説明

薄板状物の把持装置、および薄板状物の把持方法

【課題】
摩擦による塵埃の発生及び飛散を抑制し、従来の搬送ハンドからの置き換えが容易に且つ安価に出来、軽量で、かつ狭隘な場所にもアクセス可能な薄型の把持装置を提供すること。
【解決手段】
把持装置22は、内部に圧縮気体流通のための流路36と、圧縮気体を噴出させる噴出口30を有する搬送フィンガ23と、搬送フィンガ23先端に固定された第1の把持部材26と、駆動手段28によって動作させられる第2の把持部材29とを具えている。圧縮気体の噴出力によって浮上させられた薄板状物の周縁部を、第1の把持部材26と第2の把持部材29とで、位置ずれ補正を行いながら把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶基板等の薄板状物を清浄環境下で清浄容器間や各種処理装置間で移載するための把持装置と、この把持装置を備えた搬送装置並びに薄板状物加工設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄板状物の一つである半導体ウエハ(ウエハと称する)は、処理設備によって表面にレジスト塗布、露光、現像等の各種の微細な処理を施されるため、外部雰囲気を遮断し極端にゴミや塵埃の浮遊量が少ないクリーンルームと呼ばれる清浄環境の中で、密閉可能な清浄容器に複数枚を棚段上に収納されて各処理設備間を運搬される。図1はウエハに各種処理を施す処理設備1を示した一部切り欠き斜視図である。手動若しくは専用の運搬装置によって運ばれてきた清浄容器の一つであるFOUP(FrontOpeningUnifiedPod)2は処理設備1の一部で、ウエハをFOUP2と処理装置3の間の受渡しを行う搬送装置4に具えられた載置ステージ5に載置され、開扉される。FOUP2内のウエハは搬送装置4に具えられた搬送ロボット6により保持され、搬送装置4と処理装置3との間でウエハの受け渡しを行うロードロック室7に運ばれる。その後、処理装置3に具えられた不図示の搬送ロボットによって処理チャンバ8へと搬送され、各種処理を施される。搬送装置4は周囲を外部環境から遮断するための壁で覆われていて、搬送装置4上部にはファンフィルタユニット(FanFilterUnit)9が具えられている。ファンフィルタユニット9は搬送装置4が設置されているクリーンルーム環境と比べて、より清浄度の高い高清浄空気を搬送装置4内部に下向きの層流として供給している。
【0003】
この高清浄空気の下向きの層流によって、搬送装置4内部は外部のクリーンルーム環境と比べて陽圧を保つことが出来、装置外部からの微小な塵埃の浸入を防ぐことが可能となっている。また、この高清浄空気は、搬送装置4の底部に具えられた空気流通可能な床10を通って装置外部へと排出されるので、内部で発生した塵埃も、この下向きの層流によって装置外部へ排出されることとなる。このファンフィルタユニット9から供給される下向きの層流の流速や流量は、小さ過ぎると、搬送装置4内部で発生した塵埃が外部に排出されないこととなり、逆に大き過ぎると、装置内部やFOUP2の隙間に滞留していた塵埃を飛散させて、ウエハ17上に付着させてしまうこととなるので、搬送装置4の構成や設置された環境によって、好適に調整される必要がある。この下向きの層流によって局所的に高清浄雰囲気に維持された環境はミニエンバイロメント環境と呼ばれ、ウエハの搬送を行うのに最も適した環境となっている。
【0004】
従来、搬送ロボット6がウエハを搬送する際には、ウエハの保持手段として、搬送ハンド11に吸着パッドを具え、真空吸着力でウエハ裏面を吸着する方式が多く採用されてきた。しかし、吸着パッドがウエハ裏面に直接接触するため、ウエハに傷がついたり、塵埃が付着したりするトラブルが発生する可能性が高かった。また、ウエハの大型化が進むにつれて、ウエハがその自重によって撓みやすくなり、撓んだウエハの裏面を吸着して搬送すると吸着不良や搬送不良が起きやすく、歩留まりの低下の一因となっていた。その上、何らかの理由で所定の位置から外れた位置に載置されたウエハを搬送する際には、ウエハと搬送ハンド11の位置関係がずれたまま搬送が行われることとなり、最悪の場合、ウエハが破損されることもあった。
【0005】
そこで上記の問題点を解決するために、複数の把持部材がウエハの外周縁を把持する把持式ハンドが広く使われるようになった。図2は特開2004−119554号公報にて提案された把持式ハンドで、搬送ロボット6のアームユニット13先端に取り付けられた状態を斜め上方向から見下ろした斜視図である。二股に分かれた把持ハンド12の両端には固定把持部材14が取り付けられており、アームユニット13との連結部分側には案内手段15を有する移動把持部材16が進退動作可能に取り付けられている。固定把持部材14及び移動把持部材16のウエハ17周縁部に当接する部分は、ウエハ17の外周縁に対応した形状となっている。移動把持部材16の摺動動作は、モータ18と、このモータ18のシャフトに連結された送りネジ機構19によって行われていて、モータ18の正転により把持方向(T方向)に動作し、逆転により開放方向(S方向)に動作する構造となっている。また、把持式ハンドの中央付近には、反射光式センサ20が埋め込まれていて、この反射光式センサ20によってウエハ17が把持式ハンド12上に正常に載置されているかどうかが認識されるようになっている。
【0006】
図3は上記の把持式ハンド12を真横から見た図である。上記把持式ハンド12によるウエハの把持動作は以下の通りである。まず、ウエハ17は搬送ロボット6によって把持式ハンド12上の、固定把持部材14と移動把持部材16とによって規定された場所に載置される。図3(a)。その後、移動把持部材16がモータ18によって把持位置まで動作させられることで、載置されたウエハ17は固定把持部材14及び移動把持部材16によって、規定の把持位置まで案内され、把持動作は完了する。図3(b)。この時、ウエハ17は常に固定把持部材14及び移動把持部材16の傾斜部分21に周縁部を当接して載置され、把持完了時には周縁部を真横方向から把持されているので、裏面にキズや塵埃によるダメージを負うことはない。
【0007】
また、近年、機械的な把持機構ではなく、空気や窒素ガス流から生まれるベルヌーイ効果を利用して無接触でウエハ17を搬送する方法が実用化されている。これはベルヌーイチャックと呼ばれる無接触の搬送方法であって、特開平11−254369号公報では、空気の旋回流を発生させる旋回室を設け、被搬送物と対向する対向面を有するベルマウス内部に旋回流を送り込み大きな吸着力を得ようとする装置が提案されている。これにより無接触で被搬送物を保持できるので、把持部材と被搬送物の摩擦による塵埃の発生は無くなり、機械的な把持や吸着が困難な薄型ウエハの搬送は可能となった。
【特許文献1】特開2004−119554号公報
【特許文献2】特開平11−254369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の方法にも多くの問題点が残されている。まず、上記把持式ハンド12によるウエハ17の周縁部を把持する方法では、塵埃の発生を完全に抑制できたわけではない。ウエハ17を把持する際、移動把持部材16は図3(a)の位置から図3(b)の位置まで移動するが、その際、ウエハ17は周縁部を固定把持部材14及び移動把持部材16の傾斜部分21に擦りながら把持位置まで移動させられるので、この擦れた部分からごく微量の塵埃が発生しウエハ17に付着することで、次の処理工程での歩留まりに悪影響を与えてしまうという問題点が発生している。
【0009】
また、無接触搬送装置では、ベルヌーイ効果を発生させるための構造が複雑で、製造コストも高くなってしまう可能性は否めない。また、複雑な構造であることから小型化が困難であり、狭隘なエリアへの搬送には不向きなものとなり、限られた状況での使用に限られてしまう。その上、既存の搬送ロボット6に搭載するためには、搬送ロボット6を大幅に改造する必要があった。また、保持力を確保するには、大量の空気を噴き出す必要があるので、噴出した大量の空気が搬送装置4内の下向きの層流気流を乱してしまったり、周辺の処理装置やFOUPの隙間に滞留していた塵埃を飛散させてしまったりして、被搬送物であるウエハ17の清浄度を低下させてしまうという問題点も発生している。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みて開発されたもので、摩擦による塵埃の発生及び飛散を抑制し、従来の搬送ハンドからの置き換えが容易に且つ安価に出来、軽量で、かつ狭隘な場所にもアクセス可能な薄型の把持装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、搬送ロボットのアームの先端に回動可能に連結される搬送フィンガと、前記搬送フィンガの先端に固設された第1の把持部材と、駆動手段によって把持位置と待機位置間を動作させられる第2の把持部材とからなる薄板状物の周縁部を把持する把持装置において、前記搬送フィンガは内部に圧縮気体流通のための流路と、この圧縮気体の供給を制御するための制御部とを有し、前記流路と連通した複数の噴出口から前記圧縮気体を噴出させることで前記薄板状物を浮上させて把持することを特徴とする把持装置である。上記の構成によれば、薄板状物の下面と搬送フィンガの上面が接触することなく、薄板状物の把持を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記搬送フィンガは、前記搬送フィンガ周縁部よりも盛り上がった形状の浮上パッドを有し、前記浮上パッドは、前記複数の噴出口を有することを特徴とする請求項1に記載の把持装置である。上記の構成によれば、極薄ウエハや大型ガラス基板等の、自重により撓み易い薄板状物を搬送する場合でも、薄板状物の周縁や下面が搬送フィンガ上面に接触することはない。
【0013】
請求項3の発明にある第2の把持部材は、弾性体による弾性力によって前記薄板状物に向かって付勢されることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の把持装置である。上記構成によれば、薄板状物を一定の強さの押圧で把持することが出来る。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3の何れかに記載の把持装置を具えたことを特徴とする搬送装置である。
【0015】
請求項5の発明は、薄板状物の周縁部を前記第1の把持部材と前記第2の把持部材で把持する把持方法であって、前記薄板状物が前記搬送フィンガ上にあって、前記第1の把持部材と前記第2の把持部材によって把持されていない時には、上記制御部が圧縮気体を供給し、前記薄板状物が前記第1の把持部材と前記第2の把持部材によって把持されている時には、上記制御部が圧縮気体の供給を停止することを特徴とする薄板状物の把持方法である。上記方法によれば、塵埃を発生させることなく薄板状物を把持することが可能であり、圧縮気体の総噴出量も抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
圧縮気体はウエハ受け渡しに関する一連の動作の中で、ウエハ受け取りと載置の時だけしか供給されないので、圧縮気体の消費量は少量で済む上、噴出した圧縮気体でミニエンバイロメント内を流れる下向きの層流を乱してしまうこともない。さらに、少量の圧縮気体を短時間供給するだけなので、FOUP内部に滞留したままの塵埃を飛散させることもないのでウエハを清浄な状態に維持出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。図1に示す半導体の処理設備1は、ウエハ17に対してレジスト塗布、露光、現像等の各種処理を行う処理装置3と、ウエハ17をFOUP2から処理装置3の搬出入口であるロードロック室7等へ搬送する搬送装置4とからなっている。そのうち搬送装置4は、ウエハ17が複数の棚段上に収納されるFOUP2の載置とFOUP2の扉の開閉を行う載置ステージ5と、屈伸動作可能なアームユニット13を有する搬送ロボット6と、その搬送ロボット6をスライド上部に固定し、複数個具えられた載置ステージ5の並びに対して、平行に移動させる不図示の移動装置と、搬送ロボット6や前記移動装置の動作や信号を制御するロボットコントロール部とを具えている。
【0018】
図4は本発明の一実施例である把持装置22が取り付けられている搬送ロボット6の斜視図である。把持装置22は、搬送ロボット6の基台上に取り付けられたアームユニット13の先端部に回動可能に設置されている。アームユニット13は2本のアーム13a、13bからなり、その連接部にて屈伸動作可能な構造を有している。把持装置2は、搬送フィンガ23と、搬送フィンガ23上にあって周辺よりも盛り上がった形状の浮上パッド24と、搬送フィンガ23上でのウエハ17の位置ズレを防止するためのストッパの役目を果たすウエハパッド25と、搬送フィンガ23先端部分の左右に一つずつ固設された第1の把持部材26と、リストブロック27内に具えられた駆動手段28の動作により把持位置と待機位置との間を進退動作可能な第2の把持部材29とからなっている。これらウエハパッド25、第1の把持部材26及び待機位置にある第2の把持部材29によって規定された範囲内であれば、どの場所にウエハ17が載置されたとしても、第2の把持部材29の把持動作で、複数具えられた第1の把持部材26と、第2の把持部材29によってウエハ17は把持装置22上の所定の位置に固定されることとなる。すなわち、FOUP2や処理装置3内部で何らかのエラーにより載置位置がずれたとしても、上記の規定位置内にウエハ17があれば、把持動作を行うことでウエハ17の位置ずれを補正することとなり、ウエハ17の破損といったトラブルを未然に防ぐことが出来る。浮上パッド24には該ウエハ17を浮上させるための圧縮気体を噴出する複数の噴出口30が設けられている。図4に図示された浮上パッド24には、中心部分に1箇所、および中心部分に設けられた噴出口30を中心とする円上の6箇所に等配されている。なお、本実施例では噴出口30の開口形状を直径0.8mmの円形としているが、開口形状および噴出口30の開口面積は、供給される圧縮気体の流量や流速等の値、及び噴出口30の数により適宜変更可能である。さらに、本実施例では、被把持物として薄板状物の一つであるウエハ17を安定した姿勢で浮上させるために、噴出口30の配置は、円上の等配位置としているが、これに限らず、液晶ガラス基板や太陽電池基板といった矩形の薄板状物を把持することも可能である。その場合にも、均等に被搬送物が浮上させることが出来るように、噴出口30の配置を適宜変更可能である。
【0019】
次に、搬送フィンガ23の構造について説明していく。搬送フィンガ23は上面フィンガ31と下面フィンガ32という2枚のフィンガ部材が貼り合わされて出来ている。図5は搬送フィンガの詳細を示した図であって、(a)は上面フィンガ31を(b)は下面フィンガを示した斜視図であり、(c)は搬送フィンガ23の断面図である。上面フィンガ31には周辺より盛り上がった形状の浮上パッド24が形成されている。浮上パッド23は、ウエハ17に対向する面である上面が平坦な面となっていて、その上面から上面フィンガ31の下面まで、圧縮気体を噴出するための複数の噴出口30が貫通されている。下面フィンガ32には、継手34を取り付けるための貫通穴35が左右の2箇所に開けられていて、搬送ロボット6の本体内部からアームユニット13を通って圧縮気体を把持装置22に供給するチューブ33を連結することが出来るようになっている。その貫通穴35の位置から、各噴出口30への圧縮気体流通のための流路36が形成されている。上面フィンガと下面フィンガとの貼り合わせ面は、互いに平坦な面となっていて、これによって、搬送ロボット6本体側から送られて来た圧縮気体は、把持装置22外部に漏れることなく噴出口30からフィンガ上面に噴出されることとなる。なお、上面フィンガ31と下面フィンガ32の貼り合わせは、ネジによる固定でも良いが、接着剤等による貼接が好ましい。また、ネジによる固定を行う際には、パッキンやガスケット等のシール材によって接合面からのリークを防止する手段が必要となる可能性がある。さらに、上面フィンガ31と下面フィンガ32の材質はアルミやステンレス等の金属の他に、酸化アルミの粉末を焼き固めたアルミナセラミックに代表される剛性の高いセラミック材を用いることも可能であり、継手34を取り付けるための貫通穴35は上面フィンガ31に設けることも充分可能である。
【0020】
次に、ウエハ17の周縁部を把持する把持部材について詳しく説明する。第1の把持部材26及びウエハパッド25は、上面フィンガ31にネジ止め若しくは接着剤で固定されている。第1の把持部材26及び第2の把持部29のウエハ17周縁部に当接する部分は、ウエハ17周縁部に対応した円弧を有する形状としてもいいし、本実施例にあるような円筒状としてもいい。なお、ウエハパッド25の形状は、ウエハ17のストッパとしての役目を果たすので、本実施例では、あらゆる角度からの接触でもウエハ17との当接部分の小さい円筒状としている。また、第1の把持部材26と、第2の把持部材29及びウエハパッド25はウエハ17の周縁部に当接するので、当接の際に微小な塵埃の発生の少ないPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材や超高分子ポリエチレン、耐摩耗性ポリエステル等の耐摩耗性の高い硬質合成樹脂材を用いることが好ましい。
【0021】
次に、本実施例における第2の把持部材29及び駆動手段28の詳細について図6にて説明する。図6(a)(b)は本実施例の駆動手段28付近の構成を示す図である。なお、駆動手段28の動作は不図示のフィンガ制御部によって制御されている。駆動手段28の一部であるモータ38は、モータシャフト39が第2の把持部材29の進退方向に対して平行になるようにリストブロック27に固定されている。モータシャフト39は、それ自体がネジ軸となっており、回転とともに進退方向に直線移動する。ガイド部材37の二股に分岐した端部には第2の把持部材29が取り付けられており、もう一方の、搬送ロボット6本体側端部にはプレート41が固定されている。プレート41は案内手段である直動軸受け40に摺動自在に取り付けられていて、直動軸受け40は、リストブロック27にアームユニット13先端の進退方向に対して平行に2個取り付けられている。この構成により、第2の把持部材29はアームユニット13先端の進退方向に対して平行(図6C、F方向)に進退可能となっている。さらに、プレート41は、弾性体の一つであるバネ部材42を介して、リストブロック27のウエハ17載置側壁面と連結されていて、このバネ部材42の弾性力によって、第2の把持部材29は載置されたウエハ17に対して常にC方向に一定の負荷をかけることが可能となっている。なお、リストブロック27の壁面には、ガイド部材37が進退動作できるように開口部分45が設けられているが、ガイド部材37及び開口部分45は、把持装置22のウエハ17把持位置よりも低い位置に配置されていて、リストブロック27内の駆動手段28から発生した塵埃は、搬送装置4内部を流れる高清浄空気の下向きの気流によって搬送装置4外部へと排出されるので、塵埃がウエハ17を汚染する可能性は皆無である。
【0022】
モータ38は、二つ具えられた直動軸受け40の間に取り付けられているので、モータシャフト39が動作することで、モータシャフト39の先端とプレート41とは、当接することとなる。すなわち、モータシャフト39は正転動作することで図中F方向に後退動作し、バネ部材42によって常に引っ張られているプレート41を所定の位置まで後退させることとなるのである。所定の位置まで後退移動させられたプレート41は、モータシャフト39とバネ部材42の弾性力によってその位置で静止することとなる。次に、モータ38が逆転動作すると、常にバネ部材42によってC方向に引っ張られているプレート41は、モータシャフト39の先端の動作に連動してC方向に前進移動させられる。そして、第2の把持部材29がウエハ17の周縁部に当接すると、プレート41は静止し、その後はモータシャフト39の前進動作に連動せず、バネ部材42の弾性力をウエハ17の把持力として第2の把持部材29に伝達することとなる。モータシャフト39はプレート41と離間しても前進動作を継続するが、所定の位置まで達したら、前進動作を停止する。
【0023】
また、プレート41の把持位置と開放位置付近には光透過式のセンサ43が具えられていて、プレート41にはセンサ43の光軸を遮るセンサドグ44が具えられている。この構成によって、ウエハ17を正常に把持出来た際には、センサドグ44が把持位置に具えられたセンサ43の光軸を遮光することとなり、フィンガ制御部は正常に把持出来ていることを認識出来、ロボットコントロール部に次の動作の開始許可信号を送ることが出来る。また、何らかの不具合でウエハ17の周縁を第2の把持部材が把持出来なかった場合には、プレート41が所定のセンサ検出位置よりも前進方向もしくは後退方向にずれた位置で停止することとなり、センサ43の光軸は遮光されないので、フィンガ制御部は不具合が発生したことが認識出来、ロボットコントロール部に次の動作の中止信号を送ることが出来る。これによって、ウエハ17を把持出来ていない状態で搬送ロボット6が搬送動作を行い、ウエハ17を破損してしまうというトラブルを回避することが出来る。
【0024】
また、ウエハ17が正常に把持されているかどうかを検出する手段は、上記以外にもある。図10に示す他の実施例における把持装置22では、上面フィンガ31の先端2箇所に固定された第1の把持部材26に光透過式センサの投光器48と受光器49を、それぞれ離間して向かい合わせに具えている。ウエハ17が第1の把持部材26と第2の把持部材29とによって正常に把持されたとき、投光器48から受光器49へと投射される光軸はウエハ17の厚みで遮断される。この遮断された信号はフィンガ制御部に伝達され、フィンガ制御部は正常に把持出来ていることを認識出来る。また、上記の把持検出センサ以外にも、光学式反射型センサ50を上面フィンガ31に具えることも出来る。この光学式反射型センサ50の投光手段により上向きに投射された光が、ウエハ17底面に反射し、同じく光学式反射型センサ50に具えられた受光手段により検知される。この受光手段により検知された反射光の強度が所定の範囲であることを検知し、フィンガ制御部に信号を送ることで、上面フィンガ31上にあるウエハ17が正常に把持されたかどうかをフィンガ制御部が認識することが出来る。なお、この光学式反射型センサ50は、上面フィンガ31の、正常に把持されたウエハ17の周縁部を検知出来る位置に配置されることが好ましい。さらに、上記の透過光式及び反射光式センサは上面フィンガ31上のウエハ17を直接検知するので、ウエハ17の有無を検出する手段として使用することも充分可能である。
【0025】
なお、駆動源としてのモータ38はステッピングモータやサーボモータのようなパルスによる正確な位置決めや、動作速度の制御が可能なものを使用することが望ましい。動作速度の制御が可能である駆動源を具えることで、把持動作による第1及び第2の把持部材にウエハ17周縁が当接する直前に動作速度を減速させることにより、当接時の衝撃や磨耗による塵埃の発生を抑えることが可能となる。また、モータ38に代えて、電磁石によりシャフトを進退動作させるソレノイドアクチュエータや、エアシリンダを使用することとしても良いが、エアシリンダを使用する場合には、ウエハ17を浮上させる際に圧縮気体を噴出させるので、シリンダへの供給圧が不足してしまう可能性がある。そこで、エアシリンダ駆動のための圧縮空気とウエハ17浮上用の圧縮気体とは別系統の配管を敷設したり、レギュレータにより供給圧の安定を図ったりといった配慮が必要となってくる。
【0026】
次に、ウエハ17を浮上させるための圧縮気体の供給経路について詳しく説明していく。圧縮気体は搬送装置4が設置されている工場設備から供給されることとしても良いし、搬送装置4が圧縮気体を貯留する手段を具えてもよいが、本実施例では、工場設備から供給されることとして説明を行う。工場設備から供給経路を経て供給された圧縮気体は搬送ロボット6内部へとチューブを介して導入され、搬送ロボット6内部に具えられた、圧縮気体中の塵埃を除去するフィルタ、気体圧を一定に保つ働きをするレギュレータ、圧力センサ、及びフィンガ制御部からの電気信号により圧縮気体の供給・遮断の動作を行う電磁弁を介した後、搬送ロボット6本体からアームユニット13内部を通って搬送フィンガ23へと供給される。圧縮気体の搬送ロボット6内部への供給経路、及び搬送ロボット6内部から搬送フィンガ23への供給経路には、ポリウレタンやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の柔軟性のある樹脂材からなるチューブを用いることが好ましい。搬送ロボット6は様々な方向への移動及び旋回、アームの屈伸といった動作を行うので、柔軟性の低い材質のチューブでは、長時間の動作によって破損してしまう虞があるからである。搬送フィンガ23まで敷設されたチューブは、搬送フィンガ23に具えられた継手34に取り付けられる。この構成によって、工場から供給された圧縮気体は、搬送フィンガ23に適切な流量を所望のタイミングで供給・遮断されることが可能となる。また、上記の機器以外に、万が一工場からの圧縮気体の供給が途切れた場合に備えて、圧縮気体を貯留することの出来るアキュムレータを具えておくことも可能である。
【0027】
次に、本実施例の把持装置22を具えた搬送ロボット6がFOUP2内に収納されたウエハ17を搬出し、処理装置3に搬入する手順を図7、図8を参照し詳しく説明する。通常、ウエハ17は、FOUP2に複数具えられた棚段上に収納され、各処理装置3間を手動もしくはOHTと呼ばれる専用の搬送装置によって搬送される。搬送装置4の載置ステージ5上に載置されたFOUP2は開扉手段によって開扉される。これによって、ウエハ17はミニエンバイロメントと呼ばれる高清浄環境下に置かれることとなる。不図示のロボットコントロール部の信号によって、搬送ロボット6は、搬送フィンガ23をFOUP2内の所望のウエハ17を載置できる位置まで移動させられる。図7(a)。この時点では、まだ、圧縮気体は搬送フィンガ23に供給されていない。次に、ロボットコントロール部からの、搬送ロボット6移動完了の信号を受け取ったフィンガ制御部は、電磁弁に圧縮気体供給の信号を送る。図7(b)。圧縮気体の供給が始まると、フィンガ制御部は、ロボットコントロール部に圧縮気体供給開始の信号を送る。圧縮気体供給開始の信号を受け取ったロボットコントロール部は、搬送ロボット6に指令を送り、昇降手段を動作させ、搬送フィンガ23を所定の位置まで上昇させる。この時、ウエハ17は噴出口30から噴出される圧縮気体の噴出力によって浮上させられ、浮上パッド24表面に対して一定間隔離間した位置で、搬送フィンガ23の上昇動作に従って上昇させられる。
【0028】
搬送フィンガ23及びウエハ17が所定の位置まで上昇したら、フィンガ制御部は、把持装置22に具えられた駆動手段28を前進動作させ、第2の把持部材29を待機位置から把持位置まで動作させる。図7(c)。その時、ウエハ17は、周縁部を第2の把持部材29に押されて、第1の把持部材26に他の周縁部が当接する位置まで図6のC方向に移動させられるが、ウエハ17は、周縁部以外、一切他の部材に接触していないので摩擦による微小な塵埃の発生は皆無である。センサ43によりウエハ17の正常把持が検知されたら、フィンガ制御部は、電磁弁に圧縮気体遮断の信号を送り、圧縮気体の供給を遮断させる。この時ウエハ17は第1の把持部材26と第2の把持部材29によって周縁部を把持されているので、ウエハ17の下面は搬送フィンガ23に対して非接触状態の位置に保たれている。図7(d)。圧縮気体の供給を遮断したら、フィンガ制御部はロボットコントロール部に供給遮断の信号を送る。供給遮断の信号を受け取ったロボットコントロール部は、搬送ロボット6に指令を送り、ウエハ17を把持したまま目的の搬送位置まで移動させ、ウエハ17の搬入動作を行う。
【0029】
搬入動作は、まず、ロボットコントロール部は搬送ロボット6を動作させ、目的のウエハ受渡し部46に具えられた載置台47の真上まで把持装置22を移動させる。搬送ロボット6の動作が終了したら、ロボットコントロール部は、フィンガ制御部に移動完了の信号を送る。移動完了の信号を受け取ったフィンガ制御部は、電磁弁に圧縮気体供給の信号を送り、圧縮気体の供給を開始させる。圧縮気体の供給が始まると、フィンガ制御部は駆動手段28に信号を送り、第2の把持部材29を所定の待機位置まで後退動作させる。図8(a)。この動作により、第1の把持部材26及び第2の把持部材29によるウエハ17の把持は解除される。把持を解除されたウエハ17は、浮上パッド24に設けられた噴出口30から噴出される圧縮気体の噴出力によって浮上させられ、搬送フィンガ23に対し非接触状態となる。圧縮気体の供給が始まると、ロボットコントロール部は搬送ロボット6に指令を送り、搬送ロボット6の昇降手段を動作させ、搬送フィンガ23を所定の位置まで下降させる。図8(c)。この時、ウエハ17は噴出口30から噴出される圧縮気体の噴出力によって浮上させられ、浮上パッド24表面から一定間隔だけ離間した位置で、搬送フィンガ23の下降動作に従って下降させられる。図8(b)。搬送フィンガ23を所定が位置まで下降することで、ウエハ17はウエハ受渡し部46に具えられた載置台47上に載置されることとなる。図8(c)。ウエハ17の載置が終了したら、ロボットコントロール部はフィンガ制御部にウエハ17の載置完了信号を送る。載置完了信号を受け取ったフィンガ制御部は電磁弁に圧縮気体遮断の信号を送り、圧縮気体の供給が遮断される。その後ロボットコントロール部は搬送ロボット6に把持装置22を所定の待機位置まで移動させて搬入動作は終了する。図8(d)。
【0030】
以上が本実施例の把持装置22を具えた搬送ロボット6がFOUP2内に収納されたウエハ17を搬出し、各種処理装置や他のFOUP2に搬入する手順である。上述したとおり、圧縮気体はウエハ17の搬入・搬出に関する一連の動作の中で、ウエハ17の受け取りと載置の時だけしか供給されず、圧縮気体の消費量は少量で済む。なお、上記実施例では圧縮気体を使用しているが、圧縮気体にはCDA(清浄乾燥空気)や窒素ガス等の不活性ガスも含まれる。また、第1把持部材26及び第2把持部材29のウエハ17に当接する面の断面形状が直線の円筒状としているが、円筒状以外にも図9に示すようにウエハ周縁部の断面形状に対応した円弧状(a)や楔状(b)、または被搬送物であるウエハ17の外周縁の形状に対応した形状(c)とすることで小さな押圧力での把持が可能となる。さらに、自重や搬送中の振動で撓む可能性のある極薄のウエハ17を把持し搬送する場合には、搬送中も圧縮気体を噴出し続けることで、撓みによるウエハ17の搬送フィンガ23への接触を回避することが可能となる。搬送中も圧縮気体を供給し続けたとしても、圧縮気体の消費量は、引例等にあるベルヌーイチャックを利用した搬送方法に比べて各段に少なくて済む。
【0031】
次に、本発明の一実施例である把持装置22において、圧縮空気の流量及び噴出口30の数によるウエハ17の浮上量を測定した実験結果を下記に示す。実験は、載置台に置かれた直径300mmのウエハ17を把持装置22が圧縮空気を噴出させながら上昇していき、ウエハ17が載置台上から離間した時の、浮上パッド24上面とウエハ17底面との離間距離を測定することとした。ウエハ17を浮上パッド24の上面に対し平行に浮上させるため、浮上パッド24のウエハ17に対向する面は、直径240mmの円形とし、浮上パッド24上の中心位置1箇所及び中心位置を中心とする円上の等配位置の6箇所に直径0.8mmの噴出口30を設けることとした。第1の実験は、把持装置22に供給する圧縮空気の流量と、浮上パッド24表面からのウエハ17の浮上量の関係をテストした。圧縮空気の供給元圧は0.5MPaとし、チューブ33内を流通する圧縮空気の流量を可変流量弁にて調節し、ウエハ17の浮上量を測定していった。その測定結果を近似曲線化したものが図11に示すグラフAである。グラフAから、圧縮空気の流量を10L/minから50L/minと5倍に増やしても、浮上量は0.1mm程度しか変化しないことがわかる。ただし、流量を増やすと噴出速度も上昇し、搬送装置4内部の下向きの層流を乱してしまい、清浄度に影響を起こしかねないので可能な限り少ない流量とすることが必要となってくるので、グラフAから、0.4mm以上の充分な浮上量を得ることが出来る10L/min以下の流量とすることが望ましいことが判明した。
【0032】
次に第2の実験として、噴出口30の数の違いによる浮上量の変化をテストした。噴出口30の数は前回テストを行った7個のものから25個のものに変更し、圧縮空気の流量を前回テストと同様に可変流量弁にて適宜調整し、ウエハ17の浮上量を測定していった。その測定結果を近似曲線化したものが図11に示すグラフBである。グラフBから噴出口30の数を25個に増やしても浮上量の上昇は見られず、35L/min以下の流量では噴出口30を7個しか設けていないものよりも浮上量が低下する結果となった。これは、噴出口30を増やすことで空気の流通面積が増え、結果として空気の流速が低下したためと考えられる。これらの結果から、本実施例の把持装置22については、噴出口30を7箇所に設け、ウエハ17の浮上量は0.4mmから0.45mm程度、供給流量は8L/minから15L/min程度とすることが望ましいと言える。
【0033】
次に、上記の実験結果を踏まえた上での把持装置22の寸法について図12を参照し説明する。浮上パッド24の、搬送フィンガ23上面からの盛り上がり量をAmmとすると、一般的なウエハ17の厚みは約0.8mmとされているので、ウエハ17の上面は、搬送フィンガ23上面からA+0.4+0.8mmの位置となる。よって、浮上したウエハ17を把持する第1の把持部材26及び第2の把持部材29の搬送フィンガ23上面からの高さは、最低でも、上記のA+0.4+0.8mm必要となる。搬送フィンガ23の厚みを4mm、浮上パッド24の盛り上がり量を2mmとすると、全体の厚みは7.2mmとなる。FOUP2のウエハ17を載置する棚の上下ピッチは、一般的に10mmとなっているので、FOUP2に載置されたウエハ17の隙間に挿入させることが充分可能な寸法となる。さらに、搬送フィンガ23の厚みを5mmとし、浮上パッド24の盛り上がり量を1mmとすることも出来る。こうすれば、全体の厚みは上記と同じ7.2mmとなる。さらに、搬送フィンガ23上面が平滑であれば、浮上パッド24の盛り上がり量を0としてもウエハ17は搬送フィンガ23上面から0.4mm浮上しているので搬送中にウエハ17下面が搬送フィンガ23上面に接触することもない。
【0034】
なお、上記の実施例では、噴出口30の直径を0.8mmとし、浮上パッド24に同心円上に7箇所及び25箇所設けることとしているが、本発明はそれに限定されるものでない。噴出口30の形状やウエハパッド25上に設ける位置等は特許請求の範囲に記載された事項の範囲で適宜変更可能であり、噴出口30の形状を円弧状としたり、浮上パッド24の中心から放射状に噴出口30を配置したりすることも充分可能である。図13(a)(b)参照。
【0035】
本発明における把持装置は、薄板状物の一つであるウエハ17を下面非接触状態で把持し搬送する目的に有用で、狭隘な場所への搬送に対して特に有用であるが、円盤状のウエハ17に限らず、矩形の薄板状物を下面非接触状態で把持し搬送することについても有用である。図14(a)にある実施例は、フォトマスクや比較的小型の矩形基板といった薄板状物の位置ずれを補正しながら把持し、搬送するためのものである。噴出口30から噴出される圧縮空気によって浮き上がった矩形基板51を、モータ38およびバネ部材42の動作により把持する構造は前述の実施例と同じである。異なるのは、第1の把持部材26と第2の把持部材29によって矩形基板51を対角線方向に把持する構造としている点である。モータ38の進退動作およびバネ部材42によって第2の把持部材29は、回同軸52aを支点に矢印方向に回動することで、対角線上にある第1の把持部材26とともに矩形基板51を把持することが可能となっている。その上、対角線上を把持するので、矩形基板51の位置ずれを補正することも可能となっているのである。
【0036】
さらに、大型の薄板状物である液晶基板等を把持し搬送するための実施例が図14(b)(c)である。本実施例における把持装置55では、リストブロック56に細長い棒状の搬送フィンガ53が4本取り付けられている。それぞれの搬送フィンガ53には、先の実施例と同様に、内部に空気流通のための流路36と、その流路36から浮上パッド24まで貫通した複数の噴出口30が具えている。第1の把持部材26はそれぞれの搬送フィンガ53の先端に取り付けられた26aと、最も端側に位置する搬送フィンガ53aの側面に取り付けられた26bとからなっている。第2の把持部材29は、それぞれの第1の把持部材26に対向する位置に設けられている。搬送フィンガ53の付け根部分に具えられた第2の把持部材29aは駆動手段28により進退自在に具えられている。搬送フィンガ53の側面に設けられた第2の把持部材29bは、第1の把持部材26bが具えられた搬送フィンガ53aの反対側に位置する搬送フィンガ53dの外側面に、回動軸52bを支点に回動可能に具えられている。第2の把持部材29aは駆動手段28によって進退動作させられ、第2の把持部材29bは駆動手段28によって回動させられる構造となっている。
【0037】
これらの構成により、大型の液晶基板54を、位置ずれ補正しながら把持することが可能となっている。まず、図14(b)にあるように、把持装置55は、液晶基板54を、第1の把持部材26a、26b及び待機位置にある第2の把持部材29a、29bによって規定された範囲内に、非接触状態で保持する。この時、液晶基板54は、噴出口30から噴出される圧縮空気によって浮上させられていることは言うまでもない。その後、第2の把持部材29a、29bは、駆動手段28によって、対向する第1の把持部材26a、26b方向に動作させられる。この動作によって、液晶基板54は、第1の把持部材26a、26bに当接するまで移動させられることとなり、把持装置55の、液晶基板54の把持及び位置ずれ補正が完了することとなる。図14(c)参照。なお、搬送フィンガ53aに固定された第1の把持部材26bに代えて、回動可能な第2の把持部材29bを具えることとしてもよい。これにより、液晶基板54の横方向は、二つの第2の把持部材29bにより両側から把持されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を実施するための処理設備の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】従来の把持装置である把持式ハンドを示す斜視図である。
【図3】従来の把持装置である把持式ハンドのウエハ当接状態を示す側面図である。
【図4】本発明における把持装置の一実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明における把持装置の一実施例の構造を示す斜視図及び断面図である。
【図6】本発明のおける把持部材を駆動させる駆動手段を示す上面図である。
【図7】本発明における把持装置がウエハを把持する手順を示す図である。
【図8】本発明における把持装置が載置台にウエハを載置する手順を示す図である。
【図9】本発明における把持部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明における把持装置の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明の把持装置の一実施例にて行った試験結果を示すグラフである。
【図12】本発明における把持装置がウエハを把持した時の寸法を示す断面図である。
【図13】本発明における把持装置の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明における把持装置の矩形の薄板状物を把持する実施例を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ロボットのアームの先端に回動可能に連結される搬送フィンガと、前記搬送フィンガの先端に固設された第1の把持部材と、駆動手段によって把持位置と待機位置間を動作させられる第2の把持部材とからなる薄板状物の周縁部を把持する把持装置において、前記搬送フィンガは内部に圧縮気体流通のための流路と、この圧縮気体の供給を制御するための制御部とを有し、前記流路と連通した複数の噴出口から前記圧縮気体を噴出させることで前記薄板状物を浮上させて把持することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記搬送フィンガは、前記搬送フィンガ周縁部よりも盛り上がった形状の浮上パッドを有し、前記浮上パッドは、前記複数の噴出口を有することを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記第2の把持部材は、弾性体による弾性力によって前記薄板状物に向かって付勢されることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の把持装置を具えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
薄板状物の周縁部を前記第1の把持部材と前記第2の把持部材で把持する把持方法であって、前記薄板状物が前記搬送フィンガ上にあって、前記第1の把持部材と前記第2の把持部材によって把持されていない時には、上記制御部が圧縮気体を供給し、前記薄板状物が前記第1の把持部材と前記第2の把持部材によって把持されている時には、上記制御部が圧縮気体の供給を停止することを特徴とする薄板状物の把持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−6222(P2013−6222A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237079(P2009−237079)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(591213232)ローツェ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】