説明

粘着シート、半導体ウエハの表面保護方法およびワークの加工方法

本発明は、加熱処理または発熱を伴う処理を含む加工プロセスに適用されても、他の装置等に密着することがない粘着シートが提供することを目的としている。特に、本発明は、回路面の保護機能やエキスパンド性などの特性を付与して、表面保護シートやダイシングシートあるいはピックアップシートとして使用可能な、従来にない高温耐熱性を備えた半導体ウエハ加工用の粘着シートを提供すること目的としている。本発明に係る粘着シートは、第1の硬化性樹脂を製膜・硬化して得られた基材と、その上に第2の硬化性樹脂が塗布形成され硬化したトップコート層およびその反対面に形成された粘着剤層とからなることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は粘着シートに関し、特に半導体ウエハ等に対する表面保護シート、ダイシングシートあるいはピックアップシートとして使用でき、半導体ウエハに貼付後、加熱処理または発熱を伴う処理を含む加工プロセスの実施に好ましく適用される粘着シートに関する。
【背景技術】
半導体装置の製造工程においては、表面保護シートやダイシングシートなどの粘着シートを用いて裏面研削工程やダイシング工程を行っている。従来、半導体ウエハに粘着シートが貼付されている状態では、洗浄水を利用して加工時に温度が上がらないようにしているため、これらの用途に用いられる粘着シートには耐熱性は特に必要とされていなかった。
ところで近時、半導体ウエハの両面に回路を形成し、それによって集積率を向上することが検討されている。この場合、裏面研削終了後に、ウエハを表面保護シート上に保持した状態で、ウエハの研削面において回路形成等の加工を施す。回路形成には、エッチングなどの加熱を伴う各種の処理が行なわれる。このため、表面保護シートにも熱が加えられることになる。
しかし、軟質基材を用いるような従来の表面保護シートでは、加熱により基材が融解または軟化し、エッチング装置の保持部に基材が密着することがあった。
このため、加熱によっても基材が他の装置に密着することがない、表面保護シートが求められる。
このような加熱による密着という不具合を解消するため、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのように高融点で硬質のフィルムを用いることが提案されるが、このような硬質のフィルムでは、回路面の保護性能に劣る。さらに、このような高融点のフィルムであっても、加熱による収縮が起こり、加工後のウエハに反りが発生してしまうことがあった。
また、半導体ウエハの裏面研削の後、ウエハの裏面や回路面に絶縁膜や異方導電接着剤層など、種々の機能性を有する膜を形成することも考えられるようになってきた。このような機能性を有する膜は、加熱接着性のフィルムからなる機能性膜を加熱圧着によりウエハに形成する方式がとられる。この際、ウエハの厚みが薄く加圧により破損しやすくなっている場合には、ウエハの反対面に表面保護シートやダイシングシートなどの粘着シートが貼付され、ウエハが補強された状態で膜の形成を行うことが考えられる。
しかし、半導体ウエハを高温下で加工する際に使用するための粘着シートは、現在まで知られていない。本発明者らは、鋭意検討の結果、粘着シートに使用される基材をポリオレフィン等の熱可塑性フィルムではなく、高度に架橋されたフィルムを使用することにより、耐熱性が向上することを見いだした。このような粘着シートの構成は、例えば本出願人より特開平9−253964号公報、特開平10−337823号公報、特開2002−141306号公報に開示されている。
ところが、これらの粘着シートであっても、回路面の保護性やエキスパンド性を付与するために基材を軟質に調整すると、加熱されたテーブル(ウエハ保持部)に熱密着するという問題が残った。
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、加熱処理または発熱を伴う処理を含む加工プロセスに適用されても、他の装置等に密着することがない粘着シートが提供することを目的としている。しかも回路面の保護機能やエキスパンド性などの特性を付与して、表面保護シート、ダイシングシートあるいはピックアップシートとして使用可能な、従来にない高温耐熱性を備えた半導体ウエハ加工用等の粘着シートを提供することを目的としている。
【発明の開示】
本発明に係る粘着シートは、第1の硬化性樹脂を製膜・硬化して得られた基材と、その上に第2の硬化性樹脂が塗布形成され硬化したトップコート層およびその反対面に形成された粘着剤層とからなることを特徴としている。
上記粘着シートにおいて、トップコート層を形成する硬化後の樹脂が、50〜200℃におけるDSC測定において、0.1J/g以上のピークを有しないことが好ましい。
また、上記基材のヤング率が50〜5000MPaであることが好ましい。
本発明に係る半導体ウエハの表面保護方法は、上記粘着シートを、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路面に貼付し、半導体ウエハの裏面を研削することを特徴としている。
本発明の半導体ウエハの表面保護方法においては、粘着シートが貼付された半導体ウエハに対し、半導体ウエハを研削する前または後で加熱処理または発熱を伴う処理を行うことができる。
ここで、加熱処理としては、たとえば、半導体ウエハの研削面に熱接着性フィルムを熱圧着する処理があげられる。また、発熱を伴う処理としては、たとえば、半導体ウエハの研削面に対して施される真空蒸着、スパッタリング、プラズマエッチングから選択される処理があげられる。
本発明に係るワークの加工方法は、上記粘着シートによってワークを固定し、ワークをピックアップすることを特徴としている。
また、ここで、粘着シートが貼付されたワークに対し、加熱処理または発熱を伴う処理を行った後、ワークをピックアップしてもよい。
特に、本発明によれば、粘着シートに固定されたワークに対し、熱接着性フィルムを熱圧着し、熱接着性フィルムとともにワークをダイシングした後、ダイシングされたワークをピックアップし、熱接着性フィルムを介して基板に熱接着するワークの加工方法が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明に係る粘着シートは、基材と、その上に形成されたトップコート層およびその反対面に形成された粘着剤層とからなる。以下、基材、トップコート層および粘着剤層について具体的に説明する。
(基材)
基材としては、後述する第1の硬化性樹脂を製膜・硬化して得られたフィルムよりなり、そのヤング率が50〜5000MPa、好ましくは60〜4000MPa、特に好ましくは80〜3000MPaのものが用いられる。また、基材の厚みは特には限定されないが、好ましくは1〜1000μm、さらに好ましくは10〜800μm、特に好ましくは20〜500μm程度である。
基材の原材料となる第1の硬化性樹脂としては、エネルギー線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等が用いられ、好ましくはエネルギー線硬化型樹脂が用いられる。基材が硬化性樹脂を使用して硬化がされていれば、基材は加熱溶融など温度による形態変化が起こりにくくなり、耐熱性が向上する。
エネルギー線硬化型樹脂としては、たとえば、エネルギー線重合性のウレタンアクリレート系オリゴマーを主剤とした樹脂組成物が好ましく用いられる。本発明で好ましく用いられるウレタンアクリレート系オリゴマーの分子量は、1000〜50000、さらに好ましくは2000〜30000の範囲にある。上記のウレタンアクリレート系オリゴマーは一種単独で、または二以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようなウレタンアクリレート系オリゴマーのみでは、成膜が困難な場合が多いため、通常は、エネルギー線重合性のモノマーで希釈して成膜した後、これを硬化してフィルムを得る。エネルギー線重合性モノマーは、分子内にエネルギー線重合性の二重結合を有し、特に本発明では、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニルヒドロキシプロピルアクリレート等の比較的嵩高い基を有するアクリルエステル系化合物が好ましく用いられる。
上記エネルギー線重合性モノマーは、ウレタンアクリレート系オリゴマー100重量部に対して、好ましくは5〜900重量部、さらに好ましくは10〜500重量部、特に好ましくは30〜200重量部の割合で用いられる。
基材を、上記のエネルギー線硬化型樹脂から形成する場合には、該樹脂に光重合開始剤を混入することにより、エネルギー線照射による重合硬化時間ならびに照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤の使用量は、樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
上記のような硬化性樹脂は、オリゴマーまたはモノマーを前述のヤング率となるよう種々の組み合わせの配合より選択することができる。
また、上述の樹脂中に、炭酸カルシウム、シリカ、雲母などの無機フィラー、鉄、鉛等の金属フィラー、顔料や染料等の着色剤等の添加物が含有されていてもよい。
基材の成膜方法としては、第1の硬化性樹脂を液状状態で工程フィルム上に薄膜状にキャストした後に、これを所定の手段によりフィルム化し、工程フィルムを除去することで基材を製造できる。このような製法によれば、成膜時に樹脂にかかる応力が少なく、経時あるいは加熱による寸法変化が起こりにくくなる。また、固形の不純物を取り除きやすいので、製膜したフィルムはフィッシュアイの形成が少なくなり、これにより、膜厚の均一性が向上し、厚み精度は通常2%以内になる。
さらに、基材の両面、すなわちトップコート層が形成される面および粘着剤層が設けられる面には、これらの層との密着性を向上するために、コロナ処理を施したりプライマー処理等の他の層を設けてもよい。
上記のような原材料及び方法により製膜されたフィルムは、応力緩和性に優れた性質を示す場合がある。応力緩和性に優れたフィルムを粘着シートの基材として使用した場合は、被着体に貼付した際に発生する残留応力が速やかに解消でき、その後の加工に悪影響を及ぼさない。従って、極薄に研削加工を施す半導体ウエハの保護用に粘着シートを使用した場合は、応力緩和により半導体ウエハに反りを発生させない。
基材の応力緩和性は、具体的には引張試験における10%伸長時の1分後における応力緩和率で示され、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上を示すものである。基材の応力緩和率は高いほど好ましく、その上限は、理論的に100%であり、場合によっては99.9%、99%あるいは95%であってもよい。
(トップコート層)
トップコート層は、基材の片面に被覆され、基材の耐熱性をさらに向上させる。トップコート層は、第2の硬化性樹脂を製膜、硬化して得られる。
このトップコート層の硬化後の50〜200℃におけるDSC(示差走査熱量)測定において、0.1J/g以上のピークを有しないことが好ましい。DSC測定でピークがある(発熱または吸熱が起きる)場合は、加熱によりトップコート層が変形しやすくなり、接触面積が増大してヒータープレート等に密着してしまうおそれが出てくる。
また、トップコート層の表面が粗面であれば、ヒータープレートとの接触面積を減らすことができ、加熱時の密着をさらに抑制できるので好ましい。トップコート層の表面粗さRzは、好ましくは、0.05〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.1〜0.5μmである。トップコート層が粗すぎれば滑りやすくなるため、各種ウエハ加工での作業性が悪くなるおそれがある。
このようなトップコート層を形成する第2の硬化性樹脂としては、基材に使用する第1の硬化性樹脂と同様に、エネルギー線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等が用いられ、好ましくはエネルギー線硬化型樹脂が用いられる。第2の硬化性樹脂は、第1の硬化性樹脂よりも硬化後の架橋密度が高くなるように選択することが好ましい。このようにすることにより、DSC測定で発熱または吸熱が起きにくくなる。
第2の硬化性樹脂をエネルギー線硬化型樹脂とする場合、低分子量で多官能のエネルギー線硬化性化合物を成分中に含まれる率を多くすることが好ましい。このようなエネルギー線硬化性化合物としては、たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが用いられる。
第2の硬化性樹脂を低分子量で多官能のエネルギー線硬化性化合物で構成すると基材との密着性が低下する場合がある。基材との密着を向上させるため、第2の硬化性樹脂の成分中にバインダー成分を添加してもよい。バインダー成分を使用すると、バインダー中のポリマーに起因して、DSC測定で発熱または吸熱が起きる可能性がある。しかし、バインダー成分とエネルギー線硬化性化合物が充分に相溶していれば、硬化後ではバインダー成分のミクロ分子運動が抑制され、発熱または吸熱の量は少なくすることができ、ヒータープレート等との密着を抑えることができる。このようなバインダー成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、第2の硬化性樹脂は側鎖にエネルギー線硬化性の官能基を有するポリマーであってもよい。このようなポリマーを第2の硬化性樹脂として使用すれば、架橋密度を下げることなく基材との密着性を向上させることができる。このようなポリマーとしては、例えば、主鎖がアクリルポリマーであり、側鎖にエネルギー線硬化性二重結合やエポキシ基を官能基として有するものが使用できる。
トップコート層の表面粗さは、添加されるフィラーの量によって適宜に調整できる。ここでフィラーとしては、たとえば炭酸カルシウム、シリカ、雲母などの無機フィラー、鉄、鉛等の金属フィラーが用いられる。フィラーの量を多くすることで、表面粗さは増加する。添加されるフィラーの量は、フィラーの種類により様々であるが、一般的には、硬化性樹脂100重量部に対して、0〜200重量部、さらに好ましくは5〜100重量部程度が適当である。
前記した基材上に直接、第2の硬化性樹脂を製膜、硬化することでトップコート層を形成できる。また、第2の硬化性樹脂を液状状態で工程フィルム上に薄膜状にキャストし、さらにその上に第1の硬化性樹脂をキャストすることにより、トップコート層付きの基材を製膜できる。このときの硬化を行う手順は、それぞれの製膜の直後でもよいし、基材の製膜の後一括で行ってもよい。トップコート層をキャストにより製膜する場合は、その表面粗さは工程フィルム面の粗さに対しても依存するようになるので、適当な粗さを有する工程フィルムを選択することが好ましい。
トップコート層の厚みは特には限定されないが、好ましくは0.2〜20μm、特に好ましくは0.5〜5μm程度である。
(粘着剤層)
本発明の粘着シートにおいては、トップコート層が形成された面と反対側の基材面には、粘着剤層が形成されている。
粘着剤層は、汎用の強粘着剤から形成されていてもよく、またウエハ加工に良く用いられているエネルギー線硬化型粘着剤あるいは汎用の再剥離粘着剤から形成されていてもよい。特に本発明では、エネルギー線硬化型粘着剤で粘着剤層を形成することが好ましい。
このようなエネルギー線硬化型粘着剤は、一般的には、アクリル系粘着剤と、エネルギー線硬化性化合物とを主成分としてなる。
エネルギー線硬化型粘着剤に用いられるエネルギー線硬化性化合物としては、たとえば特開昭60−196,956号公報および特開昭60−223,139号公報に開示されているような光照射によって三次元網状化しうる分子内にエネルギー線重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が広く用いられ、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、あるいはオリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等のオリゴマーが用いられる。
エネルギー線硬化型粘着剤中のアクリル系粘着剤とエネルギー線重合性化合物との配合比は、アクリル系粘着剤100重量部に対してエネルギー線重合性化合物は50〜200重量部の量で用いられることが好ましい。この場合には、得られる粘着シートは初期の接着力が大きく、しかもエネルギー線照射後には粘着力は大きく低下する。したがって、エネルギー線照射により、粘着シートを、被着体から容易に剥離できるようになる。
また、エネルギー線硬化型粘着剤層は、側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体から形成されていてもよい。このようなエネルギー線硬化型共重合体は、粘着性とエネルギー線硬化性とを兼ね備える性質を有する。側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体は、たとえば、特開平5−32946号公報、特開平8−27239号公報にその詳細が記載されている。
粘着剤層の厚さは、その材質にもよるが、通常は3〜100μm程度であり、好ましくは10〜50μm程度である。
本発明の粘着シートは、上記の粘着剤をロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、リバースコーター、ダイコーターなど一般に公知の塗工機を用いて、基材のトップコート層の反対面に適宜厚さとなるように塗布乾燥して粘着剤層を形成したり、剥離シートに粘着剤層を形成して基材表面に転写することによって得られる。
次に、本発明に係るワークの加工方法について、特に半導体ウエハを加工する場合の、表面保護方法、ダイシング法、ピックアップ方法を例にとって説明するが、本発明においては、加工対象であるワークは半導体ウエハに限定されるものではない。たとえば、各種のセラミックや、ガラス、金属等の加工にも本発明は適用される。
(表面保護方法)
本発明に係る粘着シートは、上述したように、基材の一方の面に特定のトップコート層が形成されている。このトップコート層は、高い耐熱性を有する。したがって粘着シートを、熱処理を伴う処理を含むプロセスに適用した場合であっても、トップコート層を装置等の高温となる部材(エッチングにおける試料台や、オーブンの底面)に接するように配置すれば、粘着シートがこれらの他の装置類に密着することがなくなる。
このような粘着シートは、従来適用不能であった加熱処理または発熱を伴う処理を有する半導体ウエハの加工プロセスにおいても使用が可能となる。
より具体的には、半導体ウエハ用の表面保護シートとして、下記(1)、(2)のような加工プロセスに好ましく適用できる。
(1)半導体ウエハの研削面に対し、プラズマエッチングなどの発熱を伴う処理での表面保護シート。
半導体ウエハは裏面研削の後、パッケージクラックの要因となる破砕層を除去するためにプラズマエッチングを行う場合がある。プラズマエッチングを行う場合は、半導体ウエハは極めて薄く研削される場合が多いので、搬送時の破損が起きないように表面保護用の粘着シートが貼付されたままプラズマエッチング装置に送られる。エッチングに際しては、半導体ウエハは、180℃程度まで発熱し、粘着シートも加熱される。通常の粘着シートを表面保護シートとして用いたのでは、基材が溶融または軟化して、エッチング装置の試料台に粘着シートが密着してしまうことがある。しかし、本発明の粘着シートを表面保護シートとして使用すると、基材もトップコート層も溶融せず、さらにトップコート層は軟化しにくいので、エッチング装置の試料台に粘着シートが融着も密着も起こすことがない。
具体的な加工プロセスとしては、回路が形成された半導体ウエハの回路面に表面保護用の粘着シートを貼付し、所定の厚みまで研削装置で研削を行う。粘着シートは剥離せずにプラズマエッチング装置に設置し、研磨面に生成した破砕層をエッチングして除去する。その後半導体ウエハをプラズマエッチング装置から取り出し、所定の工程でダイシングし、パッケージングを行い、半導体装置を製造する。
発熱を伴う処理としては、プラズマエッチングの他に真空蒸着やスパッタリングなどの物理蒸着法あるいはCVD法による膜形成のためのプロセスがある。
(2)熱接着性樹脂フィルムの積層における表面保護シート
ウエハ(最終的にはチップ)に充分な強度を付与し、またモールド樹脂との密着性を向上するために、あるいはリードフレームとの接着に使用するために、ウエハ裏面に樹脂フィルムが設けられる場合がある。樹脂フィルムはスピンコーターでウエハに形成するほか、熱接着性を有するフィルムをウエハにヒーターローラー等で熱圧着することにより積層することができる。熱接着性の樹脂フィルムは、例えば耐熱性を有する熱可塑性ポリイミドなどが用いられるため、その熱圧着条件には180℃程度の加熱が施される。熱圧着の際、固定テーブル面に接する回路面は表面保護用の粘着シートが貼付され保護される。通常の粘着シートを表面保護シートとして用いたのでは、基材が溶融または軟化して、固定テーブルに粘着シートが密着してしまうことがある。しかし、本発明の粘着シートを表面保護シートとして使用すると、基材もトップコート層も溶融せず、さらにトップコート層は軟化しにくいので、固定テーブルに粘着シートが融着も密着も起こすことがない。
具体的な加工プロセスとしては、回路が形成された半導体ウエハの回路面に表面保護用の粘着シートを貼付し、所定の厚みまで研削装置で研削を行う。粘着シートは剥離せず加熱処理の可能なラミネーターに搭載し、所望の熱接着性樹脂フィルムを半導体ウエハの所望の箇所に加熱圧着する。その後半導体ウエハをラミネーターから取り出し、所定の工程でダイシングし、パッケージングを行い、半導体装置を製造する。
(ダイシング方法、ピックアップ方法)
さらに、本発明の粘着シートは、ダイシングシートまたはピックアップシートとして下記のような加工プロセス(3)、(4)にも好ましく適用できる。
(3)異方導電性接着フィルムの形成プロセスにおけるダイシングシート。
半導体チップをフリップチップボンド方式でチップ用基板に搭載する際、チップと基板との導通を異方導電性接着フィルムで行う方法がある。このような場合、基板側に異方導電膜を形成していてもよいが、ウエハ側に設けておけば、異方導電接着フィルムをチップサイズに切断することが、ダイシング工程でのチップダイシングと同時にできるため好ましい。
ウエハの厚さが薄い場合はウエハが破損しないように、ウエハの裏面研削の後ダイシングシートが研削面に貼付されてから、保護シートがウエハ回路面から剥離される。異方導電性接着フィルムは、ダイシングシートが貼付された状態でウエハ回路面に形成される。異方導電性接着フィルムをウエハ回路面に形成する際は、回路面の凹凸との界面に空気溜まり(ボイド)が生成することがないように、加熱により凹凸に追従するようにして圧着する。加熱圧着の際、ダイシングシート側が加熱テーブルに接するため、従来のダイシングシートでは、基材が溶融または軟化して、加熱テーブルに粘着シートが密着してしまうことがある。
しかし、本発明の粘着シートをダイシングシートとして使用した場合は、基材もトップコート層も溶融せず、さらにトップコート層は軟化しにくいので、加熱テーブルに粘着シートが融着も密着も起こすことがない。
具体的な加工プロセスとしては、半導体ウエハの回路面に表面保護用粘着シートを貼付して裏面側を所定の厚みまで研削し、研削面側にダイシング用の粘着シートを貼付する。ウエハの回路面側から表面保護用粘着シートを剥離し、この状態で加熱処理の可能なラミネーターに搭載し、異方導電性接着フィルムをウエハの回路面に加熱圧着する。その後半導体ウエハをラミネーターから取り出し、異方導電性接着フィルムとともにウエハをダイシングしチップ化する。この異方導電性接着フィルムを介してチップを基板にフリップチップボンドを行い、さらにパッケージングを行って半導体装置を製造する。
なお、本発明においては異方導電接着性フィルムに限らず、絶縁性の加熱接着性フィルムを設ける際の工程に使用可能である。この場合は、フリップチップボンドを行う際、加熱接着性フィルムを流動化させて、チップと基板の電極を接触させて導通させる。
(4)加熱剥離性シートを用いたウエハ(チップ)の転写プロセスにおけるダイシングシート(ピックアップシート)。
半導体ウエハを極薄にまで研削する際には、ガラスのような硬質板にウエハを固定することで、厚み精度が向上し、破損が防止できる。この際、通常は両面粘着シートにより、ウエハを硬質板上に固定された状態にする。研削終了後に、ウエハを硬質板から剥離することを容易にするため、両面粘着シートとして、加熱変形性の粘着シートが用いられる。加熱変形性粘着シートとは、基材の熱収縮性を利用して加熱により粘着シートを変形させてウエハとの接着面積を低下してウエハの剥離を容易にするもの(例えば、リンテック社製Adwill Nシリーズ)や、粘着剤層として加熱膨張型粘着剤を用いた両面粘着シート(例えば、日東電工社製リバアルファ)で、加熱によって粘着剤層を膨張させることで、ウエハとの接着面積を低下してウエハの剥離を容易にするものなど種々考案されている。
硬質板からウエハを直接剥離するとウエハが破損する可能性が大きいため、硬質板から剥離する前に、次工程で使用するダイシングシートを貼付し破損を防止する方法が考えられている(特開2001−217212号公報)。
剥離の際の加熱はオーブン中などで行なわれ、その際にダイシングシートはオーブンの底面に接触する。このため、従来の軟質基材を用いたダイシングシートでは、加熱により基材が融解または軟化し、オーブンの底面に基材が密着することがあった。
しかし、本発明の粘着シートをダイシングシートとして使用すると、基材もトップコート層も溶融せず、さらにトップコート層は軟化しにくいので、オーブンの底面に粘着シートが融着も密着も起こすことがない。
具体的なプロセスとしては、半導体ウエハを加熱変形性の両面粘着シートを用いてガラス板等の硬質板に貼付固定する。硬質板に固定された状態で、裏面研削を行い、その後、本発明の粘着シートからなるダイシングシートをウエハ面に貼付する。この状態のウエハをオーブンに投入し加熱すると、両面粘着シートが変形し、ウエハが両面粘着シートから剥離し、ウエハはダイシングシートにのみ貼着した状態となる。このウエハをオーブンから取り出し、ダイシングを行い、さらに所定のパッケージングプロセスにより半導体装置が製造される。
上記の方法においては、硬質板上で裏面研削工程のみを行う加工プロセスについて説明したが、硬質板上でダイシング工程を裏面研削工程に引き続いて行ってもよい。この場合、本発明の粘着シートは、ダイシングシートではなく、ピックアップ工程に専用の粘着シート(ピックアップシート)であってもよい。ピックアップシートとは、チップ化済みのウエハに貼付されチップのピックアップの機能に特化した粘着シートをいう。
【産業上の利用の可能性】
このような本発明によれば、加熱処理または発熱を伴う処理を含む加工プロセスに適用されても、他の装置等に密着することがない粘着シートが提供される。しかも回路面の保護機能やエキスパンド性などの特性を付与させることにより、表面保護シートやダイシングシートあるいはピックアップシートとして用いられる従来にない高温耐熱性を備えた半導体ウエハ加工用の粘着シートが提供される。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例では、「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」、「DSCピーク量」、「高温密着性」および「ウエハの反り」についての評価を下記のように行なった。
「ヤング率」
実施例または比較例で作成した粘着シートの基材を、試験速度200mm/分でJIS K−7127に準拠して測定した。
「表面粗さ」
実施例または比較例で作成した粘着シートのトップコート層の面を、JIS B0601に準じて、平均粗さ(Rz)を測定した。なお、比較例1及び比較例3は、基材面を測定した。
「応力緩和率」
実施例および比較例で作成した基材とトップコート層との積層体を幅15mm、長さ100mmに切り出し試験片を得る。この試験片を、オリエンテック社製TENSILON RTA−100を用いて速度200mm/minで引っ張り、10%伸張時の応力Aと、伸張停止の1分後の応力Bとから(A−B)/A×100(%)により算出する。
「DSCピーク量」
実施例または比較例2で作成した粘着シートのトップコート層のコート剤と同じ配合を乾燥し紫外線硬化して、DSC測定用のサンプルを作成した。約10mgのサンプルを示差走査熱量計(Perkin Elmer社製Pyris 1)を用いて、昇温速度10℃/minで常温から220℃まで測定した。50〜200℃に現れる最大の吸熱または発熱のエネルギー量をDSCピーク量とした。
「高温密着性」
実施例または比較例の粘着シート(50mmx50mm)のトップコート層側を、鏡面処理したSUS板に戴置し、重量100gの荷重を加えた状態で180℃のホットプレート上に5分間搭載し加熱した。1時間室温に冷却した後SUS板をひっくり返し粘着シートが自然落下したものを密着無しとし、自然落下できなかったものを密着有りとした。なお、比較例1及び比較例3は、粘着シートの基材側をSUS板に戴置した。
「ウエハの反り」
実施例および比較例で作成した粘着シートを200mm径、厚さ725μmのSiウエハに貼付し、100μmまで研削した。続いて、粘着シート面を180℃のホットプレート上に5分間戴置し、ウエハを加熱した。粘着シートを除去しないでウエハを1時間室温で冷却し、ウエハ定盤上に粘着シート面を上にして乗せ、ウエハを静置した。ウエハ定盤の上面高さをゼロ地点とし、17カ所の測定ポイントでのウエハの高さを測定し、測定値の最大値と最小値の差を反り量とした。
【実施例1】
1−1)トップコート層を形成するための紫外線硬化型の塗布剤として以下の配合のものを用いた。
・ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量(Mw)約1000):50重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:50重量部
・光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア184):4.0重量部
・シリカフィラー(日産化学工業社製、スノーテックスUP):30重量部
上記塗布剤を、シリコーン樹脂で剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムという)からなる工程フィルム(リンテック社製、SP−PET38E)にマイヤーバーを用いて塗布し、紫外線照射(250mJ/cm)により硬化して、工程フィルム上に厚み2μmのトップコート層のみの皮膜を形成させた。
1−2)続いて、基材を形成するための塗布剤として以下の配合のものを用いた。
・ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量(Mw)約5000):50重量部
・イソボルニルアクリレート:50重量部
・光開始剤(イルガキュア184)2.0重量部
この塗布剤を1−1)で作成した工程フィルム上のトップコート層の上にファウンテンダイコーターを用いて塗布し、紫外線照射(250mJ/cm)により硬化して、トップコート層上に厚み157μmの硬化皮膜よりなる基材を形成した。
1−3)次に、粘着剤層用の塗布剤として次の配合の紫外線硬化型粘着剤を用いた。
・n−ブチルアクリレート62重量部、メチルメタクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート28重量部からなる共重合体(重量平均分子量約500,000)100重量部と、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート30重量部の付加物100重量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシドからなる光重合開始剤0.3重量部
・トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加物からなる架橋剤0.3重量部
この塗布剤を、シリコーン樹脂で剥離処理された厚さ38μmのPETフィルムからなる剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET3811(S))に塗布乾燥し、1−2)で作成した基材のトップコートの未塗工面に転写して粘着剤層の厚み20μmを有する、半導体ウエハの回路面保護用の粘着シートを作成した。
この粘着シートにおける「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」「DSCピーク量」および「高温密着性」を表1に示す。また、この粘着シートを使用してシリコンウエハを研削し、「ウエハの反り」を測定した。結果を表1に示す。
前述の方法で得たシリコンウエハの粘着テープのトップコート層面を加熱テーブル上に戴置し、シリコンウエハの研削面に熱接着性の樹脂フィルム(リンテック社製、Adwill LP−3)を180℃で熱圧着を行った。室温に冷却した後でも、粘着シートは加熱テーブルに密着せず、シリコンウエハには反りは発生しなかった。また、別途同様に研削を行ったシリコンウエハの研削面に対し、スパッタリングにより金(Au)膜を形成したが何ら問題は発生しなかった。
【実施例2】
実施例1で使用したトップコート層に代えて荒川化学社製、ビームセット373A(紫外線硬化性の官能基を有するアクリル系ポリマーよりなるコート剤、固形分中にシリカフィラーを20重量%を有する)を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作成した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に熱接着性の樹脂フィルムの熱圧着とスパッタリングによるAu膜の形成を行ったが、いずれの場合も何の問題の発生はなかった。
比較例1
実施例1において、トップコート層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
この粘着シートにおける「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」および「高温密着性」を表1に示す。また、この粘着シートを使用してシリコンウエハを研削し、「ウエハの反り」を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に熱接着性の樹脂フィルムの熱圧着とスパッタリングによるAu膜の形成を行った。いずれもの場合もウエハの反りは発生しなかったが、テーブル上に粘着シートが密着し、剥離が困難であった。
比較例2
実施例1において、トップコート層用の塗布剤を、非架橋性のポリスチレン系熱可塑性エラストマー100重量部(フィラー無添加)を溶媒希釈したものに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
この粘着シートにおける「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」「DSCピーク量」および「高温密着性」を表1に示す。また、この粘着シートを使用してシリコンウエハを研削し、「ウエハの反り」を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に熱接着性の樹脂フィルムの熱圧着とスパッタリングによるAu膜の形成を行った。いずれもの場合もウエハの反りは発生しなかったが、テーブル上に粘着シートが密着し、剥離が困難であった。
比較例3
実施例1において、基材を厚み188μmの熱可塑性のポリエチレンテレフタレートフィルムに変更し、トップコート層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
この粘着シートにおける「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」および「高温密着性」を表1に示す。また、この粘着シートを使用してシリコンウエハを研削し、「ウエハの反り」を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に熱接着性の樹脂フィルムの熱圧着とスパッタリングによるAu膜の形成を行った。いずれもの場合もウエハに反りが発生し、ウエハの一部が破損した。
【実施例3】
実施例1において、基材の厚みを80μmに変更した以外は実施例1と同様にして半導体ウエハダイシング用の粘着シートを作成した。この粘着シートにおける「ヤング率」、「表面粗さ」、「応力緩和率」「DSCピーク量」および「高温密着性」を表1に示す。
また、この粘着シートを用いて厚さ200μmに研削した200mm径のウエハをウエハ用のフレームに固定し、ダイシング装置を用いて10mmx10mmサイズにダイシングした。続いて、粘着シートのトップコート層面を180℃のホットプレート上に5分間戴置し、ウエハを加熱した。ウエハを1時間室温で冷却した後、ホットプレートから取り出し、粘着シートのトップコート層側より粘着剤層に対して紫外線照射(250mJ/cm)した。この粘着シートをエキスパンド装置により10mm引き伸ばしてチップ間隔を広げ、チップを粘着シート側から針で突き上げてピックアップを行った。粘着シートがホットプレートに密着することもなく、いずれの工程も問題なく行うことができた。
【実施例4】
実施例1で使用した粘着剤層用の塗布剤を、
・2−エチルヘキシルアクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート40重量部からなる共重合体(重量平均分子量約400,000)100重量部と、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート48重量部の付加物100重量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシドからなる光重合開始剤0.2重量部
・トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加物からなる架橋剤1重量部
に変えた紫外線硬化型粘着剤を使用した以外は同様の操作を行って粘着シートを作成した。結果を表1に示す。
【実施例5】
実施例2で使用した粘着剤層用の塗布剤を、
・n−ブチルアクリレート90重量部、アクリル酸10重量部からなる共重合体(重量平均分子量約600,000)100重量部
・重量平均分子量760の6官能ウレタンアクリレートオリゴマー120重量部、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシドからなる光重合開始剤0.2重量部
・トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加物からなる架橋剤15重量部
に変えた紫外線硬化型粘着剤を使用した以外は同様の操作を行って粘着シートを作成した。結果を表1に示す。
【実施例6】
実施例2で使用した粘着剤層用の塗布剤を、
・n−ブチルアクリレート84重量部
・メチルメタクリレート10重量部、
・アクリル酸1重量部、
・2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、
・トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加物からなる架橋剤15重量部
に変えた再剥離型粘着剤を使用した以外は同様の操作を行って粘着シートを作成した。結果を表1に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の硬化性樹脂を製膜・硬化して得られた基材と、その上に第2の硬化性樹脂が塗布形成され硬化したトップコート層およびその反対面に形成された粘着剤層とからなることを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
トップコート層を形成する硬化後の樹脂が、50〜200℃におけるDSC測定において、0.1J/g以上のピークを有しないことを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
該基材のヤング率が50〜5000MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの粘着シートを、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路面に貼付し、半導体ウエハの裏面を研削することを特徴とする半導体ウエハの表面保護方法。
【請求項5】
粘着シートが貼付された半導体ウエハに対し、半導体ウエハを研削する前または後で加熱処理または発熱を伴う処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体ウエハの表面保護方法。
【請求項6】
前記加熱処理が、半導体ウエハの研削面に熱接着性フィルムを熱圧着する処理であることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハの表面保護方法。
【請求項7】
前記発熱を伴う処理が、半導体ウエハの研削面に対して施される真空蒸着、スパッタリング、プラズマエッチングから選択される処理であることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハの保護方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかの粘着シートによってワークを固定し、ワークをピックアップすることを特徴とするワークの加工方法。
【請求項9】
粘着シートが貼付されたワークに対し、加熱処理または発熱を伴う処理を行った後、ワークをピックアップすることを特徴とする請求項8に記載のワークの加工方法。
【請求項10】
粘着シートに固定されたワークに対し、熱接着性フィルムを熱圧着し、熱接着性フィルムとともにワークをダイシングした後、ダイシングされたワークをピックアップし、熱接着性フィルムを介して基板に熱接着することを特徴とする請求項9に記載のワークの加工方法。

【国際公開番号】WO2004/065510
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508098(P2005−508098)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000450
【国際出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】