説明

端末装置、通信制御方法、及び通信制御プログラム

【課題】通信会議中においてスムーズに秘匿会議が行える端末装置、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】
データ送信処理が実行されると、ポインタの位置が検出され(S31)、共有データ上にあるか否かが判断される(S32)。ポインタの位置が共有データ上にある場合(S32:YES)、秘匿領域が指示されているか否かが判断される(S33)。秘匿領域が指示されている場合(S33:YES)、指示された秘匿領域の暗号化情報が取得される(S34)。次いで、復号化情報が復号化情報記憶エリアから取得され(S35)、復号化レベルが、秘匿領域の暗号化レベル以上である場合(S36:YES)、秘匿会議通知が他の端末装置に対して送信される(S37)。そして、S34で取得された暗号化情報が他の端末装置に対して送信される(S38)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関するものであり、詳細には、秘匿会議が行える端末装置、通信制御方法、及び通信制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信会議装置がネットワークを介して接続し、同一の文書画像を複数の通信会議装置の間で共有し、通信会議を行うことができる通信会議装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の通信会議装置によれば、他の通信会議装置に対して共有する文書画像を送信する際、文書画像の隠したい任意領域を暗号化し、暗号化された領域を復号可能なパスワードを付加して送信することができる。文書画像を受信した通信会議装置では、パスワードが入力されることで、暗号化された領域を復号することができる。文書画像内に、特定の相手だけに開示したい情報がある場合には、その部分を暗号化した同一文書画像を各通信会議装置に送信し、特定の通信会議装置だけにパスワードを通知する。これにより、通信会議装置毎に文書画像を作成し、送信する必要がなくなるため、文書画像の送信作業が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−253158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の通信会議装置では、通信会議で共有される文書画像に対しては特定の通信会議装置のみで表示させることが可能であるが、ユーザに対して視聴させたい映像データ、及び音声データに関しては、通信会議装置を特定して送信する必要がある。これにより、通信会議中においてスムーズに秘匿会議が行えないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、通信会議中においてスムーズに秘匿会議が行える端末装置、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の端末装置は、他の複数の端末装置との間でネットワークを介して通信を制御する端末装置であって、情報を表示する表示画面に表示される、他の前記端末装置との共通のデータである共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための情報であり、前記端末装置毎に定められた前記秘匿データを復号化できるレベルである復号化レベルを含んだ復号化情報を取得する復号化情報取得手段と、ポインティングディバイスからの入力情報に基づいて前記表示画面に表示されるポインタの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段にて取得された前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿データが表示された秘匿領域内に存在するか否かを判断する第1判断手段と、前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿領域内に存在すると前記第1判断手段にて判断された場合、当該秘匿領域に表示された前記秘匿データを暗号化するために使用された暗号化のレベルである暗号化レベルを含んだ暗号化情報を取得する暗号化情報取得手段と、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記秘匿データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記秘匿データを復号化不可能であると判断する第2判断手段と、前記第2判断手段にて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報を他の前記端末装置に対して送信する第1送信手段と、他の前記端末装置から送信された前記暗号化情報を受信する第1受信手段と、前記第2判断手段にて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は前記第1受信手段にて前記暗号化情報を受信した場合、前記暗号化情報の前記暗号化レベルに基づいて、音声入力部から入力されたユーザの発話による音声データ、及び映像入力部から入力された映像データを暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段にて暗号化された前記音声データ、及び前記映像データを暗号化データとして他の前記端末装置に対して送信する第2送信手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の端末装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第2送信手段にて他の前記端末装置から送信された前記暗号化データを受信する第2受信手段と、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが前記第1受信手段にて受信された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが前記第1受信手段にて受信された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化不可能であると判断する第3判断手段と、前記第3判断手段にて前記暗号化データを復号化可能であると判断された場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化する復号化手段と、前記復号化手段にて復号化された前記映像データを、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、前記復号化手段にて復号化された前記音声データを、音声出力部に出力させる音声出力制御手段とを備えている。
【0008】
また、請求項3に係る発明の端末装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記表示制御手段は、前記第3判断手段にて前記暗号化データを復号化不可能であると判断された場合、他の前記端末装置の間で前記秘匿データに関して対話中である旨を示す情報を表示させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の端末装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記復号化情報取得手段は、他の複数の前記端末装置との間でネットワークを介して実施されるテレビ会議毎に、前記端末装置を識別する識別情報と前記復号化情報とが対応づけられて記憶された復号化情報記憶手段から、前記識別情報に基づいて前記復号化情報を取得することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の通信制御方法は、他の複数の端末装置との間でネットワークを介して通信を制御する端末装置によって処理される通信制御方法であって、情報を表示する表示画面に表示される、他の前記端末装置との共通のデータである共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための情報であり、前記端末装置毎に定められた前記秘匿データを復号化できるレベルである復号化レベルを含んだ復号化情報を取得する復号化情報取得ステップと、ポインティングディバイスからの入力情報に基づいて前記表示画面に表示されるポインタの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップにて取得された前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿データが表示された秘匿領域内に存在するか否かを判断する第1判断ステップと、前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿領域内に存在すると前記第1判断ステップにて判断された場合、当該秘匿領域に表示された前記秘匿データを暗号化するために使用された暗号化のレベルである暗号化レベルを含んだ暗号化情報を取得する暗号化情報取得ステップと、前記復号化情報取得ステップにて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記秘匿データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得ステップにて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記秘匿データを復号化不可能であると判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップにて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報を他の前記端末装置に対して送信する第1送信ステップと、他の前記端末装置から送信された前記暗号化情報を受信する第1受信ステップと、前記第2判断ステップにて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は前記第1受信ステップにて前記暗号化情報を受信した場合、前記暗号化情報の前記暗号化レベルに基づいて、音声入力部から入力されたユーザの発話による音声データ、及び映像入力部から入力された映像データを暗号化する暗号化ステップと、前記暗号化ステップにて暗号化された前記音声データ、及び前記映像データを暗号化データとして他の前記端末装置に対して送信する第2送信ステップとを備えている。
【0011】
また、請求項6に係る発明の通信制御プログラムは、請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る端末装置では、複数の端末装置の間での共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための復号化情報を取得する復号化情報取得手段を備えている。また、ポインティングディバイスの位置が、秘匿データが表示された秘匿領域内にある場合、秘匿データが暗号化された際の暗号化情報を取得する。そして、自身の復号化情報の復号化レベルが、取得された暗号化情報の暗号化レベル以上であると判断された場合、取得された暗号化情報を他の端末装置に対して送信する第1送信手段を備えている。また、第1送信手段にて送信された暗号化情報を他の端末装置から受信する第1受信手段を備えている。そして、秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は第1受信手段にて暗号化情報を受信した場合、取得した暗号化情報の暗号化レベルに基づいて自身の端末装置で取得した音声データ、及び映像データを暗号化して他の端末装置に対して送信する。これにより、自身の復号化レベルが、秘匿データを暗号化した際に使用された暗号化レベル以上である場合、自身のポインティングディバイスを秘匿データ上に移動させることで、他の端末装置との間で秘匿会議を実施することができる。その結果、テレビ会議が実施されている際にスムーズに秘匿会議を行うことができる。
【0013】
請求項2に係る端末装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、他の端末装置から送信された暗号化データを受信する第2受信手段を備えている。そして、第2受信手段にて受信した暗号化データを、自身が所有する復号化情報で復号化可能であれば復号化する。そして、復号化された映像データが表示制御手段にて表示画面に表示され、復号化された音声データが音声出力制御手段にて音声出力部に出力される。これにより、自身の所有する復号化情報の復号化レベルが、受信した暗号化データの暗号化レベル以上であれば、復号化レベルが自身の復号化レベル以上である他の端末装置との間で秘匿会議を実施することができる。その結果、テレビ会議が実施されている際にスムーズに秘匿会議を行うことができる。
【0014】
請求項3に係る端末装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第3判断手段にて受信した暗号化データが復号化不可能である場合、他の端末装置の間で秘匿データに関して対話中である旨を示す情報が表示される。これにより、他の端末装置の間で秘匿会議が行われていることを把握することができる。
【0015】
請求項4に係る端末装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、復号化情報取得手段は、テレビ会議毎に端末装置を識別する識別情報と復号化情報とが記憶された復号化情報記憶手段から、識別情報に基づいて復号化情報を取得する。これにより、予め決められて復号化情報記憶手段に記憶された情報から、自身の端末装置の識別情報に基づいて復号化情報を取得することができる。
【0016】
請求項5に係る通信制御方法では、複数の端末装置の間での共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための復号化情報を取得する復号化情報取得ステップを備えている。また、ポインティングディバイスの位置が、秘匿データが表示された秘匿領域内にある場合、秘匿データが暗号化された際の暗号化情報を取得する。そして、自身の復号化情報の復号化レベルが、取得された暗号化情報の暗号化レベル以上であると判断された場合、取得された暗号化情報を他の端末装置に対して送信する第1送信ステップを備えている。また、第1送信ステップにて送信された暗号化情報を他の端末装置から受信する第1受信ステップを備えている。そして、秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は第1受信ステップにて暗号化情報を受信した場合、取得した暗号化情報の暗号化レベルに基づいて自身の端末装置で取得した音声データ、及び映像データを暗号化して他の端末装置に対して送信する。これにより、自身の復号化レベルが、秘匿データを暗号化した際に使用された暗号化レベル以上である場合、自身のポインティングディバイスを秘匿データ上に移動させることで、他の端末装置との間で秘匿会議を実施することができる。その結果、テレビ会議が実施されている際にスムーズに秘匿会議を行うことができる。
【0017】
請求項6に係る通信制御プログラムでは、請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。従って、通信制御プログラムをコンピュータに実行させることにより、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通信制御システム1の接続形態の一例を示す図である。
【図2】端末装置100の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ200の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】会議情報テーブル2100の構成を示す模式図である。
【図5】モニタ170に表示されるテレビ会議画面171の一具体例を示す図である。
【図6】共有画像データ190において秘匿領域176,177を作成する際の模式図である。
【図7】モニタ170に表示されるテレビ会議画面171の一具体例を示す図である。
【図8】端末装置100で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図9】メイン処理から実行される秘匿会議開始処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図10】メイン処理から実行される暗号化情報受信処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】メイン処理から実行されるデータ送信処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図12】メイン処理から実行されるデータ出力処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図13】秘匿会議情報174が表示されたテレビ会議画面171の一具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態である通信制御システム1について、図面を参照して説明をする。まず、図1を参照して通信制御システム1の概要について説明する。
【0020】
図1に示すように、通信制御システム1では、複数の端末装置100がネットワーク2を介してサーバ200に接続されている。そして、端末装置100間で画像データ、及び音声データが互いに送受信されることでテレビ会議が実施される。図1では、端末装置100が3つ図示されているが、本発明では、ネットワーク2を介して複数の端末装置100間で送受信される音声、及び画像データが特定の端末装置100に公開されない会議(以下、「秘匿会議」という)が実施できればよく、端末装置100の接続数は3つ以上であればよい。端末装置100は、例えば、ある企業の同一サイト内に複数存在してもよいし、異なる事業所内や、異なる地域や国に点在して存在していてもよい。
【0021】
端末装置100は、例えば、周知のパーソナルコンピュータであり、汎用型の装置である。なお、この端末装置100には、テレビ会議で使用するための画像を外部から取得するためのカメラ150(図2参照)、テレビ会議の参加者の音声を外部から取得するためのマイク140(図2参照)が設けられている。また、画像データを外部に出力するためのモニタ170(図2参照)、音声データを外部に出力するためのスピーカ160(図2参照)が設けられている。
【0022】
また、サーバ200は、例えば、周知のパーソナルコンピュータであり、汎用型の装置である。なお、サーバ200のHDD204には、会議情報テーブル2100(図4参照)が記憶されており、テレビ会議で使用する音声データ、又は画像データの暗号化されたデータ(以下、「暗号化データ」という)を復号化するための情報(以下、「復号化情報」という)が、テレビ会議において通信を行う端末装置100毎に記憶されている。そして、サーバ200はテレビ会議が実行される際に各端末装置100からアクセスされ、各端末装置100に対応する復号化情報を各端末装置100に対して送信する。このとき使用される会議情報テーブル2100についての詳細は後述する。
【0023】
ここで、本実施の形態では、データを暗号化する手法として、比較的処理が高速である周知の秘密鍵暗号方式を使用する。また、秘密鍵暗号方式で使用するアルゴリズムとしては、周知のDES(Data Encryption Standard),又はトリプルDES(Data Encryption Standard)といったアルゴリズムを用いる。ここで、暗号化データを作成する際、暗号化に使用する情報(以下、「暗号化情報」という)、及び暗号化情報に含まれるレベル(以下、「暗号化レベル」という)に基づいてデータが暗号化される。また、暗号化データを復号化する際には、予め端末装置100毎に定められた復号化情報、及び復号化情報に含まれるレベル(以下、「復号化レベル」という)に基づいて暗号化データが復号化される。
【0024】
次に、図2のブロック図を参照して、端末装置100の電気的構成について説明する。図2に示すように、端末装置100は、端末装置100の制御を司るCPU101を備えている。そして、このCPU101には、ROM102、RAM103、ハードディスクドライブ(HDD)104、カウンタ105、計時装置106、入出力制御部107、及び通信制御部108が、バス111を介して接続されている。
【0025】
ROM102には、CPU101が実行するBIOSを起動させるプログラムや設定値が記憶されている。RAM103には、各種のデータが一時的に記憶される。HDD104には、端末装置100で実行される各種のプログラム等が記憶されている。また、HDD104には、他の端末装置100から受信したデータを復号化するための復号化情報を記憶するための復号化情報記憶エリア1000が含まれている。カウンタ105は、タイマとして機能し、時間を計測する。計時装置106は、内部時計として時間を計時する。
【0026】
入出力制御部107には、ユーザが操作の入力を行うためのキーボード120、マウス130が接続されている。また、入出力制御部107には、ユーザの発話による音声を取得するマイク140、及びテレビ会議で使用するための画像を取得するカメラ150が接続されている。また、入出力制御部107には、テレビ会議が実施されている時に、他の端末装置100から送信された音声データが出力されるスピーカ160、及び他の端末装置100から送信された画像データが表示されるモニタ170が接続されている。通信制御部108は、ネットワーク2を介して他の端末装置100との間でのデータの送受信を制御する。
【0027】
次に、図3のブロック図を参照して、サーバ200の電気的構成について説明する。図3に示すように、サーバ200は、サーバ200の制御を司るCPU201を備えている。そして、このCPU201には、ROM202、RAM203、ハードディスクドライブ(HDD)204、カウンタ205、表示制御部206、入力制御部207、計時装置208、及び通信制御部209が、バス211を介して接続されている。
【0028】
ROM202には、CPU201が実行するBIOSを起動させるプログラムや設定値が記憶されている。RAM203には、各種のデータが一時的に記憶される。HDD204には、サーバ200で実行される各種のプログラム等が記憶されている。また、HDD204には、会議情報テーブル2100(図4参照)を記憶する会議情報テーブル記憶エリア2000が含まれている。カウンタ205は、タイマとして機能し、時間を計測する。
【0029】
表示制御部206には、情報を表示するモニタ220が接続されている。入力制御部207には、ユーザが操作の入力を行うためのキーボード230、マウス240が接続されている。計時装置208は、内部時計として時間を計時する。通信制御部209は、ネットワーク2を介して端末装置100との間でのデータの送受信を制御する。
【0030】
次に、図4を参照して、会議情報テーブル2100について説明する。会議情報テーブル2100は、サーバ200のHDD204の会議情報テーブル記憶エリア2000に記憶されるテーブルである。この会議情報テーブル2100は、テレビ会議が実施される前に予めテレビ会議に参加する代表者によって、端末装置100からネットワーク2を介して登録されるテーブルである。
【0031】
会議情報テーブル2100には、会議ID欄に、共有データ欄、端末ID欄、及び復号化情報欄が含まれている。会議ID欄には、テレビ会議を識別する情報(以下、「会議ID」という)が記憶される。共有データ欄には、テレビ会議において各端末装置100の間で共有して表示される議題等が記述された画像データ(以下、「共有データ」という)のファイル名が記憶される。端末IDには、テレビ会議に参加するユーザが使用する端末装置100を識別する情報(以下、「端末ID」という)が記憶される。また、復号化情報欄には、テレビ会議において各端末IDで特定される端末装置100で使用される復号化情報が記憶される。ここで、例えば、会議IDが「会議1」で特定されるテレビ会議では、テレビ会議で使用される共有データのファイル名が「Data1_1.bmp」、「Data1_2.bmp」、及び「Data1_3.bmp」である。また、会議IDが「会議1」であるテレビ会議に参加するユーザが使用する端末装置100の端末IDは、「端末A」、「端末B」、及び「端末C」である。そして、会議ID「会議1」、及び端末IDが「端末A」に対応づけられた復号化情報は、「aaaaa1」である。会議ID「会議1」、及び端末IDが「端末B」に対応づけられた復号化情報は、「bbbbb1」である。会議ID「会議1」、及び端末IDが「端末C」に対応づけられた復号化情報は、「ccccc1」である。
【0032】
次に、図5を参照して、端末装置100のモニタ170に表示されるテレビ会議画面171について説明する。
【0033】
テレビ会議が実施されると各端末装置100のモニタ170には、図5に示すようなテレビ会議画面171が表示される。このテレビ会議画面171には、各端末装置100のカメラ150で撮影された画像データを表示する個別領域172が、端末装置100毎に設けられている。
【0034】
また、テレビ会議画面171内には、テレビ会議が実施された際に、共有データが表示される長方形状の共有表示領域173が設けられている。この共有データは、メイン処理(図8参照)が実行され、ユーザによりデータ取得指示が行われることにより、各端末装置100がサーバ200にアクセスし、サーバ200から取得される。そして、取得された共有データが共有表示領域173に表示される。共有表示領域173は、テレビ会議画面171上で固定されており、予めテレビ会議画面171の基準点からの相対座標で管理されている。ここで、例えば、図5のテレビ会議画面171において、基準点は左上の角とし、長方形状の共有表示領域173の各角の相対座標が管理されている。ここで、テレビ会議画面171の基準点から右方向をX軸の正方向とし、基準点から下方向をY軸の正方向とする。
【0035】
また、共有表示領域173に表示される共有データでは、代表者により予め、特定のユーザに対して秘匿に使用したい領域(以下、「秘匿領域」という)が指定される。指定された秘匿領域毎に、暗号化するレベル(以下、「暗号化レベル」という)に基づいて暗号化される。
【0036】
例えば、本実施の形態では、図6に示すように、テレビ会議の代表者が使用する端末装置100で作成された共有画像データ190において、秘匿領域176、及び177の指定が行われると、サーバ200に対して送信するための画像データが作成される。ここで、秘匿領域176、及び177の部分が抽出された画像データ190a、及び190bが作成される。そして、元の画像データである共有画像データ190と、抽出された画像データ190a、190bとの間で各画素間の排他的論理和演算が実行され、秘匿領域176、及び177が削除された画像データ190cが作成される。
【0037】
上述した例では、画像データ190a〜190cが、他の端末装置100に対して共有データとしてサーバ200から送信される画像データとなる。その際、秘匿領域176、177を含んだ画像データ190a、及び190bには、秘匿領域176、及び177に指定された領域を特定する座標値の情報(以下、「秘匿領域情報」という)、暗号化する際に使用した情報(以下、「暗号化情報」という)が付加されて送信されるものとする。ここで、暗号化情報には、暗号化レベルも含まれているものとする。なお、秘匿領域情報の四隅の角の座標は、画像データの基準位置からの相対座標で管理されている。ここで、画像データの左上の角を基準点とし、基準点から右方向をX軸の正方向とし、基準点から下方向をY軸の正方向とする。
【0038】
なお、上述した例の画像データ(190a〜190c)を受信した他の端末装置100は、自身がサーバ200から取得した復号化情報に基づいて、暗号化された画像データ190a、190bに対して復号化の処理を行う。そして、受信した画像データ190cに対して、復号化した画像データ(190a,190b)を合成することにより、共有データを復元する。そして、復元した共有データを共有表示領域173に表示する。
【0039】
なお、復号化できない画像データ(190a,190b)に対しては、図7に示すように、復号化できない秘匿領域177を含んだ画像データが合成され、共有データとして共有表示領域173に表示される。
【0040】
また、テレビ会議画面171には、自身の端末装置100のマウスカーソルの画像175(以下、「カーソル画像」という)が表示される。
【0041】
次いで、図8を参照して、端末装置100で実行されるメイン処理について説明する。ここで、図8のメイン処理は、端末装置100においてテレビ会議のアプリケーションが起動された際にCPU101により実行される処理である。なお、テレビ会議のアプリケーションが停止された際は、図8のメイン処理は自動的に終了するものとする。また、テレビ会議のアプリケーションで実行される他の処理は、他のプロセスで実行されているものとし、その説明を省略する。
【0042】
図8のメイン処理が開始されると、データ取得指示がされたか否かが判断される(S11)。この判断処理は、端末装置100のユーザによりデータ取得画面(図示外)に表示されたデータ取得ボタン(図示外)が指示されたか否かで判断される。データ取得ボタンは、サーバ200に予め登録された会議情報テーブル2100からテレビ会議で使用する共有データ、及び復号化情報を取得するために指示されるボタンである。なお、データ取得画面において、テレビ会議に参加するユーザが使用する端末装置100の端末ID、及びユーザが参加するテレビ会議の会議IDが指定されることで、データ取得ボタンの制御が有効となる。
【0043】
データ取得指示が行われたと判断された場合(S11:YES)、つまり、データ取得ボタンが指示された場合、データ取得画面で指定されたテレビ会議の会議ID、及び自身の端末IDがサーバ200に対して送信される(S12)。そして、処理がS11へ移行する。
【0044】
また、データ取得指示がされていないと判断された場合(S11:NO)、つまり、データ取得ボタンが指示されていない場合、サーバ200から共有データ、及び復号化情報、及び他端末IDが受信されたか否かが判断される(S13)。ここで、他端末IDとは、S12で送信した会議IDで特定されるテレビ会議が実行された際に、通信を行う他の端末装置100を識別する端末IDである。また、共有データ、及び自身に対応する復号化情報は、S12の処理で送信された会議ID、及び端末IDに対応した情報である。例えば、サーバ200のHDD204の会議情報テーブル記憶エリア204に記憶される会議情報テーブル2100が図4に示すものであり、S12の処理で送信された会議IDが「会議2」、端末IDが「端末A」であるなら、サーバから受信する共有データは、「Data2_1.bmp」,及び「Data2_2.bmp」、復号化情報は「aaaaa2」となる。また、他端末IDは「端末B」、及び「端末C」となる。
【0045】
共有データ、復号化情報、及び他端末IDが受信されていないと判断された場合(S13:NO)、処理がS11へ移行する。そして、データ取得指示が行われるか、共有データ、復号化情報、及び他端末IDが受信されるまで、S11、S13の処理が行われる。
【0046】
共有データ、復号化情報、及び他端末IDが受信されたと判断された場合(S13:YES)、つまり、S12で送信した会議ID、及び端末IDに対応した共有データ、及び復号化情報がサーバ200から受信されたと判断された場合、受信した復号化情報が取得される(S14)。そして、取得された復号化情報がHDD104の復号化情報記憶エリア1000に記憶され、受信した他端末IDがRAM103の他端末ID記憶エリア(図示外)に記憶される(S15)。
【0047】
次いで、受信した共有データが秘匿領域を含む場合、受信した復号化情報で復号化される(S16)。つまり、受信した共有データが、図6に示すように複数の画像データ(190a〜190c)から構成される場合、それぞれの画像データに対して、受信した復号化情報で復号化される処理が行われる。ここで、受信した復号化情報に含まれる復号化レベルが、受信した画像データを暗号化した暗号化情報に含まれる暗号化レベル以上であれば、画像データは復号化される。
【0048】
そして、受信した共有データが複数の画像データから構成された暗号化データである場合、復号化されたそれぞれの画像データが合成され、共有データとして共有表示領域173に表示される(S17)。その際、復号化できない画像データが存在する場合、図7に示すように暗号化されたままの状態で合成され、共有表示領域173に表示される。
【0049】
また、共有データが複数の画像データ(190a〜190c)から構成される場合、受信したそれぞれの画像データに対応する秘匿領域、及び暗号化情報が互いに対応づけられて、RAM103の画像データ関連情報記憶エリア(図示外)に記憶される。なお、画像データ関連情報記憶エリアは、異なったプロセス間で情報を共有するための共有メモリ領域である。
【0050】
そして、秘匿会議開始処理(図9参照)、暗号化情報受信処理(図10参照)、データ送信処理(図11参照)、及びデータ出力処理(図12参照)が実行され(S18)、処理がS11へ移行する。これらの処理は、メイン処理から起動されるプロセスで実行される処理である。メイン処理を実行しているプロセスが親プロセスとなり、秘匿会議開始処理、暗号化情報受信処理、データ送信処理、及びデータ出力処理が実行されるプロセスが子プロセスとなる。これらの処理の詳細については後述する。
【0051】
次に、図9を参照して、秘匿会議開始処理について説明する。ここで、図9の秘匿会議開始処理は、図8のメイン処理のS18の処理が行われることで、子プロセスとして動作する。なお、秘匿会議開始処理は、図8のメイン処理が終了する際に自動的に終了するものとする。
【0052】
秘匿会議開始処理が実行されると、マウス130により制御されるポインタの位置が検出される(S31)。ここでは、テレビ会議画面171上の基準点からのポインタの相対座標が検出される。そして、ポインタの位置が共有データ上にあるか否かが判断される(S32)。この判断処理は、検出されたポインタの座標が、共有データが表示された共有表示領域173内に含まれるか否かで判断される。ポインタの位置が共有データ上にないと判断された場合(S32:NO)、つまり、ポインタの座標が、共有データが表示された共有表示領域173内に含まれないと判断された場合、処理がS31へ移行する。
【0053】
ポインタの位置が共有データ上にあると判断された場合(S32:YES)、つまり、ポインタの座標が、共有データが表示された共有表示領域173内に含まれると判断された場合、秘匿領域が指示されているか否かが判断される(S33)。つまり、共有表示領域173に表示されている共有データにおいて、ポインタの座標が、暗号化された秘匿領域内に含まれるか否かで判断される。
【0054】
秘匿領域が指示されていないと判断された場合(S33:NO)、つまり、ポインタの座標が、暗号化された秘匿領域内に含まれないと判断された場合、処理がS31へ移行する。
【0055】
秘匿領域が指示されていると判断された場合(S33:YES)、つまり、ポインタの座標が、暗号化された秘匿領域内に含まれていると判断された場合、指示された秘匿領域の暗号化情報が取得される(S34)。ここで、指示された秘匿領域に対応する暗号化情報がRAM103の画像データ関連情報記憶エリアから取得される。そして、取得された暗号化情報はRAM103の暗号化情報記憶エリア(図示外)に記憶される。なお、この暗号化情報記憶エリアは、異なったプロセス間で情報を共有するための共有メモリ領域である。次いで、復号化情報がHDD104の復号化情報記憶エリア1000から取得される(S35)。
【0056】
次いで、復号化レベルが、秘匿領域の暗号化レベル以上であるか否かが判断される(S36)。ここで、この復号化レベルは、S35で取得された復号化情報に含まれるものであり、暗号化レベルはS34で取得された暗号化情報に含まれるものである。
【0057】
復号化レベルが、秘匿領域の暗号化レベル以上であると判断された場合(S36:YES)、秘匿会議通知がテレビ会議において通信を行っている他の端末装置100に対して送信される(S37)。秘匿会議通知は、秘匿会議を実施する際に他の端末装置100に対して送信される情報である。ここで、秘匿会議通知を送信する他の端末装置100は、RAM103の他端末ID記憶エリアに記憶されている他端末IDで特定される端末装置100である。なお、この秘匿会議通知を受信した端末装置100は、RAM103の秘匿会議通知記憶エリア(図示外)に秘匿会議通知を記憶する。また、秘匿会議通知を送信した端末装置100の秘匿会議通知記憶エリアにも秘匿会議通知が記憶される。なお、この秘匿会議通知記憶エリアは、異なったプロセス間で情報を共有するための共有メモリ領域である。
【0058】
ここで、秘匿会議通知を送信した端末装置100において、マウス130により制御されるポインタの位置が秘匿会議通知を送信した際に指示していた秘匿領域から外れた場合、他端末IDで特定される端末装置100に対して、秘匿会議を中止する旨の情報である秘匿会議中止信号を送信する。秘匿会議中止信号を受信した端末装置100では、RAM103の秘匿会議通知記憶エリア(図示外)に秘匿会議通知が記憶されていれば、その秘匿会議通知が削除される。また、RAM103の暗号化情報記憶エリアに暗号化情報が記憶されていれば、その暗号化情報が削除される。これにより、秘匿会議を開始したユーザが、マウス130により制御されるポインタを秘匿領域から外すことで、容易に秘匿会議を中止することできる。
【0059】
次いで、S34で取得された暗号化情報がテレビ会議において通信を行っている他の端末装置100に対して送信される(S38)。ここで、暗号化情報が送信される他の端末装置100は、RAM103の他端末ID記憶エリアに記憶されている他端末IDで特定される端末装置100である。また、暗号化情報を送信した端末装置100のRAM103の暗号化情報記憶エリア(図示外)に暗号化情報が記憶される。なお、この暗号化情報記憶エリアは、異なったプロセス間で情報を共有するための共有メモリ領域である。そして、処理がS31へ移行する。
【0060】
次に、図10を参照して、暗号化情報受信処理について説明する。ここで、図10の暗号化情報受信処理は、図8のメイン処理のS18の処理が行われることで、子プロセスとして動作する。なお、暗号化情報受信処理は、図8のメイン処理が終了する際に自動的に終了するものとする。
【0061】
暗号化情報受信処理が実行されると、暗号化情報が受信されたか否かが判断される(S41)。なお、この暗号化情報は、秘匿会議開始処理で他の端末装置100から送信される(図9:S38)。暗号化情報が受信されていないと判断された場合(S41:NO)、処理がS41へ戻り、暗号化情報が受信されるまで処理が繰り返し行われる。
【0062】
暗号化情報が受信されたと判断された場合(S41:YES)、受信した暗号化情報がRAM103の暗号化情報記憶エリアに記憶される(S42)。上述したように、暗号化情報記憶エリアは異なったプロセス間で情報を共有するための共有メモリ領域である。そして、処理がS41へ移行する。
【0063】
次に、図11を参照して、データ送信処理について説明する。ここで、図11のデータ送信処理は、図8のメイン処理のS18の処理が行われることで、子プロセスとして動作する。なお、データ送信処理は、図8のメイン処理が終了する際に自動的に終了するものとする。
【0064】
データ送信処理が実行されると、音声、又は映像データの入力があったか否かが判断される(S51)。ここで、音声データは端末装置100のマイク140から取得される。また、映像データは端末装置100のカメラ150から取得される。音声、又は映像データの入力がなかった場合(S51:NO)、処理がS51へ移行し、音声、又は映像データの入力があるまでS51の処理が繰り返し行われる。
【0065】
音声、又は映像データの入力があったと判断された場合(S51:YES)、秘匿会議中か否かが判断される(S52)。つまり、RAM103の秘匿会議通知記憶エリアに秘匿会議通知が記憶されているか否かで判断される。
【0066】
秘匿会議中であると判断された場合(S52:YES)、つまり、RAM103の秘匿会議通知記憶エリアに秘匿会議通知が記憶されている場合、暗号化情報が取得される(S53)。この暗号化情報はRAM103の暗号化情報記憶エリアに記憶されている情報である。
【0067】
ついで、S53で取得した暗号化情報、及び暗号化情報の暗号化レベルに応じて、取得された音声データ、又は映像データが暗号化される(S54)。そして、暗号化された音声データ、又は映像データが、テレビ会議において通信を行っている他の端末装置100に対して送信される(S55)。ここで、暗号化された音声データ、又は映像データが送信される他の端末装置100は、RAM103の他端末ID記憶エリアに記憶されている他端末IDで特定される端末装置100である。次いで、処理がS51へ移行する。
【0068】
また、秘匿会議中でないと判断された場合(S52:NO)、処理がS55へ移行し、入力が行われた音声データ、又は映像データが、テレビ会議において通信を行っている他の端末装置100に対して送信される。つまり、秘匿会議が実施されていない場合は、入力が行われた音声データ、又は映像データは暗号化されずに他の端末装置100に対して送信される。
【0069】
次に、図12を参照して、データ出力処理について説明する。ここで、図12のデータ出力処理は、図8のメイン処理のS18の処理が行われることで、子プロセスとして動作する。なお、データ出力処理は、図8のメイン処理が終了する際に自動的に終了するものとする。
【0070】
データ出力処理が実行されると、音声、又は映像データが他の端末装置100から受信されたか否かが判断される(S61)。この音声、又は映像データは図11のデータ送信処理のS55の処理で、他の端末装置100から送信される。音声、又は映像データが他の端末装置100から受信されていないと判断された場合(S61:NO)、処理がS61へ移行する。つまり、音声、又は映像データが他の端末装置100から受信されるまでS61の処理が行われる。
【0071】
音声、又は映像データが他の端末装置100から受信されたと判断された場合(S61:YES)、受信したデータが暗号化されたデータか否かが判断される(S62)。つまり、他の端末装置100から送信された暗号化情報が、RAM103の暗号化情報記憶エリアに記憶されているか否かで判断される。
【0072】
受信したデータが暗号化されたデータであると判断された場合(S62:YES)、つまり、暗号化情報がRAM103の暗号化情報記憶エリアに記憶されている場合、復号化情報がHDD104の復号化情報記憶エリア1000から取得される(S63)。
【0073】
次いで、受信したデータが復号化可能であるか否かが判断される(S64)。つまり、S63で取得した復号化情報の復号化レベルが、受信したデータに含まれる暗号化レベル以上であるか否かが判断される。受信したデータが復号化可能であると判断された場合(S64:YES)、つまり、S63で取得した復号化情報の復号化レベルが、受信したデータに含まれる暗号化レベル以上であると判断された場合、受信したデータが復号化情報に基づいて復号化される(S65)。
【0074】
ついで、復号化された音声、又は映像データの出力が行われる(S66)。ここで、音声データが復号化された場合、復号化された音声データは端末装置100のスピーカ160から出力される。また、映像データが復号化された場合、復号化された映像データは映像データを送信した端末装置100に対応する個別領域172に表示される。そして、処理がS61へ移行する。
【0075】
また、受信したデータが復号化不可能であると判断された場合(S64:NO)。つまり、S63で取得した復号化情報の復号化レベルが、受信したデータに含まれる暗号化レベル未満である場合、図13に示すように、テレビ会議画面171に秘匿会議中である旨を示すメッセージである秘匿会議情報174が表示される(S67)。その際、暗号化されたデータを送信した端末装置100に対応する個別領域172は、非表示状態となる。そして、処理がS61へ移行する。なお、図13に示すテレビ会議画面171は、端末IDが「端末C」で特定される端末装置100において、端末IDが「端末A」で特定される端末装置100、及び端末IDが「端末B」で特定される端末装置100の間で秘匿会議が行われている状態を示している。これにより、他の端末装置100の間で秘匿会議が行われていることを把握することができる。
【0076】
また、受信したデータが暗号化されたデータでないと判断された場合(S62:NO)、つまり、暗号化情報がRAM103の暗号化情報記憶エリアに記憶されていない場合、受信したデータである音声データ、又は映像データがそのまま出力される(S66)。ここで、音声データは端末装置100のスピーカ160から出力される。また、映像データは映像データを送信した端末装置100に対応する個別領域172に表示される。そして、処理がS61へ移行する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態ではテレビ会議が実行され、秘匿領域176,177を含んだ共有データが表示された共有表示領域173に、自身のマウスカーソルを移動させると、秘匿領域176,177を暗号化した際に使用した暗号化情報が取得される。そして、自身の端末装置100がサーバ200から取得した復号化情報の暗号化レベルが、復号化情報の復号化レベル以上であれば、秘匿会議通知、及び暗号化情報が他の端末装置100に対して送信される。また、秘匿会議通知、及び暗号化情報を受信した他の端末装置100は、外部から取得した音声データ、又は映像データを、受信した暗号化情報に基づいて暗号化し、他の端末装置100に対して送信する。暗号化された音声データ、又は映像データを受信した端末装置100は、自身が記憶している復号化情報で復号化可能であれば復号化し、出力する。これにより、テレビ会議において秘匿会議が実施される。その結果、自身の復号化レベルが、秘匿データを暗号化した際に使用された暗号化レベル以上である場合、自身のポインティングディバイスを秘匿データ上に移動させることで、他の端末装置100との間で秘匿会議を実施することができる。その結果、テレビ会議中にスムーズに秘匿会議を行うことができる。
【0078】
マイク140が「音声入力部」に相当し、カメラ150が「映像入力部」に相当する。CPU101が実行する図8のS14の処理が「復号化情報取得手段」、及び「復号化情報取得ステップ」に相当する。CPU101が実行する図9のS31の処理が「位置情報取得手段」、及び「位置情報取得ステップ」に相当する。CPU101が実行する図9のS33の処理が「第1判断手段」、及び「第1判断ステップ」に相当する。CPU101が実行する図9のS34の処理が「暗号化情報取得手段」、及び「暗号化情報取得ステップ」に相当する。CPU101が実行する図9のS36の処理が「第2判断手段」、及び「第2判断ステップ」に相当する。CPU101が実行する図9のS38の処理が「第1送信手段」、及び「第1送信ステップ」に相当する。CPU101が実行する図11のS54の処理が「暗号化手段」、及び「暗号化ステップ」に相当する。CPU101が実行する図11のS55処理が「第2送信手段」、及び「第2送信ステップ」に相当する。
【0079】
また、スピーカ160が「音声出力部」に相当し、CPU101が実行する図12のS61:YESの処理が「第2受信手段」に相当する。CPU101が実行する図12のS64の処理が「第3判断手段」に相当し、CPU101が実行する図12のS65の処理が「復号化手段」に相当する。CPU101が実行する図12のS66の処理が「表示制御手段」、又は「音声出力制御手段」に相当する。
【0080】
また、端末IDが「識別情報」に相当し、HDD204の会議情報テーブル記憶エリア2000が「復号化情報記憶手段」に相当する。
【0081】
なお、上述した実施の形態では、会議情報テーブル2100がサーバ200に記憶されている。そして、端末装置100から送信される会議ID、及び端末IDに基づいて、端末装置100は、テレビ会議で使用する復号化情報をサーバ200から受信するが、復号化情報の取得方法は、これに限定しない。例えば、共有データを作成したユーザが、そのユーザが使用する端末装置100から他の端末装置100に対して、復号化情報を送信するようにしてもよい。端末装置100が会議情報テーブル2100を記憶しておき、テレビ会議が実施される際に、他の端末装置100に対して復号化情報を送信するようにすればよい。また、同様に共有データも必ずしもサーバ200に記憶しておく必要はない。
【0082】
また、上述した実施の形態では、データ出力処理(図12参照)のS67で、図13に示すような秘匿会議情報174が表示されるが、秘匿会議情報174を表示しなくてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 テレビ会議システム
2 ネットワーク
100 端末装置
200 サーバ
101,201 CPU
102,202 ROM
103,203 RAM
104,204 HDD
130 マウス
140 マイク
150 カメラ
160 スピーカ
170 モニタ
171 テレビ会議画面
172 秘匿領域
173 共有表示領域
174 秘匿会議情報
176,177 秘匿領域
190 共有画像データ
1000 復号化情報記憶エリア
2000 会議情報テーブル記憶エリア
2100 会議情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の複数の端末装置との間でネットワークを介して通信を制御する端末装置であって、
情報を表示する表示画面に表示される、他の前記端末装置との共通のデータである共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための情報であり、前記端末装置毎に定められた前記秘匿データを復号化できるレベルである復号化レベルを含んだ復号化情報を取得する復号化情報取得手段と、
ポインティングディバイスからの入力情報に基づいて前記表示画面に表示されるポインタの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段にて取得された前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿データが表示された秘匿領域内に存在するか否かを判断する第1判断手段と、
前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿領域内に存在すると前記第1判断手段にて判断された場合、当該秘匿領域に表示された前記秘匿データを暗号化するために使用された暗号化のレベルである暗号化レベルを含んだ暗号化情報を取得する暗号化情報取得手段と、
前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記秘匿データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記秘匿データを復号化不可能であると判断する第2判断手段と、
前記第2判断手段にて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、前記暗号化情報取得手段にて取得された前記暗号化情報を他の前記端末装置に対して送信する第1送信手段と、
他の前記端末装置から送信された前記暗号化情報を受信する第1受信手段と、
前記第2判断手段にて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は前記第1受信手段にて前記暗号化情報を受信した場合、前記暗号化情報の前記暗号化レベルに基づいて、音声入力部から入力されたユーザの発話による音声データ、及び映像入力部から入力された映像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段にて暗号化された前記音声データ、及び前記映像データを暗号化データとして他の前記端末装置に対して送信する第2送信手段とを備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記第2送信手段にて他の前記端末装置から送信された前記暗号化データを受信する第2受信手段と、
前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが前記第1受信手段にて受信された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得手段にて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが前記第1受信手段にて受信された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化不可能であると判断する第3判断手段と、
前記第3判断手段にて前記暗号化データを復号化可能であると判断された場合、前記第2受信手段にて受信された前記暗号化データを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段にて復号化された前記映像データを、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記復号化手段にて復号化された前記音声データを、音声出力部に出力させる音声出力制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記第3判断手段にて前記暗号化データを復号化不可能であると判断された場合、他の前記端末装置の間で前記秘匿データに関して対話中である旨を示す情報を表示させることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記復号化情報取得手段は、他の複数の前記端末装置との間でネットワークを介して実施されるテレビ会議毎に、前記端末装置を識別する識別情報と前記復号化情報とが対応づけられて記憶された復号化情報記憶手段から、前記識別情報に基づいて前記復号化情報を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
他の複数の端末装置との間でネットワークを介して通信を制御する端末装置によって処理される通信制御方法であって、
情報を表示する表示画面に表示される、他の前記端末装置との共通のデータである共有データにおいて部分的に暗号化された秘匿データを復号化するための情報であり、前記端末装置毎に定められた前記秘匿データを復号化できるレベルである復号化レベルを含んだ復号化情報を取得する復号化情報取得ステップと、
ポインティングディバイスからの入力情報に基づいて前記表示画面に表示されるポインタの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにて取得された前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿データが表示された秘匿領域内に存在するか否かを判断する第1判断ステップと、
前記位置情報で特定される位置が、前記秘匿領域内に存在すると前記第1判断ステップにて判断された場合、当該秘匿領域に表示された前記秘匿データを暗号化するために使用された暗号化のレベルである暗号化レベルを含んだ暗号化情報を取得する暗号化情報取得ステップと、
前記復号化情報取得ステップにて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル以上である場合、前記秘匿データを復号化可能であると判断し、前記復号化情報取得ステップにて取得された前記復号化情報の前記復号化レベルが、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報の前記暗号化レベル未満である場合、前記秘匿データを復号化不可能であると判断する第2判断ステップと、
前記第2判断ステップにて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、前記暗号化情報取得ステップにて取得された前記暗号化情報を他の前記端末装置に対して送信する第1送信ステップと、
他の前記端末装置から送信された前記暗号化情報を受信する第1受信ステップと、
前記第2判断ステップにて前記秘匿データを復号化可能であると判断された場合、又は前記第1受信ステップにて前記暗号化情報を受信した場合、前記暗号化情報の前記暗号化レベルに基づいて、音声入力部から入力されたユーザの発話による音声データ、及び映像入力部から入力された映像データを暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップにて暗号化された前記音声データ、及び前記映像データを暗号化データとして他の前記端末装置に対して送信する第2送信ステップとを備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−219988(P2010−219988A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65674(P2009−65674)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】