説明

色素増感太陽電池モジュールおよびその製造方法

【課題】複数の光電変換単位素子を接続する接続層によって、デッドスペースが生じる問題を解決する。また切削法の利点を生かしつつ、使用材料の無駄を抑制した色素増感太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】第1支持体と、第1支持体上に形成された導電層と、導電層上に形成された色素担持多孔質半導体からなる作用極と、作用極と所定間隔をあけて対向配置された対極と、導電層と対極間に配置された電解質とからなる光電変換単位素子を備える。そして、第1支持体上に複数形成した光電変換単位素子の間に配置された、前記作用極と同種の多孔質半導体からなる素子隔壁と、前記光電変換単位素子の1つの対極と、該光電変換単位素子と隣接する光電変換単位素子の導電層を電気的に接続する接続層とを具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色素増感太陽電池モジュールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料に代るエネルギー源として太陽光を利用する太陽電池が注目され、種々の研究が行われている。現在実用化されている太陽電池の主流は単結晶、多結晶、および非結晶シリコンからなる太陽電池であるが、これらは材料コストや製造プロセスにおけるエネルギーコストが高く、太陽電池の普及の大きな障害となっている。
そのため、低コストでの製造可能性がある太陽電池として色素増感太陽電池が注目されている。
【0003】
色素増感太陽電池は一般に、支持体と、色素を担持した多孔質半導体からなる作用極と、作用極に対向配置された対極と、支持体と対極間に配置された電解質とからなっている。この色素増感太陽電池は、作用極に入射した光が色素中の電子を励起すると、この電子は速やかに作用極を構成する多孔質半導体中へと移動し、電子を失った色素は電解質中のイオン(酸化還元対)から電子を受け取り、電子を失ったイオンは対極まで拡散移動し、対極から電子を受け取る。ここで作用極と対極とを(一般的には支持体表面の導電層を介して)電気的に接続すれば連続的に電流が流れ、太陽電池として動作する。
ところが、このような色素増感太陽電池単体(光電変換単位素子)の開放電圧は1V以下であり、一般的な電気機器に必要な電圧を得るためには複数の光電変換単位素子を接続(直列接続)してモジュール化する必要がある。そのため、複数の光電変換単位素子を1つの支持体上に形成し、ある光電変換単位素子の作用極と隣接する光電変換単位素子の対極とを直列接続する色素増感太陽電池モジュール構造について、従来いくつかの提案がなされてきた。
【0004】
例えば特許文献1には、発電領域外周を封止する封止層の外に接続部を形成した色素増感太陽電池モジュールについて記載されている。しかしながら、一般に太陽電池モジュールの接続部は発電に寄与しない領域、いわゆるデッドスペースであるため、このように封止層の外に接続部を形成することはデッドスペースの増加を意味し、あまり好ましい構造とはいえない。
【0005】
また、特許文献2には、対極を構成する導電材料を用いて接続部を形成した色素増感太陽電池モジュールについて記載されており、特許文献3特許文献4には、導電性粒子を混合した有機高分子を用いて、光電変換単位素子間を分離する隔壁(以下、素子隔壁)と接続層とを兼用した色素増感太陽電池モジュールについて記載されている。
また、特許文献5には、有機高分子で形成した一対の素子隔壁によって金属ペーストからなる接続層を挟持した色素増感太陽電池モジュールについて記載されている。
【特許文献1】特開2004−119082号
【特許文献2】特表平11−514787号
【特許文献3】特表2002−540559号
【特許文献4】特開2004−319112号
【特許文献5】特開2005−93252号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1から5に複数の光電変換単位素子を接続する技術が開示されているが、デッドスペースが生じるため満足できるものではなかった。
【0007】
また、一般的に、全ての色素増感太陽電池モジュールに共通して、支持体上に色素を担持して作用極とする多孔質半導体を複数の形成する際に、以下のような問題があることが知られている。
従来、色素増感太陽電池に用いる多孔質半導体の最も一般的な作製方法は、酸化チタンなどの半導体粒子懸濁液をドクターブレード法やスピンコート法またはスクリーン印刷法などによって支持体上に塗布し、これを焼成する方法(以下、塗布法)である。
このような塗布法を用いて複数の多孔質半導体を形成するためには、1つの多孔質半導体を形成した後にその一部を削り取って分割・パターン化する(以下、切削法)か、あらかじめパターンが形成されたメタルマスクやスクリーン版などを用いて印刷する方法(以下、マスク法)によることが考えられる。
【0008】
ここで、切削法とマスク法の両方法を比較検討する。
まず、切削法による多孔質半導体はマスク法による多孔質半導体に比べて良好な形状が得られるという利点を持つ。
これは、切削法においては固形の多孔質半導体をカッター、エンドミルなどの工具やレーザーなどにより加工するため、精度の高い加工ができるのに対し、マスク法における多孔質半導体は懸濁液であり、一般にペースト状であるので、流動性のために、不均一な側面領域が生じるためである。この領域はいわゆるダレ領域であり、平面視的には曲線、断面形状としてはテーパ形状をとる。
【0009】
このようなダレ領域は、所定の多孔質半導体厚(例えば20〜50μm)を得るためにマスク塗布および焼成を繰り返した際に、より顕著になる。
このようなダレ領域を持つ多孔質半導体を複数形成し、これら多孔質半導体間に素子隔壁などを形成する場合、多孔質半導体と素子隔壁との間隔を比較的広く取る必要がある。即ち、設計上およびアライメント誤差で必要な間隔に加えて、ダレによる多孔質半導体の広がりも考慮に入れて間隔をとる必要がある。しかしながら、このことはデッドスペースの増加を招く。
【0010】
次に、マスク法による多孔質半導体製造方法は切削法よりも使用材料を削減できるという利点を持つ。切削法においては一度形成した多孔質半導体の一部(不要部分)を除去するのに対し、マスク法においてはそもそも不要部分への塗布が行なわれないからである。
【0011】
本発明は、上記のように、複数の光電変換単位素子を接続する接続層によって、デッドスペースが生じる問題を解決するものであり、また色素増感太陽電池モジュールおよびその製造方法において、良好な形状の多孔質半導体が得られるという切削法の利点を生かしつつ、使用材料の無駄を抑制した色素増感太陽電池モジュールと、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来の切削法において除去されていた多孔質半導体の一部を素子隔壁として利用することにより、半導体材料の無駄を省き、かつ良好な形状を持つ作用極および素子隔壁を得ることを基本原理とする。
すなわち、本発明の色素増感太陽電池モジュールは、上記課題を解決するために、第1支持体上に形成された導電層と、前記導電層上に形成された多孔質半導体に色素を担持してなる作用極と、前記作用極と所定間隔をあけて対向配置された対極と、前記導電層と前記対極間に配置された電解質とからなる複数の光電変換単位素子と、前記複数の光電変換単位素子間に配置された、前記多孔質半導体と同種の多孔質半導体からなる素子隔壁と、前記光電変換単位素子の1つの対極と、該光電変換単位素子と隣接する光電変換単位素子の導電層を電気的に接続するために、前記素子隔壁と前記隣接する光電変換単位素子の間に配置された接続層とを具備してなる。
【0013】
ここで、本発明の色素増感太陽電池モジュールは、第1支持体と共に複数の光電変換単位素子を挟持する第2支持体をさらに有することが好ましい。
また、本発明の色素増感太陽電池モジュールは、多孔質半導体の空孔中に充填された有機高分子を有することが好ましく、作用極と素子隔壁とが、同一の多孔質半導体から分割形成されることが特に好ましい。
また、本発明の色素増感太陽電池モジュールでは、接続層は対極が延長されてなることが好ましい。
また、本発明の色素増感太陽電池モジュールは、前記素子隔壁が一対形成され、前記接続層が一対の素子隔壁の間に形成されることが好ましく、接続層が導電性粒子と有機樹脂の混合物からなり、有機樹脂と多孔質半導体の空孔中に充填された有機高分子とが同一材料からなることが特に好ましい。
さらに、本発明の色素増感太陽電池モジュールの製造方法は、第1支持体表面に多孔質半導体を形成する工程と、多孔質半導体を作用極領域と素子隔壁領域とに分割する工程とを含む製造方法である。特に、分割する工程が切削法であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切削法の利点を生かし良好な形状の多孔質半導体を得るとともに使用材料の無駄を抑制し、またデッドスペースを生じない接続部を備える色素増感太陽電池モジュールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の実施形態1を、図1を用いて説明する。
<実施形態1>
実施形態1における色素増感太陽電池モジュール100は複数の光電変換単位素子101,102・・・を横一列、縦一列、斜めまたはマトリックス状に並べて構成される。各光電変換単位素子101,102・・・は、第1支持体1表面に多孔質半導体2に色素を担持してなる作用極2aと、第1支持体1と作用極2aの間に配置されて作用極2aで発生した電子を集める導電層3と、作用極2a表面に形成された多孔質絶縁層14と、多孔質絶縁層14表面に形成された対極5と、作用極2aと多孔質絶縁層14の空孔中に充填された、すなわち導電層3と対極5との間に配置された電解質6とからなる。
このように構成された各光電変換単位素子101,102・・・は、素子隔壁7と、対極5を構成する導電材料が延長して形成され、かつ、作用極2aと素子隔壁7との間に多孔質絶縁層14を介して挟持され、隣接する光電変換単位素子の導電層3に接続する接続層8を備えてなる。従って、接続層8は、素子隔壁7によって隣接する光電変換単位素子との作用極と絶縁される。
なお、直列接続された光電変換単位素子の両端は、素子隔壁7および接続層8を備えない。即ち、図1の左端の光電変換単位素子101は、対極5が第1支持基板1の端部まで延長され、直列接続の一方の端子を形成する。また右端の光電変換単位素子は、導電層3が第1支持基板1の端部まで延長されて直列接続の他方の端子となる。
【0016】
これにより、対向した作用極2aと対極5およびその間に配置された電解質6によって光電変換単位素子101,102・・・が形成され、一方の光電変換単位素子101における作用極2aと、他方の光電変換単位素子102における対極5とが(導電層3を介して)接続層8によって電気的に接続され、直列接続される。
なお、導電層3と3の間に空孔中に電解質6が充填された多孔質絶縁層14が存在するが、電解質中のキャリアは、導電層3に触媒効果がなく、反応しないため、隣接する導電層3と3が多孔質絶縁層14の空孔中に充填された電解質6によって、短絡されることはない。
【0017】
この素子隔壁7は、素子製造時および製造後における対極5の形状維持と、色素増感太陽電池モジュール100の強度維持などの働きをする。
ここで作用極2aと素子隔壁7は、第1支持体1上に一体として形成された多孔質半導体2から分割されたものである。作用極2aは、多孔質半導体2に色素を担持させてなる。素子隔壁7は、多孔質半導体2に有機高分子を充填してなる。多孔質半導体をサンドブラストや切削工具レーザースクライブ等によって切削することで分割することにより、高精度で、良好な断面形状を持つ。例えば断面テーパ角が60°以上90°以下、好ましくは65°以上85°以下。さらに好ましくは70°以上80°以下。使用目的によっては逆テーパも可能である。このようにして、従来の切削法において除去されていた多孔質半導体2の一部を素子隔壁7とすることにより、材料の無駄を抑え、製造容易な色素増感太陽電池モジュールとすることができる。
【0018】
本実施形態1における色素増感太陽電池モジュール100においては、複数の光電変換単位素子全体を図示しない有機高分子フィルム等で覆い、支持体1の周縁部を封止しておくことが好ましい。これにより、電解質6に使用した電解液等の漏出や外部からの水分侵入などを防ぐことができ、色素増感太陽電池モジュール100の長期信頼性を向上しうるからである。このような有機高分子フィルムは第2支持体と見なすことができる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施態様(以下「実施形態2」)を、図2を用いて説明する。
<実施形態2>
実施形態2における色素増感太陽電池モジュール200は複数の光電変換単位素子201,202・・・を横一列、縦一列、斜めまたはマトリックス状に並べて構成される。各光電変換単位素子201,202・・・は、第1支持体1と、第2支持体10により構成される。第1支持体1は、その表面に分割配置された多孔質半導体2に色素を担持してなる作用極2aと、第1支持体1と作用極2aの間に配置されて作用極2aで発生した電子を集める導電層3を備える。第2支持体10は、対極5が複数配置される。第1支持体1と第2支持体10は対向配置され、導電層3と対極5との間に電解質6が配置される。
このように構成された各光電変換単位素子201,202・・・は、一対の素子隔壁7と、一対の素子隔壁7の間に挟持された接続層8を備えてなる。また、図2中の符号34は導電層3と対極5を電気的に接続する導電性接着層である。従って、接続層8は、一対の素子隔壁7によって互いに隣接する光電変換単位素子と絶縁され、かつ光電変換単位素子の対極5と隣接する光電変換単位素子の導電層3を接続する。
なお、直列接続された光電変換単位素子の両端は、素子隔壁7および接続層8を備えない。即ち、図1の左端の光電変換単位素子201は、対極5が第2支持基板10の端部まで延長されて直列接続の一方の端子を形成し、また右端の光電変換単位素子は、導電層3が第1支持基板1の端部まで延長されて直列接続の他方の端子となる。
【0020】
これにより、対向した作用極2aと対極5およびその間に配置された電解質6によって光電変換単位素子201,202・・・が形成され、一方の光電変換単位素子201における作用極2aと、他方の光電変換単位素子202における対極5とが接続層8によって電気的に接続され、直列接続される。
なお、導電層3と3の間にも電解質6が配置されるが、電解質中のキャリアは、導電層3に触媒効果がなく、反応しないため、隣接する導電層3と3が電解質6によって、短絡されることはない。
作用極2aと素子隔壁7は、実施形態1と同様に、多孔質半導体2をサンドブラスト切削工具またはレーザースクライブ等によって切削し分割されたものであり、作用極2aは、多孔質半導体2に色素を担持させてなり、素子隔壁7は、多孔質半導体2に有機高分子を充填してなる。
更に、電解質6に使用した電解液等の漏出や外部からの水分侵入などを防ぐことを目的として、ガラスフリットや熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などからなる封止層9によって色素増感太陽電池モジュール200の周縁部を封止しておくことが好ましい。
【0021】
以下、本発明の実施形態1及び2における色素増感太陽電池モジュール100,200の各構成要素について詳しく説明する。
<第1支持体1および第2支持体10>
本発明における第1支持体1および第2支持体10としては金属、ガラス、有機高分子などからなる基板またはフィルムが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
また、例えば図1に示すように第1支持体1のみからなり、第2支持体10を有しない構造も可能である。この場合に、色素増感太陽電池モジュール100を電解質6を満たしたケースや袋に入れて使用してもかまわない。
なお、第1支持体1と第2支持体10の少なくとも一方が光透過性を持つ必要がある。光透過性は少なくとも可視光を平均10%以上透過し、通常は平均50%以上、好ましくは平均70%以上透過することが望ましい。
【0022】
<多孔質半導体2>
本発明における多孔質半導体2を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の公知の半導体を1種類または2種類以上組み合わせて用いることができるが、変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。
一般に、多孔質半導体を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、陽極酸化法など種々の公知の方法を使用することができる。ただし本発明における多孔質半導体2の形成方法としては、厚膜化や製造コストの観点より、第1支持体1上に半導体粒子懸濁液をスクリーン印刷法、スピンコート法、ドクターブレード法などにより塗布し、その後焼成する方法(塗布法)を好ましく挙げることができる。
【0023】
多孔質半導体2の膜厚は、特に限定されるものではないが、光電変換効率の観点より、5μm以上50μm以下が好ましい。
光電変換効率を向上させるためには、多孔質半導体2に色素をより多く担持させることが必要である。このため、多孔質半導体2は、比表面積の大きなものが好ましい。具体的には10m2/g以上200m2/g以下(例えばBET担持法により測定)を挙げることができる。
半導体粒子としては、市販されているもののうち適当な平均粒径、例えば1nm以上500nm以下を有する半導体粒子を好ましく用いることができる。
上述の多孔質半導体2の焼成は、使用する半導体粒子の種類や平均粒径により、焼成温度、焼成時間等の条件を適宜調整して行われる。例えば、大気下又は不活性ガス雰囲気下、120℃以上800℃以下、10分以上2時間以下の焼成が好ましく行われる。また、焼成は単一の温度で1回のみ行なってもよいし、温度を変化させつつ1回、さらには単一の温度で2回以上または温度を変化させて2回以上行なってもよい。
【0024】
<色素>
本発明における色素増感太陽電池モジュールに用いる色素としては、可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつ種々の色素(金属錯体や有機色素)を挙げることができる。例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等を挙げることができ、これら色素を多孔質半導体2に担持して色素増感太陽電池の作用極2aを形成する。
【0025】
色素を多孔質半導体2に担持させる方法としては、例えば色素溶液を多孔質半導体2に塗布(スプレー塗布を含む)する方法、または多孔質半導体2を色素溶液に浸漬(加熱還流する場合を含む)する方法が挙げられる。多孔質半導体2を5分以上100時間以下の間色素溶液に浸漬し、これを取り出した後に洗浄および乾燥を行なうことが好ましい。
色素溶液に用いる溶媒は、色素を溶解可能なものであれば任意である。具体的には、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、水等が挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。
溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができるが、担持機能を向上させるためにはできるだけ高濃度のほうがよい。例えば1×10-5mol/l以上であることが好ましく、5×10-5mol/l以上1×10-2mol/l以下であることが特に好ましい。
【0026】
<導電層3>
本発明における導電層3は作用極2aと電気的に接続され、光照射によって作用極2aで発生した電子を集める働きをする。そのため一般的には第1支持体1上に直接形成される。
導電層3の材料としては金属(例えば金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン等の金属やステンレス等の合金)またはインジウム錫酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ、ニオブがドープされた酸化チタン等の導電性金属酸化物、またはカーボンが好適に用いられ、これらを真空蒸着法、メッキ法、スパッタ法、PVD法、塗布法など、公知の方法で形成することができる。ただし第1支持体1を光透過性とし、これを光入射側とする場合には、透明性や電気抵抗値の観点からフッ素ドープ酸化スズを用いることが好ましい。
なお、色素増感太陽電池モジュール作製のためには複数の導電層3を形成する必要がある。これら複数の導電層3それぞれは正方形または長方形(ストライプ)に形成されるのが一般的であるが、これに限定されるものではなく、三角形、五角形以上の多角形、または櫛歯状や網目状、放射状などの形状を採ってもよい。
このような複数の導電層は、第1支持体1上に一面に形成された導電層をレーザー、フォトリソにより任意形状に分割して形成することができる。
【0027】
<対極5>
本発明における対極5は、作用極2aと所定間隔をあけて対向配置して一対の電極を構成するものであり、実施形態1における対極5は導電性を有する層である。例えば金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン等の金属やステンレス等の合金、ITO、酸化スズ等の金属酸化物またはカーボンを導電成分とする。作用極2a表面または多孔質絶縁層14(作用極2aと対極5との間に形成され、両者の直接接触を防止する層)表面に形成される。
【0028】
また、実施形態2における対極5は第2支持体10表面に形成された導電層である。例えば金、白金、チタン、タンタル、タングステン等の金属やステンレス等の合金、カーボン、ITO、酸化スズ等である。対極5の表面には電解質6との電荷移動を促進するため、白金やカーボンなどの触媒薄膜(薄膜が島状に形成されている場合を含む)を適宜形成することが一般的である。例えば白金薄膜の場合、その層厚は1nm以上1μm以下が好ましい。
【0029】
<電解質6>
本発明における電解質6は、第1支持体1と対極5間に配置され、イオン(酸化還元対)とその酸化還元対を保持可能な媒体からなる。
媒体として液体を用いれば電解液となり、固体を用いれば固体電解質、高分子ゲルを用いればゲル電解質となる。また、このような電解質6は作用極2aや多孔質絶縁層14等の空孔内に保持される場合もある。
酸化還元対の原料としては一般に、鉄系、コバルト系など金属類や、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンが用いられ、好ましくはヨウ素が用いられる。
ヨウ素を酸化還元対として用いる場合、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等の金属ヨウ化物と組み合わせて用いることが好ましい。さらに、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド等のイミダゾール塩等を混入させてもよい。
【0030】
上記酸化還元対を溶解し、保持するための溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられるが、その中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。溶媒の揮発が問題となる場合は、溶媒の代わりに溶融塩を用いてもよい。
なお、電解質6中の電解質濃度は、電解質の種類により適宜選択され得るが、一般的には0.01mol/l以上1.5mol/l以下の範囲が好ましい。
【0031】
<素子隔壁7>
本発明における素子隔壁7は、色素増感太陽電池モジュールにおける光電変換単位素子間を分離する。また、好ましくは対極5および/または接続層8の形状を維持する。
本発明における素子隔壁7は作用極2aと同種の多孔質半導体を含み、好ましくは同一の多孔質半導体から分割されてなり、さらに好ましくは多孔質半導体とその空孔中の有機高分子とによって構成される。
【0032】
作用極2aと素子隔壁7を同一の多孔質半導体2から分割形成することにより、切削法(良好な形状を持つ作用極2aを形成できるという利点を持つ)の欠点である多孔質半導体の材料の無駄を抑制することが出来る。また、スクリーン印刷機、ディスペンサ装置などの各種製造装置におけるアライメント回数を削減できるので、色素増感太陽電池モジュールのデッドスペース、即ちアライメント誤差を考えた冗長設計によるスペースの削減も期待できる。
【0033】
また、特に分割工程においては、例えば10〜50μm幅の微細加工も可能となり、デッドスペースを減少することができ、そのため支持体の面積に対する発電領域の比率が高い色素増感太陽電池モジュールを作製できる。
この分割はいかなる分割装置、分割方法を用いたものであってもよいが、例えばレーザースクライブ、サンドブラスト、加工工具による切削工程であるか、あるいはフォトレジストを用いたエッチングまたはリフトオフ工程であることを具体例として挙げることができる。
【0034】
さらに本発明における素子隔壁7においては、その空孔中に有機高分子を含むことを好ましい態様として挙げることができる。これにより接続層8と隣接する光電変換単位素子中の電解質6との分離や絶縁を確実にするばかりではなく、素子隔壁7の強度を上げ、太陽電池モジュールに対する外圧、例えば物が落ちてくる、作業者が誤って押さえるなどに対して強い色素増感太陽電池モジュールとなるからである。
さらに、空孔中に有機高分子が存在することにより、電解質6中に金属腐食性の電解質(特にヨウ素化合物)が含まれる場合であってもこれを有効に遮断でき、接続層8中にアルミニウム、銅、銀などの、導電率がよい金属材料が使用できるようになる。
【0035】
ここで、使用する有機高分子は、例えばシリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂などを好適に用いることができる。なお、これらのうち、光硬化性を持つ有機高分子を好ましく挙げることができる。光硬化性を持つ有機高分子を用いることにより、低粘度状態(硬化前)において容易かつ確実に多孔質半導体2の空孔中に充填でき、その後に、光照射により硬化することで素子隔壁7の強度を上げることができるからである。
【0036】
また、この充填工程は多孔質半導体の作用極領域と素子隔壁領域への分割前であっても、分割後であっても構わない。分割前に充填を行なえば、分割工程によって導電層3表面の不要物、即ち多孔質半導体や有機高分子の残渣が同時に取り除け、導電層3と接続層8の接続が容易になるという利点を持つ。分割後に充填を行なえば、充填領域の制限が容易になるという利点を持つ。この場合、素子隔壁7全体に充填することが好ましく、それ以外への充填は最小限とすることが好ましい。よって使用材料、構成等によって適宜選択すればよい。
【0037】
さらに、接続層8を導電性粒子と有機樹脂(有機高分子と同義。混同を避けるために便宜的に使い分ける)の混合物とすることにより、素子隔壁7に接して接続層8を構成する(有機樹脂を充填させる)工程において、同時に素子隔壁7を構成する多孔質半導体の空孔中に有機高分子を充填することを好ましい態様として挙げることができる。
すなわち、素子隔壁7と有機樹脂が接触すると、有機樹脂はLucas−Washburnの式に従い、素子隔壁7の空孔中へと浸透してゆく。
Lucas−Washburnの式とは、毛細管への液体の浸透を示した式で、以下のように表される。
L=(rtγcos(θ/2)η)1/2
ここで、Lは液体の浸透距離、rは毛細管の半径、tは浸透時間、γは液体の表面張力、θは毛細管壁と液体との接触角、ηは液体の粘度を示す。
この浸透(充填)は素子隔壁7の空孔壁と有機樹脂との塗れ性(接触角で表される)によって進行する。これに対して有機樹脂中の導電性粒子は樹脂の流れに沿って移動するだけだと考えられるので、通常は有機樹脂の充填が選択的に起こり、導電性粒子は素子隔壁7の表面に残留してゆく。
【0038】
このため、多孔質半導体からなる素子隔壁7の空孔中に有機高分子が充填されると共に、素子隔壁7の表面または一対の素子隔壁7の空隙に形成された導電層8は、導電性粒子の含有率が上がるため、混合物本来の導電率よりも優れた導電性を示すことになり、高性能な色素増感太陽電池モジュールを容易に製造できる。この多孔質半導体による有機樹脂と導電性粒子の選択的分離は、例えば導電性粒子の平均粒径を素子隔壁7の平均空孔径以上とすることにより、導電性粒子は隔壁の中に入らないためさらに顕著となる。
【0039】
<接続層8>
本発明における接続層8は、色素増感太陽電池モジュール100,200において、任意の光電変換単位素子101,201における作用極2aと、隣接する光電変換単位素子201,202における対極5とを電気的に接続している。
実施形態1の接続層8は対極5を延長することにより形成されるので、実施形態1の接続層8は対極5と同じ材質により構成される。
実施形態2の接続層8を形成する材料および形成法としては一般に、金属、例えば金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン等またはITO、酸化亜鉛、酸化スズ、ニオブがドープされた酸化チタン等の金属酸化物、またはカーボン等を公知の方法、例えばメッキ法、真空蒸着法、スパッタ法などで形成することを挙げることができるが、好ましい材料および形成方法としては有機樹脂、例えばシリコーン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂など中に金属やITO、酸化スズ、酸化亜鉛またはカーボンなどを含む導電性粒子を混合して導電性を持たせた導電性ペーストをスクリーン印刷またはディスペンサなどにより塗布する方法を挙げることができる。
【0040】
また、この接続層8同様に、光硬化性、熱硬化性、熱可塑性などの接着性を持つ有機高分子中に導電性粒子を混合して導電性を持たせた導電性接着剤を用いて、第1支持体1と第2支持体10および/または接続層8と対極5とを貼り合わせつつ電気的に接続する導電層接着層34とすることができる。
これら接続層8や導電性接着剤における導電性粒子と有機高分子の混合比率は任意であるが、例えば体積比率で導電性粒子が1%以上80%以下、好ましくは5%以上50%以下、特に好ましくは10%以上30%以下である。また、特に本発明に使用する導電性接着剤においては、導電性粒子の粒径や混合比率を制御することにより、導電方向に異方性を持つ導電性接着剤を作製、使用することが好ましい。
【0041】
<封止層9>
色素増感太陽電池モジュール200(実施形態2)においては、電解質6中の溶媒の揮発や、外部からの水等の浸入などを防ぐために、少なくとも第1支持体1と第2支持体10の外縁部を封止する封止層9を形成することが好ましい。ただし、電解質6の媒体として固体材料を用いるなどの対応により、溶媒の揮発や流出の心配がない場合には封止層9は必ずしも必要ではない。
また、実施形態1で述べたように第2支持体10を有機高分子フィルムとし、これを用いて複数の光電変換単位素子全体を覆い、周囲を融着することで電解質6中の溶媒の揮発や、外部からの水等の浸入を防ぐことも可能であり、この場合にも独立した封止層9は必要ではない。
【0042】
本発明における封止層9は、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂などからなり、単独で、または2種類以上の材料を組み合わせて用いることができる。
上記樹脂は熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の何れかの性質を持っていることが好ましい。
封止層9のパターンは、ペースト状樹脂を用いる場合はディスペンサやスクリーン印刷などの公知の方法によって形成することができる。また、シート状樹脂を用いる場合は、そのシート状樹脂をカッターやレーザー等を用いて切断し、パターン化すればよい。
【0043】
本発明における多孔質絶縁層14は、電気的に絶縁であり、太陽電池の構成材料に対して安定なものであれば特に限定されず、具体的にはSiO2やZrO2などの金属酸化物から形成される多孔質層などが挙げられる。
【実施例】
【0044】
以下、図3〜図6を参照することで本発明をさらに詳しく説明する。
第1支持体1として60mm角(厚さ4mm)のガラス基板(日本板硝子社製)を用いた。第1支持体1表面には、導電層3としてフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されている。
ここに、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名Ti−Nanoxide D/SP、平均粒径13nm)を用い、スクリーン印刷機による塗布と焼成(500℃で1時間)を繰り返すことにより45mm角、膜厚30μmの酸化チタン層31を形成した(図3(a))。
【0045】
作製した多孔質酸化チタン層31の平均空孔径は約20nmであった。この平均空孔径は、例えば液体窒素温度での窒素担持法により、Kelvinの式を用いて算出できる。
この多孔質酸化チタン層31上にパターニングされた金属板を置いて、サンドブラストをかけることにより、一対の素子隔壁領域32と多孔質半導体2とに分割した(図3(b))。
200メッシュのアルミナ粒子を研磨材として、サンドブラスト加工を行う。このとき、研磨材を0.1MPaの噴射圧力でセラミックス基板の表面に噴射させる。
一対の素子隔壁領域32は、幅0.5mm、間隔0.5mmで対になる。多孔質半導体2は幅5mm、素子隔壁7との間隔0.5mmになる。ただし、どちらかの(図3(b)〜図3(d)においては右)端にある素子隔壁領域33は、分割する必要はない。
【0046】
続いてND:YAGレーザーの基本波(1.06μm)を用いて導電層3を分割した。よって素子隔壁領域32と多孔質半導体2および導電層3は6セット形成されたことになる(ただし、図3(b)〜図3(d)には図面の簡略化のため3セットのみ示す)。
紫外線硬化型シリコーン樹脂(スリーボンド社製 ThreeBond3167C)に導電性粒子(積水化学社製ミクロパールAU:粒子径3μmと15μmの体積比1対1混合物)を混合して作製した導電性ペーストをディスペンサにより素子隔壁7の隙間に充填し、接続層8とした。この際、シリコーン樹脂が多孔質酸化チタン中に充填されることが確認できた.シリコーン樹脂充填後の素子隔壁領域32を素子隔壁7として示す。充填終了後に水銀ランプにて紫外線を照射し、シリコーン樹脂の硬化を行なった。
【0047】
次に、色素N719(Solaronix社製 Ru535bisTBA)を、3×10-4mol/lの濃度となるようエタノールに溶解し、色素溶液を調製した。この色素溶液に上記の第1支持体1を100時間25℃で保持し、色素を多孔質半導体2に担持させた。その後、エタノールで洗浄・乾燥を行ない、作用極2aを得た。
この際、素子隔壁7を構成する多孔質酸化チタンの空孔中にはシリコーン樹脂が充填されているので、ここに色素は担持されない(図3(c))。
【0048】
次に、第1支持体1と同じフッ素ドープ酸化スズ薄膜つきガラス基板表面に白金を薄く(50nm)スパッタしたものを準備した。ただし、この白金層は図示しない。
このガラス基板は第2支持体10であり、フッ素ドープ酸化スズ薄膜を対極5と見なすことができる。このフッ素ドープ酸化スズも第1支持体1同様、ND:YAGレーザーの基本波により分割する。また、第2支持体10には1mmφ程度の電解液注入口(図示せず)を開けておく。
市販のエポキシ接着剤(セメダイン社製、製品名ハイスーパー)に導電性粒子(積水化学社製ミクロパールAU:粒子径15μm)を混合して作製した導電性接着剤をスクリーン印刷にて素子隔壁7上に塗布して導電性接着層34とし、さらに第1支持体1の外縁部に厚さ50μmの熱可塑性フィルム(三井・デュポンポリケミカル社製、商品名ハイミラン)を配置して封止層9として、第1支持体1と第2支持体10とを100℃、10分間のプレスにより貼り合わせた。
【0049】
その後、電解液注入口より電解液を注入することで電解質6を形成した。この電解液はヨウ化リチウム(0.1M)、ヨウ素(0.01M)、t−ブチルピリジン(0.5M)、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.6M)のアセトニトリル溶液である。
最後に電解質注入口を上記熱可塑性フィルムにてシールすることで色素増感太陽電池モジュール600を製造した(図3(d))。
本実施例における作用極2aおよび素子隔壁7のテーパ角は75°〜80°であり、平面視的にもほぼ直線と見なせる、良好な形状を持つことが分かった。
なお、得られた光電変換素子モジュール600に、1kW/m2の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して光電変換効率を測定したところ、短絡電流36.1mA、開放電圧4.3V、FF=0.65、変換効率5.3%(アパーチャ面積)であった。この開放電圧は同様に形成した光電変換単位素子6個の和とほぼ同程度であり、各光電変換単位素子が良好に直列接続されていることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態1における色素増感太陽電池モジュールを示す断面該略図である。
【図2】実施形態2における色素増感太陽電池モジュールを示す断面該略図である。
【図3】実施例1における色素増感太陽電池モジュールの製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0051】
1 第1支持体
2 多孔質半導体
2a 作用極(多孔質半導体2に色素を担持してなる)
3 導電層
5 対極
6 電解質
7 素子隔壁
8 接続層
9 封止層
10 第2支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持体上に形成された導電層と、前記導電層上に形成された多孔質半導体に色素を担持してなる作用極と、前記作用極と所定間隔をあけて対向配置された対極と、前記導電層と前記対極間に配置された電解質とからなる複数の光電変換単位素子と、
前記複数の光電変換単位素子間に配置された、前記多孔質半導体と同種の多孔質半導体からなる素子隔壁と、
前記光電変換単位素子の1つの対極と、該光電変換単位素子と隣接する光電変換単位素子の導電層を電気的に接続するために、前記素子隔壁と前記隣接する光電変換単位素子の間に配置された接続層と
を具備したことを特徴とする色素増感太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記第1支持体と共に前記複数の光電変換単位素子を挟持する第2支持体をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記素子隔壁は、前記多孔質半導体の空孔中に充填された有機高分子を有することを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記作用極と前記素子隔壁は、同一の多孔質半導体から分割形成された多孔質半導体よりなることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記接続層は、前記対極が延長されてなることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記素子隔壁は一対形成され、前記一対の素子隔壁の間に接続層が形成されたことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記接続層は、導電性粒子と有機樹脂の混合物からなり、前記有機樹脂と前記多孔質半導体の空孔中に充填された有機高分子とが同一材料からなることを特徴とする請求項6に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記第1支持体表面に前記多孔質半導体を形成する工程と、前記多孔質半導体を作用極領域と素子隔壁領域とに分割する工程とを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の色素増感太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記分割する工程が切削法であることを特徴とする請求項8に記載の色素増感太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−276961(P2008−276961A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115716(P2007−115716)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】