説明

美肌促進剤及び美容健康食品

【課題】経口摂取又は皮膚に塗布することにより、皮膚の潤いと張りを向上させ、肌荒れや小じわ等の予防・改善作用を有する美肌促進剤を提供する。
【解決手段】N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを美肌促進剤の有効成分として用いる。更に、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC等から選ばれた少なくとも一種を使用してもよい。その形態は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒などの散剤又は液状であることが好ましい。この美肌促進剤は、経口摂取又は皮膚に塗布することにより、有効成分であるN‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンが速やかに吸収され、その一部がヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などの酸性ムコ多糖類の原料として利用されることにより、皮膚の潤いと張りが向上し、美白効果、肌荒れや小じわなどを予防・改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口摂取又は皮膚に塗布することにより、皮膚の潤いと張りを向上し、肌荒れや小じわ等の予防・改善を促進する美肌促進剤及び美容健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類は高い保水性を有し、細胞間物質マトリックスの支柱の役目を果たしているコラーゲンと結合して、結合組織、軟骨組織や皮膚組織などに多く分布し、細胞の機能や形態を維持するのに役立っている。
【0003】
皮膚組織において上記酸性ムコ多糖類やコラーゲン等は、真皮層に多く存在して皮膚の保水性や弾力性に大きく関与している。そして、加齢などにより、これらの量が減少すると皮膚の保水性や弾力性が失われてしまい、肌荒れや小じわ等の原因となることが知られている。
【0004】
したがって、肌荒れや小じわなどを予防・改善するためには皮膚の潤いと張りを保持することが重要であり、肌の保湿性や弾力性の維持効果を有する様々な成分を配合した化粧品が市販されている。このような成分としては、例えば、上述したヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲンなどのムコ多糖類やトレハロース、ソルビトールなどの低分子糖類、ビタミン類、アミノ酸誘導体、セラミド、α‐オリザノール、精製ツバキ油などの油脂類などが挙げられ、特に最近は安全性の高い天然由来の成分が尊重される傾向がある。
【0005】
また、経口摂取することにより上述したような効果を高める美容健康食品も数多く開発されている。例えば、N‐アセチルグルコサミンを有効成分とする美肌促進剤(特許文献1参照)。ヒアルロン酸とコンドロイチン硫酸とコラーゲンを含むムコ多糖類と核酸とを含有することを特徴とする美容健康食品(特許文献2参照)、活性酸素消去因子、抗アレルギー因子、皮膚等改善因子、抗酸化因子を有する食品素材のいずれか2種以上の混合物を主成分とする加工食品(特許文献3参照)、コンキオリンもしくはその処理物からなる食品(特許文献4参照)、ムコ多糖とペプタイドとが結合した複合ムコ多糖を有する健康食品(特許文献5参照)、セラミドを含有する健康食品(特許文献6参照)などが開示されている。
【0006】
一方、N‐アセチルラクトサミンは、D‐ガラクトースとN‐アセチルグルコサミンがβ‐1、4結合している二糖類であり、人乳オリゴ糖や、リポ多糖、各種糖タンパク及び糖脂質の糖鎖中に存在する生化学的に非常に重要なオリゴ糖である。また、腸内細菌の一つビフィズス菌の発育因子としても知られ、機能性食品素材としても有用な物質である。
【特許文献1】特開2001−048789号
【特許文献2】特開平10−165138号
【特許文献3】特開平10−000070号
【特許文献4】特開平8−173091号
【特許文献5】特開平9−098739号
【特許文献6】特開平11−113530号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲンなどは高分子化合物であり、化粧品のように皮膚に塗布するだけでは吸収されにくいため、化粧品においては皮膚表面の保水性を高めることを目的として用いられている。また、上述した他の成分についても同様なものが多かった。更に、これらヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲンなどの高分子化合物を経口摂取した場合も、それらの消化・吸収性の問題があり、その効果は必ずしも満足いくものではなかった。また、N‐アセチルグルコサミンは単糖類であり吸収性にも優れているため、上記高分子化合物と比較した場合は効果が高いものの、更に高い効果を有する物質が求められていた。
【0008】
したがって、本発明の目的は、経口摂取又は皮膚に塗布することにより、優れた美肌効果を有する美肌促進剤、美容健康食品及び化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンが、皮膚の潤いと張りを向上させ、肌荒れや小じわ等の予防・改善作用、美白効果など優れた美肌効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の美肌促進剤は、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを有効成分とする。
【0011】
また、本発明の美肌促進剤は、更に、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビタミンB群、トレハロース、セラミド、コラーゲン、コラーゲンペプチドから選ばれた少なくとも一種を有効成分として含有してもよい。
【0012】
本発明の美肌促進剤の形態は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒などの散剤又は液状であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の美容健康食品は、上記美肌促進剤を含有するものである。例えば、本発明の美肌促進剤を菓子、粉末スープ、乳製品、飲料等の食品に配合して美容健康食品とすることができる。
【0014】
更に、本発明の化粧品は、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを含有することを特徴とする。
【0015】
本発明の化粧品は、更に、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビタミンB群、トレハロース、セラミド、コラーゲン、コラーゲンペプチドから選ばれた少なくとも一種を含有してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、肌荒れや小じわなどを予防・改善する美肌促進剤の有効成分としてN‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを用いることができる。そして、本美肌促進剤を経口摂取することにより、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンが速やかに吸収され、皮膚層に移行してヒアルロン酸等の原料となり、皮膚の潤いと張りが向上し、肌荒れや小じわなどを予防・改善することができ、更にメラニン生成抑制活性を有することから美白作用も期待される。
【0017】
また、本発明の美肌促進剤は低分子化合物であるため、皮膚に塗布した場合においても皮膚からの吸収性が高く、経口摂取と同様の美肌効果が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の美肌促進剤の有効成分のひとつであるN‐アセチルラクトサミンは、下記化学式(1)で示されるようにガラクトースとN‐アセチルグルコサミンがβ1‐4結合をしたオリゴ糖である。
【0019】
【化1】

【0020】
N‐アセチルラクトサミンは、天然糖蛋白糖鎖や糖脂質糖鎖、あるいはケラタン硫酸等から糖鎖の酵素的分解により得ることもできるが、極微量しか得ることができない。そこで、本発明においては、ラクトースとN‐アセチルグルコサミンを溶解した溶液にβ‐ガラクトシダーゼを作用させて糖転移反応を行う方法により製造することが好ましい。
【0021】
具体的には、例えば、特許第2819313号公報に記載されているように、ラクトースとN‐アセチルグルコサミンを基質とし、β‐ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用させることで得ることができる。
【0022】
上記β‐ガラクトシダーゼとしては、Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus、Aspergillus oryzae、Bacillus circulansを起源とするものが例示でき、これら市販されている酵素を使用することができるが、Bacillus circulansを起源とするものがβ1‐4選択性が高いため、好ましく用いられる。なお、Bacillus circulansを起源とするβ‐ガラクトシダーゼとしては、例えば、商品名「ラクターゼS」(ケイアイ化成株式会社製)が挙げられる。
【0023】
上記塩析剤としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が例示でき、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。塩析剤の濃度は5〜30質量%が好ましい。
【0024】
また、反応に用いるラクトースとN‐アセチルグルコサミンの量は、モル比で1:1〜1:5とし、全基質濃度として20〜70質量%とすることが好ましい。β‐ガラクトシダーゼは、反応系において0.01〜5U/mlとなるように添加し、pH4〜9、温度5〜50℃に保持して2〜50時間作用させることが好ましい。なお、β‐ガラクトシダーゼの力価はパラニトロフェニル−β−ガラクトピラノシドを基質として、1分間に1μmolのβ−ガラクトースを遊離する酵素量を1Uと定義する。
【0025】
上記のようにして得られた反応液には、副生成物としてガラクトシルN‐アセチルラクトサミンがN‐アセチルラクトサミンに対して2〜3%の割合で含まれている。
【0026】
酵素反応液は、加熱して酵素を失活させた後、そのまま、あるいは必要に応じて活性炭カラムクロマトグラフィーや逆浸透膜により分離・精製、濃縮してから用いることができる。例えば、上記反応液を活性炭カラムクロマトグラフィーに供してアルコールによりグラジエント溶出、もしくはステップワイズ溶出することにより、高純度のN‐アセチルラクトサミン及びガラクトシルN‐アセチルラクトサミンを得ることができる。
【0027】
一方、ラクトサミンは、下記化学式(2)で示されるように、ガラクトースとグルコサミンがβ1‐4結合をしたオリゴ糖である。
【0028】
【化2】

【0029】
ラクトサミンは、例えば、ラクトースとグルコサミンを基質とし、上記N‐アセチルグルコサミンと同様なβ‐ガラクトシダーゼを作用させて糖転移反応を行う方法により製造することができる。
【0030】
本発明の美肌促進剤は、その有効成分として、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを固形分中0.1〜100質量%含有していることが好ましく、1〜50質量%含有していることがより好ましい。また、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コラーゲン、コラーゲンペプチド、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビタミンB群、トレハロース、セラミドなど従来から美肌効果が認められている他の成分と組み合わせて用いてもよく、中でもN‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コラーゲン、コラーゲンペプチド、コンドロイチン硫酸、ビタミンCから選ばれる少なくとも1種以上を併用することが好ましい。この場合、各成分の配合比率は、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを1とすると、N‐アセチルグルコサミンは0.5〜20、グルコサミンは0.5〜10、コラーゲン、コラーゲンペプチドは1〜20、コンドロイチン硫酸は0.5〜10、ビタミンCは0.1〜10であることが好ましい。なお、セラミドは、角質細胞間脂質の約50%を占める脂質成分であって、各種原料由来のものが各社から市販されている。
【0031】
N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンは、上記他の成分が共存していても着色や分解、反応などを起こさず、これらの成分との相乗効果を期待することができる。
【0032】
本発明の美肌促進剤を経口摂取する場合の摂取量は、成人1日当たり、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミン換算で0.1〜15g、より好ましくは0.3〜5gである。N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンの摂取量が0.1g未満では美肌効果が期待できず、15gを超えると体質により軟便、下痢などの症状が出る可能性があるため好ましくない。
【0033】
N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンは、いずれも天然に存在する糖の一種であり、安全性については既に確認されているものである。因みに、ラットにN‐アセチルラクトサミンを5g/体重kg経口投与しても安全であった。
【0034】
本発明の美肌促進剤の形態は、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒又は液状であることが好ましい。例えば、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミン、上記他の成分及び賦形剤を均一に混合して、加圧式打錠機により打錠することにより錠剤とすることができ、造粒してそのまま粉末状、顆粒状にして利用することもできる。また、サフラワー油などの油脂に均一に分散後、ミツロウなどを加え、スラリーの粘度を適度に調節し、ソフトカプセル充填機によりゼラチンとグリセリンを被包材の主成分とするようなソフトカプセル中に充填してもよい。
【0035】
また、N‐アセチルラクトサミンは、20℃の水への溶解度(水100gに溶かせる量(g))が29gであり、ラクトサミンは更に高い溶解性を有する。N‐アセチルラクトサミンについてはpH2〜8において100℃、1時間加熱処理しても着色や分解は認められず、また、ラクトサミンについてはpH2〜5において100℃、1時間加熱処理しても着色や分解は認められないので、通常の食品加工においては全く問題のない安定性を有しており、様々な飲食品に配合することができる。
【0036】
本発明の美肌促進剤を配合するのに好適な飲料としては、例えば清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等が挙げられる。
【0037】
本発明の美肌促進剤を配合するのに好適な加工食品としては、(1)農産加工食品…例えばトマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品や、乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品や、カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料や、パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)や、食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類や、アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等や、焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類や、小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品や、蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品など、(2)畜産加工食品…例えばハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品やヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品や、加工卵製品など、(3)水産加工品…例えば干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(4)その他の食料品…例えばだしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂や、スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(炊き込みご飯の素、カニ玉の素等が挙げられる。
【0038】
N−アセチルラクトサミンは本来ウシ乳中に含まれている成分であるため、中でも乳製品に添加することが好ましい。本発明における乳製品とは厚生省の乳等省令に定められている乳製品に加えて、乳、及び乳または乳製品を主要原料とする食品も含み、例えば牛乳、加工乳、脱脂乳、クリーム、バター、チーズ、濃縮ホエー、アイスクリーム類、濃縮乳類、れん乳類、粉乳類、調製粉乳、発酵乳、乳飲料、乳酸菌飲料が挙げられるが、乳飲料もしくは調製粉乳が特に好ましい。本発明における乳飲料とは乳固形分3%以上の種類別乳飲料に加え、加工乳、発酵乳、乳酸菌飲料等、飲用の乳製品を含むものとして、手軽に摂取が可能な前記形態の乳製品に本発明の美肌促進剤を配合することにより継続摂取が容易となる。
【0039】
本発明の美肌促進剤を上記飲食品に添加する場合、その添加量は、添加する飲食品によっても異なるが、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミン換算で固形分中0.0001〜50質量%、より好ましくは0.001〜10質量%であり、1食分当たりN‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを好ましくは0.1〜15g、より好ましくは0.3〜5g含有するようにする。
【0040】
更に、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンは低分子化合物であり、経皮吸収性が高く、また、紫外線による分解や変性がない事から、化粧品に配合することもできる。本発明の美肌促進剤を化粧品に配合して使用する場合は、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、パック剤等、様々な形態で使用することが可能であり、必須成分の他、必要に応じて、通常の化粧品に用いられる水溶性成分、粉末、界面活性剤、油剤、保湿剤、アルコール類、pH調整剤、防腐剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、香料等を適宜配合することができる。
【0041】
本発明の美肌促進剤を上記化粧品に配合する場合、その添加量は、添加する化粧品によっても異なるが、N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミン換算で固形分中0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。
【実施例】
【0042】
以下、試験例及び実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(試験例1)
<N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの皮膚への影響試験(動物実験)>
ヘアレスラットを用いて、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの経口投与による皮膚のヒアルロン酸の含量に対する影響を調べた。N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミン(焼津水産化学工業株式会社製)を基礎飼料(固形飼料MF、オリエンタル酵母工業株式会社製)に混合し、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの実質投与量が0、20、200mg/kg体重/日となるように自由摂取させた。9週齡から13週齡まで4週間連続投与し、皮膚層のヒアルロン酸含量を表皮と真皮に分けて測定した。なお、ヒアルロン酸の測定は、ヒアルロン酸測定用キット(中外診断薬)に準じて行った。その結果を表1、表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
表1、2から分かるように、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの投与量に比例して、表皮及び真皮のヒアルロン酸含量がともに増加する傾向が認められ、N‐アセチルラクトサミンに特に高い効果が認められた。
【0046】
(試験例2)
<N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの皮膚への影響試験(人)>
年齢25〜45歳までの成人女子ボランティア30名を3群に分け、試験群としてN‐アセチルラクトサミン(試験区1)、ラクトサミン(試験区2)をそれぞれ後述する実施例1で調製した錠剤、対照群には、プラセボとしてN‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンを乳糖に置き換えた以外は実施例1と同様に調製した錠剤を、1回5錠1日2回(1日当たりN‐アセチルラクトサミン及びラクトサミン摂取量1.2g)、水と共に服用させた。試験期間は60日間とし、試験終了後、肌の状態などについてアンケート調査を行った。なお、期間中の食生活、化粧等については特に制限を設けなかった。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
表3から分かるように、試験区1、2はプラセボ区に比べ、試験開始前と比べて肌に潤い感や張りを感じるようになったなど、全体的として肌の状態が良くなったと感じた人が多く、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの美肌効果が認められ、特に、N‐アセチルラクトサミンに高い効果が認められた。
【0049】
(試験例3)
<N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンのメラニン生成抑制試験(細胞実験)>
N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンについて、以下の方法でメラニン生成抑制活性の検討を行った。
【0050】
B16メラノーマ細胞を24時間培養し、試験群としてN‐アセチルラクトサミン(試験区1)、ラクトサミン(試験区2)を終濃度0.33%(v/v)になるように添加した培養液に交換し、対照区においては、精製水を添加した培養液に交換した。37℃、5%炭酸ガスの条件で72時間培養した後、各区の細胞数をカウントした。次いで、細胞を1N−NaOH溶液で加熱溶解して420nmにおける吸光度を測定した。求めた細胞数と420nmの吸光度から、メラニン生成細胞1個当たりのメラニン生成量を求め、下記数式1により、試験区におけるメラニン生成抑制率(%)を求めた。
【0051】
<数式1>
メラニン生成抑制率(%)={1−(試料メラニン生成量/ブランクメラニン生成量)}×100
【0052】
その結果、試験区におけるメラニン生成量は、対照区に比べて試験区1では21%、試験区2では12%、それぞれ抑制されており、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンがメラニン生成抑制活性を有し、特にN‐アセチルラクトサミンに高い活性を有することが示唆された。
【0053】
(実施例1)
下記表4、5に示した配合により各原料を混合し、流動造粒機で造粒後、打錠機により300mg/錠の三角形錠剤(N‐アセチルラクトサミン又はラクトサミン含量120mg/錠)を試作したところ、いずれも打錠性は良好であった。
【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
(実施例2)
1カプセル(300mg/カプセル)当たり配合量が下記表6、7のようになるように各原料を混練し、ゼラチンを被包剤としてソフトカプセル充填機によりの三角形ソフトカプセルを試作したところ、いずれも充填性は良好であった。
【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
(実施例3)
下記表8、9に示した配合により各原料を混合し、流動層型造粒機により0.5%グアーガム溶液を結着剤として造粒を行い、N‐アセチルラクトサミン又はラクトサミンを含有する顆粒9.7kgをそれぞれ得た。N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンは、いずれも吸湿がなく、粉の分散性も良く、均一な顆粒が調製できた。
【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

【0062】
(実施例4)
下記表10、11に示した配合により各原料をすべて水に溶解し、液状(ペースト状)の組成物を試作した。
【0063】
【表10】

【0064】
【表11】

【0065】
本品は、いずれも冷蔵保管において長期間保存しても安定であった。
(実施例5)
<キャンディー>
下記表12、13に示した配合により、常法にしたがってキャンディーを試作した。これらのキャンディーは、N‐アセチルラクトサミン又はラクトサミンの添加による褐変なども見られず、通常の工程で作ることができた。
【0066】
【表12】

【0067】
【表13】

【0068】
(実施例6)
<グミ>
下記表14、15に示した配合により、常法にしたがってグミを試作した。
【0069】
【表14】

【0070】
【表15】

【0071】
(実施例7)
<クッキー>
下記表16、17に示した配合により、常法にしたがってクッキーを試作した。これらのクッキーは、N‐アセチルラクトサミン及びラクトサミンの添加による褐変なども見られず、通常の工程で作ることができた。
【0072】
【表16】

【0073】
【表17】

【0074】
(実施例8)
<ゼリー>
下記表18、19に示した配合により、常法にしたがってゼリーを試作した。
【0075】
【表18】

【0076】
【表19】

【0077】
(実施例9)
<粉末スープ>
下記表20、21に示した配合により、常法にしたがって粉末スープを試作した。これらの粉末スープは、お湯に簡単に溶解し、風味も良かった。
【0078】
【表20】

【0079】
【表21】

【0080】
(実施例10)
<清涼飲料水>
下記表22、23に示した配合により、常法にしたがって清涼飲料水を試作した。
【0081】
【表22】

【0082】
【表23】

【0083】
(実施例11)
<化粧水>
下記表24、25に示した配合により各原料を調合して、常法に従って化粧水を調整した。この化粧水を肌につけることにより、肌のしっとり感が得られた。
【0084】
【表24】

【0085】
【表25】

【0086】
(実施例12)
<クリーム>
下記表26、27に示した配合により各原料を調合して、常法に従ってクリームを調整した。このクリームを肌につけることにより、肌にしっとり感と弾力性が得られた。
【0087】
【表26】

【0088】
【表27】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを有効成分とする美肌促進剤。
【請求項2】
更に、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビタミンB群、トレハロース、セラミド、コラーゲン、コラーゲンペプチドから選ばれた少なくとも一種を有効成分として含有する請求項1記載の美肌促進剤。
【請求項3】
形態が、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒又は液体である請求項1ないし2記載の美肌促進剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の美肌促進剤を含有する美容健康食品。
【請求項5】
N‐アセチルラクトサミン及び/又はラクトサミンを含有することを特徴とする化粧品。
【請求項6】
更に、N‐アセチルグルコサミン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ビタミンC、ビタミンB群、トレハロース、セラミド、コラーゲン、コラーゲンペプチドから選ばれた少なくとも一種を含有する請求項5記載の化粧品。

【公開番号】特開2007−197371(P2007−197371A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18244(P2006−18244)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【Fターム(参考)】