説明

細胞老化抑制剤

【課題】
細胞老化抑制剤、細胞老化抑制作用を有する健康食品又は化粧品などを提供すること。
【解決手段】
本発明は、細胞の不均衡増殖を抑制する物質を含有する細胞老化抑制剤、この細胞老化抑制剤を含有する健康食品又は化粧品、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングキット等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞老化抑制剤、この細胞老化抑制剤を含有する健康食品又は化粧品、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングキット等に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の正常組織から採取した接着性の体細胞は、継代培養を続けるとほぼ一定回数の細胞分裂の後に増殖を停止し、肥大化、扁平化、不定化を呈する。この現象は継代老化と呼ばれている(Hayflick, L., Moorehead P.S., Exp cell Res, 1961. 25, pp. 585-621:非特許文献1)。一方、酸化ストレス、放射線、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストン修飾酵素、脱メチル因子、細胞周期調節因子、シグナル伝達媒介遺伝子なども細胞老化を誘導する(Young, J. and J.R. Smith, Exp Gerontol, 2000. 35(1), pp. 23-32:非特許文献2)。これらのストレスの多くは、過度に与えるとアポトーシスを誘導する。また、癌細胞株では概ねアポトーシスが誘導される。現在、細胞老化の起因については、細胞の代謝産物による代謝阻害、細胞表面の変化、細胞骨格分子間の架橋結合の増加、フリーラジカルによる細胞内の劣化分子の蓄積、遺伝情報の転写・翻訳の誤りの蓄積、遺伝的な細胞寿命のプログラミング、細胞内DNAの傷害とその修復能の低下、等が考えられており、これらに基づく様々な細胞老化仮説が提唱されている。しかし、その分子機構はまだ分かっていない。
【0003】
今までに報告されている雑多な細胞老化系を調べると、DNA複製の遅滞と形態変化(肥大化、扁平化、不定化)が例外なく観察される。この現象は古くから知られている不均衡増殖(unbalanced growth)に他ならない。一方、5-ブロモ-2-デオキシウリジン(5-bromo-2-deoxyuridine、BrdUと略称する)が任意の細胞株を速やかに老化させることが
知られている(Michishita, E., et al., J Biochem (Tokyo), 1999. 126(6), pp. 1052-9:非特許文献3)。その機構を詳細に調べたところ、形態的変化が早い時期に起こることが観察された。老化細胞はS期におけるDNA複製の遅滞を共通に示すが、上記の多様な老化誘導手段はDNA複製を直接あるいは間接的に阻害する。この不均衡増殖が長時間(約1週間)続くと、電荷を帯びたRNAやタンパク質などが細胞内に過度に蓄積する(Hoffmann, E.K. and P.B. Dunham, Int Rev Cytol, 1995. 161, pp. 173-262:非特許文献4)。浸透圧を補償するため水が流入し、細胞が膨張する(Hamill, O.P. and B. Martinac, Physiol Rev, 2001. 81(2), pp. 685-740:非特許文献5)。膜には張力が発生し、機械的非選択物質チャネル、容積感受性イオンチャネル、リン酸化イノシトール代謝、細胞骨格再編成、Rho GTPaseファミリータンパク質、膜結合受容体、MAPKシグナル伝達経路などが誘導または活性化される。これらの反応は浸透圧の解除と細胞障害の軽減を目的とするものである(Jakab, M., et al., Cell Physiol Biochem, 2002. 12(5-6), pp. 235-58:非特許文献6)。しかし、限界容量を越えた細胞は、恒常性維持機構を逸脱し、分裂能力を失う。
【非特許文献1】Hayflick, L., Moorehead P.S., Exp cell Res, 1961. 25, pp. 585-621.
【非特許文献2】Young, J. and J.R. Smith, Exp Gerontol, 2000. 35(1), pp. 23-32.
【非特許文献3】Michishita, E., et al., J Biochem (Tokyo), 1999. 126(6), pp. 1052-9.
【非特許文献4】Hoffmann, E.K. and P.B. Dunham, Int Rev Cytol, 1995. 161, pp. 173-262.
【非特許文献5】Hamill, O.P. and B. Martinac, Physiol Rev, 2001. 81(2), pp. 685-740.
【非特許文献6】Jakab, M., et al., Cell Physiol Biochem, 2002. 12(5-6), pp. 235-58.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細胞老化を防止することは、寿命の長期化、美容促進などのために人類の長年の希望である。しかしながら、上述のように細胞の老化については種々の研究がなされているが、今までに有効な細胞老化抑制剤は開発されていない。したがって、細胞の老化を抑制し得る有効な細胞老化抑制剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、細胞老化に特異的とされる遺伝子は膜構造変化に応答する遺伝子と考え、慢性的な不均衡増殖による膨潤が細胞老化の原理と想定した。そこで、細胞障害を起こさない細胞にDNA複製阻害剤によって不均衡増殖を誘導し、細胞老化が起こるかどうか詳細に検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1] 細胞の不均衡増殖を抑制する物質を含有する細胞老化抑制剤;
[2] 細胞の不均衡増殖を抑制する物質として、MAPキナーゼ阻害剤及び/又はタンパク質合成阻害剤を含有する、上記[1]記載の細胞老化抑制剤;
[3] MAPキナーゼ阻害剤がERK阻害剤である、上記[2]記載の細胞老化抑制剤;
[4] MAPキナーゼ阻害剤がU0126である、上記[3]記載の細胞老化抑制剤;
[5] タンパク質合成阻害剤が、シクロヘキシミド、エメチン、ピューロマイシン、及びラパマイシンからなる群から選択される、上記[2]記載の細胞老化抑制剤;
[6] 前記上記[1]〜[5]のいずれかに記載の細胞老化抑制剤を含有する健康食品;
[7] 前記上記[1]〜[5]のいずれかに記載の細胞老化抑制剤を含有する化粧品;
[8] 細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法であって、
(1)細胞に不均衡増殖を誘導する工程、
(2)不均衡増殖を一定期間継続する工程、及び
(3)試験化合物を投与し、細胞を観察する工程、
を含むスクリーニング方法;
[9] 細胞に不均衡増殖を誘導する工程が細胞をDNA複製阻害剤又はDNA損傷剤で処理する工程を含む、上記[8]記載のスクリーニング方法;
[10] DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤がアフィディコリンである、上記[9]記載のスクリーニング方法。
[11] 細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングキットであって、細胞、DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤、及びMAPキナーゼ阻害剤を含んでいるスクリーニングキット;
等を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、細胞老化の抑制効果を有する細胞老化抑制剤およびこれを含有する化粧品及び健康食品を提供することができる。また、本発明のスクリーニング方法によれば、細胞老化の誘導効果あるいは細胞老化の抑制効果を有する物質を効率よく探索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.細胞老化抑制剤
本発明の第1の態様は、細胞の不均衡増殖を抑制する物質を含有する細胞老化抑制剤に関する。本明細書中、「細胞老化」とは、継代培養を続けるとほぼ一定回数の細胞分裂の後に増殖を停止し、肥大化、扁平化、不定化を呈する現象(継代老化)、あるいは、酸化ストレス、放射線、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストン修飾酵素、脱メチル因子、細胞周期調節因子、シグナル伝達媒介遺伝子などにより誘導される細胞の肥大化、扁平化、不定化をいう。また、「細胞の不均衡増殖」とは、DNA複製が遅滞した条件下でRNA、タンパク質、代謝産物などの合成がほぼ正常に進行し、細胞が膨張する現象を意味し、本発明者が見出した「細胞老化」の表現型の一態様である。本発明においては、この「細胞の不均衡増殖」に着目することによって、細胞老化抑制剤及び細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法を完成した。したがって、本明細書中、「細胞老化抑制」とは、上記「細胞老化」の表現型及び細胞の不均衡増殖のいずれか一種以上を抑制することをいう。「不均衡増殖を抑制する物質」としては、例えば、MAPキナーゼ阻害剤、タンパク質合成阻害剤などが例示される。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0009】
本発明で用いることができるMAPキナーゼ阻害剤としては、例えば、MAPキナーゼに対する中和抗体、MAPキナーゼの活性を阻害する化合物、MAPキナーゼをコードする遺伝子の転写を阻害する化合物(例えば、アンチセンス核酸、RNAi、リボザイム)などが挙げられる。本発明において好ましく用いられるMAPキナーゼ阻害剤としては、U0126(1,4-diamino-2,3-dicyano-1, 4-bis[2-aminophenylthio]butadiene)、PD98059(2-(2'-amino-3'-methoxyphenyl)-oxanaphthalen-4-one)、SB203580(4-(4-Fluorophenyl)-2-(4-methylsulfonylphenyl)-5(4-pyridyl) imidazole)、SP600125(anthra [1,9-cd] pyrazole-6 (2H)-one)SL327)、ペプチド、及び植物成分(例えば、ポリフェノール、フラボノイド、配糖体)等の化合物が挙げられる。本発明においては特に、ERK阻害剤であるU0126が好適である。U0126[化学名1,4-ジアミノ-2,3-ジシアノ-1,4-ビス(2-アミノフェニルチオ)-ブタジエン(1,4-Diamino-2,3-dicyano-1,4-bis(2-aminophenylthio)-butadiene)]は以下の構造を有する。
【化1】

@0011
【0010】
本発明で用いることができるタンパク質合成阻害剤としては、例えば、タンパク質合成系酵素の酵素活性を阻害する化合物、タンパク質合成系酵素をコードする遺伝子の転写を阻害する化合物(例えば、アンチセンス核酸、RNAi、リボザイム)などが挙げられる。タンパク質合成阻害剤としては、具体的には、シクロヘキシミド、エメチン、ピューロマイシン、及びラパマイシン等が挙げられるが、本発明においてはシクロヘキシミドが好適である。
【0011】
本発明において、「不均衡増殖を抑制する物質」として、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼに対する中和抗体を用いることができる。本発明で用いることができる中和抗体は、細胞老化抑制効果を有する抗体であれば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよい。本発明において「抗体」とは、抗原であるタンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼに結合し得る抗体分子全体又はその断片(例えば、Fab又はF(ab')2断片)を意味する。本発明において用いられる抗体は、種々の方法のいずれかによって製造することができる。このような抗体の製造法は当該分野で周知である[例えばHarlow E. & Lane D., Antibody, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照]。
【0012】
「不均衡増殖を抑制する物質」としてさらに、例えばアンチセンス核酸、RNAi、リボザイムのようなタンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子の転写を阻害する化合物を挙げることができる。タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子DNAの塩基配列に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンス核酸としては、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子DNAの塩基配列に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンス核酸であってもよいが、アンチセンスDNAが好ましい。「実質的に相補的な塩基配列」とは、例えば、該遺伝子DNAに相補的な塩基配列(すなわち、相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、相補鎖の全塩基配列うち、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼのN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセンス核酸が好適である。
【0013】
本明細書中、「相同性」とは、塩基配列における2本の鎖の間で該鎖を構成している各塩基同士の互いの適合関係において同一であると決定できるようなものの量(数)を意味し、二つの塩基配列の間の配列相関性の程度を意味するものである。相同性は容易に算出できる。塩基配列間の相同性を測定する方法は数多く知られており、「相同性」(「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周知である。二つの配列の相同性を測定するのに用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), Guide to HugeComputers, Academic Press, San Diego, (1994); Carillo, H. & Lipman, D.,SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)等に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。相同性を測定するための好ましい方法としては、試験する二つの配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計したものが挙げられる。このような方法は、コンピュータープログラムとして組み立てられているものが挙げられる。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコンピュータープログラム法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J. etal., Nucleic Acids Research, 12(1): 387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1990))等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、当該分野で公知の方法を使用することができる。
【0014】
アンチセンス核酸は通常、10-40個程度、好ましくは15-30個程度の塩基から構成される。ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、アンチセンス核酸を構成する各ヌクレオチドのリン酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾リン酸残基に置換されていてもよい。これらのアンチセンス核酸は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
【0015】
上記アンチセンス核酸と同様に、二重鎖RNA(siRNAまたはRNAi;RNA interference法)、リボザイムなども、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子の発現を抑制することができる。ここで、二重鎖RNAは、公知の方法、例えばNature, 411巻, 494頁, 2001年に記載の方法に準じて、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を基に設計して製造することができる。またリボザイムは、公知の方法、例えばTRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年に記載の方法に準じて、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を基に設計して製造することができる。例えば、本発明のタンパク質をコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結することによって、所望のリボザイムを製造することができる。本発明のタンパク質をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に近接した部分(RNA断片)が挙げられる。
【0016】
「不均衡増殖を抑制する物質」としてさらに、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼを阻害する人工ペプチド(例えば、抗MAPキナーゼ抗体)を挙げることができる。ペプチドは多様性に富むので、各種酵素の反応部位に結合するペプチドの設計はありふれた技術になっている。また、先に述べたように、安全性の高い植物由来の化合物が挙げられる。例えば、抗酸化作用をもつポリフェノールやフラボノイド等の芳香族化合物、配糖体、また多様な生物活性をもつアルカロイド等の化合物も挙げられる。
【0017】
上記のような不均衡増殖を抑制する物質は、細胞老化抑制剤の活性成分として有効である。具体的には、本発明の細胞老化抑制剤は老化細胞の出現の防止、老化途上の細胞の増殖サイクルへの復帰、老化細胞の選択的除去に有効である。生体における細胞老化の主要な原因として、酸化ストレスによる細胞損傷が挙げられる。したがって、上記に記した抗酸化作用を有する化合物は、タンパク質合成系酵素またはMAPキナーゼの阻害作用だけではなく、酸化ストレスの軽減によって不均衡増殖を抑制し、その結果として細胞老化を抑制すると考えられる。
【0018】
本発明の老化防止抑制剤を医薬として用いる場合は、上記のような不均衡増殖を抑制する物質(活性成分)を単独でまたは製剤上許容し得る担体との組み合わせで、経口、非経口または局所のいずれかの経路により投与することが可能である。かかる投与は単一または複数用量にて実施する。一般に、活性成分を種々の製剤上許容し得る担体と組み合わせて、錠剤、粉末、カプセル、ロゼンジ、トローチ、硬化キャンディ、粉剤、噴霧剤、クリーム、ろう膏、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、懸濁剤、溶液剤、エリキシル、シロップなどの形態とする。かかる製剤には、溶媒、賦形剤、コーティング剤、塩基、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、可溶化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤などを添加することができる。
【0019】
例えば、錠剤は、デンプン、乳糖、グルコース、微結晶性セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの賦形剤 、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどのコーティング剤、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロースなどの結合剤、およびデンプン、寒天、ゼラチン、炭酸水素ナトリウムなどの崩壊剤、を含有してもよい。更に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も錠剤の調製には有用である。同様タイプの固形組成物もまた、ゼラチンカプセルの充填剤として採用し得る;これに関連した好適な物質には乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含まれる。経口投与用に水性懸濁剤および/またはエリキシルを所望する場合には、活性成分を種々の甘味剤または矯味剤、着色剤または色素と組み合わせ、所望により、希釈剤、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび種々のそれらの併合剤とともに乳化剤および/または懸濁化剤も組み合わせることができる。
【0020】
一般に、活性成分は、上記経口投与形態において重量で5%ないし70%、好ましくは10%ないし50%含有される。溶液剤形状の本発明化合物は非経口的に、例えば、皮内、皮下、静脈内または筋肉内に注射することが可能である。該溶液剤は、例えば、無菌水溶液、水性懸濁液および食用油溶液である。水溶液は適宜緩衝化し(好ましくはpH>8)、該溶液を血液と等張にするために十分量の塩またはグルコースを含有させる。水溶液は静脈注射を目的とするのに適している。水性懸濁液は適切な分散剤または懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含有してもよい。水性懸濁液は皮下または筋肉内注射に用いることができる。綿実油、ごま油、やし油または落花生油のような食用油を食用油溶液用に採用することができる。
【0021】
皮膚に適用する場合(皮膚の再生、しわ取り、しみ取り等)は、本発明化合物を局所的に投与することも可能である。この場合は、好ましくは標準的な手法に従って、クリーム、ゼリー、ゲル、ペースト、軟膏などの形態に調製する。
【0022】
本発明の細胞老化抑制剤は、上記いずれかの経路により患者に投与する場合、患者体重あたりの一日量として、約0.01 mg/kg〜約3000 mg/kg、好ましくは約0.01 mg/kg〜約1000 mg/kg、より好ましくは約0.1 mg/kg〜約100 mg/kgを、単回または分割投与する。しかし、治療を受ける患者の体重および状態、採用する活性成分の種類、治療すべき病状、および選択した特定の投与経路により適宜変更し得る。
【0023】
2.本発明の細胞老化抑制剤を含有する健康食品
本発明の第2の態様は、上記細胞老化抑制剤を含有する健康食品に関する。すなわち、本発明の健康食品は、上記した細胞の不均衡増殖を抑制する物質(活性成分)を含有する。本明細書中、「健康食品」という用語は、飲料、サプリメント、栄養補助食品、特定保険用食品などを含む広範な概念の用語として用いられる。
本発明の健康食品は、上記活性成分を、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキー等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工することによって調製することができる。これらの健康食品の製造に際しては、適宜、着香料、着色料、呈味料、安定剤、増量剤などを併用することができる。
なお、健康食品中への活性成分の含有量は特に限定されることなく、例えば、1〜99%含有することができる。
【0024】
3.本発明の細胞老化抑制剤を含有する化粧品
本発明の第3の態様は、上記細胞老化抑制剤を含有する化粧品に関する。本発明の化粧品は、細胞老化抑制作用を有するので、特に、抗しわ剤、しわ取り剤、しみ取り剤として好適である。本発明の化粧品は、常法にしたがい、化粧水、クリーム、乳液、ファンデーション、油性化粧料、パック剤、皮膚洗浄剤、スプレー剤、エアゾール剤等の化粧品 および薬用化粧品 (医薬部外品)、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤等の薬用外用剤に調製して使用することができる。
本発明の化粧品に適した基剤としては、従来より一般に用いられている種々の基礎化粧料基剤、例えば、各種アルコール類、炭化水素類、脂肪酸類、リン脂質、油脂類、ロウ類が挙げられ、これらを、単独でまたは組み合わせて用いることができる。いずれの基剤を用いた場合であっても、好ましくは、本発明の外用剤は水およびアルコールを含む。
【0025】
本発明の化粧品には、皮膚内への吸収を高めるため、吸収促進剤として、例えば、界面活性剤、テルペン類、1-アルキルピロリドン類、テシルメチルスルホキシド、イソプロピルミリステート、リン脂質微小球またはそれらの混合物を含有させることができる。
本発明の化粧品の製造には、化粧品、薬用化粧品 または外用剤の技術分野において通常用いられる方法を使用することができる。製造にあたり、所望により適宜、防腐剤、芳香剤、保湿剤、安定剤、老化防止剤、色素類、ホルモン類、ビタミン類を適宜選択して添加することができる。なお、化粧品中への活性成分の含有量は特に限定されることなく、例えば、1〜99%含有させることができる。
【0026】
4.細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法及びスクリーニングキット
本発明の第4の態様は、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法に関する。本発明のスクリーニング方法は、具体的には、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法であって、(1)細胞に不均衡増殖を誘導する工程、(2)不均衡増殖を一定期間継続する工程、及び、(3)試験化合物を投与し、細胞を観察する工程、を含むスクリーニング方法を提供する。そのようなスクリーニング方法として、より具体的には、(i)不均衡増殖している細胞の形態と、(ii)不均衡増殖している細胞と試験化合物を接触させた後の細胞の形態とを比較することを特徴する細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法;または(iii)不均衡増殖している細胞が含有するタンパク質量と、(iv)不均衡増殖している細胞と試験化合物を接触させた後の細胞が含有するタンパク質量とを比較することを特徴する細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法等が挙げられる。
【0027】
ここで、細胞に不均衡増殖を誘導する工程として、細胞をDNA複製阻害剤又はDNA損傷剤で処理する工程を含むことが必要である。また、用いられるDNA複製阻害剤又はDNA損傷剤としては、アフィディコリン、過剰チミジン、ヒドロキシ尿素、からなる群から選択される化合物、特にはアフィディコリンが好適である。また、過酸化水素水、高濃度カルシウム、培養器の高酸素分圧、培養液の浸透圧変化、等の各種DNA複製阻害因子を用いることもできる。細胞に不均衡増殖を誘導する工程は以下のようにして行うことができる。すなわち、細胞へ温和な条件でDNA複製阻害剤又はDNA損傷剤を投与し、不均衡増殖を誘導する。続いて、一定期間、例えば5から15日間、好ましくは7から10日間、より好ましくは7日間、最も好ましくは14日間不均衡増殖を継続することにより、細胞を老化させることができる。ここで、細胞老化は老化細胞に特有な形態変化、または細胞老化マーカーの誘導(例えば、細胞老化特異的β-ガラクトシターゼ活性)により確認することができる。また、細胞の分裂能力の喪失を検出してもよい。
【0028】
細胞老化を検出した後、細胞に試験化合物を投与することにより、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングを行うことができる。試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液など、いずれの化合物でもよい。また、該化合物は新規物質であってもよいし、公知の物質であってもよい。
【0029】
例えば、上記(ii)の場合において大きさが正常であった細胞の数を計測し、その数が、上記(i)の場合に比べて、約10%以上、好ましくは約20%以上、より好ましくは約30%以上、さらに好ましくは約50%以上である試験化合物を、細胞老化抑制効果を有する化合物として選択することができる。
【0030】
本発明の第5の態様は、細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングキットに関する。該スクリーニングキットは細胞、DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤、MAPキナーゼ阻害剤、および実験試薬等を含む。DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤としては、アフィディコリン、過剰チミジン、ヒドロキシ尿素、過酸化水素水、及び高濃度カルシウム、からなる群から選択される化合物、特にはアフィディコリンを含み、MAPキナーゼ阻害剤としてはU0126、PD98059、SB202190、SB203580、SL327、等の化合物、特にはU0126を含むのが好適である。細胞としては、任意の細胞でよいが、正常細胞の場合は各種ストレスに対して感受性が高く、容易に細胞老化を起こすので、増殖能力が高く、比較的ストレスに非感受性な例えばHeLa細胞などが好適である。
【0031】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニングキットを用いて得られる化合物は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であり、細胞老化抑制効果を有する化合物である。また上記化合物は化粧品または飲食品へ添加・配合することにより細胞老化抑制効果を有する化粧品または健康食品として利用することが可能である。
【0032】
実施例および実験例
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
まず、一般的実験手法について説明し、次いで、本発明の実施例について述べる。
一般的実験手法
(1)細胞培養
本実験では、ヒト子宮頚癌由来HeLa細胞系のクローンを用いた。細胞は5% FCSを添加したES培地含むプラスティックシャーレで、37℃、5% CO2、湿度95%、5% CO2の条件下で培養した。細胞数は血球計算盤で計測し、生存率は生成したコロニーをクリスタルバイオレットで染色し、計測した。
【0034】
(2)老化特異的β-ガラクトシターゼアッセイ
細胞を2% ホルムアルデヒド、0.2% グルタルアルデヒドで5分間固定した。次に、染色液(1mg/mll 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル β-D-ガラクトシド、29.48mM クエン酸(pH6.0)、58.96mM リン酸水素2ナトリウム、5mM フェリシアン化カリウム、5mM フェロシアン化カリウム、150mM 塩化ナトリウム、2mM 塩化マグネシウム)を加え、37℃で16時間インキュベートした。PBSで洗浄後、光学顕微鏡で観察、写真撮影を行った。
【0035】
(3)フローサイトメトリーによる細胞周期の解析
細胞を0.1% Triton X-2 mg/ml RNaseA溶液で処理し、2本鎖RNAを分解した後、 0.1mg/ml ヨウ化プロピジウム(PI)溶液によりDNAを染色し、フローサイトメーター(コールター社 EPICS XL)で解析した。DNA量は蛍光シグナル、細胞のサイズは散乱シグナルによって解析した。
【0036】
(4)ブロット解析
ノーザンブロット解析では、細胞より抽出した全RNAを変性条件下で、アガロースゲル電気泳動後、ナイロン膜に転写した。32Pで標識したプローブを用いてハイブリダイゼーションを行った。シグナルの検出にはオートラジオグラフィーまたはイメージアナライザー(FUJI BAS2000)を用いた。
ウェスタンブロット解析では、細胞より抽出したタンパクをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、PVDF膜に転写した。一次抗体を目的タンパク質へ結合させたのち、二次抗体の発生するケミルミネッセンスをX線フィルムで検出した。
【実施例1】
【0037】
基本原理の実証
子宮頚部癌由来のHeLa細胞へ温和な条件でDNA複製阻害剤を投与し、不均衡増殖を誘導した。リボヌクレオレダクターゼの天然アロステリック阻害剤である過剰チミジン(1.5mM)またはDNAポリメラーゼαの阻害剤であるアフィディコリン(2mM)を阻害剤として選んだ。ここでは、正常細胞が各種ストレスにより容易に細胞老化に入ってしまうために、細胞系としてHeLa細胞を使用した。図1aに示したように、適切な濃度の過剰チミジンまたはアフィディコリンを添加すると、細胞の増殖は遅くなった。用いた濃度では細胞毒性を示さなかったので、過剰チミジンは不均衡増殖を誘導するのに理想的であることが明らかとなった。一方、アフィディコリンは、化学的阻害剤で通常観察される高濃度において細胞溶解またはアポトーシスを引き起こした。図2aに示したように、生育の遅延を起こした細胞は肥大化、扁平化を起こした。図1bに示したように、そのような細胞は、分裂能力を徐々に喪失し、10日以内にほぼ完全に喪失した。培養2週間後には、図2bに示すように、ほとんど全ての細胞(90%)が老化特異的β-ガラクトシダーゼで明確に染色された。この不均衡増殖による老化細胞特有な形態変化や他の細胞老化マーカーの誘導も観察された。また、過剰チミジンまたはアフィディコリン添加3ないし4日後、アクチンフィラメントが厚く明確になり、その後消失した。アクチンフィラメントは継代老化している正常ヒト線維芽細胞(TIG-7)においても消失した。不均衡増殖の条件下で1週間培養した細胞について、フローサイトメーターで細胞周期の解析を行うと、図3aに示したように、過剰チミジンはS期の初期から中期に細胞を集積した。一方、アフィディコリンはS期の中期から後期に細胞を集積した。細胞の直径は約4-5倍、容積が約110倍になるまで膨張した。不均衡増殖を1週間続けた細胞について、ウェスタンブロット解析でMAPキナーゼファミリー(ERK、p38、JNK)の活性化を調べた。その結果、ERKのみが顕著に活性化されていた(培養によって老化したヒト正常線維芽細胞ではすべてが活性化される)。ノーザンブロット解析で代表的な細胞老化マーカー遺伝子の誘導を調べたところ、すべての遺伝子が顕著に誘導された。したがって、細胞の持続する不均衡増殖によって誘導される現象は、細胞老化に特異的とされる現象と完全に一致した。
【実施例2】
【0038】
細胞老化の抑制
まず、タンパク質合成を阻害することにより、不均衡増殖を是正できるかを検討した。タンパク質合成阻害剤としてシクロヘキシミド(3μM)を使用した場合、図1bおよび図2aに示したように、形態変化、老化特異的β-ガラクトシダーゼ活性、分裂能の消失、ERKの活性化、細胞老化マーカー遺伝子の誘導がすべて抑制された。次に、MAPキナーゼファミリーの一種であるERKの活性化をU0126(10μM)により阻害すると、シクロヘキシミドの場合より顕著にすべての老化マーカーの誘導が抑制された。同ファミリーに属するストレスキナーゼ(p38とJNK)の阻害剤は抑制効果を示さなかった。その結果を図1a、図1bおよび図2aに示した。細胞への機械的刺激は低分子Rho GTPaseファミリータンパク質(RhoA、RacおよびCdc42)やPI3キナーゼを活性化することが知られている。しかし、これらの阻害剤も細胞形態への改善効果は見られたが、分裂能の抑制を示さなかった。そこで、シクロヘキシミドまたはU0126を同時に添加した時の細胞の大きさおよびタンパク質量を測定し、その結果を図3bおよび図3cに示した。その結果、シクロヘキシミドは細胞の肥大化と細胞当たりのタンパク質量を同時に減少させた。一方、U0126はシクロヘキシミドと同様に細胞の肥大化を抑制したが、細胞当たりのタンパク質量には影響しなかった。これらの結果は、シクロヘキシミドとU0126は異なる機構により不均衡増殖を抑制することを示している。以上より、ERKが細胞老化の後期の反応に関与する重要な因子であることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、細胞老化作用を有する細胞老化抑制剤、これを含有する健康食品・化粧品などを提供することができる。これらの細胞老化抑制剤、これを含有する健康食品・化粧品は、細胞の老化防止、例えば、美容促進などにおいて有効に用いられる。また、本発明のスクリーニング方法によれば、細胞老化作用を有する物質を効率よく探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の生育、生存率および形態学的変化を示す図である。各種培養条件下での生育曲線である。CHX、dT、AC、U0126はそれぞれ、3 μM シクロヘキシミド、1.5 mM チミジン、2 μM アフィディコリン、10 μM U0126を添加した場合の生育曲線を表す。
【図1b】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の生育、生存率および形態学的変化を示す図である。各種培養条件下での生存率を示す。一定時間培養した後の細胞の生存率を正常培地で2週間培養後に出現したコロニー数で計測した。
【図2a】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の生育、生存率および形態学的変化を示す図である。各種培養条件下での形態学的変化を示す。培養1週間後の形態学的変化を写真撮影した。
【図2b】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の生育、生存率および形態学的変化を示す図である。老化特異的β−ガラクトシダーゼの測定結果を示す。培養2週間における酸性β−ガラクトシダーゼ活性を染色し、写真撮影した。
【図2c】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の生育、生存率および形態学的変化を示す図である。F-アクチン細胞骨格を観察した図である。GFP-アクチンを安定的に発現する細胞を培養し、写真撮影した。
【図3a】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の細胞周期、細胞の大きさおよび細胞あたりのタンパク質含量の解析を示す図である。フローサイトメトリーの結果を示す。
【図3b】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の細胞周期、細胞の大きさおよび細胞あたりのタンパク質含量の解析を示す図である。細胞の大きさを解析した結果である。
【図3c】HeLa細胞の不均衡増殖継続時の細胞周期、細胞の大きさおよび細胞あたりのタンパク質含量の解析を示す図である。細胞あたりのタンパク質含量を解析した結果である。
【図4a】HeLa細胞の不均衡増殖継続時のMAPキナーゼの活性化および老化関連遺伝子の誘導を示す図である。MAPキナーゼのウェスタンブロッティングの解析結果である。
【図4b】HeLa細胞の不均衡増殖継続時のMAPキナーゼの活性化および老化関連遺伝子の誘導を示す図である。老化特異的遺伝子のノーザンブロット解析の結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の不均衡増殖を抑制する物質を含有する細胞老化抑制剤。
【請求項2】
細胞の不均衡増殖を抑制する物質として、MAPキナーゼ阻害剤及び/又はタンパク質合成阻害剤を含有する、請求項1記載の細胞老化抑制剤。
【請求項3】
MAPキナーゼ阻害剤がERK阻害剤である、請求項2記載の細胞老化抑制剤。
【請求項4】
MAPキナーゼ阻害剤がU0126である、請求項3記載の細胞老化抑制剤。
【請求項5】
タンパク質合成阻害剤が、シクロヘキシミド、エメチン、ピューロマイシン、及びラパマイシンからなる群から選択される、請求項2記載の細胞老化抑制剤。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の細胞老化抑制剤を含有する健康食品。
【請求項7】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の細胞老化抑制剤を含有する化粧品。
【請求項8】
細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニング方法であって、
(1)細胞に不均衡増殖を誘導する工程、
(2)不均衡増殖を一定期間継続する工程、及び
(3)試験化合物を投与し、細胞を観察する工程、
を含むスクリーニング方法。
【請求項9】
細胞に不均衡増殖を誘導する工程が細胞をDNA複製阻害剤又はDNA損傷剤で処理する工程を含む、請求項8記載のスクリーニング方法。
【請求項10】
DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤がアフィディコリンである、請求項9記載のスクリーニング方法。
【請求項11】
細胞老化抑制効果を有する化合物のスクリーニングキットであって、細胞、DNA複製阻害剤又はDNA損傷剤、及びMAPキナーゼ阻害剤を含んでいるスクリーニングキット。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2006−249015(P2006−249015A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69409(P2005−69409)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000181147)持田製薬株式会社 (62)
【Fターム(参考)】