説明

粘着テープの剥離方法

【課題】ポリベンズオキサゾールやバッファーコート等の表面処理によって半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされた半導体ウエハや半導体チップであっても、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の面に粘着剤層12、13を有する粘着テープ1が貼付された半導体ウエハ3又は半導体チップから粘着テープ1を剥離する方法であって、粘着テープ1と半導体ウエハ3又は半導体チップとの接着面積を減少させる刺激を与える第1の剥離工程と、粘着テープ1と半導体ウエハ3又は半導体チップとの接着面積を更に減少させる刺激を与える第2の剥離工程とを有し、第2の剥離工程は、第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンズオキサゾールやバッファーコート等の表面処理によって半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされた半導体ウエハや半導体チップであっても、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICやLSI等の半導体チップは、通常、純度の高い棒状の半導体単結晶等をスライスして半導体ウエハとした後、フォトレジストを利用して半導体ウエハ表面に所定の回路パターンを形成し、次いで半導体ウエハ裏面を研削機により研削して、厚さを100〜300μm程度まで薄くした後、最後にダイシングしてチップ化することにより、製造されている。
【0003】
ここで、研削時には、ウエハ表面に粘着シート類(研削用テープ)を貼り付けて、ウエハの破損を防止したり研削加工を容易にしたりしている。また、ダイシング時には、ウエハ裏面側に粘着シート類(ダイシングテープ)を貼り付けて、ウエハを接着固定した状態でダイシングし、形成されたチップをダイシングテープのフィルム基材側よりニードルで突き上げてピックアップし、ダイパッド上に固定させている。
【0004】
このような研削用テープやダイシングテープとして用いる粘着テープには、研削やダイシングの際に半導体ウエハや半導体チップが位置ずれしたりするのを確実に防止するために、に高い粘着力が求められる。一方、研削やダイシングの後には、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易に粘着テープを剥離できることが求められている。
【0005】
これに対して、光硬化型粘着剤層を有する粘着テープを研削用テープやダイシングテープとして用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。光硬化型粘着剤は、例えば、紫外線等の光により架橋する架橋成分を含有する粘着剤からなるものであり、光を照射することにより粘着剤層の全体が架橋、硬化して、ゴム状領域のtanδの減少が著しくなり、粘着力が大きく低下する。従って、このような粘着テープを用いれば、研削やダイシング時には高い粘着力で確実に接着できる一方、光を照射することにより半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易に粘着テープを剥離できるとされている。しかしながら、実際には、紫外線を照射した後にも、設計した程には光硬化型粘着剤層の粘着力が低下せずに、半導体ウエハや半導体チップから粘着テープを剥離できなかったり、糊残りが生じたりすることがあった。
【0006】
また、特許文献2には、少なくとも一方の粘着剤層中に気体発生剤を含有する両面粘着テープが記載されている。このような両面粘着テープは、粘着剤層に刺激を与えると気体発生剤から発生した気体が粘着剤層と被着体との界面に放出され接着面積を減少させることから、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易に粘着テープを剥離できる。しかしながら、近年の半導体ウエハは表面にポリベンズオキサゾール等の樹脂コートが施されることが多くなってきている。このような半導体ウエハは、従来のポリイミドコートウエハに比べて粘着剤との親和性が極めて高く、特許文献2に記載された両面粘着テープを用いた場合であっても充分な剥離性が得られないこともあった。そこで、ポリベンズオキサゾール等の半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされたウエハの場合であっても、確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法が求められていた。
【特許文献1】特公平1−56112号公報
【特許文献2】特開2003−231871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、ポリベンズオキサゾールやバッファーコート等の表面処理によって半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされた半導体ウエハや半導体チップであっても、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープが貼付された半導体ウエハ又は半導体チップから前記粘着テープを剥離する方法であって、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を減少させる刺激を与える第1の剥離工程と、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を更に減少させる刺激を与える第2の剥離工程とを有し、前記第2の剥離工程は、前記第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に行われることを特徴とする粘着テープの剥離方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の粘着テープの剥離方法は、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を減少させる刺激を与える第1の剥離工程と、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を更に減少させる刺激を与える第2の剥離工程とを有する。このように第1の剥離工程により接着面積を減少させた後に、第2の剥離工程を行うことにより、第1の剥離工程では充分に剥離できなかった部分についても剥離を促進して、全体として接着面積を充分に減少させて、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる。
【0010】
第1の剥離工程と第2の剥離工程とは、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を減少させるものであれば同種のものであっても、異種のものであってもかまわない。
このような、刺激により粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を減少させる具体的な方法としては特に限定されず、例えば、上記粘着テープの粘着剤層中に予め刺激により気体を発生する気体発生剤を含有させる方法、上記粘着テープの粘着剤層中に予め発泡剤を含有させる方法等の化学的な方法の他、物理的な方法であってもよい。
【0011】
上記第2の剥離工程は、上記第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に行われる。第2の剥離工程は、第1の剥離によって界面との間に空間ができることにより、第2の剥離によるテープの変形がし易くなるために、第2の剥離は第1の剥離が生じた領域から優先的に行われるために、第1の剥離工程による接着面積の減少が全接着面積の30%未満であるときに第2の剥離工程を開始した場合には、第1の剥離工程により剥離され始めた領域のみに第2の剥離工程による剥離が集中してしまい、第2の剥離工程による剥離が面内で不均一になってしまう。その結果、第1の剥離工程により剥離され始めた領域における第2の剥離工程による剥離の押し上げ効果でできた密着が大きくなってしまい、剥離時の抵抗が大きくなってしまい、ひいては薄くなったウエハを破損してしまうこととなる。従って、第2の剥離工程は、第1の剥離工程で全接着面積の30%以上が減少したときに開始する。こうすることによって第2の剥離による第1の剥離の押し上げ効果でできる密着を均一にさせることができる。
【0012】
第2の剥離工程を開始するタイミングについては、例えば、第1の剥離工程による接着面積の減少を目視により確認して行ってもよいし、予め第1の剥離工程による接着面積の減少と時間との関係を調べておき、これに従って第2の剥離工程の開始を調整してもよい。
第2の剥離工程による剥離によって浮きが生じるが浮きの大きさとしては直径として5mm以上、3cm以下が好ましい。5mm未満であると、第2の剥離工程による第1の剥離工程後の剥離を促進する効果が得られないことがあり、3cmを超えると、第2の剥離工程によって第1の剥離工程後の再密着が大きくなってしまうことがある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポリベンズオキサゾール等の半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされた半導体ウエハや半導体チップであっても、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の粘着テープの剥離方法について、具体的な態様により詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施態様にのみ限定されるものではない。
図1に、第1の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図を示した。
第1の態様の本発明の粘着テープの剥離方法では、両面に気体発生剤を含有する粘着剤層を有する両面粘着テープを用いる。このとき、一方の面の粘着剤層に含有する気体発生剤の量が他方の面の粘着剤層に含有する気体発生剤の量よりも適正量少なくなるように調整する。
なお、上記気体発生剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が好適である。これらの気体発生剤は、紫外線の照射や加熱等の刺激を与えることにより気体を発生する。
【0015】
このような両面粘着テープを用いて、半導体ウエハとガラス製の支持板とを、気体発生剤の配合量が多い側の粘着剤層が半導体ウエハに、少ない側の粘着剤層が支持板側となるように接着する。図1の両面粘着テープ1においては、基材11の一方の面に気体発生剤14の配合量が多い粘着剤層13が、他方の面に気体発生剤14の配合量が少ない粘着剤層12とが形成されており、粘着剤層12を支持板2側に、粘着剤層13を半導体ウエハ3側にして、両者を貼り合わせている(図1(a))。
このような状態で支持板2側から紫外線を照射すると、まず、気体発生剤14の配合量が多い粘着剤層13から気体が発生し、半導体ウエハ3と粘着剤層13との界面に放出されて、半導体ウエハ3と両面粘着テープ1との接着面積を減少させる。これが第1の剥離工程に該当する。
次いで、気体発生剤14の配合量が少ない粘着剤層12から気体が発生し、支持板2と粘着剤層12との界面に放出される。しかしながら、粘着剤層12中には少量の気体発生剤14しか含有されていないことから、支持板2と粘着剤層12との界面に放出された気体は気泡となって支持板2と粘着剤層12との間に留まる。この気泡により両面粘着テープ1の一部が変形し、この変形は半導体ウエハ3側の粘着剤層13をも変形させ、この変形によりテープをウエハから押し上げることにより、半導体ウエハ3と両面粘着テープ1との接着面積を更に減少させる。これが第2の剥離工程に該当する。
このとき、粘着剤層13(半導体ウエハ3側)に含有される気体発生剤14の量を粘着剤層12(支持板2側)に含有される気体発生剤14の量の3〜10倍に設定することにより、第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に第2の剥離工程が開始するようにすることができる。
【0016】
上記説明においては、第1の剥離工程と第2の剥離工程とは、同じ紫外線照射により開始されたが、例えば、両面の粘着剤層に配合する気体発生剤として異なる刺激、例えば、一方が紫外線照射により他方が加熱により気体を発生するものを選択したり、同じ光照射により気体を発生する場合であっても異なる波長の光により気体を発生するものを選択したりして、第1の剥離工程と第2の剥離工程とを別々の刺激により開始させてもよい。このように2つの剥離工程を開始させる刺激を異なるものとすることにより、より確実に第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に第2の剥離工程が開始するようにすることができる。
【0017】
図2に、第2の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図を示した。
第2の態様の本発明の粘着テープの剥離方法では、両面に粘着剤層を有する両面粘着テープを用いる。このとき、一方の面の粘着剤層に気体発生剤を、他方の面の粘着剤層に加熱発泡剤を含有させる。
なお、上記気体発生剤としては、第1の態様の本発明の粘着テープで挙げたものを用いることができる。上記発泡剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等の気体発生剤や、樹脂からなるセル内に低沸点有機溶剤が封入された熱膨張性カプセル等を用いることができる。
【0018】
このような両面粘着テープを用いて、半導体ウエハとガラス製の支持板とを、気体発生剤を含有する側の粘着剤層が半導体ウエハに、発泡剤を含有する側の粘着剤層が支持板側となるように接着する。図2の両面粘着テープ4においては、基材41の一方の面に紫外線により気体が発生する気体発生剤441を含有する粘着剤層43が、他方の面に加熱により発泡する発泡剤442がおよそ1cmあたりに2〜3個含有するように分散された粘着剤層42とが形成されており、粘着剤層42を支持板2側に、粘着剤層43を半導体ウエハ3側にして、両者を貼り合わせている(図2(a))。
このような状態で支持板2側から紫外線を照射すると、まず、粘着剤層43中の気体発生剤441により粘着剤層43から気体が界面の間に放出され、半導体ウエハ3と両面粘着テープ4との接着面積を減少させる。これが第1の剥離工程に該当する。
次いで、第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に加熱すると、粘着剤層42中の発泡剤442により粘着剤層42が発泡して変形し、この変形は半導体ウエハ3側の粘着剤層43をも変形させて半導体ウエハ3と両面粘着テープ4との接着面積を更に減少させる。これが第2の剥離工程に該当する。
【0019】
図3に、第3の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図を示した。
第3の態様の本発明の粘着テープの剥離方法では、両面に粘着剤層を有する両面粘着テープを用いる。このとき、一方の面の粘着剤層にのみ刺激により気体を発生する気体発生剤を含有させる。
【0020】
このような両面粘着テープを用いて、半導体ウエハとガラス製の支持板とを、気体発生剤を含有する側の粘着剤層が半導体ウエハに、気体発生剤を含有しない側の粘着剤層が支持板側となるように接着する。図3の両面粘着テープ5においては、基材51の一方の面に気体発生剤54を含有する粘着剤層53が、他方の面に気体発生剤54を含有しない粘着剤層52とが形成されており、粘着剤層52を支持板2’側に、粘着剤層53を半導体ウエハ3側にして、両者を貼り合わせている(図3(a))。更に、第3の態様の本発明の粘着テープの剥離方法においては、支持板2’には複数の貫通穴が開けられている。
このような状態で支持板2’側から紫外線を照射すると、まず、気体発生剤が配合された粘着剤層53から気体が発生し、半導体ウエハ3と粘着剤層53との界面に放出されて、半導体ウエハ3と両面粘着テープ5との接着面積を減少させる。これが第1の剥離工程に該当する。
次いで、第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に支持板2’の貫通穴から棒状体等を用いて粘着剤層52に物理的な力を加える。半導体ウエハ3がフリーな状態である場合には、半導体ウエハ3の移動に伴ってこの物理的な力により粘着テープ5の一部が変形し、この変形は半導体ウエハ3側の粘着剤層53をも変形させて半導体ウエハ3と両面粘着テープ5との接着面積を更に減少させる(図3(c))。これが第2の剥離工程に該当する。
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
(1)両面粘着テープの調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、U324A(新中村化学社製)40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
イソボロニルアクリレート 40重量部
2エチルヘキシルアクリレート 60重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0023】
得られた粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)20重量部、及び、2,4−ジエチルチオキサントン3.6重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(2)を調製した。
別に、得られた系粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)6重量部、及び、2,4−ジエチルチオキサントン3.6重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(2’)を調製した。
【0024】
粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、基材として片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、気体発生タイプの粘着テープを得た
粘着剤(2’)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2’)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
次いで、粘着剤(2’)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの一方の離型処理が施されたPETフィルムを剥離し、粘着剤(2)層を設けた基材の粘着剤(2)層のない面と貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0025】
<ICチップの製造>
(半導体ウエハとガラス板との貼り合わせ)
両面粘着テープ1の粘着剤(2)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20cm、ポリベンズオキサゾール樹脂がシリコンベアウエハの上に5μmの厚みでコートされた、全体の厚さが約750μmの半導体ウエハに貼り付けた。粘着剤(2’)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に貼り付けた。
【0026】
(研磨工程)
ガラス板で補強された半導体ウエハを研磨装置に取り付け、半導体ウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。研磨装置から半導体ウエハを取り外し、ダイシングテープをシリコンウエハの上に貼り付けた。
【0027】
(UV照射工程)
ガラス板側からメタルハライドランプを用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が60mW/cmとなるよう照度を調節して照射した。目視にて観察したところ、照射開始直後より半導体ウエハ−両面粘着テープ間が剥離し始め(半導体ウエハと両面粘着テープとの間に浮きが生じ始め)、30秒後には全接着面積の30%以上が剥離し、40秒後には均一に約80%剥離した。一方、50秒後には、既に半導体ウエハと両面粘着テープとが剥離した部分を中心に、両面粘着テープ−ガラス板間にガスが発生し、浮きが生じ始め、半導体ウエハ−両面粘着テープ間の浮いていなかった部分が浮いた。紫外線照射は90秒間行った。
【0028】
(ウエハの剥離工程)
半導体ウエハを固定し、ガラス板を真上に引っ張って両面粘着テープとともに半導体ウエハから剥がした。
同様の実験を10回行ったが、全ての回において、問題なく両面粘着テープを半導体ウエハから剥離できた。
【0029】
(比較例1)
(1)両面粘着テープの調製
実施例1で調製した粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、基材として片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なPETフィルム上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、気体発生タイプの粘着テープを得た
実施例1で調製した粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
次いで、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの一方の離型処理が施されたPETフィルムを剥離し、粘着剤(2)層を設けた基材の粘着剤(2)層のない面と貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0030】
<ICチップの製造>
(半導体ウエハとガラス板との貼り合わせ)
両面粘着テープ1の粘着剤(2)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20cm、ポリベンズオキサゾール樹脂がシリコンベアウエハの上に5μmの厚みでコートされた、全体の厚さが約750μmの半導体ウエハに貼り付けた。粘着剤(1)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に貼り付けた。
【0031】
(研磨工程)
ガラス板で補強された半導体ウエハを研磨装置に取り付け、半導体ウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。研磨装置から半導体ウエハを取り外し、ダイシングテープをシリコンウエハの上に貼り付けた。
【0032】
(UV照射工程)
ガラス板側からメタルハライドを用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が60mW/cmとなるよう照度を調節して照射した。目視にて観察したところ、照射開始直後より半導体ウエハ−両面粘着テープ間が剥離し始め(半導体ウエハと両面粘着テープとの間に浮きが生じ始め)、30秒後には全接着面積の30%以上が減少し、40秒後には均一に約80%剥離した。紫外線照射は90秒間行った。
【0033】
(ウエハの剥離工程)
半導体ウエハを固定し、ガラス板を真上に引っ張って両面粘着テープとともに半導体ウエハから剥がした。
同様の実験を10回行ったが、8回においては、半導体ウエハから両面粘着テープを剥離することができなかったり、剥離の際に半導体ウエハが破損したりした。
【0034】
(比較例2)
(1)両面粘着テープの調製
実施例1で調製した粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、基材として片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なPETフィルム上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、気体発生タイプの粘着テープを得た。
実施例1で調製した粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
次いで、粘着剤(2)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの一方の離型処理が施されたPETフィルムを剥離し、粘着剤(2)層を設けた基材の粘着剤(2)層のない面と貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、その表面が離型処理が施されたPETフィルムで保護された両面粘着テープを得た。その後、40℃、3日間静置して養生を行った。
【0035】
<ICチップの製造>
(半導体ウエハとガラス板との貼り合わせ)
両面粘着テープ1の一方の粘着剤(2)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20cm、ポリベンズオキサゾール樹脂がシリコンベアウエハの上に5μmの厚みでコートされた、全体の厚さが約750μmの半導体ウエハに貼り付けた。他方の粘着剤(2)層を保護する離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に貼り付けた。
【0036】
(研磨工程)
ガラス板で補強された半導体ウエハを研磨装置に取り付け、半導体ウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。研磨装置から半導体ウエハを取り外し、ダイシングテープをシリコンウエハの上に貼り付けた。
【0037】
(UV照射工程)
ガラス板側からメタルハライドを用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が60mW/cmとなるよう照度を調節して照射した。目視にて観察したところ、照射開始直後より両面粘着テープ−ガラス板間でガス発生が始まり、続いて半導体ウエハ−両面テープ界面でガスが発生し剥離が始まった(両接着界面に浮きが生じ始めた)。紫外線照射は90秒間行った。
【0038】
(ウエハの剥離工程)
半導体ウエハを固定し、ガラス板を真上に引っ張って両面粘着テープとともに半導体ウエハから剥がした。
同様の実験を10回行ったが、10回において、一部は半導体ウエハ−両面粘着テープから剥離し、一部は両面粘着テープ−ガラス基板で剥離し、半導体ウエハ−両面粘着テープからテープを剥離することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、ポリベンズオキサゾールやバッファーコート等の表面処理によって半導体加工用テープに対する剥離性が良くない材料がコートされた半導体ウエハや半導体チップであっても、半導体ウエハや半導体チップを破損したり、糊残りしたりすることなく、容易かつ確実に剥離することができる粘着テープの剥離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図である。
【図2】第2の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図である。
【図3】第3の態様の本発明の粘着テープの剥離方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 両面粘着テープ
11 基材
12 気体発生剤14の配合量が少ない粘着剤層
13 気体発生剤14の配合量が多い粘着剤層
14 気体発生剤14
2 支持板
2’ 貫通穴の開いた支持板
3 半導体ウエハ
4 両面粘着テープ
41 基材
42 発泡剤を含有しない粘着剤層
43 気体発生剤と熱膨張性カプセルとを含有する粘着剤層
441 紫外線により発泡する発泡剤
442 加熱により発泡する発泡剤
5 両面粘着テープ
51 基材
52 気体発生剤54を含有しない粘着剤層
53 気体発生剤54を含有する粘着剤層
54 気体発生剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープが貼付された半導体ウエハ又は半導体チップから前記粘着テープを剥離する方法であって、
粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を減少させる刺激を与える第1の剥離工程と、粘着テープと半導体ウエハ又は半導体チップとの接着面積を更に減少させる刺激を与える第2の剥離工程とを有し、
前記第2の剥離工程は、前記第1の剥離工程により全接着面積の30%以上が減少した後に行われる
ことを特徴とする粘着テープの剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−250735(P2007−250735A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70765(P2006−70765)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】