説明

芯材を有する押出し成形品

【課題】自動車のドア、トランク、バックドア等の車体開口周縁のフランジに装着する芯材を有する押出し成形品及びその製造方法。
【解決手段】芯材を有する押出し成形品は、長手方向に断面略U字状の芯材と熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部を有する被覆層とを形成し、該芯材の断面略U字状の内側に粘着性を有する熱可塑性エラストマー組成物からなる圧接部を押出し成形によって一体成形した事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア、トランク、バックドア等の各種車体の開口周縁のフランジに装着するウェザーストリップ、トリム等の芯材を有する押出し成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア、トランク、バックドア等の各種車体の開口周縁のフランジに装着するウェザーストリップ、トリム等の芯材を有する押出し成形品は、長手方向に断面略U字状の芯材と該芯材の外側に中空状シール部を有する被覆層とを一体成形され、該芯材の断面略U字状の連結部の内側にスポンジゴムからなる圧接部が一体成形され、該圧接部をフランジの端部に弾性圧接して装着し、水浸入防止や走行中の騒音等の防止の密封性の向上を図っているが、スポンジゴムだとフランジと粘着せずに完全に密封ができず、更に、圧接部の復元力が大きくて圧接部とフランジの間に隙間が生じてしまう。また、完全な密封ができないためにフランジ先端部に錆が発生する問題点が発生している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明ものは、上記の問題点を解決するもので、芯材を有する押出し成形品及びその製造方法は、硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材と該芯材の外側に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部と熱可塑性エラストマーからなる被覆層とを形成し、該芯材の断面略U字状の連結部の内側に熱可塑性エラストマー組成物からなる粘着性を有する圧接部を一体的に形成された押出し成形品において、該圧接部が軟質で粘着性を有する熱可塑性エラストマー組成物によって形成することで、フランジが圧接部に粘着して密封することができ、軟質で反ぱつ弾性を小さくし、簡単に押圧、圧接して食い込むことができ、水浸入防止や走行中の騒音等の進入防止の密封性の向上と完全な密封状態によって、フランジ先端部の錆の発生を防ぐ等の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
芯材を有する押出し成形品(1)において、長手方向に硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部(2)と熱可塑性エラストマーからなる被覆層(8)とを形成し、該芯材(3)の断面略U字状の連結部(6)の内側に熱可塑性エラストマー組成物からなる粘着性を有する圧接部(4)を一体的に形成するものである。
【0005】
更に、圧接部(4)は硬さHDA(JIS K6253、15秒後値)25以下の熱可塑性エラストマー組成物を使用するものである。
【0006】
そして、本発明の該圧接部(4)の熱可塑性エラストマー組成物が、
(a)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部。(但し、重合体ブロックBポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、または該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)
(b)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有するところのブロック共重合体、またはイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体。)45〜660重量部。
(c)曲げ弾性率が50〜1000MPaの結晶性オレフィン系樹脂10〜35重量部。
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤220〜450重量部。
(e)水添石油樹脂10〜180重量部。
を特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
【0007】
また、圧接部(4)が該芯材(3)の断面略U字状の連結部(6)及び相対する側部(7)(7)の内側に形成するものである。
【0008】
さらに、該圧接部(4)には中空部(5)を形成し、中空部(5)を形成した該圧接部(4)が、該芯材(3)の内側に延長して一体成形するものである。
【0009】
そして、該圧接部(4)には、溝部(10)を形成するものである。
【0010】
また、該圧接部(4)には、多数の突起部(14)(14)を形成するものである。
【0011】
また、圧接部(4)または中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーが発泡体からなるものである。
【0012】
さらに、芯材を有する押出し成形品の製造方法としては、硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)は、第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーまたはその発泡体と第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物またはその発泡体とが該第2金型ダイス(29)の内部で一体的に押出し成形されるものである。
【0013】
さらに、芯材(3)から連続して製造する芯材を有する押出し成形品の製造方法としては、第1押出し成形機(21)に硬質合成樹脂を注入し、第1金型ダイス(22)によって断面略U字状の芯材(3)を形成し、その後、第1冷却水槽(23)を通過後に切除機(25)によって断面略U字状の芯材(3)の側部(7)(7)または側部(7)(7)及び連結部(6)の一部に各種形状の切除部(16)(16)を所望する形状に切除され、該芯材(3)は第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーまたはその発泡体と第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物またはその発泡体とが該第2金型ダイス(29)の内部で一体的に押出し成形されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されているので、従来のこの種の自動車の開口周縁に装着する芯材を有する押出し成形品のように、断面略U字状の芯材の連結部の内側にスポンジゴムからなる圧接部が一体成形され、該圧接部をフランジの端部に弾性圧接して装着し、水浸入防止や走行中の騒音等の防止と密封性の向上を図っているが、スポンジゴムだとフランジとの接合面が粘着せず、且つ、反ぱつ弾性が大きいために完全に密封ができずに、圧接部の復元力が大きくて圧接部とフランジの間に隙間が生じてしまう。さらに、完全な密封ができないためにフランジ先端部に錆が発生する問題点を解決するために、本発明のものは、硬質合成樹脂からなる芯材の外側に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部と被覆層とを形成し、該芯材の断面略U字状の連結部の内側に熱可塑性エラストマー組成物からなる粘着性を有する圧接部を一体的に押出し成形することで、フランジが圧接部に粘着して密封することができ、水浸入防止や走行中の騒音等の侵入防止の密封性の効果と、フランジ先端部の錆の発生を防ぐ効果がある。
【0015】
更に、圧接部を形成する材料の物性を硬さHDA(JIS K6253 15秒後値)25以下の熱可塑性エラストマー組成物にすることによっては、圧接部の材質がもっと軟質になることで、フランジが圧接部に簡単に押圧、圧接して食い込むことができ、密封性が向上する効果がある。
【0016】
そして、圧接部が該芯材の断面略U字状の連結部及び両側部の内側に一体成形されたことで、フランジの位置が芯材の側部の左右にずれても、圧接部が芯材の両側部まで形成されているため安定して密封する効果がある。
【0017】
また、圧接部の内部に中空部に形成することで、圧接部の復元力が小さくなりフランジと圧接部の粘着性が高まる効果がある。さらに圧接部を芯材の内側に延長して形成することで、圧接部が芯材に接する面積が増大し、強固に一体成形できる。
【0018】
そして、圧接部の表面に多数の溝部を形成することで、溝部にフランジが弾性に抗して食い込み易くなる、粘着性と密封性を高める効果がある。
【0019】
また、該圧接部には、多数の突起部を形成することで、フランジと突起部の復元力が弱まり、粘着性が高まる効果もある。
更に、圧接部または中空状シール部を形成する熱可塑性エラストマーが発泡体からなることで押出し成形品を軽量化にする効果もある。
【0020】
更に、硬質合成樹脂を第1押出し成形機によって断面略U字状の芯材を形成した後に、引取ローラーと切除機によって連続して切除部を容易に形成し、第2金型ダイス内において、第2押出し成形機、第3押出し成形機および第4押出し成形機による被覆層、発泡体よりなる中空状シール部および粘着性を有する圧接部とを各々順次確実容易に連続して一体的に押出し成形されると云う便利で製造コストが安価となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態として図面について説明すると、図1に示すものは、自動車のドア、トランク、バックドア等の車体開口部周縁のフランジに装着する芯材を有する押出し成形品(1)の請求項1で述べている断面図を示すもので、長手方向に硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部(2)と熱可塑性エラストマーからなる被覆層(8)とを形成し、該芯材(3)は、断面略U字状で連結部(6)と側部(7)(7)を形成し、該連結部(6)の内側に中空部(5)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物からなる圧接部(4)を形成する。該圧接部(4)の形状は必要に応じて半円形、長方形、半楕円形、波形状等のさまざまな各種の形状によって形成され、中空状シール部(2)の形状は必要に応じて角形、円形、楕円形等のさまざまな各種の形状によって形成される。側部(7)(7)と圧接部(4)の間に空間部(18)が形成している。
【0022】
更に、圧接部(4)は硬さHDA(JIS K6253 15秒後値)25以下の熱可塑性エラストマー組成物を使用するものである。
【0023】
圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物の成分が、
成分(a):芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部。(但し、重合体ブロックBポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、または該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)
成分(b):芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有するところのブロック共重合体、またはイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体。)45〜660重量部。
成分(c):曲げ弾性率が50〜1000MPa、好ましくは50〜700MPaの結晶性オレフィン系樹脂10〜35重量部。
成分(d):非芳香族系ゴム用軟化剤220〜450重量部。
成分(e):水添石油樹脂10〜180重量部。
からなる熱可塑性エラストマー組成物である。
【0024】
図2に示すものは、請求項4を示すもので、圧接部(4)は断面略U字状の芯材(3)の連結部(6)及び相対する側部(7)(7)の内側に形成している。
【0025】
図3に示すものは、請求項5を示すもので、連結部(6)の内側に形成した、圧接部(4)の内部に中空部(5)を形成している。
そして、図4のものは、押出し成形品(1)の圧接部(4)が車体パネル(11)のフランジ(12)の先端のフランジ端部(13)に押圧した状態を示した断面図である。
【0026】
図5に示すものは、請求項6を示すもので、中空部(5)が形成された圧接部(4)が芯材(3)の内側に延長して一体成形されている。
【0027】
図6に示すものは、請求項7を示すもので、圧接部(4)に溝部(10)が形成され、図7のものは、芯材(3)の周囲全体に被覆層(8)が形成され、圧接部(4)が中空部(5)の周囲を包むように芯材(3)の内側に延長され一体形成されている。そして、図8のものは、中空部(5)を形成する圧接部(4)の肉厚が一定の厚みでない断面を示し、被覆層(8)が部分的に熱融着せず非熱融着部(17)を形成している。そして、中空状シール部(2)が円形状に形成されているものである。
【0028】
図9に示すものは、請求項8を示すもので、圧接部(4)に多数の突起部(14)(14)が鋸歯状に形成している。また、図10に示すように、多数の突起部(14)(14)が不揃いの大きさの形状に形成することもある。
そして、図11に示すものは、硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)を示し、切除部(16)(16)が相対向する側部(7)(7)と連結部(6)の一部に形成され、図12に示すものは、切除部(16)(16)が互い違いに側部(7)(7)と連結部(6)の一部に形成されている。
【0029】
図13に示すものは、請求項11で述べている硬質合成樹脂からなる芯材(3)に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部(2)、被覆層(8)と圧接部(4)による製造方法の実施例を示したもので、図11、図12に示す如く各種形状の切除部(16)(16)を形成した芯材(3)は、第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物が該第2金型ダイス(29)の内部で、該芯材(3)の周囲と連結部(6)の内側に熱融着し、その後第2冷却槽(31)を通過する。符号(30)は、注入管を示すものである。
【0030】
図14に示すものは、請求項12で述べている硬質合成樹脂からなる芯材(3)に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部(2)、被覆層(8)と圧接部(4)の押出し成形を連続した製造方法の実施例を示したもので、第1押出し成形機(21)に硬質合成樹脂を注入し、第1金型ダイス(22)によって断面略U字状の芯材(3)を形成し、その後、第1冷却水槽(23)を通過後に引取ローラー(24)を経て、切除機(25)によって断面略U字状の芯材(3)の側部(7)(7)または側部(7)(7)および連結部(6)の一部に図11、図12に示す如く芯材(3)に各種形状の切除部(16)(16)を所望する形状に切除される。
その後、第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物が該第2金型ダイス(29)の内部で、該芯材(3)の周囲と連結部(6)の内側に熱融着し、その後第2冷却槽(31)を通過する。芯材(3)と被覆層(8)は熱融着されているが、図8の如くに部分的に熱融着せず非熱融着部(17)を形成するだけのこともある。
【0031】
更に、図15に示すものは、従来の実施されている芯材を有する押出し成形品の断面を示し、該芯材(3)の連結部(6)の内側にスポンジゴムの圧接部(4)を形成したものである。図16に示すものは、図15の芯材を有する押出し成形品(1)がフランジ(12)に装着し、圧接部(4)の粘着性がなく、復元力が大きいために、フランジ端部(13)と圧接部(4)の間に隙間(15)が発生している状態を示したものである。また、図17は、本発明の押出し成形品(1)を使用した水漏れ試験の試験方法の断面の概略を示し、押出し成形品(1)を金属製の実験用水槽(33)に組みつけて、圧接部(4)が押圧され、水(32)を実験用水槽(33)の内側および中空状シール部(2)の高さの途中までに満たした断面を示しているものである。符号(34)は水槽外部を示す。
【0032】
また、本発明に使用する材料の使用例としては、断面略U字状の芯材(3)は硬質合成樹脂からなり、硬質合成樹脂としては硬さHDA(JIS K6253 15秒後値)85以上のオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂にタルク等の粉体を20〜50重量%混合した混合合成樹脂を使用し、剛性を高め、線膨張係数を小さくする。例えばポリプロピレン樹脂100重量%の合成樹脂芯材の線膨張係数が1.4×10−4に対して、ポリプロピレン樹脂60重量%とタルクの粉体を40重量%混合した混合合成樹脂によって、線膨張係数を0.33×10−4に小さくして使用することもある。
【0033】
更に、被覆層(8)または中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーの材料の使用例としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはその発泡体、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはその発泡体が使用される。また、被覆層(8)、中空状シール部(2)の硬さによる使い分けの使用例としては、例えば被覆層(8)を形成する熱可塑性エラストマーとしては、硬さHDA(JIS K6253、15秒後値)40〜80が使用され、中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーとしては、硬さHDA(JIS K6253、15秒後値)20〜40が使用されるものである。
【0034】
また、圧接部(4)が簡単に押圧、圧接できるように、圧接部(4)が硬さHDA(JIS K6253 15秒後値)25以下の軟質の熱可塑性エラストマー組成物によって形成され、好ましくはHDA(JIS K6253 15秒後値)が1〜20によって形成される。そして、圧接部(4)のその他の物性としては100%伸び時の引張応力(JIS K6251)が0.05〜0.5Mpa、または反ぱつ弾性(JIS K6255)が30%〜70%に該当する軟質の熱可塑性エラストマー組成物またはその発泡体を使用するのが好ましいものである。
【実施例1】
【0035】
以下に本発明の圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物の実施例および比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例および比較例で使用した材料および試験方法は以下の通りである。
【0036】
材料
成分(a):
水添SIS:ハイブラー7125(クラレ株式会社製)
スチレン含有量:20重量%,イソプレン含有量:80%
水素添加率90%
3,4−結合:約60%
1,4−結合:約40%
成分(b):
SEEPS:セプトン4077(クラレ株式会社製)
スチレン含有量:30重量%,イソプレン含有量:70%
水素添加率90%以上
数平均分子量 260,000
重量平均分子量320,000
成分(c):
PP:実施例 FX4E(日本ポリプロ株式会社製)
ポリプロピレン,MFR 5.3g/10min,曲げ弾性率 650MPa
比較例 EA9(日本ポリプロ株式会社製)
ポリプロピレン,MFR 0.5g/10min,曲げ弾性率 1800MPa
成分(d):
パラフィンオイル:PW−90(出光興産社製)、n−パラフィン系オイル、重量平均分子量540、40℃における動的粘度95.54cSt、
100℃における動的粘度11.25cSt、流動点−15℃、引火点(COC)270℃
成分(e):
水添石油樹脂:アイマープ P140(出光石油化学株式会社製)
C5−芳香族系共重合水素添加樹脂
上記実施例は、各成分を一括で溶融混練した。溶融混練条件は、次の通りであった。2軸系押出機(L/D=47)を使用し、混練温度160℃〜240℃及びスクリュー回転数100rpm。得られた樹脂組成物について上記した試験を行い、その結果を表1に示す。
比較例10
TPS:スチレン系樹脂
リケンテクノス株式会社製 レオストマー LJ−1040N
比較例11
TPO:オレフィン系樹脂
リケンテクノス株式会社製 マルチューズレオストマー LE−3140N
【0037】
試験方法
(1)硬さ:HDA(JIS K6253 15秒後値)に準拠し、6mm厚のプレスシートを試験用として用いて測定を行った。
(2)圧縮永久ひずみ(%):JIS K6262に準拠し、プレス成形によって得られた直径:13mm、厚さ:6.3mmの円柱状の試験片を使用した。試験条件は、圧縮率25%、70℃×22時間とした。
(3)粘着力(N/100mm幅):塗装板(板厚3mm×100mm長さ)に1mm厚のプレスシートをセットし、荷重500gを加える。23℃×24時間後に引張試験機(引張速度10mm/分)で測定する。
(4)水漏れ試験:図17に示す如く本発明の押出し成形品(1)を実験用水槽(33)に組み付けて水(32)を満たし、水(32)が23℃×48時間後に水槽外部(34)に漏れるのを測定した。尚、比較例1、2、4、5、7は押出し成形不可により試験不可となり空欄とする。
○:漏れない
×:漏れる
(5)押出し成形性:図13の如く押出し成形においての押出し成形性を確認して判断する。
◎:非常に良い
○:良い
×:悪い
【0038】
実施例1〜10及び比較例1〜10
表1〜表4に示す各成分を一括で溶融混練した。溶融混練条件は、次の通りであった。2軸系押出機(L/D=47)を使用し、混練温度160℃〜240℃及びスクリュー回転数100rpm。得られた樹脂組成物について上記した(1)硬さ(2)と圧縮永久ひずみ、(3)粘着力の試験を行い、その結果を表1〜表4に示す。次に、(4)水漏れ試験と(5)押出し成形性の確認は、該樹脂組成物を図13の如く押出し成形によって、図3の如く押出し成形品を成形し、評価結果を表1〜表4に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜9は、請求項3に記載された本発明の圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物である。水漏れ試験で優れていた。
【0044】
一方、表3の比較例1〜6及び表4の比較例7〜9は、請求項3における成分の範囲外にした熱可塑性エラストマー組成物である。水漏れ試験と押出し成形性のいずれか一方または両方が問題のあるものである。比較例3、6、8、9は水漏れ試験に問題があり、比較例1、2、4、5、7は押出し成形性に問題があり、水漏れ試験に使用する押出し成形品が得られないため、水漏れ試験は不可となり空欄とする。
【0045】
また、表4の比較例10と比較例11は請求項2に記載の硬さHDA(JIS K6253、15秒後値)25以下の範囲外の熱可塑性エラストマー組成物を使用するものである。粘着性がなく、水漏れ試験も問題がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 本発明の芯材を有する押出し成形品の縦断側面図である。
【図2】 本発明の芯材を有する押出し成形品の他の実施例の縦断側面図である。
【図3】 同じく本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図4】 本発明の押出し成形品の他の実施例の縦断側面図である。
【図5】 同じく本発明の押出し成形品の他の実施例の縦断側面図である。
【図6】 本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図7】 同じく本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図8】 本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図9】 同じく本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図10】 本発明の押出し成形品の他の実施例を示す縦断側面図である。
【図11】 本発明の芯材の一部欠除した斜面図である。
【図12】 同本発明の芯材の一部欠除した他の実施例の斜面図である。
【図13】 本発明の製造工程の一部を示す側面図である。
【図14】 同じく本発明の押出し成形品の全体の製造工程を示す側面図である。
【図15】 従来の押出し成形品に圧接部を装着した縦断側面図である。
【図16】 同じく従来の押出し成形品にフランジを装着し、フランジ端部に隙間が生じた状態を示す縦断側面図である。
【図17】 本発明の押出し成形品を使用した水漏れ試験をした状態の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 押出し成形品
2 中空状シール部
3 芯材
4 圧接部
5 中空部
6 連結部
7 側部
8 被覆層
9 保持片
10 溝部
11 車体パネル
12 フランジ
13 フランジ端部
14 突起部
15 隙間
16 切除部
17 非熱融着部
18 空間部
21 第1押出し成形機
22 第1金型ダイス
23 第1冷却水槽
24 引取ローラー
25 切除機
26 第2押出し成形機
27 第3押出し成形機
28 第4押出し成形機
29 第2金型ダイス
30 注入管
31 第2冷却水槽
32 水
33 実験用水槽
34 水槽外部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドア、トランク、バックドア等の車体開口部周縁のフランジに装着する芯材を有する押出し成形品(1)において、長手方向に硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部(2)と熱可塑性エラストマーからなる被覆層(8)とを形成し、該芯材(3)の断面略U字状の連結部(6)の内側に熱可塑性エラストマー組成物からなる粘着性を有する圧接部(4)を一体的に形成したことを特徴とする芯材を有する押出し成形品。
【請求項2】
圧接部(4)は硬さHDA25以下の熱可塑性エラストマーからなることを特徴とした請求項1に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項3】
請求項1または請求項2の該圧接部(4)の熱可塑性エラストマー組成物が、
(a)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部。(但し、重合体ブロックBポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、または該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)
(b)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有するところのブロック共重合体、またはイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体。)45〜660重量部。
(c)曲げ弾性率が50〜1000MPaの結晶性オレフィン系樹脂10〜35重量部。
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤220〜450重量部。
(e)水添石油樹脂10〜180重量部。
からなることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項4】
圧接部(4)が該芯材(3)の断面略U字状の連結部(6)及び相対する側部(7)(7)の内側に形成したことを特徴とした請求項1から請求項3に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項5】
該圧接部(4)には中空部(5)を形成したことを特徴とした請求項1から請求項4に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項6】
請求項5の中空部(5)を形成した該圧接部(4)が、該芯材(3)の内側に延長して一体成形したことを特徴とした請求項5に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項7】
該圧接部(4)には、溝部(10)を形成したことを特徴とした請求項1から請求項6に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項8】
該圧接部(4)には、多数の突起部(14)(14)を形成したことを特徴とした請求項1から請求項4に記載の芯材を有する押出し成形品の製造方法。
【請求項9】
圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマーが発泡体からなることを特徴とした請求項1から請求項8に記載の芯材を有する押出し成形品の製造方法。
【請求項10】
中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーが発泡体からなることを特徴とした請求項1から請求項8に記載の芯材を有する押出し成形品の製造方法。
【請求項11】
硬質合成樹脂からなる断面略U字状の芯材(3)は、第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーまたはその発泡体と第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物またはその発泡体とが該第2金型ダイス(29)の内部で押出し成形したことを特徴とする請求項1から請求項10に記載の芯材を有する押出し成形品の製造方法。
【請求項12】
第1押出し成形機(21)に硬質合成樹脂を注入し、第1金型ダイス(22)によって断面略U字状の芯材(3)を形成し、その後、第1冷却水槽(23)を通過後に切除機(25)によって断面略U字状の芯材(3)の側部(7)(7)または側部(7)(7)及び連結部(6)の一部に各種形状の切除部(16)(16)を所望する形状に切除され、該芯材(3)は第2金型ダイス(29)の内部に進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する熱可塑性エラストマーと第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する熱可塑性エラストマーまたはその発泡体と第4押出し成形機(28)に注入した粘着性を有する圧接部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物またはその発泡体とが該第2金型ダイス(29)の内部で、押出し成形したことを特徴とする請求項1から請求項10に記載の芯材を有する押出し成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−167795(P2010−167795A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328708(P2008−328708)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【出願人】(591029688)株式会社システムテクニカル (22)
【Fターム(参考)】