説明

蓄電素子および集電体

【課題】集電体と発電要素との結合の剥がれが起きにくい構造であり、かつ、発電要素との接続が容易な集電体を有する蓄電素子を提供する。
【解決手段】セパレータ113を介して積層された正極シート111および負極シート112が巻回されて成る発電要素101と、正極または負極端子と接続される端子接続部104aと、端子接続部の一端から延びており発電要素の第一の側面に接触する第一集電部104bと、他端から延びており第一の側面とは反対側の発電要素の第二の側面に接触する第二集電部104cと、第一集電部および第二集電部を固定する固定部105aとを有する集電体104とを備え、集電体は、発電要素を挟み込んでおり、発電要素の第一の側面から第二の側面までの距離が第一集電部と第二集電部とにより挟み込まれる前の当該距離よりも短くなるように発電要素を挟み込み、挟み込んだ状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電体と発電要素との接続の剥がれが起きにくい構造の集電体を有する蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電要素を構成する正極および負極と集電体との接続に複数の集電タブを利用するものがあるが、このような蓄電素子では複数の集電タブと集電体との接続に多くの作業が必要であった。また、上記の接続方法では、集電体の一部が複数の集電タブと接続されることに成るため、高出力を必要とする蓄電素子の場合には、集電体と複数の集電タブとの接触面積が不足していた。
【0003】
このような問題を解決するために、特許文献1では、発電要素の外周部における少なくとも1/2以上の領域と集電体とを結合することにより、発電要素と集電体との接触面積を大きくし、接触抵抗を減らすことによって電流集電効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−12830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術では、集電体と結合される発電要素の構造は、正極および負極を巻回したものをプレスによって扁平形状(つまり、断面が長円形状または楕円形状)に形成したものであるため、プレスした方向とは反対側の方向へ復元しやすい。つまり、扁平形状にプレスされた発電要素は、長円形状または楕円形状の断面長軸方向中央部が当該断面短軸方向外側に広がりやすい。このように、発電要素の断面形状が集電体と結合された後から変形しやすい状態にあるため、発電要素の集電体との結合部分(特に発電要素の断面長軸方向の端部側)が剥がれやすいという問題がある。
【0006】
また、特許文献1では、発電要素の全周を囲う形状(つまりリング形状)の集電体の形状が開示されているが、これを実現するにはリング形状の集電体に発電要素を挿入する必要があり、集電体と発電要素とを密着させることは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、集電体と発電要素との結合の剥がれが起きにくい構造であり、かつ、発電要素との接続が容易な集電体を有する蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る蓄電素子は、正極端子および負極端子と、活物質が表面に塗布された正極シートおよび負極シートと、セパレータとを有し、前記セパレータを介して積層された前記正極シートおよび前記負極シートが巻回されて成る発電要素と、前記正極端子または前記負極端子と接続される端子接続部と、前記端子接続部の一端から延びており前記発電要素の側面の一部である第一の側面に接触する第一集電部と、前記端子接続部の他端から延びており前記第一の側面とは反対側の前記発電要素の第二の側面に接触する第二集電部と、前記第一集電部および前記第二集電部を固定する固定部とを有し、前記正極端子と前記正極シートとを接続する、または、前記負極端子と前記負極シートとを接続する集電体とを備える。
【0009】
これによれば、正極集電体および負極集電体は、第一集電部と第二集電部とが固定部により固定される。このため、集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状の変形を防ぐことができ、発電要素と正集電体との結合部分の剥がれを防ぐことができる。
【0010】
また、好ましくは、前記固定部は、前記第一集電部の先端部分と前記第二集電部の先端部分とを少なくとも固定する。
【0011】
これによれば、固定部は第一集電部の先端部分と第二集電部の先端部分とを少なくとも固定している。このように、第一集電部と第二集電部との間の距離が最も広がりやすい先端部分において固定部が固定しているため、発電要素の広がりを効果的に防ぐことが出来る。
【0012】
また、好ましくは、前記集電体は、前記発電要素を挟み込んでおり、前記発電要素の前記第一の側面から前記第二の側面までの距離が前記第一集電部と前記第二集電部とにより挟み込まれる前の当該距離よりも短くなるように前記発電要素を挟み込み、前記固定部が前記第一集電部と前記第二集電部とを固定することにより挟み込んだ状態を維持する。
【0013】
これによれば、発電要素の第一の側面から第二の側面までの距離が第一集電部と第二集電部とにより挟み込まれる前の当該距離よりも短くなるように発電要素を挟み込んで、固定部が第一集電部と第二集電部とを固定することにより挟み込んだ状態を維持する。
【0014】
このように、集電体の端子接続部から延びる第一集電部の先端と第二集電部の先端とを、固定部により固定しているため、集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状を、挟み込まれた直後の状態に維持することができる。このため、集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状の変形を防ぐことができ、発電要素と正集電体との結合部分の剥がれを防ぐことができる。また、集電体は第一集電部と第二集電部とにより発電要素を挟み込んだ上で、固定部により第一集電部と第二集電部とを固定する構造である。このため、集電体の構造は、発電要素との結合の剥がれが起きるのを防ぎ、かつ、発電要素との接続を容易にすることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記固定部は、前記第一集電部の先端と前記第二集電部の先端との少なくとも一方に設けられる凹部と、前記凹部と嵌合し、前記第一集電部の先端と前記第二電部の先端と少なくとも他方に設けられる凸部と、を有する。
【0016】
これによれば、固定部が嵌め合わせ構造であるため容易に第一集電部の先端と第二集電部の先端とを固定することができる。
【0017】
また、好ましくは、前記固定部は、前記第一集電部の先端と前記第二集電部の先端とを固定する前記第一集電部および前記第二集電部とは別の固定部材を有する。
【0018】
これによれば、固定部が第一集電部と第二集電部とを別部材により固定する構造であるため、容易かつ確実に第一集電部と第二集電部とを固定することができる。
【0019】
また、好ましくは、さらに、絶縁フィルムと、筐体とを備え、前記集電体は、前記第一集電部の前記第一の側面と接する面の反対側の面、および、前記第二集電部の前記第二の側面と接する面の反対側の面が、前記筐体の内壁に前記絶縁フィルムを介して接する。
【0020】
これによれば、正極集電体および負極集電体は、その外側が絶縁フィルムを介して筐体の内壁に接触しているため、発電要素の広がりを正極集電体および負極集電体だけでなく筐体によっても抑制することができる。
【0021】
また、好ましくは、前記発電要素の下部は、前記集電体の内側部分に接触している。
【0022】
これによれば、発電要素の下部が正極集電体および負極集電体の内側部分に接触しているため、正極集電体および負極集電体と発電要素との接触面積を大きくすることができる。このため、正極集電体および負極集電体と発電要素との接触抵抗を減らすことができ、電流集電効率を向上させることができる。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る集電体は、活物質が表面に塗布された正極シートおよび負極シートと、セパレータとを有し、前記セパレータを介して積層された前記正極シートおよび前記負極シートが巻回されて成る発電要素に接続され、正極端子と前記正極シートとを接続する、または、負極端子と前記負極シートとを接続する集電体であって、前記正極端子または前記負極端子と接続される端子接続部と、前記端子接続部の一端から延びており前記発電要素の側面の一部である第一の側面に接触する第一集電部と、前記端子接続部の他端から延びており前記第一の側面とは反対側の前記発電要素の第二の側面に接触する第二集電部と、前記第一集電部および前記第二集電部を固定する固定部と、を備える。
【0024】
これによれば、正極集電体および負極集電体は、第一集電部と第二集電部とにより発電用その短軸方向の幅が挟み込まれる前の状態よりも短くなるように発電要素を挟み込んで、固定部により挟み込んだ状態を維持している。
【0025】
このように、固定部により正極集電体および負極集電体の第一集電部と第二集電部とを固定しているため、正極集電体および負極集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状を、挟み込まれた直後の状態に維持することができる。このため、正極集電体および負極集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状の変形を防ぐことができ、発電要素の正極集電体および負極集電体との結合部分の剥がれを防ぐことができる。また、正極集電体および負極集電体は第一集電部と第二集電部とにより発電要素を挟み込んだ上で、固定部により第一集電部と第二集電部とを固定する構造である。このため、正極集電体および負極集電体を、発電要素との結合の剥がれが起きるのを防ぐ構造としつつ、かつ、発電要素との接続が容易な形状とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る蓄電素子によれば、正極集電体および負極集電体と発電要素との結合の剥がれが起きるのを防ぎ、かつ、正極集電体および負極集電体と発電要素との接続を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄電素子の概観を模式的に示す斜視図である。
【図2】筐体の壁部の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】発電要素と集電体との組立体の斜視図である。
【図4】巻回構造とする前の過程における発電要素の構成を示す図である。
【図5A】巻回構造の発電要素の正面図である。
【図5B】圧力を加えられる前の巻回構造の発電要素の断面図である。
【図6】圧力を加えられた後の巻回構造の発電要素の断面図である。
【図7】発電要素と集電体とを接続する前の段階の断面図である。
【図8】発電要素を集電体により挟み込んだ上で固定部により固定した後における当該部分の断面図である。
【図9】発電要素と集電体との組立体を筐体に収納した後の断面図である。
【図10】(a)は、他の実施形態における嵌め合わせ構造の固定部の断面図である。(b)は、他の実施形態における嵌め合わせ構造の固定部の断面図である。(c)は、他の実施形態における固定部の固定部材の断面図である。
【図11】他の実施形態における固定部の固定部材の断面図である。
【図12】(a)は、他の実施形態における固定部の固定部材の側面図である。(b)は、固定部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の実施の形態における蓄電素子について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る蓄電素子の一例を示したものに過ぎない。したがって本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0029】
図1は、蓄電素子の概観を模式的に示す斜視図である。図2は、筐体の壁部の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。図3は、発電要素と集電体との組立体の斜視図である。
【0030】
これらの図に示すように、蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる蓄電池であり、より具体的には、非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)等である。なお、蓄電素子100は、非水電解質電池には限定されず、非水電解質電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、発電要素101と、筐体102と、電極端子103である正極端子131および負極端子132と、集電体104である正極集電体141および負極集電体142とを備えている。なお、蓄電素子100の筐体102の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0031】
以下、図4〜図6を用いて発電要素101について説明する。図4は、巻回構造とする前の過程における発電要素の構成を示す図である。図5Aは、巻回構造の発電要素の正面図である。図5Bは、圧力を加えられる前の巻回構造の発電要素の断面図である。図6は、圧力を加えられた後の巻回構造の発電要素の概略断面図である。
【0032】
発電要素101は、図4に示すように、正極シート111と負極シート112とセパレータ113とを備え、電気を蓄えることができる部材である。正極シート111は、アルミニウムからなる長尺帯状のシートの表面に正極活物質層が形成されたものである。負極シート112は、銅からなる長尺帯状のシートの表面に負極活物質層が形成されたものである。セパレータ113は、樹脂からなる微多孔性のシートである。
【0033】
セパレータ113は、図4に示すように、2枚であって正極シート111の正極集電体141と接続される正極接続部分111a(図5Aの左側)以外の部分全てを挟む。そして、負極シート112は、セパレータ113の外側に配置される。負極シート112はまた、右側の負極接続部分112aがセパレータ113に接触しない位置であって、負極の左端がセパレータ113の左端よりも右に位置するように配置される。図5Aに示すように、発電要素101は、巻回された状態において、左側に正極接続部分111aのみの領域が形成され、右側に負極接続部分112aのみの領域が形成される。つまり、正極集電体141はセパレータ113が介在せず、かつ、正極シート111のみの正極接続部分111aと接触しており、負極集電体142はセパレータ113が介在せず、かつ、負極シート112のみの負極接続部分112aと接触している。また、発電要素101は、正極シート111と負極シート112とが重なる領域A1に必ずセパレータ113が存在するように形成される。このように重ねて配置して巻回した上で、巻回されて円柱形状となった発電要素101の両側面から圧力を加えることにより、図6に示すような、断面が楕円形状の発電要素101を形成している。なお、図6では、説明の便宜上、正極シート111と負極シート112とセパレータ113とを重ねあわせた複数のシート層を1枚のシート層として表現している。
【0034】
以下、図7および図8を用いて正極集電体141および負極集電体142(集電体104)について説明する。正極集電体141および負極集電体142の構造は、同一であるため集電体104として、正極集電体141および負極集電体142を区別せずに説明する。
【0035】
図7は、発電要素と集電体とを接続する前の段階の断面図である。図8は、発電要素を集電体により挟み込んだ上で固定部により固定した後における当該部分の断面図である。図9は、発電要素と集電体との組立体を筐体に収納した後の断面図である。
【0036】
集電体104は、図7に示すように、端子接続部104aと、第一集電部104bと、第二集電部104cと、固定部105aとを有する。端子接続部104aは、正極端子131または負極端子132と電気的に接続される。第一集電部104bは、端子接続部104aの一端から延びており発電要素101の楕円形状断面の長軸方向に沿った第一の側面S1に接触する。第二集電部104cは、端子接続部104aの他端から延びており発電要素101の楕円形状断面の長軸方向に沿った第一の側面S1とは反対側の第二の側面S2に接触する。固定部105aは、第一集電部104bの先端および第二集電部104cの先端を固定する。
【0037】
集電体104は、図8に示すように、第一集電部104bと第二集電部104cとにより発電要素101を挟み込んだ状態で、固定部105aにより固定する。固定部105aは、第一集電部104bの先端と第二集電部104cの先端とに設けられる互いに嵌合することにより固定される形状となっており、嵌め合わせにより固定される構造である。具体的には、固定部105aは、第一集電部104bの先端に設けられる第一凹部108aと、前記第二集電部104cの先端に設けられ第一凹部108aと嵌合する第一凸部108bと、第一集電部104bの先端に設けられる第二凸部108cと、前記第二集電部104cの先端に設けられ第二凸部108cと嵌合する第二凹部108dとを有する。
【0038】
図8に示すように集電体104は、第一集電部104bと第二集電部104cとにより発電要素101の断面の短軸方向の幅W2が挟み込まれる前の当該幅W1(図4参照)よりも短くなるように発電要素を挟み込み、固定部105aが第一集電部104bと第二集電部104cとを固定することにより発電要素101を挟み込んだ状態で維持する。なお、発電要素101の断面の短軸方向の幅W1および幅W2は、発電要素101の第一の側面S1から第二の側面S2までの距離である。集電体104と発電要素101とは、第一の側面S1および第二の側面S2の複数箇所毎に抵抗溶接、超音波溶接またはレーザー溶接により固定される。
【0039】
このように集電体104は、発電要素101の楕円形状断面の短軸方向の両側から発電要素101を図8の矢印で表すように圧縮することができる。なお、集電体104の外側は、図9に示すようにさらに筐体102の内壁に絶縁フィルム106を介して接触している。
【0040】
また、発電要素101の下部は、集電体104の内側部分に接触している。このため、発電要素101と集電体104との間の接触抵抗を減らすことができる。また、固定部105aの嵌め合わせを外れにくくすることができる。
【0041】
上記実施の形態では、固定部105aは、図8に示すように第一凹部108aと第一凸部108bと第二凸部108cと第二凹部108dとにより構成されるがこれに限るものではない。固定部は、第一集電部の先端と第二集電部の先端との少なくとも一方に設けられる凹部と、当該凹部と嵌合し、第一集電部の先端と第二集電部の先端と少なくとも他方に設けられる凸部とにより構成されるような形態であればよい。例えば、図10(a)および図10(b)に示すように、第一集電部が第二集電部の上部に配置されるような形状であっても構わない。この場合の集電部は、第一集電部に凸部を設けて第二集電部に当該凸部に対応して嵌合する凹部を設けることにより、固定部105b、105cを形成している。
【0042】
また、例えば図10(c)に示すように、固定部105dとして、第一集電部と第二集電部とが固定部材107により固定されるような構造としてもよい。なおこの場合の固定部材107は、例えば、ネジ(ボルトを含む)であってもよいしピンであってもよいしリベットであってもよい。これによれば、固定部105cが第一集電部と第二集電部とを別部材により固定する構造であるため、容易かつ確実に第一集電部と第二集電部とを固定することができる。
【0043】
更に、例えば図11に示すように、固定部205として、集電体204の端子接続部204aの一端から延びる第一集電部204bの先端と、他端から延びる第二集電部204cの先端とが広がらないように固定するU字状の固定部材207を採用してもよい。なおこの場合に、第一集電部204bの先端および第二集電部204cの先端と固定部材207とは、各種溶接等によって固定されてもよい、ネジ、ピン、リベット等によって固定されてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、固定部105aは、第一集電部104bと第二集電部104cとを先端部分において固定しており、固定部205も同様に第一集電部204bと第二集電部204cとを先端部分において固定しているが、固定する箇所は先端部分に限定されない。例えば図12(a)に示すように、固定部305として、第一集電部304bと第二集電部304cとの上下方向中央部付近を固定するような固定部材307を採用してもよい。つまり、この形態の場合のように、発電要素101が拡がらないように第一集電部と第二集電部とを固定できるような形態であれば、どの部分を固定してもよい。また、第一集電部と第二集電部とを先端および中央付近においてそれぞれ固定してもよい。
【0045】
固定部材307は、図12(b)に示すように、上面視においてU字状となっており、第一集電部304bおよび第二集電部304cを固定する。なお、この場合に、第一集電部304bの先端および第二集電部304cの先端と固定部材307とは、各種溶接等によって固定されてもよい、ネジ、ピン、リベット等によって固定されてもよい。
【0046】
上記実施の形態では、2枚のセパレータを用意して正極シート111と負極シート112との間に介在させているがこれに限らずに、1枚のセパレータ113を2つ折りにすることにより正極シート111と負極シート112との間に介在させるようにしても良い。
【0047】
上記実施の形態では、発電要素101の下部は、集電体104内側部分に接触しているが、特にこれに限定するわけではない。
【0048】
上記実施の形態では、固定部105aは、発電要素101の下方に設けられているが、これに限らない。例えば、第一集電部または第二集電部をJ字状の形状にすることにより、発電要素の側方に固定部を設けるような形態としてもよいし、発電要素101の上方(つまり、端子接続部104a)に固定部を設けるような形態としてもよい。
【0049】
上記実施の形態では、発電要素101の構造は断面が楕円形状であるが、これに限らずに、断面が円形状のものであってもよい。この場合に、集電体の第一集電部は発電要素の側面の一部である第一の側面に接触し、集電体の第二集電部は第一の側面とは反対側の発電要素の第二の側面に接触することになる。
【0050】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子によれば、正極集電体および負極集電体は、第一集電部と第二集電部とにより発電用その短軸方向の幅が挟み込まれる前の状態よりも短くなるように発電要素を挟み込んで、固定部により挟み込んだ状態を維持している。
【0051】
このように、固定部により正極集電体および負極集電体の第一集電部と第二集電部とを固定しているため、正極集電体および負極集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状を、挟み込まれた直後の状態に維持することができる。このため、正極集電体および負極集電体に挟み込まれる部分の発電要素の断面形状の変形を防ぐことができ、発電要素の正極集電体および負極集電体との結合部分の剥がれを防ぐことができる。また、正極集電体および負極集電体は第一集電部と第二集電部とにより発電要素を挟み込んだ上で、固定部により第一集電部と第二集電部とを固定する構造である。このため、正極集電体および負極集電体を、発電要素との結合の剥がれが起きるのを防ぐ構造としつつ、かつ、発電要素との接続が容易な形状とすることができる。
【0052】
また、固定部105aは、第一集電部104bの先端と第二集電部104cの先端とを嵌め合わせにより固定する構造である。固定部105aが嵌め合わせ構造であるため容易に第一集電部104bと第二集電部104cとを固定することができる。
【0053】
また、正極集電体141および負極集電体142の外側は、筐体102の内壁に絶縁フィルム106を介して接触している。このように、正極集電体141および負極集電体142は、その外側が絶縁フィルム106を介して筐体102の内壁に接触しているため、発電要素101の広がりを正極集電体141および負極集電体142だけでなく筐体102によっても抑制することができる。
【0054】
また、発電要素101の下部は、正極集電体141および負極集電体142の内側部分に接触している。このように発電要素101の下部が正極集電体141および負極集電体142の内側部分に接触しているため、正極集電体141および負極集電体142と発電要素101との接触面積を大きくすることができる。このため、正極集電体141および負極集電体142と発電要素101との接触抵抗を減らすことができ、電流集電効率を向上させることができる。また、固定部105aの嵌め合わせを外れにくくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、正極集電体および負極集電体と発電要素との結合の剥がれが起きるのを防ぎ、かつ、正極集電体および負極集電体と発電要素との接続を容易にできる蓄電素子等として利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
100 蓄電素子
101 発電要素
102 筐体
103 電極端子
104、204 集電体
104a、204a 端子接続部
104b、204b 第一集電部
104c、204c 第二集電部
105a、105b、105c、105d、205 固定部
106 絶縁フィルム
107、207 固定部材
108a 第一凹部
108b 第一凸部
108c 第二凸部
108d 第二凹部
111 正極シート
111a 正極接続部分
112 負極シート
112a 負極接続部分
113 セパレータ
131 正極端子
132 負極端子
141 正極集電体
142 負極集電体
A1 領域
S1 第一の側面
S2 第二の側面
W1 幅
W2 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子および負極端子と、
活物質が表面に塗布された正極シートおよび負極シートと、セパレータとを有し、前記セパレータを介して積層された前記正極シートおよび前記負極シートが巻回されて成る発電要素と、
前記正極端子または前記負極端子と接続される端子接続部と、前記端子接続部の一端から延びており前記発電要素の側面の一部である第一の側面に接触する第一集電部と、前記端子接続部の他端から延びており前記第一の側面とは反対側の前記発電要素の第二の側面に接触する第二集電部と、前記第一集電部および前記第二集電部を固定する固定部とを有し、前記正極端子と前記正極シートとを接続する、または、前記負極端子と前記負極シートとを接続する集電体と
を備える
蓄電素子。
【請求項2】
前記固定部は、前記第一集電部の先端部分と前記第二集電部の先端部分とを少なくとも固定する
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記集電体は、前記発電要素を挟み込んでおり、前記発電要素の前記第一の側面から前記第二の側面までの距離が前記第一集電部と前記第二集電部とにより挟み込まれる前の当該距離よりも短くなるように前記発電要素を挟み込み、前記固定部が前記第一集電部と前記第二集電部とを固定することにより挟み込んだ状態を維持する
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記固定部は、
前記第一集電部の先端と前記第二集電部の先端との少なくとも一方に設けられる凹部と、
前記凹部と嵌合し、前記第一集電部の先端と前記第二電部の先端と少なくとも他方に設けられる凸部と、
を有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記固定部は、前記第一集電部の先端と前記第二集電部の先端とを固定する前記第一集電部および前記第二集電部とは別の固定部材を有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
さらに、
絶縁フィルムと、
筐体と
を備え、
前記集電体は、前記第一集電部の前記第一の側面と接する面の反対側の面、および、前記第二集電部の前記第二の側面と接する面の反対側の面が、前記筐体の内壁に前記絶縁フィルムを介して接する
請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記発電要素の下部は、前記集電体の内側部分に接触している
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項8】
活物質が表面に塗布された正極シートおよび負極シートと、セパレータとを有し、前記セパレータを介して積層された前記正極シートおよび前記負極シートが巻回されて成る発電要素に接続され、正極端子と前記正極シートとを接続する、または、負極端子と前記負極シートとを接続する集電体であって、
前記正極端子または前記負極端子と接続される端子接続部と、
前記端子接続部の一端から延びており前記発電要素の側面の一部である第一の側面に接触する第一集電部と、
前記端子接続部の他端から延びており前記第一の側面とは反対側の前記発電要素の第二の側面に接触する第二集電部と、
前記第一集電部および前記第二集電部を固定する固定部と、
を備える
集電体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−48058(P2013−48058A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186260(P2011−186260)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】