説明

育毛剤

【目的】テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤、外毛根鞘細胞の増殖促進剤および育毛剤を提供する。
【構成】本発明は、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母の抽出物を含有することを特徴とするテストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤、外毛根鞘細胞の増殖促進剤および育毛剤である。
本発明で用いられる杜仲は、トチュウ科トチュウ属の落葉高木で、学名はEucommia ulmoides OLIV.である。モウズイカは、ゴマノハグサ科モウズイカ属に含まれる植物であり、ビロードモウズイカ Verbascum thapsus L.などが挙げられる。霊芝胞子は、サルノコシカケ科マンネンタケ属のキノコの胞子であり、流通する赤霊芝や黒霊芝の胞子を利用できる。黒酵母は学名がAureobasidium pullulansであり、有償で分譲されている菌株を入手し、培養によって増殖させた菌体やその培養液を利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なテストステロン−5α−レダクターゼ(以下5α−レダクターゼと略す)阻害剤、外毛根鞘細胞の増殖促進剤および育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、男性型脱毛症の成因としては、(1)ホルモンのアンバランス説、(2)遺伝説、(3)血液循環不全説、(4)栄養説などが提唱されているが、毛の発生には男性ホルモンのテストステロンが重要な役割を演じていることは古くから示唆されている。すなわち、睾丸で生合成されたテストステロンは、頭部において毛包、皮脂腺などに存在する5α−レダクターゼによりジヒドロテストステロンに転換される。このジヒドロテストステロンは、アデニルサイクラーゼの活性を著しく低下させて細胞内サイクリックAMPレベルの低下をもたらせ、その結果、毛および毛の周辺のエネルギー産生の低下とタンパク合成の抑制を誘起することにより男性型脱毛症が進行するものと考えられている。
【0003】
また、ジヒドロテストステロンは、アクネの発生や増悪、前立腺の肥大にも関与するものと考えられている(非特許文献1)。一方、外毛根鞘細胞の増殖力の低下も男性型脱毛症の1つの原因であると考えられている。
5α−レダクターゼ阻害剤は、センブリやハマナスなどで報告されているが、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母においては知られていない(特許文献1、2)。外毛根鞘細胞の増殖促進剤についても、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母においては報告されていない。
【非特許文献1】J.Steroid Biochemistry,11,609(1979)
【特許文献1】特開昭62−116520
【特許文献2】特開平5−17365
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの疾患に対する有効な薬剤、特にジヒドロテストステロン生成抑制あるいは外毛根鞘細胞の増殖促進に基づく十分に有効な薬剤は見出されておらず、その開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記実情に鑑み、本発明者らは、男性型脱毛症、アクネの発生や増悪そして前立腺肥大などの原因となるジヒドロテストステロンの生成過剰を抑制する5α−レダクターゼ阻害剤や外毛根鞘細胞の増殖促進剤を見出すべく誠意研究を行った結果、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母の抽出物がその目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母から選ばれる一種または二種以上の抽出物を有効成分とする5α−レダクターゼ阻害剤、外毛根鞘細胞の増殖促進剤および育毛剤に関するものである。
【0007】
本発明で用いられる杜仲は、トチュウ科トチュウ属の落葉高木で、学名はEucommia ulmoides OLIV.である。その樹皮や葉などが流通していることから、それらの市販品を利用することができる。モウズイカは、ゴマノハグサ科モウズイカ属に含まれる植物であり、ビロードモウズイカ Verbascum thapsus L.などが挙げられ、ハーブとして流通する花や地上部などを利用できる。霊芝胞子は、サルノコシカケ科マンネンタケ属のキノコの胞子であり、流通する赤霊芝や黒霊芝などの胞子を利用できる。黒酵母は学名がAureobasidium pullulansであり、酵母 Saccharomyces cerevisiaeとは異なるものである。有償で分譲されている菌株を入手し、通常の培養によって増殖させた菌体やその培養液を利用できる。
【0008】
本発明で使用する抽出物とは、例えば、市販されている植物の乾燥品を細断し抽出することができる。その調製方法は特に限定されず、例えば加熱抽出したものであってもよいし、常温抽出されたものであってもよい。黒酵母の菌体は、例えば、自己融解した後に常法により抽出することができる。
【0009】
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級1価アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなど)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィンなど)、エーテル類(エチルエーテル、プロピルエーテルなど)が挙げられる。好ましくは、水、低級1価アルコールおよび液状多価アルコールがよく、特に好ましくは、水、エタノール、1,3−ブチレングリコールおよびプロピレングリコールがよい。また二酸化炭素などを用いた超臨界抽出も用いることができる。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
これらの抽出物は、抽出した溶媒のまま用いてもよく、必要に応じて、濃縮、希釈、ろ過などの処理をして用いてもよい。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
【0011】
本発明の抽出物は、5α−レダクターゼ阻害作用や外毛根鞘細胞の増殖促進作用を有するので哺乳動物、特にヒトにおける5α−レダクターゼによるジヒドロテストステロンの産生過剰に起因するあるいは外毛根鞘細胞の機能低下に起因する疾患の治療や予防に有用である。そのような疾患としては、例えば、男性型脱毛症をはじめとする脱毛症、アクネおよび前立腺肥大症が挙げられる。
【0012】
本発明に関わる抽出物を上記の目的で用いるには、通常全身的または局所的に、経口または経皮で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間などにより異なるが、前立腺肥大症の治療や予防の場合は、通常成人1人当たり1回に1mg〜1g、好ましくは20mg〜200mgの範囲で1日1回から数回経口投与される。脱毛症およびアクネの治療や予防の場合は、通常成人1人当たり1回に10μg〜50mg、好ましくは100μg〜5mgの範囲で1日1回から数回経皮投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件で変動するので、上記投与範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0013】
本発明による経口投与のための固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが挙げられる。このような固形製剤については、前記有効成分としての抽出物以外に、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの不活性な希釈剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グルコン酸カルシウムのような崩壊剤を含有してもよい。錠剤または丸剤は、必要により、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタレートなどの胃溶剤あるいは腸溶性物質のフィルムで皮膜してもよい。
【0014】
経口投与のための液状製剤としては、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。このような液状製剤には、有効成分および不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤などを含有してもよい。経口投与のための他の製剤としてはスプレー剤などが挙げられる。
【0015】
本発明における経皮投与のための代表的な製剤としては、クリーム、乳液、ローション、ヘアトニック、スプレー、パック、溶液剤、軟膏、乳剤、懸濁剤のような塗布剤、直腸内投与のための坐剤、膣内投与のためのペッサリーなどが挙げられる。特に、脱毛症の治療・予防用の製剤としてはローション、ヘアトニック、スプレー、溶液剤が好ましい。これらの製剤には、有効成分以外に、水、エタノールのような低級アルコール、セタノールのような高級アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース類、動物性および植物性の油脂およびロウ、ワセリンのような炭化水素、シリコン、界面活性剤、酸化亜鉛などを配合することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母から選ばれる一種または二種以上の抽出物は優れた5α−レダクターゼ阻害作用、外毛根鞘細胞の増殖促進作用および育毛作用を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、本発明の処方例および実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量の部とは重量部を、%とは重量%を示す。
【実施例1】
【0018】
製造例−1
杜仲の葉の細断品100gに、精製水1kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して杜仲の熱水抽出物を10g得た。
【0019】
製造例−2
杜仲の葉の細断品100gに、精製水500gと1,3−ブチレングリコール500gを加え、室温で2週間抽出した。抽出後、ろ過し、杜仲の1,3−ブチレングリコール抽出物を950g得た。
【0020】
製造例−3
杜仲の葉の細断品100gに、エタノールを1kgを加え、室温で2週間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、ペースト状の抽出物を5g得た。
【0021】
製造例−4
ビロードモウズイカの地上部の細断品100gに、精製水1kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥してモウズイカ地上部の熱水抽出物を11g得た。
【0022】
製造例−5
ビロードモウズイカの地上部の細断品100gに、精製水500gと1,3−ブチレングリコール500gを加え、室温で2週間抽出した。抽出後、ろ過し、モウズイカ地上部の1,3−ブチレングリコール抽出物を950g得た。
【0023】
製造例−6
ビロードモウズイカの地上部の細断品100gに、エタノールを1kgを加え、室温で2週間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、ペースト状の抽出物を2g得た。
【0024】
製造例−7
ビロードモウズイカの花の細断品100gに、精製水1kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥してモウズイカ花熱水抽出物を9g得た。
【0025】
製造例−8
赤霊芝の胞子100gに、精製水1kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して赤霊芝胞子の熱水抽出物を11g得た。
【0026】
製造例−9
赤霊芝の胞子100gに、精製水500gと1,3−ブチレングリコール500gを加え、室温で2週間抽出した。抽出後、ろ過し、赤霊芝胞子の1,3−ブチレングリコール抽出物を950g得た。
【0027】
製造例−10
赤霊芝の胞子100gに、エタノールを1kgを加え、室温で2週間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、ペースト状の抽出物を2g得た。
【0028】
製造例−11
黒霊芝の胞子100gに、精製水1kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝胞子の熱水抽出物を11g得た。
【0029】
製造例−12
黒酵母をポテトデキストロース培地に接種し、30℃で3日間培養した。10000rpmでの遠心によって得られた菌体10gに精製水100gを加え、95〜100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して黒酵母の熱水抽出物を0.5g得た。また、遠心上清を培養液とした。
【0030】
製造例−13
黒酵母をポテトデキストロース培地に接種し、25℃で5日間培養した。10000rpmでの遠心によって得られた菌体10gを自己融解させ(50℃、3時間)、得られた自己融解液を凍結乾燥して黒酵母の自己融解物0.4gを得た。
【実施例2】
【0031】
処方例−1 ローション
処方 配合量
1.杜仲の熱水抽出物(製造例−1) 0.1部
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6および11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合しろ過して製品とする。
【0032】
比較例−1 従来のローション
処方例−1において杜仲の熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来のローションとした。
【0033】
処方例−2 クリーム
処方 配合量
1.杜仲の熱水抽出物(製造例−1) 0.05部
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0034】
処方例−3 乳液
処方 配合量
1.杜仲のエタノール抽出物(製造例−3) 0.5部
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0035】
処方例−4 ヘアトニック
処方 配合量
1.エタノール 60.0部
2.杜仲の1,3−ブチレングリコール抽出物(製造例−2) 2.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水にて全量を100とする
[製造方法]杜仲の1,3−ブチレングリコール抽出物をエタノールに溶解し、グリセリン、精製水を加え、十分攪拌混合し、製品とする。
【0036】
処方例−5 パック
処方 配合量
1.杜仲の熱水抽出物(製造例−1) 0.1部
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0037】
処方例−6 ローション
処方 配合量
1.モウズイカの熱水抽出物(製造例−4) 0.1部
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6および11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合しろ過して製品とする。
【0038】
処方例−7 クリーム
処方 配合量
1.モウズイカの熱水抽出物(製造例−7) 0.05部
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0039】
処方例−8 乳液
処方 配合量
1.モウズイカのエタノール抽出物(製造例−6) 0.5部
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0040】
処方例−9 ヘアトニック
処方 配合量
1.エタノール 60.0部
2.モウズイカの1,3−ブチレングリコール抽出物(製造例−5) 2.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水にて全量を100とする
[製造方法]モウズイカの1,3−ブチレングリコール抽出物をエタノールに溶解し、グリセリン、精製水を加え、十分攪拌混合し、製品とする。
【0041】
処方例−10 パック
処方 配合量
1.モウズイカの熱水抽出物(製造例−4) 0.1部
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0042】
処方例−11 ローション
処方 配合量
1.黒霊芝胞子の熱水抽出物(製造例−11) 0.1部
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6および11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合しろ過して製品とする。
【0043】
処方例−12 クリーム
処方 配合量
1.赤霊芝胞子の熱水抽出物(製造例−8) 0.05部
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0044】
処方例−13 乳液
処方 配合量
1.赤霊芝胞子のエタノール抽出物(製造例−10) 0.5部
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0045】
処方例−14 ヘアトニック
処方 配合量
1.エタノール 60.0部
2.赤霊芝胞子の1,3−ブチレングリコール抽出物(製造例−9) 2.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水にて全量を100とする
[製造方法]赤霊芝胞子の1,3−ブチレングリコール抽出物をエタノールに溶解し、グリセリン、精製水を加え、十分攪拌混合し、製品とする。
【0046】
処方例−15 パック
処方 配合量
1.赤霊芝胞子の熱水抽出物(製造例−8) 0.1部
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0047】
処方例−16 ローション
処方 配合量
1.黒酵母の熱水抽出物(製造例−12) 0.1部
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6および11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合しろ過して製品とする。
【0048】
処方例−17 クリーム
処方 配合量
1.黒酵母の培養液(製造例−12) 0.05部
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0049】
処方例−18 乳液
処方 配合量
1.黒酵母の自己融解物(製造例−13) 0.5部
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1および10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0050】
処方例−19 ヘアトニック
処方 配合量
1.エタノール 60.0部
2.黒酵母の培養液(製造例−12) 2.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水にて全量を100とする
[製造方法]黒酵母の培養液を精製水に溶解し、エタノール、グリセリンを加え、十分攪拌混合し、製品とする。
【0051】
処方例−20 パック
処方 配合量
1.黒酵母の熱水抽出物(製造例−12) 0.1部
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【実施例3】
【0052】
実験例−1 5α−レダクターゼに対する阻害作用
SD系雄ラット(生後7週)の肝臓から抽出した5α−レダクターゼを用い、下記の反応系における条件で測定した。
【0053】
(反応条件)テストステロン(0.6μM)をプロピレングリコール10滴で溶解した後、トリス−塩酸緩衝液(pH7.2)5mLを加え、次いで、NADPHを5mg、5α−レダクターゼ溶液2mLを順に加え、37℃にて30分間反応する。反応後、塩化メチレンを加えて反応を停止した後、全量50mLの塩化メチレンで抽出する。次いで、塩化メチレン層を減圧下で留去し、ガスクロマトグラフィーにて反応量を測定する。(ガスクロマトグラフィーの条件:カラム OV−17(3mmφ、2m);カラム温度 250℃;検出器;FID)
なお、本発明に関わる抽出物の反応系への添加は、テストステロンの滴下の次に行う。比較例として、製造例−8と同様にして調製した霊芝子実体の熱水抽出物と製造例−12と同様にして調製した酵母の熱水抽出物を用いた。
【0054】
阻害率:抽出物を添加しない場合の反応率(対照)を100%(阻害率0%)と見なし、抽出物を加えた際の反応率の減少を算出して阻害率を求める。算式は次の通りである。なお、ジヒドロテストステロンは、更に代謝されてアンドロスタンジオールを生成するため、5α−レダクターゼ代謝物のピーク面積(量)にはアンドロスタンジオールも含めて計算した。

阻害率(%)=(b/a−b’/a’)/(b/a)×100

a:対照(テストステロンのピーク面積)
b:対照(ジヒドロテストステロンおよびアンドロスタンジオールのピーク面積)
a’:テストステロンのピーク面積(抽出物添加)
b’:ジヒドロテストステロンおよびアンドロスタンジオールのピーク面積
(抽出物添加)
【0055】
これらの結果をまとめて表1に示した。その結果、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母には優れた5α−レダクターゼに対する阻害作用が認められた。
【0056】
【表1】

【0057】
実験例−2
外毛根鞘細胞の細胞増殖促進試験
外毛根鞘細胞の細胞増殖促進効果を下記の条件にて測定した。
【0058】
外毛根鞘細胞を96穴培養皿に3,000個/穴播種し、試料を最終濃度で1〜20μg/mlとなるように添加したウシ脳下垂体抽出液を含まないHumedia−KG2培地で37℃、5%CO条件下、5日間培養した。その後、試料を含む培地を取り除き、Humedia−KG2培地で0.5mg/mLに調整したMTT溶液を添加して37℃、5%CO条件下、2時間培養した。MTT溶液を取り除いた後、DMSOを加えて細胞を溶解させ、取り込まれたMTTの量を590nmの吸光度で測定した。コントロールの吸光度に対する試料添加時の吸光度の比から外毛根鞘細胞の細胞増殖促進率を求めた。比較例として、製造例−8と同様にして調製した霊芝子実体の熱水抽出物と製造例−12と同様にして調製した酵母の熱水抽出物を用いた。
【0059】
これらの試験結果を表2に示した。その結果、杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母には優れた外毛根鞘細胞の増殖促進効果が認められた。
【0060】
【表2】

【0061】
実験例−3 発毛効果
服部らの方法[J. Dermatology,10,45−54(1983)]により、生後45日のC3Hマウス背部毛をバリカンで刈り取り、この部分を2つに区切り、一方に実施例−1、6、11および16のローション1mLを、他方に本発明に関わる抽出物を含まない従来のローション(比較例−1)1mLを1日1回塗布した。各部位の全体に発毛が認められるまでに要した日数で比較した。その結果、本発明に関わる抽出物を含まないローション剤の発毛が認められるまでの期間と比較して、実施例−1、6、11および16のローションではその期間が短縮された(表3)。また、その他の実施例においても同様の効果が認められた。
【0062】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母から選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有する5α−レダクターゼ阻害剤および外毛根鞘細胞の増殖促進剤は、育毛剤に利用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母から選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とするテストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤。
【請求項2】
杜仲、モウズイカ、霊芝胞子および黒酵母から選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とする外毛根鞘細胞の増殖促進剤。
【請求項3】
請求項1のテストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤または請求項2の外毛根鞘細胞の増殖促進剤を含有することを特徴とする育毛剤。

【公開番号】特開2007−8885(P2007−8885A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193262(P2005−193262)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】