説明

粘着シート

【課題】ウエハの回路面等を保護する表面保護シートであるエネルギー線硬化型粘着シートの基材としてポリエステルフィルムを用いた場合であっても、エネルギー線硬化型粘着剤層がウエハなどに転写されることのない粘着シート。
【解決手段】基材フィルム、エネルギー線重合性基を有する化合物を含有するアンカーコート層およびエネルギー線硬化型粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関し、さらに詳しくは板状部材の加工を行う際に、板状部材を固定しつつ、固定された非加工面を保護するために用いられる粘着シートに関する。より具体的には、表面に回路が形成された半導体ウエハを固定しつつ回路面を保護し、裏面側を研削する際に好ましく使用される表面保護用シートとして好適な粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードの普及が進み、さらなる薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップを、厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。このような薄型半導体チップは、ウエハの回路面に表面保護シートを貼付して、ウエハ裏面を研削した後、ウエハをダイシングして得られる。
【0003】
表面保護シートとしては、基材フィルム上に粘着剤層が設けられた各種の粘着シートが使用されている。また粘着剤層にエネルギー線硬化型粘着剤を用い、所定の研削工程が終了後、粘着剤層にエネルギー線を照射して粘着力を低減し、ウエハの剥離を容易にすることも広く行われている。このため、このようなエネルギー線硬化型の表面保護シートにおいては、一般に基材として、粘着剤層との密着性の高いポリオレフィンが用いられている(特許文献1)。
【0004】
しかし、上記のようにウエハをさらに薄く研削することが求められている。ウエハを極薄に研削するためには、厚み精度の高い表面保護シートが要望される。表面保護シートの厚みが不均一であると、シートの不均一性がウエハに影響し、ウエハの厚みが不均一になったり、またウエハが破損することがある。
【0005】
表面保護シートの厚み精度向上のため、表面保護シートの基材として、厚み精度の高いフィルムを用いることが検討される。厚み精度の高いフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムが知られている。しかし、基材としてポリエステルフィルムを用いた場合に、上述したようなポリオレフィンの基材を用いた場合にはあまり問題とならなかった現象が顕在化するようになった。すなわち、エネルギー線硬化型粘着剤層は、粘着性を低減させて剥離を行なうためにエネルギー線照射により硬化を行うが、エネルギー線により硬化された層は硬化前の状態から体積収縮を起こす。すると、ポリエステルフィルムは表面の平滑性が高く、また剛直であるため、エネルギー線硬化型粘着剤層が直接ポリエステルフィルムに積層された表面保護シートにおいて、ポリエステルフィルムとエネルギー線硬化型粘着剤層の密着性が低下することがある。その結果、半導体ウエハから剥離する際、ポリエステルフィルムからエネルギー線硬化型粘着剤が剥離してしまい、半導体ウエハ表面にエネルギー線硬化型粘着剤が転着してしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−82307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エネルギー線硬化型粘着シートの基材としてポリエステルフィルムを用いた場合であっても、エネルギー線硬化型粘着剤層がウエハなどに転写されることのない粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)基材フィルム、エネルギー線重合性基を有する化合物を含有するアンカーコート層およびエネルギー線硬化型粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シート。
【0009】
(2)基材フィルムがポリエステルからなる(1)に記載の粘着シート。
【0010】
(3)ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである(2)に記載の粘着シート。
【0011】
(4)エネルギー線重合性基を有する化合物に含まれるエネルギー線重合性基が、(メタ)アクリロイル基である(1)〜(3)の何れかに記載の粘着シート。
【0012】
(5)エネルギー線重合性基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する重合体である(4)に記載の粘着シート。
【0013】
(6)(メタ)アクリロイル基を有する重合体が、(メタ)アクリレート変性ポリエステルである(5)に記載の粘着シート。
【0014】
(7)エネルギー線重合性基を有する化合物が、エネルギー線重合性基以外の反応性官能基を有し、アンカーコート層が架橋剤を含有する(1)〜(6)の何れかに記載の粘着シート。
【0015】
(8)エネルギー線硬化型粘着剤が、アクリル系重合体を含有する(1)〜(7)の何れかに記載の粘着シート。
【0016】
(9)エネルギー線硬化型粘着剤が、エネルギー線重合性樹脂を含有する(1)〜(8)の何れかに記載の粘着シート。
【0017】
(10)アンカーコート層の厚さが0.1〜10μmである(1)〜(9)の何れかに記載の粘着シート。
【0018】
(11)板状部材の加工を行う際の板状部材の非加工面保護用である(1)〜(10)の何れかに記載の粘着シート。
【0019】
(12) 半導体ウエハの裏面の研削を行う際の半導体ウエハの回路面保護用である(11)に記載の粘着シート。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、基材フィルムのアンカーコート層にエネルギー線重合性基を有する化合物を配合している。このようなアンカーコート層を形成することで、エネルギー線硬化型粘着剤の硬化後においても、基材フィルムと粘着剤層との密着性が保たれる。このため、粘着シートの基材としてポリエステルフィルムを用いた場合であっても、硬化後の粘着剤層がウエハなどに転着されることはない。
【0021】
このような本発明の効果が奏される作用機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、次のように考えている。すなわち、エネルギー線硬化型粘着剤の硬化時に、アンカーコート層に含まれるエネルギー線重合性基の少なくとも一部もともに重合し、粘着剤層の一部とアンカーコート層との間に共有結合が形成され、粘着剤層と基材とがアンカーコート層を介して密着を維持するためであると考えている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る粘着シートは、基材フィルム、エネルギー線重合性基を有する化合物を含有するアンカーコート層およびエネルギー線硬化型粘着剤層がこの順に積層されてなる。
【0023】
(基材フィルム)
【0024】
本発明の粘着シートにおける基材フィルムは特に限定はされないが、ポリエステルフィルムや、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムなどの厚み精度の高いフィルムが好ましく用いられる。また、基材フィルムの表面の平滑性が高かったり、剛性が高い場合に本発明の基材フィルムとエネルギー線硬化型粘着剤層との密着性を向上させる効果がより好ましく発揮される。特に、本発明の構成を採用することで、ポリエステルフィルムのようなエネルギー線硬化型粘着剤に対する密着性の低い樹脂フィルムであっても、基材と粘着剤層との間の密着性が維持することができる。すなわち、ポリエステルフィルムを用いることで、本発明の効果が顕著に奏されるため、本発明における基材フィルムとしては、ポリエステルフィルムを用いることが特に好ましい。ポリエステルフィルムは、厚み精度が高いため、ウエハを極薄にまで研削する際にもウエハを安定して保持することができる。
【0025】
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとして、たとえば芳香族二塩基酸またはそのエステル誘導体と、ジオールまたはそのエステル誘導体とから重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフテレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられ、これらの共重合体であってもよく、またはこれと比較的少量の他樹脂とのブレンド物等も含まれる。これらのポリエステルフィルムの中でも、入手が容易で、厚み精度の高いポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0026】
ポリエステルフィルムとして、無延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルムのいずれも用いることができるが、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0027】
ポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルを乾燥後、Tm〜(Tm+70)℃の温度(Tm:ポリエステルの融点)で押出機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から40〜90℃の回転冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルムを製造し、次いで該未延伸フィルムを(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で縦方向に2.5〜8.0倍の倍率で延伸し、横方向に2.5〜8.0倍の倍率で延伸し、必要に応じて180〜250℃の温度で1〜60秒間熱固定することにより製造できる。
【0028】
基材フィルムの厚みは5〜250μmの範囲が好ましい。基材フィルムの厚みが5μm未満であると高温域での耐変形性(寸法安定性)に劣り、また250μmを超えると剛性が高すぎるという問題がある。
【0029】
また必要により、基材フィルムに適当なフィラーを含有させることができる。このフィラーとしては、従来基材フィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられ、その具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。さらに基材フィルム中には、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒なども適宜添加することができる。
【0030】
基材フィルムは、透明なものであっても、所望により着色又は蒸着されていてもよく、また紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また、基材フィルムは、上記の単層フィルムであってもよいし、積層フィルムであってもよい。
【0031】
(アンカーコート層)
アンカーコート層は、エネルギー線重合性基を有する化合物を含有する。エネルギー線重合性基は、紫外線や電子線などのエネルギー線照射を受けて重合する基であり、たとえばエチレン性不飽和結合を含有する基があげられ、具体的にはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基などが例示される。なお、以下の説明では、アクリロイル基およびメタアクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基と記載することがある。エネルギー線重合性基としては、導入が容易であり、反応性も良好な(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0032】
このようなエネルギー線重合性基を有する化合物をアンカーコート層に配合すると、エネルギー線硬化型粘着剤の硬化後においても、アンカーコート層を介して、基材フィルムと粘着剤層との密着性が保たれる。このため、粘着シートの基材としてポリエステルフィルムを用いた場合であっても、硬化後の粘着剤層がウエハなどに転着されることはない。
【0033】
エネルギー線重合性基を有する化合物としては、上記に例示列挙したようなエネルギー線重合性基を有していれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく用いられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有することで、エネルギー線硬化型粘着剤に通常含まれているアクリル系重合体との親和性が向上すると考えられる。また、エネルギー線硬化時に粘着剤中のエネルギー硬化性成分と(メタ)アクリロイル基含有化合物とが反応し、粘着剤層とアンカーコート層との間に共有結合が形成されるため、アンカーコート層を介して、基材フィルムと粘着剤層との密着性が保たれると考えられる。
【0034】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、比較的分子量の高い重合体を用いることで、重合体自体が造膜性を有するため、アンカーコート剤の塗布およびそれに次ぐ乾燥を行うのみで、凝集性を保った状態とすることができ、簡便にアンカーコート層を形成できる。
【0035】
一方、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、比較的低分子量の化合物を用いると、アンカーコート剤の塗布およびそれに次ぐ乾燥を行うのみでは凝集性が十分でない場合がある。そこで、通常コート層の凝集力を高めるために、すべての(メタ)アクリロイル基が重合しきらない程度に出力を抑えてエネルギー線を照射して塗膜を予備硬化する。
【0036】
(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、ウレタンアクリレートや、(メタ)アクリレート変性ポリエステルが挙げられる。これらのうちでも、(メタ)アクリレート変性ポリエステルであれば、ポリエステル部分がポリエステル系フィルムとの密着性が高く、アンカーコート層とポリエステル系フィルムの密着性がより向上する。
【0037】
さらに、エネルギー線重合性基を有する化合物は、エネルギー線重合性基以外の反応性官能基を有していてもよい。エネルギー線重合性基以外の反応性官能基としては、たとえばカルボキシル基、アミノ基、水酸基、グリシジル基、イソシアナート基が挙げられる。エネルギー線重合性基を有する化合物がこのような反応性官能基を有する場合、アンカーコート層には、これらの反応性官能基と反応しうる架橋剤を添加してもよい。反応性官能基と反応しうる架橋剤を添加することによってアンカーコート層の凝集性の調整が可能となり、エネルギー線硬化型粘着剤との密着性と耐ブロッキング性という相反する特性を調整することが容易となる。上記のような反応性官能基と反応しうる架橋剤としては、たとえばアジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。
【0038】
アジリジン系架橋剤としては、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等があげられる。
【0039】
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-4,4-ジアミノジフェニルメタン等があげられる。
【0040】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどがあげられる。
【0041】
また、金属キレート化合物としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズなどのキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。
【0042】
アルミニウムキレート化合物としては、例えばジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレートなどが挙げられる。
【0043】
架橋剤は、エネルギー線重合性基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物100質量部(固形分換算)に対して、3質量部(固形分換算)以上配合することが好ましく、5〜70質量部(固形分換算)配合することがより好ましく、5〜50質量部(固形分換算)配合することがさらに好ましい。架橋剤の配合量が上記範囲にあることで、アンカーコート層を適度な硬度に保ち、基材フィルムに対して良好な密着性が得られやすい。
【0044】
さらに、アンカーコート層には、上記成分に加えて可塑剤、充填剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、光重合開始剤、レベリング剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0045】
アンカーコート層は、上記成分を含むアンカーコート剤組成物を、基材フィルム上に塗布乾燥し、必要に応じ予備硬化することで得られる。アンカーコート剤組成物は、前述した成分及びその他添加剤と、溶媒とを混合・撹拌する公知の方法により調製することができる。その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、顔料、染料、カップリング剤などを挙げることができる。
【0046】
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、ヘキサメチルリン酸ホスホロアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ε−カプロラクタム等のラクタム類;γ−ラクトン、δ−ラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
【0047】
溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、アンカーコート剤組成物の固形分濃度が10〜50質量%となる量が好ましい。
【0048】
上記アンカーコート剤組成物の塗布は、常法によって行えばよく、例えば、バーコート法、ナイフコート法、マイヤーバー法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法によって行えばよい。アンカーコート剤組成物を塗布し、基材フィルムの片面に塗膜を形成したのち、塗膜を50〜120℃程度で乾燥し、アンカーコート層を形成することが好ましい。
【0049】
アンカーコート層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。このような厚さとすることで、アンカーコート層がエネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線硬化時における収縮を効率的に吸収し、アンカーコート層と基材フィルムの剥離を抑制することができ、また、ブロッキングが生じにくい。
【0050】
(エネルギー線硬化型粘着剤層)
本発明の粘着シートは、上述した基材フィルムのアンカーコート層上に、エネルギー線硬化型粘着剤層(以下において、単に「粘着剤層」と記載することがある。)が形成されてなる。
【0051】
エネルギー線硬化型粘着剤層は、従来より公知のガンマ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線の照射により硬化する種々のエネルギー線硬化型粘着剤により形成され得るが、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
【0052】
紫外線硬化型粘着剤としては、例えばアクリル系重合体に、多官能紫外線硬化樹脂を混合した粘着剤が挙げられる。粘着剤がアクリル系重合体を含有すると、アンカーコート層の(メタ)アクリロイル基と親和性が増し、アンカーコート層と粘着剤層との密着性がより高くなる。
【0053】
多官能紫外線硬化樹脂としては、光重合性の官能基を複数有する低分子化合物、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。また、側鎖に光重合性の官能基を有するアクリル系共重合体を含む粘着剤も用いることができる。光重合性の官能基としては、アンカーコート層のエネルギー線重合性官能基を有する化合物のエネルギー線重合性官能基として例示したものと同じものを用いることができる。粘着剤層に光重合性官能基が存在すると、場合によって、両者の光重合性官能基とエネルギー線重合性基が反応するためより密着性が向上すると考えられる。光重合性の官能基を、アンカーコート層のエネルギー線重合性官能基を有する化合物のエネルギー線重合性官能基と同一の官能基とすることが好ましい。このことにより、エネルギー線硬化型粘着剤層とアンカーコート層の親和性が増し、いっそうエネルギー線硬化型粘着剤層とアンカーコート層との密着性が向上する。さらには、光重合性官能基は(メタ)アクリロイル基が好ましい。粘着剤層およびアンカーコート層の両者に(メタ)アクリロイル基が存在すると、粘着剤層とアンカーコート層との親和性がさらに増し、両者の(メタ)アクリロイル基がより反応しやすくなるため特に密着性が向上すると考えられる。
【0054】
エネルギー線硬化型粘着剤層1g中に存在するエネルギー線重合性基の数は、好ましくは0.01mmol以上であり、より好ましくは0.05mmol以上、さらに好ましくは、0.1〜5mmolである。このようなエネルギー線硬化型粘着剤層であれば、硬化前と硬化後の粘着性の差が大きく、粘着シートが被着体に接着した状態では強固に接着する一方で、剥離する際には硬化により粘着性が著しく低下し、剥離が容易となる。本発明の基材とエネルギー線硬化型粘着剤層との密着性を向上させる効果は、エネルギー線硬化型粘着剤層の含有するエネルギー線重合性基が上記の範囲にあって、収縮応力が所定の程度生じる場合にいっそう発揮される。
【0055】
エネルギー線硬化型粘着剤層は、上述したアンカーコート層上に、エネルギー線硬化型粘着剤層を形成するための粘着剤層用塗布液を塗布することにより設けてもよいし、剥離シートの剥離処理が施された面に粘着剤層を形成し、この粘着剤層を上述したコートフィルムのアンカーコート層上に積層させることにより、剥離シート付き粘着剤層を形成してもよい。エネルギー線硬化型粘着剤層を形成する方法は、特に限定されることがなく通常の方法を使用することができ、例えば、グラビアロール方式、ロールナイフ方式、ブレードコート方式、ダイコート方式等により形成することができる。
【0056】
本発明においてエネルギー線硬化型粘着剤層の厚さは特に限定されるものではないが、通常、3〜200μmの範囲内であり、5〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に5〜80μmの範囲内であることが好ましい。このような範囲内であれば、被着体への粘着シートの接着性が維持される。また、硬化時の収縮応力が適当な範囲に収まり、基材フィルムとエネルギー線硬化型粘着剤層の密着性を保つという本発明の効果の発現を確保できる。
【0057】
剥離シートは、特に限定されるものではなく、例えば、剥離シート用基材として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙の1種の単独または2種以上を積層させたものを、そのまま用いるか、またはシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。
【0058】
(粘着シートの利用方法)
本発明の粘着シートは、板状部材の加工を行う際の板状部材の非加工面保護に好ましく用いられる。板状部材としては、たとえば半導体ウエハや、金属、ガラス、セラミックスなどからなる薄板があげられる。これらの薄板の一方の表面には保護されるべき回路等が形成され、他方の面には、研削等の加工が施される。このような加工を行う際に、保護されるべき回路等が形成された面に本発明の粘着シートが貼付される。
【0059】
所定の加工工程が終了後、エネルギー線硬化型粘着剤にエネルギー線を照射することにより効率的に粘着力を低下できる。エネルギー線照射により粘着剤が重合硬化し、粘着力が低下するとともに、アンカーコート層を介して基材と粘着剤が密着するため、粘着剤層と基材との界面破壊、粘着剤層の凝集破壊を生ずることなく板状部材を剥離できる。このため本発明の粘着シートは、残渣物を嫌う電子部品用途に好適である。したがって、本発明の粘着シートは、特に半導体ウエハの裏面研削時における回路面の保護シートとして好ましく用いられる。半導体ウエハの裏面研削方法についてさらに以下に詳細に説明する。
【0060】
ウエハの裏面研削においては、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路面に、粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層を仮着し、回路面を保護しつつウエハの裏面をグラインダーにより研削し、所定厚みのウエハとする。
【0061】
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。半導体ウエハの回路形成工程において、所定の回路が形成される。ウエハの研削前の厚みは特に限定はされないが、通常は500〜1000μm程度である。
【0062】
裏面研削時には、ウエハ表面の回路を保護するために回路面に本発明の粘着シートを仮着する。なお、ここでシートを仮着するとは、シートを再剥離可能に被着体に固定することをいう。ウエハ表面への粘着シートの仮着は、テープマウンターなどを用いた汎用の手法により行われる。また、粘着シートは、予め半導体ウエハと略同形状に切断されていてもよく、ウエハにシートを仮着後、余分なシートをウエハ外周に沿って切断、除去してもよい。
【0063】
ウエハの裏面研削は粘着シートが回路の全面に仮着された状態で、グラインダーおよびウエハ固定のための吸着テーブル等を用いた公知の手法により行われる。本発明においては、エネルギー線硬化型粘着剤層により半導体ウエハを仮着し、ウエハ裏面研削時における剪断力に抗してウエハを安定して保持できるため、回路面への研削水の浸入もなく、またウエハ裏面を均一に研削することができる。
【0064】
通常は、室温(例えば23℃)でウエハ回路面に粘着シートを仮着する。ウエハの外周部を確実に封止し、研削水の浸入を防止するため、ウエハ回路面に粘着シートを仮着する際に、ウエハ外周部において粘着シートを加熱貼付してもよい。
【0065】
裏面研削後の半導体ウエハの厚みは、特に限定はされないが、好ましくは10〜300μm、特に好ましくは25〜200μm程度である。
【0066】
裏面研削終了後、エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射し、ウエハ表面から粘着シートを剥離する。本発明の粘着シートによれば、裏面研削終了後にウエハ表面から粘着シートを剥離した際に、粘着シート由来の残渣物によるウエハ表面の汚染が極めて少なく、不良品の発生を抑制でき、また得られる半導体チップの品質も安定する。
【0067】
次いで、ウエハのダイシング、チップのマウンティング、樹脂封止などの工程を経て、半導体装置が得られる。
【0068】
また、本発明の粘着シートは、半導体ウエハのダイシング工程において、ウエハを一時的に固定するために用いたり、フェースダウン方式の半導体チップ用半導体ウエハの回路非形成面にレーザーマーキングを施す際の支持シート、硬質の板状部材に物理的な衝撃を与えてチップに分割するブレーキングを行なう際に、板状部材を支持するブレーキング用シートとして用いたりすることもできる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明において採用した測定、評価方法は次の通りである。
【0070】
(1)エネルギー線硬化型粘着剤層の密着性
実施例および比較例で得た粘着シートから剥離材を剥離除去し、紫外線照射(230mW/cm、190mJ/cm)してエネルギー線硬化型粘着剤層の硬化後、JIS K 5600−5−6:1999のクロスカット法に基づき、格子パターンの各方向でのカット数を10個とし(格子マス目の数100マス)、カットの間隔を5mmとしてアンカーコート層とエネルギー線硬貨型粘着剤との密着性を評価した。粘着剤が剥離したマス目の個数を数えた。
【0071】
(2)耐ブロッキング性
実施例および比較例で得たアンカーコート層付き基材フィルムを5枚重ね合わせ、40℃80%RH(相対湿度)の条件下で784mN/cmの荷重を重ね、一週間静置した。その後23℃50%環境下に1日放置した後、重ね合わせたサンプルを剥がし、フィルム面との接着性を下記の判断基準で評価した。
○:フィルム面との接着がない。
△:フィルム面とアンカーコート面が点で接着しているが、両者を手で剥がすのに問題はなく、剥がした後のアンカーコート層表面には目視でなんら変化が観察されない。
×:フィルム面とアンカーコート層が接着し、両者を手で剥がすことが不可能であるか、あるいは両者を手で剥がすことが可能であるが、剥がした後のアンカーコート層表面に目視で変化が観察される。
【0072】
以下に本発明の実施例、比較例に使用したエネルギー線硬化型粘着剤の組成を示す。
【0073】
<粘着剤1>
n−ブチルアクリレート85質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部からなる重量平均分子量約65万の共重合体100質量部と、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート16質量部との反応により得られる側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体に硬化剤(トルイレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加物)5質量部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア184)5質量部を配合した粘着剤を用意し、粘着剤1とした。なお、配合部数はすべて固形分換算である。
【0074】
<粘着剤2>
アクリル系粘着剤(n-ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体)100質量部と、分子量8000の3官能ウレタンアクリレート系オリゴマー120質量部と、硬化剤(ジイソシアナート系)10質量部と、光重合開始剤(ベンゾフェノン系)5質量部とを混合し、粘着剤2とした。なお、配合部数はすべて固形分換算である。
【0075】
(実施例1)
(アンカーコート層付基材フィルム)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液(アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製、固形分50%))100質量部に、アジリジン系架橋剤としてアラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)60質量部を添加し、アンカーコート層形成用組成物を得た。この組成物においては、アクリレート変性ポリエステルを固形分として100質量部含有するとした場合、アジリジン系架橋剤を固形分として48質量部含有する(なお、実施例2以下のアクリレート変性ポリエステルと架橋剤の固形分換算での配合量は表に示すとおりである。)。
【0076】
このアンカーコート層形成用組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーPET 50 T−60、厚み50μm)上に、乾燥後の厚みが1μmとなるように、グラビアロール方式により、塗布流延した後、温度70℃で1分間乾燥し、アンカーコート層付きポリエステル系基材フィルムを得た。この基材フィルムの耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
(粘着シート1)
剥離材としてのSP−PET381031上に、粘着剤1を乾燥後の厚みが20μmとなるようにロールナイフ方式により塗布流延した後、温度100℃で1分間乾燥し、剥離材上に粘着剤層を得た。粘着剤層の露出面を上記のアンカーコート層付きポリエステル系基材フィルムのアンカーコート層面と貼り合わせて、ポリエステル系フィルム、アンカーコート層、エネルギー線硬化型粘着剤層、剥離材がこの順に積層された粘着シート1を得た。得られた粘着シート1におけるエネルギー線硬化型粘着剤層の密着性を評価した。結果を表1に示す。
【0078】
(粘着シート2)
粘着剤1に代えて粘着剤2を用いた以外は、上記と同様にして粘着シート2を得て、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】
(実施例2)
アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)の配合量を30質量部とした以外は、実施例1と同様にして粘着剤1を用いた粘着シート1および粘着剤2を用いた粘着シート2を得た。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例3)
アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)の配合量を15質量部とした以外は、上記と同様にした。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例4)
アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)を7質量部とした以外は、上記と同様にした。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例5)
アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)を添加しなかった以外は、上記と同様にした。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例6)
アンカーコート層の厚みを0.08μmとした以外は、実施例2と同様にした。結果を表1に示す。
【0084】
(実施例7)
アンカーコート層の厚みを0.3μmとした以外は実施例2と同様にした。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例8)
アンカーコート層の厚みを3μmとした以外は実施例2と同様にした。結果を表1に示す。
【0086】
(実施例9)
アンカーコート層の厚みを5μmとした以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0087】
(実施例10)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液を、アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製)からアラコートAP2510(荒川化学工業株式会社製、固形分30%)に換え、アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)を10質量部とし、アンカーコート層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0088】
(実施例11)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液を、アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製)からアラコートAP2502B2(荒川化学工業株式会社製、固形分50%)に換え、アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製)を10質量部とし、アンカーコート層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0089】
(実施例12)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液を、アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製)からアラコートAP2503A(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)に換え、アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製)60質量部をイソシアネート系架橋剤アラコートCL2503(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)10質量部とし、アンカーコート層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0090】
(実施例13)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液を、アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製)からアラコートAP2503D2(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)に換え、アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製)60質量部をイソシアネート系架橋剤アラコートCL2503(荒川化学工業株式会社製、固形分40%)10質量部とし、アンカーコート層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0091】
(比較例1)
アンカーコート層を設けず、ポリエチレンテレフタレートフィルムと粘着剤層を直接貼り合わせた以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0092】
(比較例2)
アクリレート変性ポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂溶液アラコートAP2500E(荒川化学工業株式会社製)を、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有しないポリエステル樹脂バイロン600(東洋紡績株式会社製)をメチルエチルケトンに溶解し固形分30%としたものに換え、アジリジン系架橋剤アラコートCL2500(荒川化学工業株式会社製)30質量部をイソシアネート系架橋剤コロネートHL(日本ポリウレタン株式会社製、固形分30%)10質量部に換え、アンカーコート層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム、エネルギー線重合性基を有する化合物を含有するアンカーコート層およびエネルギー線硬化型粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シート。
【請求項2】
基材フィルムがポリエステルからなる請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項2に記載の粘着シート。
【請求項4】
エネルギー線重合性基を有する化合物に含まれるエネルギー線重合性基が、(メタ)アクリロイル基である請求項1〜3の何れかに記載の粘着シート。
【請求項5】
エネルギー線重合性基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する重合体である請求項4に記載の粘着シート。
【請求項6】
(メタ)アクリロイル基を有する重合体が、(メタ)アクリレート変性ポリエステルである請求項5に記載の粘着シート。
【請求項7】
エネルギー線重合性基を有する化合物が、エネルギー線重合性基以外の反応性官能基を有し、アンカーコート層が架橋剤を含有する請求項1〜6の何れかに記載の粘着シート。
【請求項8】
エネルギー線硬化型粘着剤が、アクリル系重合体を含有する請求項1〜7の何れかに記載の粘着シート。
【請求項9】
エネルギー線硬化型粘着剤が、エネルギー線重合性樹脂を含有する請求項1〜8の何れかに記載の粘着シート。
【請求項10】
アンカーコート層の厚さが0.1〜10μmである請求項1〜9の何れかに記載の粘着シート。
【請求項11】
板状部材の加工を行う際の板状部材の非加工面保護用である請求項1〜10の何れかに記載の粘着シート。
【請求項12】
半導体ウエハの裏面の研削を行う際の半導体ウエハの回路面保護用である請求項11に記載の粘着シート。

【公開番号】特開2013−23665(P2013−23665A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162390(P2011−162390)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】