説明

糖尿病の治療又は予防のためのジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としてのシクロヘキシルアラニン誘導体

本発明は、新規シクロヘキシルアラニン誘導体を対象とする。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、シクロヘキシルアミン誘導体を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療におけるシクロヘキシルアミン誘導体及び該組成物の使用も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規シクロヘキシルアミン誘導体に関する。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、シクロヘキシルアミン誘導体を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療におけるシクロヘキシルアミン誘導体及び該組成物の使用も対象とする。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の要因から生じる疾患プロセスであり、絶食状態における、又は経口グルコース負荷試験中のグルコース投与後における、高血しょうグルコース濃度又は高血糖を特徴とする。持続的高血糖又は放置されている高血糖は、高い早発罹患率及び死亡率と関連がある。異常なグルコースホメオスタシスは、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、他の代謝病並びに血行力学的疾患と直接的にも間接的にも関連することが多い。したがって、2型真性糖尿病患者は、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含めて、大血管及び微小血管の合併症のリスクが特に高い。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝及び高血圧の治療管理は、真性糖尿病の臨床管理及び治療にきわめて重要である。
【0003】
一般に認められている糖尿病の形態には2つある。1型糖尿病、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど又はまったく産生しない。2型糖尿病、すなわち非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)においては、患者は、非糖尿病性対象と同じか、さらにはそれよりも高い血しょうインスリンレベルを有することが多い。しかし、これらの患者は、主要なインスリン感受性組織である、筋肉、肝臓及び脂肪組織において、グルコース及び脂質代謝に対するインスリン刺激効果に抵抗性を示し、血しょうインスリンレベルが高くても、明白なインスリン抵抗性を克服するには不十分である。
【0004】
インスリン抵抗性は、主としてインスリン受容体の数が減少するためではなく、まだ解明されていないポストインスリン受容体結合の欠陥による。インスリン応答性に対するこの抵抗性によって、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵のインスリンによる活性化が不十分になり、脂肪組織における脂肪分解のインスリンによる抑制が不適当になり、肝臓におけるグルコース産生及び分泌のインスリンによる抑制が不適当になる。
【0005】
2型糖尿病に対して利用可能な治療は、長年実質的に変わっておらず、限界のあることが認識されている。運動及び食餌カロリーの低減によって糖尿病症状は劇的に改善されるが、ほとんど体を動かさない生活様式に浸り、特に飽和脂肪を多量に含む食物を過剰に消費しているために、この治療の遵守率はきわめて低い。すい臓β細胞を刺激してより多量のインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えばトルブタミド及びグリピジド)若しくはメグリチナイドを投与して、及び/又はスルホニル尿素若しくはメグリチナイドが無効になったときにインスリンを注射して、インスリンの血しょう中濃度を上昇させることによって、インスリン抵抗性組織を刺激するのに十分高いインスリン濃度を得ることができる。しかし、インスリン又はインスリン分泌促進物質(スルホニル尿素又はメグリチナイド)の投与によって血しょうグルコースが危険なほど低レベルになる恐れがあり、さらに高い血しょうインスリンレベルのために高レベルのインスリン抵抗性が生じる恐れがある。ビグアナイドはインスリン感受性を増大させ、高血糖をある程度改善する。しかし、2種類のビグアナイド、すなわちフェンホルミンとメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び悪心/下痢を惹起する恐れがある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用が少なく、2型糖尿病の治療に処方されることが多い。
【0006】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の多数の症候を寛解させる可能性があるより新しいクラスの化合物である。これらの薬剤は、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感受性を実質的に増大させ、低血糖を起こさずに高い血しょうグルコース濃度をある程度又は完全に改善する。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、主としてPPAR−ガンマサブタイプの作用物質である。PPAR−ガンマアゴニズムは、一般に、グリタゾンによって認められるインスリン増感を向上させると考えられる。2型糖尿病の治療用に試験されているより新しいPPAR作用物質は、アルファ、ガンマ若しくはデルタサブタイプ又はこれらの組合せの作用物質であり、多くの場合においてグリタゾンとは化学的に異なる(すなわち、これらはチアゾリジンジオンではない)。重大な副作用(例えば、肝臓毒性)がトログリタゾンなどのグリタゾンの一部で発生している。
【0007】
この疾患を治療するさらに別の方法はまだ研究中である。最近導入された、又はまだ開発中の新しい生化学手法としては、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)及びタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を用いた治療などが挙げられる。
【0008】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(「DP−IV」又は「DPP−IV」)酵素の阻害剤である化合物も、糖尿病、特に2型糖尿病の治療に有用となり得る薬物として研究されている。例えば、国際公開第97/40832号、同98/19998号、米国特許第5,939,560号、Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:1163−1166(1996)及びBioorg. Med. Chem. Lett., 6:2745−2748(1996)を参照されたい。2型糖尿病の治療におけるDP−IV阻害剤の有用性は、DP−IVが、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及び胃抑制ペプチド(GIP)をインビボで容易に不活性化することに基づく。GLP−1及びGIPはインクレチンであり、食物が消費されたときに産生される。インクレチンはインスリン産生を刺激する。DP−IVが阻害されるとインクレチンの不活性化が低下し、これは、すい臓がインスリン産生を刺激する際のインクレチンの有効性を高めることになる。したがって、DP−IVを阻害すると血清インスリンレベルが高くなる。インクレチンは、有利なことに、食物が消費されたときにのみ体によって産生されるので、DP−IV阻害は、食間などの不適当なときにインスリンレベルを上昇させて過度の低血糖(低血糖症)をもたらすことはないと予想される。したがって、DP−IVを阻害することによって、インスリン分泌促進物質の使用に伴う危険な副作用である低血糖症のリスクを増大させることなく、インスリンが増加すると予想される。
【0009】
DP−IV阻害剤は、本明細書で考察するように他の治療上の有用性も有する。DP−IV阻害剤は、特に糖尿病以外の有用性についてこれまで大規模に研究されなかった。糖尿病並びに潜在的には他の疾患及び症状の治療に対して改善されたDP−IV阻害剤を見出すことができるように新しい化合物が求められている。2型糖尿病の治療に対するDP−IV阻害剤の治療上の可能性は、Exp. Opin. Invest. Drugs, 12:87−100(2003)中のD.J. Drucker及びExp. Opin. Ther. Patents, 13:499−510(2003)中のK. Augustyns等によって考察されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規シクロヘキシルアラニン誘導体を対象とする。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、シクロヘキシルアミン誘導体を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療におけるシクロヘキシルアミン誘導体及び該組成物の使用も対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害剤として有用であるシクロヘキシルアラニン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式I、又は薬剤として許容されるその塩によって記述される。
【0012】
【化9】

式中、
各nは独立に0、1又は2であり、
m及びpは独立に0又は1であり、
XはCH、S、CHF又はCFであり、
は水素又はシアノであり、
は、
1−10アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され((式中、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
非置換フェニルオキシ、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、CONR、シアノ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)から独立に選択される1個から5個の置換基で置換されたフェニルオキシ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、アリール、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択され((式中、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
は、
水素、
ヒドロキシ、
ハロゲン、
シアノ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、及び
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)
からなる群から選択され、
及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から各々独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成しており(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
は、(CH−ヘテロアリール、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、ヘテロアリール、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されており(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、(CH中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは水素又はRである。
【0013】
本発明の化合物の一実施形態においては、*印の付いた炭素原子は、式Iaの立体配置を有する。
【0014】
【化10】

式中、X、m、p、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0015】
本発明の化合物のこの実施形態の一クラスにおいては、*印の付いた炭素原子、及びRに結合し、**印の付いた炭素原子は、式Ibの立体配置を有する。
【0016】
【化11】

式中、X、m、p、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0017】
本発明の化合物のこの実施形態の第2のクラスにおいては、*印の付いた炭素原子、Rに結合し、**印の付いた炭素原子、及びRに結合し、***印の付いた炭素原子は、式Icの立体配置を有する。
【0018】
【化12】

式中、X、m、p、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0019】
本発明の化合物の第2の実施形態においては、式Idに示すとおり、mは1であり、pは0である。
【0020】
【化13】

式中、X、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0021】
本発明の化合物のこの実施形態の一クラスにおいては、*印の付いた炭素原子、及びRに結合し、**印の付いた炭素原子は、式Ieの立体配置を有する。
【0022】
【化14】

式中、X、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0023】
本発明の化合物のこの実施形態のこのクラスのサブクラスにおいては、*印の付いた炭素原子、Rに結合し、**印の付いた炭素原子、及びRに結合し、***印の付いた炭素原子は、式Ifの立体配置を有する。
【0024】
【化15】

式中、X、R、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0025】
このサブクラスの一サブクラスにおいては、Rは水素であり、Rは水素又はヒドロキシであり、XはCHF又はCFである。
【0026】
本発明の化合物の第4の実施形態においては、Rは、
1−3アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
CH−C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、及び
CONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択される。
【0027】
この実施形態の一クラスにおいては、Rは、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONMe
CONH
CONHMe、
CONHEt、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、及び
[(テトラゾル−5−イル)アミノ]カルボニル
からなる群から選択される。
【0028】
本発明の化合物の第5の実施形態においては、Rは、
非置換フェニルオキシ、又はハロゲン、ヒドロキシ、CONR、シアノ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)から独立に選択される1個から5個の置換基で置換されたフェニルオキシ、
NR
CONR
OCONR
NRSO
NRCONR
NRCOR
NRCO
(CH−COOC1−6アルキル、
アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されており(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
、R、R及びRは本明細書に定義するとおりである。
【0029】
この実施形態の一クラスにおいては、Rは、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONMe
CONH
CONHMe、
CONHEt、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、及び
[(テトラゾル−5−イル)アミノ]カルボニル
からなる群から選択される。
【0030】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤として有用である本発明の化合物のこの実施形態の、説明のための非限定的な例は、以下の化合物、又は薬剤として許容されるその塩である。
【0031】
【化16】



本明細書では以下の定義を適用することができる。
【0032】
「アルキル」及びアルコキシ、アルカノイルなどの接頭語「アルク(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を特に定義しない限り、線状でも分枝状でもよい炭素鎖及びその炭素鎖の組合せを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。指定炭素原子数が例えばC3−10である場合には、アルキルという用語は、シクロアルキル基、及びシクロアルキル構造と結合した線状又は分枝アルキル鎖の組合せも含む。炭素原子数を指定しないときには、C1−6とする。
【0033】
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、他に断らない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、他に定義しない限り、飽和である。
【0034】
「アルコキシ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−10アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]の直鎖又は分枝鎖アルコキシドを指す。
【0035】
「アルキルチオ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルフィドを指す。
【0036】
「アルキルアミノ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルアミンを指す。
【0037】
「アルキルスルホニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホンを指す。
【0038】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル]の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖エステルを指す。
【0039】
「アリール」とは、炭素環原子を含む単環又は多環式芳香族環構造を意味する。好ましいアリールは6から10員の単環式又は二環式芳香族環構造である。フェニル及びナフチルは好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0040】
「複素環」及び「ヘテロシクリル」とは、(さらに硫黄の酸化型、すなわちSO及びSOを含めて)O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和非芳香族環又は環構造を意味する。複素環の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、ピロリジノン、オキサゾリジン−2−オン、イミダゾリジン−2−オン、ピリドンなどが挙げられる。
【0041】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールは、アリール、シクロアルキル、非芳香族複素環などの他の環に縮合したヘテロアリールも含む。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンズオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリルなどが挙げられる。ヘテロシクリル基及びヘテロアリール基の場合には、1から3環を形成する3から15原子を含む環及び環構造が含まれる。
【0042】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。塩素及びフッ素が一般に好ましい。アルキル基又はアルコキシ基上でハロゲンで置換するときにはフッ素が最も好ましい(例えばCFO及びCFCHO)。
【0043】
本発明の化合物は1個以上の不斉中心を含み、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。特に本発明の化合物は、式Ia、Ib、Ic、Ie及びIf中の*印の付いた不斉炭素原子、式Ib、Ic、Ie及びIf中の*印及び**印の付いた不斉炭素原子並びに式Ic及びIf中の*印、**印及び***印の付いた不斉炭素原子に不斉中心を有する。さらに別の不斉中心が、分子上のさまざまな置換基の性質に応じて存在することができる。かかる各不斉中心は、2種類の光学異性体を独立に生じ、混合物として、また、純粋な化合物又はある程度精製された化合物として、考えられる光学異性体及びジアステレオマーのすべてが本発明の範囲内にあるものとする。本発明は、これらの化合物のかかる異性体のすべてを包含するものとする。特に、本発明の化合物は、1,4−二置換シクロヘキサン環構造を含む。本発明は、ラセミ体及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及びその個々のジアステレオマーを含めて、シス−1,4−とトランス−1,4−二置換シクロヘキサン幾何異性体の両方を包含するものとする。本発明の化合物の一実施形態においては、式I中の1,4−二置換シクロヘキサン環はトランス−1,4立体配置を有する。
【0044】
本明細書に記載する化合物の一部はオレフィン二重結合を含み、別段の指定がないかぎり、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0045】
本明細書に記載する化合物の一部は、1個以上の二重結合の移行を伴う異なる水素結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトンとそのエノール形はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は本発明の化合物に包含される。式Iは、好ましい立体配置のない化合物クラスの構造である。
【0046】
式Iaは、これらの化合物が調製されるアルファ−アミノ酸のアミノ基が結合した不斉炭素原子における好ましい立体配置である。式Ibは、アルファ−アミノ酸のアミノ基が結合した不斉炭素原子における、また、R置換基が結合した不斉炭素原子における、好ましい立体配置である。式Icは、アルファ−アミノ酸のアミノ基が結合した不斉炭素原子における、R置換基が結合した不斉炭素原子における、また、R置換基が結合した不斉炭素原子における、好ましい立体配置である。
【0047】
これらのジアステレオマー又はそのクロマトグラフィー分離物は、当分野で知られているように、本明細書に開示する方法を適切に改変することによって個別に合成することができる。それらの絶対立体配置は、絶対配置が知られている不斉中心を含む試薬を必要に応じて用いて誘導体化された結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。
【0048】
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々の鏡像異性体を単離することができる。この分離は、当分野で周知の方法によって実施することができる。例えば、化合物のラセミ混合物を、鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別結晶、クロマトグラフィーなどの標準方法によって個々のジアステレオマーに分離することができる。カップリング反応は、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成であることが多い。次いで、ジアステレオマー誘導体は、付加した鏡像異性残基を切断することによって純粋な鏡像異性体に転化することができる。これらの化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用したクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。これらの方法は当分野で周知である。
【0049】
或いは、化合物の任意の鏡像異性体は、立体配置が既知である光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いて、当分野で周知の方法による立体選択的合成によって得ることができる。
【0050】
本明細書では構造式Iの化合物という表記は、薬剤として許容される塩も含み、遊離化合物の前駆体若しくは薬剤として許容されるそれらの塩として使用されるときには、又は他の合成操作においては、薬剤として許容されない塩も含むものとすることを理解されたい。
【0051】
本発明の化合物は、薬剤として許容される塩の形で投与することができる。「薬剤として許容される塩」という用語は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。「薬剤として許容される塩」という用語に包含される塩基化合物の塩とは、その遊離塩基を適切な有機酸又は無機酸と反応させることによって一般に調製される本発明の化合物の無毒の塩を指す。本発明の塩基化合物の代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩などが挙げられるが、これらだけに限定されない。また、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、薬剤として許容されるその適切な塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含めた無機塩基から誘導される塩などが挙げられるが、これらだけに限定されない。特に好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。
【0052】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、メチル、エチル、ピバロイルオキシメチルなどのカルボン酸誘導体又は酢酸エステル、マレイン酸エステルなどアルコールのアシル誘導体の薬剤として許容されるエステルを使用することができる。徐放性製剤又はプロドラッグ製剤として使用するために溶解性又は加水分解特性を改変する当分野で公知のエステル基及びアシル基が含まれる。
【0053】
溶媒和化合物、特に、構造式Iの化合物の水和物も本発明に含まれる。
【0054】
本発明は、実施例及び本明細書に開示する化合物を使用することによって例示される。
【0055】
本化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害を必要とする哺乳動物などの患者において、本化合物の有効量を投与することを含む、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害方法に有用である。本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤として本明細書に開示する化合物の使用を対象とする。
【0056】
ヒトなどの霊長類に加えて、さまざまな他の哺乳動物を本発明の方法によって治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類若しくはネズミ種を含めて、ただしこれらだけに限定されない哺乳動物を治療することができる。しかし、本方法は、鳥類(例えば、ヒヨコ)などの他の種においても実施することができる。
【0057】
本発明は、さらに、本発明の化合物と薬剤として許容される担体又は希釈剤とを組み合わせることを含む、ヒト及び動物におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害する医薬品を製造する方法も対象とする。より具体的には、本発明は、哺乳動物において高血糖、2型糖尿病、肥満及び脂質障害からなる群から選択される症状の治療に使用する医薬品の製造における構造式Iの化合物の使用を対象とする。前記脂質障害は、異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される。
【0058】
本方法における治療対象は、一般に、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害が求められるオス又はメスの哺乳動物、好ましくはヒトである。「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する本化合物の量を意味する。
【0059】
本明細書では「組成物」という用語は、指定成分を指定量で含む生成物及び各指定成分を指定量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。薬剤組成物に関係するかかる用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分とを含む生成物並びに任意の2種類以上の成分の組合せ、複合若しくは集合から、又は1種類以上の成分の解離から、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的若しくは間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。したがって、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物と薬剤として許容される担体とを混合することによって調製される任意の組成物を包含する。「薬剤として許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合性があり、かつそのレシピエントに無害でなければならないことを意味する。
【0060】
化合物の「投与」及び又は化合物を「投与すること」という用語は、治療を必要とする個体に本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを投与することを意味すると理解すべきである。
【0061】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての本発明による化合物の有用性は、当分野で公知の方法によって証明することができる。阻害定数は次のようにして求められる。DP−IVによって切断されて蛍光性AMC脱離基を放出する基質Gly−Pro−AMCを用いた連続蛍光定量アッセイを使用する。この反応を記述する動力学的パラメータは、K=50μM、kcat=75s−1、kcat/K=1.5×10−1−1である。典型的な反応は、全反応体積100μl中に酵素約50pM、Gly−Pro−AMC 50μM及び緩衝剤(100mM HEPES、pH7.5、0.1mg/ml BSA)を含む。AMCの遊離を96ウェルプレート蛍光光度計によって励起波長360nm及び発光波長460nmで連続してモニターする。これらの条件下ではAMC約0.8μMが25℃30分で生成する。これらの試験に使用した酵素は、バキュロウイルス発現系(Bac−To−Bac、Gibco BRL)において産生される(膜貫通領域及び細胞質拡張部分が除外された)可溶性ヒトタンパク質であった。Gly−Pro−AMC及びGLP−1の加水分解速度定数は未変性の酵素の文献値と一致することが判明した。化合物の解離定数を測定するために、阻害剤のDMSO溶液を酵素と基質を含む反応物に添加した(最終DMSO濃度は1%である。)。すべての実験を、上記標準反応条件を用いて室温で実施した。解離定数(K)を求めるために、競合阻害に対するミカエリス−メンテンの式に非線形回帰することによって反応速度を当てはめた。解離定数の再現誤差は一般に2倍未満である。
【0062】
特に、以下の実施例の化合物は、上述のアッセイにおいてジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害する活性を有し、IC50は一般に約1μM未満であった。かかる結果は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤として使用される本化合物の固有の活性を示している。
【0063】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素(DP−IV)は、広範囲の生物学的機能に関係する細胞表面タンパク質である。これは、広い組織分布(腸、腎臓、肝臓、すい臓、胎盤、胸腺、ひ臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ様及び骨髄細胞、血清)を有し、異なる組織及び細胞タイプ発現レベルを有する。DP−IVはT細胞活性化マーカーCD26と同一であり、いくつかの免疫調節性ペプチド、内分泌ペプチド及び神経ペプチドをインビトロで切断することができる。これは、ヒト又は他の種におけるさまざまな疾患プロセスにおけるこのペプチダーゼの潜在的役割を示唆している。
【0064】
したがって、本化合物は以下の疾患、障害及び症状の予防又は治療方法において有用である。
【0065】
II型糖尿病及び関連障害:インクレチンGLP−1及びGIPがDP−IVによってインビボで急速に不活性化されることは十分に証明されている。DP−IV(−/−)欠損マウスを用いた研究及び予備臨床試験によれば、DP−IV阻害によってGLP−1及びGIPの定常状態濃度が増加し、耐糖能が改善する。GLP−1及びGIPとの類似性から、グルコース調節に関与する他のグルカゴンファミリーペプチド(例えば、PACAP)もDP−IVによって不活性化される可能性がある。DP−IVによるこれらのペプチドの不活性化は、グルコースホメオスタシスにおいてもある役割を果たし得る。したがって、本発明のDP−IV阻害剤は、2型糖尿病の治療並びに(代謝症候群としても知られる)X症候群、反応性低血糖及び糖尿病性異脂肪血症を含めて2型糖尿病を伴うことが多い多数の症状の治療及び予防に有用である。以下に考察する肥満は、本発明の化合物による治療に応答し得る2型糖尿病に付随して見られることが多い別の症状である。
【0066】
以下の疾患、障害及び症状は2型糖尿病に関係し、したがって本発明の化合物を用いた治療によって治療し、管理し、又はある場合には予防することができる:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)すい炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)並びにインスリン抵抗性が一要素である他の障害。代謝症候群としても知られるX症候群においては、肥満は、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、高血圧及び高い心血管リスクを増進すると考えられる。したがって、DP−IV阻害剤は、この症状に付随する高血圧の治療にも有用であり得る。
【0067】
肥満:DP−IV阻害剤は肥満の治療に有用であり得る。これは、食物摂取及び胃内容排出に対して認められたGLP−1及びGLP−2の抑制効果に基づいている。ヒトにおけるGLP−1の外部からの投与は、食物摂取をかなり減少させ、胃内容排出を遅延させる(Am. J. Physiol., 277:R910−R916(1999))。ラット及びマウスにおけるGLP−1のICV投与も食物摂取に対して大きな効果がある(Nature Medicine, 2:1254−1258(1996))。この摂食阻害はGLP−1R(−/−)マウスでは認められない。これは、これらの効果が脳GLP−1受容体によって媒介されることを示唆している。GLP−1との類似性から、GLP−2もDP−IVによって調節される可能性がある。GLP−2のICV投与も、GLP−1で認められた効果と同様に食物摂取を阻害する(Nature Medicine, 6:802−807(2000))。また、DP−IV欠損マウスを用いた研究によれば、これらの動物は食餌誘発性肥満及び関連病理(例えば、高インスリン血症)に抵抗性がある。
【0068】
成長ホルモン欠乏症:DP−IV阻害は、下垂体前葉からの成長ホルモン放出を刺激するペプチドである成長ホルモン放出因子(GRF)がDP−IV酵素によってインビボで切断されるという仮説に基づいて、成長ホルモン欠乏症の治療に有用であり得る(国際公開第00/56297号)。以下のデータは、GRFが内因性基質である証拠を提供する。(1)GRFはインビトロで効率的に切断されて不活性生成物GRF[3−44]を生成する(BBA 1122:147−153(1992))。(2)GRFは血しょう中でGRF[3−44]に急速に分解される。これはDP−IV阻害剤diprotin Aによって防止される。(3)GRF[3−44]はヒトGRFトランスジェニックブタの血しょう中に存在する(J. Clin. Invest., 83:1533−1540(1989))。したがって、DP−IV阻害剤は、成長ホルモン分泌促進物質に対して考えられる同じ範囲の適応症に有用であり得る。
【0069】
腸の傷害:腸の傷害の治療にDP−IV阻害剤を使用できる可能性は、DP−IVの内因性基質候補であるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸管上皮に対して栄養効果を発揮し得ることを示した研究結果から示唆される(Regulatory Peptides, 90:27−32(2000))。GLP−2の投与は、げっ歯類において小腸を大きくし、結腸炎及び腸炎のげっ歯類モデルにおいて腸の傷害を軽減する。
【0070】
免疫抑制:DP−IV阻害は、DP−IV酵素をT細胞活性化及びケモカインプロセシングに関係付ける研究並びにDP−IV阻害剤の効力を疾患のインビボモデルに関係付ける研究に基づいて、免疫応答の調節に有用であり得る。DP−IVは、活性化された免疫細胞の細胞表面マーカーであるCD26と同一であることが判明した。CD26の発現は、免疫細胞の分化及び活性化状態によって調節される。CD26はT細胞活性化のインビトロモデルにおいて同時刺激分子として機能することが一般に受け入れられている。いくつかのケモカインは、非特異的アミノペプチダーゼによる分解からそれらをおそらく保護するために最後から2番目の位置にプロリンを含む。これらの多くはDP−IVによってインビトロで処理されることが判明している。いくつかの場合(RANTES、LD78−ベータ、MDC、エオタキシン、SDF−1アルファ)においては、切断は、化学走性及びシグナル伝達アッセイにおける活性を変化させる。受容体選択性も一部の場合(RANTES)において変わると考えられる。DP−IV加水分解の予測産物を含めていくつかのケモカインの複数のN末端切断型がインビトロでの細胞培養系において特定された。
【0071】
DP−IV阻害剤は、移植及び関節炎の動物モデルにおいて効果的な免疫抑制薬であることが判明した。DP−IVの不可逆的阻害剤であるプロジピン(Pro−Pro−ジフェニル−ホスホナート)は、ラットにおいて7日から14日の心臓同種移植片生着を倍加することが判明した(Transplantation, 63:1495−1500(1997))。DP−IV阻害剤はラットにおけるコラーゲン及びアルキルジアミン誘発性関節炎において試験され、このモデルにおいて後足の膨潤の統計的に有意な低下を示した[Int. J. Immunopharmacology, 19:15−24(1997)及びImmunopharmacology, 40:21−26(1998)]。DP−IVは、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、グレーブス病及び橋本甲状腺腫を含めていくつかの自己免疫疾患において増加する(Immunology Today, 20:367−375(1999))。
【0072】
HIV感染症:DP−IV阻害は、HIV細胞の侵入を阻止するいくつかのケモカインがDP−IVの基質候補であるので(Immunology Today 20:367−375(1999))、HIV感染症又はAIDSの治療又は予防に有用であり得る。SDF−1アルファの場合には、切断は抗ウイルス活性を減少させる(PNAS, 95:6331−6(1998))。したがって、DP−IV阻害によるSDF−1アルファの安定化によってHIV感染力が減少すると予想される。
【0073】
血球新生:DP−IV阻害は、血球新生に関与し得るので、血球新生の治療又は予防に有用であり得る。DP−IV阻害剤Val−Boro−Proは、シクロホスファミド誘発性好中球減少症のマウスモデルにおいて血球新生を刺激した(国際公開第99/56753号)。
【0074】
ニューロン障害:DP−IV阻害は、さまざまなニューロンプロセスに関係するいくつかのペプチドがDP−IVによってインビトロで切断されるので、さまざまなニューロン障害又は精神障害の治療又は予防に有用であり得る。したがって、DP−IV阻害剤は、ニューロン障害の治療において治療上の利点を有し得る。エンドモルフィン−2、ベータ−カゾモルフィン及びサブスタンスPはすべてDP−IVのインビトロでの基質であることが判明した。いずれの場合においても、インビトロ切断は効率が高く、kcat/Kは約10−1−1以上である。ラットにおける鎮痛の電撃ジャンプ試験モデルにおいて、DP−IV阻害剤は、外因性エンドモルフィン−2の存在とは無関係に有意な効果を示した(Brain Research, 815:278−286(1999))。DP−IV阻害剤の神経保護効果及び神経再生効果は、この阻害剤が運動ニューロンを興奮毒性細胞死から保護することができ、MPTPと同時に投与したときにドーパミン作動性ニューロンの線条体神経支配を保護することができ、MPTP治療後に治療投与したときに線条体神経支配密度の回復を促進できることでも証明された[Yong−Q. Wu, et al., “Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl Peptidase−IV In Vitro and In Vivo,” Int. Conf. On Dipeptidyl Aminopeptidases: Basic Science and Clinical Applications, September 26−29,2002(Berlin, Germany)参照]。
【0075】
不安:生来DP−IVを欠くラットは抗不安表現型を有する(国際公開第02/34243号;Karl et al., Physiol. Behav. 2003)。DP−IV欠損マウスもporsolt及び明/暗モデルを用いて抗不安表現型を有する。したがって、DP−IV阻害剤は、不安及び関連障害を治療するのに有用であると証明することができる。
【0076】
記憶及び認知:GLP−1作用物質は、During等(Nature Med. 9: 1173−1179(2003))によって実証されたとおり、学習(受動的回避、モリス水迷路)及びニューロン傷害(カイニン酸誘発性ニューロンアポトーシス)の各モデルにおいて有効である。これらの結果は、学習及び神経保護におけるGLP−1の生理学的役割を示唆している。DP−IV阻害剤によるGLP−1の安定化は類似の効果を示すと予想される。
【0077】
腫よう浸潤及び転移:DP−IV阻害は、DP−IVを含めていくつかのエクトペプチダーゼ(ectopeptidase)の発現の増加又は減少が正常細胞から悪性表現型への転換中に認められたので(J. Exp. Med., 190: 301−305(1999))、腫よう浸潤及び転移の治療又は予防に有用であり得る。これらのタンパク質の上方制御又は下方制御は、組織及び細胞タイプに特異的であると考えられる。例えば、CD26/DP−IV発現の増加がT細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、細胞由来甲状腺癌、基底細胞癌及び乳癌で認められた。したがって、DP−IV阻害剤はかかる癌腫の治療に有用であり得る。
【0078】
良性前立腺肥大症:DP−IV阻害は、BPH患者の前立腺組織においてDP−IV活性の増加が認められるので(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 30:333−338(1992))、良性前立腺肥大症の治療に有用であり得る。
【0079】
精子の運動性/オスの避妊:DP−IV阻害は、精液においては精子の運動性に重要な前立腺由来の細胞小器官である前立腺体(prostatosome)がきわめて高いレベルのDP−IV活性を有するので(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 30:333−338(1992))、精子の変化する運動性及びオスの避妊に有用であり得る。
【0080】
歯肉炎:DP−IV阻害は、DP−IV活性が歯肉溝液において見られ、一部の研究では歯周病の重症度と相関するので(Arch. Oral Biol., 37: 167−173(1992))、歯肉炎の治療に有用であり得る。
【0081】
骨粗しょう症:DP−IV阻害は、GIP受容体が骨芽細胞中に存在するので、骨粗しょう症の治療又は予防に有用であり得る。
【0082】
本発明の化合物は、以下の症状又は疾患の1つ以上の治療又は予防に有用である:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)すい炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、(25)2型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏、(27)好中球減少、(28)ニューロン障害、(29)腫よう転移、(30)良性前立腺肥大症、(32)歯肉炎、(33)高血圧、(34)骨粗しょう症並びにDP−IV阻害によって治療又は予防することができる他の症状。
【0083】
本化合物は、さらに、他の薬剤と組み合わせて、上記疾患、障害及び症状の予防又は治療方法に有用である。
【0084】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬物が有用になり得る疾患又は症状の治療、予防、抑制又は寛解に1種類以上の他の薬物と併用することができる。薬物の併用は、各薬物単体よりも安全又は有効である。かかる他の薬物は、そのために一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、かかる他の薬物と式Iの化合物とを含む単位剤形の薬剤組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物と1種類以上の他の薬物とを異なる重複スケジュールで投与する療法も含むことができる。また、1種類以上の他の活性成分と併用するときには、本発明の化合物と他の活性成分とを各々を単体で使用するときよりも低用量で使用することができると考えられる。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含む薬剤組成物を含む。
【0085】
構造式Iの化合物と併用して投与することができ、別個に投与することも、同じ薬剤組成物として投与することもできる他の活性成分の例は、
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(b)(i)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)などのPPARγ作用物質並びにKRP−297、ムラグリタザールなどのPPARα/γ二重作用物質及びフェノフィブリック酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)などのPPARα作用物質を含めた他のPPARリガンド、(ii)メトホルミン、フェンホルミンなどのビグアナイド及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を含めたインスリン増感剤、
(c)インスリン又はインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びナテグリニド、レパグリニドなどのメグリチナイドなどの他のインスリン分泌促進物質、
(e)(アカルボース、ミグリトールなどの)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)国際公開第98/04528号、同99/01423号、同00/39088号及び同00/69810号に開示されたものなどのグルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、エキセンディン4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、国際公開第00/42026号及び同00/59887号に開示されたものなどのGLP−1模倣物及びGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、国際公開第00/58360号に開示されたものなどのGIP模倣物及びGIP受容体作用物質、
(i)国際公開第01/23420号に開示されたものなどのPACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリック酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)などのPPARα作用物質、(v)KRP−297、ムラグリタザールなどのPPARα/γ二重作用物質、(vi)ベータ−シトステロール、エゼチマイブなどのコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミベ(avasimibe)などのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、(viii)プロブコールなどの抗酸化剤などのコレステロール降下剤、
(k)国際公開第97/28149号に開示されたものなどのPPARδ作用物質、
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はY拮抗物質、CB1受容体逆作用物質及び拮抗物質、β3アドレナリン受容体作用物質、メラノコルチン受容体作用物質、特にメラノコルチン−4受容体作用物質、グレリン拮抗物質、(ボンベシン受容体サブタイプ−3作用物質などの)ボンベシン受容体作用物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などの抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)アスピリン、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アザルフィジン、選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤などの炎症用薬剤、
(o)ACE阻害薬(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル(tandolapril))、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬などの血圧降下剤、
(p)グルコキナーゼ活性化物質(GKA)、
(q)グルカゴン受容体拮抗物質、
(r)11β−水酸化ステロイドデヒドロゲナーゼ1型の阻害剤、及び
(s)トルセトラピブなどのコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤
などであるが、これらだけに限定されない。
【0086】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としては、国際公開第02/076450号(2002年10月3日)、国際公開第03/004498号(2003年1月16日)、国際公開第03/004496号(2003年1月16日)、欧州特許第1 258 476号(2002年11月20日)、国際公開第02/083128号(2002年10月24日)、国際公開第02/062764号(2002年8月15日)、国際公開第03/000250号(2003年1月3日)、国際公開第03/002530号(2003年1月9日)、国際公開第03/002531号(2003年1月9日)、国際公開第03/002553号(2003年1月9日)、国際公開第03/002593号(2003年1月9日)、国際公開第03/000180号(2003年1月3日)、国際公開第03/082817号(2003年10月9日)及び国際公開第03/000181号(2003年1月3日)に開示された阻害剤が挙げられる。具体的なDP−IV阻害剤化合物としては、イソロイシンチアゾリジド(isoleucine thiazolidide)(P32/98)、NVP−DPP728、LAF 237などが挙げられる。
【0087】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物としては、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はY拮抗物質、カンナビノイドCB1受容体拮抗物質又は逆作用物質、メラノコルチン受容体作用物質、特に、メラノコルチン−4受容体作用物質、グレリン拮抗物質、ボンベシン受容体作用物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などが挙げられる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の総説については、S. Chaki et al., “Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,” Expert Opin. Ther. Patents, 11: 1677−1692(2001)、D. Spanswick and K. Lee, “Emerging antiobesity drugs,” Expert Opin. Emerging Drugs, 8: 217−237(2003)及びJ.A. Fernandez−Lopez, et al., “Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,” Drugs, 62: 915−944(2002)を参照されたい。
【0088】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5拮抗物質としては、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及び国際公開第01/14376号(2001年3月1日)に開示された物質、GW 59884A、GW 569180A、LY366377及びCGP−71683Aとして識別される具体的化合物などが挙げられる。
【0089】
式Iの化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1受容体拮抗物質としては、国際公開第03/007887号、リモナバントなどの米国特許第5,624,941号、SLV−319などの国際公開第02/076949号、米国特許第6,028,084号、国際公開第98/41519号、国際公開第00/10968号、国際公開第99/02499号、米国特許第5,532,237号及び米国特許第5,292,736号に開示された物質などが挙げられる。
【0090】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体作用物質としては、国際公開第03/009847号(2003年2月6日)、国際公開第02/068388号(2002年9月6日)、国際公開第99/64002号(1999年12月16日)、国際公開第00/74679号(2000年12月14日)、国際公開第01/70708号(2001年9月27日)及び国際公開第01/70337号(2001年9月27日)に開示された物質、J.D. Speake et al., “Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists,” Expert Opin. Ther. Patents, 12:1631−1638(2002)に開示された物質などが挙げられる。
【0091】
糖尿病治療用グルコキナーゼ(GKA)の安全で有効な活性化物質の潜在的有用性は、J. Grimsby et al., “Allosteric Activators of Glucokinase: Potential Role in Diabetes Therapy,” Science, 301: 370−373(2003)に考察されている。
【0092】
本発明の化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、本発明の化合物に加えてかかる他の薬物を含む薬剤組成物が好ましい。したがって、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物に加えて1種類以上の他の活性成分も含む薬剤組成物を含む。
【0093】
本発明の化合物と第2の活性成分との重量比は変動し得るものであり、各成分の有効量によって決まる。一般には、各々の有効量を使用する。したがって、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と組み合わせるときには、本発明の化合物と他の薬剤の重量比は、一般に約1000:1から約1:1000であり、好ましくは約200:1から約1:200である。本発明の化合物と他の活性成分との組合せも一般に上記範囲内にあるが、各場合において各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0094】
かかる組合せにおいては、本発明の化合物と他の活性薬剤を別々に又は一緒に投与することができる。また、1個の要素の投与は、他の薬剤の投与前、投与と同時、投与後とすることができる。
【0095】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射又は移植片)、吸入噴霧、経鼻、経膣、経直腸、舌下又は局所的投与経路で投与することができ、各投与経路に適切な、薬剤として許容される従来の無毒の担体、アジュバント及びビヒクルを含む適切な単位用量製剤中に単独で又は一緒に処方することができる。本発明の化合物は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えてヒトにおける使用に有効である。
【0096】
本発明の化合物を投与するための薬剤組成物は、好都合には単位用量の形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。すべての方法は、1種類以上の副成分を構成する担体と活性成分を会合させる段階を含む。一般に、これらの薬剤組成物は、液体担体、微粉担体又はその両方と活性成分を均一かつ十分に会合させ、次いで、必要に応じて、その生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。薬剤組成物においては、活性な目的化合物は、疾患プロセス又は症状に所望の効果をもたらすのに十分な量で含まれる。本明細書では「組成物」という用語は、指定成分を指定量で含む生成物及び各指定成分を指定量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0097】
活性成分を含む薬剤組成物は、経口用途、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性若しくは油性懸濁液剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤に適切な剤形とすることができる。経口用組成物は薬剤組成物製造分野で公知の任意の方法によって調製することができ、かかる組成物は、薬剤的に優れた口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種類以上の薬剤を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適切である、薬剤として許容される無毒の賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとすることができる。錠剤は被覆されていなくてもよく、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長時間の持続作用をもたらす公知の技術によって被覆することもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を使用することができる。これらは、米国特許第4,256,108号、同4,166,452号及び同4,265,874号に記載の技術によって被覆して、放出を制御する浸透圧治療錠剤(osmotic therapeutic tablet)を形成することもできる。
【0098】
経口製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤又は活性成分が水若しくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤とすることができる。
【0099】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の製造に適切な賦形剤と混合された活性材料を含む。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然リン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキサイドと脂肪酸の縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートなど脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、又は脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。水性懸濁液剤は、1種類以上の防腐剤、例えば、エチル又はn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤及びスクロース、サッカリンなどの1種類以上の甘味剤を含むこともできる。
【0100】
油性懸濁液剤は、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油又は流動パラフィンなどの鉱物油中に活性成分を懸濁させることによって調剤することができる。油性懸濁液剤は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含むことができる。上述したものなどの甘味剤、及び香味剤は、口当たりの良い経口製剤を提供するために添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0101】
水を添加することによって水性懸濁液剤を調製するのに適切な分散性散剤及び顆粒剤によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種類以上の防腐剤と混合された活性成分が提供される。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上述のものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤が存在してもよい。
【0102】
本発明の薬剤組成物は水中油型乳剤の形とすることもできる。油層は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、鉱物油、例えば流動パラフィン又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴム、天然リン脂質、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。乳剤は甘味剤及び香味剤を含むこともできる。
【0103】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと一緒に処方することができる。かかる製剤は、粘滑薬、防腐剤、香味剤及び着色剤を含むこともできる。
【0104】
薬剤組成物は、無菌注射用水性又は油脂性懸濁液剤の形とすることができる。この懸濁液剤は、上述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の技術によって処方することができる。無菌注射用製剤は、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒、例えば1,3−ブタンジオール溶液の無菌注射液又は懸濁液とすることもできる。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。また、従来、無菌不揮発性油が溶媒又は分散媒体として使用されている。このため、合成モノ又はジグリセリドを含めてあらゆる無刺激性不揮発性油を使用することができる。また、オレイン酸などの脂肪酸も注射用製剤に使用される。
【0105】
本発明の化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形で投与することもできる。常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって、これらの組成物を調製することができる。かかる物質はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0106】
局所に使用する場合は、本発明の化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、液剤、懸濁液剤などが使用される。(本願では局所適用は洗口及びうがいを含むものとする。)。
【0107】
本発明の薬剤組成物及び方法は、さらに、上述の病的症状の治療に通常適用される、本明細書に記載の他の治療上活性な化合物を含むことができる。
【0108】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害を必要とする症状の治療又は予防においては、適切な投与量レベルは、一般に、約0.01から500mg/kg患者体重/日であり、これを単一又は複数回投与することができる。投与量レベルは、好ましくは約0.1から約250mg/kg/日、より好ましくは約0.5から約100mg/kg/日である。適切な投与量レベルは、約0.01から250mg/kg/日、約0.05から100mg/kg/日又は約0.1から50mg/kg/日とすることができる。この範囲内で投与量を0.05から0.5、0.5から5又は5から50mg/kg/日とすることができる。経口投与の場合には、本組成物は、治療すべき患者に対する投与量の症候性調節のために、活性成分の1.0から1000mg、特に活性成分の1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgを含む錠剤の形で好ましくは提供される。本化合物は毎日1回から4回、好ましくは毎日1回又は2回の投与計画で投与することができる。
【0109】
真性糖尿病及び/又は高血糖又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物が指定される他の疾患を治療又は予防するときには、本発明の化合物を約0.1mgから約100mg/キログラム動物体重の1日用量、好ましくは単回の1日量、又は1日2回から6回の分割用量、又は徐放製剤で投与するときに一般に満足のいく結果が得られる。ほとんどの大型哺乳動物の場合、全1日量は約1.0mgから約1000mg、好ましくは約1mgから約50mgである。70kgの成人の場合には全1日量は一般に約7mgから約350mgである。この投与計画は、最適な治療応答を得るために調節することができる。
【0110】
しかし、任意の特定の患者に対する具体的用量レベル及び投与頻度は変わることがあり、使用する具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食餌、投与形式及び時間、排出速度、薬物組合せ、特定の症状の重篤度並びに治療を受ける患者を含めてさまざまな要因に応じて決まることを理解されたい。
【0111】
本発明の化合物を調製する合成方法を以下のスキーム及び実施例に示す。出発材料は、市販されており、又は当分野で公知の手順に従って、又は本明細書に示すように調製する。
【0112】
本発明の化合物は、式IIの中間体などのアルファ−アミノ酸中間体と式IIIの中間体などの置換複素環式中間体とから標準ペプチドカップリング条件を用いて調製することができる。次いで、このカップリングに続いて、さらに、中間体を改変し、フェニル環をシクロヘキシル環に還元し、脱保護して一般式Iの化合物を得ることができる。これらの中間体の調製を以下のスキームに示す。式中、m、p、X、R、R及びRは上記のとおりである。続いて、R又は他の置換基を導入することができる。Pはtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などの適切な窒素保護基である。
【0113】
【化17】

【0114】
【化18】

【0115】
式IIの中間体は文献公知であり、又は当業者に周知のさまざまな方法によって好都合に調製することができる。1つの好都合な経路をスキーム1に示す。式1のケイ皮酸は、市販されており、文献公知であり、又は当業者に周知のさまざまな方法によって好都合に調製することができる。例えば、塩化オキサリルで処理することによってその酸塩化物として、又は塩化ピバロイルとの反応によって混合無水物として、酸を活性化し、続いてリチウムオキサゾリジノン2で処理するとアシルオキサゾリジノン3が得られる。銅触媒を用いて適切なグリニャール試薬4を付加すると所望の中間体5が得られる。アルファ−アジド部分を2つの好都合な方法のうちの1つによって導入することができる。まず、ボロントリフラートとトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基とを用いた処理によってアシルオキサゾリジノン5から生成するボロンエノラートを、N−ブロモスクシンイミドとの反応によって臭素化する。生成した臭化物を、例えばテトラメチルグアニジニウムアジド(TMGA)を用いた処理によってアジドで置換してアジド6を得る。或いは、例えばカリウムヘキサメチルジシラジドを用いて生成するアシルオキサゾリジノン5のカリウムエノラートは、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアジド(トリシルアジド)と反応してアジド6を直接生成することができる。このアジドをトリフェニルホスフィンで処理して還元し、生成するアミンを適切な基で、例えばジ−tert−ブチルジカルボナートで処理してそのN−tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)誘導体として、保護する。このオキサゾリジノンを、好都合にはリチウムヒドロペルオキシドを用いた処理によって、加水分解して所望の酸中間体IIを得る。当業者には容易にわかるとおり、酸IIの4個のジアステレオマーは、オキサゾリジノン2の(R)又は(S)鏡像異性体を適切に選択し、アシルオキサゾリジノン5をアジド6に転化する適切な方法を使用することによって、この経路から鏡像異性的に純粋な形で得ることができる。
【0116】
【化19】

【0117】
が、置換されていてもよいビニル基であり、Rと保護されたアミンがアンチである中間体IIを調製する別の方法をスキーム2に示す。ケイ皮酸1をN,O−ジメチルヒドロキシルアミンとEDC介在下でカップリングさせ、続いて適切なグリニャール試薬7で処理してケトン8を得ることができる。アルコール9への還元は、例えばCBS触媒の(R)異性体の存在下で、カテコールボランを用いた処理によって非対称的に実施することができる。このアルコールをN−Bocグリシンとカップリングさせてエステル10を得る。エステル10のエノラートの[3,3]−シグマトロピー転位を文献(U. Kazmaier et al, Angew. Chem. Int. Ed. Eng, 1994, 33: 998−999)に記載のとおり実施して中間体IIaを得ることができる。
【0118】
【化20】

【0119】
式IIIの化合物は、市販されており、文献公知であり、又は当業者に周知のさまざまな方法によって好都合に調製することができる。XがCHFである中間体IIIを調製する1つの好都合な方法をスキーム3に示す。それ自体は文献公知である、又は当業者に周知のさまざまな方法によって好都合に調製することができる、適切に保護したアルコール11は、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄(DAST)、三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄などのフッ素化試薬で処理すると、脱保護後にフルオロ中間体IIIaを生成する。
【0120】
【化21】

【0121】
XがCFである中間体IIIを調製する一方法をスキーム4に示す。適切に保護したアルコール11を、当業者に既知のさまざまな方法によって対応するケトン12に酸化する。ケトン12をDASTなどのフッ素化試薬で処理すると、脱保護後にジフルオロ中間体IIIbが生成する。
【0122】
【化22】

【0123】
中間体IIとIIIを、標準ペプチドカップリング条件下で、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)又はO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートと1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HATU/HOAT)を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタンなどの溶媒中で周囲温度で3から48時間カップリングさせて、スキーム5に示す中間体IVを得る。中間体IIIを塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩などの塩にすることができる場合もあり、その場合には、塩基、一般にN,N−ジイソプロピルエチルアミンをカップリング反応に添加することが好都合である。中間体IVをさらに改変して一般式Iの化合物を得ることができる。例えば、当業者に公知の適切な触媒を用いた水素化によってフェニル置換基を還元すると、R=HであるVなどの中間体を得ることができる。この中間体は酸又は塩基を用いて脱保護することができ、又は保護基を還元段階で除去することができ、R=Hである一般式Iの化合物が得られる。
【0124】
【化23】

【0125】
上記スキームに記載の中間体は、一連の反応が完結する前に、例えばR上の置換基を操作することによって、さらに改変することができる。これらの操作としては、当業者に一般に知られている還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解反応などが挙げられるが、これらだけに限定されない。かかるさらなる操作の一例をスキーム6に示す。ここで、Rは、中間体IVaに示す、置換されていてもよいビニル基である。中間体IVaのオゾン分解と、それに続く酸化によって酸IVbが生成する。この酸をアミンとカップリングさせてアミドIVcを得ることができる。
【0126】
【化24】

【0127】
中間体IVの化合物をさまざまな方法によってさらに改変すると、Iに対応する化合物が生成する。これらの方法は当業者に周知である。かかる一方法としては、対応するフェノールの水素化が挙げられる。この方法をスキーム7に示す。芳香族臭化物中間体IVdから対応するピナコラートボラートエステル14への転化は、DMSOなどの極性溶媒中で[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒及び酢酸カリウムなどの塩基の存在下で、芳香族臭化物中間体IVdとビス(ピナコラート)ジボロン13を加熱することによって実施することができる。次いで、得られたボラートエステルを、過酸化水素などの穏和な酸素源を用いて塩基性水溶液条件下で酸化して、対応するフェノール15を得ることができる。次いで、このフェノールをアルミナ担持5%元素ロジウムなどの触媒の存在下で水素50psi(0.3MPa)雰囲気に曝して還元してシクロヘキサノールVaを得ることができる。
【0128】
【化25】

【0129】
中間体Vaは、さまざまな方法によって一般式Iの化合物に転化することができる。これらの方法のいくつかを以下のスキームに示して、本発明の範囲をさらに説明する。スキーム8に示すとおり、アルコールVaは、さまざまな方法によって酸化することができ、例えば[1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソル−3−(1H)−オン](Dess−Martinペルヨージナン)16に暴露すると対応するケトン17を生成する。Rがアリール置換基であり、Rがヒドロキシル置換基である構造式Iの化合物の例は、この中間体から容易に調製することができる。さまざまなアリールリチウム試薬又はハロゲン化アリールマグネシウム試薬をこのケトンに添加すると、対応する第三級アルコール18が得られる。次いでこれらの化合物のアミン置換基を酸処理、塩基処理、水素化処理などのさまざまな方法によって脱保護して、一般式I(式中、R=アリール及びR=OHである。)に対応する化合物を得ることができる。
【0130】
【化26】

【0131】
スキーム9に示すように、スキーム8の中間体18を上記以外の方法で誘導体化して一般式Iに対応する化合物を得ることもできる。この第三級アルコールは、水酸化(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウム(バージェス試薬)19などの脱水試薬を用いて除去して、オレフィン20を得ることができる。この中間体を炭素担持10%パラジウムなどの触媒の存在下で水素ガスに曝すと完全飽和シクロヘキサン21が生成する。この中間体のアミンを酸又は塩基で脱保護することができ、又は保護基を前の水素化段階で除去することができ、一般式I(式中、R=アリール及びR=Hである。)に対応する化合物が得られる。
【0132】
【化27】

【0133】
スキーム8のケトン17からスキーム9の中間体20への転化については、スキーム10に概説した改変によって、別の経路に従うことができる。ケトン17をリチウムヘキサメチルジシリザン(hexamethyldisilizane)などの強塩基で処理し、続いてN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)で処理するとビニルトリフラート中間体22が得られる。ビニルトリフラート22から対応するピナコラートボラートエステル23への転化は、DMSOなどの極性溶媒中で[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒及び酢酸カリウムなどの塩基の存在下で、ビニルトリフラート22とビス(ピナコラート)ジボロン13を加熱することによって実施することができる。次いで、このボロナートエステルを、炭酸カリウムなどの塩基及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒の存在下で、臭化アリール24と一緒に加熱することによって、アリールビニル中間体20に転化することができる。構造24の臭化アリールは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が調製することができる。次いで、中間体20は、スキーム9に詳述した手順によってIなどの化合物に転化することができる。
【0134】
【化28】

【0135】
スキーム7の中間体Vaは、他の変換によっても構造式Iの化合物を生成する。かかる一連の反応をスキーム11に詳述する。中間体Vaを4−ジメチルアミノピリジン及びピリジンの存在下で塩化カルバモイル試薬25で処理してカルバメート中間体Vbを得ることができる。一般式25の塩化カルバモイルは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に合成することができる。次いで、中間体Vbのアミン置換基を、例えば酸、塩基又は水素化によって、脱保護してI(式中、R=OCONR及びR=Hである。)を得ることができる。
【0136】
【化29】

【0137】
スキーム11中の構造式Iの化合物の置換基Rが水素である例においては、この化合物は、スキーム12に概説する方法によって合成することもできる。中間体Vaを塩基条件下でイソシアナート試薬26で処理してカルバメートVcを得ることができる。式26のイソシアナートは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に合成することができる。次いで、中間体Vcをスキーム11のカルバメートVbと同じ脱保護条件に供して、式I(式中、R=OCONHRであり、Rは水素である。)の化合物を得ることができる。
【0138】
【化30】

【0139】
スキーム7の中間体IVd(R=Br)を他の方法によって誘導体化して、構造式Iの化合物を得ることもできる。これを実施する別の方法をスキーム13に示す。中間体IVdを文献(S.L. Buchwald et al., J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 7421−7428)に記載の手順によって対応する芳香族アミドに転化することができる。芳香族臭化物をCu(I)の存在下で構造式27のアミドで処理してアミド28を得る。構造式27のアミドは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。次いで、N−アリールアミド28を酸化白金(IV)などの白金触媒の存在下で水素ガス雰囲気に供して、対応するN−シクロヘキシルアミド29を得ることができる。当業者には容易にわかるとおり、中間体28を水素化して、新たに形成されたシクロヘキシル環についてシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物を生成することができる。これらのジアステレオマーは、任意の比の混合物として使用して、或いはどちらかのジアステレオマーを液体クロマトグラフィー、分別結晶又は他の精製方法によって濃縮して、本発明の化合物を得ることができる。中間体29のアミン窒素は、酸、塩基、水素化又は他の反応によって脱保護して、本発明の範囲内にある構造式I(式中、R=NRCOR及びR=Hである。)の化合物を得ることができる。
【0140】
【化31】

【0141】
スキーム13に概説した手順と同様に、中間体IVdを、スキーム14に示すように対応するカルバモイル誘導体に誘導体化することができる。中間体IVdを、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などのパラジウム触媒及び炭酸セシウムなどの塩基の存在下で、ホスフィンリガンドの存在下で、一般構造30のカルバメートと反応させる。一般構造30のカルバメートは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。次いで、N−アリールカルバメート31をPtOなどの白金触媒の存在下で水素化して、対応するシクロヘキシルカルバメート32を得る。当業者には容易にわかるとおり、中間体32を水素化して、新たに形成されたシクロヘキシル環についてシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物を生成することができる。これらのジアステレオマーは、任意の比の混合物として使用して、或いはどちらかのジアステレオマーを上記方法によって濃縮して、本発明の化合物を得ることができる。中間体32のアミン窒素は、酸、塩基、水素化又は他の反応によって脱保護して、本発明の範囲内にある構造式I(式中、R=H及びR=NRCOである。)の化合物を得ることができる。
【0142】
【化32】

【0143】
スキーム14に概説した手順と同様に、中間体IVdを、スキーム15に示すように対応する尿素誘導体に誘導体化することができる。中間体IVdを、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などのパラジウム触媒及び炭酸セシウムなどの塩基の存在下で、ホスフィンリガンドの存在下で、一般構造33の尿素と反応させる。一般構造33の尿素は、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。次いで、N−アリール尿素34をPtOなどの白金触媒の存在下で水素化して、対応するN−シクロヘキシル尿素35を得る。当業者には容易にわかるとおり、中間体34を水素化して、新たに形成されたシクロヘキシル環についてシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物を生成することができる。これらのジアステレオマーは、任意の比の混合物として使用して、或いはどちらかのジアステレオマーを上記方法によって濃縮して、本発明の化合物を得ることができる。中間体35のアミン窒素は、酸、塩基、水素化又は他の反応によって脱保護して、本発明の範囲内にある構造式I(式中、R=H及びR=NRCONRである。)の化合物を得ることができる。
【0144】
【化33】

【0145】
スキーム16に示すように、スキーム7の中間体IVdを上記以外の方法で誘導体化して構造式Iの化合物を得ることもできる。これらの誘導体は、臭化アリール置換基をエステルに転化することによって得ることができる。この変換を実施する好都合な方法は文献(S. Vinogradov et al., Tetrahedron 1998, 39, 8935−8938)に記載されている。すなわち、中間体IVdを、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒及びn−ブタノールなどのアルコール溶媒の存在下で一酸化炭素雰囲気に供して対応するブチルエステル36を得る。次いで、この材料を水素雰囲気下で酸化白金(IV)に暴露することによって還元してシクロヘキシルカルボン酸ブチルエステル37を得る。当業者には容易にわかるとおり、中間体36を水素化して、新たに形成されたシクロヘキシル環についてシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物を生成することができる。これらのジアステレオマーは、任意の比の混合物として使用して、或いはどちらかのジアステレオマーを上記方法によって濃縮して、本発明の化合物を得ることができる。次いで、ブチルエステル37を水酸化リチウム水溶液などの塩基で処理して対応するカルボン酸38を得る。この物質を一般式39のさまざまなアミンとDMF中EDC及びHOBTなどのアミドカップリング条件下で反応させて、対応するアミド誘導体40を得ることができる。式39のアミンは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。最後に、アミン窒素を脱保護して一般式I(式中、R=H及びR=CONRである。)の化合物を得る。
【0146】
【化34】

【0147】
スキーム16の中間体38を上記以外の方法で誘導体化して構造式Iの化合物を得ることもできる。1つのかかる方法は、スキーム17に示すように、中間体38をEDC及びHOBTの存在下でアセトアミドオキシム41などのアミドオキシムと反応させるものである。生成したイソキサジアゾール42のアミン置換基を脱保護して構造式I(式中、R=H及びR=ヘテロアリールである。)の化合物を得ることができる。
【0148】
【化35】

【0149】
スキーム16の中間体38を上記以外の方法で誘導体化して構造式Iの化合物を得ることもできる。1つのかかる方法は、中間体38を塩基及び熱の存在下でジフェニルホスホリルアジド(DPPA)と反応させ、続いてベンジルアルコールで処理することによって、カルバミン酸ベンジル43を得るものである。カルバミン酸ベンジル43を水素及びパラジウム触媒で処理することによってカルバモイル置換基を除去して、アミノ中間体44を得ることができる。このアミンを標準条件下でカルボン酸45とカップリングさせることができる。カルボン酸45は、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。次いで、アミド中間体46のアミノ置換基を脱保護して一般構造式I(式中、R=NHCOR及びR=Hである。)の化合物を得ることができる。
【0150】
【化36】

【0151】
スキーム18の中間体44を、スキーム19に示す方法によって、スキーム13の中間体29に転化することもできる。ベンズアルデヒド及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムをアミン44にDMFなどの極性溶媒中で添加するとベンジルアミン中間体47が得られる。置換基Rを含む追加のアルデヒド48を同一条件下で添加すると第三級アミン49が得られる。式48のアルデヒドは、市販されており、文献で報告されており、又は当業者が容易に調製することができる。水素及び水酸化パラジウム(II)などのパラジウム触媒で処理することによって49のベンジルアミン置換基を除去してアミン中間体50を得ることができる。スキーム18に示すように、このアミンとカルボン酸45をカップリングさせてアミド中間体29を得る。この中間体は、スキーム13に概説する方法によって、構造式Iの化合物に転化することができる。
【0152】
【化37】

【0153】
スキーム20に示すように、スキーム18の中間体44を上記以外の方法で誘導体化して構造式Iの化合物を得ることもできる。塩化スルホニル試薬51は、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。塩化スルホニル試薬51をN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で中間体44に添加するとスルホンアミド中間体52が生成する。このスルホンアミドのアミン置換基を脱保護して式I(式中、R=NHSO及びR=Hである。)の化合物を得ることができる。
【0154】
【化38】

【0155】
同様に、スキーム19の中間体50を誘導体化して構造式Iの化合物を得ることができる。これをスキーム21に示す。スキーム20に示すように、この中間体を塩化スルホニルと反応させて、スルホンアミド中間体53を得ることができる。次いで、アミン官能基を脱保護して、式I(式中、R=H及びR=NRSOである。)の化合物を得ることができる。
【0156】
【化39】

【0157】
スキーム19の中間体50を上記以外の方法で誘導体化して一般式Iの化合物を得ることもできる。別のかかる方法をスキーム22に示す。中間体50を塩基性条件下でイソシアナート26に添加して54などの尿素を得ることができる。次いで、この中間体をアミン脱保護条件に供して式I(式中、R=NRCONHR及びR=Hである。)の化合物を得ることができる。
【0158】
【化40】

【0159】
スキーム19の中間体50を上記以外の方法で誘導体化して一般式Iの化合物を得ることもできる。別のかかる方法をスキーム23に示す。クロロ蟻酸試薬55をN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で添加してカルバメート中間体56を得る。中間体55の構造のクロロ蟻酸試薬は、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。56のアミン置換基を上記方法によって脱保護して式I(式中、R=H及びR=ΝRCOである。)の化合物を得る。
【0160】
【化41】

【0161】
スキーム7の中間体Vaは、ヒドロキシル置換基の置換を含むスキーム24に示すように、誘導体化することもできる。トリフェニルホスフィン及びジイソプロピルアジドカルボキシラート(DIAD)の存在下で57などの置換されていてもよいフェノールを添加して対応するフェニルエーテル58を得る。構造57の置換されていてもよいフェノールは、市販されており、文献公知であり、又は当業者が容易に調製することができる。58のアミン基を脱保護して、構造I(式中、R=H及びR=置換されていてもよいフェニルオキシである。)の化合物を得る。
【0162】
以下の実施例によって、本発明をさらに理解することができるはずである。これらの実施例は説明のためにのみあり、本発明を限定するものと決して解釈すべきではない。上述の反応スキームを実施する順序は、反応を促進し、又は望ましくない反応生成物を回避するために変更し得る場合もある。
【0163】
【化42】

【0164】
(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した22L三口丸底フラスコに(3R)−3−ヒドロキシピロリジン425g(4.88mol)、ジクロロメタン8L及びトリエチルアミン1L(7.17mol)を仕込んだ。溶液を氷浴で5から10℃に冷却し、次いで反応温度を20℃未満に維持しながらクロロギ酸ベンジル1000g(5.86mol)を約1.5時間にわたって滴下した。反応混合物を氷浴中で追加の時間撹拌し、次いで氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度に終夜加温した。この混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液約15Lを含む大きな抽出装置にあけた。水相をジクロロメタン各2Lで2回逆抽出した。混合有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮してオレンジ色のオイルを得た。粗製材料をジクロロメタンにとり、50%酢酸エチル/へキサン中で前充填された5kgのシリカゲルカラムにかけ、50%酢酸エチル/へキサン8L、75%酢酸エチル/へキサン16L、次いで100%酢酸エチル/へキサンで溶出させて黄色オイルの標記化合物を得た。これを静置すると結晶化した。
【0165】
段階B:ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した5L三口丸底フラスコに三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄375mL(2.84mol)及びジクロロメタン400mLを仕込んだ。溶液を−78℃に冷却した。この溶液に、反応温度を−70℃未満に維持しながら、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート304g(1.37mol)の400mLジクロロメタン溶液を添加漏斗から2時間にわたって添加した。反応混合物を撹拌し、周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、氷、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に慎重に分割添加した。混合物を酢酸エチル8Lで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して褐色のオイルを得た。フラッシュクロマトグラフィーによって(シリカゲル、10から30%酢酸エチル/へキサン勾配で溶出させて)精製すると褐色オイルの標記化合物が生成した。
【0166】
段階C:(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸
ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート(249g、1.11mmol)をエタノール2.3Lに溶解し、次いで水115mL、続いて炭素担持10%パラジウム30gを添加した。混合物を水素40psi(300kPa)下で約24時間振とうした。さらに触媒10g、次いで5gを添加した。混合物を水素40psi(300kPa)下で終了するまで撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキをエタノールで洗浄した。混合ろ液及び洗液を濃塩酸185mLで処理し、濃縮して無色オイルとした。残渣をトルエンと共沸させ、次いでジエチルエーテル2Lを添加した。オイルが結晶化するまでイソプロピルアルコールを添加した。混合物を周囲温度で週末熟成させた。結晶を収集し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥させて標記化合物を得た。母液と洗液を混合し、濃縮し、トルエンと共沸させ、ジエチルエーテル/イソプロピルアルコールを用いてすり潰した。第2の生成物(crop)を収集し、減圧乾燥させて、追加の標記化合物を得た。[α]=+8.64°(c=4、メタノール)。
【0167】
【化43】

【0168】
(3R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した22L三口丸底フラスコに、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート(中間体1、段階A)422g(1.91mol)、トルエン12L、トリフェニルホスフィン751g(2.86mol)及び氷酢酸164mL(2.86mol)を仕込んだ。生成混合物を周囲温度で撹拌し、次いで冷水浴を用いて内部温度を28℃未満に維持しながらアゾジカルボン酸ジエチル500g(2.87mol)を添加漏斗から約30分間添加した。反応物を周囲温度で終夜撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジエチルエーテル6Lを用いてすり潰した。固体をろ過除去し、ジエチルエーテルで十分洗浄した。ろ液とエーテル洗液を混合し、濃縮すると、固体を含む濃厚な黄色オイルとなった。フラッシュクロマトグラフィーによって(シリカゲル、5%酢酸エチル/へキサン及び10%から30%の酢酸エチル/へキサン勾配で順次溶出させて)精製すると淡黄色オイルの標記化合物が生成した。
【0169】
段階B:ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシラート427g(1.62mol)を含む20L三口丸底フラスコに無水エタノール4L、続いて水酸化カリウム101g(1.57mol)の約400mL水溶液を添加した。約15分後、反応混合物を水8Lに注ぎ、酢酸エチル8Lで抽出した。次いで、水層を追加の酢酸エチル4Lで抽出した。混合有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して濃厚なオイルと固体を得た。
【0170】
段階C:ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート
中間体1、段階Bに概説した手順に基本的に従って、ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート366g(1.62mol)を標記化合物に転化した。
【0171】
段階D:(3R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
中間体1、段階Cに概説した手順に基本的に従って、ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート222g(1.0mol)を標記化合物に転化した。[α]=−8.61(c=4、メタノール)。
【0172】
【化44】

【0173】
3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、凝縮器及び窒素バブラーを装備した12L三口丸底フラスコにベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート(中間体1、段階A)351g(1.61mol)、ジクロロメタン6L、モレキュラーシーブ粉末500g及びN−メチルモルホリン−N−オキシド400g(3.41mol)を仕込んだ。生成した懸濁液を周囲温度で撹拌し、これに過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム12.9g(0.0367mol)を添加した。反応温度を冷水浴を用いて30℃以下に維持した。混合物を周囲温度で2時間撹拌した。混合物をシリカゲル5kgの充填物上に注ぎ、10%酢酸エチル/ジクロロメタンを用いて溶出させてオレンジ色オイルの標記化合物を得た。
【0174】
段階B:ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した12L三口丸底フラスコにベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシラート292g(1.33mol)及びジクロロメタン3Lを仕込んだ。撹拌溶液に、冷水浴を用いて内部温度を25℃未満に維持しながら、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄530mL(4.0mol)を約3時間にわたって周囲温度で滴下した。混合物を周囲温度で終夜撹拌した。混合物を氷及び固体炭酸水素ナトリウムを含む大きな抽出装置に注いだ。次いで、酢酸エチル8リットルを添加し、混合物を炭酸水素ナトリウムを用いて塩基性にした。有機層を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して褐色オイル309gとした。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10%から20%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して標記化合物を得た。
【0175】
段階C:3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
中間体1、段階Cに概説した手順に基本的に従って、ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシラート242g(1.00mol)を標記化合物に転化した。H NMR(500MHz、CDOD):δ 3.7(t、2H)、3.6(t、2H)、2.55(m、2H)。
【0176】
【化45】

【0177】
4−フルオロピペリジン塩酸塩
段階A:ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシラート
1L丸底フラスコにベンジル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシラート12.64g(51.4mmol)及びジクロロメタン300mLを仕込んだ。撹拌溶液に三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄19mL(102.8mmol)を添加漏斗から−78℃で約1時間にわたって添加した。反応混合物を周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に慎重に分割添加した。混合物をジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。混合有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で1回、10%塩酸で2回及び飽和塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(勾配、へキサンから65%酢酸エチル/へキサン)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0178】
段階B:4−フルオロピペリジン塩酸塩
ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシラート(5.5g、23.2mmol)をエタノール80mLに溶解し、炭素担持20%水酸化パラジウム1.0g(乾燥量基準)を混合物に添加した。混合物を水素40psi(300kPa)下で約12時間振とうし、次いでセライトパッドによってろ過し、メタノール100mLで洗浄した。混合ろ液及び洗液を1M塩酸のジエチルエーテル溶液60mLで処理し、濃縮してワックス状白色固体を得た。この固体を減圧乾燥させて固体の標記化合物を得た。この固体をさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl):δ 4.95(d、J=47.4Hz、1H)、3.70(br s、1H)、3.34−3.27(m、4H)、2.29(dt、J=37.1、12.3Hz、2H)、2.16(br s、2H)。
【0179】
【化46】

【0180】
3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
段階A:1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン
250mL丸底フラスコに1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン3.0g(12.5mmol)及びジクロロメタン80mLを仕込んだ。撹拌溶液に三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄4.6mL(25mmol)を添加漏斗から−78℃で約3時間にわたって添加した。反応混合物を周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に(慎重に)分割添加した。混合物をジクロロメタン80mLで3回抽出した。混合有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水及び飽和塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(勾配、へキサンから80%酢酸エチル/へキサン)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0181】
段階B:3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン(1.7g、7.04mmol)をエタノール60mL及び炭素担持20%水酸化パラジウム500mg(乾燥量基準)に溶解した。混合物を水素40psi(300kPa)下で約12時間振とうした。混合物をセライトパッドに通してろ過し、ろ過ケーキをメタノール100mLで洗浄した。混合洗液をトリフルオロ酢酸10mLで処理し、濃縮して2種類のオイルを得た。そのうち高濃度の方が所望のフルオロアゼチジン塩である。混合物をそれ以上精製しなかった。H NMR(CDCl):δ 5.45−4.30(dm、J=56.7Hz、1H)、4.46−4.38(m、2H)、4.24−2.17(m、2H)。
【0182】
【化47】

【0183】
(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−ブロモフェニル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
段階A:(4R)−3−[(2E)−3−(4−ブロモフェニル)プロパ−2−エノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
4−ブロモケイ皮酸(5.79g、22.5mmol)の無水THF(250mL)撹拌溶液にトリエチルアミン(4.60mL、34.6mmol)、続いて塩化トリメチルアセチル(3.54mL、24.7mmol)を−78℃で添加した。生成した懸濁液を−78℃で15分間、0℃で1時間及び−78℃で15分間撹拌し、カニューレを用いてリチウム4(R)−4−フェニル−2−オキサゾリジノンのスラリーに0℃で移した。前記スラリーは、n−ブチルリチウム(19.1mL、30.5mmol)を4(R)−4−フェニル−2−オキサゾリジノン(5.0g、30.6mmol)の−78℃無水THF(150mL)溶液に添加することによって−78℃で15分前に調製したものである。生成スラリーを−78℃で1時間及び室温で12時間撹拌した。反応物を、塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、減圧濃縮し、粗生成物を次の段階にそのまま使用した。LC/MS 372.0(M+1)。
【0184】
段階B:(4R)−3−[(3R)−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
臭化銅(II)ジメチルスルフィド錯体(8.78g、42.7mmol)のTHF(60mL)溶液とジメチルスルフィド(30mL)との撹拌溶液に臭化メチルマグネシウム(12.7mL、3.0Mジエチルエーテル溶液、38.1mmol)を−40℃で添加した。生成混合物を−40℃で30分間撹拌し、次いで−20℃に加温した。段階Aの生成物(3.53g、9.48mmol)のTHF(30mL)溶液を上記反応混合物に−20℃で1時間添加した。生成混合物を−20℃で2時間撹拌し、次いで室温に徐々に加温し、室温で12時間撹拌した。反応物を、塩化アンモニウム飽和水溶液を徐々に添加してクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、83:17へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0185】
段階C:(4R)−3−[(2R,3S)−2−ブロモ−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
段階Bの生成物(2.87g、7.39mmol)のジクロロメタン(40mL)撹拌溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.93mL、11.1mmol)及びジブチルホウ素トリフラート(9.6mL、1Mジクロロメタン溶液、9.60mmol)を−78℃で添加した。淡黄色溶液を−78℃で15分間、0℃で1時間撹拌し、−78℃で15分間再冷却した。上記溶液を、予冷したN−ブロモスクシンイミド(3.93g、22.2mmol)のジクロロメタン(40mL)懸濁液にカニューレを用いて移した。生成混合物を−78℃で1時間及び0℃で3時間撹拌した。反応物を、0.5N亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加することによってクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、83:17へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0186】
段階D:(4R)−3−[(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
段階Cの生成物(2.71g、6.39mmol)のアセトニトリル(40mL)撹拌溶液にテトラメチルグアニジニウムアジド(3.51g、22.2mmol)を添加した。反応物を室温で12時間撹拌した。固体をろ過除去し、ろ液を濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(83:17へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0187】
段階E:(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)ブタン酸
段階Dの生成物(2.77g、6.23mmol)のTHF(60mL)撹拌溶液に水(20mL)を添加した。溶液を0℃で15分間撹拌し、次いで30%過酸化水素(6.0mL、52.9mmol)を添加し、続いて水酸化リチウム(0.50g、21.2mmol)を徐々に添加した。生成混合物を0℃で4時間撹拌した。反応物を、亜硫酸ナトリウム飽和水溶液を添加することによってクエンチし、室温で30分間撹拌した。水相を分離しジクロロメタンで3回洗浄した。次いで、水相を3N塩酸でpH1に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮して生成物を得た。この生成物を次の段階にそのまま使用した。
【0188】
段階F:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−ブロモフェニル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
段階Eで調製し、無水DMF(10mL)に溶解した酸1.20g(4.22mmol)にEDC(2.29g、11.9mmol)、HOBT(1.62g、11.9mmol)、(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(中間体1)(1.50g、11.9mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.2mL、23.6mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機相を塩水、1N塩酸水溶液及び1N水酸化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮して黄色発泡体を得た。この発泡体にジオキサン40mL、水4mL及びトリフェニルホスフィン(4.70g、17.9mmol)を添加した。反応物を90℃で12時間加熱し、室温に冷却した。溶媒を減圧除去し、残渣をジオキサン20mLと炭酸水素ナトリウム飽和水溶液20mLに溶解した。生成混合物にジ−tert−ブチルジカルボナート(35.8mmol)7.8gを添加した。反応物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸でpH1に酸性化した。各層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。各有機抽出物を混合し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、66:34へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 429.1(M+1)。
【0189】
【化48】

【0190】
tert−ブチル{(1S,2S)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[(3,3)−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]プロピル}カルバメート
標記化合物を、中間体6を調製した手順によって、段階Fの中間体3を利用して調製した。LC/MS 469.2(M+Na)。
【0191】
【化49】

【0192】
(3S)−1−[(2S,3S)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(ジメチルアミノカルボニル)−1−オキソプロパニル]−3−ジフルオロピロリジン
段階A:トランス−4−(4−ブロモフェニル)−3−ブテン−2−オン
無水ジクロロメタン(500mL)に溶解した4−ブロモケイ皮酸25.0g(110mmol)にEDC(28.8g、150mmol)、HOBT(20.3g、150mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(14.6g、150mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(23mL、150mmol)を添加した。室温で24時間撹拌後、反応物を濃縮し、次いで10%塩酸水溶液400mLで希釈した。次いで、生成混合物をジエチルエーテル各300mLで3回抽出し、各有機相を混合し、10%塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各100mL)で順次洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して、粘ちゅう油状のワインレブアミドを得た。これをさらに精製せずに使用した。この油に無水THF 300mLを添加し、生成溶液を−78℃に冷却した。この溶液に臭化メチルマグネシウム(180mmol、3Nジエチルエーテル溶液)60mLを添加した。撹拌混合物を0℃に1時間かけて徐々に加温した。次いで、混合物を水及び5%塩酸水溶液(各100mL)で慎重にクエンチし、次いで濃縮してTHFを除去した。
生成混合物をジエチルエーテル各300mLで3回抽出し、各有機相を混合し、5%塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各100mL)で順次洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粘ちゅうオイルを得た。次いで、この粗製材料を、Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から15%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して淡黄色結晶性固体の標記化合物を得た。LC/MS 225.0(M+1)、227.0(M+3)。
【0193】
段階B:(2S,3E)−4−(4−ブロモフェニル)−3−ブテン−2−オール
段階Aから得られ、トルエン100mLに溶解したケトン5.55g(24.7mmol)に(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン触媒3.7mL(3.7mmol、1Mトルエン溶液)を添加し、生成混合物を周囲温度で15分間撹拌した。混合物を−78℃に冷却し、カテコールボラン4.0mL(37.1mmol)の30mLトルエン溶液を30分間滴下した。添加後、スラリーを−78℃で60分間撹拌すると、徐々に均一になった。次いで、TLCによって出発材料が完全に消失するまで、溶液を−78℃でさらに4時間(反応時間は4−24時間の範囲で変わる。)撹拌した。次に、反応混合物を水100mLで希釈し、生成混合物をジエチルエーテル各100mLで3回抽出した。次いで、各有機相を混合し、1N水酸化ナトリウム水溶液各100mLで2回、5%塩酸溶液各100mLで2回、飽和塩水100mLで1回洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製ワックス状固体を得た。次いで、この粗製材料を、Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から20%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して無色結晶性固体のアルコールを得た。この化合物をへキサン中で再結晶化させて無色結晶のアルコールを得た(Mosherエステル分析によって96%ee)。LC/MS 209.0(M−水+1)、211.0(M−水+3)。
【0194】
段階C:(1S,2E)−3−(4−ブロモフェニル)−1−メチルプロパ−2−エニルN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシナート
段階Bから得られ、無水ジクロロメタン(300mL)に溶解したアルコール12.6g(55mmol)にEDC(23g、120mmol)、HOBT(16g、120mmol)、N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(21g、120mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(19mL、120mmol)を添加した。5時間後、混合物を濃縮し、10%塩酸水溶液200mLで希釈した。次いで、生成混合物をジエチルエーテル各300mLで3回抽出し、各有機相を混合し、5%塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各100mL)で順次洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粘ちゅう油状の粗製材料を得た。この粗製材料を、Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から20%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して無色結晶性固体の標記化合物を得た。LC/MS 328.1(M−tBu+1)、330.1(M−tBu+3)。
【0195】
段階D:メチル(βS)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−[(1E)−プロパ−1−エニル]−L−フェニルアラニナート
段階Cから得られたエステル(18.1g、47mmol)の無水THF(50mL)溶液を、−78℃に予冷したリチウムヘキサメチルジシラジド溶液105mL(105mmol、1M THF溶液)にカニューレを用いて添加した。この温度で10分間撹拌後、塩化亜鉛溶液(55mmol、1Mジエチルエーテル溶液)55mLを−78℃で添加した。生成混合物を−78℃で5時間撹拌し、次いで3時間かけて徐々に室温に加温した。室温でさらに2時間撹拌後、混合物を水及び5%塩酸(各100mL)でクエンチした。次いで、生成混合物を酢酸エチル各300mLで3回抽出し、各有機相を混合し、5%塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各200mL)で順次洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して黄色泡状の粗製材料を得た。LC/MS 384.1(M+1)、386.1(M+3)。この粗製材料を1:1ジエチルエーテル/メタノール500mLに溶解し、0℃に冷却した。トリメチルシリルジアゾメタン溶液(75mL、150mmol、2Mへキサン溶液)を、黄色が持続するまで分割添加した。室温に加温後、溶液をさらに8時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。粗製材料を、Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から15%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して無色油状の標記化合物を得た。LC/MS 298.0(M−Boc+1)、300.0(M−Boc+3)。
【0196】
段階E:(βS)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−[(1E)−プロパ−1−エニル]−L−フェニルアラニン
メチル(?S)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−?−[(1E)−プロパ−1−エニル]−L−フェニルアラニナート(段階D)25g(62.8mmol)のTHF 600mL溶液にメタノール200mL及び1N水酸化ナトリウム水溶液200mL(200mmol)を連続添加した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いでメタノール及びTHFを減圧除去した。混合物水溶液に1N塩酸250mLを添加し、混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。混合有機抽出物を塩水(300mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮してカルボン酸を得た。これをさらに精製せずに下記段階Fに使用した。
【0197】
段階F:(3S)−1−[(2S,3S,4E)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ−4−エノイル]−3−フルオロピロリジン
段階Eの(βS)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−[(1E)−プロパ−1−エニル)−L−フェニルアラニン2.00g(5.21mmol)の溶液と(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(中間体1)0.781g(6.25mmol)のDMF 50mL溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.71mL(15.6mmol)、HOBT 0.774g(5.73mmol)及びEDC 1.10g(5.73mmol)を添加した。周囲温度で16時間後、反応物を、0.5N炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することによってクエンチした。混合物を酢酸エチル各300mLで2回抽出した。有機層を、0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液各200mLでさらに2回洗浄し、塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して透明オイルを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(20−50%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して無色オイルの標記化合物を得た。LC/MS 355.3(M+1)及び357.3(M+3)。
【0198】
段階G:(3S)−1−[(2S,3S)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(ジメチルアミノカルボニル)−1−オキソプロパニル]−3−ジフルオロピロリジン
過ヨウ素酸ナトリウム2.37g(11.1mmol)、炭酸カリウム0.306g(2.21mmol)及び過マンガン酸カリウム0.087g(0.550mmol)の30mL水溶液にtert−ブタノール70mLを周囲温度で添加した。生成した懸濁液を段階Fの(3S)−1−[(2S,3S,4E)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ−4−エノイル]−3−フルオロピロリジン2.21g(1.01mmol)のtert−ブタノール20mL溶液に添加した。次いで、生成混合物を40℃に9時間加熱した。次いで、混合物を周囲温度に冷却し、1M硫酸水素ナトリウム水溶液200mLに注いだ。生成混合物を酢酸エチル各250mLで2回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して黄色固体を得た。この材料をDMF 26mLに溶解した。この溶液にジメチルアミンの2.0M THF溶液1.33mL(2.65mmol)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン1.15mL(6.63mmol)、HOBT 0.328g(2.43mmol)及びEDC 0.466g(2.43mmol)を添加した。周囲温度で16時間撹拌後、反応物を0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで希釈した。混合物を酢酸エチル各250mLで2回抽出した。有機層を、0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液各100mLでさらに2回洗浄し、塩水で洗浄し、次いで脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して黄色オイルを得た。シリカゲルクロマトグラフィー(0−10%メタノール/酢酸エチル勾配)によって精製して黄色固体の標記化合物を得た。LC/MS 385.8(M+1)及び387.8(M+3)。
【0199】
【化50】

【0200】
tert−ブチル[(1S,2S)−2−(4−ブロモフェニル)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−3−(ジメチルアミノ)−3−オキソプロピル]カルバメート
標記化合物を、中間体8の調製において概説した手順によって、段階Fの中間体3を利用して調製した。LC/MS 504.2(M+1)。
【0201】
【化51】

【0202】
tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
段階A:tert−ブチル{(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロピル}カルバメート
中間体6(0.50g、1.2mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.59g、2.3mmol)、酢酸カリウム(0.34g、3.5mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.19g、0.23mmol)を含むフラスコを排気し、次いで窒素を充填した(3回)。DMSO(6mL)を添加し、生成溶液を90℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、次いで塩水に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、混合有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチルのへキサン溶液)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 499.4(M+Na)。
【0203】
段階B:tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]カルバメート
段階Aから得られた材料(0.5g、1.0mmol)の0℃THF(10mL)溶液に30%過酸化水素(0.18mL、1.5mmol)及び3N水酸化ナトリウム水溶液(0.35g、1.0mmol)を逐次添加した。この温度で2時間後、水(30mL)を添加し、生成溶液を、1N塩酸を添加することによってpH5に調節した。混合物を酢酸エチルで抽出し、混合抽出物を、有機相が過酸化物試験で陰性になるまで飽和チオ硫酸ナトリウムで洗浄した。混合有機相を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチルのへキサン溶液)によって精製して白色泡状の標記化合物を得た。LC/MS 389.3(M+Νa)。
【0204】
段階C:tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
段階Bから得られた材料(0.022g、0.060mmol)を水素50psi(0.3MPa)でアルミナ担持5%ロジウム(22mg)の存在下、メタノール(5mL)中でParr振とう機を用いて水素化した。24時間後、反応混合物をシリンジフィルターに通してろ過した。減圧下でろ液を濃縮して、完全に還元されたシクロヘキサンを少量含む標記化合物をシス異性体とトランス異性体の混合物として得た。LC/MS 395.3(M+Νa)。
【0205】
【化52】

【0206】
tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−オキソシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
中間体10(0.024g、0.064mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液に15wt%Dess−Martinペルヨージナンのジクロロメタン溶液(0.17g、0.084mmol)を添加した。1時間後、反応混合物をジクロロメタン(4mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチルのへキサン溶液、次いで100%酢酸エチル)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 393.3(M+Na)。
【0207】
【化53】

【0208】
4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキサンカルボン酸
段階A:ブチル4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}ベンゾアート
中間体6(3.0g、7.0mmol)の無水n−ブタノール(100mL)溶液にトリエチルアミン(30mL)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)(0.57g、0.70mmol)を添加した。混合物を一酸化炭素ガスでパージし、次いで1atm(0.1MPa)一酸化炭素雰囲気下で90℃に24時間加熱した。次いで、混合物を周囲温度に冷却し、セライトに通してろ過し、フィルターを酢酸エチルで洗浄した。溶液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチルのへキサン溶液)によって精製してベージュ固体の標記化合物を得た。LC/MS 351.4(M+1−Boc)。
【0209】
段階B:ブチル4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキサンカルボキシラート
段階Aで調製した材料(2.8g、6.1mmol)の酢酸(100mL)溶液に固体酸化白金(IV)(0.75g)を添加した。混合物を周囲温度で水素ガス3atm(0.3MPa)下に36時間置いた。混合物をセライトに通してろ過し、生成溶液を減圧濃縮して標記化合物をシスシクロヘキシルジアステレオマーとトランスシクロヘキシルジアステレオマーの2:1混合物として得た。これをさらに精製せずに使用した。
【0210】
段階C:4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキサンカルボン酸
段階Bで調製した材料(3.0g、6.1mmol)のTHF(30mL)溶液にメタノール(10mL)、続いて1N水酸化リチウム水溶液(30mL)を添加した。周囲温度で24時間後、混合物を1N硫酸水素ナトリウム水溶液でpH1にした。混合物を酢酸エチル100mLで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して標記化合物を得た。これをさらに精製せずに使用した。LC/MS 406.2(M+1)。
【0211】
【化54】

【0212】
tert−ブチル[(1S,2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−3−オキソプロピル]カルバメート
段階A:tert−ブチル{(1S,2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−3−オキソ−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロピル}カルバメート
中間体8(0.50g、1.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.52g、2.0mmol)、酢酸カリウム(0.30g、3.1mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.17g、0.20mmol)を含むフラスコを排気し、次いで窒素を充填した(3回)。DMSO(5mL)を添加し、生成溶液を90℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、次いで塩水に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、混合有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%メタノールのジクロロメタン溶液勾配)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 534.1(M+1)。
【0213】
段階B:tert−ブチル[(1S,2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−オキソプロピル]カルバメート
段階Aから得られた材料(0.5g、0.94mmol)の0℃THF(10mL)溶液に30%過酸化水素(0.16mL、1.4mmol)及び3N水酸化ナトリウム水溶液(0.31g、0.94mmol)を逐次添加した。この温度で1.5時間後、混合物を周囲温度に加温し、次いで水(50mL)を添加し、生成溶液を、1N塩酸を添加することによってpH5に調節した。混合物を酢酸エチルで抽出し、混合抽出物を、有機相が過酸化物試験で陰性になるまで10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。混合有機相を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%メタノールの酢酸エチル溶液)によって精製して白色泡状の標記化合物を得た。LC/MS 424.3(M+1)。
【0214】
段階C:tert−ブチル[(1S,2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−3−オキソプロピル]カルバメート
段階Bから得られた材料(0.33g、0.77mmol)を水素50psi(0.3MPa)でアルミナ担持5%ロジウム(0.33g)の存在下、メタノール(10mL)中でParr振とう機を用いて水素化した。24時間後、反応混合物をシリンジフィルターに通してろ過した。減圧下でろ液を濃縮して、完全に還元されたシクロヘキサンを少量含む標記化合物をシス異性体とトランス異性体の混合物として得た。LC/MS 430.1(M+1)、452.1(M+Νa)。
【0215】
【化55】

【0216】
tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−オキソシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
中間体13(0.024g、0.064mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液に15wt%Dess−Martinペルヨージナンのジクロロメタン溶液(0.17g、0.084mmol)を添加した。1時間後、反応混合物をジクロロメタン(4mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチルのへキサン溶液、次いで100%酢酸エチル)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 393.3(M+Na)。
【0217】
【化56】

【0218】
(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−(4−カルボキシルシクロヘキシル)−N,N−ジメチル−4−オキソブタンアミド
段階A:(3S)−1−[(2S,3S)−3−4−(n−ブトキシカルボニル)フェニル−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(ジメチルアミノカルボニル)−1−オキソプロパニル]−3−ジフルオロピロリジン
中間体8(1.0g、2.1mmol)の無水n−ブタノール(100mL)溶液にトリエチルアミン(10mL)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)(0.168g、0.21mmol)を添加した。混合物を一酸化炭素ガスでパージし、次いで1atm(0.1MPa)一酸化炭素雰囲気下で24時間加熱した。次いで、混合物を周囲温度に冷却し、セライトに通してろ過し、フィルターを酢酸エチルで洗浄した。溶液を減圧濃縮し、残渣を逆相液体クロマトグラフィー(30%−70%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製してベージュ固体の標記化合物を得た。LC/MS 408.3(M+1−Boc)。
【0219】
段階B:(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−[4−(n−ブトキシカルボキシルシクロヘキシル)]−N,N−ジメチル−4−オキソブタンアミド
段階Aから得られた材料(0.79g、1.6mmol)の酢酸(100mL)溶液に酸化白金(IV)(0.35g)を添加した。混合物を周囲温度で水素3atm(0.3MPa)下に36時間置いた。次いで、混合物をセライトを通してろ過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製して、無色油状の標記化合物をシスシクロヘキシルジアステレオマーとトランスシクロヘキシルジアステレオマーの混合物として得た。LC/MS 514.4(M+1)。
【0220】
段階C:(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−(4−カルボキシルシクロヘキシル)−N,N−ジメチル−4−オキソブタンアミド
段階Bから得られた材料(0.66g、1.3mmol)のTHFと水の8:3混合物(11mL)の溶液に1N水酸化リチウム水溶液(8mL)を添加した。周囲温度で48時間後、反応物を、1N硫酸水素ナトリウム水溶液を添加することによってpH1に調節した。混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して、無色油状の標記化合物をシスシクロヘキシルジアステレオマーとトランスシクロヘキシルジアステレオマーの混合物として得た。LC/MS 359(M+1−Boc)。
【0221】
【化57】

【0222】
tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−オキソシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
標記化合物を、中間体14を調製した手順によって、中間体3を利用して調製した。LC/MS 468.3(M+Na)。
【0223】
【化58】

【0224】
tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
標記化合物を、中間体10を調製した手順によって、中間体3を利用して調製した。LC/MS 413.1(M+Na)。
【0225】
【化59】

【0226】
(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−[(3S)−3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル]−2−(4−カルボキシルシクロヘキシル)−N,N−ジメチル−4−オキソブタンアミド
標記化合物を、中間体15を調製した手順によって、中間体3を利用して調製した。
【実施例】
【0227】
【化60】

【0228】
4−{(1S,2S)−2−アミノ−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}−1−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキサノール、ビス(トリフルオロ酢酸)塩
段階A:N−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N,N−ジメチルイミドホルムアミド
5−ブロモ−2−アミノピリジン(3.0g、17.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)撹拌溶液にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(5.37g、45.0mmol)を添加した。反応混合物を130℃に終夜加熱した。室温に冷却後、揮発性物質を減圧除去して褐色油状の所望の生成物を得た。LC/MS 227.8(M+1)。
【0229】
段階B:6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
段階Aから得られた粗生成物(3.94g、17.3mmol)のメタノール(30mL)とピリジン(2.73g、35.6mmol)の氷冷撹拌溶液にヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(2.54g、22.5mmol)を添加した。反応混合物を室温に加温し、終夜撹拌した。揮発性物質を減圧除去し、残渣を炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルに分配した。水層を酢酸エチルでさらに抽出し、混合有機層を水(100mL)及び飽和塩水(100mL)で順次洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮して褐色固体を得た。これを、ジクロロメタンから再結晶化してオレンジ色固体の標記化合物を得た。LC/MS 197.9及び199.9(M+1)。
【0230】
段階C:tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
段階Bで調製した6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(0.11g、0.56mmol)のTHF(1.8mL)溶液にn−ブチルリチウムのへキサン溶液(2.4M、0.45mL、1.1mmol)を−78℃で添加した。生成溶液を−78℃で40分間撹拌し、中間体11(0.068g、0.18mmol)をTHF(1mL)溶液として添加した。−78℃でさらに1時間後、塩化アンモニウム飽和水溶液を添加し、混合物を周囲温度に加温した。少量の水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、脱水し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。残渣を分取薄層クロマトグラフィーによって精製して標記化合物を得た。LC/MS 512.5(M+Na)、390.4(M+1−Boc)、372.4(M+1−Boc−水)。
【0231】
段階D:4−{(1S,2S)−2−アミノ−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル]−1−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキサノール、ビス(トリフルオロ酢酸)塩
段階Cから得られた材料(0.005g、0.010mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で0.5時間後、反応混合物を減圧濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(10−50%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して、標記化合物をシス異性体とトランス異性体の混合物として得た。LC/MS 390.4(M+1)、412.4(M+Na)、372.4(M+1−水)。
【0232】
【化61】

【0233】
(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−オキソ−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルシクロヘキシル)ブタン−2−アミン、ビス(トリフルオロ酢酸)塩
段階A:tert−ブチル[(1S,2S)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−2−(4−ヒドロキシ−4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(0.067g、0.56mmol)のTHF(4mL)溶液にn−ブチルリチウムのへキサン溶液(3.2M、0.18mL、0.57mmol)を−78℃で添加した。この温度で30分後、中間体11(0.10g、0.26mmol)をTHF(1mL)溶液として添加した。反応混合物を0℃に加温した。0℃で0.5時間後、水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。混合有機層を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0−5%メタノールのジクロロメタン溶液勾配)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 530.1(M+Na)。
【0234】
段階B:tert−ブチル[(1S,2S)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)プロピル]カルバメート
段階Aで調製した化合物(0.13g、0.26mmol)のTHF(5mL)溶液にバージェス試薬(0.19g、0.78mmol)を添加した。周囲温度で1時間後、反応混合物を1mLに減圧濃縮した。残留溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に添加し、生成混合物をジクロロメタンで抽出した。混合有機層を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮して標記化合物を得た。LC/MS 490.4(M+1)。
【0235】
段階C:tert−ブチル[(1S,2S)−1−[(3.3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
段階Bから得られた材料(0.13g、0.27mmol)を水素50psi(0.3MPa)で炭素担持10%パラジウム(0.13g)の存在下、酢酸30滴を含むメタノール(5mL)中でParr振とう機を用いて水素化した。1時間後、反応混合物をシリンジフィルターに通してろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0−5%メタノールのジクロロメタン溶液)勾配によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 492.1(M+1)。
【0236】
段階D:(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−オキソ−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イルシクロヘキシル)ブタン−2−アミン、ビス(トリフルオロ酢酸)塩
段階Cから得られた材料(0.050g、0.10mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を周囲温度で添加した。1時間後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(10−40%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して、標記化合物をシス異性体とトランス異性体の混合物として得た。LC/MS 392.1(M+1)。
【0237】
実施例2に概説した手順に従い、適切な中間体を用いて、表1に記載の実施例3−6を調製した。
【0238】
【表1】


【0239】
【化62】

【0240】
(2S,3S)−3−アミノ−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−N,N−ジメチル−4−オキソ−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキシル)ブタンアミド、ビストリフルオロ酢酸塩
段階A:4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−オキソプロピル}シクロヘキサ−1−エン−1−イルトリフルオロメタンスルホナート
中間体16(2.5g、5.7mmol)のTHF(57mL)溶液にリチウムヘキサメチルジシラジドのTHF溶液(1.0M、12.6mL、12.6mmol)を−78℃で添加した。−78℃で2時間後、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(2.1g、6.0mmol)のTHF(5mL)溶液を添加した。反応混合物を周囲温度に徐々に加温し、次いで終夜撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、混合有機層を1N水酸化ナトリウム、水、塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(3%メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 578.2(M+1)。
【0241】
段階B:tert−ブチル{(1S,2S)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−3−(ジメチルアミノ)−3−オキソ−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−イル]プロピル}カルバメート
段階Aから得られた材料(3.0g、5.1mmol)をビス(ピナコラート)ジボロン(1.4g、5.4mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.84g、1.0mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセン(0.57g、1.0mmol)及び酢酸カリウム(1.5、15mmol)と混合し、フラスコに窒素を流した。ジオキサン(36mL)を添加し、生成混合物を80℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、次いで塩水と酢酸エチルに分配した。層分離させ、水相を酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10−30%アセトンのへキサン溶液勾配)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 556.3(M+1)。
【0242】
段階C:tert−ブチル[(1S,2S)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−3−(ジメチルアミノ)−3−オキソ−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)プロピル]カルバメート
段階Bから得られた材料(2.0g、3.6mmol)を[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.43g、0.53mmol)、炭酸カリウム(1.5g、11mmol)及び6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(純度80%、1.1g、4.3mmol)と混合し、フラスコに窒素を流した。DMF(35mL)を添加し、生成混合物を80℃で14時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。水層を酢酸エチルで抽出し、混合有機抽出物を塩水で洗浄し、脱水し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで2回(0−5%メタノールのジクロロメタン溶液、次いで0−5%メタノールの酢酸エチル溶液)精製して標記化合物を得た。LC/MS 547.3(M+1)。
【0243】
段階D:tert−ブチル[(1S,2S)−1−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]−3−(ジメチルアミノ)−3−オキソ−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキシル)プロピル]カルバメート
段階Cから得られた材料(0.79g、1.5mmol)を炭素担持10%パラジウム(1.6g)の存在下でメタノール(40mL)中で水素ガス1気圧(0.1MPa)下に置いた。24時間後、反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮してシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物を得た。これらのジアステレオマーをキラルHPLC(Chiralcel ODカラム、20%イソプロパノールのヘプタン溶液で溶出)によって分離して標記化合物を単一の異性体として得た(分析保持時間:ジアステレオマーA T=11.8分、ジアステレオマーB T=13.9分。LC/MS 549.3(M+1)。
【0244】
段階E:(2S,3S)−3−アミノ−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−N,N−ジメチル−4−オキソ−2−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルシクロヘキシル)ブタンアミド、ビストリフルオロ酢酸塩
ジアステレオマーA:段階Dから得られた溶出の速い方のジアステレオマー(ジアステレオマーA)(0.009g、0.016mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で0.75時間後、追加のトリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。LC/MS分析によって反応が終了した後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(5−35%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して、標記化合物を単一の異性体(回転異性体の1:1混合物)として得た。H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.70(m、1H)、8.45(m、1H)、7.76(app s、2H)、4.44(d、J=7.3Hz、0.5H)、4.33(d、J=7.8Hz、0.5H)、4.14−3.95(m、2H)、3.88−3.81(m、1H)、3.76−3.56(m、2H)、3.48(t、J=6.7Hz、0.5H)、3.44(t、J=6.2Hz、0.5H)、3.11(s、1.5H)、3.10(s、1.5H)、2.86(s、1.5H)、2.85(s、1.5H)、2.52−2.37(m、2H)、2.23−2.20(m、2H)、2.03−1.92(m、3H)、1.77−1.75(m、2H)、1.61−1.57(m、1H)、1.49−1.42(m、1H);LC/MS 449.3(M+1)。
【0245】
ジアステレオマーB:段階Dから得られた溶出の遅い方のジアステレオマー(ジアステレオマーB)(0.019g、0.035mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で0.75時間後、追加のトリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。反応が終了した後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(5−35%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して、標記化合物を単一の異性体(回転異性体の1:1混合物)として得た。H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.63(s、1H)、8.43−8.42(m、1H)、7.75(d、J=9.2Hz、1H)、7.70(d、J=9.2Hz)、4.49(d、J=8.2Hz、0.5H)、4.37(d、J=8.5Hz、0.5H)、4.22−4.14(m、0.5H)、4.09−4.01(m、1H)、3.90−3.79(m、1H)、3.76−3.67(m、1H)、3.63−3.57(m、1H)、3.53−3.49(m 1H)、3.14(s、1.5H)、3.14(s、1.5H)、2.95(s、1.5H)、2.95(s、1.5H)、2.69(br t、J=8.7Hz、1H)2.54−2.37(m、2H)2.06−1.86(m、5H)、1.67−1.55(m、3H)、1.42−1.34(m、1H);LC/MS 449.3(M+1)。
【0246】
実施例7に概説した手順に従って、表2に記載の実施例8及び9を調製した。
【0247】
【表2】


【0248】
【化63】

【0249】
4−[(1S,2S)−2−アミノ−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルジエチルカルバメート、トリフルオロ酢酸塩
段階A:4−[(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルジエチルカルバメート
中間体17のシス異性体及びトランス異性体をキラルHPLC(Chiracel ASカラム、5%イソプロパノールのヘプタン溶液)によって分離し、第2の溶出ジアステレオマーを続行した。この化合物(0.015g、0.038mmol)、塩化ジエチルカルバモイル(0.010mL、0.076mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(スパチュラ先端)のピリジン(1.5mL)溶液を115℃で加熱した。追加の塩化ジエチルカルバモイル及び4−ジメチルアミノピリジンを反応が終了するまで定期的に添加した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を逆相HPLC(10−100%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。標記化合物を、適切な画分を酢酸エチルで抽出し、続いて脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮して得た。LC/MS 512.0(M+Na)。
【0250】
段階B:4−[(1S,2S)−2−アミノ−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルジエチルカルバメート、トリフルオロ酢酸塩
段階Aで得られた材料(0.0055g、0.011mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。周囲温度で1時間後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(20−40%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して標記化合物を得た。LC/MS 390.5(M+1)、412.5(M+Na)。
【0251】
【化64】

【0252】
4−[(1S,2S)−2−アミノ−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルジメチルカルバメート、塩酸塩
標記化合物の調製には、実施例10で使用した手順と類似した手順を使用し、塩化ジメチルカルバモイルを利用した。LC/MS 362.8(M+1)、384.7(M+Na)。
【0253】
【化65】

【0254】
4−[(1S,2S)−2−アミノ−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルベンジルカルバメート、トリフルオロ酢酸塩
段階A:4−[(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルベンジルカルバメート
中間体17(0.050g、0.13mmol)のジクロロメタン(1.2mL)溶液にピリジン(0.020mL、0.25mmol)及びベンジルイソシアナート(0.020mL、0.16mmol)を添加した。追加のピリジン及びベンジルイソシアナートを、反応が終了するまで定期的に添加した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、0.5N塩酸水溶液、水及び塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーによって30−70%酢酸エチルのへキサン溶液勾配で溶出させて精製した。適切な画分を濃縮して、標記化合物をシスジアステレオマーとトランスジアステレオマーの混合物として得た。これらのジアステレオマーをキラルHPLC(Chiralcel ODカラム、10%イソプロパノールのヘプタン溶液で溶出)によって分離して標記化合物を単一の異性体として得た。溶出の速いジアステレオマー:LC/MS 546.5(M+Νa)。溶出の遅いジアステレオマー:LC/MS 546.5(M+Νa)。
【0255】
段階B:4−[(1S,2S)−2−アミノ−3−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−1−メチル−3−オキソプロピル]シクロヘキシルベンジルカルバメート、トリフルオロ酢酸塩
段階Aから得られた溶出の速い方のジアステレオマー(0.012g、0.023mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。周囲温度で1時間後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を1:1アセトニトリル/水(+0.1%トリフルオロ酢酸)に溶解し、凍結乾燥して標記化合物を得た。LC/MS 424.4(M+1)、446.4(M+Na)。
【0256】
実施例12に概説した手順に従って、表3に記載の実施例13−15を調製した。
【0257】
【表3】

【0258】
【化66】

【0259】
4−[(4−{(1S,2S)−2−アミノ−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキシル)オキシ]ベンズアミド、トリフルオロ酢酸塩
段階A:tert−ブチル((1S,2S)−2−{4−{4−(アミノカルボニル)フェノキシ]シクロヘキシル}−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}プロピル)カルバメート
中間体10(0.068g、0.18mmol)のTHF(1mL)溶液にトリフェニルホスフィン(0.072g、0.27mmol)、続いて4−ヒドロキシベンズアミド(0.037g、0.27mmol)及びジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.054mL、0.27mmol)を0℃で添加した。生成溶液を周囲温度に加温した。14時間後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を分取TLCによって70%酢酸エチルのへキサン溶液で溶出させて精製してシス異性体とトランス異性体の混合物を得た。これらのジアステレオマーをキラルHPLC(Chiralcel OJカラム、20%エタノールのへキサン溶液で溶出)によって分離して、溶出の速い方のジアステレオマーを純粋な異性体として得た。LC/MS 392.3(M+1−Boc)。
【0260】
段階B:4−[(4−{(1S,2S)−2−アミノ−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキシル)オキシ]ベンズアミド、トリフルオロ酢酸塩
段階Aから得られた溶出の速い方のジアステレオマー(0.0083g、0.017mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(0.1mL)を添加した。周囲温度で1時間後、追加のトリフルオロ酢酸を添加した。さらに1時間後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を逆相HPLC(10−70%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製した。適切な画分を凍結乾燥して標記化合物を得た。LC/MS 392.1(M+1)。
【0261】
【化67】

【0262】
(2S,3S)−3−[4−(4−シアノフェノキシ)シクロヘキシル]−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
標記化合物を実施例16と同様に調製した。LC/MS 374.0(M+1)。
【0263】
【化68】

【0264】
(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)−1,4−ジオキソ−3−[4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]ブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階A:(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−N,N−ジメチル−4−オキソ−2−[4−(2−オキソピロリジン−1−イル)フェニル]ブタンアミド
ヨウ化銅(0.019g、0.099mmol)及び炭酸カリウム(0.29g、2.1mmol)の固体に、中間体9(0.50g、0.99mmol)、ピロリジン−2−オン(0.29g、1.2mmol)及びN,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.022mL、0.20mmol)のトルエン3mL溶液を窒素雰囲気下で添加した。容器を密閉し、混合物を100℃で72時間加熱した。次いで、混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチル200mLで希釈した。混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(5%−10%メタノールの酢酸エチル溶液勾配)によって精製して透明油状の標記化合物を得た。LC/MS 509.5(M+1)。
【0265】
段階B:(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−N,N−ジメチル−4−オキソ−2−[4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]ブタンアミド
段階Aで調製した材料(0.46g、0.91mmol)の酢酸100mL溶液に固体酸化白金(IV)(200mg)を添加した。混合物を周囲温度で水素3atm(0.3MPa)下に24時間置いた。次いで、混合物をセライトを通してろ過し、減圧濃縮した。逆相液体クロマトグラフィー(25%−65%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して、標記化合物をシス1,4−二置換シクロヘキシルジアステレオマーとトランス1,4−二置換シクロヘキシルジアステレオマーの混合物として得た。これらのジアステレオマーをキラルHPLC(Chiracel ODカラム、5%エタノールのへキサン溶液)によって分離して、純粋な各ジアステレオマーを得た。溶出の速いジアステレオマー:LC/MS 514.4(M+1);溶出の遅いジアステレオマー:LC/MS 414.4(M+1−Boc)。
【0266】
段階C:(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)−1,4−ジオキソ−3−[4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]ブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート(溶出の遅いジアステレオマー)
段階Bから得られた溶出の遅い方のジアステレオマーを塩化水素(4M EtO溶液)3mLで処理した。周囲温度で75分後、溶液を減圧濃縮した。粗生成物を、逆相液体クロマトグラフィー(10%−25%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。H NMR(500MHz、CDOD):δ 4.43(d、J=8.5Hz、1H)、4.31(s、J=8.5Hz、1H)、4.12(q、J=11.5Hz、1H)、4.04(m、2H)、3.85(m、2H)、3.70(m、5H)、3.56(m、2H)、3.47(m、2H)、3.41(t、J=7.0Hz、2H)、3.10(s、3H)、2.92(s、3H)、2.50(m、2H)、2.42(m、2H)、2.35(t、2H、J=6.0Hz、3H)、2.00(quint.、J=5.5Hz、2H)、1.80(m、2H)、1.71(m、2H)、1.57(m、2H)、1.50(m、2H)、1.29(m、2H);LC/MS 415.4(M+1)。
【0267】
実施例18に概説した手順に従い、適切にR置換された中間体(中間体7又は中間体9)を用いて、表4に記載の実施例19−22を調製した。
【0268】
【表4】

【0269】
【化69】

【0270】
(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)−3−[4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル)シクロヘキシル]−1,4−ジオキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階A (2S,3S)−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−N,N−ジメチル−2−[4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル)シクロヘキシル]−4−オキソブタンアミド
中間体18(0.071g、0.15mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液にHOBT(0.030g、0.22mmol)及びEDC(0.043g、0.22mmol)を添加した。溶液を周囲温度で4時間撹拌し、続いて(1Z)−N’−ヒドロキシエタンイミドアミド(0.055g、0.74mmol)を添加した。生成溶液を周囲温度でさらに3時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。生成した固体をジグライム(8mL)に溶解し、100℃に18時間加熱した。溶液を再度減圧濃縮した。生成した固体を逆相液体クロマトグラフィー(20%−80%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して標記化合物をシス二置換シクロヘキシルジアステレオマーとトランス二置換シクロヘキシルジアステレオマーの混合物として得た。これらのジアステレオマーをキラルHPLC(Chiracel ODカラム、3%エタノールのへキサン溶液)によって分離して、純粋な各ジアステレオマーを得た。溶出の速いジアステレオマー:LC/MS 536.5(M+Νa);溶出の遅いジアステレオマー:LC/MS 536.4(M+Νa)。
【0271】
段階B:(2S,3S)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)−3−[4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル)シクロヘキシル]−1,4−ジオキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階Aから得られた溶出の速い方のジアステレオマー(0.032g、0.062mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液にトリフルオロ酢酸(2mL)を添加した。溶液を周囲温度で1時間撹拌し、次いで減圧濃縮して白色固体の標記化合物を得た。1H ΝMR(500MHz、CDOD):δ 4.45(d、J=8.5Hz、1H)、4.33(d、J=8.7Hz、1H)、4.11(q、J=14.7Hz、1H)、4.00(m、2H)、3.89(m、2H)、3.82(m、2H)、3.72(m、2H)、3.59(m、2H)、3.45(m、4H)、3.10(s、3H)、2.88(s、3H)、2.49(m、2H)、2.36(s、3H)、2.33(m、2H)、1.91(m、2H)、1.72(m、2H)、1.42(m、2H);LC/MS 414.4(M+1)。
【0272】
【化70】

【0273】
(2S,3S)−3−[4−({[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキシル]−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階A:ベンジル(4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキシル)カルバメート
中間体12(2.5g、6.1mmol)のトルエン(150mL)溶液にトリエチルアミン(1.3mL、9.2mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(2.1mL、9.2mmol)を添加した。溶液を110℃に90分間加熱し、次いで周囲温度に冷却した。溶液にベンジルアルコール(1.9mL、19mmol)を添加し、混合物を再度110℃に36時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチル400mLで希釈した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(65%酢酸エチルのへキサン溶液)によって精製して、標記化合物をシスシクロヘキシルジアステレオマーとトランスシクロヘキシルジアステレオマーの2:1混合物として得た。これらの混合物をキラルHPLC(Chiracel ODカラム、10%エタノールのへキサン溶液)によって分離して、純粋な各ジアステレオマーを得た。溶出の速いジアステレオマー(主):H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.35(m、5H)、5.33(d、J=19.5Hz、1H)、5.23(d、J=19.5Hz、1H)、5.10(m、3H)、4.99(s、2H)、4.41(t、J=10Hz、1H)、4.28(t、J=10Hz、1H)、3.91(m、8H)、3.73(t、J=4.5Hz、1H)、3.57(dd、J=3.5Hz、J=14Hz、1H)、3.51(m、2H)、2.36(m、1H)、2.28(m、1H)、2.05(m、1H)、1.89(m、2H)、1.79(m、2H)、1.58(m、2H)、1.43(s、9H)、1.34(m、2H)、1.22(d、J=6.0Hz、2H)、1.16(m、1H)、0.83(d、J=7.0Hz、2H)、0.80(d、J=7.0Hz、2H);LC/MS 406.2(M+1−Boc)。溶出の遅いジアステレオマー(副)H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.35(m、5H)、5.34(d、J=18.5Hz、1H)、5.23(d、J=18.5Hz、1H)、5.10(s、2H)、5.06(d、J=9.5Hz、2H)、4.64(d、J=6.5Hz、2H)、4.38(t、J=10Hz、1H)、4.26(t、J=10Hz、1H)、3.88(m、8H)、3.76(t、J=9.5Hz、1H)、3.58(dd、J=3.5Hz、J=14Hz、1H)、3.49(m、3H)、2.37(m、1H)、2.29(m、1H)、2.07(m、1H)、1.81(m、2H)、1.73(m、1H)、1.50(m、2H)、1.43(s、9H)、1.21(m、2H)、1.14(m、2H)、0.82(d、J=7.0Hz、2H)、0.78(d、J=7.0Hz、2H);LC/MS 406.2(M+1−Boc)。
【0274】
段階B:tert−ブチル((1S,2S)−2−(4−アミノシクロヘキシル)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}プロピル)カルバメート
段階Aで調製した材料のうち溶出の遅い方のジアステレオマー(0.60g、1.2mmol)のメタノール(100mL)溶液に炭素担持10%パラジウム(0.20g)を添加した。混合物を水素ガス3atm(0.3MPa)下に3時間置き、次いでセライトに通してろ過した。次いで、溶液を減圧濃縮し、透明油状の標記化合物を得た。LC/MS 372.3(M+H)。
【0275】
段階C:tert−ブチル((1S,2S)−2−[4−({[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキシル]−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}プロピル)カルバメート
段階Bで調製した材料(0.020g、0.054mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.019mL、0.11mmol)及び2,6−ジフルオロフェニルイソシアナート(0.010mL、0.081mmol)を添加した。周囲温度で8時間後、反応物を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。逆相HPLC(32%−70%アセトニトリル水溶液)によって精製してホワイル固体(while solid)の標記化合物を得た。LC/MS 427.2(M+1−Boc)。
【0276】
段階D:(2S,3S)−3−[4−({[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキシル]−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階Cで調製した材料(0.23g、0.48mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で3時間後、反応物を減圧濃縮した。逆相HPLC(20%−50%アセトニトリル水溶液)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 427.2(M+H)。
【0277】
【化71】

【0278】
(2S,3S)−3−(4−{[(ベンジルアミノ)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
標記化合物を、実施例24の段階B−Dに詳述した手順によって、実施例24の段階Aの溶出の遅い方のジアステレオマーから調製した。LC/MS 405.2(M+1)。
【0279】
【化71】

【0280】
(2S,3S)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソ−3−(4−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)シクロヘキシル]ブタン−2−アミニウムクロライド
段階A:tert−ブチル{(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−[4−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)シクロヘキシル]プロピル}カルバメート
実施例24の段階Bから得られた材料(32mg、0.085mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.022mL、0.13mmol)及び4−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルクロライド(0.034mL、0.094mmol)を添加した。周囲温度で2時間後、反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。分取薄層クロマトグラフィー(65%酢酸エチルのへキサン溶液)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 496.1(M+1−Boc)。
【0281】
段階B:(2S,3S)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソ−3−[4−({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]スルホニル}アミノ)シクロヘキシル]ブタン−2−アミニウムクロライド
段階Aで調製した固体材料(0.028g、0.047mmol)に4M塩化水素のジオキサン(2mL)溶液を添加した。周囲温度で2時間後、反応物を減圧濃縮して、白色固体の標記化合物を得た。H ΝMR(CDOD):δ 7.99(d、J=5.5Hz、2H)、7.47(d、J=8.0Hz、2H)、5.42(s、単一の回転異性体として0.5H)、5.36(t、J=3.0Hz、単一の回転異性体として0.5H)、5.31(s、単一の回転異性体として0.5H)、5.26(t、J=3.0Hz、単一の回転異性体として0.5H)、4.01(d、J=9.0Hz、1H)、3.96(d、J=9.0Hz、1H)、3.76(m、6H)、3.68(s、3H)、3.49(m、2H)、3.03(m、2H)、2.20(m、3H)、1.94(m、1H)、1.83(m、2H)、1.55(m、2H)、1.32(m、2H)、1.15(m、2H)、0.89(dd、J=2.0Hz、J=7.0Hz、3H);LC/MS 496.1(M+1)。
【0282】
実施例26に概説した手順に従い、適切にR置換された中間体を用いて、表5に記載の実施例27−29を調製した。
【0283】
【表5】

【0284】
【化72】

【0285】
(2S,3S)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソ−3−(4−{[4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイル]アミノ}シクロヘキシル)ブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階A:tert−ブチル[(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−(4−{[4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイル]アミノ}シクロヘキシル)プロピル]カルバメート
実施例24の段階Bで調製した材料(0.020g、0.054mmol)のDMF(2mL)溶液に4−(トリフルオロメトキシ)安息香酸(0.0090g、0.059mmol)、HOAT(0.0080g、0.059mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.047mL、0.27mmol)及びHATU(0.022g、0.059mmol)を添加した。周囲温度で24時間後、反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで洗浄した。有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。逆相HPLC(30%−60%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 506.3(M+1)。
【0286】
段階B:(2S,3S)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソ−3−(4−{[4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイル]アミノ}シクロヘキシル)ブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階Aで調製した材料(0.017g、0.036mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で3時間後、反応物を減圧濃縮して、白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 406.3(M+1)。
【0287】
【化73】

【0288】
(2S,3S)−3−(4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムクロライド
段階A:(2S,3S)−3−(4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムクロライド
実施例24の段階Bから得られた溶出の遅い方のジアステレオマー(0.020g、0.040mmol)に4M塩化水素のジオキサン(1mL)溶液を添加した。周囲温度で2時間後、反応物を減圧濃縮して、白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 406.2(M+1)。
【0289】
【化74】

【0290】
(2S,3S)−3−(4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)−4−(ジメチルアミノ)−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1,4−ジオキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
標記化合物を、実施例31の合成と同様に中間体15から調製した。LC/MS 463.2(M+1)。
【0291】
【化75】

【0292】
(2S,3S)−3−{4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキシル}−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階A:N−ベンジル−4−{(1S,2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−メチル−3−オキソプロピル}シクロヘキサンアミニウムトリフルオロアセタート
実施例24の段階Bで調製した材料(0.23g、0.61mmol)のジクロロエタン(7mL)溶液にベンズアルデヒド(0.068mL、0.67mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.19g、0.92mmol)を添加した。周囲温度で90分後、反応物をジクロロメタン100mLで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機層を脱水し(無水硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。逆相HPLC(15%−60%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 462.5(M+1)。
【0293】
段階B:tert−ブチル((1S,2S)−2−{4−[ベンジル(メチル)アミノ]シクロヘキシル}−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}プロピル)カルバメート
段階Aで調製した材料(0.25g、0.54mmol)のメタノール(6mL)溶液に37%ホルムアルデヒド水溶液(0.10mL、1.62mmol)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.46g、2.16mmol)を添加した。周囲温度で3時間後、反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮し、透明油状の標記化合物を得た。この材料をさらに精製せずに使用した。LC/MS 476.5(M+1)。
【0294】
段階C:tert−ブチル{(1S,2S)−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}−2−[4−(メチルアミノ)シクロヘキシル]プロピル}カルバメート
段階Bで調製した材料(0.18g、0.37mmol)のメタノール(100mL)溶液に水酸化パラジウム(II)(0.10g)を添加した。混合物を周囲温度で水素3atm(0.3MPa)下に6時間置き、次いでセライトに通してろ過した。溶液を減圧濃縮し、透明油状の標記化合物を得た。この材料をさらに精製せずに使用した。LC/MS 386.3(M+1)。
【0295】
段階D:tert−ブチル((1S,2S)−2−{4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキシル}−1−{[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]カルボニル}プロピル)カルバメート
段階Cで調製した材料(0.020g、0.052mmol)のDMF(1mL)溶液に酢酸(0.003mL、0.06mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.045mL、0.26mmol)、HOAT(0.6M DMF溶液0.095mL、0.095mmol)及びHATU(0.022g、0.095mmol)を添加した。周囲温度で3時間後、反応物を酢酸エチル100mLで希釈し、0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を塩水で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧濃縮した。逆相液体クロマトグラフィー(20%−60%アセトニトリル水溶液勾配)によって精製して白色固体の標記化合物を得た。LC/MS 450.3(M+Νa)。
【0296】
段階E:(2S,3S)−3−{4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキシル}−1−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−1−オキソブタン−2−アミニウムトリフルオロアセタート
段階Dで調製した材料(0.012g、0.028mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。周囲温度で3時間後、反応物を減圧濃縮して、白色固体の標記化合物を得た。H ΝMR(500MHz、CDOD):δ 5.41(s、単一の回転異性体として0.5H)、5.36(s、単一の回転異性体として0.5H)、5.31(単一の回転異性体として0.5H)、5.26(単一の回転異性体として0.5H)、4.28(m、1H)、4.06(dd、J=5.5Hz、J=9.0Hz、1H)、4.00(dd、J=5.5Hz、J=9.0Hz、1H)、3.78(m、6H)、3.64(m、2H)、3.51(m、1H)、2.90(s、単一の回転異性体として1.5H)、2.79(s、単一の回転異性体として1.5H)、2.31(m、2H)、2.13(s、3H)、2.07(s、3H)、1.98(m、2H)、1.70(m、6H)、1.30(m、2H)、0.93(m、3H);LC/MS 328.3(M+1)。
【0297】
実施例33に概説した手順に従い、適切にR置換及びX置換された中間体を用いて、表6に記載の実施例34−48を調製した。
【0298】
【表6】



【0299】
薬剤処方例
経口薬剤組成物の具体的な実施形態として、100mg力価の錠剤は、本発明の化合物のいずれか100mg、微結晶セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mg及びステアリン酸マグネシウム4mgで構成される。活性微結晶セルロースとクロスカルメロースを最初に混合する。次いで、混合物をステアリン酸マグネシウムによって潤滑性をもたせ、圧縮成型して錠剤にする。
【0300】
ある具体的実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者は、手順及びプロトコルの様々な手直し、変更、改変、置換、削除又は追加を、本発明の精神及び範囲から逸脱せずになし得ることを理解されたい。例えば、本発明の上記化合物による適応症のいずれかについて治療を受ける哺乳動物の応答性にはばらつきがあるので、本明細書に示す特定の投与量以外の有効投与量を適用する場合もある。認められる具体的薬理学的応答は、選択する特定の活性化合物に応じて、又は薬剤担体が存在するかどうかによって、また、使用する製剤タイプ及び投与方法に応じて変わることがあり、薬理学的応答におけるかかる予想される変動又は差異も本発明の目的及び実施によって企図される。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によって規定され、かかる特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【化1】

(式中、
各nは独立に0、1又は2であり、
m及びpは独立に0又は1であり、
XはCH、S、CHF又はCFであり、
は水素又はシアノであり、
は、
1−10アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され(式中、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
非置換フェニルオキシ、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、CONR、シアノ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)から独立に選択される1個から5個の置換基で置換されたフェニルオキシ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、アリール、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択され(式中、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
は、
水素、
ヒドロキシ、
ハロゲン、
シアノ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、及び
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)
からなる群から選択され、
及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から各々独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成しており(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
は、(CH−ヘテロアリール、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、ヘテロアリール、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されており(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、(CH中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは水素又はRである。)
【請求項2】
*印の付いた炭素原子が式Iaの立体配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
*印の付いた炭素原子と、Rに結合し、**印の付いた炭素原子とが、式Ibの立体配置を有する、請求項2に記載の化合物。
【化3】

【請求項4】
*印の付いた炭素原子と、Rに結合し、**印の付いた炭素原子と、Rに結合し、***印の付いた炭素原子とが、式Icの立体配置を有する、請求項3に記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
式Idに示されるとおり、mが1であり、pが0である、請求項1に記載の化合物。
【化5】

【請求項6】
*印の付いた炭素原子と、Rに結合し、**印の付いた炭素原子とが、式Ieの立体配置を有する、請求項5に記載の化合物。
【化6】

【請求項7】
*印の付いた炭素原子と、Rに結合し、**印の付いた炭素原子と、Rに結合し、***印の付いた炭素原子とが、式Ifの立体配置を有する、請求項6に記載の化合物。
【化7】

【請求項8】
が水素であり、Rが水素又はヒドロキシであり、XがCHF又はCFである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、
1−3アルキル(式中、アルキルは、非置換であり、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている。)、
CH−C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、及び
CONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONMe
CONH
CONHMe、
CONHEt、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、及び
[(テトラゾル−5−イル)アミノ]カルボニル
からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、
非置換フェニルオキシ、又はハロゲン、ヒドロキシ、CONR、シアノ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)から独立に選択される1個から5個の置換基で置換されたフェニルオキシ、
NR
CONR
OCONR
NRSO
NRCONR
NRCOR
NRCO
(CH−COOC1−6アルキル、
アリール(式中、アリールは、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であり、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)、
ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であり、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、アリール、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個から3個の置換基で置換されている(式中、アリール、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子が、非置換であり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1個から2個の基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であり、又は1個から5個のハロゲンで置換されている。)、
請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONMe
CONH
CONHMe、
CONHEt、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、及び
[(テトラゾル−5−イル)アミノ]カルボニル
からなる群から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
【化8】



からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項15】
哺乳動物において高血糖、2型糖尿病、肥満及び脂質障害からなる群から選択される症状の治療に使用する医薬品の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】
前記脂質障害が、異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2007−538079(P2007−538079A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527318(P2007−527318)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/016825
【国際公開番号】WO2005/116029
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】