置換シアニン染料を用いた蛍光イメージング
近赤外スペクトル領域で非侵襲的にイメージングするのに有用な化合物及び方法を開示する。式中のQが(a)及び(b)からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部である、式Iで表されるシアニン化合物を提供する。式Iで表される化合物のバイオコンジュゲート、該化合物を用いた生体分子の標識化方法、及びイメージング方法も包含する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2009年4月17日出願の米国仮特許出願第61/170,579号、及び2009年6月5日出願の米国仮特許出願第61/184,750号の優先権を主張する。あらゆる目的で参考までにこれらの出願の開示内容を本明細書に引用する。
【0002】
《発明の背景》
シアニン染料は、種々の用途、例えば、DNA塩基配列決定に対するリガンド又は生体分子を標識化するのに広く用いられてきた。(例えば、シアニン染料によるDNAのストランドを同定する典型的な方法についての米国特許第5,571,388号明細書参照。)科学者が生物学的用途にシアニン染料を好んで用いるのは、他にも理由がある中で、これらの染料の多くが近赤外(NIR)のスペクトル領域(600〜1000nm)の蛍光を発するからである。このことにより、シアニン染料は生体分子の自己発光由来の干渉を受けにくくなる。
【0003】
シアニン染料の他の利点として、例えば、以下を挙げることができる:1)シアニン染料は強く光を吸収しそして蛍光を発する;2)多くのシアニン染料は蛍光顕微鏡下で急速に白化しない;3)有効なカップリング試薬であるシアニン染料誘導体を作ることができる;4)多くの構造及び合成手順を利用することができ、そしてこの種類の染料は多目的に使用することができ;及び5)シアニン染料は比較的小さい(典型的な分子量は約1,000ダルトンである)ので、標識化された生体分子がその結合部位に到達し又はその機能を果たす能力を低下させることがあるような明らかな立体障害を惹起しない。
【0004】
それらの利点にもかかわらず、公知のシアニン染料の多くはいくつかの欠点を有している。公知のシアニン染料の中には、バイオアッセイにおいて通常見られる一定の試薬の存在下に安定でないものがある。かかる試薬として、水酸化アンモニウム、ジチオトレイトール(DTT)、第一級アミン、第二級アミン、及び過硫酸アンモニウム(APS)を挙げることができる。更に、公知のシアニン染料の中には、生物学的用途、例えば、DNA塩基配列決定、ウエスタンブロッティング、インセル(in-cell)ウエスタン免疫蛍光測定法、インビトロ又はインビボ光学的イメージング、顕微鏡検査法、及び遺伝子型決定に必要な熱安定性及び光安定性を欠いているものがあり、一方で、他の染料は対称性ではなく、このことはそれらの染料を高い純度及び収率で合成することをより困難にしている。(対称性の染料の利点については、米国特許第6,747,159号明細書参照。)
【0005】
これらの理由のため、安定でかつ対称性のシアニン染料が、生体分子の標識化並びに疾病、例えば、癌の診断及び予後のインビボ・イメージングに用いるのに必要とされる。かかる組成物及び方法は、種々の治療に対する応答の分析に役立つであろう。本発明は、これらの要求及び他の要求を満たす。
【0006】
《発明の簡潔な概要》
本発明は、化合物、バイオコンジュゲート、標識化の方法、及び非侵襲的に標的分子を測定又は検出する方法を提供し、このようにして上記した当該技術分野の問題を解決する。
【0007】
このようにして、本発明は、或る実施態様において、式I:
【化1】
で表される化合物を提供する。
【0008】
上記式I中、Qは、
【化2】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
Qは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
【0009】
R1はR130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0010】
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって更に置換されており;
【0011】
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
【0012】
R7は水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され;そして前記環はR140個〜3個又は環外アルケンによって更に置換されており、前記アルケンはR140個〜2個によって更に置換されており;
【0013】
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
【0014】
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
【0015】
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
【0016】
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
【0017】
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0018】
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
【0019】
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0020】
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0021】
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、アジド基、アルキニル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基(hydrazidyl)、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基(phosphoramidityl)、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員であり;前記化合物はバランスの取れた(balanced)電荷を有する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、式II:
【化3】
で表されるバイオコンジュゲートを提供する。
【0023】
上記式II中、QLは、
【化4】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
QLは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
【0024】
R1、R2a、R2b、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、及びYは、式Iで表される化合物について前記定義した通りであり、
【0025】
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの1つの構成員によって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;そして前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0026】
RLはそれぞれ、結合基及びそれによって結合された生体分子を含み、前記化合物はRL少なくとも1個を含み、そして前記化合物はバランスの取れた電荷を有する。
【0027】
更に別の実施態様において、本発明は、式Iを有する化合物とリガンド又は生体分子とを接触させて式IIで表される対応するバイオコンジュゲート化合物を生成することを含む、式Iで表される化合物を用いてリガンド又は生体分子を標識化する方法又はプロセスを提供する。
【0028】
更にまた別の実施態様において、種々の生物医学的用途において組織及び器官のインビトロ又はインビボの光学的イメージング剤として、式I又は式IIで表される化合物を用いることができる。或る観点において、本発明は、式I又は式IIで表される化合物を投与することを含むイメージング方法を提供する。
【0029】
本発明の更なる観点、目的、及び利点は、以下の詳細な記載及び図面を考慮することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】A〜Dは、本発明の染料8のヤギ抗マウス(GAM)抗体コンジュゲート(パネルA〜B)と商業的に入手可能なIRDye(商標)680染料(「LI−COR 680」)のGAM抗体コンジュゲート(パネルC〜D)との間のウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0031】
【図2】A〜Dは、本発明の染料8のストレプトアビジンコンジュゲート(パネルA〜C)と商業的に入手可能なIRDye(商標)680ストレプトアビジンコンジュゲート(「LI−CORストレプトアビジン680」)(パネルD)との間のウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0032】
【図3】A〜Bは、パネルAにメタノール中の化合物8の吸光度及び発光スペクトル(680nm)を;及びパネルBにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中の吸光度及び発光スペクトル(676nm)を示す。
【0033】
【図4】GAM抗体にコンジュゲートした化合物8の1:1PBS:メタノール中の吸光度スペクトルを示す。
【0034】
【図5】ラクトアルブミンにコンジュゲートした化合物8の1:1PBS:メタノール中の吸光度スペクトルを示す。
【0035】
【図6】化合物8を用いて種々のD/Pで標識化した一連のヤギ抗ウサギ(GAR)抗体試料の蛍光スペクトルを示す。
【0036】
【図7】Alexa Fluor 680を用いて種々のD/Pで標識化した一連のヤギ抗ウサギ(GAR)抗体試料の蛍光スペクトルを示す。
【0037】
【図8】化合物8とAlexa Fluor 680とのGAR抗体コンジュゲートのD/Pに応じた相対蛍光を示す。
【0038】
【図9】A〜Bは、50フェムトモル(fmole)(パネルA);及び25フェムトモル(パネルB)でのIRDye700DX、化合物8、及びAlexa Fluor 680の間の光安定性の比較を示す。
【0039】
【図10】A〜Bは、化合物8とAlexa Fluor 680との間の細胞染色及び相対蛍光の比較を示す(パネルA)。パネルBは、蛍光強度を比較する。
【0040】
【図11】A〜Cは、化合物8で標識化されたGAR抗体を用いたHER2タンパク質の免疫蛍光染色を示す。パネルA(「700チャネル」):ウサギ抗HER2mAb、それに続いてGAR二次抗体と細胞をインキュベートした。パネルB:サイトックスグリーン(Sytox green)を用いて核を染色した。パネルCに合成画像を示す。サイトックスグリーン検出に対する顕微鏡設定は、スペクトル幅20nmで中心を488nmとする励起フィルターを有していた。ダイクロックを495nmに設定し、そして発光フィルターはスペクトル幅50nmで中心を525nmとした。「700チャネル」についての検出設定は、スペクトル幅60nmで中心を620nmとする励起フィルターを有していた。ダイクロックを660nmに設定し、そして発光フィルターはスペクトル幅75nmで中心を700nmとした。
【0041】
【図12】A〜Cは、化合物8(パネルA);IRDye680(パネルB);及びAlexa Fluor 680(パネルC)とのβ−アクチンGAM抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0042】
【図13】細胞溶解物(cell lysate)の増加濃度におけるβ−アクチンGAM抗体コンジュゲートの蛍光強度の直線性を示す。
【0043】
【図14】化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680とのp38GAR抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0044】
【図15】A〜Cは、IRDye680(パネルA);化合物8(パネルB);及びAlexa Fluor 680(パネルC)とのAktGAM抗体コンジュゲートの2色ウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。それぞれの場合において、アクチンに対するウサギmAb(最下列(bottom series))は、IRDye800CW・GAR抗体コンジュゲートを用いて検出した。
【0045】
【図16】A〜Bは、化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680とのAktGAR抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光比較を示す(パネルA)。一次抗体を用いない対照試験をパネルBに示す。
【0046】
《発明の詳細な説明》
《I.定義》
本明細書中で用いる「活性化アシル基」は、−C(O)−LG基を含む。「脱離基」又は「LG」は、求核性アシル置換(すなわち、−C(O)−LGのカルボニルへの求核性付加(nucleophilic addition)、それに続く脱離基の除去(elimination))による置換を受けやすい基である。代表的な脱離基として、ハロゲン原子、シアノ基、アジド基、カルボン酸誘導体、例えば、t−ブチルカルボキシ基、及びカーボネート誘導体、例えば、i−BuOC(O)O−基を挙げることができる。活性化アシル基は、カルボジイミドによって活性化され無水物または混合無水物−OC(O)Ra又は−OC(NRa)NHRb(式中、Ra及びRbはC1〜C6アルキル基、C1〜C6ペルフルオロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、シクロヘキシル基、3−ジメチルアミノプロピル基、若しくはN−モルホリノエチル基からなる群から独立して選択される構成員である)を形成するカルボン酸又は本明細書中で定義した通りの活性化エステル基であることがある。好ましい活性化アシル基として活性化エステル基を挙げることができる。
【0047】
本明細書中で用いる「活性化エステル基」は、エチルエステル基より求核性付加による置換及び除去を受けやすいカルボキシル基の誘導体(例えば、NHSエステル、スルホ−NHSエステル、PAMエステル又はハロフェニルエステル)を含む。活性化エステルの代表的なカルボニル置換基として、スクシンイミジルオキシ基(−OC4H4NO2)、スルホスクシンイミジルオキシ基(−OC4H3NO2SO3H)、−1−オキシベンゾトリアゾリル基(−OC6H4N3);4−スルホ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基;又は電子吸引性置換基、例えば、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はそれらの組み合わせ(例えば、ペンタフルオロフェニルオキシ基)によって場合により1回以上置換されていることがあるアリールオキシ基を挙げることができる。好ましい活性化エステルとして、スクシンイミジルオキシエステル及びスルホスクシンイミジルオキシエステルを挙げることができる。
【0048】
本明細書中で用いる「アシル基」は、本明細書中で定義した通りのアルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクロイル基、又はヘテロアロイル基を含む。代表的なアシル基として、アセチル基、ベンゾイル基、ニコチノイル基等を挙げることができる。
【0049】
本明細書中で用いる「アルカノイル基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−C(O)−基を含む。代表的なアルカノイル基として、アセチル基、エタノイル基等を挙げることができる。
【0050】
本明細書中で用いる「アルケニル基」は、炭素−炭素二重結合又は三重結合少なくとも1個を含む、炭素原子2個〜約15個の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を含む。好ましいアルケニル基は炭素原子2個〜約12個を有している。より好ましいアルケニル基は炭素原子2個〜約6個を含んでいる。或る観点において、炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基が好ましい。第二の観点において、炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基が好ましい(例えば、アルキニル基)。本明細書中で用いる「低級アルケニル基」は、炭素原子2個〜約6個のアルケニル基を含む。代表的なアルケニル基として、ビニル基、アリル基、n−ブテニル基、2−ブテニル基、3−メチルブテニル基、n−ペンテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、プロピニル基、2−ブチニル基、3−メチルブチニル基、n−ペンチニル基、ヘプチニル基等を挙げることができる。
【0051】
本明細書中で用いる「アルケニレン基」は、炭素−炭素二重結合又は三重結合少なくとも1個を含む直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素基を含む。好ましいアルケニレン基は鎖中に炭素原子2個〜約12個を含み、そしてより好ましくはアルケニレン基は鎖中に炭素原子2個〜6個を含む。或る観点において、炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基が好ましい。第2の観点において、炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基が好ましい。代表的なアルケニレン基として、−CH=CH−、−CH2−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH2CH=CHCH2−、エチニレン基、プロピニレン基、n−ブチニレン基等を挙げることができる。
【0052】
本明細書中で用いる「アルコキシ基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−基を含む。代表的なアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヘプトキシ基等を挙げることができる。
【0053】
本明細書中で用いる「アルコキシアルキル基」は、式中のアルキル基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−アルキレン−基を含む。代表的なアルコキシアルキル基として、メトキシエチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基及びシクロペンチルメチルオキシエチル基を挙げることができる。
【0054】
本明細書中で用いる「アルコキシカルボニル基」は、エステル基;すなわち、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−CO−基を含む。代表的なアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0055】
本明細書中で用いる「アルコキシカルボニルアルキル基」は、式中のアルキル基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−CO−アルキレン−基を含む。代表的なアルコキシカルボニルアルキル基として、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0056】
本明細書中で用いる「アルキル基」は、鎖中に炭素原子約1個〜約20個を有する、直鎖又は分枝鎖であることができる、脂肪族炭化水素基を含む。好ましいアルキル基は鎖中に炭素原子1個〜約12個を有する。より好ましいアルキル基は鎖中に炭素原子1個〜6個を有する。本明細書中で用いる「分枝鎖」は、1個以上の低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基が直鎖状アルキル鎖に結合している分枝鎖を含む。本明細書中で用いる「低級アルキル」は、鎖中に炭素原子1個〜約6個、好ましくは、炭素原子5個又は6個を含み、直鎖又は分枝鎖であることができる。代表的なアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、及び3−ペンチル基を挙げることができる。
【0057】
本明細書中で用いる「アルキレン基」は、炭素原子1個〜約6個の直鎖又は分枝鎖の二価の炭化水素鎖を含む。好ましいアルキレン基は、炭素原子1個〜約4個を有する低級アルキレン基である。代表的なアルキレン基として、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
【0058】
本明細書中で用いる「アルキルチオ基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−S−基を含む。好ましいアルキルチオ基は、アルキル基が低級アルキル基であるアルキルチオ基である。代表的なアルキルチオ基として、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、ヘプチルチオ基等を挙げることができる。
【0059】
本明細書中で用いる「アルキルチオアルキル基」は、式中のアルキルチオ基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アルキルチオ−アルキレン−基を含む。代表的なアルキルチオアルキル基として、メチルチオメチル基、エチルチオプロピル基、イソプロピルチオエチル基等を挙げることができる。
【0060】
本明細書中で用いる「アミド基」は、式中のY1及びY2が独立して水素原子、アルキル基、若しくはアルケニル基であるか;又はY1及びY2が、Y1及びY2が結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のアザヘテロシクリル基(例えば、ピペリジニル基)を形成する、式Y1Y2N−C(O)−で表される基を含む。代表的なアミド基として、第一級アミド(H2N−C(O)−)基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基等を挙げることができる。好ましくは、「アミド基」は、式中のR及びR’が水素原子及びアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、−C(O)NRR’基である。より好ましくは、R及びR’の少なくとも1つが水素原子である。
【0061】
本明細書中で用いる「アミドアルキル基」は、式中のアミド基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アミド−アルキレン−基を含む。代表的なアミドアルキル基として、アミドメチル基、アミドエチル基、ジメチルアミドメチル基等を挙げることができる。
【0062】
本明細書中で用いる「アミノ基」は、式中のY1及びY2が独立して水素原子、アシル基、若しくはアルキル基であるか;又はY1及びY2が、Y1及びY2が結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のアザヘテロシクリル基(例えば、ピペリジニル基)を形成する、式Y1Y2N−で表される基を含む。場合により、Y1及びY2が独立して水素原子又はアルキル基である場合には、追加の置換基が窒素原子に付加されて第四級アンモニウムイオンを作ることができる。代表的なアミノ基として、第一級アミノ基(H2N−)、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等を挙げることができる。好ましくは、「アミノ基」は、式中のR及びR’がH原子及びアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、−NRR’基である。好ましくは、R及びR’の少なくとも1つがH原子である。
【0063】
本明細書中で用いる「アミノアルキル基」は、式中のアミノ基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アミノ−アルキレン−基を含む。代表的なアミノアルキル基として、アミノメチル基、アミノエチル基、ジメチルアミノメチル基等を挙げることができる。
【0064】
本明細書中で用いる「アロイル基」は、式中のアリール基が本明細書中で定義されている、アリール−CO−基を含む。代表的なアロイル基としてベンゾイル基、ナフト−1−オイル基及びナフト−2−オイル基を挙げることができる。
【0065】
本明細書中で用いる「アリール基」は、炭素原子6個〜約14個、好ましくは炭素原子6個〜約10個の単環式又は多環式芳香環系を含む。代表的なアリール基として、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
【0066】
本明細書中で用いる「芳香環」は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及び窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子0個〜4個を含んでいることができる、5〜12員の単環式又は縮合多環式芳香族部分を含む。典型的な芳香環として、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ナフタレン、ベンザチアゾリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ベンズインドール、キノリン等を挙げることができる。芳香環基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルキル基、シアノ基、スルホナト基、アミノスルホニル基、アリール基、スルホニル基、アミノカルボニル基、カルボキシ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アミノ基及び置換された若しくは置換されていない置換基によって1個以上の位置で置換されていることができる。
【0067】
本明細書中で用いる「バランスの取れた電荷」は、化合物及びそれに関連した対イオンに対する正味電荷(net charge)が標準的な生理学的条件下でゼロであることを含む。バランスの取れた電荷を達成するために、本明細書中の化合物のインドリニウム環の+1電荷のバランスをとるスルホナト基の最初の付加(first additional)後に、カチオン性の対イオン(例えば、I族金属の陽イオン、例えば、ナトリウム)を添加して付加したスルホナト基由来の陰電荷のバランスを取る必要がある。同様に、アニオン性の対イオンを添加して、任意の付加的な(additional)カチオン基(例えば、生理学的条件下で大部分のアミノ基)のバランスをとる必要がある。
【0068】
本明細書中で用いる「生体分子」は、生物学的系に用いるための天然又は合成分子を含む。好ましい生体分子として、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、炭水化物誘導体、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、ヌクレオチドトリホスフェート、アシクロターミネータートリホスフェート(acyclo terminator triphosphates)、PNA等を挙げることができる。より好ましい生体分子として、タンパク質、ペプチド、抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を挙げることができる。更により好ましい生体分子として、抗体、アビジン、及びストレプトアビジンを挙げることができる。
【0069】
本明細書中で用いる「カルボキシ基」及び「カルボキシル基」は、HOC(O)−基(すなわち、カルボン酸)又はその塩を含む。
【0070】
本明細書中で用いる「カルボキシアルキル基」は、式中のアルキレン基が本明細書中で定義されている、HOC(O)−アルキレン−基を含む。代表的なカルボキシアルキル基として、カルボキシメチル(すなわち、HOC(O)CH2−)基及びカルボキシエチル(すなわち、HOC(O)CH2CH2−)基を挙げることができる。
【0071】
本明細書中で用いる「シクロアルキル基」は、炭素原子約3個〜約10個、好ましくは、炭素原子約5個〜約10個の単環式又は複環式非芳香環系を含む。より好ましいシクロアルキル環は、環原子5個又は6個を含む。シクロアルキル基は、場合により、sp2混成炭素原子少なくとも1個を含んでいることがある(例えば、環内又は環外オレフィンを含む環)。代表的な単環式シクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基等を挙げることができる。代表的な複環式シクロアルキル基として、1−デカリン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0072】
本明細書中で用いる「シクロアルキレン基」は、炭素原子約4個〜約8個を有する二価シクロアルキル基を含む。好ましいシクロアルキレニル基として、1,2−、1,3−、又は1,4−シス若しくはトランス−シクロヘキシレン基を挙げることができる。
【0073】
本明細書中で用いる「シアニン染料」は、不飽和架橋(unsaturated bridge)によって結合された2つの置換又は非置換の窒素原子含有複素環式環を有する化合物を含む。
【0074】
本明細書中で交換可能に用いる「環外アルケン」又は「環外オレフィン」は、環の一部であるアルケン炭素原子1個及び同じ環の部分ではないが第二の環内に含まれていることができる他のアルケン炭素原子を有するアルケンを含む。第二のアルケン炭素原子は、置換されていなくても又は置換されていてもよい。第二のアルケン炭素原子が二置換されている場合には、それらの置換基は同じであるか(例えば、1,1−ジメチル置換)又は異なっている(例えば、1−メチル−1−(2−エトキシエチル)置換)ことができる。環外アルケンを有する化合物の例として、メチレンシクロヘキサン;(E)−1−エチリデン−2,3−ジヒドロ−1H−インデン;ペンタン−3−イリデンシクロヘプタン;2−シクロブチリデンプロパン−1−オール;及び(3−メトキシシクロペント−2−エニリデン)シクロヘキサンを挙げることができる。
【0075】
本明細書中で用いる「ハロ」又は「ハロゲン原子」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを含む。
【0076】
本明細書中で用いる「ヘプタメチン」は、ポリメチン炭素原子7個を含有するポリメチンを含む。好ましい実施態様では、ヘプタメチンは4位で置換されている。
【0077】
本明細書中で用いる「ヘテロ原子」は、炭素原子又は水素原子以外の原子を含む。典型的なヘテロ原子はO、S、及びNを含む。ヘテロ原子の窒素原子又は硫黄原子は、場合により、対応するN−オキシド、S−オキシド(スルホキシド)、又はS,S−ジオキシド(スルホン)に酸化されていることがある。好ましい観点において、ヘテロ原子はアルキレン炭素原子に対する少なくとも2つの結合を有している(例えば、−C1〜C9アルキレン−O−C1〜C9アルキレン−)。或る実施態様において、ヘテロ原子はアシル基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、又はヘテロアリール基によって更に置換されている(例えば、−N(Me)−;−N(Ac)−)。
【0078】
本明細書中で用いる「ヘテロアロイル基」は、式中のヘテロアリール基が本明細書中で定義した通りであるヘテロアリール−C(O)−基を含む。代表的なヘテロアロイル基として、チオフェノイル基、ニコチノイル基、ピロロ−2−イルカルボニル基、ピリジノイル基等を挙げることができる。
【0079】
本明細書中で用いる「ヘテロシクロイル基」は、式中のヘテロシクリル基が本明細書中で定義した通りである、ヘテロシクリル−C(O)−基を含む。代表的なヘテロシクロイル基として、N−メチルプロリノイル基、テトラヒドロフラノイル基等を挙げることができる。
【0080】
本明細書中で用いる「ヘテロシクリル基」は、環系中の原子1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素又は硫黄である、環原子約3個〜約10個の、好ましくは、環原子約5個〜約10個の飽和の単環式又は多環式非芳香環系を含む。好ましいヘテロシクリル基は、環原子約5個〜約6個を含む。ヘテロシクリル基は、場合により、sp2混成原子少なくとも1個を含んでいることがある(例えば、カルボニル基、環内オレフィン又は環外オレフィンを含む環)。ヘテロシクリルの前の接頭語「アザ」、「オキサ」又は「チア」は、少なくとも窒素原子、酸素原子又は硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル基の窒素原子又は硫黄原子は、場合により、対応するN−オキシド、S−オキシド又はS,S−ジオキシドに酸化されていることがある。代表的な単環式ヘテロシクリル環として、ピペリジル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チアゾリジニル基、1,3−ジオキソラニル基、1,4−ジオキサニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。本明細書中で用いる「ヘテロシクリレン基」は、二価のヘテロシクリル基を含む。代表的なシクロアルキレニル基として、1,2−、1,3−、又は1,4−ピペルジニレン(piperdinylene)基並びに2,3−又は2,4−シス又はトランス−ピペリジニレン基を挙げることができる。
【0081】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール基」は、環系中の原子少なくとも1個が炭素以外の元素、すなわち、窒素、酸素又は硫黄である、環原子約5個〜約14個の、好ましくは、環原子約5個〜約10個の単環式又は多環式芳香環系を含む。好ましいヘテロアリール基は、環原子約5個〜約6個を含む。ヘテロアリールの前の接頭語「アザ」、「オキサ」又は「チア」は、少なくとも窒素原子、酸素原子又は硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール基の窒素原子は、場合により、対応するN−オキシドに酸化されていることがある。代表的なヘテロアリール基として、ピラジニル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジン基、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル基、ベンゾフラザニル基、インドリル基、アザインドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチエニル基、キノリニル基、イミダゾリル基、チエノピリジル基、キナゾリニル基、チエノピリミジル基、ピロロピリジル基、イミダゾピリジル基、イソキノリニル基、ベンゾアザインドリル基、1,2,4−トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等を挙げることができる。
【0082】
本明細書中で用いる「ヒドロキシアルキル基」は、ヒドロキシ基1個又は2個以上で置換されている本明細書中で定義した通りであるアルキル基を含む。好ましいヒドロキシアルキル基は低級アルキル基を含む。代表的なヒドロキシアルキル基として、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基を挙げることができる。
【0083】
本明細書中で用いる「結合基」は、式Iで表される化合物を生体分子と結合する原子を含む。表1は結合基の好ましい結合のリスト(すなわち、C欄)を含んでおり;結合基は得られた結合を含みそして場合により追加の原子を含んでいることができる。R. Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Molecular Probes, Inc. (1992)も参照されたい。或る実施態様において、R16は生体分子との結合反応前の結合基前駆物質を表し、そしてRLは式Iで表される化合物と生体分子との間で得られた結合を表す(すなわち、RLは結合基及び該結合基によって結合した生体分子を含む)。好ましい反応性官能基として、ホスホルアミジット基、活性化エステル基(例えば、NHSエステル基)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、マレイミド基及びヨードアセトアミド基を挙げることができる。
【0084】
本明細書中で用いる「メチン炭素原子」又は「ポリメチン炭素原子」は、ポリメチン架橋によって2つの複素環式環を直接結合する炭素原子を含む。好ましい実施態様によれば、ポリメチン架橋の少なくとも1つのポリメチン炭素原子は、別の基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基(例えば、−CH=CH−C(Ar)=CH−CH=又は=CH−CH=C(Ar)−(CH=CH)2−)によって更に置換されている。
【0085】
本明細書中で用いる「オキソ基」は、式>C=Oで表される基(すなわち、カルボニル基−C(O)−)を含む。
【0086】
本明細書中で用いる「ペンタメチン基」は、ポリメチン炭素原子5個を含むポリメチン基を含む。好ましい実施態様において、ペンタメチン基は3位で置換されている。
【0087】
本明細書中で用いる「ポリエン基」は、本明細書中で定義した通りの結合している「アルケニレン」基少なくとも2個を含む直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素鎖を含む。ポリエン基は、場合により、本明細書中で定義した通りの「アルキレン基置換基」1個以上で置換されていることがある。ポリエンの部分は環中に含めることができる(すなわち、式中のR及び末端結合(terminal bond)がより大きい環に結合している、=C(R)−;又は式中のR1及びR2がより大きい環に結合している、−C(R1)=C(R2)−)。代表的なポリエンとして、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−C(Ar)=CH−CH=C(R)−、−C(R)=CH−CH=C(Ar)−(CH=CH)2−等を挙げることができる。
【0088】
本明細書中で用いる「ポリメチン基」又は「ポリメチン架橋」は、式Iで表される化合物の2つの窒素原子含有複素環式環に直接結合した不飽和架橋を形成する一連の結合したsp2混成炭素原子を含む。好ましい実施態様によれば、ポリメチン基は複素環式環に直接結合した炭素原子5個又は7個を含む(すなわち、ペンタメチン又はヘプタメチン)。
【0089】
本明細書中で用いる「ホスホルアミジチル基」は、アルコキシ基2個及びアミノ基に結合した三価のリン原子を含む。
【0090】
本明細書中で用いる「スピロシクロアルキル基」は、炭素原子上のジェミナル置換基が置き換えられて1,1−置換された環を形成するシクロアルキル基を含む。
【0091】
本明細書中で用いる「スルホナト基」は、好ましくはカチオン、例えば、H+、Na+、K+等によってバランスされた−SO3−基を含む。
【0092】
本明細書中で用いる「スルホナトアルキル基」は、式中のスルホナト基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りであるスルホナト−アルキレン−基を含む。より好ましい実施態様は、炭素原子2個〜6個を有するアルキレン基を含み、そして最も好ましい実施態様は炭素原子2個、3個又は4個を有するアルキレン基を含む。代表的なスルホナトアルキル基として、スルホナトメチル基、3−スルホナトプロピル基、4−スルホナトブチル基、5−スルホナトペンチル基、6−スルホナトヘキシル基等を挙げることができる。
【0093】
《II.シアニン染料化合物》
或る実施態様において、本発明は式I:
【化5】
で表される化合物を提供する。
【0094】
上記式I中、Qは、式:
【化6】
でそれぞれ表される、メチン炭素原子1個のセグメント及びメチン炭素原子3個のセグメントからなる群から選択される構成員であり、式中のセグメントはメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分である。
【0095】
好ましい観点において、Qは、式:
【化7】
で表されるペンタメチンであるポリメチン架橋の一部である。
【0096】
第二の好ましい観点において、Qは、式:
【化8】
で表されるヘプタメチンであるポリメチン架橋の一部である。
【0097】
代わりの好ましい観点において、ポリメチン架橋は、式:
【化9】
で表される置換ヘプタメチンである。
【0098】
より好ましくは、置換ヘプタメチンは、式:
【化10】
で表されるシクロアルキル環を含む。
【0099】
R1は、R130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、R1はC2〜C12アルキル基である。より好ましい観点において、R1はC2〜C8アルキル基である。更により好ましい観点において、R1はC2〜C6アルキル基である。なお更により好ましい観点において、R1はエチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基であり、R1はR131個によって更に置換されている。
【0100】
好ましい観点において、R1は(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そしてrは1〜20の整数である。より好ましい観点において、rは2、3又は4である。
【0101】
代わりの好ましい観点において、R1は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基及びスルホナト基からなる群から選択されるR131個で更に置換されているアルキル基である。より好ましい観点において、R1のR13置換基はカルボキシ基又はスルホナト基である。更により好ましい観点において、R1の置換基R13はスルホナト基である。なお更により好ましい観点において、R1は、スルホナトエチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、又はスルホナトペンチル基である。
【0102】
別の代わりの好ましい観点において、R1は、R131個で更に置換されている非分枝アルキル基である。より好ましい観点において、R1は、シアニン染料複素環窒素原子へのその結合点と反対のアルキル基の末端でR13によって置換されている非分枝アルキル基である。更により好ましい観点において、R1は、2−スルホナトエチル基、3−スルホナトプロピル基、4−スルホナトブチル基、又は5−スルホナトペンチル基である。なお更により好ましい観点において、R1は、3−スルホナトプロピル基又は4−スルホナトブチル基である。
【0103】
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している原子と一緒になって又はスピロシクロアルキル環となり、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されている。
【0104】
好ましい観点において、R2a及びR2bは同じである。より好ましい観点において、R2a及びR2bはアルキル基、アルケニル基、アミノアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、R2a及びR2bはアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、R2a及びR2bはメチル基である。
【0105】
代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは異なる。より好ましい観点において、R2aはアルキル基であり、そしてR2bはアルキル基、アルケニル基、アミノアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基からなる群から選択される。更により好ましい観点において、R2aはアルキル基であり、そしてR2bはアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基からなる群から選択される。
【0106】
別の代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環を形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されている。より好ましい観点において、R2a及びR2bは、シクロペンチル環又はシクロヘキシル環を形成する。代わりのより好ましい観点において、R2a及びR2bは、R140個〜6個によって更に置換されているシクロペンチル環又はシクロヘキシル環を形成する。更により好ましい観点において、R14はアルキル基である。なお更により好ましい観点において、R14はメチル基である(例えば、3,3−又は4,4−ジメチル置換)。
【0107】
なお別の代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、環外アルケンを形成し、前記環外アルケンはR140個〜2個によって更に置換されている。より好ましい観点において、環外アルケンは対称的に置換されている(例えば、非置換;ジアルキル;ジシアノ)。代わりに、環外アルケンはR14基2個によって置換されている。更により好ましくは、環外アルケンのR14置換基はシアノ基である。
【0108】
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アミノ基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されている。
【0109】
第1の観点において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アミノ基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である。好ましい観点において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルファナト(sulfanato)基、及びスルファナトアルキル(sulfanatoalkyl)基からなる群から独立して選択される構成員である。より好ましい実施態様において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子及びスルファナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0110】
別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、水素原子である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に1つの構成員は水素原子である。好ましい観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の少なくとも1つは水素原子である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員は水素原子である。より好ましい観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員は水素原子である。更により好ましい観点において、R3、R4、及びR6は水素原子である。
【0111】
別の代わりの観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群から選択される正確に1つの置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。好ましい観点において、R5はスルホナト基である。更に別の観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の構成員はそれぞれ、スルホナト基又はスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員はそれぞれ独立して、スルホナト基又はスルホナトアルキル基から選択される。更にまた別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員はそれぞれ独立して、スルホナト基又はスルホナトアルキル基から選択される。
【0112】
別の代わりの観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である(例えば、スルホナト−SO3−、カルボキシ−CO2−)。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に1つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。好ましい観点において、R5は、生理学的pHにおいてアニオン性である。更に別の観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の構成員はそれぞれ、生理学的pHにおいてアニオン性である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。更にまた別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。
【0113】
第2の観点において、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、該構成員の対が結合する原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されている。好ましい観点において、R5及びR6は、該構成員の対が結合する原子の対と一緒になって、R140個〜2個によって更に置換されているフェニル環を形成する。より好ましい観点において、フェニル環はR141個〜2個によって更に置換されている。更により好ましい観点において、フェニル環はR142個によって更に置換されている。
【0114】
好ましい観点において、Rn及びRn+1から形成されるアリール環(例えば、R5及びR6から形成されるアリール環)のR14置換基は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホナト基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、R14置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基である。代わりの好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、シアノ基である。
【0115】
より好ましい観点において、Rn及びRn+1から形成されるアリール環はR141個〜2個によって更に置換されており、そしてアリール環のR14置換基はインドリニウム環との環接合に隣接する炭素原子に結合している。代わりに、アリール環はR141個〜2個によって更に置換されており、そしてアリール環のR14置換基はインドリニウム環との環接合に隣接しない炭素原子に結合している。代わりに、アリール環は隣接する置換基1個及び隣接しない置換基1個によって更に置換されている(例えば、式Iaで表される化合物)。
【0116】
代わりに、好ましい観点において、化合物は式Ia:
【化11】
を有している。
【0117】
更により好ましい観点において、式Iaで表されるベンゾインドリニウムR14置換基は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホナト基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基である。
【0118】
R7は水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されている。
【0119】
或る観点において、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環はR140個〜3個によって更に置換されている。より好ましい観点において、環は6員環である(例えば、両方のR7が一緒になってプロピリデン結合基を形成する)。更により好ましい観点において、環はシクロヘキシルである。
【0120】
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zである。
【0121】
或る観点において、R8は−L−Y−Zである。代わりに、R9は−L−Y−Zである。
【0122】
第2の観点において、R8は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R8は水素原子である。別のより好ましい観点において、R8はフルオロ基である。
【0123】
代わりに、R9は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R9は5−カルボキシペンチル基である。代わりに、R9は4−カルボキシブチル基である。
【0124】
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0125】
第1の観点において、R10は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R10は水素原子である。代わりに、R10はフルオロ基である。
【0126】
第2の観点において、R11は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R11は水素原子である。代わりに、R11はフルオロ基である。更により好ましい観点において、R10及びR11は水素原子である。
【0127】
第3の観点において、R12は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R12は水素原子である。代わりに、R12はフルオロ基である。更により好ましい観点において、R10及びR12は水素原子である。代わりに、R11及びR12は水素原子である。なお更により好ましい観点において、R10、R11、及びR12は水素原子である。
【0128】
第4の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、水素原子以外の、独立して選択された置換基によって1,2,3−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である(例えば、R8は−L−Y−ZでありかつR9はアルキル基である;R8はハロ−でありかつR9は−L−Y−Zである)。代わりに、環は1,2,4−置換されている。代わりに、環は1,2,5−置換されている。代わりに、環は1,2,6−置換されている。代わりに、環は1,3,4−置換されている。代わりに、環は1,3,5−置換されている。代わりに、環は1,3,6−置換されている。
【0129】
第5の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、水素原子以外の、独立して選択された置換基によって1,2,3,4−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である。代わりに、環は1,2,3,5−置換されている。代わりに、環は1,2,3,6−置換されている。代わりに、環は1,2,4,5−置換されている。代わりに、環は1,2,4,6−置換されている。代わりに、環は1,2,5,6−置換されている。代わりに、環は1,3,4,5−置換されている。代わりに、環は1,3,4,6−置換されている。代わりに、環は1,3,5,6−置換されている。
【0130】
第6の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、独立して選択された水素原子以外の置換基によって1,2,3,4,5−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である。代わりに、環は1,3,4,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,4,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,3,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,3,4,6−置換されている。代わりに、環はそれぞれの環位置で独立して置換されている。
【0131】
第7の観点において、R8、R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0132】
第8の観点において、フェニル環とその置換基R8、R9、R10、R11、及びR12との組み合わせは、炭素原子少なくとも10個を有する。
【0133】
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員である。好ましい実施態様では、R13は、カルボキシル基、アミド基、又はアルコキシカルボニル基である。より好ましい実施態様では、R13はカルボキシル基である。代わりに、R13はスルホナト基である。代わりに、R13はシアノ基である。
【0134】
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されている。好ましい観点において、R14は、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、又はアルコキシカルボニルアルキル基である。代わりに、R14はスルホナト基である。更に好ましい観点において、R14は、アルキル基、又はR131個によって置換されたアルキル基である。代わりに、R14は、カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。
【0135】
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、Lは存在しない。代わりに、Lは、エーテル結合によって中断されたC1〜C10アルキレン基である(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。
【0136】
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員である。好ましい観点において、Yは単結合である。代わりに、Yは−O−である。代わりに、Yは、場合によりアミド窒素原子においてR15によって置換されていることがあるアミド基である。
【0137】
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。より好ましい観点において、Zは、C1〜C6アルキル基である。代わりに、Zは、エーテル結合によって中断されている(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。更により好ましい観点において、Zは、カルボキシアルキル基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、Zは、5−カルボキシペンチル基又は4−カルボキシブチル基である。
【0138】
別の代わりの好ましい観点において、−L−Y−は(CH2)tであり;Zはカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtは1〜10の整数である。
【0139】
更に別の代わりの好ましい観点において、Zは任意であり、そしてR13又はR16は−L−Y−に直接結合しているか又はL及びYが存在しない場合はフェニル環自体に直接結合している。
【0140】
なお更に別の代わりの好ましい観点において、−L−Y−Zは、炭素原子少なくとも4個を有している。代わりに、Zは炭素原子少なくとも4個を有している。
【0141】
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、R15はアルキル基である。より好ましい観点において、R15は低級アルキル基である。代わりに、R15は、エーテル結合によって中断されている(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。
【0142】
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員である。好ましい観点において、R16は、活性化アシル基、マレイミジル基、ホスホルアミジチル基、又はグリシジル基である。より好ましい実施態様では、R16は、活性化アシル基である。代わりに、R16は、活性化エステル基である。更により好ましい実施態様によると、R16は、スクシンイミジルオキシ−エステル基又はスルホスクシンイミジルオキシ−エステル基である。
【0143】
前記化合物はバランスがとれた電荷を有する。好ましい観点において、アルカリ金属対イオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)によって前記化合物の正味アニオン電荷のバランスをとる。より好ましい観点において、少なくとも1つの対イオンはナトリウムである。代わりに、全ての対イオンがナトリウムである。
【0144】
好ましい観点において、Qは、式:
【化12】
であり;そしてR3、R4、R5及びR6はそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。前記Qは、例えば、式Iaの一部である。
【0145】
より好ましい観点において、前記化合物は式:
【化13】
を有する。
【0146】
第2のより好ましい観点において、前記化合物は式:
【化14】
を有する。
【0147】
代わりに、或る観点において、活性化アシル基がカルボキシ基の代わりに存在する。更により好ましい観点において、活性化アシル基は活性化エステル基である。更になおより好ましい観点において、活性化エステル基はスクシンイミジルオキシ−エステル基である。
【0148】
第1の観点において、式Iで表される化合物は、約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する。好ましくは、前記化合物は、約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する。より好ましくは、前記化合物は、約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する。代わりに、前記化合物は、約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する。
【0149】
本発明の1つの好ましい観点は、両方の複素環式環に同じ置換基を有する化合物である(例えば、R1は、場合により電荷バランスを取るために異なる対イオンを有していることがある、同じスルホナトアルキル基である)。このことは、化合物の合成及び精製の間に利点を与える。
【0150】
本願は、種々のジアステレオマー、エナンチオマー、及び当業者に明らかなオレフィン立体異性体を含み、本明細書中に記載した化合物の可能な立体異性体の全てを広く包含する。本願は更に、当該技術分野で周知であるシアニン染料化合物の立体異性体のあらゆる精製方法並びにこれらの方法によって得られるあらゆる精製化合物に関する。
【0151】
《III.式Iで表される化合物》
1つの観点において、ポリメチン架橋としての置換基を既に含んでいるジアルデヒド又はジアルデヒド等価物(例えば、シッフ塩基)との反応によって、式Iで表される好ましいシアニン化合物を製造する。ジアルデヒドの典型的な製法は、係属中の米国特許出願第12/065,391号(米国公開特許第2008/0267883A1号)に含まれている。シッフ塩基の典型的な製法は、米国特許第6,747,159号明細書に含まれている(Ar=Ph;ピリジン/Ac2O,Δ)。ポリメチン架橋の合成後に場合により置換基を改変することができる(例えば、脱保護、生体分子との反応のための活性化、又は結合基を形成する反応)。
【化15】
【0152】
別の観点において、ポリメチン架橋に置換基を導入する有機金属カップリングによって、式Iで表される好ましいシアニン化合物を製造する。より好ましくは、パラジウムカップリングによって置換基を取り込む。その取り込み後に、場合により置換基を改変することができる(例えば、脱保護、生体分子との反応のための活性化、又は結合基を形成する反応)。
【0153】
鈴木カップリングとしても知られる鈴木・宮浦反応はその発見以来、広く有機合成に用いられてきた:Miyaura, N.; Yamada, K.; Suzuki, A. Tetrahedron Lett. 1979, 36, 3437-3440。最近には、鈴木カップリングを用いて、水溶性シアニン染料のヘプタメチン架橋の中央位置に、置換されたアリール置換基が取り込まれた:Lee, H.; Mason, J. C.; Achilefu, S. J. Org. Chem. 2006, 71, 7862-7865。
【0154】
しかしながら、塩基を用いた加熱の標準的な鈴木カップリング条件下では多くのシアニン染料が分解するため、シアニン染料の合成にそれを用いる例はほとんど知られていない。
【0155】
本発明のとりわけ好ましい観点において、その一部を本明細書の実施例中で詳記するが、鈴木カップリング反応によって式Iで表される化合物の置換基を取り込む。或る実施態様において、鈴木カップリングのためのポリメチン基体は、3−ハロペンタメチン又は4−ハロヘプタメチンである。好ましい実施態様では、ハロ−置換基は、クロリド又はブロミドである。より好ましい実施態様では、ハロ−置換基は、ブロミドである。
【0156】
シアニン染料の他の製造方法及びその合成前駆体は、Hamer, F. M., Cyanine Dyes and Related Compounds, Weissberger, Mass., ed. Wiley Interscience, N.Y. 1964;及びMojzych, M., Henary, M. “Synthesis of Cyanine Dyes,” Top. Heterocycl. Chem., vol. 14, Springer Berlin, Heildelberg, 2008, pp. 1-9に包括されている。更に、米国特許第4,337,063号明細書;4,404,289号明細書;及び4,405,711号明細書は、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基を有する種々のシアニン染料の合成を記載している。米国特許第4,981,977号明細書は、カルボン酸基を有するシアニン染料の合成を記載している。米国特許第5,268,486号明細書は、アリールスルホネートシアニン染料の製造方法を記載している。米国特許第6,027,709号明細書は、ホスホルアミジット基を有するシアニン染料の製造方法を開示している。米国特許第6,048,982号明細書は、イソチオシアネート、イソシアネート、ホスホルアミジット、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ピリジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ジアジン、アジリジン、スルホニルハリド、酸ハリド、ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、グリオキサール及びアルデヒドからなる群から選択される反応性基を有するシアニン染料の製造方法を開示している。
【0157】
1つの共通の合成経路は、その一部を本明細書の実施例中で詳記する、当該技術分野で周知の方法による置換又は非置換のインドールスルホン酸第四級塩の製造を伴う。特に好ましいインドール第四級塩として、中でも、本明細書に例示するインドールスルホン酸第四級塩及びベンゾインドールスルホン酸第四級塩を挙げることができる。
【0158】
次いで、その一部を本明細書の実施例に詳記するが、当該技術分野で周知の技術及び反応条件によって、合成した塩の対をジアルデヒド又はジアルデヒド等価物(例えば、シッフ塩基)と反応させてポリメチン架橋を形成する。典型的なシッフ塩基として、N−[(3−アニリノメチレン)−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチレン]アニリンモノヒドロクロリド及びN−(2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミドを挙げることができる。シッフ塩基は、商業的供給者(例えば、Sigma−Aldrich社)から購入することができ、又は当該技術分野で周知の方法(例えば、実施例5の方法)によって製造することができる。
【0159】
《IV.生体分子の標識化方法》
上記に定義した式Iで表されるシアニン化合物は、生体分子に結合させることができる。種々のタイプの生体分子への染料の結合方法は、当該技術分野において周知である。例えば、オリゴヌクレオチド標識化法の総説については、R. Haugland in Excited States of Biopolymers, Steiner ed., Plenum Press (1983)、Fluorogenic Probe Design and Synthesis:A Technical Guide, PE Applied Biosystems (1996)、及びG. T. Herman, Bioconjugate Techniques, Academic Press (1996)を参照されたい。
【0160】
「クリック」ケミストリーは、本発明に係る染料を生体分子に結合するための1つの可能な方法を提供する。クリックケミストリーは、シンプルで強力な(robust)反応、例えば、分子間結合を形成する、銅触媒によるアジドとアルキンとの付加環化を用いる。クリックケミストリーの総説については、Kolb, H. C.; Finn, M. G.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. 2001, 40, 2004を参照されたい。
【0161】
1つの観点において、式Iで表されるシアニン化合物は、それがいったん可溶性のリガンド又は生体分子に結合されれば、そのリガンド又は生体分子はその可溶性を維持することから、水溶液中で充分な可溶性を有する。或る場合には、バイオコンジュゲートは有機媒体(例えば、DMSO又はDMF)中でも良好な溶解性を有しており、このことは望ましい材料の標識化に対する合成アプローチにかなりの多様性を与える。
【0162】
別の観点において、本発明は、式Iで表される化合物を用いたリガンド又は生体分子の標識化方法を提供し、この方法は:式I又はIaを有する化合物とリガンド又は生体分子とを接触させて対応する式II又はIIaで表されるバイオコンジュゲート化合物を生成することを含む。
【0163】
或る好ましい実施態様において、R16基又はR13基は、生体分子上のチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応して、染料と生体分子との間に結合基を形成する。より好ましい実施態様において、水性緩衝液と有機溶媒、例えば、DMFとのpH8〜9の混合物中で、この反応を実施する。代わりに、蒸留水又は緩衝水溶液中で、この反応を実施する。チオール基又は酸性基に対して、とりわけ、基体が反応性アミノ基も含んでいる場合には、反応溶媒として7又はそれより低いpHが好ましい。
【0164】
リガンド又は生体分子へ式Iで表される化合物を結合するのに有用な反応性官能基の選択例を表1に示し、ここで結合は染料とリガンド又は生体分子との反応から生ずる。表1のA欄は、式Iで表される化合物又は生体分子上に存在することができる反応性官能基のリストである。B欄は、生体分子又は式Iで表される化合物上に存在することができ、そしてA欄に示された官能基と反応してC欄の結合を形成する、相補的な反応性基(好ましくは、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、又はアミノ官能基)のリストである。当業者は、本発明に用いるのに適当な他の結合があることを承知しているであろう。
【表1】
【0165】
カルボン酸を有する式Iで表される化合物をアミン含有リガンド又は生体分子と結合する場合、最初に活性化剤によってカルボン酸をより反応性の形態、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル又は混成無水物に変換することができる。得られた活性化アシルを用いてアミン含有リガンド又は生体分子を処理してアミド結合を形成する。より好ましい実施態様によれば、場合により存在する共溶媒としてDMSO又はDMFを用いてpH8〜9の水性緩衝液中でこの反応を実施する。代わりに、蒸留水中又は緩衝水溶液中でこの反応を実施する。
【0166】
同様に、イソシアネート含有又はイソチオシアネート含有の式Iで表される化合物の結合は、カルボキシ染料についての手順と同様であるが、活性化工程を要しない。活性化アシル化合物を直接に用いてアミン含有リガンド又は生体分子を処理してウレア結合又はチオウレア結合を形成する。より好ましい実施態様において、場合により存在する共溶媒としてDMSO又はDMFを用いてpH9〜10の水性緩衝液中でこの反応を実施する。代わりに、蒸留水中又は緩衝水溶液中でこの反応を実施する。
【0167】
式Iで表される化合物又は生体分子が反応性ヒドロキシル基を有している場合、ホスホルアミジット化学によってそれをリガンド又は生体分子に結合して、最終的に染料と生体分子との間にホスフェート結合を形成することができる。かかる標識化方法の例として、多くの好ましい結合基、結合方法、及び容易に標識化することができる生体分子を開示する、米国特許第6,027,709号明細書を参照されたい。或る実施態様において、米国特許第6,027,709号明細書に開示されているように、固相合成が好ましい。
【0168】
好ましい実施態様によれば、生体分子はDNA又はRNAである。ホスホルアミジット化学を用いると、合成過程の間にDNA又はRNAを標識化することができる。固相支持体に結合させる間に、保護ヌクレオチドを標識化する。ホスホルアミジット及びテトラゾール活性化剤と遊離5’−OH基を反応させて亜リン酸結合を形成し、この亜リン酸結合はその後ホスフェートに酸化される。次いで、アンモニアによって又は別の標準的な方法によって、標識したDNA又はRNAを固相から切り離す。
【0169】
一般に、DNA合成装置においてDNA分子を標識化するシアニン染料のホスホルアミジットを調製することが好ましい。標準的なホスホルアミジット化学によって、支持体に結合した保護オリゴヌクレオチドの5’末端に染料を結合するのも好ましい。DNA配列決定に用いるのに好ましいラベルターミネーターのリストについては、米国特許第5,332,666号明細書を参照されたい。
【0170】
別の好ましい実施態様によれば、生体分子は抗体である。場合により有機共溶媒を含むことがある緩衝液中で、塩基性pH条件下に室温で抗体標識化を実施することが好ましい。例えば、SEPHADEX(商標)G−50カラムの装置を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより又は透析により標識化抗体を精製して、コンジュゲートされない式Iで表される化合物のいずれをも除去することも好ましい。当業者は、他の精製方法及び手段があることを承知しているであろう。
【0171】
更に別の好ましい実施態様によれば、生体分子は、R16にマレイミジル置換基との反応によって結合基を形成するチオール基を含む。より好ましい実施態様において、生体分子は、タンパク質、ペプチド、抗体、チオール化ヌクレオチド、又はチオール化デオキシヌクレオチドである。
【0172】
更に他の観点において、結合基又は生体分子は、ポリマーを含む。好ましい実施態様によれば、前記ポリマーは、PEG、PEG−ポリウレタンのコポリマー、及びPEG−ポリプロピレンのコポリマーからなる群から選択される構成員である。更に他の観点において、結合基は、多糖、ポリペプチド、オリゴ糖、ポリマー、コポリマー及びオリゴヌクレオチドからなる群から選択される構成員である。
【0173】
或る観点では、本発明により生体分子をキットを用いて標識化することができる。或る場合に、キットは、本願明細書に開示した染料(すなわち、式I又は式Iaで表される化合物)及び緩衝液を含む。好ましくは、キットは、場合により酸又は塩基を加えてpH調整されていることがある結合緩衝液(例えば、スクシンイミドエステルとの反応にはpH8.5が好ましくそしてマレイミドとの反応にはpH7が好ましい)、例えば、1M KH2PO4(pH5)を含む。好ましくは、緩衝液は制限された低い蛍光バックグランドを有する。
【0174】
場合により、キットは精製サブキットを含んでいることができる。好ましい染料により生体分子を標識化した後、任意の副反応生成物及び通常の加水分解から得られる任意の遊離加水分解生成物から標識化した生体分子を分離することができる。アミノ酸13個以下を含む生体分子の場合、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)は不純物を除去することができる。或る場合に、場合により商業的に入手可能なTLCキットによって実施されることがある、分取TLCを用いて染料標識化ペプチド又はタンパク質を精製することができる。
【0175】
より大きい生体分子、例えば、より大きいペプチド又はタンパク質の場合には、SEPHADEX(商標)G−15、G−25、又はG−50樹脂が望ましくない派生物を除去することができる。所定の場合には、Life Sciences社から商業的に入手可能なタンパク質キットのゲル濾過を用いて、遊離染料から染料標識化ペプチド及びタンパク質を分離することができる。脱塩後に残る標識化生体分子は、しばしば、更に精製することなく充分に用いることができる。或る場合に、HPLC又は他のクロマトグラフィー法によって異種生成物の活性を分析して評価することが必要となることがある。
【0176】
《V.バイオコンジュゲート化合物》
本発明の別の実施態様によれば、式II:
【化16】
で表されるバイオコンジュゲートを提供する。
【0177】
上記式中、QLは、それぞれ式:
【化17】
[式中、セグメントはポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分である]で表される、ポリメチン炭素原子1個のセグメント及びポリメチン炭素原子3個のセグメントからなる群から選択される構成員である。
【0178】
R1、R2a、R2b、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、及びYは、式Iで表される化合物について前記定義した通りであり、本明細書中で特定される好ましい実施態様を全て含む。
【0179】
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基である。より好ましい観点において、ZはC1〜C6アルキル基である。代わりに、Zはエーテル結合(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)によって中断されている。なお更により好ましい観点において、少なくとも1つのZは、−プロピレン−C(O)−RL又は−ブチレン−C(O)−RLである。代わりに、正確に1つのZが−プロピレン−C(O)−RL又は−ブチレン−C(O)−RLである。
【0180】
代わりの観点において、Zは任意であり、そしてRLは−L−Y−に直接結合しているか又はL及びYが存在しない場合にはフェニル環自体に直接結合してさえいる。
【0181】
RLはそれぞれ、1)生体分子にシアニン染料化合物を結合する結合基;及び2)シアニン染料化合物を結合させる生体分子(すなわち、結合基及びそれによって結合される生体分子)を含み、化合物はRL少なくとも1つを含む。好ましい結合基を表1(C欄)に示す。とりわけ好ましい観点において、結合基はアミド基又はエステル基である。更にとりわけ好ましい観点において、結合基はアミド基である。
【0182】
前記化合物はバランスの取れた電荷を有する。好ましい観点において、化合物の正味アニオン電荷はアルカリ金属対イオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)によってバランスが取られる。より好ましい観点において、少なくとも1つの対イオンはナトリウムである。代わりに、全ての対イオンがナトリウムである。
【0183】
バイオコンジュゲートの別の好ましい実施態様において、バイオコンジュゲートの実施態様に、式Iで表される本発明の化合物の任意の好ましい実施態様又は観点を含んでいることができる。好ましいバイオコンジュゲートの実施態様に対応する式Iで表される好ましい化合物の典型的な例を、本明細書の特許請求の範囲に記載する。
【0184】
バイオコンジュゲートのより好ましい観点は、下記構造:
【化18】
[式中、RLは、結合基及びそれによって結合される生体分子を含む]を有する。
【0185】
バイオコンジュゲートの第2のより好ましい観点は、下記構造:
【化19】
[式中、RLは、結合基及びそれによって結合される生体分子を含む]を有する。
【0186】
或る観点において、本発明の好ましい生体分子として、アシクロターミネータートリホスフェート、抗体、抗原、アビジン、炭水化物、デオキシ核酸、ジデオキシヌクレオチドトリホスフェート、酵素補因子、酵素基質、DNAの断片、RNAの断片、ハプテン、ホルモン、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、ペプチド、PNA、多糖、タンパク質、及びストレプトアビジン等を挙げることができる。
【0187】
更に他の場合に、適当なヌクレオチドとして、ヌクレオシドポリホスフェートを挙げることができ、その例として限定的でなく、デオキシリボヌクレオシドポリホスフェート、リボヌクレオシドポリホスフェート、ジデオキシヌクレオシドポリホスフェート、炭素環式ヌクレオシドポリホスフェート及び非環式ヌクレオシドポリホスフェート及びそれらの類似体を挙げることができる。ヌクレオチドはホスフェート鎖中にホスフェート基3個、4個、5個、6個以上を含有し、該ホスフェート基(例えば、α、β、γ、ε、又は末端ホスフェート基)、糖、塩基、又はそれらの組み合わせは、式Iで表される化合物を用いて標識化される。ポリホスフェートヌクレオチドとして、限定的ではなく、テトラホスフェート、ペンタホスフェート、ヘキサホスフェート、ヘプタホスフェート等を挙げることができる。塩基として、例えば、プリン(アデニン及びグアニン)、ピリミジン(チミン、ウラシル及びシトシン)及びそれらの誘導体を挙げることができる。
【0188】
或る場合に、ホスホロチオエート結合(例えば、参考までに本明細書中に引用する、米国特許第6,323,186号明細書参照)、ヘテロ原子、又は表1の結合Cを生ずる官能基A若しくはBによって、ホスフェート基(例えば、α、β、γ、ε−ホスフェート基、又は末端ホスフェート基)に式Iで表される染料を結合させる。γ−ホスホエステル結合ヌクレオシドトリホスフェートを用いてポリメラーゼによって特定のヌクレオチドを重合する方法及び組成物を提供する、発明の名称「γ−ホスホエステルヌクレオシドトリホスフェート(γ-phosphoester nucleoside triphosphates)」の米国特許第6,399,335号(参考までに本明細書中に引用する)も参照されたい。ヌクレオチドに式Iで表される化合物を結合する他の方法は当業者に知られている。DNAポリメラーゼと共にこれらのヌクレオチドを用いれば、RNA又はDNA中へのヌクレオチド塩基の取り込み後に遊離される標識化ピロホスフェート又はポリホスフェートの同定によりDNA又はRNA配列中の特定のヌクレオチドの同定に至ることができる(例えば、それぞれを参考までに本明細書中に引用する、米国特許第6,232,075号明細書、米国特許公開第2004/0241716号明細書及び米国特許第7,452,698号明細書を参照されたい)。
【0189】
より好ましい観点として、抗体、アビジン、及びストレプトアビジンを挙げることができる。なお更に好ましい観点として、ヤギ抗マウス(GAM)抗体、ヤギ抗ウサギ(GAR)抗体、及びストレプトアビジンを挙げることができる。
【0190】
所定の他の観点において、本発明の好ましい生体分子として、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様(aninsulin-like)成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン等を挙げることができる。
【0191】
更に他の観点において、好ましい生体分子として炭水化物及び炭水化物誘導体を挙げることができる。典型的な例として、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体を挙げることができる。なお、より好ましい生体分子として、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースを挙げることができる。
【0192】
なお更に他の観点において、生体分子は、EGFR、Her2、PDGFR、IGFR、c−Ryk、c−Kit、CD24、インテグリン、FGFR、KFGR、VEGFR、TRAILデコイレセプター、レチノイドレセプター、成長レセプター、PPAR、ビタミンレセプター、グルココルジコステロイド(glucocordicosteroid)レセプター、レチノイド−Xレセプター、RHAMM、高親和性フォレートレセプター、Metレセプター、エストロゲンレセプター及びKi67からなる群から選択されるレセプターに対する親和性を有するリガンドであることができる。
【0193】
代わりに、生体分子は、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム及びポリエチレングリコールからなる群から選択される。
【0194】
なお別の観点では、生体分子は、小分子薬剤又は薬剤様分子、例えば、テトラサイクリン系抗生物質、テトラサイクリン誘導体、及びカルセインである。
【0195】
《VI.イメージング方法》
別の実施態様によれば、種々の生物医学的用途において組織及び器官のインビトロ又はインビボの光学的イメージング剤として式Iで表される化合物を用いることができる。或る実施態様によれば、本発明は、式Iで表される化合物を投与することを含む、イメージング方法を提供する。
【0196】
本発明の或る好ましい観点において、本明細書に記載の式I又は式Iaで表される本発明化合物のあらゆる実施態様又は観点を前記イメージング方法において用いることができる。本願明細書及び特許請求の範囲に、前記方法に用いるのに好ましい化合物の典型例を記載する。
【0197】
別の実施態様において、本発明は、式IIで表される化合物を投与することを含むイメージング方法を提供する。好ましい観点において、RLは、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースから選択される生体分子を含む。
【0198】
本発明の或る好ましい観点において、本明細書に記載の式IIで表される本発明化合物のあらゆる実施態様又は観点を前記イメージング方法において用いることができる。本願の明細書及び特許請求の範囲に、前記方法に用いるのに好ましい化合物の典型例を記載する。
【0199】
或る好ましい観点において、限定的でなく、器官の断層撮影、器官機能のモニタリング、冠動脈造影、蛍光内視鏡検査、腫瘍のイメージング、レーザー誘導手術、光音響法、音響蛍光法等を含む、種々の生物医学的用途における組織及び器官のインビボ・イメージング剤として、本発明の化合物を用いる。1つの観点において、本発明の化合物は、染料の血液クリアランス特性をモニタリングすることによる腫瘍及び他の異常の存在の検出に有用である。本発明の別の観点において、本発明化合物は、腹腔鏡検査法に基づく腫瘍の微小転移検出のためのレーザー補助誘導手術に有用である。なお別の観点において、本発明化合物は、アテローム硬化性プラーク及び血餅の診断に有用である。
【0200】
更なる観点において、(1)眼科学における眼疾患のイメージングに、例えば、直接的顕微鏡イメージングによる脈絡網膜疾患、例えば、血管障害、網膜障害、血管新生、及び腫瘍の可視化を高めるために;(2)直接的顕微鏡イメージングによる皮膚疾患、例えば、皮膚腫瘍のイメージングに;(3)内視鏡検査による胃腸疾患、口腔疾患、気管支疾患、頚部疾患、及び泌尿器疾患及び腫瘍のイメージングに;(4)可撓性内視鏡カテーテルによるアテローム硬化性プラーク及び他の血管異常のイメージングに;(5)2D又は3D画像再構成による乳房腫瘍のイメージングに;並びに(6)2D又は3D画像再構成による脳腫瘍、灌流(perfusion)、及び発作(stroke)のイメージングに、本発明の化合物を用いる。
【0201】
バイオコンジュゲートである本発明の化合物は、被験者の腫瘍、組織、及び器官をイメージングするのにとりわけ有用である。例えば、式Iで表される化合物を用いて抗腫瘍抗体を標識化し、次いで腫瘍の検出及びイメージングのために被験者にそのバイオコンジュゲート抗体を投与することによって、癌細胞又は癌組織の存在を確認することができる。染料化合物と他の抗体、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、細胞表面レセプターのリガンド、小分子等も、被験者の腫瘍、組織、及び器官をインビボでイメージングするのに有用な剤である。
【0202】
本発明の化合物は、イメージング手順の前に、イメージングすべき器官又は組織に全身的に又は局所的に投与することができる。或る観点において、静脈内的に本発明化合物を投与する。別の観点において、非経口的に本発明化合物を投与する。なお別の観点において、経腸的に本発明化合物を投与する。本発明化合物の投与に用いる組成物は、一般に、意図される投与のタイプに適した通常の薬剤学的な担体及び賦形剤と共に有効量の本発明化合物又はコンジュゲートを含んでいる。例えば、非経口的製剤は、有利には、式Iで表される化合物又は式IIで表されるバイオコンジュゲートの滅菌性の水溶液又は水性懸濁液を含んでいる。経腸的投与のための組成物は、一般に、場合により緩衝剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、香味剤等を含んでいることができる水溶液又は水性懸濁液中に有効量の本発明化合物又はバイオコンジュゲートを含んでいる。
【0203】
腫瘍、組織、又は器官の望ましい光学的イメージを達成するのに有効な量で本発明組成物を投与する。かかる量は、用いられる特定の化合物又はバイオコンジュゲート、イメージング手順に付される腫瘍、組織、又は器官、用いられるイメージング装置等に依存して、広範に変化することがある。
【0204】
本発明の方法は、治療的有効量の化合物;ターゲッティング剤、例えば、バイオコンジュゲート;又はそれらの混合物を被験者に投与することを備えている。1つの観点において、ターゲッティング剤は選択的に標的組織に結合する。次いで、光感作剤によって吸収される波長又は波長帯域に対応する波長又は波長帯域の光を与える。別の観点において、本発明の化合物は、1種以上のタイプの標的細胞又は組織に結合することができる剤として働き、適切な波長帯域の光に曝露された場合に、その光を吸収して、標的細胞又は組織をイルミネートし、損傷し又は破壊する物質を生じさせる。好ましくは、本発明化合物は、投与される被験者に無毒であり、又は被験者に投与することができる無毒の組成物に配合することができる。更に、光に曝露された後、生成するあらゆる光分解された形態の化合物も好ましくは無毒である。
【0205】
更に別の観点において、限定的でない例として、摂取、注入、経皮的(transcutaneous)投与、経皮(transdermal)投与等を含む、任意の公知手段によって本発明の化合物を投与する。好ましくは、経皮的に被験者に本発明化合物を投与する。
【0206】
本発明の更なる観点において、治療のための標的、腫瘍組織、又は器官は、血管内皮組織、腫瘍の異常血管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、消化管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、卵巣の腫瘍、子宮の腫瘍、睾丸の腫瘍、肺の腫瘍、非充実性腫瘍、造血組織及びリンパ組織の1つの悪性細胞、脈管系の病変、病的骨髄、神経組織又は病的神経組織、及び疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患の1つである病的細胞からなる群から選択される。なお更なる観点において、標的組織は、アテローム性動脈硬化病変、動静脈奇形、動脈瘤、及び静脈病変からなる群から選択されるタイプの脈管系の病変である。
【0207】
更に別の観点において、エネルギーの形態として、限定的でなく、光(すなわち、放射)、熱、音波、超音波、化学、光、マイクロ波、イオン化(例えば、X線及びガンマ線)、機械、及び電気を挙げることができる。本明細書中で用いる「放射」という用語は全ての波長及び波長帯域を含む。好ましくは、光感作剤を励起する波長又は波長帯域と一致するか又は少なくとも部分的に一致する放射波長又は波長帯域を選択する。本発明の化合物は、典型的には、それらを励起して標的細胞、組織、器官、又は腫瘍を照射し、損傷し又は破壊する物質を生成する吸収波長帯域1つ又は2つ以上を有する。好ましくは、放射波長又は波長帯域は、光感作剤の励起波長又は波長帯域と一致し、そして血液タンパク質を含む被験者の非標的細胞及び残部(rest)による低吸収を示す。より好ましくは、放射波長又は波長帯域は、約600nm〜約1000nmのNIR範囲又はその関連範囲(例えば、本願の特許請求の範囲に記載の範囲)内にある。
【0208】
或る観点において、試料を同定又は定量化できるように本発明の化合物を用いて試料を直接に染色又は標識化する。例えば、生物学的又は非生物学的流体中の検出可能なトレーサー成分として、生物学的標的アナライトのアッセイの一部として;又は、染色された試料を照射して選択的に腫瘍細胞及び組織を破壊する、腫瘍の光力学的治療のような目的で;又は、通常、光感作による一重項酸素の生成を介して、動脈プラーク又は動脈細胞を光学的に切除する(photoablate)ために、本発明化合物を添加することができる。
【0209】
一般的に、試料は、液体供給源から直接に、又は固体材料(有機又は無機)からの洗液として又は培養のために細胞が導入されていた増殖培地として、又は評価のために細胞が置かれていた緩衝溶液として得られる。試料が細胞を含む場合、細胞は場合により、微生物を含む単細胞、又は多細胞生物、胚、組織、生検材料、フィラメント、バイオフィルム等を含む、2次元又は3次元の層において他の細胞と一緒になった多細胞であることがある。
【0210】
本明細書中で用いる検出可能な光学的応答は、観察又は機器のいずれかにより検出することができる光学的信号における変化又は光学的信号の発生を含む。一般的に、検出可能な応答は、蛍光における変化、例えば、強度の変化、蛍光の励起若しくは発光波長分布、蛍光寿命、蛍光偏光、又はそれらの組み合わせである。標準的な応答又は予期される応答と比較した、染色の程度及び/又は位置は、試料が所与の特徴を有しているか否か及びその程度が如何ほどかを示す。本発明の一部の化合物は、蛍光発光をほとんど示さないことがあるが、それにもかかわらず、発色団の染料として有用である。かかる発色団は、蛍光(又はフォースター(Foerster))共鳴エネルギー移動(FRET)用途において、又は試料若しくは試料の一部に所望の色を与えるエネルギー供与体として有用である。
【0211】
FRETは、供与体分子(例えば、染料)が光を吸収して励起状態となる方法である。発光するよりむしろ、最初の分子がその励起状態を他の特性を持ったアクセプター分子(例えば、異なる波長で蛍光を発する染料又は消光物質)に移し、そしてアクセプターは蛍光を発するか又は励起を消光する(quench)。移動の効率は2つの分子の近接性に依存するので、それは分子複合体形成又は生体分子構造に関する情報を示すことができる。それは、特定の複合体が細胞又は生物(organism)内のどこに位置しているかを示すことができる(例えば、FRET光学顕微鏡)。FRET法においてアクセプター(クエンチャー)として同様の染料を用いる方法については、X. Peng, H. Chen, D. R. Draney, W. Volcheck, A. Schultz-Geschwender, and D. M. Olive, “A nonfluorescent, broad-range quencher dye for Foerster resonance energy transfer assays,” Anal. Biochem 2009, 388(2): 220-228を参照されたい。
【0212】
或る場合に、適当なFRETアクセプターは、参考まで本明細書に引用する第WO2007/005222号に開示されている。この化合物は、本質的に、式III:
【化20】
で表される非蛍光染料を含んでおり、上記式IIIの置換基は次のように定義される:R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子及び場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基からなる群から選択される。代わりに、R1及びR2はそれらが結合する以下の基:
【化21】
と一緒になって5員環又は7員環を形成し、該環はハロゲン原子、シアノ基、スルホネート基、(C1〜C8)ハロアルキル基、ヒドロキシ基、(C1〜C6)アルコキシ基及び場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基からなる群から選択される置換基1〜4個によって場合により置換されていることがある。
【0213】
式IIIにおいて、R3及びR4はそれぞれ独立して、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基であり、そして場合によりそれらが結合している原子と一緒になって5員又は7員の炭素環式環を形成していることがあり;又は代わりに、置換基R3及びR4は以下の基:
【化22】
と交換されており(replace)、式中のBは(C1〜C6)アルキル基であるか;又はB及びR9Aはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、場合によりヘテロ原子1個又は2個を有していることがあり及び場合により二重結合3個までを有していることがある5員環又は6員環を形成する。
【0214】
置換基R5及びR6はそれぞれ独立して場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基であるか;又は場合によりそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができる。
【0215】
置換基R7及びR8はそれぞれ独立して、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、場合により置換されていることがあるアリール(C1〜C6)アルキル基、場合により置換されていることがあるヘテロアリール(C1〜C6)アルキル基、−(CH2)cR13及び−(CH2)dR15からなる群から選択される。添字c及びdはそれぞれ独立して1〜50の整数である。R13は、生体分子上のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はチオ基と直接に反応しない官能基である。R15は、メルカプト基、アミノ基、ハロアルキル基、ホスホルアミジチル基、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、スルホN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基及び活性化カルボン酸からなる群から選択される結合基である。
【0216】
置換基R9a〜9d及びR10a〜10dはそれぞれ独立して、水素原子、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、−SO3Cat+、ハロゲン原子、−C(O)OR11、−C(O)NR11R12、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−NR12C(O)OR11、−(CH2)dR15、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15及び−NR20R21からなる群から選択され、式中、Cat+はカチオンである。置換基R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子及び(C1〜C6)アルキル基からなる群から選択され;R20及びR21はそれぞれ独立して、水素原子、場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基、CatO3S(C1〜C50)アルキレン基からなる群から選択される。
【0217】
代わりに、隣接する原子上に位置するR10a〜10dの任意の2つの置換基は、それらが結合している原子と一緒になって、場合によりヘテロ原子1個又は2個を有していることがあり及び場合により二重結合を3つまで有していることがある5員環又は6員環を形成し;該環は、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、−SO3−Cat、ハロゲン原子、−C(O)OR11、−C(O)NR11R12、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−NR12C(O)OR11、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15及び−NR20R21からなる群から選択される置換基1個〜3個によって更に置換されていることができる。
【0218】
式IIIにおいて、変数aは0〜3の整数でありそして変数bは0〜2の整数である。Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基、場合により置換されていることがある(C1〜C6)ジアルキルアミノ基、場合により置換されていることがあるアルキルチオ基、−(CH2)dR15、−R15、場合により置換されていることがある(C1〜C6)ヘテロアルキル基、フェノキシ基及び場合により置換されていることがある式:
【化23】
[R36a〜R36e基はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3Cat+、−(CH2)dR15、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15、(C1〜C6)アルキル基、カルボキシル基及びNR20R21基からなる群から選択される]を有するアリールオキシ基からなる群から選択される。
【0219】
式IIIで表される化合物は結合基少なくとも1個を有する。或る観点において、本発明の化合物は結合基1個以上、例えば、結合基1個、2個、3個以上を有する。式IIIで表される化合物の種々の位置に、結合基R15少なくとも1個を結合させることができる。
【0220】
生物学的用途に対して、本発明の化合物は、一般的に、当該技術分野において一般的に知られている方法によって調製される水溶液、ほぼ水溶性の(mostly aqueous)溶液又は水混和性溶液中で用いられる。本発明化合物の正確な濃度は、実験条件及び望ましい結果に依存するが、0.00001mM〜0.1mMまでの範囲、例えば、約0.001mM〜約0.01mMが考えられる。最適濃度は、最小のバックグランド蛍光を有する満足な結果が達成されるまでの系統的変化により決定される。
【0221】
或る観点において、本発明の方法は、式Iで表される化合物、式IIで表されるバイオコンジュゲート、又はそれらの任意の観点若しくは実施態様を含む用量を用いた動物又は試料の処理を含んでいることができる。本発明化合物の正確な濃度は、対象及び望ましい結果に依存している。或る実施態様において、少なくとも約0.001、0.005、0.01、0.025、0.05、又は0.075mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.001、0.005、0.01、0.025、0.05、又は0.075mg/kgの用量を用いる。或る他の実施態様において、少なくとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。更に他の実施態様において、少なくとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。なお更に他の実施態様において、少なくとも約1、2.5、5、又は7.5mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約1、2.5、5、又は7.5mg/kgの用量を用いる。追加の他の実施態様において、少なくとも約10、25、50、又は75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約10、25、50、又は75mg/kgの用量を用いる。追加の更に他の実施態様において、少なくとも約100、250、500、又は750mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約100、250、500、又は750mg/kgの用量を用いる。他の有効投与量は当業者によって容易に決定することができる。
【0222】
本発明化合物は、最も有利には、生物学的成分を有する試料を染色するのに用いられる。試料は、成分(例えば、そのままの細胞、固定化細胞、細胞抽出物、細菌、ウイルス、オルガネラ、及びそれらの組み合わせ)の異種混合物、又は単一成分又は成分(例えば、天然若しくは合成アミノ酸、核酸又は炭水化物ポリマー、又は脂質膜複合体)の同種群を含んでいることができる。これらの混合物は、一般的に、使用濃度範囲内で生細胞及び他の生物学的成分に対し無毒である。
【0223】
本発明化合物と着目した試料成分との間の接触を促進するいずれかの方法により、本発明化合物を試料と合わせる。一般的には、単純に試料に本発明化合物又は該化合物を含む溶液を添加する。本発明の所定の化合物、とりわけ、スルホン酸部分1個又は2個以上により置換されている化合物は、生物学的細胞の膜に対して不透過性である傾向があり、そしていったん内部に入れば一般的に生細胞を充分に染色する。原形質膜を透過性にする処理、例えば、エレクトロポレーション、衝撃処理又は高濃度細胞外ATPを用いて、選択された化合物を細胞内に導入することができる。代わりに、例えば、圧力微量注入、スクレープローディング(scrape loading)、パッチクランプ法、又は食作用により、細胞内へ物理的に、選択された染料化合物を挿入することができる。
【0224】
染色後又は染色の間の任意の時に、検出することができる光学的応答を与えるべく選択された光の波長を用いて試料を照明し、そして光学的応答を検出するための手段を用いて試料を観察する。本発明の化合物を照明するのに有用である装置として、限定的でなく、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀アークランプ、キセノンランプ、レーザー及びレーザーダイオードを挙げることができる。これらの照明源は、場合により、レーザースキャナー、蛍光マイクロプレートリーダー、標準蛍光光度計若しくはミニ蛍光光度計、又はクロマトグラフ用検出器に組み込まれていることがある。本発明の好ましい観点は、波長633〜636nm、647nm、649nm、651nm、647〜651nm、660nm、674nm、675nm、678nm、680nm、674〜680nm、685nm、674〜685nm、680〜685nmで又はその近傍で、及び700nmを超える波長、例えば、780nm、810nm及び850nmで又はその近傍で励起することができる化合物であり、それはこれらの領域が典型的な化合物のアウトプット又は比較的安価の励起源のアウトプットとよく一致するからである。
【0225】
光学的応答は、場合により、目視検査によって、又は以下の装置:CCDカメラ、ビデオカメラ、写真フィルム、レーザー走査装置、蛍光光度計、光ダイオード、量子カウンター、エピ蛍光(epifluorescence)顕微鏡、走査型顕微鏡、フローサイトメーター、蛍光マイクロプレートリーダーのいずれかを用いることによって、又は信号を増幅する手段(例えば、光電子増倍管)によって検出されることがある。フローサイトメーターによって試料を検査する場合、試料の検査は場合により、その蛍光応答により試料の部分をソートすることを含むことがある。
【0226】
《VII.実施例》
以下に、実施例を用いて本発明を記載するが、これらは説明の目的のためにだけ設けるものである。従って、これらは、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲を限定するように構成されたものではない。
《実施例1》
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩の調製
【化24】
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩(1)
【0227】
6−アミノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩(25g、72ミリモル)を水150mL中に溶解しそして濃塩酸50mLに添加した。このスラリーを氷/塩浴中で約0℃まで冷却し、そして冷水25mL中の亜硝酸ナトリウム(5.46g、79.2ミリモル)を10分間にわたり滴状に添加した。塩化第一スズ(20.42g、108ミリモル)を濃塩酸15mL中に溶解し、0℃まで冷却しそして20分間にわたり反応混合物に添加した。得られた溶液を3時間にわたり攪拌しながら室温まで加温した。この溶液をロータリーエバポレーションによって容積を減らし、そしてイソプロパノールの添加によって生成物を沈殿させた。化合物1を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、そして真空乾燥させた。
《実施例2》
2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩の製造
【化25】
2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩(2)
【0228】
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩(1)(10g、25ミリモル)、イソプロピルメチルケトン(12g、140ミリモル)及び酢酸カリウム(6g、61ミリモル)を氷酢酸75mL中で合わせて、そして、145℃で22時間加熱した。この溶液を冷却し、ロータリーエバポレーションによって酢酸を除去した。この残渣をメタノール中に溶解しそして濾過した。次いで、イソプロパノールを用いてメタノール濾液から化合物2を沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びエーテルを用いて洗浄し、そして真空乾燥させた。
《実施例3》
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化26】
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(3)
【0229】
乾燥1,2−ジクロロベンゼン50mL中で2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩(2)(2.2g、5ミリモル)を攪拌した。1,3−プロパンスルトン(2.8g、23ミリモル)を添加し、そしてこの溶液を封管中で145℃に15時間加熱した。この溶液を冷却し、そして溶媒をデカントして除いた。この固形生成物3をイソプロパノール50mL部分3回、次いでエーテル50mLを用いてフィルター上で洗浄しそして真空乾燥させ、暗紫色の固形物(2.5g、90%)を得た。
《実施例4》
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化27】
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(4)
【0230】
出発材料として1,4−ブタンスルトンを用いる以外は、化合物3(実施例3)と同様にして化合物4を製造した。
《実施例5》
(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミドの製造
【化28】
(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミド(5)
【0231】
文献(Simonis, H. Ber. Deut. Chem. Ges. 1901, 34, 509;米国特許第6,747,159号明細書)に開示の方法を用いる。100mLビーカー中のエタノール15mL中にアニリン3.54gを溶解する。別途、100mL三角フラスコ中のエタノール15mL中にムコ臭素酸5gを溶解する。冷却しながら、この溶液をアニリン/メタノール溶液に滴状に添加する。この反応混合物は、CO2の発生を伴い、すぐに黄色に、次いでオレンジ色に変わる。添加の終了時点で、この混合物をその容積が半分に減るまでウォーターバス中で加熱する。得られた溶液を氷塩混合物を用いて冷却し、黄色の結晶性沈殿を形成する。この固形物をガラス濾過器上に集めて純粋な生成物5を得;追加の生成物5は母液の濃縮及び再結晶により回収することができる。
《実施例6》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化29】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(6)
【0232】
還流冷却器を備えた100mL丸底フラスコに1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(3)(565mg、1ミリモル)、(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミド(5)(150mg、0.5ミリモル)、及びピリジン(1mL)を充填した。このフラスコに無水酢酸(10mL)を添加し、そしてこの混合物を115℃で2時間加熱し、室温まで冷却し、そしてエチルエーテル25mLで希釈した。得られる暗青色の染料沈殿を濾過により集め、次いで水20mL中に溶解しそして分取用逆相HPLCによって精製して青色粉末として化合物6を得た(285mg、50%;UV/可視吸収最大674nm)。
《実施例7》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化30】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(7)
【0233】
出発材料として化合物4を用いた以外は、化合物6(実施例6)と同様にして化合物7を製造した。
《実施例8》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化31】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(8)
【0234】
化合物6(80mg)、3−(4−カルボキシブチル)フェニルボロン酸(40mg)、及び炭酸セシウム(20mg)を、窒素下室温において1:1水:エタノール(10mL)中で攪拌する。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg)をこの反応混合物に添加する。この混合物を4時間還流し、そして溶媒及び揮発性化合物を真空蒸発させる。1:4アセトニトリル:水混合物を用いた溶出による逆相C18−官能化シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーによって、この粗製生成物を精製する。精製生成物8はUV/可視吸収最大λMeOH=680nm、ε=229,000;λPBS=676nm、ε=239,000を有している。
《実施例9》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化32】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(9)
【0235】
乾燥DMSO(15mL)中の化合物8(200mg)の溶液に、トリエチルアミン(150μL)及びN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(82mg)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌し、そして溶媒を除去してスクシンイミジルエステルを得た。
《実施例10》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(2−カルボキシエチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化33】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(2−カルボキシエチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(10)
【0236】
出発材料として3−(3−ボロノフェニル)プロピオン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物10を製造した。
《実施例11》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(11)の製造
【化34】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(11)
【0237】
出発材料として化合物10を用いた以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物11を製造した。
《実施例12》
2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化35】
2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(12)
【0238】
ジクロロベンゼン100mL中の商業的に入手可能な5−スルホ−2,3,3−トリメチルインドリニウム分子内塩14g及びプロパンスルトン14gの混合物を110℃で2時間加熱した。冷却後、溶媒をデカントし次いでアセトニトリル100mL中にこの固形物を溶解しそして酢酸エチル300mLを添加する。得られる粘着性固形物を再び酢酸エチル300mL中に攪拌して生成物12を20g得た。
《実施例13》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化36】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(13)
【0239】
出発材料として化合物12を用いた以外は、化合物6(実施例6)と同様にして化合物13を製造した。UV/可視吸収最大λMeOH=650nm。
《実施例14》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化37】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(14)
【0240】
出発材料として化合物13を用いた以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物14を製造した。UV/可視吸収最大:λH2O=649nm、ε=190,000;λMeOH=650nm、ε=180,000;(M+1)+としてのMS計算値(実測値)935.21(935.3)。
《実施例15》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化38】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(15)
【0241】
出発材料として化合物14を用いる以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物15を製造した。
《実施例16》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(カルボキシメトキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化39】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(カルボキシメトキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(16)
【0242】
出発材料として2−(3−ボロノ−フルオロフェノキシ)酢酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物16を製造した。精製化合物16はUV/可視吸収最大λMeOH=677nm、ε=205,000;λPBS=674nm、ε=195,000を有している。
《実施例17》
2−((E)−2−((E)−2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化40】
2−((E)−2−((E)−2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(17)
【0243】
上記に示したクロロ染料前駆体100mg、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニルボロン酸70mg、及びPd(PPh3)410mgを合わせることにより化合物17を製造した。この混合物を窒素ガス下でH2Oを用いて5時間還流した。C18−官能化シリカ及び15:85アセトニトリル/H2Oグラジエントを用いた逆相HPLCによって、未処理溶液(green solution)を分離した。精製化合物はUV/可視吸収最大λMeOH=783nm、λPBS=777nm、及び805nmでの発光(emission)を有している。
《実施例18》
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化41】
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(18)
【0244】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=786nm、λPBS=779nm、及び805nmでの発光を有する、化合物18を製造した。
《実施例19》
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化42】
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(19)
【0245】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=789nm、λPBS=782nm、及び806nmでの発光を有する、化合物19を製造した。εMeOH=300,000;εPBS=240,000。
《実施例20》
2−((E)−2−((E)−2−(4−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化43】
2−((E)−2−((E)−2−(4−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(20)
【0246】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=790nm、λPBS=786nm、及び805nmでの発光を有する、化合物20を製造した。
《実施例21》
化合物10を用いたストレプトアビジンのバイオコンジュゲートの製造
【0247】
DMF中で化合物11を1mg/mLに再構成した。典型的には、pH8.5のPBS緩衝液中10mg/mLでストレプトアビジンを再構成した。このストレプトアビジン試料に染料を(種々のモル比で)添加しそして暗中において室温で2時間のインキュベートに付した。このコンジュゲートをPBS緩衝液に対して広範囲に透析してコンジュゲートしていない遊離の染料を除去した。コンジュゲート中のタンパク質のモル当たりの染料のモル比を下記のように計算した。
【数1】
上式中、
・ε染料=239,000M−1cm−1
・εストレプトアビジン=175,000M−1cm−1
・0.09は280nmにおける680染料吸収に対する補正係数である。
《実施例22》
GAM抗体の化合物8とのバイオコンジュゲートの製造
【0248】
DMF中で化合物9を1mg/mLに再構成した。典型的には、pH8.5のPBS緩衝液中にヤギ抗マウス(GAM)IgG(H+L)を1mg/mLで再構成した。このGAM抗体試料に染料を(種々のモル比で)添加しそして暗中において室温で2時間のインキュベートに付した。このコンジュゲートをPBS緩衝液に対して広範囲に透析してコンジュゲートしていない遊離の染料を除去した。タンパク質に対する染料の比を上記のように計算した。
《実施例23》
化合物10のストレプトアビジンバイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680及びAlexa 680ダイのストレプトアビジンバイオコンジュゲートとの全蛍光のドットブロットイムノアッセイ比較
【0249】
種々の量のビオチニル化抗ウサギIgGで予めニトロセルロース膜をコートした。この膜をLI−COR Odyssey(商標)ブロッキングバッファで30分間ブロックし、引き続いて種々のD/P比の化合物10とストレプトアビジンとのバイオコンジュゲートを用いて30分間インキュベートした。1X PBS及び1X PBS−Tを用いて膜を強く洗浄した。LI−COR Odyssey(商標)赤外線イメージャー上でこの膜を走査した。
【0250】
これらの試験における化合物10のストレプトアビジンバイオコンジュゲートは、この波長範囲において最良の市販ストレプトアビジンコンジュゲートと同等に機能する。3.0pgと6.1pgとの間のLOD差は、希釈列において単一スポットであり、実験変動に対応できる。化合物10コンジュゲートのバンドの蛍光強度は市販コンジュゲートのものと同等であるか又はそれより良好である。膜に対するコンジュゲートの非特異的結合による蛍光バックグランドも、試験したコンジュゲート全てについて低い。
【表2】
《実施例24》
化合物8のGAM抗体バイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680ダイのGAM抗体バイオコンジュゲートとのバックグランド蛍光のICW比較
【0251】
化合物8とのGAMコンジュゲートを、細胞ベースの免疫組織化学的分析(「In−Cell Western」又はICW)によって評価し、そしてLI−COR IRDye(商標)680GAMバイオコンジュゲート、LI−COR Part No.926−32220と比較した。96ウェルプレート中にA431細胞、ATCC Part No.CRL−1555をシードしそして37℃で48時間インキュベートした。次いで、37%ホルムアルデヒドで細胞を固定化し、そしてPBS+0.1%Triton(商標)X−100を用いて細胞を透過処理した。透過処理後に、Odyssey(商標)ブロッキングバッファを用いて細胞をブロックした。
【0252】
LI−COR IRDye(商標)680−GAM抗体及び化合物8−GAM抗体バイオコンジュゲートの両方を、Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中で希釈し、そして最終濃度2μg/mL、各試料当たり12ウェルでプレートに添加した。室温で1時間にわたり穏やかに振盪しながら試料をインキュベートした。プレートをPBS+0.2%Tween(商標)20で3回洗浄し、そしてマイクロプレート2プレセット(Microplate 2 preset)を用い、LI−COR Odyssey(商標)赤外線イメージャー上で走査した。各試料について平均積分強度を計算しそしてLI−COR IRDye(商標)680−GAM抗体と化合物8−GAM抗体とを比較した。結果を下記表3及び4に示す。
【0253】
NIRにおける生物学的材料の低い蛍光バックグランドは、マイクロプレート中の生きた又は固定化された細胞での実験を可能とする。重要な例は、「In Cell Western」(ICW)技法の、固定化された細胞中の細胞タンパク質の免疫組織化学的検出である。かかる系においては、検出のために用いられる染料標識化抗体が、最初の細胞環境の極めて低い蛍光バックグランドを維持することが重大である。従って、検出抗体に結合する染料分子は、他の細胞タンパク質、膜等に対して極めて低い非特異的結合を有していなければならず、さもなければ標識化抗体はそれらの特徴物に付着し実験をだめにする。IRDye(商標)680又はAlexa Fluor(商標)680で標識化した抗体は細胞に対し極めて低い非特異的結合を維持する。表3のデータは、化合物8で標識化したGAM抗体がこの試験において2つの標準よりやや高いバックグランドを与えるが、それでもなお極めて低い非特異的バックグランドを有していることを示す。この染料を用いてICW及び他の細胞ベース(インビボ)用途に適した標識化抗体を生成することができる。
【表3】
《実施例25》
化合物8のGAM抗体バイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680のGAM抗体バイオコンジュゲートとの全蛍光のウエスタンブロット比較
【0254】
ジャーカット(Jurkat)溶解物をSDS PAGEによって流し(5μg〜78ng)そしてニトロセルロースに移した。Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)−20(OBBT)を用いてブロットをブロックした。OBBT中に希釈したモノクローナル抗チューブリン(Sigma T7816)又はモノクローナル抗アクチン(Neomarkers MS−1295−P1)を用いてブロットをプローブした。次いで、最終濃度0.1μg/mLにOBBT中に希釈した以下の二次抗体の1つを用いてブロットを検出した:GAM−化合物8 D/P=1.6又はLI−COR GAM680(図1C〜D参照)。
【0255】
表4及び図1A〜Bのデータは、ウエスタンブロッティング用途に対し本発明の染料の1つ(化合物8)により与えられる優れた性質を示している。IRDye(商標)680で標識化した抗体は大変に充分に機能しそして現在の技術水準を表す「対照」としての役目を果たす。化合物8で標識化した抗体は、対照と比べて有意に高い、2倍より大きい蛍光強度を有する。蛍光染料標識化した生体分子の大部分は、例えば、ウエスタンブロットに用いられる膜に、非特異的に付着する傾向を示す。図1及び表4の蛍光バックグランドデータが示すように、IRDye(商標)680及び化合物8(図1A〜B)を用いて、膜への極めて少ない非特異的結合を有する標識化抗体を形成することができる。
【表4】
《実施例26》
化合物8へのストレプトアビジンコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680ダイのストレプトアビジンへのコンジュゲートとの全蛍光のウエスタンブロット比較
【0256】
ジャーカット溶解物をゲル上に流した(5μg〜78ng)。Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中に1:1000希釈されたms抗アクチン(Thermo No.MS−1295P)、それに続いてOdyssey(商標)ブロッカー+0.2%Tween(商標)20中に1:20,000希釈されたビオチン−SP GAM(Jackson No. 115−065−166)を用いてブロットをプローブした。次いで、Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中の種々の680ストレプトアビジンバイオコンジュゲートを用いてブロットを検出した(図2D参照)。
【0257】
本発明の染料の1つ(化合物8)のストレプトアビジンコンジュゲートも有利なことにこの例における市販のストレプトアビジンコンジュゲートと同等である。図2A〜C中、化合物8コンジュゲートを用いて検出された各ブロットにおいて、最も希釈されたアクチンバンドをはっきり観察することができる。各ブロットにおける全アクチンバンドの全蛍光強度を、膜の代表的なバックグランド領域と共に、表5に要約する。化合物8コンジュゲートの蛍光強度は、対照より2〜3倍高く、一方、蛍光バックグランドはほんのわずかに高いに過ぎない。
【表5】
《実施例27》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化44】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(21)
【0258】
化合物9(0.18ミリモル)を乾燥DMSO20mL中に溶解しそして乾燥窒素下に室温で攪拌する。次いで、この攪拌溶液に2−マレイミジオ(2-maleimidio)エチルアミン(93.2mg、0.37ミリモル)を添加し、引き続いてジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(95mg、0.55ミリモル)を添加する。攪拌を45分間継続する。この反応にDMF(20mL)を添加し、そして完全混合が達成されるまで攪拌を続ける。次いで、攪拌ジエチルエーテル400mL中に徐々にこの溶液を注いで生成物を沈殿させる。このエーテル懸濁液を更に5分間攪拌した後、1時間放置する。エーテルをデカントし、追加のDMF20mLを添加して固形物を再溶解する。次いで、第2の攪拌エーテル400mL部分中にこのDMF溶液を沈殿させる。濾過により、この粗製生成物21を集める。場合により、例えば、HPLC、カラムクロマトグラフィー、又は再結晶によって、更に精製を行うことができる。
《実施例28》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化45】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(22)
【0259】
出発材料として化合物11を用いた以外は、化合物21(実施例27)と同様にして化合物22を製造する。
《実施例29》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化46】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(23)
【0260】
出発材料として化合物15を用いる以外は、化合物21(実施例27)と同様にして化合物23を製造する。
《実施例30》
2−((E)−2−((E)−2−(3−カルボキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化47】
2−((E)−2−((E)−2−(3−カルボキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(24)の製造
【0261】
出発材料としてシクロペンチルクロロ染料前駆体及び3−ボロノ安息香酸を用いた以外は、化合物17と同様にして化合物24を製造した。ここで用いるボロン酸中間体は多用途(versatile)であり種々の設計変更に応じて注文合成(custom synthesis)により改変することができる。種々のタイプの置換基及び置換基長さを用いてフェニル環を置換することができる。1つの注文合成製造業者は、San Diego,CAのCombi−Blocks社である。
《実施例31》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化48】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(25)
【0262】
出発材料として4−(3−ボロノフェニル)ブタン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物25を製造する。
《実施例31B》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシブチル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化49】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシブチル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(26)
【0263】
出発材料として5−(3−ボロノフェニル)ペンタン酸を用いた以外は、化合物24と同様にして化合物26を製造した。UV:λPBS=756nm、ε=260,000;λMeOH=766nm、ε=330,000.発光(Emission):λMeOH=776nm。
《実施例32》
2−((1E,3Z,5E,7E)−4−(3−カルボキシフェニル)−7−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)ヘプタ−1,3,5−トリエニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化50】
2−((1E,3Z,5E,7E)−4−(3−カルボキシフェニル)−7−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)ヘプタ−1,3,5−トリエニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(27)
【0264】
出発材料としてクロロ染料前駆体及びm−カルボキシフェニルボロン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物27を製造する。代わりに、別のハロゲン原子、例えば、ヨード又はクロロによりブロモ置換基を交換することができるが、ブロモが好ましい。
《実施例33》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化51】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(28)
【0265】
出発材料として4−(3−ボロノフェニル)ブタン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物28を製造する。代わりに、別のハロゲン原子、例えば、ヨード又はクロロによりブロモ置換基を交換することができるが、ブロモが好ましい。
《実施例34》
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化52】
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(29)
【0266】
上記に示したように、3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニルボロン酸を用いる以外は、化合物17と同じ方法により化合物29を製造する。
《実施例35》
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化53】
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(30)
【0267】
化合物29のナトリウムイオンのイオン交換により化合物30を製造する。テトラアルキルアンモニウム等のような塩へのイオン交換は、DNA合成に適した有機溶媒(例えば、アセトニトリル)中の染料の溶解性を改善する。これは、ヒドロキシ染料の精製方法の一部としての、又は個別のイオン交換工程としてのクロマトグラフィーを用いて実施することができる。市販のカチオン性イオン交換樹脂は広く入手することができる。
《実施例36》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化54】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(31)
【0268】
米国特許第6,027,709号に記載の一般的方法を用いる。乾燥塩化メチレン10mL中に化合物30(0.140ミリモル)を溶解し、アルゴン下に氷/塩浴中約0℃で30分間攪拌する。この染料溶液に、ビス(N,N−ジイソプロピルアミノ)−シアノエチルホスフィン(2.13mL、塩化メチレン中0.15M)の溶液を添加する。次いで、この冷却溶液にアセトニトリル中テトラゾール(0.128mL、0.5M)を添加する。20分後に冷却を取り去り、室温で更に1.5時間反応を続ける。5%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてこの反応混合物を急冷し、水で2回洗浄し、そして硫酸ナトリウムを用いて乾燥させる。溶媒を真空除去する。この粗製生成物を塩化メチレン1.5mL中に取り、そしてヘキサン中に沈殿させることにより生成物31を得る。
《実施例37》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートの製造
【化55】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲート(32)
【0269】
米国特許第6,027,709号明細書に記載の一般的方法を用いる。蛍光染料32のホスホルアミジットを用いて、DNA合成機により製造されたDNA分子を標識化することができる。標準的なホスホルアミジット化学を介して、保護され支持体に結合されたオリゴヌクレオチドの5’末端に染料を結合する。200ナノモルスケールでの典型的な収量は、精製前で50〜100ナノモルの範囲であることが予想される。
【0270】
標準的な試薬及び製造業者によって教示された方法に従ってPerSeptive Biosystems Expedite 8909 DNA合成機により、DNAオリゴヌクレオチドM13fwd(−29)、M13rev、T7、T3及びSP6のそれぞれを合成する。次いで、同じ装置を用い、上記の製造された染料ホスホルアミジットのアセトニトリル中0.1M溶液を用いた処理によって各オリゴヌクレオチドの5’末端に蛍光標識を結合する。染料ホスホルアミジットの結合には、テトラゾール中の染料を合成カラムへ送達した後に3分間の遅延をはさみ、結合反応のために追加の時間を与える。酸化、開裂、脱保護及びHPLCによる精製後に、5’−蛍光標識化DNAオリゴヌクレオチドが生成される。
【0271】
標識化オリゴヌクレオチドのHPLC精製には、5μ粒子、孔径300Aを有するC18逆相カラム(Waters DeltaPak社)、1.7mL/分を用いることができる。溶媒Aは水性0.1M酢酸トリエチルアンモニウム中4%アセトニトリルであり、そして溶媒Bは水性0.1M酢酸トリエチルアンモニウム中80%アセトニトリルである。グラジエントプロフィールは、35分間にわたる10〜45%B、15分間にわたる45〜100%B,10分間での100〜10%Bである。当業者であれば、種々の染料の精製に対し必要に応じてこれらの条件を変更し又は交換することができる。
【0272】
標識化オリゴヌクレオチドバイオコンジュゲート32は、例えば、DNA塩基配列決定のサンガー法におけるプライマーとして、遺伝子型決定のテールドプライマーとして、又はハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。
《実施例38》
2−((1E,3Z,5E)−3−(2−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化56】
2−((1E,3Z,5E)−3−(2−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(33)
【0273】
出発材料として2−5−(2−ボロノフェニル)ペンタン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物33を製造する。
《実施例39》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(2−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化57】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(2−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(34)
【0274】
出発材料として化合物33を用いる以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物《実施例40》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化58】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(35)
【0275】
出発材料として4−(3−ボロノ−5−フルオロフェノキシ)ブタン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物35を製造する。
《実施例40B》
2−((1E,3Z,5E)−(3−カルボキシメトキシ−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化59】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−カルボキシメトキシ−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(36)
【0276】
出発材料として2−(3−ボロノ−5−フルオロフェノキシ)酢酸を用いた以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物36を製造した。
《実施例41》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化60】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(37)
【0277】
出発材料として4−(3−ボロノ−2,4−ジフルオロフェノキシ)ブタン酸を用いる以外は、化合物17と同様にして化合物37を製造する。
《実施例42》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化61】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(38)
【0278】
出発材料として4−(3−ボロノ−2,4,6−トリフルオロフェノキシ)ブタン酸を用いた以外は、化合物17(実施例17)と同様にして化合物38を製造した。
《実施例42B》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−カルボキシブチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化62】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−カルボキシブチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム (39)
【0279】
出発材料として5−(3−ボロノ−2,4,6−トリフルオロフェノキシ)ペンタン酸を用いる以外は、化合物17(実施例17)と同様にして化合物39を製造する。
《実施例43》
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
【化63】
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム(40)
【0280】
出発材料として3−(2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム及び3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニルボロン酸を用いる以外は、化合物16及び29と同様にして化合物40を製造する。
《実施例44》
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化64】
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(41)
【0281】
化合物30と同様にして化合物41を製造する。
《実施例45》
3−(2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化65】
3−(2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(42)
【0282】
化合物31と同様にして化合物42を製造する。
《実施例46》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIIの製造
【化66】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートII(43)
【0283】
化合物32と同様にして化合物43を製造する。
《実施例47》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIIIの製造
【化67】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIII(44)
【0284】
化合物12、13、及び29〜32と同様にして化合物44及びその前駆体を製造する。
《実施例48》
染料の明るさ:化合物8
【0285】
化合物8のベースライン蛍光を測定した。
【0286】
LI−CORで製造した染料標識化したヤギ抗ウサギ(GAR)コンジュゲートを用いて生理学的緩衝液中10mg/mLの固定化抗体濃度で蛍光測定を行った(図3A〜B及び図4)。染料標識化したラクトアルブミンコンジュゲートも試験した(図5)。
【0287】
化合物8の吸収最大は水溶液中で676nm及びメタノール中で693nmである。化合物8は、700nmチャネルにおいてAerius Automated Imager及びOdyssey Infrared Imager上で用いるのに最適化された高い水溶性の染料である。
《実施例49》
染料の明るさの比較:化合物8及びAlexa Fluor 680LT
【0288】
化合物8と商業的に入手可能な染料Alexa Fluor 680との比較を行った。
【0289】
LI−CORで製造した染料標識化したヤギ抗ウサギ(GAR)コンジュゲートを用いて生理学的緩衝液中10mg/mLの固定化抗体濃度で蛍光測定を行った。各染料の最適励起波長でPTI Fluorometerを用いて蛍光を測定した(図6及び図7)。各コンジュゲートの蛍光強度は最初に標識化した増加程度につれて、最大値に達するまで増加した。その後の追加の染料はコンジュゲートの蛍光を増加させなかった。
【0290】
各コンジュゲートの蛍光強度は最初に標識化した増加程度につれて、最大値に達するまで増加した。その後、追加の染料はコンジュゲートの蛍光を増加させなかった。各染料について標識化程度対蛍光のプロット(図8)は、概して、同じD/P値において化合物8とのGARコンジュゲートはAlexa FluorとのGARコンジュゲートより強く蛍光を発したことを示している。更に、コンジュゲートに添加された追加の化合物8蛍光体は、試験した全範囲にわたり蛍光を増加させ続けた(D/P6.4まで)。対照的に、Alexa Fluor 680コンジュゲートは急速に横ばいとなり、約3を超える増加D/Pに対して有益性はなかった。このようにD/Pが増加するにつれてコンジュゲートの蛍光が横ばいとなるのは周知の現象であり、染料の自己消光によるものと考えられる。化合物8コンジュゲートは少なくともD/P6.4まで蛍光強度を増加させ続けるので、化合物8コンジュゲートはこの自己消光に対してAlexa Fluor 680より耐性である。全体として、化合物8コンジュゲートは、対応するAlexa Fluor 680コンジュゲートより有意に明るい。
《実施例50》
光安定性の比較:化合物8、IRDye700DX、及びAlexa Fluor 680
【0291】
化合物8の光安定性を、Alexa Fluor 680及びIRDye700DXの光安定性と比較した。IRDye700DXは、公知の最も光安定性の700nm蛍光染料の1つである。ニトロセルロース膜上に等モル量の染料標識化したコンジュゲート(すなわち、適当な染料を用いて標識化されたヤギ抗ウサギ(GAR)二次抗体)をスポットすることにより試験試料を調製した。次いで、Odyssey Infrared Imager上でこの膜を繰り返し走査したので、レーザー源への染料の長時間曝露によってある程度の光分解が引き起こされた。各染料の信号強度を、その染料の最初の走査における信号に対して正規化させた(図9A〜B)。
【0292】
700DX試料の相対的蛍光は100回の走査後で本質的に変化しなかった。化合物8試料の蛍光は追加の走査と共にわずかに減少したが、この減少はAlexa Fluor 680試料の減少より有意に少なかった。このことは、化合物8が光分解に対して良好な耐性を有していることを示す。
《実施例51》
GAR細胞染色の比較:化合物8及びAlexa Fluor 680
【0293】
蛍光測定のために化合物8又はAlexa Fluor 680で標識化したGAR二次抗体を(他のGAR機能性試験について前記したように)細胞染色に用いた(図10A〜B)。
【0294】
培養したSK−BR−3(A)又はSK−OV03(B)を3.7%ホルムアルデヒドで固定化し、0.1%TritonX−100で透過処理した。細胞をウサギ坑HER2mAb(CST)とインキュベートし、引き続いて化合物8又はAlexa Fluor 680で標識化したヤギ及びウサギ二次抗体とインキュベートした。このプレートをOdysseyイメージャー上で走査した。原画像を左側に示し、そして定量化した信号強度を右側に示す(図10A〜B)。
【0295】
化合物8コンジュゲートの明るさ及び光安定性は、顕微鏡及びIn−Cell Westerns(商標)に対してそれらを選択することを申し分ないものとする。更に、比較に適したD/P比における全蛍光強度又は「明るさ」は、Alexa Fluor 680の場合より化合物8の場合の方が大きかった。信号強度は、Alexa Fluor 680コンジュゲートと比較して化合物8標識化二次抗体で染色した細胞では2〜3倍高かった。後のIn−Cell Westernのデータは、染料標識化コンジュゲートについての蛍光測定データと似ていた。
《実施例52》
蛍光免疫染色の比較:化合物8及びAlexa Fluor 680
【0296】
SK−BR−3細胞膜上で染料標識化抗体を用いてHER2タンパク質を染色した。化合物8で標識化したGAR二次抗体を蛍光測定に用いた。
【0297】
カバーガラス上で細胞を培養した。実施例50に従った固定化及び透過処理の後、細胞をウサギ抗HER2 mAb(CST)と、それに続いて化合物8で標識化したGAR二次抗体(D/P=3.3)とをインキュベートした。サイトックスグリーン(Sytox green)を用いて核を染色した。オリンパス顕微鏡上に画像を得、そして付随のソフトウェアを用いてデコンボルブ(deconvolve)した(図11A〜C)。
《実施例53》
β−アクチンウエスタンブロットの比較:化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680
【0298】
ウエスタンブロットによって、商業的に入手可能なIRDye680及びAlexa Fluor 680ヤギ抗マウス(GAM)抗体コンジュゲートと化合物8コンジュゲートとを比較した。全ての抗体コンジュゲートは実験のために0.1μg/mLに希釈した。
【0299】
ウエスタンブロットを行ってC32溶解物中のアクチンを検出した。C32全細胞溶解物(Santa Cruz社)10μgから出発した2倍希釈液を10%Bis−Tris還元性ゲル(reducing gel)上にロードしそしてニトロセルロース膜(Odyssey社)に移した。β−アクチンに対するマウス一次抗体(Thermo Fisher Scientific社)を、Odyssey Blocking Buffer中0.2%Tween20の緩衝液中の1:1000希釈で用いた。同様にして、種々のヤギ抗マウス二次抗体を希釈した。全ての抗体を周囲温度で1時間インキュベーションした。ウエスタンブロットの結果を図12A〜Cに示す。ウエスタンブロットは全て2連で実施した。
【0300】
IRDye680及びAlexa Fluor 680二次抗体の両方との比較により、化合物8抗体の信号強度、バックグランド及び実行希釈の評価を行った。細胞溶解物の濃度を約5000ng/レーンまで増加させたとき、信号強度は直線的であった(図13)。化合物8の直線的動作範囲はAlexa Fluor 680の場合より広かった。全体として、化合物8GAMを用いて検出された信号は、IRDye680GAMより3倍及びAlexa Fluor 680GAMより1.5倍大きかった。化合物8GAMを用いて処理された膜におけるバックグランドは、他の700チャネル蛍光体を用いた処理のものと同等であった。ウエスタンブロットの目視検査は、3つのGAMコンジュゲート抗体間で同様の検出限界であることを示した。また、0.04μg/mLに希釈した化合物8GAMは、同じ希釈率でのIRDye680GAMと比較した信号からみて優れた性能を維持している。
《実施例54》
p38ウエスタンブロットの比較:化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680
【0301】
ウエスタンブロットを行って、ジャーカット溶解物中の低発現タンパク質p38を検出した。市販され入手可能なIRDye680及びAlexa Fluor 680ヤギ抗ウサギ(GAR)抗体コンジュゲートと化合物8コンジュゲートとを比較した。実施例53に記載のように、染料標識化抗体を希釈した。
【0302】
ジャーカット細胞溶解物10μgから出発した2倍希釈液を10%Bis−Tris還元性ゲル上にロードしそしてニトロセルロース膜(Odyssey社)に移した。p38に対するウサギ一次抗体(Santa Cruz社)を、Odyssey Blocking Buffer中0.2%Tween20の緩衝液中1:1000希釈で用いた。同様にして、種々のヤギ抗ウサギ二次抗体を希釈した。全ての抗体を周囲温度で1時間インキュベーションした。ウエスタンブロットの結果を図14A〜Cに示す。ウエスタンブロットは全て2連で実施した。
【0303】
化合物8GARコンジュゲートは、信号強度においてIRDye680より2倍〜4倍改善された性能を有していた。この標的に関して、目視の検出限界も同じだけ改善された(それぞれ、コンジュゲート濃度0.1μg/mL及び0.04μ/mL)。IRDye680GARの信号は、同じ濃度でAlexa Fluor 680GARより1.7倍までの明るさがあり、そして検出限界はp38標的に対して1回の2倍希釈以内であった。全てのウエスタンブロットにおいて追加のバンドが見られ、このことは一次抗体が追加のタンパク質を検出していることを示す。
《実施例55》
Akt2色ウエスタンブロット:化合物8、IRDye 800CW、及びAlexa Fluor 680
【0304】
低豊富タンパク質Aktを検出するための平衡化(balanced)2色ウエスタンブロットを、化合物8GAM及びIRDye 800CW GAR抗体を用いて実施した。実施例53に記載のように、染料標識化した抗体を希釈した。
【0305】
NIH3T3溶解物(10μgから出発して2倍希釈)をSDS−PAGEによって分離しそしてニトロセルロースに移した。膜をLI−COR Blocking Bufferを用いてブロックした。一次抗体は、Akt(マウスmAb)及びアクチン(ウサギmAb)に対するものであり、1:1000希釈した。アクチンを検出するための二次抗体はIRDye 800CW GAR(1:10,000)であった。Odyssey Infrared Imager上で(A)IRDye680 GAM(0.1μg/mL);(B)Alexa Fluor 680 GAM(0.1μg/mL);(C)化合物8GAM(0.1μg/mL)を用いてAktを検出した。
【0306】
再度、化合物8コンジュゲートはIRDye680と比べてより明るかった(図15A及び図15C)。化合物8GAMは、同等の目視上の検出限界を有してAlexa Fluor 680 GAMより低いバックグランドを示した(図15B〜C)。
《実施例56》
化合物8を用いたAktウエスタンブロット
【0307】
A431溶解物中のAktを検出するために化合物8GAMを用いて追加のウエスタンブロット実験(図16A〜B)を行った。実施例53に記載のように、染料標識化した抗体を希釈した。
【0308】
A431溶解物を10%Bis−Trisゲル上で分離し、Odysseyニトロセルロースに移しそしてOdyssey Blocking Buffer中でブロックした。実験Aとして、Odyssey Blocking Buffer中に希釈(1:1000)したAkt mAb(Cell Signaling Technologies社)を用いて膜を1時間インキュベートし、洗浄した後、化合物8GAM(0.1μg/mL)と1時間インキュベートした。0.2%Tween20を含むOdyssey Blocking Buffer中でそれを希釈した。実験の図16Bとして、Aに記載のようにして二次抗体中でのみ膜をインキュベートした。説明書の通りに(as directed)、全ての膜を洗浄し、Odyssey Infrared Imagerにより画像化した。
【0309】
図16Aは、広範囲のタンパク質濃度にわたるコンジュゲートの直線性を示している(50μg〜20ng;R2は0.9982であり溶解物30μg〜20ng)。
【0310】
化合物8二次抗体は、種々の溶解物(ジャーカット、HeLa、C32,A431及びNIH3T3)中のタンパク質への低い非特異的結合を有することが示された。一次抗体を用いないでウエスタンブロットを実施した場合の、この低い結合の例を図16Bに示す。タンパク質50μgの存在下でさえ、化合物8GAM抗体から信号はほとんど検出されない。
【0311】
上記の記述は説明することを意図するものであり限定することを意図するものでないことを理解されたい。上記の記述を読めば当業者には多くの実施態様が明白であろう。従って、本発明の範囲は、上記の記述に捉われずに決定されるべきであり、その代わりに特許請求の範囲の記載と等価の全範囲に従って、特許請求の範囲に関して決定されるべきである。特許出願、特許、及びPCT公報を含む、本願に記載した論文及び文献の開示内容は、あらゆる目的で参考までに本願明細書に引用する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2009年4月17日出願の米国仮特許出願第61/170,579号、及び2009年6月5日出願の米国仮特許出願第61/184,750号の優先権を主張する。あらゆる目的で参考までにこれらの出願の開示内容を本明細書に引用する。
【0002】
《発明の背景》
シアニン染料は、種々の用途、例えば、DNA塩基配列決定に対するリガンド又は生体分子を標識化するのに広く用いられてきた。(例えば、シアニン染料によるDNAのストランドを同定する典型的な方法についての米国特許第5,571,388号明細書参照。)科学者が生物学的用途にシアニン染料を好んで用いるのは、他にも理由がある中で、これらの染料の多くが近赤外(NIR)のスペクトル領域(600〜1000nm)の蛍光を発するからである。このことにより、シアニン染料は生体分子の自己発光由来の干渉を受けにくくなる。
【0003】
シアニン染料の他の利点として、例えば、以下を挙げることができる:1)シアニン染料は強く光を吸収しそして蛍光を発する;2)多くのシアニン染料は蛍光顕微鏡下で急速に白化しない;3)有効なカップリング試薬であるシアニン染料誘導体を作ることができる;4)多くの構造及び合成手順を利用することができ、そしてこの種類の染料は多目的に使用することができ;及び5)シアニン染料は比較的小さい(典型的な分子量は約1,000ダルトンである)ので、標識化された生体分子がその結合部位に到達し又はその機能を果たす能力を低下させることがあるような明らかな立体障害を惹起しない。
【0004】
それらの利点にもかかわらず、公知のシアニン染料の多くはいくつかの欠点を有している。公知のシアニン染料の中には、バイオアッセイにおいて通常見られる一定の試薬の存在下に安定でないものがある。かかる試薬として、水酸化アンモニウム、ジチオトレイトール(DTT)、第一級アミン、第二級アミン、及び過硫酸アンモニウム(APS)を挙げることができる。更に、公知のシアニン染料の中には、生物学的用途、例えば、DNA塩基配列決定、ウエスタンブロッティング、インセル(in-cell)ウエスタン免疫蛍光測定法、インビトロ又はインビボ光学的イメージング、顕微鏡検査法、及び遺伝子型決定に必要な熱安定性及び光安定性を欠いているものがあり、一方で、他の染料は対称性ではなく、このことはそれらの染料を高い純度及び収率で合成することをより困難にしている。(対称性の染料の利点については、米国特許第6,747,159号明細書参照。)
【0005】
これらの理由のため、安定でかつ対称性のシアニン染料が、生体分子の標識化並びに疾病、例えば、癌の診断及び予後のインビボ・イメージングに用いるのに必要とされる。かかる組成物及び方法は、種々の治療に対する応答の分析に役立つであろう。本発明は、これらの要求及び他の要求を満たす。
【0006】
《発明の簡潔な概要》
本発明は、化合物、バイオコンジュゲート、標識化の方法、及び非侵襲的に標的分子を測定又は検出する方法を提供し、このようにして上記した当該技術分野の問題を解決する。
【0007】
このようにして、本発明は、或る実施態様において、式I:
【化1】
で表される化合物を提供する。
【0008】
上記式I中、Qは、
【化2】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
Qは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
【0009】
R1はR130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0010】
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって更に置換されており;
【0011】
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
【0012】
R7は水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され;そして前記環はR140個〜3個又は環外アルケンによって更に置換されており、前記アルケンはR140個〜2個によって更に置換されており;
【0013】
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
【0014】
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
【0015】
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
【0016】
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
【0017】
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0018】
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
【0019】
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0020】
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0021】
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、アジド基、アルキニル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基(hydrazidyl)、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基(phosphoramidityl)、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員であり;前記化合物はバランスの取れた(balanced)電荷を有する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、式II:
【化3】
で表されるバイオコンジュゲートを提供する。
【0023】
上記式II中、QLは、
【化4】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
QLは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
【0024】
R1、R2a、R2b、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、及びYは、式Iで表される化合物について前記定義した通りであり、
【0025】
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの1つの構成員によって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;そして前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
【0026】
RLはそれぞれ、結合基及びそれによって結合された生体分子を含み、前記化合物はRL少なくとも1個を含み、そして前記化合物はバランスの取れた電荷を有する。
【0027】
更に別の実施態様において、本発明は、式Iを有する化合物とリガンド又は生体分子とを接触させて式IIで表される対応するバイオコンジュゲート化合物を生成することを含む、式Iで表される化合物を用いてリガンド又は生体分子を標識化する方法又はプロセスを提供する。
【0028】
更にまた別の実施態様において、種々の生物医学的用途において組織及び器官のインビトロ又はインビボの光学的イメージング剤として、式I又は式IIで表される化合物を用いることができる。或る観点において、本発明は、式I又は式IIで表される化合物を投与することを含むイメージング方法を提供する。
【0029】
本発明の更なる観点、目的、及び利点は、以下の詳細な記載及び図面を考慮することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】A〜Dは、本発明の染料8のヤギ抗マウス(GAM)抗体コンジュゲート(パネルA〜B)と商業的に入手可能なIRDye(商標)680染料(「LI−COR 680」)のGAM抗体コンジュゲート(パネルC〜D)との間のウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0031】
【図2】A〜Dは、本発明の染料8のストレプトアビジンコンジュゲート(パネルA〜C)と商業的に入手可能なIRDye(商標)680ストレプトアビジンコンジュゲート(「LI−CORストレプトアビジン680」)(パネルD)との間のウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0032】
【図3】A〜Bは、パネルAにメタノール中の化合物8の吸光度及び発光スペクトル(680nm)を;及びパネルBにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中の吸光度及び発光スペクトル(676nm)を示す。
【0033】
【図4】GAM抗体にコンジュゲートした化合物8の1:1PBS:メタノール中の吸光度スペクトルを示す。
【0034】
【図5】ラクトアルブミンにコンジュゲートした化合物8の1:1PBS:メタノール中の吸光度スペクトルを示す。
【0035】
【図6】化合物8を用いて種々のD/Pで標識化した一連のヤギ抗ウサギ(GAR)抗体試料の蛍光スペクトルを示す。
【0036】
【図7】Alexa Fluor 680を用いて種々のD/Pで標識化した一連のヤギ抗ウサギ(GAR)抗体試料の蛍光スペクトルを示す。
【0037】
【図8】化合物8とAlexa Fluor 680とのGAR抗体コンジュゲートのD/Pに応じた相対蛍光を示す。
【0038】
【図9】A〜Bは、50フェムトモル(fmole)(パネルA);及び25フェムトモル(パネルB)でのIRDye700DX、化合物8、及びAlexa Fluor 680の間の光安定性の比較を示す。
【0039】
【図10】A〜Bは、化合物8とAlexa Fluor 680との間の細胞染色及び相対蛍光の比較を示す(パネルA)。パネルBは、蛍光強度を比較する。
【0040】
【図11】A〜Cは、化合物8で標識化されたGAR抗体を用いたHER2タンパク質の免疫蛍光染色を示す。パネルA(「700チャネル」):ウサギ抗HER2mAb、それに続いてGAR二次抗体と細胞をインキュベートした。パネルB:サイトックスグリーン(Sytox green)を用いて核を染色した。パネルCに合成画像を示す。サイトックスグリーン検出に対する顕微鏡設定は、スペクトル幅20nmで中心を488nmとする励起フィルターを有していた。ダイクロックを495nmに設定し、そして発光フィルターはスペクトル幅50nmで中心を525nmとした。「700チャネル」についての検出設定は、スペクトル幅60nmで中心を620nmとする励起フィルターを有していた。ダイクロックを660nmに設定し、そして発光フィルターはスペクトル幅75nmで中心を700nmとした。
【0041】
【図12】A〜Cは、化合物8(パネルA);IRDye680(パネルB);及びAlexa Fluor 680(パネルC)とのβ−アクチンGAM抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0042】
【図13】細胞溶解物(cell lysate)の増加濃度におけるβ−アクチンGAM抗体コンジュゲートの蛍光強度の直線性を示す。
【0043】
【図14】化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680とのp38GAR抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。
【0044】
【図15】A〜Cは、IRDye680(パネルA);化合物8(パネルB);及びAlexa Fluor 680(パネルC)とのAktGAM抗体コンジュゲートの2色ウエスタンブロット全蛍光の比較を示す。それぞれの場合において、アクチンに対するウサギmAb(最下列(bottom series))は、IRDye800CW・GAR抗体コンジュゲートを用いて検出した。
【0045】
【図16】A〜Bは、化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680とのAktGAR抗体コンジュゲートのウエスタンブロット全蛍光比較を示す(パネルA)。一次抗体を用いない対照試験をパネルBに示す。
【0046】
《発明の詳細な説明》
《I.定義》
本明細書中で用いる「活性化アシル基」は、−C(O)−LG基を含む。「脱離基」又は「LG」は、求核性アシル置換(すなわち、−C(O)−LGのカルボニルへの求核性付加(nucleophilic addition)、それに続く脱離基の除去(elimination))による置換を受けやすい基である。代表的な脱離基として、ハロゲン原子、シアノ基、アジド基、カルボン酸誘導体、例えば、t−ブチルカルボキシ基、及びカーボネート誘導体、例えば、i−BuOC(O)O−基を挙げることができる。活性化アシル基は、カルボジイミドによって活性化され無水物または混合無水物−OC(O)Ra又は−OC(NRa)NHRb(式中、Ra及びRbはC1〜C6アルキル基、C1〜C6ペルフルオロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、シクロヘキシル基、3−ジメチルアミノプロピル基、若しくはN−モルホリノエチル基からなる群から独立して選択される構成員である)を形成するカルボン酸又は本明細書中で定義した通りの活性化エステル基であることがある。好ましい活性化アシル基として活性化エステル基を挙げることができる。
【0047】
本明細書中で用いる「活性化エステル基」は、エチルエステル基より求核性付加による置換及び除去を受けやすいカルボキシル基の誘導体(例えば、NHSエステル、スルホ−NHSエステル、PAMエステル又はハロフェニルエステル)を含む。活性化エステルの代表的なカルボニル置換基として、スクシンイミジルオキシ基(−OC4H4NO2)、スルホスクシンイミジルオキシ基(−OC4H3NO2SO3H)、−1−オキシベンゾトリアゾリル基(−OC6H4N3);4−スルホ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基;又は電子吸引性置換基、例えば、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はそれらの組み合わせ(例えば、ペンタフルオロフェニルオキシ基)によって場合により1回以上置換されていることがあるアリールオキシ基を挙げることができる。好ましい活性化エステルとして、スクシンイミジルオキシエステル及びスルホスクシンイミジルオキシエステルを挙げることができる。
【0048】
本明細書中で用いる「アシル基」は、本明細書中で定義した通りのアルカノイル基、アロイル基、ヘテロシクロイル基、又はヘテロアロイル基を含む。代表的なアシル基として、アセチル基、ベンゾイル基、ニコチノイル基等を挙げることができる。
【0049】
本明細書中で用いる「アルカノイル基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−C(O)−基を含む。代表的なアルカノイル基として、アセチル基、エタノイル基等を挙げることができる。
【0050】
本明細書中で用いる「アルケニル基」は、炭素−炭素二重結合又は三重結合少なくとも1個を含む、炭素原子2個〜約15個の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を含む。好ましいアルケニル基は炭素原子2個〜約12個を有している。より好ましいアルケニル基は炭素原子2個〜約6個を含んでいる。或る観点において、炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基が好ましい。第二の観点において、炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基が好ましい(例えば、アルキニル基)。本明細書中で用いる「低級アルケニル基」は、炭素原子2個〜約6個のアルケニル基を含む。代表的なアルケニル基として、ビニル基、アリル基、n−ブテニル基、2−ブテニル基、3−メチルブテニル基、n−ペンテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、プロピニル基、2−ブチニル基、3−メチルブチニル基、n−ペンチニル基、ヘプチニル基等を挙げることができる。
【0051】
本明細書中で用いる「アルケニレン基」は、炭素−炭素二重結合又は三重結合少なくとも1個を含む直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素基を含む。好ましいアルケニレン基は鎖中に炭素原子2個〜約12個を含み、そしてより好ましくはアルケニレン基は鎖中に炭素原子2個〜6個を含む。或る観点において、炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基が好ましい。第2の観点において、炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基が好ましい。代表的なアルケニレン基として、−CH=CH−、−CH2−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH2CH=CHCH2−、エチニレン基、プロピニレン基、n−ブチニレン基等を挙げることができる。
【0052】
本明細書中で用いる「アルコキシ基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−基を含む。代表的なアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヘプトキシ基等を挙げることができる。
【0053】
本明細書中で用いる「アルコキシアルキル基」は、式中のアルキル基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−アルキレン−基を含む。代表的なアルコキシアルキル基として、メトキシエチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基及びシクロペンチルメチルオキシエチル基を挙げることができる。
【0054】
本明細書中で用いる「アルコキシカルボニル基」は、エステル基;すなわち、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−CO−基を含む。代表的なアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0055】
本明細書中で用いる「アルコキシカルボニルアルキル基」は、式中のアルキル基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−O−CO−アルキレン−基を含む。代表的なアルコキシカルボニルアルキル基として、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0056】
本明細書中で用いる「アルキル基」は、鎖中に炭素原子約1個〜約20個を有する、直鎖又は分枝鎖であることができる、脂肪族炭化水素基を含む。好ましいアルキル基は鎖中に炭素原子1個〜約12個を有する。より好ましいアルキル基は鎖中に炭素原子1個〜6個を有する。本明細書中で用いる「分枝鎖」は、1個以上の低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基が直鎖状アルキル鎖に結合している分枝鎖を含む。本明細書中で用いる「低級アルキル」は、鎖中に炭素原子1個〜約6個、好ましくは、炭素原子5個又は6個を含み、直鎖又は分枝鎖であることができる。代表的なアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、及び3−ペンチル基を挙げることができる。
【0057】
本明細書中で用いる「アルキレン基」は、炭素原子1個〜約6個の直鎖又は分枝鎖の二価の炭化水素鎖を含む。好ましいアルキレン基は、炭素原子1個〜約4個を有する低級アルキレン基である。代表的なアルキレン基として、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
【0058】
本明細書中で用いる「アルキルチオ基」は、式中のアルキル基が本明細書中で定義した通りである、アルキル−S−基を含む。好ましいアルキルチオ基は、アルキル基が低級アルキル基であるアルキルチオ基である。代表的なアルキルチオ基として、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、ヘプチルチオ基等を挙げることができる。
【0059】
本明細書中で用いる「アルキルチオアルキル基」は、式中のアルキルチオ基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アルキルチオ−アルキレン−基を含む。代表的なアルキルチオアルキル基として、メチルチオメチル基、エチルチオプロピル基、イソプロピルチオエチル基等を挙げることができる。
【0060】
本明細書中で用いる「アミド基」は、式中のY1及びY2が独立して水素原子、アルキル基、若しくはアルケニル基であるか;又はY1及びY2が、Y1及びY2が結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のアザヘテロシクリル基(例えば、ピペリジニル基)を形成する、式Y1Y2N−C(O)−で表される基を含む。代表的なアミド基として、第一級アミド(H2N−C(O)−)基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基等を挙げることができる。好ましくは、「アミド基」は、式中のR及びR’が水素原子及びアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、−C(O)NRR’基である。より好ましくは、R及びR’の少なくとも1つが水素原子である。
【0061】
本明細書中で用いる「アミドアルキル基」は、式中のアミド基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アミド−アルキレン−基を含む。代表的なアミドアルキル基として、アミドメチル基、アミドエチル基、ジメチルアミドメチル基等を挙げることができる。
【0062】
本明細書中で用いる「アミノ基」は、式中のY1及びY2が独立して水素原子、アシル基、若しくはアルキル基であるか;又はY1及びY2が、Y1及びY2が結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のアザヘテロシクリル基(例えば、ピペリジニル基)を形成する、式Y1Y2N−で表される基を含む。場合により、Y1及びY2が独立して水素原子又はアルキル基である場合には、追加の置換基が窒素原子に付加されて第四級アンモニウムイオンを作ることができる。代表的なアミノ基として、第一級アミノ基(H2N−)、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等を挙げることができる。好ましくは、「アミノ基」は、式中のR及びR’がH原子及びアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、−NRR’基である。好ましくは、R及びR’の少なくとも1つがH原子である。
【0063】
本明細書中で用いる「アミノアルキル基」は、式中のアミノ基及びアルキレン基が本明細書中で定義されている、アミノ−アルキレン−基を含む。代表的なアミノアルキル基として、アミノメチル基、アミノエチル基、ジメチルアミノメチル基等を挙げることができる。
【0064】
本明細書中で用いる「アロイル基」は、式中のアリール基が本明細書中で定義されている、アリール−CO−基を含む。代表的なアロイル基としてベンゾイル基、ナフト−1−オイル基及びナフト−2−オイル基を挙げることができる。
【0065】
本明細書中で用いる「アリール基」は、炭素原子6個〜約14個、好ましくは炭素原子6個〜約10個の単環式又は多環式芳香環系を含む。代表的なアリール基として、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
【0066】
本明細書中で用いる「芳香環」は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及び窒素原子からなる群から選択されるヘテロ原子0個〜4個を含んでいることができる、5〜12員の単環式又は縮合多環式芳香族部分を含む。典型的な芳香環として、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ナフタレン、ベンザチアゾリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ベンズインドール、キノリン等を挙げることができる。芳香環基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルキル基、シアノ基、スルホナト基、アミノスルホニル基、アリール基、スルホニル基、アミノカルボニル基、カルボキシ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アミノ基及び置換された若しくは置換されていない置換基によって1個以上の位置で置換されていることができる。
【0067】
本明細書中で用いる「バランスの取れた電荷」は、化合物及びそれに関連した対イオンに対する正味電荷(net charge)が標準的な生理学的条件下でゼロであることを含む。バランスの取れた電荷を達成するために、本明細書中の化合物のインドリニウム環の+1電荷のバランスをとるスルホナト基の最初の付加(first additional)後に、カチオン性の対イオン(例えば、I族金属の陽イオン、例えば、ナトリウム)を添加して付加したスルホナト基由来の陰電荷のバランスを取る必要がある。同様に、アニオン性の対イオンを添加して、任意の付加的な(additional)カチオン基(例えば、生理学的条件下で大部分のアミノ基)のバランスをとる必要がある。
【0068】
本明細書中で用いる「生体分子」は、生物学的系に用いるための天然又は合成分子を含む。好ましい生体分子として、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、炭水化物誘導体、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、ヌクレオチドトリホスフェート、アシクロターミネータートリホスフェート(acyclo terminator triphosphates)、PNA等を挙げることができる。より好ましい生体分子として、タンパク質、ペプチド、抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を挙げることができる。更により好ましい生体分子として、抗体、アビジン、及びストレプトアビジンを挙げることができる。
【0069】
本明細書中で用いる「カルボキシ基」及び「カルボキシル基」は、HOC(O)−基(すなわち、カルボン酸)又はその塩を含む。
【0070】
本明細書中で用いる「カルボキシアルキル基」は、式中のアルキレン基が本明細書中で定義されている、HOC(O)−アルキレン−基を含む。代表的なカルボキシアルキル基として、カルボキシメチル(すなわち、HOC(O)CH2−)基及びカルボキシエチル(すなわち、HOC(O)CH2CH2−)基を挙げることができる。
【0071】
本明細書中で用いる「シクロアルキル基」は、炭素原子約3個〜約10個、好ましくは、炭素原子約5個〜約10個の単環式又は複環式非芳香環系を含む。より好ましいシクロアルキル環は、環原子5個又は6個を含む。シクロアルキル基は、場合により、sp2混成炭素原子少なくとも1個を含んでいることがある(例えば、環内又は環外オレフィンを含む環)。代表的な単環式シクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基等を挙げることができる。代表的な複環式シクロアルキル基として、1−デカリン基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0072】
本明細書中で用いる「シクロアルキレン基」は、炭素原子約4個〜約8個を有する二価シクロアルキル基を含む。好ましいシクロアルキレニル基として、1,2−、1,3−、又は1,4−シス若しくはトランス−シクロヘキシレン基を挙げることができる。
【0073】
本明細書中で用いる「シアニン染料」は、不飽和架橋(unsaturated bridge)によって結合された2つの置換又は非置換の窒素原子含有複素環式環を有する化合物を含む。
【0074】
本明細書中で交換可能に用いる「環外アルケン」又は「環外オレフィン」は、環の一部であるアルケン炭素原子1個及び同じ環の部分ではないが第二の環内に含まれていることができる他のアルケン炭素原子を有するアルケンを含む。第二のアルケン炭素原子は、置換されていなくても又は置換されていてもよい。第二のアルケン炭素原子が二置換されている場合には、それらの置換基は同じであるか(例えば、1,1−ジメチル置換)又は異なっている(例えば、1−メチル−1−(2−エトキシエチル)置換)ことができる。環外アルケンを有する化合物の例として、メチレンシクロヘキサン;(E)−1−エチリデン−2,3−ジヒドロ−1H−インデン;ペンタン−3−イリデンシクロヘプタン;2−シクロブチリデンプロパン−1−オール;及び(3−メトキシシクロペント−2−エニリデン)シクロヘキサンを挙げることができる。
【0075】
本明細書中で用いる「ハロ」又は「ハロゲン原子」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを含む。
【0076】
本明細書中で用いる「ヘプタメチン」は、ポリメチン炭素原子7個を含有するポリメチンを含む。好ましい実施態様では、ヘプタメチンは4位で置換されている。
【0077】
本明細書中で用いる「ヘテロ原子」は、炭素原子又は水素原子以外の原子を含む。典型的なヘテロ原子はO、S、及びNを含む。ヘテロ原子の窒素原子又は硫黄原子は、場合により、対応するN−オキシド、S−オキシド(スルホキシド)、又はS,S−ジオキシド(スルホン)に酸化されていることがある。好ましい観点において、ヘテロ原子はアルキレン炭素原子に対する少なくとも2つの結合を有している(例えば、−C1〜C9アルキレン−O−C1〜C9アルキレン−)。或る実施態様において、ヘテロ原子はアシル基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、又はヘテロアリール基によって更に置換されている(例えば、−N(Me)−;−N(Ac)−)。
【0078】
本明細書中で用いる「ヘテロアロイル基」は、式中のヘテロアリール基が本明細書中で定義した通りであるヘテロアリール−C(O)−基を含む。代表的なヘテロアロイル基として、チオフェノイル基、ニコチノイル基、ピロロ−2−イルカルボニル基、ピリジノイル基等を挙げることができる。
【0079】
本明細書中で用いる「ヘテロシクロイル基」は、式中のヘテロシクリル基が本明細書中で定義した通りである、ヘテロシクリル−C(O)−基を含む。代表的なヘテロシクロイル基として、N−メチルプロリノイル基、テトラヒドロフラノイル基等を挙げることができる。
【0080】
本明細書中で用いる「ヘテロシクリル基」は、環系中の原子1個以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素又は硫黄である、環原子約3個〜約10個の、好ましくは、環原子約5個〜約10個の飽和の単環式又は多環式非芳香環系を含む。好ましいヘテロシクリル基は、環原子約5個〜約6個を含む。ヘテロシクリル基は、場合により、sp2混成原子少なくとも1個を含んでいることがある(例えば、カルボニル基、環内オレフィン又は環外オレフィンを含む環)。ヘテロシクリルの前の接頭語「アザ」、「オキサ」又は「チア」は、少なくとも窒素原子、酸素原子又は硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル基の窒素原子又は硫黄原子は、場合により、対応するN−オキシド、S−オキシド又はS,S−ジオキシドに酸化されていることがある。代表的な単環式ヘテロシクリル環として、ピペリジル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チアゾリジニル基、1,3−ジオキソラニル基、1,4−ジオキサニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。本明細書中で用いる「ヘテロシクリレン基」は、二価のヘテロシクリル基を含む。代表的なシクロアルキレニル基として、1,2−、1,3−、又は1,4−ピペルジニレン(piperdinylene)基並びに2,3−又は2,4−シス又はトランス−ピペリジニレン基を挙げることができる。
【0081】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール基」は、環系中の原子少なくとも1個が炭素以外の元素、すなわち、窒素、酸素又は硫黄である、環原子約5個〜約14個の、好ましくは、環原子約5個〜約10個の単環式又は多環式芳香環系を含む。好ましいヘテロアリール基は、環原子約5個〜約6個を含む。ヘテロアリールの前の接頭語「アザ」、「オキサ」又は「チア」は、少なくとも窒素原子、酸素原子又は硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロアリール基の窒素原子は、場合により、対応するN−オキシドに酸化されていることがある。代表的なヘテロアリール基として、ピラジニル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジン基、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル基、ベンゾフラザニル基、インドリル基、アザインドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチエニル基、キノリニル基、イミダゾリル基、チエノピリジル基、キナゾリニル基、チエノピリミジル基、ピロロピリジル基、イミダゾピリジル基、イソキノリニル基、ベンゾアザインドリル基、1,2,4−トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等を挙げることができる。
【0082】
本明細書中で用いる「ヒドロキシアルキル基」は、ヒドロキシ基1個又は2個以上で置換されている本明細書中で定義した通りであるアルキル基を含む。好ましいヒドロキシアルキル基は低級アルキル基を含む。代表的なヒドロキシアルキル基として、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基を挙げることができる。
【0083】
本明細書中で用いる「結合基」は、式Iで表される化合物を生体分子と結合する原子を含む。表1は結合基の好ましい結合のリスト(すなわち、C欄)を含んでおり;結合基は得られた結合を含みそして場合により追加の原子を含んでいることができる。R. Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Molecular Probes, Inc. (1992)も参照されたい。或る実施態様において、R16は生体分子との結合反応前の結合基前駆物質を表し、そしてRLは式Iで表される化合物と生体分子との間で得られた結合を表す(すなわち、RLは結合基及び該結合基によって結合した生体分子を含む)。好ましい反応性官能基として、ホスホルアミジット基、活性化エステル基(例えば、NHSエステル基)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、マレイミド基及びヨードアセトアミド基を挙げることができる。
【0084】
本明細書中で用いる「メチン炭素原子」又は「ポリメチン炭素原子」は、ポリメチン架橋によって2つの複素環式環を直接結合する炭素原子を含む。好ましい実施態様によれば、ポリメチン架橋の少なくとも1つのポリメチン炭素原子は、別の基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基(例えば、−CH=CH−C(Ar)=CH−CH=又は=CH−CH=C(Ar)−(CH=CH)2−)によって更に置換されている。
【0085】
本明細書中で用いる「オキソ基」は、式>C=Oで表される基(すなわち、カルボニル基−C(O)−)を含む。
【0086】
本明細書中で用いる「ペンタメチン基」は、ポリメチン炭素原子5個を含むポリメチン基を含む。好ましい実施態様において、ペンタメチン基は3位で置換されている。
【0087】
本明細書中で用いる「ポリエン基」は、本明細書中で定義した通りの結合している「アルケニレン」基少なくとも2個を含む直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素鎖を含む。ポリエン基は、場合により、本明細書中で定義した通りの「アルキレン基置換基」1個以上で置換されていることがある。ポリエンの部分は環中に含めることができる(すなわち、式中のR及び末端結合(terminal bond)がより大きい環に結合している、=C(R)−;又は式中のR1及びR2がより大きい環に結合している、−C(R1)=C(R2)−)。代表的なポリエンとして、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−C(Ar)=CH−CH=C(R)−、−C(R)=CH−CH=C(Ar)−(CH=CH)2−等を挙げることができる。
【0088】
本明細書中で用いる「ポリメチン基」又は「ポリメチン架橋」は、式Iで表される化合物の2つの窒素原子含有複素環式環に直接結合した不飽和架橋を形成する一連の結合したsp2混成炭素原子を含む。好ましい実施態様によれば、ポリメチン基は複素環式環に直接結合した炭素原子5個又は7個を含む(すなわち、ペンタメチン又はヘプタメチン)。
【0089】
本明細書中で用いる「ホスホルアミジチル基」は、アルコキシ基2個及びアミノ基に結合した三価のリン原子を含む。
【0090】
本明細書中で用いる「スピロシクロアルキル基」は、炭素原子上のジェミナル置換基が置き換えられて1,1−置換された環を形成するシクロアルキル基を含む。
【0091】
本明細書中で用いる「スルホナト基」は、好ましくはカチオン、例えば、H+、Na+、K+等によってバランスされた−SO3−基を含む。
【0092】
本明細書中で用いる「スルホナトアルキル基」は、式中のスルホナト基及びアルキレン基が本明細書中で定義した通りであるスルホナト−アルキレン−基を含む。より好ましい実施態様は、炭素原子2個〜6個を有するアルキレン基を含み、そして最も好ましい実施態様は炭素原子2個、3個又は4個を有するアルキレン基を含む。代表的なスルホナトアルキル基として、スルホナトメチル基、3−スルホナトプロピル基、4−スルホナトブチル基、5−スルホナトペンチル基、6−スルホナトヘキシル基等を挙げることができる。
【0093】
《II.シアニン染料化合物》
或る実施態様において、本発明は式I:
【化5】
で表される化合物を提供する。
【0094】
上記式I中、Qは、式:
【化6】
でそれぞれ表される、メチン炭素原子1個のセグメント及びメチン炭素原子3個のセグメントからなる群から選択される構成員であり、式中のセグメントはメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分である。
【0095】
好ましい観点において、Qは、式:
【化7】
で表されるペンタメチンであるポリメチン架橋の一部である。
【0096】
第二の好ましい観点において、Qは、式:
【化8】
で表されるヘプタメチンであるポリメチン架橋の一部である。
【0097】
代わりの好ましい観点において、ポリメチン架橋は、式:
【化9】
で表される置換ヘプタメチンである。
【0098】
より好ましくは、置換ヘプタメチンは、式:
【化10】
で表されるシクロアルキル環を含む。
【0099】
R1は、R130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、R1はC2〜C12アルキル基である。より好ましい観点において、R1はC2〜C8アルキル基である。更により好ましい観点において、R1はC2〜C6アルキル基である。なお更により好ましい観点において、R1はエチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基であり、R1はR131個によって更に置換されている。
【0100】
好ましい観点において、R1は(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そしてrは1〜20の整数である。より好ましい観点において、rは2、3又は4である。
【0101】
代わりの好ましい観点において、R1は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基及びスルホナト基からなる群から選択されるR131個で更に置換されているアルキル基である。より好ましい観点において、R1のR13置換基はカルボキシ基又はスルホナト基である。更により好ましい観点において、R1の置換基R13はスルホナト基である。なお更により好ましい観点において、R1は、スルホナトエチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、又はスルホナトペンチル基である。
【0102】
別の代わりの好ましい観点において、R1は、R131個で更に置換されている非分枝アルキル基である。より好ましい観点において、R1は、シアニン染料複素環窒素原子へのその結合点と反対のアルキル基の末端でR13によって置換されている非分枝アルキル基である。更により好ましい観点において、R1は、2−スルホナトエチル基、3−スルホナトプロピル基、4−スルホナトブチル基、又は5−スルホナトペンチル基である。なお更により好ましい観点において、R1は、3−スルホナトプロピル基又は4−スルホナトブチル基である。
【0103】
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している原子と一緒になって又はスピロシクロアルキル環となり、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されている。
【0104】
好ましい観点において、R2a及びR2bは同じである。より好ましい観点において、R2a及びR2bはアルキル基、アルケニル基、アミノアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、R2a及びR2bはアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、R2a及びR2bはメチル基である。
【0105】
代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは異なる。より好ましい観点において、R2aはアルキル基であり、そしてR2bはアルキル基、アルケニル基、アミノアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基からなる群から選択される。更により好ましい観点において、R2aはアルキル基であり、そしてR2bはアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基からなる群から選択される。
【0106】
別の代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環を形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されている。より好ましい観点において、R2a及びR2bは、シクロペンチル環又はシクロヘキシル環を形成する。代わりのより好ましい観点において、R2a及びR2bは、R140個〜6個によって更に置換されているシクロペンチル環又はシクロヘキシル環を形成する。更により好ましい観点において、R14はアルキル基である。なお更により好ましい観点において、R14はメチル基である(例えば、3,3−又は4,4−ジメチル置換)。
【0107】
なお別の代わりの好ましい観点において、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、環外アルケンを形成し、前記環外アルケンはR140個〜2個によって更に置換されている。より好ましい観点において、環外アルケンは対称的に置換されている(例えば、非置換;ジアルキル;ジシアノ)。代わりに、環外アルケンはR14基2個によって置換されている。更により好ましくは、環外アルケンのR14置換基はシアノ基である。
【0108】
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アミノ基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されている。
【0109】
第1の観点において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アミノ基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である。好ましい観点において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルファナト(sulfanato)基、及びスルファナトアルキル(sulfanatoalkyl)基からなる群から独立して選択される構成員である。より好ましい実施態様において、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子及びスルファナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0110】
別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、水素原子である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に1つの構成員は水素原子である。好ましい観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の少なくとも1つは水素原子である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員は水素原子である。より好ましい観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員は水素原子である。更により好ましい観点において、R3、R4、及びR6は水素原子である。
【0111】
別の代わりの観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群から選択される正確に1つの置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。好ましい観点において、R5はスルホナト基である。更に別の観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の構成員はそれぞれ、スルホナト基又はスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員はそれぞれ独立して、スルホナト基又はスルホナトアルキル基から選択される。更にまた別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員はそれぞれ独立して、スルホナト基又はスルホナトアルキル基から選択される。
【0112】
別の代わりの観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の少なくとも1つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である(例えば、スルホナト−SO3−、カルボキシ−CO2−)。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に1つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。好ましい観点において、R5は、生理学的pHにおいてアニオン性である。更に別の観点において、対R3及びR4;R3及びR5;R3及びR6;R4及びR5;R4及びR6;R5及びR6から選択される置換基の対の構成員はそれぞれ、生理学的pHにおいてアニオン性である。代わりに、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に2つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。更にまた別の観点において、R3、R4、R5及びR6からなる群の正確に3つの構成員は、生理学的pHにおいてアニオン性である。
【0113】
第2の観点において、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、該構成員の対が結合する原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されている。好ましい観点において、R5及びR6は、該構成員の対が結合する原子の対と一緒になって、R140個〜2個によって更に置換されているフェニル環を形成する。より好ましい観点において、フェニル環はR141個〜2個によって更に置換されている。更により好ましい観点において、フェニル環はR142個によって更に置換されている。
【0114】
好ましい観点において、Rn及びRn+1から形成されるアリール環(例えば、R5及びR6から形成されるアリール環)のR14置換基は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホナト基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、R14置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基である。代わりの好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、シアノ基である。
【0115】
より好ましい観点において、Rn及びRn+1から形成されるアリール環はR141個〜2個によって更に置換されており、そしてアリール環のR14置換基はインドリニウム環との環接合に隣接する炭素原子に結合している。代わりに、アリール環はR141個〜2個によって更に置換されており、そしてアリール環のR14置換基はインドリニウム環との環接合に隣接しない炭素原子に結合している。代わりに、アリール環は隣接する置換基1個及び隣接しない置換基1個によって更に置換されている(例えば、式Iaで表される化合物)。
【0116】
代わりに、好ましい観点において、化合物は式Ia:
【化11】
を有している。
【0117】
更により好ましい観点において、式Iaで表されるベンゾインドリニウムR14置換基は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホナト基、又はスルホナトアルキル基である。更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、ベンゾインドリニウムR14置換基は、スルホナト基である。
【0118】
R7は水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されている。
【0119】
或る観点において、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環はR140個〜3個によって更に置換されている。より好ましい観点において、環は6員環である(例えば、両方のR7が一緒になってプロピリデン結合基を形成する)。更により好ましい観点において、環はシクロヘキシルである。
【0120】
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zである。
【0121】
或る観点において、R8は−L−Y−Zである。代わりに、R9は−L−Y−Zである。
【0122】
第2の観点において、R8は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R8は水素原子である。別のより好ましい観点において、R8はフルオロ基である。
【0123】
代わりに、R9は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R9は5−カルボキシペンチル基である。代わりに、R9は4−カルボキシブチル基である。
【0124】
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0125】
第1の観点において、R10は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R10は水素原子である。代わりに、R10はフルオロ基である。
【0126】
第2の観点において、R11は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R11は水素原子である。代わりに、R11はフルオロ基である。更により好ましい観点において、R10及びR11は水素原子である。
【0127】
第3の観点において、R12は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。より好ましい観点において、R12は水素原子である。代わりに、R12はフルオロ基である。更により好ましい観点において、R10及びR12は水素原子である。代わりに、R11及びR12は水素原子である。なお更により好ましい観点において、R10、R11、及びR12は水素原子である。
【0128】
第4の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、水素原子以外の、独立して選択された置換基によって1,2,3−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である(例えば、R8は−L−Y−ZでありかつR9はアルキル基である;R8はハロ−でありかつR9は−L−Y−Zである)。代わりに、環は1,2,4−置換されている。代わりに、環は1,2,5−置換されている。代わりに、環は1,2,6−置換されている。代わりに、環は1,3,4−置換されている。代わりに、環は1,3,5−置換されている。代わりに、環は1,3,6−置換されている。
【0129】
第5の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、水素原子以外の、独立して選択された置換基によって1,2,3,4−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である。代わりに、環は1,2,3,5−置換されている。代わりに、環は1,2,3,6−置換されている。代わりに、環は1,2,4,5−置換されている。代わりに、環は1,2,4,6−置換されている。代わりに、環は1,2,5,6−置換されている。代わりに、環は1,3,4,5−置換されている。代わりに、環は1,3,4,6−置換されている。代わりに、環は1,3,5,6−置換されている。
【0130】
第6の観点において、R8、R9、R10、R11、及びR12で置換されたフェニル環は、独立して選択された水素原子以外の置換基によって1,2,3,4,5−置換されており、そして1−置換基はポリメチン架橋である。代わりに、環は1,3,4,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,4,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,3,5,6−置換されている。代わりに、環は1,2,3,4,6−置換されている。代わりに、環はそれぞれの環位置で独立して置換されている。
【0131】
第7の観点において、R8、R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。
【0132】
第8の観点において、フェニル環とその置換基R8、R9、R10、R11、及びR12との組み合わせは、炭素原子少なくとも10個を有する。
【0133】
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員である。好ましい実施態様では、R13は、カルボキシル基、アミド基、又はアルコキシカルボニル基である。より好ましい実施態様では、R13はカルボキシル基である。代わりに、R13はスルホナト基である。代わりに、R13はシアノ基である。
【0134】
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されている。好ましい観点において、R14は、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、又はアルコキシカルボニルアルキル基である。代わりに、R14はスルホナト基である。更に好ましい観点において、R14は、アルキル基、又はR131個によって置換されたアルキル基である。代わりに、R14は、カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はスルホナトアルキル基である。
【0135】
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、Lは存在しない。代わりに、Lは、エーテル結合によって中断されたC1〜C10アルキレン基である(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。
【0136】
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員である。好ましい観点において、Yは単結合である。代わりに、Yは−O−である。代わりに、Yは、場合によりアミド窒素原子においてR15によって置換されていることがあるアミド基である。
【0137】
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。より好ましい観点において、Zは、C1〜C6アルキル基である。代わりに、Zは、エーテル結合によって中断されている(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。更により好ましい観点において、Zは、カルボキシアルキル基又はスルホナトアルキル基である。なお更により好ましい観点において、Zは、5−カルボキシペンチル基又は4−カルボキシブチル基である。
【0138】
別の代わりの好ましい観点において、−L−Y−は(CH2)tであり;Zはカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtは1〜10の整数である。
【0139】
更に別の代わりの好ましい観点において、Zは任意であり、そしてR13又はR16は−L−Y−に直接結合しているか又はL及びYが存在しない場合はフェニル環自体に直接結合している。
【0140】
なお更に別の代わりの好ましい観点において、−L−Y−Zは、炭素原子少なくとも4個を有している。代わりに、Zは炭素原子少なくとも4個を有している。
【0141】
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがある。好ましい観点において、R15はアルキル基である。より好ましい観点において、R15は低級アルキル基である。代わりに、R15は、エーテル結合によって中断されている(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)。
【0142】
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員である。好ましい観点において、R16は、活性化アシル基、マレイミジル基、ホスホルアミジチル基、又はグリシジル基である。より好ましい実施態様では、R16は、活性化アシル基である。代わりに、R16は、活性化エステル基である。更により好ましい実施態様によると、R16は、スクシンイミジルオキシ−エステル基又はスルホスクシンイミジルオキシ−エステル基である。
【0143】
前記化合物はバランスがとれた電荷を有する。好ましい観点において、アルカリ金属対イオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)によって前記化合物の正味アニオン電荷のバランスをとる。より好ましい観点において、少なくとも1つの対イオンはナトリウムである。代わりに、全ての対イオンがナトリウムである。
【0144】
好ましい観点において、Qは、式:
【化12】
であり;そしてR3、R4、R5及びR6はそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である。前記Qは、例えば、式Iaの一部である。
【0145】
より好ましい観点において、前記化合物は式:
【化13】
を有する。
【0146】
第2のより好ましい観点において、前記化合物は式:
【化14】
を有する。
【0147】
代わりに、或る観点において、活性化アシル基がカルボキシ基の代わりに存在する。更により好ましい観点において、活性化アシル基は活性化エステル基である。更になおより好ましい観点において、活性化エステル基はスクシンイミジルオキシ−エステル基である。
【0148】
第1の観点において、式Iで表される化合物は、約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する。好ましくは、前記化合物は、約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する。より好ましくは、前記化合物は、約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する。代わりに、前記化合物は、約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する。
【0149】
本発明の1つの好ましい観点は、両方の複素環式環に同じ置換基を有する化合物である(例えば、R1は、場合により電荷バランスを取るために異なる対イオンを有していることがある、同じスルホナトアルキル基である)。このことは、化合物の合成及び精製の間に利点を与える。
【0150】
本願は、種々のジアステレオマー、エナンチオマー、及び当業者に明らかなオレフィン立体異性体を含み、本明細書中に記載した化合物の可能な立体異性体の全てを広く包含する。本願は更に、当該技術分野で周知であるシアニン染料化合物の立体異性体のあらゆる精製方法並びにこれらの方法によって得られるあらゆる精製化合物に関する。
【0151】
《III.式Iで表される化合物》
1つの観点において、ポリメチン架橋としての置換基を既に含んでいるジアルデヒド又はジアルデヒド等価物(例えば、シッフ塩基)との反応によって、式Iで表される好ましいシアニン化合物を製造する。ジアルデヒドの典型的な製法は、係属中の米国特許出願第12/065,391号(米国公開特許第2008/0267883A1号)に含まれている。シッフ塩基の典型的な製法は、米国特許第6,747,159号明細書に含まれている(Ar=Ph;ピリジン/Ac2O,Δ)。ポリメチン架橋の合成後に場合により置換基を改変することができる(例えば、脱保護、生体分子との反応のための活性化、又は結合基を形成する反応)。
【化15】
【0152】
別の観点において、ポリメチン架橋に置換基を導入する有機金属カップリングによって、式Iで表される好ましいシアニン化合物を製造する。より好ましくは、パラジウムカップリングによって置換基を取り込む。その取り込み後に、場合により置換基を改変することができる(例えば、脱保護、生体分子との反応のための活性化、又は結合基を形成する反応)。
【0153】
鈴木カップリングとしても知られる鈴木・宮浦反応はその発見以来、広く有機合成に用いられてきた:Miyaura, N.; Yamada, K.; Suzuki, A. Tetrahedron Lett. 1979, 36, 3437-3440。最近には、鈴木カップリングを用いて、水溶性シアニン染料のヘプタメチン架橋の中央位置に、置換されたアリール置換基が取り込まれた:Lee, H.; Mason, J. C.; Achilefu, S. J. Org. Chem. 2006, 71, 7862-7865。
【0154】
しかしながら、塩基を用いた加熱の標準的な鈴木カップリング条件下では多くのシアニン染料が分解するため、シアニン染料の合成にそれを用いる例はほとんど知られていない。
【0155】
本発明のとりわけ好ましい観点において、その一部を本明細書の実施例中で詳記するが、鈴木カップリング反応によって式Iで表される化合物の置換基を取り込む。或る実施態様において、鈴木カップリングのためのポリメチン基体は、3−ハロペンタメチン又は4−ハロヘプタメチンである。好ましい実施態様では、ハロ−置換基は、クロリド又はブロミドである。より好ましい実施態様では、ハロ−置換基は、ブロミドである。
【0156】
シアニン染料の他の製造方法及びその合成前駆体は、Hamer, F. M., Cyanine Dyes and Related Compounds, Weissberger, Mass., ed. Wiley Interscience, N.Y. 1964;及びMojzych, M., Henary, M. “Synthesis of Cyanine Dyes,” Top. Heterocycl. Chem., vol. 14, Springer Berlin, Heildelberg, 2008, pp. 1-9に包括されている。更に、米国特許第4,337,063号明細書;4,404,289号明細書;及び4,405,711号明細書は、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基を有する種々のシアニン染料の合成を記載している。米国特許第4,981,977号明細書は、カルボン酸基を有するシアニン染料の合成を記載している。米国特許第5,268,486号明細書は、アリールスルホネートシアニン染料の製造方法を記載している。米国特許第6,027,709号明細書は、ホスホルアミジット基を有するシアニン染料の製造方法を開示している。米国特許第6,048,982号明細書は、イソチオシアネート、イソシアネート、ホスホルアミジット、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ピリジン、モノ−又はジ−ハロゲン置換ジアジン、アジリジン、スルホニルハリド、酸ハリド、ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、グリオキサール及びアルデヒドからなる群から選択される反応性基を有するシアニン染料の製造方法を開示している。
【0157】
1つの共通の合成経路は、その一部を本明細書の実施例中で詳記する、当該技術分野で周知の方法による置換又は非置換のインドールスルホン酸第四級塩の製造を伴う。特に好ましいインドール第四級塩として、中でも、本明細書に例示するインドールスルホン酸第四級塩及びベンゾインドールスルホン酸第四級塩を挙げることができる。
【0158】
次いで、その一部を本明細書の実施例に詳記するが、当該技術分野で周知の技術及び反応条件によって、合成した塩の対をジアルデヒド又はジアルデヒド等価物(例えば、シッフ塩基)と反応させてポリメチン架橋を形成する。典型的なシッフ塩基として、N−[(3−アニリノメチレン)−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチレン]アニリンモノヒドロクロリド及びN−(2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミドを挙げることができる。シッフ塩基は、商業的供給者(例えば、Sigma−Aldrich社)から購入することができ、又は当該技術分野で周知の方法(例えば、実施例5の方法)によって製造することができる。
【0159】
《IV.生体分子の標識化方法》
上記に定義した式Iで表されるシアニン化合物は、生体分子に結合させることができる。種々のタイプの生体分子への染料の結合方法は、当該技術分野において周知である。例えば、オリゴヌクレオチド標識化法の総説については、R. Haugland in Excited States of Biopolymers, Steiner ed., Plenum Press (1983)、Fluorogenic Probe Design and Synthesis:A Technical Guide, PE Applied Biosystems (1996)、及びG. T. Herman, Bioconjugate Techniques, Academic Press (1996)を参照されたい。
【0160】
「クリック」ケミストリーは、本発明に係る染料を生体分子に結合するための1つの可能な方法を提供する。クリックケミストリーは、シンプルで強力な(robust)反応、例えば、分子間結合を形成する、銅触媒によるアジドとアルキンとの付加環化を用いる。クリックケミストリーの総説については、Kolb, H. C.; Finn, M. G.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. 2001, 40, 2004を参照されたい。
【0161】
1つの観点において、式Iで表されるシアニン化合物は、それがいったん可溶性のリガンド又は生体分子に結合されれば、そのリガンド又は生体分子はその可溶性を維持することから、水溶液中で充分な可溶性を有する。或る場合には、バイオコンジュゲートは有機媒体(例えば、DMSO又はDMF)中でも良好な溶解性を有しており、このことは望ましい材料の標識化に対する合成アプローチにかなりの多様性を与える。
【0162】
別の観点において、本発明は、式Iで表される化合物を用いたリガンド又は生体分子の標識化方法を提供し、この方法は:式I又はIaを有する化合物とリガンド又は生体分子とを接触させて対応する式II又はIIaで表されるバイオコンジュゲート化合物を生成することを含む。
【0163】
或る好ましい実施態様において、R16基又はR13基は、生体分子上のチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基と反応して、染料と生体分子との間に結合基を形成する。より好ましい実施態様において、水性緩衝液と有機溶媒、例えば、DMFとのpH8〜9の混合物中で、この反応を実施する。代わりに、蒸留水又は緩衝水溶液中で、この反応を実施する。チオール基又は酸性基に対して、とりわけ、基体が反応性アミノ基も含んでいる場合には、反応溶媒として7又はそれより低いpHが好ましい。
【0164】
リガンド又は生体分子へ式Iで表される化合物を結合するのに有用な反応性官能基の選択例を表1に示し、ここで結合は染料とリガンド又は生体分子との反応から生ずる。表1のA欄は、式Iで表される化合物又は生体分子上に存在することができる反応性官能基のリストである。B欄は、生体分子又は式Iで表される化合物上に存在することができ、そしてA欄に示された官能基と反応してC欄の結合を形成する、相補的な反応性基(好ましくは、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、又はアミノ官能基)のリストである。当業者は、本発明に用いるのに適当な他の結合があることを承知しているであろう。
【表1】
【0165】
カルボン酸を有する式Iで表される化合物をアミン含有リガンド又は生体分子と結合する場合、最初に活性化剤によってカルボン酸をより反応性の形態、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル又は混成無水物に変換することができる。得られた活性化アシルを用いてアミン含有リガンド又は生体分子を処理してアミド結合を形成する。より好ましい実施態様によれば、場合により存在する共溶媒としてDMSO又はDMFを用いてpH8〜9の水性緩衝液中でこの反応を実施する。代わりに、蒸留水中又は緩衝水溶液中でこの反応を実施する。
【0166】
同様に、イソシアネート含有又はイソチオシアネート含有の式Iで表される化合物の結合は、カルボキシ染料についての手順と同様であるが、活性化工程を要しない。活性化アシル化合物を直接に用いてアミン含有リガンド又は生体分子を処理してウレア結合又はチオウレア結合を形成する。より好ましい実施態様において、場合により存在する共溶媒としてDMSO又はDMFを用いてpH9〜10の水性緩衝液中でこの反応を実施する。代わりに、蒸留水中又は緩衝水溶液中でこの反応を実施する。
【0167】
式Iで表される化合物又は生体分子が反応性ヒドロキシル基を有している場合、ホスホルアミジット化学によってそれをリガンド又は生体分子に結合して、最終的に染料と生体分子との間にホスフェート結合を形成することができる。かかる標識化方法の例として、多くの好ましい結合基、結合方法、及び容易に標識化することができる生体分子を開示する、米国特許第6,027,709号明細書を参照されたい。或る実施態様において、米国特許第6,027,709号明細書に開示されているように、固相合成が好ましい。
【0168】
好ましい実施態様によれば、生体分子はDNA又はRNAである。ホスホルアミジット化学を用いると、合成過程の間にDNA又はRNAを標識化することができる。固相支持体に結合させる間に、保護ヌクレオチドを標識化する。ホスホルアミジット及びテトラゾール活性化剤と遊離5’−OH基を反応させて亜リン酸結合を形成し、この亜リン酸結合はその後ホスフェートに酸化される。次いで、アンモニアによって又は別の標準的な方法によって、標識したDNA又はRNAを固相から切り離す。
【0169】
一般に、DNA合成装置においてDNA分子を標識化するシアニン染料のホスホルアミジットを調製することが好ましい。標準的なホスホルアミジット化学によって、支持体に結合した保護オリゴヌクレオチドの5’末端に染料を結合するのも好ましい。DNA配列決定に用いるのに好ましいラベルターミネーターのリストについては、米国特許第5,332,666号明細書を参照されたい。
【0170】
別の好ましい実施態様によれば、生体分子は抗体である。場合により有機共溶媒を含むことがある緩衝液中で、塩基性pH条件下に室温で抗体標識化を実施することが好ましい。例えば、SEPHADEX(商標)G−50カラムの装置を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより又は透析により標識化抗体を精製して、コンジュゲートされない式Iで表される化合物のいずれをも除去することも好ましい。当業者は、他の精製方法及び手段があることを承知しているであろう。
【0171】
更に別の好ましい実施態様によれば、生体分子は、R16にマレイミジル置換基との反応によって結合基を形成するチオール基を含む。より好ましい実施態様において、生体分子は、タンパク質、ペプチド、抗体、チオール化ヌクレオチド、又はチオール化デオキシヌクレオチドである。
【0172】
更に他の観点において、結合基又は生体分子は、ポリマーを含む。好ましい実施態様によれば、前記ポリマーは、PEG、PEG−ポリウレタンのコポリマー、及びPEG−ポリプロピレンのコポリマーからなる群から選択される構成員である。更に他の観点において、結合基は、多糖、ポリペプチド、オリゴ糖、ポリマー、コポリマー及びオリゴヌクレオチドからなる群から選択される構成員である。
【0173】
或る観点では、本発明により生体分子をキットを用いて標識化することができる。或る場合に、キットは、本願明細書に開示した染料(すなわち、式I又は式Iaで表される化合物)及び緩衝液を含む。好ましくは、キットは、場合により酸又は塩基を加えてpH調整されていることがある結合緩衝液(例えば、スクシンイミドエステルとの反応にはpH8.5が好ましくそしてマレイミドとの反応にはpH7が好ましい)、例えば、1M KH2PO4(pH5)を含む。好ましくは、緩衝液は制限された低い蛍光バックグランドを有する。
【0174】
場合により、キットは精製サブキットを含んでいることができる。好ましい染料により生体分子を標識化した後、任意の副反応生成物及び通常の加水分解から得られる任意の遊離加水分解生成物から標識化した生体分子を分離することができる。アミノ酸13個以下を含む生体分子の場合、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)は不純物を除去することができる。或る場合に、場合により商業的に入手可能なTLCキットによって実施されることがある、分取TLCを用いて染料標識化ペプチド又はタンパク質を精製することができる。
【0175】
より大きい生体分子、例えば、より大きいペプチド又はタンパク質の場合には、SEPHADEX(商標)G−15、G−25、又はG−50樹脂が望ましくない派生物を除去することができる。所定の場合には、Life Sciences社から商業的に入手可能なタンパク質キットのゲル濾過を用いて、遊離染料から染料標識化ペプチド及びタンパク質を分離することができる。脱塩後に残る標識化生体分子は、しばしば、更に精製することなく充分に用いることができる。或る場合に、HPLC又は他のクロマトグラフィー法によって異種生成物の活性を分析して評価することが必要となることがある。
【0176】
《V.バイオコンジュゲート化合物》
本発明の別の実施態様によれば、式II:
【化16】
で表されるバイオコンジュゲートを提供する。
【0177】
上記式中、QLは、それぞれ式:
【化17】
[式中、セグメントはポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分である]で表される、ポリメチン炭素原子1個のセグメント及びポリメチン炭素原子3個のセグメントからなる群から選択される構成員である。
【0178】
R1、R2a、R2b、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、及びYは、式Iで表される化合物について前記定義した通りであり、本明細書中で特定される好ましい実施態様を全て含む。
【0179】
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基である。より好ましい観点において、ZはC1〜C6アルキル基である。代わりに、Zはエーテル結合(例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー)によって中断されている。なお更により好ましい観点において、少なくとも1つのZは、−プロピレン−C(O)−RL又は−ブチレン−C(O)−RLである。代わりに、正確に1つのZが−プロピレン−C(O)−RL又は−ブチレン−C(O)−RLである。
【0180】
代わりの観点において、Zは任意であり、そしてRLは−L−Y−に直接結合しているか又はL及びYが存在しない場合にはフェニル環自体に直接結合してさえいる。
【0181】
RLはそれぞれ、1)生体分子にシアニン染料化合物を結合する結合基;及び2)シアニン染料化合物を結合させる生体分子(すなわち、結合基及びそれによって結合される生体分子)を含み、化合物はRL少なくとも1つを含む。好ましい結合基を表1(C欄)に示す。とりわけ好ましい観点において、結合基はアミド基又はエステル基である。更にとりわけ好ましい観点において、結合基はアミド基である。
【0182】
前記化合物はバランスの取れた電荷を有する。好ましい観点において、化合物の正味アニオン電荷はアルカリ金属対イオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)によってバランスが取られる。より好ましい観点において、少なくとも1つの対イオンはナトリウムである。代わりに、全ての対イオンがナトリウムである。
【0183】
バイオコンジュゲートの別の好ましい実施態様において、バイオコンジュゲートの実施態様に、式Iで表される本発明の化合物の任意の好ましい実施態様又は観点を含んでいることができる。好ましいバイオコンジュゲートの実施態様に対応する式Iで表される好ましい化合物の典型的な例を、本明細書の特許請求の範囲に記載する。
【0184】
バイオコンジュゲートのより好ましい観点は、下記構造:
【化18】
[式中、RLは、結合基及びそれによって結合される生体分子を含む]を有する。
【0185】
バイオコンジュゲートの第2のより好ましい観点は、下記構造:
【化19】
[式中、RLは、結合基及びそれによって結合される生体分子を含む]を有する。
【0186】
或る観点において、本発明の好ましい生体分子として、アシクロターミネータートリホスフェート、抗体、抗原、アビジン、炭水化物、デオキシ核酸、ジデオキシヌクレオチドトリホスフェート、酵素補因子、酵素基質、DNAの断片、RNAの断片、ハプテン、ホルモン、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、ペプチド、PNA、多糖、タンパク質、及びストレプトアビジン等を挙げることができる。
【0187】
更に他の場合に、適当なヌクレオチドとして、ヌクレオシドポリホスフェートを挙げることができ、その例として限定的でなく、デオキシリボヌクレオシドポリホスフェート、リボヌクレオシドポリホスフェート、ジデオキシヌクレオシドポリホスフェート、炭素環式ヌクレオシドポリホスフェート及び非環式ヌクレオシドポリホスフェート及びそれらの類似体を挙げることができる。ヌクレオチドはホスフェート鎖中にホスフェート基3個、4個、5個、6個以上を含有し、該ホスフェート基(例えば、α、β、γ、ε、又は末端ホスフェート基)、糖、塩基、又はそれらの組み合わせは、式Iで表される化合物を用いて標識化される。ポリホスフェートヌクレオチドとして、限定的ではなく、テトラホスフェート、ペンタホスフェート、ヘキサホスフェート、ヘプタホスフェート等を挙げることができる。塩基として、例えば、プリン(アデニン及びグアニン)、ピリミジン(チミン、ウラシル及びシトシン)及びそれらの誘導体を挙げることができる。
【0188】
或る場合に、ホスホロチオエート結合(例えば、参考までに本明細書中に引用する、米国特許第6,323,186号明細書参照)、ヘテロ原子、又は表1の結合Cを生ずる官能基A若しくはBによって、ホスフェート基(例えば、α、β、γ、ε−ホスフェート基、又は末端ホスフェート基)に式Iで表される染料を結合させる。γ−ホスホエステル結合ヌクレオシドトリホスフェートを用いてポリメラーゼによって特定のヌクレオチドを重合する方法及び組成物を提供する、発明の名称「γ−ホスホエステルヌクレオシドトリホスフェート(γ-phosphoester nucleoside triphosphates)」の米国特許第6,399,335号(参考までに本明細書中に引用する)も参照されたい。ヌクレオチドに式Iで表される化合物を結合する他の方法は当業者に知られている。DNAポリメラーゼと共にこれらのヌクレオチドを用いれば、RNA又はDNA中へのヌクレオチド塩基の取り込み後に遊離される標識化ピロホスフェート又はポリホスフェートの同定によりDNA又はRNA配列中の特定のヌクレオチドの同定に至ることができる(例えば、それぞれを参考までに本明細書中に引用する、米国特許第6,232,075号明細書、米国特許公開第2004/0241716号明細書及び米国特許第7,452,698号明細書を参照されたい)。
【0189】
より好ましい観点として、抗体、アビジン、及びストレプトアビジンを挙げることができる。なお更に好ましい観点として、ヤギ抗マウス(GAM)抗体、ヤギ抗ウサギ(GAR)抗体、及びストレプトアビジンを挙げることができる。
【0190】
所定の他の観点において、本発明の好ましい生体分子として、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様(aninsulin-like)成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン等を挙げることができる。
【0191】
更に他の観点において、好ましい生体分子として炭水化物及び炭水化物誘導体を挙げることができる。典型的な例として、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体を挙げることができる。なお、より好ましい生体分子として、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースを挙げることができる。
【0192】
なお更に他の観点において、生体分子は、EGFR、Her2、PDGFR、IGFR、c−Ryk、c−Kit、CD24、インテグリン、FGFR、KFGR、VEGFR、TRAILデコイレセプター、レチノイドレセプター、成長レセプター、PPAR、ビタミンレセプター、グルココルジコステロイド(glucocordicosteroid)レセプター、レチノイド−Xレセプター、RHAMM、高親和性フォレートレセプター、Metレセプター、エストロゲンレセプター及びKi67からなる群から選択されるレセプターに対する親和性を有するリガンドであることができる。
【0193】
代わりに、生体分子は、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム及びポリエチレングリコールからなる群から選択される。
【0194】
なお別の観点では、生体分子は、小分子薬剤又は薬剤様分子、例えば、テトラサイクリン系抗生物質、テトラサイクリン誘導体、及びカルセインである。
【0195】
《VI.イメージング方法》
別の実施態様によれば、種々の生物医学的用途において組織及び器官のインビトロ又はインビボの光学的イメージング剤として式Iで表される化合物を用いることができる。或る実施態様によれば、本発明は、式Iで表される化合物を投与することを含む、イメージング方法を提供する。
【0196】
本発明の或る好ましい観点において、本明細書に記載の式I又は式Iaで表される本発明化合物のあらゆる実施態様又は観点を前記イメージング方法において用いることができる。本願明細書及び特許請求の範囲に、前記方法に用いるのに好ましい化合物の典型例を記載する。
【0197】
別の実施態様において、本発明は、式IIで表される化合物を投与することを含むイメージング方法を提供する。好ましい観点において、RLは、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースから選択される生体分子を含む。
【0198】
本発明の或る好ましい観点において、本明細書に記載の式IIで表される本発明化合物のあらゆる実施態様又は観点を前記イメージング方法において用いることができる。本願の明細書及び特許請求の範囲に、前記方法に用いるのに好ましい化合物の典型例を記載する。
【0199】
或る好ましい観点において、限定的でなく、器官の断層撮影、器官機能のモニタリング、冠動脈造影、蛍光内視鏡検査、腫瘍のイメージング、レーザー誘導手術、光音響法、音響蛍光法等を含む、種々の生物医学的用途における組織及び器官のインビボ・イメージング剤として、本発明の化合物を用いる。1つの観点において、本発明の化合物は、染料の血液クリアランス特性をモニタリングすることによる腫瘍及び他の異常の存在の検出に有用である。本発明の別の観点において、本発明化合物は、腹腔鏡検査法に基づく腫瘍の微小転移検出のためのレーザー補助誘導手術に有用である。なお別の観点において、本発明化合物は、アテローム硬化性プラーク及び血餅の診断に有用である。
【0200】
更なる観点において、(1)眼科学における眼疾患のイメージングに、例えば、直接的顕微鏡イメージングによる脈絡網膜疾患、例えば、血管障害、網膜障害、血管新生、及び腫瘍の可視化を高めるために;(2)直接的顕微鏡イメージングによる皮膚疾患、例えば、皮膚腫瘍のイメージングに;(3)内視鏡検査による胃腸疾患、口腔疾患、気管支疾患、頚部疾患、及び泌尿器疾患及び腫瘍のイメージングに;(4)可撓性内視鏡カテーテルによるアテローム硬化性プラーク及び他の血管異常のイメージングに;(5)2D又は3D画像再構成による乳房腫瘍のイメージングに;並びに(6)2D又は3D画像再構成による脳腫瘍、灌流(perfusion)、及び発作(stroke)のイメージングに、本発明の化合物を用いる。
【0201】
バイオコンジュゲートである本発明の化合物は、被験者の腫瘍、組織、及び器官をイメージングするのにとりわけ有用である。例えば、式Iで表される化合物を用いて抗腫瘍抗体を標識化し、次いで腫瘍の検出及びイメージングのために被験者にそのバイオコンジュゲート抗体を投与することによって、癌細胞又は癌組織の存在を確認することができる。染料化合物と他の抗体、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、細胞表面レセプターのリガンド、小分子等も、被験者の腫瘍、組織、及び器官をインビボでイメージングするのに有用な剤である。
【0202】
本発明の化合物は、イメージング手順の前に、イメージングすべき器官又は組織に全身的に又は局所的に投与することができる。或る観点において、静脈内的に本発明化合物を投与する。別の観点において、非経口的に本発明化合物を投与する。なお別の観点において、経腸的に本発明化合物を投与する。本発明化合物の投与に用いる組成物は、一般に、意図される投与のタイプに適した通常の薬剤学的な担体及び賦形剤と共に有効量の本発明化合物又はコンジュゲートを含んでいる。例えば、非経口的製剤は、有利には、式Iで表される化合物又は式IIで表されるバイオコンジュゲートの滅菌性の水溶液又は水性懸濁液を含んでいる。経腸的投与のための組成物は、一般に、場合により緩衝剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、香味剤等を含んでいることができる水溶液又は水性懸濁液中に有効量の本発明化合物又はバイオコンジュゲートを含んでいる。
【0203】
腫瘍、組織、又は器官の望ましい光学的イメージを達成するのに有効な量で本発明組成物を投与する。かかる量は、用いられる特定の化合物又はバイオコンジュゲート、イメージング手順に付される腫瘍、組織、又は器官、用いられるイメージング装置等に依存して、広範に変化することがある。
【0204】
本発明の方法は、治療的有効量の化合物;ターゲッティング剤、例えば、バイオコンジュゲート;又はそれらの混合物を被験者に投与することを備えている。1つの観点において、ターゲッティング剤は選択的に標的組織に結合する。次いで、光感作剤によって吸収される波長又は波長帯域に対応する波長又は波長帯域の光を与える。別の観点において、本発明の化合物は、1種以上のタイプの標的細胞又は組織に結合することができる剤として働き、適切な波長帯域の光に曝露された場合に、その光を吸収して、標的細胞又は組織をイルミネートし、損傷し又は破壊する物質を生じさせる。好ましくは、本発明化合物は、投与される被験者に無毒であり、又は被験者に投与することができる無毒の組成物に配合することができる。更に、光に曝露された後、生成するあらゆる光分解された形態の化合物も好ましくは無毒である。
【0205】
更に別の観点において、限定的でない例として、摂取、注入、経皮的(transcutaneous)投与、経皮(transdermal)投与等を含む、任意の公知手段によって本発明の化合物を投与する。好ましくは、経皮的に被験者に本発明化合物を投与する。
【0206】
本発明の更なる観点において、治療のための標的、腫瘍組織、又は器官は、血管内皮組織、腫瘍の異常血管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、消化管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、卵巣の腫瘍、子宮の腫瘍、睾丸の腫瘍、肺の腫瘍、非充実性腫瘍、造血組織及びリンパ組織の1つの悪性細胞、脈管系の病変、病的骨髄、神経組織又は病的神経組織、及び疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患の1つである病的細胞からなる群から選択される。なお更なる観点において、標的組織は、アテローム性動脈硬化病変、動静脈奇形、動脈瘤、及び静脈病変からなる群から選択されるタイプの脈管系の病変である。
【0207】
更に別の観点において、エネルギーの形態として、限定的でなく、光(すなわち、放射)、熱、音波、超音波、化学、光、マイクロ波、イオン化(例えば、X線及びガンマ線)、機械、及び電気を挙げることができる。本明細書中で用いる「放射」という用語は全ての波長及び波長帯域を含む。好ましくは、光感作剤を励起する波長又は波長帯域と一致するか又は少なくとも部分的に一致する放射波長又は波長帯域を選択する。本発明の化合物は、典型的には、それらを励起して標的細胞、組織、器官、又は腫瘍を照射し、損傷し又は破壊する物質を生成する吸収波長帯域1つ又は2つ以上を有する。好ましくは、放射波長又は波長帯域は、光感作剤の励起波長又は波長帯域と一致し、そして血液タンパク質を含む被験者の非標的細胞及び残部(rest)による低吸収を示す。より好ましくは、放射波長又は波長帯域は、約600nm〜約1000nmのNIR範囲又はその関連範囲(例えば、本願の特許請求の範囲に記載の範囲)内にある。
【0208】
或る観点において、試料を同定又は定量化できるように本発明の化合物を用いて試料を直接に染色又は標識化する。例えば、生物学的又は非生物学的流体中の検出可能なトレーサー成分として、生物学的標的アナライトのアッセイの一部として;又は、染色された試料を照射して選択的に腫瘍細胞及び組織を破壊する、腫瘍の光力学的治療のような目的で;又は、通常、光感作による一重項酸素の生成を介して、動脈プラーク又は動脈細胞を光学的に切除する(photoablate)ために、本発明化合物を添加することができる。
【0209】
一般的に、試料は、液体供給源から直接に、又は固体材料(有機又は無機)からの洗液として又は培養のために細胞が導入されていた増殖培地として、又は評価のために細胞が置かれていた緩衝溶液として得られる。試料が細胞を含む場合、細胞は場合により、微生物を含む単細胞、又は多細胞生物、胚、組織、生検材料、フィラメント、バイオフィルム等を含む、2次元又は3次元の層において他の細胞と一緒になった多細胞であることがある。
【0210】
本明細書中で用いる検出可能な光学的応答は、観察又は機器のいずれかにより検出することができる光学的信号における変化又は光学的信号の発生を含む。一般的に、検出可能な応答は、蛍光における変化、例えば、強度の変化、蛍光の励起若しくは発光波長分布、蛍光寿命、蛍光偏光、又はそれらの組み合わせである。標準的な応答又は予期される応答と比較した、染色の程度及び/又は位置は、試料が所与の特徴を有しているか否か及びその程度が如何ほどかを示す。本発明の一部の化合物は、蛍光発光をほとんど示さないことがあるが、それにもかかわらず、発色団の染料として有用である。かかる発色団は、蛍光(又はフォースター(Foerster))共鳴エネルギー移動(FRET)用途において、又は試料若しくは試料の一部に所望の色を与えるエネルギー供与体として有用である。
【0211】
FRETは、供与体分子(例えば、染料)が光を吸収して励起状態となる方法である。発光するよりむしろ、最初の分子がその励起状態を他の特性を持ったアクセプター分子(例えば、異なる波長で蛍光を発する染料又は消光物質)に移し、そしてアクセプターは蛍光を発するか又は励起を消光する(quench)。移動の効率は2つの分子の近接性に依存するので、それは分子複合体形成又は生体分子構造に関する情報を示すことができる。それは、特定の複合体が細胞又は生物(organism)内のどこに位置しているかを示すことができる(例えば、FRET光学顕微鏡)。FRET法においてアクセプター(クエンチャー)として同様の染料を用いる方法については、X. Peng, H. Chen, D. R. Draney, W. Volcheck, A. Schultz-Geschwender, and D. M. Olive, “A nonfluorescent, broad-range quencher dye for Foerster resonance energy transfer assays,” Anal. Biochem 2009, 388(2): 220-228を参照されたい。
【0212】
或る場合に、適当なFRETアクセプターは、参考まで本明細書に引用する第WO2007/005222号に開示されている。この化合物は、本質的に、式III:
【化20】
で表される非蛍光染料を含んでおり、上記式IIIの置換基は次のように定義される:R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子及び場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基からなる群から選択される。代わりに、R1及びR2はそれらが結合する以下の基:
【化21】
と一緒になって5員環又は7員環を形成し、該環はハロゲン原子、シアノ基、スルホネート基、(C1〜C8)ハロアルキル基、ヒドロキシ基、(C1〜C6)アルコキシ基及び場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基からなる群から選択される置換基1〜4個によって場合により置換されていることがある。
【0213】
式IIIにおいて、R3及びR4はそれぞれ独立して、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基であり、そして場合によりそれらが結合している原子と一緒になって5員又は7員の炭素環式環を形成していることがあり;又は代わりに、置換基R3及びR4は以下の基:
【化22】
と交換されており(replace)、式中のBは(C1〜C6)アルキル基であるか;又はB及びR9Aはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、場合によりヘテロ原子1個又は2個を有していることがあり及び場合により二重結合3個までを有していることがある5員環又は6員環を形成する。
【0214】
置換基R5及びR6はそれぞれ独立して場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基であるか;又は場合によりそれらが結合している原子と一緒になって環を形成することができる。
【0215】
置換基R7及びR8はそれぞれ独立して、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、場合により置換されていることがあるアリール(C1〜C6)アルキル基、場合により置換されていることがあるヘテロアリール(C1〜C6)アルキル基、−(CH2)cR13及び−(CH2)dR15からなる群から選択される。添字c及びdはそれぞれ独立して1〜50の整数である。R13は、生体分子上のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はチオ基と直接に反応しない官能基である。R15は、メルカプト基、アミノ基、ハロアルキル基、ホスホルアミジチル基、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、スルホN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基及び活性化カルボン酸からなる群から選択される結合基である。
【0216】
置換基R9a〜9d及びR10a〜10dはそれぞれ独立して、水素原子、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、−SO3Cat+、ハロゲン原子、−C(O)OR11、−C(O)NR11R12、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−NR12C(O)OR11、−(CH2)dR15、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15及び−NR20R21からなる群から選択され、式中、Cat+はカチオンである。置換基R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子及び(C1〜C6)アルキル基からなる群から選択され;R20及びR21はそれぞれ独立して、水素原子、場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基、CatO3S(C1〜C50)アルキレン基からなる群から選択される。
【0217】
代わりに、隣接する原子上に位置するR10a〜10dの任意の2つの置換基は、それらが結合している原子と一緒になって、場合によりヘテロ原子1個又は2個を有していることがあり及び場合により二重結合を3つまで有していることがある5員環又は6員環を形成し;該環は、場合により置換されていることがある(C1〜C6)アルキル基、−SO3−Cat、ハロゲン原子、−C(O)OR11、−C(O)NR11R12、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−NR12C(O)OR11、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15及び−NR20R21からなる群から選択される置換基1個〜3個によって更に置換されていることができる。
【0218】
式IIIにおいて、変数aは0〜3の整数でありそして変数bは0〜2の整数である。Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、場合により置換されていることがある(C1〜C8)アルキル基、場合により置換されていることがある(C1〜C6)ジアルキルアミノ基、場合により置換されていることがあるアルキルチオ基、−(CH2)dR15、−R15、場合により置換されていることがある(C1〜C6)ヘテロアルキル基、フェノキシ基及び場合により置換されていることがある式:
【化23】
[R36a〜R36e基はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3Cat+、−(CH2)dR15、−C(O)O(CH2)dR15、−C(O)NR11(CH2)dR15、−NR12C(O)O(CH2)dR15、−S(O)2NR12(CH2)dR15、−R15、(C1〜C6)アルキル基、カルボキシル基及びNR20R21基からなる群から選択される]を有するアリールオキシ基からなる群から選択される。
【0219】
式IIIで表される化合物は結合基少なくとも1個を有する。或る観点において、本発明の化合物は結合基1個以上、例えば、結合基1個、2個、3個以上を有する。式IIIで表される化合物の種々の位置に、結合基R15少なくとも1個を結合させることができる。
【0220】
生物学的用途に対して、本発明の化合物は、一般的に、当該技術分野において一般的に知られている方法によって調製される水溶液、ほぼ水溶性の(mostly aqueous)溶液又は水混和性溶液中で用いられる。本発明化合物の正確な濃度は、実験条件及び望ましい結果に依存するが、0.00001mM〜0.1mMまでの範囲、例えば、約0.001mM〜約0.01mMが考えられる。最適濃度は、最小のバックグランド蛍光を有する満足な結果が達成されるまでの系統的変化により決定される。
【0221】
或る観点において、本発明の方法は、式Iで表される化合物、式IIで表されるバイオコンジュゲート、又はそれらの任意の観点若しくは実施態様を含む用量を用いた動物又は試料の処理を含んでいることができる。本発明化合物の正確な濃度は、対象及び望ましい結果に依存している。或る実施態様において、少なくとも約0.001、0.005、0.01、0.025、0.05、又は0.075mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.001、0.005、0.01、0.025、0.05、又は0.075mg/kgの用量を用いる。或る他の実施態様において、少なくとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。更に他の実施態様において、少なくとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約0.1、0.25、0.5、又は0.75mg/kgの用量を用いる。なお更に他の実施態様において、少なくとも約1、2.5、5、又は7.5mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約1、2.5、5、又は7.5mg/kgの用量を用いる。追加の他の実施態様において、少なくとも約10、25、50、又は75mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約10、25、50、又は75mg/kgの用量を用いる。追加の更に他の実施態様において、少なくとも約100、250、500、又は750mg/kgの用量を用いる。代わりに、多くとも約100、250、500、又は750mg/kgの用量を用いる。他の有効投与量は当業者によって容易に決定することができる。
【0222】
本発明化合物は、最も有利には、生物学的成分を有する試料を染色するのに用いられる。試料は、成分(例えば、そのままの細胞、固定化細胞、細胞抽出物、細菌、ウイルス、オルガネラ、及びそれらの組み合わせ)の異種混合物、又は単一成分又は成分(例えば、天然若しくは合成アミノ酸、核酸又は炭水化物ポリマー、又は脂質膜複合体)の同種群を含んでいることができる。これらの混合物は、一般的に、使用濃度範囲内で生細胞及び他の生物学的成分に対し無毒である。
【0223】
本発明化合物と着目した試料成分との間の接触を促進するいずれかの方法により、本発明化合物を試料と合わせる。一般的には、単純に試料に本発明化合物又は該化合物を含む溶液を添加する。本発明の所定の化合物、とりわけ、スルホン酸部分1個又は2個以上により置換されている化合物は、生物学的細胞の膜に対して不透過性である傾向があり、そしていったん内部に入れば一般的に生細胞を充分に染色する。原形質膜を透過性にする処理、例えば、エレクトロポレーション、衝撃処理又は高濃度細胞外ATPを用いて、選択された化合物を細胞内に導入することができる。代わりに、例えば、圧力微量注入、スクレープローディング(scrape loading)、パッチクランプ法、又は食作用により、細胞内へ物理的に、選択された染料化合物を挿入することができる。
【0224】
染色後又は染色の間の任意の時に、検出することができる光学的応答を与えるべく選択された光の波長を用いて試料を照明し、そして光学的応答を検出するための手段を用いて試料を観察する。本発明の化合物を照明するのに有用である装置として、限定的でなく、ハンドヘルド紫外線ランプ、水銀アークランプ、キセノンランプ、レーザー及びレーザーダイオードを挙げることができる。これらの照明源は、場合により、レーザースキャナー、蛍光マイクロプレートリーダー、標準蛍光光度計若しくはミニ蛍光光度計、又はクロマトグラフ用検出器に組み込まれていることがある。本発明の好ましい観点は、波長633〜636nm、647nm、649nm、651nm、647〜651nm、660nm、674nm、675nm、678nm、680nm、674〜680nm、685nm、674〜685nm、680〜685nmで又はその近傍で、及び700nmを超える波長、例えば、780nm、810nm及び850nmで又はその近傍で励起することができる化合物であり、それはこれらの領域が典型的な化合物のアウトプット又は比較的安価の励起源のアウトプットとよく一致するからである。
【0225】
光学的応答は、場合により、目視検査によって、又は以下の装置:CCDカメラ、ビデオカメラ、写真フィルム、レーザー走査装置、蛍光光度計、光ダイオード、量子カウンター、エピ蛍光(epifluorescence)顕微鏡、走査型顕微鏡、フローサイトメーター、蛍光マイクロプレートリーダーのいずれかを用いることによって、又は信号を増幅する手段(例えば、光電子増倍管)によって検出されることがある。フローサイトメーターによって試料を検査する場合、試料の検査は場合により、その蛍光応答により試料の部分をソートすることを含むことがある。
【0226】
《VII.実施例》
以下に、実施例を用いて本発明を記載するが、これらは説明の目的のためにだけ設けるものである。従って、これらは、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲を限定するように構成されたものではない。
《実施例1》
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩の調製
【化24】
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩(1)
【0227】
6−アミノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩(25g、72ミリモル)を水150mL中に溶解しそして濃塩酸50mLに添加した。このスラリーを氷/塩浴中で約0℃まで冷却し、そして冷水25mL中の亜硝酸ナトリウム(5.46g、79.2ミリモル)を10分間にわたり滴状に添加した。塩化第一スズ(20.42g、108ミリモル)を濃塩酸15mL中に溶解し、0℃まで冷却しそして20分間にわたり反応混合物に添加した。得られた溶液を3時間にわたり攪拌しながら室温まで加温した。この溶液をロータリーエバポレーションによって容積を減らし、そしてイソプロパノールの添加によって生成物を沈殿させた。化合物1を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、そして真空乾燥させた。
《実施例2》
2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩の製造
【化25】
2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩(2)
【0228】
6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩(1)(10g、25ミリモル)、イソプロピルメチルケトン(12g、140ミリモル)及び酢酸カリウム(6g、61ミリモル)を氷酢酸75mL中で合わせて、そして、145℃で22時間加熱した。この溶液を冷却し、ロータリーエバポレーションによって酢酸を除去した。この残渣をメタノール中に溶解しそして濾過した。次いで、イソプロパノールを用いてメタノール濾液から化合物2を沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びエーテルを用いて洗浄し、そして真空乾燥させた。
《実施例3》
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化26】
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(3)
【0229】
乾燥1,2−ジクロロベンゼン50mL中で2,3,3−トリメチルベンズインドール6,8−ジスルホン酸塩(2)(2.2g、5ミリモル)を攪拌した。1,3−プロパンスルトン(2.8g、23ミリモル)を添加し、そしてこの溶液を封管中で145℃に15時間加熱した。この溶液を冷却し、そして溶媒をデカントして除いた。この固形生成物3をイソプロパノール50mL部分3回、次いでエーテル50mLを用いてフィルター上で洗浄しそして真空乾燥させ、暗紫色の固形物(2.5g、90%)を得た。
《実施例4》
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化27】
1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(4)
【0230】
出発材料として1,4−ブタンスルトンを用いる以外は、化合物3(実施例3)と同様にして化合物4を製造した。
《実施例5》
(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミドの製造
【化28】
(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミド(5)
【0231】
文献(Simonis, H. Ber. Deut. Chem. Ges. 1901, 34, 509;米国特許第6,747,159号明細書)に開示の方法を用いる。100mLビーカー中のエタノール15mL中にアニリン3.54gを溶解する。別途、100mL三角フラスコ中のエタノール15mL中にムコ臭素酸5gを溶解する。冷却しながら、この溶液をアニリン/メタノール溶液に滴状に添加する。この反応混合物は、CO2の発生を伴い、すぐに黄色に、次いでオレンジ色に変わる。添加の終了時点で、この混合物をその容積が半分に減るまでウォーターバス中で加熱する。得られた溶液を氷塩混合物を用いて冷却し、黄色の結晶性沈殿を形成する。この固形物をガラス濾過器上に集めて純粋な生成物5を得;追加の生成物5は母液の濃縮及び再結晶により回収することができる。
《実施例6》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化29】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(6)
【0232】
還流冷却器を備えた100mL丸底フラスコに1,1,2−トリメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(3)(565mg、1ミリモル)、(E)−N−((Z)−2−ブロモ−3−(フェニルアミノ)アリリデン)ベンゼンアミニウムブロミド(5)(150mg、0.5ミリモル)、及びピリジン(1mL)を充填した。このフラスコに無水酢酸(10mL)を添加し、そしてこの混合物を115℃で2時間加熱し、室温まで冷却し、そしてエチルエーテル25mLで希釈した。得られる暗青色の染料沈殿を濾過により集め、次いで水20mL中に溶解しそして分取用逆相HPLCによって精製して青色粉末として化合物6を得た(285mg、50%;UV/可視吸収最大674nm)。
《実施例7》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化30】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(7)
【0233】
出発材料として化合物4を用いた以外は、化合物6(実施例6)と同様にして化合物7を製造した。
《実施例8》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化31】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(8)
【0234】
化合物6(80mg)、3−(4−カルボキシブチル)フェニルボロン酸(40mg)、及び炭酸セシウム(20mg)を、窒素下室温において1:1水:エタノール(10mL)中で攪拌する。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg)をこの反応混合物に添加する。この混合物を4時間還流し、そして溶媒及び揮発性化合物を真空蒸発させる。1:4アセトニトリル:水混合物を用いた溶出による逆相C18−官能化シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーによって、この粗製生成物を精製する。精製生成物8はUV/可視吸収最大λMeOH=680nm、ε=229,000;λPBS=676nm、ε=239,000を有している。
《実施例9》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化32】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(9)
【0235】
乾燥DMSO(15mL)中の化合物8(200mg)の溶液に、トリエチルアミン(150μL)及びN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(82mg)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌し、そして溶媒を除去してスクシンイミジルエステルを得た。
《実施例10》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(2−カルボキシエチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化33】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(2−カルボキシエチル)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(10)
【0236】
出発材料として3−(3−ボロノフェニル)プロピオン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物10を製造した。
《実施例11》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(11)の製造
【化34】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(11)
【0237】
出発材料として化合物10を用いた以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物11を製造した。
《実施例12》
2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化35】
2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(12)
【0238】
ジクロロベンゼン100mL中の商業的に入手可能な5−スルホ−2,3,3−トリメチルインドリニウム分子内塩14g及びプロパンスルトン14gの混合物を110℃で2時間加熱した。冷却後、溶媒をデカントし次いでアセトニトリル100mL中にこの固形物を溶解しそして酢酸エチル300mLを添加する。得られる粘着性固形物を再び酢酸エチル300mL中に攪拌して生成物12を20g得た。
《実施例13》
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化36】
2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(13)
【0239】
出発材料として化合物12を用いた以外は、化合物6(実施例6)と同様にして化合物13を製造した。UV/可視吸収最大λMeOH=650nm。
《実施例14》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化37】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(14)
【0240】
出発材料として化合物13を用いた以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物14を製造した。UV/可視吸収最大:λH2O=649nm、ε=190,000;λMeOH=650nm、ε=180,000;(M+1)+としてのMS計算値(実測値)935.21(935.3)。
《実施例15》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化38】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(15)
【0241】
出発材料として化合物14を用いる以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物15を製造した。
《実施例16》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(カルボキシメトキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化39】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(カルボキシメトキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(16)
【0242】
出発材料として2−(3−ボロノ−フルオロフェノキシ)酢酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物16を製造した。精製化合物16はUV/可視吸収最大λMeOH=677nm、ε=205,000;λPBS=674nm、ε=195,000を有している。
《実施例17》
2−((E)−2−((E)−2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化40】
2−((E)−2−((E)−2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(17)
【0243】
上記に示したクロロ染料前駆体100mg、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニルボロン酸70mg、及びPd(PPh3)410mgを合わせることにより化合物17を製造した。この混合物を窒素ガス下でH2Oを用いて5時間還流した。C18−官能化シリカ及び15:85アセトニトリル/H2Oグラジエントを用いた逆相HPLCによって、未処理溶液(green solution)を分離した。精製化合物はUV/可視吸収最大λMeOH=783nm、λPBS=777nm、及び805nmでの発光(emission)を有している。
《実施例18》
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化41】
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(18)
【0244】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=786nm、λPBS=779nm、及び805nmでの発光を有する、化合物18を製造した。
《実施例19》
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化42】
2−((E)−2−((E)−2−(3−ブトキシ−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(19)
【0245】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=789nm、λPBS=782nm、及び806nmでの発光を有する、化合物19を製造した。εMeOH=300,000;εPBS=240,000。
《実施例20》
2−((E)−2−((E)−2−(4−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化43】
2−((E)−2−((E)−2−(4−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(20)
【0246】
化合物17(実施例17)と同様にして、UV/可視吸収最大λMeOH=790nm、λPBS=786nm、及び805nmでの発光を有する、化合物20を製造した。
《実施例21》
化合物10を用いたストレプトアビジンのバイオコンジュゲートの製造
【0247】
DMF中で化合物11を1mg/mLに再構成した。典型的には、pH8.5のPBS緩衝液中10mg/mLでストレプトアビジンを再構成した。このストレプトアビジン試料に染料を(種々のモル比で)添加しそして暗中において室温で2時間のインキュベートに付した。このコンジュゲートをPBS緩衝液に対して広範囲に透析してコンジュゲートしていない遊離の染料を除去した。コンジュゲート中のタンパク質のモル当たりの染料のモル比を下記のように計算した。
【数1】
上式中、
・ε染料=239,000M−1cm−1
・εストレプトアビジン=175,000M−1cm−1
・0.09は280nmにおける680染料吸収に対する補正係数である。
《実施例22》
GAM抗体の化合物8とのバイオコンジュゲートの製造
【0248】
DMF中で化合物9を1mg/mLに再構成した。典型的には、pH8.5のPBS緩衝液中にヤギ抗マウス(GAM)IgG(H+L)を1mg/mLで再構成した。このGAM抗体試料に染料を(種々のモル比で)添加しそして暗中において室温で2時間のインキュベートに付した。このコンジュゲートをPBS緩衝液に対して広範囲に透析してコンジュゲートしていない遊離の染料を除去した。タンパク質に対する染料の比を上記のように計算した。
《実施例23》
化合物10のストレプトアビジンバイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680及びAlexa 680ダイのストレプトアビジンバイオコンジュゲートとの全蛍光のドットブロットイムノアッセイ比較
【0249】
種々の量のビオチニル化抗ウサギIgGで予めニトロセルロース膜をコートした。この膜をLI−COR Odyssey(商標)ブロッキングバッファで30分間ブロックし、引き続いて種々のD/P比の化合物10とストレプトアビジンとのバイオコンジュゲートを用いて30分間インキュベートした。1X PBS及び1X PBS−Tを用いて膜を強く洗浄した。LI−COR Odyssey(商標)赤外線イメージャー上でこの膜を走査した。
【0250】
これらの試験における化合物10のストレプトアビジンバイオコンジュゲートは、この波長範囲において最良の市販ストレプトアビジンコンジュゲートと同等に機能する。3.0pgと6.1pgとの間のLOD差は、希釈列において単一スポットであり、実験変動に対応できる。化合物10コンジュゲートのバンドの蛍光強度は市販コンジュゲートのものと同等であるか又はそれより良好である。膜に対するコンジュゲートの非特異的結合による蛍光バックグランドも、試験したコンジュゲート全てについて低い。
【表2】
《実施例24》
化合物8のGAM抗体バイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680ダイのGAM抗体バイオコンジュゲートとのバックグランド蛍光のICW比較
【0251】
化合物8とのGAMコンジュゲートを、細胞ベースの免疫組織化学的分析(「In−Cell Western」又はICW)によって評価し、そしてLI−COR IRDye(商標)680GAMバイオコンジュゲート、LI−COR Part No.926−32220と比較した。96ウェルプレート中にA431細胞、ATCC Part No.CRL−1555をシードしそして37℃で48時間インキュベートした。次いで、37%ホルムアルデヒドで細胞を固定化し、そしてPBS+0.1%Triton(商標)X−100を用いて細胞を透過処理した。透過処理後に、Odyssey(商標)ブロッキングバッファを用いて細胞をブロックした。
【0252】
LI−COR IRDye(商標)680−GAM抗体及び化合物8−GAM抗体バイオコンジュゲートの両方を、Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中で希釈し、そして最終濃度2μg/mL、各試料当たり12ウェルでプレートに添加した。室温で1時間にわたり穏やかに振盪しながら試料をインキュベートした。プレートをPBS+0.2%Tween(商標)20で3回洗浄し、そしてマイクロプレート2プレセット(Microplate 2 preset)を用い、LI−COR Odyssey(商標)赤外線イメージャー上で走査した。各試料について平均積分強度を計算しそしてLI−COR IRDye(商標)680−GAM抗体と化合物8−GAM抗体とを比較した。結果を下記表3及び4に示す。
【0253】
NIRにおける生物学的材料の低い蛍光バックグランドは、マイクロプレート中の生きた又は固定化された細胞での実験を可能とする。重要な例は、「In Cell Western」(ICW)技法の、固定化された細胞中の細胞タンパク質の免疫組織化学的検出である。かかる系においては、検出のために用いられる染料標識化抗体が、最初の細胞環境の極めて低い蛍光バックグランドを維持することが重大である。従って、検出抗体に結合する染料分子は、他の細胞タンパク質、膜等に対して極めて低い非特異的結合を有していなければならず、さもなければ標識化抗体はそれらの特徴物に付着し実験をだめにする。IRDye(商標)680又はAlexa Fluor(商標)680で標識化した抗体は細胞に対し極めて低い非特異的結合を維持する。表3のデータは、化合物8で標識化したGAM抗体がこの試験において2つの標準よりやや高いバックグランドを与えるが、それでもなお極めて低い非特異的バックグランドを有していることを示す。この染料を用いてICW及び他の細胞ベース(インビボ)用途に適した標識化抗体を生成することができる。
【表3】
《実施例25》
化合物8のGAM抗体バイオコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680のGAM抗体バイオコンジュゲートとの全蛍光のウエスタンブロット比較
【0254】
ジャーカット(Jurkat)溶解物をSDS PAGEによって流し(5μg〜78ng)そしてニトロセルロースに移した。Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)−20(OBBT)を用いてブロットをブロックした。OBBT中に希釈したモノクローナル抗チューブリン(Sigma T7816)又はモノクローナル抗アクチン(Neomarkers MS−1295−P1)を用いてブロットをプローブした。次いで、最終濃度0.1μg/mLにOBBT中に希釈した以下の二次抗体の1つを用いてブロットを検出した:GAM−化合物8 D/P=1.6又はLI−COR GAM680(図1C〜D参照)。
【0255】
表4及び図1A〜Bのデータは、ウエスタンブロッティング用途に対し本発明の染料の1つ(化合物8)により与えられる優れた性質を示している。IRDye(商標)680で標識化した抗体は大変に充分に機能しそして現在の技術水準を表す「対照」としての役目を果たす。化合物8で標識化した抗体は、対照と比べて有意に高い、2倍より大きい蛍光強度を有する。蛍光染料標識化した生体分子の大部分は、例えば、ウエスタンブロットに用いられる膜に、非特異的に付着する傾向を示す。図1及び表4の蛍光バックグランドデータが示すように、IRDye(商標)680及び化合物8(図1A〜B)を用いて、膜への極めて少ない非特異的結合を有する標識化抗体を形成することができる。
【表4】
《実施例26》
化合物8へのストレプトアビジンコンジュゲートと商業的に入手可能なIRDye(商標)680ダイのストレプトアビジンへのコンジュゲートとの全蛍光のウエスタンブロット比較
【0256】
ジャーカット溶解物をゲル上に流した(5μg〜78ng)。Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中に1:1000希釈されたms抗アクチン(Thermo No.MS−1295P)、それに続いてOdyssey(商標)ブロッカー+0.2%Tween(商標)20中に1:20,000希釈されたビオチン−SP GAM(Jackson No. 115−065−166)を用いてブロットをプローブした。次いで、Odyssey(商標)ブロッキングバッファ+0.2%Tween(商標)20中の種々の680ストレプトアビジンバイオコンジュゲートを用いてブロットを検出した(図2D参照)。
【0257】
本発明の染料の1つ(化合物8)のストレプトアビジンコンジュゲートも有利なことにこの例における市販のストレプトアビジンコンジュゲートと同等である。図2A〜C中、化合物8コンジュゲートを用いて検出された各ブロットにおいて、最も希釈されたアクチンバンドをはっきり観察することができる。各ブロットにおける全アクチンバンドの全蛍光強度を、膜の代表的なバックグランド領域と共に、表5に要約する。化合物8コンジュゲートの蛍光強度は、対照より2〜3倍高く、一方、蛍光バックグランドはほんのわずかに高いに過ぎない。
【表5】
《実施例27》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化44】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(21)
【0258】
化合物9(0.18ミリモル)を乾燥DMSO20mL中に溶解しそして乾燥窒素下に室温で攪拌する。次いで、この攪拌溶液に2−マレイミジオ(2-maleimidio)エチルアミン(93.2mg、0.37ミリモル)を添加し、引き続いてジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(95mg、0.55ミリモル)を添加する。攪拌を45分間継続する。この反応にDMF(20mL)を添加し、そして完全混合が達成されるまで攪拌を続ける。次いで、攪拌ジエチルエーテル400mL中に徐々にこの溶液を注いで生成物を沈殿させる。このエーテル懸濁液を更に5分間攪拌した後、1時間放置する。エーテルをデカントし、追加のDMF20mLを添加して固形物を再溶解する。次いで、第2の攪拌エーテル400mL部分中にこのDMF溶液を沈殿させる。濾過により、この粗製生成物21を集める。場合により、例えば、HPLC、カラムクロマトグラフィー、又は再結晶によって、更に精製を行うことができる。
《実施例28》
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化45】
2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(3−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホナトブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(22)
【0259】
出発材料として化合物11を用いた以外は、化合物21(実施例27)と同様にして化合物22を製造する。
《実施例29》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化46】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(3−(5−(2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(23)
【0260】
出発材料として化合物15を用いる以外は、化合物21(実施例27)と同様にして化合物23を製造する。
《実施例30》
2−((E)−2−((E)−2−(3−カルボキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化47】
2−((E)−2−((E)−2−(3−カルボキシフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(24)の製造
【0261】
出発材料としてシクロペンチルクロロ染料前駆体及び3−ボロノ安息香酸を用いた以外は、化合物17と同様にして化合物24を製造した。ここで用いるボロン酸中間体は多用途(versatile)であり種々の設計変更に応じて注文合成(custom synthesis)により改変することができる。種々のタイプの置換基及び置換基長さを用いてフェニル環を置換することができる。1つの注文合成製造業者は、San Diego,CAのCombi−Blocks社である。
《実施例31》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化48】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(25)
【0262】
出発材料として4−(3−ボロノフェニル)ブタン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物25を製造する。
《実施例31B》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシブチル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化49】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシブチル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(26)
【0263】
出発材料として5−(3−ボロノフェニル)ペンタン酸を用いた以外は、化合物24と同様にして化合物26を製造した。UV:λPBS=756nm、ε=260,000;λMeOH=766nm、ε=330,000.発光(Emission):λMeOH=776nm。
《実施例32》
2−((1E,3Z,5E,7E)−4−(3−カルボキシフェニル)−7−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)ヘプタ−1,3,5−トリエニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化50】
2−((1E,3Z,5E,7E)−4−(3−カルボキシフェニル)−7−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)ヘプタ−1,3,5−トリエニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(27)
【0264】
出発材料としてクロロ染料前駆体及びm−カルボキシフェニルボロン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物27を製造する。代わりに、別のハロゲン原子、例えば、ヨード又はクロロによりブロモ置換基を交換することができるが、ブロモが好ましい。
《実施例33》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化51】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロピル)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロペント−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(28)
【0265】
出発材料として4−(3−ボロノフェニル)ブタン酸を用いる以外は、化合物24と同様にして化合物28を製造する。代わりに、別のハロゲン原子、例えば、ヨード又はクロロによりブロモ置換基を交換することができるが、ブロモが好ましい。
《実施例34》
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化52】
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(29)
【0266】
上記に示したように、3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニルボロン酸を用いる以外は、化合物17と同じ方法により化合物29を製造する。
《実施例35》
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化53】
2−((E)−2−((E)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)−2−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)シクロへキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(30)
【0267】
化合物29のナトリウムイオンのイオン交換により化合物30を製造する。テトラアルキルアンモニウム等のような塩へのイオン交換は、DNA合成に適した有機溶媒(例えば、アセトニトリル)中の染料の溶解性を改善する。これは、ヒドロキシ染料の精製方法の一部としての、又は個別のイオン交換工程としてのクロマトグラフィーを用いて実施することができる。市販のカチオン性イオン交換樹脂は広く入手することができる。
《実施例36》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化54】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(31)
【0268】
米国特許第6,027,709号に記載の一般的方法を用いる。乾燥塩化メチレン10mL中に化合物30(0.140ミリモル)を溶解し、アルゴン下に氷/塩浴中約0℃で30分間攪拌する。この染料溶液に、ビス(N,N−ジイソプロピルアミノ)−シアノエチルホスフィン(2.13mL、塩化メチレン中0.15M)の溶液を添加する。次いで、この冷却溶液にアセトニトリル中テトラゾール(0.128mL、0.5M)を添加する。20分後に冷却を取り去り、室温で更に1.5時間反応を続ける。5%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてこの反応混合物を急冷し、水で2回洗浄し、そして硫酸ナトリウムを用いて乾燥させる。溶媒を真空除去する。この粗製生成物を塩化メチレン1.5mL中に取り、そしてヘキサン中に沈殿させることにより生成物31を得る。
《実施例37》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートの製造
【化55】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲート(32)
【0269】
米国特許第6,027,709号明細書に記載の一般的方法を用いる。蛍光染料32のホスホルアミジットを用いて、DNA合成機により製造されたDNA分子を標識化することができる。標準的なホスホルアミジット化学を介して、保護され支持体に結合されたオリゴヌクレオチドの5’末端に染料を結合する。200ナノモルスケールでの典型的な収量は、精製前で50〜100ナノモルの範囲であることが予想される。
【0270】
標準的な試薬及び製造業者によって教示された方法に従ってPerSeptive Biosystems Expedite 8909 DNA合成機により、DNAオリゴヌクレオチドM13fwd(−29)、M13rev、T7、T3及びSP6のそれぞれを合成する。次いで、同じ装置を用い、上記の製造された染料ホスホルアミジットのアセトニトリル中0.1M溶液を用いた処理によって各オリゴヌクレオチドの5’末端に蛍光標識を結合する。染料ホスホルアミジットの結合には、テトラゾール中の染料を合成カラムへ送達した後に3分間の遅延をはさみ、結合反応のために追加の時間を与える。酸化、開裂、脱保護及びHPLCによる精製後に、5’−蛍光標識化DNAオリゴヌクレオチドが生成される。
【0271】
標識化オリゴヌクレオチドのHPLC精製には、5μ粒子、孔径300Aを有するC18逆相カラム(Waters DeltaPak社)、1.7mL/分を用いることができる。溶媒Aは水性0.1M酢酸トリエチルアンモニウム中4%アセトニトリルであり、そして溶媒Bは水性0.1M酢酸トリエチルアンモニウム中80%アセトニトリルである。グラジエントプロフィールは、35分間にわたる10〜45%B、15分間にわたる45〜100%B,10分間での100〜10%Bである。当業者であれば、種々の染料の精製に対し必要に応じてこれらの条件を変更し又は交換することができる。
【0272】
標識化オリゴヌクレオチドバイオコンジュゲート32は、例えば、DNA塩基配列決定のサンガー法におけるプライマーとして、遺伝子型決定のテールドプライマーとして、又はハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。
《実施例38》
2−((1E,3Z,5E)−3−(2−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化56】
2−((1E,3Z,5E)−3−(2−(4−カルボキシブチル)フェニル)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(33)
【0273】
出発材料として2−5−(2−ボロノフェニル)ペンタン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物33を製造する。
《実施例39》
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(2−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化57】
2−((1E,3Z,5E)−5−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(3−スルホナトプロピル)インドリン−2−イリデン)−3−(2−(5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−5−オキソペンチル)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(34)
【0274】
出発材料として化合物33を用いる以外は、化合物9(実施例9)と同様にして化合物《実施例40》
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化58】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(35)
【0275】
出発材料として4−(3−ボロノ−5−フルオロフェノキシ)ブタン酸を用いる以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物35を製造する。
《実施例40B》
2−((1E,3Z,5E)−(3−カルボキシメトキシ−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウムの製造
【化59】
2−((1E,3Z,5E)−3−(3−カルボキシメトキシ−5−フルオロフェニル)−5−(1,1−ジメチル−6,8−ジスルホナト−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドリウム−6,8−ジスルホン酸ナトリウム(36)
【0276】
出発材料として2−(3−ボロノ−5−フルオロフェノキシ)酢酸を用いた以外は、化合物8(実施例8)と同様にして化合物36を製造した。
《実施例41》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化60】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,6−ジフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(37)
【0277】
出発材料として4−(3−ボロノ−2,4−ジフルオロフェノキシ)ブタン酸を用いる以外は、化合物17と同様にして化合物37を製造する。
《実施例42》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化61】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(3−カルボキシプロポキシ)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム(38)
【0278】
出発材料として4−(3−ボロノ−2,4,6−トリフルオロフェノキシ)ブタン酸を用いた以外は、化合物17(実施例17)と同様にして化合物38を製造した。
《実施例42B》
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−カルボキシブチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウムの製造
【化62】
2−((E)−2−((E)−2−(3−(4−カルボキシブチル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−((E)−2−(3,3−ジメチル−5−スルホナト−1−(4−スルホナトブチル)インドリン−2−イリデン)エチリデン)シクロヘキス−1−エニル)ビニル)−3,3−ジメチル−1−(4−スルホナトブチル)−3H−インドリウム−5−スルホン酸ナトリウム (39)
【0279】
出発材料として5−(3−ボロノ−2,4,6−トリフルオロフェノキシ)ペンタン酸を用いる以外は、化合物17(実施例17)と同様にして化合物39を製造する。
《実施例43》
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
【化63】
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム(40)
【0280】
出発材料として3−(2−((1E,3Z,5E)−3−ブロモ−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム及び3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニルボロン酸を用いる以外は、化合物16及び29と同様にして化合物40を製造する。
《実施例44》
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化64】
3−(2−((1E,3Z,5E)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)−3−(3−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(41)
【0281】
化合物30と同様にして化合物41を製造する。
《実施例45》
3−(2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウムの製造
【化65】
3−(2−((1E,3Z,5E)−3−(3−(4−((2−シアノエチル)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)ブトキシ)フェニル)−5−(1,1−ジメチル−3−(3−スルホナトプロピル)−1H−ベンゾ[e]インドール−2(3H)−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル)−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−3−イル)プロパン−1−スルホン酸テトラブチルアンモニウム(42)
【0282】
化合物31と同様にして化合物42を製造する。
《実施例46》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIIの製造
【化66】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートII(43)
【0283】
化合物32と同様にして化合物43を製造する。
《実施例47》
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIIIの製造
【化67】
ホスホルアミド結合基を用いたオリゴヌクレオチドバイオコンジュゲートIII(44)
【0284】
化合物12、13、及び29〜32と同様にして化合物44及びその前駆体を製造する。
《実施例48》
染料の明るさ:化合物8
【0285】
化合物8のベースライン蛍光を測定した。
【0286】
LI−CORで製造した染料標識化したヤギ抗ウサギ(GAR)コンジュゲートを用いて生理学的緩衝液中10mg/mLの固定化抗体濃度で蛍光測定を行った(図3A〜B及び図4)。染料標識化したラクトアルブミンコンジュゲートも試験した(図5)。
【0287】
化合物8の吸収最大は水溶液中で676nm及びメタノール中で693nmである。化合物8は、700nmチャネルにおいてAerius Automated Imager及びOdyssey Infrared Imager上で用いるのに最適化された高い水溶性の染料である。
《実施例49》
染料の明るさの比較:化合物8及びAlexa Fluor 680LT
【0288】
化合物8と商業的に入手可能な染料Alexa Fluor 680との比較を行った。
【0289】
LI−CORで製造した染料標識化したヤギ抗ウサギ(GAR)コンジュゲートを用いて生理学的緩衝液中10mg/mLの固定化抗体濃度で蛍光測定を行った。各染料の最適励起波長でPTI Fluorometerを用いて蛍光を測定した(図6及び図7)。各コンジュゲートの蛍光強度は最初に標識化した増加程度につれて、最大値に達するまで増加した。その後の追加の染料はコンジュゲートの蛍光を増加させなかった。
【0290】
各コンジュゲートの蛍光強度は最初に標識化した増加程度につれて、最大値に達するまで増加した。その後、追加の染料はコンジュゲートの蛍光を増加させなかった。各染料について標識化程度対蛍光のプロット(図8)は、概して、同じD/P値において化合物8とのGARコンジュゲートはAlexa FluorとのGARコンジュゲートより強く蛍光を発したことを示している。更に、コンジュゲートに添加された追加の化合物8蛍光体は、試験した全範囲にわたり蛍光を増加させ続けた(D/P6.4まで)。対照的に、Alexa Fluor 680コンジュゲートは急速に横ばいとなり、約3を超える増加D/Pに対して有益性はなかった。このようにD/Pが増加するにつれてコンジュゲートの蛍光が横ばいとなるのは周知の現象であり、染料の自己消光によるものと考えられる。化合物8コンジュゲートは少なくともD/P6.4まで蛍光強度を増加させ続けるので、化合物8コンジュゲートはこの自己消光に対してAlexa Fluor 680より耐性である。全体として、化合物8コンジュゲートは、対応するAlexa Fluor 680コンジュゲートより有意に明るい。
《実施例50》
光安定性の比較:化合物8、IRDye700DX、及びAlexa Fluor 680
【0291】
化合物8の光安定性を、Alexa Fluor 680及びIRDye700DXの光安定性と比較した。IRDye700DXは、公知の最も光安定性の700nm蛍光染料の1つである。ニトロセルロース膜上に等モル量の染料標識化したコンジュゲート(すなわち、適当な染料を用いて標識化されたヤギ抗ウサギ(GAR)二次抗体)をスポットすることにより試験試料を調製した。次いで、Odyssey Infrared Imager上でこの膜を繰り返し走査したので、レーザー源への染料の長時間曝露によってある程度の光分解が引き起こされた。各染料の信号強度を、その染料の最初の走査における信号に対して正規化させた(図9A〜B)。
【0292】
700DX試料の相対的蛍光は100回の走査後で本質的に変化しなかった。化合物8試料の蛍光は追加の走査と共にわずかに減少したが、この減少はAlexa Fluor 680試料の減少より有意に少なかった。このことは、化合物8が光分解に対して良好な耐性を有していることを示す。
《実施例51》
GAR細胞染色の比較:化合物8及びAlexa Fluor 680
【0293】
蛍光測定のために化合物8又はAlexa Fluor 680で標識化したGAR二次抗体を(他のGAR機能性試験について前記したように)細胞染色に用いた(図10A〜B)。
【0294】
培養したSK−BR−3(A)又はSK−OV03(B)を3.7%ホルムアルデヒドで固定化し、0.1%TritonX−100で透過処理した。細胞をウサギ坑HER2mAb(CST)とインキュベートし、引き続いて化合物8又はAlexa Fluor 680で標識化したヤギ及びウサギ二次抗体とインキュベートした。このプレートをOdysseyイメージャー上で走査した。原画像を左側に示し、そして定量化した信号強度を右側に示す(図10A〜B)。
【0295】
化合物8コンジュゲートの明るさ及び光安定性は、顕微鏡及びIn−Cell Westerns(商標)に対してそれらを選択することを申し分ないものとする。更に、比較に適したD/P比における全蛍光強度又は「明るさ」は、Alexa Fluor 680の場合より化合物8の場合の方が大きかった。信号強度は、Alexa Fluor 680コンジュゲートと比較して化合物8標識化二次抗体で染色した細胞では2〜3倍高かった。後のIn−Cell Westernのデータは、染料標識化コンジュゲートについての蛍光測定データと似ていた。
《実施例52》
蛍光免疫染色の比較:化合物8及びAlexa Fluor 680
【0296】
SK−BR−3細胞膜上で染料標識化抗体を用いてHER2タンパク質を染色した。化合物8で標識化したGAR二次抗体を蛍光測定に用いた。
【0297】
カバーガラス上で細胞を培養した。実施例50に従った固定化及び透過処理の後、細胞をウサギ抗HER2 mAb(CST)と、それに続いて化合物8で標識化したGAR二次抗体(D/P=3.3)とをインキュベートした。サイトックスグリーン(Sytox green)を用いて核を染色した。オリンパス顕微鏡上に画像を得、そして付随のソフトウェアを用いてデコンボルブ(deconvolve)した(図11A〜C)。
《実施例53》
β−アクチンウエスタンブロットの比較:化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680
【0298】
ウエスタンブロットによって、商業的に入手可能なIRDye680及びAlexa Fluor 680ヤギ抗マウス(GAM)抗体コンジュゲートと化合物8コンジュゲートとを比較した。全ての抗体コンジュゲートは実験のために0.1μg/mLに希釈した。
【0299】
ウエスタンブロットを行ってC32溶解物中のアクチンを検出した。C32全細胞溶解物(Santa Cruz社)10μgから出発した2倍希釈液を10%Bis−Tris還元性ゲル(reducing gel)上にロードしそしてニトロセルロース膜(Odyssey社)に移した。β−アクチンに対するマウス一次抗体(Thermo Fisher Scientific社)を、Odyssey Blocking Buffer中0.2%Tween20の緩衝液中の1:1000希釈で用いた。同様にして、種々のヤギ抗マウス二次抗体を希釈した。全ての抗体を周囲温度で1時間インキュベーションした。ウエスタンブロットの結果を図12A〜Cに示す。ウエスタンブロットは全て2連で実施した。
【0300】
IRDye680及びAlexa Fluor 680二次抗体の両方との比較により、化合物8抗体の信号強度、バックグランド及び実行希釈の評価を行った。細胞溶解物の濃度を約5000ng/レーンまで増加させたとき、信号強度は直線的であった(図13)。化合物8の直線的動作範囲はAlexa Fluor 680の場合より広かった。全体として、化合物8GAMを用いて検出された信号は、IRDye680GAMより3倍及びAlexa Fluor 680GAMより1.5倍大きかった。化合物8GAMを用いて処理された膜におけるバックグランドは、他の700チャネル蛍光体を用いた処理のものと同等であった。ウエスタンブロットの目視検査は、3つのGAMコンジュゲート抗体間で同様の検出限界であることを示した。また、0.04μg/mLに希釈した化合物8GAMは、同じ希釈率でのIRDye680GAMと比較した信号からみて優れた性能を維持している。
《実施例54》
p38ウエスタンブロットの比較:化合物8、IRDye680、及びAlexa Fluor 680
【0301】
ウエスタンブロットを行って、ジャーカット溶解物中の低発現タンパク質p38を検出した。市販され入手可能なIRDye680及びAlexa Fluor 680ヤギ抗ウサギ(GAR)抗体コンジュゲートと化合物8コンジュゲートとを比較した。実施例53に記載のように、染料標識化抗体を希釈した。
【0302】
ジャーカット細胞溶解物10μgから出発した2倍希釈液を10%Bis−Tris還元性ゲル上にロードしそしてニトロセルロース膜(Odyssey社)に移した。p38に対するウサギ一次抗体(Santa Cruz社)を、Odyssey Blocking Buffer中0.2%Tween20の緩衝液中1:1000希釈で用いた。同様にして、種々のヤギ抗ウサギ二次抗体を希釈した。全ての抗体を周囲温度で1時間インキュベーションした。ウエスタンブロットの結果を図14A〜Cに示す。ウエスタンブロットは全て2連で実施した。
【0303】
化合物8GARコンジュゲートは、信号強度においてIRDye680より2倍〜4倍改善された性能を有していた。この標的に関して、目視の検出限界も同じだけ改善された(それぞれ、コンジュゲート濃度0.1μg/mL及び0.04μ/mL)。IRDye680GARの信号は、同じ濃度でAlexa Fluor 680GARより1.7倍までの明るさがあり、そして検出限界はp38標的に対して1回の2倍希釈以内であった。全てのウエスタンブロットにおいて追加のバンドが見られ、このことは一次抗体が追加のタンパク質を検出していることを示す。
《実施例55》
Akt2色ウエスタンブロット:化合物8、IRDye 800CW、及びAlexa Fluor 680
【0304】
低豊富タンパク質Aktを検出するための平衡化(balanced)2色ウエスタンブロットを、化合物8GAM及びIRDye 800CW GAR抗体を用いて実施した。実施例53に記載のように、染料標識化した抗体を希釈した。
【0305】
NIH3T3溶解物(10μgから出発して2倍希釈)をSDS−PAGEによって分離しそしてニトロセルロースに移した。膜をLI−COR Blocking Bufferを用いてブロックした。一次抗体は、Akt(マウスmAb)及びアクチン(ウサギmAb)に対するものであり、1:1000希釈した。アクチンを検出するための二次抗体はIRDye 800CW GAR(1:10,000)であった。Odyssey Infrared Imager上で(A)IRDye680 GAM(0.1μg/mL);(B)Alexa Fluor 680 GAM(0.1μg/mL);(C)化合物8GAM(0.1μg/mL)を用いてAktを検出した。
【0306】
再度、化合物8コンジュゲートはIRDye680と比べてより明るかった(図15A及び図15C)。化合物8GAMは、同等の目視上の検出限界を有してAlexa Fluor 680 GAMより低いバックグランドを示した(図15B〜C)。
《実施例56》
化合物8を用いたAktウエスタンブロット
【0307】
A431溶解物中のAktを検出するために化合物8GAMを用いて追加のウエスタンブロット実験(図16A〜B)を行った。実施例53に記載のように、染料標識化した抗体を希釈した。
【0308】
A431溶解物を10%Bis−Trisゲル上で分離し、Odysseyニトロセルロースに移しそしてOdyssey Blocking Buffer中でブロックした。実験Aとして、Odyssey Blocking Buffer中に希釈(1:1000)したAkt mAb(Cell Signaling Technologies社)を用いて膜を1時間インキュベートし、洗浄した後、化合物8GAM(0.1μg/mL)と1時間インキュベートした。0.2%Tween20を含むOdyssey Blocking Buffer中でそれを希釈した。実験の図16Bとして、Aに記載のようにして二次抗体中でのみ膜をインキュベートした。説明書の通りに(as directed)、全ての膜を洗浄し、Odyssey Infrared Imagerにより画像化した。
【0309】
図16Aは、広範囲のタンパク質濃度にわたるコンジュゲートの直線性を示している(50μg〜20ng;R2は0.9982であり溶解物30μg〜20ng)。
【0310】
化合物8二次抗体は、種々の溶解物(ジャーカット、HeLa、C32,A431及びNIH3T3)中のタンパク質への低い非特異的結合を有することが示された。一次抗体を用いないでウエスタンブロットを実施した場合の、この低い結合の例を図16Bに示す。タンパク質50μgの存在下でさえ、化合物8GAM抗体から信号はほとんど検出されない。
【0311】
上記の記述は説明することを意図するものであり限定することを意図するものでないことを理解されたい。上記の記述を読めば当業者には多くの実施態様が明白であろう。従って、本発明の範囲は、上記の記述に捉われずに決定されるべきであり、その代わりに特許請求の範囲の記載と等価の全範囲に従って、特許請求の範囲に関して決定されるべきである。特許出願、特許、及びPCT公報を含む、本願に記載した論文及び文献の開示内容は、あらゆる目的で参考までに本願明細書に引用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、Qは:
【化2】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
Qは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
R1はR130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって置換されており;
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
R7は、水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されており;
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員である]
で表される化合物であって、バランスの取れた電荷を有する前記化合物。
【請求項2】
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが
【化3】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R9が、−L−Y−Zである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そしてrが1〜20の整数である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
rが、2、3、又は4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化4】
を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Qが、式:
【化5】
であり;そして、R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化6】
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Qが、式:
【化7】
である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
R9が、−L−Y−Zである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
rが2、3、又は4である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
式Ia:
【化8】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Qが、式:
【化9】
である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項21又は22に記載の化合物。
【請求項24】
R9が、−L−Y−Zである、請求項21又は22に記載の化合物。
【請求項25】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
rが2、3、又は4である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項21〜27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
式:
【化10】
を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式:
【化11】
を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
Qが、式:
【化12】
であり;そして、R14がそれぞれ水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
式:
【化13】
を有する、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化14】
を有する、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
Qが、式:
【化15】
である、請求項21に記載の化合物。
【請求項35】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
R9が、−L−Y−Zである、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
rが2、3、又は4である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項34〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項34〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
式II:
【化16】
[式中、QLは、
【化17】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
QLは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
R1は、R130個又は1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって置換されており;
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アミノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
R7は、水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されており;
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R15は、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;
RLはそれぞれ、結合基及びそれによって結合された生体分子を含み、ここで、化合物はRL少なくとも1個を含むものとする]
で表されるバイオコンジュゲート化合物であって、バランスの取れた電荷を有する前記化合物。
【請求項47】
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
QLが、式:
【化18】
である、請求項46又は47に記載の化合物。
【請求項49】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項46〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
R9が、−L−Y−Zである、請求項46〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項46〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
rが2、3、又は4である、請求項46〜51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項46〜51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
QLが、式:
【化19】
であり;そして
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
QLが下記式:
【化20】
である、請求項46又は47に記載の化合物。
【請求項57】
R2a及びR2bが両方ともメチル基である、請求項46〜56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項58】
R9が、−L−Y−Zである、請求項46〜56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
rが2、3、又は4である、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項62】
−L−Y−が(CH2)tであり;Zがカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項46〜59のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
式Ia:
【化21】
を有する、請求項46に記載の化合物。
【請求項65】
QLが、式:
【化22】
である、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項64又は65に記載の化合物。
【請求項67】
R9が、−L−Y−Zである、請求項64又は65に記載の化合物。
【請求項68】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項64〜67のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項69】
rが2、3、又は4である、請求項64〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項64〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項71】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜70のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項72】
QLが、式:
【化23】
であり;そして、R14がそれぞれ水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
QLが、式:
【化24】
である、請求項64に記載の化合物。
【請求項74】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項64〜73のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
R9が、−L−Y−Zである、請求項64〜73のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項76】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項64〜75のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項77】
rが2、3、又は4である、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項78】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項79】
−L−Y−が(CH2)tであり;Zがカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項80】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜79のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項81】
約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項82】
約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜81のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項83】
約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜82のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項84】
約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜82のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項85】
前記生体分子が、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項46〜80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項86】
前記生体分子が、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースからなる群から選択される、請求項85に記載の化合物。
【請求項87】
前記生体分子が、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン、及びカルセインからなる群から選択される、請求項46〜86のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項88】
生体分子を標識化する方法であって、請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を生体分子と反応させることを含む前記方法。
【請求項89】
前記生体分子が、アシクロターミネータートリホスフェート、抗体、抗原、アビジン、炭水化物、デオキシ核酸、酵素補因子、酵素基質、DNAの断片、RNAの断片、ハプテン、ホルモン、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、ペプチド、PNA、多糖、タンパク質、及びストレプトアビジンからなる群から選択される、請求項88に記載の生体分子を標識化する方法。
【請求項90】
生体分子を標識化する方法であって:
請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を生体分子と反応させることを含み;
前記生体分子が、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン、及びカルセインからなる群から選択される、前記方法。
【請求項91】
前記生体分子が、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記生体分子が、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースからなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
請求項1〜87のいずれか一項に記載の化合物を、組織又は生物に投与することを含むイメージング方法。
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、Qは:
【化2】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
Qは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
R1はR130個〜1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって置換されており;
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
R7は、水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されており;
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
Zはそれぞれ、R13及びR16からなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R15は、アルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R16はそれぞれ独立して、活性化アシル基、ホルミル基、グリシジル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドラジジル基、イソチオシアナト基、ヨードアセトアミジル基、マレイミジル基、メルカプト基、ホスホルアミジチル基、及びビニルスルホニル基からなる群から選択される構成員である]
で表される化合物であって、バランスの取れた電荷を有する前記化合物。
【請求項2】
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが
【化3】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R9が、−L−Y−Zである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そしてrが1〜20の整数である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
rが、2、3、又は4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化4】
を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Qが、式:
【化5】
であり;そして、R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化6】
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Qが、式:
【化7】
である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
R9が、−L−Y−Zである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
rが2、3、又は4である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
式Ia:
【化8】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Qが、式:
【化9】
である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項21又は22に記載の化合物。
【請求項24】
R9が、−L−Y−Zである、請求項21又は22に記載の化合物。
【請求項25】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
rが2、3、又は4である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項21〜27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
式:
【化10】
を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式:
【化11】
を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
Qが、式:
【化12】
であり;そして、R14がそれぞれ水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
式:
【化13】
を有する、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化14】
を有する、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
Qが、式:
【化15】
である、請求項21に記載の化合物。
【請求項35】
R2a及びR2bが、メチル基である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
R9が、−L−Y−Zである、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
rが2、3、又は4である、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項34〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項34〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
式II:
【化16】
[式中、QLは、
【化17】
からなる群から選択されるポリメチン架橋の一部であり;
QLは、ポリメチン炭素原子5個又は7個のポリメチン架橋の中央部分であり;
R1は、R130個又は1個によって更に置換されているアルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R2a及びR2bはそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、アルキルチオアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、若しくはスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R2a及びR2bは、R2a及びR2bが結合している環炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキル環若しくは環外アルケンを形成し、前記スピロシクロアルキル環はR140個〜6個によって更に置換されており、前記環外アルケンはR140個〜2個によって置換されており;
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アミノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であるか;又は、代わりに、R3及びR4、R4及びR5、並びにR5及びR6からなる群から選択される構成員の対は、前記構成員の対が結合している原子の対と一緒になってアリール環を形成し、前記アリール環はそれぞれR140個〜2個によって更に置換されており;
R7は、水素原子及びアルキル基からなる群から選択される構成員であるか;又は、代わりに、両方のR7は、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、環を形成し、前記環はシクロアルキル環及びヘテロシクリル環からなる群から選択され、そして前記環はR140個〜3個によって更に置換されており;
R8及びR9はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホナト基、及び−L−Y−Zからなる群から独立して選択される構成員であり;R8及びR9からなる群から選択される正確に1つの構成員は−L−Y−Zであり;
R10、R11、及びR12はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R13はそれぞれ、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、スルホナト基、及びチオアセチル基からなる群から独立して選択される構成員であり;
R14はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアルコキシアルキル基からなる群から独立して選択される構成員であり;前記R14アルキル基又はアルケニル基はR130個〜1個によって更に置換されており;
Lは、単結合、C1〜C10アルキレン基、及びC1〜C10アルケニレン基からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;前記アルキレン基又はアルケニレン基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
Yは、単結合、−O−、−S−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−NR15−、−NR15C(O)−、−C(O)NR15−、−NZ−、−NZC(O)−、及び−C(O)NZ−からなる群から選択される、場合により存在する構成員であり;
Zはそれぞれ、R13及びRLからなる群からの構成員1つによって更に置換されている独立して選択されたC1〜C10アルキル基であり;前記アルキル基は場合によりヘテロ原子少なくとも1個によって中断されていることがあり;
R15は、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される構成員であり;
RLはそれぞれ、結合基及びそれによって結合された生体分子を含み、ここで、化合物はRL少なくとも1個を含むものとする]
で表されるバイオコンジュゲート化合物であって、バランスの取れた電荷を有する前記化合物。
【請求項47】
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、スルホナト基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びスルホナトアルキル基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
QLが、式:
【化18】
である、請求項46又は47に記載の化合物。
【請求項49】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項46〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
R9が、−L−Y−Zである、請求項46〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項46〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
rが2、3、又は4である、請求項46〜51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項46〜51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
QLが、式:
【化19】
であり;そして
R3、R4、R5、及びR6がそれぞれ、水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
QLが下記式:
【化20】
である、請求項46又は47に記載の化合物。
【請求項57】
R2a及びR2bが両方ともメチル基である、請求項46〜56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項58】
R9が、−L−Y−Zである、請求項46〜56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
rが2、3、又は4である、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項46〜58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項62】
−L−Y−が(CH2)tであり;Zがカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項46〜59のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項46〜62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
式Ia:
【化21】
を有する、請求項46に記載の化合物。
【請求項65】
QLが、式:
【化22】
である、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項64又は65に記載の化合物。
【請求項67】
R9が、−L−Y−Zである、請求項64又は65に記載の化合物。
【請求項68】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項64〜67のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項69】
rが2、3、又は4である、請求項64〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
−L−Y−が、(CH2)tであり;Zが、カルボキシル基又は活性化アシル基であり;そして、tが1〜10の整数である、請求項64〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項71】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜70のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項72】
QLが、式:
【化23】
であり;そして、R14がそれぞれ水素原子及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
QLが、式:
【化24】
である、請求項64に記載の化合物。
【請求項74】
R2a及びR2bが、両方ともメチル基である、請求項64〜73のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
R9が、−L−Y−Zである、請求項64〜73のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項76】
R1が、(CH2)rSO3H又は(CH2)rSO3−であり;そして、rが1〜20の整数である、請求項64〜75のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項77】
rが2、3、又は4である、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項78】
両方のR7が、両方のR7が結合しているポリエンの介在セグメントと一緒になって、5員環及び6員環からなる群から選択される環を形成し、前記環がR140個〜3個によって更に置換されている、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項79】
−L−Y−が(CH2)tであり;Zがカルボキシル基又は活性化アシル基であり;そしてtが1〜10の整数である、請求項64〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項80】
R8、R10、R11及びR12がそれぞれ、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、及びスルホナト基からなる群から独立して選択される構成員である、請求項64〜79のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項81】
約550nm〜約1000nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項82】
約600nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜81のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項83】
約600nm〜約725nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜82のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項84】
約725nm〜約850nmの範囲内の波長で蛍光を発する、請求項46〜82のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項85】
前記生体分子が、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項46〜80のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項86】
前記生体分子が、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースからなる群から選択される、請求項85に記載の化合物。
【請求項87】
前記生体分子が、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン、及びカルセインからなる群から選択される、請求項46〜86のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項88】
生体分子を標識化する方法であって、請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を生体分子と反応させることを含む前記方法。
【請求項89】
前記生体分子が、アシクロターミネータートリホスフェート、抗体、抗原、アビジン、炭水化物、デオキシ核酸、酵素補因子、酵素基質、DNAの断片、RNAの断片、ハプテン、ホルモン、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオチドトリホスフェート、ヌクレオチドポリホスフェート、オリゴ糖、ペプチド、PNA、多糖、タンパク質、及びストレプトアビジンからなる群から選択される、請求項88に記載の生体分子を標識化する方法。
【請求項90】
生体分子を標識化する方法であって:
請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を生体分子と反応させることを含み;
前記生体分子が、ソマトスタチン、エンドスタチン、炭水化物、オリゴ糖、アプタマー、リポソーム、PEG、アンギオポエチン、アンギオスタチン、アンギオテンシンII、α2−抗プラスミン、アネキシンV、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エンドグリン、エンドシアリン、エンドスタチン、上皮成長因子、フィブリン、フィブリノペプチドβ、線維芽細胞成長因子、FGF−3、塩基性フィブロネクチン、フマギリン、ヘパリン、肝細胞増殖因子、ヒアルロナン、非インシュリン様成長因子、インターフェロン−α,β阻害剤、IL阻害剤、ラミニン、白血病抑制因子、リノミド、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、抗体、抗体断片、非環式RGDペプチド、環式RGDペプチド、胎盤増殖因子、胎盤プロフェリン関連タンパク質、プラスミノーゲン、プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来成長因子レセプター、血小板由来内皮細胞増殖因子、プレイオトロピン、プロリフェリン、プロリフェリン関連タンパク質、セレクチン、SPARC、ヘビ毒、サブスタンスP、スラミン、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、サリドマイド、トロンビン、トロンビンレセプター活性化テトラデカペプチド、形質転換成長因子−α,β、形質転換成長因子レセプター、腫瘍増殖因子−α、腫瘍壊死因子、ビトロネクチン、及びカルセインからなる群から選択される、前記方法。
【請求項91】
前記生体分子が、グルコサミン、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記生体分子が、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−L−グルコース、及びラセミ体2−デオキシグルコースからなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
請求項1〜87のいずれか一項に記載の化合物を、組織又は生物に投与することを含むイメージング方法。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図1】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図1】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−524153(P2012−524153A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505973(P2012−505973)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031434
【国際公開番号】WO2010/121163
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511248283)ライコア インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】LI−COR, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031434
【国際公開番号】WO2010/121163
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511248283)ライコア インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】LI−COR, Inc.
【Fターム(参考)】
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