説明

置換N−二環式アルキル二環式カルボキシアミド化合物

本発明は、式(I)の化合物、およびVR1受容体の活性過剰によって引き起こされる、疼痛などの疾患状態の哺乳動物における治療でのその使用を提供する。本発明は、上記化合物を含む医薬組成物も提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な置換N−二環式アルキル二環式カルボキサミド化合物、および治療におけるその使用に関する。このような化合物は、VR1(I型バニロイド)受容体の拮抗薬として特に有用であり、したがって、哺乳動物、特にヒトにおける疼痛、神経痛、神経障害、神経損傷、火傷、偏頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経症、骨盤内過敏症、膀胱疾患、炎症などの治療に有用である。本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バニロイド受容体1(VR1)は、リガンド作動型の非選択的陽イオンチャネルである。この受容体は、一過性受容体電位スーパーファミリーの一員であると考えられている。VR1は、複数の疼痛刺激、たとえば侵害性の熱、プロトン、およびバニロイドを統合するポリモーダルな侵害受容器であると一般に認められている(European Journal of Physiology第451巻:151〜159頁、2005年)。VR1の主な分布は、感覚(AδおよびC)線維中であるが、感覚線維は、感覚神経節に細胞体を有する双極性ニューロンである。このようなニューロンの末梢線維は、皮膚、粘膜、およびほとんどすべての内臓を神経支配する。VR1は、膀胱、腎臓、脳、膵臓、および様々な種類の臓器中に存在することも認められている。VR1作動薬、たとえばカプサイシンまたはレシニフェラトキシンを使用しての一連の研究では、VR1陽性神経が、侵害受容を含めた様々な生理的応答に関与すると考えられることが示唆されている(Clinical Therapeutics.第13巻(3):338〜395頁、1991年;Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics第314巻:410〜421頁、2005年;およびNeuroscience Letter第388巻:75〜80頁、2005年)。VR1の組織分布と役割の両方から、VR1拮抗薬は、十分な治療的可能性を有するはずである。
【0003】
WO2005070929は、複素環アミン誘導体をバニロイド受容体リガンドとして開示している。WO2005070885は、バニロイド受容体リガンドとして有用なアミド誘導体を開示している。WO2004069792は、たとえば炎症性疼痛、灼熱痛、慢性閉塞性肺疾患、および骨関節炎の予防または治療に有用な、バニロイド受容体1モジュレーターである、キノリンから誘導されるアミド誘導体を開示している。WO2003068749は、バニロイド受容体(VR1)の拮抗薬として有用なキノリンまたはイソキノリンカルボキサミド誘導体を開示している。WO2005123688は、SGK関連疾患、および糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどの疾患の治療で使用するためのSGK阻害剤として、様々な3−アミノインダゾール誘導体を開示している。WO2006051378は、様々なN−スルホニルアミノベンジル−2−フェノキシアミド誘導体を、バニロイド受容体のモジュレーターとして開示している。WO97/01539は、キノリン誘導体をメラトニン状態として開示している。WO2002/30426は、ヘテロアリール化合物をHIVインテグラーゼ阻害剤として開示している。WO2000073283は、ヘテロアリール化合物を代謝調節型グルタミン酸受容体拮抗薬として開示している。WO2004014377は、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤としてヘテロアリール化合物を開示している。WO2005014533は、ヘテロアリール化合物をIX因子拮抗薬として開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全身投与によってVR1受容体との結合活性が強化され、好適な半減期を有する改善されたVR1選択的拮抗薬が提供されるなら望ましいはずである。他の潜在的な利点には、より低い毒性、良好な吸収、良好な溶解性、低いタンパク質結合親和性、より弱い薬物−薬物相互作用、HERGチャネルでの阻害活性の低下、QT延長の短縮、および良好な代謝安定性が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
今回、特定の置換カルボキサミド誘導体が、全身投与によって鎮痛活性を有する強力なVR1拮抗薬となることが見出された。
【0006】
本発明は、次式(I)の化合物
【0007】
【化1】

[式中、
環Aは、
【0008】
【化2】

であり、
およびXの一方はN、XおよびXのもう一方はNHもしくはS、XはNもしくはCRであり、
およびXの一方はCH、XおよびXのもう一方はNHもしくはN、XはC=OもしくはNであり、
およびXの一方はCR、XおよびXのもう一方はNH、XはNもしくはCRであり、
およびXはNH、XはC=Oであり、または
はNもしくはCR、YはNもしくはCR、YはNもしくはCR、YはNもしくはCR10であり、
環Bの置換部位は、α位またはβ位であり、
E、G、J、およびKは、それぞれ独立にCHまたはNであり、Fは、CHまたはC−CHであり、
LおよびTは、それぞれ独立に、CHまたはNであり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルキルであり;Rは水素であり;Rは、ハロで置換されていてもよい、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシで置換されていてもよいハロ(C〜C)アルキルであり;RおよびRは、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルであり;R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルであり;点で示した結合はそれぞれ、単結合または二重結合である]または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード、好ましくはフルオロまたはクロロを意味する。
【0010】
本明細書では、用語「(C〜C)アルキル」および「(C〜C)アルキル」とは、必要な数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和した基を意味し、その限りでないがメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、および2−メチルブチル基がこれに含まれる。好ましい基は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、および2−メチルブチル基である。
【0011】
本明細書では、用語「(C〜C)シクロアルキル」とは、必要な数の炭素原子を有する芳香族でない飽和または不飽和の炭化水素環を意味し、その限りでないがシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基がこれに含まれる。
【0012】
本明細書では、用語「(C〜C)アルコキシ」とは、(C〜C)アルキル−O−[(C〜C)アルキル基は上で定義したとおりである]を意味し、その限りでないがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、およびt−ブトキシがこれに含まれる。好ましい基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、およびt−ブトキシである。
【0013】
本明細書では、用語「ヒドロキシ(C〜C)アルキル」および「ヒドロキシ(C〜C)アルキル」とは、少なくとも1個のヒドロキシ基で置換されている、上で定義したような(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキル基を意味し、その限りでないが、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn−プロピル、ヒドロキシi−プロピル(たとえば1−ヒドロキシ−1,1−ジメチルメチル)、ヒドロキシn−ブチル、ヒドロキシi−ブチル、ヒドロキシs−ブチル、およびヒドロキシt−ブチルがこれに含まれる。好ましい基は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn−プロピル、ヒドロキシi−プロピル(たとえば1−ヒドロキシ−1,1−ジメチルメチル)、ヒドロキシn−ブチル、およびヒドロキシt−ブチルである。
【0014】
本明細書では、用語「ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ」および「ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ」とは、ヒドロキシ基で置換されている、上で定義したような(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルコキシ基を意味し、その限りでないがヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシn−プロポキシ、ヒドロキシi−プロポキシ、ヒドロキシn−ブトキシ、ヒドロキシi−ブトキシ、ヒドロキシs−ブトキシ、およびヒドロキシt−ブトキシがこれに含まれる。好ましいヒドロキシアルコキシ基は、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシn−プロポキシ、およびヒドロキシn−ブトキシである。
【0015】
本明細書では、用語「(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル」とは、上で定義したような(C〜C)アルコキシ基で置換されている、上で定義したような(C〜C)アルキル基を意味する。
【0016】
本明細書では、用語「(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ」とは、上で定義したような(C〜C)アルコキシで置換されている、上で定義したような(C〜C)アルコキシ基を意味する。好ましい基は、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、またはエトキシエトキシ基である。
【0017】
本明細書では、用語「ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル」および「ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル」とは、上で定義したようなヒドロキシ(C〜C)アルコキシ基で置換されている、上で定義したような(C〜C)アルキル基、または上で定義したようなヒドロキシ(C〜C)アルコキシ基で置換されている、上で定義したような(C〜C)アルキル基を意味する。
【0018】
本明細書では、用語「ハロ(C〜C)アルキル」および「ハロ(C〜C)アルキル」とは、上で定義したような1個または複数のハロゲン原子で置換されている、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキル基を意味し、その限りでないがフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ヨードメチル、ブロモメチル、および4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブチル基がこれに含まれる。好ましい基は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、および2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル基である。
【0019】
本明細書では、用語「ハロ(C〜C)アルコキシ」とは、上で定義したような1個または複数のハロゲン原子で置換されている(C〜C)アルキル−O−を意味し、その限りでないがフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、3−フルオロプロポキシ、4−フルオロブトキシ、クロロメトキシ、トリクロロメトキシ、ヨードメトキシ、ブロモメトキシ、および4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブトキシ基がこれに含まれる。好ましいハロ(C〜C)アルキル−O−またはハロ(C〜C)アルキル−O−基は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、および2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエトキシ基である。
【0020】
環Aの点線は、単結合または二重結合でよい。それは、X、X、Xなどの、環Aの原子に応じて決まる。環Aには、その限りでないが、以下の環が含まれる。
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
およびRは、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルである。好ましくは、RまたはRは、Hまたはヒドロキシ(C〜C)アルキルである。より好ましくは、RまたはRは、ヒドロキシメチルまたはHである。最も好ましくは、RまたはRはHである。
【0024】
、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルである。好ましくは、R、R、R、またはR10は、H、ハロ、(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルキルである。より好ましくは、R、R、R、またはR10は、H、フルオロ、メチル、またはヒドロキシメチルから選択される。
【0025】
より好ましいA環は、以下のとおりである。
【0026】
【化5】

【0027】
は、好ましくは水素または(C〜C)アルキルであり、より好ましくは水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、さらにより好ましくは水素またはメチルである。
【0028】
は、好ましくは水素または(C〜C)アルキルであり、より好ましくは水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、さらにより好ましくは水素である。
【0029】
好ましい式(I)の化合物は、RおよびRが両方とも水素であるものである。
【0030】
他の好ましい式(I)の化合物は、RがH以外、好ましくはメチルまたはエチル、より好ましくはメチルであり、Rが水素であり、RおよびRを抱える炭素原子が式(Ia)に記載するような(R)配置にあるもの、またはそのような(R)エナンチオマーを含んでいるラセミ混合物である。
【0031】
【化6】

【0032】
は、好ましくは、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、シクロプロピル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、またはヒドロキシで置換されていてもよいハロ(C〜C)アルキルである。より好ましくは、Rは、シクロプロピル、1−メチル−シクロプロピル、t−ブチル、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル、または2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチルである。さらにより好ましくは、Rは、t−ブチルまたは2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチルである。
【0033】
好ましくは、
はN、XはNH、XはCRであり、
はCH、XはNHもしくはN、XはC=OもしくはNであり、
はNH、XはN、XはNであり、
はCR、XはNH、XはNもしくCRであり、または
およびXはNH、XはC=Oであり、
最も好ましくは、XはN、XはNH、XはNであり、XはCH、XはNもしくはNH、XはNもしくはCOであり、またはXはNH、XはNH、XはCOである。
【0034】
好ましくは、EはNであり、Y、Y、Y、およびYは、それぞれCR、CR、CR、およびCR10である。
【0035】
好ましくは、EおよびFはCHであり、Y、Y、Y、およびYのうちの1つはNであり、他のものはそれぞれ独立にCHである。
【0036】
好ましくは、G、J、K、L、およびTは、CHである。
【0037】
好ましくは、G、J、K、L、およびTのうちの1つはNであり、他のものはCHである。
【0038】
好ましくは、JおよびTはCHであり、G、K、およびLのうちの1つはNであり、他のものはCHである。
【0039】
環系AおよびBとリンカー(−CR−NH−)の好ましい構造には、以下のものが含まれる。
【0040】
【化7】

【0041】
環系AおよびBの反対側の好ましい環系構造には、以下のものが含まれる。
【0042】
【化8】

【0043】
本発明の好ましい化合物には、式(I)中の各可変基が、各可変基にとって好ましい基から選択されるものが含まれる。
【0044】
好ましい具体的な本発明の化合物は、以下の項の実施例で一覧にしたもの、ならびに薬学的に許容できる塩およびその溶媒和物である。
【0045】
VR1拮抗薬である式(I)の化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける、一定範囲の障害の治療、特に、急性脳虚血、疼痛、慢性痛、急性痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、神経障害、神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連した神経障害、神経損傷、リウマチ様関節炎痛、骨関節炎痛、火傷、背痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、偏頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経症、骨盤内過敏症、骨盤痛、月経痛;失禁、排尿障害、腎疝痛、膀胱炎などの膀胱疾患;火傷、関節リウマチ、骨関節炎などの炎症;発作、発作後疼痛、多発性硬化症などの神経変性疾患;喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支収縮などの肺疾患;胃食道逆流症(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性大腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、クローン病などの消化器疾患;脳血管虚血などの虚血;癌化学療法によって誘発される嘔吐などの嘔吐;および肥満などの治療に潜在的に有用である。疼痛、特に神経因性疼痛の治療が好ましい使用である。
【0046】
生理的な疼痛は、外部環境からの有害な可能性のある刺激の危険を警告するように設計された重要な防御機構である。この系統は、特定のセットの一次感覚ニューロンを通して作動し、末梢の変換機構を介して侵害刺激によって活性化される(総説については、Millan、1999、Prog.Neurobiol.、第57巻、1〜164頁を参照されたい)。このような感覚線維は、侵害受容器として知られており、伝導速度の緩徐な直径の小さな軸索を特徴とする。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続時間、および質、さらにはその組織分布的に系統立てられた脊髄への投射によって、刺激の位置をコードする。侵害受容器は、Aδ線維(有髄)とC線維(無随)を2大タイプとする侵害受容性神経線維上に見られる。侵害受容器による入力によって生成された活性は、後角での複雑な処理の後、直接に、または脳幹中継核を介して、視床基底複側、次いで皮質へと伝達され、そこで痛みの感覚が生じる。
【0047】
痛みは、一般に急性または慢性として分類することができる。急性痛は、突如始まり、短命である(通常は12週間以下)。急性痛は、通常は特定の損傷などの特定の原因に関連し、多くの場合鋭く激しい。急性痛は、手術、歯科作業、挫傷、または捻挫の結果として起こる特定の損傷の後に生じる場合のある種類の痛みである。急性痛は一般に、いかなる持続的な心理的応答ももたらさない。対照的に、慢性痛は、長期間の痛みであり、通常は3ヶ月より長い間持続し、著しい心理的および情緒的問題をもたらす。慢性痛の一般的な例は、神経因性疼痛(たとえば、有痛性の糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌性疼痛、関節炎疼痛、および慢性の術後疼痛である。
【0048】
疾患または外傷によって体組織に相当な損傷が生じたとき、侵害受容器活性化の特性は変更され、感作は、末梢で、損傷周囲で局所的に、また侵害受容器が終結する中枢で起こる。こうした効果によって、痛みの感覚が強まる。急性痛では、こうした機序は、修復過程が起こるのを一層可能にし得る保護的な挙動を促進するのに有用な場合がある。通常の予想では、損傷が治癒したならば敏感性は正常に戻るはずである。しかし、多くの慢性疼痛状態では、過敏性は治癒過程よりはるかに長く残り、多くの場合神経系損傷を原因とする。この損傷はしばしば、適応不全および異常な活動に関連する感覚神経線維の異常をもたらす(Woolf&Salter、2000年、Science、第288巻、1765〜1768頁)。
【0049】
患者の症状の中で不快感および異常な敏感性が特徴となるとき、臨床的な疼痛が存在する。患者は、全く均一でない傾向があり、様々な疼痛症状で診察を受けにくる場合がある。そのような症状には、1)鈍い、焼けるような、または刺すようであるといえる自発痛、2)侵害刺激に対する疼痛反応の悪化(痛覚過敏)、および3)通常は無害な刺激によって生じる疼痛(異痛症−Meyerら、1994年、Textbook of Pain、13〜44頁)が含まれる。様々な形の急性痛および慢性痛を患う患者が同様の症状を有する場合があるとしても、根底にある機序は、異なることもあり、したがって、異なる治療戦略が必要となり得る。したがって、疼痛は、異なる病態生理に従って、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、および神経因性疼痛を含めたいくつかの異なるサブタイプに分けることもできる。
【0050】
侵害受容性疼痛は、組織損傷、または潜在的に損傷を引き起こす可能性のある強烈な刺激によって誘発される。痛みの求心性は、損傷部位の侵害受容器による刺激の伝達によって活性化され、それが終結するレベルの脊髄のニューロンを活性化する。次いで、これが脊髄路を上って脳へと中継され、そこで痛みが知覚される(Meyerら、1994年、Textbook of Pain、13〜44頁)。侵害受容器が活性化されると、2種類の求心性神経線維が活性化される。有髄のAδ線維は、急速な伝達を行い、鋭く刺すような痛覚を司る一方、無髄のC線維は、より緩徐な速度で伝達を行い、鈍いまたはうずくような痛みを伝える。中程度から重症の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞、および急性膵炎からくる疼痛、術後疼痛(任意の種類の手術手順後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌性疼痛、および背痛の顕著な特色である。癌性疼痛は、腫瘍に関連した疼痛(たとえば骨痛、頭痛、顔面痛、または内臓痛)や、癌治療に関連する疼痛(たとえば化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、または放射線照射後症候群)などの慢性痛であるといえる。癌性疼痛は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、または放射線療法に応答して起こる場合もある。背痛は、椎間板ヘルニアもしくは椎間板破裂、または腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊椎筋、もしくは後縦方向靱帯の異常によるものであるといえる。背痛は、自然に消散する場合もあるが、一部の患者では、12週間を超えて持続する場合、特に消耗性となり得る慢性状態となる。
【0051】
神経因性疼痛は現在、神経系の一次病巣または機能不全によって始まり、または引き起こされる疼痛であると定義されている。神経損傷は、外傷および疾患によって引き起こされる場合があり、したがって、用語「神経因性疼痛」は、多様な病因の多くの障害を包含する。それらには、末梢性神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌性神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中心性卒中後痛、ならびに慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊椎損傷、パーキンソン病、てんかん、およびビタミン欠乏に関連する疼痛が含まれるがこの限りでない。神経因性疼痛は、保護的な役割をもたないので病的である。多くの場合、もとの原因が消失した後も多分に存在し、一般に何年間も持続し、患者の生活の質を有意に低下させる(WoolfおよびMannion、1999年、Lancet、第353巻、1959〜1964頁)。神経因性疼痛の症状は、同じ疾患の患者間でさえしばしば均一でないので、治療が難しい(Woolf&Decosterd、1999年、Pain Supp.、第6巻、S141〜S147頁;WoolfおよびMannion、1999年、Lancet、第353巻、1959〜1964頁)。神経因性疼痛の症状には、持続性になることのある自発痛、ならびに痛覚過敏(侵害刺激に対する敏感性の増大)や異痛症(通常は無害な刺激に対する敏感性)などの発作性または異常な誘発痛が含まれる。
【0052】
炎症性の過程は、組織損傷または異物の存在に応答して活性化される、一連の複雑な生化学的および細胞性の事象であり、腫れおよび疼痛をもたらす(Levine and Taiwo、1994、Textbook of Pain、45〜56)。関節炎疼痛は、最も一般的な炎症性疼痛である。リウマチ様疾患は、先進諸国では最も一般的な慢性炎症状態であるの1つであり、関節リウマチは、能力障害の一般的な原因である。関節リウマチの正確な病因は不明であるが、現在の仮説では、遺伝的と微生物学的の両方の要素が重要ではないかと提唱されている(Grennan&Jayson、1994、Textbook of Pain、397〜407)。ほぼ1600万人のアメリカ人が症候性の骨関節炎(OA)または変形性関節疾患に罹患し、その大部分が60才を超えていることが推定されており、集団の年齢が増すにつれてこれが4000万人に増加することが想定されるため、重要性の非常に大きい公衆衛生上の問題となっている(Houge&Mersfelder、2002、Ann Pharmacother.、36、679〜686;McCarthy ら、1994、Textbook of Pain、387〜395)。大部分の変形性関節炎患者は、疼痛が伴うために医学的な対応処置を捜し求める。関節炎は、心理社会的および身体的な機能に重大な影響を及ぼすものであり、後の人生で能力障害の主な原因となることが知られている。強直性脊椎炎も、脊椎および仙腸関節の関節炎を引き起こすリウマチ性疾患である。生涯にわたって生じる背痛の断続的なエピソードから、脊椎、末梢の関節、および他の身体器官を襲う重篤な慢性疾患に至るまで様々である。
【0053】
別の種類の炎症性疼痛は、内臓痛であり、これには、炎症性腸疾患(IBD)に関連する疼痛が含まれる。内臓痛は、腹腔の臓器を含む内臓に関連する疼痛である。それらの臓器には、生殖器、脾臓、および消化器系の部分が含まれる。内臓に関連する疼痛は、消化系の内臓痛と非消化系の内臓痛とに分けることができる。疼痛を引き起こす、一般に遭遇する胃腸管系(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。これらのGI障害としては、FBDに関しては胃食道逆流症、消化不良、過敏性大腸症候群(IBS)、および機能性腹痛症候群(FAPS)、IBDに関してはクローン病、回腸炎、および潰瘍性大腸炎を含めて、すべてが定期的に内臓痛を生じる、現在では中程度にしかコントロールされない広範囲な疾患状態が挙げられる。他の種類の内臓痛には、月経困難症、膀胱炎、および膵炎に関連する疼痛、ならびに骨盤痛が含まれる。
【0054】
一部の種類の疼痛は、複数の病因を有し、したがって複数の領域に分類される場合があり、たとえば背痛および癌性疼痛は、侵害受容性と神経障害性の両方の構成要素を有することを留意されたい。
【0055】
他の種類の疼痛には、以下のものが含まれる。
・筋肉痛、線維筋痛症、椎骨炎、血清反応陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィノパチー、グリコーゲン分解、多発性筋炎、および化膿性筋炎を含めた、筋骨格障害の結果として生じる疼痛、
・狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄、心外膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症、および骨格筋虚血によって引き起こされる疼痛を含めた、心臓および血管の疼痛、
・頭痛、たとえば、(前兆を伴う偏頭痛および前兆を伴わない偏頭痛を含めた)偏頭痛、群発性頭痛、筋緊張型頭痛、混合型頭痛、および血管性障害に関連する頭痛、
・歯痛、耳痛、口腔内灼熱症候群、および側頭下顎の筋筋膜痛を含めた口腔顔面痛。
【0056】
本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と共に、薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を提供する。組成物は、上で規定した疾患状態の治療に有用であることが好ましい。
【0057】
本発明はさらに、医薬として使用するための式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0058】
本発明はさらに、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、上で規定した疾患状態の治療方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0059】
本発明はさらにまた、上で規定した疾患状態を治療するための医薬の製造における、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0060】
本発明はさらにまた、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と、別の薬理活性物質の組合せを提供する。
【0061】
本明細書、特に「一般合成」および「実施例」では、以下の略語を使用する場合がある。
BEP テトラフルオロホウ酸2−ブロモ−1−エチルピリジニウム
BOP ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム
CDI 塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DME 1,2−ジメトキシエタン、ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩化水素
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeOH メタノール
NMP N−メチル−2−ピロリドン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
HBTU ヘキサフルオロリン酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
【0062】
一般合成
本発明の化合物は、たとえば以下の反応スキームに示すような、この種類の化合物の調製についてよく知られている様々な方法によって調製することができる。
【0063】
以下の一般合成のすべての出発材料は、市販されている場合もあり、または当業者に知られている従来の方法によって得ることができる。
【0064】
【化9】

【0065】
これは、式(I)の化合物の調製を例示するものである。
【0066】
ステップ1A:このステップでは、式(I)のアミド化合物は、カップリング試薬の存在下または不在下、不活性溶媒中で、式(II)のアミン化合物と式(III)の酸化合物のカップリング反応を実施して調製することができる。適切なカップリング試薬は、たとえば、ジイミド(たとえばDCC、EDC、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、BEP、CDI、BOP、アゾジカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィン、シアノリン酸ジエチル、ジエチルホスホリルアジド、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、N、N’−カルボニルジイミダゾール、ジエチルリン酸ベンゾトリアゾール−1−イル、クロロギ酸エチル、またはクロロギ酸イソブチルを含めて、ペプチド合成で通常使用されるものである。反応は、HOBt、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で実施することができる。式(I)のアミド化合物は、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、塩化チオニルなどのハロゲン化剤との反応によって得ることのできるハロゲン化アシルを経て生成することができる。反応は、溶媒の存在下で実施することが普通であり好ましい。使用する反応または試薬に有害作用を及ぼさず、試薬を少なくともある程度は溶解させることができるという条件で、用いる溶媒の性質に特定の制限はない。適切な溶媒の例には、アセトン;ニトロメタン;DMF;NMP;スルホラン;DMSO;2−ブタノン;アセトニトリル;DCM、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;およびTHFや1,4−ジオキサンなどのエーテルが含まれる。反応は、広範囲な温度で実施することができ、正確な反応温度は本発明にとって不可欠ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質や、使用する出発材料または試薬といった要素に応じて決まる。しかし、一般に、−20℃〜100℃、より好ましくは約0℃〜60℃の温度で反応を行うと好都合であることがわかっている。反応に必要となる時間も、多くの要素、特に反応温度、ならびに用いる試薬および溶媒の性質に応じて広範囲に様々となり得る。しかし、上で概略を述べた好ましい条件下で反応を実施するという前提で、5分〜1週間、より好ましくは30分〜24時間で通常は十分となる。
【0067】
【化10】

【0068】
がメチルであるとき、式(II)の化合物は、式(IV)の化合物から調製することができる。これは、式(II)の化合物の調製を例示するものである。
【0069】
ステップ2A:上記式において、式(V)の化合物は、溶媒中にて遷移金属触媒および添加剤を用いた、塩基性条件下での式(IV)の化合物のカップリング反応によって調製することができる。適切な溶媒の例には、プロトン性溶媒、たとえば、水、MeOHやEtOHなどのアルコール、ならびにプロトン性溶媒としての水またはアルコールをTHF、1,4−ジオキサン、DMF、またはアセトニトリルと混合した共溶媒が含まれる。この反応は、適切な触媒の存在下で実施することができる。同様に、使用する触媒の性質にも特定の制限はなく、この種類の反応で一般に使用されるどんな触媒もここで同等に使用することができる。そのような触媒の例には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、銅(0)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、または二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)が含まれる。好ましい触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、または二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)である。この反応は、適切な添加剤の存在下で実施することができる。その添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、またはトリフェニルアルシンが含まれる。この反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムなどの塩基の存在下で実施することができる。反応は、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜120℃の温度で実施することができる。反応時間は一般に、5分〜48時間、より好ましくは30分〜24時間で通常は十分となる。
【0070】
ステップ2B:このステップでは、脱水試薬および/または酸および/またはルイス酸の存在下、式(V)の化合物と式(VI)のアミンのカップリング反応を実施して、式(VII)の化合物を調製することができる。好ましい脱水試薬としては、塩化チタン(IV)、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシドなどのルイス酸;p−トルエンスルホン酸などの酸が挙げられる。適切な溶媒の例には、THF;1,4−ジオキサン;DMF;アセトニトリル;MeOHやEtOHなどのアルコール;DCM、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;または酢酸が含まれる。反応温度は、一般に0〜200℃の範囲、好ましくは100℃〜140℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは5分〜1時間である。必要ならば、マイクロ波条件を反応に適用する。
【0071】
ステップ2C:このステップでは、式(VII)の化合物を還元剤で還元して式(VIII)の化合物を調製することができる。この反応は、ジボラン、ボラン−メチルスルフィド錯体、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどの適切な還元剤の存在下、THFおよびジエチルエーテルから選択される不活性溶媒中で実施することができる。反応温度は、一般に−100〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは20分〜5時間、しかし、必要ならば、より短いまたはより長い反応時間を用いてよい。還元は、ラネーニッケル触媒などの金属触媒の存在下、ヒドラジン、パラジウム触媒、または白金触媒の存在下または不在下で水素雰囲気中などの、既知の水素化条件下で実施することもできる。この反応は、MeOH、EtOH、THFなどの不活性溶媒中にて塩化水素の存在下または不在下で実施することができる。必要ならば、この還元は、約0.5〜10kg/cmの範囲、好ましくは1〜6kg/cmの範囲の十分な圧力の下で実施することができる。適切な溶媒の例は、ステップ2Bで言及したものと同様である。
【0072】
反応温度は、一般に−100℃〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜2日、好ましくは20分〜24時間である。
【0073】
ステップ2D:このステップでは、式(VIII)の化合物の脱保護および/または塩生成を、D.CoganらによるJournal of American Chemical Society、1999年、第121巻、268〜269頁の方法を使用して、酸性条件下、不活性溶媒中にて行って、式(II)の化合物を調製することができる。酸には、たとえば、その限りでないが、塩化水素、臭化水素、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、またはp−トルエンスルホン酸が含まれる。反応は、パラジウム−炭素触媒や白金触媒などの金属触媒存在下で水素雰囲気中などの、既知の水素化条件下で実施することもできる。この反応は、MeOH、EtOH、THFなどの不活性溶媒中にて、塩化水素の存在下または不在下で実施することができる。この還元は、必要ならば、約0.5〜10kg/cmの範囲、好ましくは1〜6kg/cmの範囲の十分な圧力の下で実施することができる。反応温度は、一般に−100℃〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜2日、好ましくは20分〜24時間である。
【0074】
【化11】

【0075】
およびRがHでないとき、式(II)の化合物は、式(IV)の化合物から調製することができる。
【0076】
ステップ3A:このステップでは、触媒および/または塩基の存在下、不活性溶媒中にて、式(X)の化合物を一酸化炭素およびアルコール(たとえばMeOHまたはEtOH)と反応させて、式(IX)の化合物を調製することができる。適切な触媒の例には、酢酸パラジウムやパラジウムジベンジルアセトンなどのパラジウム試薬が含まれる。適切な塩基の例には、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、またはトリエチルアミンが含まれる。所望ならば、この反応は、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリフェニルホスフィン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)などの添加剤の存在下または不在下で実施することができる。反応は、溶媒の存在下で実施することが普通であり好ましい。反応または使用する試薬に有害作用を及ぼさず、試薬を少なくともある程度溶解させるという条件で、用いる溶媒の性質に特定の制限はない。適切な溶媒の例には、アセトン;ニトロメタン;DMF;スルホラン;DMSO;NMP;2−ブタノン;アセトニトリル;DCM、ジクロロエタン、またはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;またはTHFや1,4−ジオキサンなどのエーテルが含まれる。反応は、広範囲な温度で実施することができ、正確な反応温度は本発明にとって不可欠でない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、使用する出発材料または試薬などの要素に応じて決まる。しかし、一般に、−20℃〜150℃、より好ましくは約50℃〜80℃の温度で反応を行うことが好都合であるとわかっている。反応に必要となる時間は、多くの要素、特に、反応温度ならびに用いる試薬および溶媒の性質に応じて広範に様々となり得る。しかし、上で概略を述べた好ましい条件下で反応を実施するという前提で、30分〜24時間、より好ましくは1時間〜10時間で通常は十分となる。
【0077】
ステップ3B−1:このステップでは、式(IX)の化合物を溶媒中で加水分解して、酸化合物を調製することができる。加水分解は、従来の手順によって実施することができる。典型的な手順では、加水分解は、塩基性条件下、水の存在下で実施し、適切な塩基には、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムが含まれる。適切な溶媒には、たとえば、MeOH、EtOH、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールなどのアルコール;THF、DME、1,4−ジオキサンなどのエーテル;DMFやヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド;またはDMSOなどのスルホキシドが含まれる。この反応は、−20〜100℃、通常は20℃〜65℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は60分〜10時間実施することができる。加水分解は、酸条件下、たとえば、塩化水素や臭化水素などのハロゲン化水素;p−トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などのスルホン酸;p−トルエンスルホン酸ピリジウム;および酢酸やトリフルオロ酢酸などのカルボン酸の存在下で実施することもできる。適切な溶媒には、たとえば、MeOH、EtOH、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールなどのアルコール;THF、DME、1,4−ジオキサンなどのエーテル;DMFやヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド;およびDMSOなどのスルホキシドが含まれる。この反応は、−20〜100℃、通常は20℃〜65℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は60分〜10時間実施することができる。
【0078】
ステップ3B−2:このステップでは、3B−1の化合物から、ステップ1と同じ手順によって、式(X)のアミド化合物を調製することができる。
【0079】
ステップ3C:このステップでは、式(X)の化合物を有機金属試薬RMと反応させて、式(XI)の化合物を調製することができる。RMは、Rのハロゲン化物化合物を反応させて調製することができる。たとえば、MがMgZを表すRMは、30〜80℃の間の範囲から加温する条件下、MgおよびRZ、ジブロモエタンおよびIを攪拌して生成することができる。この反応は、有機金属試薬または金属の存在下で実施することができる。適切な有機金属試薬の例には、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム;フェニルリチウムやリチウムナフチリドなどのアリールリチウムが含まれる。適切な金属の例には、マグネシウムが含まれる。好ましい不活性溶媒には、たとえば、ヘキサンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100〜50℃の範囲、好ましくは−100℃〜室温の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは1時間〜10時間である。
【0080】
ステップ3D:このステップでは、式(XI)の化合物を還元して、式(XII)の化合物を調製することができる。化合物(XI)のカルボニル基の還元は、従来の手順によって実施することができる。典型的な手順では、還元は、適切な不活性溶媒中にて水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、またはボランで処理して実施する。適切な溶媒には、たとえば、THF、DME、または1,4−ジオキサンなどのエーテルが含まれる。この反応は、−20〜100℃、通常は20℃〜65℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は60分〜10時間実施することができる。(R)−3,3−ジフェニル−1−メチルピロリジノ[1,2,C]−1,3,2−オキサザボロールを配位子として有するBHMeS錯体などの還元剤で処理することによる、別の還元手順を実施することもできる。適切な不活性溶媒には、THFが含まれる。反応は、温度−10℃で30分〜24時間、通常は60分〜10時間実施することができる。
【0081】
ステップ3E−1:このステップでは、当業者に知られている条件下、式(XII)の化合物を、脱離基を有する化合物に変換することができる。たとえば、不活性溶媒、たとえば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;またはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;DMFまたはDMSOの存在下または不在下で、塩素化剤、たとえば塩化チオニル、塩化オキサリルを使用して、式(XII)の化合物のヒドロキシ基を塩化物に変換することができる。別の例では、塩基、たとえば、アルカリ水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、ハロゲン化物、または水素化物、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、またはアミン、たとえば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンの存在下または不在下、不活性溶媒、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;DMFまたはDMSOの存在下または不在下で、スルホン化剤、たとえば、塩化p−トルエンスルホニル、p−トルエンスルホン酸無水物、塩化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を使用して、式(XII)の化合物のヒドロキシ基をスルホン酸基に変換することができる。
【0082】
ステップ3E−2:式(XIII)の化合物は、アジドの導入によって調製することができる。ステップ3E−1で得た化合物を、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)などのアゾジカルボン酸ジアルキル、およびトリフェニルホスフィンなどのホスフィン試薬の存在下、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ナトリウムアジド、またはHNで処理することができる。好ましくは、この反応は、不活性溶媒中で実施することができる。好ましい不活性溶媒には、THF、ジエチルエーテル、DMF、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、DCM、1,2−ジクロロエタン、もしくはDME、またはこれらの混合物が含まれるがこの限りでない。還元は、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸トリエチル、トリフェニルホスフィン、亜鉛、ジブチルスズ水素化物、ジボランなどの適切な還元剤の存在下で、その限りでないがTHF、ジエチルエーテル、MeOH、およびEtOHから選択される不活性溶媒中にて実施することができる。所望ならば、反応は、塩酸または酢酸存在下の酸性条件下で実施することができる。反応温度は、一般に−100〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは20分〜5時間であるが、しかし、必要ならばより短いまたはより長い反応時間を用いてよい。
【0083】
ステップ3F:このステップでは、式(XIII)のアジド化合物を還元剤で還元して、式(II)の化合物を調製することができる。この反応は、ジボラン、ボラン−メチルスルフィド錯体、水素化リチウムアルミニウムなどの適切な還元剤の存在下、THFやジエチルエーテルなどの不活性溶媒中で実施することができる。反応は、上のステップ2Dに記載のものと同様の条件で実施することもできる。反応温度は、一般に−100〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは20分〜5時間であるが、しかし、必要ならばより短いまたはより長い反応時間を用いてよい。還元は、水素雰囲気中にて、ヒドラジン、パラジウム触媒、または白金触媒の存在下または不在下、ラネーニッケル触媒などの金属触媒の存在下などの既知の水素化条件下で実施することもできる。この反応は、MeOH、EtOH、THFなどの不活性溶媒中にて、塩化水素の存在下または不在下で実施することができる。必要ならば、この還元は、約0.5〜10kg/cmの範囲、好ましくは1〜6kg/cmの範囲の十分な圧力の下で実施することができる。反応温度は、一般に−100℃〜250℃の範囲、好ましくは0℃から還流温度の範囲であるが、必要ならば、より低いまたはより高い温度を用いてよい。反応時間は、一般に1分〜2日、好ましくは20分〜24時間である。
【0084】
ステップ3G:このステップでは、式(XI)の化合物と式(VI)のアミンのカップリング反応を、上でステップ2Bに記載した方法によって実施して、式(XIV)の化合物を調製することができる。
【0085】
ステップ3H:このステップでは、式(XIV)の化合物から、上でステップ2Cに記載した方法によって、式(XV)の化合物を調製することができる。
【0086】
ステップ3I:このステップでは、式(XV)の化合物から、上でステップ2Dに記載した方法によって、式(II)の化合物を調製することができる。
【0087】
【化12】

【0088】
が水素でなく、Rが水素であるとき、式(IV)の化合物から式(XI)の化合物を調製することができる。これは、式(XI)の化合物の別の調製を例示するものである。
【0089】
ステップ4A:このステップでは、不活性溶媒中で遷移金属触媒および金属シアン化物試薬を用いるシアノ化条件下で式(IV)の化合物をシアノ化して、式(XIX)の化合物を調製することができる。適切な溶媒の例には、THF;1,4−ジオキサン;DMF;アセトニトリル;MeOHやEtOHなどのアルコール;DCM、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;またはDMEが含まれる。適切な試薬としては、たとえば、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどのアルカリ金属シアン化物、シアン化鉄(II)、シアン化コバルト(II)、シアン化銅(I)、シアン化銅(II)などの遷移金属シアン化物、シアン化亜鉛(II)、またはシアン化トリメチルシリルが挙げられる。この反応は、適切な触媒の存在下で実施することができる。使用する触媒の性質には同様に特定の制限はなく、この種類の反応で一般に使用されるどんな触媒もここで同等に使用することができる。そのような触媒の例には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、銅(0)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、または二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)が含まれる。好ましい触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、または二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)である。反応は、適切な添加剤の存在下で実施することができる。そのような添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、またはトリフェニルアルシンが含まれる。反応は、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜120℃の温度で実施することができる。反応時間は、一般に5分〜48時間、より好ましくは30分〜24時間で通常は十分となる。必要ならば、反応にマイクロ波を適用する。
【0090】
ステップ4B:このステップでは、化合物(XIX)をグリニャール試薬と反応させた後、炭酸水素ナトリウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で加水分解して、式(XI)の化合物を調製することができる。適切なグリニャール試薬の例には、たとえば、その限りでないが、臭化メチルマグネシウムなどの臭化アルキルマグネシウム、エチルマグネシウム、フェニルマグネシウムが含まれる。好ましい不活性溶媒としては、たとえば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;またはその混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100〜50℃の範囲、好ましくは−100℃〜室温の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは1時間〜10時間である。
【0091】
【化13】

【0092】
がメチルであるとき、式(IV)の化合物から式(XI)の化合物を調製することができる。これは、式(XI)の化合物の別の調製を例示するものである。
【0093】
ステップ5A:このステップでは、不活性溶媒中でルイス酸触媒および試薬を用いるアシル化条件下でのFriedel−Crafts反応によって、式(IV)の化合物から式(XI)の化合物を調製することができる。適切な溶媒の例には、DCM、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、またはDMEが含まれる。適切な試薬は塩化アシルである。この反応は、塩化アルミニウム(III)、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウムなどの適切な触媒の存在下で実施することができる。反応温度は、一般に−100〜90℃の範囲、好ましくは室温〜70℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは1時間〜10時間である。
【0094】
【化14】

【0095】
ステップ6A:このステップでは、式(XX)の化合物から、ステップ1と同じ手順によって、式(XXI)のアミド化合物を調製することができる。
【0096】
ステップ6B:このステップでは、式(XXIII)の化合物から、ステップ3Cと同じ手順によって、式(XXII)のケトン化合物を調製することもできる。
【0097】
ステップ6C:このステップでは、式(XXII)の化合物とジェミナルなアルキル化試薬のアルキル化反応を不活性溶媒中で実施して、式(XXIII)の化合物を調製することもできる。好ましいアルキル化剤の例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどのトリアルキル金属;臭化リチウムなどの添加剤化合物存在下での臭化メチルマグネシウムなどのハロゲン化アルキルマグネシウム;ジメチル亜鉛と塩化チタンによって調製される二塩化ジメチルチタンなどのハロゲン化ジアルキルチタンが含まれ、二塩化ジメチルチタンが最も好ましい。反応のための好ましい不活性溶媒の例には、DCM、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100〜200℃の範囲、好ましくは−40℃〜100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは1時間〜10時間である。
【0098】
ステップ6D:このステップでは、式(XXIV)の化合物から、ステップ3Aと同じ手順によって、式(XXIV)の化合物を調製することもできる。
【0099】
ステップ6E:このステップでは、式(xxiv)の化合物から、溶媒中で、ステップ3B−1と同じ手順によって、式(III)の酸化合物を調製することができる。
【0100】
【化15】

【0101】
ステップ7A:このステップでは、式(XXV)の化合物のアルコキシメチレンマロン酸ジアルキルとのN置換アクリレート化(acrylation)を、反応不活性溶媒中または無溶媒で実施して、式(XXVI)の化合物を調製することができる。適切な溶媒の例には、MeOH、EtOH、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールなどのアルコール;THF、DME、1,4−ジオキサンなどのエーテルが含まれる。述べたとおり、この反応は、無溶媒でも実施することができる。反応は、50℃〜150℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は60分〜3時間実施することができる。
【0102】
ステップ7B:このステップでは、反応不活性溶媒中で式(XXVI)の化合物を熱閉環して、式(XXVII)の化合物を調製することができる。適切な溶媒の例には、フェニルエーテルなどのエーテルが含まれる。この反応は、200〜300℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は250℃で30分〜5時間実施することができる(Journal of Medicinal chemistry、1998年、第41巻第25号)。
【0103】
ステップ7C:このステップでは、式(XXVII)の化合物をハロゲン化して、式(XXVIII)の化合物を調製することができる。反応は、反応不活性溶媒中または無溶媒でハロゲン化試薬を用いるハロゲン化条件下で実施する。適切な溶媒の例には、THF、1,4−ジオキサン、DMF、アセトニトリル;DCM、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;、および酢酸が含まれる。適切なハロゲン化試薬の例には、オキシ塩化リンやオキシ臭化リンなどのオキシハロゲン化リンが含まれる。反応は、0℃〜200℃、より好ましくは周囲温度〜150℃の温度で実施することができる。反応時間は、一般に5分〜48時間、より好ましくは30分〜6時間で通常は十分となる。
【0104】
ステップ7D:このステップでは、式(XXVIII)の化合物を溶媒中で水素化して、脱ハロゲン化された式(XXIX)の化合物を調製することができる。水素化反応は、たとえば、水素雰囲気中またはギ酸やギ酸アンモニウムなどの水素供給源存在下、金属触媒存在下の既知の水素化分解条件下で、反応不活性溶媒中にて実施する。所望ならば、反応は、塩基性条件下、たとえばトリエチルアミンの存在下で実施する。好ましい試薬は、たとえば、ラネーニッケルなどのニッケル触媒、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、白金酸化物、白金−炭素、ルテニウム−炭素、ロジウム−酸化アルミニウム、トリス[トリフェニルホスフィン]ロジウム塩化物から選択される。適切な水性または非水性の反応不活性有機溶媒の例には、MeOH、EtOHなどのアルコール;THFや1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン;ジメチルホルムアミド;DCM、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;および酢酸;またはこれらの混合物が含まれる。反応は、温度20℃〜100℃の範囲、好ましくは20℃〜60℃の範囲で実施することができる。反応時間は、一般に10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。この反応は、水素雰囲気中にて、1〜100気圧、好ましくは1〜10気圧の範囲の圧力で実施することができる。好ましい条件は、風船を使用する水素雰囲気中にて周囲温度で1〜24時間、5%または10%パラジウム−炭素を使用するものである。
【0105】
ステップ7E:このステップでは、式(XXIV)の化合物を、溶媒中で、ステップ3B−1に記載の方法によって加水分解して、式(III)の酸化合物を調製することができる。
【0106】
【化16】

【0107】
ステップ8A:このステップでは、溶媒中で式(XXX)の化合物とR−B(OH)とのカップリング反応を実施して、式(XXXI)の化合物を調製することができる。カップリング反応は、塩基の不在下または存在下、反応不活性溶媒中または無溶媒で実施することができる。好ましい塩基の例には、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、または水素化物、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、2−t−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP)、t−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン;2,6−ルチジン、ピリジン、またはジメチルアミノピリジンが含まれる。好ましい反応不活性溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ピリジンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、TFA、1,4−ジオキサンなどのエーテル;EtOAc、アセトニトリル、DMF、DMSO、および水、またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100℃〜250℃の範囲、より好ましくは0℃から還流温度の範囲である。反応時間は、一般に1分〜10日、より好ましくは20分〜24時間である。この反応は、適切な触媒の存在下で実施することができる。同様に、使用する触媒の性質に特定の制限はなく、この種類の反応で一般に使用されるどんな触媒も、ここで同等に使用することができる。そのような触媒の例には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、銅(0)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、または二塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)が含まれる。
【0108】
この反応は、適切な添加剤の存在下で実施することができる。そのような添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、またはトリフェニルアルシンが含まれる。
【0109】
ステップ8B:このステップでは、式(XXXI)の化合物を、溶媒中で、ステップ3B−1に記載の方法によって加水分解して、式(III)の酸化合物を調製することができる。
【0110】
【化17】

【0111】
ステップ9A:このステップでは、式(XXXII)の化合物を反応不活性溶媒中で酸化させて、式(XXXIII)のN−オキシド化合物を調製することができる。酸化反応は、添加剤の不在下または存在下、反応不活性溶媒中で実施することができる。好ましい酸化試薬の例は、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)、過酸化水素、過酢酸である。好ましい反応不活性溶媒の例には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトニトリル、酢酸、および水、またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に0℃〜250℃の範囲、より好ましくは0℃〜100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜10日、より好ましくは20分〜6時間である。この反応は、適切な触媒の存在下で実施することができる。同様に、使用する触媒の性質に特定の制限はなく、この種類の反応で一般に使用されるどんな触媒も、ここで同等に使用することができる。そのような触媒の例には、メチルトリオキソレニウム(VII)、タングステン酸、およびタングステン酸ナトリウム脱水物が含まれる。
【0112】
ステップ9B:このステップでは、式(XXXIII)の化合物を反応不活性溶媒中でシアノ化して、式(XXXIV)のシアノ化合物を調製することができる。好ましいシアノ化試薬の例には、トリメチルシランカルボニトリル(TMSCN)、トリメチルクロロシランとシアン化ナトリウムの組合せ、塩化N,N−ジメチルカルバモイルなどのアシル化剤とトリメチルシランカルボニトリル(TMSCN)の組合せが含まれる。好ましいシアノ化試薬は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、反応不活性溶媒中のトリメチルシランカルボニトリル(TMSCN)である。好ましい反応不活性溶媒の例には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトニトリル、DMF、DMSO、またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に0℃〜250℃の範囲、より好ましくは0℃〜100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜10日、より好ましくは20分〜24時間である。
【0113】
ステップ9C:このステップでは、式(XXXIV)のシアノ化合物を溶媒中で加水分解して、式(III)の酸化合物を調製することができる。加水分解は、従来の手順によって実施することができる。典型的な手順では、加水分解は、塩基性条件下、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムの存在下で実施することができる。適切な溶媒の例には、MeOH、EtOH、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールなどのアルコール;THF、DME、1,4−ジオキサンなどのエーテル;DMFやヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド;およびDMSOなどのスルホキシドが含まれる。好ましい溶媒は、MeOH、EtOH、プロパノール、THF、DME、1,4−ジオキサン、DMF、およびDMSOである。この反応は、−20〜150℃、通常は20℃〜100℃の範囲の温度で30分〜24時間、通常は60分〜10時間実施することができる。
【0114】
【化18】

【0115】
ステップ10A:このステップでは、式(XXXX)の化合物を反応不活性溶媒中でアルキル化して、式(XXXIX)の1,2−ジヒドロキノリン化合物を調製することができる。式R4−MXの有機金属化合物は、Rのハロゲン化物化合物を反応させて調製することができ、Rはアルキルである。Mは、リチウムまたはMgXなどの金属を表し、Xは、水素原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を表す。適切な有機金属試薬の例には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム;フェニルリチウムやリチウムナフチリドなどのアリールリチウム;ハロゲン化メチルマグネシウム、ハロゲン化イソプロピルマグネシウム、ハロゲン化t−ブチルマグネシウムなどのハロゲン化アルキルマグネシウム;ハロゲン化フェニルマグネシウムなどのハロゲン化アリールマグネシウムが含まれる。好ましい反応不活性溶媒の例には、ヘキサンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、1,4−ジオキサンなどのエーテル;またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100〜100℃の範囲、好ましくは−100℃から室温の範囲である。反応時間は、一般に1分〜1日、好ましくは1時間〜24時間である。
【0116】
ステップ10B:このステップでは、式(XXXIX)の化合物を溶媒中で酸化させて、式(XXXX)の化合物を調製することができる。適切な酸化剤の例には、三酸化クロム(CrO)、クロム酸カリウム(KCrO)、二クロム酸カリウム(KCr)などのCr試薬;二酸化マンガン(MnO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)などのMn試薬;2,3,5,6,−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)などのキニン試薬、および空気酸化が含まれる。適切な溶媒の例には、THF、1,4−ジオキサン、アセトン、DMF、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素(たとえば、DCM、ジクロロエタン、クロロホルム)、水、またはこれらの混合物が含まれる。反応は、広範囲な温度で実施することができ、正確な反応温度は本発明にとって不可欠でない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、ならびに使用する出発材料または試薬などの要素に応じて決まる。しかし、一般に、−78℃〜100℃、より好ましくは約−60℃〜60℃の温度で反応を実施することが好都合であることがわかっている。反応に要する時間も、多くの要素、特に反応温度ならびに用いる試薬および溶媒の性質に応じて広範に様々となり得る。しかし、上で概略を述べた好ましい条件下で反応を実施するという前提で、1分〜24時間、より好ましくは30分〜12時間で通常は十分となる。
【0117】
ステップ10C:このステップでは、式(XXXX)の化合物を、ステップ3B−1に記載した方法によって溶媒中で加水分解して、式(III)の酸化合物を調製することができる。
【0118】
【化19】

【0119】
ステップ11A:このステップでは、式(XXXXII)の化合物は、反応不活性溶媒中で式(XXXXI)の求核的トリフルオロメチル化を行って調製することができる。好ましいトリフルオロメチル化試薬の例には、トリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)と開始剤試薬の組合せが含まれる。好ましい触媒的開始剤試薬の例には、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、フッ化セシウム(CsF)、酢酸リチウム(AcOLi)、酢酸ナトリウム(AcONa)、酢酸カリウム(AcOK)、酢酸テトラブチルアンモニウム(AcO−nNBu)、ピバル酸リチウム(t−BuCOLi)、安息香酸リチウム(PhCOLi)、カリウムt−ブトキシド(KO−tBu)、およびナトリウムt−ブトキシド(NaO−tBu)が含まれる。好ましい反応不活性溶媒の例には、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;アセトニトリル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−78℃〜200℃の範囲、より好ましくは−78℃〜100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜10日、より好ましくは10分〜24時間である。
【0120】
ステップ11B:このステップでは、式(XXXXII)のO−トリメチルシリル化合物を、ステップ3B−1に記載した方法によって、酸条件下の溶媒中で加水分解して、式(XXXXIII)のヒドロキシル化合物を調製することができる。
【0121】
ステップ11C:このステップでは、式(XXXXIII)の化合物のハロゲン化、Oメシル化、Oトシル化、およびOトリフラートを反応不活性溶媒中または無溶媒で行って、式(XXXXIV)の化合物を調製することができる。ハロゲン化反応は、ハロゲン化試薬の存在下、不活性溶媒中または無溶媒で実施することができる。適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;および酢酸が含まれる。適切なハロゲン化試薬の例には、塩化チオニル、塩化オキサリル、五塩化リン、三臭化リン;オキシ塩化リンやオキシ臭化リンなどのオキシハロゲン化リン;塩化チタン、塩化スズ、塩化アルミニウムなどのルイス酸が含まれる。反応は、−78℃〜200℃、より好ましくは−20℃〜150℃の温度で実施することができる。反応時間は、一般に5分〜10日、より好ましくは30分〜24時間である。Oメシル化、Oトシル化、およびOトリフラート反応は、塩基の存在下、不活性溶媒中または無溶媒で、O活性化試薬と式(XXXXIII)の化合物とを反応させて実施することができる。適切なO活性化試薬の例には、塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物が含まれる。適切な塩基の例には、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム;カリウムt−ブトキシドおよびナトリウムt−ブトキシド(NaO−tBu);トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ならびにピリジンが含まれる。好ましい反応不活性溶媒の例には、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはこれらの混合物が含まれる。反応は、−78℃〜150℃、より好ましくは−78℃〜100℃の温度で実施することができる。反応時間は、一般に5分〜48日、より好ましくは30分〜24時間である。
【0122】
ステップ11D:このステップでは、不活性溶媒中でアルキル化試薬を用いる式(XXXXVI)の化合物のアルキル化反応によって、式(XXXXV)の化合物を調製することができる。好ましいアルキル化剤の例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどのトリアルキル金属;臭化リチウムなどの添加剤化合物存在下での臭化メチルマグネシウムなどのハロゲン化アルキルマグネシウム;ジメチル亜鉛および塩化チタンによって調製される二塩化ジメチルチタンなどのハロゲン化ジアルキルチタン;最も好ましくはトリメチルアルミニウムが含まれる。反応のための好ましい不活性溶媒の例には、ジクロロメタン(DCM)、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサンなどのエーテル;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;またはこれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100℃〜200℃の範囲、好ましくは−40℃〜100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分〜10日、好ましくは1時間〜24時間である。
【0123】
ステップ11E:このステップでは、式(XXXXV)の化合物のアルコキシカルボニル挿入反応を、ステップ6Eに記載した方法によって溶媒中で実施して、式(XXXXVI)の化合物を調製することができる。
【0124】
ステップ11F:このステップでは、式(XXXXVI)の化合物を、ステップ3B−1に記載した方法によって、溶媒中で加水分解して、式(XXXXVII)の酸化合物を調製することができる。
【0125】
別法として、式(I)の化合物の調製に有用なカルボン酸を、以下の方法に従って調製することができる。
【0126】
【化20】

【0127】
式(I)の化合物の調製に有用な他のカルボン酸は、市販の材料から出発して、当業者によく知られている方法に従って調製することができる(たとえば、WO03/092695を参照されたい)。
【0128】
上述の様々な一般法は、必要な化合物の段階的な生成におけるどの段階で所望の基を導入するにも有用となり得、そのような多段階の過程の中でこれら一般法を異なる方法で組み合わせてよいことはわかるであろう。多段階の過程における反応の順序は当然、使用する反応条件が、最終生成物で所望される分子の基に影響を及ぼさないように選択すべきである。
【0129】
生物活性の評価方法
ヒトVR1アンタゴニストアッセイ
VR1アンタゴニスト活性は、ヒトVR1を高度に発現させる細胞を使用するCa2+イメージングアッセイによって求めることができる。ヒトVR1受容体を高度に発現する細胞は、異なるいくつかの従来の方法から得られる。1つの標準の方法は、雑誌論文:Nature、第389巻、816〜824頁、1997年に記載のものなどの方法に従って、ヒト後根神経節(DRG)または腎臓からクローン化するものである。別法として、ヒトケラチノサイトを高度に発現するVR1受容体も知られており、雑誌論文(Biochemical and Biophysical Research Communications、第291巻、124〜129頁、2002年)に発表されている。この論文で、ヒトケラチノサイトは、カプサイシンを加えることにより、VR1を媒介とする細胞内Ca2+の増加を示した。さらに、通常は無変化の遺伝子であり、または検出可能なレベルのVR1受容体を産生しないヒトVR1遺伝子を上向き調節する方法も、適切な細胞を得るのに利用可能である。このような遺伝子改変方法は、Nat.Biotechnol.、第19巻、440〜445頁、2001年に詳述されている。
【0130】
ヒトVR1受容体を発現する細胞は、アッセイで使用するまで、5%のCOを含んでいる環境の培養フラスコ中にて37℃で維持した。VR1アンタゴニスト活性を求めるための細胞内Ca2+イメージングアッセイは、次の手順で行った。
【0131】
フラスコから培地を除去し、fura−2/AM蛍光カルシウム指示薬を培地中に5μMの濃度でフラスコに加えた。フラスコをCOインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。次いで、ヒトVR1受容体を発現する細胞をフラスコから分離した後、リン酸緩衝溶液PBS(−)で洗浄し、アッセイ緩衝液に再懸濁した。細胞懸濁液(3.75×10細胞/ml)の80μlの等分試料をアッセイプレートに加え、細胞を遠心機で遠沈した(950rpm、20℃、3分)。
【0132】
実施例の化合物を上述のヒトVR1アンタゴニストアッセイで試験した。IC50値を以下の表に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
カプサイシン刺激アッセイ
蛍光イメージングシステムFDSS6000(浜松ホトニクス)を使用して、カプサイシンによって誘発される細胞内カルシウム濃度の変化をモニターした。クレブスリンガーHEPES(KRH)緩衝液(115mMのNaCl、5.4mMのKCl、1mMのMgSO、1.8mMのCaCl、11mMのd−グルコース、25mMのHEPES、0.96mMのNaHPO、pH7.3)中の細胞懸濁液を、様々な濃度の試験化合物またはKRH緩衝液(緩衝液対照)と共に暗所条件下にて室温で15分間プレインキュベートした。次いで、アッセイ混合物中300nMとなるカプサイシン溶液を、FDSS6000によってアッセイプレートに自動的に加えた。
【0135】
酸刺激アッセイ
蛍光イメージングシステムFDSS6000(浜松ホトニクス)を使用して、酸によって誘発される細胞内カルシウム濃度の変化をモニターした。静止緩衝液(10mMのHEPESを補充したHBSS、pH7.4)を、様々な濃度の試験化合物または静止緩衝液(緩衝液対照)と共に暗所条件下にて室温で15分間プレインキュベートした。細胞に刺激溶液(MESを補充したHBSS、最終アッセイ緩衝液pH5.8)をFDSS6000によって自動的に加えた。VR1アンタゴニストのIC50値を、酸刺激後に緩衝液対照サンプルによって示された増加の半分から求めた。
【0136】
アンタゴニスト活性の測定
蛍光シグナル(λex=340nm/380nm、λem=510〜520nm)の変化のモニタリングを、カプサイシン溶液または酸緩衝液を加える1分前に開始し、5分間続けた。VR1アンタゴニストのIC50値を、アゴニスト刺激後の緩衝液対照サンプルによって示された増加の半分から求めた。
【0137】
慢性絞縮傷モデル(CCIモデル)
雄のスプラーグドーリーラット(270〜300g、B.W.、チャールス・リバー、つくば市)を使用した。BennettおよびXieが記載している方法に従って、慢性絞縮傷(CCI)手術を実施した(Bennett,G.J.およびXie,Y.K.、Pain、第33巻:87〜107頁、1988年)。簡潔に述べると、動物をペントバルビタールナトリウム(64.8mg/kg、腹腔内)で麻酔し、大腿二頭筋の鈍的切開によって、大腿の中央のレベルで左総坐骨神経を露出させる。坐骨の三分岐の付近を付着する組織からはずし、それを4本の結紮糸(4−0絹糸)で約1mmの間隙を空けて緩く結んだ。坐骨神経結紮を除いてはCCI手術と同様の偽手術を実施した。手術してから2週間後、後足の足底面にvon Frey毛(VFH)を適用して、機械的異痛症を評価した。応答を誘発するのに必要なVFHの最低の力の量を足引っ込め動作閾値(PWT)として記録した。VFH試験は、投薬してから0.5時間、1時間、および2時間後に実施した。クラスカル・ウォリス検定の後、多重比較のDunnの検定または対比較のマン・ホイットニーのU検定を使用して、実験データを分析した。
【0138】
パラレルな人工膜浸透アッセイ(PAMPA)
実験は、96ウェルアクセプターおよびドナープレートで実施した。このような96ウェル系は、Journal of Medicinal Chemistry、1998年、第41巻第7号、1007〜1010頁に記載されている。4%のホスファチジルコリンおよび1%のステアリン酸を含むドデカンを人工膜材料として使用した。フィルターの上部に5μLの人工膜材料を加えてアクセプタープレート(96ウェル疎水性フィルタープレート(MAIP N45、Millipore))を準備し、このプレートを、250μLの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)で緩衝剤処理したハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(pH6.5)で満たした。ドナープレート(輸送レシーバープレート(MATRNPS50、Millipore))を、10μMの試験化合物を含有する、MESで緩衝剤処理したHBSS(pH6.5)300μLで満たした。アクセプタープレートをドナープレート上に置いて「サンドイッチ」を形成し、30℃で2.5時間インキュベートした。インキュベート期間の後、アクセプター、ドナー、および最初のドナー溶液(基準)をLC−MS/MSによって分析した。データは、cm×10/秒の有効な透過性値および膜保持値として報告した。
【0139】
ヒトドフェチリド結合
HERG産物を発現するHEK−293細胞の細胞ペーストは、2MのHClを用いて25℃でpH7.5に調整した、1mMのMgCl、10mMのKClを含有する10倍体積の50mMトリス緩衝液に懸濁させることができる。細胞を、Polytronホモジナイザーを(最大出力で20秒間)使用してホモジナイズし、4℃で20分間、48000gで遠心分離した。ペレットを再懸濁し、もう一度同じようにしてホモジナイズし、遠心分離した。得られる上清を廃棄し、最終ペレットを再懸濁し(10倍体積の50mMトリス緩衝液)、最大出力で20秒間ホモジナイズした。膜ホモジネートを等分し、使用するまで−80℃で保存した。等分試料を、Protein Assay Rapid KitおよびARVO SXプレートリーダー(Wallac)を用いるタンパク質濃度測定に使用した。操作、保存液、および機器はすべて、常に氷上で維持した。飽和アッセイについては、総体積200μlで実験を行った。それぞれ全結合または非特異的結合について、最終濃度で10μMのドフェチリド(20μl)の不在下または存在下にて、20μlの[H]−ドフェチリドおよび160μlの膜ホモジネート(ウェルあたり20〜30μgのタンパク質)を室温で60分間インキュベートすることによって、飽和度を求めた。Skatron細胞ハーベスターを使用して、ポリエーテルイミド(PEI)に浸漬したガラス繊維濾紙で急速減圧濾過した後、50mMのトリス緩衝液(25℃でpH7.5)で2回洗浄することによって、すべてのインキュベートを終了した。受容体によって結合された放射能を、Packard LS計数器を使用する液体シンチレーション計数によって定量化した。
【0140】
競合アッセイでは、化合物を、96ウェルポリプロピレンプレート中に半対数形式の4点希釈物として希釈した。すべての希釈は、最初にDMSO中で実施し、次いで1mMのMgCl、10mMのKClを含有する50mMのトリス緩衝液(25℃でpH7.5)中に移して、最終DMSO濃度が1%に等しくなるようにした。化合物をアッセイプレートに3通りに分注した(4μl)。全結合ウェルおよび非特異的結合ウェルを、それぞれ媒体および最終濃度で10μMのドフェチリドとして6ウェル準備した。放射性リガンドを5.6倍の最終濃度で調製し、この溶液を各ウェルに加えた(36μl)。YSiポリ−L−リジンシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(50μl、1mg/ウェル)および膜(110μl、20μg/ウェル)を加えて、アッセイを開始した。インキュベートを室温で60分間続けた。プレートを室温でさらに3時間インキュベートして、ビーズを定着させた。受容体によって結合された放射能を、Wallac MicroBetaプレート計数器でカウントして定量化した。
【0141】
HERGアッセイ
HERGカリウムチャネルを安定して発現するHEK293細胞を使用して、電気生理学的な研究を行った。このチャネルをHEK細胞に安定に形質移入する方法は、他で見ることができる(Z.Zhouら、1998年、Biophysical Journal、第74巻、230〜241頁)。実験日の前に、培養フラスコから細胞を収集し、カバーガラス上の、10%ウシ胎児血清(FCS)を含有する標準の最小必須培地(MEM)中に播いた。播かれた細胞を、95%O/5%COの雰囲気に保たれた37℃のインキュベーター中で保存した。収集後15時間〜28時間の間に細胞の調査を行った。
【0142】
HERG電流は、ホールセル方式で標準のパッチクランプ法を使用して調査した。実験の間、細胞には、以下の組成(mM)、すなわち、NaCl:130、KCl:4、CaCl:2、MgCl:1、グルコース:10、HEPES:5、NaOHでpH7.4の標準の外液を灌流した。パッチクランプ増幅器、および以下の組成(mM)、すなわち、KCl:130、MgATP:5、MgCl:1.0、HEPES:10、EGTA:5、KOHでpH7.2の標準内液で満たしたとき1〜3メガオームの抵抗を有するパッチピペットを使用して、ホールセル記録を行った。接続抵抗が15MΩを下回り、シール抵抗が>1GΩである細胞のみをそれ以上の実験用に受け入れた。直列抵抗補償を最大で80%まで適用した。漏れは差し引かなかった。しかし、許容される接続抵抗は、記録された電流の大きさ、および安全に使用することのできる直列抵抗補償のレベルに応じて様々であった。ホールセル配置を実現し、ピペット溶液での細胞透析に十分な時間(>5分)が経過した後、細胞に標準の電圧プロトコルを適用して、膜電流を誘発した。電圧プロトコルは以下のとおりである。膜を、−80mVの保持電位から+40mVへと1000ミリ秒の間脱分極させた。この後、下降する電圧傾斜(速度0.5mV/ミリ秒)を経て保持電位に戻った。この電圧プロトコルを、実験を通して4秒毎に継続的に細胞に適用した(0.25Hz)。傾斜の間−40mV付近で誘発されたピーク電流の振幅を測定した。外液中で安定な誘起電流応答が得られたならば、蠕動ポンプによって媒体(0.5%の標準外液中DMSO)を10〜20分間適用した。媒体対照条件で誘起電流応答の振幅の変化が最小限に抑えられたという前提で、0.3、1、3、10μMのいずれかの試験化合物を10分間適用した。10分間には、供給溶液がポンプによって溶液貯蔵器から記録チャンバーへと管を通過する時間を含めた。細胞を化合物溶液にさらす時間は、チャンバーウェル中の薬物濃度が企図する濃度に到達後5分を超えた。その後10〜20分の洗浄期間を経て、可逆性を評価した。最後に、細胞を特異的なIKr遮断薬である高用量のドフェチリド(5μM)にさらして、反応しない内発性の電流を評価した。
【0143】
実験はすべて室温(23±1℃)で実施した。誘起膜電流をコンピュータによってオンラインで記録し、500〜1KHz(ベッセル−3dB)でフィルター処理し、パッチクランプ増幅器および特殊なデータ解析ソフトウェアを使用して1〜2KHzでサンプリングした。−40mV付近で生じたピーク電流振幅を、コンピュータによってオフラインで測定した。
【0144】
媒体対照条件下および薬物存在下で、10通りの振幅の値の相加平均を算出した。各実験で、正規化した電流値から、次式、すなわちI=(1−I/I)×100を使用して減少率I(%)を得た[式中、Iは、薬物存在下での平均電流値であり、Iは、対照条件下での平均電流値である]。各薬物濃度または時間一致対照について別個の実験を行い、各実験の相加平均をこの研究の結果とした。
【0145】
薬物−薬物相互作用アッセイ
この方法は、本質的に、3μMの各化合物で蛍光プローブから産物生成の阻害率(%)を求めるものである。
【0146】
より詳細には、アッセイは以下のとおり実施した。化合物を、組換え型CYP、100mMのリン酸カリウム緩衝液、および基質としての蛍光プローブと共に5分間プレインキュベートした。0.5mMのNADP(例外:2D6では0.03mM)、10mMのMgCl、6.2mMのDL−イソクエン酸、および0.5U/mlのイソクエン酸脱水素酵素(ICD)からなる加温したNADPH産生系を加えて、反応を開始した。アッセイプレートを37℃(例外:1A2および3A4では30℃)でインキュベートし、蛍光の読み値を20〜30分間にわたり1分刻みで読み取った。
【0147】
データ計算は以下のとおり行った。
1.線形領域で傾き(時間対蛍光単位)を算出した。
2.化合物の阻害百分率を次式によって算出した。
{(v−v)/v}×100=阻害%
[式中、
=対照反応の速度(阻害剤なし)
=化合物存在下での反応速度]
【0148】
【表2】

【0149】
HLM(ヒト肝ミクロソーム)における固有クリアランス
いくつかの384ウェルプレートで、試験化合物(1μM)を、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中の1mMのMgCl、1mMのNADP+、5mMのイソクエン酸、1U/mLのイソクエン酸脱水素酵素、および0.8mg/mLのHLM(ヒト肝ミクロソーム)と共に37℃でインキュベートした。いくつかの時点で、プレートをインキュベーターから取り出し、2インキュベート体積のアセトニトリルを用いて反応を終了した。上清中の化合物濃度をLC/MS/MSシステムによって測定した。固有クリアランス値(Clint)は、以下の式を使用して算出した。
Clint(μl/分/タンパク質mg)=(k×インキュベート体積)/タンパク質濃度
k(分−1)=−lnの傾き(濃度対時間)
【0150】
モノヨード酢酸(MIA)によって誘発したOAモデル
雄の6週齢スプラーグドーリー(SD、日本エスエルシーまたは日本チャールス・リバー)ラットをペントバルビタールで麻酔した。MIAの注射部位(膝)を剪毛し、70%EtOHで清掃した。25μlのMIA溶液または食塩水を、29G針を使用して右膝関節に注射した。関節損傷が右(損傷を受けた)および左(未処置)の膝全体の重量分布に及ぼす影響を、インキャパシタンステスター(Linton Instrumentation、英国ノーフォーク)を使用して評価した。各後肢によってかけられる力をグラムで測定した。重量負荷(WB)の不足を、各足にかかった重量の差によって求めた。ラットを訓練して、MIA注射後20日まで週1回WBを測定した。MIA注射後21日目に化合物の鎮痛薬効果を測定した。化合物を投与する前に、WB不足の「pre値」を測定した。化合物を投与した後、WB不足の漸減を鎮痛薬効果として求めた。
【0151】
完全フロイントアジュバント(CFA)によって誘発した、ラットにおける熱痛覚過敏および機械的痛覚過敏
熱痛覚過敏
雄の6週齢SDラットを使用した。完全フロイントアジュバント(CFA、300μgの結核菌H37RA(Difco、ミシガン州)の入った100μLの流動パラフィン(和光、大阪府))をラット後足の足底面に注射した。CFAを注射してから2日後、足底試験装置(Ugo−Basil、イタリア国ヴァレーゼ)を使用して、以前から記載されている方法(Hargreavesら、1988年)によって熱痛覚過敏を測定した。ラットは、どんな刺激を与える前にも、少なくとも15分間は試験環境に適合させた。後足の足底面に放射熱を適用し、足引っ込め動作待ち時間(PWL、秒)を測定した。放射熱の強度を、10〜15秒の安定なPWLを生じるように調整した。試験化合物は、体重100gあたり0.5mLの体積で投与した。薬物投与から1、3、または5時間後にPWLを測定した。
【0152】
機械的痛覚過敏
雄の4週齢SDラットを使用した。CFA(300μgの結核菌H37RA(Difco、ミシガン州)の入った100μLの流動パラフィン(和光、大阪府))をラット後足の足底面に注射した。CFAを注射してから2日後、圧力に対する足引っ込め動作閾値(PWT、グラム)をanalgesy−Meter(Ugo−Basil、イタリア国ヴァレーゼ)を使用して測定することによって、機械的な痛覚過敏を試験した。動物を穏やかに拘束し、だんだんと増大する圧力を、プラスチック製のチップを介して後足背面に適用した。足引っ込め動作を誘発するのに必要な圧力を測定した。試験化合物は、体重100gあたり0.5mLの体積で投与した。薬物投与から1、3、または5時間後にPWTを測定した。
【0153】
原薬
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、その酸付加塩および塩基の塩を包含する。
【0154】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を生成する酸から生成したものである。例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
【0155】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を生成する塩基から生成したものである。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が挙げられる。
【0156】
適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、ドイツ国Weinheim、2002年)を参照されたい。
【0157】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、式(I)の化合物の溶液と所望の酸または塩基の溶液とを適宜混ぜ合わせることによって、容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿する場合もあるので、濾過によって収集することもでき、または溶媒を蒸発させて回収することもできる。塩のイオン化の程度は、完全にイオン化したものからほとんどイオン化していないものまで様々となり得る。
【0158】
本発明の化合物は、溶媒和していない形および溶媒和した形のどちらで存在する場合もある。用語「溶媒和物」は、本明細書では、本発明の化合物と1個または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、たとえばEtOHとを含む分子複合体について述べるのに使用する。用語「水和物」は、前記溶媒が水であるときに用いる。
【0159】
本発明の範囲内には、上述の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストが化学量論量または非化学量論量で存在するクラスレート、すなわち薬物−ホスト包接複合体などの複合体が含まれる。化学量論量でも非化学量論量でもよい2種以上の有機および/または無機の構成成分を含有する薬物の複合体も含まれる。その結果として生じる複合体は、イオン化していても、部分的にイオン化していても、またはイオン化していなくてもよい。そのような複合体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、第64巻(8)、1269〜1288頁(1975年8月)を参照されたい。
【0160】
以下では、式(I)の化合物へのすべての言及は、その塩、溶媒和物、および複合体、ならびにその塩の溶媒和物および複合体への言及を包含する。
【0161】
本発明の化合物には、上で規定した式(I)の化合物、以下で定義するその多形体、プロドラッグ、および(光学異性体、幾何異性体、および互変異性体を含めた)異性体、ならびに同位体標識された式(I)の化合物が含まれる。「互変異性体」または「互変異性の異性体」とは、特定の化合物構造の交換可能な形であり、水素原子および電子の転位(displacement)が様々である、以下のように例示される化合物を指す。
【0162】
【化21】

【0163】
述べたとおり、本発明は、上で規定した式(I)の化合物のすべての多形体を包含する。
【0164】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。すなわち、それ自体は薬理活性をほとんどまたは全くもたなくてもよい式(I)の化合物の特定の誘導体は、身体中または身体上に投与されたとき、たとえば加水分解による切断によって、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換され得る。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのこれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series(T HiguchiおよびW Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987年(E B Roche、米国薬剤師会編)で見ることができる。
【0165】
本発明によるプロドラッグは、たとえばH Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985年)に記載されているように、たとえば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、当業者に「pro−部分」として知られている特定の部分で置換して生成することができる。
【0166】
本発明によるプロドラッグの一部の例には、以下のものが含まれる。
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含んでいる場合、そのエステル、たとえば、水素の(C〜C)アルキルでの置換、
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含んでいる場合、そのエーテル、たとえば、水素の(C〜C)アルカノイルオキシメチルでの置換、および
(iii)式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR、RはHでない)を含んでいる場合、そのアミド、たとえば、一方または両方の水素の(C〜C10)アルカノイルでの置換。
【0167】
前述の例に従う置換基のこれ以上の例、および他のプロドラッグタイプの例は、上述の参考文献で見ることができる。
【0168】
最後に、特定の式(I)の化合物は、それ自体が他の式(I)の化合物のプロドラッグとして働く場合もある。
【0169】
本発明は、1個または複数の原子が、原子番号は同じであるが、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換されている、薬学的に許容できるすべての同位体標識された式(I)の化合物を包含する。本発明の化合物中に含めるのに適する同位体の例には、HやHなどの水素;11C、13C、14Cなどの炭素;36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iや125Iなどのヨウ素、13Nや15Nなどの窒素;15O、17O、18Oなどの酸素;32Pなどのリン、および35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。同位体標識された特定の式(I)の化合物、たとえば、放射性同位体が組み込まれている式(I)の化合物は、薬物および/または基質の組織分布調査において有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14Cは、組み込みが容易であり、検出手段が手近であることから、この目的のために特に有用である。ジュウテリウム、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高くなる結果として生じる特定の治療上の利益、たとえば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少がもたらされる場合もあり、したがってある状況において好ましいといえる。11C、18F、15O、および13Nなどの陽電子放射同位体での置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)調査において有用な場合がある。同位体標識された式(I)の化合物は、一般に、以前から用いられている標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して、当業者に知られている従来の技術によって、または添付の実施例および調製例に記載のものと類似の方法によって調製することができる。
【0170】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体によって置換されている、たとえば、DO、d−アセトン、d−DMSOでよいものが含まれる。
【0171】
医薬としての使用を目的とする本発明の化合物は、結晶性の製品としてまたは非晶質の製品として投与することができる。化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥などの方法によって、たとえば固体充填物、粉末、またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波乾燥または高周波乾燥をこの目的のために使用してもよい。
【0172】
化合物は、単独で、または1種または複数の他の本発明の化合物と組み合わせて、または1種または複数の他の薬物と組み合わせて(またはこれらの任意の組合せとして)投与することができる。一般に、化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と合同で製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本明細書では、本発明の化合物以外の任意の成分について述べるのに使用する。賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の性質などの要素に応じて決まる。
【0173】
本発明の化合物の送達に適する医薬組成物およびその調製方法は、当業者には容易に明らかとなろう。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)で見ることができる。
【0174】
経口投与
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、または化合物が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0175】
経口投与に適する製剤には、錠剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、(液体充填型を含めた)トローチ剤、咀嚼剤、多粒子、ナノ粒子などの固体製剤、ゲル、固溶体、リポソーム、(粘膜付着性のものを含めた)フィルム、膣坐剤、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
【0176】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセル中に充填剤として使用することができ、通常は、担体、たとえば水、EtOH、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえば小袋から出した固体を再形成して調製することもできる。
【0177】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、第11巻(6)、981〜986頁(2001年)に記載のものなどの、急速溶解急速崩壊型剤形中に使用することもできる。
【0178】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的な例では剤形の5重量%〜60重量%を占めてよい。薬物に加え、錠剤は一般に崩壊剤も含有する。崩壊剤の例には、ナトリウムデンプングリコラート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占めることになる。
【0179】
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するために使用される。適切な結合剤には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有してよい。
【0180】
錠剤は、場合により、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの滑剤も含んでよい。存在する場合、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を占めてよく、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めてよい。
【0181】
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0182】
他の考えられる成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
【0183】
好例となる錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含有する。
【0184】
錠剤ブレンドは、直接にまたはローラーによって圧縮して、錠剤を形成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部分ずつを、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出し成形の処理にかけた後、打錠することもできる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよく、カプセル封入されていてもよい。
【0185】
錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980年(ISBN 0−8247−6918−X)で論述されている。
【0186】
本発明の目的に適する変更型放出製剤は、米国特許第6106864号に記載されている。高エネルギー分散や浸透性粒子および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、第25巻(2)、1〜14頁(2001年)で見られる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0187】
非経口投与
本発明の化合物は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置には、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
【0188】
非経口製剤は通常、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpH3〜9になるまで)などの賦形剤を含有してよい水溶液であるが、一部の適用例では、無菌の非水性溶液として、または発熱物質を含まない無菌水などの適切な媒体と共に使用される粉末乾燥形態としてより適切に製剤することもできる。
【0189】
たとえば凍結乾燥による無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
【0190】
非経口溶液の調製で使用する式(I)の化合物の溶解性は、溶解性改善剤を混ぜるなどの適切な製剤技術を使用して増大させることができる。無針注射投与で使用するための製剤は、粉末形態の本発明の化合物を、発熱物質を含まない無菌水などの適切な媒体と共に含む。
【0191】
非経口投与用の製剤は、即時型および/または変更型の制御放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって、本発明の化合物は、活性化合物の変更型放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、または揺変性液体として製剤することができる。そのような製剤の例には、薬物でコーティングされたステントおよびPGLAミクロスフェアが含まれる。
【0192】
局所投与
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち皮膚上にまたは経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよい。たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、第88巻(10)、955〜958頁(1999年10月)を参照されたい。
【0193】
他の局所投与手段には、電気穿孔、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、ならびに微細針または無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0194】
局所投与用の製剤は、即時型および/または変更型の制御放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0195】
吸入投与/鼻腔内投与
本発明の化合物は、通常は(単独、またはたとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しまたは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、またはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。
【0196】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、EtOH、EtOH水溶液、または活性物を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を延長する適切な別の薬品と、溶媒としての噴射剤と、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、オリゴ乳酸などの随意選択の界面活性剤とを含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0197】
薬物生成物は、乾燥粉末または懸濁液製剤にして使用する前に、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)に超微粉砕する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動層ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって実現することができる。
【0198】
吸入器または注入器に入れて使用するための(たとえばゼラチンまたはHPMC製の)カプセル、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水でも、または一水和物の形でもよく、後者であることが好ましい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。
【0199】
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーでの使用に適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してよく、作動体積は、1μl〜100μlと様々でよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、EtOH、および塩化ナトリウムを含むものでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる別の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0200】
メントールやl−メントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入投与/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤に加えてもよい。
【0201】
吸入投与/鼻腔内投与用の製剤は、たとえばDL−乳酸−グリコール酸共重合体(PGLA)を使用して、即時型および/または変更型の制御放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0202】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投与量単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は通常、1μg〜10mgの式(I)の化合物を含有する計量された用量または「ひと吹き」を投与するように整えられる。全体としての1日量は通常、1μg〜10mgの範囲にあり、これを1回で、またはより普通にはその日を通して数回に分けて投与することができる。
【0203】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、たとえば坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で、直腸にまたは経膣的に投与することができる。カカオ脂が旧来の坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用することができる。
【0204】
直腸/経膣投与用の製剤は、即時型および/または変更型の制御放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0205】
他の技術
本発明の化合物は、上述の投与方式のいずれかでの使用に向けてその溶解性、溶解速度、矯味、生体利用度、および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体やポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子物質と組み合わせることができる。
【0206】
たとえば、薬物−シクロデキストリン複合体は、一般にほとんどの剤形および投与経路に有用であることがわかっている。包接複合体および非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接の複合体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用してもよい。これらの目的のために最も一般的に使用されるのは、α、β、およびγシクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願第WO91/11172号、第WO94/02518号、および第WO98/55148号で見ることができる。
【0207】
投与量
ヒト患者への投与では、本発明の化合物の合計1日量は通常、当然のことながら投与方式に応じて、0.1mg〜3000mg、好ましくは1mg〜500mgの範囲にある。たとえば、経口投与では、0.1mg〜3000mg、好ましくは1mg〜500mgの合計1日量が必要となることもあるが、静脈内の用量では、0.1mg〜1000mg、好ましくは0.1mg〜300mgしか必要とならない場合もある。合計1日量は、1回で、または数回に分けて投与することができる。
【0208】
これらの投与量は、体重が約65kg〜70kgである平均的なヒト対象に基づくものである。医師ならば、小児や高齢者などの、体重がこの範囲外にある対象の用量を容易に決定することができよう。
【0209】
疑義を避けるために、本明細書では、「治療」への言及は、治癒的、姑息的、および予防的な治療への言及を包含する。
【0210】
VR1拮抗薬は、有用なことに、特に疼痛の治療において、もう一種の薬理活性化合物、または2種以上の他の薬理活性化合物と組み合わせることができる。たとえば、VR1拮抗薬、特に、上で規定した式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物は、以下のものから選択される1種または複数の薬剤と組み合わせて、同時に、順次、または別々に投与することができる。
・オピオイド鎮痛薬、たとえば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ハイドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、またはペンタゾシン、
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、たとえば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナール(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、またはゾメピラク、
・バルビツール酸系鎮静薬、たとえば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール(phenobartital)、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)、またはチオペンタール、
・鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、たとえば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、またはトリアゾラム、
・鎮静作用を有するH拮抗薬、たとえば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、またはクロルシクリジン、
・グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、ジクロラールフェナゾンなどの鎮静薬、
・骨格筋弛緩薬、たとえば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、またはオルフレナジン、
・NMDA受容体拮抗薬、たとえば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルヒナン)またはその代謝産物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルヒナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニン、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネとデキストロメトルファンの合剤)、トピラメート、ネラメキサン(neramexane)、またはペルジンフォテル(perzinfotel)[NR2B拮抗薬、たとえば、イフェンプロジル、トラキソプロジル(traxoprodil)、または(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンを含める]、
・αアドレナリン作動薬、たとえば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グァンファシン、デクスメタトミジン(dexmetatomidine)、モダフィニル、または4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、
・三環系抗うつ薬、たとえば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、またはノルトリプチリン、
・抗痙攣薬、たとえば、カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラトメート(topiratmate)、またはバルプロエート、
・タキキニン(NK)拮抗薬、特に、NK−3、NK−2、またはNK−1拮抗薬、たとえば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント、または3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)、
・ムスカリン受容体拮抗薬、たとえば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム(tropsium chloride)、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、およびイプラトロピウム、
・COX−2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ(deracoxib)、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ、
・コールタール鎮痛薬、特にアセトアミノフェン、
・ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプライド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドレ(palindore)、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント(meclinertant)、Miraxion(登録商標)、またはサリゾタン(sarizotan)などの神経弛緩薬、
・バニロイド受容体作動薬(たとえばレシンフェラトキシン(resinferatoxin))または拮抗薬(たとえばカプサゼピン)、
・プロプラノロールなどのβアドレナリン作動薬、
・メキシレチンなどの局所麻酔薬、
・デキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイド、
・5−HT受容体作動薬または拮抗薬、特に、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタンなどの5−HT1B1D作動薬、
・R(+)−α−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)などの5−HT2A受容体拮抗薬、
・イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)、ニコチンなどのコリン作用性(ニコチン性)鎮痛薬、
・Tramadol(登録商標)、
・PDEV阻害剤、たとえば、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド、
・α−2−δリガンド、たとえば、ギャバペンチン、プレガバリン、3−メチルギャバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸、(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸、および(2S)−2−アミノメチル−5−エチル−ヘプタン酸、
・カンナビノイド、
・代謝調節型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)拮抗薬、
・セルトラリン、セルトラリン代謝産物である脱メチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチン脱メチル化代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝産物である脱メチル化シタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イフォキセチン(ifoxetine)、シアノドチエピン(cyanodothiepin)、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン、トラゾドンなどのセロトニン再取込み阻害剤、
・マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン(mirtazepine)、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝産物であるヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン、ビロキサジン(Vivalan(登録商標))などのノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取込み阻害剤、特にレボキセチンなどの選択的ノルアドレナリン再取込み阻害剤、特に(S,S)−レボキセチン、
・ベンラフェキシン、ベンラフェキシン代謝産物であるO−脱メチル化ベンラフェキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物である脱メチル化クロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、イミプラミンなどのセロトニン−ノルアドレナリン二重再取込み阻害剤、
・誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤、たとえば、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミジン、またはグアニジノエチルジスルフィド、
・ドネペジルなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、
・N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドや4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸などのプロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)拮抗薬、
・1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)、DPC−11870などのロイコトリエンB4拮抗薬、
・ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)などの5−リポキシゲナーゼ阻害剤、
・リドカインなどのナトリウムチャネル遮断薬、
・オンダンセトロンなどの5−HT3拮抗薬、
ならびにこれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物。
【0211】
たとえば特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合もあるので、その少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、組成物の共投与に適するキットの形で好都合に組み合わせてもよいことは、本発明の範囲内である。
【0212】
したがって、本発明のキットは、その少なくとも1種が本発明による式(I)の化合物を含有する2種以上の別個の医薬組成物と、容器、分割されたボトル、分割されたホイル製袋などの、前記組成物を別々に保持する手段とを含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される見慣れたブリスターパックである。
【0213】
本発明のキットは、たとえば経口と非経口の異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物の用量を互いに対して漸増するのに特に適する。服薬遵守を援助するために、キットは通常、投与の説明書を含み、いわゆるメモリーエイドを添えて提供することができる。
【実施例】
【0214】
本発明を以下の非限定的な実施例で例示するが、実施例では、別段の記述がない限り、すべての操作は室温または周囲温度、すなわち18〜25℃の範囲で実施した。溶媒の蒸発は、減圧下でロータリーエバポレーターを使用して、60℃までの浴温度で実施した。反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターし、反応時間は、例示のために示したにすぎない。示した融点(mp)は補正していない(多型が異なる融点をもたらす場合もある)。単離したすべての化合物の構造および純度は、次の技術、すなわち、TLC(Merckシリカゲル60 F254プレコーティッドTLCプレート)、質量分析、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、または微量分析の少なくとも1つによって確実なものとした。収率は、例示目的で示したにすぎない。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckのシリカゲル60(230〜400メッシュASTM)、富士シリシアのアミノ結合型シリカ(Chromatorex、30〜50uM)、Biotageのアミノ結合型シリカ(35〜75μm、KP−NH)、またはBiotageシリカ(32〜63μm、KP−Sil)を使用して実施した。HPLCを使用しての精製は、以下の装置および条件によって行った。装置:UV−trigger分取HPLCシステム、Waters(カラム:XTerra MS C18、5um、19×50mmまたは30×50mm)、検出器:UV254nm、条件:CHCN/0.05%HCOOH水溶液またはCHCN/0.01%NH水溶液、20ml/分(19×50mm)または40ml/分(30×50mm)、周囲温度。反応で使用したマイクロ波装置は、Emrys optimizer(Personal chemistry)であった。旋光度は、P−1020(Jasco)によって測定した。低分解能質量スペクトルデータ(EI)は、Integrity(Waters)質量分析計で得た。低分解能質量スペクトルデータ(ESI)は、ZMD(Micromass)質量分析計で得た。NMRデータは、270MHz(JEOL JNMLA270分光計)または300MHz(JEOL JNMLA300分光計)で、重水素化されたクロロホルム(99.8%D)またはDMSO(99.9%D)を溶媒として使用し、別段の指摘がない限り、内標準としてのテトラメチルシラン(TMS)を基準として百万分率(ppm)で求めた。従来の略語、すなわち、s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quint=五重線、m=多重線、br.=ブロードなどを使用した。IRスペクトルは、Shimazu赤外分光計(IR−470)によって測定した。化学記号はその通常の意味を有する。すなわち、bp(沸点)、mp(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq.(当量)、quant.(定量的収率)、sat.(飽和した)、aq(水溶液)。以下の実施例では、「Me」はメチルを意味し、「Et」はエチルを意味する。
【0215】
調製例
アミン
以下の実施例で使用するアミンを、以下の方法によって、遊離の化合物または塩として調製した。
【0216】
アミン1:(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エタンアミン一塩酸塩
ステップA1A:1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エタノン
1A)1−(3,4−ジアミノフェニル)エタノン(Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry(1985年)、24B(5)、574〜7頁、3.6g、24.0mmol)、酢酸(5ml、48.0mmol)、および水(15ml)の混合物を65℃で10分間攪拌し、混合物を5℃で置いた。ナトリウムニトリル(1.90g、27.6mmol)の水溶液で失活させ、混合物を80℃で1時間攪拌した後、攪拌しながら3時間かけて5℃に冷却した。生成した沈殿を収集し、乾燥させて、2.65g(68%)の表題化合物を得た。H NMR(270MHz、DMSO−d)δppm2.71(3H,s)、3.36(1H,brs)、7.90〜8.07(2H,m)、8.69(1H,s)。MS(ESI)m/z477(M−H)、479(M+H)
【0217】
ステップA1B:(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エタンアミン塩酸塩
1B)1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エタノン(1.85g、11.5mmol)のTHF(25ml)溶液に、(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィニルアミド(2.30g、18.9mmol)およびチタン(IV)エトキシド(25ml)を加え、混合物を70℃で24時間攪拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.5mg、40mmol)を加えた。2時間攪拌した後、水およびEtOHを、攪拌しながら室温で1時間かけて混合物に加えた。濾過し、蒸発にかけると、N−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(99%d.e.)(MS(ESI)m/z265(M−H)、267(M+H))が得られ、これを室温で1.5時間かけて塩酸−MeOH(2.0M、15.0ml)および1,4−ジオキサン(15.0ml)で処理した。次いで、反応混合物を蒸発にかけ、ジエチルエーテルを加えて沈殿を生成し、これを収集し、ジエチルエーテルで洗浄して、1.26g(68%)の表題化合物を得た。MS(ESI)m/z161(M−H)
【0218】
アミン2:(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)プロパン−1−アミン一塩酸塩
1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−カルボン酸(Aldrich、500mg、3.1mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(Aldrich、299mg、3.1mmol)、HBTU(1.5g、4.0mmol)、およびトリメチルアミン(1.28ml、9.2mmol)の混合物を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。次いで、蒸発にかけ、DCM/MeOH(10:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、N−メトキシ−N−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−カルボキサミド(LC−MS(MS(ESI)m/z205(M−H)、207(M+H))が得られた。生成物のTHF(50ml)溶液に、臭化エチルマグネシウムの0.96Mヘキサン溶液(15ml、14.4mmol)を0℃で加え、混合物を室温で16時間攪拌した。次いで、反応を塩化アンモニウムの水溶液で失活させ、生成物をAcOEtで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、真空中で蒸発にかけると、1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)プロパン−1−オン(LC−MS(MS(ESI)m/z174(M−H)、176(M+H))が得られた。
【0219】
この生成物と(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィニルアミドの化合物(521mg、4.3mmol)のTHF(7ml)溶液に、チタン(IV)エトキシド(5ml)を加え、混合物をマイクロ波条件下にて80℃で2時間反応させた。LC−MSを用いてイミン発生を確認した後(MS(ESI)m/z277(M−H)、279(M+H))、混合物を0℃に冷却し、反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(413mg、10.9mmol)を加え、その温度で1時間攪拌した。反応液を水とEtOHで分配し、次いで室温で30分間攪拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を蒸発にかけ、真空中で濃縮して、N−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル)プロピル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(50%d.e.)(MS(ESI)m/z279(M−H)、281(M+H))を得た。この化合物の1,4−ジオキサン溶液に、塩酸−MeOH(2.0M、10.0ml)および(10.0ml)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を真空中で蒸発にかけ、ジエチルエーテルを加えて、アミン塩酸塩を沈殿させた。次いで、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(131mg、5ステップ 20%)(MS(ESI)m/z176(M−H)、178(M+H))を得た。
【0220】
アミン3:1H−インダゾール−5−メタンアミン
1H−インダゾール−5−メタンアミンは、WO2004108133に記載のとおりにHCl塩として合成した。
【0221】
アミン4:5−(1−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン一塩酸塩
5−[(1E)−N−ヒドロキシエタンイミドイル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.5g、2.6mmol、WO2004108133)のMeOH(30ml)溶液に、ラネーニッケル、および水酸化アンモニウムの水溶液(10ml)を加え、混合物を水素中(4.0kgf/cm)で9時間攪拌した。次いで、反応液を濾別し、濾液を蒸発にかけて、5−(1−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを遊離の形態として得た。次いで、このアミンを10%の塩化物のMeOH溶液で処理し、MeOH/ジエチルエーテルから再結晶化して、表題化合物を白色固体として得た。MS(ESI)m/z177(M+H)
【0222】
アミン5:5−(1−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン一塩酸塩
ステップA5A:N−[1−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
1−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エタノン(500mg、2.78mmol、J.Med.Chem.1998年、第41巻、1777〜1788頁)、2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(674mg、5.56mmol)をTHF(25ml)に混ぜた混合物に、チタン(IV)エトキシド(1.75ml、8.34mmol)を室温で加えた。混合物を80℃で24時間攪拌した。室温に冷却した後、混合物に室温でホウ化水素ナトリウム(316mg、8.34mmol)を加えた。混合物を室温で14時間攪拌した。混合物をMeOH(6ml)で失活させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)中に注ぎ、EtOAc(150mL×2)で抽出した。有機層を合わせてブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、ヘキサン−EtOAc(1:2)を溶離液として用いるシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにかけて、675mg(85%)の表題化合物を黄色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.11(9H,s)、1.37(3H,d,J=6.6Hz)、4.33〜4.24(1H,m)、5.64(1H,d,J=6.6Hz)、6.99(1H,d,J=8.8Hz)、7.40(2H,s)、7.45(1H,d,J=8.8Hz)、7.97(1H,s)。MS(ESI)m/z286(M+H)、284(M−H)
【0223】
ステップA5B:N−[1−(3,4−ジアミノフェニル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
N−[1−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(670mg、2.35mmol)および10%パラジウム−炭素(70mg)をEtOH(50ml)に混ぜた混合物を、水素中(4気圧)にて室温で6時間攪拌した。混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して、598mgの表題化合物を褐色の固体として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.22(9H,s)、1.45(3H,d,J=6.6Hz)、3.50〜3.32(4H,m)、4.45〜4.37(1H,m)、6.71〜6.65(3H,m)。NHによるシグナルは認められなかった。MS(ESI)m/z256(M+H)
【0224】
ステップA5C:2−メチル−N−[1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)エチル]プロパン−2−スルフィンアミド
N−[1−(3,4−ジアミノフェニル)エチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドおよびCDI(569mg、3.51mmol)をTHF−DCM(10ml−10ml)に混ぜた混合物を、6時間還流させた。室温に冷却した後、混合物に水(10mL)を加えた。混合物をEtOAc(150ml)で抽出し、有機層をブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をEtOAcから再結晶化して、430mg(65%)の表題化合物を淡褐色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.11(9H,s)、1.38(3H,d,J=7.3Hz)、4.37〜4.28(1H,m)、5.53(1H,d,J=6.6Hz)、6.84(1H,d,J=7.3Hz)、6.93(1H,d,J=8.1Hz)、6.99(1H,s)、10.54(1H,br.s)、10.60(1H,br.s)。MS(ESI)m/z282(M+H)、280(M−H)
【0225】
ステップA5D:5−(1−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン塩酸塩
2−メチル−N−[1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)エチル]プロパン−2−スルフィンアミド(430mg、1.53mmol)および10%塩酸塩をMeOH(10ml)に混ぜた混合物を、室温で4時間攪拌した。混合物を濃縮し、MeOHで摩砕して、265mg(81%)の表題化合物を淡褐色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.50(3H,d,J=6.6Hz)、4.40〜4.31(1H,m)、6.94(1H,d,J=7.3Hz)、7.06(1H,d,J=8.1Hz)、7.10(1H,s)、8.38(2H,br.s)、10.74(1H,br.s)、10.83(1H,bs)。MS(ESI)m/z178(M+H)、176(M−H)
【0226】
アミン6:1−キノリン−4−イルメタンアミン
1−キノリン−4−イルメタンアミンは、Yakugaku Zasshi(1952年)、第72巻、167〜172頁に記載の方法によって調製することができる。
【0227】
アミン7:1−キノリン−4−イルエタンアミン二塩酸塩
1−キノリン−3−イルメタンアミンは、Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 2、(1999年)、(第11巻)、2415〜2418頁に記載の方法によって調製することができる。
【0228】
ラセミの1−キノリン−4−イルエタンアミン(アミン7)は、キラルカラム(ダイセルCHIRALPAK AD−H、250mm×20.0mm)を使用するHPLCによって分離されたそれぞれの単一のエナンチオマーであった。アミン−7Aは、R型として前のピーク(保持時間10.7分)を示した。アミン−7Bは、S型として後のピーク(保持時間16.2分)を示した。
【0229】
アミン8:1−イソキノリン−5−イルメタンアミン
1−イソキノリン−5−イルメタンアミンは、WO2001070229で開示されている方法を使用して、HCl塩として合成した。
【0230】
アミン9:1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル)メタンアミン一塩酸塩
1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル)メタンアミンは、WO2000026211で開示されている方法を使用して、HCl塩として合成した。
【0231】
アミン10:1−(2−メチルキノリン−4−イル)メタンアミン
1−(2−メチルキノリン−4−イル)メタンアミンは、Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal(1981年)、第15巻(5)、70〜5頁に記載の方法に従って合成した。
【0232】
アミン11:1−(6−フルオロキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
ステップA11A:6−フルオロキノリン−4−カルボニトリル
4−クロロ−6−フルオロキノリン(APOLLO)(1120mg、6.17mmol)、シアン化亜鉛(1450mg、12.3mmol)、およびパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)(713mg、0.617mmol)を無水DMF(15ml)に混ぜた混合物を、マイクロ波(160℃、30分)で処理した。混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液にトルエン(約20ml)を加え、有機層を水(2回)、ブラインで洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(3:1)を用いるシリカゲル(約250g)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(880mg、白色固体)を得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm7.60〜7.70(1H,m)、7.75〜7.79(1H,m)、7.81〜7.87(1H,m)、8.20〜8.28(1H,m)、9.00〜9.05(1H,m)。
【0233】
ステップA11B:1−(6−フルオロキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
6−フルオロキノリン−4−カルボニトリル(880mg、5.11mmol)を10%の塩酸メタノール溶液(10ml)およびメタノール(30ml)に溶かした溶液を、風船圧下(室温)で6時間、20%の水酸化パラジウム(150mg)で水素化した。混合物をメタノールで希釈し、触媒をセライトパッドで濾過した(濾過ケーキをメタノールで洗浄した)。濾液および洗液を真空中で蒸発にかけて、粗生成物を白色固体として得、これをメタノール−ジイソプロピルエーテルから再結晶化して、表題化合物(376mg、かすかに黄色の固体)を得た。H NMR(270MHz、DMSO−d)δppm4.62〜4.73(2H,m)、7.86〜7.967(2H,m)、8.14〜8.22(1H,m)、8.30〜8.39(1H,m)、9.02(2H,br.s)、9.12〜9.17(1H,m)。MS(ESI)m/z177(M+H)
【0234】
アミン12:1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
ステップA12A:6,8−ジフルオロキノリン−4−カルボニトリル
4−クロロ−6,8−ジフルオロキノリン(APOLLO)(1000mg、5.01mmol)、シアン化亜鉛(1180mg、10.0mmol)、およびパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)(579mg、0.501mmol)を無水DMF(15ml)に混ぜた混合物を、攪拌しながら室温で12時間処理した。次いで、反応を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および酢酸エチルで失活させた。有機層を分離し、粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(3:1)を用いるシリカゲル(約250g)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(787mg、黄色の固体)を得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm7.37〜7.50(1H,m)、7.65〜7.75(1H,m)、7.83〜7.90(1H,m)、9.05〜9.10(1H,m)。
【0235】
ステップA12B:1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
6,8−ジフルオロキノリン−4−カルボニトリル(787mg、4.14mmol)を10%の塩酸メタノール溶液(10ml)およびメタノール(30ml)に溶かした溶液を、ステップA11Bに記載した同じ手順で処理した。濾液および洗液を真空中で蒸発にかけて、粗生成物を白色固体として得、これをメタノール−ジイソプロピルエーテルから再結晶化して、表題化合物(1030mg、黄色の固体)を得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm4.51〜4.62(m,2H)、7.78〜7.97(3H,m)、8.85〜9.05(3H,m)。MS(ESI)m/z195(M+H)
【0236】
アミン13:1−(1H−インダゾール−5−イル)エタンアミン
ステップA13A:1−(1H−インダゾール−5−イル)−エタノン
5−ヨード−1H−インダゾール(1.00g、4.10 mmol)のCHCN(20ml)溶液に、BocO(984mg、4.51mmol)、DMAP(125mg、1.02mmol)、およびEtN(0.64ml、4.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で5時間攪拌し、HOで希釈し、AcOEtで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、表題化合物を得た。この化合物(>1.5g)をそれ以上精製せずに次のステップで使用した。H NMR(300MHz、CDCl)δ1.72(9H,s)、7.79(1H,d,J=8.8Hz)、7.98(1H,d,J=8.8Hz)、8.10(2H,s)。MS(ESI)m/z345(M+H)
【0237】
次いで、化合物(>1.5g)を1,4−ジオキサン(30mL)に溶かした、冷却し(0℃)攪拌した溶液に、n−ブチルビニルエーテル(2.7ml、20.9mmol)、t−ブチルホスフィン(0.30ml、1.2mmol)、およびN−メチルジシクロヘキシルアミン(1.0ml、4.7mmol)を加えた。混合物を脱気し、Arでパージし、Pd(dba)(231mg、0.253mmol)を加えた。反応混合物を40℃で17.5時間加熱し、室温に冷却し、次いでAcOEtで希釈した。これを、HO、飽和NHCl水溶液、およびブラインで洗浄した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をTHF−HO(2:1、54ml)に溶解させ、HCl(6.0ml)で17時間処理した。次いで、混合物にHCl(6.0mL)を加えた。8時間攪拌した後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をAcOEtで希釈し、HOで洗浄し、飽和NaCO水溶液で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(山善、AcOEt:ヘキサン=1:2)によって精製して、表題化合物(344mg、5−ヨード−1H−インダゾールから52%)を淡黄色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm2.63(3H,s)、7.61(1H,d,J=8.8Hz)、7.93(1H,d,J=8.8Hz)、8.27(1H,s)、8.54(1H,s)、13.40(1H,s)。MS(ESI)m/z161(M+H)、159(M−H)
【0238】
ステップA13B:1−(1H−インダゾール−5−イル)−エタノンオキシム
1−(1H−インダゾール−5−イル)−エタノン(334mg、2.09mmol)のEtOH−HO(4:1、10ml)懸濁液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(444mg、6.39mmol)および酢酸ナトリウム(449mg、5.47mmol)を加えた。反応混合物を80℃で15時間攪拌し、真空中で濃縮した。残渣をHOと共に室温で10分間攪拌した。得られた固体を濾過によって収集し、HOですすいだ。乾燥後、表題化合物(260mg、71%)が白色固体として得られた。H NMR(270MHz、DMSO−d)δppm2.22(3H,s)、7.52(1H,d,J=8.6Hz)、7.79(1H,d,J=8.6Hz)、7.98(1H,s)、8.10(1H,s)、11.05(1H,s)、13.13(br.s,1H)。MS(ESI)m/z176(M+H)、174(M−H)
【0239】
ステップA13C:1−(1H−インダゾール−5−イル)エタンアミン
NaBH(112mg、2.97mmol)およびTiCl(0.28mL、1.5mmol)を1,2−ジメトキシエタン(6.0ml)に混ぜた、攪拌した混合物に、対応するオキシム(122mg、0.694mmol)の1,2−ジメトキシエタン(4.0ml)溶液を0℃で滴下した。反応混合物を室温で2.5時間攪拌し、0℃のHOで失活させた。混合物を2M NaOH水溶液で塩基性にし、水層をCHClで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、表題化合物(120mg、定量的)を得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.28(3H,d,J=6.6Hz)、4.09(1H,q,J=6.6Hz)、7.38(1H,dd,J=1.5,8.1Hz)、7.45(1H,d,J=8.1Hz)、7.68(1H,s)、7.98(1H,s)、12.90(1H,br.s)。
【0240】
アミン14:1−(6−メチルキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
6−メチルキノリン−4−カルボニトリル(158mg、0.94mmol、Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal、1981年、第15巻(5)、70頁)および10%ヒドロキシパラジウム担持炭素(20mg)の2%HCl−メタノール(10ml)懸濁液を、水素中(1気圧)にて室温で4時間攪拌した。触媒をセライトによって除去し、メタノールで洗浄し、濾液を濃縮して、表題化合物(213mg、収率93%)を白色固体として得た。H NMR(270MHz、DMSO−d)δppm2.62(3H,s)、4.76〜4.79(2H,m)、7.92〜7.98(2H,m)、8.22〜8.29(2H,m)、9.05(2H,br.s)、9.21(1H,d,J=5.3Hz)。MS(ESI):m/z173(M+H)
【0241】
アミン15:1−(8−メチルキノリン−4−イル)メタンアミン二塩酸塩
この化合物は、既知の化合物であるニトリルから、アミン14の方法に従って合成した。1H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm2.80(3H,s)、4.66〜4.75(2H,m)、7.65〜7.84(3H,m)、8.12(1H,d,J=8.8Hz)、8.96(2H,brs)、9.11(1H,d,J=4.4Hz)。MS(ESI):m/z173(M+H)
【0242】
アミン16:1−キノリン−4−イルプロパン−1−アミン
1−キノリン−4−イルメタンアミン(166mg、1.05mmol、CHEMBRIDGE)とベンゾフェノンイミン(190mg、1.05mmol)の攪拌した混合物を、50℃で2時間加熱した。得られる生成物を、無水THF(4ml)に溶解させ、窒素中で−78℃に冷却し、t−ブチルリチウム(0.846ml、ヘキサン中1.49M)をシリンジで加えた。反応混合物を−78℃で15分間攪拌し、1−ヨードエタン(218mg、1.40mmol)を加えた。得られる溶液を、−78℃で30分間、0℃で2時間攪拌した後、反応をメタノールで失活させた。真空中で溶媒を除去し、残渣をメタノール(4ml)に溶解させた。メトキシルアミン塩酸塩(150mg、1.80mmol)を加え、溶液を室温で2時間攪拌した。真空中で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと2N−HCl水溶液とに分配した。水溶液を分離し、2N−NaOH水溶液でpH11に塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、濃縮して、表題化合物(139mg、褐色の油状物)を得た。MS(ESI)m/z187(M+H)
【0243】
アミン17:2−アミノ−2−キノリン−4−イルエタノール
ステップ17A:ピバル酸2−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−2−キノリン−4−イルエチル
1−キノリン−4−イルメタンアミン(142mg、0.90mmol、CHEMBRIDGE)とベンゾフェノンイミン(163mg、0.90mmol)の攪拌した混合物を、50℃で2時間加熱した。得られる生成物をジクロロメタン(4ml)に溶解させ、ピバル酸クロロメチル(136mg、0.90mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(150mg、0.465mmol)の溶液に加えた。反応混合物に、0℃で50%NaOH水溶液(0.9ml)を加えた。混合物を0℃で1時間攪拌した後、反応液をジクロロメタン(30ml)および水(30ml)で希釈した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮し、ヘキサン/EtOAc(3:1→2:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(142mg、収率36%)を無色の油状物として得た。MS(ESI)m/z437(M+H)
【0244】
ステップ17B:ピバル酸2−アミノ−2−キノリン−4−イルエチル塩酸塩
ピバル酸2−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−2−キノリン−4−イルエチル(140mg、0.32mmol)のメタノール溶液に、メトキシルアミン塩酸塩(27mg、0.32mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。真空中で溶媒を除去して、表題化合物とジフェニルメタノンO−メチルオキシムの混合物を得た。MS(ESI)m/z273(M+H)
【0245】
カルボン酸
以下の実施例で使用するカルボン酸を、以下の方法によって調製した。
【0246】
カルボン酸1:6−t−ブチル−2−ナフトエ酸
ステップCA1A:6−t−ブチル−2−ナフトエ酸メチル
2−ブロモ−6−t−ブチルナフタレン(980mg、3.72mmol)、酢酸パラジウム(84mg、0.37mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホフィノ)プロパン(153mg、0.37mmol)、およびトリエチルアミン(1.56ml、11.2mmol)をMeOH(6ml)およびDMF(10ml)に混ぜた混合物を、風船を用い、一酸化炭素ガス圧下にて80℃で15時間加熱した。周囲温度に冷却した後、混合物をEtOAc−トルエン(8:1)(160ml)で希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液および洗液を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発にかけて、粗生成物を得、これを、ヘキサン/EtOAc(10:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を無色の油状物(843mg、94%)として得た。H NMR(CDCl):δppm1.43(9H,s)、3.97(3H,s)、7.61〜7.67(1H,m)、7.79〜7.93(3H,m)、8.01〜8.07(1H,m)、8.57(1H,br.s)。
【0247】
ステップCA1B:6−t−ブチル−2−ナフトエ酸
6−t−ブチル−2−ナフトエ酸メチル(843mg、3.48mmol)および2M水酸化ナトリウム溶液(6.96mmol、3.48mmol)をMeOH(30ml)に混ぜた混合物を、60℃で3時間加熱した。周囲温度に冷却した後、溶媒を真空中で蒸発にかけ、残渣を2M塩酸水溶液でpH2に酸性化した。水層をEtOAcで抽出し、溶液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発にかけて粗生成物を得、これをEtOAcおよびヘキサンから再結晶化して、表題化合物を白色固体(614mg、77%)として得た。H NMR(DMSO−d):δppm1.39(9H,s)、7.70〜7.76(1H,m)、7.90〜8.08(4H,m)、8.55(1H,br.s)、13.00(1H,br.s)。
【0248】
カルボン酸2:6−t−ブチルキノリン−2−カルボン酸
ステップCA2A:6−t−ブチルキノリン1−オキシド
6−t−ブチルキノリン(400mg、2.16mmol、Journal of the Indian Chemical Society、1998年、第823巻)およびmCPBA(639mg、2.59mmol)をクロロホルム(10ml)に混ぜた混合物を、室温で2時間攪拌した。混合物を濃縮し、未精製の残渣をシリカゲル(NHシリカ)カラムクロマトグラフィーにかけ、DCM/MeOH(20:1)で溶出して、表題化合物(433mg、定量的)を淡橙色の油状物として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.43(9H,s)7.26〜7.30(1H,m)、7.73(1H,d,J=8.1Hz)、7.78(1H,s)、7.85(1H,dd,J=1.5,8.8Hz)、8.49(1H,d,J=5.9Hz)、8.67(1H,d,J=8.8Hz)MS(ESI):m/z202(M+H)
【0249】
ステップCA2B:6−t−ブチルキノリン−2−カルボニトリル
6−t−ブチルキノリン1−オキシド(310mg、1.54mmol)、トリメチルシリルシアン化物(458mg、4.62mmol)、トリメチルアミン(312mg、3.08mmol)をアセトニトリル(3ml)に混ぜた混合物を、マイクロ波を照射しながら120℃で15分間攪拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン/EtOAc(20:1)で溶出して、表題化合物(295mg、収率91%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.44(9H,s)、7.68(1H,d,J=8.8Hz)、7.79(1H,d,J=2.2Hz)、7.94(1H,d,J=2.2,8.8Hz)、8.11(1H,d,J=8.8Hz)、8.26(1H,d,J=8.8Hz)MS(ESI):m/z211(M+H)
【0250】
ステップCA2C:6−t−ブチルキノリン−2−カルボン酸
6−t−ブチルキノリン−2−カルボニトリル(295mg、1.40mmol)および2M−水酸化ナトリウム水溶液(3ml)のEtOH(4.5ml)溶液を、還流温度で4時間攪拌した。混合物を水(10ml)で希釈し、2M塩酸水溶液で中和し、EtOAc(30ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物(313mg、定量的)を白色固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d6)δppm1.40(9H,s)、7.93〜7.97(2H,m)、8.01〜8.11(2H,m)、8.41(1H,d,J=8.1Hz)MS(ESI):m/z230(M+H)
【0251】
カルボン酸3:2−t−ブチルキノリン−6−カルボン酸
ステップCA3A:2−t−ブチルキノリン−6−カルボン酸メチル
キノリン−6−カルボン酸メチル(984mg、5.26mmol、J.O.C.、2002年、第67巻、7890頁)のTHF(20ml)溶液に、THF中塩化t−ブチルマグネシウム(15.8ml、1M溶液)を−78℃で30分間かけて滴下した。混合物を、−78℃で30分間、−40℃で30分間、次いで室温で1時間攪拌した。反応を塩化アンモニウム飽和水溶液(100ml)で失活させ、EtOAc(100ml×2)で抽出し、それを硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、蒸発にかけると黄色の油状物が得られ、これをTHF(50ml)に溶解させ、二酸化マンガン(1.83g、15.8mmol)をそこに加えた。混合物を室温で2.5時間攪拌し、沈殿をセライトパッドで除去し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、ヘキサン/EtOAc(20:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(348mg、収率27%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.48(9H,s)、3.99(3H,s)、7.59(1H,d,J=8.8Hz)、8.08(1H,d,J=8.8Hz)、8.17(1H,d,J=8.8Hz)、8.26(1H,dd,J=2.2,8.8Hz)、8.55(1H,d,J=2.2Hz)MS(ESI):m/z244(M+H)
【0252】
ステップCA3B:2−t−ブチルキノリン−6−カルボン酸
2−t−ブチルキノリン−6−カルボン酸メチル(347mg、1.43mmol)をMeOH(4ml)およびTHF(4ml)に溶かした溶液に、2M水酸化ナトリウム水溶液(2ml)を室温で加えた。混合物を室温で1.5時間攪拌した。次いで、蒸発にかけ、水(5ml)で希釈し、2M塩酸水溶液でpH5〜6に中和した。生成した沈殿を収集し、水で洗浄して、表題化合物(282mg、収率86%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.49(9H,s)、7.62(1H,d,J=8.8Hz)、8.13(1H,d,J=8.8Hz)、8.20(1H,d,J=8.8Hz)、8.31〜8.34(1H,m)、8.64〜8.66(1H,m)MS(ESI):m/z230(M+H)
【0253】
カルボン酸4:6−(1,1,1,−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−ナフトエ酸
ステップCA4A:2−(6−ブロモ−2−ナフチル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール
1−(6−ブロモ−2−ナフチル)エタノン(1230mg、4.94mmol)のDMF(25ml)溶液に、トリメチルシリルトリフルオロメタン(1050mg、7.41mmol)および酢酸リチウム(16.3mg、0.247mmol)を加え、混合物を室温で12時間攪拌した。次いで、反応を酢酸エチルおよび水で失活させ、次いで有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発にかけて残渣を得、これをメタノール−塩化水素で処理して、生成物(1.25g、63%)を無色の油状物として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.88(3H,s)、7.57〜7.60(1H,m)、7.68〜7.81(3H,m)、8.02〜8.05(2H,m)。
【0254】
ステップCA4B:6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−ナフトエ酸メチル
6−アセチル−2−ナフトエ酸メチル(3.2mmol、1.25g)をDMF(25ml)およびメタノール(10ml)に溶かした溶液に、酢酸パラジウム(0.31mmol、70.4mg)、ジフェニロホソヒノプロパン(129mg、0.31mmol)およびトリエチルアミン(9.4mmol、951mg)を加え、反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応を酢酸エチルおよび水で失活させた後、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体(78%、1.0g)として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.81(3H,s)、3.93(3H,s)、6.85(1H,s)、7.83(1H,d,J=9.2Hz)、8.00〜8.19(3H,m)、8.26(1H,s)、8.66(1H,s)。MS(ESI):m/z299(M+H)
【0255】
ステップCA4C:6−(1,1,1,−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−ナフトエ酸
メタノール(15ml)および2N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)に、6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−ナフトエ酸メチル(3.45mmol、1.0g)を加え、混合物を60℃で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を2M塩化水素水溶液で酸性化し、酢酸エチル(50ml)で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発にかけて、表題化合物を白色固体(0.9g、定量的)として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.81(3H,s)、6.85(1H,s)、7.70〜8.75(6H,m)、12.94(1H,br.s)。
【0256】
カルボン酸5:2−(1−メチルシクロプロピル)キノリン−6−カルボン酸
ステップCA5A:6−ブロモ−2−イソプロペニルキノリン
臭化(メチル)トリフェニルホスホニウム(2000mg、5.60mmol)を無水THF(15ml)に懸濁させた、攪拌した懸濁液に、氷冷温度でカリウムt−ブトキシド(628mg、5.60mmol)の無水THF(10ml)溶液を加えた。室温で2時間経過後、これに氷冷温度で1−(6−ブロモキノリン−2−イル)エタノン(700mg、2.80mmol)の無水THF(15ml)溶液を加えた。周囲温度で3時間経過後、混合物を水で失活させ、酢酸エチル(2回)で抽出した。溶液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して粗生成物を得、これを、ヘキサン−酢酸エチル(10:1)を用いるシリカゲル(250g)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(661mg、95%)を黄褐色の固体として得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm2.34(3H,s)、5.50(1H,s)、5.93(1H,s)、7.65〜7.78(2H,m)、7.88〜8.03(3H,m)。MS(ESI):m/z248.11、250.14(M+H)
【0257】
ステップCA5B)メチル−2−イソプロペニルキノリン−6−カルボキシラート
6−ブロモ−2−イソプロペニルキノリン(200mg、1.45mmol)、酢酸パラジウム(18.1mg、0.081mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホフィノ)プロパン(33mg、0.081mmol)、トリエチルアミン(245mg、2.42mmol 約0.337ml)、およびメタノール(1.03g、1.31ml 約32.2mmol)を無水DMF(2.5ml)に混ぜた混合物を、一酸化炭素ガス(風船)中にて80℃で終夜(15時間)加熱した。混合物を酢酸エチル−トルエン(8:1)(159ml)で希釈し、沈殿をセライトパッドで濾過した。有機層を水(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(15:1)を用いるシリカゲル(150g)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(150mg、82%)を濃い黄色の固体として得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm2.36(3H,s)、3.99(3H,s)、5.53〜5.57(1H,m)、5.98(1H,s)、7.73〜7.78(1H,m)、8.08〜8.31(3H,m)、8.54〜8.56(1H,m)。MS(ESI):m/z228.21(M+H)
【0258】
ステップCA5C)メチル−2−(1−メチルシクロプロピル)キノリン−6−カルボキシラート
ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(435mg、2.06mmol)をジメチルスルホキシド−THF(3ml−2ml)に懸濁させた、攪拌した懸濁液に、カリウムt−ブトキシド(231mg、2.06mmol)を周囲温度で一度に加えた。同温度で30分経過後、これ(無色の溶液)に、室温で2−イソプロペニルキノリン−6−カルボン酸メチル(312 mg、1.37 mmol)のTHF(3ml)溶液を加えた。混合物を室温で40分間、次いで60℃で1時間攪拌した。混合物を水で失活させ、酢酸エチル−トルエン(8:1)(90ml)で希釈した。有機溶液を分離し、水(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して粗生成物とした。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(10:1)を用いるシリカゲル(250g)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(225mg、68%)を白色固体として得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm0.91〜0.98(2H,m)、1.38〜1.45(2H,m)、1.64(3H,s)、3.98(3H,s)、7.42〜7.48(1H,m)、7.97〜8.27(3H,m)、8.50〜8.55(1H,m)。MS(ESI):m/z242.15(M+H)
【0259】
ステップCA5D)2−(1−メチルシクロプロピル)キノリン−6−カルボン酸
メチル−2−(1−メチルシクロプロピル)キノリン−6−カルボキシラート(225mg、0.93mmol)および2M水酸化ナトリウム溶液(2ml、4mmol)のメタノール(10ml)溶液を、60℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させた後、残渣を水で溶解させた。水溶液を2M塩酸溶液(2ml)で中和し、沈殿白色固体を酢酸エチル(3回)で抽出した。溶液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、未精製の白色固体を得、これを酢酸エチルおよびヘキサンから再結晶化して、表題化合物(177mg、84%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z228.15[M+H]、226.13[M−H]
【0260】
カルボン酸6:2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボン酸
ステップCA6A:6−ブロモ−キノリン−2−イル−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール
6−ブロモキノリン−エタノン(129mg、0.52mmol)、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(220mg、1.55mmol)、およびフッ化トリブチルアンモニウム(13.5mg、0.052mmol)のDMF(5ml)溶液を100℃で2時間攪拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、1M塩酸水溶液(2ml)を加えた。4時間後、混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で失活させ、生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、蒸発にかけ、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物(175mg、定量的)が白色固体として得られた。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.81(3H,s)、6.51(1H,s)、7.64(1H,d,J=8.1Hz)、7.66〜7.89(1H,m)、8.00〜8.12(2H,m)、8.21(1H,d,J=8.8Hz)。MS(ESI):m/z320、322(M+H)
【0261】
ステップCA6B:6−ブロモキノリン−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル メタンスルホン酸塩
6−ブロモ−キノリン−2−イル−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(5.06g、15.8mmol)のTHF(50ml)溶液に、0℃で水素化ナトリウム(1.26g、31.6mmol)を少量ずつ加え、混合物を室温で2時間攪拌した。塩化メタンスルホニル(3.62g、31.6mmol)のTHF(10ml)溶液をそこに0°で加えた。次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で失活させ、生成物を酢酸エチルで抽出し、これを硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、蒸発にかけ、ヘキサン/酢酸エチル(15:1→5:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物(6.29g、収率84%)が白色固体として得られた。H NMR(300MHz、CDCl)δppm2.45(3H,s)、3.24(3H,s)、7.81〜7.86(2H,m)、7.96〜8.05(2H,m)、8.17(1H,d,J=8.8Hz)。MS(ESI):m/z397、399(M+H)
【0262】
ステップCA6C:6−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン
メタンスルホン酸6−ブロモキノリン−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル(11.97g、30mmol)のシクロヘキサン(120ml)懸濁液に、室温でトリメチルアルミニウム(120ml、123mmol、ヘキサン中1.03M溶液)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(30ml)、ブライン(10ml)で慎重に失活させ、酢酸エチルおよびヘプタン(200ml)で希釈した。混合物を30分間攪拌した後、生成した沈殿をセライトで除去し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、ヘキサンのみを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(9.56g、収率80%)を無色の油状物として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.72(6H,s)、7.66(1H,d,J=8.8Hz)、7.75〜7.80(1H,m)、7.96〜8.00(2H,m)、8.06(1H,d,J=8.8Hz)。MS(ESI):m/z318、320(M+H)
【0263】
ステップCA6D:2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボン酸メチル
6−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン(950mg、3.0mmol)、トリエチルアミン(1.25ml、9.0mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(123mg、0.3mmol)、酢酸パラジウム(67mg、0.3mmol)、およびメタノール(4.8ml)をDMF(10ml)に混ぜた混合物を、一酸化炭素中(1気圧)にて還流温度で16時間攪拌した。次いで、反応を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で失活させ、生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、蒸発にかけ、ヘキサン/酢酸エチル(25:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物(777mg、収率88%)が白色固体として得られた。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.74(6H,s)、4.00(3H,s)、7.71(1H,d,J=8.8Hz)、8.14(1H,d,J=8.8Hz)、8.25(1H,d,J=8.8Hz)、8.28〜8.32(1H,m)、8.58〜8.59(1H,m)。MS(ESI):m/z298(M+H)
【0264】
ステップCA6E:2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボン酸
2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボン酸メチル(777mg、2.6mmol)および2M−水酸化ナトリウム水溶液(2.6ml、5.2mmol)をメタノール(6ml)およびTHF(6ml)に溶かした溶液を、カルボン酸1に記載の手順に従って処理して、表題化合物(735mg、収率99%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.75(6H,s)、7.74(1H,d,J=8.8Hz)、8.19(1H,d,J=8.8Hz)、8.29(1H,d,J=8.8Hz)、8.35〜8.40(1H,m)、8.69〜8.70(1H,m)。MS(ESI):m/z284(M+H)
【0265】
カルボン酸7:6−(1−メチルシクロプロピル)−2−ナフトエ酸
ステップCA7A:6−(プロパ−1−エン−2−イル)−2−ナフトエ酸メチル
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(2.41g、6.74mmol)のTHF(20ml)懸濁液に、カリウムt−ブトキシド(756mg、6.74mmol)の入ったTHF(20ml)を0℃で滴下し、混合物を室温で1.5時間攪拌した。次いで、6−アセチル−2−ナフトエ酸メチル(J.Org.Chem、1990年、第55巻、319〜324頁、769mg、3.37mmol)の入ったTHF(5ml)を室温で加え、得られる混合物を室温で2時間攪拌した。反応を水(100ml)で失活させ、酢酸エチル−ヘキサン(1:2)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製材料を、酢酸エチル−ヘキサン(0:100→1:20)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.67g(収率88%)の表題化合物を白色固体として得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm2.28(3H,s)、3.99(3H,s)、5.26(1H,s)、5.58(1H,s)、7.74(1H,d,J=8.6Hz)、7.82〜7.97(3H,m)、8.05(1H,d,J=8.6Hz)、8.58(1H,s)。MS(ESI)m/z:M+ピークは認められなかった。
【0266】
ステップCA7B:6−(1−メチルシクロプロピル)−2−ナフトエ酸メチル
6−(プロパ−1−エン−2−イル)−2−ナフトエ酸メチル(0.57g、2.5mmol)のジクロロエタン溶液に、0℃でジエチル亜鉛(ヘキサン中1.0M)(6.30ml、6.30mmol)を加えた。次いで、混合溶液にジヨードメタン(1.01ml、12.6mmol)を滴下し、得られる混合物を60℃で20時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(30mL)で希釈し、混合物をCHCl(30ml×3)で抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させた。溶媒を除去すると残渣が得られ、これを、酢酸エチル−ヘキサン(1:20)を溶離液とするシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにかけて、0.91gの表題化合物を白色固体として得た。
H NMR(270MHz、CDCl)δppm0.75〜0.95(2H,m)、0.95〜1.13(2H,m)、1.52(3H,s)、3.97(3H,s)、7.41(1H,d,J=9.9Hz)、7.74(1H,s)、7.82(1H,d,J=7.8Hz)、7.86(1H,d,J=8.6Hz)、8.04(1H,d,J=8.6Hz)、8.56(1H,s)。MS(ESI)m/z:M+ピークは認められなかった。
【0267】
ステップCA7C:6−(1−メチルシクロプロピル)−2−ナフトエ酸
6−(1−メチルシクロプロピル)−2−ナフトエ酸メチル(未精製の0.91g、2.5mmol)および2M水酸化ナトリウム溶液(3.8ml)をメタノール(7.6ml)に混ぜた混合物を60℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をジエチルエーテル(100ml)で洗浄した。水層を2M塩酸溶液でpH<3に酸性化し、混合物をジクロロメタン−メタノール(10:1、150ml×3回)で抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、0.444g(2ステップで収率78%)の表題化合物を白色固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm0.77〜0.92(2H,m)、0.95〜1.11(2H,m)、1.49(3H,s)、7.42(1H,d,J=8.8Hz)、7.84(1H,s)、7.90〜7.97(2H,m)、8.01(1H,d,J=8.8Hz)、8.54(1H,s)。MS(ESI):m/z225(M−H)
【0268】
カルボン酸8:6−シクロプロピルナフタレン−2−カルボン酸
ステップCA8A:6−シクロプロピルナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
トルエン(15ml)および水(0.75ml)中に6−ブロモ−ナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.0g、3.7mmol)、ボロン酸シクロプロピル(421mg、4.9mmol)、酢酸パラジウム(42mg、0.02mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(106mg、0.04mmol)、およびリン酸カリウム(2.802g、13.2mmol)を含有するフラスコを、Nで10分間脱気した。反応液を100℃で1時間加熱した。冷却した後、反応混合物を飽和NaHCO溶液(100ml)中に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。有機抽出物を合わせてブライン(3×50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(0〜10%のヘキサン中EtOAc)にかけると、表題化合物(270mg、30%)がオフホワイトの固体として得られた。H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm0.83〜0.87(2H,m)、1.05〜1.11(2H,m)、2.09〜2.16(1H,m)、3.90(3H,s)、7.33(1H,dd,J=8.6Hz,1.8Hz)、7.70(1H,s)、7.89〜7.95(2H,m)、8.02(1H,d,J=8.6Hz)、8.56(1H,s)。LC/MS:m/z認められず;保持時間=3.93分
【0269】
ステップCA8B:6−シクロプロピルナフタレン−2−カルボン酸
6−シクロプロピルナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(226mg、1mmol)をテトラヒドロフラン(9ml)およびエタノール(3ml)に溶かした溶液に、水酸化リチウム(72mg、3mmol)の水(3ml)溶液を加えた。反応液を50℃で2時間攪拌し、次いで2M HCl中に注ぎ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。有機抽出物を合わせてブライン(2×100ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。DCM/ヘキサンを使用して摩砕すると、表題化合物(150mg、67%)が白色固体として得られた。H NMR(400MHz、MeOH−d)δppm0.85〜0.89(2H,m)、1.09〜1.16(2H,m)、2.11〜2.16(1H,m)、7.30(1H,dd,J=8.6Hz,1.7Hz)、7.64(1H,s)、7.84(1H,d,J=8.6Hz)、7.89(1H,d,J=8.6Hz)、8.00(1H,dd,J=8.6Hz,1.7Hz)、8.55(1H,s)。LC/MS:m/z認められず;保持時間=3.18分。
【0270】
カルボン酸9:7−t−ブチルキノリン−3−カルボン酸
ステップCA9A:7−t−ブチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル
3−t−ブチルアニリン(5.30g、35.5mmol)とエトキシメチレンマロン酸ジエチル(10.2g、47.30mmol)の混合物を、60℃で15分間、次いで120℃で1時間加熱した。生じたエタノールを真空中で蒸発させた後、未精製の油状物を200〜250℃で沸騰ジフェニルエーテル(150ml)に滴下し、混合物を250℃で90分間攪拌した。室温に冷却した後、混合物をヘキサン(約200ml)で希釈し、沈殿固体を収集して、(4.55g、47%)の表題化合物をかすかに黄色の固体として得た。この化合物は、硬い固体であるため、NMR、MSの測定を行わずに次のステップに使用した。
【0271】
ステップCA9B:7−t−ブチル−4−クロロキノリン−3−カルボン酸エチル
7−t−ブチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル(4.54g、16.6mmol)をPOCl(60ml)に混ぜた混合物を、120℃で3時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残渣をCHClで希釈した。有機層を、氷冷しながらアンモニア水中に注いだ。水層をCHClで抽出し、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(8:1→6:1)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(4.82g)を無色の油状物として得た。H NMR(270MHz、DMSO−d)δppm1.35〜1.44(3H,m)、1.42(9H,s)、4.38〜4.49(2H,m)、7.97〜8.06(2H,m)、8.30〜8.36(1H,m)、9.15(1H,s)。
【0272】
ステップCA9−C:7−t−ブチルキノリン−3−カルボン酸エチル
7−t−ブチル−4−クロロキノリン−3−カルボン酸エチル(2.06g、7.06mmol)およびトリエチルアミン(1.97ml、21.2mmol)のエタノール(70ml)溶液を、風船圧にて1.5時間5%パラジウム−炭素(300mg)で水素化した。触媒をセライトパッドで濾過した後、濾過ケーキをCHClで洗浄した。濾液および洗液を真空中で蒸発させて粗生成物を得、これを、ヘキサン−酢酸エチル(8:1)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(1.68g、92.5%)を黄色の油状物として得た。H NMR(270MHz、CDCl)δppm1.43〜1.51(3H,m)、1.45(9H,s)、4.48(2H,q,J=7.0Hz)、6.69〜7.75(1H,m)、7.85〜7.91(1H,m)、8.13(1H,s)、8.79〜8.82(1H,m)、9.41〜9.44(1H,m)。
【0273】
ステップCA9D:7−t−ブチルキノリン−3−カルボン酸
7−t−ブチルキノリン−3−カルボン酸エチル(1.63g、6.33mmol)を2M水酸化ナトリウム水溶液(6.4ml、12.8mmol)およびエタノール(50ml)に混ぜた混合物を、75℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させた後、残渣を水で希釈した。水溶液を、氷冷しながら2M塩酸水溶液でpH3に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。溶液を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗生成物を得、これを酢酸エチルおよびヘキサンから再結晶化して、表題化合物(1.27g、88%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z228(M−H)、230(M+H)。LC−MS:2.46分(中性の全範囲4_96)
【0274】
カルボン酸10:2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)キノリン−6−カルボン酸
ステップCA10A)2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)キノリン−6−カルボン酸メチル
この化合物は、6−ブロモ−キノリン−2−イル−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オールから、ステップCA6Dに記載の同じ手順に従って調製した。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.82(3H,s)、4.02(3H,s)、6.55(1H,s)、7.69(1H,d,J=8.1Hz)、8.18(1H,d,J=8.8Hz)、8.37〜8.41(2H,m)、8.66〜8.68(1H,m)。MS(ESI):m/z300(M+H)
【0275】
ステップ10B)2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)キノリン−6−カルボン酸
この化合物は、2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)キノリン−6−カルボン酸メチルから、ステップCA6Eに記載の同じ手順に従って調製した。H NMR(300MHz、CDCl)δppm1.84(3H,s)、7.72(1H,d,J=8.1Hz)、8.23(1H,d,J=8.8Hz)、8.42〜8.47(2H,m)、8.77〜8.78(1H,m)。MS(ESI):m/z286(M+H)
【0276】
カルボン酸11:6−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−2−ナフトエ酸
ステップCA11A)6−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−2−ナフトエ酸メチル
CA4A(0.45g、1.5mmol)のTHF溶液に、水素化ナトリウム(80mg、2.2mmol)を加え、混合物を0℃で30分間攪拌した。次いで、この混合物に、ヨウ化メチル(642mg、4.5mmo)を加え、さらに3時間攪拌した。次いで、生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、濾過し、蒸発にかけ、ヘキサン:酢酸エチル=4:1を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として収率58%で得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.91(3H,s)、3.22(3H,s)、3.94(3H,s)、7.74(1H,d,J=9.2Hz)、8.04(1H,d,J=8.6Hz)、8.14〜8.24(3H,m)、8.68(1H,s)。
【0277】
ステップCA11B)6−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−2−ナフトエ酸
表題化合物は、ステップCA4Cの同じ手順によって、CA4Bの化合物の代わりにCA11Aの化合物を使用して調製し、表題化合物を白色固体として収率98%で得た。H NMR(300MHz、DMSO−d)δppm1.91(3H,s)、3.22(3H,s)、7.71〜7.74(1H,m)、8.01〜8.21(4H,m)、8.64(1H,s)、13.2(1H,br.s)。
【0278】
実施例
(実施例A1〜A9)
実施例A1:アミン1(59mg、0.30mmol)のDMF(7ml)溶液に、カルボン酸1(68mg、0.30mmol)、HBTU(146mg、0.39mmol)、およびトリエチルアミン(0.12ml、0.89mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応を水で失活させ、生成物をEtOAcで抽出した。次いで、蒸発にかけ、HPLCによって精製(使用カラムはMS C30×50mm、条件はアセトニトリル/0.05%ギ酸水溶液、32→68で溶出)すると、表題化合物(19mg、17%)が白色固体として得られた。所望の生成物の分画時間は、3.70分であった。
【0279】
実施例A2からA9の化合物は、実施例A1の化合物と同様の方法によって、以下の出発材料およびスキーム1に記載したような適切な溶媒を使用して調製した。
【0280】
【化22】

【0281】
【表3−1】

【0282】
【表3−2】

【0283】
(実施例B1〜B7)
実施例B1からB7の化合物は、実施例A1の化合物と同様の方法によって、以下の出発材料およびスキーム1に記載したような適切な溶媒を使用して調製した。
【0284】
【化23】

【0285】
【表4−1】

【0286】
【表4−2】

【0287】
(実施例C1〜C17)
実施例C1からC17の化合物は、実施例A1の化合物と同様の方法によって、以下の出発材料およびスキーム1に記載したような適切な溶媒を使用して調製した。
【0288】
【化24】

【0289】
【表5−1】

【0290】
【表5−2】

【0291】
【表5−3】

【0292】
【表5−4】

【0293】
【表5−5】

【0294】
(実施例D1)
【0295】
【化25】

【0296】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

[式中、環Aは、
【化2】

であり、
およびXの一方はN、XおよびXのもう一方はNHもしくはS、XはNもしくはCRであり、
およびXの一方はCH、XおよびXのもう一方はNHもしくはN、XはC=OもしくはNであり、
およびXの一方はCR、XおよびXのもう一方はNH、XはNもしくはCRであり、
およびXはNH、XはC=Oであり、または
はNもしくはCR、YはNもしくはCR、YはNもしくはCR、YはNもしくはCR10であり、
環Bの置換部位は、α位またはβ位であり、
E、G、J、およびKは、それぞれ独立にCHまたはNであり、Fは、CHまたはC−CHであり、
LおよびTは、それぞれ独立に、CHまたはNであり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルキルであり;Rは水素であり;Rは、ハロで置換されていてもよい、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシで置換されていてもよいハロ(C〜C)アルキルであり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルであり;R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシ(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルであり;点で示した結合はそれぞれ、単結合または二重結合である]または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
およびXの一方がN、XおよびXのもう一方がNH、XがNもしくはCRであり、
およびXの一方がCH、XおよびXのもう一方がNHもしくはN、XがC=OもしくはNであり、
およびXの一方がCR、XおよびXのもう一方がNH、XがNであり、または
およびXがNH、XがC=Oであり、
JがCH、TがCH、FがCHもしくはC−CH、EがCHもしくはNであり、
L、G、およびKのうちの1つがN、他のものがCHであり、またはL、G、およびKがCHであり、
およびRが、それぞれ独立に、水素、(C〜C)アルキルであり;Rが水素であり;Rが、ハロで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシルで置換されていてもよいハロ(C〜C)アルキルであり;RおよびRが水素である、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
がN、XがNH、XがCRであり;XがCH、XがNHもしくはN、XがC=OもしくはNであり、XがCR、XがNH、XがNもしくはCRであり;またはXがNH、XがN、XがNであり、またはXおよびXがNH、XがC=Oである、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
がNH、XがN、XがNであり、またはXがCH、XがN、XがNである、請求項1から3の一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
、Y、Y、およびYがそれぞれCR、CR、CR、およびCR10であり、またはYがN、Y、Y、およびYがCHであり;JがCHであり;TがCHであり;FがCHまたはC−CHであり;EがCHまたはNであり、L、G、およびKのうちの1つがN、他のものがCHであり、またはL、G、およびKがCHであり;RおよびRが、それぞれ独立に水素、(C〜C)アルキルであり;Rが水素であり;Rが、ハロで置換されていてもよい、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、またはヒドロキシで置換されていてもよいハロ(C〜C)アルキルであり、R、R、R、およびR10がそれぞれ独立に水素または(C〜C)アルキルである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
EがNであり、Y、Y、Y、およびYがそれぞれCR、CR、CR、およびCR10であり、R、R、R、およびR10がそれぞれ独立に水素またはメチルである、請求項1または5に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
EおよびFがCHであり、YがNであり、Y、Y、およびYがCHである、請求項1または5の一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
LがNであり、G、J、K、およびTがCHであり;またはG、J、K、L、およびTがCHである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項9】
がシクロプロピル、1−メチル−シクロプロピル、t−ブチル、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル、または2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項10】
前記化合物が式(Ia)の化合物
【化3】

[式中、Rはメチルであり、RはHである]である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項11】
N−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エチル]−6−t−ブチル−2−ナフトアミド、
6−t−ブチル−N−(キノリン−4−イルメチル)−2−ナフトアミド、
6−t−ブチル−N−(3H−インダゾール−5−イルメチル)−2−ナフトアミド、
6−t−ブチル−N−[1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル)エチル]−2−ナフトアミド、
6−t−ブチル−N−[1−1H−インダゾール−5−イルエチル]−2−ナフトアミド、
N−(キノリン−4−イルメチル)−6−(1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシプロパン−2−イル)−2−ナフトアミド、
N−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エチル]−6−t−ブチルキノリン−2−カルボキサミド、
N−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルメチル)−6−t−ブチルキノリン−2−カルボキサミド、
6−t−ブチル−N−(1−キノリン−4−イルエチル)キノリン−2−カルボキサミド、
N−[(1R)−1−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル)エチル]−2−t−ブチルキノリン−6−カルボキサミド、
2−t−ブチル−N−[(1R)−1−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)エチル]キノリン−6−カルボキサミド、
N−[1−1H−インダゾール−5−イルエチル]−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボキサミド、
N−(キノリン−4−イルメチル)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボキサミド、
N−(イソキノリン−5−イルメチル)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボキサミド、および
N−[(1R)−1−キノリン−4−イルエチル]−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)キノリン−6−カルボキサミド
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物と共に、薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
VR1拮抗薬の適応症である疾患を治療するための、ヒトを含めた哺乳動物の治療方法であって、前記哺乳動物を、請求項1から11のいずれか一項に記載の有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩もしくは組成物で治療することを含む方法。
【請求項14】
VR1拮抗薬の適応症である疾患を治療する医薬を製造するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩または溶媒和物または組成物の使用であって、前記疾患が、急性脳虚血、疼痛、慢性痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、神経障害、神経痛、糖尿病性神経障害、HIVに関連した神経障害、神経損傷、リウマチ様関節炎疼痛、骨関節炎疼痛、火傷、背痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、偏頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経症、骨盤内過敏症、骨盤痛、月経痛;失禁、排尿障害、腎疝痛、膀胱炎などの膀胱疾患;火傷、関節リウマチ、骨関節炎などの炎症;発作、発作後疼痛、多発性硬化症などの神経変性疾患;喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支収縮などの肺疾患;胃食道逆流症(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性大腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、クローン病などの消化器疾患;脳血管虚血などの虚血;癌化学療法によって誘発される嘔吐などの嘔吐、ならびに肥満から選択される使用。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容できる塩と、別の薬理活性物質の組合せ。

【公表番号】特表2009−542798(P2009−542798A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518996(P2009−518996)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001984
【国際公開番号】WO2008/007211
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000204343)ファイザー株式会社 (38)
【Fターム(参考)】