説明

自動検針無線計測装置およびそのプログラム

【課題】本発明は自動検針を無線で行う自動検針無線機に対して、無線通信不良が発生した場合、通信不良となるタイミングを容易に識別する対処方法を課題とするものである。
【解決手段】電波の有無を検出する電波検出部10と、電波からデータ信号を復調する信号復調部11と、信号復調部からのデータ信号により通信内容を解析する電文解析部12と、電文検出部12からの電文を検出しない時間を計測する通信間隔測定部13と、電文解析部12および通信間隔測定部13から受信した内容を記憶する記憶部14と、記憶部14に記憶された内容を表示部15に表示させる制御部16からなり、制御部16は電文解析部12からの通信内容および通信間隔測定部13からの通信間隔を受信したとき、表示部15に対し受信内容および受信間隔の表示を行うように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス、水道、電気等の使用量の検針を行う際の自動検針システムの無線通信状態を計測する自動検針無線計測装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭やオフィスあるいは工場などのガス、水道、電気等の使用量を測定するためのメータに記録されたデータを電話等の通信回線を介して隔測検針装置であるセンターに回収する自動検針システムが普及し、この自動検針システムは、たとえば、各需要家に設置されている電話用の回線とメータとを通信線で接続し、電話回線を介してセンターとメータとで通信を行うものである。
【0003】
ところで、このような自動検針システムの場合、電話用の回線とメータとを通信線で接続する必要があるため、需要家の屋内外に通信線を引き回し配線する手間と費用が必要であった。特に、電話用の回線とメータとが離れている場合にはこの配線作業はかなりの負担であり、既設の家屋の場合には配線が無理な場合さえあった。
【0004】
そこで、各需要家の電話用の回線に端末網制御装置(以下「T−NCU」という)を介して無線親機を接続するとともにメータに無線子機を接続し、無線親機と無線子機との間で無線で通信を行うようにすることによって屋内外の配線を不要とする自動無線検針システムについて提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図2は、特許文献1に記載された従来の自動無線検針システムを示すものである。
【0006】
図2において、1はセンター、2は公衆電話回線、3は需要家、4は端末網制御装置(T−NCU)、5は無線親機にして、送受信回路を有し、センター1とT−NCU4までは公衆電話回線で結ばれ、T−NCU4と無線親機5間は通信線aで結ばれている。6は無線子機にして、送受信回路を有し、通信線bで自動検針用メータ7に接続されている。無線親機5と無線子機6は無線で相互に通信が可能で、自動検針用メータ7内の情報はこの無線子機6から無線親機5に送信される。
【0007】
センター1からは、公衆電話回線2にて需要家3に設置された端末網制御装置(T−NCU)4を介して無線親機5を駆動し、この無線親機5から無線子機6に対して電波信号が送られる。無線子機6は無線親機5からの信号を受けると、自動検針用メータ7内にストックされた計量情報等をとり出し、この情報を無線で無線親機5に送信する。無線親機5は、無線子機6から受けた情報をT−NCU4及び公衆電話回線2を経由してセンター1に送る。
【0008】
この結果、従来のように、建物内において、自動検針用メータの配線を行う必要がなく、工事が簡単になると共に建物の美観を損ねたりしない。又、特に既設の集合住宅或いはテナントビル等において、後から自動検針システムを適用する際に、各メータ毎に配線工事等を行う必要がなくなるため、自動検針システムの実現が容易になる。
【0009】
ところでこうしたシステムでは、無線親機と無線子機の登録作業は、無線子機とメータの接続後、所定の操作、たとえば無線子機と無線親機の起動用スイッチ等を同時に入力することによって無線子機がメータからメータ管理IDを取得し、この取得したメータ管理IDを無線送信により無線親機に送信し、無線親機は無線子機からメータ管理IDを取得すると、次に親機の持っている無線通信に必要な通信情報を無線子機に送信する。これにより、無線親機と無線子機の登録作業が完了し、以降、隔測検針装置であるセンタからメータまでの通信が可能となる。
【特許文献1】特開平6−85938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成で、これらの登録作業後、隔測検針装置であるセンタからの通信が可能となるわけであるが、無線通信においては通信の微妙なタイミングにより通信不良が発生することがしばしばある。
【0011】
通常、センターからの検針動作において、無線親機から無線子機への下り通信、または無線子機から無線親機への上り通信では無線受信できたことを返送するための応答信号(いわゆるACK信号)を無線受信後数十〜数百ミリ秒以内に返さなければならない。各種の無線親機と無線子機の組合せによってはこのACK信号のタイミングがまちまちで、通信不良を発生することがあり、お互いに無線受信および無線送信が正常にできていると思っていても無線通信が失敗していることがある。
【0012】
このような無線通信のタイミングによる通信不良の原因を究明するのは非常に困難であり、正常通信できるまでかなりの時間がかかってしまうという課題を有していた。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、自動検針無線機の無線通信時におけるタイミングによる通信不良となる要因を容易に識別することができ、自動検針システムの信頼性を高めることができる自動検針無線機の計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するために、回線を介して隔測検針装置と接続される無線親機とメータに接続される無線子機との間で無線による通信を行い、メータと隔測検針装置との間を通信可能としてメータの検針を行う自動検針システムの自動検針無線機に対して、無線の通信状態を計測する自動検針無線計測装置において、自動検針無線計測装置は、電波の有無を検出する電波検出部と、電波からデータ信号を復調する信号復調部と、信号復調部からのデータ信号により通信内容を解析する電文解析部と、電波検出部からの電波を検出しない時間を計測する通信間隔測定部と、電文解析部および通信間隔測定部から受信した内容を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された内容を表示部に表示させる制御部からなり、制御部は電文解析部からの通信内容および通信間隔測定部からの通信間隔を受信したとき、表示部に対し受信内容および受信間隔の表示を行うように制御することを備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、無線親機および無線子機間における無線通信において、電波があれば通信内容を解析して記憶部に記憶するとともに、電波を検出しない時間すなわち無線通信の間隔時間もあわせて記憶部に記憶し、表示部に対しそれぞれ受信内容および通信間隔の表示も行うよう制御する。したがって、微妙なタイミングのずれにより通信不良が発生している場合には、それぞれの通信における通信内容と通信タイミングがわかり、タイミングの不具合が明確になる。
【0016】
上記発明により、自動検針無線機の無線通信時における通信不良となる原因を容易に識別することができ、自動検針システムの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、回線を介して隔測検針装置と接続される無線親機とメータに接続される無線子機との間で無線による通信を行い、メータと隔測検針装置との間を通信可能としてメータの検針を行う自動検針システムの自動検針無線機に対して、無線の通信状態を計測する自動検針無線計測装置において、自動検針無線計測装置は、電波の有無を検出する電波検出部と、電波からデータ信号を復調する信号復調部と、信号復調部からのデータ信号により通信内容を解析する電文解析部と、電波検出部からの電波を検出しない時間を計測する通信間隔測定部と、電文解析部および通信間隔測定部から受信した内容を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された内容を表示部に表示させる制御部からなり、制御部は電文解析部からの通信内容および通信間隔測定部からの通信間隔を受信したとき、表示部に対し受信内容および受信間隔の表示を行うように制御することができるようにしたもので、それぞれの通信における通信内容と通信タイミングがわかり、通信不良となる原因を容易に識別することができるものである。
【0018】
また、第1の発明の自動検針無線計測装置の各部の少なくとも一部をコンピュータを機能させるためのプログラムである。そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて本発明の自動検針無線計測装置の少なくとも一部を容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明における自動検針無線計測装置のブロック図である。
【0021】
図1において、隔測検針装置(センター)1は、公衆電話回線2からT−NCU4を介して無線親機5と接続される。無線子機6は無線親機5に対向して設けられ需要家3のメータ7に接続される。
【0022】
8は自動検針無線計測装置で、9はアンテナ、10は電波の有無を検出する電波検出部、11は電波からデータ信号を復調する信号復調部、12は電波から通信内容を解析する電文解析部、13は電波検出部からの電波を検出しない時間を計測する通信間隔測定部、14は電文解析部12および通信間隔測定部13から受信した内容を記憶する記憶部、16は記憶部14に記憶された内容を表示部15に表示させる制御部であり、制御部16は電文解析部12からの通信内容および通信間隔測定部13からの通信間隔を受信したとき、通信内容および通信間隔を記憶部14に記憶するとともに、表示部15に対し受信内容および受信間隔の表示を行うように制御するものである。
【0023】
センターからの自動検針の場合、隔測検針装置1から公衆電話回線2およびT−NCU4を介して無線親機5に対して、メータ7への検針要求を送信すると、無線親機5から無線子機6に対してメータ7の検針要求を無線送信し、無線子機6が需要家3のメータ7に対して検針要求を送信する。無線子機6はメータ7からの検針応答を受信すると、無線親機5に対して検針応答を無線送信する。
【0024】
ここで、無線子機6から無線親機5への上り通信の場合、無線親機5はで無線子機6からの無線受信できたことを返送するための応答信号(いわゆるACK信号)を無線受信後数十〜数百ミリ秒以内に返す。無線親機5はACK信号を無線子機6に送信した後、T−NCU4を介して隔測検針装置1に検針応答を送信する。検針応答をセンター1で受信すると、通信終了の信号を回線2およびT−NCU4を介して無線親機5に対して送る。無線親機5は無線子機6に対して、終了信号を送ると、無線子機6から無線親機5に対してACK信号を無線受信後数十〜数百ミリ秒以内に返す。こうして、メータ7の検針値をセンター1で集中検針できる。
【0025】
無線通信の解析および表示は、無線親機5〜無線子機6間における相互の無線通信を監視し、電波検出部10でアンテナ9からの電波を検出すると、信号復調部11で電波からデータ信号を復調し、電文解析部12は信号復調部11からのデータ信号から通信内容を解析し、通信内容を制御部16に送信する。また、通信間隔測定部13は電波検出部10からの電波を検出しない時間を計測して制御部16に送信する。このとき制御部16は記憶部14に通信内容を記憶部14に記憶させる。
【0026】
制御部16は記憶部14に記憶した内容を順次表示部15に表示させることにより無線通信のタイミングがわかるようになる。
【0027】
また、通信内容も表示できるので、通信データそのもののミスも容易に発見することができる。
【0028】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる自動検針無線計測装置およびそのプログラムは、無線親機および無線子機間における無線通信において、それぞれの無線送信、無線受信の通信内容および無線通信間隔を監視することにより、無線通信の微妙なタイミングにおける通信と第2の周波数帯域(いわゆるサブチャンネル)における通信の両方を監視し、電波があれば通信内容を解析して記憶部に記憶し、表示部に対しそれぞれ受信順に受信内容の表示も行うよう制御するので安心して自動無線検針を行うことができる。また、第1の周波数帯域と第2の周波数帯域を選択できるようにして、システム毎に異なるチャンネルでも受信できるようにできる。
【0030】
さらに、データ通信も同時に観測することができるので、通信不良が発生したときなど
の解析にも有効である。
【0031】
また、本発明はどの無線通信システムにも応用が可能となるので、自動無線検針以外の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1における自動検針無線計測装置のブロック図
【図2】従来の自動検針システムのブロック図
【符号の説明】
【0033】
1 隔測検針装置(センター)
2 公衆電話回線
3 需要家
4 T−NCU
5 無線親機
6 無線子機
7 メータ
8 自動検針無線計測装置
9 アンテナ
10 電波検出部
11 信号復調部
12 電文解析部
13 通信間隔測定部
14 記憶部
15 表示部
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線を介して隔測検針装置と接続される無線親機と、メータに接続される無線子機との間で無線による通信を行い、前記メータと隔測検針装置との間を通信可能として前記メータの検針を行う自動検針システムの、無線の通信状態を計測する自動検針無線計測装置において、前記自動検針無線計測装置は、電波の有無を検出する電波検出部と、電波からデータ信号を復調する信号復調部と、前記信号復調部からのデータ信号により通信内容を解析する電文解析部と、前記電波検出部からの電波を検出しない時間を計測する通信間隔測定部と、前記電文解析部および通信間隔測定部から受信した内容を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された内容を表示部に表示させる制御部からなり、前記制御部は前記電文解析部からの通信内容および前記通信間隔測定部からの通信間隔を受信したとき、前記表示部に対し受信内容および受信間隔の表示を行うように制御することを特徴とする自動検針無線計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動検針無線計測装置の各部の少なくとも一部をコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−67420(P2006−67420A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249780(P2004−249780)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】