説明

膜パターン形成方法及び配線基板

【課題】濡れ性の異なる2つ以上の基材をまたがった微細パターンを容易に形成することができる膜パターン形成方法を提供する。
【解決手段】相対的に濡れ性の大きい第1領域12Aと、相対的に濡れ性の小さい第2領域12Bとにまたがる膜パターンの形成方法であって、膜パターンを形成する領域の周囲に撥液パターンを形成する工程と、撥液パターンが形成されていない領域に膜パターン形成材料を含む機能液を配置し膜パターンを形成する工程と、を含み、撥液パターンを形成する工程は、第1領域に液滴吐出法を用いて撥液パターン形成材料を含む第1液状体を配置する第1工程と、第2領域に液滴吐出法を用いて撥液パターン形成材料を含む第2液状体を配置する第2工程と、を含み、第2液状体の吐出量を第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜パターン形成方法及び配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出法(インクジェット方式)を用いて所望の材料を含む液状体を吐出し、所定位置に着弾させることによって一定の材料パターンを形成する技術が活発に開発されている。このパターン形成技術は、用いるインクジェットヘッドの解像度に応じて微少な液状体を所望の位置に塗布することが可能であり、そのため微細なパターンの形成ができるという特長を有する。例えば、回路基板の微細な配線パターンを形成するには、配線材料または配線材料の溶液を塗布することにより配線パターンを形成することができる。
【0003】
しかし、液滴吐出法を用いた場合には、インクジェットヘッドに目詰まり等の不具合が出ない程度に吐出する液滴の濃度や粘度を低く設定する必要があることから、配置した液滴が流動しやすい。この液滴の濡れ広がり方は、塗布する面の性質による影響を強く受ける。そのため、液滴吐出法による配線パターンの形成技術には、液滴を塗布する面の濡れ性により塗布した液滴の濡れ広がり方が異なるという課題がある。ここでの「濡れ性」とは、塗布した液滴の濡れ広がり方を示す指標のことであり、塗布する面の表面の凹凸状態や、面と液滴との接触角等により影響を受ける。具体的には、同量の液滴が一定である場合を考えると、塗布する液滴に対して濡れ性が高い面に液滴を塗布した場合には、液滴が良く濡れ広がり、塗布した液滴は薄く広く塗布される。また、塗布する液滴に対して濡れ性が低い面に液滴を塗布した場合には、液滴があまり濡れ広がらず、塗布した液滴は厚く狭く塗布される。
【0004】
例えば、濡れ性の異なる2つの面にまたがって一定の液滴吐出量で線塗布を行い直線の配線パターンを描くと、濡れ性の高い面では液滴は良く濡れ広がり、濡れ性の低い面ではあまり濡れ広がらないという2つの状態が混在する線を描く。そのため、塗布した液滴の線幅が一定しない。このように線幅が異なると、例えば微細なピッチで複数の配線パターンを形成する場合に、隣接する配線と当接してしまうという不具合が発生するおそれがある。また、濡れ性の異なる2つの面が交互に連続するような面に対し、2種類の面の配列方向に液滴吐出量で線塗布を行い直線の配線パターンを描くと、濡れ広がり方の違いのため塗布した液滴の描く線の輪郭が波打ち、一定の線幅で描くことが出来ない。
【0005】
このような課題に対して特許文献1では、塗布面を均一に撥液性に改質した後に、パターンの形成箇所のみにレーザを照射して微細に撥液部を除去し、塗布液滴をレーザで描いたパターン通りに配置する方法が提案されている。この方法によれば、レーザで撥液部を除去した領域の形状にしたがって配線パターンを形成することができるため、配線パターン形成材料の濡れ広がり方の違いを考慮する必要がなく、所望の配線パターンを形成することができる。
【特許文献1】特開2004−200244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記方法では、撥液材料を塗布した後にレーザで除去するという方法を用いるため、省材料という観点からは望ましくない。また、撥液材料に対して所望の形状のレーザ光源を照射できるよう制御する必要があるため装置構成が複雑になり、簡単な装置構成で微細な配線パターンが形成可能であるという液滴吐出法のメリットを損なうことになる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、濡れ性の異なる2つ以上の基材をまたがった微細パターンを容易に形成することができる膜パターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の膜パターンの形成方法は、相対的に濡れ性の大きい第1領域と、相対的に濡れ性の小さい第2領域とにまたがる膜パターンの形成方法であって、前記膜パターンを形成する領域の周囲に撥液パターンを形成する工程と、前記撥液パターンが形成されていない領域に膜パターン形成材料を含む機能液を配置し膜パターンを形成する工程と、を含み、前記撥液パターンを形成する工程は、前記第1領域に液滴吐出法を用いて撥液パターン形成材料を含む第1液状体を配置する第1工程と、前記第2領域に液滴吐出法を用いて前記撥液パターン形成材料を含む第2液状体を配置する第2工程と、を含み、前記第2液状体の吐出量を前記第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることを特徴とする。
【0009】
この方法によれば、まず濡れ性の異なる2つの領域に対して液滴吐出法で撥液材料を所定の位置に配置し、膜パターン形成材料を含む機能液に対して撥液性(濡れ性が小さい性質)を示す撥液パターンを形成する。
ここで撥液材料を配置する領域は、相対的に濡れ性が大きい第1領域と、相対的に濡れ性が小さい第2領域とで構成されている。そのため、一定の液滴吐出量で撥液材料を含む液状体の塗布を行うと、第1領域では配置する撥液材料が濡れ広がる一方で、第2領域では撥液材料が濡れ広がりにくい。本発明では、液状体が濡れ広がりやすい第1領域に塗布する液状体(第1液状体)と、液状体が濡れ広がりにくい第2領域に塗布する液状体(第2液状体)との吐出量に差を設けて液状体を塗布することとしている。すなわち、第2液状体の吐出量よりも第1液状体の吐出量を相対的に多くすることとしているため、吐出した面で濡れ広がった後の面積を揃え精密な撥液パターン描画が可能となる。
【0010】
次いで、目的に応じた濃度の機能液と塗布方法を用い撥液パターンに囲まれた領域(親液部)に機能液を配置し、目的とするパターンを形成することとしている。ここで、撥液パターンは目的とする膜パターン形状の逆パターンとなっており、親液部が形成するパターンは目的とする膜パターン形状となっている。機能液を塗布すると、親液部からはみ出た機能液は撥液パターンではじかれ、親液部に配置される。また、配置される親液部は機能液に対して親液性であるため、機能液が凝集した液溜まりを形成することなく親液部にぬれ広がる。たとえ機能液を塗布する親液部が2つ以上の異なる濡れ性を備えているとしても、機能液は撥液性の大きい(濡れ性が小さい)撥液パターンに沿って配置されるため、親液部に良好にぬれ広がり配置されることになる。したがって、濡れ性の異なる2つの領域を備えた親液部パターンに対しても容易且つ確実に機能液を配置することが可能であり、機能液が含む材料で形成されたパターンを高精度に形成することができる。また、このような方法を取ることにより、例えばレーザ光を用いてパターン成形する方法と比べて簡単な装置構成でパターン形成が可能となる。
【0011】
本発明においては、前記撥液パターンを形成する工程は、前記第1領域と前記第2領域との境界に液滴吐出法を用いて前記撥液パターン形成材料を含む第3液状体を配置する第3工程を含み、前記第3液状体の吐出量は、前記第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることが望ましい。
液状体を濡れ性の異なる2つの領域の境界に塗布する状況においては、次に挙げる2つの状態が考えられる。ひとつは濡れ性の大きい第1領域に塗布する第1液状体が境界を越えて濡れ性の小さい第2領域に濡れ広がる状態であり、もうひとつは第2領域に塗布する第2液状体が境界を越えて第1領域に濡れ広がる状態である。ここで第2液状体が第2領域から第1領域に濡れ広がる場合、第1領域は第2領域よりも濡れ広がりやすいため、第1領域では第2領域での濡れ広がり方の設定以上に濡れ広がり、意図しない領域にまで液状体が塗布されるおそれがある。本方法によれば、第1領域と第2領域との境界に配置するための第3液状体を設定し、この第3液状体の吐出量は、濡れ広がりにくい第2領域にも配置することを考慮して第1領域に塗布する第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることとしている。このようにすることで、塗布した液状体が2つの領域の境界を越えて設定と異なる濡れ広がり方をしてしまう不具合を防ぐことができるため、良好な膜パターン形成が可能となる。
【0012】
本発明においては、前記撥液パターン形成材料は、シラン化合物又はフルオロアルキル基を含む化合物の少なくとも一方を含み、前記撥液パターン形成材料を配置した面で自己組織化膜を形成することが望ましい。
この方法によれば撥液材料を塗布すると自己組織化により即座に塗布面で単分子膜を形成し、良好な撥液性を発現することができる。そのため、容易に撥液部を形成することができ、パターン形成が容易になる。
【0013】
本発明においては、前記第3液状体の吐出量は、前記第2液状体の吐出量よりも相対的に多くすることが望ましい。
第3液状体を配置する面は、第1液状体及び第2液状体が含む撥液パターン形成材料が形成する撥液パターンにより、第2領域以上の強い撥液性(非常に低い濡れ性)を示す。この撥液性を考慮し、第3液状体の吐出量を濡れ性の低い第2領域に塗布する第2液状体の吐出量よりも更に多く設定することで、塗布する第3液状体が凝集し液溜まりを形成することを防ぎ、撥液パターンを良好に形成することができる。そのため、良好に形成される撥液パターンを用いて、高精度に膜パターンを形成することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記撥液パターン形成材料は、前記撥液パターンを構成する高分子の前駆体であり、前記第3工程は、第3液状体を配置した後に前記撥液パターン形成材料を過熱して重合させる工程を含むことが望ましい。
この方法によれば、前駆体を加熱して重合させることにより確実に撥液性を発現させ、良好なパターンを形成することができる。
【0015】
本発明においては、前記第3液状体の吐出量は、前記第2液状体の吐出量よりも相対的に少なくすることが望ましい。
第1及び第2領域に配置される撥液パターン形成材料は高分子の前駆体であり、加熱して重合させることにより初めて撥液性を発現させることができるため、第3液状体を配置する工程においてはまだ撥液性を示していない。したがって、第3液状体を配置する工程は、塗布する材料と同じ材料で形成された面に重ね塗りを行うことに等しく、容易に第1液状体及び第2液状体を塗布した領域に配置することができる。第3液状体の吐出量は、第2液状体の吐出量よりも少なく設定することで、第2液状体が配置された領域以上に濡れ広がることを防ぐことができる。そのため、精度のよい撥液パターン形成材料の配置が可能であり、配置後に撥液パターン形成材料を過熱して重合させることで、精度良く撥液パターンを形成することができる。そのため、精度良く形成される撥液パターンを用いて、高精度に膜パターンを形成することが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記膜パターン形成材料は、導電性材料を含むことが望ましい。
この方法によれば、2つ以上の異なる基材にまたがり形成される配線パターンを精度良く形成することができる。
【0017】
また、本発明の配線基板は、基材と、前記基材に一定の配列パターンで配置された複数の配線と、前記複数の配線の一部及び隣接する前記配線の間の前記基材表面を含む領域を覆うように形成されたソルダーレジストと、を備える配線基板であって、前記ソルダーレジストの形成された領域の周囲には、撥液材料で形成された撥液部が形成され、前記撥液部及び前記ソルダーレジストは、前述の膜パターン形成方法で形成されることを特徴とする。
この構成の配線基板には、設計通りの外形形状を備えたソルダーレジストが、所定の位置からはみ出さず位置精度高く設けられている。そのため、金属メッキやハンダ付け等の加工を施す必要のある配線パターンの一部が、はみ出したソルダーレジストで不要に覆われることが無い。したがって、このような配線基板を用いた製品の不良を防ぎ、歩留まりを高め、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜図19を参照しながら、本発明に係る膜パターン形成方法の一例について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0019】
(液滴吐出装置)
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係るパターン形成方法に用いる液滴吐出装置について説明する。図1は、液滴吐出装置の概略的な構成図である。本装置の説明においては、XYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、水平面の鉛直方向をZ軸方向とする。本実施形態の場合、後述する液滴吐出ヘッドの非走査方向をX軸方向、液滴吐出ヘッドの走査方向をY軸方向としている。
【0020】
液滴吐出装置300は、液滴吐出ヘッド301から基板12に対して液滴Lを吐出するものであって、液滴吐出ヘッド301と、X方向駆動軸304と、Y方向ガイド軸305と、制御装置306と、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。
【0021】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、液滴吐出ヘッド301の形状の長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板12に対し液状体の液滴Lが吐出される。本実施形態では、液状体は配線パターンの形成材料を含む機能液(機能液)であり、撥液材料を含む液状体(第1液状体、第2液状体、第3液状体)である。
【0022】
X方向駆動軸304は、基台309に対して動かないように固定されており、X方向駆動モータ302が接続されている。X方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置306からX方向の駆動信号が供給されると、X方向駆動軸304を回転させる。X方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
【0023】
Y方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されており、Y方向駆動モータ303を介してステージ307が接続されている。Y方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置306からY方向の駆動信号が供給されると、Y方向ガイド軸305に沿ってステージ307をY方向に移動させる。
【0024】
制御装置306は、液滴吐出ヘッド301に液滴Lの吐出制御用の電圧を供給する。また、X方向駆動モータ302には液滴吐出ヘッド301のX方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y方向駆動モータ303にはステージ307のY方向の移動を制御する駆動パルス信号を、それぞれ供給する。また、後述のヒータ315の電源投入及び遮断も制御する。
【0025】
ステージ307は、この液滴吐出装置300により液状体を配置するために後述する基板12を支持するものであって、基板12を基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。また、ステージ307は基板12を固定する面とは反対の面に先述のY方向駆動モータ303を備えている。
【0026】
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY方向の駆動モータが備えられている。このY方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置306により制御される。
【0027】
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板12を熱処理する手段であり、基板12上に塗布された液滴Lに含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。
【0028】
液滴吐出装置300は、液滴吐出ヘッド301と基板12を支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板12に対して液滴Lを吐出する。本実施形態では、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるX方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1では、液滴吐出ヘッド301は、基板12の進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板12の進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板12とノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0029】
図2は、液滴吐出ヘッド301の断面図である。
液滴吐出ヘッド301には、液状体を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液状体を収容する材料タンクを含む液状体供給系323を介して液状体が供給される。
【0030】
ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させることにより、液体室321が変形して内圧が高まり、ノズル325から液状体の液滴Lが吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御し、液状体の吐出量を制御する。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御する。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0031】
なお、液滴吐出法の吐出技術としては、上記の電気機械変換式の他に、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に例えば30kg/cm程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。
【0032】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0033】
(撥液材料)
上記のような液滴吐出装置300を用いて描く撥液パターンは撥液材料で形成されている。本実施形態では撥液材料として、シラン化合物、フルオロアルキル基を有する化合物、フッ素樹脂(フッ素を含む樹脂)、及びこれらの混合物を用いることができる。シラン化合物としては、一般式(1)
SiX…(1)
(式中、R は有機基を表し、X は−OR ,−Clを表し、X及びXは−OR ,−R,−Clを表し、R は炭素数1から4のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。X,X,Xは同一でも異なっても良い)
で表される1種又は2種以上のシラン化合物を用いることができる。
【0034】
一般式(1)で表されるシラン化合物は、シラン原子に有機基が置換し、残りの結合手にアルコキシ基またはアルキル基または塩素基が置換したものである。有機基Rの例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。
【0035】
−ORで示されるアルコキシ基及び塩素基は、Si−O−Si結合を形成するための官能基であり、水で加水分解されてアルコールや酸として脱離する。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基の炭素数は、脱離するアルコールの分子量が比較的小さく除去が容易であり、形成される膜の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1から4の範囲であることが好ましい。
【0036】
一般式(I)で表されるシラン化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、等が挙げられる。
【0037】
他にも、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン、p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル―O―メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、等が挙げられる。
【0038】
撥液材料としてシラン化合物を用いることにより、配置した箇所にシラン化合物の自己組織化膜が形成されるので、膜の表面に優れた撥液性を付与することができる。
【0039】
シラン化合物の中でも、Siと直接結合するアルキル基にフッ素を含有する含フッ素アルキルシラン化合物は、C2n+1で表されるパ−フルオロアルキル構造を有するものが好適に用いられる。これには、下記の一般式(2)
2n+1(CHSiX …(2)
(式(2)中、nは1から18の整数を、mは2から6までの整数をそれぞれ表している。X は−OR ,−Clを表し、X及びXは−OR ,−R,−Clを表し、R は炭素数1から4のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表す。X,X,Xは同一でも異なっても良い)
で表される化合物を例示することができる。
【0040】
−ORで示されるアルコキシ基及び塩素基は、Si−O−Si結合を形成するための官能基であり、水で加水分解されてアルコールや酸として脱離する。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基の炭素数は、脱離するアルコールの分子量が比較的小さく除去が容易であり、形成される膜の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1から4の範囲であることが好ましい。
【0041】
上記のような含フッ素アルキルシラン化合物を用いることにより、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向して自己組織化膜が形成されるので、膜の表面に優れた撥液性を付与することができる。
【0042】
より具体的には、CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF11−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OC、CF(CF−CHCH−Si(C)(OC等が挙げられる。
【0043】
また、撥液材料としてフッ素樹脂を用いる場合には、所定量のフッ素樹脂を所定溶媒に溶解させたものが用いられる。具体的には、住友スリーエム株式会社製「EGC1720」(HFE(ハイドロフルオロエーテル)溶媒にフッ素樹脂を0.1wt%溶解させたもの)を用いることができる。この場合、HFEにアルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系、エステル系の溶剤を適宜混合することにより、液滴吐出ヘッド301から安定して吐出可能に調整可能である。この他に、フッ素樹脂としては、旭硝子株式会社製「ルミフロン」(各種溶媒に溶解可能)、ダイキン工業株式会社製「オプツール」(溶媒;PFC、HFE等)、大日本インキ化学工業株式会社製「ディックガード」(溶媒;トルエン、水・エチレングリコール)等を用いることができる。更に、フッ素を含む樹脂としては、側鎖にF基、−CF、−(CF)nCFが含まれるものや、主鎖に−CF−、−CFCF、−CFCFCl−が含まれるものを用いることが可能である。また、撥液性の発現のために加熱・重合の必要があるものについては、必要に応じて例えば150℃から200℃の加熱を行って塗布したフッ素を含む樹脂を重合させ、撥液性を発現させることができる。
本実施形態では撥液材料としてオクタデシルトリメトキシシラン(ODS)を用いる。
【0044】
続いて、濡れ性の異なる2つの領域を備えた面に対して液滴吐出法により液状体を塗布する操作について図3から図10を用いて順を追って説明する。まず、図3には液滴吐出法により塗布する液状体の濡れ広がり方の概略図を示す。図3(a)(b)が、濡れ性の大きい面(第1領域12A)に塗布する場合を示し、図3(c)(d)が、濡れ性の小さい面(第2領域12B)に塗布する場合を示す。図3(a)(c)は断面図、(b)(d)は平面図である。
【0045】
液滴吐出ヘッド301から連続的に吐出された第1液状体L1及び第2液状体L2は、基板12の表面に着弾する。図3(a)に示すように、液滴Lが濡れ性の大きい第1領域12Aに着弾する場合、第1液状体L1は大きく濡れ広がり、広い領域に薄く配置される。図3(b)に示すように、着弾した第1液状体L1は、着弾時に覆う領域14aから略円形状に周囲に濡れ広がり領域14Aを覆う。それに対して、図3(c)に示すように、第2液状体L2が濡れ性の小さい第2領域12Bに着弾する場合、第2液状体L2はあまり濡れ広がらず、狭い領域に厚く配置される。図3(d)に示すように、第2液状体L2も、着弾時に覆う領域14bから略円形状に周囲に濡れ広がり領域14Bを覆う。ここで第1液状体L1とL2の量が同じであれば、領域14Aの面積は領域14Bの面積よりも大きくなる。このため、領域14Aと領域14Bの面積を等しくするためには、第1液状体L1の量を少なくするか第2液状体L2の量を多くし、相対的に第2液状体L2の量を第1液状体L1の量よりも多くする必要がある。
【0046】
次いで図4には、第1領域12Aと第2領域12Bが接する境界16を越えた液滴の濡れ広がり方の概略図を示す。図4(a)は第1領域12Aに配置された第1液状体L1が、境界16を越え第2領域12Bに濡れ広がる様子を示し、図4(b)は第2領域12Bに配置された第2液状体L2が、境界16を越え第1領域12Aに濡れ広がる様子を示す。
【0047】
図4(a)に示すように、第1領域12Aに配置された第1液状体L1が境界16を越えると、第1領域12Aよりも濡れ性の小さい第2領域12Bが配置されているため、第1液状体L1は境界16を越えてはあまり濡れ広がらない。そのため、塗布される第1液状体L1は、第1液状体L1が境界16を越えずに第1領域12Aにのみ配置される場合の設定領域(図中の破線で示す領域)と比較すると狭い面積の領域を覆う。
【0048】
一方で、図4(b)に示すように、第2領域12Bに配置された第2液状体L2が境界16を越えると、第2領域12Bよりも濡れ性の大きい第1領域12Aに第2液状体L2は濡れ広がる。そのため、塗布される第2液状体L2は、第2液状体L2が境界16を越えずに第2領域12Bにのみ配置される場合の設定領域(図中の破線で示す領域)と比較して広い面積の領域に濡れ広がることになる。
【0049】
このように所定の領域をはみ出し濡れ広がった液滴を除去することは非常に困難であるため、境界16付近に液滴を配置する場合には、まず第1領域12Aに第1液状体L1を塗布し、次いで第2領域12Bに第2液状体L2を塗布する。この順で塗布することで、第1領域12Aの所定の領域以外へ液状体を配置してしまう不具合を防ぐことができる。
【0050】
以上を踏まえ、図5から図10を用いて配線パターン形成方法を説明する。図5は第1領域12Aと第2領域12Bの2つの領域にまたがる配線パターン20L(膜パターン)の概略図である。ここでは図5に示す配線パターン20Lを形成する方法について説明する。
【0051】
配線パターン20Lは、第1領域12Aと第2領域12Bの2つの領域にまたがり形成された複数の配線20から構成されている。配線20は、隣接する配線20と間隔W1をあけて平行に配置されており、幅W2の帯状に形成されている。
【0052】
隣接する配線20の間には、複数の撥液部18からなる撥液パターン18Lが形成されている。撥液部18は幅W1の帯状であり、隣接する撥液部18同士は間隔W2をあけて平行に配置されている。つまり、撥液パターン18Lは目的とする配線パターン20Lの逆パターンになっている。
【0053】
続いて上記配線パターンの形成方法について図6から図9を用いて説明する。図6から図9は本実施形態の配線パターンの形成方法を表す工程図である。まず、図6に示すように、前述の撥液材料を含む第1液状体L1を液滴吐出ヘッド301から第1領域12Aに対して連続的に吐出する(第1工程)。第1領域12Aに着弾した第1液状体L1は、着弾時に吐出量に応じて領域14aを覆い、次いで直径W1の略円形状に濡れ広がり領域14Aを覆う。この際、隣り合う領域14A同士が重なり合うように塗布することで途切れずに撥液部18Aを形成することができる。隣接する撥液部18A同士の間隔はW2となるように調節する。また、領域14Aは境界16に当接しないように塗布することで、濡れ性の異なる第2領域へ第1液状体L1が濡れ広がらないようにする。本実施形態では、液状体が含む撥液材料に自己組織化膜を形成するODSを用いているので、撥液部18Aは良好な撥液性を発現する。
【0054】
次いで、図7に示すように、第2液状体L2を第2領域12Bに対して連続的に吐出する(第2工程)。第2領域12Bに着弾した第2液状体L2も、着弾時に吐出量に応じて領域14bを覆い、次いで直径W1の略円形状に濡れ広がり領域14Bを覆う。この第2液状体L2は、第1液状体L1よりも相対的に多い量であり、この吐出量の差を図では領域14aと領域14bの大きさの差で示している。この際、隣り合う領域14B同士が重なり合うように塗布することで途切れずに撥液部18Bを形成することができる。領域14Bは境界16に当接しないように塗布することで、濡れ性の異なる第1領域へ第2液状体L2が濡れ広がらないようにする。本実施形態では、液状体が含む撥液材料に自己組織化膜を形成するODSを用いているので、撥液部18Bは良好な撥液性を発現する。
【0055】
ここで、領域14Aと領域14Bとの面積を等しくするような第1液状体L1と第2液状体L2の量を決めておくと良い。具体的には、液状体の吐出量と、吐出量に対する濡れ広がる面積もしくは濡れ広がる円形状の直径を対応させた結果を、濡れ性の異なる領域ごとにテーブルとして保持しておく。第1領域12A及び第2領域12Bに液状体を塗布する際には、対応する結果をテーブルから呼び出し、所望の撥液部形状になるように吐出量を決定し液状体を吐出する。上記のテーブルに収められた結果は実測値でも良く、濡れ性の異なる各々の領域における塗布する液状体の接触角を基に計算した結果でも良い。
【0056】
次いで、図8に示すように、境界16をまたいで撥液部18Aと撥液部18Bに重なる領域に第3液状体L3を塗布する(第3工程)。撥液部18Aと撥液部18Bはすでに撥液材料が良好な撥液性を示しているため、第3液状体L3は第2液状体L2よりも多い量を塗布する。すると、第3液状体L3は吐出量に応じて領域14cを覆い、次いで直径W1の略円形状に濡れ広がり領域14Cを覆うため、撥液部18Aと撥液部18Bが当接し幅W1の撥液部18が形成される。ここで、第3液状体L3の吐出量は前述のテーブルにしたがって設定すると良い。このようにして、第1領域12A及び第2領域12Bに撥液部18が互いに間隔W2をあけて形成され、撥液パターン18Lが配置される。液状体の溶媒の蒸発を促進するために、例えばあらかじめ塗布する領域を加熱したり、レーザ光で液状体の着弾面を加熱したりすることとしてもよい。
【0057】
次いで、図9に示すように、撥液部18の間に配線パターン形成材料を含む液状体(機能液19)を塗布し配線20を備えた配線パターン20Lを形成する。配線パターン形成材料には、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニッケル及びITOうちのいずれか、及びこれらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体などを含む導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液である。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0058】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性の点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0059】
機能液19の塗布の方法は液滴吐出法、ディスペンサ方式、ディップ方式など様々な方法を好適に用いることが出来る。これらの塗布方法は、塗布する機能液19の濃度、粘度、表面張力などの違いにより最も有利な方法を選択することができ、使い分けることが可能である。本実施形態では液滴吐出法を用いる。
【0060】
この際、機能液19が撥液部18に重なって塗布されると、機能液19は撥液部18の備える撥液性によりはじかれ、撥液部18の間の領域に流動し再配置される。また、撥液部18の間の領域には濡れ性の異なる第1領域12Aと第2領域12Bが含まれるが、塗布された機能液19は撥液性の大きい撥液部18を越えては濡れ広がらないため、撥液部18の配置形状に沿って同様に濡れ広がる。結果、機能液19は、分断されたり液溜まりを生じさせたりすることなく撥液部18の間に濡れ拡がる。
【0061】
なお、上記の撥液部18は、厚さが数nm〜数十nmと微少量であるため、塗布された機能液19の位置を規定する隔壁としての機能を有しておらず、機能液19は上述した濡れ性の差に起因して撥液部18の間の領域に配置されることになる。
【0062】
機能液19が配置された後には、機能液の液滴に含まれる分散媒あるいはコーティング剤を除去するため熱処理及び/又は光処理を行い、配線20を形成する。詳しくは、第1領域12A及び第2領域12Bに配置された機能液の分散媒を除去し、導電性微粒子間を接触または融着させて配線20を形成する。導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も合わせて除去する。本実施形態では電気炉(不図示)による加熱により熱処理を行い、配線20を形成する。
【0063】
熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
【0064】
例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。本実施形態では250℃、60分で焼成する。
【0065】
熱処理及び/又は光処理は、例えばホットプレート、電気炉などの加熱手段を用いた一般的な加熱処理の他に、ランプアニールを用いて行ってもよい。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。上記熱処理及び/又は光処理により、微粒子間の電気的接触が確保され、配線20に変換される。
以上説明した一連の工程により、濡れ性の異なる第1領域12Aと第2領域12Bにまたがって配置される配線20による配線パターン20Lが完成する。
【0066】
以上のような構成の膜パターン形成方法によれば、まず、液状体が濡れ広がりやすい(濡れ性が大きい)第1領域12Aと液状体が濡れ広がりにくい(濡れ性が小さい)第2領域12Bとの2つの領域に対し、液滴吐出法で撥液材料を配置して、機能液19に対して撥液性(濡れ性が小さい性質)を示す撥液パターン18Lを形成する。本発明では、濡れ性の大きい第1領域に塗布する第1液状体L1と、濡れ性の小さい第2領域に塗布する第2液状体L2との吐出量に差を設けて塗布することとしている。すなわち、第1液状体L1の吐出量よりも第2液状体L2の吐出量を相対的に多くすることで、吐出した液状体の濡れ広がった後の面積を、濡れ性の異なる第1領域12Aと第2領域12Bとの間で揃えることができる。したがって、濡れ性の異なる領域間で液状体の濡れ広がり方を制御することができ、異なる濡れ性の面をまたぐ撥液パターン18Lであっても撥液パターン18Lの精密な撥液パターン18L描画が可能となる。
【0067】
次いで、目的に応じた濃度の機能液19と塗布方法を用い撥液パターン18Lに囲まれた領域に機能液19を配置し、目的とするパターンを形成することとしている。撥液パターン18Lに重なる機能液19は撥液パターン18Lではじかれ、撥液パターン18Lに囲まれた領域に配置された機能液19は、撥液パターン18Lを越えて濡れ広がならないため、良好に撥液パターン18Lに囲まれた領域にぬれ広がる。したがって、第1領域12Aと第2領域12Bとを備えた親液部パターンに対しても容易且つ確実に機能液19を配置することが可能であり、機能液19が含む材料で形成された配線パターン20Lを高精度に形成することができる。また、このような方法を取ることにより、例えばレーザ光を用いてパターン成形する方法と比べて簡単な装置構成で配線パターンの形成が可能となる。
【0068】
また本実施形態では、第1領域12Aと第2領域12Bとの境界16に、液滴吐出法を用いて第1液状体L1の吐出量よりも相対的に多い第3液状体L3を配置する第3工程を含むこととしている。このようにすることで、塗布した第1液状体L1及び第2液状体L2が境界16を越えて配置され、設定と異なる濡れ広がり方をしてしまうことを防ぐことができる。そのため、容易に良好な撥液パターン18Lの形成ができ、配線パターン20Lの形成が可能となる。
【0069】
また本実施形態では、撥液パターン形成材料にODSを用いている。ODSは配置した面で自己組織化膜を形成するシラン化合物である。そのため、液材材料として必要な撥液性を十分に確保し、良好な撥液パターン18Lを形成することが出来る。更に、撥液材料を塗布すると自己組織化により即座に塗布面で単分子膜を形成し、良好な撥液性を発現することができる。そのため、容易に撥液パターン18Lを形成することができる。
【0070】
また本実施形態では、第3液状体L3の吐出量を第2液状体L2の吐出量よりも相対的に多くすることとしている。第3液状体L3を配置する面は、ODSにより形成される撥液パターン18A及び18Bにより、第2領域12B以上の強い撥液性(非常に低い濡れ性)を示す。しかし、第3液状体L3の吐出量を第2液状体L2の吐出量よりも更に多く設定することで、塗布する第3液状体L3が凝集し液溜まりを形成することを防ぎ、撥液パターン18Lを良好に形成することができる。そのため、良好に形成される撥液パターン18Lを用いて、高精度に配線パターン20Lを形成することが可能となる。
【0071】
また本実施形態では、膜パターン形成材料は導電性材料を含むこととしている。そのため、2つ以上の異なる基材にまたがり形成される配線パターンを精度良く形成することができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、撥液パターン形成材料は、配置した面で自己組織化膜を形成するシラン化合物であるODSとしたが、撥液パターン形成材料には撥液パターンを構成する高分子の前駆体を用いても構わない。その場合には、第3工程は、第3液状体を配置した後に撥液パターン形成材料を過熱して重合させる工程を含み、第3液状体の吐出量は第2液状体の吐出量よりも相対的に少なくすることが望ましい。
【0073】
図10は、撥液パターン形成材料が撥液パターンを形成する高分子の前駆体である場合の第3工程の様子を示す工程図であり、図8に対応する図である。撥液パターン形成材料を塗布すると、撥液パターン形成材料である高分子の前駆体が第1及び第2領域に配置される。配置される前駆体は、加熱して重合させることにより撥液性を発現させることができるため、第3液状体L3を配置する第3工程においてはまだ撥液性を示していない。したがって、第3液状体L3を配置する工程は、塗布する材料と同じ材料で形成された面に重ね塗りを行うことに等しく、容易に第1液状体L1及び第2液状体L2を塗布した領域に配置することができる。
【0074】
第3液状体L3を塗布すると、第3液状体L3は吐出量に応じて領域14cを覆い、次いで直径W1の略円形状に濡れ広がり領域14Cを覆う。この際に、第3液状体L3の吐出量は、第2液状体L2の吐出量よりも少なく設定することで、第2液状体L2が配置された領域以上に濡れ広がることを防ぐことができる。そのため、精度のよい撥液パターン形成材料の配置が可能であり、配置後に撥液パターン形成材料を過熱して重合させることで、精度良く撥液パターン18Lを形成することができる。そのため、精度良く形成される撥液パターン18Lを用いて、高精度に膜パターンを形成することが可能となる。
【0075】
[配線基板の製造−1]
次に、上記膜パターン形成方法を用いて製造される第1の配線基板について説明する。図11は製造する配線基板100の概略図である。図11(a)は斜視図を示し、(b)は図11(a)のA−Aで結ばれる線分での断面図を示す。図11(b)では図を見やすくするために、断面図の一部を省略して図示してある。
【0076】
図11(a)に示すように、配線基板100は、基板120と、基板120上に配置された半導体チップ123と、基板120と半導体チップ123とを電気的に接続する複数の配線140からなる配線群140Lと、を備えている。
【0077】
基板120は、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種の材料、及びこれら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものを用いてなる。また、これら各種の素材基板が積層して層構造を備えていても良い。基板120の形状は、図11では平面視方形の板状の形状として示しているが、これに限定されない。本実施形態では、基板120の材料はガラスであるとする。
【0078】
基板120の半導体チップ123が配置されている面には、4組の基板配線群129Lが設けられている。これら各基板配線群129Lは、半導体チップ123に設けられた後述する電極端子群125Lの数・配置に対応して形成される。本実施形態では電極端子群125Lが平面視方形の半導体チップ123の4辺に沿って形成されていることから、基板配線群129Lは基板120上に半導体チップ123の4辺に対して1組ずつ設けられている。また、基板120が半導体チップ123と同様に平面視方形であることから、各基板配線群129Lは基板120の4辺に沿って4辺の中央部ごとにそれぞれ1組ずつ設けられている。
【0079】
基板配線群129Lには、それぞれ複数の基板配線129が含まれている。基板配線129は、各基板配線群129L間で同数ずつ含まれており、配置されている基板120の各辺から半導体チップ123に向かって延在している。
【0080】
基板120上には、半導体チップ123がフェースアップ実装されている。半導体チップ123は平面視方形の形状を備えており、半導体チップ123の基板120と対向しない面は、半導体チップ123の回路が形成されている面となっている。
【0081】
半導体チップ123の基板120と対向しない面には、4組の電極端子群125Lが設けられている。各電極端子群125Lは、半導体チップ123の4辺に沿って4辺の中央部にそれぞれ1組ずつ設けられている。各電極端子群125Lにはそれぞれ複数の電極端子125が含まれている。電極端子125は、各電極端子群125L間で同数ずつ含まれている。前述の基板配線129の設置数は、この電極端子125の設置数に応じた数になっており、基板配線129と電極端子125とは同数になっている。
【0082】
半導体チップ123の周囲には、半導体チップ123の全ての側面を覆ってスロープ部127が形成されている。スロープ部127は樹脂材料で形成されている。樹脂材料には、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることが出来、ディスペンサ等を用いて配置した後に、プリベーク処理及びポストベーク処理を行い形成することができる。スロープ部127は、樹脂材料を一度に配置して形成しても良く、樹脂材料を複数回に分けて配置して形成しても良い。このスロープ部127は、基板120の上面から半導体チップ123の上面に至るスロープを形成しており、半導体チップ123の上面(面130a)、基板120の上面(面130c)は、スロープ部127に形成された面(面130b)と連続した面で繋がっている。
【0083】
配線群140Lは、電極端子群125L及び基板配線群129Lと対応して4組設けられている。各配線群140Lは複数の配線140で構成されており、半導体チップ123上に設けられた電極端子125、若しくは基板120上に設けられた基板配線129と同数設けられている。これらの電極端子125と基板配線129とを、配線群140は1:1で接続している。この配線140は、面130a,130b,130cの表面にそれぞれ配置された配線140a,140b,140cが一体となって形成されており、隣接する配線140同士は、互いに接することなく配置されている。配線140は、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル及びITOうちのいずれか、及びこれらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体などにより形成されている。
【0084】
隣接する配線140同士の間及び配線140の周囲には、撥液部180が形成されている。撥液部180を形成する材料は前述する材料が挙げられる。撥液部180は、配線140と同様に面130a,130b,130cの表面にそれぞれ配置された撥液部180a,180b,180cが一体となり形成されており、隣接する配線140を隔てるように配置している。
【0085】
また、図11(b)に示すように、配線140は、電極端子125及び基板配線129の一部に重なるように形成されている。
【0086】
また、半導体チップ123の側面を覆うスロープ部127は、面130bと基板120の半導体チップ123向きの傾斜角が鋭角となるように形成されている。ここではスロープ部127の表面130bは平面(断面視で直線)として示しているが、スロープ部127の成形の状態により曲面であっても良い。
【0087】
(パターン形成方法)
続いて、所望の配線パターンを形成し配線基板100を形成する方法について、図12から図14を参照して説明する。図12から図14は配線パターン形成のための撥液部を形成する工程概略図である。図12から図14では、(a)がスロープ部周辺の拡大概略図、(b)が拡大平面図を示す。
【0088】
ここで、撥液部180を形成する面である面130aの材質は、半導体チップ125の回路を形成する面であるので例えば酸化シリコンであり、同様に面130bはエポキシ樹脂、面130cはガラスであるとする。隣接する面同士の相対的な濡れ性は、エポキシ樹脂からなる面130bが最も濡れ性が小さい。そのため本実施形態の場合、面130aと面130bとの関係における第1領域は面130aとなり、また、面130bと面130cとの関係における第1領域は面130cになる。
【0089】
まず、図12(a)に示すように第1工程として、面130aに第1撥液インク201(面130aと面130bとの関係での第1液状体)を塗布し、撥液部180aを形成する。また面130cには、第2撥液インク202(面130bと面130cとの関係での第1液状体)を塗布し、撥液部180cを形成する。図12(b)に示すように、面130aと面130bとの境界160A、及び面130bと面130cとの境界160Bには、それぞれ第1撥液インク201及び第2撥液インク202が配置されないように塗布を行う。隣接する撥液部180a同士及び隣接する撥液部180c同士は、互いに間隔W2をあけて塗布され、塗布された面で幅W1だけ濡れ広がる。
【0090】
次に、図13(a)に示すように第2工程として、半導体チップ123の側面のスロープ部127に撥液材料を含む液状体(撥液インク)である第3撥液インク203(第2液状体)を塗布し、撥液部180bを形成する。図13(b)に示すように、面130aと面130bとの境界160A、及び面130bと面130cとの境界160Bには第1撥液インク201が配置されないように塗布を行う。隣接する撥液部180b同士も、互いに間隔W2をあけて塗布され、塗布された面で幅W1だけ濡れ広がる。
【0091】
次いで、図14(a)に示すように第3工程として、境界160Aをまたいで撥液部180aと撥液部180bに当接する第4撥液インク204(面130aと面130bとの関係での第3液状体)を塗布し、撥液部180aと撥液部180bとを接続する。また、境界160Bをまたいで撥液部180bと撥液部180cに当接する第5撥液インク205(面130bと面130cとの関係での第3液状体)を塗布し、撥液部180bと撥液部180cとを接続する。その結果、撥液部180a,180b,180cがつながり、幅W1の撥液部180を形成する。隣接する撥液部180同士の間隔はW2である。
【0092】
次いで、撥液部180の間の領域に配線140の形成材料を配置し、所定の処理を行うことにより、幅W2で隣接する配線同士の間隔がW1の配線140が形成される。以上説明した一連の工程により、濡れ性の異なる材料で形成されたスロープをまたいで配線パターンを形成することができ、配線基板100が完成する。
【0093】
[配線基板の製造−2]
続いて、上記膜パターン形成方法を用いて製造される第2の配線基板について説明する。図15は製造する配線基板500の一例を示す概略図である。図15(a)は平面図を示し、(b)は図15(a)に示す領域ARの拡大図を示す。
【0094】
配線基板500は、COF(chip on film)用の基材510と、基材510上に設けられた複数の配線520aを備える配線パターン520と、配線パターン520と同素材で形成された基準マーク530と、これらの一部を覆うように形成されたソルダーレジスト(膜パターン)540と、ソルダーレジスト540の周囲に形成された撥液部570を備える。また、同じく基材510上に設けられた半導体チップ550及びその他の電子部品560も備えている。
【0095】
基材510は、ポリイミド等の樹脂を素材とするフレキシブルなテープ状の基材である。基材510の一面には金属層(例えば銅)が形成され、この金属層から後述する配線パターン520が形成される。基材510には必要に応じてプレス加工による打ち抜きが行われ、ガイド穴や機種に応じた位置決め穴等が形成される。基材510の厚みは例えば100μmである。
【0096】
基材510の少なくとも一主面に、複数の配線を備えた配線パターン520が設けられている。配線パターン520及び基準マーク530は、基材510の金属層をフォトリソグラフィによりパターニングし、エッチングすることで形成される。配線パターン520は、基材510上に配置される各種の電子部品を接続し、また、配線基板500を電子機器に取り付ける際の配線として用いられる。
【0097】
配線パターン520の一部を覆うように、ソルダーレジスト540が形成されている。ソルダーレジスト540は、例えば金メッキ耐性を備えた硬化性樹脂により形成され、配線基板500に金メッキを施した際に、配線パターン520の所望の領域を金メッキから保護する役割を担う。
【0098】
ソルダーレジスト540の周囲には、撥液材料で形成される撥液部570が配置されている。ソルダーレジスト540はこの撥液部570と接し、撥液部570で囲われた領域の中に配置されている。これらのソルダーレジスト540と撥液部570の形成方法は、後で詳細に説明する。
【0099】
ソルダーレジスト540に覆われない基材510の所定部には配線パターン520が露出しており、露出した配線パターン520に半導体チップ550及びその他の電子部品560が実装され、電気的に接続されている。
【0100】
図15(b)に示すように、ソルダーレジスト540の形成領域の境界部では、配線パターン520と隣接する配線パターン520の間に露出する基材510が交互に並び、それらをまたいで撥液部570が形成されている。更にソルダーレジスト540は、撥液部570が描くパターンに沿って形成されている。
【0101】
(パターン形成方法)
続いて、所望の配線パターンを形成し配線基板500を形成する方法について、ソルダーレジスト540を形成する手順を中心に図16を参照して説明する。図16はソルダーレジスト540を形成する工程概略図であり、図15(b)に対応する図である。
【0102】
ここで、撥液部570を形成する面は、ポリイミド等のフレキシブルなテープ基材である基材510と、銅などの金属で構成される配線パターン520である。隣接する基材510と配線パターン520との相対的な濡れ性は、配線パターン520のほうが大きい。そのため本実施形態の場合、基材510と配線パターン520との関係において第1領域は配線パターン520になる。
【0103】
まず、基材510に形成された金属層に、感光剤の塗布処理、露光処理、及び現像処理等を含むフォトリソグラフィ処理を施し、図16に示すような配線パターン520及び基準マーク(不図示)を形成する。配線パターン12の形成により、隣接する配線520aの間には基板510の表面が露出している。
【0104】
次いで、図16(b)に示すように、ソルダーレジスト14を形成する領域の周囲に図1に示す液滴吐出装置300を用いて撥液インクを塗布し、撥液部570を形成する。撥液部570の形成は、まず配線パターン520に第1撥液インク(第1液状体)を塗布し、次に基材510に第2撥液インク(第2液状体)を塗布し、更に基材510と配線パターン520との境界をまたいで第3撥液インク(第3液状体)を塗布して行う。形成される撥液部570が描くパターンは、ソルダーレジスト540が形成するパターン(膜パターン)の逆パターンとなる。
【0105】
次いで、図16(c)に示すように、撥液部570の間の領域にソルダーレジスト540の形成材料を含む機能液を配置する。ソルダーレジスト540の形成材料としては、例えば、日立化成工業株式会社製SN9000を用いることができる。本実施形態においては、このソルダーレジストを、溶媒であるγ−ブチロラクトンで溶解して用いる。
【0106】
機能液の塗布は、液滴吐出法、ディスペンサ法等といった方法を用いることができ、塗布する機能液18の濃度・粘度によって最も適した塗布方法を選択することができる。塗布した機能液は、撥液部570の撥液性ではじかれ堰き止められるため、撥液部570を越えては濡れ広がらず、撥液部570の輪郭に沿って配置される。なお、上記の撥液部570は、厚さが数nm〜数十nmと微少量であるため、塗布された機能液の位置を規定する隔壁としての機能を有しておらず、機能液は撥液部570の撥液性に起因してソルダーレジスト540の形成領域に配置されることになる。
【0107】
次いで、ソルダーレジスト540を形成した基板510に対して、露出している配線パターンへの金属メッキ、取り付ける電子機器に応じた折り曲げや取り付け穴の形成のためのプレス加工、導通試験や外観確認等の製品検査を行い、配線基板500が完成する。
【0108】
このような構成の配線基板500によれば、所望の位置に精度良く形成されたソルダーレジスト540を備える配線基板500となる。そのため、この配線基板500を用いた製造工程において、レジストが形成されていないために不要な箇所に金属メッキされてしまうことを精度良く防ぎ、また、金属メッキが必要な箇所にレジストが形成されていてメッキが形成されないといった不具合を無くすことができる。したがって、このような配線基板500を用いた製品の不良を防ぎ、歩留まりを高め、生産性を向上させることができる。
【0109】
本実施形態では撥液部を形成する前に、あらかじめ基板120や基材510に対してエキシマUV洗浄を行い、親液性を高める洗浄処理(親液処理)を実施しておいても良い。親液処理により基板12の表面に付着する不純物が除去されることで、配置する機能液や液状体への親液性を高め、所定の位置に容易に配置することができる。その他洗浄処理としては、低圧水銀灯洗浄、Oプラズマ洗浄、HFや硫酸等を用いた酸洗浄、アルカリ洗浄、超音波洗浄、メガソニック洗浄、コロナ処理、グロー洗浄、スクラブ洗浄、オゾン洗浄、水素水洗浄、マイクロバブル洗浄、フッ素系洗浄等を用いることができる。また、洗浄処理の他にも、配置する機能液や液状体に対して親液性を示すシランカップリング剤やチタンカップリング剤を塗布しておく構成や、酸化チタン微粒子を塗布しておく構成を採ってもよい。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0111】
例えば膜パターンの形成材料は、上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、その他金属や半導体、セラミックス、有機材料、顔料、光学材料を含む液状体を機能液として用いることとしても良い。これらの場合には選択する形成材料により、導電性、絶縁性、半導体特性、集光性、光選択吸収性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス性、液晶分子の配向性制御などの機能を備えるパターンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】液滴吐出装置の概略的な構成図である。
【図2】液滴吐出装置に備わる液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図3】濡れ性の異なる面での液滴の濡れ広がり方を示す概略図である。
【図4】濡れ性の異なる面での液滴の濡れ広がり方を示す概略図である。
【図5】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図6】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図7】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図8】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図9】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図10】本実施形態の配線パターン形成方法を示す工程図である。
【図11】第1の配線基板の概略図である。
【図12】第1の配線基板の撥液部を形成する工程外略図である。
【図13】第1の配線基板の撥液部を形成する工程外略図である。
【図14】第1の配線基板の撥液部を形成する工程外略図である。
【図15】第2の配線基板の概略図である。
【図16】第2の配線基板の製造する工程外略図である。
【符号の説明】
【0113】
12A…第1領域、12B…第2領域、16,160A,160B…境界、18(18A,18B),180(180a,180b,180c),570…撥液部、18L…撥液パターン、20L…配線パターン(膜パターン)、100,500…配線基板、140…配線群( 膜パターン)、201…第1撥液インク(第1液状体)、202…第2撥液インク(第1液状体)、203…第3撥液インク(第2液状体)、204…第4撥液インク(第3液状体)、205…第5撥液インク(第3液状体)、510…基材、520a…配線、540…ソルダーレジスト(膜パターン)、L1…第1液状体、L2…第2液状体、L3…第3液状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に濡れ性の大きい第1領域と、相対的に濡れ性の小さい第2領域とにまたがる膜パターンの形成方法であって、
前記膜パターンを形成する領域の周囲に撥液パターンを形成する工程と、
前記撥液パターンが形成されていない領域に膜パターン形成材料を含む機能液を配置し膜パターンを形成する工程と、を含み、
前記撥液パターンを形成する工程は、前記第1領域に液滴吐出法を用いて撥液パターン形成材料を含む第1液状体を配置する第1工程と、
前記第2領域に液滴吐出法を用いて前記撥液パターン形成材料を含む第2液状体を配置する第2工程と、を含み、
前記第2液状体の吐出量を前記第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることを特徴とする膜パターンの形成方法。
【請求項2】
前記撥液パターンを形成する工程は、前記第1領域と前記第2領域との境界に液滴吐出法を用いて前記撥液パターン形成材料を含む第3液状体を配置する第3工程を含み、
前記第3液状体の吐出量は、前記第1液状体の吐出量よりも相対的に多くすることを特徴とする請求項1に記載の膜パターン形成方法。
【請求項3】
前記撥液パターン形成材料は、シラン化合物又はフルオロアルキル基を含む化合物の少なくとも一方を含み、前記撥液パターン形成材料を配置した面で自己組織化膜を形成することを特徴とする請求項2に記載の膜パターン形成方法。
【請求項4】
前記第3液状体の吐出量は、前記第2液状体の吐出量よりも相対的に多くすることを特徴とする請求項3に記載の膜パターン形成方法。
【請求項5】
前記撥液パターン形成材料は、前記撥液パターンを構成する高分子の前駆体であり、
前記第3工程は、前記第3液状体を配置した後に前記撥液パターン形成材料を過熱して重合させる工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の膜パターン形成方法。
【請求項6】
前記第3液状体の吐出量は、前記第2液状体の吐出量よりも相対的に少なくすることを特徴とする請求項5に記載の膜パターン形成方法。
【請求項7】
前記膜パターン形成材料は、導電性材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法。
【請求項8】
基材と、
前記基材に一定の配列パターンで配置された複数の配線と、
前記複数の配線の一部及び隣接する前記配線の間の前記基材を含む領域を覆うように形成されたソルダーレジストと、を備える配線基板であって、
前記ソルダーレジストの形成された領域の周囲には、撥液材料で形成された撥液部が形成され、
前記撥液部及び前記ソルダーレジストは、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法で形成されることを特徴とする配線基板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−72654(P2009−72654A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241905(P2007−241905)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】