説明

芳香剤及び香味剤としての4−フェニルペンタン−2−オール

【課題】グリーンフルーティノートを有する新規な芳香又は香味製品を得る。
【解決手段】芳香剤又は香味剤として4-フェニルペンタン-2-オール(I)を使用する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤及び香味剤としての4-フェニルペンタン-2-オールの使用に関する。本発明は、また、この化合物を含有する芳香製品又は香味製品、及びある種の香りノート及び/又はフレーバノートを付与し、変性し及び/又は増強する方法に関する。更に、4-フェニルペンタン-2-オールの調製方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
多数の既存の芳香剤にもかかわらず、新規な芳香剤の一般的な要求が香料工業において存在し続けている。例えば、グリーンパフュームノートに加えて他の興味深い香りノート、例えば、フルーティノートを作成する(芳香剤組成物で)ことができ、且つ新しい又は今までにない香り特性により香料製造者の選択を拡大することができる興味深いグリーンパフュームノートを有する芳香剤が求められている。特に、フローラルの香りをした芳香剤と調和した組合わせになることができるグリーンパフュームノートとフルーティパフュームノートを有する芳香剤に関心がある。
香りの異なる様相とノートを重ね合せることが好ましくは行われなければならず、それによって、複合した全体の香りの印象が生成する。
新規な現代的な組成物の生成のために、複合した香り特性を有する新規な現代的な香料の組成物のためのベースとしての使用に適する具体的な香り特性を有する芳香剤が絶えず求められている。探究されている好ましい芳香剤は、それらに香り特性と複雑性を与える、グリーンフルーティパフュームノートと別の他のノートと様相を示さなければならない。
本発明に至る適切な芳香剤の追究は、以下の事実によってより困難であった。
- 香り認識の機序が充分に周知でない。
- 一方の特定の香り認識ともう一方の関係がある芳香剤の化学構造との関連が充分に研究されていない。
- 既知の芳香剤の構造的な組成物における小さい変化さえ、しばしば、知覚特性において著しい変化をもたらし、人体に対する適合性に否定的な影響を及ぼす。
それ故、適切な芳香剤の追究の成功は、研究者の直観力に、強く依存している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、本発明がベースとする目的は、実質的には、好ましくは他の興味深く今までにない香り特性と結合している、結果として探究した芳香剤が新規で今までにない芳香剤組成物を具体的な香りのノートと様相によって可能にする、芳香剤とグリーンフルーティパフュームノートを有する芳香剤を見つけることにある。特に、ウッディ及び/又はフローラルパフュームノートを有する芳香剤と組み合わせることに特に適する芳香剤とグリーンフルーティパフュームノートとが見出された。
同時に、この主な目的を達成する芳香剤は、好ましくは、第一特性、即ち、香り特性を超える追加された正の第二特性、例えば、ある種の適用条件下に安定性がより高い、拡散性がより高い、靭性(tenacity)がより良い、直接性(substantivity)が高い、ブースタ効果が顕著な又はブルーミングが著しいことを有しなければならず、同様の芳香剤と比較して感覚的に顕著な効果或いはより良好な皮膚科的特性と毒物的特性が達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、第一目的は、芳香剤又は香味剤として下記式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの使用によって達成される。
【0005】
【化1】

【0006】
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、2つのキラル中心を有する。式(I)の化合物は、syn-配置又はanti-配置であり得るか又は(R,R)配置のエナンチオマー、(R,S)配置のエナンチオマー、(S,R)配置のエナンチオマー、(S,S)配置又はエナンチオマーのあらゆる混合物として、特にラセミ体として、又は対応するジアステレオマーのあらゆる混合物として存在し得る。
目的は、更に、グリーンフルーティノートを有する芳香剤又は香味剤としての式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの使用によって達成される。
本発明の他の態様は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明から取り出すことができる。これらの態様は、特に、新規な芳香又は香味をつけた製品及び対応する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に従って用いられる式(I)の化合物4-フェニルペンタン-2-オールの香り特性は、香料製造者によって以下の通り: グレープフルーツとルバーブの非常に天然の香り印象の方に非常に強い輝きを放つ興味深いグリーンフルーティ芳香ノートに記載される。
特に、式(I)の化合物がグリーンフルーティな香り及び/又はフレーバノートを付与、変性及び/又は増強するために使用し得る。
J. Chem. Soc., Chem. Commun. (1982), 348において、キラルホモアリルアルコールの水素添加による(R,S)-4-フェニルペンタン-2-オールの合成が記載されている。
Eur. J. Org. Chem. 2002, 16, 2472-2757, J.Org. Chem. 2000, 65, 4281-4288, Chem. Commun. 1998, 19, 2127-2128; Tetrahedron Lett. 1998, 39, 8829-8832には、立体選択的ラジカルアリール転位が扱われ、また、式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの調製が詳細に調べられている。
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの感覚の説明は、これまで提供されなかった。
the Journal f. prakt. Chemie vol. 319, part 4, 1977, 601には、置換1,3-ジオキサンの触媒開裂は記載されているが、本発明に従って用いられる化合物、4-フェニルペンタン-2-オールはこの論文に述べられていない。
内部調査から及び文献(S. Arctander, Perfume and Flavor Materials, vol. I and II, Montclair, N. J. 1969、自費出版)から既知のフェニルペンタノールの香りの説明は、以下の通り:
5-フェニルペンタン-1-オール: スイートハーブ、シトラスノート、バーベナノート
5-フェニルペンタン-3-オール: バルサム、フローラル、アーシー-グリーン-スパイシー
1-フェニルペンタン-2-オール: わずかにグリーン、スイート、湿った土のような
にまとめることができる。
本発明に従って用いられる式(I)の化合物は芳香剤として既知の第三級アルコール4-フェニル-2-メチル-2-ブタノール(α,α-ジメチルフェニルプロパノール)に対してある種の構造類似性があるが、これは乾いたローズフローラルなユリのような香りを有する。
【0008】
本発明に従って用いられる式(I)の化合物より多少のC原子をもつ側鎖を有する他のフェニルアルカノールもまた、これと異なる香り特性を示す(Common Fragrance and Flavor Materials, 4th Edition, Wiley-VCH, Weinheim 2001を参照のこと): ジヒドロシンナミルアルコール(3-フェニルプロパノール)は、フルーティなシナモンの香りを有する。
2-メチル-5-フェニルペンタノール(ローザフェン(Rosaphen)の名前で市販されている)は、わずかにワックスのノートを有するバラの花のような芳香を有する。
3-メチル-5-フェニルペンタノール(フェノキサノールの名前で市販されている)は、持続性で拡散性でフレッシュなフローラルなバラの香りとして知られる。
【0009】
記載された従来の技術によれば、フェニルペンタノールの領域は充分に調べられ、それ故、他の有益な芳香剤がこの領域に見つけることができたことは特に予想外である。式(I)の化合物は、同様の構造の既知の芳香剤から明らかに卓越している完全に独立した嗅覚特性を有する。芳香及び香味業界で用いられる芳香剤又は香味剤として本発明に従って用いられる式(I)の化合物の適合性は、これまで知られてなく、驚くべきことである。
【0010】
本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールがグリーンフルーティな様相に加えて場合によっては非常に複雑で多面的な様相を追加した表現的ルバーブノートを有することは、これらの他の追加された様相の存在のために、本発明に従って用いられる化合物が構造的に匹敵する既知の物質(上記を参照のこと)と非常に著しく異なるとともにいくつかの成分(例えば、精油又はハーブ及び/又はスパイスミックスによって)の複合した混合物によって達成され得るだけである非常に複雑で多様な香りと味の印象を与えるので、特に驚くべきことである。
【0011】
他の芳香剤と混合した、本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールは、少用量でさえ、芳香剤混合物の強度を増強することができ且つ芳香剤混合物の全体の効果に丸みをつけ調和させることができるだけでなく、混合物により多くの輝きと自然らしさを示すことができる。
【0012】
芳香剤又は香味剤としての4-フェニルペンタン-2-オールの本発明の使用の枠組み内で(特にグリーンフルーティノートによって)、本発明は、また、(a)髪、(b)皮膚又は(c)織物繊維に香り、特にグリーン、フルーティパフュームを与えるためのその使用に関する(他の香り又はフレーバノートについては上記参照のこと)。本発明は、また、対応する方法及び(好ましくは界面活性剤含有)混合物に関する。関連した態様によれば、本発明は、また、芳香剤混合物の直接性及び/又は保持を増大するための手段として及び/又は固定剤として及び/又は界面活性剤含有水溶液によって感知される他の芳香剤の香りを増大するための手段としての4-フェニルペンタン-2-オールの使用に関する。
【0013】
香り及び/又はフレーバノートを変性し及び/又は増強するための好ましい使用に関連して、本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールがいわゆるブースター(増強物質; 促進物質)として著しく充分に作用し得るという知見がある。
本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールは、第一、即ち、香り特性を超える追加された正の第二特性、例えば、ある種の適用条件下の高安定性、高拡散性、良好な靭性及び高直接性を有する。
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、特に、芳香剤又は香味剤組成物に輝き、丸み及び/又は調和を示すために及び/又は既存の香り及び/又はフレーバノートを増強するために用いることができる。
【0014】
本発明は、また、
(a)好ましくは、グリーンフルーティタイプの、特にグレープフルーツとルバーブの方に、香り又はフレーバノートを付与し、変性し及び/又は増強するのに充分な量での式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの使用、及び
(b)1、2、3以上の他の芳香剤又は香味剤、好ましくはウッディな及び/又はフローラルな香り及び/又はフレーバを与える1又は複数のその他の芳香剤又は香味剤
を含む芳香又は香味製品に関する。
【0015】
本発明の使用に関して上と下に記載される本発明の好ましい構造は、また、対応して本発明の芳香又は香味製品に適用する。
4-フェニルペンタン-2-オールは、通常、感覚的に活性な量で本発明の使用の枠組み内で使われる。本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールは、しばしば、他の芳香剤又は香味剤と混合されるか又は組合わせられる。この場合、4-フェニルペンタン-2-オールの合計量と他の芳香剤又は香味剤の合計量との質量比は、1: 1000〜1: 0.5、好ましくは1: 100〜1: 0.5の範囲であることが好ましい。
【0016】
本発明の芳香又は香味製品は、好ましくは芳香剤又は香味剤組成物である。4-フェニルペンタン-2-オールと1、2、3以上の他の芳香剤又は香味剤(好ましくはウッディな及び/又はフローラルな香り又はフレーバ)とを組合わせることによって、新規な芳香剤又は香味剤組成物が形成され得る。このようにして、特に興味深く天然の新規で今までにない香りノートが生成され得る。4-フェニルペンタン-2-オールと組合わせるのに有利に適する芳香剤(成分(b))は、例えば、S. Arctander, Perfume and Flavor Materials, vol. I and II, Montclair, N. J. 1969、自費出版、又はK. Bauer et al., Common Fragrance and Flavor Materials, 4th Edition, Wiley-VCH, Weinheim 2001に見出すことができる。以下に詳細に述べる。
【0017】
(i)天然原料のエキス、例えば、精油、凝結物、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
アンバーグリスチンキ; アミリスオイル; アンゼリカ種子油; アンゼリカ根油; アニス油; 吉草油; バジル油; 木コケ無水物; ベイ油; アルモイス油; ベンゾイン樹脂; ベルガモット油; ビーズワックスアブソリュート; バーチタール油; ビターアーモンド油; セイバリー油; ブチュ葉油; カブレウバ(cabreuva)油; カデ油; カラムス油; カンファー油; カナンガ油; ショウズク油; カルダモン油; カッシア油; カッシーアブソリュート; カストリウムアブソリュート; ニオイヒバ油; セダー木油; シスタス油; シトロネラ油; レモン油; コパイババルサム; コパイババルサム油; コリアンダー油; コスタス根油; クミン油; イトスギ油; ダバナ油; ジルウィード油; ジルシード油; eau de broutsアブソリュート; オークモスアブソリュート; エレミ油; タラゴン油; ユーカリシトリオドラ油; ユーカリ油; ウイキョウ油; ファーニードル油; ガルバヌム油; ガルバヌム樹脂; ゲラニウム油; グレープフルーツ油; グアイアックウッド油; グルユンバルサム; グルユンバルサム油; ヘリクリスムアブソリュート; ヘリクリスム油; ジンジャー油; イリス根アブソリュート; イリス根油; ジャスミンアブソリュート; カラムス油; ブルーカモミール油; ローマカモミール油; ニンジン種子油; カスカリラ油; パインニードル油; スペアミント油; カラウェー油; ラダナム油; ラブダナムアブソリュート; ラブダナム樹脂; ラバンジンアブソリュート; ラバンジン油; ラベンダーアブソリュート; ラベンダー油; レモングラス油; ラバジ油; 蒸留ライム油; 圧搾ライム油; リナロエ油; リトセアクベバ油; 月桂樹葉油; メース油; マルジョラム油; マンダリン油; massoi bark油; ミモザアブソリュート; アンブレット種子油; ムスクチンキ; クラリーセージ油; ナツメグ油; ミルラアブソリュート; ミルラ油; ミルトル油; クローブ葉油; クローブ芽油; ネロリ油; オリバナムアブソリュート; オリバナム油; オポパナックス油; オレンジフラワーアブソリュート; オレンジ油; オリガヌム油; パルマローザ油; パチョリ油; ペリラ油; ペルーバルサム油; パセリ葉油; パセリ種子油; プチグレン油; ハッカ油; ペッパー油; ピメント油; パイン油; ペニローヤル油; ローズアブソリュート; ローズウッド油; ローズ油; ローズマリー油; ダルマチアンセージ油; スパニッシュセージ油; サンダルウッド油; セロリ種子油: スパイクラベンダー油; スターアニス油; スチラックス油; tagetes油; ファーニードル油; ティツリー油; テレビン油; タイム油; トルーバルサム; トンカ豆アブソリュート; チュベローズアブソリュート; バニラエキス; バイオレットリーフアブソリュート; バーベナ油; ベチバー油; ジュニパーベリー油; ワインリースオイル; ワームウッド油; ウインターグリーン油; イランイラン油; ヒソップ油; シベットアブソリュート; シナモン葉油; シナモンバークオイル及びそれらの留分又はそこから分離される成分;
【0018】
(ii)炭化水素、例えば、3-カレン; α-ピネン; β-ピネン; α-テルピネン; γ-テルピネン; p-シメン; ビサボレン; カンフェン; カリオフィレン; セドレン; ファルネセン; リモネン; ロンギホレン; ミルセン; オシメン; バレンセン; (E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン; スチレン; ジフェニルメタン;
脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール; オクタノール; 3-オクタノール; 2,6-ジメチルヘプタノール; 2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール; (E)-2-ヘキセノール; (E)-及び(Z)-3-ヘキセノール; 1-オクテン-3-オール; 3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物; (E,Z)-2,6-ノナジエノール; 3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール; 9-デセノール; 10-ウンデセノール; 4-メチル-3-デセン-5-オール;
脂肪族アルデヒド及びそれらのアセタール、例えば、ヘキサナール; ヘプタナール; オクタナール; ノナナール; デカナール; ウンデカナール; ドデカナール; トリデカナール; 2-メチルオクタナール; 2-メチルノナナール; (E)-2-ヘキセナール; (Z)-4-ヘプテナール; 2,6-ジメチル-5-ヘプテナール; 10-ウンデセナール; (E)-4-デセナール; 2-ドデセナール; 2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール; 2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール; ヘプタナールジエチルアセタール; 1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド; 1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセン;
脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば、2-ヘプタノン; 2-オクタノン; 3-オクタノン; 2-ノナノン; 5-メチル-3-ヘプタノン; 5-メチル-3-ヘプタノンオキシム; 2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン; 6-メチル-5-ヘプテン-2-オン;
脂肪族イオウ含有化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール; 3-メチルチオヘキシルアセテート; 3-メルカプトヘキサノール; 3-メルカプトヘキシルアセテート; 3-メルカプトヘキシルブチレート; 3-アセチルチオヘキシルアセテート; 1-メンテン-8-チオール;
脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネンニトリル; 2-ウンデセンニトリル; 2-トリデセンニトリル; 3,12-トリデカジエンニトリル; 3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル; 3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル;
【0019】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホーメート; エチルアセトアセテート; イソアミルアセテート; ヘキシルアセテート; 3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート; 3-メチル-2-ブテニルアセテート; (E)-2-ヘキセニルアセテート; (E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート; オクチルアセテート; 3-オクチルアセテート; 1-オクテン-3-イルアセテート; エチルブチレート; ブチルブチレート; イソアミルブチレート; ヘキシルブチレート; (E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート; ヘキシルクロトネート; エチルイソバレレート; エチル-2-メチルペンタノエート; エチルヘキサノエート; アリルヘキサノエート; エチルヘプタノエート;アリルヘプタノエート; エチルオクタノエート; エチル-(E,Z)-2,4-デカジエノエート; メチル-2-オクチネート; メチル-2-ノニネート; アリル-2-イソアミルオキシアセテート; メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネート;
非環式テルペンアルコール、例えば、シトロネロール; ゲラニオール; ネロール; リナロール; ラバンデュロール; ネロリドール; ファルネソール; テトラヒドロリナロール; テトラヒドロゲラニオール; 2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール; 2,6-ジメチルオクタン-2-オール; 2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール; 2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール; 2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール; 3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール; 3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール; それらのホーメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、3-メチル-2-ブテノエート;
非環式テルペンアルデヒド及び非環式テルペンケトン、例えば、ゲラニアール; ネラール; シトロネラール; 7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール; 7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール; 2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール; ゲラニルアセトン; ゲラニアール、ネラール及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル-及びジエチルアセタール;
環状テルペンアルコール、例えば、メントール; イソプレゴール; アルファ-テルピネオール; テルピネン-4-オール; メンタン-8-オール; メンタン-1-オール; メンタン-7-オール; ボルネオール; イソボルネオール; リナロールオキシド; ノポール; セドロール; アンブリノール; ベチベロール; グアイオール; それらのホーメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、3-メチル-2-ブテノエート;
【0020】
環状テルペンアルデヒド及び環状テルペンケトン、例えば、メントン; イソメントン; 8-メルカプトメンタン-3-オン; カルボン; カンファ; フェンコン; アルファ-ヨノン; ベータ-ヨノン; アルファ-n-メチルヨノン; ベータ-n-メチルヨノン; アルファ-イソメチルヨノン; ベータ-イソメチルヨノン; アルファ-イロン; アルファ-ダマスコン; ベータ-ダマスコン; ベータ-ダマセノン; デルタ-ダマスコン; ガンマ-ダマスコン; 1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン; 1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-1; 2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール; ノートカトン; ジヒドロノートカトン; 4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン; アルファ-シネンサル; ベータ-シネンサル; アセチル化セダーウッド油(メチルセドリルケトン);
環状アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール; 3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール; 3-イソカンフィルシクロヘキサノール; 2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール; 2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール;
シクロ脂肪族アルコール、例えば、アルファ,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール; 1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール; 2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール; 2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール; 2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール; 3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール; 3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール; 3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール; 1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール; 1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール;
環状エーテル及びシクロ脂肪族エーテル、例えば、シネオール; メチルセドリルエーテル; シクロドデシルメチルエーテル; 1,1-ジメトキシシクロドデカン; (エトキシメトキシ)シクロドデカン; アルファ-セドレンエポキシド; 3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン; 3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン; 1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン; ローズオキシド; 2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン; 2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン(Vertacetal(登録商標)、好ましい組合わせ、下記を参照のこと)
【0021】
環状ケトン及び大環状ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン; 2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン; 2-ヘプチルシクロペンタノン; 2-ペンチルシクロペンタノン; 2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン; 3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン; 3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン; 3-メチル-4-シクロペンタデセノン; 3-メチル-5-シクロペンタデセノン; 3-メチルシクロペンタデカノン; 4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン; 4-tert-ペンチルシクロヘキサノン; 5-シクロヘキサデセン-1-オン; 6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン; 8-シクロヘキサデセン-1-オン; 9-シクロヘプタデセン-1-オン; シクロペンタデカノン; シクロヘキサデカノン;
シクロ脂肪族アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド; 2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール; 4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド; 4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド;
シクロ脂肪族ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン; 2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン; 1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン; 2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン; メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン; tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン;
環状アルコール、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート; 4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート; 2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート; 4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート; 3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート; デカヒドロ-2-ナフチルアセテート; 2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート; 3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート; デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート; 4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-又は6-インデニルアセテート; 4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-又は6-インデニルプロピオネート; 4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-又は6-インデニルイソブチレート; 4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテート;
【0022】
シクロ脂肪族アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネート;
シクロ脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート; アリルシクロヘキシルオキシアセテート; cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート; cis-及びtrans-メチルジャスモネート; メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート; エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート; エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート; エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
アルアリファチック(araliphatic)アルコール、例えば、ベンジルアルコール; 1-フェニルエチルアルコール; 2-フェニルエチルアルコール; 3-フェニルプロパノール; 2-フェニルプロパノール; 2-フェノキシエタノール; 2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール; 2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール; 1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール; 1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール; 1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール; 2-メチル-5-フェニルペンタノール; 3-メチル-5-フェニルペンタノール; 3-フェニル-2-プロペン-1-オール; 4-メトキシベンジルアルコール; 1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール;
アルアリファチックアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、ベンジルアセテート; ベンジルプロピオネート; ベンジルイソブチレート; ベンジルイソバレレート; 2-フェニルエチルアセテート; 2-フェニルエチルプロピオネート; 2-フェニルエチルイソブチレート; 2-フェニルエチルイソバレレート; 1-フェニルエチルアセテート; アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート; アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート; アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート; シンナミルアセテート; 2-フェノキシエチルイソブチレート; 4-メトキシベンジルアセテート;
アルアリファチックエーテル、例えば、2-フェニルエチルジメチルエーテル; 2-フェニルエチルイソアミルエーテル; 2-フェニルエチル-1-エトキシエチルエーテル; フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール; フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール; ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール; フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール; 2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン; 4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン; 4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;
【0023】
芳香族アルデヒド及びアルアリファチックアルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド; フェニルアセトアルデヒド; 3-フェニルプロパナール; ヒドラトロプアルデヒド; 4-メチルベンズアルデヒド; 4-メチルフェニルアセトアルデヒド; 3-(4-エチルフェニル)−2,2-ジメチルプロパナール; 2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール; 2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール; 2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール; 3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール; シンナムアルデヒド; アルファ-ブチルシンナムアルデヒド; アルファ-アミルシンナムアルデヒド; アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド; 3-メチル-5-フェニルペンタナール; 4-メトキシベンズアルデヒド; 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド; 4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド; 3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド; 3,4-ジメトキシベンズアルデヒド; 2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール; 2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
芳香族ケトン及びアルアリファチックケトン、例えば、アセトフェノン; 4-メチルアセトフェノン; 4-メトキシアセトフェノン; 4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン; 4-フェニル-2-ブタノン; 4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン; 1-(2-ナフタレニル)エタノン; 2-ベンゾフラニルエタノン; (3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン; ベンゾフェノン; 1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン; 6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン; 1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン; 5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン;
芳香族カルボン酸及びアルアリファチックカルボン酸及びそれらのエステル、例えば、安息香酸; フェニル酢酸; メチルベンゾエート; エチルベンゾエート; ヘキシルベンゾエート; ベンジルベンゾエート; メチルフェニルアセテート; エチルフェニルアセテート; ゲラニルフェニルアセテート; フェニルエチルフェニルアセテート; メチルシンナメート; エチルシンナメート; ベンジルシンナメート; フェニルエチルシンナメート; シンナミルシンナメート; アリルフェノキシアセテート; メチルサリシレート; イソアミルサリシレート; ヘキシルサリシレート; シクロヘキシルサリシレート; cis-3-ヘキセニルサリシレート; ベンジルサリシレート; フェニルエチルサリシレート; メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート; エチル3-フェニルグリシデート; エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;
【0024】
窒素含有芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン; 3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン; シンナモニトリル; 3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル; 3-メチル-5-フェニルペンタンニトリル; メチルアントラニレート; メチル-N-メチルアントラニレート; メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基; 6-イソプロピルキノリン; 6-イソブチルキノリン; 6-sec-ブチルキノリン; 2-(3-フェニルプロピル)ピリジン; インドール; スカトール; 2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン; 2-イソブチル-3-メトキシピラジン;
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えば、エストラゴール; アネトール; オイゲノール; オイゲニルジメチルエーテル; イソオイゲノール; イソオイゲニルメチルエーテル; チモール; カルバクロール; ジフェニルエーテル; ベータ-ナフチルメチルエーテル; ベータ-ナフチルエチルエーテル; ベータ-ナフチルイソブチルエーテル; 1,4-ジメトキシベンゼン; オイゲニルアセテート; 2-メトキシ-4-メチルフェノール; 2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール; p-クレシルフェニルアセテート;
複素環化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン; 2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン; 3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン; 2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン;
ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド; 3-メチル-1,4-オクタノリド; 1,4-ノナノリド; 1,4-デカノリド; 8-デセン-1,4-オリド; 1,4-ウンデカノリド; 1,4-ドデカノリド; 1,5-デカノリド; 1,5-ドデカノリド; 4-メチル-1,4-デカノリド; 1,15-ペンタデカノリド; cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド; cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド; 1,16-ヘキサデカノリド; 9-ヘキサデセン-1,16-オリド; 10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド; 11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド; 12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート; エチレン-1,13-トリデカンジオエート; クマリン; 2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン
を含む群からの個々の芳香剤。
【0025】
本発明の芳香剤又は香味剤組成物は、例えば、成分(a)として4-フェニルペンタン-2-オールと1以上の他の芳香剤又は香味剤(成分(b)として)とを混合することによって調製することができる。成分(a)は、典型的には、最終組成物においてグリーンフルーティタイプの香り又はフレーバノートを付与し、変性し及び/又は増強するのに充分な量で用いられる。
【0026】
本発明の芳香剤又は香味剤組成物は、好ましくは、4-フェニルペンタン-2-オール(成分(a))の合計量を、芳香剤又は香味剤組成物の合計量に基づいて、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜25質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%の範囲で含有する。
本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールが、主に、芳香剤又は香味剤組成物により多くの輝き、丸み及び/又は調和を与えるために及び/又はある種のノートを増強するために使われる場合、その合計量は、芳香剤又は香味剤組成物の合計量に基づいて、好ましくは比較的少量で、特に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で、好ましくは0.1〜2質量%の範囲である。好ましい濃度範囲内で比較的低濃度が選ばれる場合、場合によっては前述の固有の香り又はフレーバノートがまだ付与されず、問題の組成物のその他成分に左右される。
【0027】
本発明に従って用いられる4-フェニルペンタン-2-オールの調製は、それ自体は知られている反応とプロセスによって行われ得る。
例えば、式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、文献(Journal f. prakt. Chemie vol. 319, part 4, 1977, 601-610)に基づいて、式(A)の置換1,3-ジオキサンの触媒開裂によって調製することができる(以下の図式を参照のこと)。
【0028】
【化2】

【0029】
(式中、Yは、水素か又はC原子1〜10個を有するアルキル残基であり、Yは、好ましくはメチル又はエチルである。)
式(A)の好ましい原料は、米国特許第6,114,301号に記載される、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン(式(A)、Y =メチル)であり、Vertacetal(登録商標)又はVertacetal(登録商標)Coeur(Symrise GmbH & Co. KG、ドイツ)の名前で市販されている。この原料自体は、グレープフルーツとルバーブの系統の香りを有し、芳香剤又は香味剤組成物等の新規な製品を得るために、4-フェニルペンタン-2-オールとかなりよく組合わせることができる。
【0030】
接触水素添加は、水素添加触媒の存在下に、好ましくは20〜50の範囲の水素圧下160〜240℃の範囲で行われる。
適切な水素添加触媒は、例えば、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム又は白金を含有し得る。有利な水素添加触媒は、パラジウム、白金、ルテニウム又はロジウムを含有し、(元素の)パラジウムは特に好ましい水素添加触媒である。
本発明に従って用いられる水素添加触媒は、有機又は無機支持材料に適用し得る。水素添加触媒は、支持材料又は支持材料の混合物を含有し得る。有利な支持材料として、以下: 活性炭、炭素、酸化アルミニウム、金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト、クレー、クレー顆粒、アモルファスケイ酸アルミニウム及び他の無機支持体を挙げることができる。好ましい支持材料は、活性炭である。
特に好ましい触媒は、活性炭上のパラジウム及び酸化アルミニウム上のパラジウムである。4-フェニルペンタン-2-オールを含有する生成混合物は、-特にVertacetalの場合-全体の感覚印象に対して正の貢献をすることができる式(A)のジオキサンの残基を含有することができる。
4-フェニルペンタン-2-オールは、また、下記の図式に示すように3-フェニルブチルアルデヒドから出発してMeMgX(X = Cl、Br又はI)によるグリニャール反応によって調製することができる。
【0031】
【化3】

【0032】
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールを含有する本発明の芳香剤又は香味剤組成物は、溶媒で希釈されない又は希釈された液状で芳香又は香味に用いることができる。このために適切な溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート、トリアセチン等である。
【0033】
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールを含有する本発明の芳香剤又は香味剤組成物は、適用中に生成物における芳香剤又は香味剤の微細な分配と放出制御を確実にする支持体に吸着し得る。これらの支持体は、多孔性無機材料、例えば、Leichtsulfat、シリカゲル、ゼオライト、石膏、クレー、クレー顆粒、オートクレーブ処理気泡コンクリート等、又は有機材料、例えば、木材、セルロースベースの物質、糖、デキストリン(例えば、マルトデキストリン)又はプラスチック、例えば、PVC、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタンであり得る。本発明の組成物と支持体の組合わせは、本発明の製品の一例を示すものである。
【0034】
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールを含有する本発明の芳香剤又は香味剤組成物は、また、マイクロ封入又は噴霧乾燥された形で又は封入複合体又は押出製品(即ち、本発明の製品)として存在させることができ、この形で、例えば、芳香又は香味をつける製品に添加させることができる。
このようにして変性された組成物の特性は、必要により、香りのより目標とした放出のために適切な材料でコーティングすることにより更に最適化することができ、ワックス様プラスチック、例えば、好ましくはポリビニルアルコールがこのために用いられる。結果として生じる生成物は、更にまた本発明の製品である。
【0035】
本発明の製品を形成する本発明の芳香剤又は香味剤組成物のマイクロカプセル化は、例えば、カプセル材料、例えば、ポリウレタン様物質又は軟ゼラチンによって、いわゆるコアセルベーションプロセスによって行うことができる。噴霧乾燥芳香剤又は香味剤組成物は、例えば、支持体としての化工デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物性ゴムの可能な使用において、芳香剤又は香味剤組成物を含有するエマルジョン又は分散液を噴霧乾燥することによって調製することができる。封入複合体は、例えば、芳香剤又は香味剤組成物とシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散液を適切な溶媒、例えば水に導入することによって調製することができる。押出製品は、芳香剤又は香味剤組成物を適切なろう様物質で融解させるとともに押出し、引き続き、必要により適切な溶媒、例えば、イソプロパノール中で硬化させることによって得ることができる。
【0036】
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オール及び4-フェニルペンタン-2-オールを含有する芳香剤又は香味剤組成物は、上記の濃縮形態で、溶液で又は変性形態で本発明の芳香製品、例えば、香りエキス、香水、オードトワレ、アフターシェイブ、オーデコロン、プリシェーブ製品、スプラッシュコロン及び香りのするお直し用ふき取り、及び酸性、アルカリ性及び中性クリーナーの芳香、例えば、床クリーナー、窓クリーナー、皿洗い清浄剤、浴室及びサニタリクリーナー、磨き乳液、固体及び液体のWCクリーナー、粉末及び泡のカーペットクリーナー、布用消臭剤、アイロン掛け助剤、液体洗濯用洗剤、粉末洗濯用洗剤、洗濯物前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及びしみ除去剤、織物柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、殺菌剤、表面殺菌剤、及び液体又はゲルの形の又は固体担体上に付着したエアーフレッシュナー、エアゾールスプレー、ワックス及びつや出し剤、例えば、家具のつや出し剤、床ワックス、靴クリーム及び洗面用品、例えば、固体及び液体の石鹸、シャワー用ジェル、シャンプー、ひげそり石鹸、シェービングフォーム、浴用オイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧用乳剤、例えば、皮膚クリーム及びローション、フェイスクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、日焼け後クリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、足クリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェイブクリーム及びローション、日焼けクリーム及びローション、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアセットローション、ヘアコンディショナ、永続的な及び半永続的なヘア着色剤、ヘア・成形組成物、例えば、コールドウェーブ及びヘア・スムージング組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びローション、デオドラント及び発汗抑制剤、例えば、わき用スプレー、回転塗布剤、デオドラントスティック、デオドラントクリーム、装飾用化粧品、例えば、アイシャドー、マニキュア液、ファンデーション、口紅、マスカラ、並びにロウソク、ランプ用石油、線香、殺虫剤、防虫剤及び推進剤の製造に用いることができる。
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、香味のついた製品又は香味をつける製品、特に栄養又は楽しみのために消費されるか又は口腔衛生のために用いられる製剤に組込むことができる。
【0037】
栄養又は楽しみのために消費される調製品は、例えば、焼き商品(例えば、パン、ドライビスケット、ケーク、他の焼き製品)、製菓(例えば、チョコレート、板チョコ製品、他のバー製品、フルーツガム、蒸し菓子及び練切り、チューインガム)、アルコール又は非アルコール性飲料(例えば、コーヒー、お茶、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール、蒸留酒、ブランデー、スパークリングフルーツ飲料、スポーツドリンク、ソフト飲料、ネクター、果物ジュース及び野菜ジュース、果物又は野菜ジュース調製品)、インスタント飲料(例えば、インスタントココア飲料、インスタント茶飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えば、ハム、新鮮なソーセージ又はドライソーセージ調製品)、スパイスのきいた又はマリネした新鮮な又は塩漬け肉製品)、卵又は卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば、朝食のシリアル、ミューズリーバー、調理前の米製品)、乳製品(例えば、乳飲料、乳アイスクリーム、ヨーグルト、ケフィア、生チーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、粉乳、ホエー、バター、バターミルク、部分的に又は完全に加水分解された乳タンパク質を含有する製品)、大豆タンパク質又は他の大豆部分(例えば、豆乳及びそこから作られる製品、大豆レシチンを含有する製品、発酵製品、例えば、豆腐又はテンペ又はそこから作られる製品、大豆ソース)、フルーツ調製品(例えば、保存品、フルーツアイス、フルーツソース、フルーツフィリング)、野菜の調製品(例えば、ケチャップ、ソース、乾燥野菜、凍結野菜、調理前の野菜、ビネガーに漬けた野菜、野菜の保存品)、軽食品(例えば、焼き又は揚げポテトチップス又はジャガイモドウ製品、パンドウ製品、トウモロコシ又はピーナッツに基づく押出物)、油ベース及び脂肪ベースの製品又はそれらのエマルジョン(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、シーズニング調製品)、他の即席食及びスープ(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、調理前のスープ)、スパイス、シーズニングミックス、特に、例えば、軽食部門で用いられるシーズニングである。本発明の式(I)の化合物を組込んだ後、これらの調製品は、本発明の調製品である(本発明の製品の一例として)。
【0038】
本発明の調製品は、例えば、半製品として又はシーズニングミックスとして存在し得る。
本発明の調製品は、特に、栄養又は楽しみのために消費される他の調製品の製造のために半製品として、特に噴霧乾燥形で使用し得る。本発明の調製品は、また、カプセル、錠剤(剤皮をかけない錠剤と剤皮をかけた錠剤、例えば、腸溶コーティング)糖衣錠、顆粒、ペレット、固体の混合物、液相の分散液、補助食品としての飲込み又は噛むのに適するエマルジョン、粉末、溶液、ペースト又は他の調製品の形をとることができる。
【0039】
口腔衛生に用いられる本発明の調製品は、特に、口腔衛生用品及び/又は歯の手入れ用品、例えば、練歯磨き、デンタルゲル、歯磨き粉、うがい薬、チューインガム及び他の経口衛生用品である。
栄養又は楽しみのために消費されるか又は口腔衛生に用いられる調製品のための他の慣用の活性で基本的で補助的な添加物質は、調製品の全質量に基づいて、5〜99.999999質量%、好ましくは10〜80質量%の量で含有することができる。更に、調製品は、調製品の全質量に基づいて、99.999999質量%まで、好ましくは5〜80質量%の量で水を含有することができる。
【0040】
4-フェニルペンタン-2-オールを含有する本発明の調製品(本発明の製品の例として)は、好ましい構成に従って、物質として、溶液(例えば、エタノール、水又は1,2-プロピレングリコール中)として、固体又は液体支持体(例えば、マルトデキストリン、デンプン、シリカゲル)、他のフレーバ又は香味剤及び必要により他の補助剤及び/又は安定剤(例えば、天然又は合成多糖類及び/又は植物ガム、例えば、化工デンプン又はアラビアゴム)との混合物としての式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールを栄養又は楽しみのために消費されるか又は口腔衛生に用いられるベース調製品に組込むことによって調製される。溶液及び/又は懸濁液又はエマルジョンとして存在する本発明の調製品は、有利には、噴霧乾燥によって本発明の固形調製品(半製品)に変換されることができる。本発明の噴霧乾燥固形調製品(本発明の製品の一例として)は、本発明の他の調製品の生成のための半製品として特に適切である。好ましくは50〜95質量%の支持材料、特にマルトデキストリン及び/又はデンプン、5〜40%の補助物質、好ましくは天然又は合成多糖類及び/又は植物ガム、例えば、化工デンプン又はアラビアゴムが本発明の噴霧乾燥固形調製品に含有される。
【0041】
他の好ましい実施態様によれば、本発明の調製品を製造するために4-フェニルペンタン-2-オール及び必要により本発明の調製品の他の成分が、まず、エマルジョン、リポソーム、例えば、ホスファチジルコリン、マイクロスフェア、ナノスフェアから出発するもの又は食料品や楽しみのために消費される製品に適するマトリックスの、例えば、デンプン、デンプン誘導体(例えば、化工デンプン)、セルロース又はセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、他の多糖類(例えば、デキストリン、アルギン酸塩、カードラン、カラゲナン、キチン質、キトサン、プルラン)、天然脂肪、天然ワックス(例えば、みつろう、カルナウバろう)、又はタンパク質(例えば、ゼラチン、又は他の天然物(例えば、シェラック)のカプセル、顆粒又は押出物に組込まれる。マトリックスによっては、製品は、噴霧乾燥、噴霧造粒、溶融造粒、コアセルベーション、凝固、押出し、溶融押出し、エマルジョンのプロセス、コーティング又は他の適切な封入のプロセス及び必要により上述のプロセスの適切な組合わせによって得ることができる。本発明の調製品のための他の好ましい製法において、4-フェニルペンタン-2-オールは、まず、1以上の錯化剤によって、例えば、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体、好ましくはシクロデキストリンによって錯体を形成し、この錯体形成した形で用いられる。
【0042】
マトリックスから式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの放出が遅れるようにマトリックスが選ばれる本発明の調製品は、持続性効果が達成されるので、特に好ましい。この点で、脂肪、ワックス、多糖類又はタンパク質マトリックスが特に好ましい。
食料品又は楽しみのために消費される製品のための慣用の基本的な補助的添加物質は、本発明の栄養又は楽しみのために消費される調製品の他の成分、例えば、水、生の又は加工された植物又は動物の基本的材料又は原材料の混合物(例えば、生の、焼いた、乾燥した、発酵させた、燻製にした及び/又はゆでた食肉、骨、軟骨、魚、野菜、果物、ハーブ、ナッツ、野菜又は果物のジュース又はペースト又はそれらの混合物)、消化できる又は消化できない炭水化物(例えば、スクロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース、タガトース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、エリトリトール)、天然の又は水素添加された脂肪(例えば、獣脂、ラード、パーム核油、ココナッツ脂肪、水素添加された植物性脂肪)、オイル(例えば、ヒマワリ油、落花生油、トウモロコシ油、オリーブ油、魚油、ダイズ油、ゴマ種子油)、脂肪酸又はそれらの塩(例えば、ステアリン酸カリウム)、タンパク質構成又は非タンパク質構成アミノ酸及び関連化合物(例えば、γ-アミノ酪酸、タウリン)、ペプチド(例えば、グルタチオン)、未変性の又は処理されたタンパク質(例えば、ゼラチン)、酵素(例えば、ペプチダーゼ)、核酸、ヌクレオチド、不快なフレーバ印象のためのフレーバ・マスキング剤、他の一般に不快でないフレーバ印象のための他のフレーバモジュレータ、他のフレーバモジュレートする物質(例えば、イノシトールホスフェート、ヌクレオチド、例えば、グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェート又は他の物質、例えば、グルタミン酸一ナトリウム又は2-フェノキシプロピオン酸)、乳化剤(例えば、レシチン、ジアシルグリセロール、アラビアゴム)、安定剤(例えば、カラゲナン、アルギン酸塩)、防腐剤(例えば、安息香酸、ソルビン酸)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸)、キレート化剤(例えば、クエン酸)、有機又は無機酸味料(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、苦味物質(例えば、キニン、カフェイン、リモニン、アマロゲンチン、ヒュムロン、ルプロン、カテコール、タンニン)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム)、酵素的褐変を阻止する物質(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸)、精油、植物エキス、天然又は合成着色剤又は着色顔料(例えば、カロテノイド、フラボノイド、アントシアン、クロロフィル及びそれらの誘導体)、スパイス、三叉神経的活性物質又はこれらの三叉神経的活性物質を含有する植物エキス、合成、天然又は、種類が同一の香味剤又は芳香剤及び臭気マスキング剤として使用し得る。
【0043】
4-フェニルペンタン-2-オールを含有する歯の手入れ用品(口腔衛生に用いられる調製品のためのベース)としては、一般的に、研磨剤系(研摩材又は研磨剤)、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム及び/又はヒドロキシルアパタイト、界面活性物質、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム及び/又はコカミドプロピルベタイン、湿潤剤、例えば、グリセロール及び/又はソルビトール、増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、カラゲナン及び/又はLaponite(登録商標)、甘味剤、例えば、サッカリン、不快なフレーバ印象のためのフレーバ・マスキング剤、他の一般に不快でないフレーバ印象のためのフレーバ・マスキング剤、フレーバモジュレートする物質(例えば、イノシトールホスフェート、ヌクレオチド、例えばグアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェート又は他の物質、例えば、グルタミン酸一ナトリウム又は2-フェノキシプロピオン酸)、冷却物質、例えば、メントール、メントール誘導体(例えば、L-メントール、L-メンチルラクテート、L-メンチルアルキルカーボネート、メントンケタール、メンタンカルボキサミド)、2,2,2-トリアルキルアセトアミド(例えば、2,2-ジイソプロピルプロピオン酸メチルアミド)、イシリン及びイシリン誘導体、安定剤及び活性物質、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、二フッ化スズ、四級フッ化アンモニウム、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸スズ、塩化第一スズ、異なるピロリン酸塩の混合物、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素、フレーバ及び/又は重炭酸ナトリウム又は臭気マスキング剤が挙げられる。
【0044】
4-フェニルペンタン-2-オールを含有するチューインガム(口腔衛生に用いられる調製品の他の例として)は、一般的には、チューイングガムベース、即ち、噛む間に可塑性になる咀嚼物、種々のタイプの糖、糖代替品、他の甘味物質、糖アルコール、不快なフレーバ印象のためのフレーバ・マスキング剤、他の一般に不快でないフレーバ印象のための他のフレーバモジュレータ、フレーバモジュレートする物質(例えば、イノシトールホスフェート、ヌクレオチド、例えば、グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェート又は他の物質、例えば、グルタミン酸一ナトリウム又は2-フェノキシプロピオン酸)、湿潤剤、増粘剤、乳化剤、フレーバ及び安定剤又は臭気マスキング剤を含む。
【0045】
4-フェニルペンタン-2-オールに加えて、本発明の調製品は、好ましくは、調製品の味及び/又は香りを丸くし精製するフレーバ組成物を含有する。適切な(追加された)フレーバ組成物は、例えば、合成、天然又は、種類が同一の香味剤、芳香剤及び味物質だけでなく、適切な補助物質及び支持体を含有する。
本発明の他の態様は、以下の実施例及び添付の特許請求の範囲から取出すことができる。
実施例に基づいて本発明を下で更に詳細に説明する。特に明記しない限り、全てのデータは質量に関する。
【実施例】
【0046】
実施例1: 4-フェニルペンタン-2-オール式(I)の調製(文献Journal f. prakt. Chemie vol. 319, part 4, 1977, 601-610による方法に基づく)
250mlのエタノール/水9:1中の206g(1モル)の2,4,6-トリメチル-4-フェニル-(1,3)-ジオキサン(Vertacetal(登録商標))を、まず最初に0.2gのパラジウム(5%/活性炭)と1リットルの撹拌されたオートクレーブに充填した。その後、水素添加を、20バールの圧力下180℃で8時間撹拌しながら2モルの水素が処理されるまで行った。室温に冷却した後、その反応溶液をろ過し、濃縮した。粗生成物(165g)を、真空中で30cmのビグリューカラムで分別した。
収量: 150.9g(理論値の92%) Bp.: 130-135℃/8ミリバール
GCによる純度 99.5%、ジアステレオマー比(約1:1)
実施例2: グリニャール反応による式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの調製
500mlのTHF無水物中の148g(1モル)の3-フェニルブチルアルデヒドを、まず最初に2リットルのミキサーに充填した。その後、81.8gのメチル塩化マグネシウム(22%THF溶液(1.1モル))を、撹拌し0℃に冷却しながら1時間以内に添加した。その後、撹拌を還流下で1.5時間続けた。室温に冷却した後、その反応溶液を300mlの10%NaOHで注意深く分離し、水相を分離し、有機相を中性になるまで水洗し、濃縮した。粗生成物(167.8g)を真空中で30cmのビグリューカラムで分別した。
収量: 147g(理論値の89.6%) Bp.: 130o-135℃/8ミリバール
GCによる純度 99.5%、ジアステレオマー比(約1:1)
式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールの分光学的データを求めた。ジアステレオマー(約1:1)のデータを以下に示す。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHZ, TMS= 0): 1.12, 1.18 (d, J= 6.2, 3H); 1.26, 1.27 (d, J=7, 3H); 1.61-1.86 (m,2H); 2.81-3.01 (m, 1H); 3.53-3.59 (m, 1H); 7.18-7.32 (m, 芳香族 5H).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz): 147.3 (s), 146.8 (s); 128.6 (d), 128.5 (d);127.1 (d), 126.9 (d); 126.2 (d), 126.1 (d);66.4 (d), 65.9 (d); 47.9 (t), 47.7 (t); 37.0 (d), 36.6 (d); 24.2 (q), 23.7 (q); 23.1 (q), 22.3 (q).
MS: m/z (%) = 164 (3, M+), 146 (32), 131 (89), 106 (49), 105 (100), 91 (55), 78 (20), 77 (24), 45 (18).
MS: m/z (%) = 164 (3, M+), 146 (34), 131 (98), 106 (45), 105 (100), 91 (55), 78 (20), 77 (25), 45 (18).
実施例3: 香料組成物(芳香剤組成物)
【0047】

DPG: ジプロピレングリコール、TEC = トリエチルシトレート
【0048】
式(I)の化合物を添加しない香料組成物の香りの説明: ウッディな、フローラルな、シャープな
香料製造者の意見では、実施例2からの3質量%の4-フェニルペンタン-2-オールを添加することによって、この香料組成物は、よりさわやかな、より輝きを放ち、より丸く、より調和したものになり、グリーンフルーティでスイートなノートが加えられ、ウッディなフローラルな様相が増強される。用いられる式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、組成物に固有の香りと変性と増強の効果(ブースタ効果)のそれぞれの結果の特性を示し、異なる香り成分を一緒に結合する。
実施例4:香料組成物(芳香剤組成物)
【0049】

DPG: ジプロピレングリコール
【0050】
式(I)の化合物を添加しない香料組成物の香り説明: フローラルな、谷間のユリ。
香料製造者の意見では、実施例1からの式(I)の6質量%の4-フェニルペンタン-2-オールを添加することによって、この香料組成物は新たな生活に目ざめさせる。フローラルな印象は、かなり増強される。その組成物は、より輝きを放ち、丸く、調和した効果を有し、グリーンフルーティな天然のノートが加えられる。用いられる式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールは、組成物に固有の香りと変性し増強する効果(ブースタ効果)のそれぞれの結果の特性を与え、異なる香り成分を一緒に結合する。
0.1質量%のVertacetal(登録商標)を更に添加することによって、上述の態様が調和した方法で更に強調される。
【0051】
実施例5: シャンプー
実施例1からの式(I)の4-フェニルペンタン-2-オールを以下の組成物のシャンプーベースに0.5質量%の用量レベルで組込んだ。
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 12%
(例えば、Texapon NSO, Cognis Deutschland GmbH)
コカミドプロピルベタイン 2%
(例えば、Dehyton K, Cognis Deutschland GmbH)
塩化ナトリウム 1.4%
クエン酸 1.3%
フェノキシエタノール、メチル-、エチル-、ブチル-
及びプロピルパラベン 0.5%
水 82.8%
シャンプーベースのpH値は約6であった。これから100mlの20質量%シャンプー水溶液を製造した。2ふさの毛髪をこのシャンプー溶液で一緒に2分間洗浄し、次に、流れている手に温かい水によって20秒間すすいだ。第一ふさの毛髪をアルミニウム箔に湿ったまま装填し、第二ふさの毛髪をヘアドライヤを使用して乾かした。いずれのふさの毛髪もパネルでそれらの香りによって評価した。
各々の場合における香りの説明: グレープフルーツ及びルバーブの方に輝きを放つ興味深いグリーンパヒュームノート、非常にナチュラルな輝き。
【0052】
実施例6: 織物柔軟剤
実施例3からの香料組成物(実施例2からの3質量%の4-フェニルペンタン-2-オール式(I)を添加した後)を以下の組成物の織物柔軟剤ベースに0.5質量%の用量レベルで組込んだ。
四級アンモニウムメトサルフェート(Esterquat)、約90% 5.5%
(例えば、Rewoquat WE 18, Witco Surfactants GmbH)
アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、約50% 0.2%
(例えば、Preventol R50, Bayer AG)
着色溶液、約1% 0.3%
水 94.0%
織物柔軟剤ベースのpH値は、2〜3の範囲であった。2片の布を、化合物式(I)の0.5質量%を含有する織物柔軟剤ベースに基づいて370gの1%織物柔軟剤水溶液によってライン試験機の最終のすすぎプログラムにおいて20℃で30分間すすいだ。布を絞り、次に、20秒間脱水した。一方の布を湿っている間に収縮包装し、一方は干して乾かした。その後、2片の布はパネルによって評価された香りを有した。
各々の場合における香りの説明: 淡くスイートな基調をもつ、ウッディな、さわやかな、輝きを放ち、グリーンフルーティな様相で、丸く、調和した香りの印象。
【0053】
実施例7: 粉せっけん
実施例4からの香料組成物(実施例1からの6質量%の化合物式(I)を添加した後)を以下の処方の粉せっけんベースに0.4質量%の用量レベルで組込んだ。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 8.8%
エトキシル化脂肪アルコールC12-18(7 EO) 4.7%
Na石鹸 3.2%
消泡剤
DOW CORNING(R) 2-4248S
粉末泡止め剤、
支持材料としてのシリコーン油/ゼオライト 3.9%
ゼオライト4A 28.3%
炭酸ナトリウム 11.6 %
アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのNa塩(Sokalan CP5) 2.4 %
ケイ酸ナトリウム 3.0 %
カルボキシメチルセルロース 1.2 %
Dequest 2066 2.8 %
([[(ホスホノメチル)イミノ]ビス[(エチレンニトリロ)ビス
(メチレン)]]テトラキシスホスホン酸、ナトリウム塩)
蛍光増白剤 0.2 %
硫酸ナトリウム 6.5 %
プロテアーゼ 0.4 %
過ホウ酸ナトリウム四水和物 22.0 %
TAED 1.0 %
2片の布を、実施例4からの0.4質量%の香油組成物を含有する粉せっけんベースに基づいて370gの1%粉せっけん水溶液(粉せっけん溶液のpH値が基本的な範囲にあることは明らかである)によってライン試験機の主洗浄プログラムにおいて60℃で45分間洗浄した。その後、布を冷水で5分間すすぎ、絞り、次に、20秒間脱水した。一方の布を湿っている間に収縮包装し、一方は干して乾かした。その後、2片の布はパネルによって評価された香りを有した。
各々の場合における香りの説明: 淡いスイートでウッディな基調をもつ、強いフローラルな、輝きを放つ、グリーンフルーティの、ナチュラルノートで、丸く、調和した香りの印象。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤又は香味剤としての4-フェニルペンタン-2-オール(I)の使用。
【化1】

【請求項2】
グリーンフルーティノートを有する芳香剤又は香味剤としての4-フェニルペンタン-2-オール(I)の使用。
【化2】

【請求項3】
次の様相: グリーン、フルーティを有する香り及び/又はフレーバノートを付与し、変性し及び/又は増強するための請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
(a) 4-フェニルペンタン-2-オール(I)
【化3】

及び
(b) 1、2 、3以上の他の芳香剤又は香味剤
を含有する芳香又は香味製品。
【請求項5】
1つ又は複数の他の芳香剤又は香味剤(成分(b))がウッディな及び/又はフローラルな香り及び/又はフレーバを付与する、請求項4記載の芳香又は香味製品。
【請求項6】
他の芳香剤2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサンとして含有する、請求項4又は5記載の芳香又は香味製品。
【請求項7】
4-フェニルペンタン-2-オールの合計量と他の芳香剤又は香味剤の合計量との質量比が1:1000〜1:0.5の範囲にある、請求項4〜6のいずれか1項に記載の芳香又は香味製品。
【請求項8】
製品が芳香剤又は香味剤組成物である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の芳香又は香味製品。
【請求項9】
グリーンフルーティタイプの香り又はフレーバノートを付与し、変性し及び/又は増強するのに充分な量で4-フェニルペンタン-2-オールを含有する、請求項8記載の芳香剤又は香味剤組成物。
【請求項10】
芳香剤又は香味剤組成物が、4-フェニルペンタン-2-オールの合計量を芳香剤又は香味剤組成物の合計量に基づいて0.01〜50質量%、好ましくは0.01〜25質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%の範囲で含有することを特徴とする、請求項8又は9記載の芳香剤又は香味剤組成物。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の芳香剤又は香味剤組成物を含有することが好ましい、請求項4〜7のいずれか1項に記載の芳香又は香味製品であって、前記製品が香りエキス、香水、オードトワレ、アフターシェイブ、オーデコロン、プリシェーブ製品、スプラッシュコロン、香りのするお直し用ふき取り、酸性、アルカリ性及び中性クリーナー、布用消臭剤、アイロン掛け助剤、液体洗濯用洗剤、粉末洗濯用洗剤、洗濯物前処理剤、織物柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯用錠剤、殺菌剤、表面殺菌剤、エアーフレッシュナー、エアゾールスプレー、ワックス及びつや出し剤、洗面用品、ハンドクリーム及びローション、足クリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェイブクリーム及びローション、日焼けクリーム及びローション、ヘアケア製品、デオドラント及び発汗抑制剤、装飾用化粧品、ロウソク、ランプ用石油、線香、殺虫剤、防虫剤及び推進剤からなる群より選ばれる芳香又は香味製品。
【請求項12】
グリーンフルーティのノートの1つ以上又は全てを有する香り又はフレーバを付与し、変性し及び/又は増強する方法であって、
(i) 式(I)の4-フェニルペンタン-2-オール
【化4】

又は
(ii) 4-フェニルペンタン-2-オールを含有する請求項8〜10のいずれか1項に記載の芳香剤又は香味剤組成物
の感覚的に活性な量を製品と接触させるか又は混合する、前記方法。
【請求項13】
(i)
【化5】

又は(ii)4-フェニルペンタン-2-オールを含有する混合物の調製方法であって、下記式(A)の置換1,3-ジオキサンを触媒開裂する工程を含む前記方法。
【化6】

(式中、Yは水素又はC原子1〜10個を有するアシル残基である)
【請求項14】
Yがメチル又はエチルである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
Yがメチルである、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
4-フェニルペンタン-2-オールを含有する混合物(ii)が式(A)の置換1,3-ジオキサンの割合を含有する、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2008−106271(P2008−106271A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−265929(P2007−265929)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】