにより、前記妨害信号の入力があるか否かを判断する構成となっているから、前記通信手段からの送信信号の影響を回避することができる。
【0010】
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が送信する送信信号の送信電力に応じて、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0011】
前記送信信号は前記妨害信号として前記増幅手段に入力される場合があるが、前記送信電力が大きいほど、前記増幅手段におけるリニアリティが劣化することを防止するために許容妨害波電力を大きくする必要がある。そして、許容妨害波電力を大きくするためには、前記増幅手段の電源電圧を高くすればよい。ここで、前記増幅手段の電源電圧は前記増幅手段におけるリニアリティが劣化しない程度に高くされればよいのであって、その程度を超えて電源電圧を高くすることは、電力を無駄に消費することになる。
この点、第4の発明の構成によれば、前記電源電圧制御手段は、前記送信電力に応じて、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっているから、電力を無駄に消費することを防止しつつ、前記送信電力が大きくなっても前記増幅手段におけるリニアリティを確保することができる。
【0012】
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明のいずれかの構成において、前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信している期間において、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0013】
前記通信手段が送信する前記送信信号に比べて、前記通信手段が外部から受信する通信信号の信号強度は小さい。このため、前記通信手段が作動中であっても、外部からの通信信号を受信している場合においては、その通信信号が前記妨害信号となったとしても、前記増幅手段におけるリニアリティが劣化することはない。
この点、第5の発明の構成によれば、前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信している期間において、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっているから、電力を無駄に消費することを防止しつつ、前記送信信号によって前記増幅手段におけるリニアリティが劣化することを回避することができる。
【0014】
第6の発明は、第3の発明又は第4の発明のいずれかの構成において、前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信する前に前記増幅手段の電源電圧を高くし、前記通信手段が前記送信信号の送信を終了した後に前記増幅手段の電源電圧を元に戻す構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0015】
第6の発明の構成によれば、前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信する前に前記増幅手段の電源電圧を高くし、前記通信手段が前記送信信号を終了した後に前記増幅手段の電源電圧を元に戻す構成となっているから、前記送信信号によって前記増幅手段におけるリニアリティが劣化することを確実に防止することができる。
【0016】
第7の発明は、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの構成において、前記妨害信号の各前記増幅手段に対する影響を示す妨害信号影響予想情報を格納する妨害信号影響予想情報格納手段を有し、前記電源電圧制御手段は、前記妨害信号影響予想情報に基づいて、各前記増幅手段の電源電圧を調整する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0017】
前記送信信号による各前記増幅手段に対する影響は、同一とは限らない。ここで、前記送信信号による影響を大きく受ける前記増幅手段ほど、その電源電圧を高くすることが好ましい。すなわち、各前記増幅手段ごとに、その電源電圧を調整することが好ましい。
この点、第7の発明の構成によれば、前記端末装置は、前記送信信号影響予想情報格納手段を有する。このため、前記電源電圧制御手段は、前記送信信号影響予想情報に基づいて、各前記増幅手段の電源電圧を調整することができる。
【0018】
前記目的は、第8の発明の構成によれば、コンピュータに、信号を受信する信号受信手段と、予め規定された増幅度において前記信号を増幅する少なくとも1個の増幅手段と、を有する端末装置が、妨害信号の入力があるか否かを判断する妨害信号入力判断ステップと、前記端末装置が、前記妨害信号入力判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くする電源電圧制御ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0019】
第8の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、前記増幅手段の電源電圧を高くすることにともなう消費電力の増加を抑制しつつ、通話中においても、測位衛星からの衛星信号に基づく測位を継続的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の端末20等を示す概略図である。
図1に示すように、端末20は、GPS装置30を有し、GPS衛星12a,12b,12c及び12dから信号S1,S2,S3及びS4を受信することができる。端末20は、端末装置の一例である。GPS衛星12a等は測位衛星の一例である。信号S1等は信号の一例である。
【0022】
端末20は、また、通信装置60を有し、通信基地局70、専用回線75及び通信基地局80を介して、端末90等と通信を行うことができる。通信装置60は、通信のための信号を通信基地局70から受信し、通信のための通信信号CSを通信基地局70に対して送信する。通信装置60は、外部と通信する通信手段の一例である。そして、通信信号CSは、送信信号の一例である。
端末20は、時分割で通信基地局70と通信するようになっている。
【0023】
なお、端末20及び90は例えば、携帯電話機であるが、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であってもよい。
また、GPS衛星12a等は、1個乃至3個であってもよいし、5個以上であってもよい。
【0024】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図2は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
【0025】
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)23、記憶装置24等が接続されている。記憶装置24は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0026】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置25、GPS装置30、通信装置60及び、表示装置62が接続されている。
図2に示すように、GPS装置30は、増幅器電源電圧制御装置58を有している。増幅器電源電圧制御装置58は、後述のAGC付LNA34等(図3参照)の電源電圧を制御するための構成である。
【0027】
図3は、端末20の要部の構成を示す概略図である。
図3は、端末20の要部であるGPS装置30及び通信装置60を示している。
図3に示すように、端末20は、GPSアンテナ32及びAGC(AutomaticGain Contoroller)付LNA(Low Noise Amplifier)34等を有する。
GPSアンテナ32はGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、フィルタ33に出力する。GPSアンテナ32は、信号受信手段の一例である。フィルタ33は、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタであり、受信予定の信号のみを通過させ、受信予定の信号以外の信号を阻止するように構成されている。
フィルタ33から出力された信号S1は、AGC付LNA34に入力される。
【0028】
AGC付LNA34は、入力された信号S1等を増幅し、フィルタ36に出力する。AGC付LNA34は、信号S1等を予め規定された増幅度(利得又はゲインとも呼ぶ)において増幅する増幅器である。このAGC付LNA34は、増幅手段の一例である。以後、AGC付LNA34等の利得と、信号S1等の増幅度を同義で使用する。端末20は、以下に説明するように、AGC付LNA34以外の増幅器を有する。すなわち、端末20は、少なくとも1個の増幅器を有している。
フィルタ36は、例えば、SAWフィルタであって、受信予定の信号のみを通過させ、受信予定の信号以外の信号を阻止するように構成されている。
ローカル発振器40は、ミキサ38にローカル信号を出力し、周波数を変換するダウンコンバータとして機能する。
【0029】
ミキサ38から出力された信号は、AGC付RFAMP42に入力される。AGC付RFAMP42もまた、増幅手段の一例である。
AGC付RFAMP42から出力された信号は、フィルタ44に入力される。フィルタ44は、例えば、SAWフィルタである。
フィルタ44から出力された信号は、直交検波器46に入力される。直交検波器46は、入力した信号を同相成分と直交成分に分離し、同相成分をAGC付増幅器48に出力し、直交成分をAGC付増幅器50に出力する。このAGC付増幅器48及びAGC付増幅器50もまた、増幅手段の一例である。
【0030】
上述のAGC付LNA34,AGC付RFAMP42、AGC付増幅器48及びAGC付増幅器50は、AGC制御装置(図示せず)によって指定された利得だけ入力した信号を増幅することによって、信号強度を調整する。以後、増幅器と呼ぶときは、AGC付LNA34,AGC付RFAMP42,AGC付増幅器48及びAGC付増幅器50を総称するものとする。
AGC制御装置(図示せず)は、ベースバンド部56による信号S1等の解析のために適切な信号レベルになるように、各AGC付LNA34等での利得を設定する。また、AGC制御装置(図示せず)は、ベースバンド部56による信号S1等の解析のために適切な信号レベルになるように、すべてのAGC付LNA34等による合計の利得を設定する。
【0031】
AGC付増幅器48から出力された信号はADC(Analog Digital Converter)52に入力され、AGC付増幅器50から出力された信号はADC54に入力される。ADC52及び54は、サンプリング周波数で、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0032】
ADC52等から出力されたデジタル信号は、ベースバンド部56に入力される。
ベースバンド部56は、デジタル信号として入力された信号S1と、予め保持している信号との相関を取って、各信号S1等を送信した各GPS衛星12a等を特定する。
また、ベースバンド部56は、GPS装置30が受信した各信号S1等の位相も特定する。
例えば、信号S1等は、各GPS衛星12a等によって異なるC/A(Clear and Acquision または Coarse and Access)コードである。ベースバンド部56は、予め保持している各GPS衛星12a等のC/Aコードと、入力されたC/Aコードとの相関をとる。
なお、ADC52等から出力されたデジタル信号は、AGC制御装置(図示せず)にも入力される。
【0033】
通信装置60からは、通信信号CSが送信される。この通信信号CSは、通信基地局70(図1参照)に対して送信するのであるが、端末20のGPSアンテナ32にも受信される場合がある。そして、通信信号CSの信号強度は、GPS衛星12a等からの信号S1等よりも信号強度が大きいから、通信信号CSがGPS装置30に入力されると、AGC付LNA34等の増幅器におけるリニアリティが劣化して、増幅器に入力される信号 S1等に比べて、増幅器から出力される信号S1等が歪み、SNRが劣化する。この結果、ベースバンド部56による解析が不可能になったり、解析の精度が劣化し、端末20による測位が不可能になったり、測位精度が低下したりする。このように、GPS衛星12a等からの信号S1等を受信する際に、通信信号CSは、妨害信号として作用する。すなわち、通信信号CSは、妨害信号の一例でもある。
以下、増幅器の増幅能力等について、図4及び図5を使用して説明する。
【0034】
図4は、信号強度の推移の一例を示す図である。
図5は、入力信号等の一例を示す図である。
図4に示すように、例えば、信号S1がGPSアンテナに入力して30dBmの信号強度において出力すると、フィルタ33(図3参照)において減衰し、AGC付LNA34によって増幅される。そして、信号S1は、フィルタ36において減衰し、AGC付RFAMP42によって増幅される。そして、信号S1は、フィルタ44において減衰し、直交検波器46に入力される。
図4に示すように、各増幅器ごとに、許容妨害波電力が規定されている。上述のように、許容妨害波電力とは、入力信号に対する出力信号の直線性(リニアリティー)を確保することができる電力を意味する。リニアリティーが確保されている状態においては、出力信号は歪むことがない。
【0035】
許容妨害波電力は、例えば、図5(a)に示す、−v1以上v1以下の電力値である。 図5(a)に示すように、入力信号Aの信号強度が、−v1以上v1以下であれば、リニアリティが確保されており、出力信号Bは歪むことはない。
ところが、図5(b)及び(c)に示すように、入力信号Aの信号強度が、−v1以上v1以下の範囲を超える場合には、出力信号は、図5(b)に示す仮想出力信号Cのようにはならない。図5(b)に示す仮想出力信号Cは、リニアリティが確保されており、入力信号Aが歪みなく増幅されたと仮定した場合の信号である。
実際には、入力信号Aの信号強度が、−v1以上v1以下の範囲を超える場合には、リニアリティが劣化し、出力信号は、図5(c)の実線で示す出力信号Bのように歪む。
図5(c)のように出力信号Bが歪むと、本来の入力信号Aとは異なる信号となる。このため、ベースバンド部56における解析処理が不可能となったり、解析精度が低下したりするのである。
ここで、端末20の通信装置60が作動中の場合には、GPS装置30(図3参照)には、信号S1等とともに通信信号CSが入力され、入力信号Aが、許容妨害波電力の範囲を超える場合がある。
これに対して、端末20は、以下に説明するように、通信装置60の作動中においては、増幅器の電源電圧を高くすることによって、許容妨害波電力を大きくし、リニアリティを確保することができる。
【0036】
図6は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図6に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図2のGPS装置30に対応するGPS部102、GPS装置30の構成要素である増幅器電源電圧制御装置58に対応する増幅器電源電圧制御部104、図2の通信装置60に対応する通信部106等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
【0037】
図6に示すように、端末20は、第2記憶部150に、衛星軌道情報152を格納している。衛星軌道情報152は例えば、すべてのGPS衛星12a等の概略軌道情報であるアルマナック(Almanac)152a及び各GPS衛星12a等の精密軌道情報であるエフェメリス(Ephemeris)152bを含む。衛星軌道情報152は、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づく測位を行うために使用される。
制御部100は、定期的にGPS部102によってGPS衛星12a等からの信号S1等を受信し、信号S1等からアルマナック及びエフェメリスを抽出するようになっている。アルマナックは例えば7日ごとに、エフェメリスは例えば4時間ごとに更新されており、常に有効な状態に維持されている。
【0038】
図6に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位プログラム112を格納している。測位プログラム112は、制御部100が、信号S1等に基づいて測位を行うためのプログラムである。
具体的には、制御部100はアルマナック152aを参照して、現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を特定する。そして、制御部100は、GPS部102によって、例えば、3個以上のGPS衛星12a等から信号S1等を受信し、信号S1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と端末20に到達した時刻との差である遅延時間によって、各GPS衛星12a等と端末20との間の距離である擬似距離を求める。そして、エフェメリス152bと、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている。
【0039】
図6に示すように、端末20は、第1記憶部110に、作動モード参照プログラム114を格納している。作動モード参照プログラム114は、制御部100が、通信装置60(図2参照)の作動状態を判断することによって、通信信号CSの入力があるか否かを判断するためのプログラムである。すなわち、作動モード参照プログラム114と制御部100は、妨害信号入力判断手段の一例である。
端末20においては、通信装置60が作動中の場合には、第2記憶部150の作動モード情報154が通話モードを示している。一方、通信装置60が停止中の場合には、第2記憶部150の作動モード情報154が非通話モードを示している。
そして、制御部100は、作動モード情報154を参照して、通信装置60の作動状態を判断するようになっている。
【0040】
図6に示すように、端末20は、第1記憶部110に、送信電力判断プログラム116を格納している。送信電力判断プログラム116は、制御部100が、通信装置60が送信する通信信号CSの送信電力を判断するためのプログラムである。すなわち、送信電力判断プログラム116と制御部100は、送信電力判断手段の一例である。
端末20の送信電力は、通信基地局70によって指示される。具体的には、通信基地局70は、端末20の位置が通信基地局70からの距離(伝搬損失)が大きいほど、送信電力が大きくなるように指示する。このようにして、通信基地局70は、受信する通信信号CSの信号強度が同一レベルになるように調整している。
通信基地局70は端末20に対して、通信信号CSの送信電力を指示するために、送信電力情報を送信する。端末20は、通信基地局70から受信した送信電力情報を、送信電力情報156として第2記憶部150に格納する。この送信電力情報156は、送信電力指示情報の一例である。
そして、制御部100は、送信電力情報156に基づいて、通信信号CSの送信電力を判断するようになっている。
【0041】
図6に示すように、端末20は、第1記憶部110に、電源電圧変更プログラム118を格納している。電源電圧変更プログラム118は、制御部100が上述の作動モード参照プログラム114によって測位装置60の作動状態に基づいて、GPS装置30に通信信号CSの入力あると判断した場合に、送信電力情報156に基づいて、最もGPSアンテナ32に近い場所に配置される増幅器であるAGC付LNA34の電源電圧を高くするためのプログラムである。すなわち、電源電圧変更プログラム118と制御部100は、電源電圧制御手段の一例である。
具体的には、例えば、送信電力情報156に示される送信電力に応じて、AGC付LNA34の電源電圧をその送信電力に応じて高くする。
【0042】
図7は、増幅器への入力電力等のシミュレーション結果の一例を示す図である。
例えば、AGC付LNA34は、電源電圧Vddが0.9ボルト(V)の場合には、入力電圧が約マイナス(−)20dBm以上になるとリニアリティが劣化し、出力電力の増加が頭打ちになる。そして、約マイナス(−)20dBmが、許容妨害波電力(P1dB)である。
これに対して、AGC付LNA34の電源電圧Vddを1.5ボルト(V)にすると、入力電圧が約マイナス(−)10dBm以上になるまではリニアリティが劣化せず、出力電力の増加が頭打ちにならない。
このように、電源電圧を高くすることによって、許容妨害波電力を大きくすることができる。
以上で説明したように、通信信号CSがGPS装置30に入力する場合であっても、AGC付LNA34等の増幅器の電源電圧を高くすることによって、リニアリティを確保することができ、出力信号が歪むことを防止することができる。
【0043】
なお、AGC付LNA34等の利得をコントロールする一般的な方法としては、例えば、可変相互コンダクタンス型、電流操作型、可変負荷帰還型(例えば、相川正義他著の「モノリシックマイクロ波集積回路」参照)等があるが、いずれも電源電圧は一定であるから許容妨害波電力は一定である。このため、許容妨害波電力を超える入力信号があると、リニアリティが劣化し、出力信号が歪む。
これに対して、端末20は、電源電圧を高くするから、増幅器を構成するトランジスタが破壊しない範囲であれば、許容妨害波電力そのものを大きくすることができる。
【0044】
また、制御部100は、電源電圧変更プログラム118に基づいて、通信装置60が通信信号CSを送信している期間において、増幅器の電源電圧を高くするようになっている。すなわち、上述のように、端末20は時分割で通信基地局70と通信するのであるが、端末20が通信信号CSを送信している期間においてのみ増幅器の利得を調整する。したがって、通信装置60が作動中であっても、通信装置60が通信基地局70から信号を受信している期間においては、増幅器の電源電圧は予め規定された基本設定値にする。
【0045】
端末20は、以上のように構成されている。
上述のように、端末20は、妨害信号としての通信信号CSの入力があるか否かを判断することができる。そして、端末20は、通信信号CSの入力があると判断した場合には、増幅器の電源電圧を高くすることができる。増幅器の電源電圧を高くすることによって、許容妨害波電力が大きくなる。
このように、通信信号CSの入力がある場合には、増幅器の電源電圧を高くして、許容妨害波電力を大きくすることができる。この結果として、通信信号CSによって大きな電力が増幅器に入力したとしても、リニアリティを確保することでき、増幅器は信号を歪むことなく増幅することができる。
これにより、端末20によれば、通話中においても、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づく測位を継続的に行うことができる。
測位を継続的に行うことができる結果、現在位置を示す情報を迅速に生成することができ、例えば、外部に通知することができる。
さらに、測位を継続的に行うことができるから、現在位置を示す情報を継続的に生成することができる。
【0046】
また、一般に、受信システムのトータルのNF(雑音指数)は、受信システムの入力端にある部品要素のNFが支配的な影響を有する。このため、受信機初段には、できるだけNFが小さくかつゲインの高い素子が使われている。
この点、端末20は、入力端であるGPSアンテナ32に近い場所に配置されるAGC付LNA34の電源電圧を高くする構成となっているから、NFが小さくかつゲインの高い素子を有効に活用することができる。
【0047】
また、端末20は、通信装置60の作動状態を判断することにより、通信信号CSの入力があるか否かを判断する構成となっているから、通信信号CSの影響を回避することができる。
しかも、端末20は、通信信号CSを送信している期間においてのみ、増幅器の電源電圧を高くすることができる。通信装置60が送信する通信信号CSに比べて、通信装置60が外部から受信する通信信号の信号強度は小さい。このため、通信装置60が作動中であっても、外部からの通信信号を受信している場合においては、その通信信号が妨害信号となったとしても、その影響は小さく、リニアリティを劣化させない。
この点、端末20は、通信装置60が通信信号CSを送信している期間において、増幅器の電源電圧を高くすることができるから、電力を無駄に消費することを防止しつつ、通信信号CSによって増幅器のリニアリティが劣化することを回避することができる。
【0048】
以上が本実施の形態に係る端末20の構成であるが、以下、その動作例を主に図8を使用して説明する。
【0049】
図8は端末20の動作例を示す概略フローチャートである。
まず、端末20は、通話モードか否かを判断する(図8のステップST1)。このステップST1は、妨害入力信号判断ステップの一例である。
ステップST1において、端末20が、通話モードではないと判断した場合には、増幅器の電源電圧を維持する(ステップST21)。
【0050】
これに対して、ステップST1において、端末20が、通話モードであると判断した場合には、送信電力情報を参照する(ステップST2)。
続いて、端末20は、GPSアンテナ23に最も近い位置に配置されているAGC付LNA34の電源電圧を高くする(ステップST3)。このステップST3は、電源電圧制御ステップの一例である。このステップST3によって、AGC付LNA34の許容妨害波電力を大きくすることによってリニアリティが劣化することを防止することができる。これにより、増幅器からの出力信号が歪むことを防止することができるから、ベースバンド部56(図3参照)による信号S1等の解析精度が低下することを防止することができる。この結果、端末20は、通話中においても、精度良く現在位置の測位をすることができる。
以上で説明したように、端末20によれば、通話中においても、測位衛星からの衛星信号に基づく測位を継続的に行うことができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における端末20Aの構成は、上記第1の実施の形態の端末20と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0052】
図9は、端末20Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図9に示すように、端末20は、第2記憶部150に、信号強度推移情報158を格納している。信号強度推移情報158は、例えば、図4に示す情報である。図4に示すように、信号強度推移情報158は、GPS装置30内における入力信号の信号強度の推移と、各増幅器の許容妨害波電力を示している。このため、信号強度推移情報158を参照することによって、例えば、30dBmの入力信号がAGC付LNA34に入力するときにAGC付LNA34の許容妨害波電力以内であるか否かを予想することができる。すなわち、信号強度推移情報158は、入力信号の増幅器に対する影響を示す情報である。
信号強度推移情報158は、例えば、入力信号が10dBm,20dBm,30dBm,40dBm,50dBmである場合等、複数の信号強度についてそれぞれ作成されている。ただし、図4においては、入力信号が30dBmの場合のみを示し、他の信号強度の場合については図示を省略している。
この信号強度推移情報158は妨害信号影響予想情報の一例であり、第2記憶部150は妨害信号影響予想情報格納手段の一例である。
【0053】
制御部100は、電源電圧変更プログラム118Aに基づいて、信号強度推移情報158を参照し、リニアリティが劣化すると予想される増幅器の電源電圧のみを高くするようになっている。
通信信号CSによる各増幅器に対する影響は、同一とは限らない。ここで、通信信号CSによる影響を大きく受ける増幅器ほど、その電源電圧を高くすることが好ましい。すなわち、各増幅器ごとに、その電源電圧を調整することが好ましい。
この点、端末20Aは、信号強度推移情報158に基づいて、各増幅器ごとに、電源電圧を調整することができる。
このため、リニアリティが劣化しないと予想される増幅器の電源電圧は維持されるから、GPS装置30全体としての消費電力の増加は最小限度になる。
【0054】
また、制御部100は、電源電圧変更プログラム118Aに基づいて、通信装置60が通信信号CSを送信する前に増幅器の電源電圧を高くし、通信装置60が通信信号CSの送信を終了した後に増幅器の電源電圧を元に戻すようになっている。
このため、端末20Aによれば、通信信号CSによって増幅器におけるリニアリティが劣化することを確実に防止することができる。
【0055】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の妨害信号入力判断ステップと、電源電圧制御ステップ等を実行させるための端末装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0056】
これら端末装置の制御プログラムをコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0057】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
また、端末20又は20Aは、短距離通信装置である例えば、Bluetooth(登録商標)を有し、Bluetoothが電波を送信するときに、上述の通信信号CSを送信するときと同様の制御をするようにしてもよい。なお、Bluetoothの場合、端末20等は、基地局70から電波の強度に関する情報は取得することができないが、予めBluetoothが発信する電波の電波強度を示す情報を取得しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態の端末等を示す概略図である。
【図2】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】GPS装置等を示す概略図である。
【図4】信号強度の推移の一例を示す図である。
【図5】入力信号等の一例を示す概略図である。
【図6】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図7】増幅器への入力電力等のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図8】端末の動作例を示す概略フローチャートである。
【図9】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0059】
20,20A,90・・・端末、34・・・AGC付LNA、42・・・AGC付RFAMP、58・・・増幅器電源電圧制御装置、60・・・通信装置、70,80・・・通信基地局、75・・・専用回線、112・・・測位プログラム、114・・・作動モード参照プログラム、116・・・送信電力判断プログラム、118,118A・・・電源電圧変更プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信する信号受信手段と、
予め規定された増幅度において前記信号を増幅する少なくとも1個の増幅手段と、
を有する端末装置であって、
妨害信号の入力があるか否かを判断する妨害信号入力判断手段と、
前記妨害信号入力判断手段の判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くする電源電圧制御手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記電源電圧制御手段は、最も前記信号受信手段に近い場所に配置される前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
外部と通信する通信手段を有し、
前記妨害信号入力判断手段は、前記通信手段の作動状態を判断することにより、前記妨害信号の入力があるか否かを判断する構成となっていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の端末装置。
【請求項4】
前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が送信する送信信号の送信電力に応じて、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信している期間において、前記増幅手段の電源電圧を高くする構成となっていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
前記電源電圧制御手段は、前記通信手段が前記送信信号を送信する前に前記増幅手段の電源電圧を高くし、前記通信手段が前記送信信号の送信を終了した後に前記増幅手段の電源電圧を元に戻す構成となっていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
前記妨害信号の各前記増幅手段に対する影響を示す妨害信号影響予想情報を格納する妨害信号影響予想情報格納手段を有し、
前記電源電圧制御手段は、前記妨害信号影響予想情報に基づいて、各前記増幅手段の電源電圧を調整する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の端末装置。
【請求項8】
コンピュータに、
信号を受信する信号受信手段と、予め規定された増幅度において前記信号を増幅する少なくとも1個の増幅手段と、を有する端末装置が、妨害信号の入力があるか否かを判断する妨害信号入力判断ステップと、
前記端末装置が、前記妨害信号入力判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記増幅手段の電源電圧を高くする電源電圧制御ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−340304(P2006−340304A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165838(P2005−165838)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】