説明

粉砕乾燥機とそれを備えた粉砕・乾燥設備

【課題】 1台の機械によって、被処理物に応じた粉砕ができるとともに、粉砕した被処理物を乾燥させることができる粉砕乾燥機を提供すること。
【解決手段】 被処理物Oを装置本体21内に投入する被処理物投入口40と、この被処理物投入口40から投入した被処理物Oをハンマー25で粉砕する粉砕部23と、この粉砕部23で粉砕した被処理物Oを粉砕部23から離れた位置で浮遊させる空間45を有する分級部24とを備え、前記粉砕部23は、この粉砕部23に乾燥空気Aを供給する乾燥空気供給口41を有し、前記分級部24は、前記粉砕部23に供給した乾燥空気Aを排出する排気口46を有しているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を粉砕するとともに、粉砕した被処理物を乾燥させることができる粉砕乾燥機と、それを備えた粉砕・乾燥設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木質系廃棄物や食品系廃棄物、及び汚泥等の廃棄物は焼却処分又は埋立処分されていたが、近年、環境、エネルギ分野では、CO 削減や有効資源の再利用のために、これらの廃棄物から再利用できるものを燃料として利用しようとする動向がある。例えば、上記木質系廃棄物の場合には燃料化され、上記食品系廃棄物の場合には飼料化又は燃料化されている。
【0003】
このように廃棄物を再利用する場合、その廃棄物は粉砕機に被処理物(以下、上記廃棄物を「被処理物」という)として投入され、所定の大きさに粉砕された後、乾燥機によって乾燥されている。粉砕機としては、粉砕粒度を調整するための網が設けられた機械が一般的に用いられ、乾燥機としては、キルン炉などで乾燥させる方法が一般的に用いられ、これらの粉砕機と乾燥機とが系統的に設けられた粉砕・乾燥設備が設置されている。
【0004】
この種の先行技術として、例えば、熱交換機で加熱した空気の風力を利用し、原料をスクリーンの微細孔を強制的に通過させることにより粉砕し、その風力を利用して粉砕物を粉砕物回収手段内部に供給するようにした粉砕物製造装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の先行技術として、円筒状の容器内で放射状に取付けられた複数の回転子を回転させ、上方から投入された被処理物中の水分を回転子による衝撃と遠心力で離脱させるようにした乾燥装置(例えば、特許文献2参照)や、円筒状容器の底部に回転翼と旋回気流を起す吸気口とを備え、原料を円筒状容器の内周を旋回させることで、容器内壁部との摩擦によって乾燥及び粉砕をするようにしたリグノセルロース系原料の微細粉化装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2006−070866号公報
【特許文献2】特開2007−147251号公報
【特許文献3】特開2009−173830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したように網によって分級する粉砕機(特許文献1含む)の場合、被処理物によっては機械の能力を発揮することが難しく、しかも被処理物の水分によっては目詰まりの可能性も高いので、機械の稼働率を下げるおそれがある。また、保守点検を頻繁に行わなければならず、安定した機械運用が難しい。
【0008】
さらに、粉砕物を小粒径にしたい場合、網目を小さくする必要があるが、その場合、板厚または網線径が細くなり、網の強度低下、又は開口率の低下を招き、粉砕効率を悪化させるおそれがある。
【0009】
その上、上記キルン炉のような乾燥機を用いた場合、乾燥温度が比較的高温になるので、例えば、食品循環資源を機能性食品に用いるために粉砕する用途では、粉砕物に変質などを生じるおそれがあり、食品循環資源の再利用には不向きとなる。しかも、乾燥炉によってはバッチ処理をしなければならないので、粉砕機との間で調整をしながら運用しなければならない場合があり、煩雑な運用をしなければならないおそれがある。
【0010】
また、上記したような粉砕・乾燥設備の場合、粉砕工程と乾燥工程とが別工程となるため、個々の粉砕機と乾燥機とを系統的に設置するための設備面積が大きくなり、各機械を配置するために大きなスペースが必要になるとともに、それらの機械間で被処理物を移送させる移送手段が必要となる。そのため、設備全体が大型化して、多くのスペースと費用を要してしまう。その上、上記乾燥炉にコンベヤ式乾燥炉を採用した場合には、コンベヤ長さを確保する必要があり、設備面積が更に大きくなる。
【0011】
さらに、上記したように粉砕して乾燥させる被処理物は、その被処理物の性状や使用目的等に応じて粉砕条件(粉砕粒度)が異なるとともに、乾燥条件(乾燥後の含水率)も様々であるため、粉砕機と乾燥機とを個別に備えた設備の場合、その被処理物の粉砕条件及び乾燥条件に適するように粉砕機と乾燥機との条件を設定することになるが、両機械間における処理量等も含めてそれぞれの機械を個別に設定する必要があり、その設定作業は非常に煩雑で時間を要する作業となる。
【0012】
また、上記特許文献2,3では、種々の被処理物を細かく粉砕することが難しいとともに、目的に応じた粉砕と乾燥とを行うことが難しい。
【0013】
そこで、本発明は、1台の機械によって、被処理物に応じた粉砕ができるとともに、粉砕した被処理物を乾燥させることができる粉砕乾燥機と、それを備えた粉砕・乾燥設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る粉砕乾燥機は、被処理物を装置本体内に投入する被処理物投入口と、該被処理物投入口から投入した被処理物を打撃子で粉砕する粉砕部と、該粉砕部で粉砕した被処理物を粉砕部から離れた位置で浮遊させる空間を有する分級部とを備え、前記粉砕部は、該粉砕部に乾燥気体を供給する乾燥気体供給口を有し、前記分級部は、前記粉砕部に供給した乾燥気体を排出する排気口を有している。これにより、被処理物投入口から供給して粉砕部で粉砕された被処理物は、乾燥気体供給口から供給される乾燥気体によって乾燥されるとともに分級部に移送され、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下となった被処理物は、製品として排気口から装置本体外に排出されるので、1台の装置によって被処理物の粉砕と乾燥とを効率良く行うことができる。
【0015】
また、前記装置本体は、前記粉砕部と分級部とを所定距離離す移送部を備えていてもよい。このようにすれば、粉砕した被処理物を分級部に移送する移送部の距離で、被処理物に応じて適した乾燥を行うようにできる。
【0016】
さらに、前記乾燥気体供給口は、前記装置本体の内面に沿って乾燥気体を供給するように配置されていてもよい。このようにすれば、粉砕した被処理物を装置本体の内面に沿って移送させながら乾燥することができるとともに、被処理物を粉砕部から分級部へ迅速に移送することができる。
【0017】
また、前記粉砕部は、被処理物を粉砕する粉砕子を具備したローターを有し、該ローターの前記分級部側に、前記粉砕子で打撃した被処理物が衝突するガイド板を有していてもよい。この粉砕子としては、ハンマー、カッター等が用いられる。このようにすれば、粉砕部で粉砕子によって打撃された被処理物を分級部側に直接飛散させることなくガイド板に衝突させて確実に粉砕することができる。
【0018】
さらに、前記粉砕部と前記分級部との間に、前記乾燥気体供給口から供給した乾燥気体を整流する整流部を有していてもよい。このようにすれば、装置本体内で循環する乾燥気体の流れを整流させ、粉砕した被処理物を乾燥気体とともに装置本体内で一方向に移送させて効率よく粉砕と乾燥とを行うことができる。
【0019】
また、前記整流部は、前記ガイド板の両端から前記分級部に向けて乾燥気体を整流する壁面を有していてもよい。このようにすれば、被処理物の粉砕部から分級部への移送を、被処理物に応じて安定して行うことができる。
【0020】
さらに、前記排気口は、前記装置本体の内面から分級部の空間方向に離間し、該排気口の開口よりも大きい飛込み防止板を有していてもよい。このようにすれば、粉砕部から分級部に移送された被処理物が、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下となる前に直接的に飛び込んで排出されるのを防ぎ、製品の粒度をより安定させることができる。
【0021】
また、前記乾燥気体として過熱水蒸気を供給するように構成してもよい。このようにすれば、被処理物の加熱を急速に進行させて早期乾燥を図ることができる。しかも、加熱むらを抑制することができる。
【0022】
さらに、前記装置本体は、前記粉砕部において粉砕した被処理物中の金属物を除去する磁選部を有していてもよい。このようにすれば、被処理物中に金属が含まれていた場合でも、分級部に移送される前に磁選部で確実に除去することができる。
【0023】
一方、本発明に係る粉砕・乾燥設備は、上記したいずれかの粉砕乾燥機を備え、該粉砕乾燥機に乾燥気体を供給する乾燥気体供給機と、前記装置本体内の気体を排気する排気用送風機と、該排気中から粉砕した被処理物を分離する分離機とを備えている。これにより、被処理物を粉砕する粉砕乾燥機に乾燥気体供給機から乾燥気体を供給し、この粉砕乾燥機内で被処理物の粉砕と乾燥とを行い、排気用送風機で排気した粉砕乾燥機内の気体から粉砕した被処理物を分離機で分離することにより、被処理物を粉砕・乾燥して製品として回収することが連続的にできる。しかも、排気用送風機で排気する気体流量を調整することで、製品粒度、水分量等を調整することができる。
【0024】
また、前記乾燥気体供給機は、前記粉砕乾燥機に加熱気体を供給する熱風発生機として構成され、該熱風発生機から前記粉砕乾燥機に供給して排気した加熱気体の少なくとも一部を前記熱風発生機から粉砕乾燥機に供給する加熱気体の熱源として利用する排熱利用機を備えていてもよい。このようにすれば、粉砕した被処理物を乾燥させるために加熱された気体の排熱を利用して熱効率の良い粉砕・乾燥設備を構成することができる。
【0025】
さらに、前記分離機で分離した被処理物を燃料とするバイオマス熱源熱風発生装置を備え、該バイオマス熱源熱風発生装置の熱風を前記粉砕乾燥機に乾燥気体として供給するように構成してもよい。このようにすれば、粉砕した被処理物の少なくとも一部を乾燥気体の加熱用燃料として利用でき、乾燥コストの削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、1台の機械によって被処理物を粉砕するとともに、粉砕した被処理物を乾燥させることができるので、機械設置面積の縮小、被処理物に応じた粉砕条件・乾燥条件の設定等を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る粉砕乾燥機を備えた粉砕・乾燥設備を示す図面であり、(a) は全体平面図、(b) は分離機部分の側面図である。
【図2】図1に示す粉砕乾燥機の側面視における縦断面図である。
【図3】図2に示す粉砕乾燥機の正面視における縦断面図である。
【図4】図2に示す粉砕乾燥機のローターを示す図面であり、(a) は図2に示すローターの斜視図、(b) は他の例を示す斜視図である。
【図5】図2に示す粉砕乾燥機のガイド板を示す図面であり、(a) は図2に示すガイド板の側面図、(b) は第2例の側面図、(c) は第3例の側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る粉砕乾燥機を示す正面視の縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る粉砕乾燥機を示す正面視の縦断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る粉砕乾燥機を示す正面視の縦断面図である。
【図9】本発明に係る粉砕・乾燥設備の使用方法を示す図面であり、(a) は第1例の模式図、(b) は第2例の模式図、(c) は第3例の模式図である。
【図10】本発明に係る粉砕・乾燥設備の使用方法を示す図面であり、(a) は第4例の模式図、(b) は第5例の模式図、(c) は第6例の模式図である。
【図11】本発明に係る粉砕・乾燥設備の使用方法を示す図面であり、(a) は第7例の模式図、(b) は第8例の模式図である。
【図12】本発明に係る粉砕・乾燥設備の使用方法を示す図面であり、(a) は第9例の模式図、(b) は第10例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の設備は、粉砕乾燥機で被処理物を連続的に粉砕及び乾燥するようにした粉砕・乾燥設備を例に説明する。また、乾燥気体として、加熱空気を用いる例を説明する。
【0029】
図1(a),(b) に示すように、この粉砕・乾燥設備1は、被処理物Oを粉砕して乾燥する粉砕乾燥機2と、この粉砕乾燥機2に被処理物Oを投入する投入部3と、粉砕乾燥機2に乾燥空気(乾燥気体)Aを供給する乾燥空気供給機(乾燥気体供給機)4と、粉砕乾燥機2で粉砕・乾燥した被処理物Oを空気とともに排出する配管5と、この配管5から排出された空気中から被処理物Oを分離する分離機たるサイクロン6と、このサイクロン6で分級した被処理物Oを貯める処理物排出タンク7と、サイクロン6に粉砕乾燥機2内の空気を吸引する排気用送風機8とを備えている。この排気用送風機8は、駆動モータ9によって所定回転数で回転させられ、この駆動モータを回転制御することによって、粉砕乾燥機2内からの吸引力を調整することができる。上記乾燥空気供給機4は、乾燥空気Aとして加熱空気を供給する熱風発生機4(乾燥空気供給機と同一符号を付す)でもある。また、上記排気用送風機8は、この実施形態では粉砕乾燥機2の後流側から空気を吸引して排気する構成であるが、粉砕乾燥機2の上流側から空気を押込んで排気する構成、又は粉砕乾燥機2の上流側から空気を押込むとともに後流側から空気を吸引して排気する構成であってもよい。
【0030】
さらに、この実施形態では、上記排気用送風機8で吸引した粉砕乾燥機2内の乾燥空気Aをバルブ10から大気放出する以外に、配管11で上記熱風発生機4へ循環させて加熱空気の熱を回収することができるようになっている。
【0031】
このような粉砕・乾燥設備1によれば、後述するように粉砕乾燥機2によって被処理物Oを粉砕して乾燥し、排気用送風機8で吸引した粉砕乾燥機2内の空気から被処理物Oをサイクロン6で分離して処理物排出タンク7に製品として貯めることが連続的にできるので、被処理物Oを粉砕して乾燥した製品を大量に生産することができる。
【0032】
次に、図2,3に基いて、上記粉砕乾燥機2を詳細に説明する。図2に示す状態で、右方を正面、左方を背面として説明する。第1実施形態の粉砕乾燥機2は、架台20上に装置本体21と駆動モータ(駆動機)42とが設けられている。装置本体21は、下部に粉砕部23を備え、上部に分級部24を備えている。この装置本体21の粉砕部23と分級部24との間が、移送部22である。この実施形態の装置本体21は、側面視において上下端部が同一半径の半円形で中央部が平行な縦長に形成されている。また、この例の装置本体21は、気体供給部21a、被処理物投入部21b、中間部21c、及び上部21dとに4分割され、これらの各フランジ部分がボルト21eで連結されている。
【0033】
上記粉砕部23には、周囲に複数個のハンマー(粉砕子)25が設けられたローター26が備えられている。このローター26は、装置本体21に設けられた軸受27によって駆動軸28が水平方向に支持されている。この駆動軸28の軸方向に、上記ハンマー25が周方向に設けられたローター部材29が複数個装着されている。この実施形態のローター26は、上記ハンマー25の先端部を数十m/s(例えば、70m/s)で高速回転させることで被処理物Oを打撃して粉砕する例である。ローター26は、駆動軸28の一端に設けられたプーリー30が上記駆動モータ42によってベルト駆動されている。
【0034】
図4(a),(b) は、上記ローター26の例を示す斜視図であり、(a) に示す上記ローター26では、軸方向に設けられたハンマー25が、ロータ部材29の周方向にずらしてボルト等で固定して配列(ジグザグ状)されており、このような配列とすることで被処理物Oの粉砕時に高負荷が掛り難いようにしている。この例の場合、ハンマー25に作用する負荷が大きい被処理物Oや、衝撃によって粉砕が進行しやすい被処理物Oを粉砕する場合に適しており、例えば、廃木材等の被処理物Oの粉砕に好ましい。一方、(b) に示すように、ローター31の軸方向に連続するように(一文字状)所定高さのハンマー(粉砕子)32をボルト等でロータ部材29(筒状)の周囲に固定して配設するようにしてもよい。この例の場合、ハンマー32の高さが低く、軸方向に連続しているため、食品等の柔らかい被処理物Oを摩砕する場合に適している。これらローター26,31に設けるハンマー25,32は、被処理物Oの性状や粉砕粒度等に応じて選択すればよい。また、ハンマー25,32の配置も、一文字状とするか、周方向に交互にずれたジグザグ状とするかは、被処理物Oに応じて選択すればよい。また、図4(a) に示すハンマー25は各ローター部材29に固定された例であるが、例えば、ローター部材に固定せずに先端側が揺動するスイングハンマーや、円形のリングハンマーとしてもよく、ハンマーの形式も被処理物Oの性状等に応じて選択すればよい。この実施形態では、粉砕子としてハンマーを例に説明したが、被処理物Oや粉砕粒度によってはカッター等が用いられる。
【0035】
一方、上記図2,3に示すように、上記装置本体21には、このローター26の正面側に被処理物Oを投入する被処理物投入口40が設けられている。この被処理物投入口40は、ローター26の駆動軸28よりも上方位置から被処理物Oを投入するようになっている。図中の実線矢印が、被処理物Oの流れを示している。
【0036】
また、被処理物投入口40の下方における装置本体21には、ローター26の下方に向けて側方から乾燥空気A(乾燥気体;加熱空気等を含む)を供給する乾燥空気供給口41が設けられている。この乾燥空気供給口41から供給される乾燥空気Aは、装置本体21の全幅方向から供給され、ローター26の下方から装置本体21の背面側内面に沿って上方へスムーズに流れるようになっている。図中の点線矢印が、乾燥空気Aの流れを示している。
【0037】
この乾燥空気Aは、過熱水蒸気としてもよい。過熱水蒸気下では、対流伝熱に加えて、被処理物Oの表面で過熱水蒸気が凝縮する際の凝縮伝熱により加熱されるので、大量の熱を被処理物Oに与えて急速に加熱を進行させることができる。しかも、凝縮は低温部に優先的に起こる特性があり、加熱むらを抑制することができる。また、過熱水蒸気下では、元々存在していた空気が追い出されていくため、酸素濃度を低下させることができ、酸化を抑えた乾燥も可能となり、食品等の化学反応を抑制したい被処理物Oの粉砕乾燥に適している。なお、過熱水蒸気を用いる場合、制御等の運用が容易に行えるように、一部を排気して一部を循環させるような運転が好ましい。
【0038】
さらに、上記ローター26の下方には、半円形の装置本体21の下部に沿ってライナー35が設けられている。このライナー35は、上記被処理物投入口40から装置本体21の背面側内面に向けて上記ハンマー25の先端部における回転軌跡との隙間が徐々に狭まるようになっており、ほぼ駆動軸28の高さ位置まで設けられている。このライナー35にハンマー25で打撃された被処理物Oが衝突し、粉砕が促進される。また、反被処理物投入口側を狭くすることにより、反被処理物投入口側で被処理物Oがより細かく粉砕されるようにしている。
【0039】
また、ローター26の上方には、側面視においてローター26の先端部における回転軌跡と所定の隙間を設けた円弧状のガイド板36が配設されている。このガイド板36は、側面視において装置本体21の両垂直方向壁面との間に水平方向の隙間Sが設けられるようにして配設されている。
【0040】
さらに、このガイド板36を設けることで、ローター26の回転によって生じる気流がローター上方の分級部24に悪影響を及ぼさないようにして、分級部24において分級のために好ましい気流が作れるようにする整流効果を持たせている。また、このガイド板36は、衝突した被処理物Oの粒度を小さくする衝突板としての機能や、高温になったガイド板36に衝突した被処理物Oが熱移動によって水分を奪われて乾燥が促進されるという機能を有しており、粉砕効率を上げて被処理物Oを小粒径にする必要がある場合や、乾燥効率を上げるため等の目的でも設けられる。
【0041】
図5(a) に示すように、上記ガイド板36のローター側の形状としては、上記鋸刃状の凸部36aを複数個設けた形状とすることにより、衝突した被処理物Oの粉砕効果を大きくすることができるとともに、上記乾燥空気Aの整流効果を有するようにすることとができる。また、図5(b) に示すガイド板37のように、頂部に丸みを持たせた凸部37aを複数個設けた形状とすることにより、被処理物Oに応じた粉砕効果が得られるようにするとともに、上記乾燥空気Aの整流効果は有するようにすることができる。さらに、図5(c) に示すガイド板38のように、平面状とすることにより、被処理物Oの粉砕効果は小さいが、上記乾燥空気Aの整流効果を有するようにすることができる。このようなガイド板36〜38のローター側形状は、被処理物Oの種類、粉砕粒度等に応じて適した表面形状を選択すればよい。
【0042】
なお、粉砕乾燥機2に投入される被処理物Oが既に乾燥しており、粉砕粒度もある程度の粉砕が行われていればよい場合には、上記ガイド板36〜38を設けることなく粉砕を行うことも可能である。
【0043】
一方、上記図2,3に示すように、上記分級部24は、上記粉砕部23で粉砕された被処理物O中に上記乾燥空気供給口41から装置本体21の内面に沿って乾燥空気Aが送り込まれ、この乾燥空気Aとともに装置本体21の内面に沿って舞い上がった被処理物Oが浮遊する空間45を有している。この分級部24の空間45は、粉砕した被処理物Oを乾燥空気Aとともに1点鎖線及び点線で示すように浮遊させ、所定の吸引力でこの分級部24の乾燥空気Aを排気口46から吸引することで、粉砕と乾燥とが行われて所定重量以下となった被処理物Oを乾燥空気Aとともに機外に排出するようにしている。図示する被処理物Oと乾燥空気Aの線は、浮遊して排出されるイメージを示している。
【0044】
また、上記粉砕部23で粉砕される被処理物Oの乾燥は、粉砕部23における粉砕中に乾燥空気Aが送り込まれるとともに、粉砕エネルギから変換された熱エネルギによっても乾燥されるので、粉砕と同時に乾燥が進行し、乾燥空気Aの熱エネルギによって効率良く被処理物Oを乾燥できる乾燥機構となるようにしている。さらに、粉砕することで、被処理物Oの表面積が大きくなっているので乾燥は速くなる。しかも、粉砕衝撃によって、被処理物Oにかかる内部圧力が高くなり、内部の水分が外部に排出されて表面水となることでも乾燥が促進される。その上、上記したようにローター26を高速回転させることでも、高速気流中を被処理物Oが流動し、乾燥速度を向上させることができる。このように被処理物Oを早期乾燥させ、上記したように乾燥空気Aとともに分級部24に舞い上がらせることにより、被処理物Oを効率良く乾燥し、乾燥したものを先に機外へ排出すようにしている。
【0045】
また、上記分級部24には、上記装置本体21の両側方に上記乾燥空気Aの排気口46が設けられている。この排気口46は、上述した図1に示す配管5を介してサイクロン6に接続されており、上述した排気用送風機8によって内部空気が吸引されるようになっている。
【0046】
さらに、この実施形態では、排気口46に、所定粒度まで粉砕されていない被処理物Oや乾燥されていない被処理物Oが分級部24で浮遊すること無く排気口46から排出されてしまうのを防止する飛込み防止板47が設けられている。この飛込み防止板47は、排気口46の開口よりも大きいジャマ板が装置本体21に内方に向けて突出するように設けられたものであり、排気口46の取付フランジ48に設けられた複数本の脚部材47aで支持されている。排気口46は、取付フランジ48が装置本体21にボルトで固定されている。この飛込み防止板47により、粉砕部23で粉砕されて分級部24に舞い上がった被処理物Oが、この分級部24で浮遊することなく排気口46へ飛来したとしても排出されないようにし、粉砕と乾燥とが行われて所定重量以下となった被処理物Oは脚部材47aの間から排気口46に吸引されるようになっている。なお、飛込み防止板47は、被処理物Oを粉砕した後の重量や粉砕粒度等に応じて設ければよい。
【0047】
また、この実施形態では、装置本体21の反被処理物投入口側に磁選部49が設けられている。この磁選部49は、粉砕された被処理物Oが分級部24へ移送される部分に設けられており、ハンマー25で粉砕できない金属が打撃されて粉砕部23の背面側に移動すると、この磁選部49に組込まれたマグネット(磁選機;図示略)に吸着されて磁気選別される。このように磁選部49を設けることで、被処理物O中の金属を早期に分離して、ハンマー25やライナー35の摩耗を抑制している。この磁選部49は、装置本体21の外部から取外すことができ、吸着した金属を機外に取出せるようになっている。
【0048】
そして、上記サイクロン6(図1)によって分級部24の空気を吸引することで、粉砕・乾燥が完了した被処理物Oを分離機であるサイクロン6へ乾燥空気Aとともに吸引して粉砕乾燥機2から排出するようにしている。この時、サイクロン6で吸引する空気の風量(風速)によって、搬送できる被処理物Oの水分と粒度を調整することができる。つまり、被処理物Oの重量が粒度と水分量とで変化することを利用し、被処理物Oが所定粒度に粉砕され乾燥されていれば上記排気口46からサイクロン6に吸引され、未だ所定粒度に粉砕されておらず、乾燥も十分でなければ排出されずに装置本体21内に留まるようにして、被処理物Oの粉砕・乾燥が完了したか否かをサイクロン6に吸引されるか否かで判断するようにしている。
【0049】
以上のような第1実施形態の粉砕乾燥機2によれば、上述した図1に示すように、乾燥空気供給機4から加熱された乾燥空気Aが供給され、投入部3から被処理物Oが投入される。図2に示すように、投入部3から投入された被処理物Oは、装置本体21に設けられた被処理物投入口40から装置本体21内に供給されて落下する。また、乾燥空気供給機4から供給された乾燥空気Aは、乾燥空気供給口41から装置本体21内に供給される。そして、被処理物Oは、粉砕部23においてローター26のハンマー25によって打撃され、ライナー35及びガイド板36との間で衝突が繰り返されて粉砕される。
【0050】
また、粉砕部23には、上記乾燥空気供給口41から乾燥空気Aが供給されているので、ハンマー25によって粉砕された被処理物Oは乾燥空気Aによって乾燥されながら装置本体21の背面側へと移動する。
【0051】
そして、ハンマー25によって打撃と衝突を繰り返して粉砕された被処理物Oは、装置本体21の下部に設けられた上記ライナー35から装置本体21の背面側壁面に沿って上昇する乾燥空気Aによって上方の分級部24へと移送される。
【0052】
このようにして乾燥空気Aとともに分級部24へ舞い上がった被処理物Oは、この分級部24において浮遊させられ、粉砕と乾燥とが行われて所定重量以下となった被処理物Oは排気口46からサイクロン6へと吸引される。つまり、粉砕部23で粉砕されて分級部24に舞い上がった被処理物Oは、排気口46から吸引されるか否かで粉砕と乾燥とが行われているか否かが判断され、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下となった被処理物Oは機外に排出されるようになっている。
【0053】
また、粉砕と乾燥とが十分に行われていない被処理物Oは、上記排気口46から吸引されることなく、乾燥空気Aの流れ及び粉砕部23のローター26の上方に設けられたガイド板36による乾燥空気Aの整流によって粉砕部23の被処理物投入口40側へ落下し、再びローター26のハンマー25によって粉砕される。しかも、この再粉砕される被処理物Oは、粉砕と乾燥とが行われて所定重量以下となった被処理物Oが除かれたものだけとなるので、過粉砕を行うことなく投入された被処理物Oを効率良く粉砕及び乾燥することができる。
【0054】
その後、粉砕された被処理物Oは、上記したように乾燥空気Aとともに分級部24へと舞い上がり、この分級部24において浮遊させられ、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下となった被処理物Oは、排気口46からサイクロン6へと吸引される。また、上記排気口46から排出されなかった被処理物Oは、上記したように粉砕部23に戻されてローター26で再粉砕される。この再粉砕も、粉砕と乾燥とが未だ十分に行われていない被処理物Oとなるため、効率良く粉砕することができる。
【0055】
その上、粉砕と乾燥とが行われて所定重量以下となった被処理物Oは順次排出されるので、その排出された被処理物Oの減少分を新たに被処理物投入口40から供給することができ、連続的に被処理物Oの粉砕及び乾燥を行うことができる。
【0056】
図6,7の粉砕乾燥機は、上記第1実施形態の装置本体21内に整流部を備えさせた第2,第3実施形態である。これらの実施形態は、乾燥空気Aを装置本体21内で整流することにより、被処理物Oの製品粒度等が異なる場合に適するようにした実施形態である。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図6に示す第2実施形態の粉砕乾燥機50は、投入される被処理物Oが小さく、その製品粒度も小さくしたい場合に適した整流部51が設けられている。この整流部51は、側面視において、上記ガイド板36の上部から分級部24まで平行に壁面が延びるように形成されている。
【0058】
この実施形態の整流部51によれば、側面視において、上記ガイド板36と装置本体21との隙間Sで粉砕部23と分級部24との間に平行な上昇通路52と下降通路53とが形成される、整流部51の上端の分級部24には、ガイド板36と逆方向に湾曲する整流面54が形成されている。
【0059】
このような整流部51を設けることにより、粉砕部23で粉砕された小さな被処理物Oを、乾燥空気Aとともに上昇通路52を通って分級部24まで安定して移送することができ、この分級部24で装置本体21の内面に沿って浮遊する被処理物Oで、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下になっていない被処理物Oは、下降通路53を通って粉砕部23へと戻される。この実施形態の場合、上昇通路52と下降通路53とが比較的狭いため、小さな製品の生産に適している。
【0060】
図7に示す第3実施形態の粉砕乾燥機55は、比較的大きい製品の生産に適した整流部56が設けられている。この整流部56は、側面視において、上記ガイド板36の上部から分級部24まで延び、上端が狭まるような略台形状に形成されている。
【0061】
この実施形態の整流部56によれば、側面視において、上記ガイド板36の上面から分級部24に向けて広がる上昇通路57と下降通路58とが形成されるため、比較的大きな被処理物Oでも、詰まり等を生じることなく粉砕部23と分級部24との間で安定して移送することができる。
【0062】
このような整流部56を設けることにより、比較的大きな被処理物Oでも、粉砕部23から分級部24への移送と、分級部24から粉砕部23への移送とを安定して行い、粉砕と乾燥が十分に行われていない被処理物Oを粉砕部23のハンマー上流側に確実に戻して粉砕することができる。
【0063】
図8に示す第4実施形態の粉砕乾燥機60は、上記第3実施形態における粉砕乾燥機55の変形例であり、第3実施形態の粉砕乾燥機55において得られる製品に比べて重量物の被処理物Oを処理する場合に適した例である。第3実施形態と同一の構成には、同一符号を付して説明は省略する。この実施形態では、装置本体21の高さを低くすることで、重量物の製品の生産に適するようにしている。
【0064】
図示するように、この実施形態の装置本体21は、上記第3実施形態における装置本体21の中間部21cを取り除いて被処理物投入部21bと上部21dとのフランジ部分がボルト21eで連結されている。この場合、装置本体21の高さが低くなり、粉砕されて乾燥された被処理物Oの重量が第3実施形態に比べて重いものでも分級部24に移送することができるようにしている。つまり、この実施形態の場合、分級部24を粉砕部23から近い位置とすることにより、重量物の被処理物Oでも分級部24に舞い上がって、この分級部24から乾燥空気Aとともに吸引されるようにしている。また、このように装置本体21の高さを低くする場合には、整流部61も高さを低くしたものが設けられる。この整流部61の作用効果は上記第3実施形態と同一であるため、説明は省略する。
【0065】
なお、この第4実施形態では、上述した第3実施形態と同様の整流部61を設けた例を示したが、上述した第1実施形態の粉砕乾燥機2、及び第2実施形態の粉砕乾燥機50において、重量物の被処理物Oを処理する場合には装置本体21の高さを低くすることで同様に対応することができ、装置本体21の高さと、整流部51,56,61との組合わせは、被処理物Oの性状や粉砕条件等に応じて選択的に決定すればよい。
【0066】
以上のような粉砕乾燥機50,55,60によっても、上述した第1実施形態の粉砕乾燥機2と同様に、粉砕部23で粉砕されて分級部24に舞い上がった被処理物Oは、排気口46から吸引されるか否かで粉砕と乾燥とが行われているか否かが判断され、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下となった被処理物Oは機外に排出されるので、1つの機械で被処理物Oの粉砕と乾燥とを効率良く行うことができる。
【0067】
また、上記排気口46から排出されなかった被処理物Oは、上記乾燥空気供給口41から供給される乾燥空気Aの流れによって、粉砕部23のローター上流へと移送されるので、粉砕と乾燥が行われて所定重量以下になっていない被処理物Oを粉砕部23に戻してローター26で効率良く再粉砕することができる。しかも、これらの実施形態では、整流部51,56,61を設けているので、分級部24から粉砕部23に戻される被処理物Oは、装置本体21内において流れを一方向に安定させた乾燥空気Aによって効率良く移送して、粉砕及び乾燥をすることができる。
【0068】
ところで、上述したように、図1に示す粉砕・乾燥設備1では、排気用送風機8からの排気を大気放出、又は乾燥空気供給機4へ循環させて熱回収することができるようにしており、この構成及び他の構成を付加した例を含む粉砕・乾燥設備1の使用方法を以下に説明する。以下の説明では、粉砕乾燥機2を例に説明する。なお、基本的な流れは上述した図1の説明と同一であり、詳細な説明は省略する。また、図1と同一の構成には図1と同一の符号を付し、その説明は省略する。図中の実線矢印は被処理物O、点線矢印は乾燥空気A、一点鎖線矢印は水分Wを示している。
【0069】
図9(a) に示す第1例の使用方法は、「熱源を用いない1パスでの粉砕・乾燥パターン」である。この例の場合、常温空気を乾燥空気Aとして供給することで、低含水原料の乾燥を熱源コストなしで行うことができる。また、乾燥が不要な被処理物Oを粒度が均一な粉砕物とする大量生産に適しており、例えば、建築廃木材の粉砕・乾燥や、オガ粉の製造等に利用される。
【0070】
図9(b) に示す第2例の使用方法は、「熱源を利用した1パスでの粉砕・乾燥パターン」である。この例の場合、熱風発生機4から高温空気を乾燥気体Aとして供給しており、高含水の被処理物Oの粉砕及び乾燥に適し、例えば、木質バイオマス、食品、汚泥などの粉砕・乾燥に利用される。
【0071】
図9(c) に示す第3例の使用方法は、「排気の顕熱を循環利用する粉砕・乾燥パターン」である。この例の場合、排気用送風機8からの排気を排熱利用機たるミストコレクター70に導入し、排気の顕熱を乾燥空気Aの加熱源として利用することで熱回収して熱源コストを抑えることができる。また、閉回路で乾燥空気Aを循環させることも可能であり、臭気を含むような排気を系外に出さないようにでき、例えば、木質バイオマス、食品廃棄物、汚泥などの粉砕・乾燥に利用される。
【0072】
図10(a) に示す第4例の使用方法は、「排気の一部を乾燥熱源として再利用する粉砕・乾燥パターン」である。この例の場合、排気の一部に乾燥空気を新たに追加して乾燥空気供給機4たる熱風発生機に導入することにより、高温空気である排気の熱エネルギーを再利用して乾燥コストを削減することができる。
【0073】
図10(b) に示す第5例の使用方法は、「熱源を用いない循環・乾燥パターン」である。この例の場合、粉砕乾燥機2とサイクロン6との間の配管とサイクロン6の排出部との間に循環用送風機71を設け、この循環用送風機71でサイクロン6から排出される製品を乾燥空気Aとともに循環させ、この循環用送風機71からサイクロン6に排出される被処理物Oの水分量を水分量検出器72でモニタリングすることで被処理物Oの水分量が所定の水分量となるようにしている。この場合、被処理物Oを循環乾燥させることにより熱源なしでの高含水物の粉砕乾燥が可能となり、熱に弱いもの、表面水分が多いものに適した粉砕・乾燥ができ、例えば、木質バイオマス、食品、廃プラスチックなどの粉砕・乾燥に利用される。
【0074】
図10(c) に示す第6例の使用方法は、「排気の潜熱を循環利用する粉砕・乾燥パターン」である。この例の場合、排気用送風機8からの排気を排熱利用機たるヒートポンプ73(熱交換機)に導入し、排気の潜熱を乾燥空気Aの加熱源として利用することで回収して熱源コストを抑えることができる。また、閉回路で乾燥空気Aを循環させることも可能であり、臭気を含むような排気を系外に出さないようにでき、例えば、木質バイオマス、食品廃棄物、汚泥などの粉砕・乾燥に利用される。
【0075】
図11(a) に示す第7例の使用方法は、上記図9(b) に示す「熱源を利用した1パスでの粉砕・乾燥パターン」の変形例である。この例では、サイクロン6から処理物排出タンク7に排出される一部の製品をバイオマス熱源熱風発生装置74に供給して乾燥熱源とすることで、高含水の被処理物Oの粉砕及び乾燥における乾燥コストを削減することができる。また、サイクロン6から排出される製品として適さない不適合製品や不要原料を熱源とすることも可能であり、例えば、バイオマス燃料生産設備において利用すれば、燃料の無駄を削減した効率の良い運用ができる。
【0076】
図11(b) に示す第8例の使用方法は、上記図9(c) に示す「排気の顕熱を循環利用する粉砕・乾燥パターン」の変形例である。この例の場合、排気用送風機8からの排気をミストコレクター70に導入し、排気の顕熱を乾燥空気Aの加熱源として利用するとともに、サイクロン6から処理物排出タンク7に排出される一部の製品をバイオマス熱源熱風発生装置74に供給して乾燥熱源とすることで、高含水の被処理物Oの粉砕及び乾燥における乾燥コストを削減することができる。この場合も、製品として適さない不適合製品や不要原料を熱源とすることも可能であり、例えば、バイオマス燃料生産設備において利用すれば、燃料の無駄を削減した効率の良い運用ができる。
【0077】
図12(a) に示す第9例の使用方法は、上記図10(a) に示す、「排気の一部を乾燥熱源として再利用する粉砕・乾燥パターン」の変形例である。この例でも、サイクロン6から処理物排出タンク7に排出される一部の製品をバイオマス熱源熱風発生装置74に供給して乾燥熱源とすることで、高含水の被処理物Oの粉砕及び乾燥における乾燥コストを削減することができる。しかも、製品として適さない不適合製品や不要原料を熱源とすることも可能であり、例えば、バイオマス燃料生産設備において利用すれば、燃料の無駄を削減した効率の良い運用ができる。
【0078】
図12(b) に示す第10例の使用方法は、上記図10(c) に示す、製品と「排気の潜熱を循環利用する粉砕・乾燥パターン」の変形例である。この例の場合、排気用送風機8からの排気をヒートポンプ73に導入し、排気の潜熱を乾燥空気Aの加熱源として利用するとともに、サイクロン6から処理物排出タンク7に排出される一部の製品をバイオマス熱源熱風発生装置74に供給して乾燥熱源とすることで、高含水の被処理物Oの粉砕及び乾燥における乾燥コストを削減することができる。この場合も、製品として適さない不適合製品や不要原料を熱源とすることも可能であり、例えば、バイオマス燃料生産設備において利用すれば、燃料の無駄を削減した効率の良い運用ができる。
【0079】
また、上記使用方法において、特に乾燥効率を優先的に考慮する必要がある場合には、乾燥空気Aを開回路で循環させて完全に水分を凝縮、又は過熱して分離させ、その水分を分離した乾燥空気Aを再度循環させるようにすればよい。
【0080】
さらに、被処理物Oを乾燥させる乾燥空気Aも、粉砕した被処理物Oの乾燥に利用した高温空気の一部を乾燥空気として再利用して排熱利用による省エネルギ化を図る方法も、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0081】
なお、上述した実施形態では、粉砕部23を下部に備え、分級部24を上部に備えた実施形態を説明したが、例えば、粉砕部23の側方に分級部24が位置するような構成であってもよく、粉砕部23と分級部24との位置関係は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0082】
また、上記実施形態では、装置本体21の粉砕部23における円弧と分級部24における円弧を同一半径にした例を説明したが、例えば、分級部24における円弧を大きくすることで分級部24の空間を広くし、多くの被処理物Oを浮遊させることができるようにすることで粉砕部23における粉砕能力の向上を図るようにしてもよい。
【0083】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る粉砕乾燥機は、微粉に粉砕して水分除去する必要がある被処理物を、1台の機械で粉砕して乾燥したい場合に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 粉砕・乾燥設備
2 粉砕乾燥機
3 投入部
4 乾燥空気供給機(乾燥気体供給機;熱風発生器)
5 配管
6 サイクロン
7 処理物排出タンク
8 排気用送風機
9 駆動モータ
10 バルブ
11 配管
21 装置本体
22 移送部
23 粉砕部
24 分級部
25 ハンマー(粉砕子)
26 ローター
31 ローター
32 ハンマー(粉砕子)
35 ライナー
36〜38 ガイド板
40 被処理物投入口
41 乾燥空気供給口
42 駆動機
45 空間
46 排気口
47 飛込み防止板
49 磁選部
50 粉砕乾燥機
51 整流部
55 粉砕乾燥機
56 整流部
60 粉砕乾燥機
61 整流部
70 ミストコレクター
71 循環用送風機
72 水分量検出器
73 ヒートポンプ
74 バイオマス熱源熱風発生装置
A 乾燥空気(乾燥気体)
W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を装置本体内に投入する被処理物投入口と、
該被処理物投入口から投入した被処理物を打撃子で粉砕する粉砕部と、
該粉砕部で粉砕した被処理物を粉砕部から離れた位置で浮遊させる空間を有する分級部とを備え、
前記粉砕部は、該粉砕部に乾燥気体を供給する乾燥気体供給口を有し、
前記分級部は、前記粉砕部に供給した乾燥気体を排出する排気口を有していることを特徴とする粉砕乾燥機。
【請求項2】
前記装置本体は、前記粉砕部と分級部とを所定距離離す移送部を備えている請求項1に記載の粉砕乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥気体供給口は、前記装置本体の内面に沿って乾燥気体を供給するように配置されている請求項1又は2に記載の粉砕乾燥機。
【請求項4】
前記粉砕部は、被処理物を粉砕する粉砕子を具備したローターを有し、
該ローターの前記分級部側に、前記粉砕子で打撃した被処理物が衝突するガイド板を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機。
【請求項5】
前記粉砕部と前記分級部との間に、前記乾燥気体供給口から供給した乾燥気体を整流する整流部を有している請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機。
【請求項6】
前記整流部は、前記ガイド板の両端から前記分級部に向けて乾燥気体を整流する壁面を有している請求項5に記載の粉砕乾燥機。
【請求項7】
前記排気口は、前記装置本体の内面から分級部の空間方向に離間し、該排気口の開口よりも大きい飛込み防止板を有している請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機。
【請求項8】
前記乾燥気体として過熱水蒸気を供給するように構成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機。
【請求項9】
前記装置本体は、前記粉砕部において粉砕した被処理物中の金属物を除去する磁選部を有している請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の粉砕乾燥機を備え、
該粉砕乾燥機に乾燥気体を供給する乾燥気体供給機と、
前記装置本体内の気体を排気する排気用送風機と、
該排気中から粉砕した被処理物を分離する分離機とを備えていることを特徴とする粉砕・乾燥設備。
【請求項11】
前記乾燥気体供給機は、前記粉砕乾燥機に加熱気体を供給する熱風発生機として構成され、
該熱風発生機から前記粉砕乾燥機に供給して排気した加熱気体の少なくとも一部を前記熱風発生機から粉砕乾燥機に供給する加熱気体の熱源として利用する排熱利用機を備えている請求項10に記載の粉砕・乾燥設備。
【請求項12】
前記分離機で分離した被処理物を燃料とするバイオマス熱源熱風発生装置を備え、
該バイオマス熱源熱風発生装置の熱風を前記粉砕乾燥機に乾燥気体として供給するように構成した請求項10に記載の粉砕・乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−242084(P2011−242084A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116330(P2010−116330)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390015967)株式会社キンキ (29)
【Fターム(参考)】