説明

給電プラグロック装置

【課題】不要な動作をなくして、製品寿命を確保することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】ドアロックモータ14に給電プラグロックモータ55を並列接続し、その結線上に、給電プラグロック装置がロック状態となるときにオンするプラグロック検出部61を接続する。このため、車両ドアがドアアンロック動作をとるとき、プラグロック検出部61がオンをとっていれば、ドアロックモータ14に流れる電流が給電プラグロックモータ55に流れ、給電プラグロック装置がアンロック動作をとる。つまり、給電プラグロック装置のアンロック動作をドアアンロック連動とするとき、給電プラグロック装置がロック状態にあるときのみ、給電プラグロック装置にアンロック動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等の物品に接続された給電プラグを物品にロックして、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。よって、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に挿し込んだ際、給電プラグが不正に車両から引き抜かれないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特開2009−08917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の給電プラグロック装置は、ロック/アンロックの動作が車両ドアのロック/アンロックに連動する技術が考案されている(特許文献2参照)。こうすれば、ドアロックを動作させれば必然的に給電プラグロック装置も動作するので、ユーザに特別な操作を課すことなく、給電プラグロック装置を動作させることができる。しかし、この場合は、給電プラグが車両に接続されていないときでも、給電プラグロック装置が動作することになるため、製品寿命を縮める可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、不要な動作をなくして、製品寿命を確保することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグ及び前記インレットの間に設けたロック機構により、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、車両のドアロックを動作させる際の駆動源となるドアロック用駆動手段の各端子のうちアンロック動作をとるときに高電位となるアンロック側端子と、前記ロック機構が少なくともアンロック動作するときの駆動源となる給電プラグ用駆動手段との間に、前記ロック機構がロック状態となることを検出するプラグロック検出手段を接続し、前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作するとともに、前記プラグロック検出手段が前記ロック機構のロック状態を検出しているときのみ、給電プラグ用駆動手段に電流を流して、前記ロック機構にアンロック動作を実行させる通電回路を備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、給電プラグロック装置のアンロック動作を車両ドアのドアアンロック連動とした場合、ドアアンロック動作時、給電プラグロック装置は自身がロック状態をとっているときのみアンロック動作を実行する。このため、給電プラグロック装置のアンロック動作を車両ドアのドアアンロック連動としたとしても、給電プラグロック装置がロック状態をとっていなければ、アンロック動作が実行されなくなる。よって、給電プラグロック装置に不要なアンロック動作を実行させずに済むので、装置の製品寿命を確保することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記通電回路は、前記給電プラグ用駆動手段が前記ドアロック用駆動手段に並列接続され、前記プラグロック検出手段は、前記アンロック側端子と前記給電プラグ用駆動手段との間に接続され、前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作をとる際、このとき該ドアロック用駆動手段に流れる電流の一部を、前記プラグロック検出手段を介して前記給電プラグ用駆動手段に流すことにより、前記ロック機構にアンロック動作を実行させることを要旨とする。この構成によれば、ドアロック用駆動手段から流れ込んでくる電流をプラグロック検出手段によって単に直切りする通電回路となるので、通電回路を少ない部品点数で構成することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記通電回路は、前記アンロック側端子に分岐接続された前記給電プラグ用駆動手段と前記プラグロック検出手段との間に接続されたスイッチ手段を備え、前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作するとともに、前記プラグロック検出手段が前記ロック機構のロック状態を検出しているとき、前記スイッチ手段がオンされて前記給電プラグ用駆動手段に電流を流すことにより、前記ロック機構にアンロック動作を実行させることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグ用駆動手段の動作をスイッチ手段によって切り換えるようにすれば、このスイッチ手段とドアロック用駆動手段との間に接続されたプラグロック検出手段には大きな電流が流されずに済むので、プラグロック検出手段を例えば小さなスイッチ部材にて構成することが可能となる。よって、通電回路の回路規模の小型化やコスト削減が可能となる。
【0011】
本発明では、前記通電回路は、前記アンロック側端子と前記プラグロック検出手段とを入力とするAND回路を更に備え、前記スイッチ手段は、スイッチング素子であって、前記AND回路からの出力によってオン/オフが切り換わることを要旨とする。この構成によれば、例えばスイッチ手段とプラグロック検出手段との間に逆流防止用のダイオードが接続される場合であっても、このダイオードは小電流用で済むので、コスト削減等に一層効果が高くなる。
【0012】
本発明では、前記スイッチ手段は、リレーであって、前記アンロック側端子から前記プラグロック検出手段を介して入力する電流によってオン/オフが切り換わることを要旨とする。この構成によれば、通電回路を主にプラグロック検出手段及びリレーを組み合わせた回路とすることが可能となるので、通電回路を少ない部品点数で構成することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記スイッチ手段は、スイッチング素子であって、前記アンロック側端子から前記プラグロック検出手段を介して入力する電圧によってオン/オフが切り換わることを要旨とする。この構成によれば、通電回路を主にプラグロック検出手段及びスイッチング素子を組み合わせた回路とすることが可能となるので、通電回路を少ない部品点数で構成することが可能となる。
【0014】
本発明では、装置本体の内部には、当該給電プラグロック装置の電気系統を接続する回路部が設けられ、前記プラグロック検出手段は、少なくとも前記回路部に設けられていることを要旨とする。この構成によれば、回路部にプラグロック検出手段を設ける構造をとるので、プラグロック検出手段を回路部とは別の場所に設ける必要がなくなる。このため、プラグロック検出手段と回路部とを接続する機構が不要となるので、給電プラグロック装置の小型化に一層寄与する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不要な動作をなくして、製品寿命を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の車両の構成図。
【図2】給電プラグ及びインレットの外観を示す斜視図。
【図3】給電プラグの構造及び取り付け態様を示す一部破断側面図。
【図4】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図5】給電プラグロック装置の平面図。
【図6】給電プラグロック装置の電気構成を示す回路図。
【図7】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの側面図。
【図8】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの図であり、(a)が側面図、(b)が正面図。
【図9】ロックボタンの操作によりロックピースが回動した状態を示す側面図。
【図10】給電プラグロック装置がロック状態のときの側面図。
【図11】ロックリンクの動きを示す図であり、(a)がアンロック時の斜視図、(b)がロック時の斜視図。
【図12】給電プラグロック装置がアンロック動作をとるときの回路図。
【図13】ロック機構がアンロック動作を開始し始めるときの様子を示す正面図。
【図14】第2実施形態の給電プラグロック装置の回路図。
【図15】給電プラグロック装置の動作表。
【図16】第3実施形態の給電プラグロック装置の回路図。
【図17】(a)はプラグアンロック時にドアロックが実行されたときの回路図、(b)はプラグロック時にドアロックが実行されたときの回路図。
【図18】(a)はプラグロック時にドアアンロックが実行されたときの回路図、(b)はプラグアンロック時にドアアンロックが実行されたときの回路図。
【図19】第4実施形態の給電プラグロック装置の回路図。
【図20】(a)はプラグアンロック時にドアロックが実行されたときの回路図、(b)はプラグロック時にドアロックが実行されたときの回路図。
【図21】(a)はプラグロック時にドアアンロックが実行されたときの回路図、(b)はプラグアンロック時にドアアンロックが実行されたときの回路図。
【図22】(a),(b)は第5実施形態のプラグロック検出部の構成例を示す斜視図。
【図23】(a),(b)はプラグロック検出部の他の構成例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の第1実施形態を図1〜図13に従って説明する。
【0018】
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2又はモータ3にて発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモード等の各種モードにより走行する。
【0019】
車両1には、電子キー6との間で無線によりID照合を行って車両1を動作させる電子キーシステム7が搭載されている。本例の電子キーシステム7は、電子キー6からの通信を契機にID照合を行うワイヤレスキーシステムである。
【0020】
この場合、車両1には、電子キー6とのID照合を実行するキー照合装置8と、車両ドアのドアロック施解錠を実行するドアロック装置9とが設けられ、これらが車内バス10によって接続されている。キー照合装置8には、キー照合装置8の動作を統括制御する照合ECU(Electronic Control Unit)11が設けられている。照合ECU11のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。照合ECU11には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機12が接続されている。ドアロック装置9には、ドアロックの施解錠動作を統括制御するドアロックECU13が設けられている。ドアロックECU13には、ドアロックの施解錠を切り換える際の駆動源としてドアロックモータ14が接続されている。なお、ドアロックモータ14がドアロック用駆動手段に相当する。
【0021】
電子キー6には、キー側の通信動作を管理するキー制御部15が設けられている。キー制御部15のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。また、電子キー6には、車両1を遠隔操作する際に操作する複数の操作ボタン16が設けられている。操作ボタン16には、ドアロックを施錠する際に操作する施錠ボタンや、ドアロックを解錠する際に操作する解錠ボタン等がある。
【0022】
操作ボタン16が操作されると、電子キー6からUHF帯の電波によりワイヤレス信号Sidが送信される。ワイヤレス信号Sidには、IDコードと、操作された操作ボタン16に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU11は、ワイヤレス信号Sidを車両受信機12で受信すると、ワイヤレス信号Sid内のIDコードにてID照合を実行する。照合ECU11は、ID照合の成立を確認すると、ワイヤレス信号Sid内の機能コードに応じた動作を車両1に実行させる。
【0023】
例えば、ドアロックが施錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば正転され、ドア側の係止部材(図示略)が車体に係止される。よって、ドアロックが施錠状態となる。一方、ドアロック解錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアアンロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば逆転され、係止部材が車体から外される。よって、ドアロックが解錠状態となる。
【0024】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム17が設けられている。充電システム17は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備18として、充電設備18の充電ケーブル18aの先端に設けられた給電プラグ19を車両1に接続して、バッテリ5を充電する。
【0025】
図1及び図2に示すように、車体20の左前側壁には、給電プラグ19の接続箇所として受電コネクタ21が設けられている。受電コネクタ21は、横開き式のリッド22によって収納室23が開閉される。受電コネクタ21には、電気接続端子(パワー端子、制御端子)を有するインレット24が設けられている。インレット24には、給電プラグ19が完挿されたことを検出するプラグ接続検出センサ25が設けられている。また、インレット24には、インレット24の電気接続端子を開閉するゴム製の蓋26が横開き可能に取り付けられている。
【0026】
図2及び図3に示すように、給電プラグ19は、充電システム17の電源側であって、インレット24に接続される電気接続端子が設けられている。給電プラグ19のプラグ本体19aには、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が揺動可能に取り付けられている。ロックアーム27は、長手方向中央を回動軸28として上下方向に揺動する。ロックアーム27は、先端の爪部29と根元の操作部30とがプラグ本体19aの外部に露出されている。ロックアーム27において操作部30寄りの位置には、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材31が設けられている。
【0027】
給電プラグ19を受電コネクタ21に接続する際には、給電プラグ19を受電コネクタ21へ挿入方向(図3の−Y軸方向)に真っ直ぐ挿し込む。このとき、爪部29がインレット24の突部32に当接すると、ロックアーム27は斜面32aに案内されて突部32を上る。そして、給電プラグ19がインレット24に完挿されると、付勢部材31の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に揺動する。このため、爪部29が突部32に引っ掛かって、給電プラグ19がインレット24に抜け止めされる。
【0028】
ハイブリッドシステム4は、インレット24に給電プラグ19が完挿されたことをプラグ接続検出センサ25により検出すると、給電プラグ19に充電開始要求を出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電開始要求を入力すると、受電コネクタ21に電流を流して、バッテリ5を充電する。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電されたことを確認すると、充電終了要求を給電プラグ19に出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電終了要求を入力すると、受電コネクタ21への電流供給を停止し、充電を終了する。
【0029】
給電プラグ19をインレット24から取り外す際には、操作部30を押してロックアーム27を開き側に揺動させ、突部32から離間させる。そして、この状態で給電プラグ19をインレット24から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0030】
図4及び図5に示すように、受電コネクタ21には、インレット24に接続された給電プラグ19の不正な取り外しを防止する給電プラグロック装置33が設けられている。本例の給電プラグロック装置33は、手動操作によってアンロック状態からロック状態に切り換わり、そのロック状態が機械的な構造により保持される。また、ロック状態となった給電プラグロック装置33は、例えばドアロックのアンロック動作に連動してアンロック状態に切り換わる。
【0031】
給電プラグロック装置33には、平たい箱形状を呈するケース34が設けられている。ケース34は、給電プラグロック装置33の部品群を収納する有底箱状のロックボディ35と、ロックボディ35の開口を閉じる略板状のリッド36とからなる。ロックボディ35及びリッド36は、複数の係止ピン37によって固定されている。係止ピン37は、例えばネジが使用されている。ケース34の正面には、給電プラグ19をインレット24に接続/取り外す際にロックアーム27が通る凹部38が形成されている。ケース34は、ロックボディ35が複数の係止部材(図示略)によってインレット24に固定された取り付け状態をとる。
【0032】
ロックボディ35とリッド36との間には、ケース34の内部の気密性を確保する環状のシール部材39が設けられている。シール部材39は、例えばOリングが使用されている。
【0033】
ケース34の内部には、給電プラグロック装置33の機構部分としてロック機構40が設けられている。この場合、ロックボディ35の正面には、ロック機構40を手動操作によってロック状態に切り換える際に操作する略円柱状のロックボタン41が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に直線往復動可能に取り付けられている。ロックボタン41は、ロックボディ35に形成されたボタン収納部42に摺動可能に挿入されているとともに、手前側の一部分がロックボディ35の外部に露出されている。ロックボタン41の先端とロックボディ35の内壁との間には、ロックボタン41を手前側に常時付勢する付勢部材43が介装されている。付勢部材43は、例えばコイルばねが使用されている。
【0034】
ロックボタン41には、ロックアーム27の開き操作を規制する略円柱状のロックバー44が回動可能に連結されている。ロックバー44は、長手方向が装置幅方向(図4のX軸)を向くよう横向きに配置され、ロックボディ35に設けられたロックバー収納部45において周方向に回動可能に収納されている。ロックバー44は、側壁に突設された掛止突部44aが、ロックボタン41に設けられた長孔41aに係止されている。このため、ロックバー44の装置奥行き方向Yの直線運動が、ロックバー44の軸La回りの回転運動に変換される。
【0035】
ロックバー44の外面には、断面三角形状を呈する肉取り部46が形成されている。このため、ロックバー44は、肉有り部47がロックアーム27の上にくる回転位置をとるとき、ロックアーム27をインレット24に固定し、肉取り部46がロックアーム27の上にくる回動位置をとるとき、ロックアーム27の揺動を許容する。
【0036】
ロックバー44とロックバー収納部45と間には、ケース34の内部の気密性を確保する環状のシール部材48が介装されている。シール部材48は、例えばリップシールが使用されている。
【0037】
ロックバー44の端部には、略扇状を呈するロックピース49が、ロックバー44と一体回動可能に取り付け固定されている。ロックピース49は、ロックバー44の軸Laに対して直交する方向に立設されている。ロックピース49は、自身に形成されたD字状の取付溝49aに、ロックバー44の端面の係止突44bを係止することにより、ロックバー44に一体組み付けされている。ロックボタン41が押し操作されて奥側に移動する動きをとるとき、ロックピース49はロックバー44とともにロック方向(図4の矢印K1方向)に回転し、ロックボタン41が手前側に移動する動きをとるとき、ロックピース49はロックバー44とともにアンロック方向(図4の矢印S1方向)に回転する。
【0038】
ケース34の内部には、ロックピース49と協同してロックバー44をロック位置に保持するロックリンク50が、装置奥行き方向Yに延びるピン部材51によって回動可能に取り付けられている。ロックリンク50は、ピン部材51の軸Lb回りに回動可能であり、ロックピース49の回動方向に交差する方向に回動する。ロックリンク50には、ロックリンク50をロック方向に常時付勢する付勢部材52が設けられている。このため、ロックリンク50は、付勢部材52の付勢力によってロック方向(図4の矢印K2方向)に回動し、付勢部材52の付勢力に抗してアンロック方向(図4の矢印S2方向)に回動する。付勢部材52は、例えばトーションばねが使用されている。
【0039】
ロックリンク50の側部には、付勢部材43の付勢力によるロックピース49のアンロック方向の回動を規制する規制部53が設けられている。規制部53は、ロックピース49がロック方向に回動したとき、ロックピース49による支えが外れてロックリンク50が付勢部材52の付勢力にてロック方向に回転すると、ロックピース49及びケース34の間に入り込んで、ロックバー44のロック状態を維持する。
【0040】
ロックリンク50において規制部53の反対側の側部には、ロックリンク50の回転方向に沿って歯が並ぶギヤ部54が設けられている。ギヤ部54には、ロック状態のロックバー44をアンロック状態に戻す際の駆動源として給電プラグロックモータ55が接続されている。給電プラグロックモータ55は、モータ軸の先端にギヤ部56を有し、これがロックリンク50のギヤ部54と噛合する。給電プラグロックモータ55は、モータ軸が装置奥行き方向Yに沿う向きにて配置されている。給電プラグロックモータ55は、例えばDCモータが使用され、ハーネス57を介して車両1の電源+Bに接続されている。給電プラグロックモータ55が回転したとき、ロックリンク50は給電プラグロックモータ55と逆方向に回転する。なお、給電プラグロックモータ55が給電プラグ用駆動手段に相当する。
【0041】
図6に示すように、給電プラグロック装置33には、車両ドアがアンロック動作をとることと給電プラグロック装置33がロック状態であることとを、給電プラグロック装置33のアンロック動作の開始条件とする通電回路58が設けられている。つまり、本例の通電回路58は、車両ドアのアンロック動作に給電プラグロック装置33のアンロック動作を連動させるとき、給電プラグロック装置33がロック状態をとるときにのみ、給電プラグロック装置33を動作させるものである。
【0042】
ドアロックECU13には、ドアアンロック動作時にオンされるアンロック側リレー59と、ドアロック時にオンされるロック側リレー60とが接続され、これらリレー59,60の間にドアロックモータ14が接続されている。ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー59をオフ、ロック側リレー60をオンして、ドアロックモータ14を正転させる。一方、ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアアンロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー59をオン、ロック側リレー60をオフして、ドアロックモータ14を逆転させる。
【0043】
給電プラグロックモータ55は、ドアロックモータ14のモータ回路からハーネスを引き延ばすことにより、ドアロックモータ14に並列接続されている。ドアロックモータ14と給電プラグロックモータ55間には、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するプラグロック検出部61が接続されている。プラグロック検出部61は、例えばマイクロスイッチからなり、ロックボタン41の操作にてロック機構40がロック状態となると機械的にオンする。また、プラグロック検出部61は、ドアロックモータ14から流れ込んでくる大電流を直切りするスイッチでもある。給電プラグロックモータ55とプラグロック検出部61との間には、逆電流防止用のダイオード62が接続されている。なお、プラグロック検出部61がプラグロック検出手段に相当する。
【0044】
ドアロックがロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、ロック側リレー60からアンロック側リレー59に電流(図6の電流Ia)が流れるが、逆電流防止用のダイオード62が接続されているため、プラグロック検出部61がオン/オフのどちらをとっていても、給電プラグロックモータ55には電流が流れず、給電プラグロックモータ55は動作しない。なお、アンロック側端子14aは、ドアロックモータ14の+端子及び−端子のうち、ドアロックモータ14がアンロック動作をとるときに高電位となる側の端子のことを言う。
【0045】
一方、ドアロックがアンロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、アンロック側リレー59からロック側リレー60に電流(図6の電流Ib)が流れる。このため、アンロック側端子14aの電圧が高電位となるので、プラグロック検出部61がオンとなっていれば、給電プラグロックモータ55に電流が流れ、給電プラグロック装置33がアンロック動作をとる。
【0046】
次に、本例の給電プラグロック装置33の動作を、図7〜図13を用いて説明する。
まず、図7及び図8に、アンロック状態の給電プラグロック装置33を示す。このとき、図7に示すように、ロックボタン41は、付勢部材43の付勢力によってケース34から飛び出した初期位置にある。また、ロックバー44は、肉取り部46が突部32に向く回転位置(アンロック位置)をとり、肉取り部46が有効となっている。つまり、給電プラグロック装置33がアンロック状態をとる。よって、ロックアーム27が揺動操作可能であり、給電プラグ19をインレット24に自由に接続/取り外し可能である。
【0047】
また、図8(a),(b)に示すように、ロックバー44がアンロック位置をとるとき、ロックピース49は、ケース34の内壁面34aに当接したアンロック位置をとっている。このとき、ロックリンク50の規制部53がロックピース49の壁面49bにて支持されて、ロック方向に回転することが規制されている。これにより、給電プラグロック装置33のアンロック状態が保持されている。
【0048】
図9に示すように、給電プラグ19をインレット24に接続した後、アンロック状態の給電プラグロック装置33をロック状態にするには、初期位置にあるロックボタン41を押し操作する。このとき、ロックボタン41は、付勢部材43の付勢力に抗して押し操作される。ロックボタン41の押し操作時、ロックバー44及びロックピース49は、ロックボタン41の押し操作とともに、ロック方向(同図の矢印K1方向)に一体回動する。
【0049】
図10に示すように、ロックピース49がケース34の内壁面34bに当接するまでロックボタン41を押し込むと、ロックバー44は略60度回転した状態となる。このとき、ロックバー44は、肉有り部47が有効となる。よって、突部32に係止したロックアーム27は、ロックバー44によって上が位置規制された状態となり、揺動が不可となる。つまり、給電プラグロック装置33は、給電プラグ19をインレット24に固定したロック状態となる。
【0050】
また、図11(a)に示すように、ロックピース49がロック位置まで目一杯回転すると、ロックリンク50は、ロックピース49の壁面49bに支えられた状態から開放される。このため、ロックリンク50は、付勢部材52の付勢力により、ロック方向(同図の矢印K2方向)に回転する。
【0051】
そして、図11(b)に示すように、ロックリンク50が約45度回転して、規制部53がケース34の内壁面34cに当接すると、ロックリンク50がロックピース49とケース34との間に入り込んだ状態となる。これにより、ロックピース49の回転が不可となるため、給電プラグロック装置33のロック状態が維持される。なお、ロックバー44がロック位置をとったとき、プラグロック検出部61が機械的にオンする。
【0052】
続いて、給電プラグロック装置33がロック状態のとき、ドアロックのアンロック動作が実行されると、ドアのアンロック動作に連動して給電プラグロック装置33もアンロック動作をとる。このときは、図12に示すように、ドアロックモータ14に電流Ib(アンロック電流)が流れることにより、アンロック側端子14aの電圧が高電位をとり、かつプラグロック検出部61がオンをとるので、電流Ibの一部が給電プラグロックモータ55にも流れ、給電プラグロックモータ55が回転する。
【0053】
図13に示すように、給電プラグロックモータ55が回転すると、モータ回転力がギヤ部54,56によりロックリンク50に伝達されて、ロックリンク50が付勢部材52の付勢力に抗して、アンロック方向(同図の矢印S2方向)に回転をし始める。このとき、ロックリンク50は、ケース34の内壁面34dに当接するまで回転する。
【0054】
そして、ロックリンク50がアンロック方向に目一杯回転すると、ロックピース49は、ロックリンク50にて位置規制された状態から開放される。このため、ロックピース49は、付勢部材43の付勢力によってアンロック方向(同図の矢印S1方向)に回転をし始め、ケース34の内壁面34aに当接するまで回転する。そして、ロックピース49のアンロック方向への回転に伴って、ロックバー44がアンロック位置に回転するとともに、ロックボタン41が初期位置に復帰する。これにより、給電プラグロック装置33がアンロック状態に復帰する。
【0055】
以上により、本例においては、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するプラグロック検出部61を回路上に設け、車両ドアのドアアンロックが実行されたとき、プラグロック検出部61がロック状態を検出しているときのみ、給電プラグロックモータ55が通電される。つまり、車両ドアのドアアンロック動作と、給電プラグロック装置33がロック状態との両方が成立したときのみ、給電プラグロック装置33のアンロック動作が実行される。
【0056】
よって、給電プラグロック装置33のアンロック動作を車両ドアのドアアンロック連動としたとしても、給電プラグロック装置33がロック状態でなければ、給電プラグロック装置33はアンロック動作を実行しない。このため、給電プラグロック装置33がドアアンロック動作の度に、アンロック動作を毎回実行しなくなる。従って、給電プラグロック装置33に不要なアンロック動作を行わせずに済むので、装置の製品寿命を確保することが可能となる。
【0057】
また、プラグロック検出部61がオンのとき、ドアロックモータ14にアンロックの電流Ibが流れると、この電流がプラグロック検出部61を介して給電プラグロックモータ55に流れるというハード回路にて、ドアアンロック動作及びプラグロック状態の2条件が成り立つときのみ、給電プラグロックモータ55に電流が流れるようになっている。このため、例えばIC等を使用した大掛かりな装置を用いなくとも、本例の判定ロジックを組むことが可能となるので、給電プラグロック装置33の装置簡素化や部品コスト削減等に効果が高くなる。
【0058】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車両ドアのドアアンロック動作と、給電プラグロック装置33がロック状態をとっていることとの2条件が成立したときのみ、給電プラグロックモータ55に電流を流す通電回路58を給電プラグロック装置33に設けた。このため、給電プラグロック装置33のアンロック動作を車両ドアのドアアンロック連動としたとしても、不要なアンロック動作を実行させずに済む。よって、給電プラグロック装置33の製品寿命を確保することができる。
【0059】
(2)通電回路58は、ドアロックモータ14から流れ込んでくる大電流を、プラグロック検出部61で直切りする回路構成をとる。このため、本例の場合は、給電プラグロックモータ55の電気回路に、プラグロック検出部61及びダイオード62の2部品を追加するだけで済むので、給電プラグロック装置33の構成簡素化に一層寄与する。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図14及び図15に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の電気回路を変更した実施例であり、他の基本的な構成は同じである。よって、本例は、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0061】
図14に示すように、通電回路58は、アンロック側リレー59及びプラグロック検出部61のAND回路63を備えている。この場合、給電プラグロックモータ55のグランド側には、給電プラグロックモータ55に流れる電流をオン/オフするスイッチング素子64が接続されている。スイッチング素子64は、例えばFET(Field Effect Transistor)が使用されている。なお、スイッチング素子64がスイッチ手段を構成する。
【0062】
スイッチング素子64のゲート端子には、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aとプラグロック検出部61とがAND接続されている。詳しくは、スイッチング素子64のゲート端子に、T字結線された電圧調整用の抵抗65,66が接続され、抵抗65にアンロック側端子14a及びプラグロック検出部61が接続されている。アンロック側端子14aと抵抗65との間には、T字結線されたダイオード67及び抵抗68が接続されている。また、プラグロック検出部61と抵抗65との間にも、T字結線されたダイオード69及び抵抗70が接続されている。アンロック側端子14a及びプラグロック検出部61がAND接続された端子71は、抵抗72を介して電源+Bに接続されている。
【0063】
本例の給電プラグロック装置33の動作を、図15を用いて説明する。なお、ここでは、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aの電圧をVin1とし、プラグロック検出部61の出力側の電圧をVin2とし、Vin1及びVin2のAND出力をVoutとする。
【0064】
車両ドアがロック動作をとるとき、ドアロックモータ14には、ロック方向の電流Iaが流れるので、Vin1はLレベルとなる。このため、Vin2のL/Hにかかわらず、VoutはLレベルになる。よって、スイッチング素子64はオフをとり、給電プラグロックモータ55に電流が流れない。従って、給電プラグロック装置33は、動作せずに待機する。
【0065】
車両ドアがアンロック動作をとるとき、ドアロックモータ14には、アンロック方向の電流Ibが流れるので、VinはHレベルとなる。ここで、給電プラグロック装置33がロック状態をとっていて、プラグロック検出部61がオンとなっていれば、Vin2はHレベルとなっているので、VoutはHレベルとなる。このため、VoutがHになるので、スイッチング素子64がオンする。従って、給電プラグロックモータ55に電流が流れ、給電プラグロック装置33がアンロック動作を実行する。
【0066】
一方、車両ドアがアンロック動作をとるとき、給電プラグロック装置33がアンロック状態であれば、Vin2がLレベルとなるので、結果、VoutはLレベルをとる。このため、スイッチング素子64はオフをとり、給電プラグロックモータ55に電流が流れないので、給電プラグロック装置33は動作せず、待機する。つまり、車両ドアがアンロック動作するとき、給電プラグロック装置33がアンロック状態であれば、給電プラグロックモータ55は動作せずに、停止した状態を維持する。
【0067】
また、ドアロック装置9が停止しているとき、ドアロックモータ14には、電流が流れないので、Vin1はLレベルをとる。このため、Vin2のL/Hにかかわらず、VoutはLレベルをとるので、スイッチング素子64はオフをとる。よって、このときは、給電プラグロックモータ55には電流が流れず、給電プラグロック装置33は停止した状態で待機する。
【0068】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態の(1)と同様の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(3)AND回路63には大電流が流れないため、プラグロック検出部61及びダイオード67,69が小電流用のもので済む。このため、プラグロック検出部61やダイオード67,69が小部品で済むので、装置小型化やコスト低減に効果が高くなる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図16〜図18に従って説明する。なお、第3実施形態も、第1及び第2実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0070】
図16に示すように、通電回路58は、給電プラグロックモータ55とプラグロック検出部61との間にリレー73が接続されている。リレー73は、c接点が使用されている。コイル73aは、プラグロック検出部61及びグランドの間に接続されている。また、固定接点73bが給電プラグロックモータ55に接続され、一方の固定端子73cが電源+Bに接続され、他方の固定端子73dがグランドに接続されている。プラグロック検出部61は、小電流が流れるのみであるので、例えばマイクロスイッチが使用されている。なお、リレー73がスイッチ手段を構成する。
【0071】
ここで、図17(a),(b)に示すように、車両ドアがロック動作をとるとき、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aはグランドに直結されるので、アンロック側端子14aの電圧は低電圧になる。このため、プラグロック検出部61のオン/オフにかかわらず、ドアロックモータ14に流れる電流がリレー73に流れることはない。よって、給電プラグロック装置33は、動作せずに待機する。
【0072】
図18(a)に示すように、車両ドアがアンロック動作をとるとき、ドアロックモータ14には、アンロック方向の電流Ibが流れるので、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aの電圧は高電位になる。ここで、給電プラグロック装置33がロック状態をとっていて、プラグロック検出部61がオンとなっていれば、電流Ibの一部がリレー73に流れて、リレー73がオンする。よって、給電プラグロックモータ55に電流が流れ、給電プラグロック装置33がアンロック動作を実行する。
【0073】
一方、図18(b)に示すように、車両ドアがアンロック動作をとるとき、給電プラグロック装置33がアンロック状態であれば、プラグロック検出部61はオフとなっているので、ドアロックモータ14に流れる電流Ibが給電プラグロックモータ55に流れ込まない。よって、給電プラグロックモータ55は動作せず、給電プラグロック装置33は停止したまま待機する。
【0074】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態の(1)と同様の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(4)リレー73は小電流によりオン/オフが切り換えられるものであるため、リレー73とドアロックモータ14との間に接続されたプラグロック検出部61には、小電流しか流れない。よって、プラグロック検出部61が小部品で済むので、装置小型化やコスト低減に効果が高くなる。
【0075】
(5)通電回路58はプラグロック検出部61及びリレー73の2部品で済むので、給電プラグロック装置33の装置小型化やコスト削減に一層寄与する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を図19〜図21に従って説明する。なお、第4実施形態も、第1〜第3実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0076】
図21に示すように、通電回路58は、給電プラグロックモータ55のグランド側とプラグロック検出部61との間にスイッチング素子74が接続されている。スイッチング素子74は、例えばFETが使用されている。なお、スイッチング素子74がスイッチ手段を構成する。
【0077】
スイッチング素子74のゲート端子は、ノイズ除去用のコンデンサ75と、T字結線された抵抗76,77とを介して、プラグロック検出部61に接続されている。プラグロック検出部61は、小電流が流れるのみであるので、例えばマイクロスイッチが使用されている。
【0078】
ここで、図20(a),(b)に示すように、車両ドアがロック動作をとるとき、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aの電圧は低電位となるので、プラグロック検出部61のオン/オフにかかわらず、スイッチング素子74のゲート−ソース間電圧は、低電位をとる。このため、スイッチング素子74はオフをとり、給電プラグロック装置33は動作せずに待機する。
【0079】
図21(a),(b)に示すように、車両ドアがアンロック動作をとるとき、プラグロック検出部61がオンとなっているとき(図21(a)の状態)のみ、スイッチング素子74のゲート−ソース間電圧が高電位となる。このため、車両ドアがアンロック動作をとるとき、給電プラグロック装置33がロック状態にあれば、スイッチング素子74がオンし、給電プラグロック装置33はアンロック動作を実行する。
【0080】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態の(1)と同様の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)スイッチング素子74とドアロックモータ14との間には大電流が流れないので、この経路上に接続されるプラグロック検出部61が小部品で済む。よって、装置小型化やコスト低減に効果が高くなる。また、通電回路58の構成も、FET、スイッチ、コンデンサ、抵抗のみを用いた簡素な回路構成にすることができる。
【0081】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を図22及び図23に従って説明する。なお、第5実施形態も、第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0082】
図22は、ケース34内に配設された回路基板81にプラグロック検出部61を設けた構造例である。回路基板81は、主として例えば給電プラグロックモータ55に通電を行うための基板であって、各種デバイスや、給電プラグロックモータ55から延びるハーネス57が接続されている。回路基板81は、ロックピース49のロック方向側の近傍に配置されるとともに、縦向きに配置されている。なお、ケース34が装置本体に相当し、回路基板81が回路部を構成する。
【0083】
図22(a)は、プラグロック検出部61が1つのスイッチユニットとなった構造例である。スイッチユニットは、自身単体で一部品として取り扱われるスイッチ部品であって、回路基板81上に実装されている。この場合、ロックボタン41の押し操作に連動してロックピース49がロック方向に回動すると、スイッチユニットの可動接点がロックピース49の壁面により押されて、スイッチユニットがオンする。
【0084】
図22(b)は、プラグロック検出部61が可動接点82と固定接点83とで別体となった構造例である。可動接点82及び固定接点83は、互いに対向する位置関係をとって回路基板81上に実装されている。この場合、ロックボタン41の押し操作に連動してロックピース49がロック方向に回動すると、ロックピース49の壁面で可動接点82が押し込まれる。これにより、可動接点82が固定接点83に接触し、スイッチがオンする。
【0085】
図23は、ケース34内に配索されたバスバー84にプラグロック検出部61を設けた構造例である。これは、給電プラグロック装置33の種類によっては回路基板81を持たないものもあり、この場合は、バスバー84を利用してプラグロック検出部61を形成する。バスバー84は、例えば車両電源+Bと給電プラグロックモータ55とを電気接続する配線の一種である。なお、バスバー84が回路部を構成する。
【0086】
図23(a)は、プラグロック検出部61が摺動接点構造をとる例である。この場合、ロックピース49の壁面に摺動式の可動接点85が設けられ、バスバー84に開口を形成することにより、この部分を一対の固定接点86,86として設ける。そして、ロックボタン41の押し操作に連動してロックピース49がロック方向に回動すると、可動接点85がバスバー84を摺動しながら動き、開口した一対の固定接点86,86を閉じる。これにより、バスバー84が導通し、スイッチがオンする。
【0087】
図23(b)は、プラグロック検出部61が対向接点構造をとる例である。この場合、ロックピース49の壁面に、バスバー84と対向接点式の可動接点85が設けられ、バスバー84に開口を形成することにより、この部分を一対の固定接点86,86として設ける。そして、ロックボタン41の押し操作に連動してロックピース49がロック方向に回動すると、可動接点85が一対の固定接点86,86を閉じる。これにより、バスバー84が導通し、スイッチがオンする。
【0088】
以上により、本例の場合、プラグロック検出部61は、給電プラグロック装置33内に形成された回路基板81やバスバー84を利用して形成されている。このため、回路基板81やバスバー84などから離れた別の場所に、プラグロック検出部61を設ける必要がなくなる。よって、プラグロック検出部61とこれらとを接続する機構が不要となるので、給電プラグロック装置33の小型化に一層寄与する。
【0089】
本実施形態の構成によれば、各実施形態の(1)〜(6)と同様の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)プラグロック検出部61を回路基板81やバスバー84を利用して設ける構造をとる。即ち、プラグロック検出部61を回路部のみ、又は給電プラグロック装置33の機構部と回路部との両方に設けた構造をとる。なお、給電プラグロック装置33の機構部とは、ロック機構40の機械的構造部分のことを言う。このため、プラグロック検出部61をこれら部品と別の場所に設ける必要がない。よって、プラグロック検出部61とこれらとを接続する機構が不要となるので、給電プラグロック装置33の小型化に一層寄与する。
【0090】
(8)プラグロック検出部61をロックリンク50ではなくロックピース49に設けたので、構造的に考慮すべきバラツキを少なく抑えることができる。よって、給電プラグロック装置33の構造簡素化や低コスト化に寄与する。
【0091】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、バッテリ5の充電開始条件は、適宜変更可能であって、例えばプラグ接続検出センサ25がインレット24への給電プラグ19の挿し込みを検出し、かつ電子キー6とID照合が成立することを充電開始条件としてもよい。
【0092】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33のロック状態を手動解除可能としてもよい。
・各実施形態において、バッテリ5の充電停止は、車両内のスイッチを切ることで行ってもよい。
【0093】
・各実施形態において、電子キーシステム7は、ワイヤレスキーシステムに限定されない。例えば、車両1からの通信を契機にID照合を行うキー操作フリーシステムや、通信にNFC(Near Field Communication)等の近距離通信を用いる近距離無線認証システムとしてもよい。
【0094】
・各実施形態において、ワイヤレスキーシステムは、パワースライドドア開閉システムでもよい。
・各実施形態において、1つの操作ボタン16が操作される度に、ドアロックの施錠と解除とが交互に実行されるシステムでもよい。
【0095】
・各実施形態において、ロック機構40は、手動操作によってロック状態に切り換えられ、かつロック状態が保持されれば、どのような構造を採用してもよい。
・各実施形態において、ロック部材は、自身のみがロックアーム27の上方に位置してロック状態をとるロックバー44に限定されず、例えば複数部品から構成されていてもよい。例えば、ロックバー44は、例えば所定部材を介してロックアーム27の揺動操作を規制するものでもよい。
【0096】
・各実施形態において、ドアロック用駆動手段及び給電プラグ用駆動手段は、モータに限定されず、例えばソレノイドを使用してもよい。
・各実施形態において、プラグロック検出部61は、スイッチ類(マイクロスイッチ)に限定されず、例えばセンサを使用してもよい。即ち、プラグロック検出部61は、有接点式に限定されず、無接点式(磁気センサ、光学センサ等)としてもよい。
【0097】
・各実施形態において、スイッチ手段は、FETやリレーに限定されず、他の種類を用いてもよい。
・各実施形態において、車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えばモータのみで走行する電気自動車でもよい。
【0098】
・各実施形態において、給電プラグロック装置33は、車両1に適用されることに限らず、他の装置や機器に応用してもよい。
・各実施形態において、通電回路58は、例えばIC(Integrated Circuit)等の集積回路を使用してもよい。
【0099】
・第5実施形態において、図23に示す摺動接点構造や対向接点構造は、バスバー84を前提とすることに限定されず、例えば回路基板81を前提とした構造に適用してもよい。即ち、第5実施形態に記載した思想を適宜組み合わせることも可能である。例えば、回路部を回路基板81及びバスバー84の両方で構成することも可能である。この場合の例としては、回路基板81に素子の部品群を設け、バスバー84にスイッチを設けたり、或いはこの逆の組み合わせとしたりしてもよい。
【0100】
・第5実施形態において、回路部は、回路基板81やバスバー84に限定されず、電気系統の部品であれば、他のものに適宜変更可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0101】
(イ)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記ロック機構は、操作手段の手動操作によってロック部材をロック方向に移動させることにより、当該ロック部材をロック位置に動かして、前記ロック機構をロック状態にする手動ロック手段を備えた。この構成によれば、操作手段を手動操作したときのみ給電プラグロック装置がロック動作をとるので、給電プラグロック装置に無駄なロック動作をとらせずに済む。このため、部品の早期劣化を抑制することが可能となる。
【0102】
(ロ)請求項1〜7、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、ロック部材と、当該ロック部材と連れ回りするピース部材と、前記ロック部材をロック位置で保持可能なリンク部材と、当該リンク部材をロック方向に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック部材がアンロック位置に位置する際、前記リンク部材の前記付勢部材によるロック方向への動きを前記ピース部材によって規制することにより、アンロック状態を維持し、前記ロック部材及び前記ピース部材が手動操作によってロック方向に動くと、前記規制が解消されることにより、前記リンク部材が前記付勢部材の付勢力によってロック方向に動き、当該リンク部材が前記ピース部材をロックで支持する状態をとって、ロック状態をとり、前記プラグロック検出手段は、当該給電プラグロック装置の電気系統を接続する回路部と、前記ピース部材との間に設けられている。この構成によれば、構造的なバラツキを抑制することが可能となる。
【0103】
(ハ)請求項1〜7、前記技術的思想(イ)、(ロ)のいずれかにおいて、前記プラグロック検出手段は、前記回路部のみ、又は前記ロック機構の機構部と前記回路部との両者に設けられている。この構成によれば、給電プラグロック装置の装置体格の小型化に寄与する。
【符号の説明】
【0104】
1…車両、14…ドアロック用駆動手段としてのドアロックモータ、14a…アンロック側端子、19…給電プラグ、24…インレット、33…給電プラグロック装置、34…装置本体としてのケース、40…ロック機構、55…給電プラグ用駆動手段としての給電プラグロックモータ、58…通電回路、61…プラグロック検出手段としてのプラグロック検出部、63…AND回路、64…スイッチ手段を構成するスイッチング素子、73…スイッチ手段を構成するリレー、74…スイッチ手段を構成するスイッチング素子、81…回路部を構成する回路基板、84…回路部を構成するバスバー、Ia,Ib…電流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグ及び前記インレットの間に設けたロック機構により、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
車両のドアロックを動作させる際の駆動源となるドアロック用駆動手段の各端子のうちアンロック動作をとるときに高電位となるアンロック側端子と、前記ロック機構が少なくともアンロック動作するときの駆動源となる給電プラグ用駆動手段との間に、前記ロック機構がロック状態となることを検出するプラグロック検出手段を接続し、前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作するとともに、前記プラグロック検出手段が前記ロック機構のロック状態を検出しているときのみ、給電プラグ用駆動手段に電流を流して、前記ロック機構にアンロック動作を実行させる通電回路を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記通電回路は、前記給電プラグ用駆動手段が前記ドアロック用駆動手段に並列接続され、前記プラグロック検出手段は、前記アンロック側端子と前記給電プラグ用駆動手段との間に接続され、
前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作をとる際、このとき該ドアロック用駆動手段に流れる電流の一部を、前記プラグロック検出手段を介して前記給電プラグ用駆動手段に流すことにより、前記ロック機構にアンロック動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記通電回路は、前記アンロック側端子に分岐接続された前記給電プラグ用駆動手段と前記プラグロック検出手段との間に接続されたスイッチ手段を備え、
前記ドアロック用駆動手段がアンロック動作するとともに、前記プラグロック検出手段が前記ロック機構のロック状態を検出しているとき、前記スイッチ手段がオンされて前記給電プラグ用駆動手段に電流を流すことにより、前記ロック機構にアンロック動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記通電回路は、前記アンロック側端子と前記プラグロック検出手段とを入力とするAND回路を更に備え、
前記スイッチ手段は、スイッチング素子であって、前記AND回路からの出力によってオン/オフが切り換わる
ことを特徴とする請求項3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、リレーであって、前記アンロック側端子から前記プラグロック検出手段を介して入力する電流によってオン/オフが切り換わる
ことを特徴とする請求項3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記スイッチ手段は、スイッチング素子であって、前記アンロック側端子から前記プラグロック検出手段を介して入力する電圧によってオン/オフが切り換わる
ことを特徴とする請求項3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項7】
装置本体の内部には、当該給電プラグロック装置の電気系統を接続する回路部が設けられ、
前記プラグロック検出手段は、少なくとも前記回路部に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−212647(P2012−212647A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206271(P2011−206271)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】