説明

自動車用風力発電機ユニット

【課題】 走行時の風力エネルギーを電気エネルギーに変換し、蓄電した電気エネルギー
の消費を最小限にし、蓄電池の搭載量の個数を最小個数にして、外部充電の必要がなく、長い走行距離の確保を可能とする。
【解決手段】 車輌の始動時、運転席に設けられたスタートスイッチ13を入れてアクセル14を踏んだ時に駆動用蓄電池9からコントローラー7を介して電力の供給を受け、駆動モーター6が回転し走行が開始されて、車速が低速、例えば10km/h程度になれば風力発電が開始され、コントローラー7で安定した電力に制御されてから駆動モーター6に供給され、この時点で駆動用蓄電池9からの電力供給が、風力発電機5により発電された電力に切り替わり、コントローラー7を介して直接駆動モーター6に供給されて走行が継続され、走行及び電装品11に消費される電力を上回った電力は、駆動用蓄電池9或いは電装用蓄電池11の充電に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の蓄電池の搭載量を最小限に、且つ外部充電回数を最小限にするための風力発電装置とコントローラーを組み合わせたユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関車等に搭載されている鉛蓄電池を利用して走行させる、電気自動車が改造車両として走行している事例があるが、蓄電池重量が大きく走行距離が短い問題点があり、実用化が進んでいるリチウムイオン電池にしても充電量に対しての走行距離は、100Wで1kmと、走行距離を長くしようとすれば搭載蓄電池重量が増え、走行距離に要する消費電力が増えて結果として車輌価格の低下に寄与していない。
【0003】
風力発電機を備える電気自動車が提案されて、実現に至っていないのは、風力による発電量が自動車を走行させるのに不十分であり、渋滞等の無風時における電装品の消費電力が蓄電池より賄われるために、すぐに過放電となり走行出来ないと考えられているからである。
【0004】
この改善策として車輌の始動時、運転席に設けられたスタートスイッチ13を入れてアクセル14を踏んだ時に駆動用蓄電池9からコントローラー7を介して電力の供給を受け、駆動モーター6が回転し走行が開始されて、車速が低速、例えば10km/h程度になれば風力発電が開始され、コントローラー7で安定した電力に制御されてから駆動モーター6に供給されて、この時点で駆動用蓄電池9からの電力供給が、風力発電機5により発電された電力に切り替わり、コントローラー7を介して直接駆動モーター6に供給されて走行が継続される。
【0005】
車速が中速、例えば30km/hから60km/h程度の走行、或いは60km/h以上の高速走行時の走行に必要な電力は駆動用蓄電池9を介さず直接風力発電機5からコントローラー7を介して安定して供給され、余剰の電力は電装品用蓄電池10及び駆動用蓄電池9にコントローラー7を介して満充電される。
【0006】
渋滞時或いは信号待ち等の停車時は、無風となって風力発電が行われないので駆動用蓄電池9、又は電装品用蓄電池10よりコントローラー7を介して電力の供給を受けて、風力発電機装置12の風力回転体4に連結された小型補助モーター1を回転させて、必要な風力を得て発電し、電装品11に電力が供給され、余剰の電力は電装品用蓄電池10及び駆動用蓄電池9にコントローラー7を介して充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許登録 第2992242号公報
【特許文献2】特許公開 2001−180379号公報
【特許文献3】特許公開 2009−68482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、電気自動車は蓄電した電気エネルギーを消費して走行するため蓄電池の搭載量の個数が多く重量が増大し高価であり、蓄電量が少なくなると外部電源からの充電が必要であり、1回あたりの満充電でも、長い走行距離が確保できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、走行時及び渋滞時や停車時の間も絶え間なく発電が行われる風力発電機装置12とコントローラー7であり、課題である蓄電池の搭載量の個数を最小限として、電気自動車の低価格化に寄与し、或いは走行後の外部電源からの充電を排除することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の風力発電機装置12に使われる発電機5は、およそ300/rpmの低回転数にて最大出力を発電する能力をもつアキシャルギャップ型コアレス発電機であり、走行時の駆動モーター6に駆動用蓄電池9を介さずに電力供給が可能であり、又無風状態である渋滞時や停車時にも低出力の小型補助モーター1により風力回転体4を回転し、走行により風力を受ける時と同じように発電し、電装品11の消費電力と蓄電池充電電力に対応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は風力発電装置12とコントローラー7を組み合わせたユニット及び関連回路の実施方法を示した説明図である。
【図2】図2は風力発電装置12とコントローラー7を組み合わせたユニット、駆動用蓄電池9と電装用蓄電池10、駆動用モーター6を配置した一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
アキシャルギャップ型コアレス風力発電機5のインナー、又はアウターローターに風力回転体4を連結し、採風量を調整できる電磁調整遮蔽板を有する採風口と排風口からなるダクト3に風力回転体4を収容し、電磁クラッチ2を介して小型補助モーター1と風力回転体4を接続して小型ではあるが出力の大きい常時発電型の風力発電機装置12が実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明装置の一実施例の配線図であって回路について説明する。
1 車輌内運転席のスタートボタン13を押す。
2 アクセル14を踏むとコントローラー7内のコンデンサ、又はキャパシタを介し
て駆動用蓄電池9から電力が供給され駆動モーター6が回転し、走行が開始され
るが、電装品11の電力は電装品用蓄電池10から供給される。
3 車速が上がり時速10km/h程度になると、風力により風力回転体4が回転
し、発電を始めると電力の供給は駆動用蓄電池9から風力発電機5からの直接供
給にコントローラー7により切り替わる。電装品11の電力も同時に直接風力発
電機5より供給される。余剰電力は両蓄電池9,10の充電に使用される。
4 減速時等のアクセル14の踏み込みがない時は、駆動モーター6への電力供給は
遮断され、電装品11への電力供給のみとなる。
5 渋滞時や一時停車時の電装品11への電力供給は、電磁クラッチ2を介して小型
補助モーター1と風力回転体4を接続後、回転させて風力発電機5を稼動させて
供給する。
6 走行再開時、アクセル14を踏みこむと車速が上がり時速10km/h程度にな
ると、段落番号0013の2の状態になる。
【0014】
表1は60km/hの定速走行時、或いは渋滞時における発電電力量、消費電力量、充
電用電力量を表示したものである。
【0015】
【表1】

【0016】
上記の表において、夏場の雨中夜間走行で、必要とされる電装品類をすべて使用し走行
に必要な駆動モーター6を加えた消費電力を発電量から差し引いたものが、充電用電力と
なり渋滞時においても十分充電が行われるものである。
【実施例2】
【0017】
図2の実施例は、車体への取り付け状態を示す一例であるが、駆動モーター6は車輌の
前輪部分、又は前輪付近に配置する場合がある。
【産業上の利用可能性】
【0018】
自動車生産工場で新しく生産する電気自動車については、低コストでの生産が出来、且
つ充電設備のインフラが不十分な中でも、環境にやさしい車として広く普及する可能性が
あり、又既に市中で使用されている従来の化石燃料を利用した車についても、内燃機関や
燃料タンク、マフラー、冷却装置のラジエーター等を取り外し、本発明品を取り付けるこ
とにより、化石燃料のいらない、或いは充電を殆ど必要としない電気自動車として使用で
き、これにより二酸化炭素の排出量が大幅に軽減できる可能性がある。
【符号の説明】
【0019】
1 小型補助モーター
2 電磁クラッチ
3 電磁調整遮蔽板付ダクト
4 風力回転体
5 風力発電機
6 駆動モーター
7 コントローラー
8 コンデンサー
9 駆動用蓄電池
10 電装用蓄電池
11 電装品類
12 風力発電装置
13 スタートボタン
14 アクセル
a 小型補助モーター用放電回路
b 電装用充電回路
c 駆動用蓄電池充放電回路
d 電装用放電回路
e 駆動モーター用放電回路
f 発電機からの駆動用及び充電用回路
g スタートボタンからの制御回路
h アクセルからの制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌前部のボンネット内に設置でき、採風量の調整できる電磁調整遮蔽板付ダンパー
を付属したダクト3内に脱着可能な風力回転体4、例えばシロッコファンを有し、無風時
に風力回転体4の回転を補助する電磁クラッチ2を伴う小型補助モーター1を組み付け、
風力発電機5の回転軸と連結した風力発電機装置12と、無風状態での発電を可能にする
小型補助モーター1の入出力電気回路a、およそ300/rpmの低回転数で発電される電力を駆動モーター6及び電装品11の電力消費回路に導く電気回路f、e、b、駆動用蓄電池9及び電装品用蓄電池10に充電する電気回路c、b、アクセル14に連動した電気回路h、減速時にアクセル14を放した時に駆動モーター6への電力供給が遮断される電気回路g、これら一連の動作を制御するコントローラー7との組み合わせを特徴とする自動車用風力発電機。
【請求項2】
アキシャルギャップ型のインナー、又はアウターローターコアレス発電機5を使用した
請求項1に記載する風力発電装置12とコントローラー7を組み合わせて、ユニットとして搭載した電気自動車。
【請求項3】
駆動用蓄電池9及び電装品用蓄電池11に鉛蓄電池もしくはリチウムイオン蓄電池を使用するが、風力発電機5から供給された電力を駆動モーター6や電装品11の電力消費
に蓄電池を介さずコントローラー7で制御して、直接駆動モーター6や電装品11に供給
して、放充電による蓄電池の負荷を軽減し、搭載数量を最小限とした請求項1に記載する風力発電装置12とコントローラー7を組み合わせて、ユニットとして搭載した電気自動車。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−117400(P2011−117400A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277161(P2009−277161)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(309042222)
【Fターム(参考)】