経路探索システム、及び経路探索装置
【課題】経路を通過する際の燃料消費量を、高い精度で導く経路探索システムを提供する。
【解決手段】
自車両が目的地に至る候補経路を導く候補経路導出部110と、この候補経路を通過した場合の燃料消費量を、候補経路を自車両が走行する際の走行時燃料消費量と候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントについて自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とに基づいて算出する燃料消費量算出部120と、一の経路を選択する経路選択部130と、経路を出力する出力部140とを備える経路探索装置100と、候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける要求受付部11と、停車確率データベース21を参照し、取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する停車確率算出部12と、算出した停車確率を経路探索装置100へ送出する送出部13とを有する経路探索アシスト装置を設けた。
【解決手段】
自車両が目的地に至る候補経路を導く候補経路導出部110と、この候補経路を通過した場合の燃料消費量を、候補経路を自車両が走行する際の走行時燃料消費量と候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントについて自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とに基づいて算出する燃料消費量算出部120と、一の経路を選択する経路選択部130と、経路を出力する出力部140とを備える経路探索装置100と、候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける要求受付部11と、停車確率データベース21を参照し、取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する停車確率算出部12と、算出した停車確率を経路探索装置100へ送出する送出部13とを有する経路探索アシスト装置を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃費を指標として経路を探索する経路探索システム、及び経路探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出量と車両速度の平均的な関係を利用し、温室効果ガスの排出量が最小となる出発地−目的地間の経路を探索する経路探索装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−30823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の発進時における燃費が走行時の燃料消費量と異なる場合があるため、二酸化炭素排出量と車両速度の平均的な関係に基づく評価によっては、高い精度の燃料消費量に基づく経路探索を行うことができないという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、自車両が経路を通過する際の燃料消費量を高い精度で求めることができる経路探索システム、及び経路探索装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、経路上の所定の停車ポイントで車両が停車する確からしさを示す停車確率を取得し、この停車確率と車両の発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて発進時燃料消費量を算出し、この発進時燃料消費量を用いて自車両が経路を通過する際の燃料消費量を求めることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、停車ポイントの停車確率に応じた発進時の燃料消費量を加味することができるので、車両の発進時における燃費が走行時の燃料消費量と異なる場合であっても高い精度で求めた燃料消費量に基づく経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施形態の経路探索システム1000は、距離、時間、料金等を指標として探索された経路について、さらに燃料消費量の観点から評価できるように、各経路の燃料消費量を求める機能を備えた装置である。
【0009】
算出した各経路の燃料消費量は、経路探索時の指標として利用され、環境保護重視の観点から燃料消費量の最も低い経路を推奨経路とする経路探索、又はユーザが距離、時間、料金等とともに燃料消費量も考慮できる経路探索を行うことができる。
【0010】
本実施形態の経路探索システム1000を図面に基づいて説明する。図1は経路探索システム1000全体の概要を示す図である。
【0011】
本実施形態の経路探索システム1000は、車両に搭載された車載装置2000と、これと通信可能なサーバ3000とを有する。
【0012】
さらに、車載装置2000は、経路探索装置100と、外部との通信を行う通信端末200と、地図情報を有する地図データベース(地図DB)300と、車両に関する情報を取得する車両コントローラ500と、この車両コントローラ500から取得した車両に関する情報を記憶する車両情報記憶装置400と、入力機能を備えたモニタ・スピーカ600とを有する。
【0013】
経路探索装置100、車両コントローラ500は、CPU,MPU,DSP,FPGAなどの動作回路を組み合わせて構成される。通信端末200は携帯電話等であり、地図データベース300は、HDD,CD,MD,DVD、光ディスク等の記録媒体が使用される。車両情報記憶装置400はRAM等で構成される。
【0014】
また、サーバ3000は、経路探索アシスト装置10と、経路探索アシスト装置10の処理に必要なデータを保存するデータ保存装置20と、地図情報を有するサーバ側地図データベース(地図DB)30と、外部へ情報を配信する配信装置40と、外部との通信を行う通信部50とを有する。
【0015】
経路探索アシスト装置10は、CPU,MPU,DSP,FPGAなどの動作回路を組み合わせて構成される。データ保存装置20は、RAM等で構成される。サーバ側地図データベース30は、車両側同様、HDD,CD,MD,DVD、光ディスク等の記録媒体が使用される。通信部50の通信網としては、携帯電話網、UWB,DSRC,無線LAN等である。
【0016】
これら車載装置2000とサーバ3000とは、通信端末200と通信部50を介して相互に情報の授受を行うことができる。
【0017】
図2は経路探索システム1000のブロック構成を示す図である。
【0018】
以下、図2に基づいて、経路探索装置100の各構成、及び経路探索アシスト装置10の各構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、経路探索装置100は、候補経路導出部110と、燃料消費量算出部120と、経路選択部130と、出力部140とを備える。
【0020】
本実施形態の候補経路導出部110は、地図データベース300の地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く。本実施形態の候補経路導出部110は、自己が備えるナビゲーション機能1101(GPS:Global Positioning System700を備える)を用いて、距離優先、所要時間優先、料金優先、有料道路優先、渋滞回避などの任意の指標に基づく経路の候補を導出する。導出する候補経路は1つの経路でもよいし、複数の経路でもよい。導出した候補経路の情報には、候補経路を構成するリンク情報、候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントの情報が含まれる。また、各候補経路の情報には、各リンクのノードを通過する(予想)時刻、停車ポイントを通過する(予想)時刻を含めることができる。なお、所要時間、通過時刻、渋滞状況を判断するための経路の渋滞情報をVICS(Vehicle Information and Communication System)から取得し、用いることができる。
【0021】
燃料消費量算出部120は、候補経路導出部110により導かれた候補経路を自車両が通過した場合の燃料消費量を算出する。つまり、自車両が候補経路を辿って実際に出発地から目的地まで移動した場合の燃料消費量を算出する。経路を実際に通過する場合、車両が出発地から目的地までのすべてを定速走行できることは少なく、踏み切りや交差点などの停車ポイントにおいて一時的に停車し、再度発進するという可能性がある。本実施形態において、経路を通過するとは、定速で走行する場面、踏み切りや交差点などの停車ポイントで停車・発進する場面を含に、経路の実際の交通規制に従って出発地から目的地に到着することをいう。
【0022】
ところで、車両の燃料消費量は、所定速度以上で走行する巡航時、減速時、停車時、発進時などの走行パターンによって異なる。走行パターン別の燃料消費比率の一例を図3に示した。図3に示すように、停車−発進時(停車後に発進する場面)における燃料消費率は、巡航時における燃料消費率よりも、大きくなる場合がある。
【0023】
したがって、経路を通過する際の燃料消費量の算出において、停車−発進時の燃料消費量を無視すると、正確な燃料消費量を算出することができない。
【0024】
本実施形態の燃料消費量算出部120は、停車−発進時の燃料消費量を考慮した燃料消費量を算出する観点から、走行時の燃料消費量と発進時の燃料消費量とを分けて算出する。具体的に、本実施形態の燃料消費量算出部120は、走行時燃料消費量算出部121と、発進時燃料消費量算出部122とを備える。
【0025】
さらに、燃料消費量算出部120は、合算部123を備え、走行時燃料消費算出部121が算出した自車両が走行する際の走行時燃料消費量と発進時燃料消費量算出部122が算出した自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とを取得し、これらを合算し、候補経路ごとの燃料消費量を求める。
【0026】
まず走行時燃料消費量算出部121について説明する。この走行時燃料消費量算出部121は、候補経路を自車両が走行する際の走行時燃料消費量を候補経路ごとに算出する。
【0027】
具体的に、走行時燃料消費量とは、候補経路を通過する際に走行により消費される燃料の量である。この「走行」状態は、所定速度以上で車両が移動する状態と定義することができる。この走行時燃料消費量は以下のように算出する。まず、候補経路を構成するリンクごとにリンク距離とリンク旅行時間から平均速度を算出する。そして、図4に一例を示すような速度−燃費変換テーブル1211を参照し、平均速度に対する燃料消費率(cc/km)を導く。導いた燃料消費率にリンク距離を掛け合わせる。これにより、リンク毎の燃料消費量を導き出すことができるから、これらの総和を求めることで各候補経路の走行時燃料消費量を算出することができる。
【0028】
図5に基づいて走行時燃料消費量の算出手法の一例を説明する。図5に示す候補経路XはリンクA〜Eから構成される。リンクCを例にすると、リンクCの距離=1km、リンクCの旅行時間=0.04h(2.4min)とすると、リンクCの平均速度=25km/hとなる。図4に例示した速度−燃費変換テーブル1211を参照すると、平均速度25km/hの燃料消費率は90cc/kmである。よって、リンクCの燃料消費量は90 cc/km×11km =90ccとなる。リンクC以外のリンクA、B、D、Eについて同様の処理を行い、各リンクの燃料消費量を求める。算出した各リンクの燃料消費量が A:40cc、B:50cc、C:90cc、D:70cc、E:40ccである場合、候補経路Xの燃料消費量は290ccとなる。この処理をすべての候補経路についてそれぞれ行う。
【0029】
なお、図4に一例を示した速度−燃費変換テーブル1211は車種・排気量・駆動システム(2WD/4WD)に応じて複数のパターンを準備することができる。また、地図データベース300の地図情報にリンクの勾配情報が含まれている場合には、勾配レベルに応じた複数の勾配別速度−燃費変換テーブル1212を準備し、この勾配別速度−燃費変換テーブル1212を参照して走行時の燃料消費量を算出することができる。
【0030】
この速度−燃費変換テーブル1211は、予め経路探索装置100に格納することができる。また、実際の走行時に検出された燃料消費量と速度を車両コントローラ500から取得し、実測値に基づいて作成又は更新することができる。この更新はメモリ1223の更新機能1223cが、車両情報記憶装置400から取得した発進時の燃料消費量に基づいて行う。
【0031】
次に、発進時燃料消費量算出部122について説明する。この発進時燃料消費量算出部122は、候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントについて自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を求め、これを候補経路ごとに加算して、候補経路ごとの発進時燃料消費量を算出する。
【0032】
加えて、本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントにおいて自車両が停車する確率を参照して、各停車ポイントにおける発進時燃料消費量を算出する。すなわち、発進時燃料消費量算出部122は、停車確率取得部1222を備え、サーバ3000側の経路探索アシスト装置10から、候補経路上で自車両が通過する停車ポイントについての停車確率を取得し、取得した停車確率と、車両が発進時に消費する量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、候補経路で自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を算出する。停車ポイントにおける停車確率を考慮することにより、停車の確率が高く停車−発進の走行パターンが高い頻度で発生する停車ポイントを含む候補経路について、発進時燃料消費量を加味した精度の高い燃料消費量を算出することができる。なお、基準燃料消費量は、排気量別、車種別、車型別ごとに定義することができる。
【0033】
また、停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、自己の経路探索装置100のID(通信アドレス)とともに、候補経路上の停車ポイントを特定する識別子を停車確率の取得要求に含めることができる。停車ポイントの識別子としては、信号機の管理番号を用いることができる。経路探索アシスト装置10側は、停車ポイントの識別子に基づいて、その停車ポイントにおける停車確率を経路探索装置100側に送出することができる。
【0034】
ちなみに、本実施形態においては、停車確率は通信部を介して経路探索アシスト装置10から取得する態様を説明したが、停車ポイントについての停車確率をアクセス可能な状態で経路探索装置100側に記憶し(停車確率データベース1222a)、発進時燃料消費量を算出する際に読み込むようにすることもできる。
【0035】
続いて、発進時燃料消費量算出部122の詳細について説明する。
【0036】
先述したように、停車ポイントで自車両が停車する確率は、停車ポイントごとに異なる。例えば、「踏み切り」や「一時停止標識」のように必ず停車が行われる停車ポイントがある一方で、「信号機」のように通過タイミングによっては停車する場合も停車しない場合もある停車ポイントがある。本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントの属性に応じて停車確率を取得する。
【0037】
図2に示すように、発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント特定部1221と、停車確率取得部1222と、メモリ1223とを有する。
【0038】
停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性を含む地図データベース300を参照し、候補経路上の停車ポイントが、例えば、踏み切りのように必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断する必須停車ポイント特定機能1221aを有する。
【0039】
停車確率取得部1222は、候補経路上のすべての停車ポイントについての停車確率を経路探索アシスト装置10に要求することもできるが、本実施形態では、停車ポイントの属性に応じて停車確率の要求を行う。つまり、停車確率取得部1222は、停車ポイント特定部1221により、停車ポイントが必須停車ポイントであると特定された場合は、停車確率の要求を行わない。他方、停車ポイントが必須停車ポイントでない場合、つまり、条件によって停車する条件停車ポイントである場合、停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、候補経路上で自車両が通過する必須停車ポイント以外の停車ポイントについての停車確率の取得を要求する。
【0040】
発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントが必須停車ポイントであると特定された場合は、基準燃料消費量に基づいて、候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する。他方、停車ポイントが必須停車ポイントでないと特定された場合、経路探索アシスト装置10から取得した停車確率と、基準燃料消費量とに基づいて、候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する。
【0041】
ここで、停車確率の定義手法について図6及び図7に基づいて説明する。本実施形態において、停車確率は経路探索アシスト装置10側で管理されるものであるが、説明の便宜のため、ここで説明する。
【0042】
図6は交差点を車両が直進する場合の停車確率を説明するための図、図7は交差点を車両が右折する場合の停車確率を説明するための図である。
【0043】
図6に示す3つの図は、t0→tn→teの順で時系列に沿って並べた図である。停車観察開始t0において、信号待ちのために停車する車両は1台である。その後tnにおいて、停車する車両は2台である。停車観察終了時(開始から所定時間経過後、例えば5分)teにおいて、交差点を通過した車両は5台である。このように、信号機S1を単位観察時間(ex.5分)に通過した車両が5台であった場合に、そのうちの2台が信号待ちのために停車したので、信号機S1で車両が停車する確率は2/5=40%となる。
【0044】
図7に示す3つの図は、t0→tn→teの順で時系列に沿って並べた図である。停車観察開始t0において、右折待機のために停車する車両は1台である。その後tnにおいて、停車する車両は依然1台である。停車観察終了時(開始から所定時間経過後、例えば5分)teにおいて、交差点を通過した車両は5台である。このように、信号機S2をt0からtnまでの単位観察時間(ex.5分)に通過した車両が5台であった場合に、そのうちの1台が信号待ちのために停車したので、信号機S2で車両が停車する確率は1/5=20%となる。
【0045】
図6及び図7では異なる信号機S1、S2を例にして説明したが、同じ信号機についても、通過ルートごとに停車確率を求めることができる。つまり、信号機のある交差点を直進して通過する直進ルートにおける交差点(停車ポイント)の停車確率と、信号機を右折して通過する右折ルートにおける交差点(停車ポイント)の停車確率とは別々に求めることができる。
【0046】
以上の処理を、経路探索アシスト装置10の蓄積部14は、停車ポイントごとに複数回実施し、その結果を停車確率として停車確率データベース21に蓄積する。
【0047】
また、発進時燃料消費量の算出に用いられる基準燃料消費量は、車両の車種・排気量・駆動システム(2WD/4WD)を考慮した発進時の燃料消費量(cc/km)であり、予め定義された消費量である。特に限定されないが、基準燃料消費量は、停車状態から巡航速度(例えば40km/h)までに消費される燃料消費量として定義することができる。基準燃料消費量は、メモリ1223に発進時基準燃費テーブル1223aとして読み込み可能なように記憶されている。地図データベース300の地図情報に停車ポイントの勾配情報が含まれている場合には、勾配レベルに応じた複数の勾配別の発進時基準燃費テーブル1223bを備えることもできる。また、この発進時基準燃費テーブル1223aは、実際の発進時に検出された燃料消費量を車両コントローラ500から取得し、実測値に基づいて更新することができる。この更新はメモリ1223の更新機能が、車両情報記憶装置400から取得した発進時の燃料消費量に基づいて行う。
【0048】
このように、本実施形態では、必ず停車しなければならない必須停車ポイントと、それ以外の停車ポイントとに分けて、燃料消費量の算出処理を行う。そして、停車ポイントが必ず停車される必須停車ポイントではない場合に限り、経路探索アシスト装置10に停車確率を要求するようにしたため、燃料消費量の精度を高く保ちながら、通信にかかる時間的コストや、情報処理のコストを抑制することができる。
【0049】
ところで、上述した「踏み切り」や、直線道路における「信号機」とは異なり、一の停車ポイントに一の停車確率を対応づけることができることができない場合がある。例えば、「交差点」を通過するルートとして直進ルートと右左折ルートの2ルートがある場合、直進ルートと右左折ルートとで異なる停車確率が生じる場合がある。このような停車ポイントでは、停車ポイントの位置、属性は共通するものの、異なる停車確率が発生する。このように異なる2以上の通過ルートがある停車ポイントでは、通過ルートごとに異なる停車確率を定義することができる。
【0050】
本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、自車両の通過ルートに応じた停車確率を用いて、発進時燃料消費量を算出する。
【0051】
自車両の通過ルートに応じた停車確率を取得するために、本実施形態の停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、自車両が通過する停車ポイントとその停車ポイント通過前後のリンク情報、又は通過ルートごとに付された識別情報を含む停車確率の取得要求を送出し、その通過ルートに応じた停車確率の送出を要求する。ちなみに、経路探索アシスト装置10は、地図データベース30の地図情報を参照して、停車ポイントとその停車ポイント通過前後のリンク情報から自車両の通過ルートを導き、その通過ルートに応じた停車確率を経路探索装置100へ送出することができる。もちろん、通過ルートが異なる停車ポイントを異なる停車ポイントとして扱い、経路探索アシスト装置10に対して、通過ルートに応じた停車ポイントの停車確率を要求することもできる。
【0052】
このように、一の停車ポイントに複数の停車確率が発生する場合、例えば、交差点を通過するために直進ルートと右左折ルートの2ルートがある場合であっても、自車両が実際に通過するルートの停車確率に基づいて、発進時燃料消費量を算出することができるため、結果として燃料消費量を高い精度で算出することができる。
【0053】
続いて、図8に基づいて発進時燃料消費量の算出例を具体的に説明する。図8に示すように、自車両Pが候補経路Yを走行する際に、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、出発地に最も近い停車ポイント「踏み切りT1」が必須停車ポイントであると特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に停車確率を要求することなく、停車ポイント「踏み切りT1」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を基準燃料消費量に基づいて算出する。
【0054】
次に、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、次に出発地に最も近い停車ポイント「信号機1」が必須停車ポイントではないと特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に信号機1の停車確率のうち、直進ルートで通過する場合の停車確率を要求する。停車確率の要求に、信号機1の管理番号と、信号機1の前後に通過するリンク情報を含めることができる。発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント「信号機1」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を、基準燃料消費量と取得した停車確率とに基づいて算出する。
【0055】
さらに続いて、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、次に自車両に最も近い停車ポイント「信号機2」が必須停車ポイントではないと特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に対して、信号機2の停車確率のうち、右折ルートで通過する場合の停車確率を要求する。この場合、停車確率の要求に、信号機2の管理番号と、信号機2の前後に通過するリンクB及びリンクCの情報を含め、経路探索アシスト装置10側に判断させることができる。
【0056】
そして、発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント「信号機2」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を、基準燃料消費量と取得した停車確率とに基づいて算出する。
【0057】
発進時燃料消費量算出部122は、踏み切りT1と、信号機S1と信号機S2の発進時燃料消費量を合計し、合計値を候補経路Yの発進時燃料消費量として算出する。燃料消費量算出部120により算出された燃料消費量は、候補経路と対応づけられて経路選択部130へ送出される。
【0058】
経路選択部130の経路提示機能131は、燃料消費量を付記した候補経路をユーザに提示する。候補経路の提示例を図9に示した。経路選択部130は、情報の入出力機能を備えるモニタ・スピーカ600を介して選択指令を受け付ける。選択された候補経路は、経路案内に供されるため出力部140へ送出される。出力部140は、一の経路についての経路案内を、モニタ・スピーカ600を介して出力する。このように、距離優先、所要時間優先、有料道路優先などの指標により導出された候補経路に燃料消費量を付記することにより、道路料金や到着までの時間が多少かかっても燃料消費量の低い経路を選ぶなど、ユーザの環境に対する意識を反映させた経路を提供することができる。
【0059】
もちろん、ユーザの選択入力を待たずに、経路選択部130は、環境保護重視の観点から燃料消費量の最も低い候補経路を、出力部140へ送出することができる。そして、出力部140はモニタ・スピーカ600を介して候補経路を提示することができる。
【0060】
次に、経路探索アシスト装置10について説明する。説明の便宜上、経路探索装置100に関連づけて説明した部分については、重複を避けて説明する。
【0061】
経路探索アシスト装置10は、車両から取得した情報に基づいて停車確率データベースを更新する機能と、自車両搭載の経路探索装置100からの要求に応じて停車確率を送出する機能とを有する。
【0062】
まず、停車確率データベースの構築乃至更新について説明する。経路探索アシスト装置10は、停車確率データベースに情報を蓄積する蓄積部14を備える。
【0063】
蓄積部14は、停車ポイントを通過する複数の車両(自車両及び自車両以外の車両を含む)に搭載された車載装置2000又は経路探索装置100nから、停車ポイントの通過時における停車情報を逐次収集する。停車ポイントの通過時における停車情報は、車両が停車した旨と停車した地点の進行方向側に最も近い停車ポイントを特定するための識別子を含む。また、停車情報には、車両が停車した日時(暦、時刻)、停車ポイントの渋滞情報を含ませることができる。日時は車載装置2000側のタイマから取得することができ、渋滞情報はVICS(Vehicle Information and Communication System)を利用して取得することができる。
【0064】
車両側の車載装置2000、所定時間間隔(例えばN秒おき)に、車両が現在走行する経路のリンク情報を車両情報記憶装置400に蓄積する。そして、車速取得機能を備えた車両コントローラ500から取得した車速情報に基づいて車両が停車したと判断した場合、例えば所定時間車速が所定値(5km)以下であった場合、車載装置2000側の地図データベース300を参照して、車両の進行方向に沿って所定距離(Mメートル)以内にある信号機(停車ポイント)の管理IDと停車時刻とをセットにして、停車情報として経路探索アシスト装置10に送出する。経路探索アシスト装置10は、通信部50を介して停車情報を取得する。蓄積部14は、取得した停車情報を、統計処理が可能なデータに整形し、統計処理を行って、停車確率としてデータ保存装置20の停車確率データベース21に蓄積する。
【0065】
このように、停車確率データベースは、停車ポイントごとの停車確率を含む。また、停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、すなわち、停車ポイントの通過ルートに停車確率の異なる2以上の通過ルートが含まれている場合、停車確率は、停車ポイントの通過ルートごと(交差点の直進ルートにおける停車確率、交差点の右左折ルートにおける停車確率)に統計することができる。この場合、停車ポイントと、停車ポイント通過前後の経路リンク情報との組み合わせに、通過ルートを対応づけることができる。これにより、停車ポイントと停車ポイント通過前後の経路リンク情報とから、停車ポイントについて通過ルート別に判断することができる。さらに、停車確率は、日時ごと(例えば、物流が混雑する可能性が高い5、10、15、20、25、30日)、曜日ごと、時間帯ごと、渋滞状況ごとに統計することができる。なお、本例では、停車確率データベースを経路探索アシスト装置10以外のデータ保存装置20に格納したが、蓄積部14内に備え、通信を行うことなく停車確率を取得できるようにすることも可能である。
【0066】
この停車情報の蓄積は、経路探索装置100から候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付けた際に行うことができる。この場合、蓄積部14は、通信部50、要求受付部11を介して停車確率を停車確率データベース21に蓄積する。なお、停車情報は、車両からではなく、路側に設けられた監視装置から取得することができる。この場合、監視装置はカメラと通信部を少なくとも備える。
【0067】
次に、経路探索装置100からの要求に応じて停車確率を送出する機能について説明する。
【0068】
上記機能を実行するため、本実施形態の経路探索アシスト装置10は、要求受付部11と、停車確率算出部12と、送出部13を備える。
【0069】
要求受付部11は、車載の経路探索装置100側の候補経路導出部110により導出された候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける。上述したように、この取得要求には、自車両が停車した(速度が所定閾値未満の状態が所定時間継続した)ときに進行方向の経路に沿って最も近くの停車ポイントの識別子と、自己(経路探索装置110)の通信アドレスを含む。
【0070】
また、要求受付部11は、経路探索装置100から、候補経路上の停車ポイントを通過する日時や、停車ポイントの渋滞情報を含む、停車確率の取得要求を受け付けることができる。
【0071】
停車確率算出部12は、前述した蓄積部14が更新した、停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する。
【0072】
具体的に、停車確率算出部12は、特定部12Aと、算出部12Bとを備える。
【0073】
特定部12Aは、取得要求に係る停車ポイントを特定する。この特定部12Aは、停車ポイントが必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かの観点から停車ポイントの属性を特定することができる。この特定は、経路探索装置100の判断に基づいて行うこともできるし、停車ポイント属性を含むサーバ側の地図データベース30を参照して行うこともできる。
【0074】
また、特定部12Aは、停車ポイントの通過ルートに停車確率の異なる2以上の通過ルートが含まれている場合、停車確率の取得要求に係る車両について、停車ポイントにおける通過ルートを特定する。具体的に、特定部12Aは、停車確率の取得要求に係る車両について、サーバ側地図データベース30を参照して、停車ポイント通過前後の経路リンク情報と停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、停車ポイントの通過ルートを特定する。
【0075】
算出部12Bは、停車確率データベース21を参照して、特定された停車ポイントの停車確率を算出する。停車ポイントにおける通過ルートが特定されている場合には、その通過ルートで停車ポイントを通過した場合の停車確率を算出する。
【0076】
また、算出部12Bは、日時ごとに整理された停車ポイントに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた通過日時情報を含む取得要求に応じた、停車ポイントの停車確率を算出する。同じ道路であっても日時によって混雑状況は異なり、停車ポイントの停車確率も異なる。本実施形態のように通過日時に応じた停車確率を算出することにより、精度の高い発進時燃料消費量を算出することができる。
【0077】
さらに、算出部12Bは、渋滞情報(渋滞の状況)ごとに整理された停車ポイントに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた停車ポイントの渋滞情報を含む取得要求に応じた、停車ポイントの停車確率を算出する。同じ道路、同じ日時であっても交通状況によって混雑状況は異なり、停車ポイントの停車確率も異なる。本実施形態のように渋滞状況に応じた停車確率を算出することにより、精度の高い発進時燃料消費量を算出することができる。
【0078】
送出部13は、停車確率算出部12が算出した停車確率を、経路探索装置100へ送出する。送出先のアドレスは、送出先特定機能14aが停車確率の取得要求から特定する。
【0079】
次に、本実施形態の経路探索システム1000の制御手順を説明する。図10は、経路探索装置100の制御手順を説明するためのフローチャート、図11は、発進時燃料消費量の算出処理を行う場合の経路探索装置100と経路探索アシスト装置10の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0080】
まず、図10に基づいて、経路探索装置100の制御手順を説明する。
【0081】
図10に示すように、経路探索装置100において、経路探索命令(起動命令)が入力されると(S01)、候補経路導出部110は、所要時間優先、走行距離優先、有料道路優先、一般道優先などの各指標に基づく経路探索を行う(S02)。この結果一又は二以上の候補経路が導出される。燃料消費量算出部120は、各候補経路の燃料消費量を算出する(S03)。燃料消費量の算出は全経路について終了するまで行われる(S04)。
【0082】
燃料消費量の算出処理について説明する。まず、燃料消費量を算出していない候補経路を一つ選択する(S05)。本実施形態において、燃料消費量算出部120は、走行時の燃料消費量と発進時の燃料消費量とを分けて算出する。 まず、走行時燃料消費量算出部121は選択された一の候補経路の走行時燃料消費量(Df)を算出する(S06)。走行時燃料消費量は、図4に示すような速度−燃費テーブルを参照し、候補経路の旅行距離に基づいて算出することができる。
【0083】
続いて、発進時燃料消費量算出部122は走行時燃料消費量が算出された一の候補経路の発進時燃料消費量(Sf)を算出する(S07)。発進時燃料消費量の算出処理については後に詳述する。
【0084】
そして、合算部123は、S06で算出された走行時燃料消費量(Df)とS7で算出された発進時燃料消費量(Sf)とを加算する(Df+Sf)。
【0085】
全候補経路についての燃料消費量を算出したら(S04でYes)、候補経路とその燃料消費量とを対応づけて、提示する(図9に提示例を示す)。そして、最も燃料消費量の少ない経路を選択し(S10)、選択した経路について経路案内を行う。ここでは、環境保護重視の観点から最も燃料消費量の少ない経路を自動的に選択する処理を示したが、ユーザの選択指令に基づいて経路を選択することもできる。
【0086】
次に、図10のS07に示した発進時燃料消費量の算出処理について、図11に基づいて説明する。
【0087】
図11は、発進時燃料消費量の算出処理に関する経路探索装置100と経路探索アシスト装置10の動作を示す。
【0088】
まず、発進時燃料消費量算出部122の停車ポイント特定部1221は、地図データベース300を参照して、候補経路上の停車ポイントを特定する。停車ポイント特定部1221は、候補経路上の停車ポイントが、踏み切り、一時停止標識などの必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断する(S102)。このような必須停車ポイントの停車確率は100%であるので、経路探索アシスト相違10に問い合わせるまでもなく、発進時燃料消費量を算出することができる。一方、必須停車ポイントについては、停車確率が異なるので経路探索アシスト相違10に問い合わせる。候補経路上に必須停車ポイント以外の停車ポイントが含まれる場合(S102でY)、停車確率取得部122は、その停車ポイントについての停車確率の取得要求を経路探索アシスト装置10へ通信端末200を介して送出する(S103)。停車確率の取得要求には、停車確率の取得を求める停車ポイントの識別子のほか、日時、渋滞情報を含めることができる。
【0089】
経路探索アシスト装置10の要求受付部11は、通信部50を介して停車確率の取得要求を取得する(S104)。停車確率算出部12は、停車確率の取得要求に含まれる停車ポイントの識別子から、取得要求に係る停車ポイントを特定する(S105)。停車確率算出部12は、停車確率データベース21を参照して、特定された停車ポイントの停車確率を算出する(S106)。取得要求に、停車ポイントの通過予定時刻、要求時の日時(曜日、日にち)、渋滞情報などの情報が含まれている場合は、日時ごと又は渋滞状況ごとに統計された停車確率データベース21を参照し、停車ポイントを通過する日時又は渋滞状況に応じた停車確率を算出することが好ましい。
【0090】
そして、送出部13は、S105で算出された各停車ポイントの停車確率を、経路探索装置100の通信アドレスに向けて送出する(S107)。
【0091】
停車確率取得部1222は、要求した停車ポイントについての停車確率を取得する(S108)。
【0092】
発進時燃料消費量算出部122は、取得した停車確率を用い、発進時基準燃費テーブル1223a等を参照して、候補経路上のすべての停車ポイントについて発進時燃料消費量を算出する。この停車ポイントごとの発進時燃料消費量を加算して、候補経路ごとの発進時燃料算出量(Sf)を算出する(S109)。
【0093】
そして、図10のS07以降の処理を行う。
【0094】
最後に、経路探索アシスト装置10の停車確率データベース21、21´の更新処理を、図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0095】
車載装置2000の車両コントローラ500は、自車両の走行リンク情報、車速、停車ポイント情報を取得する(S201)。取得した情報は、車両情報記憶装置400に蓄積する(S202)。この車両情報記憶装置は、経路探索装置100のアクセスを受け付ける。
【0096】
経路探索装置100の停車確率取得部1222の停車情報送出機能1222bは、自車両が停車状態になったか否かを監視する(S203)。具体的に、停車情報送出機能1222bは、車両コントローラ500が取得する自車両の車速が所定値以下(例えば10km/h以下、20km/h以下)となった状態が、所定時間継続したときに、自車両は停車したと判断する(S203でY)。
【0097】
自車両が停車したら、停車位置に進行方向に沿って最も近い停車ポイントを特定するための識別子と、停車時刻を含む停車情報を、経路探索アシスト装置10に向けて送出する。経路探索アシスト装置の蓄積部14は、この停車情報を、通信部50、又はこの通信部50と要求取得部11を介して取得する(S205)。停車情報には、停車日時(暦)、停車ポイントの渋滞情報を含めることができる。渋滞状況を判断するための経路の交通量は、VICS(Vehicle Information and Communication System)から取得することができる。
【0098】
停車確率算出部12の特定部12Aは、停車ポイントを特定する(S206)。停車ポイントを通過する通過ルートが複数ある場合は、その別も特定する。蓄積部14は、新たに取得した停車ポイントと停車時刻を蓄積し、停車確率データベース21を更新する。また、停車確率データベース21が既に作成されている場合は、新たに取得した停車ポイントと停車時刻を加えて停車確率を求め、そして停車確率データベース21を更新する(S208)。
【0099】
本実施形態の経路探索システム1000、経路探索装置100、及び経路探索アシスト装置10は、以上のように構成され、動作するので、以下の効果を奏する。
【0100】
本実施形態では、経路の燃料消費量を、経路上の停車ポイントで停車後に発進する際の発進時燃料消費量を含めて算出することにより、燃料消費率が比較的高い発進時における発進時燃料消費率を考慮した燃料消費量を求めことができ、結果的に経路を通過時の燃料消費量を高い精度で算出することができる。
【0101】
また、本実施形態では、発進時燃料消費量を、停車ポイントごとの停車確率と、車両が発進時に消費する消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて算出することにより、停車ポイントの停車確率に応じた燃料消費量を求めることができる。停車ポイントにおいて、自車両が停車すれば発進時に燃料の消費が発生するが、自車両が停車しなければ発進時に燃料の消費は発生しない。本実施形態では、経路上の停車ポイントのそれぞれについての停車確率を考慮し、停車確率に応じた発進時燃料消費量を算出するため、経路探索時に算出した発進時燃料消費量を実際の走行時における発進時燃料消費量に近似させることができる。これにより、精度の高い燃料消費量に基づく経路探索を実行することができる。
【0102】
そして、本実施形態では、停車ポイントにおける発進時燃料消費量と、経路を走行するための走行時燃料消費量とを分けて算出する。このように、燃料消費の状態が異なる走行時と停車発進時について別々に燃料消費量を算出することにより、高い精度で燃料消費量を算出することができる。
【0103】
また、発進時燃料消費量を算出する際に、車両の発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量を用いるが、この基準燃料消費量を、実際の発進時における燃料消費量に基づいて更新することにより、精度をより向上させることができる。
【0104】
さらに、本実施形態では、停車確率を取得するにあたり、停車ポイントが踏み切り、一時停止等の必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断し、必須停車ポイントでない場合に限り、外部の経路探索アシスト装置10に停車確率を要求する。停車確率が不明である場合に限り経路探索アシスト装置10から停車確率を取得するようにしたため、燃料消費量の算出精度を高く維持しながら、通信コスト、処理コストを低減することができる。
【0105】
また、経路探索アシスト装置10の蓄積部は、停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、停車ポイントの通過ルートごとに区別された停車ポイント別に停車確率を停車確率データベース21に蓄積する。このような停車確率データベース21を参照すれば、通過ルートごとに区別された停車確率を取得することができる。同一の停車ポイントであっても、直進ルートで停車ポイントを通過する場合の停車確率と、右左折ルートで停車ポイントを通過する場合の停車確率とは異なる場合がある。本実施形態によれば、停車ポイントの通過ルートごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めることができるため、経路探索時に算出した発進時燃料消費量を実際の走行時における発進時燃料消費量に近似させることができる。これにより、精度の高い燃料消費量を提示した経路探索を実行することができる。
【0106】
また、本実施形態の停車確率データベース21は、曜日、月日、月末、月初などの日時カテゴリごとに整理された停車確率を含むことができる。これにより、停車確率算出部12が、経路探索装置100から取得した取得要求に含まれる停車ポイントを通過する日時に基づいて、その日時に対応する日時カテゴリにおける停車ポイントの停車確率を算出することができるため、精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。すなわち、同一の停車ポイントであっても、平日、土日、月末、月初、年末などの日時によっては停車確率が異なる場合があるが、本実施形態では、日時カテゴリごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めるため、実際に走行した場合に合致する精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。
【0107】
さらに、本実施形態の停車確率データベース21は、渋滞状況ごとに整理された停車確率を含むことができる。これにより、停車確率算出部12が、経路探索装置100から取得した取得要求に含まれる停車ポイントの渋滞情報に基づいて、その渋滞状況に対応する停車ポイントの停車確率を算出することができるため、精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。すなわち、同一のポイントであっても、事故、工事、交通規制などの交通状況によっては停車確率が異なる場合があるが、本実施形態では、渋滞状況ごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めるため、実際に走行した場合に合致する精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。
【0108】
本実施形態では、停車確率データベース21を、経路探索アシスト装置10側に設けた例を説明したが、経路探索装置100側に設けることもできる。この場合、経路探索装置100と経路探索アシスト装置10との間で取得要求、停車確率を送受信しなくてもよいため、上記効果に加えて、通信コスト、情報処理コスト、を低減することができる。
【0109】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】経路探索システム1000の概要を示す図である。
【図2】経路探索システム1000のブロック構成を示す図である。
【図3】走行パターン別の燃料消費比率の一例を示す図である。
【図4】速度−燃費変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】走行時燃料消費量の算出手法の一例を説明するための図である。
【図6】交差点を車両が直進する場合の停車確率を説明するための図である。
【図7】交差点を車両が右折する場合の停車確率を説明するための図である。
【図8】発進時燃料消費量の算出手法の一例を説明するための図である。
【図9】候補経路の提示例を示す図である。
【図10】経路探索装置の動作処理を説明するためのフローチャート図である。
【図11】発進時燃料消費量の算出処理を説明するためのフローチャート図である。
【図12】停車確率データベース更新処理を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0111】
1000…経路探索システム
2000…車載装置
100…経路探索装置
110…候補経路導出部
120…燃料消費量算出部
121…走行時燃料消費量算出部
122…発進時燃料消費量算出部
123…合算部
130…経路選択部
140…出力部
200…通信端末
300…地図データベース
400…車両情報記憶装置
500…車両コントローラ
600・・・入出力装置、モニタ・スピーカ
3000…サーバ
10…経路探索アシスト装置
30…サーバ側地図データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃費を指標として経路を探索する経路探索システム、及び経路探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出量と車両速度の平均的な関係を利用し、温室効果ガスの排出量が最小となる出発地−目的地間の経路を探索する経路探索装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−30823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の発進時における燃費が走行時の燃料消費量と異なる場合があるため、二酸化炭素排出量と車両速度の平均的な関係に基づく評価によっては、高い精度の燃料消費量に基づく経路探索を行うことができないという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、自車両が経路を通過する際の燃料消費量を高い精度で求めることができる経路探索システム、及び経路探索装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、経路上の所定の停車ポイントで車両が停車する確からしさを示す停車確率を取得し、この停車確率と車両の発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて発進時燃料消費量を算出し、この発進時燃料消費量を用いて自車両が経路を通過する際の燃料消費量を求めることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、停車ポイントの停車確率に応じた発進時の燃料消費量を加味することができるので、車両の発進時における燃費が走行時の燃料消費量と異なる場合であっても高い精度で求めた燃料消費量に基づく経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施形態の経路探索システム1000は、距離、時間、料金等を指標として探索された経路について、さらに燃料消費量の観点から評価できるように、各経路の燃料消費量を求める機能を備えた装置である。
【0009】
算出した各経路の燃料消費量は、経路探索時の指標として利用され、環境保護重視の観点から燃料消費量の最も低い経路を推奨経路とする経路探索、又はユーザが距離、時間、料金等とともに燃料消費量も考慮できる経路探索を行うことができる。
【0010】
本実施形態の経路探索システム1000を図面に基づいて説明する。図1は経路探索システム1000全体の概要を示す図である。
【0011】
本実施形態の経路探索システム1000は、車両に搭載された車載装置2000と、これと通信可能なサーバ3000とを有する。
【0012】
さらに、車載装置2000は、経路探索装置100と、外部との通信を行う通信端末200と、地図情報を有する地図データベース(地図DB)300と、車両に関する情報を取得する車両コントローラ500と、この車両コントローラ500から取得した車両に関する情報を記憶する車両情報記憶装置400と、入力機能を備えたモニタ・スピーカ600とを有する。
【0013】
経路探索装置100、車両コントローラ500は、CPU,MPU,DSP,FPGAなどの動作回路を組み合わせて構成される。通信端末200は携帯電話等であり、地図データベース300は、HDD,CD,MD,DVD、光ディスク等の記録媒体が使用される。車両情報記憶装置400はRAM等で構成される。
【0014】
また、サーバ3000は、経路探索アシスト装置10と、経路探索アシスト装置10の処理に必要なデータを保存するデータ保存装置20と、地図情報を有するサーバ側地図データベース(地図DB)30と、外部へ情報を配信する配信装置40と、外部との通信を行う通信部50とを有する。
【0015】
経路探索アシスト装置10は、CPU,MPU,DSP,FPGAなどの動作回路を組み合わせて構成される。データ保存装置20は、RAM等で構成される。サーバ側地図データベース30は、車両側同様、HDD,CD,MD,DVD、光ディスク等の記録媒体が使用される。通信部50の通信網としては、携帯電話網、UWB,DSRC,無線LAN等である。
【0016】
これら車載装置2000とサーバ3000とは、通信端末200と通信部50を介して相互に情報の授受を行うことができる。
【0017】
図2は経路探索システム1000のブロック構成を示す図である。
【0018】
以下、図2に基づいて、経路探索装置100の各構成、及び経路探索アシスト装置10の各構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、経路探索装置100は、候補経路導出部110と、燃料消費量算出部120と、経路選択部130と、出力部140とを備える。
【0020】
本実施形態の候補経路導出部110は、地図データベース300の地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く。本実施形態の候補経路導出部110は、自己が備えるナビゲーション機能1101(GPS:Global Positioning System700を備える)を用いて、距離優先、所要時間優先、料金優先、有料道路優先、渋滞回避などの任意の指標に基づく経路の候補を導出する。導出する候補経路は1つの経路でもよいし、複数の経路でもよい。導出した候補経路の情報には、候補経路を構成するリンク情報、候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントの情報が含まれる。また、各候補経路の情報には、各リンクのノードを通過する(予想)時刻、停車ポイントを通過する(予想)時刻を含めることができる。なお、所要時間、通過時刻、渋滞状況を判断するための経路の渋滞情報をVICS(Vehicle Information and Communication System)から取得し、用いることができる。
【0021】
燃料消費量算出部120は、候補経路導出部110により導かれた候補経路を自車両が通過した場合の燃料消費量を算出する。つまり、自車両が候補経路を辿って実際に出発地から目的地まで移動した場合の燃料消費量を算出する。経路を実際に通過する場合、車両が出発地から目的地までのすべてを定速走行できることは少なく、踏み切りや交差点などの停車ポイントにおいて一時的に停車し、再度発進するという可能性がある。本実施形態において、経路を通過するとは、定速で走行する場面、踏み切りや交差点などの停車ポイントで停車・発進する場面を含に、経路の実際の交通規制に従って出発地から目的地に到着することをいう。
【0022】
ところで、車両の燃料消費量は、所定速度以上で走行する巡航時、減速時、停車時、発進時などの走行パターンによって異なる。走行パターン別の燃料消費比率の一例を図3に示した。図3に示すように、停車−発進時(停車後に発進する場面)における燃料消費率は、巡航時における燃料消費率よりも、大きくなる場合がある。
【0023】
したがって、経路を通過する際の燃料消費量の算出において、停車−発進時の燃料消費量を無視すると、正確な燃料消費量を算出することができない。
【0024】
本実施形態の燃料消費量算出部120は、停車−発進時の燃料消費量を考慮した燃料消費量を算出する観点から、走行時の燃料消費量と発進時の燃料消費量とを分けて算出する。具体的に、本実施形態の燃料消費量算出部120は、走行時燃料消費量算出部121と、発進時燃料消費量算出部122とを備える。
【0025】
さらに、燃料消費量算出部120は、合算部123を備え、走行時燃料消費算出部121が算出した自車両が走行する際の走行時燃料消費量と発進時燃料消費量算出部122が算出した自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とを取得し、これらを合算し、候補経路ごとの燃料消費量を求める。
【0026】
まず走行時燃料消費量算出部121について説明する。この走行時燃料消費量算出部121は、候補経路を自車両が走行する際の走行時燃料消費量を候補経路ごとに算出する。
【0027】
具体的に、走行時燃料消費量とは、候補経路を通過する際に走行により消費される燃料の量である。この「走行」状態は、所定速度以上で車両が移動する状態と定義することができる。この走行時燃料消費量は以下のように算出する。まず、候補経路を構成するリンクごとにリンク距離とリンク旅行時間から平均速度を算出する。そして、図4に一例を示すような速度−燃費変換テーブル1211を参照し、平均速度に対する燃料消費率(cc/km)を導く。導いた燃料消費率にリンク距離を掛け合わせる。これにより、リンク毎の燃料消費量を導き出すことができるから、これらの総和を求めることで各候補経路の走行時燃料消費量を算出することができる。
【0028】
図5に基づいて走行時燃料消費量の算出手法の一例を説明する。図5に示す候補経路XはリンクA〜Eから構成される。リンクCを例にすると、リンクCの距離=1km、リンクCの旅行時間=0.04h(2.4min)とすると、リンクCの平均速度=25km/hとなる。図4に例示した速度−燃費変換テーブル1211を参照すると、平均速度25km/hの燃料消費率は90cc/kmである。よって、リンクCの燃料消費量は90 cc/km×11km =90ccとなる。リンクC以外のリンクA、B、D、Eについて同様の処理を行い、各リンクの燃料消費量を求める。算出した各リンクの燃料消費量が A:40cc、B:50cc、C:90cc、D:70cc、E:40ccである場合、候補経路Xの燃料消費量は290ccとなる。この処理をすべての候補経路についてそれぞれ行う。
【0029】
なお、図4に一例を示した速度−燃費変換テーブル1211は車種・排気量・駆動システム(2WD/4WD)に応じて複数のパターンを準備することができる。また、地図データベース300の地図情報にリンクの勾配情報が含まれている場合には、勾配レベルに応じた複数の勾配別速度−燃費変換テーブル1212を準備し、この勾配別速度−燃費変換テーブル1212を参照して走行時の燃料消費量を算出することができる。
【0030】
この速度−燃費変換テーブル1211は、予め経路探索装置100に格納することができる。また、実際の走行時に検出された燃料消費量と速度を車両コントローラ500から取得し、実測値に基づいて作成又は更新することができる。この更新はメモリ1223の更新機能1223cが、車両情報記憶装置400から取得した発進時の燃料消費量に基づいて行う。
【0031】
次に、発進時燃料消費量算出部122について説明する。この発進時燃料消費量算出部122は、候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントについて自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を求め、これを候補経路ごとに加算して、候補経路ごとの発進時燃料消費量を算出する。
【0032】
加えて、本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントにおいて自車両が停車する確率を参照して、各停車ポイントにおける発進時燃料消費量を算出する。すなわち、発進時燃料消費量算出部122は、停車確率取得部1222を備え、サーバ3000側の経路探索アシスト装置10から、候補経路上で自車両が通過する停車ポイントについての停車確率を取得し、取得した停車確率と、車両が発進時に消費する量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、候補経路で自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を算出する。停車ポイントにおける停車確率を考慮することにより、停車の確率が高く停車−発進の走行パターンが高い頻度で発生する停車ポイントを含む候補経路について、発進時燃料消費量を加味した精度の高い燃料消費量を算出することができる。なお、基準燃料消費量は、排気量別、車種別、車型別ごとに定義することができる。
【0033】
また、停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、自己の経路探索装置100のID(通信アドレス)とともに、候補経路上の停車ポイントを特定する識別子を停車確率の取得要求に含めることができる。停車ポイントの識別子としては、信号機の管理番号を用いることができる。経路探索アシスト装置10側は、停車ポイントの識別子に基づいて、その停車ポイントにおける停車確率を経路探索装置100側に送出することができる。
【0034】
ちなみに、本実施形態においては、停車確率は通信部を介して経路探索アシスト装置10から取得する態様を説明したが、停車ポイントについての停車確率をアクセス可能な状態で経路探索装置100側に記憶し(停車確率データベース1222a)、発進時燃料消費量を算出する際に読み込むようにすることもできる。
【0035】
続いて、発進時燃料消費量算出部122の詳細について説明する。
【0036】
先述したように、停車ポイントで自車両が停車する確率は、停車ポイントごとに異なる。例えば、「踏み切り」や「一時停止標識」のように必ず停車が行われる停車ポイントがある一方で、「信号機」のように通過タイミングによっては停車する場合も停車しない場合もある停車ポイントがある。本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントの属性に応じて停車確率を取得する。
【0037】
図2に示すように、発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント特定部1221と、停車確率取得部1222と、メモリ1223とを有する。
【0038】
停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性を含む地図データベース300を参照し、候補経路上の停車ポイントが、例えば、踏み切りのように必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断する必須停車ポイント特定機能1221aを有する。
【0039】
停車確率取得部1222は、候補経路上のすべての停車ポイントについての停車確率を経路探索アシスト装置10に要求することもできるが、本実施形態では、停車ポイントの属性に応じて停車確率の要求を行う。つまり、停車確率取得部1222は、停車ポイント特定部1221により、停車ポイントが必須停車ポイントであると特定された場合は、停車確率の要求を行わない。他方、停車ポイントが必須停車ポイントでない場合、つまり、条件によって停車する条件停車ポイントである場合、停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、候補経路上で自車両が通過する必須停車ポイント以外の停車ポイントについての停車確率の取得を要求する。
【0040】
発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイントが必須停車ポイントであると特定された場合は、基準燃料消費量に基づいて、候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する。他方、停車ポイントが必須停車ポイントでないと特定された場合、経路探索アシスト装置10から取得した停車確率と、基準燃料消費量とに基づいて、候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する。
【0041】
ここで、停車確率の定義手法について図6及び図7に基づいて説明する。本実施形態において、停車確率は経路探索アシスト装置10側で管理されるものであるが、説明の便宜のため、ここで説明する。
【0042】
図6は交差点を車両が直進する場合の停車確率を説明するための図、図7は交差点を車両が右折する場合の停車確率を説明するための図である。
【0043】
図6に示す3つの図は、t0→tn→teの順で時系列に沿って並べた図である。停車観察開始t0において、信号待ちのために停車する車両は1台である。その後tnにおいて、停車する車両は2台である。停車観察終了時(開始から所定時間経過後、例えば5分)teにおいて、交差点を通過した車両は5台である。このように、信号機S1を単位観察時間(ex.5分)に通過した車両が5台であった場合に、そのうちの2台が信号待ちのために停車したので、信号機S1で車両が停車する確率は2/5=40%となる。
【0044】
図7に示す3つの図は、t0→tn→teの順で時系列に沿って並べた図である。停車観察開始t0において、右折待機のために停車する車両は1台である。その後tnにおいて、停車する車両は依然1台である。停車観察終了時(開始から所定時間経過後、例えば5分)teにおいて、交差点を通過した車両は5台である。このように、信号機S2をt0からtnまでの単位観察時間(ex.5分)に通過した車両が5台であった場合に、そのうちの1台が信号待ちのために停車したので、信号機S2で車両が停車する確率は1/5=20%となる。
【0045】
図6及び図7では異なる信号機S1、S2を例にして説明したが、同じ信号機についても、通過ルートごとに停車確率を求めることができる。つまり、信号機のある交差点を直進して通過する直進ルートにおける交差点(停車ポイント)の停車確率と、信号機を右折して通過する右折ルートにおける交差点(停車ポイント)の停車確率とは別々に求めることができる。
【0046】
以上の処理を、経路探索アシスト装置10の蓄積部14は、停車ポイントごとに複数回実施し、その結果を停車確率として停車確率データベース21に蓄積する。
【0047】
また、発進時燃料消費量の算出に用いられる基準燃料消費量は、車両の車種・排気量・駆動システム(2WD/4WD)を考慮した発進時の燃料消費量(cc/km)であり、予め定義された消費量である。特に限定されないが、基準燃料消費量は、停車状態から巡航速度(例えば40km/h)までに消費される燃料消費量として定義することができる。基準燃料消費量は、メモリ1223に発進時基準燃費テーブル1223aとして読み込み可能なように記憶されている。地図データベース300の地図情報に停車ポイントの勾配情報が含まれている場合には、勾配レベルに応じた複数の勾配別の発進時基準燃費テーブル1223bを備えることもできる。また、この発進時基準燃費テーブル1223aは、実際の発進時に検出された燃料消費量を車両コントローラ500から取得し、実測値に基づいて更新することができる。この更新はメモリ1223の更新機能が、車両情報記憶装置400から取得した発進時の燃料消費量に基づいて行う。
【0048】
このように、本実施形態では、必ず停車しなければならない必須停車ポイントと、それ以外の停車ポイントとに分けて、燃料消費量の算出処理を行う。そして、停車ポイントが必ず停車される必須停車ポイントではない場合に限り、経路探索アシスト装置10に停車確率を要求するようにしたため、燃料消費量の精度を高く保ちながら、通信にかかる時間的コストや、情報処理のコストを抑制することができる。
【0049】
ところで、上述した「踏み切り」や、直線道路における「信号機」とは異なり、一の停車ポイントに一の停車確率を対応づけることができることができない場合がある。例えば、「交差点」を通過するルートとして直進ルートと右左折ルートの2ルートがある場合、直進ルートと右左折ルートとで異なる停車確率が生じる場合がある。このような停車ポイントでは、停車ポイントの位置、属性は共通するものの、異なる停車確率が発生する。このように異なる2以上の通過ルートがある停車ポイントでは、通過ルートごとに異なる停車確率を定義することができる。
【0050】
本実施形態の発進時燃料消費量算出部122は、自車両の通過ルートに応じた停車確率を用いて、発進時燃料消費量を算出する。
【0051】
自車両の通過ルートに応じた停車確率を取得するために、本実施形態の停車確率取得部1222は、経路探索アシスト装置10に対して、自車両が通過する停車ポイントとその停車ポイント通過前後のリンク情報、又は通過ルートごとに付された識別情報を含む停車確率の取得要求を送出し、その通過ルートに応じた停車確率の送出を要求する。ちなみに、経路探索アシスト装置10は、地図データベース30の地図情報を参照して、停車ポイントとその停車ポイント通過前後のリンク情報から自車両の通過ルートを導き、その通過ルートに応じた停車確率を経路探索装置100へ送出することができる。もちろん、通過ルートが異なる停車ポイントを異なる停車ポイントとして扱い、経路探索アシスト装置10に対して、通過ルートに応じた停車ポイントの停車確率を要求することもできる。
【0052】
このように、一の停車ポイントに複数の停車確率が発生する場合、例えば、交差点を通過するために直進ルートと右左折ルートの2ルートがある場合であっても、自車両が実際に通過するルートの停車確率に基づいて、発進時燃料消費量を算出することができるため、結果として燃料消費量を高い精度で算出することができる。
【0053】
続いて、図8に基づいて発進時燃料消費量の算出例を具体的に説明する。図8に示すように、自車両Pが候補経路Yを走行する際に、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、出発地に最も近い停車ポイント「踏み切りT1」が必須停車ポイントであると特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に停車確率を要求することなく、停車ポイント「踏み切りT1」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を基準燃料消費量に基づいて算出する。
【0054】
次に、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、次に出発地に最も近い停車ポイント「信号機1」が必須停車ポイントではないと特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に信号機1の停車確率のうち、直進ルートで通過する場合の停車確率を要求する。停車確率の要求に、信号機1の管理番号と、信号機1の前後に通過するリンク情報を含めることができる。発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント「信号機1」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を、基準燃料消費量と取得した停車確率とに基づいて算出する。
【0055】
さらに続いて、停車ポイント特定部1221は、停車ポイントの属性情報を含む地図データベース300を参照して、次に自車両に最も近い停車ポイント「信号機2」が必須停車ポイントではないと特定する。発進時燃料消費量算出部122は、経路探索アシスト装置10に対して、信号機2の停車確率のうち、右折ルートで通過する場合の停車確率を要求する。この場合、停車確率の要求に、信号機2の管理番号と、信号機2の前後に通過するリンクB及びリンクCの情報を含め、経路探索アシスト装置10側に判断させることができる。
【0056】
そして、発進時燃料消費量算出部122は、停車ポイント「信号機2」において停車−発進で消費される発進時燃料消費量を、基準燃料消費量と取得した停車確率とに基づいて算出する。
【0057】
発進時燃料消費量算出部122は、踏み切りT1と、信号機S1と信号機S2の発進時燃料消費量を合計し、合計値を候補経路Yの発進時燃料消費量として算出する。燃料消費量算出部120により算出された燃料消費量は、候補経路と対応づけられて経路選択部130へ送出される。
【0058】
経路選択部130の経路提示機能131は、燃料消費量を付記した候補経路をユーザに提示する。候補経路の提示例を図9に示した。経路選択部130は、情報の入出力機能を備えるモニタ・スピーカ600を介して選択指令を受け付ける。選択された候補経路は、経路案内に供されるため出力部140へ送出される。出力部140は、一の経路についての経路案内を、モニタ・スピーカ600を介して出力する。このように、距離優先、所要時間優先、有料道路優先などの指標により導出された候補経路に燃料消費量を付記することにより、道路料金や到着までの時間が多少かかっても燃料消費量の低い経路を選ぶなど、ユーザの環境に対する意識を反映させた経路を提供することができる。
【0059】
もちろん、ユーザの選択入力を待たずに、経路選択部130は、環境保護重視の観点から燃料消費量の最も低い候補経路を、出力部140へ送出することができる。そして、出力部140はモニタ・スピーカ600を介して候補経路を提示することができる。
【0060】
次に、経路探索アシスト装置10について説明する。説明の便宜上、経路探索装置100に関連づけて説明した部分については、重複を避けて説明する。
【0061】
経路探索アシスト装置10は、車両から取得した情報に基づいて停車確率データベースを更新する機能と、自車両搭載の経路探索装置100からの要求に応じて停車確率を送出する機能とを有する。
【0062】
まず、停車確率データベースの構築乃至更新について説明する。経路探索アシスト装置10は、停車確率データベースに情報を蓄積する蓄積部14を備える。
【0063】
蓄積部14は、停車ポイントを通過する複数の車両(自車両及び自車両以外の車両を含む)に搭載された車載装置2000又は経路探索装置100nから、停車ポイントの通過時における停車情報を逐次収集する。停車ポイントの通過時における停車情報は、車両が停車した旨と停車した地点の進行方向側に最も近い停車ポイントを特定するための識別子を含む。また、停車情報には、車両が停車した日時(暦、時刻)、停車ポイントの渋滞情報を含ませることができる。日時は車載装置2000側のタイマから取得することができ、渋滞情報はVICS(Vehicle Information and Communication System)を利用して取得することができる。
【0064】
車両側の車載装置2000、所定時間間隔(例えばN秒おき)に、車両が現在走行する経路のリンク情報を車両情報記憶装置400に蓄積する。そして、車速取得機能を備えた車両コントローラ500から取得した車速情報に基づいて車両が停車したと判断した場合、例えば所定時間車速が所定値(5km)以下であった場合、車載装置2000側の地図データベース300を参照して、車両の進行方向に沿って所定距離(Mメートル)以内にある信号機(停車ポイント)の管理IDと停車時刻とをセットにして、停車情報として経路探索アシスト装置10に送出する。経路探索アシスト装置10は、通信部50を介して停車情報を取得する。蓄積部14は、取得した停車情報を、統計処理が可能なデータに整形し、統計処理を行って、停車確率としてデータ保存装置20の停車確率データベース21に蓄積する。
【0065】
このように、停車確率データベースは、停車ポイントごとの停車確率を含む。また、停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、すなわち、停車ポイントの通過ルートに停車確率の異なる2以上の通過ルートが含まれている場合、停車確率は、停車ポイントの通過ルートごと(交差点の直進ルートにおける停車確率、交差点の右左折ルートにおける停車確率)に統計することができる。この場合、停車ポイントと、停車ポイント通過前後の経路リンク情報との組み合わせに、通過ルートを対応づけることができる。これにより、停車ポイントと停車ポイント通過前後の経路リンク情報とから、停車ポイントについて通過ルート別に判断することができる。さらに、停車確率は、日時ごと(例えば、物流が混雑する可能性が高い5、10、15、20、25、30日)、曜日ごと、時間帯ごと、渋滞状況ごとに統計することができる。なお、本例では、停車確率データベースを経路探索アシスト装置10以外のデータ保存装置20に格納したが、蓄積部14内に備え、通信を行うことなく停車確率を取得できるようにすることも可能である。
【0066】
この停車情報の蓄積は、経路探索装置100から候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付けた際に行うことができる。この場合、蓄積部14は、通信部50、要求受付部11を介して停車確率を停車確率データベース21に蓄積する。なお、停車情報は、車両からではなく、路側に設けられた監視装置から取得することができる。この場合、監視装置はカメラと通信部を少なくとも備える。
【0067】
次に、経路探索装置100からの要求に応じて停車確率を送出する機能について説明する。
【0068】
上記機能を実行するため、本実施形態の経路探索アシスト装置10は、要求受付部11と、停車確率算出部12と、送出部13を備える。
【0069】
要求受付部11は、車載の経路探索装置100側の候補経路導出部110により導出された候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける。上述したように、この取得要求には、自車両が停車した(速度が所定閾値未満の状態が所定時間継続した)ときに進行方向の経路に沿って最も近くの停車ポイントの識別子と、自己(経路探索装置110)の通信アドレスを含む。
【0070】
また、要求受付部11は、経路探索装置100から、候補経路上の停車ポイントを通過する日時や、停車ポイントの渋滞情報を含む、停車確率の取得要求を受け付けることができる。
【0071】
停車確率算出部12は、前述した蓄積部14が更新した、停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する。
【0072】
具体的に、停車確率算出部12は、特定部12Aと、算出部12Bとを備える。
【0073】
特定部12Aは、取得要求に係る停車ポイントを特定する。この特定部12Aは、停車ポイントが必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かの観点から停車ポイントの属性を特定することができる。この特定は、経路探索装置100の判断に基づいて行うこともできるし、停車ポイント属性を含むサーバ側の地図データベース30を参照して行うこともできる。
【0074】
また、特定部12Aは、停車ポイントの通過ルートに停車確率の異なる2以上の通過ルートが含まれている場合、停車確率の取得要求に係る車両について、停車ポイントにおける通過ルートを特定する。具体的に、特定部12Aは、停車確率の取得要求に係る車両について、サーバ側地図データベース30を参照して、停車ポイント通過前後の経路リンク情報と停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、停車ポイントの通過ルートを特定する。
【0075】
算出部12Bは、停車確率データベース21を参照して、特定された停車ポイントの停車確率を算出する。停車ポイントにおける通過ルートが特定されている場合には、その通過ルートで停車ポイントを通過した場合の停車確率を算出する。
【0076】
また、算出部12Bは、日時ごとに整理された停車ポイントに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた通過日時情報を含む取得要求に応じた、停車ポイントの停車確率を算出する。同じ道路であっても日時によって混雑状況は異なり、停車ポイントの停車確率も異なる。本実施形態のように通過日時に応じた停車確率を算出することにより、精度の高い発進時燃料消費量を算出することができる。
【0077】
さらに、算出部12Bは、渋滞情報(渋滞の状況)ごとに整理された停車ポイントに関する停車確率データベース21を参照し、要求受付部11が受け付けた停車ポイントの渋滞情報を含む取得要求に応じた、停車ポイントの停車確率を算出する。同じ道路、同じ日時であっても交通状況によって混雑状況は異なり、停車ポイントの停車確率も異なる。本実施形態のように渋滞状況に応じた停車確率を算出することにより、精度の高い発進時燃料消費量を算出することができる。
【0078】
送出部13は、停車確率算出部12が算出した停車確率を、経路探索装置100へ送出する。送出先のアドレスは、送出先特定機能14aが停車確率の取得要求から特定する。
【0079】
次に、本実施形態の経路探索システム1000の制御手順を説明する。図10は、経路探索装置100の制御手順を説明するためのフローチャート、図11は、発進時燃料消費量の算出処理を行う場合の経路探索装置100と経路探索アシスト装置10の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0080】
まず、図10に基づいて、経路探索装置100の制御手順を説明する。
【0081】
図10に示すように、経路探索装置100において、経路探索命令(起動命令)が入力されると(S01)、候補経路導出部110は、所要時間優先、走行距離優先、有料道路優先、一般道優先などの各指標に基づく経路探索を行う(S02)。この結果一又は二以上の候補経路が導出される。燃料消費量算出部120は、各候補経路の燃料消費量を算出する(S03)。燃料消費量の算出は全経路について終了するまで行われる(S04)。
【0082】
燃料消費量の算出処理について説明する。まず、燃料消費量を算出していない候補経路を一つ選択する(S05)。本実施形態において、燃料消費量算出部120は、走行時の燃料消費量と発進時の燃料消費量とを分けて算出する。 まず、走行時燃料消費量算出部121は選択された一の候補経路の走行時燃料消費量(Df)を算出する(S06)。走行時燃料消費量は、図4に示すような速度−燃費テーブルを参照し、候補経路の旅行距離に基づいて算出することができる。
【0083】
続いて、発進時燃料消費量算出部122は走行時燃料消費量が算出された一の候補経路の発進時燃料消費量(Sf)を算出する(S07)。発進時燃料消費量の算出処理については後に詳述する。
【0084】
そして、合算部123は、S06で算出された走行時燃料消費量(Df)とS7で算出された発進時燃料消費量(Sf)とを加算する(Df+Sf)。
【0085】
全候補経路についての燃料消費量を算出したら(S04でYes)、候補経路とその燃料消費量とを対応づけて、提示する(図9に提示例を示す)。そして、最も燃料消費量の少ない経路を選択し(S10)、選択した経路について経路案内を行う。ここでは、環境保護重視の観点から最も燃料消費量の少ない経路を自動的に選択する処理を示したが、ユーザの選択指令に基づいて経路を選択することもできる。
【0086】
次に、図10のS07に示した発進時燃料消費量の算出処理について、図11に基づいて説明する。
【0087】
図11は、発進時燃料消費量の算出処理に関する経路探索装置100と経路探索アシスト装置10の動作を示す。
【0088】
まず、発進時燃料消費量算出部122の停車ポイント特定部1221は、地図データベース300を参照して、候補経路上の停車ポイントを特定する。停車ポイント特定部1221は、候補経路上の停車ポイントが、踏み切り、一時停止標識などの必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断する(S102)。このような必須停車ポイントの停車確率は100%であるので、経路探索アシスト相違10に問い合わせるまでもなく、発進時燃料消費量を算出することができる。一方、必須停車ポイントについては、停車確率が異なるので経路探索アシスト相違10に問い合わせる。候補経路上に必須停車ポイント以外の停車ポイントが含まれる場合(S102でY)、停車確率取得部122は、その停車ポイントについての停車確率の取得要求を経路探索アシスト装置10へ通信端末200を介して送出する(S103)。停車確率の取得要求には、停車確率の取得を求める停車ポイントの識別子のほか、日時、渋滞情報を含めることができる。
【0089】
経路探索アシスト装置10の要求受付部11は、通信部50を介して停車確率の取得要求を取得する(S104)。停車確率算出部12は、停車確率の取得要求に含まれる停車ポイントの識別子から、取得要求に係る停車ポイントを特定する(S105)。停車確率算出部12は、停車確率データベース21を参照して、特定された停車ポイントの停車確率を算出する(S106)。取得要求に、停車ポイントの通過予定時刻、要求時の日時(曜日、日にち)、渋滞情報などの情報が含まれている場合は、日時ごと又は渋滞状況ごとに統計された停車確率データベース21を参照し、停車ポイントを通過する日時又は渋滞状況に応じた停車確率を算出することが好ましい。
【0090】
そして、送出部13は、S105で算出された各停車ポイントの停車確率を、経路探索装置100の通信アドレスに向けて送出する(S107)。
【0091】
停車確率取得部1222は、要求した停車ポイントについての停車確率を取得する(S108)。
【0092】
発進時燃料消費量算出部122は、取得した停車確率を用い、発進時基準燃費テーブル1223a等を参照して、候補経路上のすべての停車ポイントについて発進時燃料消費量を算出する。この停車ポイントごとの発進時燃料消費量を加算して、候補経路ごとの発進時燃料算出量(Sf)を算出する(S109)。
【0093】
そして、図10のS07以降の処理を行う。
【0094】
最後に、経路探索アシスト装置10の停車確率データベース21、21´の更新処理を、図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0095】
車載装置2000の車両コントローラ500は、自車両の走行リンク情報、車速、停車ポイント情報を取得する(S201)。取得した情報は、車両情報記憶装置400に蓄積する(S202)。この車両情報記憶装置は、経路探索装置100のアクセスを受け付ける。
【0096】
経路探索装置100の停車確率取得部1222の停車情報送出機能1222bは、自車両が停車状態になったか否かを監視する(S203)。具体的に、停車情報送出機能1222bは、車両コントローラ500が取得する自車両の車速が所定値以下(例えば10km/h以下、20km/h以下)となった状態が、所定時間継続したときに、自車両は停車したと判断する(S203でY)。
【0097】
自車両が停車したら、停車位置に進行方向に沿って最も近い停車ポイントを特定するための識別子と、停車時刻を含む停車情報を、経路探索アシスト装置10に向けて送出する。経路探索アシスト装置の蓄積部14は、この停車情報を、通信部50、又はこの通信部50と要求取得部11を介して取得する(S205)。停車情報には、停車日時(暦)、停車ポイントの渋滞情報を含めることができる。渋滞状況を判断するための経路の交通量は、VICS(Vehicle Information and Communication System)から取得することができる。
【0098】
停車確率算出部12の特定部12Aは、停車ポイントを特定する(S206)。停車ポイントを通過する通過ルートが複数ある場合は、その別も特定する。蓄積部14は、新たに取得した停車ポイントと停車時刻を蓄積し、停車確率データベース21を更新する。また、停車確率データベース21が既に作成されている場合は、新たに取得した停車ポイントと停車時刻を加えて停車確率を求め、そして停車確率データベース21を更新する(S208)。
【0099】
本実施形態の経路探索システム1000、経路探索装置100、及び経路探索アシスト装置10は、以上のように構成され、動作するので、以下の効果を奏する。
【0100】
本実施形態では、経路の燃料消費量を、経路上の停車ポイントで停車後に発進する際の発進時燃料消費量を含めて算出することにより、燃料消費率が比較的高い発進時における発進時燃料消費率を考慮した燃料消費量を求めことができ、結果的に経路を通過時の燃料消費量を高い精度で算出することができる。
【0101】
また、本実施形態では、発進時燃料消費量を、停車ポイントごとの停車確率と、車両が発進時に消費する消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて算出することにより、停車ポイントの停車確率に応じた燃料消費量を求めることができる。停車ポイントにおいて、自車両が停車すれば発進時に燃料の消費が発生するが、自車両が停車しなければ発進時に燃料の消費は発生しない。本実施形態では、経路上の停車ポイントのそれぞれについての停車確率を考慮し、停車確率に応じた発進時燃料消費量を算出するため、経路探索時に算出した発進時燃料消費量を実際の走行時における発進時燃料消費量に近似させることができる。これにより、精度の高い燃料消費量に基づく経路探索を実行することができる。
【0102】
そして、本実施形態では、停車ポイントにおける発進時燃料消費量と、経路を走行するための走行時燃料消費量とを分けて算出する。このように、燃料消費の状態が異なる走行時と停車発進時について別々に燃料消費量を算出することにより、高い精度で燃料消費量を算出することができる。
【0103】
また、発進時燃料消費量を算出する際に、車両の発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量を用いるが、この基準燃料消費量を、実際の発進時における燃料消費量に基づいて更新することにより、精度をより向上させることができる。
【0104】
さらに、本実施形態では、停車確率を取得するにあたり、停車ポイントが踏み切り、一時停止等の必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断し、必須停車ポイントでない場合に限り、外部の経路探索アシスト装置10に停車確率を要求する。停車確率が不明である場合に限り経路探索アシスト装置10から停車確率を取得するようにしたため、燃料消費量の算出精度を高く維持しながら、通信コスト、処理コストを低減することができる。
【0105】
また、経路探索アシスト装置10の蓄積部は、停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、停車ポイントの通過ルートごとに区別された停車ポイント別に停車確率を停車確率データベース21に蓄積する。このような停車確率データベース21を参照すれば、通過ルートごとに区別された停車確率を取得することができる。同一の停車ポイントであっても、直進ルートで停車ポイントを通過する場合の停車確率と、右左折ルートで停車ポイントを通過する場合の停車確率とは異なる場合がある。本実施形態によれば、停車ポイントの通過ルートごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めることができるため、経路探索時に算出した発進時燃料消費量を実際の走行時における発進時燃料消費量に近似させることができる。これにより、精度の高い燃料消費量を提示した経路探索を実行することができる。
【0106】
また、本実施形態の停車確率データベース21は、曜日、月日、月末、月初などの日時カテゴリごとに整理された停車確率を含むことができる。これにより、停車確率算出部12が、経路探索装置100から取得した取得要求に含まれる停車ポイントを通過する日時に基づいて、その日時に対応する日時カテゴリにおける停車ポイントの停車確率を算出することができるため、精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。すなわち、同一の停車ポイントであっても、平日、土日、月末、月初、年末などの日時によっては停車確率が異なる場合があるが、本実施形態では、日時カテゴリごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めるため、実際に走行した場合に合致する精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。
【0107】
さらに、本実施形態の停車確率データベース21は、渋滞状況ごとに整理された停車確率を含むことができる。これにより、停車確率算出部12が、経路探索装置100から取得した取得要求に含まれる停車ポイントの渋滞情報に基づいて、その渋滞状況に対応する停車ポイントの停車確率を算出することができるため、精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。すなわち、同一のポイントであっても、事故、工事、交通規制などの交通状況によっては停車確率が異なる場合があるが、本実施形態では、渋滞状況ごとに統計された停車確率を用いて発進時燃料消費量を求めるため、実際に走行した場合に合致する精度の高い発進時燃料消費量を求めることができる。
【0108】
本実施形態では、停車確率データベース21を、経路探索アシスト装置10側に設けた例を説明したが、経路探索装置100側に設けることもできる。この場合、経路探索装置100と経路探索アシスト装置10との間で取得要求、停車確率を送受信しなくてもよいため、上記効果に加えて、通信コスト、情報処理コスト、を低減することができる。
【0109】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】経路探索システム1000の概要を示す図である。
【図2】経路探索システム1000のブロック構成を示す図である。
【図3】走行パターン別の燃料消費比率の一例を示す図である。
【図4】速度−燃費変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】走行時燃料消費量の算出手法の一例を説明するための図である。
【図6】交差点を車両が直進する場合の停車確率を説明するための図である。
【図7】交差点を車両が右折する場合の停車確率を説明するための図である。
【図8】発進時燃料消費量の算出手法の一例を説明するための図である。
【図9】候補経路の提示例を示す図である。
【図10】経路探索装置の動作処理を説明するためのフローチャート図である。
【図11】発進時燃料消費量の算出処理を説明するためのフローチャート図である。
【図12】停車確率データベース更新処理を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0111】
1000…経路探索システム
2000…車載装置
100…経路探索装置
110…候補経路導出部
120…燃料消費量算出部
121…走行時燃料消費量算出部
122…発進時燃料消費量算出部
123…合算部
130…経路選択部
140…出力部
200…通信端末
300…地図データベース
400…車両情報記憶装置
500…車両コントローラ
600・・・入出力装置、モニタ・スピーカ
3000…サーバ
10…経路探索アシスト装置
30…サーバ側地図データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が目的地に至る経路を探索する経路探索装置と、この経路探索装置と情報の授受を行う経路探索アシスト装置とを有する経路探索システムであって、
前記経路探索装置は、
地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く候補経路導出手段と、
前記候補経路導出手段により導かれた候補経路を通過した場合の燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
前記燃料消費量算出手段により燃料消費量が算出された前記候補経路の中から一の経路を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路を出力する出力手段と、を備え、
前記燃料消費量算出手段は、前記候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントにおいて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部を有し、
前記発進時燃料消費量算出部は、前記経路探索アシスト装置から、前記停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさを示す停車確率を取得し、前記取得した停車確率と、発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、前記候補経路を通過した場合の発進時燃料消費量を算出し、
前記経路探索アシスト装置は、
前記経路探索装置の候補経路導出手段により導出された候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける要求受付手段と、
前記停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさを示す停車確率を含む停車確率データベースを参照し、前記要求受付手段が受け付けた取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する停車確率算出手段と、
前記停車確率算出手段が算出した停車確率を、前記経路探索装置へ送出する送出手段と、を有する経路探索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索装置の燃料消費量算出手段は、
前記自車両が前記候補経路を走行する際の走行時燃料消費量を算出する走行時燃料消費量算出部と、
前記候補経路上の前記停車ポイントについて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部と、
前記走行時燃料消費算出部が算出した前記自車両が走行する際の走行時燃料消費量と前記発進時燃料消費量算出部が算出した前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とを合算し、前記候補経路ごとに燃料消費量を求める合算部とを有する経路探索システム。
【請求項3】
請求項2に記載の経路探索システムにおいて、
前記発進時燃料消費量算出部は、前記停車ポイントの属性を含む地図情報を参照し、前記候補経路上の停車ポイントが必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断するとともに、前記停車ポイントが前記必須停車ポイントである場合、前記基準燃料消費量に基づいて、前記候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出し、前記停車ポイントが前記必須停車ポイントでない場合、前記経路探索アシスト装置から、前記候補経路上で自車両が通過する必須停車ポイント以外の停車ポイントについての停車確率を取得し、前記取得した停車確率と前記基準燃料消費量とに基づいて、前記候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する経路探索システム。
【請求項4】
請求項3に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索アシスト装置は、
前記停車ポイントを通過する複数の車両から、前記停車ポイントにおける停車の有無を含む停車情報を逐次収集し、収集した前記停車情報を前記停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積する蓄積手段を備え、
前記蓄積手段は、前記停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、前記停車ポイントを通過する車両から収集した前記停車ポイント通過前後の経路リンク情報と前記停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、前記停車情報を前記停車ポイントの通過ルートごとに区別された停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積し、
前記停車確率算出手段は、前記取得要求に含まれる、前記自車両が通過する停車ポイントと当該停車ポイント通過前後のリンク情報に基づいて、前記停車ポイントにおける前記自車両の通過ルートを判断するとともに、前記停車確率データベースを参照し、前記判断した通過ルートで前記停車ポイントを通過する場合の停車確率を算出する経路探索システム。
【請求項5】
請求項3に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索アシスト装置は、
前記停車ポイントを通過する複数の車両から、前記停車ポイントの通過時における停車情報を逐次収集し、収集した前記停車情報を前記停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積する蓄積手段を備え、
前記蓄積手段は、前記停車ポイントの通過ルートに直進通過ルートと右左折通過ルートが含まれている場合、前記停車ポイントを通過する車両から収集した前記停車ポイント通過前後の経路リンク情報と前記停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、前記停車情報を、前記直進通過ルートと前記右左折通過ルートごとに区別された停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積し、
前記停車確率算出手段は、前記取得要求に含まれる、前記自車両が通過する停車ポイントと当該停車ポイント通過前後の経路リンク情報に基づいて、前記停車ポイントにおいて前記自車両の通過ルートが直進通過ルートであるか右左折通過ルートであるかを判断するとともに、前記停車確率データベースを参照し、前記判断した通過ルートで前記停車ポイントを通過する場合の停車確率を算出する経路探索システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索装置の前記発進時燃料消費量算出部は、前記基準燃料消費量を書換え可能に記憶するとともに、前記自車両の発進時における実際の燃料消費量に基づいて前記基準燃料消費量を更新する機能を備えた経路探索システム。
【請求項7】
地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く候補経路導出手段と、
前記候補経路を通過した場合の燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
前記燃料消費量が算出された各候補経路の中から一の経路を選択する経路選択手段と、
前記選択された経路を出力する出力手段と、を備え、
前記燃料消費量算出手段は、前記候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントにおいて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部を有し、
前記発進時燃料消費量算出部は、アクセス可能な状態で記憶された、前記停車ポイントについての停車確率を取得し、前記取得した停車確率と、発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、前記発進時燃料消費量を候補経路ごとに算出する経路探索装置。
【請求項1】
自車両が目的地に至る経路を探索する経路探索装置と、この経路探索装置と情報の授受を行う経路探索アシスト装置とを有する経路探索システムであって、
前記経路探索装置は、
地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く候補経路導出手段と、
前記候補経路導出手段により導かれた候補経路を通過した場合の燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
前記燃料消費量算出手段により燃料消費量が算出された前記候補経路の中から一の経路を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路を出力する出力手段と、を備え、
前記燃料消費量算出手段は、前記候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントにおいて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部を有し、
前記発進時燃料消費量算出部は、前記経路探索アシスト装置から、前記停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさを示す停車確率を取得し、前記取得した停車確率と、発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、前記候補経路を通過した場合の発進時燃料消費量を算出し、
前記経路探索アシスト装置は、
前記経路探索装置の候補経路導出手段により導出された候補経路上の停車ポイントに関する停車確率の取得要求を受け付ける要求受付手段と、
前記停車ポイントにおいて車両が停車する確からしさを示す停車確率を含む停車確率データベースを参照し、前記要求受付手段が受け付けた取得要求に係る停車ポイントの停車確率を算出する停車確率算出手段と、
前記停車確率算出手段が算出した停車確率を、前記経路探索装置へ送出する送出手段と、を有する経路探索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索装置の燃料消費量算出手段は、
前記自車両が前記候補経路を走行する際の走行時燃料消費量を算出する走行時燃料消費量算出部と、
前記候補経路上の前記停車ポイントについて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部と、
前記走行時燃料消費算出部が算出した前記自車両が走行する際の走行時燃料消費量と前記発進時燃料消費量算出部が算出した前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量とを合算し、前記候補経路ごとに燃料消費量を求める合算部とを有する経路探索システム。
【請求項3】
請求項2に記載の経路探索システムにおいて、
前記発進時燃料消費量算出部は、前記停車ポイントの属性を含む地図情報を参照し、前記候補経路上の停車ポイントが必ず停車をする必須停車ポイントであるか否かを判断するとともに、前記停車ポイントが前記必須停車ポイントである場合、前記基準燃料消費量に基づいて、前記候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出し、前記停車ポイントが前記必須停車ポイントでない場合、前記経路探索アシスト装置から、前記候補経路上で自車両が通過する必須停車ポイント以外の停車ポイントについての停車確率を取得し、前記取得した停車確率と前記基準燃料消費量とに基づいて、前記候補経路を通過する自車両の発進時燃料消費量を算出する経路探索システム。
【請求項4】
請求項3に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索アシスト装置は、
前記停車ポイントを通過する複数の車両から、前記停車ポイントにおける停車の有無を含む停車情報を逐次収集し、収集した前記停車情報を前記停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積する蓄積手段を備え、
前記蓄積手段は、前記停車ポイントに異なる2以上の通過ルートがある場合、前記停車ポイントを通過する車両から収集した前記停車ポイント通過前後の経路リンク情報と前記停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、前記停車情報を前記停車ポイントの通過ルートごとに区別された停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積し、
前記停車確率算出手段は、前記取得要求に含まれる、前記自車両が通過する停車ポイントと当該停車ポイント通過前後のリンク情報に基づいて、前記停車ポイントにおける前記自車両の通過ルートを判断するとともに、前記停車確率データベースを参照し、前記判断した通過ルートで前記停車ポイントを通過する場合の停車確率を算出する経路探索システム。
【請求項5】
請求項3に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索アシスト装置は、
前記停車ポイントを通過する複数の車両から、前記停車ポイントの通過時における停車情報を逐次収集し、収集した前記停車情報を前記停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積する蓄積手段を備え、
前記蓄積手段は、前記停車ポイントの通過ルートに直進通過ルートと右左折通過ルートが含まれている場合、前記停車ポイントを通過する車両から収集した前記停車ポイント通過前後の経路リンク情報と前記停車ポイントの通過時における停車情報とに基づいて、前記停車情報を、前記直進通過ルートと前記右左折通過ルートごとに区別された停車ポイント別に前記停車確率データベースに蓄積し、
前記停車確率算出手段は、前記取得要求に含まれる、前記自車両が通過する停車ポイントと当該停車ポイント通過前後の経路リンク情報に基づいて、前記停車ポイントにおいて前記自車両の通過ルートが直進通過ルートであるか右左折通過ルートであるかを判断するとともに、前記停車確率データベースを参照し、前記判断した通過ルートで前記停車ポイントを通過する場合の停車確率を算出する経路探索システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の経路探索システムにおいて、
前記経路探索装置の前記発進時燃料消費量算出部は、前記基準燃料消費量を書換え可能に記憶するとともに、前記自車両の発進時における実際の燃料消費量に基づいて前記基準燃料消費量を更新する機能を備えた経路探索システム。
【請求項7】
地図情報を参照し、出発地から目的地に到る候補経路を導く候補経路導出手段と、
前記候補経路を通過した場合の燃料消費量を算出する燃料消費量算出手段と、
前記燃料消費量が算出された各候補経路の中から一の経路を選択する経路選択手段と、
前記選択された経路を出力する出力手段と、を備え、
前記燃料消費量算出手段は、前記候補経路上で停車する可能性のある停車ポイントにおいて前記自車両が停車後に発進する際の発進時燃料消費量を、前記候補経路ごとに算出する発進時燃料消費量算出部を有し、
前記発進時燃料消費量算出部は、アクセス可能な状態で記憶された、前記停車ポイントについての停車確率を取得し、前記取得した停車確率と、発進時の消費量として予め定義された基準燃料消費量とに基づいて、前記発進時燃料消費量を候補経路ごとに算出する経路探索装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−174855(P2009−174855A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10546(P2008−10546)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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