薄板駆動装置、物体検出装置、表面異物検出装置、及び挟み込み防止装置
【課題】高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置を提供する。
【解決手段】薄板駆動装置は、磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、板材よりなり台座部に対して固定される固定部21と固定部21に連結支持部22を介して連続して形成され連結支持部22にて固定部21に対して互いに直交する2軸A,B中心で傾動可能に支持される1つの傾動部23とを有する薄板部材13と、傾動部23を2軸A,B中心で傾動させるべく該傾動部23に設けられる複数のコイル部14〜17とを備える。連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状とされる。
【解決手段】薄板駆動装置は、磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、板材よりなり台座部に対して固定される固定部21と固定部21に連結支持部22を介して連続して形成され連結支持部22にて固定部21に対して互いに直交する2軸A,B中心で傾動可能に支持される1つの傾動部23とを有する薄板部材13と、傾動部23を2軸A,B中心で傾動させるべく該傾動部23に設けられる複数のコイル部14〜17とを備える。連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板駆動装置に関し、詳しくは物体検出装置、特に車両ガラス上の雨滴等の物体を検出する表面異物検出装置及び車両枠(例えばスライドドアの枠やパワーウインドガラスの枠)までの間の物体を検出する挟み込み防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄板駆動装置としては、対象とする可動板を複数の軸(直交する軸)中心で傾動駆動可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。この薄板駆動装置は、非駆動部の内側に一対の第1ヒンジ部を介して該ヒンジ部の軸中心に回動可能な可動枠が形成され、更に可動枠の内側に第1ヒンジ部と直交する一対の第2ヒンジ部を介して該ヒンジ部の軸中心に回動可能な可動板が形成されたものがある。このような薄板駆動装置では、非駆動部に対して第1ヒンジ部の軸中心に可動枠が傾動(回動)し、その可動枠に対して(第1ヒンジ部と直交する)第2ヒンジ部の軸中心に可動板が傾動(回動)するため、可動板を非駆動部に対して直交する2軸中心に自由に傾動させることができる。尚、この薄板駆動装置では、可動枠と可動板とにそれぞれ電極を設けて、グランド面と対向配置させ、各電極に電圧を印加することで、静電力にて可動枠及び可動板を駆動(傾動)させる。
【特許文献1】特開平11−337860号公報(図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような薄板駆動装置では、2つの傾動する部分を有することなどから、その構造が複雑となる。又、内側が空隙の枠(可動枠)にコイル部を設けるといったことが形状的に困難であることなどから、コイル部を設けて高い駆動性能を得ながら、且つ、製造を容易とすることが困難となる。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置、その薄板駆動装置を備えた物体検出装置、表面異物検出装置、及び挟み込み防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、板材よりなり前記台座部に対して固定される固定部と前記固定部に連結支持部を介して連続して形成され前記連結支持部にて前記固定部に対して互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される1つの傾動部とを有する薄板部材と、前記傾動部を前記2軸中心で傾動させるべく該傾動部に設けられる複数のコイル部とを備えた。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、前記2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有する。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられる。
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3に記載の薄板駆動装置において、前記複数のコイル部は、同一パターンで設けられる。
【0008】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板駆動装置において、前記磁場発生部は、前記傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生させる永久磁石である。
【0009】
請求項6に記載の発明では、発光する発光部と、前記傾動部に前記発光部からの光を反射して対象物に向けるための反射面を有し、その反射面を回動駆動して光の向きを前記対象物における対象範囲内で変更させるための請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薄板駆動装置と、前記対象物で反射した光を受光するための受光部とを備えた物体検出装置を要旨とする。
【0010】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両ガラス上の物体を検出する表面異物検出装置を要旨とする。
請求項8に記載の発明では、請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両枠までの間の物体を検出する挟み込み防止装置を要旨とする。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、傾動部は、コイル部に電流が供給されることで互いに直交する2軸中心で傾動される。そして、1つの傾動部が連結支持部にて互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される構成であるため、従来技術(2つの傾動する部分(傾動する可動枠)を有するもの)に比べて、その構造が簡単となる。又、従来技術のように2つの傾動する部分を有しその一方を可動枠とした場合では、該可動枠にコイル部を設けることが形状的に困難となるが、そのようなことがなく、2軸中心で傾動させるための複数のコイル部を1つの傾動部に容易に配設することができる。その結果、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、連結支持部は、2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有するため、捩れ易く撓み易く(2軸と直交する方向に曲がり易く)なり、2軸の各方を中心として傾動部がそれぞれ容易に傾動可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられるため、前記2軸の一方を中心として傾動部が傾動される際と、前記2軸の他方を中心として傾動部が傾動される際とで、その負荷(反力)が同じとなる。よって、例えば、2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、複数のコイル部は、同一パターンで設けられるため、各コイル部で発生される磁力を相対的に電流量で容易に制御することができる。よって、例えば、コイル部に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。特に、請求項3に記載の構成にこの構成が適用されることで、2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が更に容易になるといった作用効果も得られるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、磁場発生部は、傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生する永久磁石であるため、簡単な構成としながら、高効率化(少ない電流量で高い駆動性能)を図ることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、薄板駆動装置にて傾動部と共に反射面が回動駆動されて光の向きが対象物における対象範囲内で変更されるため、受光部での受光量に基づいて対象物以外の物体が対象範囲内に存在するか否かを検出することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、車両ガラス上の物体を検出することができる。
請求項8に記載の発明によれば、車両枠(例えばパワーウインドガラスの枠やスライドドアに対する枠)までの間の物体を検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置を提供することができる。
又、請求項6に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な物体検出装置を提供することができる。
【0019】
又、請求項7に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な表面異物検出装置を提供することができる。
又、請求項8に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な挟み込み防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を表面異物検出装置(物体検出装置)に具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。図1に示すように、表面異物検出装置1は、車両における対象物及び車両ガラスとしてのフロントガラス2の近傍に設けられ、フロントガラス2上の雨滴や鳥の糞等の物体を検出する。
【0021】
表面異物検出装置1は図2に模式的に示すように、発光する発光部3と、発光部3からの光を反射してフロントガラス2に向けるための反射面4を有しその反射面4を回動駆動して光の向きをフロントガラス2における対象範囲内で変更させるための薄板駆動装置5と、フロントガラス2で反射した光(その一部)を受光するための受光部6とを備える。本実施の形態の表面異物検出装置1は、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6の全てがケース7内に収容されて、一体的に配設されている。即ち、表面異物検出装置1は、そのケース7がフロントガラス2の近傍に取り付けられて配設されている。
【0022】
薄板駆動装置5は、図3に示すように、台座部11と、磁場発生部としての永久磁石12と、薄板部材13と、複数のコイル部14〜17(図5参照)とを備える。
台座部11の上面(図3中、上面)中央には、上方から見て四角形の載置部11aが凹設されることで形成されている。又、載置部11aの上面(図3中、上面)中央には、上方から見て四角形の凹部11bが形成され、更に凹部11bの底部(上面)中央には、上方から見て四角形の磁石収容凹部11cが形成されている。そして、各磁石収容凹部11cには、永久磁石12が収容保持される。この永久磁石12は、上下方向(図3中、上下方向であって、例えば上方にN極、下方にS極)に分極され、一定の磁場を発生させる。
【0023】
薄板部材13は、板材としてのシリコン基板からなり、図4及び図5に示すように、固定部21、連結支持部22、及び傾動部23が一体成形されてなる。尚、図4は薄板部材13の平面図、図5は薄板部材13の下面図を示し、本実施の形態では、傾動部23の表面(図4中、表面であって、図3中、上面)に円形に金属(例えばニッケル)が蒸着され、その部分が上記した反射面4(図2参照)を構成している。
【0024】
詳しくは、固定部21は、前記台座部11における載置部11a上面に載置可能な四角形の枠形状に形成され、該載置部11aに載置されて固定されている。そして、傾動部23は、四角形(正方形)に形成され、固定部21に連結支持部22を介して連続して形成され、該連結支持部22にて固定部21に対して互いに直交する2軸A,B(図5参照)中心で傾動(回動)可能に支持されている。本実施の形態では、2軸A,Bの内の一方(軸A)は、傾動部23の正方形における対角線の一方(図5中、斜め右下に延びる方)と同じで、2軸A,Bの内の他方(軸B)は、傾動部23の正方形における対角線の他方(図5中、斜め右上に延びる方)と同じに設定される。連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられ、本実施の形態では、固定部21及び傾動部23における四角形の各辺の中央をそれぞれ連結するように形成されている。そして、各連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状とされている。尚、傾動部23は、載置部11aの凹部11bと対応した位置に配置され、その上下に隙間があることからも、傾動可能とされている。又、傾動部23は、前記永久磁石12と対向配置される。そして、傾動部23には複数のコイル部14〜17が設けられている(図5参照)。
【0025】
複数のコイル部14〜17は、図5に示すように、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられている。又、本実施の形態の複数のコイル部14〜17は、同じ方向(図5中、外側から中心に向かって時計回り)に巻かれている。複数のコイル部14〜17の内、一方の軸Aを中心として傾動部23を傾動させる一方のコイル部14,15は他方の軸Bに沿って一対設けられ、他方の軸Bを中心として傾動部23を傾動させる他方のコイル部16,17は一方の軸Aに沿って一対設けられている。そして、一方の一対のコイル部14,15と、他方の一対のコイル部16,17とは、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置されている。
【0026】
そして、一方の一対のコイル部14,15は、その一端である中心側端部が、互いに結線部31にて結線されている。又、他方の一対のコイル部16,17は、その一端である中心側端部が、互いに結線部32にて結線されている。これら結線部31,32は、それぞれ最短距離となるように前記2軸A,B上に配置されている。尚、勿論、結線部31,32は、互いに交差する点の絶縁や、コイル部14〜17の中心側端部以外との絶縁が確保されている。
【0027】
又、各コイル部14〜17は、その他端である外側端部が、各連結支持部22に設けられた配線33を介して固定部21に設けられた端子34〜37に接続されている。そして、この各端子34〜37は、外部の図示しない制御部に接続される。
【0028】
制御部は、図2に示すように、発光部3からの光(図2中、破線参照)を反射する反射面4(傾動部23)を傾動(回動駆動)して光の向きをフロントガラス2における対象範囲Z(図1参照)内で変更させるべく、コイル部14〜17(端子34〜37)に電流を供給する。詳しくは本実施の形態の制御部は、図1に示すように、光の向きをフロントガラス2の左上側(図1中、左上)から右方向に変更(移動)させていき(矢印S参照)、次に一段下のライン(図1中、2点鎖線参照)で左側から右方向に変更(移動)させる動作を繰り返させる(走査させる)べく、コイル部14〜17に電流を供給する。尚、本実施の形態では、例えば図6に示すように、一方のコイル部14,15(端子34,35)に電流Iを供給することで、反射面4(傾動部23)を磁力により(永久磁石12との吸引反発作用により)固定部21に対して一方の軸Aを中心として傾動させて、光の向きをフロントガラス2の左右方向(図1中、左右方向)に変更(移動)させる。又、本実施の形態では、他方のコイル部16,17(端子36,37)に電流を供給することで、反射面4(傾動部23)を磁力により(永久磁石12との吸引反発作用により)固定部21に対して他方の軸Bを中心として傾動させて、光の向きをフロントガラス2の上下方向(図1中、上下方向)に変更(移動)させる。
【0029】
そして、受光部6は、フロントガラス2で反射した光の一部であって、更に反射面4で反射した光を受光する。そして、制御部にて、受光部6での受光量Qに基づいてフロントガラス2(対象範囲Z)上に雨滴や鳥の糞等の物体が存在するか否かが判定(検出)される。詳しくは、本実施の形態では、光の向きをフロントガラス2の左側から右方向に変更していく際の反射面4での光の反射角を90度から増加させるように設定することで、フロントガラス2上に物体が存在しない場合、右方向に変更するに連れて(即ち時間tが進むに連れて)受光量Qが徐々に減少していくように設定されている(図7の特性X参照)。尚、図7では、対象範囲Zにおける各ライン(図1中、2点鎖線参照)毎の特性Xを図示している。又、本実施の形態では、光の向きをフロントガラス2の上側から下方向に(1ライン)変更する際の反射面4での光の反射角を90度から増加させるように設定している。即ち、図7における最上段の特性X1はフロントガラス2(対象範囲Z)の最上段のラインと対応した特性を示している。そして、本実施の形態の制御部は、各ライン毎の各特性Xにおける受光量Qが増加した場合(微分値dQ/dtが0より大きくなった場合)、物体が存在すると判定(検出)する。尚、図8は、多数の雨滴U(図2参照)が存在する場合の特性Yを示す。又、図8の特性Yにおいては、便宜上、雨滴Uと対応した部分に同一の符号(U)を付している。そして、本実施の形態の制御部は、予め設定した量の雨滴や鳥の糞等の物体が存在すると判定すると(例えば図8のような状態の場合であって多数の物体(雨滴)が存在すると判定すると)、制御信号を出力して、図示しない車両ワイパ装置を駆動させてフロントガラス2の払拭動作を行わせる。
【0030】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)1つの傾動部23が連結支持部22にて互いに直交する2軸A,B中心で傾動(回動)可能に支持される構成であるため、従来技術(2つの傾動する部分(傾動する可動枠)を有するもの)に比べて、その構造が簡単となる。又、従来技術のように2つの傾動する部分を有しその一方を可動枠とした場合では、該可動枠にコイル部を設けることが形状的に困難となるが、そのようなことがなく、2軸A,B中心で傾動させるための複数のコイル部14〜17を1つの(四角形の)傾動部23に容易に配設することができる。その結果、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置5及び表面異物検出装置を得ることができる。
【0031】
(2)連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状であるため、捩れ易く撓み易い(2軸A,Bと直交する方向に曲がり易い)。よって、2軸A,Bの各方を中心として傾動部23がそれぞれ容易に傾動(回動)可能とされる。
【0032】
(3)連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられるため、一方の軸Aを中心として傾動部23が傾動される際と、他方の軸Bを中心として傾動部23が傾動される際とで、その負荷(反力)が同じとなる。よって、例えば、2軸A,Bの各方を中心とした相対的な傾動部23の傾動角度制御が容易となる。
【0033】
(4)複数のコイル部14〜17は、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられるため、各コイル部14〜17で発生される磁力を相対的に電流量で容易に制御することができる。よって、例えば、コイル部14〜17に供給する電流量による2軸A,Bの各方を中心とした相対的な傾動部23の傾動角度制御が容易となる。
【0034】
(5)複数のコイル部14〜17の内、一方の軸Aを中心として傾動部23を傾動させる一方のコイル部14,15は他方の軸Bに沿って一対設けられ、他方の軸Bを中心として傾動部23を傾動させる他方のコイル部16,17は一方の軸Aに沿って一対設けられる。そして、一方の一対のコイル部14,15と、他方の一対のコイル部16,17とは、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置される。よって、傾動部23のデッドスペースを少なくすることができ、ひいては装置の小型化を図ることができる。又、例えば、各コイル部14〜17に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0035】
(6)一方の一対のコイル部14,15は、その一端(中心側端部)が互いに結線部31にて結線され、他方の一対のコイル部16,17は、その一端(中心側端部)が互いに結線部32にて結線されるため、各コイル部14〜17にそれぞれ傾動部23の外部から一対の配線を結線するといった構造に比べて、配線構造が簡単になる。本実施の形態では、連結支持部22に設ける配線33の数を4つにすることができる。
【0036】
(7)コイル部14〜17への配線33を各連結支持部22に設けたため、コイル部14〜17への配線構造を単純(簡単)にすることができる。尚、従来技術のように2つの傾動する部分(可動枠と可動板)を有した場合では、可動板にコイル部を設けそのコイル部に配線することが困難(非駆動部から可動板までに第1ヒンジ部、可動枠、及び第2ヒンジ部が存在するため、その配線構造(引き回し)が複雑)となるが、そのようなことがない。
【0037】
(8)磁場発生部を、傾動部23に対向配置され一定の磁場を発生する永久磁石12としたため、簡単な構成としながら、高効率化(少ない電流量で高い駆動性能)を図ることができる。
【0038】
(9)薄板駆動装置5にて傾動部23と共に反射面4が傾動(回動駆動)されて光の向きがフロントガラス2における対象範囲Z内で変更されるため、受光部6での受光量Qに基づいてフロントガラス2(対象範囲Z)上に物体が存在するか否かを判定(検出)することができる。又、反射面4(傾動部23)を傾動(回動駆動)して光の向きを変更することから、対象範囲Zを容易に(反射面4の傾動角度を大きくするだけで)広くすることができる。又、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6はフロントガラス2に対してそれぞれ一定の場所に固設されるため(それらを収容したケース7を固定するだけのため)、その取り付け構造等が簡単となる。
【0039】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、複数のコイル部14〜17は、同じ方向(図5中、外側から中心に向かって時計回り)に巻かれているとしたが、これに限定されず、少なくとも1つを異なる方向に巻かれたものにしてもよい。例えば、図9に示すように、上記実施の形態のコイル部14,17を、逆方向(図9中、外側から中心に向かって反時計回り)に巻かれたコイル部41,42に変更してもよい。尚、このようにした場合、上記実施の形態の永久磁石12の分極方向も適宜変更する必要がある。
・上記実施の形態では、連結支持部22を、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状としたが、傾動部を互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持できれば、他の形状に変更してもよい。例えば、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部と、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部とをそれぞれ複数有する連結支持部に変更してもよく、図10及び図11に示すように、第1連結部51を3つ、第2連結部52を2つ有する葛折り状の連結支持部53に変更してもよい。このようにすると、連結支持部53による体格の大型化を抑制しながら、2軸A,Bの各方を中心としてそれぞれ傾動部23が更に容易に傾動可能となる。
【0040】
・上記実施の形態では、連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられるとしたが、これに限定されず、配置や個数や(相対的な)形状を変更してもよい。
【0041】
・上記実施の形態では、複数のコイル部14〜17は、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられるとしたが、これに限定されず、異なるパターンのものに変更してもよい。
【0042】
・上記実施の形態では、一方のコイル部14,15と、他方のコイル部16,17とを、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置したが、これに限定されず、それらの配置を変更してもよい。又、勿論、傾動部23の形状(正方形)を変更してもよく、その形状に応じてコイル部の配置を変更してもよい。
【0043】
・上記実施の形態の各コイル部14〜17に対する配線構造(結線部31,32や配線33)は、他の構造に変更してもよい。
・上記実施の形態では、磁場発生部を、傾動部23に対向配置され一定の磁場を発生する永久磁石12としたが、これに限定されず、例えば、台座部11に設けられて磁場を発生させる固定コイル部に変更してもよい。
【0044】
・上記実施の形態では、受光量Qが増加した場合(微分値dQ/dtが0より大きくなった場合)物体が存在すると判定(検出)するとしたが、受光部6での受光量Qに基づいて他の方法で判定するようにしてもよい。例えば、対象範囲Zの各部位における物体が存在しない状態での受光量を記憶部に予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定するようにしてもよい。このようにした場合、光の向きを変更するパターンをどのように変更してもよい。又、フロントガラス2上に傷等がある場合であっても、その状態での受光量を予め記憶させておくことで、傷等を物体と判定してしまうことを防止することが可能となる。
【0045】
・上記実施の形態では、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6の全てがケース7内に収容されて一体的に配設されるとしたが、それらを離間した場所に固設してもよい。
・上記実施の形態では、フロントガラス2上の物体を検出する表面異物検出装置1に具体化したが、他の物体検出装置(又はその物体検出装置を備えた他の装置)に具体化してもよい。
【0046】
例えば、図12に示すように、対象物及び車両枠としての(パワーウインドガラス61の)枠62までの間の物体を検出する挟み込み防止装置63に具体化してもよい。この挟み込み防止装置63は、上記実施の形態の表面異物検出装置1とほぼ同様に構成される。そして、挟み込み防止装置63は、車両ドア64の前方側に固定され、車両ドア64の後方側の枠62までの間に物体が存在するか否かを検出する。尚、この場合、車両ドア64の後方側の枠62に、挟み込み防止装置63からの光(図12中、破線矢印で示す)を良好に反射するための反射部材65(図12中、太線で示す)を設けることが望ましい。又、この場合、上記した別例のように、物体が存在しない状態での受光量を予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定し、物体が存在すると判定すると、パワーウインドガラス61の閉動作を停止又は開動作に切り替える。このようにすると、物体の挟み込みが防止される。又、パワーウインドガラス61の枠62までの間の物体を検出する挟み込み防止装置63において、取り付け構造を簡単なものとしながら、対象範囲を容易に広くすることができる。
【0047】
又、例えば、図13に示すように、対象物及び車両枠としての(スライドドア71に対する)枠72,73までの間の物体を検出する挟み込み防止装置74に具体化してもよい。この挟み込み防止装置74は、上記実施の形態の表面異物検出装置1とほぼ同様に構成される。そして、挟み込み防止装置74は、車両75のスライドドア71と対応した位置(閉動作時にスライドドア71との距離が近くなる位置)における上部に固定され、スライドドア71の枠72及びスライドドア71に対する車両本体の下部の枠73までの間に物体が存在するか否かを検出する。又、この場合、上記した別例のように物体が存在しない状態での受光量を予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定し、物体が存在すると判定すると、スライドドア71の閉動作を停止又は開動作に切り替える。このようにすると、物体の挟み込みが防止される。又、スライドドア71に対する枠72,73までの間の物体を検出する挟み込み防止装置74において、取り付け構造を簡単なものとしながら、対象範囲を容易に広くすることができる。
【0048】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項2に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記第1及び第2連結部をそれぞれ複数有し葛折り状とされることを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、連結支持部による体格の大型化を抑制しながら、前記2軸の各方を中心としてそれぞれ傾動部が更に容易に傾動可能となる。
【0049】
(ロ)請求項4に記載の薄板駆動装置において、前記複数のコイル部の内、前記2軸の一方を中心として前記傾動部を傾動させる一方のコイル部を前記2軸の他方に沿って一対設け、前記複数のコイル部の内、前記2軸の他方を中心として前記傾動部を傾動させる他方のコイル部を前記2軸の一方に沿って一対設け、前記一方の一対のコイル部と、前記他方の一対のコイル部とを、それら各コイル部の中心が正方形の頂点と対応するように配置したことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、傾動部のデッドスペースを少なくすることができ、ひいては装置の小型化を図ることができる。又、例えば、各コイル部に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0050】
(ハ)上記(ロ)に記載の薄板駆動装置において、前記一対のコイル部の一端は、互いに結線部にて結線されたことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、各コイル部にそれぞれ傾動部の外部から一対の配線を結線する構造に比べて、配線構造が簡単になる。例えば、連結支持部に設けた配線を介してコイル部と外部の制御装置とを接続する構成では、連結支持部に設ける配線の数を抑制することができる。
【0051】
(ニ)請求項1乃至5及び上記(イ)〜(ハ)のいずれか1つに記載の薄板駆動装置において、前記コイル部への配線を前記連結支持部に設けたことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、コイル部への配線構造を単純(簡単)にすることができる。尚、従来技術のように2つの傾動する部分(可動枠と可動板)を有した場合では、可動板にコイル部を設けそのコイル部に配線することが困難(非駆動部から可動板までに第1ヒンジ部、可動枠、及び第2ヒンジ部が存在するため、その配線構造(引き回し)が複雑)となるが、そのようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態における表面異物検出装置とフロントガラスの模式図。
【図2】本実施の形態における表面異物検出装置とフロントガラスの模式図。
【図3】本実施の形態における薄板駆動装置の断面図。
【図4】本実施の形態における薄板部材の平面図。
【図5】本実施の形態における薄板部材の下面図。
【図6】(a)(b)本実施の形態における動作を説明するための説明図。
【図7】時間−受光量特性図。
【図8】時間−受光量特性図。
【図9】別例における薄板部材の下面図。
【図10】別例における板状部材の平面図。
【図11】別例における板状部材の下面図。
【図12】別例における車両ドアと挟み込み防止装置の模式図。
【図13】別例における車両と挟み込み防止装置の模式図。
【符号の説明】
【0053】
2…対象物及び車両ガラスとしてのフロントガラス、3…発光部、4…反射面、5…薄板駆動装置、6…受光部、11…台座部、12…磁場発生部としての永久磁石、13…薄板部材、14〜17,41,42…コイル部、21…固定部、22,53…連結支持部、22a,51…第1連結部、22b,52…第2連結部、23…傾動部、62,72,73…対象物及び車両枠としての枠、A,B…互いに直交する2軸、Z…対象範囲。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板駆動装置に関し、詳しくは物体検出装置、特に車両ガラス上の雨滴等の物体を検出する表面異物検出装置及び車両枠(例えばスライドドアの枠やパワーウインドガラスの枠)までの間の物体を検出する挟み込み防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄板駆動装置としては、対象とする可動板を複数の軸(直交する軸)中心で傾動駆動可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。この薄板駆動装置は、非駆動部の内側に一対の第1ヒンジ部を介して該ヒンジ部の軸中心に回動可能な可動枠が形成され、更に可動枠の内側に第1ヒンジ部と直交する一対の第2ヒンジ部を介して該ヒンジ部の軸中心に回動可能な可動板が形成されたものがある。このような薄板駆動装置では、非駆動部に対して第1ヒンジ部の軸中心に可動枠が傾動(回動)し、その可動枠に対して(第1ヒンジ部と直交する)第2ヒンジ部の軸中心に可動板が傾動(回動)するため、可動板を非駆動部に対して直交する2軸中心に自由に傾動させることができる。尚、この薄板駆動装置では、可動枠と可動板とにそれぞれ電極を設けて、グランド面と対向配置させ、各電極に電圧を印加することで、静電力にて可動枠及び可動板を駆動(傾動)させる。
【特許文献1】特開平11−337860号公報(図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような薄板駆動装置では、2つの傾動する部分を有することなどから、その構造が複雑となる。又、内側が空隙の枠(可動枠)にコイル部を設けるといったことが形状的に困難であることなどから、コイル部を設けて高い駆動性能を得ながら、且つ、製造を容易とすることが困難となる。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置、その薄板駆動装置を備えた物体検出装置、表面異物検出装置、及び挟み込み防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、板材よりなり前記台座部に対して固定される固定部と前記固定部に連結支持部を介して連続して形成され前記連結支持部にて前記固定部に対して互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される1つの傾動部とを有する薄板部材と、前記傾動部を前記2軸中心で傾動させるべく該傾動部に設けられる複数のコイル部とを備えた。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、前記2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有する。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられる。
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3に記載の薄板駆動装置において、前記複数のコイル部は、同一パターンで設けられる。
【0008】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板駆動装置において、前記磁場発生部は、前記傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生させる永久磁石である。
【0009】
請求項6に記載の発明では、発光する発光部と、前記傾動部に前記発光部からの光を反射して対象物に向けるための反射面を有し、その反射面を回動駆動して光の向きを前記対象物における対象範囲内で変更させるための請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薄板駆動装置と、前記対象物で反射した光を受光するための受光部とを備えた物体検出装置を要旨とする。
【0010】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両ガラス上の物体を検出する表面異物検出装置を要旨とする。
請求項8に記載の発明では、請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両枠までの間の物体を検出する挟み込み防止装置を要旨とする。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、傾動部は、コイル部に電流が供給されることで互いに直交する2軸中心で傾動される。そして、1つの傾動部が連結支持部にて互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される構成であるため、従来技術(2つの傾動する部分(傾動する可動枠)を有するもの)に比べて、その構造が簡単となる。又、従来技術のように2つの傾動する部分を有しその一方を可動枠とした場合では、該可動枠にコイル部を設けることが形状的に困難となるが、そのようなことがなく、2軸中心で傾動させるための複数のコイル部を1つの傾動部に容易に配設することができる。その結果、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、連結支持部は、2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有するため、捩れ易く撓み易く(2軸と直交する方向に曲がり易く)なり、2軸の各方を中心として傾動部がそれぞれ容易に傾動可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられるため、前記2軸の一方を中心として傾動部が傾動される際と、前記2軸の他方を中心として傾動部が傾動される際とで、その負荷(反力)が同じとなる。よって、例えば、2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、複数のコイル部は、同一パターンで設けられるため、各コイル部で発生される磁力を相対的に電流量で容易に制御することができる。よって、例えば、コイル部に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。特に、請求項3に記載の構成にこの構成が適用されることで、2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が更に容易になるといった作用効果も得られるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、磁場発生部は、傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生する永久磁石であるため、簡単な構成としながら、高効率化(少ない電流量で高い駆動性能)を図ることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、薄板駆動装置にて傾動部と共に反射面が回動駆動されて光の向きが対象物における対象範囲内で変更されるため、受光部での受光量に基づいて対象物以外の物体が対象範囲内に存在するか否かを検出することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、車両ガラス上の物体を検出することができる。
請求項8に記載の発明によれば、車両枠(例えばパワーウインドガラスの枠やスライドドアに対する枠)までの間の物体を検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置を提供することができる。
又、請求項6に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な物体検出装置を提供することができる。
【0019】
又、請求項7に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な表面異物検出装置を提供することができる。
又、請求項8に記載の発明によれば、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な挟み込み防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を表面異物検出装置(物体検出装置)に具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。図1に示すように、表面異物検出装置1は、車両における対象物及び車両ガラスとしてのフロントガラス2の近傍に設けられ、フロントガラス2上の雨滴や鳥の糞等の物体を検出する。
【0021】
表面異物検出装置1は図2に模式的に示すように、発光する発光部3と、発光部3からの光を反射してフロントガラス2に向けるための反射面4を有しその反射面4を回動駆動して光の向きをフロントガラス2における対象範囲内で変更させるための薄板駆動装置5と、フロントガラス2で反射した光(その一部)を受光するための受光部6とを備える。本実施の形態の表面異物検出装置1は、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6の全てがケース7内に収容されて、一体的に配設されている。即ち、表面異物検出装置1は、そのケース7がフロントガラス2の近傍に取り付けられて配設されている。
【0022】
薄板駆動装置5は、図3に示すように、台座部11と、磁場発生部としての永久磁石12と、薄板部材13と、複数のコイル部14〜17(図5参照)とを備える。
台座部11の上面(図3中、上面)中央には、上方から見て四角形の載置部11aが凹設されることで形成されている。又、載置部11aの上面(図3中、上面)中央には、上方から見て四角形の凹部11bが形成され、更に凹部11bの底部(上面)中央には、上方から見て四角形の磁石収容凹部11cが形成されている。そして、各磁石収容凹部11cには、永久磁石12が収容保持される。この永久磁石12は、上下方向(図3中、上下方向であって、例えば上方にN極、下方にS極)に分極され、一定の磁場を発生させる。
【0023】
薄板部材13は、板材としてのシリコン基板からなり、図4及び図5に示すように、固定部21、連結支持部22、及び傾動部23が一体成形されてなる。尚、図4は薄板部材13の平面図、図5は薄板部材13の下面図を示し、本実施の形態では、傾動部23の表面(図4中、表面であって、図3中、上面)に円形に金属(例えばニッケル)が蒸着され、その部分が上記した反射面4(図2参照)を構成している。
【0024】
詳しくは、固定部21は、前記台座部11における載置部11a上面に載置可能な四角形の枠形状に形成され、該載置部11aに載置されて固定されている。そして、傾動部23は、四角形(正方形)に形成され、固定部21に連結支持部22を介して連続して形成され、該連結支持部22にて固定部21に対して互いに直交する2軸A,B(図5参照)中心で傾動(回動)可能に支持されている。本実施の形態では、2軸A,Bの内の一方(軸A)は、傾動部23の正方形における対角線の一方(図5中、斜め右下に延びる方)と同じで、2軸A,Bの内の他方(軸B)は、傾動部23の正方形における対角線の他方(図5中、斜め右上に延びる方)と同じに設定される。連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられ、本実施の形態では、固定部21及び傾動部23における四角形の各辺の中央をそれぞれ連結するように形成されている。そして、各連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状とされている。尚、傾動部23は、載置部11aの凹部11bと対応した位置に配置され、その上下に隙間があることからも、傾動可能とされている。又、傾動部23は、前記永久磁石12と対向配置される。そして、傾動部23には複数のコイル部14〜17が設けられている(図5参照)。
【0025】
複数のコイル部14〜17は、図5に示すように、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられている。又、本実施の形態の複数のコイル部14〜17は、同じ方向(図5中、外側から中心に向かって時計回り)に巻かれている。複数のコイル部14〜17の内、一方の軸Aを中心として傾動部23を傾動させる一方のコイル部14,15は他方の軸Bに沿って一対設けられ、他方の軸Bを中心として傾動部23を傾動させる他方のコイル部16,17は一方の軸Aに沿って一対設けられている。そして、一方の一対のコイル部14,15と、他方の一対のコイル部16,17とは、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置されている。
【0026】
そして、一方の一対のコイル部14,15は、その一端である中心側端部が、互いに結線部31にて結線されている。又、他方の一対のコイル部16,17は、その一端である中心側端部が、互いに結線部32にて結線されている。これら結線部31,32は、それぞれ最短距離となるように前記2軸A,B上に配置されている。尚、勿論、結線部31,32は、互いに交差する点の絶縁や、コイル部14〜17の中心側端部以外との絶縁が確保されている。
【0027】
又、各コイル部14〜17は、その他端である外側端部が、各連結支持部22に設けられた配線33を介して固定部21に設けられた端子34〜37に接続されている。そして、この各端子34〜37は、外部の図示しない制御部に接続される。
【0028】
制御部は、図2に示すように、発光部3からの光(図2中、破線参照)を反射する反射面4(傾動部23)を傾動(回動駆動)して光の向きをフロントガラス2における対象範囲Z(図1参照)内で変更させるべく、コイル部14〜17(端子34〜37)に電流を供給する。詳しくは本実施の形態の制御部は、図1に示すように、光の向きをフロントガラス2の左上側(図1中、左上)から右方向に変更(移動)させていき(矢印S参照)、次に一段下のライン(図1中、2点鎖線参照)で左側から右方向に変更(移動)させる動作を繰り返させる(走査させる)べく、コイル部14〜17に電流を供給する。尚、本実施の形態では、例えば図6に示すように、一方のコイル部14,15(端子34,35)に電流Iを供給することで、反射面4(傾動部23)を磁力により(永久磁石12との吸引反発作用により)固定部21に対して一方の軸Aを中心として傾動させて、光の向きをフロントガラス2の左右方向(図1中、左右方向)に変更(移動)させる。又、本実施の形態では、他方のコイル部16,17(端子36,37)に電流を供給することで、反射面4(傾動部23)を磁力により(永久磁石12との吸引反発作用により)固定部21に対して他方の軸Bを中心として傾動させて、光の向きをフロントガラス2の上下方向(図1中、上下方向)に変更(移動)させる。
【0029】
そして、受光部6は、フロントガラス2で反射した光の一部であって、更に反射面4で反射した光を受光する。そして、制御部にて、受光部6での受光量Qに基づいてフロントガラス2(対象範囲Z)上に雨滴や鳥の糞等の物体が存在するか否かが判定(検出)される。詳しくは、本実施の形態では、光の向きをフロントガラス2の左側から右方向に変更していく際の反射面4での光の反射角を90度から増加させるように設定することで、フロントガラス2上に物体が存在しない場合、右方向に変更するに連れて(即ち時間tが進むに連れて)受光量Qが徐々に減少していくように設定されている(図7の特性X参照)。尚、図7では、対象範囲Zにおける各ライン(図1中、2点鎖線参照)毎の特性Xを図示している。又、本実施の形態では、光の向きをフロントガラス2の上側から下方向に(1ライン)変更する際の反射面4での光の反射角を90度から増加させるように設定している。即ち、図7における最上段の特性X1はフロントガラス2(対象範囲Z)の最上段のラインと対応した特性を示している。そして、本実施の形態の制御部は、各ライン毎の各特性Xにおける受光量Qが増加した場合(微分値dQ/dtが0より大きくなった場合)、物体が存在すると判定(検出)する。尚、図8は、多数の雨滴U(図2参照)が存在する場合の特性Yを示す。又、図8の特性Yにおいては、便宜上、雨滴Uと対応した部分に同一の符号(U)を付している。そして、本実施の形態の制御部は、予め設定した量の雨滴や鳥の糞等の物体が存在すると判定すると(例えば図8のような状態の場合であって多数の物体(雨滴)が存在すると判定すると)、制御信号を出力して、図示しない車両ワイパ装置を駆動させてフロントガラス2の払拭動作を行わせる。
【0030】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)1つの傾動部23が連結支持部22にて互いに直交する2軸A,B中心で傾動(回動)可能に支持される構成であるため、従来技術(2つの傾動する部分(傾動する可動枠)を有するもの)に比べて、その構造が簡単となる。又、従来技術のように2つの傾動する部分を有しその一方を可動枠とした場合では、該可動枠にコイル部を設けることが形状的に困難となるが、そのようなことがなく、2軸A,B中心で傾動させるための複数のコイル部14〜17を1つの(四角形の)傾動部23に容易に配設することができる。その結果、高い駆動性能を得ることができるとともに、簡単な構成で製造が容易な薄板駆動装置5及び表面異物検出装置を得ることができる。
【0031】
(2)連結支持部22は、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状であるため、捩れ易く撓み易い(2軸A,Bと直交する方向に曲がり易い)。よって、2軸A,Bの各方を中心として傾動部23がそれぞれ容易に傾動(回動)可能とされる。
【0032】
(3)連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられるため、一方の軸Aを中心として傾動部23が傾動される際と、他方の軸Bを中心として傾動部23が傾動される際とで、その負荷(反力)が同じとなる。よって、例えば、2軸A,Bの各方を中心とした相対的な傾動部23の傾動角度制御が容易となる。
【0033】
(4)複数のコイル部14〜17は、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられるため、各コイル部14〜17で発生される磁力を相対的に電流量で容易に制御することができる。よって、例えば、コイル部14〜17に供給する電流量による2軸A,Bの各方を中心とした相対的な傾動部23の傾動角度制御が容易となる。
【0034】
(5)複数のコイル部14〜17の内、一方の軸Aを中心として傾動部23を傾動させる一方のコイル部14,15は他方の軸Bに沿って一対設けられ、他方の軸Bを中心として傾動部23を傾動させる他方のコイル部16,17は一方の軸Aに沿って一対設けられる。そして、一方の一対のコイル部14,15と、他方の一対のコイル部16,17とは、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置される。よって、傾動部23のデッドスペースを少なくすることができ、ひいては装置の小型化を図ることができる。又、例えば、各コイル部14〜17に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0035】
(6)一方の一対のコイル部14,15は、その一端(中心側端部)が互いに結線部31にて結線され、他方の一対のコイル部16,17は、その一端(中心側端部)が互いに結線部32にて結線されるため、各コイル部14〜17にそれぞれ傾動部23の外部から一対の配線を結線するといった構造に比べて、配線構造が簡単になる。本実施の形態では、連結支持部22に設ける配線33の数を4つにすることができる。
【0036】
(7)コイル部14〜17への配線33を各連結支持部22に設けたため、コイル部14〜17への配線構造を単純(簡単)にすることができる。尚、従来技術のように2つの傾動する部分(可動枠と可動板)を有した場合では、可動板にコイル部を設けそのコイル部に配線することが困難(非駆動部から可動板までに第1ヒンジ部、可動枠、及び第2ヒンジ部が存在するため、その配線構造(引き回し)が複雑)となるが、そのようなことがない。
【0037】
(8)磁場発生部を、傾動部23に対向配置され一定の磁場を発生する永久磁石12としたため、簡単な構成としながら、高効率化(少ない電流量で高い駆動性能)を図ることができる。
【0038】
(9)薄板駆動装置5にて傾動部23と共に反射面4が傾動(回動駆動)されて光の向きがフロントガラス2における対象範囲Z内で変更されるため、受光部6での受光量Qに基づいてフロントガラス2(対象範囲Z)上に物体が存在するか否かを判定(検出)することができる。又、反射面4(傾動部23)を傾動(回動駆動)して光の向きを変更することから、対象範囲Zを容易に(反射面4の傾動角度を大きくするだけで)広くすることができる。又、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6はフロントガラス2に対してそれぞれ一定の場所に固設されるため(それらを収容したケース7を固定するだけのため)、その取り付け構造等が簡単となる。
【0039】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、複数のコイル部14〜17は、同じ方向(図5中、外側から中心に向かって時計回り)に巻かれているとしたが、これに限定されず、少なくとも1つを異なる方向に巻かれたものにしてもよい。例えば、図9に示すように、上記実施の形態のコイル部14,17を、逆方向(図9中、外側から中心に向かって反時計回り)に巻かれたコイル部41,42に変更してもよい。尚、このようにした場合、上記実施の形態の永久磁石12の分極方向も適宜変更する必要がある。
・上記実施の形態では、連結支持部22を、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部22aと、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部22bとが連結された形状としたが、傾動部を互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持できれば、他の形状に変更してもよい。例えば、一方の軸Aに対して平行且つ他方の軸Bに対して直角に延びる第1連結部と、一方の軸Aに対して直角且つ他方の軸Bに対して平行に延びる第2連結部とをそれぞれ複数有する連結支持部に変更してもよく、図10及び図11に示すように、第1連結部51を3つ、第2連結部52を2つ有する葛折り状の連結支持部53に変更してもよい。このようにすると、連結支持部53による体格の大型化を抑制しながら、2軸A,Bの各方を中心としてそれぞれ傾動部23が更に容易に傾動可能となる。
【0040】
・上記実施の形態では、連結支持部22は、2軸A,Bに対してそれぞれ線対称となるように4つ設けられるとしたが、これに限定されず、配置や個数や(相対的な)形状を変更してもよい。
【0041】
・上記実施の形態では、複数のコイル部14〜17は、同一パターン、詳しくは同一の巻数と同一の大きさで設けられるとしたが、これに限定されず、異なるパターンのものに変更してもよい。
【0042】
・上記実施の形態では、一方のコイル部14,15と、他方のコイル部16,17とを、それら各コイル部14〜17の中心が正方形の頂点と対応するように(言い換えると、傾動部23における正方形を四分割した正方形にそれぞれ収まるように)配置したが、これに限定されず、それらの配置を変更してもよい。又、勿論、傾動部23の形状(正方形)を変更してもよく、その形状に応じてコイル部の配置を変更してもよい。
【0043】
・上記実施の形態の各コイル部14〜17に対する配線構造(結線部31,32や配線33)は、他の構造に変更してもよい。
・上記実施の形態では、磁場発生部を、傾動部23に対向配置され一定の磁場を発生する永久磁石12としたが、これに限定されず、例えば、台座部11に設けられて磁場を発生させる固定コイル部に変更してもよい。
【0044】
・上記実施の形態では、受光量Qが増加した場合(微分値dQ/dtが0より大きくなった場合)物体が存在すると判定(検出)するとしたが、受光部6での受光量Qに基づいて他の方法で判定するようにしてもよい。例えば、対象範囲Zの各部位における物体が存在しない状態での受光量を記憶部に予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定するようにしてもよい。このようにした場合、光の向きを変更するパターンをどのように変更してもよい。又、フロントガラス2上に傷等がある場合であっても、その状態での受光量を予め記憶させておくことで、傷等を物体と判定してしまうことを防止することが可能となる。
【0045】
・上記実施の形態では、発光部3、薄板駆動装置5及び受光部6の全てがケース7内に収容されて一体的に配設されるとしたが、それらを離間した場所に固設してもよい。
・上記実施の形態では、フロントガラス2上の物体を検出する表面異物検出装置1に具体化したが、他の物体検出装置(又はその物体検出装置を備えた他の装置)に具体化してもよい。
【0046】
例えば、図12に示すように、対象物及び車両枠としての(パワーウインドガラス61の)枠62までの間の物体を検出する挟み込み防止装置63に具体化してもよい。この挟み込み防止装置63は、上記実施の形態の表面異物検出装置1とほぼ同様に構成される。そして、挟み込み防止装置63は、車両ドア64の前方側に固定され、車両ドア64の後方側の枠62までの間に物体が存在するか否かを検出する。尚、この場合、車両ドア64の後方側の枠62に、挟み込み防止装置63からの光(図12中、破線矢印で示す)を良好に反射するための反射部材65(図12中、太線で示す)を設けることが望ましい。又、この場合、上記した別例のように、物体が存在しない状態での受光量を予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定し、物体が存在すると判定すると、パワーウインドガラス61の閉動作を停止又は開動作に切り替える。このようにすると、物体の挟み込みが防止される。又、パワーウインドガラス61の枠62までの間の物体を検出する挟み込み防止装置63において、取り付け構造を簡単なものとしながら、対象範囲を容易に広くすることができる。
【0047】
又、例えば、図13に示すように、対象物及び車両枠としての(スライドドア71に対する)枠72,73までの間の物体を検出する挟み込み防止装置74に具体化してもよい。この挟み込み防止装置74は、上記実施の形態の表面異物検出装置1とほぼ同様に構成される。そして、挟み込み防止装置74は、車両75のスライドドア71と対応した位置(閉動作時にスライドドア71との距離が近くなる位置)における上部に固定され、スライドドア71の枠72及びスライドドア71に対する車両本体の下部の枠73までの間に物体が存在するか否かを検出する。又、この場合、上記した別例のように物体が存在しない状態での受光量を予め記憶させておき、その記憶させた値と受光部での受光量とを比較して物体が存在するか否かを判定し、物体が存在すると判定すると、スライドドア71の閉動作を停止又は開動作に切り替える。このようにすると、物体の挟み込みが防止される。又、スライドドア71に対する枠72,73までの間の物体を検出する挟み込み防止装置74において、取り付け構造を簡単なものとしながら、対象範囲を容易に広くすることができる。
【0048】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項2に記載の薄板駆動装置において、前記連結支持部は、前記第1及び第2連結部をそれぞれ複数有し葛折り状とされることを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、連結支持部による体格の大型化を抑制しながら、前記2軸の各方を中心としてそれぞれ傾動部が更に容易に傾動可能となる。
【0049】
(ロ)請求項4に記載の薄板駆動装置において、前記複数のコイル部の内、前記2軸の一方を中心として前記傾動部を傾動させる一方のコイル部を前記2軸の他方に沿って一対設け、前記複数のコイル部の内、前記2軸の他方を中心として前記傾動部を傾動させる他方のコイル部を前記2軸の一方に沿って一対設け、前記一方の一対のコイル部と、前記他方の一対のコイル部とを、それら各コイル部の中心が正方形の頂点と対応するように配置したことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、傾動部のデッドスペースを少なくすることができ、ひいては装置の小型化を図ることができる。又、例えば、各コイル部に供給する電流量による2軸の各方を中心とした相対的な傾動部の傾動角度制御が容易となる。
【0050】
(ハ)上記(ロ)に記載の薄板駆動装置において、前記一対のコイル部の一端は、互いに結線部にて結線されたことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、各コイル部にそれぞれ傾動部の外部から一対の配線を結線する構造に比べて、配線構造が簡単になる。例えば、連結支持部に設けた配線を介してコイル部と外部の制御装置とを接続する構成では、連結支持部に設ける配線の数を抑制することができる。
【0051】
(ニ)請求項1乃至5及び上記(イ)〜(ハ)のいずれか1つに記載の薄板駆動装置において、前記コイル部への配線を前記連結支持部に設けたことを特徴とする薄板駆動装置。このようにすると、コイル部への配線構造を単純(簡単)にすることができる。尚、従来技術のように2つの傾動する部分(可動枠と可動板)を有した場合では、可動板にコイル部を設けそのコイル部に配線することが困難(非駆動部から可動板までに第1ヒンジ部、可動枠、及び第2ヒンジ部が存在するため、その配線構造(引き回し)が複雑)となるが、そのようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態における表面異物検出装置とフロントガラスの模式図。
【図2】本実施の形態における表面異物検出装置とフロントガラスの模式図。
【図3】本実施の形態における薄板駆動装置の断面図。
【図4】本実施の形態における薄板部材の平面図。
【図5】本実施の形態における薄板部材の下面図。
【図6】(a)(b)本実施の形態における動作を説明するための説明図。
【図7】時間−受光量特性図。
【図8】時間−受光量特性図。
【図9】別例における薄板部材の下面図。
【図10】別例における板状部材の平面図。
【図11】別例における板状部材の下面図。
【図12】別例における車両ドアと挟み込み防止装置の模式図。
【図13】別例における車両と挟み込み防止装置の模式図。
【符号の説明】
【0053】
2…対象物及び車両ガラスとしてのフロントガラス、3…発光部、4…反射面、5…薄板駆動装置、6…受光部、11…台座部、12…磁場発生部としての永久磁石、13…薄板部材、14〜17,41,42…コイル部、21…固定部、22,53…連結支持部、22a,51…第1連結部、22b,52…第2連結部、23…傾動部、62,72,73…対象物及び車両枠としての枠、A,B…互いに直交する2軸、Z…対象範囲。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、
板材よりなり前記台座部に対して固定される固定部と前記固定部に連結支持部を介して連続して形成され前記連結支持部にて前記固定部に対して互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される1つの傾動部とを有する薄板部材と、
前記傾動部を前記2軸中心で傾動させるべく該傾動部に設けられる複数のコイル部とを備えたことを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薄板駆動装置において、
前記連結支持部は、前記2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、前記2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有することを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薄板駆動装置において、貯金
前記連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の薄板駆動装置において、
前記複数のコイル部は、同一パターンで設けられることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板駆動装置において、
前記磁場発生部は、前記傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生させる永久磁石であることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項6】
発光する発光部と、
前記傾動部に前記発光部からの光を反射して対象物に向けるための反射面を有し、その反射面を回動駆動して光の向きを前記対象物における対象範囲内で変更させるための請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薄板駆動装置と、
前記対象物で反射した光を受光するための受光部と
を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両ガラス上の物体を検出することを特徴とする表面異物検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両枠までの間の物体を検出することを特徴とする挟み込み防止装置。
【請求項1】
磁場を発生させる磁場発生部を有する台座部と、
板材よりなり前記台座部に対して固定される固定部と前記固定部に連結支持部を介して連続して形成され前記連結支持部にて前記固定部に対して互いに直交する2軸中心で傾動可能に支持される1つの傾動部とを有する薄板部材と、
前記傾動部を前記2軸中心で傾動させるべく該傾動部に設けられる複数のコイル部とを備えたことを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薄板駆動装置において、
前記連結支持部は、前記2軸の一方に対して平行且つ他方に対して直角に延びる第1連結部と、前記2軸の一方に対して直角且つ他方に対して平行に延びる第2連結部とを有することを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薄板駆動装置において、貯金
前記連結支持部は、前記2軸に対してそれぞれ線対称となるように複数設けられることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の薄板駆動装置において、
前記複数のコイル部は、同一パターンで設けられることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薄板駆動装置において、
前記磁場発生部は、前記傾動部に対向配置され、一定の磁場を発生させる永久磁石であることを特徴とする薄板駆動装置。
【請求項6】
発光する発光部と、
前記傾動部に前記発光部からの光を反射して対象物に向けるための反射面を有し、その反射面を回動駆動して光の向きを前記対象物における対象範囲内で変更させるための請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薄板駆動装置と、
前記対象物で反射した光を受光するための受光部と
を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両ガラス上の物体を検出することを特徴とする表面異物検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の物体検出装置を備え、前記対象物としての車両枠までの間の物体を検出することを特徴とする挟み込み防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−10643(P2006−10643A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191775(P2004−191775)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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