説明

紙葉類搬送装置の通信システム

【課題】簡素な構成の紙葉類搬送装置の通信システムを提供する。
【解決手段】搬送路20内で紙幣が重なってしまうことを防止する中継コントローラ部60を遊技用媒体貸出機11内に備えたので、中継コントローラ部60を単独で設置する必要が無く、構成が簡素化されてコストダウンを図ることができるとともに、設置作業負担を軽減することができる。また、遊技用媒体貸出機11での処理に関するデータ(売り上げデータなど)と、搬送検出センサ35で検出された紙幣の通過状況のデータとを島中継器信号線50を通じて島中継器55に送信するものとしたので、売り上げデータ送信用の信号線と紙幣の通過状況のデータを送信する信号線とを個別に備える必要が無く、構成が簡素化されてコストダウンを図ることができるとともに設置作業負担を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の投入機から投入される紙幣などの紙葉類を収納部へ搬送する紙葉類搬送装置の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類を搬送する装置として、例えば遊技用媒体貸出機に投入された紙幣を搬送ベルト等に挟持して島端の回収装置へ搬送する紙幣搬送装置がある。
すなわち、搬送ベルト等を備える搬送路の両側に背中合わせに並べられた遊技台の間に、遊技用媒体貸出機が設置され、それぞれ導入路により搬送路に接続されていて、紙幣を遊技用媒体貸出機から導入路を経て搬送路に合流させるようにしている。
このような装置では、回収される紙幣は島ごとに売上を管理することからその枚数を計数する必要があるが、遊技用媒体貸出機が複数の遊技台に隣接して多数設置され、各遊技用媒体貸出機から任意に紙幣が投入されると、搬送ベルト上で搬送中の紙幣と重なってしまい正確な計数が不可能になるという問題がある。
【0003】
そこで、搬送ベルト上で紙幣が重ならないようにした装置が提案されている。
この装置では、図3に示すように、破線で示す搬送路20の両側に背中合わせに並べられたパチンコ台40の間に、遊技用媒体貸出機としての玉貸機41L、41Rが設置され、各玉貸機が導入路15L、15R(図中破線で示す)により搬送路20に接続されており、玉貸機41L、41Rの投入口から投入された紙幣を導入路15L、15Rを経て搬送路20に合流させるようにしている。
また、対向する玉貸機41L、41Rを制御する中継コントローラ30を備え、さらに搬送路20において導入路15L、15Rが合流する位置よりも所定距離上流側(図3中において、紙幣は右側から左側へ向けて移動する)に搬送路20内を流れる紙幣を検出する搬送検出センサ35を備える。
搬送検出センサ35は、中継コントローラ30に接続されている。
【0004】
玉貸機41L、41R、および中継コントローラ30は、対向検出通信ケーブル31によって接続されている。
中継コントローラ30は、対向する玉貸機41L、41Rに入れられた紙幣が導入路15L、15Rの合流点で重ならないように、玉貸機41L、41Rが導入路15L、15Rに紙幣を送り出すタイミングを制御している。
さらに中継コントローラ30は、搬送検出センサ35によって紙幣の通過が検出されると、搬送路20を流れる紙幣と導入路15L、15Rから搬送路20へ送られた紙幣とが重なることが無いように玉貸機41L、41Rが導入路15L、15Rへ紙幣を送り出すタイミングを制御している。
【0005】
玉貸機41L、41Rでの処理に関するデータ(売り上げデータなど)を島ごとに管理する島管理機12を備え、玉貸機41L、41Rと島管理機12とが貸出機通信ケーブル13によって接続されている。
また中継コントローラ30も搬送通信ケーブル32によって島管理機12に接続され、紙幣の通過状況などを島管理機12に送信する。
島管理機12は、LAN14によって図示しない中央管理システムに接続されている。
このような装置と同様のものが、たとえば特開2003−288631号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2003−288631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の装置においては、搬送検出センサ35の検出データを島管理機12に送信する際に中継コントローラ30を介してデータ送信の制御を行う必要があり、中継コントローラ30と搬送通信ケーブル32の設置および配線が必要となって設置作業が複雑となっていた。
また玉貸機41L、41Rおよび中継コントローラ30側から島管理機12にデータを送信するために、貸出機通信ケーブル13と搬送通信ケーブル32とが必要となり、配線作業が複雑になるとともに配線ミスを引き起こす恐れもあった。
【0007】
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、簡素な構成の紙葉類搬送装置の通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、搬送路に沿って複数の投入機が設置され、投入機に投入された紙葉類をそれぞれ導入路を経て搬送路へ合流させて、搬送路で収納部へ搬送する紙葉類搬送装置の通信システムにおいて、搬送路の投入機からの導入路との合流点ごとにその所定距離上流に設けられ、搬送路を搬送される紙葉類を検出する搬送検出センサと、該搬送検出センサからの信号が入力され、合流点で紙葉類が重ならないように投入機から導入路へ送られる紙葉類の制御を行う制御部と、投入機での処理に関するデータと、搬送検出センサからのデータとを受信し、投入機の制御を行う管理装置と、投入機と管理装置とを接続する通信ケーブルとを備え、制御部は投入機内に構成され、投入機での処理に関するデータと、搬送検出センサからのデータとが、通信線を介して管理装置に入力されるものとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、合流点で紙葉類が重ならないように制御する制御部を投入機内に構成することにより、個別に制御部を設置する必要が無くなり設置作業負担の軽減やコストダウンを図ることができる。また、投入機での処理に関するデータと、搬送検出センサからのデータとを通信ケーブルのみを用いて管理装置に送信するものとしたので、それぞれのデータ専用に個別に通信ケーブルを敷設する必要が無く、設置負担の低減やコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1は本発明を複数の遊技用媒体貸出機からの紙幣を共通の収納部へ搬送する紙幣搬送装置に適用した実施例の構成を示す図である。
投入機としての遊技用媒体貸出機11(11L、11R)は複数の遊技台10(例えばパチンコ台あるいはパチスロ台など)に隣接して設置されたパチンコ台間遊技用媒体貸出機やメダル台間貸機であって、搬送路20の両側に背中合わせに設けられている。各遊技用媒体貸出機11は紙幣投入口を有し、内部に紙幣の受け入れ遅延動作機構61を有している。なお、遊技用媒体貸出機11の内部にはさらに中継コントローラ部60(詳しくは後述する)や、図示しない紙幣鑑別機も備えられている。
遊技用媒体貸出機11と搬送路20は導入路15(15L、15R)により接続されている。
なお、図1中において搬送路20および導入路15は破線で示してある。
【0011】
搬送路20の一端には、遊技用媒体貸出機11から導入路15を経て搬送路20へ送られた紙幣を整列して収納する収納部21(図1中、破線で示す)が設けられている。
搬送路20にはさらに各導入路15との合流点Pより所定距離Lだけ上流側(図1中において、紙幣は右側から左側へ向けて移動する)に搬送路20を移動する紙幣を検出する搬送検出センサ35が設置されている。
搬送検出センサ35を設置する所定距離Lは、搬送検出センサ35が紙幣を検出した時点で遊技用媒体貸出機11から繰り出された紙幣が合流点Pを通過した後、搬送検出センサ35で検出された紙幣が当該合流点Pに到達する長さに設定してある。
【0012】
搬送検出センサ35は遊技用媒体貸出機11Rに接続され、検出結果が遊技用媒体貸出機11Rに入力される。
遊技用媒体貸出機11L、11Rはそれぞれ対向するもの同士が対向検出通信ケーブル51によって接続されている。
遊技用媒体貸出機11は、内部に中継コントローラ部60を備えている。
なお中継コントローラ部60によって行われる処理は、遊技用媒体貸出機11の本来の機能である投入された紙葉類の計数や、媒体貸し出しのための演算処理を行うCPUを用いて行われる。
【0013】
中継コントローラ部60は、搬送検出センサ35からの検出信号を取り込み、遅延動作機構61に対して、保持信号または解除信号を送出する。
解除信号は遊技用媒体貸出機11から導入路15への紙幣の繰り出しを許可するもので、保持信号は紙幣の繰り出しを禁止する。
したがって、遊技用媒体貸出機11は保持信号を受けている間に紙幣投入口に紙幣が投入されると、受け入れ遅延動作機構61が紙幣の受け入れ遅延動作を繰り返す。この受け入れ遅延動作は、紙幣を紙幣投入口で一旦は受け入れるが直ちに返却するもので、特開平6−183593号公報に示した受け入れ遅延動作機能と同じである。
【0014】
中継コントローラ部60は、対向する遊技用媒体貸出機11L、11Rに備えられた中継コントローラ部60と対向検出通信ケーブル51を通じて通信を行い、対向する遊技用媒体貸出機11L、11Rに入れられた紙幣が導入路15L、15Rの合流点で重ならないように、遅延動作機構61に保持信号または解除信号を送出する。
さらに中継コントローラ部60は、搬送検出センサ35によって紙幣の通過が検出されると、搬送路20を流れる紙幣と導入路15L、15Rから搬送路20へ送られた紙幣とが重なることが無いように遅延動作機構61に保持信号または解除信号を送出する。
【0015】
遊技用媒体貸出機11は、島中継器信号線50を介して島中継器55に接続されている。
島中継器信号線50は、半二重シリアル通信(RS485規格など)が用いられ、一対複数のマルチドロップ接続に対応している。
遊技用媒体貸出機11は、該遊技用媒体貸出機11での処理に関するデータ(売り上げデータなど)を島中継器信号線50によって送信可能な信号にプログラム上で変換し、島中継器信号線50を通じて島中継器55に送信する。
さらに遊技用媒体貸出機11は、搬送検出センサ35によって検出された紙幣の通過状況などのデータを島中継器信号線50によって送信可能な信号にプログラム上で変換し、島中継器信号線50を通じて島中継器55に送信する。
【0016】
島中継器55は、通信線52を介して島管理機12と接続されている。
島中継器55は、島中継器信号線50を通じて入力された遊技用媒体貸出機11での処理に関するデータ(売り上げデータなど)や紙幣の通過状況などのデータを、島管理機12において利用可能なようにプログラム上で再変換し、変換後のデータを通信線52を通じて島管理機12に送信する。
【0017】
島管理機12は、遊技用媒体貸出機11L、11Rでの処理に関するデータ(売り上げデータなど)を島ごとに管理したり、通過する紙幣の管理などを行う。
また島管理機12は、島中継器55を通じて遊技用媒体貸出機11の制御を行う。
島中継器55は、LAN14によって図示しない中央管理システムなどに接続されている。
なお本実施例において、遊技用媒体貸出機11が本発明における投入機を構成し、中継コントローラ部60が本発明における制御部を構成する。また島管理機12および島中継器55が本発明における管理装置を構成し、島中継器信号線50が本発明における通信ケーブルを構成する。
【0018】
本実施例は以上のように構成され、対向する遊技用媒体貸出機11L、11Rに投入された紙幣が導入路15L,15Rの合流点で重なってしまうことを防止したり、搬送路20を流れる紙幣と導入路15L、15Rから搬送路20に合流した紙幣とが重なってしまうことを防止する中継コントローラ部60を遊技用媒体貸出機11内に備えたので、中継コントローラ部60を単独で設置する必要が無い。
また、島中継器55と遊技用媒体貸出機11とを半二重シリアル通信(RS485規格など)の島中継器信号線50によって接続し、遊技用媒体貸出機11での処理に関するデータ(売り上げデータなど)と、搬送検出センサ35によって検出された紙幣の通過状況のデータとを島中継器信号線50を通じて島中継器55に送信するものとしたので、処理に関するデータ(売り上げデータなど)送信用の信号線と紙幣の通過状況のデータを送信する信号線とを個別に備える必要が無く、構成が簡素化されてコストダウンを図ることができる。
【0019】
中継コントローラ部60が遊技用媒体貸出機11と一体に構成され、さらに遊技用媒体貸出機11と島中継器55とを接続する信号線が島中継器信号線50のみでよいため、配線が簡素化されて、配線ミスの軽減や各装置の設置作業負担の軽減を図ることができる。
【0020】
なお上記実施例において、対向検出通信ケーブル51を用いて対向する遊技用媒体貸出機11L、11R同士を接続するものとしたが、図2に示すように対向検出通信ケーブル51を省略し、遊技用媒体貸出機11Lの中継コントローラ部60と遊技用媒体貸出機11Rの中継コントローラ部60同士の通信を島中継器信号線50を用いて行うようにしてもよい。
この場合には対向検出通信ケーブル51を備える必要がないため、構造がより簡素化されて配線ミスや各装置の設置作業の負担の軽減、コストダウンをより一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例の構成を示す図である。
【図2】変形例の構成を示す図である。
【図3】従来例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10 遊技台
11、11L、11R 遊技用媒体貸出機
12 島管理機
14 LAN
15、15L、15R 導入路
20 搬送路
21 収納部
35 搬送検出センサ
50 島中継器信号線
51 対向検出通信ケーブル
52 通信線
55 島中継器
60 中継コントローラ部
61 遅延動作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って複数の投入機が設置され、投入機に投入された紙葉類をそれぞれ導入路を経て搬送路へ合流させて、搬送路で収納部へ搬送する紙葉類搬送装置の通信システムにおいて、
搬送路の前記投入機からの導入路との合流点ごとにその所定距離上流に設けられ、搬送路を搬送される紙葉類を検出する搬送検出センサと、
該搬送検出センサからの信号が入力され、前記合流点で紙葉類が重ならないように前記投入機から導入路へ送られる前記紙葉類の制御を行う制御部と、
前記投入機での処理に関するデータと、前記搬送検出センサからのデータとを受信し、前記投入機の制御を行う管理装置と、
前記投入機と前記管理装置とを接続する通信ケーブルとを備え、
前記制御部は前記投入機内に構成され、前記投入機での処理に関するデータと、前記搬送検出センサからのデータとが、前記通信線を介して前記管理装置に入力されることを特徴とする紙葉類搬送装置の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−56395(P2008−56395A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233408(P2006−233408)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000162906)狭山精密工業株式会社 (162)
【Fターム(参考)】