説明

線状部材のテンション測定装置及び測定方法

【課題】配列された複数本の線状部材のテンションを簡単な構成で連続的に順次測定できるようにする。
【解決手段】線状部材Sのテンションを測定可能な検出センサ10を、線状部材Sの長手方向と交差する方向に移動させ、ガイド部材11により移動方向前方側の線状部材Sを案内して、検出センサ10のテンションの検出部10Aに順次接触させる。このように順次接触する線状部材Sのテンションを検出センサ10により測定しつつ、検出センサ10を、複数本の線状部材Sの配列方向の一端側から他端側に向かって移動させて、線状部材Sのテンションを検出センサ10により移動方向に沿って連続的に順次測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状部材に作用するテンション(張力)を測定するテンション測定装置及び測定方法に関し、特に、配列された複数本の線状部材のテンションを連続的に順次測定可能な線状部材のテンション測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機繊維製の糸や金属製のワイヤ、又はコード等の線状部材は、例えば空気入りタイヤの補強材として、カーカスプライ等のタイヤ構成部材に広く使用されている。このようなタイヤ構成部材は、従来、多数本の配列した線状部材に横糸を入れてすだれ織りにし、その両面にゴムを圧着又は被覆して形成され、所定形状に切断等されて生タイヤ(グリーンタイヤ)の成型に使用されるのが一般的である。
【0003】
ところが、近年では、横糸を有さない複数本の配列させた線状部材にゴムを被覆して所定幅のタイヤ構成部材を形成し、このタイヤ構成部材を所定長さに切断してタイヤ成型ドラムの周面上に並列させて複数枚貼り付け、これにより、カーカスプライを形成する等して生タイヤを成型する成型方法が普及しつつある(特許文献1参照)。
また、このようなタイヤ構成部材を製造するための装置として、従来、配列した状態で移動する複数本の線状部材に押出機から供給されるゴムを被覆して、所定幅のタイヤ構成部材を連続して成形可能な成形装置も知られている(特許文献2参照)。
【0004】
図8は、この従来のタイヤ構成部材の成形装置の概略構成を模式的に示す斜視図であり、その一部を断面で示している。
この成形装置100は、図示のように、押出機101と、その先端部に取り付けられたゴム被覆ヘッド102と、それぞれ1本の線状部材S(ここではコード)を巻き取った複数のボビン105等を備えている。
【0005】
この成形装置100では、複数本の線状部材Sをボビン105から繰り出して略平行に引き揃えて所定間隔に配列させ、その状態で、ゴム被覆ヘッド102内に設けたインサータ103の複数の貫通孔を各々通過させて、他方側の口金104の開口部から外側に向かって所定速度で走行(移動)させる。その際、線状部材Sの走行経路に沿って、複数の回転可能なロール110、111、112を配置し、これらにより走行する線状部材S等を案内する。また、ゴム被覆ヘッド102内のゴム流路102Aに、加熱混練したゴムGを押出機101から加圧供給し、走行する複数本の線状部材Sの配列面の両側(図では上下側)からゴムGを線状部材Sに向かって流動させて、それらを口金104の開口部から同時に押し出す。このようにして、成形装置100は、複数本の線状部材Sの両面にゴムGを被覆し、内部に複数本の線状部材Sが配列された所定の幅及び断面形状のタイヤ構成部材P(ここではカーカスプライの構成部材)を連続して成形する。
【0006】
ここで、この従来の成形装置100のように、配列させた複数本の線状部材Sにゴムを被覆する装置では、線状部材Sに弛みや位置ずれが生じるのを防止等するため、各線状部材Sにある程度のテンションを付加した状態で、それらを走行させてゴム被覆ヘッド102内を通過させるのが一般的である。ところが、例えば線状部材Sが本来の正常な状態にセットされていなかったり、又は装置の不具合や異常等により、複数本の線状部材Sの一部又は全部に通常よりも高いテンションが作用することがある。このような場合には、線状部材Sのテンションの影響で、ゴム被覆後のタイヤ構成部材Pに縮みやしわ、又は変形等の不良が発生する恐れがあり、同時に、このタイヤ構成部材Pを使用して製造したタイヤの均一性が損なわれる等、製品タイヤに影響が生じる恐れもある。
【0007】
また、このような装置では、線状部材Sの繰り出しを円滑にするため、ボビンのそれぞれに空回り防止用のブレーキを設けることが行われており、その不具合で線状部材Sのテンション異常及び、それに伴う問題が発生し易くなっている。従って、このような装置では、複数本の線状部材Sのそれぞれのテンションを監視し、それらが適切になるように管理して、テンション異常に伴う不良の発生を抑制する必要がある。特に、横糸がない状態では、複数本の線状部材Sのテンションが線状部材S毎に一層バラバラになり易く、線状部材Sのテンションを各々監視等する必要性もより大きくなる。
【0008】
ところで、これら各問題に対処する方法としては、タイヤ構成部材Pの成形中や成形後に、作業者がタイヤ構成部材Pを直接確認し、その良不良を判断して都度対応する方法がある。しかしながら、この方法では、多大な手間や労力、及び時間等がかかり、それに応じてコストが増大するとともに、作業者毎に異なる判断がなされることもある等、正確かつ精度の高い判断を継続して行うのは難しい。
【0009】
一方、他の対処方法としては、各線状部材Sのテンションを自動で測定して監視し、通常よりも高いテンションが検出される等、テンションの異常を検出したときに装置を停止等させる方法もある。しかしながら、この方法では、線状部材Sのテンションをインライン(製造ライン内)で測定する測定装置を新たに設置する必要があり、かつ、線状部材S毎に、そのテンションを測定する圧力センサ等の検出センサを配置する必要もある。そのため、この方法では、線状部材Sの数に比例して検出センサ等の数も増加し、これに応じて、測定装置が複雑化してその設置に必要なコストも高くなる、という問題が生じる。同時に、装置のメンテナンスや維持に要する手間や時間、及びコスト等も増大するため、測定装置の導入に伴う負担が大きくなる、という問題もある。
【0010】
【特許文献1】特開2005−297270号公報
【特許文献2】特開2006−7703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、配列された複数本の線状部材のテンションを簡単な構成で連続的に順次測定できるようにし、線状部材のテンションを容易かつ精度よく監視し得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、配列された複数本の線状部材のテンションを順次測定する線状部材のテンション測定装置であって、前記複数本の線状部材の長手方向と交差する方向に移動して該線状部材のテンションを測定可能な検出センサと、該検出センサを前記複数本の線状部材の配列方向の一端側から他端側に向かって移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された線状部材のテンション測定装置において、前記検出センサの移動方向前方側の前記線状部材を案内して前記検出センサの検出部に順次接触させる案内手段を備え、前記検出センサは、前記検出部に接触する前記線状部材のテンションを順次測定することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された線状部材のテンション測定装置において、前記移動手段は、前記検出センサの検出部の先端部が前記線状部材の配列面を突き越えた位置で前記検出センサを移動させ、前記検出センサは、前記検出部により前記線状部材を押圧して該線状部材のテンションを測定することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された線状部材のテンション測定装置において、前記検出センサによるテンションの測定値と予め設定された該テンションの基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記線状部材のテンションの異常の有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、配列された複数本の線状部材のテンションを検出センサにより順次測定する線状部材のテンション測定方法であって、前記検出センサを前記複数本の線状部材の配列方向の一端側から他端側に向かって移動させる工程と、該移動する検出センサにより前記線状部材のテンションを移動方向に沿って順次測定する工程と、を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載された線状部材のテンション測定方法において、前記検出センサの移動方向前方側の前記線状部材を案内して前記検出センサの検出部に順次接触させる工程を有し、前記測定する工程は、前記検出部に案内されて接触する線状部材のテンションを前記検出センサにより順次測定することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載された線状部材のテンション測定方法において、前記測定する工程は、前記検出センサの検出部により前記線状部材を押圧して該線状部材のテンションを測定することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載された線状部材のテンション測定方法において、前記検出センサによるテンションの測定値と予め設定された該テンションの基準値とを比較する工程と、該比較結果に基づいて、前記線状部材のテンションの異常の有無を判定する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配列された複数本の線状部材のテンションを簡単な構成で連続的に順次測定でき、線状部材のテンションを容易かつ精度よく監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の線状部材のテンション測定装置(監視装置)(以下、テンション測定装置という)は、配列された複数本の線状部材のテンション(張力)を1本又は複数本(ここでは1本)ずつ順次測定する装置であり、例えば有機繊維製の糸や金属製のワイヤ、又はコード等の細長い各種の線状部材のテンションを測定等するためのものである。
【0015】
また、本実施形態では、テンション測定装置を、上記したタイヤ構成部材Pの成形装置100(図8参照)に設置し、ゴムGで被覆する前の複数本の線状部材S(ここではタイヤ補強材)のテンションをインラインで連続的に測定する場合を例に採り説明する。即ち、このテンション測定装置は、その構成の一部が成形装置100のゴム被覆ヘッド102に入る前の複数本の線状部材Sに沿うように、ゴム被覆ヘッド102の手前側(ここではロール111とゴム被覆ヘッド102の間)に配置され、ゴム被覆ヘッド102内に向かって供給される配列した線状部材Sのテンションを順次測定するようになっている。
【0016】
図1は、本実施形態のテンション測定装置の概略構成を模式的に示す平面図であり、配列された複数本の線状部材Sの長手方向の一部(ここでは、上記した図8に示すロール111とゴム被覆ヘッド102の間の部分)を抜き出して、かつ、その配列面の上方から見た状態を示している。
また、図2は、図1のX方向から見たテンション測定装置の正面図であり、図では、複数本の線状部材Sを断面で示している。
【0017】
なお、複数本の線状部材Sは、互いに略平行に引き揃えられて、同一面(配列面)上に位置するように一定間隔で配列され、それぞれある程度のテンションを付加された状態で、ゴム被覆ヘッド(図示せず)に向かって所定速度で走行(移動)(図1の矢印T)している。
【0018】
このテンション測定装置1は、図1及び図2に示すように、複数本の線状部材Sの上方に所定の距離を隔てて配置された直線状に延びるガイドレール2と、配列された線状部材Sを挟んだ両側に対向して設けられた一対の支柱3と、ガイドレール2により移動可能に支持された支持体5と、支持体5の下面側(図2参照)に取り付けられた線状部材Sのテンションを測定するための略円筒状の検出センサ10と、装置各部が接続された制御装置20(図1参照)等を備えている。
【0019】
ガイドレール2は、断面略矩形状の長尺な角レール状(角棒状)をなし、その長手方向の両端部が一対の支柱3に取り付けられて、複数本の線状部材Sの上方に、各線状部材Sからの距離が略一定になるように架け渡されている。また、このガイドレール2は、線状部材Sの長手方向(走行方向)と直交する方向(図1では上下方向)に長手方向を向けて、各線状部材Sに対して直交して直線状に延びるように、かつ複数本の線状部材Sの配列面と略平行(図2参照)に配置されている。
【0020】
支持体5は、略直方体形状のブロック状をなし、ガイドレール2により、その長手方向に沿って、一対の支柱3の間を両方向に移動可能に支持されている。また、支持体5は、中央部に形成された貫通孔(図示せず)がガイドレール2の外面に摺動可能に係合し、或いは、ガイドレール2の外面を転動可能な複数のガイドローラ(図示せず)が内部に設けられ、このガイドローラにより転動案内されて移動する等して、ガイドレール2上を滑らかに移動(走行)可能になっている。
【0021】
加えて、支持体5は、ガイドレール2に沿って移動(図1、図2の矢印F、R)するための駆動手段(図示せず)が取り付けられており、駆動手段により駆動されてガイドレール2の長手方向の両方向に移動可能に構成されている。この駆動手段には、モータとボールネジ伝動機構やラック・ピニオン機構等の歯車伝動機構、又は一対のタイミングプーリとタイミングベルトを有するベルト伝動機構等を使用した周知の駆動手段(駆動機構)を利用でき、その動力伝達部(伝動部)が支持体5に取り付けられて、速度や方向等を制御して支持体5を移動させる。
【0022】
このような駆動手段として、例えばベルト伝動機構を使用する場合には、ガイドレール2の両端側(両支柱3側)の上方に、それぞれステッピングモータに取り付けられた駆動タイミングプーリと、回転自在な従動タイミングプーリとを配設し、それらの間に無端状のタイミングベルトを掛け渡して、ガイドレール2の上方に長手方向に沿って配置する。この両タイミングプーリ間に亘って延びるタイミングベルトに、支持体5の上面等を固定し、駆動タイミングプーリをステッピングモータにより正逆回転させてタイミングベルトを両方向に循環駆動させる。これにより、支持体5を駆動して、検出センサ10と一体にガイドレール2の長手方向の両方向に、かつ複数本の線状部材Sの配列面に沿って、その上方を移動(図2の矢印F、R)させる。
【0023】
検出センサ10(図2参照)は、各線状部材Sのテンションを測定可能なテンション測定手段であり、支持体5の下面から下方向に向かって、線状部材Sの配列面に対して略垂直に突出するように支持体5に固定されて支持されている。また、この検出センサ10は、支持体5と共に、複数本の線状部材Sの長手方向(走行方向)と交差する方向(ここでは直交する方向である図2の矢印F方向)に移動して、その下端部(後述する検出部10A)を交差位置の各線状部材Sに順次接触(当接)させ、接触している間に各線状部材Sのテンションを測定するようになっている。
【0024】
この測定時に、検出センサ10は、複数本の線状部材Sの配列方向の一端側から他端側に向かって線状部材Sと交差する方向に、かつ線状部材Sの配列面に沿って移動して横断し、走行する複数本の線状部材Sのテンションを順次測定する。従って、ここでは、上記した駆動手段やガイドレール2、及び支持体5等により、線状部材Sのテンション測定時に、検出センサ10を所定方向に移動させるための移動手段が構成されている。以下、この検出センサ10について、より詳細に説明する。
【0025】
図3は、図2に示す検出センサ10を抜き出して示す正面図であり、検出センサ10付近を拡大して模式的に示している。また、図では、検出センサ10の半分(後述するガイド部材11に隠れた右半分)は、透視して点線で示している。
検出センサ10は、図示のように、各線状部材Sのテンションを検出して測定するための略凸状の検出部(測定部)10Aを有し、検出部10Aで線状部材Sのテンションに応じた物理量を検出(測定)して、その値に応じた信号を外部(ここでは図1に示す制御装置20)に送信する。この検出部10Aは、検出センサ10の下端部に設けられた、下方向に向かって徐々に縮小するように突出する突起であり、ここでは、下面(突出端面)が小面積な略円錐台状に形成され、主に、その下面(検出面)に接触(当接)する線状部材Sのテンションを測定するようになっている。
【0026】
ここで、検出センサ10には、例えば検出部10Aの下面に接触する線状部材Sから受ける圧力を検出する圧力センサや、同面に作用する荷重を測定するロードセル等の荷重測定センサ、又は、同様の検出部10Aを有するテンションゲージやテンションセンサ等、線状部材Sのテンションを検出(測定)可能な周知のセンサを使用できる。本実施形態では、この検出センサ10として圧力センサを使用し、検出部10Aの下面に接触する線状部材Sから受ける圧力、即ち、その線状部材Sに作用するテンションの反力を検出部10Aで検出し、各線状部材Sに作用するテンションを測定する。
【0027】
また、このテンション測定装置1では、検出センサ10を、検出部10Aの下面が複数本の線状部材Sの配列面Hよりも下側に位置し、検出部10Aの先端(図では下端)側の一部が配列面Hから下側に突出するように配置している。テンション測定装置1は、このように検出センサ10の検出部10Aの先端部が線状部材Sの配列面Hを突き越えた位置(状態)で、検出センサ10を前記移動手段により移動させ、検出部10Aにより下面に接触する線状部材Sを下方向に変位させる。このようにして、検出部10Aにより各線状部材Sを下側に向かって押圧し、その反力(線状部材Sから受ける圧力)である線状部材Sのテンションを検出センサ10により順次検出して測定する。
【0028】
加えて、本実施形態では、検出センサ10に、正面から見た状態(図3に示す状態)で、その移動方向の一方側(図では右側)の略半分を覆うようにガイド部材11を取り付けている。このガイド部材11は、線状部材Sのテンション測定時における検出センサ10の移動方向(図の矢印F方向)前方側に配置され、移動する検出センサ10の移動方向前方側の線状部材Sを案内して、検出センサ10の検出部10Aに順次接触(ここでは下面に1本ずつ当接)させる案内手段を構成している。その際、ガイド部材11は、移動方向前方側の線状部材Sを検出センサ10の検出部10Aに直接接触させずに、その移動方向前方側の外面に沿って検出部10Aの下面まで順次案内して接触させるようになっている。
【0029】
このガイド部材11は、例えば検出センサ10の移動方向前方側の略半分を全体に亘って覆うカバー部材や、又は、正面から見た状態で、検出センサ10の移動方向前方側の略半分を隠す大きさの板状部材等であり、ここでは、板状部材を、検出センサ10の移動方向と直交する方向の一方側(図では紙面手前側)の側面に隣接させて取り付けている。また、ガイド部材11は、正面から見た状態で、略矩形状の基端部(上方部)11Aと、その下端に続く案内部11Bとからなり、案内部11Bが、その上部側が検出センサ10の移動方向前方側に向かって突出(図では右側に突出)し、かつ下側に向かって突出量が徐々に減少する楔状(略三角形状)に形成されている。更に、このガイド部材11の案内部11Bは、検出センサ10の移動方向前方側の傾斜部11Cが、線状部材Sの配列面Hを挟んだ上方側から下方側まで、同移動方向の後方側に向かって斜め下側に傾斜して形成されるとともに、傾斜部11Cに続く略水平な下端部11Dが、検出センサ10の検出部10Aの下面よりも下方に位置するように形成されている。
【0030】
従って、ガイド部材11は、検出センサ10の検出部10Aに対して、その移動方向前方側(図では右側)に案内部11Bの傾斜部11Cが、同側の下方に案内部11Bの下端部11Dがそれぞれ位置し、正面から見た状態で、これら案内部11Bにより検出部10Aの略半分が隠れるように配置される。ガイド部材11は、この案内部11Bにより線状部材Sを案内し、検出センサ10の移動(図の矢印F)に伴い、移動方向前方側の線状部材Sを傾斜部11Cに沿って下端部11Dまで下方に移動させ、これにより、線状部材Sを検出部10Aの下面よりも一旦下方まで変位させる。続いて、下端部11Dを越えた線状部材Sは、作用するテンションにより上方に向かって変位して検出部10Aの下面に接触した後、その移動方向後方側(図では左側)に外れて、検出センサ10から離間する。
【0031】
なお、このガイド部材11(案内部11B)は、検出センサ10の線状部材Sと接触可能な検出部10A(ガイド部材11の案内部11Bに隠れない部分)の下面が、線状部材Sと所定本(ここでは1本)ずつ接触するように、線状部材Sの直径や配置間隔等に応じて、その形状やサイズ等が形成され、検出センサ10の所定位置に配置される。一方、検出センサ10は、線状部材Sの長手方向と交差する所定方向(図では矢印F方向)に移動しつつ、このようにガイド部材11により案内されて、検出部10Aに接触する線状部材Sのテンションを測定し、その配列方向の一端側から他端側まで横断して、走行する複数本の線状部材Sのテンションを連続的に順次測定する。
【0032】
以上に加えて、テンション測定装置1(図1参照)は、装置全体の制御を行う制御手段である制御装置20を備えている。制御装置20は、例えば、各種のデータ処理や解析、演算等を行う中央演算処理装置(CPU)21や、各種の制御プログラム等を格納するROM22、及びCPU21の処理用データ等を一時的に格納等するRAM23等を備えたマイクロコンピュータから構成されている。また、制御装置20は、外部機器(装置)との接続のためのインターフェース(図示せず)等を有し、それらを介して、検出センサ10や、その上記した移動手段等の装置の各部、及び、例えば検出センサ10の両側の移動限を規定するリミットスイッチ等の他のセンサ等に接続され、それらとの間で各々検出(測定)信号や制御信号を含む各種信号(データ)を送受信する。
【0033】
このようにして、制御装置20は、所定のプログラムに基づいて接続された各部を予め設定されたタイミングで関連動作させる等、装置各部を連動して作動させて、線状部材Sの測定動作(工程)等を実行させる。また、制御装置20は、検出センサ10から出力される線状部材Sのテンションに関する信号に基づいて、その異常を判定して監視する等、テンションの測定結果に基づく他の処理も実行する。
【0034】
図4は、この制御装置20の機能ブロック図であり、テンション測定装置1の他の構成もブロックで示している。
制御装置20は、図示のように、外部機器が接続された外部入出力部31、表示部32、入力部33、記憶部34、制御部35、及び演算処理部36から構成され、これら各部(手段)31〜36を互いにバス37を介して接続している。
【0035】
外部入出力部31は、検出センサ10や、検出センサ10を移動させる前記移動手段6等が接続され、それらとの間で各種データや制御信号等を変換して送受信するインターフェース等からなる。表示部32は、各種の情報を表示するモニタ等の表示手段であり、検出センサ10の検出結果や、テンション異常の判定結果等を表示する。
【0036】
入力部33は、検出センサ10によるテンション測定のタイミングや間隔、或いは、テンション測定装置1の動作に必要な条件等を入力(設定)するためのキーボードやタッチパネル等の入力手段であり、外部からの操作を受けるユーザインターフェースである。また、この入力部33を介して、線状部材Sのテンションの異常の有無や良否の判定の基準となる所定の基準値も入力されて予め設定される。なお、本実施形態のテンション測定装置1では、後述するように、各線状部材Sのテンションを監視して、許容される値よりも大きなテンション値が測定(検出)されたときに、線状部材Sのテンションが異常であると判定するようになっており、このテンションの最大値(許容上限値)(例えば、通常時のテンションの1.5倍程度の値等)が入力部33を介して入力される。
【0037】
記憶部34は、検出センサ10により測定された線状部材Sのテンション等の測定データ34Aや、上記した入力部33を介して入力され、予め設定されるテンションの基準値等の基準データ34Bを記憶する。合わせて、記憶部34は、テンション測定装置1の制御処理や測定及び判定処理等に必要な各種プログラムやデータ等も記憶する。
【0038】
制御部35は、テンション測定装置1全体の制御に関するデータ処理や演算処理等を行い、テンション測定装置1全体を制御して、検出センサ10による線状部材Sのテンション測定動作等を実行させる。また、制御部35は、線状部材Sのテンションの判定結果に応じて、予め設定された処理を実行し、例えば外部入出力部31を介して、警報装置(図示せず)に警報出力信号を出力する警報処理を行う等、外部装置に対して異常信号を出力する信号出力手段も構成する。
【0039】
演算処理部36は、比較部36A、及び判定部36Bからなり、外部入出力部31を介して受信した検出センサ10による測定データや、記憶部34に記憶された基準データ34B等に基づき、線状部材Sのテンション異常の判断や監視(検査)に関する所定の各演算処理を実行する。具体的には、比較部36Aでは、記憶部34に記憶された基準データ34Bから、予め設定された線状部材Sのテンションの基準値(ここでは上記したテンションの最大値)を読み出し、この基準値と検出センサ10による線状部材Sのテンションの測定値とを順次比較する。また、判定部36Bでは、この比較部36Aによる両テンション値の比較結果に基づいて、線状部材Sのテンションの異常(実際にテンションが異常であることに加えて、検出センサ10の不具合等によるテンションの測定値の異常等を含む)の有無(良否)を判定する。
【0040】
従って、この演算処理部36は、全体として、テンションの測定値と基準値とを比較してテンション異常の有無を判定する判定手段を構成しており、ここでは、比較部36Aにより、テンションの測定値が基準値よりも大きいか否かを比較する。その結果、テンションの測定値が基準値以下であるときには、判定部36Bは、線状部材Sのテンションは異常では無い(正常である)と判定する。一方、基準値を超えるテンションが測定され、テンションの測定値が基準値よりも大きいときには、判定部36Bは、線状部材Sにテンション異常が発生したと判定する。制御装置20(ここでは、上記した信号出力手段である制御部35)は、このように線状部材Sのテンションが異常であると判定されたときには、外部入出力部31を介して警報装置等に対して異常信号を出力する。
【0041】
次に、以上説明したテンション測定装置1により線状部材Sのテンションを測定する手順や動作等について説明する。
図5は、このテンション測定装置1のテンション測定手順を示すフローチャートである。
【0042】
線状部材Sのテンション測定時には、まず、検出センサ10(図2参照)を、配列された状態で走行する複数本の線状部材Sを挟んだ一方側(図2では左側)の所定位置に、ガイド部材11を線状部材Sに向けて配置する。その位置から、予め設定された所定のタイミングで検出センサ10の移動を開始し(図5、S101)、検出センサ10を、複数本の線状部材Sの配列方向の一端側から他端側に向かって、上記したようにガイド部材11が移動方向の前方側(図2では右側)に位置する状態で移動(図2の矢印F)させる。
【0043】
この移動に伴い、ガイド部材11により、検出センサ10の移動方向前方側の線状部材Sを案内(図3参照)して、検出センサ10の検出部10Aに線状部材Sを順次接触(ここでは1本ずつ接触)させる。このようにして、検出センサ10に複数本の線状部材Sをそれぞれ順次接触させ、移動する検出センサ10により、線状部材Sのテンションを移動方向に沿って順次測定する(図5、S102)。その際、テンション測定装置1は、検出センサ10により、その検出部10Aに案内されて接触する線状部材S(図3参照)のテンションを順次測定するとともに、ここでは、検出センサ10の検出部10Aにより、線状部材Sを押圧してそのテンションを測定する。
【0044】
また、このテンション測定装置1では、線状部材Sのテンションをそれぞれ測定すると同時に、測定した各テンションが異常か否かを制御装置20(図4参照)により判定する。具体的には、まず、制御装置20の比較部36Aにより、検出センサ10によるテンションの測定値と予め設定されたテンションの基準値とを比較し(図5、S103)、この比較結果に基づいて、判定部36Bにより、線状部材Sのテンションの異常の有無を判定する(図5、S104)。その結果、テンションの測定値が基準値よりも大きく、テンションが異常であると判定されたときには(図5、S105、YES)、異常信号を外部に向かって出力し(図5、S106)、測定処理を終了する。なお、この異常信号は、例えば外部に設置された警報装置に出力され、警報装置により音や光等によりテンションの異常警報が出力され、或いは、線状部材Sを走行等させる製造ラインの制御装置に出力され、線状部材Sの走行停止を含むラインの停止処理が実行される。
【0045】
一方、線状部材Sの測定したテンションに異常が無いときには(図5、S105、NO)、全ての線状部材Sのテンションの測定が終了したか否かを、例えば検出センサ10の移動位置や、又は上記した検出センサ10の移動限を規定するリミットスイッチの検出の有無等により判断する(図5、S107)。その結果、全ての測定がまだ終了していないときには(図5、S107、NO)、上記した各手順(図5、S102〜105)を、全ての線状部材Sのテンション測定が終了するまで繰り返し行い、測定が終了したときに(図5、S107、YES)、検出センサ10の移動を停止する(図5、S108)。このようにして、テンション測定装置1は、配列された状態で走行する複数本の線状部材Sのテンションを検出センサ10により順次測定等し、予め設定された所定のタイミングや間隔(例えば2分間隔程度)等で、これら各手順を繰り返し自動で実行する。このようにテンションが監視等される複数本の線状部材Sは、その後、両面にゴムが被覆(図8参照)されて、連続してタイヤ構成部材Pが製造される。
【0046】
以上説明した本実施形態のテンション測定装置1では、1つの検出センサ10を移動させて複数本の線状部材Sのテンションをインラインで順次測定できるため、線状部材S毎に検出センサ10等を配置する必要がなく、装置の構成や構造が複雑化するのを防止することができる。その結果、テンション測定装置1の設置等に必要なコストを低減できるとともに、装置のメンテナンスや維持も容易になり、それに要する手間や時間、及びコスト等も削減することができる。同時に、線状部材Sのテンションの測定・監視を自動化できるため、それらに必要な人員及び、手間や労力、時間、コスト等を削減でき、かつ、テンションの測定や監視、或いは、上記したテンション異常の判定等を、正確かつ高精度で持続して行うことができる。
【0047】
従って、本実施形態によれば、配列された複数本の線状部材Sの各テンションを簡単な構成で連続的に順次測定でき、線状部材Sのテンションを容易かつ精度よくインラインで測定して監視等することができる。また、テンション測定装置1を、比較的低コストで設置することができ、線状部材Sを複数本配列させて使用する種々の工程に少ない負担で導入可能で、しかも、その工程の省力化を図ることもできる。
【0048】
更に、このテンション測定装置1では、自動測定した線状部材Sのテンションの測定値と予め設定された基準値とを順次比較する等して、テンション異常の発生の有無を判定するため、複数本の線状部材Sのそれぞれを適切かつ正確に、持続して監視することができる。これに伴い、基準値を超えるテンションが検出される等、テンション異常を検出したときに、直ちに警報を出力し、或いはラインを停止させて、作業者が異常原因をチェックして対策できる等、迅速な対応や解決が可能となり、それらを適切に管理して、線状部材Sのテンション異常に伴う不良の発生を抑制することができる。
【0049】
即ち、本実施形態のように、テンション測定装置1をタイヤ構成部材Pの成形装置(図8参照)に設置する場合には、上記した線状部材Sに作用するテンションの影響で生じる、ゴム被覆後のタイヤ構成部材Pの縮みやしわ、又は変形等の不良の発生を抑制することができる。同時に、これに起因して、成形後のタイヤ構成部材Pを使用したタイヤの均一性が損なわれるのも防止でき、製品タイヤへの影響を低減することもできる。特に、上記したように、線状部材Sを繰り出すボビンに空回り防止用のブレーキを設けた場合であっても、その不具合等に迅速に対応して、線状部材Sのテンション異常及び、それに伴う問題の発生を効果的に抑制することができる。また、複数本の線状部材Sを、各テンションがよりバラバラになり易い横糸がない状態で走行させても、このテンション測定装置1によれば、線状部材Sのテンションを確実かつ正確に監視できるため、このような場合の線状部材Sのテンション管理に特に大きな効果が得られる。
【0050】
加えて、本実施形態では、線状部材Sを案内するガイド部材11を検出センサ10に取り付けたため、その検出部10Aに接触する線状部材Sの本数を制御することができる。
【0051】
図6は、このようなガイド部材11を有さない検出センサ10を示す図3に対応する正面図である。
検出センサ10を、図示のように、ガイド部材11がない状態で移動(図の矢印F)させると、その検出部10Aの下面の幅や線状部材Sの配置間隔等によっては、検出部10Aの下面に複数本(図では2本)の線状部材Sが同時に接触することがある。このような場合には、検出センサ10による線状部材Sのテンションの測定値が、例えば1本分のテンションの2倍になる等、テンションの正確な測定が妨げられて、テンションの測定精度及び、テンション異常が発生したか否かの判定精度等が低下する恐れがある。
【0052】
これに対し、ガイド部材11(図3参照)を設けることで、検出センサ10の検出部10Aに、線状部材Sを1本ずつ確実に接触させることができ、線状部材Sのテンションの測定精度や異常の判定精度の低下を抑制することができる。その結果、線状部材Sのテンション異常に伴う不良の発生を、より確実に抑制することもできる。また、ここでは、検出センサ10を、その検出部10Aの先端部が線状部材Sの配列面Hから突き越えた位置で移動させて、検出部10Aにより線状部材Sを押圧してテンションを測定するため、線状部材S同士のテンションの測定条件に変動が生じ難く、それらを同様の条件で測定することができる。これに伴い、テンションの測定条件の変動に伴う誤差を少なくして、その測定精度等を効果的に高めることもできる。
【0053】
ここで、本実施形態では、検出センサ10に1つのガイド部材11を取り付けて、いずれか一方向(図3では矢印F方向)に移動する検出センサ10に対してのみ線状部材Sを案内できるようにしたが、2つのガイド部材11を逆向きに配置する等して、両方向に移動する検出センサ10に対して線状部材Sを案内できるようにしてもよい。
【0054】
図7は、このように2つのガイド部材11(1)、11(2)を配置した検出センサ10を示す正面図であり、図3に対応して検出センサ10付近を拡大して模式的に示している。
この検出センサ10には、図示のように、略左右対称な一対のガイド部材11(1)、11(2)が、各案内部11(1)B、11(2)Bが互いに検出センサ10の移動方向の逆方向に向かって突出するように、検出センサ10の移動方向と直交する方向の両側にそれぞれ配置されている。また、各ガイド部材11(1)、11(2)は、検出センサ10の両側に、それぞれ基端部11(1)A、11(2)Aの上端部が回動(回転)可能に取り付けられて支持されている。
【0055】
即ち、一方(図7では紙面手前側)のガイド部材11(1)は、上記したガイド部材11(図3参照)と同様に構成され、主に検出センサ10の一方側(図7では右側)に配置(図7A参照)されている。これに対し、他方(図7では紙面奥側)のガイド部材11(2)は、検出センサ10を挟んで上記したガイド部材11(図3参照)と略対称に構成され、主に検出センサ10の他方側(図7では左側)に配置(図7B参照)されている。また、これら各ガイド部材11(1)、11(2)は、ストッパ部材等(図示せず)により回動可能範囲がそれぞれ規制されており、下方向に略垂直に延びる状態と、各配置方向の上方に向かって回動した状態との間でのみ回動するようになっている。
【0056】
この検出センサ10を、一方側(図7Aの矢印F方向側)に移動させると、一方のガイド部材11(1)は、移動方向前方側の線状部材Sに押されて略垂直に延びる状態になり、同方向の線状部材Sを検出部10Aに順次案内可能な状態に維持される。その際、他方のガイド部材11(2)は、線状部材Sにより移動方向後方側の力を受けて上方に向かって回動変位し、案内部11(2)Bが検出センサ10の検出部10Aから離間して、検出部10Aへの線状部材Sの接触を妨げない状態に維持される。これに対し、検出センサ10を、逆方向(図7Bの矢印R方向)に移動させると、各ガイド部材11(1)、11(2)も逆方向に回動等して、上記と逆の機能を発揮し得る状態になり、検出センサ10の移動中は、同状態に維持される。
【0057】
従って、このように検出センサ10に2つのガイド部材11(1)、11(2)を配置することで、どちらの方向に移動する検出センサ10の検出部10Aに対しても、線状部材Sを同様かつ確実に案内することが可能になる。これにより、検出センサ10を往復方向(図1、図2に示す矢印F、R参照)のいずれの方向に移動させても、線状部材Sのテンションを正確に測定でき、一方向のみに移動させる装置に比べて、テンション測定を効率的に行うことができる。
【0058】
なお、本実施形態では、線状部材Sのテンションの測定値とテンションの許容される最大値とを比較してテンション異常を判定したが、テンションの測定値と、テンションの許容範囲の上下限値に対応するテンションの最大値と最低値の両方又はいずれか一方、又はテンションの目標値や所定のしきい値等、他の基準値とを比較して、テンション異常等を判定するようにしてもよい。その際、例えば基準値としてテンションの最小値を予め設定してテンションの測定値と比較し、これに基づいてテンション異常の有無を判定して、テンションの測定値が基準値よりも小さいときには、検出センサ10を含む装置の不具合等によりテンション異常が発生又は検出されたと判定するようにしてもよい。同様に、線状部材Sのテンションは、検出センサ10の直接の測定値とそれに対応する基準値とを比較してもよく、この測定値を所定の変換テーブルを用いて変換して算出等した測定値(算出値)と、それに対応する基準値とを比較する等してもよい。
【0059】
また、このテンション測定装置1では、検出センサ10を線状部材Sの長手方向(走行方向)と直交する方向に移動(図1、図2参照)させたが、検出センサ10は、この直交する方向に対して、所定角度で傾斜又は湾曲する方向等、線状部材Sの長手方向と交差する方向に移動させればよく、このようにしても、上記と同様の効果が得られる。更に、本実施形態では、テンション測定装置1を、タイヤ構成部材Pの成形装置(図8参照)に設置した場合を例に採り説明したが、このテンション測定装置1は、当然のことながら、複数本の線状部材Sを配列させる他の装置に適用することもできる。その際、複数本の線状部材Sは、横糸を有するものであってもよく、以上のように走行させた状態の他に、静止した状態のものであってもよい。
【0060】
以上に加えて、本実施形態のテンション測定装置1では、検出センサ10の検出部10Aに、線状部材Sを1本ずつ接触させてテンションの測定等を行ったが、線状部材Sを2本以上の所定本(例えば2、3本等)ずつ検出部10Aに順次接触させて、テンションの測定等を複数本ずつ順次行うようにしてもよい。即ち、検出センサ10の検出部10Aに接触する線状部材Sの本数が少ないほど、テンションの検出感度や精度等も向上するため、ガイド部材11や検出センサ10の大きさ、検出センサ10の移動速度を調節する等して、線状部材Sは1本ずつテンション測定等を行うのが望ましい。しかしながら、例えば線状部材Sが細くて配列密度が高いときや、それらに応じた適当な検出センサ10がないとき等には、線状部材Sを複数本ずつ検出部10Aに接触等させるようにしてもよい。
【0061】
この場合には、ガイド部材11により、線状部材Sを案内して検出センサ10の検出部10Aに複数本ずつ順次接触させ、複数本ずつのテンションを順次測定する等して、テンションの測定値と対応するテンションの基準値(複数本分のテンション等)とに基づき、テンション異常の有無を判定等する。その際、例えば検出センサ10の検出部10Aに2本の線状部材Sが接触する場合には、検出部10Aに通常時の200%の力が加わり、テンションの測定値も通常時の200%になり、上記したテンションの基準値を通常時のテンションの200%よりも小さい値に設定しておくと、テンション異常であると判定される。従って、テンションの基準値は、検出部10Aに接触する線状部材Sの本数等に応じて適宜設定する。
【0062】
なお、1本の線状部材Sの通常時のテンションと、異常と判定されるテンションとの差が小さいときに、検出センサ10の検出部10Aに接触させる線状部材Sの本数を増やすと、各線状部材Sのテンションのばらつきによっては、それらが加算されてテンションの測定値が異常であると判定されたり、或いは、測定値の異常がテンションのばらつきの範囲に埋もれてしまう等して、テンションの検出や判定ミスを起こし易くなる。そのため、検出センサ10に何本の線状部材Sを接触させられるかは、各線状部材Sのテンションのばらつき、及び、線状部材Sの通常時のテンションと異常判定されるテンションとの差等により決定される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態の線状部材のテンション測定装置の概略構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のX方向から見た線状部材のテンション測定装置の正面図である。
【図3】図2に示す検出センサを抜き出して示す正面図である。
【図4】本実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【図5】本実施形態のテンション測定装置のテンション測定手順を示すフローチャートである。
【図6】ガイド部材を有さない検出センサを示す正面図である。
【図7】2つのガイド部材を配置した検出センサを示す正面図である。
【図8】従来のタイヤ構成部材の成形装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・テンション測定装置、2・・・ガイドレール、3・・・支柱、5・・・支持体、6・・・移動手段、10・・・検出センサ、10A・・・検出部、11・・・ガイド部材、11A・・・基端部、11B・・・案内部、11C・・・傾斜部、11D・・・下端部、20・・・制御装置、21・・・CPU、22・・・ROM、23・・・RAM、31・・・外部入出力部、32・・・表示部、33・・・入力部、34・・・記憶部、34A・・・測定データ、34B・・・基準データ、35・・・制御部、36・・・演算処理部、36A・・・比較部、36B・・・判定部、37・・・バス、H・・・配列面、S・・・線状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列された複数本の線状部材のテンションを順次測定する線状部材のテンション測定装置であって、
前記複数本の線状部材の長手方向と交差する方向に移動して該線状部材のテンションを測定可能な検出センサと、
該検出センサを前記複数本の線状部材の配列方向の一端側から他端側に向かって移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とする線状部材のテンション測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載された線状部材のテンション測定装置において、
前記検出センサの移動方向前方側の前記線状部材を案内して前記検出センサの検出部に順次接触させる案内手段を備え、
前記検出センサは、前記検出部に接触する前記線状部材のテンションを順次測定することを特徴とする線状部材のテンション測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された線状部材のテンション測定装置において、
前記移動手段は、前記検出センサの検出部の先端部が前記線状部材の配列面を突き越えた位置で前記検出センサを移動させ、
前記検出センサは、前記検出部により前記線状部材を押圧して該線状部材のテンションを測定することを特徴とする線状部材のテンション測定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された線状部材のテンション測定装置において、
前記検出センサによるテンションの測定値と予め設定された該テンションの基準値とを比較し、該比較結果に基づいて前記線状部材のテンションの異常の有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする線状部材のテンション測定装置。
【請求項5】
配列された複数本の線状部材のテンションを検出センサにより順次測定する線状部材のテンション測定方法であって、
前記検出センサを前記複数本の線状部材の配列方向の一端側から他端側に向かって移動させる工程と、
該移動する検出センサにより前記線状部材のテンションを移動方向に沿って順次測定する工程と、
を有することを特徴とする線状部材のテンション測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載された線状部材のテンション測定方法において、
前記検出センサの移動方向前方側の前記線状部材を案内して前記検出センサの検出部に順次接触させる工程を有し、
前記測定する工程は、前記検出部に案内されて接触する線状部材のテンションを前記検出センサにより順次測定することを特徴とする線状部材のテンション測定方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された線状部材のテンション測定方法において、
前記測定する工程は、前記検出センサの検出部により前記線状部材を押圧して該線状部材のテンションを測定することを特徴とする線状部材のテンション測定方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載された線状部材のテンション測定方法において、
前記検出センサによるテンションの測定値と予め設定された該テンションの基準値とを比較する工程と、
該比較結果に基づいて、前記線状部材のテンションの異常の有無を判定する工程と、
を有することを特徴とする線状部材のテンション測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−52929(P2009−52929A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217925(P2007−217925)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】