説明

繊維強化複合材料を用いた翼状構造体およびその製造方法

【課題】 プリプレグを用いずにRTMまたはVaRTMにより製造される翼状構造体において、製造効率を向上させ、製造コストも抑制することに加え、良好な強度を実現する。
【解決手段】 翼状構造体としてロータブレードを例示すれば、当該ロータブレードを製造する際のブレードプリフォームのうち、スキンとなる繊維材料として、開繊糸を用いて製作されたブレイディング50Aを用いる。また、スパーとなる繊維材料としては、中央糸および当該中央糸よりも小さい径の組糸から構成されるブレイディングを好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化複合材料を用いた翼状構造体およびその製造方法に関し、特に、例えばヘリコプタが備えるブレード等として好適に用いられる翼状構造体とその製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
翼状構造体は、航空機に用いられるだけでなく、各種産業機械の部品等としても広く用いられている。この翼状構造体の材質としては、以前は金属材料が用いられていたが、近年では繊維強化複合材料も用いられるようになっている。
【0003】
代表的な翼状構造体の一例としてヘリコプタが備えるロータブレードを挙げると、このロータブレードは、高い強度に加えて、より軽量であることが要求される。そこで、近年では、繊維強化複合材料を用いて製造されることが多い。典型的な繊維強化複合材料としては、繊維材料として炭素繊維を用い、マトリクス材料としてエポキシ樹脂等を含む熱硬化性樹脂組成物を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が知られている。
【0004】
CFRPの成形方法としては、通常、プリプレグを所望の形状に合わせて積層してから、オートクレーブ(圧力釜)により加熱、加圧する方法が用いられる。プリプレグは、繊維材料にマトリクス材料である熱硬化性樹脂組成物を含浸させて半硬化状態としたものであるが、マトリクス材料が半硬化状態であれば粘着性を有することから、その取扱いが難しい。それゆえ、プリプレグの積層作業は原則として手作業により行われる。
【0005】
しかしながら、プリプレグは一般的な樹脂材料と比較して高価であるため、これを用いて製造されるロータブレードも高価なものとなってしまう。さらに、手作業によるプリプレグの積層は、製造効率の低下を招くだけでなく、製造コストの増大も招くことになる。そこで、従来から、プリプレグを用いないでロータブレードを製造する技術が種々提案されている。
【0006】
例えば、RTM(Resin Transfer Molding)またはVaRTM(Vacuum Assisted RTM)は、繊維材料により所望形状のプリフォームを製作し、これを成形型のキャビティ内に配置し、キャビティ内を真空吸引した後、注入ゲートより樹脂組成物を注入し(VaRTMでは、真空圧のみで樹脂を吸引し)、これを硬化させる方法である。この方法を利用して翼状構造体を製造する技術としては、具体的には、例えば特許文献1または特許文献2に開示される技術が挙げられる。
【0007】
また、オートクレーブを利用せずに成形性の向上を図る点から、マトリクス材料として、熱硬化性樹脂組成物ではなく熱可塑性樹脂組成物を用いる手法も提案されている。この手法を利用して翼状構造体を製造する技術としては、具体的には、例えば、特許文献3または4に開示される技術が挙げられる。
【0008】
ところで、一般的な繊維強化複合材料の分野においては、繊維材料をブレイディング(組物または編組物)とする技術も知られている。ブレイディングは、繊維材料のトウ(tow)を2方向または3方向に組んで円筒状(または他の形状)に機械的に編み込むことにより製作される。これにより繊維材料を所望の形状に自動的に製作することができるので、繊維強化複合材料の製造効率を向上させることが可能である。例えば、特許文献5には、ブレイディングによるロータブレードの製造に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2948434号公報
【特許文献2】特許第2948435号公報
【特許文献3】特開平6−219392号公報
【特許文献4】特開平6−219393号公報
【特許文献5】特許第4504374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
翼状構造体の製造にブレイディングを用いるとすれば、プリプレグを全く用いなくても、樹脂組成物の種類または組成を大きく変える必要がなく、公知のRTMまたはVaRTMに組み合わせることが可能である等の利点がある。しかしながら、現実的には下記の課題が生じるため、翼状構造体の製造分野においては、繊維材料として前記ブレイディングを用いる技術は、特許文献5に開示される技術のように、スパー(翼桁)等の特定の部位に限られる。
【0011】
ブレイディングは、プリプレグと比較して繊維材料の屈曲が相対的に大きいものである。それゆえ、(1)硬化したマトリクス材料(熱硬化性樹脂組成物)の内部で繊維材料の伸直性が低下するため、複合材料の強度向上に対する繊維材料の寄与が低下する。また、(2)繊維材料の屈曲が大きくなるということは、相対的に繊維材料がかさばるため、同一体積で比較したときには、複合材料に含まれる繊維含有率が低下する。さらに、(3)繊維含有率が低下すれば、複合材料の内部で樹脂組成物が偏在する箇所を生じさせるおそれもあるため、複合材料の強度向上に対する繊維材料の寄与がさらに低下することになる。
【0012】
このように、ブレイディングを翼状構造体の製造に用いるとしても、前記(1)〜(3)の課題が生じるため、プリプレグを用いる場合と同量の繊維材料を含んでいるとしても、同程度の強度を実現することができないおそれがある。すなわち、プリプレグと同程度の強度を実現しようとすると、従来のブレイディング技術では、より多くの繊維積層量が必要となる。例えば、特許文献5に開示の技術では、ブレードスパーに対しブレイディング技術を適用しているが、ブレイディングそのものは従来と同様の方法であるため、プリプレグと比べてより多くの繊維積層量が必要となり、重量増加を招く。
【0013】
さらに、ブレイディングにより形成されたプリフォームに、RTMまたはVaRTMによる成形を適用する場合、繊維への含浸性を考慮して粘性の低い樹脂組成物を使用せざるを得ない。ところが、粘性の低い樹脂組成物は、材料の特性上、破壊靱性が低くなる傾向にある。破壊靱性の低下は層間剪断強度やCAI(衝撃後圧縮強度)の低下を招くため、ブレードの強度特性を低下させてしまうおそれがある。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、プリプレグを用いずにRTMまたはVaRTMにより製造される翼状構造体において、製造効率を向上させ、製造コストも抑制することに加え、良好な強度を実現することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、前記課題に鑑みて鋭意検討した結果、翼状構造体のうち、スキン(翼外皮)については、繊維材料として、開繊糸により製作されたブレイディングを用いることで、また、スパー(翼桁)については、中央糸に対し組糸の比率を低減させたブレイディングを用いることで、前記のブレイディングに関する課題を有効に解決し、さらに
ブレイディングに用いる繊維材料に熱可塑性樹脂組成物を組み合わせることで、破壊靭性を向上することが可能であることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明に係る翼状構造体は、前記の課題を解決するために、繊維強化複合材料で構成された骨格構造を有し、当該骨格構造には、翼状構造体の前縁を構成するスパーと、前記翼状構造体の外面を構成するスキンと、が含まれている翼状構造体であって、前記スパーおよび前記スキンとなる前記繊維強化複合材料に含まれる繊維材料が、ブレイディングとして構成されている。
【0017】
前記構成においては、前記スキンとなる前記繊維強化複合材料に含まれる前記ブレイディングは、開繊糸を用いて製作されたものである構成であってもよい。
【0018】
前記構成においては、前記スパーとなる前記繊維強化複合材料に含まれる前記ブレイディングは、同一方向に平行に配列する複数の中央糸と、当該中央糸に対して交差して編み込まれる組糸と、から構成され、前記組糸としては、前記中央糸よりも小さい径を有する糸が用いられている構成であってもよい。
【0019】
前記構成においては、前記開繊糸として、当該開繊糸の一方または両方の面に熱可塑不織布が貼り付けられているベール開繊糸が用いられている構成であってもよい。
【0020】
前記構成においては、前記組糸として、熱可塑繊維、または、無機繊維と熱可塑繊維との撚糸が用いられている構成であってもよい。
【0021】
前記翼状構造体の具体的な種類は特に限定されず、繊維強化複合材料を用いた公知の翼状構造体であれば、どのようなものにも適用可能であるが、代表的な一例として、ヘリコプタのロータブレードを挙げることができる。
【0022】
また、本発明には、前記翼状構造体の製造方法も含まれる。すなわち、本発明に係る翼状構造体の製造方法は、繊維強化複合材料で構成された骨格構造を有し、当該骨格構造には、翼状構造体の前縁を構成するスパーと、前記翼状構造体の外面を構成するスキンと、が含まれている翼状構造体の製造方法であって、前記骨格構造のプリフォームとしてブレイディングを製作する工程と、前記ブレイディングを成形型のキャビティ内に設置した状態で、熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティ内に注入する工程と、前記キャビティ内で前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を含み、前記プリフォームのうち、前記スパーおよび前記スキンとなる繊維材料を、前記ブレイディングとして製作する構成である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、プリプレグを用いずにRTMまたはVaRTMにより製造される翼状構造体において、製造効率を向上させ、製造コストも抑制することに加え、良好な強度を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態1に係る翼状構造体の一例である、ヘリコプタのロータブレードの構成例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示すロータブレードのI−I線矢視断面図である。
【図2】図1(a),(b)に示すロータブレードを成形型により成形する工程の一例を示す模式的断面図である。
【図3】(a)は、開繊糸を組糸として用いて製作された2方向ブレイディングの模式的な構成例を示す斜視図であり、(b)は、トウを用いて製作された一般的な2方向ブレイディングの模式的な構成例を示す斜視図である。
【図4】(a)は、図3(a)に示すロータブレードのブレードプリフォームに用いられる開繊糸の構成例を示す模式的斜視図である。(b)は、図3(a)に示す2方向ブレイディングの組糸に用いられる裏当て開繊糸の構成例を示す模式的斜視図である。
【図5】(a)は、中央糸に対して細い組糸を用いて製作された3方向ブレイディングの模式的な構成例を示す斜視図であり、(b)は、中央糸および組糸の太さをほぼ同等にして製作された一般的な3方向ブレイディングの模式的な構成例を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5(a)に示すブレイディングがブレードスパープリフォームとして用いられたときの構成例を示す部分断面図であり、(b)は、(a)に示すスパーにおけるブレードプリフォームにおいて、中央糸が密に配列している状態の例を示す部分断面図である。
【図7】図5(a)に示す3方向ブレイディングの組糸に用いられる撚糸の構成例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0026】
[ロータブレード]
まず、本実施の形態に係る翼状構造体の一例であるロータブレードの基本的な構成等について、図1(a),(b)および図2を参照して説明する。
【0027】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係るロータブレード10は、細長い板状であって、一端が先端側となる翼端10aであり、他端がロータハブ(図示せず)に結合される付根10bである。また、ロータブレード10の回転方向の前側を前端10cと称し、後側を後端10dと称する。なお、付根10bには、ロータブレード10をロータハブに取り付けるための取付孔10eが形成されている。図1(b)は、図1(a)に示すロータブレード10において、二点鎖線で示すI−I線方向の矢視断面図であり、この断面図に示すように、ロータブレード10は、スパー11、スキン12、前縁バランスウェイト13、および発泡コア14を有している。
【0028】
スパー11は、通常、ロータブレード10の前方に偏在し、かつ、ロータブレード10の全長にわたるように位置する骨格構造である。スキン12はロータブレード10の外面を構成しており、骨格構造の一部でもある。前縁バランスウェイト13は、ロータブレード10の重心を前縁10c寄りとするために、当該前縁10cの内部に設けられている。発泡コア14は、ロータブレード10の内部の大部分を占めるコア材であり、ロータブレード10の形状を保持するために設けられている。
【0029】
スパー11およびスキン12は、後述するように、繊維強化複合材料により構成されている。前縁バランスウェイト13は公知の金属材料等で構成されている。発泡コア14は、公知の発泡樹脂材であってもよいし、ハニカム構造のアルミニウム材またはアラミド材であってもよいし、骨格構造のみでロータブレード10の形状を保持することができるのであれば空洞であってもよい。また、本実施の形態に係るロータブレード10の具体的構成は、図1(a),(b)に示す構成に限定されず、公知のさまざまな構成を採用することができる。それゆえ、ロータブレード10は、スパー11およびスキン12以外の骨格構造を含んでもよいし、前縁バランスウェイト13、発泡コア14以外の部材を含んでもよい。
【0030】
本実施の形態に係るロータブレード10は、図2に示すように、RTMまたはVaRTMにより製造される。ロータブレード10の成形型20は、上型21および下型22から構成され、成形型20内のキャビティ20aには、樹脂供給配管24および樹脂排出配管25が接続されている。樹脂供給配管24には樹脂ポット23が接続され、当該樹脂ポット23内に蓄積されている熱硬化性樹脂組成物が、樹脂供給配管24によってキャビティ20aに供給される。また、排出配管25にはバルブ26を介して図示しない樹脂排出槽および吸引ポンプが接続され、バルブ26を開いてキャビティ20aを吸引することにより、当該キャビティ20a内にもともと存在していた空気を吸引して当該キャビティ20a内を真空状態にしたり、供給された熱硬化性樹脂組成物を吸引して余剰分を樹脂排出槽に排出したりすることができる。
【0031】
ロータブレード10の製造工程についてRTMを例に挙げて説明する。まず、ロータブレード10のスパー11およびスキン12の芯材となるブレードプリフォーム15を、繊維材料を用いて製作する。このブレードプリフォーム15は、スパー11に対応するプリフォーム15aとスキン12に対応するプリフォーム15bとから構成され、これらプリフォーム15a,15bは、後述するようにブレイディングである。そして、上型21および下型22を開けて、内部にブレードプリフォーム15を配置する。このとき、前縁バランスウェイト13、発泡コア14、あるいは内部が空洞であればインフレータブルマンドレル等も、ブレードプリフォーム15に合わせて配置する。その後、プレス等により上型21および下型22を閉じることにより、ブレードプリフォーム15等を成形型20のキャビティ20a内に設置する。
【0032】
次に、成形型20を加熱しながら樹脂ポット23の内部を加圧するとともに、バルブ26を開いて図示しない吸引ポンプでキャビティ20aを吸引する。これにより、樹脂ポット23内の熱硬化性樹脂組成物が樹脂供給配管24を介してキャビティ20aに注入される。キャビティ20a内に熱硬化性樹脂組成物が十分に充填されるまで、キャビティ20aの吸引と熱硬化性樹脂組成物の注入とを継続し、熱硬化性樹脂組成物がキャビティ20aに充填されれば、成形型20を加熱することにより、熱硬化性樹脂組成物を硬化させる。その後、上型21および下型22を分離して硬化物を取り出し、所定の後処理(トリミング等)を行うことで、ロータブレード10が製造される。
【0033】
なお、前述した製造工程は、基本的なものであり、公知の範囲内で他の工程を追加したり、一部の工程を省略または簡素化したり、一部の工程を他の工程に差し替えたりすることができる。また、ロータブレード10の製造に用いられる成形技術は、RTMまたはVaRTMに限定されず、プリプレグを用いない他の方法であれば、どのような方法でも採用することが可能である。
【0034】
得られるロータブレード10においては、ブレイディングであるブレードプリフォーム15に熱硬化性樹脂組成物が含浸して硬化することにより、繊維強化複合材料からなるスパー11およびスキン12が形成される。つまり、ブレードプリフォーム15は、繊維強化複合材料における繊維材料である。なお、骨格構造にスパー11およびスキン12以外の部位を含んでいる場合には、ブレードプリフォーム15として、当該部位を含むブレイディングを予め製作しておけばよい。
【0035】
また、樹脂ポット23から供給される熱硬化性樹脂組成物は、繊維強化複合材料のマトリクス材料であり、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、当該樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これら樹脂は単一種類のみを用いてもよいし、複数種類を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これら熱硬化性樹脂のより具体的な化学構造も特に限定されず、公知の種々のモノマーが重合されたポリマーであってもよいし、複数のモノマーが重合されたコポリマーであってもよい。また、平均分子量、主鎖および側鎖の構造等についても特に限定されない。
【0036】
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂に加えて、公知の硬化剤、硬化促進剤、繊維基材以外の補強材または充填材、その他公知の添加剤を含んでいてもよい。これら硬化剤、硬化促進剤等の添加剤の具体的な種類、組成等についても特に限定されず、公知の種類または組成のものを好適に用いることができる。さらに、得られるロータブレード10の破壊靭性を向上させる観点から、公知の熱可塑性樹脂を公知の組成で含んでいてもよい。
【0037】
[スキンのブレイディング]
次に、ブレードプリフォーム15として製作されるブレイディングについて、具体的に説明する。まず、ブレードプリフォーム15を構成する繊維材料のうち、スキンとなるブレイディングについて、図3(a),(b)および図4(a),(b)を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、プリプレグを用いた繊維強化複合材料を「プリプレグ複合材料」と称し、ブレイディングを用いた繊維強化複合材料を「ブレイディング複合材料」と称する。
【0038】
ブレイディング(組紐、組物または編組物)は、繊維材料のトウ(tow)を2方向または3方向に組んで円筒状(または他の形状)に機械的に編み込むことにより製作される。そして、スキンのブレイディングとして一般的な構成の一例を挙げると、図3(b)に示すように、マンドレル60の周囲で、互いに交差した状態で配列する組糸152を編み込んで製作される、2方向のブレイディング150Aが挙げられる。図3(b)に示す例では、約45°の角度で2種の組糸152,152が交差している。
【0039】
ここで、スキンのブレイディングとして前記構成のブレイディング150Aが用いられてブレイディング複合材料が構成されれば、以下の理由から、プリプレグ複合材料と比較して、ロータブレード10の強度向上に繊維材料(ブレイディング150A)が十分寄与できなくなる。
【0040】
まず、図3(b)に示すように、ブレイディング150Aにおいては、2本の組糸152,152が交差するように編み込むと、組糸152のクリンプ(屈曲)が大きくなる。つまり、ブレイディング150Aにおいては、組糸152を構成する繊維材料が伸直した状態になく、曲がりくねった状態となっている。この場合、ブレイディング複合材料においては、その内部で剛性が局所的に下がり、複合材料全体としての荷重伝達効率が低下する。それゆえ、ブレイディング複合材料は、プリプレグ複合材料と比較して、一般に、その引張強度を十分に向上することができない。
【0041】
また、製作されたブレイディングで繊維材料がクリンプした状態になっていると、各糸の間に必然的に隙間が生じる。この隙間は、ブレイディング複合材料においては、繊維材料で強化されないマトリクス材料(熱硬化性樹脂組成物)のみの領域となる。つまり、ブレイディング複合材料においては、マトリクス材料の中に繊維材料が略均等に存在できず、マトリクス材料の偏在が生じる。これを繊維強化複合材料における繊維含有率Vfとして評価すれば、ブレイディング複合材料のVfは、プリプレグ複合材料のVfよりも明らかに低下する。繊維含有率Vfの低下すなわちマトリクス材料の偏在の発生は、当該マトリクス材料の偏在部位で外力によるマイクロクラックの発生を招き、それが複合材料全体の強度低下の一因となるため、ブレイディング複合材料はプリプレグ複合材料と比較して強度を十分に向上することができない。
【0042】
このような理由から、ロータブレード10の製造において、ブレードプリフォーム15を構成するスキンに対して図3(b)に示すようなブレイディング150Aを用いることは、実用性がないと考えられてきた。
【0043】
これに対して、本発明においては、例えば、図3(a)に示すようなブレイディング50Aを製作し、これをブレードプリフォーム15として用いる。このブレイディング50Aは、組糸52として、図4(a)に示す開繊糸31を用いている以外は、図3(b)に示すブレイディング150Aを同様の構成である。これにより得られるブレイディング複合材料は、プリプレグ複合材料と同等か、それ以上の強度を実現することができる。
【0044】
図4(a)に示すように、開繊糸31(向かって右側に図示)は、原糸30(向かって左側に図示)と同様に、例えば炭素繊維301から構成されるトウであるが、断面が略円形の原糸30とは異なり、テープ状に幅広い形状を有している。一般に、開繊糸31は、原糸30を、開繊装置によって所望の幅となるように薄く開繊することによって得られる。繊維強化複合材料の繊維材料として開繊糸31を用いれば、原糸30を用いた場合と比較して、マトリクス材料(樹脂組成物)をより均一に含浸させることが可能となり、さらに繊維のクリンプを抑制して、繊維強化複合材料の強度を向上させることができる。ただし、開繊糸31を用いてブレイディングを製作することはほとんど知られていなかった。
【0045】
図3(a)に示すように、開繊糸31を組糸52として用いてブレイディング50Aを製作してスキンの繊維材料として用いれば、繊維材料のクリンプを有効に抑制することができる。それゆえ、RTMまたはVaRTMにより翼状構造体を製造する際に、ブレイディング50Aから成るプリフォームを用いれば、複合材料中で繊維材料の良好な直伸性を確保できるとともに、繊維材料の含有率の低下も回避することができる。その結果、複合材料の強度向上に対する繊維材料の寄与を向上することができ、得られる翼状構造体の強度を良好なものにできるとともに、RTMまたはVaRTMで翼状構造体を製造できるため、製造効率を向上させ、製造コストも抑制することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、ブレイディング50Aの組糸52となる開繊糸31が熱可塑性樹脂を含む構成であると、破壊靱性および加工性をより一層向上させることができるため好ましい。
【0047】
熱可塑性樹脂を含む開繊糸31の具体的な構成は特に限定されないが、好ましい一例として、図4(b)に示すベール開繊糸32を挙げることができる。ベール開繊糸32は、例えば、炭素繊維301から成る開繊糸31の一方の面に、熱可塑不織布から成るベール33を貼り付けたものである。ベール33を開繊糸31に貼り付ける手法は特に限定されないが、ベール33が熱可塑不織布であるので、加熱によりベール33を開繊糸31に融着させる手法を挙げることができる。なお、図4(b)に示すベール開繊糸32は、開繊糸31の一方の面のみにベール33が貼り付けられた構成となっているが、両方の面にベール33が貼り付けられた構成であってもよい。
【0048】
このようにブレイディング50Bを構成するトウそのものが熱可塑性樹脂を含んでいれば、熱硬化性樹脂組成物が含浸するときに当該熱可塑性樹脂が融解して熱硬化性樹脂組成物に混ざり合う。それゆえ、予め熱可塑性樹脂を配合する場合に比べて、熱硬化性樹脂組成物の含浸性を損なうことがなく、繊維強化複合材料の破壊靱性を向上させることが可能となる。
【0049】
また、ブレイディングの編み込み時に開繊糸31の寸法(幅または厚み)が変化したりほつれが生じたりする可能性がある。これに対して、ベール33を使用すれば、熱可塑樹脂が融着することで開繊糸の繊維同士を結合し、寸法の変化、ほつれ等を有効に抑制することができる。
【0050】
ここで、熱可塑性樹脂の具体的な種類は特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の破壊靱性を向上できるものとして公知の樹脂であれば、どのような種類のものでも用いることができる。一例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いることができる。これら熱可塑性樹脂は少なくともいずれか一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0051】
また、開繊糸31の寸法やほつれを防止する手段としては前記ベール以外にもサイジング剤も有効であることが確認されており、前記ベールとサイジング剤を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、開繊糸31として炭素繊維301から成るものを用いているが、開繊糸31の材質はこれに限定されるものではなく、繊維強化複合材料の分野で繊維材料として用いられる各種の素材を好適に用いることができる。具体的には、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、等の有機繊維;ボロン繊維、ガラス繊維、シリカ繊維(石英繊維)、炭化ケイ素(SiC)繊維等の無機繊維が挙げられる。これら素材は、単独で用いられてもよいし、炭素繊維を含む複数種類の素材を適宜組み合わせて用いられてもよい。
【0053】
また、開繊糸31の幅および厚みについては特に限定されず、製作されるブレードプリフォーム15の形状、寸法、マトリクス材料の種類等に応じて、好ましい数値を設定すればよい。さらに、ブレイディング50Aは、開繊糸31以外のトウを補助的に編み込んだものであってもよい。
【0054】
さらに、スキンのブレイディングは、ブレイディング50A一層のみで構成されてもよいが、複数層のブレイディング50Aを重ねて構成される多層ブレイディングを用いることもできる。この多層ブレイディングにおけるブレイディング50Aの積層数は特に限定されず、スキンに要求される種々の条件に応じて適宜設定される。
【0055】
[スパーのブレイディング]
次に、ブレードプリフォーム15を構成する繊維材料のうち、スパーとなるブレイディングについて、図5(a),(b)および図6(a),(b)並びに図7を参照して具体的に説明する。
【0056】
前述したとおり、ブレイディングは、繊維材料のトウを2方向または3方向に組んで円筒状等に機械的に編み込むことにより製作される。そして、スパーのブレイディングとして一般的な構成の一例を挙げると、図5(b)に示すように、マンドレル60の周囲で、同一方向に平行に配列する複数の中央糸151と、この中央糸151に交差した状態で配列する組糸153とを編み込んで製作される、3方向のブレイディング150Bが挙げられる。図5(b)に示す例では、1種の中央糸151に対して約45°の角度で2種の組糸153,153が交差している。
【0057】
ここで、スキンのブレイディングとして前記構成のブレイディング150Bが用いられてブレイディング複合材料が構成されれば、以下の理由から、プリプレグ複合材料と比較して、ロータブレード10の強度向上に繊維材料(ブレイディング150B)が十分寄与できなくなる。
【0058】
図5(b)に示すように、ブレイディング150Bにおいては、中央糸151と組糸153とを略同じ太さのトウで編み込むと、スパーとして必要なブレード軸方向の繊維(中央糸151)の量が相対的に低下する。スパーの軸方向の繊維はロータブレード10に作用する遠心力および曲げモーメントを支持する部材であるため、その量が少なくなると、同じスパー断面積を有するプリプレグ複合材料と比較して、その引張強度を十分に向上することができない。換言すれば、プリプレグ複合材料と同程度の強度を実現しようとすると、より多くの繊維積層量が必要となり、重量増加を招くことになる。
【0059】
ここで、前述した特許文献5に開示の技術では、スパーに対して軸方向以外の斜め方向も含めた3方向ブレイディングを適用し、斜め方向の組糸の繊維でロータブレードの捩じりを支持する構成となっている。しかしながら、このような構成において中央糸と組糸とを略同じ太さのトウで編みこむと、相対的に軸方向の強度が不足する。その結果、プリプレグ複合材料と比較して全体的により多くの繊維積層量が必要となり、重量増加を招くことになる。
【0060】
このような理由から、ロータブレード10の製造において、ブレードプリフォーム15を構成するスパーに対して、図5(b)に示すようなブレイディング150Bを用いることは、強度の面から効率が低くなると考えられる。
【0061】
これに対して、本発明においては、図5(a)に示すように、径の大きい中央糸51に対して径の小さい細組糸53を組み合わせることで、軸方向の繊維量を相対的に増加させている。ブレイディング50Bにおいては、径の大きい複数の中央糸51が、径の小さい細組糸53により互いの平行状態を維持するようにつながれている。この状態は略すだれ状(barred lattice)であり、中央糸51を略伸直させた状態で高密度に配列させることができる。さらに、細組糸53の太さを適宜設定することで、繊維含有率の低下を生じさせることなく、中央糸51同士の間に樹脂組成物を含浸させるための隙間を形成することができる。それゆえ、ブレイディング複合材料の内部で繊維材料の良好な伸直性を確保できるとともに、繊維材料の含有率の低下も回避することができるので、得られる翼状構造体の強度をより良好なものとすることができる。
【0062】
ここで、細組糸53の径の寸法は特に限定されないが、中央糸51の径よりもできる限り小さい方が望ましい。この細組糸53の径を適宜設定することによって、ブレードプリフォーム15に対するマトリクス材料の含浸効率を向上させることが可能となる。
【0063】
具体的には、例えば、ブレードプリフォーム15におけるスパー11に対応する部位では、良好な強度を実現するために、中央糸51は伸直状態で平行に配列している。このとき、細組糸53が無かったり、または、中央糸51の寸法と比較して無視できる程度の径であったりすれば、図6(b)に示すように、中央糸51同士が密に接触する。ここで、ロータブレード10の成形時(図2参照)には、熱硬化性樹脂組成物は、図中矢印Rで示すように、スパー11の外面に対して略垂直の方向から含浸する。ところが、中央糸51同士が密に配列していれば、熱硬化性樹脂組成物の含浸性が低下し、ボイドまたは樹脂欠損が発生するおそれがある。
【0064】
これに対して、図6(a)に示すように、細組糸53の径を適宜設定することで、中央糸51の間に、熱硬化性樹脂組成物の通路となる隙間を形成することができる。これにより、熱硬化性樹脂組成物は、前記隙間に流入してブレードプリフォーム15に良好に含浸することができる。それゆえ、ブレイディング50Bをブレードプリフォーム15として用いれば、繊維含有率Vfの低下を生じることなく、開繊糸31同士の間に樹脂組成物を含浸させるための隙間を形成することができる。それゆえ、得られる翼状構造体の強度をより良好なものとすることができる。
【0065】
ここで、中央糸51の径の大きさについては特に限定されず、各種条件に応じて、好ましい数値を設定すればよい。また、細組糸53の径の大きさも特に限定されず、少なくとも中央糸51の径よりも小さい径を有する糸であればよく、好ましくは中央糸51の含浸性を良好に保持する程度の隙間を形成できる範囲で、できる限り小さい径の糸であればよい。
【0066】
また、細組糸53に用いられる材料も特に限定されず、中央糸よりも細い径であってもブレイディング50Bを保持する張力を発揮できるものであれば、どのような材料でも用いることができる。代表的には、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維を用いることができるが、樹脂組成物からなる樹脂繊維であってもよい。
【0067】
さらに、本実施の形態では、ブレイディング50Bを構成する細組糸53が熱可塑性樹脂を含む構成であると、破壊靭性をより一層向上させることができるため好ましい。
【0068】
熱可塑性樹脂を含む細組糸53の具体的な構成は特に限定されないが、好ましい一例として、図7に示す撚糸34を挙げることができる。撚糸34は、例えばガラス繊維302から成るガラス繊維糸34aと熱可塑繊維303から成る熱可塑繊維糸34bとを撚ったものであり、ブレイディング50Bの組糸として使用したときに、熱可塑性繊維303だけでは張力により破断してしまう場合に、特に好適に採用することができる。もちろん、熱可塑繊維303が張力に対して十分な強度を有していれば、当該熱可塑繊維303を単独で組糸として用いることができる。
【0069】
このようにブレイディング50Bを構成するトウそのものが熱可塑性樹脂を含んでいれば、熱硬化性樹脂組成物が含浸するときに当該熱可塑性樹脂が融解して熱硬化性樹脂組成物に混ざり合う。それゆえ、マトリクス材料である熱硬化性樹脂組成物に熱可塑性樹脂を添加することと同等の効果をもたらすことができる。また、外部から注入する熱硬化性樹脂組成物に予め熱可塑性樹脂を配合する場合に比べて、熱硬化性樹脂組成物の粘性増加と、それによる繊維材料への含浸性の低下を伴うことなく、繊維強化複合材料の破壊靭性を向上させることが可能となる。また、撚糸34を用いることで、細組糸53により中央糸51同士を適切につないでおくことができ、また、中央糸51同士の間に熱硬化性樹脂組成物を良好に含浸させることができる。
【0070】
ここで、熱可塑性樹脂の具体的な種類は特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の破壊靭性を向上できるものとして公知の樹脂であれば、どのような種類のものでも用いることができる。一例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いることができる。これら熱可塑性樹脂は少なくともいずれか一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0071】
さらに、スパーのブレイディングは、ブレイディング50B一層のみで構成されてもよいが、複数層のブレイディング50Bを重ねて構成される多層ブレイディングを用いることもできる。この多層ブレイディングにおけるブレイディング50Bの積層数は特に限定されず、スパーに要求される種々の条件に応じて適宜設定される。
【0072】
なお、本実施の形態では、翼状構造体50としてロータブレード10を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘリコプタ以外の航空機に用いられるプロペラブレード、ターボファンブレード、一般産業機械用の回転翼、風力発電用ブレード等、公知の翼状構造体を挙げることができる。
【0073】
また、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる態様や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ヘリコプタ以外の航空機に用いられるプロペラブレード、ターボファンブレード、一般産業機械用の回転翼、風力発電用ブレード等、各種の翼状構造体の分野に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 ロータブレード(翼状構造体)
11 スパー
12 スキン
15 ブレードプリフォーム(骨格構造)
15a プリフォーム(スパーに対応)
15b プリフォーム(スキンに対応)
20 成形型
20a キャビティ
31 開繊糸
32 ベール開繊糸
34 撚糸
50A,50B ブレイディング
51 中央糸
52 組糸
53 細組糸(組糸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化複合材料で構成された骨格構造を有し、当該骨格構造には、翼状構造体の内部桁を構成するスパーと、前記翼状構造体の外面を構成するスキンと、が含まれている翼状構造体であって、
前記スパーおよび前記スキンとなる前記繊維強化複合材料に含まれる繊維材料が、ブレイディングとして構成されていることを特徴とする、翼状構造体。
【請求項2】
前記スキンとなる前記繊維強化複合材料に含まれる前記ブレイディングは、開繊糸を用いて製作されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の翼状構造体。
【請求項3】
前記スパーとなる前記繊維強化複合材料に含まれる前記ブレイディングは、同一方向に平行に配列する複数の中央糸と、当該中央糸に対して交差して編み込まれる組糸と、から構成され、
前記組糸としては、前記中央糸よりも小さい径を有する糸が用いられていることを特徴とする、請求項1に記載の翼状構造体。
【請求項4】
前記開繊糸として、当該開繊糸の一方または両方の面に熱可塑不織布が貼り付けられてなるベール開繊糸が用いられていることを特徴とする、請求項2に記載の翼状構造体。
【請求項5】
前記組糸として、熱可塑繊維、または、無機繊維と熱可塑繊維との撚糸が用いられていることを特徴とする、請求項3に記載の翼状構造体。
【請求項6】
ヘリコプタのロータブレードであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の翼状構造体。
【請求項7】
繊維強化複合材料で構成された骨格構造を有し、当該骨格構造には、翼状構造体の前縁を構成するスパーと、前記翼状構造体の外面を構成するスキンと、が含まれている翼状構造体の製造方法であって、
前記骨格構造のプリフォームとしてブレイディングを製作する工程と、
前記ブレイディングを成形型のキャビティ内に設置した状態で、熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティ内に注入する工程と、
前記キャビティ内で前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を含み、
前記プリフォームのうち、前記スパーおよび前記スキンとなる繊維材料を、前記ブレイディングとして製作することを特徴とする、翼状構造体の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71805(P2012−71805A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220313(P2010−220313)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名 日本航空宇宙工業会 平成21年度委託研究成果報告書 発行日 平成22年3月31日 発行所 社団法人日本航空宇宙工業会 該当ページ 第1〜96ページ
【出願人】(391006234)社団法人日本航空宇宙工業会 (45)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】