説明

航空機用更生タイヤ製造方法及び更生用モールド

【課題】 製造不良及び外観不良を確実に抑制することができる航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法、及び、該航空機用更生タイヤを製造する際に使用される更生用モールドを提供する。
【解決手段】 本発明は、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の更生タイヤ1Dを製造する航空機用更生タイヤ製造方法であって、新品タイヤ1Aの断面形状及び寸法と同一に更生タイヤ1Dを設計することを条件とし、更生用モールド10の内径を“D”とし、新品タイヤ1Aの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす更生用モールド10を使用する加硫工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法、及び、航空機用更生タイヤを製造する際に使用される更生用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機用空気入りラジアルタイヤ(以下、航空機用タイヤ)は、6%前後の内圧平均成長率を有している。この航空機用タイヤは、経済性を考慮して更生されることがある。具体的には、市場走行から返却された航空機用中古タイヤのトレッド部にバッフィング(削り加工)処理を施し、予め成形されたトレッド部を貼り付ける。このトレッド部が貼り付けられた航空機用中古タイヤは、更生グリーンタイヤ(以下、グリーンタイヤ)と呼ばれる。
【0003】
そして、グリーンタイヤは、トレッド部との接触面がタイヤ軸方向にのみ分割され、すなわち、タイヤ径方向には移動しないフルモールドによって加硫される。ここで完成したタイヤは、航空機用空気入り更生ラジアルタイヤ(以下、航空機用更生タイヤ)と呼ばれる。
【0004】
ところで、近年においては、航空機用タイヤは、耐カット性を向上させるために、該航空機用タイヤの成長を抑える1〜4%の内圧平均成長率を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この1〜4%の内圧平均成長率を有する航空機用タイヤを上述した方法により更生しようとすると、加硫時にグリーンタイヤがフルモールドまで成長しきれずに、加硫不足が生じて接着不良等の製造不良が発生しまう。
【0005】
このため、フルモールドの内径を小さく設定しても、加硫時に該フルモールド間でグリーンタイヤを噛み混んでしまい、加硫後に航空機用更生タイヤを取り出せなくなってしまう。そこで、航空機用タイヤのトレッド部に対応するモールドのトレッド部分が、タイヤ径方向に移動可能な割モールドによって製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】WO 03/061661号公報
【特許文献2】特開2006−76396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の方法では、加硫する前のグリーンタイヤの外径及び内圧平均成長率から、割モールドの内径の最大値を規定しているが、最小値まで規定していない。さらに、従来の方法では、加硫する前のグリーンタイヤの外径が個々で一定でないことや、内圧平均成長率が個々で一定でないことが考慮されていない。
【0007】
このため、加硫する前のグリーンタイヤの外径が予想より小さい場合は、加硫時にグリーンタイヤが十分拡張しきれずに加硫不足が生じて接着不良等の製造不良が発生してしまう。一方、加硫する前のグリーンタイヤの外径が予想より大きい場合は、グリーンタイヤのゴムのはみ出し不良等の製造不良や、航空機用更生タイヤの外輪郭変形(ケース変形)等の外観不良が発生しまうことがある。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、製造不良及び外観不良を確実に抑制することができる航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法、及び、該航空機用更生タイヤを製造する際に使用される更生用モールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法であって、新品時における航空機用新品タイヤの断面形状及び寸法と同一に航空機用更生タイヤを設計することを条件とし、更生グリーンタイヤを航空機用更生タイヤに更生する際に使用される割モールドである更生用モールドの内径を“D”とし、航空機用新品タイヤの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、航空機用新品タイヤを成型する際に使用される新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす前記更生用モールドを使用する加硫工程を含むことを要旨とする。
【0010】
なお、「規定内圧」とは、規定リムに装着された状態で充填された内圧である。すなわち、「規定内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、TRAやETRTOでは、Un−loaded Inflation Pressureである。また、「規定リム」とは、上記規格がタイヤ毎に定めるリムである。
【0011】
この本発明の第1の特徴では、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用新品タイヤの断面形状及び寸法と同一に航空機用更生タイヤを設計することを前提条件とする。すなわち、航空機用更生タイヤのトレッド部に対応する更生用モールドの寸法は、航空機用新品タイヤのトレッド部の寸法と同一に設計する。
【0012】
かかる特徴によれば、加硫工程において、上記式 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす更生用モールドを使用することによって、加硫する前の更生グリーンタイヤの外径のばらつきを考慮して更生用モールドの内径(D)を設定することが可能となるため、生産性を損なうことなく、製造不良及び外観不良を確実に抑制することができる。
【0013】
本発明の第2の特徴は、加硫工程では、更生グリーンタイヤを加硫する際に、更生グリーンタイヤに充填する内圧を、タイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することを要旨とする。
【0014】
かかる特徴によれば、加硫工程において、更生グリーンタイヤに充填する内圧をタイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することによって、更生グリーンタイヤのゴムのはみ出し不良や接着不良等の製造不良をさらに抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の第3の特徴は、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用更生タイヤを製造する際に使用される割モールドである更生用モールドであって、新品時における航空機用新品タイヤの断面形状及び寸法と同一に航空機用更生タイヤを設計することを条件として更生用モールドの内径を“D”とし、航空機用新品タイヤの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、航空機用新品タイヤを成型する際に使用される新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たすことを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造不良及び外観不良を確実に抑制することができる航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法、及び、該航空機用更生タイヤを製造する際に使用される更生用モールドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る航空機用更生タイヤ製造方法及び更生用モールドの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(航空機用空気入りラジアルタイヤの構成)
まず、本実施の形態に係る航空機用空気入りラジアルタイヤの構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る航空機用空気入りラジアルタイヤを示すトレッド幅方向断面図である。
【0019】
なお、航空機用空気入りラジアルタイヤは、新品時における航空機用空気入り新品ラジアルタイヤと、市場走行から返却された航空機用空気入り中古ラジアルタイヤと、航空機用空気入り中古ラジアルタイヤのトレッド部にバッフィング(削り加工)処理が施されて予め成形されたトレッド部が貼り付けられた更生グリーンタイヤと、該更生グリーンタイヤが更生用モールドにより加硫されて製造される航空機用空気入り更生ラジアルタイヤとを含む。
【0020】
以下において、この航空機用空気入りラジアルタイヤを「航空機タイヤ1」と称し、航空機用空気入り新品ラジアルタイヤを「新品タイヤ1A」と称し、航空機用空気入り中古ラジアルタイヤを「中古タイヤ1B」と称し、更生グリーンタイヤを「グリーンタイヤ1C」と称し、航空機用空気入り更生ラジアルタイヤを「更生タイヤ1D」と称する。
【0021】
図1に示すように、航空機タイヤ1は、一対のビード部3と、一対のサイドウォール部5と、これらのサイドウォール部5を繋ぐトレッド部7と、該トレッド部7のタイヤ径方向内側に位置するベルト部9とを備えている。
【0022】
この航空機タイヤ1は、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%である。すなわち、内圧平均成長率(Gp)は、内圧0kPa時(図1左側)における航空機タイヤ1の外径(D)から、規定内圧時(図1右側)における航空機タイヤ1の外径(D)までの平気成長率である。
【0023】
(更生用モールドの構成)
次に、上述した更生タイヤ1Dを製造する更生用モールドの構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る更生用モールドを示す断面図であり、図3は、本実施の形態に係る更生用モールドのセクターモールドのみを示す分解斜視図である。
【0024】
なお、更生用モールド10(金型)とは、グリーンタイヤ1Cを更生タイヤ1Dに更生(成形)する際に使用される割モールドを示す。具体的には、まず、市場走行から返却された中古タイヤ1Bのトレッド部にバッフィング(削り加工)処理を施し、この中古タイヤ1Bに予め成形されたトレッド部を貼り付けてグリーンタイヤ1Cを製造する。次に、グリーンタイヤ1Cを更生用モールド10によって加硫することにより、更生タイヤ1Dを製造する。
【0025】
図2及び図3に示すように、更生用モールド10は、アウターリング13と、複数のセクターモールド15と、一対のサイドモールド17(上部サイドモールド17A及び下部サイドモールド17B)とを備えている。
【0026】
アウターリング13は、A方向へ移動することによって複数のセクターモールド15を航空機タイヤ1のタイヤ径方向内側へ移動させるリング傾斜面13Aを有し、環状をなしている。
【0027】
複数のセクターモールド15は、アウターリング13のA方向への移動に伴い、航空機タイヤ1のタイヤ径方向内側へ移動することによって航空機タイヤ1のトレッド部7のパターンを形成するセクター内周面15Aを有している。この複数のセクターモールド15は、図3に示すように、航空機タイヤ1のタイヤ径方向へ移動可能な複数の円弧状のセグメントから構成されている。このセクターモールド15が複数のセグメントから構成されているため、更生用モールド10は、割モールドと呼ばれている。
【0028】
サイドモールド17は、上部サイドモールド17Aと、下部サイドモールド17Bとを有している。上部サイドモールド17A及び下部サイドモールド17Bは、セクターモールド15の移動と共に互いに接近することによって航空機タイヤ1のサイドウォール部5を形成するサイド内周面17aを有している。
【0029】
ここで、更生用モールド10では、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の新品タイヤ1Aの断面形状及び寸法と同一に更生タイヤ1Dを設計することが前提条件である。このとき、更生用モールド10は、グリーンタイヤ1Cを加硫する際に該グリーンタイヤ1Cに充填する内圧を、タイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することが好ましい。
【0030】
上記条件において、図2及び図3に示すように、更生用モールド10では、該更生用モールド10の内径を“D”とし、新品タイヤ1Aの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、該新品タイヤ1Aを成型する際に使用される新品時モールド(不図示)の内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす。
【0031】
すなわち、更生用モールド10の内径(D)は、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004 により求められた値以上であり、かつ、新品時モールドの内径(D)以下に設定される。
【0032】
なお、更生用モールド10の内径(D)が上記式により求められた値よりも小さいと、更生用モールド10の内径(D)よりもグリーンタイヤ1Cの外径が大きくなってしまうことがあり、該グリーンタイヤ1Cのゴムのはみ出し不良等(製造不良)が発生しやすくなってしまう。
【0033】
一方、更生用モールド10の内径(D)が新品時モールドの内径(D)よりも大きいと、加硫時にグリーンタイヤ1Cが十分拡張しきれずに加硫不足が生じてしまい、接着不良等(製造不良)が発生してしまう。
【0034】
(航空機用更生タイヤ製造方法)
次に、上述した更生タイヤ1Dを製造する航空機用更生タイヤ製造方法について、図面を参照しながら説明する。この航空機用更生タイヤ製造方法では、(I)バッフィング処理工程、(II)トレッド貼付工程、(III)加硫工程とを少なくとも含む。
【0035】
なお、航空機用更生タイヤ製造方法においても、内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の新品タイヤ1Aの断面形状及び寸法と同一に更生タイヤ1Dを設計することが前提条件である。
【0036】
(I)バッフィング処理工程
まず、バッフィング処理工程では、市場走行から返却された中古タイヤ1Bのトレッド部をバッフィング(削り加工)処理を施す。
【0037】
(II)トレッド貼付工程
次に、トレッド貼付工程では、バッフィング処理が施された中古タイヤ1Bに、予め成形されたトレッド部を貼り付けてグリーンタイヤ1Cを製造する。
【0038】
(III)加硫工程
次に、加硫工程では、グリーンタイヤ1Cを更生用モールド10(図2及び図3参照)によって加硫することにより、更生タイヤ1Dを製造する。具体的には、加硫工程では、更生用モールドの内径を“D”とし、新品タイヤ1Aの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす更生用モールド10を使用する。このとき、グリーンタイヤ1Cを加硫する際に、該グリーンタイヤ1Cに充填する内圧を、タイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することが好ましい。
【0039】
(作用・効果)
以上説明した本実施の形態に係る航空機用更生タイヤ製造方法及び更生用モールド10によれば、上記式 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす更生用モールドを使用することによって、加硫する前のグリーンタイヤ1Cの外径のばらつきを考慮して更生用モールドの内径(D)を設定することが可能となるため、生産性を損なうことなく、製造不良及び外観不良を確実に抑制することができる。
【0040】
具体的には、加硫する前のグリーンタイヤ1Cの外径のばらつきを考慮して更生用モールドの内径(D)を設定することが可能であることによって、更生用モールド10の内径(D)よりもグリーンタイヤ1Cの外径が大きくなってしまうことなく、加硫時にグリーンタイヤ1Cが十分拡張するため、接着不良やはみ出し不良等の製造不良、及び、更生タイヤ1Dの外輪郭変形(ケース変形)等の外観不良を抑制することができる。
【0041】
また、グリーンタイヤ1Cに充填する内圧をタイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することによって、グリーンタイヤ1Cのゴムのはみ出し不良や接着不良等の製造不良をさらに抑制することが可能となる。
【0042】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0043】
具体的には、本実施形態に係る航空機タイヤ1は、ラジアルタイヤであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ラジアルタイヤ以外のタイヤ(例えば、バイアスタイヤ)であってもよい。
【0044】
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、以下の実施例及び比較例1,2に係る航空機タイヤを用いて行った試験結果について説明する。なお、各航空機タイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
【0046】
・ タイヤサイズ : 1400×530R23 40PR
・ 新品時モールドの内径(D) : 1362mm
・ 内圧平均成長率(Gp) : 1.5%
各航空機タイヤを製造した更生用モールドの内径(D)を表1に示す。なお、各更生用モールドの内径(D)以外は、全て同じ条件である。
【表1】

【0047】
表1に示す更生用モールドにより製造された各航空機タイヤの更生面剥離抗力及び製造不良の有無について、表2を参照しながら説明する。
【表2】

【0048】
<更生面剥離抗力>
各航空機タイヤを試験ドラムに装着し、1本目に実験する実施例に係る航空機タイヤにおける更生面(トレッド部)が剥離するまでの抗力(摩擦抵抗)である更生面剥離抗力を“100”として、その他の航空機タイヤの更生面剥離抗力を指数化した。なお、数値が大きいほど、更生面剥離抗力に優れている。
【0049】
この結果、実施例及び比較例2に係る航空機タイヤは、比較例1に係る航空機タイヤと比べ、更生面剥離抗力に優れていることが分かった。すなわち、更生用モールドの内径(D)が新品時モールドの内径(D)よりも小さい更生用モールドにより製造される航空機タイヤは、更生面剥離抗力に優れていることが分かった。
【0050】
<製造不良>
各更生用モールドにより製造された各航空機タイヤに規定内圧を充填し、製造不良(例えば、ゴムのはみ出しやモールド噛み、クラウンベア)が発生しているか否かを目視した。
【0051】
この結果、比較例1,2に係る航空機タイヤは、製造不良が多々見られるのの、実施例に係る航空機タイヤは、確実に製造不良が発生しないことが分かった。すなわち、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の範囲を満たす更生用モールドで製造された航空機タイヤは、確実に製造不良が発生しないことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係る航空機タイヤを示すトレッド幅方向断面図である。
【図2】本実施の形態に係る更生用モールドを示す断面図である。
【図3】本実施の形態に係る更生用モールドのセクターモールドのみを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1…航空機タイヤ、1A…新品タイヤ、1B…中古タイヤ、1C…グリーンタイヤ、1D…更生タイヤ、3…ビード部、5…サイドウォール部、7…トレッド部、9…ベルト部、10…更生用モールド、13…アウターリング、13A…リング傾斜面、15…セクターモールド、15A…セクター内周面、17…サイドモールド、17A…上部サイドモールド、17B…下部サイドモールド、17a…サイド内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用更生タイヤを製造する航空機用更生タイヤ製造方法であって、
新品時における航空機用新品タイヤの断面形状及び寸法と同一に前記航空機用更生タイヤを設計することを条件とし、
更生グリーンタイヤを前記航空機用更生タイヤに更生する際に使用される割モールドである更生用モールドの内径を“D”とし、前記航空機用新品タイヤの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、前記航空機用新品タイヤを成型する際に使用される新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たす前記更生用モールドを使用する加硫工程を含むことを特徴とする航空機用更生タイヤ製造方法。
【請求項2】
前記加硫工程では、前記更生グリーンタイヤを加硫する際に、前記更生グリーンタイヤに充填する内圧を、タイヤサイズに対応する規定内圧以上で充填することを特徴とする請求項1に記載の航空機用更生タイヤ製造方法。
【請求項3】
内圧0kPaから規定内圧までの内圧平均成長率(Gp)が1〜4%の航空機用更生タイヤを製造する際に使用される割モールドである更生用モールドであって、
新品時における航空機用新品タイヤの断面形状及び寸法と同一に前記航空機用更生タイヤを設計することを条件として、
前記更生用モールドの内径を“D”とし、前記航空機用新品タイヤの内圧0kpa時における外径平均値を“D”とし、前記航空機用新品タイヤを成型する際に使用される新品時モールドの内径“D”とすると、 {D+(Gp/1000)×(D+4)}×1.004≦D≦D の関係を満たすことを特徴とする更生用モールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−137228(P2009−137228A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318186(P2007−318186)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】