説明

紫外線吸収剤を含む粒子

【課題】紫外線吸収化合物を含む小さく安定な粒子を提供する。
【解決手段】250〜400nmの範囲にλmaxを有する少なくとも1種の化合物を含むコア、および架橋ポリマー系シェルを含み、80〜500nmの平均直径を有する粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーシェルと紫外線吸収化合物とを含む粒子に関する。このような粒子は、例えば、化粧品および皮膚用配合物に有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリマー物質中への様々な活性成分の封入が知られている。例えば、米国特許第7,176,255号はミニエマルション重合の手段によるポリマーシェル中へのペリレン可視染料の封入を教示する。しかし、紫外線吸収化合物を小さな粒子中に封入する方法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,176,255号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により取り組まれる課題は、紫外線吸収化合物を含む小さく安定な粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)250〜400nmの範囲にλmaxを有する少なくとも1種の化合物を含むコア;および(b)少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物のモノマー残基10〜100重量%および少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物のモノマー残基0〜90重量%を含むポリマーを含むシェル;を含み、80〜500nmの平均直径を有する粒子に関する。本発明は、さらに、当該粒子を含む日焼け止め剤配合物に関し、さらにミニエマルション重合により当該粒子を製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
他に特定されない限りは、パーセンテージは重量パーセンテージ(重量%)であり、温度は℃である。本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルをいう。本発明に有用なモノマーには、モノエチレン性不飽和化合物および多エチレン性不飽和モノマー、すなわち、架橋剤、例えば、ジビニル芳香族化合物、ジ−およびトリ−(メタ)アクリラートエステル、ジ−およびトリ−ビニルエーテル化合物、アリル(メタ)アクリラートが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸、並びにそのエステル、アミドおよびニトリル;スチレン、クロロ−および/またはメチル−置換スチレン、ビニルピリジン、並びにビニルエステル、エーテルおよびケトンが挙げられる。水性相に充分に不溶性であるモノマーが好ましい。用語「スチレン系ポリマー」は、スチレンモノマー(置換または非置換スチレン、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン)および/または少なくとも1種の架橋剤(ただし、スチレンと架橋剤との合計重量が全モノマー重量の少なくとも50重量%である)を含むモノマーから重合されたコポリマーを示す。ある実施形態においては、スチレン系ポリマーは、少なくとも75%のスチレンおよび架橋剤、あるいは少なくとも90%のスチレンおよびジビニル芳香族架橋剤であるモノマーの混合物から、あるいは、スチレンおよび少なくとも1種のジビニル芳香族架橋剤から本質的になるモノマーの混合物から製造される。他の実施形態においては、スチレン系ポリマーは、少なくとも1種のジビニル芳香族架橋剤から本質的になるモノマー混合物から製造される。用語「アクリル系ポリマー」は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸、エステルもしくはアミドまたは(メタ)アクリロニトリルを含むビニルモノマーと、少なくとも1種の架橋剤(例えば、アリルメタクリラート、ALMA;トリメチロールプロパントリメタクリラート、TMPTMA)とを含むビニルモノマーの混合物(ただし、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、AA;メタクリル酸、MAA)またはエステル(例えば、メチルメタクリラート、MMA)もしくはアミドまたは(メタ)アクリロニトリルと、架橋剤との合計重量は、全モノマー重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%である)から形成されるコポリマー、および最も好ましくは、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸またはエステルおよび少なくとも1種の架橋剤から本質的になるモノマーの混合物から形成されるコポリマーを意味する。ある実施形態においては、(メタ)アクリル酸エステルはC−Cヒドロキシ置換アルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、2−ヒドロキシプロピルアクリラート(HPA)である。「アクリル系/スチレン系ポリマー」は少なくとも50%、あるいは少なくとも75%、あるいは少なくとも90%の、上記定義のアクリル系およびスチレン系モノマーを含むビニルモノマーの混合物から形成されるものである。
【0007】
本発明の粒子で認められる平均粒子サイズは、光散乱測定により決定される重量平均である。本発明のある実施形態においては、平均粒子サイズは少なくとも100nm、あるいは少なくとも125nm、あるいは少なくとも150nm、あるいは少なくとも160nmである。ある実施形態においては、平均粒子サイズは400nm以下、あるいは300nm以下、あるいは250nm以下、あるいは230nm以下、あるいは220nm以下、あるいは210nm以下、あるいは200nm以下である。
【0008】
コア中の少なくとも1種の紫外線吸収化合物は、好ましくは少なくとも275nm、あるいは少なくとも300nmのλmaxを有する。本発明のある実施形態においては、少なくとも2種の紫外線吸収化合物がコア中に存在し、そのうちの1種は250〜325nmの範囲にλmaxを有し、そのうちのもう1種は325〜400nmの範囲にλmaxを有する。好ましくは、紫外線吸収化合物は、λmaxにおいて、少なくとも3,000L/cm・mole、あるいは、少なくとも4,000L/cm・mol、あるいは少なくとも5,000L/cm・molの吸光係数を有する。好ましくは、紫外線吸収化合物は有機化合物、すなわち、炭素を含み、多くとも痕跡量の金属しか有さないものであり、より好ましくは芳香族化合物である。可視範囲、すなわち400nm超にλmaxを有する可視染料は、本発明の目的については紫外線吸収化合物とは見なされない。本発明のある実施形態において、粒子は何らかの可視染料を、粒子の重量を基準にして、1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.2%未満、あるいは0.1%未満含む。紫外線吸収化合物の例は、例えば、米国特許第7,316,809号に認められうる。好ましい紫外線吸収化合物には、例えば、アミノ安息香酸、アボベンゾン(avobenzone)、シノキサート、ジオキシベンゾン、ホモサラート、メンチルアントラニラート、オクトクリレン、メトキシケイヒ酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメート(Padimate)O、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、およびサリチル酸トロラミンが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収化合物はアボベンゾンである。
【0009】
シェルポリマーはフリーラジカル付加ポリマーである。本発明のある実施形態においては、それはアクリル系ポリマー、スチレン系ポリマーまたはアクリル系/スチレン系ポリマーである。本発明のある実施形態においては、シェルポリマーは、少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物のモノマー残基を少なくとも15%、あるいは少なくとも20%、あるいは少なくとも25%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも35%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも60%含み;ある実施形態においては、95%以下で、あるいは90%以下で含む。本発明のある実施形態においては、シェルポリマーは少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物のモノマー残基を85%以下で、あるいは80%以下で、あるいは70%以下で、あるいは65%以下で、あるいは60%以下で、あるいは50%以下で、あるいは40%以下で含み;ある実施形態においては、少なくとも5%、あるいは少なくとも10%含む。上記パーセンテージはシェル重量を基準とする。
【0010】
本発明のある実施形態においては、好ましくは、シェルポリマーを製造するために使用されるモノエチレン性不飽和化合物は、少なくとも1種の極性アクリル系モノマー、すなわち、ヒドロキシ、カルボキシルまたはアミド基を有するものを含む。好ましくは、極性アクリル系モノマーの量は、ポリマー重量を基準にして、少なくとも1%、あるいは少なくとも2%、あるいは少なくとも5%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも15%、あるいは少なくとも20%であり;好ましくは、その量は、50%以下、あるいは40%以下、あるいは30%以下、あるいは25%以下である。特に好ましいモノマーには、HEMA、HPMA、HEA、HPMA、AA、MAA、アクリルアミド、およびメタクリルアミドが挙げられる。好ましくは、モノエチレン性不飽和化合物はヒドロキシ基を有する。好ましくは、カルボン酸モノマー残基はポリマーの5%以下、あるいは3%以下、あるいは2%以下、あるいは1%以下を構成する。本発明のある実施形態においては、多エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1種のジエチレン性不飽和化合物、例えば、アリルメタクリラート(ALMA)、アリルアクリラート、ジビニルベンゼンを含む。本発明のある実施形態においては、多エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1種のトリエチレン性不飽和化合物、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリラートを含む。
【0011】
本発明のある実施形態においては、コアは粒子の少なくとも25重量%、あるいは少なくとも35重量%、あるいは少なくとも45重量%、あるいは少なくとも50重量%、あるいは少なくとも55重量%、あるいは少なくとも60重量%、あるいは少なくとも65重量%、あるいは少なくとも70重量%、あるいは少なくとも75重量%、あるいは少なくとも80重量%であり;ある実施形態においては、95重量%以下、あるいは90重量%以下、あるいは85重量%以下である。ある実施形態においては、シェルは粒子の少なくとも5重量%、あるいは少なくとも10重量%、あるいは少なくとも15重量%であり;ある実施形態においては、75重量%以下、あるいは65重量%以下、あるいは55重量%以下、あるいは50重量%以下、あるいは45重量%以下、あるいは40重量%以下、あるいは35重量%以下、あるいは30重量%以下、あるいは25重量%以下、あるいは20重量%以下である。本発明のある実施形態においては、コアは少なくとも2種の紫外線吸収化合物を含み、そのうちの1種はUV−A範囲(290−325nm)で最も強く吸収し、かつそのうちの1種はUV−B範囲(325−400nm)で最も強く吸収する。好ましくは少なくとも1種のUV−A吸収剤は、コア重量を基準にしたパーセンテージで、コアの20〜100%、あるいは25〜80%、あるいは25〜60%、あるいは30〜50%、あるいは30〜40%である。好ましいUV−A吸収剤のひとつはアボベンゾンであり、好ましいUV−B吸収剤のひとつはホモサラート(サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)である。アボベンゾンが粒子中に存在する場合には、アボベンゾン用の紫外線安定化剤も存在する場合を除いて、好ましくはメトキシケイヒ酸オクチルは存在しない。本発明のある実施形態においては、コアはUV−A吸収剤および必ずしも紫外範囲を強く吸収するものではない溶媒を含む。溶媒は、好ましくは、大気圧で100℃を超える沸点を有し、かつ疎水性であり、すなわちそれは10未満のHLB(親水性親油性バランス)を有する。ある好ましい溶媒はミリスチン酸イソプロピルである。
【0012】
本発明の粒子は、好ましくは、例えば、G.H.Al−Ghamdi et al.,J.Appl.Poly.Sci.,第101巻、3479−3486ページ(2006)、またはLandfester,K.,Macromol.Rapid.Commun.,第22巻、896−936ページ(2001)およびそこで引用される文献に記載されるようなミニエマルション重合の技術によって、好ましくは200nmの液滴を生じさせるのに充分な動力で、超音波または高圧ホモジナイザーを用いて製造される。好ましくは、重合は、20℃〜100℃の温度範囲で行われる。水可溶性および油可溶性開始剤の双方、例えば、過硫酸塩およびラウロイルペルオキシドを含むフリーラジカル開始剤が重合を開始するのに好適である。従来の乳化重合に好適な界面活性剤はミニエマルション重合に好適である。アニオン性界面活性剤が好適である。好ましくは、重合混合物の固形分含量は20〜65%、あるいは20〜60%、あるいは25〜55%、あるいは30〜50%である。
【0013】
本発明は、粒子を含む化粧品または皮膚用配合物(dermatological formulation)をさらに含む。このような配合物は、例えば、米国特許第6,379,683号およびそこで引用される文献に記載されるように周知である。本発明のある実施形態においては、化粧品または皮膚用配合物は、粒子状散乱体、例えば、ロームアンドハースカンパニーによって販売されるSUNSPHERES(商標)ポリマー、金属酸化物、固体紫外線吸収剤、例えば、チバケミカルカンパニーによって販売されるTINOSORB(商標)SおよびTINOSORB(商標)M、酸化亜鉛、二酸化チタン、または他の散乱体、例えば、ガラスビーズもしくはポリマー粒子を含む。これらはある配合物において皮膚ミューティング効果(skin muting effect)を望まない限りは、皮膚の白色化をもたらすことなしに最大効率の散乱を達成する量で含まれるであろう。望ましい量は、一般的に、配合物中に、最大5重量%、最小0.1重量%である。
【実施例】
【0014】
実施例1:一般的なミニエマルション重合手順
モノマー、コア化合物、開始剤(過硫酸塩)、界面活性剤および水を30〜50%固形分の濃度で反応器に入れる。その混合物は超音波ホモジナイザーを用いて、開始温度35℃で撹拌され、次いで、75〜85℃に加熱され、発熱反応のために約95℃の最大温度に到達した。
【0015】
実施例2:様々な架橋を用いた粒子の製造
様々な架橋およびシェル含量を有する以下の粒子を製造するために上記の手順が使用された。架橋剤(xl)および他のモノマーの量はシェルポリマーに対するものであり、シェルの量は粒子全体に対するものである。粒子B、CおよびE−Gのコアは、アボベンゾンおよびホモサラートを31:69の重量比で含んでおり、粒子Hのコアは33:67の重量比で含んでいた。
【0016】
【表1】

【0017】
実施例3:配合および試験
オプトメトリクス(OPTOMETRICS)SPF290インビトロ測定
概要:試験される日焼け止め剤はあらかじめ洗浄された8.3×10.2cm(3.25×4インチ)プロジェクタースライドカバーガラス(コダックcat#1402130)上に広げられ、日焼け防止指数(SPF)はSPF操作ソフトウェア(バージョン2.1)およびSPF290分析器(The Optometrics Group)を用いて推定される。
【0018】
手順:
1.長さ4インチの片が3M TRANSPORE テープRの3インチロールから取り出され、装置と共に供給されるサンプルホルダー上に配置され、ホルダー上のこのテープ片を用いてその装置はゼロ値が設定された。
2.スライドガラスをその場に保持するために吸引プレートを使用して、1.0ミルまたは1.5ミルのいずれかのスペーサー湿式膜アプリケーター(Byk Gardner Company cat#SAR−5358)を滑らかな動きで、中程度の速度で用いて、均一な膜がそのスライドガラス上にドローダウンされる。ドローダウン速度は、その速度が膜の厚さおよびそれによりSPF値を達成するであろうように、決定から決定まで一貫していなければならない。
3.日焼け止め剤膜はガラス上で少なくとも20分間乾燥させられる。複数のサンプルが評価される場合には、サンプルのドローダウンは、それぞれのサンプルの乾燥時間が互い違いにされ、ドローダウン後の測定時間が一致しているように計画される。サンプルが乾燥させられる間に、オプトメトリクスSPF290分析器が運転開始する。その装置が稼働されたあと、少なくとも20分でその装置はテープのブランク片を用いて初期化される。
4.テープのブランク片はサンプルホルダー上に配置され、バックグラウンドとして紫外線吸収が測定される。(ソフトウェアは、サンプルの吸光度からこの吸光度を引いて、テープの吸光度の測定を回避する。)
5.石英ガラス上の膜が20分間乾燥させられた後、日焼け止め剤を有するそれぞれのガラスプレートはテープの上に配置され(膜側を上に)、次いでサンプルを有するホルダーが測定のためのビームの下に配置される。
6.サンプルはスライドガラス上の6つの異なる領域で測定される。6つの読み取り値の全てを記録した後、オプトメトリクスSPF290分析器は日焼け止め剤エマルションのインビトロSPF値を計算する。最終的なSPFはこれら6つの決定の平均である。
【0019】
日焼け止め剤は次の表に従って配合された。その製造には、典型的な実験室オーバーヘッドミキサー(CAFRAMO BDC2002)が使用された。使用された手順は、75℃に加熱された水性相、別個に混合されて75℃にされた油相を用い、この2つの相を混合し、撹拌しつつ冷却して、エマルションを形成する日焼け止め剤製造の典型的なものであった。日焼け止め剤製造に使用される典型的なエマルション法で添加されて配合物中に等しい量のアボベンゾンを含む「対照」サンプルと共に、ミニ封入アボベンゾンのサンプルが評価された。
【0020】
【表2】

【0021】
商品名を伴う上に列挙された物質は、パーソナルケア配合物で典型的に使用される物質であり、ワシントンD.C.のCosmetics,Toiletries and Fragrance Associationにより刊行されたINCI(化粧品原料の国際命名法)辞典(第11版)に列挙されている。
【0022】
インビトロSPF測定のデータ(データは1.5ミルスペーサーを用いる)
全てのSPF測定は、典型的な日焼け止め剤乳化手順で添加された同じ量のホモサラートおよびアボベンゾンを含む対照に対して正規化されている(手順および配合は下記を参照)。
【0023】
【表3】

【0024】
スター評定は、平均UVA/UVB比率に基づく。この比率は、UVAおよびUVB範囲内でのサンプルの相対的吸光度の測定値として使用される。UVA波長範囲は320〜400nmである一方、UVB範囲は290nm〜320nmである。これは、320nm〜400nmの吸光度曲線の単位波長あたりの面積を、290nm〜320nmの吸光度曲線の単位波長あたりの面積で割った値を提供する。下記に示す値の範囲に対して、異なるスター評定が付与される。
【0025】
【表4】

【0026】
上記のこれら2つの配合された日焼け止め剤サンプルは、ポリマー封入アボベンゾンの安定性と、通常の乳化により添加されたアボベンゾンとを比較する、アボベンゾンのインビトロ光安定性ために、IMS Inc.(メイン州、ポルトランド)に提出された。サンプルは、日焼け止め剤がVITRO−SKIN上に(人体に適用される日焼け止め剤の標準的適用割合である)2μl/cmで広げられるインビトロ技術により測定された。初期UVA/UVB比率が測定され、次いで(VITRO−SKIN上の)サンプルが150ワットキセノンアークランプ(Solar Light Company)からの5MED(最小紅斑(Erythermal)用量)にかけられた。UVA/UVB比率は再度決定された。次いで、そのサンプルは、さらに10MED(全部で15MED)で150ワットランプに再び曝露された。UVA/UVB比率は再度決定された。得られたデータは以下に示される。
【0027】
【表5】

【0028】
次の日焼け止め剤が上述のように配合された。
【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
これらの測定は、高度に架橋された粒子は高温での貯蔵後に紫外線吸収特性のより良い保持を提供することを示す。
【0032】
封入アボベンゾンポリマーの量の評価
日焼け止め剤は次の表に従って配合された。その製造には、典型的な実験室オーバーヘッドミキサー(CAFRAMO BDC2002)が使用された。使用された手順は、75℃に加熱された水性相、別個に混合され75℃にされた油相を用いて、この2相を混合し、撹拌しつつ冷却してエマルションを形成する日焼け止め剤製造の典型的なものであった。ミニ封入アボベンゾンの1つのサンプルは、日焼け止め剤製造に使用される典型的なエマルション法で添加された配合物中の等量のアボベンゾンを含む「対照」サンプルと共に評価された。
【0033】
【表8】

【0034】
インビトロSPF測定のデータ(データは1.0ミルスペーサーを用いる)
全てのSPF測定は、上述のように1.0%アボベンゾンを含む対照に対して正規化された。全てのサンプルは同じ量のホモサラートを含む。IDサンプルA〜Cのアボベンゾンは典型的な日焼け止め剤乳化手順で添加される。IDサンプルD〜Fにおいては、アボベンゾンは封入ポリマーで添加される。サンプルAにおけるアボベンゾンの量はサンプルDと同じであり、サンプルBはサンプルEと同じ量であり、サンプルCはサンプルFとアボベンゾンの量が同じである。
【0035】
【表9】

【0036】
サンプルAはサンプルDと同じ量のアボベンゾンを含んでおり、サンプルBはサンプルEと同じ量を有しており、サンプルCはサンプルFと同じ量を有しているので、これら対となったサンプル間の比較がなされ、封入の効果を指摘することができる。
【0037】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)250〜400nmの範囲にλmaxを有する少なくとも1種の化合物を含むコア;並びに
(b)少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物のモノマー残基10〜100重量%および少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物のモノマー残基0〜90重量%を含むポリマーを含むシェル;を含み、
80〜500nmの平均直径を有する粒子。
【請求項2】
コアが粒子の25〜90重量%であり、シェルが粒子の10〜75重量%である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
ポリマーが少なくとも1種の多エチレン性不飽和化合物のモノマー残基50〜100重量%および少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物のモノマー残基0〜50重量%を含む、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
325〜400nmの範囲にλmaxを有する少なくとも1種の紫外線吸収化合物をコアが含む、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
コアが少なくとも2種の紫外線吸収化合物を含み、そのうちの1種が290〜325nmの範囲で最も強く吸収し、かつそのうちの1種が325〜400nmの範囲で最も強く吸収する、請求項4に記載の粒子。
【請求項6】
粒子が125〜250nmの平均直径を有する、請求項5に記載の粒子。
【請求項7】
請求項1の粒子を含む日焼け止め剤配合物。
【請求項8】
コアが粒子の25〜90重量%であり、シェルが粒子の10〜75重量%である、請求項7に記載の配合物。
【請求項9】
(a)250〜400nmの範囲にλmaxを有する少なくとも1種の化合物を提供する工程;
(b)全てのモノマーを基準にして0〜90重量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマー、および10〜100重量%の、少なくとも1種の多エチレン性不飽和モノマーを提供する工程;
(c)80〜500nmの平均粒子サイズ、および20〜65重量%の固形分含量を有するミニエマルションを水性媒体中で形成する工程;および
(d)前記少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも1種の多エチレン性不飽和モノマーを重合する工程;
を含む、紫外線吸収粒子を製造する方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の化合物が粒子の25〜90重量%であり、前記少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも1種の多エチレン性不飽和モノマーが粒子の10〜75重量%である、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2009−299059(P2009−299059A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−122142(P2009−122142)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】