説明

繊維強化樹脂ボルトおよびその製造方法

繊維強化樹脂(FRP)ボルトおよびこれを製造するための方法が開示される。FRPボルトは、電気絶縁、耐腐食性、断熱、非磁性を有するボルトを必要とする産業分野に用いて好適である。前記FRPボルトの製造方法は、ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維および前記第1の強化繊維に含浸された合成樹脂を含む芯材の表面の周縁に、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含むプリプレグを巻回するステップと、前記プリプレグを熱硬化させて繊維強化樹脂丸棒を製造するステップと、前記繊維強化樹脂丸棒の表面にネジ山を形成するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂ボルトおよびその製造方法に関する。繊維強化樹脂ボルトは、電気絶縁、耐腐食性、断熱、非磁性などを必要とする産業分野に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastic:FRP)は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維にエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの合成樹脂を含浸させて製造される。繊維強化樹脂は、一般に、電気絶縁、断熱、非磁性を必要とする各種の分野で用いられ、且つ、土木および建築分野において構造用補強材として用いられている。さらに、繊維強化樹脂は、物体を固定するボルトまたはナットなどの物品を製造するのに用いられる。
【0003】
図3および図4は、従来の方法によるFRPボルトの製造工程を示す図である。図3に示すように、従来の方法においては、長繊維状の強化繊維12を平行に送りつつ、長繊維状の強化繊維12を合成樹脂液に含浸させ、熱成形ダイ20でこれを引拔成形する。引拔成形されて合成樹脂に含浸された繊維は、硬化されてFRP丸棒14を形成する。硬化された丸棒14を、切断器22を用いて、所要の長さに切断する。次に、図4の(A)に示すように、ネジ切断装置であるバイト24でFRP丸棒14の表面を切削してFRPボルト16のネジ山を製造する。製造されたFRPボルト16の縦方向断面図である図4の(B)に示すように、製造されたFRPボルト16はボルト16の軸方向に沿って一方向に引揃えられる長繊維12を有する。このため、FRPボルト16のネジ山が外力によって損傷され易く、且つ、FRPボルト16は強い力が働く構造物の連結には不向きである。換言すれば、FRPの丸棒14の表面を切削加工してFRPボルト16のネジ山を形成することにより、ネジ山の強化長繊維12が切断されて、長繊維12の機械的な強度が低下し、しかも、FRPボルト16の引張強さも低下する。
【0004】
一方、FRPボルトのネジ山の強度を高めるために、芯材とこれを覆うネジ山の形成材料を異ならせ、モールドを用いてネジ山を成形する方法が、特開平7−279933号公報に開示されている。しかしながら、同方法は、モールドに樹脂を含浸して硬化させる過程が複雑であるため、ボルトの生産性の面で好ましくない。また、第1のモールドを用いて、熱可塑性樹脂を含浸させた強化繊維材料からなる丸棒を成形するステップおよび第2のモールドを用いて、丸棒をネジ山付きボルトに成形するステップを含む方法が、特開平6−114859号公報に開示されている。しかしながら、同方法は、熱可塑性材料から作製された成形プリホームを必要とし、このプリホームが再加工される必要がある。このため、同方法は、生産性の面では好ましくない。なお、モールド工程を用いてFRPボルトのネジ山を形成するために、ボルトの種類およびサイズ別にモールドを備えることを余儀なくされるため、生産コストが高くつき、しかも、生産性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高強度ネジ山を有する繊維強化樹脂ボルトを提供することである。
本発明の他の目的は、優れた生産性で良質の繊維強化樹脂ボルトを製造することのできる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、芯材の表面にプリプレグを巻回するステップ(ここで、前記芯材は、ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維および前記第1の強化繊維に含浸された合成樹脂を含み、前記プリプレグは、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含む)と、前記プリプレグを熱硬化させて繊維強化樹脂丸棒を製造するステップと、前記繊維強化樹脂丸棒の表面にネジ山を形成するステップと、を含む繊維強化樹脂ボルトの製造方法を提供する。
また、本発明は、ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維および前記第1の強化繊維に含浸された合成樹脂を含む芯材と、前記芯材を囲繞しており、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含む硬化されたプリプレグ層と、を備え、ネジ山が硬化されたプリプレグ層の外表面に形成される繊維強化樹脂ボルトを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明による繊維強化樹脂(FRP)ボルトにおいては、ネジ山が第2の強化繊維を有する硬化されたプリプレグ層の上に形成される。硬化されたプリプレグ層は、芯材の周縁をプリプレグにより少なくとも1回囲繞することにより形成される。このため、たとえ第2の強化繊維がネジ山の形成によって部分的に切断または損傷されても、ネジ山の周方向に向かう第2の強化繊維が残留する。残留する強化繊維は、ネジ山の強度を増大させる。なお、本発明のFRPボルトにおいて、芯材と硬化されたプリプレグ層とが強固に貼り合わせられてFRPボルトの引張強さを増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態によるFRPボルトの製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態によるFRPボルトの縦断面図(A)および横断面図(B)である。
【図3】従来の技術によるFRPボルトの製造工程を示す図である。
【図4】従来の技術によるFRPボルトの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のより一層完璧な理解および多くの利点は、下記の詳細な説明から一層明らかになる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態によるFRPボルトの製造方法を示す図である。図1に示すように、本発明の一実施形態によりFRPボルトを製造する方法は、芯材34の表面にプリプレグ44を巻回するステップを含む(図1のAを参照)。芯材34は、ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維32および前記第1の強化繊維32に含浸された合成樹脂を含む。プリプレグ44は、第2の強化繊維42および前記第2の強化繊維42に含浸された熱硬化性樹脂を含む。好ましくは、図1に示すように、芯材34は丸棒状を呈し、プリプレグ44はシート状を呈する。芯材34の周縁にプリプレグ44を少なくとも1回転以上、好ましくは、2〜50回転、さらに好ましくは、10〜40回転巻回して、ネジ山を巻回されたプリプレグ層の上に形成する。次に、巻回されたプリプレグ44が熱硬化されて繊維強化樹脂丸棒54を形成する。好ましくは、熱硬化は、熱収縮フィルム52をプリプレグ44の周縁に巻回し、且つ、熱収縮フィルム52およびプリプレグ44を加熱することにより行われる(図1のBを参照)。熱硬化によって、芯材34とプリプレグ44の層とが強固に貼り合わせられる。次に、バイトなどの切削具62で、繊維強化樹脂丸棒54の表面にネジ山を形成して本発明のFRPボルト64を製造する(図1のCを参照)。
【0011】
前記芯材34において、第1の強化繊維32は合成樹脂を強化させるのに用いられ、第1の強化繊維32の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、これらの混合物などが挙げられる。第1の強化繊維32は、製造されたFRPボルト64の用途または要求特性に応じて選ばれる。前記芯材34は、主としてFRPボルト64の曲げ抵抗性を増大させる。このため、好ましい第1の強化繊維32は、短繊維またはモノフィラメントよりは長繊維であり、芯材34およびFRPボルト64の方向に沿って一方向に引揃えられる。仮に、短繊維またはモノフィラメントが第1の強化繊維32として用いられれば、満足のいくFRPボルト64の機械的な強度が得られない虞がある。このため、さらに好ましい第1の強化繊維32は、芯材34の方向に沿って連続して広がる長繊維である。第1の強化繊維32を含浸するための合成樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、これらの混合物などが挙げられる。前記芯材34における第1の強化繊維32の体積含量(Vf)は、芯材34の全体積に基づいて、好ましくは、10〜90%であり、さらに好ましくは、30〜80%であり、最も好ましくは、45〜60%の範囲である。前記第1の強化繊維32の体積含量(Vf)が前記範囲を下回ると、満足のいくFRPボルト64の曲げ抵抗性が得られない虞がある。前記第1の強化繊維32の体積含量(Vf)が前記範囲を上回ると、芯材34が正常に製造されず、且つ、第1の強化繊維32の間に気孔(ボイド)が生じてしまい、芯材34の機械的な強度を低下させる。前記芯材34は、第1の強化繊維32および樹脂を一緒に引拔成形して製造することができる。例えば、芯材34は、直径1〜50mm、好ましくは、直径3〜20mmの丸棒または円柱状を呈してもよい。なお、必要に応じて、プリプレグ44を巻回する前に、芯材34の表面を研磨および洗浄してもよい。
【0012】
前記プリプレグ44に用いられる第2の強化繊維42も、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、これらの混合物などからなっていてもよい。第2の強化繊維42の形状は、長繊維から製織(平織、朱子織など)された織物、一方向に引揃えられた長繊維、多方向、すなわち、無作為に引揃えられた短繊維またはモノフィラメントシート、短繊維またはモノフィラメント不織布、これらの混合物などよりなる群から選ばれても良い。この場合、短繊維またはモノフィラメントの長さは、一般に、1〜100mmであり、好ましくは、2〜50mmである。FRPボルト64を生産するための作業性および生産性を考慮するとき、さらに好ましい第2の強化繊維42は、織物または不織布の形状を有する。平織構造に製織された強化繊維42が第2の強化繊維42として用いられる場合、前記芯材34の方向と平織構造に製織された強化繊維42内の繊維との間の角度は、0〜90°であり、例えば、10°〜80°、さらに好ましくは、30〜60°である。例えば、図1に示すように、(90°の角度で直交する)横方向と縦方向に向かう織物状の強化繊維42の長繊維が芯材の周縁に平行に巻回されれば、芯材34と強化繊維42内の繊維との間の角度は0および90°である。一方、(90°の角度で直交する)横方向と縦方向に向かう織物状の強化繊維42の長繊維が芯材の周縁に45°の角度で巻回されれば、芯材34と強化繊維42内の繊維との間の角度は、45°および−45°である。FRPボルト64の強度を増大させるために、角度は、好ましくは、0°および90°である。
【0013】
前記プリプレグ44において第2の強化繊維42に含浸される熱硬化性樹脂として、前記芯材34に用いて好適な合成樹脂が使用可能である。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、これらの混合物などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、80〜250℃の温度で120分以内に硬化されることが好ましい。プリプレグ44および芯材34用の樹脂として、他の樹脂が使用可能である。しかしながら、プリプレグ44および芯材34用の樹脂として、同じ種類の樹脂が用いられれば、芯材とプリプレグ44との間の貼合強度が高くなる。
【0014】
前記熱硬化性プリプレグ44において、第2の強化繊維42の体積含量(Vf)は、プリプレグ44の総体積含量に基づいて、好ましくは、10〜90%であり、さらに好ましくは、30〜80%であり、最も好ましくは、45〜60%である(この場合、樹脂の体積含量は、40〜45%であることが最も好ましい)。前記第2の強化繊維42の体積含量(Vf)が上述した範囲を下回ると、ネジ山の強度が不十分になる虞がある。前記第2の強化繊維42の体積含量(Vf)が上述した範囲を上回ると、プリプレグ44内の樹脂の含量が不十分になる結果、芯材34にプリプレグ44を巻回する作業が適切に行われず、その結果、FRPボルト64の品質が低下する虞がある。前記熱硬化性プリプレグ44において、第2の強化繊維42の目付は、5〜500g/mの範囲であることが好ましい。前記プリプレグ44は、シート状を呈してもよい、シートの厚さは、通常、0.02〜2.5mmであることが好ましい。プリプレグ44の芯材34の周縁への巻回数は、形成されるネジ山の高さによって決められ、好ましくは、巻回数は、2〜50回転である。
【0015】
前記芯材34に巻回されたプリプレグ44を熱硬化させるために、芯材34およびプリプレグ44はプリプレグ44の直径よりも小径を有するモールドに挿入され、圧力および熱を熱硬化のためのモールド内のプリプレグ44に加えることができる。しかしながら、この場合、プリプレグ44の各タイプ、サイズまたは直径に合わせて多数のモールドが用意されなければならず、これは、生産コストの増大および生産性の低下につながる。このため、本発明においては、熱硬化過程のために、熱収縮フィルム52が用いられることが好ましい。具体的に、熱収縮フィルム52をプリプレグ44の周縁に巻回し、熱および圧力を、例えば、オーブンで、熱収縮フィルム52、プリプレグ44および芯材34に加えて、繊維強化樹脂丸棒54を製造する。従来の熱収縮フィルムが本発明において使用可能である。熱収縮フィルム52は、ポリプロピレン、ポリエステルなどから製作されてもよく、前記熱収縮フィルム52の収縮率は、前記プリプレグ44が一定のサイズに硬化されるように、前記芯材34およびプリプレグ44の物性に応じて適切に調節可能である。プリプレグ44は、伝統的に釣竿、ゴルフシャフトなどの丸棒を製造するのに用いられ、大量の丸棒を製造する上で好適である。
【0016】
次に、ネジ山を繊維強化樹脂丸棒54の表面上、より具体的に、硬化されたプリプレグ44の上に形成してFRPボルト64を製造する。ネジ山は、ネジ山を切削するバイトなどの従来の切断具62で形成することができる。ネジ山の加工に際しては、ネジ山の底部が芯材34内よりは、硬化されたプリプレグ層44内に形成されることが好ましい。さらに好ましくは、ネジ山の底部と芯材34との間の距離、すなわち、加工されずに残留するプリプレグ44の最小厚さが0.1mm以上、好ましくは、0.5mm以上、具体的に、0.5〜5mmであることが好ましい。ネジ山の底部と芯材34との間の距離が0.1mm以下であれば、ネジ山を形成するプリプレグ44は芯材34から引き剥がされて、ネジ山の引張強さが低下する虞がある。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態によるFRPボルトの縦断面図(A)および横断面図(B)を示す。図2に示すように、本発明によるFRPボルト64は、多層構造を有するものであり、多層構造は、ボルトの軸に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維32および前記第1の強化繊維32に含浸された合成樹脂を含む芯材34、および前記芯材34を囲繞しており、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含む硬化されたプリプレグ44を含み、ここで、ネジ山は、硬化されたプリプレグ44の外周面の上に形成される。必要に応じて、熱収縮フィルム52が、図1のCに示すように、前記ネジ山が形成されていないプリプレグ44の周縁に巻回されていてもよい。本発明のFRPボルトにおいて、ネジ山はプリプレグ44の上に形成され、プリプレグ44は芯材34に強固に貼り付けられてネジ山の強さを増大させる。
【0018】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述する。下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されることはない。
【0019】
[実施例1]FRPボルトの製造
丸棒(芯材)の軸に沿って一方向に引揃えられる、ガラス繊維とガラス繊維に含浸されるエポキシ樹脂を有する直径8mmの丸棒(芯材)を引拔成形法で製作した。平織構造に製織された、ガラス繊維と前記ガラス繊維に含浸されたエポキシ樹脂を有する厚さ0.13mmの織物プリプレグを丸棒(芯材)の周縁に巻回した。織物プリプレグの繊維と丸棒の軸との間の角度は、0°および90°であった。次に、幅15mm、厚さ30ミクロンのポリプロピレン熱収縮フィルムに3kgfの引張り力を与え、ピッチ1.5mmで、前記織物プリプレグの周縁に巻回した。巻回されたプリプレグを125℃において60分間硬化させて、直径13mmのFRP丸棒を製作した。切削具を用いて、硬化されたプリプレグを切削してネジ山を形成した(ピッチ:1.5、M12)。ネジ山の深さは、ネジ山の底部と芯材との間の距離が1.2mmになるように制御した。
【0020】
[実施例2]FRPボルトの製造
丸棒(芯材)の軸に沿って一方向に引揃えられた、ガラス繊維とガラス繊維に含浸されるエポキシ樹脂を有する直径8mmの丸棒(芯材)を引拔成形法で製作した。平織構造に製織された、ガラス繊維と前記ガラス繊維に含浸されたエポキシ樹脂を有する厚さ0.13mmの織物プリプレグを丸棒(芯材)の周縁に巻回した。織物プリプレグの繊維と丸棒の軸との間の角度は45°および−45°であった。次に、幅15mm、厚さ30ミクロンのポリプロピレン熱収縮フィルムに3kgfの引張り力を与え、ピッチ1.5mmで、前記織物プリプレグの周縁に巻回した。巻回されたプリプレグを125℃において60分間硬化させて、直径13mmのFRP丸棒を製作した。切削具を用いて、硬化されたプリプレグを切削してネジ山を形成した(ピッチ:1.5、M12)。ネジ山の深さは、ネジ山の底部と芯材との間の距離が1.2mmになるように制御した。
【0021】
[比較例]FRPボルトの製造
丸棒の軸に沿って一方向に引揃えられたガラス繊維とガラス繊維に含浸されるエポキシ樹脂を有する直径13mmのFRP丸棒を引拔成形法で製作した。切削具を用いて、FRP丸棒を切削してネジ山を形成した。ネジ山は、実施例1および2のFRPボルトと同じサイズに形成された(ピッチ:1.5、M12)。
【0022】
前記実施例および比較例に従い製造されたボルトの引張強さを評価するために、長さ160mmのFRPボルトの各端部にそれぞれ高さ9.8mmの鉄ナットを締め付けた。材料試験機に取り付けて2.54mm/分の速度でFRPボルトに引張強さを加え、FRPボルトのネジ山が支持する引張強さを測定し、その結果を下記表1に示す。
【表1】

前記表1から、プリプレグ層の上にネジ山を形成すれば、ネジ山の強度が向上して、FRPボルトの引張強さが画期的に向上する。また、プリプレグの強化繊維方向が0°および90°である場合(実施例1)に、FRPボルトの引張強さは、強化繊維方向が45°および−45°である実施例2のFRPボルトよりも優れている。なお、FRPボルトの強化繊維方向が0°および90°である場合(実施例1)に、プリプレグの切断工程が一層容易に行われる。
【0023】
本願は、2009年6月3日付けで出願された大韓民国特許出願第10−2009−0048879号公報の優先権の利益を請求する。大韓民国特許出願のあらゆる開示内容は、本願に参照として取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維および前記第1の強化繊維に含浸された合成樹脂を含む芯材の表面に、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含むプリプレグを巻回するステップと、
前記プリプレグを熱硬化させて繊維強化樹脂丸棒を製造するステップと、
前記繊維強化樹脂丸棒の表面にネジ山を形成するステップと、
を含む繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項2】
前記第1の強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維およびこれらの混合物よりなる群から選ばれ、前記第1の強化繊維の体積含量は、芯材の全体体積に基づいて、10〜90%のものである、請求項1に記載の繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項3】
第2の強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維およびこれらの混合物よりなる群から選ばれ、前記第2の強化繊維の形状は、長繊維から製織された織物、一方向に引揃えられた長繊維、多方向に引揃えられた短繊維またはモノフィラメントシート、短繊維またはモノフィラメント不織布およびこれらの混合物よりなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂およびこれらの混合物よりなる群から選ばれ、第2の強化繊維の体積含量は、前記プリプレグの全体体積に基づいて、10〜90%のものである、請求項1に記載の繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項5】
前記プリプレグの熱硬化ステップは、前記プリプレグの周縁に熱収縮フィルムを巻回し、前記熱収縮フィルムおよび前記プリプレグを加熱して行われるものである、請求項1に記載の繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項6】
前記プリプレグの熱硬化ステップは、前記芯材および前記プリプレグを前記プリプレグの直径よりも小径を有するモールドに挿入し、熱および圧力を前記モールド内のプリプレグに印加して行われるものである、請求項1に記載の繊維強化樹脂ボルトの製造方法。
【請求項7】
ボルトの軸方向に沿って一方向に引揃えられた第1の強化繊維および前記第1の強化繊維に含浸された合成樹脂を含む芯材と、
前記芯材を囲繞しており、第2の強化繊維および前記第2の強化繊維に含浸された熱硬化性樹脂を含む硬化されたプリプレグ層と、
を備え、
ネジ山が硬化されたプリプレグ層の外表面に形成される、繊維強化樹脂ボルト。
【請求項8】
前記第1の強化繊維は、前記芯材の方向に沿って連続して延びた長繊維である、請求項7に記載の繊維強化樹脂ボルト。
【請求項9】
前記ネジ山の底部と前記芯材との間の距離は、0.1mm以上である、請求項7に記載の繊維強化樹脂ボルト。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−528746(P2012−528746A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513872(P2012−513872)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003564
【国際公開番号】WO2010/140845
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(500116041)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (49)
【出願人】(511020737)サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】