説明

経口用医薬組成物

【課題】鼻炎症状の予防及び/又は治療効果を有する新規の医薬組成物を提供することが課題であり、特に、鼻汁の予防及び/又は治療に優れた組成物を提供する。
【解決手段】トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、抗コリン剤に、さらに、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、ビタミンB1及び無水カフェインを含有することを特徴とする鼻炎用経口組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻炎抑制作用、特に、鼻汁抑制作用の優れた経口用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸は抗プラスミン作用、止血作用、抗アレルギー及び抗炎症作用が知られており、抗ヒスタミン剤のクレマスチンフマル酸塩はアレルギー性皮膚疾患、アレルギー性鼻炎、感冒等上気道炎に伴うくしゃみ、鼻汁(鼻水)及び咳嗽の症状抑制の効能を有する。
【0003】
去痰剤のブロムヘキシン塩酸塩は漿液性分泌増加作用、気道粘液溶解作用、肺表面活性物質の分泌促進作用、線毛運動亢進作用が知られており、dl−メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動性の気管支拡張作用、中枢性の鎮咳作用、抗アレルギー作用等が知られている。
【0004】
アセトアミノフェンは解熱作用及び鎮痛作用が知られており、ジヒドロコデインリン酸塩はモルヒネと類似した化学構造と薬理作用を有し、鎮痛及び鎮咳作用を有する(以上、例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ベラドンナ総アルカロイドは副交感神経遮断薬(抗コリン薬または抗コリン剤)として知られており、鼻汁抑制を目的として配合されており、カフェインは解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助けたり、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を抑えたりするために配合される(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
一方、これらの成分を含有する組成物として、以下のものが本発明者らによって開示されている。
1)トラネキサム酸とブロムヘキシンを併用すると、トラネキサム酸の抗炎症作用が増強する(特許文献1参照)。
2)トラネキサム酸にブロムヘキシンとクレマスチンを併用すると、トラネキサム酸の抗炎症作用がさらに増強する(特許文献2参照)。さらに、同文献には、トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、イブプロフェン、メチルエフェドリン塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩を含有する組成物が開示されている。
3)トラネキサム酸に、ブロムヘキシン、クレマスチン及びイブプロフェンを併用すると、より優れた抗炎症作用が発現する。これに加えて、さらに、メチルエフェドリン塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ビタミンB1及びB2を併用すると、より一層、抗炎症作用が増すとともに、抗インフルエンザウイルス作用が発現する(特許文献3参照)。
【0007】
しかし、これらの配合に優れた鼻汁抑制作用を発現する旨の記載はない。さらに、トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及びベラドンナ総アルカロイドの配合は知られておらず、これらに加えてさらに、カフェイン、アセトアミノフェン又はコデインを含有する組成物に優れた鼻汁抑制作用が発現することは示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−331660号公報
【特許文献2】特開2006−124380号公報
【特許文献3】特開2007−291067号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】医療用医薬品集 2009年版 JAPIC 2008
【非特許文献2】大衆薬辞典 第10版 じほう 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、鼻炎症状の予防及び/又は治療効果を有する新規の医薬組成物を提供することであり、特に、鼻汁の予防及び/又は治療に優れた組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、優れた抗炎症作用が公知のトラネキサム酸にブロムヘキシンとクレマスチン含有組成物に、さらに、鼻汁抑制作用を期待して抗コリン剤を含有させた医薬組成物の抗浮腫効果と鼻汁抑制効果を調べた結果、良好な結果が得られることを見いだした。
【0012】
本発明者らは、より一層すぐれた抗鼻炎効果を有する組成物を見出すべくさらに鋭意研究を重ねてきた。その結果、上記のトラネキサム酸、ブロムヘキシン、クレマスチン、抗コリン剤を含有する組成物に、さらに、メチルエフェドリン、カフェイン、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン及びビタミンB1から選ばれる1種以上を含有させたものが、顕著な鼻閉抑制作用及び/又は鼻汁抑制作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は
(1):トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及び抗コリン剤を含有し、さらに、メチルエフェドリン、カフェイン、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン及びビタミンB1からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする鼻炎用経口組成物;
(2):抗コリン剤が、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ダツラエキス、ヨウ化イソプロパミド、又は、ロートエキスである(1)に記載の鼻炎用経口組成物;及び
(3):抗コリン剤が、ベラドンナ総アルカロイドである(1)に記載の鼻炎用経口組成物;
を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は
(4):鼻炎用経口組成物が、鼻汁抑制用経口組成物及び/又は鼻閉抑制用経口組成物である(1)〜(3)のいずれか1に記載の経口組成物;及び
(5):鼻炎用経口組成物が、鼻汁抑制用経口組成物である(1)〜(3)のいずれか1に記載の経口組成物;
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、トラネキサム酸、ブロムヘキシン、クレマスチン、抗コリン剤を含有する組成物に、さらに、メチルエフェドリン、カフェイン、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン及びビタミンB1から選ばれる1種以上を含有させた医薬組成物は、よりいっそう優れた抗浮腫作用ならびに抗鼻汁作用を有するため、鼻閉症状及び/又は鼻汁症状の予防及び/又は治療に有用であり、特に、鼻汁抑制に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】:抗浮腫試験(ブラジキニン−プラスミン浮腫法)によって検体1〜検体3を評価した結果を示す図である。検体1と検体3との有意差検定結果(*:p<0.05 **:p<0.01);検体2と検体3との有意差検定結果($:p<0.05)
【図2】:鼻汁抑制試験によって検体1〜検体3を評価した結果を示す図である。検体1と検体2又は3との有意差検定結果(**:p<0.01)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明にかかる、トラネキサム酸、ブロムヘキシン塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ベラドンナエキス、ロートエキス、メチルエフェドリン塩酸塩、カフェイン、無水カフェイン、アセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩及びビタミンB1(チアミン塩化物塩酸塩及びチアミン硝化物)は、第15改正日本薬局方2008に収載されている。
【0018】
また、ヨウ化イソプロパミド及びベンフォチアミン等のビタミンB1誘導体は日本薬局方外医薬品規格1002に収載されており、その他の薬剤についても市販されており、容易に入手できる。
【0019】
本発明の医薬組成物は、製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、トローチ剤、ゼリー剤等の剤形を挙げることができる。
【0020】
製剤化は、公知の製剤技術により行うことができ、製剤中には適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよい。製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、甘味剤、嬌味剤、滑沢剤等を挙げることができる。
【0021】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、乳糖、白糖、D−マンニトール、エリスリトール、トレハロース、ブドウ糖、果糖等を挙げることができる。
【0022】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、アルギン酸、部分アルファー化デンプン、ベントナイト等を挙げることができる。
【0023】
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールアルコール、ポビドン、マクロゴール、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、デキストリン、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、プルラン等を挙げることができる。
【0024】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、サッカリン等が挙げられる。
【0025】
嬌味剤としては、例えば、メントール、ハッカ水、ハッカ油、アスコルビン酸、クエン酸、ケイヒ油、チョウジ油、乳酸、ハチミツ、ボルネオール、ローズ油等が挙げられる。
【0026】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、硬化油等を挙げることができる。これら製剤添加物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の医薬組成物の患者への投与量は、患者の性別、年齢、症状、投与方法、投与回数、投与時期等により適宜検討を行い、適当な投与量を決めればよい。
【0028】
例えば、トラネキサム酸については、1日当たり10〜3000mg投与することが好ましく、100〜750mg投与することがさらに好ましく、420mg投与することが特に好ましい。
【0029】
ブロムヘキシンについては、1日当たり2〜24mg投与することが好ましく、4〜12mg投与することがさらに好ましく、ブロムヘキシン塩酸塩として12mg投与することが特に好ましい。
【0030】
クレマスチンについては、クレマスチンとして1日当たり0.4〜5mg投与することが好ましく、0.5〜2mg投与することがさらに好ましく、1mg(クレマスチンフマル酸塩として1.34mg)投与することが特に好ましい。
【0031】
本願明細書における抗コリン剤としては、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ダツラエキス、ヨウ化イソプロパミド、およびロートエキスを挙げることができ、ベラドンナエキスおよびベラドンナ総アルカロイドが好ましく、ベラドンナ総アルカロイドがさらに好ましい。ベラドンナエキスについては、総アルカロイドとして1日当たり0.05〜1mg投与することが好ましく、0.1〜2mg投与することがさらに好ましい。ベラドンナ総アルカロイドについては、0.3mg投与することが好ましい。
【0032】
メチルエフェドリンについては、1日あたり10〜150mg投与することが好ましく、25〜75mg投与することがさらに好ましく、dl−メチルエフェドリン塩酸塩として60mg投与することが特に好ましい。
【0033】
カフェインについては、1日あたり10〜500mg投与することが好ましく、30〜75mg投与することがさらに好ましく、無水カフェインとして60mg投与することが特に好ましい。
【0034】
アセトアミノフェンについては、1日当たり100〜2000mg投与することが好ましく、450〜900mg投与することがさらに好ましく、900mg投与することが特に好ましい。
【0035】
ジヒドロコデインについては、1日あたり1〜50mg投与することが好ましく、10〜30mg投与することがさらに好ましく、ジヒドロコデインリン酸塩として24mg投与することが特に好ましい。
【0036】
ビタミンB1については、1日あたり0.1〜100mg投与することが好ましく、1〜50mg投与することがさらに好ましく、ベンフォチアミンとして24mg投与することが特に好ましい。
【0037】
すなわち、本発明の医薬組成物において、その配合量は1日当たりトラネキサム酸として10〜3000mg、クレマスチンフマル酸塩として0.4〜5mg、ブロムヘキシン塩酸塩として2〜24mg、ベラドンナ総アルカロイドとして0.05〜1mg、アセトアミノフェンを100〜2000mg、ジヒドロコデインリン酸塩として1〜50mg、メチルエフェドリン塩酸塩として10〜150mg、ビタミンB1もしくはその誘導体又はそれらの塩をビタミンB1又はその誘導体として0.1〜100mg、無水カフェインとして10〜500mg投与することになるように配合したものが好ましい。
【0038】
さらに、1日当たりトラネキサム酸として400〜750mg、クレマスチンフマル酸塩として0.5〜2mg、ブロムヘキシン塩酸塩として4〜12mg、ベラドンナ総アルカロイドとして0.1〜0.5mg、アセトアミノフェンを450〜900mg、ジヒドロコデインリン酸塩として10〜30mg、メチルエフェドリン塩酸塩として25〜75mg、ビタミンB1もしくはその誘導体又はそれらの塩として1〜50mg、無水カフェインとして30〜75mg投与することになるように配合したものがより好ましい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、本発明に係る複数の成分を含む単一の製剤として製し、これを投与してもよいし、また本発明に係る各成分を分けて別の製剤とし、それら製剤を同時又は順次投与可能としたキット製剤としてもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、鼻炎の予防又は治療、より詳しくは鼻閉症状及び/又は鼻汁症状の予防又は治療に用いられるのが好ましい。
【0041】
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべきものではない。
【実施例】
【0042】
1.抗浮腫試験(ブラジキニン−プラスミン浮腫法)
1−(1)試験動物と検体
6週齢の雄性Crj:Wistarラット(日本チャールズ・リバー株式会社)を使用した。以下に示した検体1、2及び3を投与した。
検体1(対照)は0.5w/v%メチルセルロース溶液であり、検体2は、トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、及びベラドンナ総アルカロイドを必要量秤量し、上述の0.5w/v%メチルセルロース溶液にて溶解又は懸濁させたものである。検体3は、検体2にさらにアセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、無水カフェイン及びベンフォチアミンを必要量秤量して溶解又は懸濁させたものである。各検体の有効成分の含有量を表1に示す。
【0043】
(表1)
成分(mg/Kg) 検体1 検体2 検体3
――――――――――――――――――――――――――――――――――
トラネキサム酸 − 420 420
クレマスチンフマル酸塩 − 0.9 0.9
ブロムヘキシン塩酸塩 − 12 12
ベラドンナ総アルカロイド − 0.3 0.3
アセトアミノフェン − − 900
ジヒドロコデインリン酸塩 − − 24
メチルエフェドリン塩酸塩 − − 60
無水カフェイン − − 75
ベンフォチアミン − − 24
【0044】
1−(2)試験方法
各検体の経口投与後30分に、右側後肢足蹠皮下にブラジキニン1mg及びプラスミン0.5Uを生理食塩水20mlに溶解した溶液を0.1ml/匹で投与し、起炎した。起炎前と、起炎後15、30、45及び60分に、右側後肢足蹠の容積をマウス・ラット後肢足蹠浮腫容積測定装置(TK−101 CMP ユニコム社製)で測定した。
【0045】
各測定時間における浮腫率(起炎前の足蹠容積に対する各測定時間の足蹠容積の割合)を次式にて算出し、さらに、浮腫率曲線下面積(AUC)を算出した。
浮腫率=[(各時間の足蹠容積−起炎前の足蹠容積)/起炎前の足蹠容積]×100
【0046】
1−(3)試験結果
結果を図1に示す。なお、結果は各群とも10匹の平均値である。図1より、対照(検体1)と比較して、トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及びベラドンナ総アルカロイドを併用した群(検体2)の抗浮腫作用が認められた。
【0047】
一方、検体2にさらにアセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、ベンフォチアミン及び無水カフェインを含有させた群(検体3、本発明の医薬組成物)は、起炎後15分から対照(検体1)及び検体2と比較して有意な抗浮腫作用を発現することが判明した。
【0048】
したがって、本発明の医薬組成物(検体3)は、優れた鼻閉抑制作用を示すものであることが判った。
【0049】
2.鼻汁抑制試験
2−(1)試験動物と検体
使用した動物及び検体は上記の1.1及び図1に記載したものと同じである。
【0050】
2―(2)試験方法
動物の両側鼻前庭に、感作物質TDI(トルエンジイソシアネート)10%溶液に浸した細軸綿棒を10秒間接触させて塗布し、最終感作の3週間後に誘発を行い、その鼻汁量をもとに群分けした。
その後、5%TDI溶液に浸した細軸綿棒を両鼻前庭に10秒間接触させ塗布して再度誘発した。鼻汁誘発開始から15分間の鼻汁を脱脂綿に吸収させ、その重量を測定した。
【0051】
2−(3)試験結果
結果を図2に示す。なお、結果は各群とも10匹の平均値である。図2より、対照(検体1)と比較して、トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及びベラドンナ総アルカロイドを併用した群(検体2)に優れた鼻汁抑制作用が認められた。
【0052】
一方、検体2にさらにアセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、ベンフォチアミン及び無水カフェインを含有させた群(検体3、本発明の医薬組成物)は、さらに優れた鼻汁抑制作用が発現した。
【0053】
したがって、本発明の医薬組成物(検体3)は、非常に強い鼻汁抑制作用を示すものであることが判った。
【0054】
3. 製剤例
3−(1)顆粒剤
以下の組成(1日量として3包)で、常法により顆粒剤を製造した。
トラネキサム酸 420 mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12 mg
ベラドンナ総アルカロイド 0.3mg
アセトアミノフェン 900 mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24 mg
メチルエフェドリン塩酸塩 60 mg
ベンフォチアミン 24 mg
無水カフェイン 60 mg
エリスリトール 50 mg
トウモロコシデンプン 50 mg
結晶セルロース 適量
アスパルテーム 82 mg
【0055】
3−(2)錠剤
以下の組成(1日量)で、常法により錠剤を製造した。
トラネキサム酸 420 mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12 mg
ベラドンナ総アルカロイド 0.3mg
アセトアミノフェン 900 mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24 mg
メチルエフェドリン塩酸塩 60 mg
ベンフォチアミン 24 mg
無水カフェイン 60 mg
乳糖 適量
結晶セルロース 適量
ポリビニールアルコール 1 mg
軽質無水ケイ酸 24 mg
ステアリン酸マグネシウム 微量
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の、トラネキサム酸、クレマスチン、ブロムヘキシン、抗コリン剤に、さらに、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、ビタミンB1及び無水カフェインを含有する医薬組成物は、よりいっそう優れた鼻閉抑制作用及び鼻汁抑制作用を有するため、鼻炎の予防及び/又は治療用の医薬組成物として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸、クレマスチンフマル酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩及び抗コリン剤を含有し、さらに、メチルエフェドリン、カフェイン、アセトアミノフェン、ジヒドロコデイン及びビタミンB1からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする鼻炎用経口組成物。
【請求項2】
抗コリン剤が、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ダツラエキス、ヨウ化イソプロパミド又はロートエキスである請求項1に記載の鼻炎用経口組成物。
【請求項3】
抗コリン剤が、ベラドンナ総アルカロイドである請求項1に記載の鼻炎用経口組成物。
【請求項4】
鼻炎用経口組成物が、鼻汁抑制用経口組成物及び/又は鼻閉抑制用経口組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口組成物。
【請求項5】
鼻炎用経口組成物が、鼻汁抑制用経口組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−120932(P2010−120932A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244849(P2009−244849)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】