説明

粒子を形成するための方法及び装置

【課題】粒子形成装置の改良。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種の物質を溶液又は懸濁液として含有するビヒクルと超臨界流体とを粒子形成容器中に同時導入する工程を含み、その温度と圧力を、該ビヒクルの分散及び抽出が該超臨界流体の作用によって実質的に同時に起こるように制御する、粒状生成物の形成方法を提供する。本発明はまた、このような方法による粒状生成物、該方法を実施するための装置、そして粒子形成容器中に流体を同時導入するための該装置で用いられるノズルをも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物を製造するための方法及び装置、並びにこのような方法で製造された製品に関する。より詳細には、本発明は、医薬品のような粒状製品の形成を制御することができる超臨界流体を用いた方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界流体(SCF)の使用法及びその特性については広く文献に記載されており、例えば、J.W. Tom及びP.G. Debenedettiによる「Particle Formation with Supercritical Fluids - A Review 」[J. Aerosol. Sci., 22 (5), 555-584 (1991)]を参照されたい。簡単に言えば、超臨界流体は、同時に臨界圧力(Pc)以上で且つ臨界温度(Tc)以上にある流体として定義することができる。このような流体は、その特異な特性により相当に興味あるものである。これらの特性として以下のものが挙げられる。
* 液体と比べて拡散性が高く、粘度が低く且つ表面張力が低いこと。
* 理想気体と比べて超臨界流体は圧縮性が高く、圧力の微小変化に対して流体密度が大きく変化すること、ひいては制御性の高い溶媒和力が得られることを意味する。超臨界流体の密度は通常の使用条件下では 0.1〜0.9 g/mlの範囲にあることが典型的である。このため、ある種の超臨界流体による選択的抽出が可能である。
* 多くの超臨界流体は周囲条件下では気体であることが普通であるため、常用の液体抽出法で必要とされる蒸発/濃縮工程が不要となる。
* 通常用いられるほとんどの超臨界流体は、日常の使用条件で用いられる温度が中程度であり且つ不活性であるため、反応性が高い化合物や熱に弱い化合物に対して非酸化性又は非劣化性の雰囲気を提供する。二酸化炭素は、安価であること、無毒であること、非引火性であること、そして臨界温度が低いことから、最も広く用いられているSCFである。
【0003】
これらの特性により、超臨界流体を用いた抽出及び粒子形成の技法がいくつか開発された。とりわけ、粒子形成については二通りの処理法が明らかになっている。
【0004】
超臨界溶液の急速膨張法(RESS)(例えば、上記のJ.W. Tom及びP.G. Debenedettiを参照のこと)は、興味のある溶質を超臨界流体に溶解させた後、その超臨界溶液を大気圧にまで急速に膨張させて粒子を析出させる方法である。
【0005】
気体反溶媒(GAS:Gas Anti Solvent)再結晶化法(P.M. Gallagherら、Supercritical Fluid Science and Technology, ACS Symp.Ser., 406, p. 334, 1989)は、興味のある溶質が超臨界流体又は変性超臨界流体に溶解しないか又はその溶解度が非常に低い場合に特に有用である。この技法では、興味のある溶質を常用の溶媒に溶解させる。その溶液中に二酸化炭素のような超臨界流体を導入し、その体積を急速に膨張させる。その結果、溶媒和力が短時間のうちに劇的に低下し、粒子の析出が開始される。
【0006】
これらの技法は、粒子形成に適用された場合、どちらも制限がある。RESS法を採用した場合、通常の使用条件下では多くの極性溶質(例、多くの医薬品)の超臨界二酸化炭素における溶解度が低いため、生成物の収量は低いことが普通である。このため、生成物の回収の困難性と相まって、この技法は時間浪費的であり日常的な粒子形成法とするには魅力的であるとはいえない。実際には、RESS法のエネルギー要求量が高いことと、その収量が低いことから、この技法の適用は大幅に制限されている。
【0007】
GAS 法に関しては、溶質、溶媒及び超臨界流体の選択には慎重な考慮が必要がある。亜臨界/超臨界流体における溶質の溶解度は低くなければならないが、同時に、その亜臨界/超臨界流体は溶媒を多少なりとも膨張させる必要がある。こうした実施基準は、実験的な困難性及び高いエネルギーコストと共に、この技法の利用を制限している。また、生成物の回収及び溶媒の回収/再循環の度に装置系を脱加圧しなければならないという問題もある。例えば、 P.M.Gallagher ら、J. Supercritical Fluids, 5, 130-142 (1992)を参照のこと。
【0008】
RESS法及び GAS法の制限は、日常の粒子形成に対するこれらの方法は常用のすべての方法が不十分であることがわかった場合にのみ使用されることが一般に考慮されるようなものである。
【0009】
二酸化炭素のような超臨界流体の中へ液状混合物をスプレー注入する概念、又はその反対の概念は、溶媒を含む抽出工程において10年にわたり適用されている(例えば、R.J. Lahiere & J.R. FairのInd. Eng. Chem. Res., 26, 2086-2092, 1987 を参照のこと)。
【0010】
より最近では、米国特許第 5,043,280号明細書に、医薬品として有用な物質のような一種以上の物質と、溶媒残留物を残さない若しくは含まない又は少なくとも毒性が失われる程度にまで溶媒残留量を減少させる医薬品として許容できるキャリヤのような一種以上のキャリヤとを含む製剤の製造方法が記載されている。この製造方法は、本質的に、スプレー塔内に導入したときに超臨界状態にある流体を使用して、スプレーを受けた物質とキャリヤを含む溶液から溶媒を抽出し、該キャリヤ中に該物質が埋封された滅菌生成物を形成させるものである。しかしながら、この方法には形成される粒状生成物の物理特性を制御する手段はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多くの分野で、とりわけ医薬品、写真材料、セラミックス、爆薬及び染料の分野では、粒径、粒子形状、結晶相の質、化学純度、高い取扱適性及び高い流動性をはじめとする一定且つ制御された物理基準を示す生成物が得られるような技法が必要とされている。
【0012】
さらに、μmレベルの粒子を、生成物をこうした粒径範囲にまで微粉砕する必要もなく直接に調製できると有利である。このような微粉砕工程は、静電気帯電や粒子凝集の増加、及び生成物収量の減少といった関連する問題を生ぜしめる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それゆえ、本発明の第一の態様として、超臨界流体粒子形成装置を利用して制御された方法で粒状生成物を形成するために用いられる装置を提供する。この装置は粒子形成容器を含み、該容器には、その内部の温度を制御するための手段と、該容器内の圧力を制御するための手段と、そして該容器中に、少なくとも一種の物質を溶液状態又は懸濁液状態で含有するビヒクルと超臨界流体とを、該ビヒクルの分散と抽出が該超臨界流体の作用によって実質的に同時に起こるように同時導入するための手段とが具備されている。
【0014】
本明細書中の用語「超臨界流体」とは、実質的に同時に臨界圧力(Pc)以上で且つ臨界温度(Tc)以上にある流体を意味する。実際には、該流体の圧力は1.01Pc〜7.0Pc の範囲に、またその温度は1.01Tc〜4.0Tc の範囲に含まれることが多い。
【0015】
用語「ビヒクル」は、一種以上の固体を溶解して溶液を形成させる流体又は該流体に溶解しない若しくは該流体中での溶解度が低い一種以上の固体の懸濁液を形成させる流体を意味する。ビヒクルは一種以上の流体で構成されることができる。
【0016】
本明細書中の用語「超臨界溶液」は、上記したようにビヒクルを抽出し且つ溶解させる超臨界流体を意味する。
【0017】
用語「分散」は、少なくとも一種の物質を溶液状態又は懸濁液状態で含有するビヒクルの液滴を形成させることを意味する。
【0018】
用語「粒状生成物」には、単成分系又は多成分系(例、均質混合物若しくは別のマトリックス中に含まれる一成分)の生成物が包含される。
【0019】
本発明の装置は、必要に応じて、粒状生成物を集めるための手段、例えば、該生成物を粒子形成容器内に保持するためのフィルターのような手段をさらに含むことで、得られた超臨界溶液と一緒に生成物の損失を減少させることができる。代わりとなる別の手段としてサイクロン分離装置を含むことができる。
【0020】
本発明の一態様では、該装置は、超臨界流体中でビヒクルを抽出した際に形成される超臨界溶液を回収するための手段と、該超臨界溶液の成分を分離するための手段と、必要に応じて該成分の一種以上を該装置にリサイクルして戻すための手段とを含むことで、全体効率を向上させることができる。
【0021】
さらに、該装置は、粒状生成物を集めるための容器及び/又は手段を二つ以上含むことで、必要に応じてある粒子形成容器又は粒子集積容器を別のものへ単に切り換えることにより該装置を実質的に連続運転できることが認識される。このような連続運転のための応用は、本発明のさらに別の態様の代表的なものである。
【発明の効果】
【0022】
上記の装置を使用すると、作業条件、特に圧力を、例えば Jasco社製のモデル880-81のような自動背圧調節器を用いて制御することにより、粒径及び粒子形状の制御された乾燥粒状生成物が製造される。このような改良された制御法により、粒子形成容器全体にわたり圧力変動が抑えられ、粒子形成工程において液滴の粒径分布の狭い超臨界流体によるビヒクルのより均一な分散が確実になる。分散された液滴が再結合してより大きな液滴を形成する可能性はほとんど又はまったくない。というのは、分散が超臨界流体の作用によって起こり、この作用はまた、ビヒクルとの十分な混合を確実にし且つ興味のある物質と該ビヒクルとを迅速に分離して粒子を形成させるからである。
【0023】
本発明の装置を用いると達成することができる、少なくとも一種の物質を溶液状態又は懸濁液状態で含有するビヒクルと超臨界流体との同時導入によって、ビヒクルと超臨界流体の両方のこれらが互いに接触することになる正確な時点における温度、圧力及び流速などのパラメーターを高度に制御することが可能になる。
【0024】
本発明による装置を用いて形成される粒子のさらに別の利点は、結晶相及び多形相の質が制御されることである。これは、粒子が形成時に受ける温度及び圧力の条件が等しく安定であること、並びに潜在的に純度が向上することが要因である。後者の特徴は、超臨界流体の異なる使用条件下での選択性の高さに起因することができ、興味ある物質を含有するビヒクルから一種以上の不純物を抽出することができる。
【0025】
その上、同時分散及び粒子形成をもたらすビヒクルと超臨界流体の同時導入により、所望であれば、既知の超臨界流体粒子形成法を用いた場合には不可能であるビヒクルの沸点以上の温度での粒子形成を実施することができる。このため、従来は利用できなかった温度・圧力領域での運転が可能となり、従来達成しえなかった生成物の形成又は生成物の粒状形態を実現することができる。このことは、本発明によって可能となる運転条件の高度な制御と相まって、その用途は非常に広範囲となり、またその価値の多様性は多くの分野に拡がるものである。
【0026】
本発明の装置のさらに別の利点は、粒子形成を完全に密閉された環境の中で、すなわち密閉された粒子形成容器中で行うことができる点にある。該装置は、大気に対して封止されることができるため、滅菌運転条件を維持することが容易となって環境因子による汚染が減少され、さらには酸素、湿分又はその他関連する汚染物からの隔絶を保つこともできる。該粒子形成容器はまた、特に写真工業用などの感光性製品の製造用に、容易に遮光性にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
粒子形成容器中に超臨界流体とビヒクルを同時導入するための手段は、これらを同じ方向の流れで導入できることが好ましく、さらには後述するような同軸ノズルの形態をとることがより好ましい。こうすると、ノズル先端部領域の周辺で形成された粒子とビヒクルとの接触が確実になくなる。このような接触があると、最終製品の粒径や形状の制御性が低下する。ノズルの設計によって得られる制御の他に、超臨界流体とビヒクルの粒子形成容器中への流入速度を調節することによって、分散液滴の大きさをさらに制御することができる。と同時に、粒子を容器中に保持することにより、そうしないと超臨界溶液の脱加圧時に起こりうるビヒクルとの接触の可能性が排除される。このような接触があると、生成物の形状や粒径に、また潜在的には収量にも、影響が及ぶ。
【0028】
このように、本発明の装置においては、超臨界流体とビヒクルとを粒子形成容器中に同時導入するための手段は、出口端部が該容器の内部に連通しているノズルを含み、該ノズルは該出口端部で互いに隣接した末端を有する同軸通路を有し、該通路の少なくとも一つは該超臨界流体の流れを運搬する役目をもち、そして該通路の少なくとも一つは物質が溶解又は懸濁されているビヒクルの流れを運搬する役目をもつ。
【0029】
ノズルの出口端部(チップ)における開口部の直径は、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜0.3mm、典型的には約0.2mmである。該出口端部のテーパー角は該ノズル中に導入される流体の所望の速度に依存し、例えば、ノズル中に導入する超臨界流体の速度を高めて超臨界流体とビヒクルとの物理的接触量を増大させるために角度を大きくすることができる。典型的には(必須ではないが)、テーパー角は約10°〜約50°、好ましくは約20°〜約40°、より好ましくは約30°の範囲にある。ノズルは適当ないずれの材料でできていてもよく、例えば、ステンレススチール製であることができる。
【0030】
本発明の一実施態様では、ノズルは二つの同軸通路、すなわち内通路と外通路を有する。別の好ましい実施態様では、ノズルは三つの同軸通路、すなわち内通路、中間通路及び外通路を有する。この後者の設計によると、必要に応じて2種のビヒクルを超臨界流体と共に粒子形成容器中に導入することができるので、装置を使用する際の融通性が高くなる。また、このようなノズルを使用して超臨界流体の内流と外流の間にビヒクル流を挟み込んで導入した場合には分散性の向上したより細かい粒子を得ることができる。というのは、ビヒクルの両側が超臨界流体に晒されるからである。しかしながら、ノズルが有する同軸通路の数は適当な任意の数であることができるということに留意されたい。
【0031】
同軸通路の内径は装置の特定のいずれの用途にも適するように設定することができる。典型的には、外通路と内通路との内径比は2〜5、好ましくは約3〜5の範囲にすることができる。中間通路が存在する場合には、外通路と中間通路との内径比は1〜3、好ましくは約1.4〜1.8の範囲にすることができる。
【0032】
このような同軸ノズルとその典型的な寸法の具体例を第3A図、第3B図及び第4図に記載する。
【0033】
粒子形成容器の温度は、加熱ジャケット、又はより好ましくは炉によって(好ましくは±0.1℃に)維持することができる。粒子形成容器の圧力は、背圧調節器により(好ましくは±2バールに)維持することが便利である。このような装置は、例えば、超臨界流体抽出装置の製造業者、例えば、Jasco 社(日本)から容易に入手できることに留意されたい。
【0034】
本発明の第二の態様では、本発明の第一の態様による装置に用いる上記の同軸通路を有するノズルであって、少なくとも1種の物質を溶液又は懸濁液として含有するビヒクルと超臨界流体とを粒子形成容器中に同時導入するためのノズルが提供される。
【0035】
本発明の第三の態様では、少なくとも1種の物質を溶液又は懸濁液として含有するビヒクルと超臨界流体とを粒子形成容器中に同時導入する工程を含む粒状生成物の形成方法であって、その温度と圧力を、ビヒクルの分散及び抽出が超臨界流体の作用によって実質的に同時に起こるように制御する方法が提供される。さらに、分散及び抽出は、流体を粒子形成容器中に導入した実質的に直後に起こることが典型的である。
【0036】
この第三の態様の特に好ましい実施態様では、ある物質を溶液又は懸濁液状態で含有するビヒクルと超臨界流体との同時導入を、同軸設計されたノズルを用いて行う。一般に、この第三態様の方法は本発明の第一態様による装置を用いて実施することが好ましい。
【0037】
本発明において超臨界流体として使用するのに適した化合物には二酸化炭素、亜酸化窒素、六フッ化硫黄、キセノン、エチレン、クロロトリフルオロメタン、エタン及びトリフルオロメタンが含まれる。二酸化炭素が特に好ましい。
【0038】
超臨界流体は、必要に応じて1種以上の変性剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はアセトンを含有することができるが、これらに限定はされない。変性剤を使用する場合には、超臨界流体の好ましくは20%以下、より好ましくは1〜10%を占める。
【0039】
用語「変性剤」は当業者には周知である。変性剤(又は補助溶剤)は、超臨界流体に添加された場合に、超臨界流体のその臨界点における又は付近の固有特性を変化させる流体として記述することができる。
【0040】
生成物を形成するための物質に対するビヒクルの選択は、その特定の物質に依存する。このため、その物質を溶液として取り扱う場合には、それは選ばれたビヒクルに可溶でなければならず、しかもその選ばれたビヒクルは選ばれた超臨界流体に可溶でなければならない。所望のいずれかの生成物に対して超臨界流体と、(所望の場合には)変性剤と、ビヒクルとの好適な組合せを選択することについては当業者の能力の範囲内にある。
【0041】
本発明の実施態様の一つでは、形成される生成物が医薬品化合物である。例えば、本明細書中で説明するように、その固体はサルメテロールキシナフォエート(salmeterol xinafoate)であることができ、その場合、好適な溶剤は、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はこれらいずれかの混合物であることができる。しかしながら、その生成物は実際には所望のいずれの粒状生成物であってもよく、例えば、セラミックス、爆薬又は写真工業;食品;染料;等で用いる製品であることができる。
【0042】
粒状生成物における寸法や形状などのパラメーターの制御は、本発明の方法を実施する際に用いられる運転条件に依存する。変数には超臨界流体及び/又は物質を含有するビヒクルの流速、ビヒクル中の物質の濃度、並びに粒子形成容器内部の温度及び圧力が含まれる。
【0043】
正確な運転条件は超臨界流体の選択や変性剤が存在するか否かによって変わる。例として、表1に、いくつかの特定の流体についての臨界圧力及び温度を記載する。
【0044】
【表1】

【0045】
実際には、粒子形成容器内部の圧力をPcを実質的に上回る圧力(例えば、二酸化炭素の場合には100〜300バール)に維持する一方、温度はTcを若干上回る温度(例えば、二酸化炭素の場合には40〜60℃)にすることが好ましい場合がある。
【0046】
超臨界流体及び/又はビヒクルの流速を制御することでも所望の粒径、形状及び/又はフォームを得ることができる。典型的には、超臨界流体の流速に対するビヒクルの流速の比率は、0.001〜0.1、好ましくは0.01〜0.07、より好ましくは0.03付近にある。
【0047】
本発明の方法は、粒状生成物の形成後にこれらを集める工程をさらに含むことが好ましい。それはまた、形成された超臨界溶液を回収する工程、その溶液の成分を分離する工程及びこれらの成分の1種以上をさらに使用するためにリサイクルする工程を含むこともできる。
【0048】
本発明の第四の態様によると、本発明の第一の態様による装置及び/又は第三の態様による方法を用いて製造された粒状生成物が提供される。
【0049】
ここで、添付の例示用図面を参照しながら具体例によって本発明を説明する。
【0050】
以下、第1図〜第4図を参照しながら本発明の好ましい実施態様を詳細に説明する。第1図及び第2図は本発明による装置の簡略化した流れ図であり、また第3A図、第3B図及び第4図はその中で用いることができるノズルを示すものである。
【0051】
まず第1図を参照すると、図示された装置には粒子形成容器6が含まれる。これは、それが配置される特定の用途に適した容量を有する標準的な反応容器であって、例えば Keystone Scientific社より市販されているタイプの容器である。この容器の温度及び圧力は、それぞれ炉7及び背圧調節器8によって所望の一定レベルに保たれる。
【0052】
使用する際には、系を最初に加圧して安定した作動条件を達成する。適当な気体、例えば、二酸化炭素をソース1から導管11を介して冷却器へ供給して確実に液化させ、そして導管12を介してポンプ4へ供給する。そこから気体を導管13を介し、ノズル20を通して容器6へ供給する。興味のある固体、例えばサルメテロールキシナフォエートを適当なビヒクル、例えばメタノールに含む溶液又は分散液をソース5から導管14を介してポンプ3へ送り、そして導管15を介し、ノズル20を通して容器6へ供給する。
【0053】
ノズル20は、第3図(A及びB)又は第4図のいずれかに示したようなものであることができる。第3図に示したノズルは同軸の内管と外管、それぞれ30及び40を含む。これらは内通路31と外通路41を画定する。管30及び管40は、それぞれ円錐形にテーパー加工された末端部32及び42を有する。これら末端部32及び42がそれぞれのオリフィス33及び43を画定するが、オリフィス43はオリフィス33よりも短い距離だけ下流に位置している。第3B図に示したように、末端部42のテーパー角は、この(非限定的な)実施例では約30℃である。
【0054】
第4図に図示した別のノズルは、三つの同軸管50、60、70を含み、それぞれが内通路51、中間通路61、外通路71を画定している。管60及び管70は円錐形にテーパー加工された末端部62及び72を有し、末端部72のテーパー角はこの実施例では約30°である。
【0055】
第4図のノズルは、3種の流体を同時に容器6に導入することを可能にするので、装置を使用する上での融通性が高くなる。例えば、三つの通路の一つを介して、最終粒状生成物の一部を成す、又はこれと混合することを意図された所望のキャリヤ又は他の添加物を加えることが可能である。すると、この添加物は主目的の物質と同時に分散される。また、二つのノズル通路を介して別個の2種のビヒクルにおいて2種以上の反応体を導入することによって、超臨界流体による分散の直前に現場反応を行うことも可能である。この場合、その反応は分散の直前に、又は分散と同時に、通路出口において起こる。
【0056】
別法として、第4図のノズルを使用し、超臨界流体の内部流れと外部流れ(通路51及び71)の間にビヒクルの流れ(通路61)を挟み込んで導入することができる。この方法によりビヒクルの分散が改善され、ひいては最終生成物における粒径の制御性及び均一性を高めることができる。実際に、2本通路式ノズルを用いて得られるよりも微細な生成物を形成することができる。
【0057】
図示したノズルでは、内管50の内径は0.25mmであり、中間管60の内径は0.53mmであり、そして外管70の内径は0.8mm、外径は1.5mmである。先端開口部(73)の内径は0.2mmである。これらの管はすべてステンレススチールでできている。
【0058】
しかし、このノズルは適当ないずれの材料でできていてもよく、また適当ないずれの寸法を有することもできる。例えば、内径については0.05〜0.35mm(内管)、0.25〜0.65mm(中間管)、0.65〜0.95mm(外管)、好ましくは0.1〜0.3mm(内管)、0.3〜0.6mm(中間管)、0.7〜0.9mm(外管)の範囲にあることができる。先端開口部の内径は0.1〜0.3mm、好ましくは0.18〜0.25mmの範囲にある場合が多い。
【0059】
第1図の装置では、超臨界流体を、加圧下(ビヒクルの流速よりも高速で)、例えば第3図に示したノズルの内部ノズル通路31を介して供給し、そして興味ある固体をビヒクル中に含む溶液又は懸濁液(以降、「液体」と称する)を、加圧下、外通路41を介して同時に供給する。オリフィス31から出てくる高速の超臨界流体が、外通路41の末端から出てくる液体をばらばらの液滴にし、実質的に同時にそこからビヒクルが超臨界流体によって抽出されて、それまではビヒクル中に保持されていた固体の粒子が形成することになると考えられている。しかしながら、これは起こっていることであると考えられるが、我々はこの理論的説明によって拘束されることを望むものではなく、実際に起こっている物理的過程を正確に示すことはできない。
【0060】
また、超臨界流体が内通路31を通り、ビヒクルが外通路41を通る構成を説明したが、これを逆にして、超臨界流体が外通路41を、ビヒクルが内通路31を通ることも可能である。同様に、第4図のノズルでは、三つの通路のいずれを用いても、適宜所望の流体のいずれでも運搬することができる。
【0061】
ノズル20は、高速の超臨界流体の剪断作用によって興味ある固体を含有するビヒクルを確実に分散させ、また分散されたビヒクルと超臨界流体とを十分に混合させ、これが同時に分散液体からビヒクルを抽出させ、興味ある固体の実質的に迅速な粒子形成をもたらす。超臨界流体とビヒクルが同軸的に導入され、また分散とビヒクル抽出とが実質的に同時に起こるので、それが起こる正確な時間において、粒子形成に影響を与える条件(例、圧力、温度及び流速)の非常に高度な制御が可能である。
【0062】
形成された粒子は、収集手段21によって粒子形成容器内に保持される。生じた超臨界溶液を導管16により背圧調節器8に供給した後、導管17により分離容器9に供給し、そこでそれを膨張させて液体ビヒクルから超臨界流体を気体として分離させる。その気体は導管18を介してタンク10に供給し、そして導管19により冷却器2へ戻すことができる。ビヒクルについても後に再利用するために収集することができる。図示してはいないが、ポンプ3及び4によって生じる流体の流れの脈動を平滑化し、流れの脈動を除去する、又は少なくとも低減するための手段を設けることもできる。
【0063】
容器6において十分な粒子形成が起こったならば、それを清浄で乾燥した超臨界流体でフラッシし、少しのビヒクル残留物も確実に残らないようにする。その後、容器を脱加圧し、粒状生成物を取り出す。
【0064】
第2A図及び第2B図に概略的に示した別の装置は連続粒子形成に用いるためのものである。第2A図に示した装置は、二つの粒子形成容器6a及び6bを含み、それぞれ第1図に示したタイプのものであり、またそれぞれ導入ノズル20と粒子収集手段(例、フィルター)21を含む。炉7は両方の容器に用いられる。
【0065】
第2A図の装置では、バルブAが超臨界流体と(興味ある物質を含有する)ビヒクルの二つの容器6a及び6bへの供給を制御し、逆止めバルブE及びFが二つの容器から背圧調節器8への出口を制御する。バルブDはバルブAへのビヒクルの供給を制御する。バルブB及びバルブCはニードルバルブであり、番号80及び81はベントである。
【0066】
この装置は、下記のように「連続」運転することができる。まず、流体を容器6aに供給するようにバルブAを設定し、そこで第1図について説明したように粒子形成を行わせる。生じる超臨界溶液を容器6aから背圧調節器8へ排水して後にリサイクルさせるようにバルブEを設定する。
【0067】
十分な粒子形成が起こったならば、バルブDを閉めてビヒクルの流入を停止させる一方、超臨界流体は容器6aに流し続けて生成物を乾燥(フラッシ)させる。次いで、空の容器6bへ流体を供給するようにバルブAを設定し、そしてバルブDを再開し、一方でバルブBをゆっくりと開けて容器6aを脱加圧させる。逆止めバルブEにより、容器6bから逆流する可能性又は容器6bにおいて進行している粒子形成過程を中断させる可能性が排除される。容器6aを取り出して生成物を収集し、その後は再び取り付けて再利用するために再加圧して準備しておく。超臨界溶液は容器6bから適切に設定されたバルブFによって排水される。
【0068】
容器6bにおける粒子形成が完了したら、容器6aで継続できるようにバルブを設定し直し、6bをフラッシして空にする。このようにして、この装置において粒子形成を中断させることなく続けることができる。
【0069】
第2B図に示した装置は粒子形成容器6を一つだけ含み、粒子収集手段を含まないが、容器6の下流に二つの粒子収集容器25a及び25bを含む。超臨界流体が形成された粒子をこれらの収集容器25a及び25bへ運搬する。
【0070】
この装置には、導入ノズル20、二つのベント26、背圧調節器27、炉7及びバルブA〜Hがさらに含まれる。超臨界流体と溶液(ビヒクル)は図示したノズル20へ供給される。
【0071】
この装置は以下のように使用することができる。最初に、(バルブC、D、E及びFを閉じた状態で)系を加圧して安定な作動条件を達成し、次いでバルブB及びHを閉じて、超臨界流体をバルブAのみに流させる。ビヒクルと興味ある物質を容器6に導入し、形成した粒子を超臨界流体によってバルブAを介して粒子保持装置を有する収集容器25aへ運搬する。この保持装置を容器の出口に配置することにより最大限の収集体積を確保する。固形分を含まない超臨界溶液(超臨界流体及びビヒクル)はバルブGを通り背圧調節器27へ流れる。この背圧調節器から出ていく際に超臨界溶液は膨張して大きな耐圧容器(図示なし)に入り、そこでビヒクルと気体が分離してどちらもリサイクルすることができる。
【0072】
収集容器25aが充満した時点で、切り換えを行い、バルブA及びGを閉じると同時にバルブB及びHを開ける。これにより、容器6から出てくる超臨界溶液を第二の収集容器25bの中へ流すことができる。流れの切り換えを完了した後、バルブC及びGを開けて超臨界流体を大量に流し、充満した収集容器25aをフラッシする、すなわち、超臨界溶液の部分を超臨界流体に置き換える。収集容器の容積の1〜2倍の体積の超臨界流体によって確実に乾燥粉末が得られるものと概算される。一般に、粒子が収集容器の体積を占めていることから、フラッシ時間は短い。フラッシ後、バルブC及びGを閉じてバルブF(ニードルバルブ)をゆっくりと開けて充満している収集容器25aの加圧を解く。粒状生成物が容器体積を占めているので、主として関与している取り付け部品の内部容積分の少量の超臨界流体しか排出されない。
【0073】
充満している収集容器25aを取り外して乾燥粉末を収集する。再度取り付けてバルブCによって再加圧した後、その容器は、その間に容器6からの生成物を収集していた第二の収集容器25bが充満したらすぐに再使用できる準備ができている。
【0074】
第2B図の装置を使用する利点は以下の通りである。
1.生成物を収集する毎に反応容器を脱加圧、加圧する工程が省かれること。このことは、特に大容積の粒子形成容器(スケールアップ)又は高価な高純度気体を使用した場合に、流体の排出量が相当に削減されることを意味する。
2.フラッシ(乾燥)工程の時間が有意に節約されること。バッチ式の粒子形成プロセスでは、生成物によって占められる反応容器の容積はほんのわずかであり、残りの部分(分散が起こる部分)は超臨界溶液によって占められる。この混合物は最終的にはフラッシ工程において少なくとも同体積の超臨界流体によって置換されるので、スケールアップした場合には長い時間がかかる場合がある。
3.回収工程で環境及び作業員が生成物に晒されることが少ない。大きな反応容器から生成物を直接に収集することは、取扱いが不便であるか、或いは興味のある生成物が光、酸素又は湿分に感受性であって、これらが生成物の特性や純度に影響を及ぼしうることから、困難である場合がある。
【0075】
第2A図及び第2B図のどちらの装置も本発明の範囲に包含されるものであって、どちらを使用しても本発明の方法を実施できることに留意されたい。
【実施例】
【0076】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
実施例1〜5(導入)
実施例1〜8及び17は、本発明による方法と装置を用いた化合物4−ヒドロキシ−α1−〔〔〔6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシル〕アミノ〕メチル〕−1,3−ベンゼンジメタノール(サルメテロール),1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシレート(キシナフォエート)の調製に関する。サルメテロールキシナフォエートは、結晶形で調製される必要がある一般に吸入法で投与される医薬品である。以下説明するように、本発明を利用して、該医薬品を、簡単に取り扱われ且つ簡単に流動化される結晶形において、制御された粒径及び粒子形状で、極めて高純度で、しかも特に望ましい多形で調製することができる。
【0077】
従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートは、超微粉化(流体ミル粉砕)後であっても流動特性に乏しい形態で存在し、例えば、凝集性であり且つ帯電し、このため、医薬品配合工程で該薬物を取り扱う上で困難があった。
【0078】
対照的に、本発明を利用すると、動的嵩密度が0.1g・cm-3未満、例えば、0.01〜0.1g・cm-3、とりわけ0.01〜0.075g・cm-3の形態でサルメテロールキシナフォエートを調製することができる。
【0079】
動的嵩密度(W)は物質の流動性の指標であって、以下のように定義される。
【0080】
W=(P−A)C/100+A
ここで、Pは充填嵩密度(g・cm-3)であり、Aは空気噴入嵩密度(g・cm-3)であり、そしてCは圧縮率(%)であって、以下の式:
C=(P−A)/P×100
で計算される。
【0081】
従って明らかなように、Wの値が小さいことは流動性が高いことに対応する。
【0082】
こうして、従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートと比較した場合、超微粉化の前後両方で、本発明により調製されたサルメテロールキシナフォエートは従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートよりも有意に低い動的嵩密度を示す(以下の実施例1の表1を参照のこと)。
【0083】
サルメテロールキシナフォエートのような吸入式医薬品の場合、流動化が容易な薬物を製造すること、よってその吸入特性を潜在的に改良することが特に望ましいことは認識される。
【0084】
本発明により調製されたサルメテロールキシナフォエートはまた、従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートよりも取扱適性及び流動特性が改良されていることが認められる。その上、実施例に付随した電子顕微鏡写真によって例示されるように、その粒径及び粒子形状を容易に制御することができる。
【0085】
また、従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートは、示差走査熱量計(DSC)によると、120℃と140℃の間で二つの形態(以降「多形I」及び「多形II」)の間で転移が起こることが認められた。多形I及び多形IIに特徴的な二つのピークを示す従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートのDSCプロフィールを第5図に示す。
【0086】
しかしながら、本発明によると、以下に説明するように、DSCで約123.5℃に単一の吸熱が記録されることを特徴とする純粋な多形Iの形態でサルメテロールキシナフォエートを調製することができる(第6図及び実施例2を参照のこと)。同様に、DSCで約135.8℃に単一の吸熱が記録されることを特徴とする純粋な多形IIの形態でサルメテロールキシナフォエートを調製することができる(第8図及び実施例2を参照のこと)。実施例2ではまた、比率を制御したこれら2種の多形の混合物も達成された。
【0087】
また、調製された多形は安定であり、DSC条件下ではある多形から別の多形への転移は観測されないことを意味している。
【0088】
このような形態のサルメテロールキシナフォエートの調製法とそれらの物理的特性を例示する実施例1〜5は、第1図〜第4図に図示したものと実質的に同じ装置で、32mLの粒子形成容器と以下の寸法の2本通路式同軸ノズルを用いて実施した。
【0089】
外径 内径
外管 1.58mm 0.75mm
内管 0.63mm 0.20mm
先端部のオリフィス(第3B図の43)は直径0.32mmとし、内管及び外管はどちらもステンレススチール製とした。
実施例1
従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートを、超微粉化の前後両方で、上記した本発明の方法により調製されたサルメテロールキシナフォエートと比較した。試料1について使用した条件は、アセトン中に0.63%(w/v)のサルメテロールキシナフォエートを含む溶液、300バール及び45℃とした。試料2についての条件は、アセトン中に0.50%(w/v)のサルメテロールキシナフォエートを含む溶液、100バール及び55℃とした。各場合とも、溶液の流速は0.4mL/分とし、粒子形成容器には超臨界CO2を9mL/分の流速で同時導入した。
【0090】
すべての試料についての動的嵩密度を以下の表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例2
サルメテロールキシナフォエートの多形の形成の制御
メタノール中にサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.6%w/v)をCO2と共に300バール、45℃において同軸ノズルを介して粒子形成容器に導入した。実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な粉末が形成した。この生成物の特性を示差走査熱量計(DSC)とX線粉末回折(XRD)で測定し、これらのデータを第6図及び第7図に示した。融点が明確に定められた(熱流ピーク=123.5℃)結晶性の高い生成物が得られた。XRDにおける主強度は4.2、17.3及び24.5°の2シータで観測された。この物質を多形Iと定義した。
【0093】
別の実験で、アセトン中にサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.6%w/v)をCO2と共に250バール、90℃において粒子形成容器に導入した。実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な粉末が形成した。このDSCとXRDのデータを第8図及び第9図に示した。第二の多形が得られ、これを多形IIと定義した。この形態は、融点が明確に定められた(熱流ピーク=135.8℃)結晶性であった。2.9°の2シータに新たな主強度を有する、多形Iとは異なるXRDパターンが得られた。運転条件を変更することにより、サルメテロールキシナフォエートの従来の既知の製造方法では熱誘導転移を起こさせる温度で多形Iを加熱した後にのみ観測される融点のより高い純粋な相(多形II)が形成されることになった。
【0094】
また、多形Iと多形IIの混合物についても、運転条件を変更することによってその形成が制御された。DSC及びXRDのデータ(第10図〜第13図を参照のこと)により、これらの生成物の混合相状態は、運転温度が高くなると多形IIの成分が増加することが確認される。
実施例3
粒径及び粒径分布の制御
アセトンにサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.6%w/v)をCO2と共に200バール、55℃において粒子形成容器に導入した。このサルメテロールキシナフォエート溶液/超臨界CO2の流速比を変化させて一連の生成物を得た。流速比は以下のように定義される。
【0095】
(溶質を含むビヒクルの流速)/(超臨界流体の流速)
この流速比は、超臨界CO2の流速9mL/分に対して0.01〜0.07の範囲で変化させた。
【0096】
得られた実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な生成物を、粒径分析についてレーザー回折法(Malvern MastersizerE) 及び走査型電子顕微鏡(SEM) によって検査した(第14図〜第17図を参照のこと)。サルメテロールキシナフォエート溶液/超臨界CO2の流速比を低下させることにより、高い流体流速比の場合(第16図及び第17図)よりも細かい粒子が得られる(第14図及び第15図)ことがわかった。粒径分析データを以下の表3に示す。
【0097】
【表3】

【0098】
均一指数は以下のように定義される。
【0099】
100×〔10%積算ふるい下における粒径〕/〔90%積
算ふるい下における粒径〕
別の実験で、イソプロパノール中にサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.2%w/v)をCO2と共に150バール、60℃において粒子形成容器に導入した。実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な生成物をSEM(第18図を参照のこと)で検査すると、最大粒径が300μmの針状粒子から成ることがわかった。
【0100】
このように、本発明の粒子形成工程の運転条件を制御し変更することにより、様々な粒径及び粒径分布を示す粒子から成るサルメテロールキシナフォエート製品が製造された。
実施例4
粒子形状の制御
96%エタノールにサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.8%w/v)をCO2と共に300バール、50℃又は60℃において粒子形成容器に導入した。実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な生成物をSEMで検査した。50℃で得られた生成物は、60℃で得られた針状粒子(第20図を参照のこと)に比べて長さの短いブレード状粒子(第19図を参照のこと)から成っていた。
【0101】
別の実験で、アセトン中にサルメテロールキシナフォエートを含む溶液(0.6%w/v)をCO2と共に200バール、50℃において粒子形成容器に導入した。実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な生成物をSEM(第21図を参照のこと)で検査すると、これらの粒子は板状の微結晶質付着物(accretion) であることがわかった。
【0102】
このように、粒子形成工程の運転条件を制御することにより、様々な粒子形状を示すサルメテロールキシナフォエート製品を製造することができる。
実施例5
サルメテロールキシナフォエートを固体支持体表面に付着させた粒子の形成
メタノール中にサルメテロールキシナフォエート(0.6%w/v)を含み、さらにヒュームド二酸化珪素B.P.の分散液(0.06%w/v)を含む溶液をCO2と共に300バール、45℃において粒子形成容器に導入した。ヒュームド二酸化珪素B.P.の分散液を含まない他は上記と同じ第二のメタノール溶液を、同等な運転条件下で粒子形成容器に導入した。得られた実質的な静電気帯電のない乾燥した、取扱いの簡単な粉末生成物を示差走査熱量計(DSC)(第22図及び第23図を参照のこと)とX線粉末回折(XRD)(第24図及び第25図を参照のこと)により検査した。サルメテロールキシナフォエートがヒュームド二酸化珪素粒子表面に付着している試料のDSCプロフィール(第22図)は、同等な条件下で調製したヒュームド二酸化珪素を含まないサルメテロールキシナフォエート試料の場合(第23図)よりもピーク熱流温度が低く、溶融吸熱の幅が広いことを示した。サルメテロールキシナフォエートがヒュームド二酸化珪素粒子表面に付着している試料のXRDパターン(第24図)は、同等な条件下で調製したヒュームド二酸化珪素を含まないサルメテロールキシナフォエート試料の場合(第25図)と比べて、強度測定値の低下が示唆しているように、結晶化度が低いことを示した。
【0103】
これらのデータは、本発明の方法によって二酸化珪素粒子支持体表面にサルメテロールキシナフォエートを付着させると、固体支持体として二酸化珪素粒子を含まない同等な運転条件下で調製されたサルメテロールキシナフォエート試料と比較して、サルメテロールキシナフォエートの結晶化度が変化することを示している。この実施例は、本発明を利用して多成分粒状生成物、この場合は興味のある物質をキャリヤ物質表面に含む生成物を調製する方法を説明するものである。
実施例6
より大規模な装置の使用
第26図及び第27A〜F図は、本発明による装置において使用することができる比較的大規模な粒子形成容器90の構造を示すものである。該容器は、内部反応室91と容器壁92とその上端部で嵌合可能なネジ山を有する末端キャップ93とを含む。蓋94は、ノズルアセンブリのための中央開口部95と、粒子保持装置(例、フィルター)を含む、出口用の周辺開口部96とを有する。
【0104】
第27図では、A〜Cが外部壁を含む主容器を示し、Dが末端キャップ93を示し、Eが蓋94を示し、そしてFが反応室91の上端部を封止するために用いられるO−リングシール97を示す。各部材の寸法はmm単位で示されている。
【0105】
容器90を2本通路式ノズルと共に使用して本発明の方法を実施し、サルメテロールキシナフォエートを製造した。得られた試料について2枚のSEM写真(第28図及び第29図)とX線粉末回折パターン(第30図)を提供する。運転条件は、サルメテロールキシナフォエートをアセトン中に含む1.25%w/v溶液、100バール及び60℃とした。
【0106】
明らかに、本発明は比較的大規模な装置を用いて実施することができ、なおも有効に粒子生成物の形成を制御することができる。
実施例7
運転条件が粒径に与える効果
実施例1〜5に記載したように、容積50mLの粒子形成容器と2本通路式ノズルを使用して本発明を実施し、サルメテロールキシナフォエートの粒子を製造した。温度、圧力及び超臨界流体の流速の変更が生成物粒子の平均粒径に与える効果を調べた。これらの結果を第31図〜第33図に示す。
【0107】
第31図は、粒子形成容器内の温度に対してMalvern サイジング法で測定した平均粒径(μm)のグラフである。サルメテロールキシナフォエートは300バールにおいてアセトンから析出させた。表示の流速は、CO2の一定流速9mL/分におけるアセトン/サルメテロールキシナフォエート溶液の流速を表す。
【0108】
第32図は、4種類の温度において容器圧力が粒径に与える効果を示すものである。アセトン溶液の流速は0.1mL/分とし、またCO2の流速は9mL/分とした。
【0109】
第33図は、CO2(SF)の流速に対する粒径のグラフである。このサルメテロールキシナフォエートは、アセトンから、アセトン/サルメテロールキシナフォエート溶液流速0.3mL/分及び濃度1.25%w/vにおいて析出させたものである。その運転温度は60℃、圧力は120バールとした。
実施例8
3本通路式ノズルの使用
上記した実施例は、いずれも第1図に示したものと類似した装置と第3A図及び第3B図に示したタイプの2本通路式導入ノズルとを使用して実施したものである。対照的に、この実施例は、第4図に示したタイプの以下の寸法を有する3本通路式導入ノズルを使用して実施した。
【0110】
外径 内径
外管70 1.54mm 0.75mm
中間管60 0.70mm 0.35mm
内管50 0.30mm 0.15mm
ノズル開口部:内径0.22mm
ノズルの管はすべてステンレススチール製とした。用いた粒子形成容器の容量は32mLとした。
【0111】
サルメテロールキシナフォエートの試料を、0.5%w/vアセトン溶液から200バール、50℃において調製したが、その際、中間ノズル通路を介したアセトン/サルメテロールキシナフォエート溶液の流速は0.2mL/分とし、内管及び外管のノズル通路を介したCO2の流速は5mL/分とした。得られた試料のX線データを第34図に示す。
【0112】
同じ3本通路式ノズルを用いて別の試料も調製した。
実施例9
粒状ポリスチレンの調製
この実施例は、本発明を利用してポリマーの粒状試料を調製することを例示するものである。
【0113】
ポリスチレン粉末(分子量280,000 、Aldrich Chemicals )をトルエンに溶解して0.18%w/v溶液を調製した。第1図に示したものと同等な装置を、2本通路式ノズルと50mLの粒子形成容器とを使用し、100バール、40℃において、CO2の流速を7mL/分、トルエン/ポリスチレン溶液の流速を0.2mL/分として運転した。細かい白色粉末が生成物として得られた。
【0114】
第二のポリスチレン粉末(分子量450,000 、Aldrich Chemicals)を出発原料として使用して同様な生成物を得た。
実施例10
サルメテロールキシナフォエート及びポリマーマトリックスの調製
0.45%w/vのサルメテロールキシナフォエートと0.05%w/vのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel SL) を含有するアセトン溶液を調製し、第1図に示したものと同等な装置に、2本通路式ノズルと50mLの粒子形成容器とを使用して供給した。運転条件は120バール、60℃、サルメテロールキシナフォエート/ポリマー溶液の流速0.4mL/分、超臨界CO2の流速9mL/分とした。サルメテロールキシナフォエート中に10%w/wのヒドロキシプロピルセルロースを含有する細かい白色粉末が生成物として得られた。
【0115】
この第一の生成物の場合と同じ運転条件を使用し、第二の溶液から、外観は同じであるが20%w/wのヒドロキシプロピルセルロースを含有する生成物も調製された。
【0116】
第35図及び第36図は、それぞれ第一の試料と第二の試料についてのX線粉末回折パターンである。ヒドロキシプロピルセルロースの増加に伴い結晶性サルメテロールキシナフォエートの乱れの増加が認められ、ポリマーマトリックス材料が試料に内蔵されていることが確認された。
【0117】
このように、この実施例は、本発明を利用して多成分粒子、この場合はポリマーマトリックスを含む医薬品を調製する方法を説明するものである。内蔵される第二の成分は、医薬品として許容できるキャリヤ、例えば、ポリマー(例、澱粉又はヒドロキシプロピルセルロース)、二酸化珪素、ソルビトール、マンニトール又はラクトースであることができる。該成分を利用して、薬物又は類似物質の溶解性能や他の特性を変性させることができる。
実施例11
硝酸第一コバルトの調製
この実施例は、本発明を利用して粒状無機物並びに有機物製品を調製することを例示するものである。これにより、例えば、色素、爆薬、写真材料、その他粒子特性の制御を改良する必要がありうる無機生成物を製造する上での本発明の有用性が提案される。
【0118】
アセトン中に硝酸第一コバルト〔Co(NO32・6H2O〕(BDH Chemicals)を含む0.25%w/v溶液を調製し、第1図に示したものと同様の50mLの粒子形成装置に、3本通路式ノズルを用いて供給した。運転条件は100バール、35℃、中間ノズル通路を介した溶液の流速0.2mL/分とし、内管及び外管のノズル通路を介した超臨界CO2の流速9mL/分とした。得られた生成物はさらさらなピンク色の粉末であった。
実施例12
塩化ニッケル六水和物の調製
この実施例も、本発明の方法を利用した無機化合物の調製について例示するものである。
【0119】
無水エタノール中に塩化ニッケル六水和物NiCl2・6H2O(Sigma Chemicals) を含む0.85%w/v溶液を、3本通路式ノズルを用いて32mLの粒子形成容器の中に導入した。運転条件は100バール、60℃、中間ノズル通路を介した溶液の流速0.3mL/分とし、(内管と外管のノズル通路を介した)超臨界CO2の流速6.5mL/分とした。収集した生成物は微細でさらさらな粉末であった。
実施例13
粒状生成物の純度の向上
この実施例は、本発明の方法を利用して、不純物を含有する溶液から粒状生成物を析出させる際に、該生成物の純度を向上させる方法について例示するものである。
【0120】
サルメテロールキシナフォエート0.2022gと分析グレードのサリチル酸(BDH Chemicals社、英国) 〔不純物〕0.0242gとを無水エタノール60mLに溶解させ、2本通路式ノズルを介して50mLの粒子形成容器に供給した。運転条件は、200バール、50℃、(サルメテロール中に10.69%w/wのサリチル酸を含む)溶液の流速0.3mL/分、超臨界CO2の流速9mL/分とした。
【0121】
白色のふわふわした粉末生成物を集めてHPLCで分析した。この分析には、Pye Unicam PU4015 HPLCシステム(Pye Unicam 社、英国) と、5μmのSpherisorb ODS2(Jones Chromatography, 英国)を充填した 150×4.6mm のカラムを使用した。移動相はアセトニトリル、0.1M酢酸アンモニウム水溶液及び0.1Mドデシル硫酸ナトリウム水溶液から成るもの(52:24:24 v/v)とし、pHを氷酢酸で3.8 に調整した。移動相の流速は2.0ml/分とした。調製した試料溶液(濃度5 mg/ml ±0.5 mg)の注入体積は20μlとし、そしてUV検出器は278nmに、また積分器(Hewlett Packard HP3394A) のアテニュエーションは8に設定した。
【0122】
第37図は、この実験で用いた純粋なサルメテロールキシナフォエートのHPLCクロマトグラムである。第38図は、用いた純粋なサリチル酸のHPLCクロマトグラムである。第39図は、粒子形成容器に供給したサルメテロール/サリチル酸溶液のHPLCクロマトグラムである。そして第40図は、本発明の方法を実施して得られた生成物のHPLCクロマトグラムである。
【0123】
第39図と第40図は、本発明の方法を使用した後のサルメテロールキシナフォエート純度が有意に改良されたことと、サリチル酸濃度が10.69%w/wから0.8%w/w未満に低下した重要な事実を示している。このことから、ある試料から1種以上の不純物を選択的に抽出し、よって所望の粒状生成物の純度を向上させることができる本発明による技法の性能が確認された。
実施例14
ラクトースの調製
この実施例では、本発明の方法を利用して、但しビヒクルを1種ではなく2種用いて、ラクトースを調製した。ラクトースは水溶性の糖であるが、水を唯一のビヒクルとすることは不適切である。というのは、水は超臨界CO2に不溶性であり、従ってこれに抽出されえないからである。代わりに、比較的少量の水と、水と混和し且つ超臨界CO2に可溶である第二のビヒクルの比較的多量のメタノールとにラクトースを含む溶液を使用した。この溶液を3本通路式ノズルを介して超臨界CO2と共に導入した。水はこの超臨界流体に不溶性であるにも係わらず、混和している水とメタノールが一緒に超臨界CO2中に抽出されるものと考えられる。
【0124】
0.3gのアルファ−ラクトース一水和物を2mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液に98mLのメタノールを加えて、3本通路式ノズルを介して32mLの粒子形成容器に導入した。運転条件は270バール及び70℃、(中間ノズル通路における)溶液の流速0.5mL/分、(内通路及び外通路における)超臨界CO2の流速7.5mL/分とした。実験終了時に生成物(細かい白色粉末)を収集した。この生成物のSEM写真とXRDパターンをそれぞれ第41図及び第42図に示す。
【0125】
別の類似実験において、アルファ−ラクトース一水和物をメタノール:水(95:5v/v)に含む0.5%w/v溶液を調製し、2本通路式ノズルを介して50mL高圧粒子形成容器に送り込んだ。運転条件は150バール及び50℃、溶液の流速0.7mL/分、超臨界CO2の流速9mL/分とした。収集された生成物はさらさらな細かい白色粉末であった。この生成物のSEM写真とXRDパターンをそれぞれ第43図及び第44図に示す。
【0126】
SEM写真は、異なる運転条件下で調製されたラクトース粒子の形状に著しい差があることを示している。XRDパターンは、生成物が結晶性であることを示している。
【0127】
ラクトースは、医薬品用のキャリヤとして、特に吸入法で投与される薬物用として一般に用いられている。このため、有機溶媒にラクトースを溶解させる困難さにも係わらず、本発明の方法を利用して、ラクトース粒子を制御しながら調製できることは極めて有用である。
実施例15
タンパク質粒子の調製
この実施例では、本発明の方法を利用して、水溶性タンパク質のR−TEMベータ−ラクタマーゼを、ここでもまた2種のビヒクルを、しかし異なる方法で使用して調製した。タンパク質水溶液を、水と混和し且つ超臨界CO2に可溶性である第二のビヒクルのエタノールと共に粒子形成容器の中に同時導入した。2種の流体を、超臨界CO2と共に、3本通路式ノズルを介して、水溶液とエタノールの接触と、該溶液とエタノールの分散と、水とエタノールの抽出とがすべて実質的に同時に起こるように導入した。水溶液とエタノールが接触時に「混合し」、水は超臨界CO2に不溶性であるにも係わらず、次いで水とエタノールが一緒に超臨界CO2に抽出されると考えられる。
【0128】
脱イオン水中にR−TEMベータ−ラクタマーゼ (Centre forApplied Microbiology, Porton Down, Salisbury SP4 OJGにより提供されたバッチ番号1TEM1L88) を含む0.25%w/v溶液を、流速0.04mL/分において、3本通路式ノズルの内通路を介して32mLの粒子形成容器に供給した。無水エタノールを中間ノズル通路を介して0.4mL/分の速度で、また超臨界CO2を外通路を介して8mL/分の速度で同時導入した。
【0129】
ここでは、3本通路式ノズルを使用することにより、タンパク質水溶液とエタノールが混合された直後に2種のビヒクルが超臨界流体によって分散されることが可能になった。水性流体と有機流体との接触時間は短いため、タンパク質がほどける又は変性する危険性は最小限に抑えられた。
【0130】
形成された粒状生成物は、色素原のセファロスポリン・ニトロセフィン(Oxford, Unipath Limited, Basingstoke, Hampshire, 英国) とO'Callaghan [O'Callaghan, C.H., Morris, A., Kirby, S.and Shingler, A.H., Antimicrobial Agents and ChemotherapyVol. 1, pp. 283-288, 1972]のアッセイ法による発色試験を実施した場合に、実質的な酵素活性を保持していた。このことは、タンパク質が有機溶媒に不溶性である場合でさえも、本発明の方法と装置を用いて粒状タンパク質製品を制御しながら製造できることを例示するものである。
実施例16
サルメテロールキシナフォエート及びポリマーマトリックスの調製(別法)
実施例10と同様の実験を実施したが、ここでは3本通路式ノズルを用いてサルメテロールキシナフォエートとヒドロキシプロピルセルロースとの別々の溶液を同時導入し、粒子形成直前に2種の成分が混合されるようにした。
【0131】
2種類のアセトン溶液、すなわちヒドロキシプロピルセルロース(Klucel SL)の0.05%w/v溶液とサルメテロールキシナフォエートの0.45%w/v溶液とを調製した。これらを32mLの粒子形成容器の中に超臨界CO2と共に同時導入した。運転条件は120バール及び60℃とした。CO2(内側のノズル通路)の流速は9mL/分、ポリマー溶液(中間の通路)は0.2mL/分、そしてサルメテロール溶液(外側の通路)は0.2mL/分とした。
【0132】
3本通路式ノズルを使用することにより、超臨界流体によって分散される前に2種の反応体(薬物とポリマー)が現場で迅速に混合される。
【0133】
白色のふわふわした粉末が生成物として得られた。ヒドロキシプロピルセルロースの0.1%w/v溶液とサルメテロールキシナフォエートの0.4%w/v溶液とを用いた場合にも同様な外観を有する生成物が得られた。第45図及び第46図はそれぞれ第一及び第二の生成物についてのXRDパターンである。ポリマー含有量の増加に伴い結晶性サルメテロールキシナフォエートの乱れの増加が認められ、ポリマーマトリックス材料が生成物に内蔵されていることが確認された。
【0134】
このXRDパターンは実施例10で得られたものと比較できる。このことは、このように3本通路式ノズルを用いた場合、超臨界流体による分散の前に、2種の物質が現場で迅速に混合されるという考えを支持している。
実施例17
本発明の再現性
2種のサルメテロールキシナフォエートのアセトン溶液(0.6%w/v)を調製した。各溶液をCO2と共に300バール、35℃で同軸ノズルを介して第1図に示したタイプの装置の中に2種の方法で同時導入した。使用した流速は、サルメテロール溶液については0.2mL/分、超臨界CO2については6mL/分とした。各溶液から得られた結晶化したサルメテロールキシナフォエートを粒径、粒径分布、結晶形状及びツインインピンジャー性能について検査した。
a)粒径及び粒径分布
粒径及び粒径分布をレーザー回折法で測定した。表4を参照されたい。
【0135】
【表4】

【0136】
b)結晶形状
結晶形状をSEMで検査した。第47図及び第48図を参照されたい。
c)ツインインピンジャー性能
サルメテロールキシナフォエートの粒径分布は、常用の技法、例えば、レーザー回折法又は「ツインインピンジャー」分析法によって測定することができる。本明細書で「ツインインピンジャー」検定という場合、British Pharmacopoeia 1988, pp. A202-207に定義されており、乾燥粉末吸入用配合物に適用される「装置Aを用いた加圧吸入において発せられた用量の付着量の測定」を意味する。このような技法によって、粒状物質の「呼吸可能な分率」の算出が可能となる。本明細書で「呼吸可能な分率」という場合、上記のツインインピンジャー法を用いて1回の作用につき送り込まれる活性成分の全量に対する百分率として表現される1回の作用につきインピンジメント室下部に集められる活性成分の量を意味する。
【0137】
この実験では、少量の薬物をブリスターを4個有する乾燥粉末パック(Rotadisk(商品名))の各ブリスターに充填した。各ブリスターの内容物を、乾燥粉末吸入装置 (Diskhaler(商品名))によって、空気流速を60リットル/分に設定したツインインピンジャー装置の中に送り込んだ。ツインインピンジャー装置の各ステージは、一定量(ステージ1は7mL、ステージ2は30mL)の溶解剤、メタノールを含有した。ブリスターと吸入装置をメタノールで洗浄し、得られた溶液を50mLとした。ツインインピンジャー装置のステージ1をメタノールで洗浄し、得られた溶液を100mLとした。ツインインピンジャー装置のステージ2をメタノールで洗浄し、得られた溶液を100mLとした。これらの溶液をメタノールで10:1に希釈した。この希釈された溶液をUV分光光度測定法によって検定し、ツインインピンジャー装置の各ステージに送られた薬物の量を算出した。これらの結果を表5に示す。
【0138】
【表5】

【0139】
ステージ2の付着量は、肺の奥深くまで到達する微細粒子量(呼吸可能な用量)を表す。本発明によって調製されたサルメテロールキシナフォエートは、優れたステージ2付着量を示している。このことは、超臨界流体で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートの流動性、流動化性が改良され且つ帯電性が低下したことを示唆している。
【0140】
本発明によって調製された薬物の興味深い特徴として、従来の方法で結晶化されたサルメテロールキシナフォエート(超微粉化後)よりも粒径の大きな超臨界流体で結晶化されたサルメテロールキシナフォエートが、ツインインピンジャーのステージ2においてより高い付着量(呼吸可能な用量)を与えることがある。
【0141】
粒径分析、結晶形状及びツインインピンジャーの結果は、本発明の方法が同じ結晶化パラメーターを使用した場合には本質的に再現性のあることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0142】
上記の実施例は、様々なタイプの粒状製品を高度に制御しながら製造するために本発明の装置及び方法をどのように使用できるかについて示したものである。本発明は、例えば以下のものをはじめとする非常に幅広い用途を有しうることが認められる。
*医薬品、写真材料、セラミックス、爆薬/噴射剤、色素及び食品工業並びにその他、特に従来の粒子形成法及び微粉砕法を施すと分解する又はそうでなくてもその危険性がある製品に用いられる、粒径及び形状を制御した粒子を製造すること。
*加工又は凍結乾燥が困難である安定した固体の分子や巨大分子(例、一般にタンパク質、ペプチド及びポリマー)を製造すること。
*特定の多形を示す化合物を製造すること又は(光学異性体をはじめとする)異性体もしくは多形の混合物を分離及び/もしくは富化すること。
*制御された選択的析出法を用いて(溶剤をはじめとする)微量不純物を除去することによって(すなわち、本発明により不純物自体を析出することにより)、薬物や他の生成物を精製すること。
*薄膜液状コーティングを伴う場合をはじめとする、物質を制御しながら塗布すること。
*結晶格子に基づき生成物中の化合物の「ドーピング」を制御すること又は2種以上の生成物の均質配合物を製造すること。
*従来の粒子形成技法では成しえない条件下でまったく新しい相又は物質を製造すること。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第一の態様による装置の略設計図を示す。
【図2(A)】第一の態様による別の装置の略設計図を示す。
【図2(B)】第一の態様による別の装置の略設計図を示す。
【図3(A)】本発明の装置に用いられる同軸ノズルの断面図を示す。
【図3(B)】図3(A)の同軸ノズルの先端部の長手方向断面図を示す。
【図4】本発明の装置に用いられる別の同軸ノズルの先端部の長手方向断面図を示す。
【図5】従来技法で結晶化させたサルメテロールキシナフォエートの示差走査熱量計(DSC)プロフィールである。
【図6】実施例2で調製したサルメテロールキシナフォエートの多形IのDSCプロフィールである。
【図7】実施例2で調製したサルメテロールキシナフォエートの多形IのX線粉末回折(XRD)パターンである。
【図8】実施例2で調製したサルメテロールキシナフォエートの多形IIのDSCプロフィールである。
【図9】実施例2で調製したサルメテロールキシナフォエートの多形IIの拡大されたXRDパターンである。
【図10】実施例2における運転条件を変化させて得られたサルメテロールキシナフォエートの多形I及び多形IIの混合相状態を示すDSCプロフィール及びXRDパターンである。
【図11】実施例2における運転条件を変化させて得られたサルメテロールキシナフォエートの多形I及び多形IIの混合相状態を示すDSCプロフィール及びXRDパターンである。
【図12】実施例2における運転条件を変化させて得られたサルメテロールキシナフォエートの多形I及び多形IIの混合相状態を示すDSCプロフィール及びXRDパターンである。
【図13】実施例2における運転条件を変化させて得られたサルメテロールキシナフォエートの多形I及び多形IIの混合相状態を示すDSCプロフィール及びXRDパターンである。
【図14】実施例3で調製したサルメテロールキシナフォエートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図15】実施例3で調製したサルメテロールキシナフォエートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図16】実施例3で調製したサルメテロールキシナフォエートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図17】実施例3で調製したサルメテロールキシナフォエートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図18】実施例3で調製したサルメテロールキシナフォエートの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図19】実施例4で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図20】実施例4で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図21】実施例4で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図22】実施例5で調製した二酸化珪素ヒュームド粒子に付着させたサルメテロールキシナフォエートのDSCプロフィールである。
【図23】比較用として、実施例5で調製したサルメテロールキシナフォエートのDSCプロフィールである。
【図24】実施例5で調製した二酸化珪素ヒュームド粒子に付着させたサルメテロールキシナフォエートのXRDパターンである。
【図25】比較用として、実施例5で調製したサルメテロールキシナフォエートのXRDパターンである。
【図26】本発明の第一の態様による装置に用いられる粒子形成容器の長手方向断面図である。
【図27】図26の容器の部品を示す。
【図28】実施例6で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図29】実施例6で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図30】実施例6で調製したサルメテロールキシナフォエートのXRDパターンである。
【図31】本発明による方法を実施した場合に運転条件が生成物の粒径に与える効果を示すグラフである。
【図32】本発明による方法を実施した場合に運転条件が生成物の粒径に与える効果を示すグラフである。
【図33】本発明による方法を実施した場合に運転条件が生成物の粒径に与える効果を示すグラフである。
【図34】実施例8で調製したサルメテロールキシナフォエートのXRDパターンである。
【図35】実施例10で調製したサルメテロールキシナフォエート及びヒドロキシプロピルセルロースのマトリックスのXRDパターンである。
【図36】実施例10で調製したサルメテロールキシナフォエート及びヒドロキシプロピルセルロースのマトリックスのXRDパターンである。
【図37】実施例13で使用したそれぞれ純粋なサルメテロールキシナフォエート及び純粋なサリチル酸についてのHPLCクロマトグラムである。
【図38】実施例13で使用したそれぞれ純粋なサルメテロールキシナフォエート及び純粋なサリチル酸についてのHPLCクロマトグラムである。
【図39】実施例13で使用したサルメテロールキシナフォエート及びサリチル酸の試料についてのHPLCクロマトグラムである。
【図40】実施例13で調製した生成物についてのHPLCクロマトグラムである。
【図41】実施例14により270バール、70℃で調製したラクトースのSEM写真である。
【図42】図41で示した試料のXRDパターンである。
【図43】実施例14により150バール、50℃で調製したラクトースのSEM写真である。
【図44】図43で示した試料のXRDパターンである。
【図45】実施例16で調製したサルメテロールキシナフォエート及びヒドロキシプロピルセルロースのマトリックスのXRDパターンである。
【図46】実施例16で調製したサルメテロールキシナフォエート及びヒドロキシプロピルセルロースのマトリックスのXRDパターンである。
【図47】実施例17で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。
【図48】実施例17で調製したサルメテロールキシナフォエートのSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子形成容器と、前記容器内の温度を制御するための手段と、前記容器内の圧力を制御するための手段と、そして前記容器中に、少なくとも一種の物質を溶液状態又は懸濁液状態で含有するビヒクルと超臨界流体とを、該ビヒクルの分散と抽出が該超臨界流体の作用によって実質的に同時に起るように同時導入するための導入手段とを含んでなる、粒状生成物を形成するための装置。
【請求項2】
前記導入手段が、前記ビヒクルの分散と抽出を、当該流体を前記粒子形成容器中に導入した実質的に直後に起させるようなものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導入手段が、前記超臨界流体を導入するための第一通路と、前記溶液又は懸濁液を導入するための第二通路とを含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一通路及び前記第二通路並びにこれらの各出口の相対配置が、前記第一通路から導入される超臨界流体と前記第二通路から導入される溶液又は懸濁液とが共に前記粒子形成容器に実質的に同一地点で流入するような配置である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一通路及び前記第二通路並びにこれらの各出口の相対配置が、前記超臨界流体と前記溶液又は懸濁液とが前記粒子形成容器に流入する地点が前記超臨界流体と前記溶液又は懸濁液とが接する地点と実質的に同一となるような配置である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記粒子形成容器中の粒状生成物を集める及び/又は保持するための手段をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記導入手段は出口端部が当該容器の内部に連通している同軸ノズルを含み、該ノズルは該出口端部で互いに隣接した末端を有する同軸通路を有し、該通路の少なくとも一つは前記超臨界流体の流れを運搬する役目をもち、そして該通路の少なくとも一つは前記溶液又は懸濁液の流れを運搬する役目をもつ、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ノズルが、内通路と外通路の二つの同軸通路を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ノズルが、内通路と中間通路と外通路の三つの同軸通路を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ノズルの出口端部における開口部の直径が0.05〜2mmである、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ノズルの出口端部における開口部の内径が0.1〜0.3mmである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ノズルが内通路と外通路を有し、該外通路の末端部が該内通路の末端部よりも下流側に位置している、請求項7〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1種の物質を溶液又は懸濁液として含有するビヒクルと超臨界流体とを粒子形成容器中に同時導入する工程を含み、その温度と圧力を、該ビヒクルの分散及び抽出が該超臨界流体の作用によって実質的に同時に起こるように制御する、粒状生成物の形成方法。
【請求項14】
前記ビヒクルの分散と抽出が、当該流体を粒子形成容器中に導入した実質的に直後に起こる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記超臨界流体を導入するための第一通路と、前記溶液又は懸濁液を導入するための第二通路とを含む導入手段を用いて当該流体を同時導入する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一通路及び前記第二通路並びにこれらの各出口の相対配置が、前記第一通路から導入される超臨界流体と前記第二通路から導入される溶液又は懸濁液とが共に前記粒子形成容器に実質的に同一地点で流入するような配置である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一通路及び前記第二通路並びにこれらの各出口の相対配置が、前記超臨界流体と前記溶液又は懸濁液とが前記粒子形成容器に流入する地点が前記超臨界流体と前記溶液又は懸濁液とが接する地点と実質的に同一となるような配置である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
出口端部が前記粒子形成容器の内部に連通している同軸ノズルであって、該出口端部で互いに隣接した末端を有する同軸通路を有し、該通路の少なくとも一つは前記超臨界流体の流れを運搬する役目をもち、そして該通路の少なくとも一つは前記ビヒクルの流れを運搬する役目をもつ同軸ノズルを用いて、前記超臨界流体と前記ビヒクルの同時導入を行う、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記超臨界流体が1種以上の変性剤を含有する、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記超臨界流体及び/又は前記溶液もしくは懸濁液の流速、前記ビヒクル中の物質の濃度並びに前記粒子形成容器内部の温度及び圧力のうちの一つ以上を制御することをさらに含む、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記超臨界流体の流速に対する前記溶液又は懸濁液の流速の比率が0.001〜0.1である、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記超臨界流体の流速に対する前記溶液又は懸濁液の流速の比率が0.01〜0.1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記超臨界流体の流速に対する前記溶液又は懸濁液の流速の比率が0.01〜0.07である、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図42】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図28】
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【図29】
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【図41】
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【図43】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2006−239686(P2006−239686A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68418(P2006−68418)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【分割の表示】特願2003−293173(P2003−293173)の分割
【原出願日】平成6年6月30日(1994.6.30)
【出願人】(502008306)ネクター セラピューティクス ユーケー リミティド (4)
【Fターム(参考)】